説明

蓄電装置の充放電試験システム

【課題】システム構成を簡略化して、長時間にわたる充放電試験での測定データを的確に取得でき、しかも充電、放電、休止のモード切り替わり時の過渡領域の詳細なデータを的確に取得できる。
【解決手段】制御用CPU31では、充放電電流および電圧の検出信号をADコンバータで高速サンプリングしてデジタルデータに変換し、これらのデジタルデータに対して過渡領域の近傍では予め設定された一定時間だけ取得し、これに並行して長時間にわたるデジタルデータは間引いて取得し、これらデジタルデータには同じタイミング情報をそれぞれ付加することで関連付けを行ってコンピュータ100側にイーサネットで高速伝送する。コンピュータ側では伝送されたデジタルデータに付加されたタイミング情報を基にデジタルデータ間を関連付けて取得する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電池やキャパシタなどの蓄電装置の充放電試験システムに係り、特に充放電試験における測定データの取得制御に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の充放電試験システムは、充放電制御のアプリケーションソフトを搭載したパソコン(コンピュータ)と、蓄電池や電力用コンデンサ、電気二重層キャパシタなどの蓄電装置に対する充放電電流や電圧を制御できる充放電装置で構成し、アプリケーションソフトから試験条件設定と充放電装置の出力制御を行う(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
充電モードおよび放電モードには、供試蓄電装置に対して一定電流で充放電する定電流充放電制御、一定電力で充放電する定電力充放電制御、一定電圧で充放電する定電圧充放電制御、一定抵抗で充放電する定抵抗充放電制御などがあり、これら制御モードを試験中に切替え可能にしている。
【0004】
図5に従来のシステム構成を示す。パソコン(コンピュータ)100には充放電制御アプリケーションソフト10とデータ取得用アプリケーションソフト20を搭載し、充放電装置200には充放電電源30と高速サンプリング装置40を備え、供試蓄電装置としての蓄電池300の充放電制御とこのときの測定データの取得を可能にする。
【0005】
パソコン100のアプリケーションソフト10と充放電装置200の充放電電源30との間の通信にはGPIB(General Purpose Intaerface Bus)でバス接続し、アプリケーションソフト10の条件設定シーケンス装置11から得る試験に必要な試験条件を測定制御部12を通して充放電電源30に伝送する。試験条件は通常複数のモードから成り、各モードは充電、放電、休止のいずれかのモードとなっている。充放電電源30は、GPIBを通して送られたコマンドに従って、蓄電池300に対して充電、放電、休止などの各モードを繰り返した充放電制御を行なう。
【0006】
充放電電源30では制御用CPU31により試験条件や充放電制御データを取得し、DAコンバータで充放電制御データをアナログ信号に変換してアナログ電子回路32に出力し、アナログ電子回路32では充放電制御信号を増幅して蓄電池300に対する充放電電流や電圧を印加する。また、この時の充放電電流や電圧はモード信号と共に高速サンプリング装置40側に転送される。高速サンプリング装置40は蓄電池300の充放電電流や充放電電圧をデータ処理用CPU41でサンプリングとAD変換で取得し、これらデータを測定データとして、時間情報などと共にパソコン100側に転送する。
【0007】
データ取得用アプリケーションソフト20ではサンプリング装置40から送られた測定データをUSB(Universal Serial Bus)を使用して取得する。この測定データは、アプリケーションソフト10では測定条件と共にデータファイル13に保存し、例えばグラフ表示部14によりグラフ描画を行なったり、さらにはデータダンプ部15によりダンプデータ表示を行なったりしてユーザーに測定データとして提供する。
【0008】
このような装置構成により、パソコン100側には電池等の充放電における様々な情報を得ることができるが、その一つとしてモードの切リ変わり目に生じる電圧の急激な変化を捉えることはその電池の内部抵抗を推定する場合などに有効である。図6に充電、放電のモードを繰り返した時の充放電電流と電圧のグラフ表示例を示す。電流値が負となっている時が充電、正となっている時が放電を行なっている時で、このモードが切り替わる時に電圧の急激な変化が起こる。
【0009】
現状ではこの電圧の急激な変化を測定するために、図5に示すように、高速サンプリング装置40を充放電装置200に搭載し、充放電電源30に得るアナログ電圧、電流と、充電、放電、休止のモード信号を高速サンプリング装置40に導入し、内部で高速AD変換を行い、タイミング信号を付加した上でUSBを通してパソコンに測定データとして送出する。パソコンではデータ取得用アプリケーションソフト20がデータ取得を行い、ファイル13によるデータ保存を行い、ファイル化されたデータはエクセル(登録商標)など汎用の表計算ソフトによる保存およびグラフ表示部14によるグラフ表示を可能としている。
【特許文献1】特開平06−215801号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
図5に示す充放電試験システムは、パソコン100と充放電装置200との間は、転送速度の遅いGPIBによる通信方式としているため、10ミリ秒のような細かい測定間隔でデータ保存することができない。このため外部装置として高速サンプリング装置40を設置している。充放電装置200からはアナログの電圧信号、電流信号、およびモード信号を供給して、モードの切り変わり目における過渡現象を高速サンプリング装置40でサンプリングしてUSBによりパソコン側にシリアルデータ転送を行なう。すなわち、パソコン100上のアプリケーションソフト10と、充放電装置200上の制御用CPU31のアプリケーションソフトとは別のアプリケーションになり、これらは個別にデータ管理を行なっている。この構成による課題は以下の通りである。
【0011】
(1)デジタル変換を行なうADコンバータは、充放電電源30用と高速サンプリング装置40用で別の素子になるため、両ADコンバータによる変換性能の違いが測定データの誤差を大きくする。
【0012】
(2)CPUボード等が充放電電源30用と高速サンプリング装置40用で二重となるため、システム全体が大きくなり、コストが高くなる。
【0013】
(3)パソコン100と充放電装置200との間は、GPIBとUSBの二つの通信ケーブルで接続するため、配線処理などが煩雑となる。
【0014】
(4)充放電電源と高速サンプリング装置が分離した基板構成となるため、特定のモード切換点を指定して過渡データを取得することが出来ない。指定できるのは過渡データを取得したいモードに限られるため、例えばモード指定を放電とした場合、全ての放電モードで過渡データを取得することになり、不要なデータも取得してしまう。
【0015】
(5)充放電電源30と高速サンプリング装置40では別アプリケーションでデータを扱うため、両データの関係性が乏しく、同一グラフ上で扱い難い。
【0016】
上記の(1)から(5)までの課題を解消するため、充放電電源30に高速なADコンバータを内蔵し、イーサネット(登録商標)のような高速通信回線を使用することで常時高速なデータサンプリングを行い、パソコン100側にデータ保存する方式が考えられる。しかし、充放電試験システムとしては、充放電試験データの取得に、長時間の充放電試験による測定データの取得と、充放電の切替え時などに発生する過渡現象の測定データの取得を必要とする場合があり、この測定時間の違いが100倍以上にもなることが多く、測定データ点数が不必要に大きくなったり、逆に測定データ点数が不足することがある。この状況についてもう少し詳細に説明する。
【0017】
一回の充電或いは放電は長時間に及ぶことがあり、サンプリング間隔が細かいとデータ点数が多くなり、ファイルの規模が大きくなってしまうため、測定時間と測定データの性質及びファイル規模を考慮してサンプリング間隔を決める。例えば、10時間の測定を1秒のサンプリング間隔で行うとデータ点数が36000点になるが、供試電池の電圧変化が10秒の間にわずかしかないような測定であれば、サンプリング間隔を10秒にすることでデータ点数を3600点に絞ることが可能となる。
【0018】
このように充放電装置ではサンプリング間隔を荒くして長時間の測定を行うことが一般的に行われているが、一方で短時間の過渡現象を細かく捉えたいという要求もある。例えば、一定電流で充電を行った後、電流の設定を0[A]にすると電圧が急激に変化を起こす。このような急激な変化は10ミリ秒のサンプリング間隔で取り込みたいというような要求がある。これを満足するために上述の例のような測定を10ミリ秒のサンプリング間隔で全て行うと3600000点という膨大なデータとなり、扱い難いファイルが出来上がってしまう。
【0019】
データ点数を抑えるために急激な変化があるところは細かくサンプリングを行い、その他のところでは荒いサンプリングを行うという方法が考えられる。しかし、この方法では以下に述べるように、充放電試験に伴う別の要求事項と相反する状況が発生する。
【0020】
上述の通り、供試電池の電圧が短時間(例えば10秒)の間にわずかしか変化しないような測定でも、測定電圧信号に外乱ノイズが侵入している場合にはデータがばらばら変化して見えることがある。これは供試電池が本来出す情報ではないため、このような不要なノイズ成分はローパスフィルタにより落としたい。ところがこのようなノイズを落とすフィルタをかけてしまうと、急激な変化があるところでは逆に捕らえたい重要な情報が正確に取り込めないことになる。
【0021】
本発明の目的は、システム構成を簡略化して、長時間にわたる充放電試験での測定データを的確に取得でき、しかも充電、放電、休止のモード切り替わり時の過渡領域の詳細なデータを的確に取得できる蓄電装置の充放電試験システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
前記の課題を解決するため、本発明は、以下のシステムを特徴とする。
【0023】
(1)供試蓄電装置に対する充電、放電、休止の各モードの試験条件設定と充放電制御信号を発生できるコンピュータと、このコンピュータから伝送される前記試験条件と充放電制御信号に従って供試蓄電装置に対して充放電電流/電力/抵抗および充放電電圧を制御する充放電装置とを備え、
前記充放電装置は充放電制御における供試蓄電装置の充放電電流/電力/抵抗および充放電電圧の検出信号をデジタルデータに変換して前記コンピュータに伝送し、該コンピュータは前記デジタルデータを取得する蓄電装置の充放電試験システムにおいて、
前記充放電装置は、前記充放電電流/電力/抵抗および充放電電圧の検出信号を高速サンプリングしてデジタルデータに変換し、このデジタルデータに対して、前記コンピュータ側で予め指定された過渡領域の近傍では予め設定された一定時間だけデジタルデータを取得し、これに並行して1回の測定開始から終了までの長時間にわたるデジタルデータは間引いて取得し、これらデジタルデータには同じタイミング情報をそれぞれ付加することで関連付けを行って前記コンピュータに高速伝送する手段を備え、
前記コンピュータは、受信した前記デジタルデータに付加された前記タイミング情報を基に、過渡領域で取得したデジタルデータと間引いて取得したデジタルデータを関連付けてデータ処理する手段を備えたことを特徴とする。
【0024】
(2)前記充放電装置は、
充放電電流/電力/抵抗および充放電電圧の検出信号を高速サンプリングしてデジタルデータに変換するADコンバータと、
前記ADコンバータで変換したデジタルデータのうち、長時間にわたるデジタルデータからノイズ成分を除去するデジタルローパスフィルタと、
前記ADコンバータで変換したデジタルデータのうち、充電、放電、休止のモード切り替わり時の過渡領域のデータを一定時間だけ取得するトランジェントレコーダと、
前記デジタルローパスフィルタで処理したデジタルデータを間引きすると共に保存データ用マーカーを付加するタイミング情報付加回路と、
前記トランジェントレコーダで取得したデータにトランジェントデータ用マーカーを付加するタイミング情報付加回路と、
前記タイミング情報付加回路でマーカーを付加したデジタルデータを前記コンピュータ側に高速伝送するLAN送受信処理部と、
を備えたことを特徴とする。
【0025】
(3)前記コンピュータは、前記過渡領域のデジタルデータを取得する期間を、検出信号が急峻に変化する前の事前時間と変化している時間に分けて設定する手段を備えたことを特徴とする。
【0026】
(4)前記コンピュータは、長時間にわたるデジタルデータ取得ではデジタルデータの保存間隔を指定する手段を備えたことを特徴とする。
【0027】
(5)前記コンピュータは、長時間にわたるデジタルデータを表示するグラフ上に、前記過渡領域のデジタルデータが埋め込まれていることを示すインディケータを表示し、このインディケータが指定されたときに当該過渡領域のデジタルデータに切り替え表示する手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
以上のとおり、本発明によれば、充放電電流/電力/抵抗および充放電電圧の検出信号を高速サンプリングしてデジタルデータに変換し、これらのデジタルデータに対してコンピュータ側で予め指定された過渡領域の近傍では予め設定された一定時間だけデジタルデータを取得し、これに並行して1回の測定開始から終了までの長時間にわたるデジタルデータは間引いて取得し、これらデジタルデータには同じタイミング情報をそれぞれ付加することで関連付けを行ってコンピュータ側に高速伝送し、コンピュータ側では伝送されたデジタルデータに付加されたタイミング情報を基にデジタルデータ間を関連付けてデータ処理するようにしたため、システム構成を簡略化して、長時間にわたる充放電試験での測定データを的確に取得でき、しかも充電、放電、休止のモード切り替わり時の過渡領域の詳細なデータを的確に取得できる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
図1は本実施形態のシステム構成図を示す。同図が図5と異なる部分は、高速サンプリング装置40からUSBを介してパソコン100側に測定データを転送する通信系を取り除き、充放電電源30の制御用CPU31には高速サンプリングとAD変換で測定データを取得できるADコンバータを搭載し、パソコン100と充放電装置200との間はデジタルデータを高速伝送できるLAN、例えば、イーサネットで結合し、このイーサネットにより、高速サンプリングした測定データをパソコン100側に転送する構成とする。
【0030】
制御用CPU31における測定データの取得機能構成は、図2に示し、長時間にわたる充放電測定データの取得と、充電、放電、休止のモード切り替わり時の過渡現象の詳細なデータの取得を可能にする。
【0031】
なお、以下の説明では充放電電流と電圧の計測データの取得制御を示すが、充放電電流に代えて充放電電力または抵抗とする場合も同様の制御になる。
【0032】
図2において、FG(ファンクションジェネレータ)51は、パソコン100側で設定される充電、放電、休止などの各モードの設定条件と充放電制御信号を取得し、設定条件によるモード切り替え制御信号と共に、充放電電流や電圧信号をDAコンバータ52でアナログ信号に変換してアナログ電子回路32に送出する。
【0033】
ADコンバータ53は、アナログ電子回路32で検出する蓄電池300に対する充放電電圧を高速サンプリング(例えば10ミリ秒の間隔)してデジタルデータに変換する。デジタルローパスフィルタ54は変換されたデジタル信号からノイズ成分を除去する。トランジェントレコーダ55は、高速サンプリングされたデジタルデータから、指定されたモードの過渡領域のデータを一定時間(例えば1分間)だけ高速サンプリング(例えば10ミリ秒間隔)でデータを取得する。
【0034】
タイミング情報付加回路56は、FG(ファンクションジェネレータ)51からのモード切替信号をタイミング情報として与えられ、デジタルローパスフィルタ54で処理したデジタル電圧データをファイルに保存する間隔で間引きすると共に保存データ用マーカーを付加する。同様に、タイミング情報付加回路57は、FG(ファンクションジェネレータ)51からモード切替信号をタイミング情報として与えられ、トランジェントレコーダ55で取得したデータにトランジェントデータ用マーカーを付加する。
【0035】
同様に、ADコンバータ58は、アナログ電子回路32で検出する蓄電池300に対する充放電電流を高速サンプリング(例えば10ミリ秒の間隔)でデジタル信号に変換し、デジタルローパスフィルタ59によるノイズ成分除去とトランジェントレコーダ60による過渡領域のデータ取得を行い、これらデータに対してタイミング情報付加回路61,62によりタイミング情報を付加する。
【0036】
イーサネット送受信処理部63は、タイミング情報付加回路56,57,61,62でタイミング情報が付加された電圧、電流データをパソコン100側に伝送する。なお、パソコン100側からの各モードの設定条件と充放電制御信号を充放電装置側に取り込むイーサネット送受信処理部の記載は省略している。
【0037】
図3は、パソコン側のアプリケーションによる充放電試験設定画面の例を示し、この画面上で充電、休止、放電のモード毎に条件を設定することができる。各モードは充電(Charge)、放電(Discharge)、休止(Rest)のいずれかのモードがステップ(Step)番号として番号で設定されている。Steptimeの欄にはそのモードを継続する時間を設定する。モード毎にトランジェントレコーダを動作させるかどうかの設定をTransient recorder欄でチェックを入れることによりでき、必要最小限のデータ取得が出来る。このデータ取得する期間を、検出信号が急峻に変化する前の事前時間と変化している時間に分けて設定することもできる。また、Sample intervalにより通常(長時間にわたるデジタルデータ取得)では測定データの保存間隔を設定することができる。これらの設定情報が充放電装置200側へ転送され、装置内の制御用CPU31で上述のデータ処理と充放電制御を行う。
【0038】
ステップ「3」を例に取ると、放電を2時間継続する設定となっており、通常の測定データは10秒の間隔でデータ保存を行い、ステップ「2」からステップ「3」に切り替わる領域でトランジェントレコーダを動作させる設定となっている。この画面の設定では休止モードに設定されたステップ「2」でもトランジェントレコーダを働かせている。このように、モードに関らず特定のモードだけ指定してトランジェントレコーダを動作させることができる。
【0039】
図4はパソコン側に取得した長時間にわたるデータとトランジェントデータのグラフ表示例を示す。通常の測定データを表示するグラフ上にはトランジエントデータが埋め込まれていることを示す「□」印のインディケータが表示されており、ユーザーはこれを指示(クリック)すると「丸」印で囲まれた部分Dのトランジェントデータを切り替え表示する機能を備える。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施形態を示す充放電試験システムの構成図。
【図2】測定データの取得機能構成図。
【図3】充放電試験設定画面の例。
【図4】測定データのグラフ表示例。
【図5】従来の充放電試験システムの構成図。
【図6】充放電電流と電圧のグラフ表示の例。
【符号の説明】
【0041】
100 パソコン(コンピュータ)
200 充放電装置
300 供試蓄電池
10 充放電制御アプリケーションソフト
20 データ取得用アプリケーションソフト
30 充放電電源
40 高速サンプリング装置
51 FG(ファンクションジェネレータ)
52 DAコンバータ
53、58 ADコンバータ
54、59 デジタルローパスフィルタ
55、60 トランジェントレコーダ
56、57、61、62 タイミング情報付加回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供試蓄電装置に対する充電、放電、休止の各モードの試験条件設定と充放電制御信号を発生できるコンピュータと、このコンピュータから伝送される前記試験条件と充放電制御信号に従って供試蓄電装置に対して充放電電流/電力/抵抗および充放電電圧を制御する充放電装置とを備え、
前記充放電装置は充放電制御における供試蓄電装置の充放電電流/電力/抵抗および充放電電圧の検出信号をデジタルデータに変換して前記コンピュータに伝送し、該コンピュータは前記デジタルデータを取得する蓄電装置の充放電試験システムにおいて、
前記充放電装置は、前記充放電電流/電力/抵抗および充放電電圧の検出信号を高速サンプリングしてデジタルデータに変換し、このデジタルデータに対して、前記コンピュータ側で予め指定された過渡領域の近傍では予め設定された一定時間だけデジタルデータを取得し、これに並行して1回の測定開始から終了までの長時間にわたるデジタルデータは間引いて取得し、これらデジタルデータには同じタイミング情報をそれぞれ付加することで関連付けを行って前記コンピュータに高速伝送する手段を備え、
前記コンピュータは、受信した前記デジタルデータに付加された前記タイミング情報を基に、過渡領域で取得したデジタルデータと間引いて取得したデジタルデータを関連付けてデータ処理する手段を備えたことを特徴とする蓄電装置の充放電試験システム。
【請求項2】
前記充放電装置は、
充放電電流/電力/抵抗および充放電電圧の検出信号を高速サンプリングしてデジタルデータに変換するADコンバータと、
前記ADコンバータで変換したデジタルデータのうち、長時間にわたるデジタルデータからノイズ成分を除去するデジタルローパスフィルタと、
前記ADコンバータで変換したデジタルデータのうち、充電、放電、休止のモード切り替わり時の過渡領域のデータを一定時間だけ取得するトランジェントレコーダと、
前記デジタルローパスフィルタで処理したデジタルデータを間引きすると共に保存データ用マーカーを付加するタイミング情報付加回路と、
前記トランジェントレコーダで取得したデータにトランジェントデータ用マーカーを付加するタイミング情報付加回路と、
前記タイミング情報付加回路でマーカーを付加したデジタルデータを前記コンピュータ側に高速伝送するLAN送受信処理部と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の蓄電装置の充放電試験システム。
【請求項3】
前記コンピュータは、前記過渡領域のデジタルデータを取得する期間を、検出信号が急峻に変化する前の事前時間と変化している時間に分けて設定する手段を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の蓄電装置の充放電試験システム。
【請求項4】
前記コンピュータは、長時間にわたるデジタルデータ取得ではデジタルデータの保存間隔を指定する手段を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の蓄電装置の充放電試験システム。
【請求項5】
前記コンピュータは、長時間にわたるデジタルデータを表示するグラフ上に、前記過渡領域のデジタルデータが埋め込まれていることを示すインディケータを表示し、このインディケータが指定されたときに当該過渡領域のデジタルデータに切り替え表示する手段を備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の蓄電装置の充放電試験システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−112771(P2010−112771A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−283824(P2008−283824)
【出願日】平成20年11月5日(2008.11.5)
【出願人】(000006105)株式会社明電舎 (1,739)
【出願人】(591031212)北斗電工株式会社 (20)
【Fターム(参考)】