説明

蓄電装置

【課題】作業負担、作業リスクを削減し、蓄電装置に対する電池ユニットの取り外しおよび取り付けを簡便かつ安全に達成する蓄電装置を提供すること。
【解決手段】電池ユニット70を収容するための電池ユニット収容部53および取付対象物51を有した収容構造体50と、取付対象物51に取り付けられた複数のコネクタ10と、複数のコネクタ10間を接続するブスバー54及び/又は給電線54’とを備え、複数のコネクタ10は、取付対象物51の電池ユニット収容部53側に取り付けられ、ブスバー54及び/又は前記給電線54’は、電池ユニット収容部53側で隣接した複数のコネクタ10間を接続している蓄電装置1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図11に示すように、入出力端子170aを有する複数の電池ユニット170と、複数の電池ユニット170間を接続するブスバー154と、入出力端子170aに装着されブスバー154を電池ユニット170に固定するナット180とを備える装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−257516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1の装置では、電池ユニット170の修理や交換等、装置に対する電池ユニット170の取り外しおよび取り付けを行う必要が生じた際には、その都度、ブスバー154およびナット180の取り外しおよび取り付け作業を行わなければならず、電池ユニット170の取り外しおよび取り付けに係る、時間コスト、ネジ固定ミス等の作業負担、作業リスクが大きいという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、従来の問題を解決するものであって、すなわち、本発明の目的は、作業負担、作業リスクを削減し、蓄電装置に対する電池ユニットの取り外しおよび取り付けを簡便かつ安全に達成する蓄電装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の蓄電装置は、電池ユニットを収容するための電池ユニット収容部および取付対象物を有した収容構造体と、前記取付対象物に取り付けられた複数のコネクタと、前記複数のコネクタ間を接続するブスバー及び/又は給電線とを備え、前記複数のコネクタは、前記取付対象物の前記電池ユニット収容部側に取り付けられ、前記ブスバー及び/又は前記給電線は、前記電池ユニット収容部側で隣接した前記複数のコネクタ間を接続していることにより、前述した課題を解決したものである。
【0007】
前記複数のコネクタは、前記ブスバー及び/又は前記給電線により直列に接続されていてもよい。
【0008】
前記複数のコネクタは、前記ブスバー及び/又は前記給電線により並列に接続されていてもよい。
【0009】
前記複数のコネクタは、前記ブスバー及び/又は前記給電線により直列および並列を組み合わせて接続されていてもよい。
【0010】
前記収容構造体は、区画された複数の前記電池ユニット収容部と、前記複数の電池ユニット収容部を区画するフレームとを有していてもよい。
【0011】
前記収容構造体は、格子状に区画された複数の前記電池ユニット収容部を有し、前記コネクタは、前記複数の電池ユニット収容部ごとに配置されていてもよい。
【0012】
前記コネクタは、ハウジングと、前記ハウジングにより保持される少なくとも一対の電源用コンタクトとをそれぞれ有し、前記電源用コンタクトは、前記電池ユニット収容部に収容される電池ユニットに接触する接触部と、前記ブスバー及び/又は前記給電線に接続される接続部とを一体に有し、前記コネクタの前記一対の電源用コンタクトには、それぞれ異なる前記ブスバー及び/又は前記給電線が接続されていてもよい。
【0013】
前記電源用コンタクトの前記接触部は、ピン形状またはソケット形状を有していてもよい。
【0014】
前記接触部は、前記接続部に対してほぼ垂直に形成されていてもよい。
【0015】
前記コネクタは、信号用コンタクトをそれぞれ有し、前記信号用コンタクト間を接続する信号線を備えていてもよい。
【0016】
前記信号用コンタクトは、前記コネクタごとに複数配置され、前記コネクタごとの複数の前記信号用コンタクトは、格子状に配置されていてもよい。
【0017】
前記信号線は、前記複数のコネクタを直列に接続していてもよい。
【0018】
前記電源用コンタクトおよび前記ブスバー及び/又は前記給電線は、相互に重なり合って配置される孔をそれぞれ有し、前記電源用コンタクトの前記孔と前記ブスバー及び/又は前記給電線の前記孔とに共通して挿通され前記電源用コンタクトと前記ブスバー及び/又は前記給電線とを接続する接続部材を備えていてもよい。
【0019】
前記電源用コンタクトおよび前記ハウジングは、相互に重なり合って配置される孔をそれぞれ有し、前記電源用コンタクトの前記孔と前記ハウジングの前記孔とに共通して挿通され前記電源用コンタクトおよび前記ハウジングを前記取付対象物に取り付ける接続部材を備えていてもよい。
【0020】
前記コネクタ、前記電源用コンタクト、前記ブスバー及び/又は前記給電線の少なくとも1つは、前記電池ユニット収容部側から取り付けおよび取り外し可能に設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明では、電池ユニットを収容する収容構造体に対して複数のコネクタと複数のコネクタ間を接続するブスバー及び/又は給電線とを予め設置することにより、収容構造体に対して電池ユニットを挿入した状態では複数の電池ユニットがコネクタおよびブスバー及び/又は給電線により相互に接続され、収容構造体に対する電池ユニットの挿抜作業のみで、蓄電装置に対する電池ユニットの取り外しおよび取り付けを達成することが可能であるため、作業負担、作業リスクを削減し、蓄電装置に対する電池ユニットの取り外しおよび取り付けを簡便かつ安全に達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施例である蓄電装置の使用態様図である。
【図2】図1の一部を拡大して示す斜視図である。
【図3】コネクタと電池側コネクタと電池側ブスバーとを示す斜視図である。
【図4】コネクタを示す斜視図である。
【図5】コネクタを分解して示す斜視図である。
【図6】コネクタと取付パネルとを断面視して電源用コンタクトの挿入脱着方法を示す説明図である。
【図7】コネクタ配置およびブスバーによるコネクタ間の接続態様を示す説明図である。
【図8】コネクタ配置およびブスバーによるコネクタ間の接続態様の比較例を示す説明図である。
【図9】給電線を示す斜視図である。
【図10】各コネクタを並列に接続した実施形態を示す説明図である。
【図11】従来技術を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施例である蓄電装置を図面に基づいて説明する。
【0024】
なお、以下の説明では、コネクタに対して電池側コネクタを挿入する方向を第1方向(挿入方向)X、ハウジングに対する電源用コンタクトの挿抜方向(および、ハウジングに対する一対の電源用コンタクトの並列配置方向)を第2方向Y、第1方向Xおよび第2方向Yに直交する方向を第3方向Zとして規定する。なお、以下に示す実施例では、第1方向Xに対して第2方向Yが直交するものとして説明するが、第2方向Yが第1方向Xに直交しないものとして構成してもよい。また、以下に示す実施例では、収容ラックに対してコネクタを取り付けた状態で、第2方向Yが水平方向に一致し、第3方向Zが鉛直方向に一致しているが、実施態様はこれに限定されない。
【実施例】
【0025】
蓄電装置1は、図1に示すように、複数のコネクタ10と、複数のコネクタ10間を接続するブスバー54と、複数のコネクタ10が取り付けられる取付パネル(取付対象物)51および電池ユニット収容部53を区画するフレーム52を有した収容ラック(収容構造体)50とを備え、電池ユニット収容部53に対して挿入された電池ユニット70をフレーム52により支持し、複数の電池ユニット70間をコネクタ10およびブスバー54により接続するものである。
なお、図1に示す実施例では、収容ラック50に対して電池ユニット70が水平方向に挿入されるように構成されているが、収容ラック50に対する電池ユニット70の挿入方向はこれに限定されず、例えば、鉛直方向の上方から下方に向けて収容ラック50に対して電池ユニット70が挿入されるように構成してもよく、この場合、コネクタ10を設置する取付パネル51を収容ラック50の底面側に配置すればよい。
【0026】
コネクタ10は、電源供給および信号供給用コネクタであり、図1乃至図3に示すように、収容ラック50の取付パネル51に取り付けられ、電池ユニット70を収容ラック50に対して挿入した際に、電池ユニット70に取り付けられた電池側コネクタ60に嵌合するものである。
【0027】
各コネクタ10は、図4や図5に示すように、収容ラック50の取付パネル51に背面側を固定されるハウジング20と、ハウジング20により保持される一対の電源用コンタクト30と、ハウジング20に取り付けられ信号用コンタクト(図示しない)を保持する信号用ハウジング40と、ハウジング20に取り付けられるナット41と、ハウジング20に取り付けられるガスケット42と、ハウジング20に取り付けられるスペーサ部材43と、図2に示すように、ハウジング20を取付パネル51に固定する第1のボルト44と、ハウジング20および電源用コンタクト30およびブスバー54を取付パネル51に固定する第2のボルト45とを備えている。
【0028】
ハウジング20は、図4乃至図6に示すように、収容ラック50の取付パネル51に固定される取付ベース部21と、取付ベース部21より正面側に配置される嵌合部22と、第1方向Xに沿って嵌通形成され信号用ハウジング40を保持する信号用ハウジング保持部25とを有している。
【0029】
取付ベース部21は、図4や図5に示すように、第1方向Xに見た場合に、収容枠部22a(嵌合部22)の外側に位置する部分を有し、当該部分に、第1のボルト44を嵌通させる第1のボルト孔21aと、第2のボルト45を嵌通させる第2のボルト孔21bと、ハウジング20に対する電源用コンタクト30の着脱時に電源用コンタクト30の第2部分32をガイドするガイド部21cとを有している。
【0030】
嵌合部22は、図4に示すように、収容枠部22aおよび底部22bと、収容枠部22aおよび底部22bにより規定されハウジング20の正面側に開口し電池側コネクタ60を正面側から挿入させて収容する収容空間22cと、底部22bに形成されスペーサ部材43を保持するスペーサ保持部22dと、収容枠部22aの内側壁に形成され電池側コネクタ60をガイドするガイド部22eと、第1方向Xに対向する取付ベース部21の一部分と協働して電源用コンタクト30の第2部分32の第1方向Xにおける移動を規制する移動規制部22fとを有している。
【0031】
ハウジング20は、図6に示すように、第1方向Xに沿って嵌合部22の底部22bに貫通形成された貫通孔23と、取付ベース部21と嵌合部22との間に形成され、貫通孔23の背面側の端部からハウジング20の側面側に向けて形成され貫通孔23に連通するとともにハウジング20の側面側で外部に開口する配置空間24とを更に有している。
【0032】
貫通孔23および配置空間24は、第1部分31を先頭にして電源用コンタクト30をハウジング20の側面から配置空間24を通してハウジング20内に挿入することで、電源用コンタクト30をハウジング20内の所定位置に配置させることが可能な大きさ、位置、形状を有している。
【0033】
電源用コンタクト30は、コネクタ10と電池側コネクタ60との嵌合時に、電池側コネクタ60の電池側コンタクト(図示しない)に電気的に接続されるものである。電源用コンタクト30は、図4に示すように、ハウジング20に対して、第2方向Yに並列して2つずつ配置されている。収容ラック50に対して複数取り付けられたコネクタ10の各電源用コンタクト30は、図1や図7に示すように、ブスバー54により相互に接続されており、結果として、各コネクタ10は、ブスバー54により直列に接続されている。
各電源用コンタクト30は、信号用コンタクト(図示しない)から絶縁された状態で配置されている。
【0034】
電源用コンタクト30は、導電性金属(タフピッチ銅、純度99%程度の銅)から形成され、それぞれ同一形状を有している。電源用コンタクト30は、純銅の導電率を100%とすると50%以上の導電率を有する。電源用コンタクト30は、金属板を所定形状に打抜き加工した後に所定箇所に曲げ加工を施すことにより形成され、平面上に展開した場合に重複する部分の無い形状を有している。
【0035】
電源用コンタクト30は、図4や図5に示すように、平板状に形成された第2部分32と、第2部分32の長手方向の中央において第2部分32に対して垂直(ほぼ垂直も含む)に立設した平板状の第1部分31とを一体に有している。
【0036】
電源用コンタクト30の第1部分31は、図4や図6に示すように、第1方向Xに沿って延在し、電源用コンタクト30をハウジング20に対して組み付けた状態で、一部が貫通孔23内に配置されるとともに、一部が収容空間22c内に配置されている。収容空間22c内に位置する第1部分31は、電池側コネクタ60の電池側コンタクト(図示しない)に接触する接触部として機能する。本実施例では、電源用コンタクト30がピンコンタクトとして構成され、第1部分(接触部)31がピン形状で形成されているが、第1部分(接触部)31をソケット形状で形成してもよい。
【0037】
電源用コンタクト30の第2部分32は、図4や図6に示すように、電源用コンタクト30をハウジング20に対して組み付けた状態で、一部が配置空間24内に配置されている。第2部分32は、第1方向Xに見た場合に、収容枠部22a(嵌合部22)より外側に第3方向Zの両側に向けて突出する部分を有し、当該部分に、第2のボルト45を嵌挿させるボルト孔32aを有している。ボルト孔32aは、図4に示すように、第3方向Zにおける第2部分32の両端にそれぞれ形成され、電源用コンタクト30をハウジング20に対して組み付けた状態で、取付ベース部21に形成された第2のボルト孔21bに第1方向Xに重なる位置に形成されている。この電源用コンタクト30の第2部分32が、ブスバー54との接続部として機能する。
【0038】
信号用ハウジング40は、ハウジング20に形成された信号用ハウジング保持部25に対して、ハウジング20の背面側から挿入され、信号用ハウジング40に形成された取付バネ部40aにより、ハウジング20に対して係止されている。信号用ハウジング40は、図4に示すように、一部がハウジング20の収容空間22c内に位置している。なお、図2に示す符号55は、各コネクタ10の信号用コンタクト(図示しない)間を直列に接続し、複数のコネクタ10を直列に接続する信号線(電線)である。
信号用ハウジング40は、各コネクタ10ごとに2つずつ配置されている。信号用コンタクト(図示しない)は、コネクタ10ごと(信号用ハウジング40ごと)に複数配置されている。コネクタ10ごと(信号用ハウジング40ごと)の複数の信号用コンタクト(図示しない)は、相互に絶縁された状態で、格子状に配置されている。
【0039】
スペーサ部材43は、外周面に溝を有するスプリングピンとして構成され、図4や図5に示すように、ハウジング20のスペーサ保持部22dに対してハウジング20の正面側から着脱可能に取り付けられ、貫通孔23の縁部に対して電源用コンタクト30の第1部分31を第2方向Yに向けて押し当てており、これにより、貫通孔23と第1部分31との間のガタつきが防止される。
【0040】
第1のボルト44は、図2に示すように、ハウジング20に形成された第1のボルト孔21aと、取付パネル51に形成されたボルト孔(図示しない)とに対して、ハウジング20の正面側から嵌通され、ハウジング20を取付パネル51に固定する。
【0041】
第2のボルト(接続部材)45は、図2に示すように、ハウジング20に形成された第2のボルト孔21bと、電源用コンタクト30の第2部分32に形成されたボルト孔32aと、ブスバー54に形成されたボルト孔(図示しない)と、取付パネル51に形成されたボルト孔(図示しない)とに対して、ハウジング20の正面側から嵌挿され、ハウジング20および電源用コンタクト30およびブスバー54を取付パネル51に固定し、ブスバー54と電源用コンタクト30とを接続する。
なお、取付パネル51に対するハウジング20、電源用コンタクト30、ブスバー54の具体的な固定態様は上記に限定されず、例えば、取付パネル51に圧入されるピン(接続部材)により、ハウジング20および電源用コンタクト30およびブスバー54を取付パネル51に対して固定してもよい。また、ナットを用いて第2のボルト(接続部材)45を固定してもよく、また、ナットやボルト孔が不要なタッピンネジ(接続部材)を用いてもよい。さらに、必要に応じてスプリングワッシャを介在させてもよい。
【0042】
収容ラック50は、図1や図2に示すように、複数のコネクタ10が取り付けられる取付パネル51と、電池ユニット70を収容する複数の電池ユニット収容部53を区画するフレーム52とを有している。電池ユニット70は、収容ラック50に対する挿入時に、収容ラック50のフレーム52によりガイドされ、収容ラック50に対する収容時には、収容ラック50のフレーム52により支持される。
【0043】
電池側コネクタ60は、電池ユニット70のケーシング71に取り付けられ、電池ユニット70を収容ラック50に挿入した際に、収容ラック50に取り付けられたコネクタ10に嵌合し、電池ユニット70に内蔵されバッテリ(2次電池)72に接続された電池側ブスバー73と、電源用コンタクト30との間を電気的に接続するものである。電池側コネクタ60は、図3に示すように、少なくとも第2方向Yに移動可能な状態でケーシング71に取り付けられる第1の電池側ハウジング61と、第1の電池側ハウジング61に対して相対的に第2方向Yに移動可能に取り付けられた第2の電池側ハウジング62と、第1の電池側ハウジング61および第2の電池側ハウジング62により構成されたコンタクト収容部(図示しない)に収容される電源供給用の電池側コンタクト(図示しない)とを備えている。
【0044】
つぎに、電源用コンタクト30の交換方法について、以下に説明する。
【0045】
ここで、電源供給用として用いられるコネクタ10では、大電流を流すことによる発熱等に起因して電源用コンタクト30に損傷が生じ、電源用コンタクト30の途中交換を必要とする場合があり、コネクタ10では、以下の手順により、電源用コンタクト30の交換を行う。
【0046】
まず、第1のボルト44を取り外すことなくハウジング20と取付パネル51とを固定したままの状態で、ハウジング20および電源用コンタクト30およびブスバー54を取付パネル51に固定する第2のボルト45を、ハウジング20の正面側から取り外す(第1の手順)。
【0047】
次に、ハウジング20からスペーサ部材43を、ハウジング20の正面側から取り外す(第2の手順)。なお、第1の手順と第2の手順の順番は、上記の逆でもよい。
【0048】
ここで、第1の手順および第2の手順の後の状態では、電源用コンタクト30は、第1部分31を、貫通孔23の縁部により第2方向Yおよび第3方向Zに移動規制され、第2部分32を、取付ベース部21および移動規制部22fにより第1方向Xに移動規制され、結果としてハウジング20により遊嵌状に保持され、ハウジング20から脱落することはない。
【0049】
次に、図6に示すように、ハウジング20に対して電源用コンタクト30を第2方向Yの外側に向けてスライドさせることにより、貫通孔23から電源用コンタクト30の第1部分31を抜き出すと同時に配置空間24から電源用コンタクト30の第2部分32を抜き出し、ハウジング20の側面で外部に開口する配置空間24から電源用コンタクト30を取り外す(第3の手順)。
【0050】
次に、新たな電源用コンタクト30を、第1部分31を先頭にして配置空間24からハウジング20内に挿入することで、電源用コンタクト30をハウジング20内の所定位置に配置する(第4の手順)。
【0051】
ここで、第4の手順の後の状態では、電源用コンタクト30は、第1部分31を、貫通孔23の縁部により第2方向Yおよび第3方向Zに移動規制され、第2部分32を、取付ベース部21および移動規制部22fにより第1方向Xに移動規制され、結果としてハウジング20により遊嵌状に保持され、ハウジング20から脱落することはない。
【0052】
次に、第2のボルト45を用いて、ハウジング20および電源用コンタクト30およびブスバー54を取付パネル51に固定する(第5の手順)。
【0053】
最後に、スペーサ部材43をハウジング20に形成されたスペーサ保持部22dに取り付ける(第6の手順)。なお、第5の手順と第6の手順の順番は、上記の逆でもよい。
【0054】
つぎに、収容ラック50に対するコネクタ10の配置態様、および、ブスバー54によるコネクタ10間の接続態様について、本実施例の実施態様を示す図7、および、比較例の実施態様を示す図8に基づいて、以下に説明する。
【0055】
まず、本実施例では、図7に示すように、第1方向Xに見た場合に、電池ユニット収容部53が、3行×4列(第2方向Y×第3方向Z)の格子状に区画され、また、これに伴い、各コネクタ10が、取付パネル51に対して3行×4列(第2方向Y×第3方向Z)の格子状に取り付けられている。なお、具体的な行数および列数は、上記に限定されない。
【0056】
また、電池ユニット70と電池ユニット収容部53との組み合わせが限定されないことを目的に、すなわち、どの電池ユニット70をどの電池ユニット収容部53に収容してもよいように、全ての電池ユニット収容部53、および、全てのコネクタ10、および、全ての電池ユニット70は、同一に構成されている。
【0057】
また、前述したように、各コネクタ10が、ブスバー54により直列に接続されている。
【0058】
したがって、ブスバー54を用いて各コネクタ10を直列に接続する場合、図7(または図8)に示すように、上方に位置するコネクタ10の右側(または左側)の電源用コンタクト30と、下方に位置するコネクタ10の左側(または右側)の電源用コンタクト30とを、ブスバー54により斜めに接続することにより、第3方向Zに並列した複数のコネクタ10を接続し、また、第2方向Yに沿って配置されるブスバー54により、第2方向Yに隣接するコネクタ10を接続することになる。
【0059】
ここで、第3方向Zにおける各電池ユニット収容部53の寸法M、および、第2方向Yにおける各電池ユニット収容部53の寸法Lは、電池ユニット70の第2方向Yの寸法および第3方向Zの寸法に応じて決定される。そのため、比較例の図8に示すように、ボルト孔32aを各電源用コンタクト30に1箇所ずつ設けた場合、第3方向Zにコネクタ10を接続するブスバー54(54A)の寸法と、第2方向Yにコネクタ10を接続するブスバー54(54B)の寸法関係を調整するのが難しく、2種類の寸法のブスバーを必要とすることになる。
【0060】
そこで、本実施例では、図7に示すように、各電源用コンタクト30にボルト孔32aを2箇所ずつ設け、当該2箇所のボルト孔32aを第3方向Zに並列させることにより、第3方向Zにコネクタ10を接続するブスバー54(54A)の必要寸法を調節し、第3方向Zにコネクタ10を接続するブスバー54(54A)の寸法と、第2方向Yにコネクタ10を接続するブスバー54(54B)の寸法を同一にしている。
【0061】
なお、上記では、各コネクタ10を接続する部材としてブスバー54を用いた実施形態を説明したが、一部または全部のブスバー54の代わりに、図9に示すような給電線54’を用いてもよく、この給電線54’の両端には、第2のボルト45を挿通させる孔54b’を有した端子54a’が接続されている。
【0062】
また、上記では、各コネクタ10が、ブスバー54(及び/又は給電線54’)により直列に接続されているものとして説明したが、図10に示すように、ブスバー54(及び/又は給電線54’)により、各コネクタ10を並列に接続してもよい。
さらに、ブスバー54(及び/又は給電線54’)により、各コネクタ10を直列および並列を組み合わせて接続してもよい。
【0063】
このようにして得られた本発明では、電池ユニット70を収容する収容ラック50に対して複数のコネクタ10と複数のコネクタ10間を接続するブスバー54及び/又は給電線54’とを予め設置することにより、収容ラック50に対して電池ユニット70を挿入した状態では複数の電池ユニット70がコネクタ10およびブスバー54及び/又は給電線54’により相互に接続され、収容ラック50に対する電池ユニット70の挿抜作業のみで、蓄電装置1に対する電池ユニット70の取り外しおよび取り付けを達成することが可能であるため、作業負担、作業リスクを削減し、蓄電装置1に対する電池ユニット70の取り外しおよび取り付けを簡便かつ安全に達成できる。
【0064】
また、電池ユニット収容部53側からコネクタ10に嵌挿される第1のボルト44および第2のボルト45を用いて、電池ユニット収容部53側からコネクタ10が取付パネル51に対して取り付けられていることにより、作業スペースを確保しやすい電池ユニット収容部53側からコネクタ10の取り付けおよび取り外しを簡便に達成できる。
【0065】
また、電池ユニット収容部53側からブスバー54及び/又は給電線54’に嵌挿される第2のボルト45を用いて、電池ユニット収容部53側からブスバー54及び/又は給電線54’がコネクタ10および取付パネル51に対して取り付けられていることにより、作業スペースを確保しやすい電池ユニット収容部53側からブスバー54及び/又は給電線54’の取り付けおよび取り外しを簡便に達成できる。
【0066】
また、ハウジング20の側面側から電源用コンタクト30を挿抜することが可能であるようにコネクタ10を構成することにより、電池側コネクタ60との嵌合部22が配置されたハウジング20の正面側から電源用コンタクト30の挿抜作業を行うことが可能であるため、作業スペースを確保しやすく、コネクタ10を取付パネル51に取り付けた状態で電源用コンタクト30の交換作業を簡便に達成でき、また、取付パネル51の背面側に作業スペースを確保する必要がなく、装置の省スペース化を実現できる。
【符号の説明】
【0067】
1 ・・・ 蓄電装置
10 ・・・ コネクタ
20 ・・・ ハウジング
21 ・・・ 取付ベース部
21a ・・・ 第1のボルト孔
21b ・・・ 第2のボルト孔
21c ・・・ ガイド部
22 ・・・ 嵌合部
22a ・・・ 収容枠部
22b ・・・ 底部
22c ・・・ 収容空間
22d ・・・ スペーサ保持部
22e ・・・ ガイド部
22f ・・・ 移動規制部
23 ・・・ 貫通孔
24 ・・・ 配置空間
25 ・・・ 信号用ハウジング保持部
30 ・・・ 電源用コンタクト
31 ・・・ 第1部分(接触部)
32 ・・・ 第2部分(接続部)
32a ・・・ ボルト孔
40 ・・・ 信号用ハウジング
40a ・・・ 取付バネ部
41 ・・・ ナット
42 ・・・ ガスケット
43 ・・・ スペーサ部材
44 ・・・ 第1のボルト
45 ・・・ 第2のボルト(接続部材)
50 ・・・ 収容ラック(収容構造体)
51 ・・・ 取付パネル(取付対象物)
52 ・・・ フレーム
53 ・・・ 電池ユニット収容部
54 ・・・ ブスバー
54’ ・・・ 給電線
54a’ ・・・ 端子
54b’ ・・・ 孔
55 ・・・ 信号線
60 ・・・ 電池側コネクタ
61 ・・・ 第1の電池側ハウジング
62 ・・・ 第2の電池側ハウジング
70 ・・・ 電池ユニット
71 ・・・ ケーシング
72 ・・・ バッテリ
73 ・・・ 電池側ブスバー
X ・・・ 第1方向
Y ・・・ 第2方向
Z ・・・ 第3方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池ユニットを収容するための電池ユニット収容部および取付対象物を有した収容構造体と、前記取付対象物に取り付けられた複数のコネクタと、前記複数のコネクタ間を接続するブスバー及び/又は給電線とを備え、
前記複数のコネクタは、前記取付対象物の前記電池ユニット収容部側に取り付けられ、
前記ブスバー及び/又は前記給電線は、前記電池ユニット収容部側で隣接した前記複数のコネクタ間を接続していることを特徴とする蓄電装置。
【請求項2】
前記複数のコネクタは、前記ブスバー及び/又は前記給電線により直列に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記複数のコネクタは、前記ブスバー及び/又は前記給電線により並列に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記複数のコネクタは、前記ブスバー及び/又は前記給電線により直列および並列を組み合わせて接続されていることを特徴とする請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項5】
前記収容構造体は、区画された複数の前記電池ユニット収容部と、前記複数の電池ユニット収容部を区画するフレームとを有していることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の蓄電装置。
【請求項6】
前記収容構造体は、格子状に区画された複数の前記電池ユニット収容部を有し、
前記コネクタは、前記複数の電池ユニット収容部ごとに配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の蓄電装置。
【請求項7】
前記コネクタは、ハウジングと、前記ハウジングにより保持される少なくとも一対の電源用コンタクトとをそれぞれ有し、
前記電源用コンタクトは、前記電池ユニット収容部に収容される電池ユニットに接触する接触部と、前記ブスバー及び/又は前記給電線に接続される接続部とを一体に有し、
前記コネクタの前記一対の電源用コンタクトには、それぞれ異なる前記ブスバー及び/又は前記給電線が接続されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の蓄電装置。
【請求項8】
前記電源用コンタクトの前記接触部は、ピン形状またはソケット形状を有していることを特徴とする請求項7に記載の蓄電装置。
【請求項9】
前記接触部は、前記接続部に対してほぼ垂直に形成されていることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の蓄電装置。
【請求項10】
前記コネクタは、信号用コンタクトをそれぞれ有し、
前記信号用コンタクト間を接続する信号線を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の蓄電装置。
【請求項11】
前記信号用コンタクトは、前記コネクタごとに複数配置され、
前記コネクタごとの複数の前記信号用コンタクトは、格子状に配置されていることを特徴とする請求項10に記載の蓄電装置。
【請求項12】
前記信号線は、前記複数のコネクタを直列に接続していることを特徴とする請求項10または請求項11に記載の蓄電装置。
【請求項13】
前記電源用コンタクトおよび前記ブスバー及び/又は前記給電線は、相互に重なり合って配置される孔をそれぞれ有し、
前記電源用コンタクトの前記孔と前記ブスバー及び/又は前記給電線の前記孔とに共通して挿通され前記電源用コンタクトと前記ブスバー及び/又は前記給電線とを接続する接続部材を備えていることを特徴とする請求項7乃至請求項12のいずれか1項に記載の蓄電装置。
【請求項14】
前記電源用コンタクトおよび前記ハウジングは、相互に重なり合って配置される孔をそれぞれ有し、
前記電源用コンタクトの前記孔と前記ハウジングの前記孔とに共通して挿通され前記電源用コンタクトおよび前記ハウジングを前記取付対象物に取り付ける接続部材を備えていることを特徴とする請求項7乃至請求項13のいずれか1項に記載の蓄電装置。
【請求項15】
前記コネクタ、前記電源用コンタクト、前記ブスバー及び/又は前記給電線の少なくとも1つは、前記電池ユニット収容部側から取り付けおよび取り外し可能に設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項14のいずれか1項に記載の蓄電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−65445(P2013−65445A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−203126(P2011−203126)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【特許番号】特許第5145452号(P5145452)
【特許公報発行日】平成25年2月20日(2013.2.20)
【出願人】(000231073)日本航空電子工業株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】