説明

蓋付容器へのシール用樹脂フィルム巻回装置

【課題】 製造コストを削減し、作業効率をよくするとともに、蓋付容器への熱的な影響を回避できる薄肉のシール用樹脂フィルムの巻回を実現できる蓋付容器へのシール用樹脂フィルム巻回装置を提供する。
【解決手段】 蓋付容器2を位置決めして間欠前進させる搬送手段10と、熱溶断刃とその両側に熱融着面を備えたフィルム溶断・融着手段20と、フィルム溶断・融着手段20を搬送方向の交差方向に進退させる第1進退機構30と、フィルム6を挟着するピンチロールと、該フィルムに張力を付与するテンション付与ロールを備えたフィルム挟着・張力付与手段40と、フィルム挟着・張力付与手段40を搬送方向の交差方向に進退させる第2進退機構50と、フィルム巻回体からフィルム6を繰り出す一対の繰り出しリール60と、繰り出されたフィルム6をフィルム挟着・張力付与手段40に導く方向転換系70とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋付容器へのシール用樹脂フィルム巻回装置に係り、より詳しくは、蓋が外嵌されている蓋付容器の蓋および容器本体上端部の外周、または蓋が内嵌されている蓋付容器の容器本体上端部の外周にシール用樹脂フィルムを巻回する蓋付容器へのシール用樹脂フィルム巻回装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、樹脂製の熱収縮性シートによって、天板部と、その周縁から垂下するスカート部とを有する形状のシュリンク蓋を成形し、このシュリンク蓋を開口部の周縁にフランジ部を有する容器に被せたのち、スカート部を熱収縮させてフランジ部の下部に巻き込ませて取付ける技術が提案されている(特許文献1)。
【0003】
前記特許文献1に記載されているシュリンク蓋は、樹脂製の熱収縮性シートに、圧空成形、真空成形もしくはプレス成形などによって、天板部の周縁からスカート部が垂下した形状を付与したのち、輪郭形状に沿って打ち抜くことによって得られる。
【0004】
一方、味噌などの食料品を封入した容器本体の上端開口部に蓋体を被せただけの状態で店頭に陳列して販売する形態が存在する。このような販売形態では、蓋体を開いて内部の商品を確認することが可能であるといった購入者にとって有利な点を有する反面、第三者の悪意により商品に異物を混入して施蓋されるおそれを有している。そこで、前記圧空成形、真空成形もしくはプレス成形などによって有段筒状のシール基体を成形し、このシール基体を蓋付容器の容器本体上端部の外周に外嵌し、適当な加熱手段によって前記シール基体を所定温度に加熱して熱収縮させることにより、蓋体の上面周縁部と外周面および容器本体における蓋体近傍の外周面などに密着させたシーリング状態で店頭に陳列して販売する形態であれば、購入者はシーリングが破られているか否かを確認し、シーリングが破られていなければ、容器本体に封入されている味噌などの食料品に異物が混入されておらず安全であると判断し、安心して購入することができるといえる。
【0005】
すなわち、図27に示すように、厚さ40μm〜60μmの比較的厚肉の例えば単層または多層樹脂フィルムによって有段筒状のシール基体100を成形し、つぎに、図28に示すように、上端を開口101aした容器本体101と、この容器本体101の上端部に外嵌されて開口101aを着脱可能に塞ぐ蓋体102とを備えて、容器本体101の内部に食料品などの内容物(図示省略)を封入してなる樹脂製の蓋付容器103を用意して、該蓋付容器103にシール基体100を上から被嵌して仮止めしたのち、適当な加熱手段によってシール基体100を約100℃〜約190℃に加熱することにより、図29に示すように、シール基体100を熱収縮させて蓋体102の上面周縁部と外周面および容器本体101における蓋体102近傍の外周面などに密着させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−337898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、前記特許文献1に記載の技術を適用した蓋付容器のシーリングでは、まず、有段筒状のシール基体100を成形するための圧空成形、真空成形もしくはプレス成形などの成形工程が必要であるとともに、シール基体100自体が比較的厚肉であるため、1シーリング当たりの材料費が高く付くことなどによって製造コストが高くなる。また、手作業あるいは自動化によって、蓋付容器103の上から前記シール基体100を適正に被せる被嵌工程を必要とするため作業効率が悪い。しかも、比較的厚肉のシール基体100は熱容量が大きいので所定温度(約100℃〜約190℃)に加熱されて熱収縮した後の温度降下率が低い。したがって、シール基体100の加熱温度が蓋付容器103に影響して、その蓋体102や容器本体101の被シーリング部位を熱変形させるおそれがあり、熱変形が生じると、蓋付容器103の使用時において、容器本体101に対する蓋体102の着脱が困難となるなどの問題点を有している。
【0008】
本発明は、このような問題を解決するものであって、その目的とするところは、製造コストを削減し、作業効率をよくするとともに、蓋付容器への熱的な影響を回避できる薄肉のシール用樹脂フィルムの巻回を実現できる蓋付容器へのシール用樹脂フィルム巻回装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明に係る蓋付容器へのシール用樹脂フィルム巻回装置は、 上端に開口部を設けた容器本体と該容器本体の上端部に嵌合されて前記開口部を着脱可能に塞ぐ蓋体とを備えた蓋付容器を、所定の高さで所定の間隔を隔てて位置決めして所定の移動量で搬送方向に搬送基準線に沿って間欠前進させる搬送手段と、
この搬送手段の搬送方向に交差し、かつ前記蓋付容器の上端部および上端面の上側近傍を含む高さ領域に対応して配置されるとともに、前記搬送基準線を含んで仮想水平面に直交して立ち上がる仮想立面を所定位置で両側から挟む挟着部を有し、該挟着部は搬送方向の中心部に熱溶断刃を備え、該熱溶断刃の搬送方向上流側と搬送方向下流側との両側に隣接する熱融着面を備えたシール用樹脂フィルム溶断・融着手段と、
このシール用樹脂フィルム溶断・融着手段を互いに前進させて熱溶断刃の互いの当接によりシール用樹脂フィルムを溶断し、かつ前記熱融着面の互いの接近によりシール用樹脂フィルムを融着させるとともに、シール用樹脂フィルム融着・溶断手段を互いに後退させて前記挟着部を前記蓋付容器の通過を許容する間隔を隔てて離間させる第1進退機構と、
前記シール用樹脂フィルム溶断・融着手段の前記搬送方向の上流側または上流側と下流側の双方のいずれかに接近して該搬送方向に交差し、かつ前記蓋付容器の上端部および上端面の上側近傍を含む高さ領域に対応して配置され、搬送方向の交差方向に互いに前進してシール用樹脂フィルムを前記仮想立面を挟んで挟着するピンチロールと、該ピンチロールと同じ高さ領域に対応して搬送方向に交差して配置されてシール用樹脂フィルムに張力を付与する少なくとも一対のテンション付与ロールとを備えたシール用樹脂フィルム挟着・張力付与手段と、
このシール用樹脂フィルム挟着・張力付与手段を互いに前進させてピンチロールでシール用樹脂フィルム挟着し、かつ前記テンション付与ロールでシール用樹脂フィルムに張力を付与するとともに、シール用樹脂フィルム挟着・張力付与手段を互いに後退させてピンチロールとテンション付与ロールとを前記蓋付容器の通過を許容する間隔を隔てて離間させる第2進退機構と、
前記熱溶断刃の搬送方向下流側に隣接する熱融着面で融着された一対のシール用樹脂フィルムの先端融着部を前記仮想立面に位置決めし、該先端融着部が前記搬送手段により所定の移動量で間欠前進する蓋付容器に押圧されるのに伴って、前記先端融着部に連続する一対のシール用樹脂フィルムが前記一対の繰り出しリールからテンションを付与されて繰り出されるように該一対のシール用樹脂フィルムを前記シール用樹脂フィルム挟着・張力付与手段に導く方向転換系と、
前記搬送手段を所定の移動量で間欠駆動する搬送手段の駆動源と、前記第1進退機構を進退させるシール用樹脂フィルム溶断・融着手段の駆動源および前記第2進退機構を進退させるシール用樹脂フィルム挟着・張力付与手段の駆動源の駆動を設定されている制御プログラムに基づいて電気的に制御する制御手段と、
を備えてなることを特徴としている。
【0010】
これによれば、まず、第1進退機構によりシール用樹脂フィルム融着・溶断手段を互いに後退させて、挟着部を蓋付容器の通過を許容する間隔を隔てて離間させ、第2進退機構によりシール用樹脂フィルム挟着・張力付与手段を互いに後退させてピンチロールとテンション付与ロールとを蓋付容器の通過を許容する間隔を隔てて離間させて待機する。この待機状態で搬送手段により所定の移動量で蓋付容器を前進させると、蓋付容器における上端部の先端により一対のシール用樹脂フィルムの先端融着部が搬送方向に押圧され、この押圧に伴って一対のシール用樹脂フィルムは張力を付与されながら一対の繰り出しリールから繰り出される。
【0011】
蓋付容器の前進移動が所定量に達すると所定位置で蓋付容器は停止する。この時点では、一対のシール用樹脂フィルムは、張力を付与された状態で蓋付容器における上端部の前半分に巻回される。ここで、第2進退機構によりシール用樹脂フィルム挟着・張力付与手段を互いに前進させて、一対のピンチロールにより一対のシール用樹脂フィルムを挟着する。
【0012】
この場合、シール用樹脂フィルム挟着・張力付与手段がシール用樹脂フィルム溶断・融着手段よりも蓋付容器の搬送方向上流側に配置されている構成では、一対のシール用樹脂フィルムは蓋付容器における上端部の前半分から一対のピンチロールに向けて張力を付与された状態で互いの対向間隔が縮小される。同時に第1進退機構によりシール用樹脂フィルム溶断・融着手段を互いに前進させて挟着部を互いに接近させると、一対のシール用樹脂フィルムは蓋付容器における上端部の前半分と後半分との境界と一対のピンチロールとの間で挟着部により挟着されて、該挟着部と前記境界との間の一対のシール用樹脂フィルムはさらに強い張力を付与されて弾性伸長した状態になる。
【0013】
挟着部によって挟着された一対のシール用樹脂フィルムは、搬送方向の中心位置が熱溶断刃によって溶断されるとともに、中心位置の搬送方向上下流両側は熱融着面の互いの接近により融着される。ここで、第1、第2進退機構によりシール用樹脂フィルム融着・溶断手段とシール用樹脂フィルム挟着・張力付与手段とが互いに後退する。
【0014】
これにより、搬送方向上下流両側での熱融着面同士の接近は解除されて、搬送方向下流側の熱融着面によって融着された後端融着部は、該後端融着部と前記境界との間の一対のシール用樹脂フィルムの弾性復帰により蓋付容器の後端位置まで変位して、蓋付容器における上端部の全周と該蓋付容器の上端面の上側近傍の全周とに巻回される。また、シール用樹脂フィルム挟着・張力付与手段が互いに後退することにより、搬送方向上流側の熱融着面によって融着された端融着部は、蓋付容器の上端部および上端面の上側近傍を含む高さ領域と仮想立面とに対応して位置決めされて待機する。以下は、前記の動作を反復することで、蓋付容器は、その上端部の全周と該蓋付容器の上端面の上側近傍の全周とに一対のシール用樹脂フィルムが巻回された状態で、搬送手段により間欠的に送り出される。
【0015】
一方、シール用樹脂フィルム溶断・融着手段の搬送方向の上流側と下流側の双方に接近してシール用樹脂フィルム挟着・張力付与手段が配置されている構成では、第1進退機構によりシール用樹脂フィルム融着・溶断手段を互いに後退させて、挟着部を蓋付容器の通過を許容する間隔を隔てて離間させ、第2進退機構によりシール用樹脂フィルム挟着・張力付与手段を互いに後退させて蓋付容器の通過を許容する間隔を隔てて離間させて待機する。この待機状態で搬送手段により所定の移動量で蓋付容器を前進させると、蓋付容器における上端部の先端により一対のシール用樹脂フィルムの先端融着部が搬送方向に押圧され、この押圧に伴って一対のシール用樹脂フィルムは張力を付与されながら一対の繰り出しリールから繰り出される。
【0016】
蓋付容器の前進移動が所定量に達すると所定位置で蓋付容器は停止する。この時点では、一対のシール用樹脂フィルムは張力を付与された状態で蓋付容器における上端部の前半分に巻回される。ここで、ピンチロールのみを互いに前進させて、一対のシール用樹脂フィルムを挟着する。
【0017】
これにより、一対のシール用樹脂フィルムは蓋付容器における上端部の全周と該蓋付容器の上端面の上側近傍の全周とに巻回される。同時に、シール用樹脂フィルム溶断・融着手段の挟着部を互いに前進させてこれらを互いに接近させるとともに、シール用樹脂フィルム挟着・張力付与手段のテンション付与ロールを互いに前進させる。
【0018】
挟着部によって挟着された一対のシール用樹脂フィルムは、搬送方向の中心位置が熱溶断刃によって溶断されるとともに、中心位置の搬送方向上下流両側は熱融着面の互いの接近により融着される。ここで、シール用樹脂フィルム融着・溶断手段の挟着部と、シール用樹脂フィルム挟着・張力付与手段のピンチロールとテンション付与ロールとを互いに後退させる。
【0019】
これにより、搬送方向上下流両側での熱融着面同士の接近は解除されて、搬送方向下流側の熱融着面によって融着された後端融着部は、蓋付容器の後端位置まで変位して、蓋付容器における上端部の全周と該蓋付容器上端面の上側近傍の全周とに巻回される。また、シール用樹脂フィルム挟着・張力付与手段が互いに後退することにより、搬送方向上流側の熱融着面によって融着された先端融着部は、テンション付与ロールの間で蓋付容器の上端部および上端面の上側近傍を含む高さ領域と仮想立面とに対応して位置決めされて待機する。以下は、前記の動作を反復することで、蓋付容器は、その上端部の全周と該蓋付容器の上端面の上側近傍の全周とに一対のシール用樹脂フィルムが巻回された状態で、搬送手段により間欠的に送り出される。
【0020】
本発明に係る蓋付容器へのシール用樹脂フィルム巻回装置は、前記搬送手段の下流側に、蓋付容器の上端部および上端面の上側近傍を含む高さ領域に対応して巻回されたシール用樹脂フィルムを加熱しながら搬送排出する下流側搬送手段を設けた加熱ゾーンを備えることが望ましい。これによると、上端部の全周と上端面の上側近傍の全周とに一対のシール用樹脂フィルムが巻回されて、搬送手段により送り出された蓋付容器が加熱ゾーンを通過する間に、一対のシール用樹脂フィルムを熱収縮させて、蓋付容器のシーリングを連続して実施することができるので作業効率がよくなる。
【0021】
また、キャタピラ型の搬送手段により前記搬送手段と下流側搬送手段の双方を構成することが望ましい。これによると、簡単な構造により蓋付容器を所定の間隔を隔てて位置決め保持して間欠搬送することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る蓋付容器へのシール用樹脂フィルム巻回装置によれば、シール用樹脂フィルムに対する成形工程が不要であることおよび肉薄のシール用樹脂フィルムの使用により1シーリング当たりの材料費が抑えられることによって、製造コストを削減できる。また、シール用樹脂フィルムを蓋付容器に被せる被嵌工程が不要であるから作業効率がよくなる。さらに、肉薄のシール用樹脂フィルムは熱容量が小さいので、所定温度に加熱されて熱収縮した後の温度降下率が高い。したがって、加熱されたシール用樹脂フィルムの蓋付容器に対する熱的な影響が回避されるので、その蓋体や容器本体の被シーリング部位が熱変形しなくなり、蓋付容器の使用時において、容器本体に対する蓋体の着脱を用意に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る蓋付容器へのシール用樹脂フィルム巻回装置の一実施形態を示す正面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】図1のA−A線断面図である。
【図4】図1のB−B線断面図である。
【図5】図1のE−E線断面図である。
【図6】図1のF−F線断面図である。
【図7】図1の右側面図である。
【図8】図7のG−G線断面図である。
【図9】搬送手段の一実施形態を示す拡大正面図である。
【図10】図9の平面図である。
【図11】図4のシール用樹脂フィルム溶断・融着手段の拡大図である。 である。
【図12】図11の拡大H−H矢視図である。
【図13】図3のシール用樹脂フィルム挟着・張力付与手段の拡大図である。
【図14】図13の底面図である。
【図15】一対の繰り出しリールにおける一方の繰り出しリールの拡大図である。
【図16】図15の平面図である。
【図17】制御手段と各駆動源との電気的な連繋構造の一実施形態を示すブロック図である。
【図18】シール用樹脂フィルム溶断・融着第1工程の一実施形態を示す概略平面図である。
【図19】シール用樹脂フィルム溶断・融着第2工程の一実施形態を示す概略平面図である。
【図20】シール用樹脂フィルム溶断・融着最終工程の一実施形態を示す概略平面図である。
【図21】シール用樹脂フィルム溶断・融着第1工程の他の実施形態を示す概略平面図である。
【図22】シール用樹脂フィルム溶断・融着第2工程の他の実施形態を示す概略平面図である。
【図23】シール用樹脂フィルム溶断・融着第3工程の他の実施形態を示す概略平面図である。
【図24】シール用樹脂フィルム溶断・融着最終工程の他の実施形態を示す概略平面図である。
【図25】搬送手段の第2実施形態を示す概略平面図である。
【図26】搬送手段のさらに異なる実施形態を示す概略平面図である。
【図27】従来の樹脂フィルムの熱収縮による蓋付容器のシーリングに適用される有段筒状のシール基体の説明断面図である。
【図28】蓋付容器にシール基体を上から被嵌して仮止めした状態の縦断面図である。
【図29】シール基体の熱収縮による蓋付容器のシーリングを示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0024】
以下、本発明に係る蓋付容器へのシール用樹脂フィルム巻回装置を図面に基づいて説明する。図1は本発明に係る蓋付容器へのシール用樹脂フィルム巻回装置の一実施形態を示す正面図、図2は図1の平面図、図3は図1のA−A線断面図、図4は図1のB−B線断面図、図5は図1のE−E線断面図、図6は図1のF−F線断面図、図7は図1の右側面図、図8は図7のG−G線断面図、図9は搬送手段の一実施形態を示す拡大正面図、図10は図9の平面図、図11は図4のシール用樹脂フィルム溶断・融着手段の拡大図、図12は図11の拡大H−H矢視図、図13は図3のシール用樹脂フィルム挟着・張力付与手段の拡大図、図14は図13の底面図、図15は一対の繰り出しリールにおける一方の繰り出しリールの拡大図、図16は図15の平面図、図17は制御手段と各駆動源との電気的な連繋構造の一実施形態を示すブロック図である。
【0025】
これらの図において、蓋付容器へのシール用樹脂フィルム巻回装置(以下の説明では、樹脂フィルム巻回装置という)1は、搬送手段10と、分割構造のシール用樹脂フィルム溶断・融着手段(以下の説明では、フィルム溶断・融着手段という)20と、第1進退機構30と、分割構造のシール用樹脂フィルム挟着・張力付与手段(以下の説明では、フィルム挟着・張力付与手段という)40と、第2進退機構50と、一対の繰り出しリール60,60と、シール用樹脂フィルム方向転換系70と、制御手段80とを備える。
【0026】
搬送手段10は、図1,図2,図4,図8,図9,図10に示すように、蓋付容器2を、所定の高さhで所定の間隔lを隔てて位置決めして、該所定の間隔lに等しい所定の移動量lで搬送方向(矢印F1)に一直線にのびる搬送基準線11に沿って間欠前進させるためのもので、本実施形態では、搬送面10a上を搬送方向(矢印F)に移動可能な台車12を設け、この台車12を例えばプッシャ機構からなる駆動源13により前記移動量lに等しい所定のストロークで間欠前進させるように構成しているとともに、蓋付容器2は、台車12に設けた高さ調整板14上に載置した状態で、その上端部の近傍を前後両側から一対の位置決め挟着板15a,15bにより着脱可能に保持するとにより、搬送面10a上に所定の高さhを有し、かつ中心Oが搬送手段10の搬送基準線11に沿って間欠前進できるように位置決めされて台車12に搭載される。
【0027】
前記蓋付容器2は単層または多層シート樹脂の成形体からなり、四つの隅角部を円弧状にした投影平面形状が略正方形のもので、上端を開口した容器本体2aと、この容器本体2aの上端部に外嵌されて前記開口を着脱可能に塞ぐ蓋体2bとを備えており、容器本体2aの内部に味噌などの食料品(図示省略)を封入してある。
【0028】
フィルム溶断・融着手段20は、後述するシール用の一対の樹脂フィルムを所定位置で加熱溶断するとともに、該加熱溶断箇所の両側を局部的に熱融着させるためのもので、図1,図2,図4,図11,図12に示すように、前記搬送手段10の搬送方向に直交して配置された一対の挟着部21,22を有する。各挟着部21,22は、前記蓋付容器2の上端部および上端面2cよりも少し上側近傍を含む高さ領域h1(図9参照)に対応して、搬送手段10の搬送基準線11を含んで仮想水平面3(図4参照)に直交して立ち上がる仮想立面4(図2,図4参照)を所定位置で両側から互いに対向して挟むことができる。挟着部21は搬送方向(矢印F1)の中心部に熱溶断刃21aを、挟着部22は搬送方向(矢印F1)の中心部に熱溶断刃22aを備えており、熱溶断刃21aの搬送方向上流側と搬送方向下流側との両側に隣接して熱融着面21b、21cを、熱溶断刃22aの搬送方向上流側と搬送方向下流側との両側に隣接して熱融着面22b、22cをそれぞれ備えている。なお、熱溶断刃21a,22aと熱融着面21b、22b、21c,22cとは、図示していない電気的ヒータによって加熱され、図示していない熱電対を含む周知の温度制御手段によって、後述するシール用の一対の樹脂フィルムの溶断・融着に好適な設定温度(150℃〜300℃)に保持される
【0029】
一対の挟着部21,22は、一対の板状のブラケット23,24に振り分けられて、その下端部の搬送方向上流側の面に取り付けられ、各板状のブラケット23,24は、装置フレーム5に架設されている上下一対の案内棒25a,25bに対して、複数のリニアブッシュ26を介して搬送方向に直交して進退自在に取り付けられており、第1進退機構30によって進退する。
【0030】
第1進退機構30は、螺旋の巻き方向が互いに異なる一対のねじ棒31,32と、一方のねじ棒32に連結された電動機からなる駆動源33とを備え、一対のねじ棒31,32は、各板状のブラケット23,24の搬送方向上流側の面において、前記上下一対の案内棒25a,25bの間で基端部が装置フレーム5に回転自在に支持され、先端部同士がヘリカルカップリング34を介して同時回転可能に互いに連結されており、一方のねじ棒32に駆動源33が連結されている。したがって、駆動源33の順方向駆動により、一対の挟着部21,22を互いに前進させて熱溶断刃21a、22aの互いの当接により後述するシール用樹脂フィルムを溶断し、かつ熱融着面21c、21d、22c、22dの互いの接近により後述するシール用樹脂フィルムを融着させるとともに、駆動源33の逆方向駆動により、一対の挟着部21,22を互いに後退させて蓋付容器2の通過を許容する間隔を隔てて離間させることができる。
【0031】
フィルム挟着・張力付与手段40は、図1,図2,図3,図13,図14に示すように、フィルム溶断・融着手段20の搬送方向(矢印F1)上流側に接近して該搬送方向に交差して配置され、鉛直軸線を有する一対のピンチロール41,42と、鉛直軸線を有する一対の鍔付きテンション付与ロール43,44とを備える。各ピンチロール41,42と各鍔付きテンション付与ロール43,44は、前記蓋付容器2の上端部および上端面2cよりも少し上側近傍を含む高さ領域h1(図9参照)に対応しており、各ピンチロール41,42は後述するシール用樹脂フィルムを前記仮想立面4を挟んで挟着し、各鍔付きテンション付与ロール43,44は、後述するシール用樹脂フィルムにテンションを付与する。なお、各ピンチロール41,42は、各鍔付きテンション付与ロール43,44よりも若干搬送方向(矢印F1)の下流側に向けて突出している。
【0032】
前記一対のピンチロール41,鍔付きテンション付与ロール43と、ピンチロール42,鍔付きテンション付与ロール44とは、一対の板状のブラケット46,47に振り分けられて、その下端部の搬送方向下流側の面に鉛直軸線を有して回転自在に取り付けられ、各板状のブラケット46,47は、装置フレーム5に架設されている上下一対の案内棒48a,48bに対して、複数のリニアブッシュ49を介して搬送方向に直交して進退自在に取り付けられており、第2進退機構50によって進退する。また、各板状のブラケット46,47の間には、上下一対の案内棒48a,48bに跨がるショックプレート49aが介在しており、このショックプレート49aに対応するゴム製の衝撃緩衝ストッパ49bを下側の一対のリニアブッシュ49に取付けることで、板状のブラケット46,47を前端位置で停止させる時の衝撃を緩衝する。
【0033】
第2進退機構50は、上下一対の案内棒48a,48bを挿通して、複数のリニアブッシュ49を介して各板状のブラケット46,47を互いに接近させる方向、つまり、各板状のブラケット46,47を互いに前進させる方向に付勢する複数のコイルスプリング51と、各コイルスプリング51の付勢に抗して各板状のブラケット46,47を互いに離間させる方向、すなわち、各板状のブラケット46,47を互いに後退させる方向に移動させる例えばエアシリンダからなる一対の駆動源52,53とを備えている。したがって、複数のコイルスプリング51の付勢により、各板状のブラケット46,47とともに一対のピンチロール41,42と、一対の鍔付きテンション付与ロール43,44とを互いに前進させて、ピンチロール41,42により後述するシール用樹脂フィルムを挟着するとともに、一対の鍔付きテンション付与ロール43,44により後述するシール用樹脂フィルムにテンションを付与し、一対の駆動源52,53の駆動により、各板状のブラケット46,47とともに一対のピンチロール41,42と、一対の鍔付きテンション付与ロール43,44とを互いに後退させて、ピンチロール41,42を前記蓋付容器2の通過を許容する間隔を隔てて離間させることができる。
【0034】
一対の繰り出しリール60,60は、図1,図2,図4,図7,図8,図15,図16に示すように、蓋付容器2の上端部および上端面2cの上側近傍を含む高さ領域h1(図9参照)に対応する幅寸法wを有する薄肉のシール用樹脂フィルム巻回体(以下の説明では、樹脂フィルム巻回体という)61A,61Bを回転自在に保持して繰り出すためのもので、各樹脂フィルム巻回体61A,61Bの中心軸62を着脱可能に回転自在に支持する一対の支持板63と、下端部が回転軸64を介して一対の支持板63に揺動自在に支持されたアーム65と、樹脂フィルム繰り出しロール66とを備え、該樹脂フィルム繰り出しロール66は、アーム65の上端部に回転自在に取り付けられて樹脂フィルム巻回体61A,61Bの表面のシール用樹脂フィルム6の繰り出し点に当接して、該シール用樹脂フィルム6の繰り出しを制御するとともに、各樹脂フィルム巻回体61A,61Bの自然発生的な緩みやばらつきを抑制するように機能する。なお、シール用樹脂フィルム6としては、その肉厚が20μ〜30μ程度の薄肉の単層または多層樹脂製のフィルムが適用される。
【0035】
シール用樹脂フィルム方向転換系70は、図1,図2,図3,図4,図6に示すように、一対の第1方向転換ロール71A,71Bと、一対の第2方向転換ロール72A,72Bとを備える。一方の第1方向転換ロール71Aは、一方の樹脂フィルム巻回体61Aから繰り出されて立ち上がるシール用樹脂フィルム6の繰り出し方向を、搬送方向(矢印F1)の上流側に向けて水平方向に転換させるために45度の傾斜軸線を有して装置フレーム5に回転自在に配置され、一方の第2方向転換ロール72Aは、一方の第1方向転換ロール71Aから前記上流側に向けて水平方向に繰り出されたシール用樹脂フィルム6の繰り出し方向を、一方の鍔付きテンション付与ロール43に向けて水平方向に転換させるために鉛直軸線を有して装置フレーム5に回転自在に取り付けられている。
【0036】
また、他方の第1方向転換ロール71Bは、他方の樹脂フィルム巻回体61Bから繰り出されて立ち上がる樹脂フィルム6の繰り出し方向を、搬送方向(矢印F1)の上流側に向けて水平方向に転換させるために45度の傾斜軸線を有して装置フレーム5に回転自在に配置され、他方の第2方向転換ロール72Bは、他方の第1方向転換ロール71Bから前記上流側に向けて水平方向に繰り出されたシール用樹脂フィルム6の繰り出し方向を、他方の鍔付きテンション付与ロール44に向けて水平方向に転換させるために鉛直軸線を有して装置フレーム5に回転自在に取り付けられている。そして、各第2方向転換ロール72A,72Bにより方向転換して繰り出された一対の樹脂フィルム6は、各鍔付きテンション付与ロール43,44と各ピンチロール41,42それぞれの外周面の一部に掛けまわされて、後述する融着部が各ピンチロール41,42の搬送方向(矢印F1)の下流側端面間で前記仮想立面4に対応する。
【0037】
図1,図17において、制御手段80は、前記搬送手段10の駆動源13と、第1進退機構30の駆動源33と、第2進退機構50における一対の駆動源52,53とに、設定されている制御プログラムに基づいて電気的制御信号を出力して、これらの駆動を制御する。
【0038】
前記構成のシール用樹脂フィルム巻回装置1によれば、第1進退機構30の駆動源33の逆方向駆動によりフィルム融着・溶断手段20の挟着部21,22を互いに後退させて、各挟着部21,22を蓋付容器2の通過を許容する間隔を隔てて離間させ、第2進退機構50の駆動源52,53の駆動により、コイルスプリング51の付勢に抗してフィルム挟着・張力付与手段40を互いに後退させて、ピンチロール41,42を蓋付容器2の通過を許容する間隔を隔てて離間させて待機する。この待機状態で搬送手段10により所定の移動量lで蓋付容器2を前進させると、蓋付容器2における蓋体2bの先端により一対のシール用樹脂フィルム6の後述する先端融着部が搬送方向(矢印F1)に押圧され、この押圧に伴って、一対のシール用樹脂フィルム6は張力を付与されながら、一対の繰り出しリール60に保持されている樹脂フィルム巻回体61A,61Bから繰り出される。
【0039】
蓋付容器2の前進移動が所定量に達すると所定位置で蓋付容器2は停止する。この時点では、図18に示すように、一対のシール用樹脂フィルム6は張力を付与された状態で蓋付容器2における上端部の前半分に巻回される。ここで、第2進退機構50の駆動源52,53による駆動を解除し、コイルスプリング51の付勢によりフィルム挟着・張力付与手段40を互いに前進させて、図19に示すように、一対のピンチロール41,42により一対のシール用樹脂フィルム6を挟着する。
【0040】
本実施形態では、フィルム挟着・張力付与手段40がフィルム溶断・融着手段20よりも蓋付容器2の搬送方向(矢印F1)上流側に配置されているので、一対のシール用樹脂フィルム6は、図19において実線で示すように、蓋付容器2における上端部の前半分から一対のピンチロール41,42に向けて張力を付与された状態で互いの対向間隔が縮小される。同時に第1進退機構30における駆動源33の順方向駆動により、フィルム溶断・融着手段20の挟着部21,22を図19において実線で示す位置から仮想線で示す位置に互いに前進させて各挟着部21,22を互いに接近させると、一対のシール用樹脂フィルム6は、仮想線で示すように、蓋付容器2における上端部の前半分と後半分との境界2A,2Aと一対のピンチロール41,42との間で挟着部21,22により挟着されて、該挟着部21,22と前記境界2A,2Aとの間の仮想線で示す一対のシール用樹脂フィルム6はさらに強い張力を付与されて弾性伸長した状態になる。
【0041】
挟着部21,22によって挟着された一対のシール用樹脂フィルム6は、搬送方向(矢印F1)の中心位置が熱溶断刃21a,22aによって溶断されるとともに、中心位置の搬送方向上下流両側は熱融着面21b,22b、21c22cの互いの接近により融着される。ここで、第1、第2進退機構30、50の駆動源33、52,53の駆動によりフィルム融着・溶断手段20の挟着部21,22とフィルム挟着・張力付与手段40のピンチロール41,42および鍔付きテンション付与ロール43,44とが互いに後退する。
【0042】
これにより、搬送方向(矢印F1)上下流両側での熱融着面21bと22bおよび21cと22c同士の接近は解除されて、搬送方向下流側の熱融着面21b,22bによって融着された後端融着部6aは、該後端融着部6aと前記境界2A,2Aとの間の仮想線で示す一対のシール用樹脂フィルム6の弾性復帰により、図20に示すように、蓋付容器2の後端位置まで変位して、蓋付容器2における上端部の全周と該蓋付容器2の上端面2cの上側近傍の全周とに巻回される。また、フィルム挟着・張力付与手段40が互いに後退することにより、搬送方向上流側の熱融着面21b,22bによって融着された先端融着部6bは、一対のピンチロール41,42の間で蓋付容器2の上端部および上端面2cの上側近傍を含む高さ領域h1と仮想立面4とに対応して位置決めされて待機する。以下は、前記の動作を反復することで、蓋付容器2は、その上端部の全周と該蓋付容器2の上端面2cの上側近傍の全周とに一対のシール用樹脂フィルムが巻回された状態で、搬送手段10により間欠的に送り出される。
【0043】
一方、図21に示すように、一対のピンチロール41,42が一対の鍔付きテンション付与ロール43,44よりも搬送方向(矢印F1)下流側に大きく離間するとともに、両者41,42、43,44が個別に進退するように構成したフィルム挟着・張力付与手段40を備え、該フィルム挟着・張力付与手段40における一対のピンチロール41,42と一対の鍔付きテンション付与ロール43,44との間にフィルム溶断・融着手段20の挟着部21,22を配置した構成の樹脂フィルム巻回装置1であれば、第1進退機構30の駆動源33の逆方向駆動によりフィルム融着・溶断手段20の挟着部21,22を互いに後退させて、各挟着部21,22を蓋付容器2の通過を許容する間隔を隔てて離間させ、第2進退機構50の図示していない駆動源の駆動により、図示していないコイルスプリングの付勢に抗してフィルム挟着・張力付与手段40におけるピンチロール41,42と鍔付きテンション付与ロール43,44とを、個別に互いに後退させて、これらを蓋付容器2の通過を許容する間隔を隔てて離間させて待機する。
【0044】
この待機状態で搬送手段10により所定の移動量lで蓋付容器2を前進させると、蓋付容器2における蓋体2bの先端により一対のシール用樹脂フィルム6の先端融着部6bが搬送方向(矢印F1)に押圧され、この押圧に伴って、一対のシール用樹脂フィルム6は張力を付与されながら、一対の繰り出しリール60に保持されている樹脂フィルム巻回体61A,61Bから繰り出される。
【0045】
蓋付容器2の前進移動が所定量に達すると所定位置で蓋付容器2は停止する。この時点では、図21に示すように、一対のシール用樹脂フィルム6は張力を付与された状態で蓋付容器2における上端部の前半分に巻回される。ここで、第2進退機構50の図示していない駆動源の駆動を解除し、前記図示していないコイルスプリングの付勢によりフィルム挟着・張力付与手段40の一対のピンチロール41,42のみを互いに前進させて、図22に示すように、一対のピンチロール41,42により一対のシール用樹脂フィルム6を挟着する。
【0046】
これにより、一対のシール用樹脂フィルム6は蓋付容器2における上端部の全周と該蓋付容器2の上端面2cの上側近傍の全周とに巻回される。同時に、図23に示すように、第1進退機構30の駆動源33によりフィルム溶断・融着手段20の一対の挟着部21,22を互いに前進させてこれらを互いに接近させるとともに、第2進退機構50の図示していない駆動源の駆動の駆動を解除し、前記図示していないコイルスプリングの付勢によりフィルム挟着・張力付与手段40の一対の鍔付きテンション付与ロール43,44を互いに前進させる。
【0047】
一対の挟着部21,22によって挟着された一対のシール用樹脂フィルム6は、搬送方向(矢印F1)の中心位置が熱溶断刃21a,22aによって溶断されるとともに、中心位置の搬送方向上下流両側は熱融着面21b,22b、21c,22cの互いの接近により融着される。ここで、第1進退機構30の駆動源33の駆動と第2進退機構50の前記図示していない駆動源の駆動とによって、図24に示すように、フィルム融着・溶断手段20の挟着部21,22と、フィルム挟着・張力付与手段40の一対のピンチロール41,42と一対の鍔付きテンション付与ロール43,44とを互いに後退させる。
【0048】
これにより、搬送方向(矢印F1)上下流両側での熱融着面21bと22bおよび21cと22c同士の接近は解除されて、搬送方向下流側の熱融着面21c,22cによって融着された後端融着部6aは、蓋付容器2の後端位置まで変位して、蓋付容器2における上端部の全周と該蓋付容器2の上端面2cの上側近傍の全周とに巻回される。また、フィルム挟着・張力付与手段40が互いに後退することにより、搬送方向上流側の熱融着面21b,22bによって融着された先端融着部6bは、一対の鍔付きテンション付与ロール43,44の間で蓋付容器2の上端部および上端面2cの上側近傍を含む高さ領域h1と仮想立面4とに対応して位置決めされて待機する。以下は、前記の動作を反復することで、蓋付容器2は、その上端部の全周と該蓋付容器2の上端面2cの上側近傍の全周とに一対のシール用樹脂フィルムが巻回された状態で、搬送手段10により間欠的に送り出される。
【0049】
本発明に係る樹脂フィルム巻回装置1は、図25に示すように、搬送手段10の下流側に、前記蓋付容器2の上端部および上端面2cの上側近傍を含む高さ領域h1(図9参照)に対応して巻回されたシール用樹脂フィルム6を加熱しながら搬送排出する下流側搬送手段10Aを備えた加熱ゾーン16を設けることが望ましい。これによると、上端部の全周と上端面2cの上側近傍の全周とに一対のシール用樹脂フィルム6が巻回されて、搬送手段10により送り出された蓋付容器2が加熱ゾーン16を通過する間に、前記巻回された一対のシール用樹脂フィルム6を熱収縮させて、蓋付容器2のシーリングを連続して実施することができるので作業効率がよくなる。
【0050】
また、図26に示すように、キャタピラ型の一対の搬送手段10Bにより前記搬送手段10と下流側搬送手段10Aの双方を構成することが望ましい。これによると、簡単な構造により蓋付容器2を所定の間隔を隔てて位置決め保持して間欠搬送しながら、蓋付容器2の上端部および上端面2cの上側近傍を含む高さ領域h1に対応して巻回されたシール用樹脂フィルム6を熱収縮させて、蓋付容器2のシーリングを連続して実施することができる。なお、図26において、16は加熱ゾーンを示す。
【0051】
前記実施形態の説明は、単に本発明の好ましい具体的な実施例の詳細な説明および図面に過ぎず、本発明の特許請求の範囲を制限するものではない。そして、本発明の主張する技術的範囲は、添付の特許請求の範囲に基づくべきであり、当該分野における通常の知識を有する当業者が適当に変更や改良などを実施できるが、それらの実施形態が本発明の主張する技術的範囲内に収まるべきことは言うまでもない。たとえば、容器本体2aに蓋体2bが外嵌されている蓋付容器2にシール用樹脂フィルム6を巻回する構成で説明しているが、本発明に係る蓋付容器へのシール用樹脂フィルム巻回装置1は、前記実施形態のみに限定されるものではなく、容器本体2aに蓋体2bが内嵌されている蓋付容器2の外周にシール用樹脂フィルム6を巻回することも可能である。また、樹脂フィルム巻回体61A,61Bの設置位置は任意であり、たとえば装置フレーム5の頂上に設定してもよい。さらに、樹脂フィルム6が樹脂フィルム巻回体61A,61Bから樹脂フィルム繰り出し系70に繰り出される場合、樹脂フィルム巻回体61A,61Bの慣性によって樹脂フィルム6にタルミが発生するようであれば、樹脂フィルム巻回体61A,61Bに、その慣性を抑制してタルミを防止する制動手段として機能するダンパーを付設してもよい。さらにまた、樹脂フィルム繰り出し系70にテンション付与を付設してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0052】
味噌などの食料品を封入した容器本体の上端開口部に蓋体を被せただけの状態で店頭に陳列して販売する形態では、第三者の悪意により蓋体を開けて商品に異物が混入されるおそれを有している。そこで、
蓋付容器の容器本体上端部の外周にシール用樹脂フィルムを巻回したのち、このシール用樹脂フィルムを熱収縮させて容器本体と蓋体とをシーリングした状態で店頭に陳列する。購入者はシーリングが破られているか否かを確認し、シーリングが破られていなければ、容器本体に封入されている味噌などの食料品に異物が混入されておらず安全であると判断して購入できる。
【符号の説明】
【0053】
1 蓋付容器へのシール用樹脂フィルム巻回装置
2 蓋付容器
2a 容器本体
2b 蓋体
2c 上端面
3 仮想水平面
4 仮想立面
10 搬送手段
10A 下流側搬送手段
10B キャタピラ型で一連の搬送手段
11 搬送基準線
13 搬送手段の駆動源
16 加熱ゾーン
20 シール用樹脂フィルム溶断・融着手段
21 挟着部
21a 熱溶断刃
21b 熱融着面
21c 熱融着面
9 下側回転螺旋体
30 第1進退機構
33 第1進退機構の駆動源
40 シール用樹脂フィルム挟着・張力付与手段
41 ピンチロール
42 ピンチロール
43 テンション付与ロール
44 テンション付与ロール
50 第2進退機構
52 第2進退機構の駆動源
53 第2進退機構の駆動源
60 一対の繰り出しリール
61A シール用樹脂フィルム巻回体
61B シール用樹脂フィルム巻回体
70 シール用樹脂フィルム方向転換系
80 制御手段
O 蓋付容器の中心
h 所定の高さ
F1 搬送方向
l 移動量、搬送間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端に開口部を設けた容器本体と該容器本体の上端部に嵌合されて前記開口部を着脱可能に塞ぐ蓋体とを備えた蓋付容器を、所定の高さで所定の間隔を隔てて位置決めして所定の移動量で搬送方向に搬送基準線に沿って間欠前進させる搬送手段と、
この搬送手段の搬送方向に交差し、かつ前記蓋付容器の上端部および上端面の上側近傍を含む高さ領域に対応して配置されるとともに、前記搬送基準線を含んで仮想水平面に直交して立ち上がる仮想立面を所定位置で両側から挟む挟着部を有し、該挟着部は搬送方向の中心部に熱溶断刃を備え、該熱溶断刃の搬送方向上流側と搬送方向下流側との両側に隣接する熱融着面を備えたシール用樹脂フィルム溶断・融着手段と、
このシール用樹脂フィルム溶断・融着手段を互いに前進させて熱溶断刃の互いの当接によりシール用樹脂フィルムを溶断し、かつ前記熱融着面の互いの接近によりシール用樹脂フィルムを融着させるとともに、シール用樹脂フィルム融着・溶断手段を互いに後退させて前記挟着部を前記蓋付容器の通過を許容する間隔を隔てて離間させる第1進退機構と、
前記シール用樹脂フィルム溶断・融着手段の前記搬送方向の上流側または上流側と下流側の双方のいずれかに接近して該搬送方向に交差し、かつ前記蓋付容器の上端部および上端面の上側近傍を含む高さ領域に対応して配置され、搬送方向の交差方向に互いに前進してシール用樹脂フィルムを前記仮想立面を挟んで挟着するピンチロールと、該ピンチロールと同じ高さ領域に対応して搬送方向に交差して配置されてシール用樹脂フィルムに張力を付与する少なくとも一対のテンション付与ロールとを備えたシール用樹脂フィルム挟着・張力付与手段と、
このシール用樹脂フィルム挟着・張力付与手段を互いに前進させてピンチロールでシール用樹脂フィルム挟着し、かつ前記テンション付与ロールでシール用樹脂フィルムに張力を付与するとともに、シール用樹脂フィルム挟着・張力付与手段を互いに後退させてピンチロールとテンション付与ロールとを前記蓋付容器の通過を許容する間隔を隔てて離間させる第2進退機構と、
前記蓋付容器の上端部および上端面の上側近傍を含む高さ領域に対応する幅寸法を有する薄肉のシール用樹脂フィルム巻回体を回転自在に保持して繰り出す一対の繰り出しリールと、
前記熱溶断刃の搬送方向下流側に隣接する熱融着面で融着された一対のシール用樹脂フィルムの先端融着部を前記仮想立面に位置決めし、該先端融着部が前記搬送手段により所定の移動量で間欠前進する蓋付容器に押圧されるのに伴って、前記先端融着部に連続する一対のシール用樹脂フィルムが前記一対の繰り出しリールからテンションを付与されて繰り出されるように該一対のシール用樹脂フィルムを前記シール用樹脂フィルム挟着・張力付与手段に導く方向転換系と、
前記搬送手段を所定の移動量で間欠駆動する搬送手段の駆動源と、前記第1進退機構を進退させるシール用樹脂フィルム溶断・融着手段の駆動源および前記第2進退機構を進退させるシール用樹脂フィルム挟着・張力付与手段の駆動源の駆動を設定されている制御プログラムに基づいて電気的に制御する制御手段と、
を備えてなることを特徴とする蓋付容器へのシール用樹脂フィルム巻回装置。
【請求項2】
請求項1に記載の蓋付容器へのシール用樹脂フィルム巻回装置において
前記搬送手段の下流側に、蓋付容器の上端部および上端面の上側近傍を含む高さ領域に対応して巻回されたシール用樹脂フィルムを加熱しながら搬送排出する下流側搬送手段を設けた加熱ゾーンを備えてなる蓋付容器へのシール用樹脂フィルム巻回装置。
【請求項3】
請求項2に記載の蓋付容器へのシール用樹脂フィルム巻回装置において
キャタピラ型の搬送手段により前記搬送手段と下流側搬送手段の双方を構成してなる蓋付容器へのシール用樹脂フィルム巻回装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2011−162258(P2011−162258A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−30643(P2010−30643)
【出願日】平成22年2月15日(2010.2.15)
【出願人】(510042068)第一工流株式会社 (1)
【Fターム(参考)】