説明

薄型画像表示装置の免震固定具

【課題】 強い地震の揺れによる震動等に対しても、振動を上手に逃がして薄型テレビを転倒防止することが可能な薄型画像表示装置の免震固定具を提供すること。
【解決手段】 テレビ用ラック等の什器60の載置面62に据え置かれ、画像表示部52と載置部54と画像表示部52を載置部54へ接続するための支柱56とを備えた液晶テレビ等の薄型画像表示装置50の転倒を防止するための免震固定具10は、ひも状部材12と、画像表示部52の背面53に固定され、ひも状部材12が掛けられる背面掛部14と、載置面62に固定され、ひも状部材12が掛けられる載置面掛部16と、を具備し、ひも状部材12は背面掛部14から載置面掛部16を介して支柱56へ連続して架け渡されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、机上などの載置面に据え置かれた液晶テレビやプラズマテレビ等の薄型テレビや、パーソナルコンピュータ(PC)の液晶ディスプレイなどの薄型画像表示装置が、地震等の振動で転倒することを防止するための、薄型画像表示装置の免震固定具に関する。
【背景技術】
【0002】
載置面に据え置かれた薄型テレビやPCの液晶ディスプレイは地震などの強い揺れにより転倒することがある。このため、従来からこれらの転倒を防止するための種々の提案がなされている。特に大画面の薄型テレビがテレビ載置台に据え置かれている場合、地震の発生により画面前方のテレビの視聴者に目掛けて載置面を滑り、或いは転倒し、視聴者上に落下する危険性がある。
【0003】
このため、特許文献1には、薄型テレビの載置部に転倒防止部材を予め設けておき、該転倒防止部材をテレビ載置台にねじ止め固着することで薄型テレビの載置部をテレビ載置台に固定し、薄型テレビの転倒を防止する装置が提案されている。また、特許文献2には、薄型テレビの背面と該背面の側の室内壁面との間に架け渡すことで薄型テレビを室内壁面に固定する転倒防止具が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】 特開2008−160236
【特許文献2】 特開2007−282811
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に薄型テレビは、液晶等の画像表示部とテレビ載置台に載置される載置部とが1本または2本の支柱で接続されており、地震などの強い揺れで画像表示部が激しく振動することが出願人の実験によって確認されている。このため、特許文献1に開示されるような載置部に設けられた転倒防止部材をテレビ載置台にねじ止め固着する装置では、地震などの強い揺れによる画像表示部の震動が支柱と載置部を介して、そのまま、または、より激しく転倒防止部材に伝達されてねじ止めが破壊され、薄型テレビが転倒する危険性があった。
【0006】
また、特許文献2の転倒防止具は、薄型テレビの画像表示部の背面と室内壁面とを固定するため、画像表示部の上下や左右の角度の変更を制限することとなり、不便であった。また、室内壁面がコンクリートのような強固な壁面である場合には転倒防止具の取り付けが非常に困難であり、逆に石膏ボードのような強度のない壁面では薄型テレビを確実に転倒防止することが困難であった。
【0007】
さらには、薄型テレビの背面を室内壁面へ固定する転倒防止具では、部屋の模様替え等での薄型テレビの移動が煩雑になるばかりでなく、移動後に室内壁面にねじ穴等の固定跡が残ってしまい、美観上、好ましくなかった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の目的は、上述した事情に鑑みなされたもので、この発明の主たる目的は、強い地震での揺れに伴う震動に対しても、その振動を上手に逃がして薄型テレビを転倒防止することが可能な薄型画像表示装置の免震固定具を提供することである。
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明に係わる薄型画像表示装置の免震固定具は、請求項1の記載によれば、正面に画像が表示される画像表示部と、載置面に載置される載置部と、前記画像表示部を載置部へ接続するための支柱と、を備える薄型画像表示装置を前記載置面に固定する薄型画像表示装置の免震固定具であって、ひも状部材と、前記画像表示部の背面に固定され、前記ひも状部材が掛けられる背面掛部と、前記載置面に固定され、前記ひも状部材が掛けられる載置面掛部と、を具備し、前記ひも状部材は、前記背面掛部から前記載置面掛部を介して前記支柱へ連続して架け渡されることを特徴とする。
【0010】
また、この発明に係わる薄型画像表示装置の免震固定具は、請求項2の記載によれば、前記載置面掛部は、前記画像表示部の背面の側の載置面に固定されていることを特徴とする。
【0011】
また、この発明に係わる薄型画像表示装置の免震固定具は、請求項3の記載によれば、前記載置面掛部は、前記画像表示部の正面の側と背面の側との境界近傍の載置面に固定されていることを特徴とする。
【0012】
また、この発明に係わる薄型画像表示装置の免震固定具は、請求項4の記載によれば、前記載置面掛部は第1の載置面掛部と第2の載置面掛部とを有し、前記ひも状部材は、前記背面掛部から前記第1の載置面掛部と前記支柱と前記第2の載置面掛部とを介して前記背面掛部へ連続して架け渡されることを特徴とする。
【0013】
また、この発明に係わる薄型画像表示装置の免震固定具は、請求項5の記載によれば、前記背面掛部は、第1の背面掛部と第2の背面掛部とを有し、前記ひも状部材は、前記第1の背面掛部から前記載置面掛部と前記支柱と前記載置面掛部とを介して前記第2の背面掛部へ連続して架け渡されることを特徴とする。
【0014】
また、この発明に係わる薄型画像表示装置の免震固定具は、請求項6の記載によれば、前記背面掛部は、第1の背面掛部と第2の背面掛部とを有し、前記ひも状部材は、前記第1の背面掛部から前記第1の載置面掛部と前記支柱と前記第2の載置面掛部とを介して前記第2の背面掛部へ連続して架け渡されることを特徴とする。
【0015】
また、この発明に係わる薄型画像表示装置の免震固定具は、請求項7の記載によれば、前記ひも状部材は、一方と他方が接続されて環状となることを特徴とする。
【0016】
また、この発明に係わる薄型画像表示装置の免震固定具は、請求項8の記載によれば、前記ひも状部材は、前記第2の背面掛部を介して前記第1の背面掛部へ連続して架け渡され、一方と他方が接続されて環状となることを特徴とする。
【0017】
また、この発明に係わる薄型画像表示装置の免震固定具は、請求項9の記載によれば、前記支柱は複数であり、前記ひも状部材は該複数の支柱に架け渡されていることを特徴とする。
【0018】
また、この発明に係わる薄型画像表示装置の免震固定具は、請求項10の記載によれば、前記ひも状部材は、前記載置面掛部へ摺動可能に掛けられていることを特徴とする。
【0019】
また、この発明に係わる薄型画像表示装置の免震固定具は、請求項11の記載によれば、前記ひも状部材は、前記支柱へ摺動可能に掛けられていることを特徴とする。
【0020】
また、この発明に係わる薄型画像表示装置の免震固定具は、請求項12の記載によれば、前記ひも状部材は、前記背面掛部へ摺動可能に掛けられていることを特徴とする。
【0021】
また、この発明に係わる薄型画像表示装置の免震固定具は、請求項13の記載によれば、前記ひも状部材は、前記ひも状部材の長さを調整可能な一方と他方の接続具を有していることを特徴とする。
【0022】
また、この発明に係わる薄型画像表示装置の免震固定具は、請求項14の記載によれば、前記載置面と前記載置部との間に滑り止めを設けたことを特徴とする。
【0023】
また、この発明に係わる薄型画像表示装置の免震固定具は、請求項15の記載によれば、前記載置面と前記載置部との間に滑り止めを設けないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
この発明によれば、強い地震での揺れに伴う震動を上手に逃がす、即ち免震機能による薄型画像表示装置の転倒防止と、仮に転倒した場合でも薄型画像表示装置の視聴者の上への落下防止が可能となる薄型画像表示装置の免震固定具を提供することができる。
【0025】
また、この発明によれば、薄型画像表示装置の画像表示部の上下や左右の角度の変更を制限しない薄型画像表示装置の免震固定具を提供することができる。
【0026】
さらに、この発明によれば、簡便に薄型画像表示装置を転倒防止等するだけでなく、薄型画像表示装置の移動が容易な薄型画像表示装置の免震固定具を提供することができる。
【0027】
さらにまた、この発明によれば、種々の大きさの薄型画像表示装置に適用可能である薄型画像表示装置の免震固定具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】 第1の実施例の免震固定具が取り付けられた薄型画像表示装置を背面部から見た斜視図。
【図2】 第1の実施例の背面掛部または載置面掛部の斜視図。
【図3】 第2の実施例の免震固定具が取り付けられた薄型画像表示装置を背面部から見た斜視図。
【図4】 第2の実施例の背面掛部の斜視図。
【図5】 第2の実施例の他の背面掛部の斜視図。
【図6】 第3の実施例の免震固定具が取り付けられた薄型画像表示装置を背面部から見た斜視図。
【図7】 第4の実施例の免震固定具が取り付けられた薄型画像表示装置を背面部から見た斜視図。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0029】
図1は、本発明の第1の実施例の免震固定具10を取り付けた薄型画像表示装置50を背面部から見た斜視図である。また、図2は、第1の実施例の背面掛部または載置面掛部の斜視図である。
【0030】
液晶テレビやプラズマテレビ等の薄型テレビ、またはパーソナルコンピュータ(PC)の液晶ディスプレイとしての薄型画像表示装置50は、テレビ用ラックや机などの什器60の載置面62に据え置かれている。この薄型画像表示装置50は、一般に、正面に画像が表示される液晶等の薄型平面の画像表示部52と、載置面62に載置される載置部54と、画像表示部52を載置部54へ接続するための支柱56とを備えている。
【0031】
画像表示部52の背面53には、一般に、薄型画像表示装置50を壁に掛けたり、スタンドに取り付けたりするためのネジ穴が設けられている。また、該ネジ穴周辺は、壁掛け用アダプタやスタンドが取り付けられるように、凹凸が少ない平らな面が設けられている。なお、このネジ穴近傍は、画像表示部52または薄型画像表示装置50の略重心位置となっている。なお、図1において、支柱56は2本の棒状となっているが、その本数や形状は種々多様であり、本発明の免震固定具10はどのような支柱であっても適用可能である。
【0032】
本発明の第1の実施例の免震固定具10は、図1の通り、ひも状部材12と、画像表示部52の背面53に固定され、ひも状部材12が掛けられる背面掛部14と、載置面62に固定され、ひも状部材12が掛けられる載置面掛部16と、を具備している。
【0033】
ひも状部材12は、本発明においてはポリプロピレン系やナイロンまたはポリエステル等の伸縮性を有する材料が使用されている。また、ひも状部材12は織り組織や編み組織のベルト状となっており、やはり伸縮性を有する。このように、ひも状部材12は、その材料や組織が伸縮性を有するため、ひも状部材12自身が地震等の振動を吸収することが可能である。
【0034】
背面掛部14は、図2に示す通り、基部15aとフック15bとから構成されている。より具体的には、背面掛部14は、ABSプラスティック等の樹脂や各種金属等で形成されており、基部15aの一方面には、画像表示部52の背面53に設けられたネジ穴周辺の凹凸が少ない平らな面へ接着される、アクリル系両面接着材等からなる接着面が設けられており、基部15aの他方面には、ひも状部材12が掛けられるフック15bが設けられている。
【0035】
なお、接着面は取り付けや一時的取り外し取り付けが容易で、背面53に傷や汚れが残らず、かつ所定の接着強度を有する両面接着テープ材等を使用している。また、この両面接着テープ材を交換等することにより何度でも使用可能となっている。
【0036】
また、基部15aの他方面に設けられるフック15bは、例えば他方面から立設される2本の立設部15cと、該立設部の先端に架け渡される架け渡し部15dとを備えている。ひも状部材12は基部15aの他方面と2本の立設部15cと架け渡し部15dとで構成される空間に挿通されることになる。なお、フック15bの形状は、後に改めて説明するように、ひも状部材12が掛けられて固定可能となっているか、または、掛けられた状態で摺動可能となっていれば、例えば立設部15cを1本として架け渡し部15dが片持ちとなっている等、どのような形状としても良い。
【0037】
載置面掛部16は、図1のとおり、薄型画像表示装置50の画像表示部52の背面53の側の載置面62に固定されている。また、本発明の第1の実施例の免震固定具10においては、載置面掛部16は図2に示す背面掛部14と同一のものを使用している。即ち、図2に示す通り、基部15aとフック15bとから構成されており、基部15aの一方面には、載置面62へ接着されるアクリル系両面接着材等からなる接着面が設けられており、基部15aの他方面には、ひも状部材12が掛けられるフック15bが設けられている。
【0038】
このように、載置面掛部16と背面掛部14とに同一のものを使用することで本発明の免震固定具10を安価に製造することが可能となる。なお、載置面掛部16の載置面62への接着強度を大きくするために、例えば基部15aの面積を大きくする等としても良い。
【0039】
また、第1の実施例においては、図1の通り、背面掛部14及び載置面掛部16は各々2個使用されている。ひも状部材12は、第1の背面掛部14(図1の紙面左側の背面掛部14)から第1の載置面掛部16(図1の紙面左側の載置面掛部16)と支柱56と第2の載置面掛部16(図1の紙面右側の載置面掛部16)とを介して第2の背面掛部14(図1の紙面右側の背面掛部14)へ連続して架け渡されている。
【0040】
また、ひも状部材12は、第1の背面掛部14と第2の背面掛部14の間で、留め具18により接続されて環状となっている。この結果、ひも状部材12は、第2の背面掛部14を介して第1の背面掛部14へ連続して架け渡されていることとなる。
【0041】
なお、ひも状部材12の一方と他方とを接続するための接続具としての留め具18は、プラスティック製または各種金属製のカムバックル等のバックルや日の字の形状となっているトライグライドを使用している。このため、ひも状部材12の長さを容易に調節可能となっている。
【0042】
また、図1において、留め具18は2個の背面掛部14の間(第1の背面掛部14と第1の背面掛部14の間)に設けられているが、その他の場所、例えば、第1の背面掛部14と第1の載置面掛部16の間や、支柱56と第2の載置面掛部16の間等、任意に設定可能である。
【0043】
なお、支柱56へのひも状部材12の架け渡しは、ひも状部材12が、画像表示部52の背面53の側の載置面62に固定されている載置面掛部16から支柱56へ向かって延伸(連続)し、画像表示部52の正面の側(画像表示部52の画像が表示される側)で支柱56を回り込むように支柱56へ掛けられ、支柱56から載置面掛部16へ向かって延伸(連続)することで行われている。また、支柱56が図1のように複数である場合には、ひも状部材12は、第1の載置面掛部16と第2の載置面掛部16との間で該複数の支柱56への架け渡しが行われる。
【0044】
以上のように、本発明の第1の実施例の免震固定具10は、ひも状部材12が、留め具18で一方と他方が接続されて環状にされ、第1の背面掛部14から第1の載置面掛部16と支柱56と第2の載置面掛部16と第2の背面掛部14とを介して第1の背面掛部14へ連続して架け渡されている構成となっている。
【0045】
什器60の載置面62において、本発明の免震固定具10が取り付けられていない薄型画像表示装置50は、強い地震での揺れに伴う震動で載置面62から滑り落ちたり、画像表示部52が正面と背面53の前後方向に揺動運動をして転倒したりすることが出願人の実験にて確認されている。
【0046】
本発明の第1の実施例の免震固定具10では、背面掛部14がひも状部材12と載置面掛部16とを介して載置面62に接続され、また、支柱56がひも状部材12と載置面掛部16とを介して載置面62に接続されることで、画像表示装置50が載置面62から滑り落ちることを防止している。
【0047】
また、本発明は、上述した免震固定具10の構成により薄型画像表示装置50の前方(正面)方向への傾斜を抑えることが可能であり、この結果、地震等の揺れに伴う震動による前後方向の揺動運動を起こさせないことで転倒を防止することが可能となっている。
【0048】
具体的には、本発明の第1の実施例の免震固定具10では、背面掛部14と載置面掛部16との間に架け渡されたひも状部材12により前後方向の揺動運動が防止可能となっている。特に、背面掛部14は、画像表示部52の背面53に設けられ、薄型画像表示装置50を壁に掛けたりスタンドに取り付けたりするためのネジ穴近傍に固定されているので、画像表示部52または薄型画像表示装置50の略重心位置を載置面に接続固定することとなり、より効果的に地震等の揺れに伴う震動による前後方向の揺動運動を防止することが可能となっている。なお、この構成は、特に大型の薄型画像表示装置50に有効である。
【0049】
また、ひも状部材12は、載置面掛部16と支柱56の間にも架け渡されているので、背面掛部14と載置面掛部16との間に架け渡されたひも状部材12により薄型画像表示装置50がその略重心位置を回転中心として薄型画像表示装置50の前方(正面)方向へ載置部54が飛び出して転倒すること(図1の紙面左側方向へ載置部54が足を投げ出すように転倒すること)も防止可能となっている。
【0050】
またさらに、ひも状部材12が背面掛部14と載置面掛部16とに架け渡されると共に、載置面掛部16と支柱56の間にも架け渡されているので、地震等の揺れに伴う震動は2方向に分散して載置面掛部16に作用するため、画像表示部52の揺動運動による転倒を効果的に防止すると共に、載置面掛部16の載置面62からの剥離防止や、当該剥離による薄型画像表示装置50の載置面62からの滑り落ち防止にも効果がある。
【0051】
また、本発明の第1の実施例の免震固定具10は、ひも状部材12が背面掛部14から載置面掛部16を介して支柱56へ連続して架け渡されると共に、ひも状部材12が背面掛部14のフック15b、載置面掛部16のフック15b、及び、支柱56の表面へ掛けられた状態で摺動可能(即ち非固定)となっている。このため、地震の揺れという予想不可能な方向への瞬間的な大きな震動に対しても、ひも状部材12が背面掛部14及び載置面掛部16のフック15bや支柱56の表面で摺動して震動を吸収する免震機能を得ることが可能となっている。
【0052】
なお、ひも状部材12が背面掛部14、載置面掛部16及び支柱56の表面のいずれか一つ、またはこのうちの複数で摺動可能となっていなくとも、本発明の免震固定具10での転倒防止の機能が損なわれることはなく、また、免震機能の全て損なわれるものでもない。
【0053】
また、本発明の第1の実施例の免震固定具10では、ひも状部材12は留め具18で一方と他方とが接続されて環状となっている。このため、地震の揺れでひも状部材12がフック15bや支柱56の表面で摺動し、例えば背面掛部14と載置面掛部16との間のひも状部材12の長さが変化しても、その変化の分の長さを例えば載置面掛部16と支柱56との間で吸収することが可能である。このため、震動を吸収する免震機能を得ることや、ひも状部材12に作用した全ての力がそのまま背面掛部14や載置面掛部16に作用して、背面掛部14や載置面掛部16が破壊されることや接着面が剥離してしまうことを防止することが可能となっている。
【0054】
さらに、このひも状部材12は、その材料や組織が伸縮性を有するので、地震の揺れに伴う震動がひも状部材12の伸縮で吸収されるという免震機能を得ることが可能となっている。
【0055】
なお、本発明の第1の実施例においては、図1の通り、背面掛部14は2個使用されている。これは、地震などの強い揺れに伴う画像表示部52の震動で、背面掛部14と載置面掛部16とに架け渡されたひも状部材12が背面掛部14を載置面掛部16の方向へ引っ張った際に、背面53に接着された背面掛部14を引き剥がされ難くするためと、画像表示部52が支柱56の軸方向を中心とした回転方向の揺れや振動を低減するのに有効であるためである。なお、薄型画像表示装置50の大きさや重量等により、背面掛部14の接着強度が1個でも充分であったり、また、該回転方向の揺れや振動を低減できたりするのであれば、背面掛部14を1個としても良い。また、この場合には、留め具18は、背面掛部14と載置面掛部16の間や載置面掛部16と支柱56の間等の別の場所に設けることになる。
【0056】
また、背面掛部14の使用を1個とし、ひも状部材12の一方と他方を接続しない、即ち環状としない場合には、ひも状部材12の一方端部と他方端部を両方とも該1個の背面掛部14に固定することになる。なお、この場合においても、本発明の免震固定具10での転倒防止の機能が損なわれることはなく、また、ひも状部材12の伸縮性やひも状部材12の載置面掛部16のフック15bでの摺動等により、免震機能の全て損なわれるものではない。
【0057】
また、本発明の第1の実施例においては、図1の通り載置面掛部16は2個使用されている。これは、載置面52に接着された載置面掛部16が引き剥がされ難くするためと、画像表示部52が支柱56の軸方向に垂直な方向の揺れや振動を低減するのに有効であるためである。なお、薄型画像表示装置50の大きさや重量等により、載置面掛部16の接着強度が1個でも充分であったり、また、該垂直方向の揺れや振動を低減できたりするのであれば、載置面掛部16を1個としても良い。
【0058】
なお、載置面掛部16の使用が1個の場合、ひも状部材12の一方と他方を接続して環状としても、または接続せずに環状としなくとも、さらには、背面掛部14の使用が1個でも2個でも、本発明の免震固定具10での転倒防止の機能が損なわれることはない。また、ひも状部材12の伸縮性やひも状部材12の載置面掛部16のフック15bでの摺動や支柱56の表面での摺動等により、免震機能の全て損なわれるものではないのは前述の通りである。即ち、本発明の免震固定具10は、ひも状部材12が、背面掛部14から載置面掛部16を介して支柱56へ連続して架け渡されることで、転倒防止の機能や免震機能が得られるものである。
【0059】
なお、載置面62と薄型画像表示装置50の載置部54との間に、例えばゴム製や塩化ビニール樹脂製等のシート状部材からなる滑り止めを設けることが可能である。この滑り止めは、載置部54の四隅に設けても良いし、全面に設けても良いし、また、載置部54の四隅のうちの画像表示部52の正面の側の二隅のみに設けても良い。
【0060】
この滑り止めにより、載置部54が薄型画像表示装置50の前方(正面)方向へ飛び出すことを防止できる。また、この滑り止めは、地震の揺れに伴う震動で薄型画像表示装置50が滑り動くことを防止するので、本発明の免震固定具10に不必要に大きな力が作用することがなく、背面掛部14や載置面掛部16の破壊や接着面の剥離を防止できる。
【0061】
また、載置面62と薄型画像表示装置50の載置部54との間に、載置部54が載置面62上で滑り動かないように滑り止めを設けた場合、載置部54を支点として画像表示部52の正面と背面53の前後方向への揺動運動が激しくなることがある。前述の通り、本発明の免震固定具10では、背面掛部14と支柱56とが各々ひも状部材12と載置面掛部16とを介して載置面62に接続されており、この結果、画像表示装置50が載置面62から滑り落ちて什器60から落下することが防止されている。このように、画像表示装置50の什器60からの落下は防止されているので、該滑り止めを設けないで載置部54が載置面62の上で若干滑るようにしておくことで、地震の揺れを載置面62上で吸収減少させて、本発明の免震固定具10に不必要に大きな力が作用しないようにしたり、画像表示部52が正面と背面53の前後方向へ激しく揺動運動しないようにしたりすることが可能である。
【0062】
以上のように、本発明の免震固定具10は、強い地震での揺れに伴う震動を上手に逃がす種々の免震機能により薄型画像表示装置50の転倒を効果的に防止することが可能である。また、万が一、仮に薄型画像表示装置50が転倒した場合においても、ひも状部材12による背面掛部14と載置面掛部16との接続、及び、載置面掛部16と支柱56との接続により薄型画像表示装置50が什器60の上から落下することを防止するので、薄型画像表示装置50の視聴者への人的被害を防止することが可能である。
【0063】
また、本発明の第1の実施例の免震固定具10において、背面掛部14、載置面掛部16及び支柱56に掛けられたひも状部材12は、固定されずに摺動可能となっている。このため、載置面掛部16を載置面62に固定した状態でも薄型画像表示装置50の若干の移動や画像表示部52の上下左右の角度の変更を制限することがない。このように、本発明の免震固定具10は、光の反射等で画面表示が見難くなることがある薄型画像表示装置50に対して、転倒防止を実現しながら簡便容易に位置変更や角度変更を行うことが可能である効果を有する。
【0064】
さらに、本発明の免震固定具10は、載置面架部16の基部15aの一方面に設けられた接着面で載置面62へ固定されている。このように、薄型画像表示装置50の背面(裏面)の側の壁面は利用していないので、部屋の模様替え等で薄型画像表示装置50を移動する際でも壁面に傷を残すことはない。また、接着面に利用される両面接着テープ材は取り付けや一時的取り外し取り付けが容易で、載置面62に傷や汚れが残らないものを使用しているので、容易に薄型画像表示装置50を移動することが可能で、かつ、載置面62に傷がつくこともない。
【0065】
なお、本発明の第1の実施例の免震固定具10の薄型画像表示装置50への取り付け方法に関して簡単に説明する。本発明の免震固定具10は、予め背面掛部14と載置面掛部16とをひも状部材12に挿通し、留め具18でひも状部材12の一方と他方を接続した環状となっている。この状態で、最初にひも状部材12を支柱56の画像表示部52の正面の側に掛け、次に背面掛部14を画像表示部52の背面53の所定の位置に固定し、最後にひも状部材12の長さを勘案しながら載置面掛部16を画像表示部52の背面の側の載置面62に固定する。
【0066】
この際、ひも状部材12の張架の程度は、余裕がないほどきつく張る必要はなく、むしろ、余裕を持って張架した方が背面掛部14、載置面掛部16及び支柱56での摺動が容易となり、薄型画像表示装置50の若干の移動や向き変更に有利であると共に、地震の揺れという予想不可能な方向への瞬間的な大きな震動を吸収する効果も期待できる。また、留め具18でひも状部材12の長さの調節が容易となっているので、おおよそで背面掛部14と載置面掛部16とを固定し、後で張架の程度を調節することも可能である。
【0067】
本発明の第1の実施例の免震固定具10は、以上のように予め背面掛部14と載置面掛部16とがひも状部材12に挿通されて、留め具18でひも状部材12の一方と他方を接続した環状となっており、背面掛部14と載置面掛部16の固定も両面接着テープ材を使用しているので、誰でも簡便容易に取り付けが可能である。さらには、留め具18でのひも状部材12の長さ調節により、種々の大きさの薄型画像表示装置50に適用可能となっている。
【0068】
図3は、本発明の第2の実施例の免震固定具10を取り付けた薄型画像表示装置50を背面部から見た斜視図である。また、図4は、本発明の第2の実施例の背面掛部の斜視図である。なお、図1及び図2により説明した第1の実施例の免震固定具10と同じ構成の箇所には同一の符号を付して説明を省略する。
【0069】
本発明の第2の実施例の免震固定具10は、図3の通り、ひも状部材12と、画像表示部52の背面53に固定され、ひも状部材12が掛けられる板状背面掛部17と、載置面62に固定され、ひも状部材12が掛けられる載置面掛部16と、を具備している。なお、この第2の実施例における板状背面掛部17、載置面掛部16及び支柱56へのひも状部材12の掛け方は、第1の実施例と同様である。
【0070】
板状背面掛部17は、図4に示す通り、板部17aと、板部17aの一方面から他方面に貫通するように設けられたひも状部材挿通穴17bと、板部17aの一方面から他方面に貫通するように設けられた4個の貫通穴17cと、ひも状部材挿通穴17bに挿通されることで板状背面掛部17へ掛けられるひも状部材12を板部17aの側面(ひも状部材挿通穴17bに対して垂直な方向の面)に通す溝部17dとから構成されている。なお、板状背面掛部17は、例えば各種金属やABSプラスティック等の樹脂で形成されている。また、板状背面掛部17の画像表示部52の背面53への固着は、貫通穴17cを背面53に設けられたネジ穴の位置に合わせた後、ネジを貫通穴17cへ挿通させて当該ネジ穴に螺合させて行う。なお、当該ネジ穴の位置は、規格で定められていることが多いので、貫通穴17cをネジ穴の位置に合わせて設けることで、どの薄型画像表示装置50にも適用可能な汎用性の高い板状背面掛部17を作成することは問題ない。
【0071】
このように、板状背面掛部17は、貫通穴17cにネジを挿通した後に背面53に設けられたネジ穴へ当該ネジを螺合することで取り付けているので、取り付けや取り外し取り付けが容易で、背面53に傷や汚れが残ることもない。
【0072】
また、ひも状部材12は、図3の通り、板部17aの一方面から他方面に貫通するように設けられたひも状部材挿通穴17bに挿通された後に、ひも状部材12を板部17aの側面に通す溝部17dに通されることで板状背面掛部17へ掛けられる。この際、ひも状部材12が板状背面掛部17へ掛けられた状態で摺動可能となっていれば、地震等の揺れに伴う震動の吸収に有利となるが、摺動可能となっていなくとも転倒防止の機能が損なわれることはなく、また、免震機能の全てが損なわれるものでもない。
【0073】
また、本発明の第2の実施例の免震固定具10においては、図3の通り、板状背面掛部17は2個使用されているので、画像表示部52が支柱56の軸方向を中心とした回転方向の揺れや振動を低減するのに有効である。
【0074】
なお、図5に示す、ひも状部材挿通穴17bが設けられていない他の板状背面掛部17を画像表示部52の背面53に1個のみ固着することで、ひも状部材12を当該他の板状背面掛部17へ掛けることも可能である。この場合には、当該他の板状背面掛部17は、図3における2個の板状背面掛部17を覆う程度の大きさに設定されることとなる。
【0075】
なお、この他の板状背面掛部17にひも状部材12を掛ける方法は、溝部17dと背面53とにより板部17aの側面に形成されるトンネル状の穴に挿通する方法となる。また、この他の板状背面掛部17を1個使用する場合には、留め具18は、板状背面掛部17と載置面掛部16の間や載置面掛部16と支柱56の間等の別の場所に設けることになる。
【0076】
また、本発明の他の実施例の免震固定具10において、板状背面掛部17に掛けられたひも状部材12は、摺動可能となっているので、地震の揺れに伴う震動に対して、ひも状部材12が板状背面掛部17で摺動して震動を吸収する免震機能を得ることが可能となっている。なお、ひも状部材12が板状背面掛部17で摺動可能となっていなくとも、本発明の他の免震固定具10での転倒防止の機能が損なわれることはなく、また、免震機能の全て損なわれるものでもない。
【0077】
図6は、本発明の第3の実施例の免震固定具10を取り付けた薄型画像表示装置50を背面部から見た斜視図である。なお、図1及び図2により説明した第1の実施例の免震固定具10と同じ構成の箇所には同一の符号を付して説明を省略する。
【0078】
本発明の第3の実施例の免震固定具10は、図6の通り、ひも状部材12と、画像表示部52の背面53に固定され、ひも状部材12が掛けられる背面掛部14aと、載置面62に固定され、ひも状部材12が掛けられる載置面掛部16と、を具備している。
【0079】
第3の実施例の免震固定具10における背面掛部14aは、第1の実施例にて図示せずに説明した、基部15aの一方面に接着面が設けられ、基部15aの他方面に立設された1本の立設部15cの先端に架け渡し部15dを片持ちさせた、ひも状部材12が掛けられるフック15bが設けられている背面掛部が使用されている。
【0080】
なお、この第3の実施例における背面掛部14aは、第2の実施例で説明した図4に示す板状背面掛部17を用いても良いし、また、ひも状部材12の両端を画像表示部52の背面53に固定するものであれば、どのようなものでも良い。
【0081】
この第3の実施例においては、図6の通り、背面掛部14a及び載置面掛部16は各々2個使用されている。ひも状部材12は、第1の背面掛部14a(図6の紙面左側の背面掛部14a)から第1の載置面掛部16(図6の紙面左側の載置面掛部16)と支柱56と第2の載置面掛部16(図6の紙面右側の載置面掛部16)とを介して第2の背面掛部14a(図6の紙面右側の背面掛部14)へ連続して架け渡されている。
【0082】
なお、この第3の実施例においては、図6の通り、ひも状部材12は留め具等により接続されていない。即ち、ひも状部材12の一端は輪状にして第1の背面掛部14aのフック15bに掛けて固定され、他端も輪状にして第2の背面掛部14aのフック15bに掛けて固定されている。
【0083】
この結果、本発明の第3の実施例の免震固定具10では、ひも状部材12は、第1の背面掛部14aから第1の載置面掛部16と支柱56と第2の載置面掛部16とを介して第2の背面掛部14aへ連続して架け渡される構成となっている。
【0084】
このように、第3の実施例の免震固定具10においても、背面掛部14aがひも状部材12と載置面掛部16とを介して載置面62に接続され、また、支柱56がひも状部材12と載置面掛部16とを介して載置面62に接続されることで、画像表示装置50が載置面62から滑り落ちることが防止されることになる。
【0085】
また、この第3の実施例においても、第1の実施例と同じように、薄型画像表示装置50の前方(正面)方向への傾斜を抑えることが可能であり、この結果、地震等の揺れに伴う震動による前後方向の揺動運動を起こさせないことで転倒を防止することが可能となっている。
【0086】
また、ひも状部材12は、載置面掛部16と支柱56の間にも架け渡されているので、背面掛部14aと載置面掛部16との間に架け渡されたひも状部材12により薄型画像表示装置50がその略重心位置を回転中心として薄型画像表示装置50の前方方向へ載置部54が飛び出して転倒することを防止可能であることは、第1の実施例と変わらない。
【0087】
また、第3の実施例の免震固定具10は、ひも状部材12が背面掛部14aから載置面掛部16を介して支柱56へ連続して架け渡されると共に、ひも状部材12が載置面掛部16のフック15bと支柱56の表面へ掛けられた状態で摺動可能(即ち非固定)となっている。このため、地震の揺れという予想不可能な方向への瞬間的な大きな震動に対しても、ひも状部材12が載置面掛部16のフック15bや支柱56の表面で摺動して震動を吸収する免震機能を得ることも第1の実施例と同様である。
【0088】
また、この第3の実施例の免震固定具10では、ひも状部材12は留め具等で一方と他方とが接続されてはいないが、地震の揺れに伴う震動によって、ひも状部材12が載置面掛部16のフック15bや支柱56の表面で摺動し、例えば背面掛部14aと載置面掛部16との間のひも状部材12の長さが変化しても、その変化の分の長さを例えば載置面掛部16と支柱56との間で吸収することが可能であることも第1の実施例と変わらない。このため、第1の実施例と同様に震動を吸収する免震機能を得ることや、ひも状部材12に作用した全ての力がそのまま載置面掛部16に作用して、載置面掛部16が破壊されるたり接着面が剥離してしまったりすることが防止可能となっている。
【0089】
以上のように、本発明の第3の実施例の免震固定具10は、第1の実施例と同様に、強い地震での揺れに伴う震動を上手に逃がす種々の免震機能により薄型画像表示装置50の転倒を効果的に防止することが可能である。また、第1の実施例で説明した各種の効果も同様に得ることが可能である。
【0090】
本発明の第4の実施例の免震固定具10は、図7の通り、ひも状部材12と、画像表示部52の背面53に固定され、ひも状部材12が掛けられる背面掛部14bと、載置面62に固定され、ひも状部材12が掛けられる載置面掛部16と、を具備している。なお、図1、図3、図6により説明した第1乃至第3の実施例の免震固定具10と同じ構成の箇所には同一の符号を付して説明を省略する。
【0091】
また、この第4の実施例における薄型画像表示装置50は、正面に画像が表示される液晶等の薄型平面の画像表示部52と、載置面62に載置される4個の脚部54aと、画像表示部52を脚部54aへ接続するための支柱56とを備えている。なお、この第4の実施例においては、4個の脚部54aは、根元(一端部)が壁状の支柱56に接続され、他端部が支柱56から放射状に配置されるように設けられている。
【0092】
第4の実施例の免震固定具10における背面掛部14bは、板状部材と、該板状部材の一方面から他方面に貫通するように設けられたひも状部材12を挿通する板状部材挿通穴と、該板状部材の一方面から他方面に貫通するように設けられた板状部材貫通穴とから構成されている。なお、背面掛部14bは、例えば各種金属やABSプラスティック等の樹脂で形成されている。また、背面掛部14bの画像表示部52の背面53への固着は、板状部材貫通穴を背面53に設けられたネジ穴の位置に合わせた後、ネジを板状部材貫通穴へ挿通させて当該ネジ穴に螺合させて行う。なお、当該ネジ穴の位置は、規格で定められていることが多く、その数は4個となっていることが多い。図7に図示する第4の実施例においては、その4個のネジ穴のうち、載置面62に近い側の2個を使用している。これは、載置面62に遠い側の2個を使用するよりも、ひも状部材12の載置面62から背面53までの長さが短くなり、地震による揺れに伴う震動に対して、薄型画像表示装置50が安定する傾向があるからである。
【0093】
このように、背面掛部14bは、板状部材貫通穴にネジを挿通した後に背面53に設けられたネジ穴へ当該ネジを螺合することで取り付けているので、取り付けや取り外し取り付けが容易で、背面53に傷や汚れが残ることもない。
【0094】
なお、この第4の実施例における背面掛部14bは、第1の実施例で説明した背面掛部14や、第2の実施例で説明した板状背面掛部17や、第3の実施例で説明した背面掛部14a等、ひも状部材12の両端を画像表示部52の背面53に固定するものであれば、どのようなものでも良い。
【0095】
この第4の実施例においては、図7の通り、背面掛部14b及び載置面掛部16は各々2個使用されている。ひも状部材12は、第1の背面掛部14b(図7の紙面左側の背面掛部14b)から第1の載置面掛部16(図7の紙面左側の載置面掛部16)と支柱56と第2の載置面掛部16(図7の紙面右側の載置面掛部16)とを介して第2の背面掛部14b(図7の紙面右側の背面掛部14)へ連続して架け渡されている。
【0096】
なお、この第4の実施例においては、図7の通り、ひも状部材12は留め具等により接続されていない。即ち、ひも状部材12の一端は輪状にして第1の背面掛部14bの板状部材挿通穴に掛けて固定され、他端も輪状にして第2の背面掛部14aの板状部材挿通穴に掛けて固定されている。
【0097】
このように、第4の実施例の免震固定具10においても、背面掛部14bがひも状部材12と載置面掛部16とを介して載置面62に接続され、また、支柱56がひも状部材12と載置面掛部16とを介して載置面62に接続されることで、画像表示装置50が載置面62から滑り落ちることが防止されることになる。
【0098】
第4の実施例の免震固定具10における載置面掛部16は、図7のとおり、画像表示部52の正面の側と背面53の側の境界近傍、即ち画像表示部52の真下あたりに支柱56と概略並ぶ位置となる載置面62に固定されている。このため、第4の実施例においては、第1乃至第3の実施例と同様に薄型画像表示装置50の前方(正面)方向への傾斜を抑えることが可能であるとともに、ひも状部材12が背面53に接触して背面53の側を支えることや、ひも状部材12が背面方向に余計な長さを有していないこと等により、薄型画像表示装置50の後方(背面)方向への傾斜を抑えることが可能となっている。この結果、地震等の揺れに伴う震動による前後方向の揺動運動を起こさせないことでの転倒防止や、ひも状部材12が必要最低限の長さとなっていることによる転倒防止が可能となっている。
【0099】
第4の実施例におけるその他の機能は、上述した第1乃至第3の実施例と同様であり、本発明の第4の実施例の免震固定具10は、強い地震での揺れに伴う震動を上手に逃がす種々の免震機能により薄型画像表示装置50の転倒を効果的に防止することが可能であると共に、第1乃至第3の実施例で説明した各種の効果も同様に得ることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明は、什器60に載置された薄型画像表示装置50を固定する免震固定具10として説明したが、ひも状部材12に比較的な長さが長いものを使用すれば、例えば床面に配置されるテレビスタンドに取り付けられた薄型画像表示装置50を載置面としての床面に固定する免震固定具10としても使用可能である。
【符号の説明】
【0101】
10…免震固定具、12…ひも状部材、14、14a、14b…背面掛部、15a…基部、15b…フック、15c…立設部、15d…架け渡し部、16…載置面掛部、17…板状背面掛部、17a…板部、17b…ひも状部材挿通穴、17c…貫通穴、17d…溝部、18…留め具、50…薄型画像表示装置、52…画像表示部、53…背面、54…載置部、54a…脚部、56…支柱、60…什器、62…載置面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正面に画像が表示される画像表示部と、載置面に載置される載置部と、前記画像表示部を載置部へ接続するための支柱と、を備える薄型画像表示装置を前記載置面に固定する薄型画像表示装置の免震固定具であって、
ひも状部材と、
前記画像表示部の背面に固定され、前記ひも状部材が掛けられる背面掛部と、
前記載置面に固定され、前記ひも状部材が掛けられる載置面掛部と、を具備し、
前記ひも状部材は、前記背面掛部から前記載置面掛部を介して前記支柱へ連続して架け渡されることを特徴とする薄型画像表示装置の免震固定具。
【請求項2】
前記載置面掛部は、前記画像表示部の背面の側の載置面に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の薄型画像表示装置の免震固定具。
【請求項3】
前記載置面掛部は、前記画像表示部の正面の側と背面の側との境界近傍の載置面に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の薄型画像表示装置の免震固定具。
【請求項4】
前記載置面掛部は第1の載置面掛部と第2の載置面掛部とを有し、前記ひも状部材は、前記背面掛部から前記第1の載置面掛部と前記支柱と前記第2の載置面掛部とを介して前記背面掛部へ連続して架け渡されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の薄型画像表示装置の免震固定具。
【請求項5】
前記背面掛部は、第1の背面掛部と第2の背面掛部とを有し、前記ひも状部材は、前記第1の背面掛部から前記載置面掛部と前記支柱と前記載置面掛部とを介して前記第2の背面掛部へ連続して架け渡されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の薄型画像表示装置の免震固定具。
【請求項6】
前記背面掛部は、第1の背面掛部と第2の背面掛部とを有し、前記ひも状部材は、前記第1の背面掛部から前記第1の載置面掛部と前記支柱と前記第2の載置面掛部とを介して前記第2の背面掛部へ連続して架け渡されることを特徴とする請求項4に記載の薄型画像表示装置の免震固定具。
【請求項7】
前記ひも状部材は、一方と他方が接続されて環状となることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の薄型画像表示装置の免震固定具。
【請求項8】
前記ひも状部材は、前記第2の背面掛部を介して前記第1の背面掛部へ連続して架け渡され、一方と他方が接続されて環状となることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の薄型画像表示装置の免震固定具。
【請求項9】
前記支柱は複数であり、前記ひも状部材は該複数の支柱に架け渡されていることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の薄型画像表示装置の免震固定具。
【請求項10】
前記ひも状部材は、前記載置面掛部へ摺動可能に掛けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の薄型画像表示装置の免震固定具。
【請求項11】
前記ひも状部材は、前記支柱へ摺動可能に掛けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の薄型画像表示装置の免震固定具。
【請求項12】
前記ひも状部材は、前記背面掛部へ摺動可能に掛けられていることを特徴とする請求項7乃至請求項11のいずれか1項に記載の薄型画像表示装置の免震固定具。
【請求項13】
前記ひも状部材は、前記ひも状部材の長さを調整可能な一方と他方の接続具を有していることを特徴とする請求項7乃至請求項12のいずれか1項に記載の薄型画像表示装置の免震固定具。
【請求項14】
前記載置面と前記載置部との間に滑り止めを設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項13のいずれか1項に記載の薄型画像表示装置の免震固定具。
【請求項15】
前記載置面と前記載置部との間に滑り止めを設けないことを特徴とする請求項1乃至請求項13のいずれか1項に記載の薄型画像表示装置の免震固定具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−5095(P2012−5095A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−151442(P2010−151442)
【出願日】平成22年6月16日(2010.6.16)
【出願人】(501359412)株式会社リンテック21 (38)
【Fターム(参考)】