説明

薄膜パターンの製造装置及び方法

【課題】本発明は、レジストプリンティング方式による薄膜パターンの形成の信頼性を向上させることができる薄膜パターンの製造装置及び方法を提供する。
【解決手段】本発明によるブランケットが巻回されたロール状の印刷ローラ装置と、前記印刷ローラ装置の周辺に位置し、前記ブランケットにエッチングレジスト溶液を噴射する噴射装置と、所望の薄膜状の溝と、前記溝を除いた突出部が形成された凹版印刷版とを備え、前記エッチングレジスト溶液は、エチレンオキサイドフルオリネートポリマー系物質を含む界面活性剤と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レジストプリンティング方式による薄膜パターン形成の信頼性が向上できる薄膜パターンの製造装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、陰極線管(CRT)の短所とされている重量及び体積を減らすことができる各種の平板表示装置が浮上している。このような平板表示装置としては、液晶表示装置(LCD)、電界放出表示装置(FED)、プラズマディスプレイパネル(PDP)及び有機電界発光(EL)表示装置などがある。
【0003】
このうち、液晶表示装置は、電界を用いて、液晶の光透過率を調節することで画像を表示している。このために、液晶表示装置は、液晶セルがマトリックス状に配列された液晶パネルと、液晶パネルを駆動するための駆動回路と、を備える。
【0004】
液晶パネルは、相互対向する薄膜トランジスターアレイ基板及びカラーフィルターアレイ基板と、二つの基板の間に、セルギャップを一定に維持するために位置するスペーサと、そのセルギャップに注入された液晶と、を備える。
【0005】
薄膜トランジスターアレイ基板は、ゲートライン及びデータラインと、そのゲートラインとデータラインの交差部ごとにスィッチ素子で形成された薄膜トランジスターと、液晶セル単位で形成され、薄膜トランジスターに接続された画素電極などと、これらの上に塗布された配向膜と、から構成される。ゲートラインとデータラインは、それぞれのパッド部を介して駆動回路から信号を供給される。薄膜トランジスターは、ゲートラインに供給されるスキャン信号に応じて、データラインに供給される画素信号を画素電極に供給する。
【0006】
カラーフィルターアレイ基板は、液晶0セル単位で形成されたカラーフィルターと、カラーフィルター間の仕分け及び外部光反射のためのブラックマトリックスと、液晶セルに共通的に基準電圧を供給する共通電極などと、これらの上に塗布される配向膜と、から構成される。
【0007】
液晶パネルは、薄膜トランジスターアレイ基板とカラーフィルターアレイ基板とを別途に製作して貼り合わせた後、液晶を注入し封入することで完成する。
【0008】
このような従来の液晶表示パネル内の薄膜パターンは、フォトリソグラフィ工程及びエッチング工程によって形成される。
【0009】
ところが、フォトリソグラフィ工程は、露光工程、現像工程、洗浄工程、検査工程などの多数の工程が必要となり、液晶表示パネルの製造コストを上げる原因となっている。これによって、最近では、フォトリソグラフィ工程の代わりに、リバースレジストプリンティング(Reverse Resist Printing)方式により薄膜をパターニングする方法が用いられている。
【0010】
図1は、リバースレジストプリンティング装置を示す図である。
まず、図1に示されているリバースレジストプリンティング装置は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)からなるブランケット15が巻回されたロール状の印刷ローラ装置10と、エッチングレジスト溶液が噴射されるエッチングレジスト溶液噴射装置12と、形成しようとする薄膜パターンと同様の形状の溝20aと、溝20aを除いた突出部20bを有する凹版印刷版20を備える。
【0011】
図2aないし図2eは、図1のリバースレジストプリンティング装置を用いた薄膜パターンの形成を説明するための図である。特に、図2aないし2dは、リバースレジストプリンティング方法を用いて、液晶表示パネルのゲートパターンを形成する工程を示している。
【0012】
まず、図2aに示されているように、エッチングレジスト溶液噴射装置12からのエッチングレジスト溶液14aが、印刷ローラ装置10に巻回されているブランケット15に噴射される。ここで、印刷ローラ装置10が回転することにより、エッチングレジスト溶液14aが、ブランケット15にむらなくコーティングされる。
【0013】
続いて、図2bに示されているように、印刷版20にエッチングレジスト溶液14aのコーティングされた印刷ローラ装置10を回転させ、且つ接触させるによって、印刷ローラ装置10における突出部20bにのみエッチングレジスト溶液14aが転写される。これによって、図2cに示されているように、印刷ローラ装置10には、所望の薄膜パターン形状を有するエッチングレジスト溶液14bが残留するようになる。
【0014】
続いて、図2dに示されているように、印刷ローラ装置10に転写されたエッチングレジスト溶液14bを、所定の金属層32a、例えば、ゲート金属層が形成されている基板30の上にさらに転写させた後、硬化工程を行う。これによって、図2eに示されているように、金属層32aをパターニングするためのエッチングレジストパターン14cを形成することができる。以後、エッチングレジストパターン14cと重なり合わない金属層32aがパターニングされることで、基板30上に、所望の薄膜パターンを形成することができる。ここで、液晶表示パネルのゲートライン及びゲート電極等のゲートパターンを形成しようとする場合、金属層32aとしては、クロム(Cr)、アルミニウムネオジム(AlNd)などを用いることができる。
【0015】
このようなリバースレジストプリンティング装置に用いられるエッチングレジスト溶液14aは、ノボラックなどのベースポリマー、キャリアソルベント、プリンティングソルベント、界面活性剤などからなる。
【0016】
ここで、キャリアソルベントは、エッチングレジスト溶液噴射装置12から噴射されたエッチングレジスト溶液14aの粘度を下げ、エッチングレジスト溶液14aがブランケット15の上にむらなくコーティングされるようにする溶媒である。
【0017】
プリンティングソルベントは、ブランケット15の上にコーティングされたエッチングレジスト溶液14aの粘り性、または粘着性のために用いられる。
【0018】
界面活性剤は、界面にくっつき、界面の表面張力を大きく低下する働きがある物質であって、エッチングレジスト溶液14aの表面張力を下げる役割を果たす。ここで、シリコーン系界面活性剤を用いると、コーティング性は良好であるが、シリコーン系物質によりブランケットが汚されるため、フルオリネート系界面活性剤が用いられている。ところが、フルオリネート系界面活性剤は、エッチングレジスト溶液14aの表面エネルギーを低下させ、エッチングレジスト溶液14aとブランケット15との接着力と、エッチングレジスト溶液14aと印刷版20との接着力が類似になってしまう。その結果、エッチングレジスト溶液14aをブランケット15から印刷版20に転写させる特性が劣化し、レジストプリンティング方式による薄膜パターンの形成の信頼性が低下する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
従って、本発明の目的は、エッチングレジスト溶液の転写特性を向上させ、レジストプリンティング方式による薄膜パターンの形成の信頼性を向上させることができる薄膜パターンの製造装置及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
前記目的を達成するために、本発明による薄膜パターンの製造装置は、ブランケットが巻回されたロール状の印刷ローラ装置と、前記印刷ローラ装置の周辺に位置し、前記ブランケットにエッチングレジスト溶液を噴射する噴射装置と、所望の薄膜状の溝と、前記溝を除いた突出部が形成された凹版印刷版とを備え、前記エッチングレジスト溶液は、エチレンオキサイドフルオリネートポリマー(Ethylene Oxide fluorinate polymer)系物質を含む界面活性剤と、を含む。
【0021】
前記エチレンオキサイドフルオリネートポリマー系物質としては、CF(CF)(CHCH2O)10又はCF(CF)(CHCH2O)14のいずれか一つであることを特徴とする。
【0022】
前記エッチングレジスト溶液は、4〜20%程度のベースポリマーと、40〜60%程度のキャリアソルベントと、20〜40%程度のプリンティングソルベント及び0.05〜1%程度の前記界面活性剤と、を含む。
【0023】
前記界面活性剤は、ハイドロカーボン及びフルオリネート基の分子構造を含み、前記ハイドロカーボン系及びフルオリネート基の分子は、前記エッチングレジスト溶液内でランダムに分布することを特徴とする。
【0024】
前記ハイドロカーボン系分子は、エチレンオキサイド(C24O)及びアミン(CHN)の少なくともいずれか一つであることを特徴とする。
【0025】
前記エッチングレジスト溶液と印刷版との接着力は、前記エッチングレジスト溶液とブランケットとの接着力より強いことを特徴とする。
【0026】
前記ベースポリマーは、ノボラック、PMMA(ポリメチルメタクリレート)の何れか一つであることを特徴とする。
【0027】
前記キャリアソルベントは、アルコール系であることを特徴とする。
【0028】
前記プリンティングソルベントは、NMP(N−メチルピロリドン)、エチルベンゾエイト、トリイソプロピルベンゼンの少なくとも何れか一つであることを特徴とする。
【0029】
本発明による薄膜パターンの製造方法は、ブランケットが巻回されたロール状の印刷ローラ装置を設ける段階と、前記ブランケットに、エチレンオキサイドフルオリネートポリマー系物質からなる界面活性剤を含むエッチングレジスト溶液をコーティングする段階と、溝と、前記溝を除いた突出部が形成された凹版印刷版を設ける段階と、前記印刷版の突出部の上のみに前記エッチングレジスト溶液を転写させ、前記溝と対応する領域へのエッチングレジスト溶液は、前記印刷ローラ装置に残留させる段階と、を含む。
【0030】
前記印刷版の突出部の上に、前記エッチングレジスト溶液を転写させる段階は、前記エッチングレジスト溶液がコーティングされた印刷ローラ装置を回転さ、且つ前記エッチングレジスト溶液を前記突出部の表面に接触させる段階をさらに含むことを特徴とする。
【0031】
薄膜層が形成された基板を設ける段階と、前記印刷ローラ装置に残留するエッチングレジスト溶液を前記薄膜層の上に転写させ、前記印刷版の溝と同様の形状のエッチングレジスト溶液を前記薄膜層の上に形成する段階と、をさらに含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0032】
本発明による薄膜パターンの製造装置及びこれを用いた薄膜パターンの製造方法は、エチレンオキサイドフルオリネートポリマー系の界面活性剤を含むエッチングレジスト溶液が用いられる。このような界面活性剤を含むエッチングレジスト溶液は、ブランケットとの接着力より印刷版との接着力がもっと強いため、エッチングレジスト溶液をブランケットから印刷版へ容易に転写させることができる。その結果、レジストプリンティング方式による薄膜パターンの形成の信頼性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
(実施例)
以下、図3ないし図5を参照し、本発明の望ましい実施例について説明する。
【0034】
本発明の実施例による薄膜パターンの製造装置及び方法には、エチレンオキサイドフルオリネートポリマー系の界面活性剤を含むエッチングレジスト溶液が用いられる。このような界面活性剤を含むエッチングレジスト溶液は、ブランケットとの接着力より印刷版との接着力がもっと強いため、エッチングレジスト溶液をブランケットから印刷版へ容易に転写させることができる。その結果、レジストプリンティング方式による薄膜パターンの形成の信頼性を向上させることができる。以下、図2aないし図2dを参照し、従来のレジストプリンティング方式による薄膜パターンの製造方法と結びつき、本発明の技術的特徴であるエッチングレジスト溶液について詳しく説明する。
【0035】
まず、図2aに示されているように、エッチングレジスト溶液噴射装置12からのエッチングレジスト溶液14aが、印刷ローラ装置10に巻回されているブランケット15に噴射される。ここで、印刷ローラ装置10が回転することによって、エッチングレジスト溶液14aがブランケット15にむらなくコーティングされる。これによって、印刷ローラ装置10のブランケット15の上に、エッチングレジスト溶液14aがコーティングされる。
【0036】
エッチングレジスト溶液の組成は、表1の通りである。
【表1】

ここで、ベースポリマーとしては、ノボラック、PMMA(ポリメチルメタクリレート)などが用いられる。
【0037】
キャリアソルベントは、エッチングレジスト溶液噴射装置12から噴射されたエッチングレジスト溶液14aの粘度を下げ、エッチングレジスト溶液14aが、ブランケットの上にむらなくコーティングされるようにするための溶媒である。このようなキャリアソルベントとしては、メタノール、エタノール、イソプロピルベンゼンなどのアルコール類が用いられ、沸騰点が100℃未満である。
【0038】
プリンティングソルベントは、ブランケットの上にコーティングされたエッチングレジスト溶液14aの粘り性または粘着性のために用いられる。このような、プリンティングソルベントは、ベースポリマーを良く溶解させる溶媒として、NMP(N−メチルピロリドン)、エチルベンゾエイト、トリ−イソプロピルベンゼンなどが用いられ、沸騰点が200℃以上である。
【0039】
界面活性剤は、界面にくっつき、界面の表面張力を大きく低下する働きがある物質であって、エッチングレジスト溶液14aの表面張力を下げる役割を果たす。
【0040】
このような界面活性剤としては、CF(CF)(CHCH2O)10からなる物質、CF(CF)(CHCH2O)14からなる物質などのエチレンオキサイドフルオリネートポリマー系物質からなり、エチレンオキサイドフルオリネートポリマー系物質の界面活性剤は、エッチングレジスト溶液14aの表面エネルギーを増加させる。これによって、エッチングレジスト溶液14aは、ブランケット15との接着力より印刷版20との接着力がもっと強くなり、エッチングレジスト溶液14aをブランケット15から印刷版20へ容易に転写させることができる。
【0041】
これを、図3ないし図5を参照し、さらに詳しく説明する。
【0042】
図3は、ブランケット15の上にコーティングされた従来のフルオリネート系界面活性剤を含むエッチングレジスト溶液14aの内部構造を模式化した図である。
図3を参照すれば、ブランケット15の上にコーティングされたエッチングレジスト溶液14aの内部構造において、界面活性剤の親水性基22の殆どは、低い表面エネルギーを有するブランケット15方向に向け、界面活性剤の疎水性基23に当たるフルオリネート基は、空気の方に向ける構造を有している。ここで、表面エネルギー(γ)とは、空気と界面を成すために必要なエネルギーを言い、表面エネルギー(γ)が高い物質は、空気と界面を成すことが困難であり、自分と接触する液状または固形状などの相対面の表面エネルギー(γ)が低いほど相手面と界面を成そうとする性質が強い。即ち、表面エネルギー(γ)が高い物質は、その表面に表面エネルギー(γ)が低い流動性物質が塗布されると、その流動性物質を広く広げる。また、表面エネルギー(γ)が低い物質は、相手物質と界面を成すことが容易でないため、相手物質との分離が容易であり、空気との接触性質が強い。このような表面エネルギー(γ)は、数式1のように、非極性表面エネルギー(γd)と、極性表面エネルギー(γp)との和で表される。
[数式1]
γ =γd +γp
【0043】
このような表面エネルギー(γ)と関連し、表2に、図3におけるブランケット15、エッチングレジスト溶液14a及び印刷版20それぞれのγd、γpの値を示す。
【表2】

【0044】
ここで、エッチングレジスト溶液14aを、ブランケット15から印刷版20へ容易に転写するためには、エッチングレジスト溶液14aとブランケット15との接着力よりエッチングレジスト溶液14aと印刷版20との接着力がもっと大きくなければならない。
【0045】
即ち、図4に示されているように、ブランケット15にコーティングされたエッチングレジスト溶液14aを印刷版20に転写させる場合、ブランケット15とエッチングレジスト溶液14aとの接着力(Wa)よりエッチングレジスト溶液14aと印刷版20との接着力(Wb)が遥かに大きくなければならない。
【0046】
ここで、2つの界面におけるγd、γpによる接着力(W)は、数式2の通りである。
[数式2]
W=2(γd1*γd2)1/2+2(γp1*γp2)1/2
【0047】
γd1及びγp1は、2つの相互異なる界面の何れか一つの非極性表面エネルギーと極性表面エネルギーを示し、γd2及びγp2は、2つの相互異なる界面のうち、残りの界面における非極性表面エネルギーと極性表面エネルギーを示す。Wの単位は、mJ/m2である。
【0048】
このような表1及び数式2からすると、エッチングレジスト溶液14aと印刷版20との接着力(Wb)は、約52程度であり、ブランケット15とエッチングレジスト溶液14aとの接着力(Wa)は、約32程度であって、両者の大きさに顕著な差があるとは言えない。ここで、算術的に計算された52程度のエッチングレジスト溶液14aと印刷版20との接着力(Wb)と、32程度のブランケット15とエッチングレジスト溶液14aとの接着力(Wa)とは、他の工程条件などの変数によって誤差及び偏差がある可能性もあるので、約20程度の差は、信頼性のある転写工程が行われるほどの差ではない。
【0049】
これによって、実質、転写工程が行われる場合、エッチングレジスト溶液14aをブランケット15から印刷版20へ転写させる特性が劣化し、レジストプリンティング方式による薄膜パターンの形成の信頼性が低下する。
【0050】
このような従来の問題点を解決するために、本発明では、CF(CF)(CHCHO)10、CF(CF)(CHCH2O)14などのエチレンオキサイドフルオリネートポリマー系物質からなる界面活性剤を提案する。
【0051】
図5は、本願発明における界面活性剤を含むエッチングレジスト溶液14aがブランケット15の上に形成された状態で、エッチングレジスト溶液14aの内部構造を模式化した図である。
図5を参照すると、ブランケット15の上にコーティングされたエッチングレジスト溶液14aの内部構造において、界面活性剤は、疎水性基23に当たるフルオリネート基とハイドロカーボン鎖に区分される。ここで、ハイドロカーボン鎖としては、例えば、エチレンオキサイド(CH2O)、アミン(CHN)などが挙げられる。このような構造を有する本発明における界面活性剤は、部分的にフルオリネート化された界面活性剤であって、界面活性剤そのものの表面エネルギーが、高分子鎖に似た表面エネルギー(約35mN/m)を有するため、如何なる方向性を有せずにランダムに位置することとなる。
【0052】
その結果、本発明における界面エネルギーを採用した後のブランケット15、エッチングレジスト溶液14a及び印刷版20それぞれのγd、γpの値は、表2の通りである。
【表3】

【0053】
即ち、表3と表2を比較すると、本発明におけるエッチングレジスト溶液(反フルオリネート系界面活性剤含み)のγd、γpの値が、図3に比べ、顕著に高くなっていることが分かる。
【0054】
算術的に、エッチングレジスト溶液14aと印刷版20との接着力(Wa)は、113程度であり、ブランケット15とエッチングレジスト溶液14aとの接着力(Wb)は、58程度である。即ち、従来と異なって、ブランケット15とエッチングレジスト溶液14aとの接着力(Wb)よりエッチングレジスト溶液14aと印刷版20との接着力(Wb)が顕著に大きいので、エッチングレジスト溶液14aが、ブランケット15から印刷版20へ容易に転写される。これによって、転写工程の信頼性が向上し、レジストプリンティング方式による薄膜パターンの形成の信頼性が向上できる。
【0055】
以後、図1に示されている従来の装置を用いて、図2bないし図2eを参照して説明した方式によって、薄膜パターンを形成することができる。
【0056】
上述した本発明による薄膜パターンの製造装置及び方法を用いて、液晶表示装置のゲート電極、ゲートラインなどのゲートパターンなど、液晶表示パネルの何れの薄膜パターンでも形成することができる。なお、液晶表示パネルに限定せず、電界放出表示素子(FED)、プラズマディスプレイパターン(PDP)、有機電界発光表示素子(OLED)など、何れの表示装置の薄膜パターンでも形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】従来のリバースレジストプリンティング装置を示す図である。
【図2a】リバースレジストプリンティング方式により薄膜パターンを形成する工程を段階的に示す図である。
【図2b】リバースレジストプリンティング方式により薄膜パターンを形成する工程を段階的に示す図である。
【図2c】リバースレジストプリンティング方式により薄膜パターンを形成する工程を段階的に示す図である。
【図2d】リバースレジストプリンティング方式により薄膜パターンを形成する工程を段階的に示す図である。
【図2e】リバースレジストプリンティング方式により薄膜パターンを形成する工程を段階的に示す図である。
【図3】従来のフルオリネート系界面活性剤を含むエッチングレジスト溶液の内部構成分子の構造を模式化した図である。
【図4】エッチングレジスト溶液が印刷版にコーティングされる過程を具体的に示す図である。
【図5】本発明における界面活性剤を含むエッチングレジスト溶液の内部構成分子の構造を模式化した図である。
【符号の説明】
【0058】
10:印刷ローラ装置
12:噴射装置
20:印刷版
14a:エッチングレジスト溶液
30:基板
15:ブランケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブランケットが巻回されたロール状の印刷ローラ装置と、
前記印刷ローラ装置の周辺に位置し、前記ブランケットにエッチングレジスト溶液を噴射する噴射装置と、
所望の薄膜状の溝と、前記溝を除いた突出部が形成された凹版印刷版とを備え、前記エッチングレジスト溶液は、エチレンオキサイドフルオリネートポリマー系物質を含む界面活性剤と、を含むことを特徴とする薄膜パターンの製造装置。
【請求項2】
前記エチレンオキサイドフルオリネートポリマー系物質は、CF(CF)(CHCH2O)10又はCF(CF)(CHCH2O)14のいずれか一つであることを特徴とする請求項1に記載の薄膜パターンの製造装置。
【請求項3】
前記エッチングレジスト溶液は、4〜20%程度のベースポリマーと、40〜60%程度のキャリアソルベントと、20〜40%程度のプリンティングソルベント及び0.05〜1%程度の前記界面活性剤と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の薄膜パターンの製造装置。
【請求項4】
前記界面活性剤は、ハイドロカーボン及びフルオリネート基の分子構造を含み、前記ハイドロカーボン及びフルオリネート基の分子は、前記エッチングレジスト溶液内でランダムに分布することを特徴とする請求項1に記載の薄膜パターンの製造装置。
【請求項5】
前記ハイドロカーボン系分子は、エチレンオキサイド(C24O)及びアミン(CHN)の少なくともいずれか一つであることを特徴とする請求項4に記載の薄膜パターンの製造装置。
【請求項6】
前記エッチングレジスト溶液と印刷版との接着力は、前記エッチングレジスト溶液とブランケットとの接着力より強いことを特徴とする請求項4に記載の薄膜パターンの製造装置。
【請求項7】
前記ベースポリマーは、ノボラック、PMMA(ポリメチルメタクリレート)の何れか一つであることを特徴とする請求項3に記載の薄膜パターンの製造装置。
【請求項8】
前記キャリアソルベントは、アルコール系であることを特徴とする請求項3に記載の薄膜パターンの製造装置。
【請求項9】
前記プリンティングソルベントは、NMP(N−メチルピロリドン)、エチルベンゾエイト、トリイソプロピルベンゼンの少なくとも何れか一つであることを特徴とする請求項3に記載の薄膜パターンの製造装置。
【請求項10】
ブランケットが巻回されたロール状の印刷ローラ装置を設ける段階と、
前記ブランケットに、エチレンオキサイドフルオリネートポリマー系物質からなる界面活性剤を含むエッチングレジスト溶液をコーティングする段階と、
溝と、前記溝を除いた突出部が形成された凹版印刷版を設ける段階と、
前記印刷版の突出部の上のみに前記エッチングレジスト溶液を転写させ、前記溝と対応する領域へのエッチングレジスト溶液は、前記印刷ローラ装置に残留させる段階と、を含むことを特徴とする薄膜パターンの製造方法。
【請求項11】
前記印刷版の突出部の上に、前記エッチングレジスト溶液を転写させる段階は、前記エッチングレジスト溶液がコーティングされた印刷ローラ装置を回転さ、且つ前記エッチングレジスト溶液を前記突出部の表面に接触させる段階をさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の薄膜パターンの製造方法。
【請求項12】
薄膜層が形成された基板を設ける段階と、
前記印刷ローラ装置に残留するエッチングレジスト溶液を前記薄膜層の上に転写させ、前記印刷版の溝と同様の形状のエッチングレジスト溶液を前記薄膜層の上に形成する段階と、をさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の薄膜パターンの製造方法。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図2d】
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【図2e】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−4911(P2008−4911A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−338497(P2006−338497)
【出願日】平成18年12月15日(2006.12.15)
【出願人】(501426046)エルジー.フィリップス エルシーデー カンパニー,リミテッド (732)
【Fターム(参考)】