説明

薄膜顔料製造方法

【課題】安価な薄膜顔料を提供する。
【解決手段】
本発明の成膜装置Aは、円筒形の成膜対象物2の下方にルツボ3が配置され、上方にアーク蒸発源4とスパッタリングターゲット5が配置されている。スパッタリングターゲット5によって剥離層を形成し、反応性ガスを導入しながらアーク蒸発源4による成膜とルツボ3からの蒸着成膜によって誘電体積層膜を形成する。金属材料の粒子を発生させる場合、アーク蒸発源の粒子放出量が多いので、成膜速度が速く、安価な薄膜顔料を形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は顔料の製造方法にかかり、特に、多層膜から成る顔料を製造する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
薄膜顔料とは、屈折率1.8以上の高屈折率の誘電体薄膜と屈折率1.6以下の低屈折率の誘電体薄膜を交互に積層することにより特定の波長のみを反射することで特定の色を発色する薄膜を作成することができ、この薄膜を基板から剥離して薄片状または粉末状の断片化状態で用いるものである。
【0003】
この顔料は、多彩な色調機能を備える新用途、たとえば化粧品、塗料、インクなどに添加することで、独特の色合いを呈する装飾用塗料や、再現が困難であるため偽造防止に有用な特殊インクなどへの用途展開が期待できる。
そのような薄膜顔料は、従来では真空蒸着法やスパッタリング等で作成されている。
【0004】
真空蒸着の場合、蒸発ルツボに薄膜原料を配置し、薄膜原料を溶解して蒸気を発生させるため、ルツボ蒸発面は常に上方を向いている必要がある。
特に、TiやNb等金属を薄膜原料とした場合、電子ビーム加熱や抵抗加熱等で材料を蒸発させる際、薄膜原料が溶融するので、蒸発面を横向きや下向きにすることはできない。
【0005】
また、薄膜原料が化合物であったり、粉末状であった場合は、薄膜原料がルツボがらこぼれてしまうため、同様にルツボ蒸発面を横向きや下向きにすることはできない。
【0006】
そのため、数種類の異なる薄膜原料を用いる場合は、全ての蒸発ルツボを真空蒸着装置の底面に設置しなければならず、配置に制約が多い。
【0007】
また、複数の蒸発ルツボを底面に配置する場合、全ての蒸発ルツボを成膜対象物に対する有効蒸着面が広い位置に配置することはできない。そのため蒸発した薄膜原料に対する形成された薄膜の割合が小さくなり、顔料用の薄片もしくは粉体の回収率が悪くなってしまう。
この点、スパッタリング法では、蒸発源であるターゲットは下向きにも横向きにも配置できるので、配置上の制約は小さいと言える。
【0008】
しかし、スパッタリング法では薄膜の成膜レートが低く、生産性、低コスト化を考慮した場合、薄膜顔料の製造には向いていない。
【0009】
以下は、屈折率の異なる薄膜を積層させて着色剤を製造する発明が記載された文献である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2003−344647号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は反射率が高く、鮮やかな顔料を安価に提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明の成膜装置は、中心軸線が水平に配置された円筒形形状の成膜対象物と、前記成膜対象物の下方に配置された蒸発ルツボと、前記成膜対象物の上方に配置されたアーク蒸発源とが真空室内に配置され、前記成膜対象物を前記中心軸線を中心に回転させる回転機構と、前記ルツボを加熱する加熱手段と、前記アーク蒸発源にアーク放電を発生させるアーク電源と、前記アーク蒸発源から放出される粒子と反応する反応性ガスを導入する反応性ガス導入パイプとを有する。
本発明の成膜装置は、前記成膜対象物には円周方向にスリットが形成され、前記成膜対象物の内側には、前記蒸発ルツボから放出された蒸気が前記スリットを通過して到達する位置に真空蒸着用膜厚センサが配置され、前記アーク蒸発源から放出された蒸気が前記スリットを通って到達する位置にアーク蒸着用膜厚センサが配置されている。
また、本発明の成膜装置は、前記真空室内の前記成膜対象物の上方位置にスパッタリングターゲットが配置され、前記スパッタリングターゲットに電圧を印加するスパッタリング電源を有している。
また、本発明の成膜装置は、前記真空室内の前記成膜対象物の上方位置にスパッタリングターゲットが配置され、前記スパッタリングターゲットに電圧を印加するスパッタリング電源を有し、前記成膜対象物には円周方向にスリットが形成され、前記成膜対象物の内側には、前記剥離用ターゲットからの蒸発粒子が前記スリットを通過して到達する位置にスパッタリング用膜厚センサが配置されている。
本発明の薄膜顔料製造方法は、成膜対象物表面に剥離層を形成する剥離層工程と、透明な第1の薄膜と、前記第1の薄膜表面に形成され、前記第1の薄膜とは屈折率が異なる透明な第2の薄膜とを含む誘電体積層膜を前記剥離層表面に形成する誘電体積層膜形成工程とを有する薄膜顔料製造方法であって、前記剥離層形成工程は、円筒状の前記成膜対象物を中心軸線を中心に回転させながら、剥離材をスパッタリングにより、前記成膜対象物の側面上に剥離層を形成し、前記誘電体積層膜形成工程は、アーク蒸発源にアーク放電を発生させ、前記アーク蒸発源表面から前記アーク蒸発源を構成する薄膜材料粒子を放出させて前記第1、第2の薄膜のうちの少なくとも一方の薄膜を形成するアーク蒸着工程を有している。
また、本発明の薄膜顔料製造方法は前記剥離剤にはカーボン材料を用いることができる。
また、本発明の薄膜顔料製造方法は、前記剥離剤はスパッタリングによって成膜することができる。
また、本発明の薄膜顔料製造方法は、前記アーク蒸発源を導電性材料で構成させ、酸化性ガス雰囲気で前記アーク蒸発源から前記薄膜材料粒子を放出させ、前記酸化性ガスと前記薄膜材料粒子の反応生成物から成る薄膜を形成することができる。
また、本発明の薄膜顔料製造方法の前記誘電体積層膜形成工程は、スパッタリングターゲットをスパッタリングし、前記第1、第2の薄膜のうち他方の薄膜を形成するスパッタリング成膜工程を有することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、高い成膜レートで誘電体積層膜を製造できるので、安価な薄膜顔料を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に用いることができる成膜装置の一例
【図2】顔料積層膜の断面を説明するための図
【図3】成膜対象物のスリットを説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1の符号Aは、本発明の成膜装置を示しており、真空室11を有している。
真空室11の内部には、円筒状の成膜対象物2が、その底面を鉛直にして配置されている。従って、この成膜対象物2の底面に対して垂直な中心軸線は水平に配置されている。
【0016】
真空室11の底壁と成膜対象物2の側面との間には、蒸発ルツボ3が配置されており、真空室11の天井と成膜対象物2との間には、スパッタリングターゲット5とアーク蒸発源4とが互いに離間して配置されている。
蒸発ルツボ3の内部には酸化シリコンが配置されており、その蒸気放出口は成膜対象物2の側面の直下に位置している。
【0017】
スパッタリングターゲット5とアーク蒸発源4は、薄膜原料が板状に成形されて構成されており、そのスパッタリング面と蒸発面は、成膜対象物2の側面に向けられている。
【0018】
ここでは、剥離剤としてスパッタリングターゲット5にカーボングラファイトが用いられており、また、蒸発ルツボ3の内部には酸化シリコンが配置されており、アーク蒸着源4には金属チタンが用いられている。
【0019】
蒸発ルツボ3が配置された真空室11の下部空間と、スパッタリングターゲット5が配置された上部空間との間には防着板21aが配置されており、酸化シリコンの蒸気が上部空間に侵入したり、逆にスパッタリング粒子やアーク蒸発源4から放出された粒子が下部空間に侵入しないように構成されている。
【0020】
また、スパッタリングターゲット5とアーク蒸発源4との間にも防着板21bが配置されており、スパッタリング粒子とアーク放電による粒子が互いに侵入することが防止され、相互汚染が生じないようになっている。
【0021】
上記構成の成膜装置Aを用いて誘電体積層膜を形成する工程を説明する。真空室11には不図示の真空ポンプが接続されており、その真空ポンプによって真空室11内を真空排気し、真空室11を大気圧よりも低圧力の真空雰囲気に置く。
【0022】
先ず、剥離層をスパッタリングにより成膜対象物2の表面に成膜する。
不図示の回転機構により、成膜対象物2を中心軸線回りに回転させ、真空室11内が所定圧力の真空雰囲気で安定したところで、先ず、スパッタリングガスを酸化性ガス導入パイプ15から導入し、真空室11内が所定圧力で安定したところでスパッタリング電源14を起動してスパッタリングターゲット5に負電圧を印加すると、スパッタリングターゲット5表面近傍にプラズマが発生し、スパッタリングターゲット5表面がスパッタリングされる。
【0023】
その状態でスパッタリングターゲット5と成膜対象物2との間のシャッター8を開けると、スパッタリングターゲット5を構成する物質がスパッタリング粒子となって回転している成膜対象物2に到達し、成膜対象物2の側面は剥離層で覆われる。剥離剤がカーボンターゲットであるから、この剥離層はカーボン薄膜である。
剥離層が所定膜厚に形成されたところでシャッター8を閉じ、スパッタリング電源を停止し、スパッタリング用のアルゴンガス導入を停止する。
【0024】
次に、真空室11には酸化性ガス導入パイプ15が接続されており、スパッタリングターゲット5の放電が終了したら、酸化性ガス導入パイプ15を使用してアーク放電用のアルゴンガスを導入し、所定圧力で安定したところでアーク放電電源13を起動する。真空室11に正電圧、アーク蒸発源4に負電圧を印加し、真空室11と同電位のトリガーで蒸発源表面を接触すると、蒸発源表面にアーク放電が発生する。
【0025】
その結果、アーク蒸発源4からアーク蒸発源4を構成する物質が粒子となって放出される。アーク蒸発源表面の放電が安定したらアルゴンガスを導入している酸化性ガス導入パイプ15から酸化性ガスを所定量導入する。
【0026】
その状態でアーク蒸発源4と成膜対象物2との間に設けられたシャッター7を開けると、放出された粒子は回転している成膜対象物2表面に到達し、剥離層表面で酸化性ガスと反応し、剥離層表面に反応生成物から成る第1の誘電体膜が形成される。酸化性ガスとしては酸素ガスが導入されており、チタンと反応する結果、剥離層表面にはチタン酸化物から成る第1の誘電体膜が形成される。
第1の誘電体膜が所定膜厚に形成されたら、アーク放電用電源を停止し、アルゴンガスと酸化性ガスの導入を停止する。
【0027】
次に、蒸発用電源12を起動し、電子銃10から蒸発ルツボ3内の蒸発物に電子線を照射し、蒸発ルツボ3内の蒸発物の蒸気を発生させる。
蒸発ルツボ3内の蒸発物蒸気の発生が安定したところで、蒸発ルツボ3と成膜対象物2との間に位置するシャッター6を開けると蒸発物蒸気は成膜対象物2に到達し、成膜対象物2の第1の誘電体膜表面に積層される。
【0028】
ここで第2の誘電体膜に用いる蒸発物は酸化シリコンである。
第2の誘電体膜が所定膜厚に形成された後、蒸発物3と成膜対象物2との間のシャッター6を閉じ、電子線の照射を停止する。
【0029】
真空室11内が所定圧力のアルゴンガス雰囲気で安定したところで、アーク放電用電源13を起動し、トリガーによりアーク放電を着火させた後、所定量の酸化性ガスを導入して、第1の成膜と同じ要領で第3の誘電体膜を形成する。そして、第3の誘電体膜が所定膜厚に形成されたら、電子線蒸着により、第3の誘電体表面に、第2の誘電体膜と同じ組成の第4の誘電体膜を形成する。
【0030】
このように蒸発ルツボ3とアーク蒸発源4は交互に薄膜原料の粒子を放出させ、剥離層表面に第1〜第14の誘電体膜を形成し、積層された第1〜第14の誘電体膜から成る薄膜顔料用の誘電体積層膜を形成した。奇数番目の薄膜は酸化チタン(TiO2)であり、偶数番目の薄膜は酸化シリコン(SiO2)であり、ここでは各酸化チタン薄膜はすべて膜厚50nmに形成し、各酸化シリコン薄膜は、全て膜厚75nmに形成した。
図2の符号65は、基板30上の剥離層50表面に第1〜第14の薄膜51〜64が形成されて成る誘電体積層膜を示している。
【0031】
次に、この誘電体積層膜が形成された成膜対象物2を真空室11から取り出し、液体中に浸漬し、超音波を印加すると、剥離層から誘電体積層膜が細片となって剥離し、液体中に遊離する。
【0032】
このとき、誘電体積層膜側に付着した剥離層も超音波によって誘電体積層膜から分離し、剥離層が付着していない誘電体積層膜が細片となって液体中に分離され、液体中から取り出される。
液体の一例として温度50℃の温水を用いた。この場合の超音波の印加時間は30分である。
【0033】
液体中から取り出した状態では、上記第1〜第14の薄膜51〜64は酸素不足の状態であり、これを乾燥した後、大気中や酸素ガス中で加熱し、焼成すると、誘電体積層膜中の酸素不足の物質が酸化される。
【0034】
次いで、粉砕し、粉末化し、所望の範囲の粒径の粉末を分離すると薄膜顔料が得られる。
得られた酸化チタン薄膜の屈折率は2.3であり、酸化シリコン薄膜の屈折率は1.46であった。得られた薄膜顔料は、黒色下地の上に塗布すると青色を呈する。
【0035】
上記実施例では二種類の薄膜を積層して薄膜顔料を構成させたが、同じ真空槽内に剥離層用の蒸発ルツボの他、一乃至複数代のアーク蒸発源と、一乃至複数代のスパッタリングターゲットを配置し、三種類以上の薄膜を積層して薄膜顔料を構成させてもよい。
【0036】
要するに、カーボンから成る剥離材料をスパッタリングターゲットに配置してカーボンのスパッタリング粒子を発生させる構成と、アーク放電によって金属から成るアーク蒸発源から金属粒子を放出させる構成と、蒸発ルツボより、化合物蒸気を発生させる構成が1台の真空室11に配置され、成膜対象物に剥離層と他の薄膜を積層して誘電体積層膜を形成する構成を有すれば本発明に含まれる。
【0037】
上記実施例では、酸化チタン薄膜と酸化シリコン薄膜を交互に積層させて誘電体積層膜を形成したが、誘電体積層膜はそれに限定されたものではなく、屈折率が異なる少なくとも二種類の誘電体薄膜を積層させたものであれば本発明に含まれる。例えば五酸化タンタル薄膜、五酸化ニオブ薄膜がある。
【0038】
本発明方法によって得られた粉末状の薄膜顔料は、液体中に分散してインクにしてもよいし、ペースト状の樹脂に分散させ、塗料としてもよい。
なお、本発明に用いる成膜対象物2には、図3に示すように、円周方向にスリット16が形成されており、蒸発ルツボ3やアーク蒸発源4から放出される蒸気や粒子と、スパッタリングターゲット5から放出されるスパッタリング粒子は、そのスリット16を通って成膜対象物2の内部空間に進入できるように構成されている。
【0039】
そして、成膜対象物2の内部空間の、蒸発ルツボ3とスリット16を結ぶ線分の延長線上の位置には、真空蒸着用膜厚センサ22aが配置されており、アーク蒸発源4とスリット16を結ぶ線分の延長線上の位置にはアーク蒸着用膜厚センサ22bが配置されている。同様に、スパッタリングターゲット5とスリット16を結ぶ線分の延長線上の位置にはスパッタリング用膜厚センサ22cが配置されている。
【0040】
各センサ22a〜22cは、成膜対象物2が回転しても、蒸発ルツボ3、アーク蒸発源4、スパッタリングターゲット5に対し静止しており、蒸発ルツボ3から放出された酸化シリコン蒸気はスリットを通って真空蒸着用膜厚センサに到達し、同様に、アーク蒸発源4から放出された粒子やスパッタリングターゲット5から放出されたスパッタリング粒子はスリットを通過し、アーク蒸着用膜厚センサとスパッタリング用膜厚センサにそれぞれ到達する。
【0041】
これらのセンサ22a〜22cは、付着粒子によって形成される薄膜の膜厚に応じた信号を出力する。例えば水晶振動子の場合、膜厚に応じて発信周波数が変化する。
【0042】
従って、センサ22a〜22cが出力する信号により、剥離層50や第1〜第14の薄膜51〜64の膜厚をそれぞれ求めることができる。
【符号の説明】
【0043】
A……成膜装置
51〜64……屈折率が異なる二種類以上の酸化物薄膜
2……成膜対象物
3……蒸発ルツボ
4……アーク蒸発源
5……スパッタリングターゲット
10……加熱手段
13……アーク電源
14……スパッタリング電源
16……スリット
22a……真空蒸着用膜厚センサ
22b……アーク蒸着用膜厚センサ
22c……スパッタリング用膜厚センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸線が水平に配置された円筒形形状の成膜対象物と、
前記成膜対象物の下方に配置された蒸発ルツボと、
前記成膜対象物の上方に配置されたアーク蒸発源とが真空室内に配置され、
前記成膜対象物を前記中心軸線を中心に回転させる回転機構と、
前記ルツボを加熱する加熱手段と、
前記アーク蒸発源にアーク放電を発生させるアーク電源と、
前記アーク蒸発源から放出される粒子と反応する反応性ガスを導入する反応性ガス導入パイプとを有する成膜装置。
【請求項2】
前記成膜対象物には円周方向にスリットが形成され、
前記成膜対象物の内側には、前記蒸発ルツボから放出された蒸気が前記スリットを通過して到達する位置に真空蒸着用膜厚センサが配置され、前記アーク蒸発源から放出された粒子が前記スリットを通って到達する位置にアーク蒸着用膜厚センサが配置された請求項1記載の成膜装置。
【請求項3】
前記真空室内の前記成膜対象物の上方位置にスパッタリングターゲットが配置され、前記スパッタリングターゲットに電圧を印加するスパッタリング電源を有する請求項1又は請求項2のいずれか1項記載の成膜装置。
【請求項4】
前記真空室内の前記成膜対象物の上方位置にスパッタリングターゲットが配置され、
前記スパッタリングターゲットに電圧を印加するスパッタリング電源を有し、
前記成膜対象物には円周方向にスリットが形成され、
前記成膜対象物の内側には、前記スパッタリングターゲットから放出されたスパッタリング粒子が前記スリットを通過して到達する位置にスパッタリング用膜厚センサが配置された請求項1又は請求項2のいずれか1項記載の成膜装置。
【請求項5】
成膜対象物表面に剥離層を形成する剥離層工程と、
透明な第1の薄膜と、前記第1の薄膜表面に形成され、前記第1の薄膜とは屈折率が異なる透明な第2の薄膜とを含む誘電体積層膜を前記剥離層表面に形成する誘電体積層膜形成工程とを有する薄膜顔料製造方法であって、
前記剥離層形成工程は、円筒状の前記成膜対象物を中心軸線を中心に回転させながら、剥離材をスパッタリングにより、前記成膜対象物の側面上に剥離層を形成し、
前記誘電体積層膜形成工程は、アーク蒸発源にアーク放電を発生させ、前記アーク蒸発源表面から前記アーク蒸発源を構成する薄膜材料蒸気を放出させて前記第1、第2の薄膜のうちの少なくとも一方の薄膜を形成するアーク蒸着工程を有する薄膜顔料製造方法。
【請求項6】
前記剥離剤にはカーボン材料を用いる請求項5記載の薄膜顔料製造方法。
【請求項7】
前記剥離剤はスパッタリングによって成膜する請求項5又は請求項6のいずれか1項記載の薄膜顔料製造方法。
【請求項8】
前記アーク蒸発源を導電性材料で構成させ、
酸化性ガス雰囲気で前記アーク蒸発源から前記薄膜材料蒸気を放出させ、
前記酸化性ガスと前記薄膜材料蒸気の反応生成物から成る薄膜を形成する請求項5乃至請求項7のいずれか1項記載の薄膜顔料製造方法。
【請求項9】
前記誘電体積層膜形成工程は、スパッタリングターゲットをスパッタリングし、前記第1、第2の薄膜のうち他方の薄膜を形成するスパッタリング成膜工程を有する請求項5乃至8のいずれか1項記載の薄膜顔料製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−90481(P2010−90481A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−3080(P2010−3080)
【出願日】平成22年1月8日(2010.1.8)
【分割の表示】特願2004−122825(P2004−122825)の分割
【原出願日】平成16年4月19日(2004.4.19)
【出願人】(000231464)株式会社アルバック (1,740)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】