説明

薬剤供給装置

【課題】 薬剤の充填時に容器から薬瓶が溢れ出る不都合を未然に回避できる薬剤供給装置を提供する。
【解決手段】 薬剤供給装置1は、タブレットケース9から排出された薬剤を薬瓶に充填するものであって、薬瓶から薬剤が溢れようとすることを検出する手段を備える。タブレットケース内の薬剤を排出する排出ドラムと、薬瓶の上面開口直上に配置され、タブレットケースから排出された薬剤を検出する薬剤検知センサと、制御装置及び警報用のディスプレイとを備え、この制御装置は、排出ドラムを制御してタブレットケースから薬剤を排出し、薬剤検知センサの検出動作に基づいて排出された薬剤をカウントすると共に、薬剤検知センサが連続して薬剤を検出した場合、薬瓶から薬剤が溢れようとしているものと判断して警報する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病院や調剤薬局などにおいて、タブレットケースに収納された薬剤を処方箋により指定された数量だけ薬瓶や薬包などの容器に充填するための薬剤供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より病院や調剤薬局においては、薬剤供給装置を用いて医師により処方された薬剤を患者に提供している。即ち、この種薬剤供給装置では、処方箋に記載された数量の薬剤(錠剤やカプセル剤など)をタブレットケース内の排出ドラムから一個ずつ排出し、薬瓶に充填するものであった。
【0003】
この場合、タブレットケースは左右に複数並設されたものを縦方向に複数段積層して配置されており、薬瓶はこれらの背面側を移動して所定のタブレットケースまで搬送され、当該タブレットケースから排出された薬剤が充填される(特許文献1及び特許文献2参照)。
【特許文献1】米国特許第6085938号
【特許文献2】米国特許第6592005号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この場合、タブレットケースから排出された薬剤はセンサで検出し、このセンサの出力に基づいてカウントすることで処方箋で指定された数の薬剤を薬瓶に充填するものであるが、容器が小さすぎる場合などの何らかの原因で容器から薬剤が溢れてしまう場合がある。
【0005】
本発明は、係る従来の技術的課題を解決するために成されたものであり、薬剤の充填時に容器から薬瓶が溢れ出る不都合を未然に回避できる薬剤供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の薬剤供給装置は、タブレットケースから排出された薬剤を容器に充填するものであって、容器から薬剤が溢れようとすることを検出する手段を備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明の薬剤供給装置は、上記においてタブレットケース内の薬剤を排出する排出手段と、容器の上面開口直上に配置され、タブレットケースから排出された薬剤を検出する薬剤検出手段と、制御手段及び警報手段とを備え、この制御手段は、排出手段を制御してタブレットケースから薬剤を排出し、薬剤検出手段の検出動作に基づいて排出された薬剤をカウントすると共に、薬剤検出手段が連続して薬剤を検出した場合、容器から薬剤が溢れようとしているものと判断して警報手段を動作させることを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明の薬剤供給装置は、上記において制御手段は、薬剤検出手段が連続して薬剤を検出した場合、排出手段による薬剤の排出を停止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、タブレットケースから排出された薬剤を容器に充填する薬剤供給装置において、容器から薬剤が溢れようとすることを検出する手段を備えているので、何らかの原因によって容器から薬剤が溢れてしまう不都合を予防することが可能となる。
【0010】
特に、請求項2の如くタブレットケース内の薬剤を排出する排出手段と、容器の上面開口直上に配置され、タブレットケースから排出された薬剤を検出する薬剤検出手段と、制御手段及び警報手段とを備え、この制御手段は、排出手段を制御してタブレットケースから薬剤を排出し、薬剤検出手段の検出動作に基づいて排出された薬剤をカウントすると共に、薬剤検出手段が連続して薬剤を検出した場合、容器から薬剤が溢れようとしているものと判断して警報手段を動作させることにより、タブレットケースから排出される薬剤をカウントするための薬剤検出手段を用いて溢れ予防を行うことが可能となる。
【0011】
そして、溢れようとしていると判断した場合には警報手段を動作させて警報するので、作業者に迅速な対処を促すことができるようになる。
【0012】
そして、請求項3の発明の如く薬剤検出手段が連続して薬剤を検出した場合、排出手段による薬剤の排出を停止すれば、薬剤が溢れてしまう不都合を確実に防止することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面に基づき本発明の一実施形態を詳述する。図1は本発明を適用した実施例の薬剤供給装置1の斜視図、図2は薬剤供給装置1の内部構成を一部透視した概略斜視図、図3は薬剤供給装置1の内部構成の前方斜視図、図4は同じく後方斜視図、図5は同じく平面図、図6は同じく正面図、図7は同じく側面図である。
【0014】
実施例の薬剤供給装置1は、病院や調剤薬局などに設置されて医師の処方箋により指定された薬剤を薬瓶に充填し、患者などの被提供者に提供するものであり、全体としては低高横長形状の充填ユニット2と、該充填ユニット2の向かって左側に内部が連通した状態で連結されたこれも低高略矩形状の提供ユニット3(提供手段)とから構成されている。
【0015】
(1)充填ユニット2
先ず、充填ユニット2の構造について説明する。充填ユニット2の高さ寸法は例えば900mm〜1000mmの範囲であり、通常のテーブル高程とされており、幅は1600mm〜1700mm、奥行きは800mm〜900mmの範囲のものである。この充填ユニット2は前面が開閉可能なパネル4にて閉塞されており、充填ユニット2内の上部にはケース収納部6が構成されている。このケース収納部6は上面が開放しており、この上面開口は取り外し自在、若しくは、一側が回動自在に枢支されたトップテーブル7にて開閉自在に閉塞されている。このトップテーブル7は病院や調剤薬局で用いられる物品(段ボール箱入りの薬剤など)を載置可能な所定の強度を有しているものとする。
【0016】
このケース収納部6の底面には図8に示すタブレットケース9を一段平面上に取り付けるための取付板11が取り付けられており、この取付板11には横20×縦10の合計200個のタブレットケース9を一段で取り付けるための図11に示すような取付ベース12が同じく200個取り付けられている。各取付ベース12・・の上面には後述するタブレットケース9の排出ドラム13(排出手段)に係合する係合軸14(排出手段を構成する)が突設されており、この係合軸14は取付ベース12の下面まで延在し、その下端部には係合ギヤ16(排出手段を構成する)が取り付けられている。
【0017】
また、取付ベース12には真下向けて突出する断面矩形状のシュート17が形成されており、このシュート17は上下に開放している。更に、各取付ベース12・・にはタブレットケース9が当該取付ベース12に取り付けられているか否かを検出するためのタブレットケースセンサ18(図20に示す。検出手段)もそれぞれ取り付けられている。
【0018】
前記タブレットケース9は、図8に示すような収納容器21から構成されており、この収納容器21は図6に示すように実施例では高さの低いものと高いもの二種類用意されている。そして、前記ケース収納部6内の高さ寸法は収納容器21の高さの高いタブレットケース9を取付可能な寸法とされている。収納容器21は上面に開口しており、この開口は一側を回動自在に枢支された蓋22にて開閉自在に閉塞されている。これにより、タブレットケース9の収納容器21には上方から薬剤を投入補充可能とされている。
【0019】
また、収納容器21の上面開口縁の蓋22の非枢支側には、当該蓋22が閉じた状態を保持するための手動のロック(ロック機構)23が設けられており、これにより、タブレットケース9を取り外すために持ち上げたときに、不用意に蓋22が開放しないように配慮されている。また、収納容器21内底部には薬剤を一個ずつ下方に落下させて排出するための前述した排出ドラム13が取り付けられている。この排出ドラム13の側面周囲には複数の縦溝24が所定の間隔で形成されており、ロック23を解除し、蓋22を開けて収納容器21の上面開口から投入充填された薬剤は排出ドラム13の縦溝24内に入り込むかたちとなる。そして、後述する如く排出ドラム13が回転され、縦溝24が取付ベース12のシュート17の上方に合致すると、内部の薬剤が一個ずつシュート17に自然落下する仕組みとされている。
【0020】
この場合、収納容器21内の上下方向の略中間となる高さの位置には、一側の壁(実施例では蓋22の枢支側)から他側の壁に向かって斜め下方に傾斜した仕切部材26が取り付けられている。この仕切部材26の先端は他側の壁との間に薬剤が通過可能な間隔を存して対峙しており、これにより、上面開口から投入された薬剤が仕切部材26上からその先端を経て下方の排出ドラム13まで通過を許容された状態で、収納容器21内は上下に仕切られる。
【0021】
ここで、特に収納容器21の高さの高いタブレットケース9では、収納される薬剤の量も多くなるため、排出ドラム13に多大な荷重が加わることになり、係る薬剤による荷重によって排出ドラム13の回転に支障が生じてくる。しかしながら、このように仕切部材26によって収納容器21内を上下に仕切れば、上部の薬剤による荷重の殆どは仕切部材26が受け止めることになるので、排出ドラム13に加わる荷重は軽減され、回転不良(薬剤の排出不良)などを起こす不都合を未然に防止することができるようになる。
【0022】
そして、このようなタブレットケース9を取付ベース12に取り付ける際には、トップテーブル7を開けて上方から取付ベース12に着脱可能に取り付ける。その際、取付ベース12の係合軸14上端部は排出ドラム13に下方から係合し、その回転力が排出ドラム13に伝達されるようになる。また、前述したタブレットケースセンサ18は係るタブレットケース9が取り付けられた場合にONし、取り付けられていない場合にはOFFしている。また、薬剤を収納容器21に補充する際には、同じくトップテーブル7を開けて当該タブレットケース9のロック23を解除し、蓋22を開けて上方から収納容器21内に薬剤を投入する。即ち、係る構成により薬剤の補充はタブレットケース9を取付ベース12に取り付けた状態で行うことができるので、後述する薬瓶Vへの薬剤の充填をしながら、タブレットケース9への薬剤の補充を行うことが可能となる。
【0023】
そして、充填ユニット2内の下部にはケース収納部6の下側に位置して充填装置28(充填手段)が設けられている。この充填装置28は、薬瓶Vを保持するための保持装置29(充填用薬瓶保持手段)と、この保持装置29及びそれに保持された薬瓶Vを所定のタブレットケース9の下方に搬送して配置するための搬送装置(充填用搬送手段)31とから構成されている。この搬送装置31は図9、図10に抽出して示すように、縦方向(奥行き方向。X軸)に水平に設置されたレール32とこのレール32を横方向(Y軸)に水平に移動させるためのレール33とから成り、各レール32、33の端部には搬送用のモータ32M、33Mが取り付けられている。このモータ32M、33Mの駆動により、保持装置29(薬瓶V)はケース収納部6に取り付けられたタブレットケース9・・・の下側を水平方向のX−Y軸上で移動され、所定のタブレットケース9の下方に配置されると共に、その後の移動が行われることになる。尚、モータ33Mは充填ユニット2内下部の提供ユニット3とは反対側の端部に位置しており、このモータ33Mの設置スペース(デッドスペース)を利用して収納容器21を横倍(水平方向に二倍に拡張。収納容器21下端部及び取付ベース12は共通。)したタブレットケース9を取り付けることができるように構成されている。
【0024】
また、保持装置29を図11〜図13に示す。保持装置29は、縦方向を回転軸として所定間隔を存して配置された一対の保持ローラ34、34をそれぞれ備えた一対の保持腕36、36(先端は提供ユニット3側を向いている)と、この保持腕36の上側に設けられた薬剤検知センサ(薬剤検出手段)37(図12、図13では省略)と、前記排出ドラム13を回転させるための回転用モータ(駆動手段)38と、前記保持腕36、36を相互に接近させ、或いは、離間させて薬瓶Vを保持、或いは、放すための保持用モータ39と、保持腕36、36、薬剤検知センサ37、回転用モータ38及び保持用モータ39を昇降させるための昇降用モータ(昇降手段)41などが一体化されて構成されている。
【0025】
前記保持用モータ39は例えば正転して保持腕36、36を相互に接近させ、当該保持腕36、36の間に薬瓶Vを保持すると共に、逆転して保持腕36、36を相互に離間させ、保持していた薬瓶Vを放すものである。このとき、薬瓶Vは保持腕36、36の合計4個の保持ローラ34・・・によって縦方向を軸として回転可能に保持される。また、保持腕36、36が薬瓶Vを保持する場合、当該薬瓶Vの上面開口が薬剤検知センサ37より下側であって極めて近接した位置に来るような所定の保持位置にて保持するように構成されている。更に、回転用モータ38の駆動軸42は保持腕36、36の基部付近にて上方に延在し、保持装置29において最も高い位置となるその先端には駆動ギヤ43が取り付けられると共に、保持腕36、36の基部間に対応する位置の駆動軸42には駆動ローラ44が取り付けられている。
【0026】
ここで、保持腕36、36及び保持用モータ39は保持腕36、36の先端から基部を結ぶ方向(図12における水平方向)に移動可能とされており、常にはコイルバネ(付勢手段)46により保持腕36、36により保持された薬瓶Vが駆動ローラ44から離間する方向に付勢されている。従って、保持腕36、36に保持された薬瓶Vは常には駆動ローラ44に当接しない(図12、図13)。しかしながら、コイルバネ46に抗して保持腕36、36及び保持用モータ39が保持腕36の基部方向に移動されると、図17、図18の如く駆動ローラ44が薬瓶Vの側面に当接する。薬瓶Vはローラ34・・・間に回転自在に保持されているので、駆動ローラ44が側面に当接した状態で当該駆動ローラ44が回転されると、薬瓶Vも回転する構成とされている。尚、上記構成に加えて例えば図22〜図24に示すように各保持腕36、36を常時接近させるように付勢するコイルバネ(付勢手段)35を設ければ、万一停電した場合にも薬瓶Vは保持腕36、36間に機械的に保持され、落下が防止される。
【0027】
また、昇降用モータ41は例えば正転して保持腕36、36、薬剤検知センサ37、回転用モータ38及び保持用モータ39を上昇させ(図14の右側。図19)、逆転して降下させる(図11。図14の左側)。この降下した状態で最も高い位置にある駆動ギヤ43は前述したシュート17の下端よりも低い位置にある。これにより、保持装置29は支障なく各取付ベース12・・・のシュート17下側を水平方向に移動可能となる。また、保持装置29が所定のタブレットケース9下方に移動された状態で、薬瓶Vはシュート17の下方に対応する。そして、その状態で昇降用モータ41により保持腕36、36、薬剤検知センサ37、回転用モータ38及び保持用モータ39が上昇すると、図19に示すように駆動ギヤ43が取付ベース12の係合ギヤ16に上下方向に係脱自在に係合する。これにより、回転用モータ38が駆動されると、その回転力は駆動ギヤ43、係合ギヤ16、係合軸14、排出ドラム13へと伝達されて当該排出ドラム13は回転され、前述したように薬剤が一個ずつシュート17内に排出され、そこを経て薬瓶V内に落下することになる。
【0028】
このとき、図14に示すようにシュート17の突出寸法をA、上昇した状態の薬剤検知センサ37の取付ベース12からの距離をBとすると、Bが少許Aより大きくなる(実施例では0.1mm)ように設定されている。上昇した状態で薬瓶Vの上面開口はシュート17の下端開口に接近するが、上述した設定によって薬剤検知センサ37はそれらの外側であって、且つ、それらの間の高さに位置することになる。この薬剤検知センサ37はシュート17及び薬瓶Vの開口の全域を含む領域において薬剤を検出するものであるが、このような設定によって薬剤検知センサ37は薬瓶V及びシュート17の開口に極めて近い位置にて薬剤を検出できるようになる。また、薬瓶検知センサ37は少なくともシュート17の寸法分、タブレットケース9の排出ドラム13から離間した位置にあるので、薬瓶の粉塵等が薬瓶検知センサ37に付着して汚れ、検知精度が低下する不都合が防止若しくは抑制される。
【0029】
(2)提供ユニット3
次に、提供ユニット3の構造について説明する。提供ユニット3の上部には薬剤を充填した充填済み薬瓶Vを被提供者毎に区別して整列提供するための整列コンベア47及び提供表示器48が設けられると共に、提供ユニット3内には空薬瓶Vを多数収納した3つの薬瓶ユニット(薬瓶収納部)51・・と、二つの蓋ユニット52、52と、搬送装置(提供用搬送手段)53と保持装置(提供用薬瓶保持手段)54とから成る提供装置55と、ラベル貼付装置(ラベル貼付手段)56と、撮影装置(撮影手段)57と、閉蓋装置58(図4、図20に示す)と、二つの受け渡し台61、62と、タッチパネル式のディスプレイ71などが設けられている。
【0030】
整列コンベア47は提供ユニット3の上面に相互に仕切られて複数列設けられており、後方から前方に充填済み薬瓶Vを搬送する。各整列コンベア47・・の前方には、それらに対応して前記提供表示器48がそれぞれ設けられており、この提供表示器48には患者などの被提供者の氏名などを表示される。また、提供装置55は提供ユニット3内の背部に設けられており、搬送装置53は図2に示すように、縦方向(垂直方向。X軸)に設置されたレール63とこのレール63を横方向(Y軸)に移動させるためのレール64とから成り、各レール63、64の端部には前述した搬送装置31と同様の搬送用のモータ(図示せず)が取り付けられている。このモータの駆動により、保持装置54(薬瓶V)は提供ユニット3内の背部を上下左右方向のX−Y軸上で移動されることになる。尚、保持装置54は前述した保持装置29と同様の保持腕36や各モータを備えた構成であるが、昇降する代わりに前後に保持腕36を移動させる。また、この場合保持腕36、36の先端は前方を向いており、回転用モータに相当する構成は有していない。
【0031】
また、薬瓶ユニット51・・と蓋ユニット52、52は提供ユニット3に前方から着脱自在に提供ユニット3の三つの薬瓶収納部及び二つの蓋収納部にそれぞれ装着される。この場合、薬瓶ユニット51・・の内部の構成は収納する薬瓶Vの寸法によって異なるものの、その外形と基本構成は同一であり、何れの寸法の薬瓶Vを収納した薬瓶ユニット51であっても、3つの薬瓶収納部の何れにも取付可能とされている。これにより、使用される薬瓶Vの寸法に応じて使用する薬瓶ユニット51を自由に選択して取り付けられるように構成されている。即ち、寸法の大きい薬瓶Vを多く使用する場合には全て若しくは2個の薬瓶ユニット51を係る寸法の大きい薬瓶Vを収納したものとし、残りの一つを寸法の小さい薬瓶Vを収納した薬瓶ユニット51とする。逆に、寸法の小さい薬瓶Vを多く使用する場合には全て若しくは2個の薬瓶ユニット51を係る寸法の小さい薬瓶Vを収納したものとし、残りの一つを寸法の大きい薬瓶Vを収納した薬瓶ユニット51とすることができる。
【0032】
ここで、薬瓶Vは硬質合成樹脂製の上面が開口した略円筒形の容器であり、充填する薬剤の大きさや量に応じて例えば上述した如き大小二種類の寸法を有しているものとする。また、係る硬質樹脂製であるために薬瓶Vの周囲側面は上面の開口に向けて拡開するような若干のテーパーがついている。また、蓋ユニット52には薬瓶Vの上面開口を密閉するするための蓋が多数収納される。
【0033】
また、ラベル貼付装置56は提供ユニット3内前部の充填ユニット2側に配置されており、裏面に接着剤が塗布され、ロール状に捲回されたラベル66と、このラベル66表面に印字するためのプリンタ67と、印字されたラベル66が所定位置に繰り出されたことを検出するためのセンサ68などから構成されている。ラベル66はプリンタ67により印字された後、一対の支柱69、69(図17、18)間に繰り出される。センサ68はこの支柱69、69の内面に取り付けられている。また、支柱69、69の間隔は、前述した保持装置29の保持腕36、36の間隔に合致している。
【0034】
また、撮影装置57は薬剤が充填されて閉蓋される前の薬瓶Vを上から撮影し、内部の薬剤の映像を記録する。また、閉蓋装置58は蓋ユニット52から蓋を取り出し、撮影装置57により撮影した後の薬瓶Vの上面開口に取り付けて密閉する。また、受け渡し台61、62はラベル貼付装置56後方の提供ユニット3の充填ユニット2側に前後二カ所設置されており、何れも昇降用モータ61M、62Mによって昇降されてその高さを調整可能とされている。
【0035】
(3)制御装置72
次に、図20は薬剤供給装置1の制御装置72の回路ブロック図を示している。制御装置72はマイクロコンピュータ73により構成されており、このマイクロコンピュータ73には前述したタブレットケースセンサ18・・・や薬剤検知センサ37が接続されている。また、マイクロコンピュータ73には前述したディスプレイ71、充填装置28、提供装置55、ラベル貼付装置56、受け渡し台昇降用モータ61M、62M、撮影装置57、閉蓋装置58、整列コンベア47・・、提供表示器48・・、薬瓶ユニット51、蓋ユニット52が接続され、それらが制御される。また、マイクロコンピュータ73は外部のパソコンPとデータ通信可能に接続されている。
【0036】
(4)薬剤供給装置1の動作
以上の構成で、次に薬剤供給装置1の動作を説明する。尚、マイクロコンピュータ73には、タブレットケース9のアドレス(位置)と当該タブレットケース9に収納された薬剤の種類に関するデータが予め入力されているものとする。この場合、何れかの取付ベース12にタブレットケース9が取り付けられていない場合、マイクロコンピュータ73はタブレットケースセンサ18の出力に基づいてタブレットケース9が取り付けられていないアドレスを把握する。そして、以後は当該アドレス(位置)への薬瓶Vの移動を行わないようにする。これにより、制御上の無駄な操作を省くことが可能となり、充填時間の短縮を図ることができるようになる。
【0037】
(4−1)空薬瓶Vの受け渡し
今、ディスプレイ71のタッチパネルからの入力により、或いは、パソコンPからのデータ通信により、所定の処方箋データがマイクロコンピュータ73に入力されると、マイクロコンピュータ73は当該処方箋データで指定された量の薬剤を充填可能な大きさの空薬瓶Vを選択し、提供装置55の搬送装置53の各モータを駆動して、当該空薬瓶Vが収納された薬瓶ユニット51の取出口51Aに保持装置54を移動させる。そして、保持腕36、36の保持用モータを駆動して空薬瓶Vを保持し、再び搬送装置53を制御して受け渡し台61に保持装置54を移動させる。そして、保持腕36、36から空薬瓶Vを放し、受け渡し台61上の所定に載置する。
【0038】
(4−2)薬剤充填
次に、マイクロコンピュータ73は充填装置28の搬送装置31の各モータ32M、33Mを駆動して、保持装置29を受け渡し台61まで移動させる。そして、保持用モータ39を制御して受け渡し台61上の空薬瓶Vを保持腕36、36のローラ34・・・間に保持する。このとき、マイクロコンピュータ73は選択した空薬瓶Vの大きさに応じて昇降用モータ61Mを駆動し、受け渡し台61の高さを調整して保持装置29の保持腕36、36が前述した保持位置にて空薬瓶Vを保持できるようにする。即ち、高さの高い大容量の空薬瓶Vの場合には受け渡し台61の高さを下げ、高さの低い通常容量の空薬瓶Vの場合には高さを上げる。これによって、保持装置29の保持腕36、36は常に前述した保持位置にて空薬瓶Vを保持できるようになる。尚、マイクロコンピュータ73は受け渡し台62についても昇降用モータ62Mによって同様の高さ調整を行うものとする。また、受け渡し台61上に載置された空薬瓶Vの位置が所定位置よりずれていた場合には、保持装置29が受け渡し台61まで移動された際、薬瓶Vの位置は図21に破線で示すように各保持腕36、36間において所定位置よりずれた位置にくることになる。しかしながら、保持腕36、36を接近させていくと、薬瓶Vは先ず最も近い位置の保持ローラ34に当接し、回転しながら移動され、次々に他の保持ローラ34に当接していってやがては全保持ローラ34、34、34、34の中央である所定位置に強制的に位置決めされることになる。このように受け渡し台61上の薬瓶Vの位置(水平方向の位置)がずれていた場合にも、保持ローラ34・・・が協働して所定位置に薬瓶Vを案内するので、位置決め精度が向上する。尚、これは保持装置54においても同様である。
【0039】
保持装置29にて空薬瓶Vを保持したら、マイクロコンピュータ73は搬送装置31の各モータ32M、33Mを駆動して、処方箋により指示された薬剤が収納されたアドレスのタブレットケース9下方に保持装置29及び空薬瓶Vを移動させる。次に、昇降用モータ41を駆動して保持腕36、36、薬剤検知センサ37、回転用モータ38及び保持用モータ39を上昇させ、図14の右側及び図19に示すように取付ベース12の係合ギヤ16に駆動ギヤ43を係合させる。
【0040】
(4−2−1)排出速度制御
次に、マイクロコンピュータ73は回転用モータ38を駆動し、駆動ギヤ43、係合ギヤ16及び係合軸14を介して排出ドラム13を回転させる。これにより、前述した如く排出ドラム13の縦溝24内の薬剤が一個ずつシュート17内を経て薬剤V内に自然落下することになる。薬剤検知センサ37はシュート17の下端開口から下方に落下する薬剤を検出する。マイクロコンピュータ73はこの薬剤検知センサ37の検出動作に基づき薬瓶Vに落下した薬剤の数をカウントし、処方箋により指定された数量に達したら回転用モータ38を停止し、排出充填動作を終了する。
【0041】
この場合、マイクロコンピュータ73は当該タブレットケース9内に収納された薬剤の種類に応じて回転用モータ38の回転数を調整し、薬剤の排出速度を変更する。即ち、薬剤の寸法が小さい場合は薬剤検知センサ37を通過する時間が短くなる。また、薬剤の形状が丸形状である場合にも同様に通過時間は短くなる(長い形状の場合には通過時間が長くなるため)。このような場合には、回転用モータ38の回転数を速くして排出ドラム13からの排出速度を上げても、薬剤検知センサ37は支障なく薬剤を検出することができる。そこで、マイクロコンピュータ9は当該アドレスのタブレットケース9に対して予め設定されている薬剤の種類に基づき、当該薬剤の寸法が小さい場合(予め薬剤の大小寸法基準は定めておくものとする)、及び/又は、薬剤の形状が丸形状である場合、回転用モータ38の回転数を高回転として排出速度を上げ、充填時間の短縮を図る。尚、薬剤の寸法が大きい場合には回転用モータ38を通常の回転数とする。この回転用モータ38の回転数の変更は、2段階や3段階などの段階制御の他、薬剤種類に応じて連続的に変化させる(例えば30RPM〜70RPMの範囲)制御でもよい。
【0042】
また、このようにマイクロコンピュータ73は薬剤検知センサ37の検出動作に基づく薬剤のカウントが終了する間際、即ち、カウントが指定数量に達する例えば5個前(残り所定数量)になったら、回転用モータ38の回転数を低速(例えば10RPM)にして薬剤の排出速度を遅くする。これにより、薬剤検知センサ37による検出精度を向上させる。即ち、係る制御により、上述の如く薬剤の充填時間の短縮を図りながら、薬剤のカウント精度を向上させる。特に、回転用モータ38の回転数を低速とすることで、排出ドラム13は正確に正規位置で停止される。これにより、過剰排出が防止され、排出精度も向上する。
【0043】
尚、係る薬剤の排出動作中は駆動ローラ44も回転するが、図12、図13に示すように駆動ローラ44は保持腕36、36に保持された薬瓶Vに当接していない。ここで、前述したように薬瓶Vの周囲側面には上面開口に向けて拡開するようなテーパーが付けられている。そのため、係る排出動作中に駆動ローラ44が薬瓶Vに当接していると、回転用モータ38の駆動によって薬瓶Vも回転してしまう。一方、係る排出動作中の回転は数十回転以上行われることになるため、薬瓶Vはその周囲側面のテーパーにより上方に移動して外れてしまう危険性があるが、薬剤の排出動作中は図12、図13のように薬瓶Vに駆動ローラ44を当接させないことにより、係る不都合を防止している。ここで、薬瓶Vのテーパーに対応して各保持ローラ34・・・にもテーパーを付けているが、実際には薬瓶の寸法の大小でテーパー値も異なるので、完全に一致したテーパーを保持ローラ34に付けることは不可能である。従って、上述した構成が一層効果をあげることになる。一方、保持ローラ34を上下2分割すれば(実施例では合計8個となる)、薬瓶Vとのテーパーを完全に一致させることが可能となり、更に保持力を増大させて安定した搬送を可能とすることができる。但し、保持力の増大を望まなければ保持ローラ34のテーパーも削除できる。また、保持ローラ34の材質は金属系に比して薬瓶Vの保持力が増大するゴム係が望ましい。
【0044】
(4−2−2)薬剤溢れ予防制御
ここで、例えば予め設定された薬剤の寸法に誤りがあり、選択された薬瓶Vの寸法が充填される薬剤の全体量よりも小さい場合や、回転用モータ38及びその制御系統に故障が生じた場合などの何らかの原因により、タブレットケース9から排出された薬剤が薬瓶Vから溢れ出てしまう場合がある。
【0045】
係る場合、薬剤は薬瓶Vから溢れる寸前にその上面開口から山となって上方に突出することになる。一方、前述した所定の保持位置で保持された薬瓶Vの上面開口は、薬剤検知センサ37の下側であって極めて近接した位置にある。薬剤が落下している状態では、薬剤検知センサ37は通過する薬剤を検出するので、その出力はパルスとなる。しかしながら、薬剤が薬瓶Vの上面開口から山となって上方に突出すると、薬剤検知センサ37は連続してこの山となって盛り上がった薬剤を検出することになり、その出力はパルスでは無く、連続したものとなる。
【0046】
マイクロコンピュータ73はこのように薬剤検知センサ37が連続して薬剤を検出している場合、薬瓶Vから薬剤が溢れようとしているものと判断し、回転用モータ38を停止して排出ドラム13の回転を停止させる。このとき、回転用モータ38が制御不能となっている場合のために、別途回転用モータ38への給電経路に開閉器を設けてもよい。これにより、薬瓶Vから薬剤が溢れる前に薬剤の排出を停止し、薬剤が薬瓶Vから溢れ出る不都合を未然に回避することができる。同時にディスプレイ71(警報手段となる)に所定の溢れ警報を表示することにより、作業者(薬剤師など)に薬剤が薬瓶Vから溢れようとしていることを予防警告する。これにより、使用者は迅速に対処することができるようになる。
【0047】
(4−3)ラベル貼付
このように処方箋により指定された数量の薬剤を薬瓶Vに充填したら、マイクロコンピュータ73は昇降用モータ41を駆動して保持腕36、36、薬剤検知センサ37、回転用モータ38及び保持用モータ39を降下させる(図11。図14の左側)。次に、マイクロコンピュータ73は充填装置28の搬送装置31の各モータ32M、33Mを駆動して、保持装置29をラベル貼付装置56まで移動させる(図5)。この位置(ラベル貼付位置)で、保持装置29の保持腕36、36はラベル貼付装置56の支柱69、69に対応する位置にある。
【0048】
マイクロコンピュータ73は上述した薬剤の充填中、或いは、保持装置29をラベル貼付装置56まで移動させた後にプリンタ67によりラベル66の表面に当該薬瓶Vを提供する被提供者である患者名や薬剤名、数量、用法などの服用に関する情報を印字する。次に、ラベル66を支柱69、69間に繰り出すと共に、その先端をセンサ68が検出したら、搬送装置31のモータ33Mを駆動して保持装置29の保持腕36、36を支柱69、69に押し付ける。この押し付け動作によりコイルバネ46に抗して保持腕36、36及び保持用モータ39が保持腕36、36の基部方向に移動されるので、図17、図18の如く駆動ローラ44が薬瓶Vの側面(外面)に当接する。ここで、図13の如く薬瓶Vを保持腕36、36間に保持した状態で、薬瓶Vと駆動ローラ44との隙間は、寸法の大きい薬瓶Vの場合には例えば約4mm、大きい薬瓶Vの場合には例えば約2mmある。マイクロコンピュータ73は、モータ33Mにより保持装置29を支柱69方向に移動させ、保持腕36、36が支柱69に当接した時点から、寸法の大きい薬瓶Vの場合には更に2mm、小さい薬瓶Vの場合には更に4mm保持装置29を支柱69方向に移動させ、保持用モータ39を保持腕36の基部方向に移動させる。これにより、駆動ローラ44は薬瓶Vの側面に当接することになる。尚、薬瓶Vの寸法が更に小さくなり(細い)、或いは、大きくなった(太い)場合、マイクロコンピュータ73は予め設定された当該薬瓶Vと駆動ローラ44間の隙間寸法に合わせて保持腕36が支柱69に当接した後の保持装置29の移動量を変更するものである。
【0049】
この状態で印字されたラベル66の先端は薬瓶Vの側面(外面)に接触する(図18)。マイクロコンピュータ73はラベル66の先端によりセンサ68が遮断された時点から回転用モータ38を駆動し、ラベル66がセンサ68を通過した後、例えば1秒後(所定時間後)に回転用モータ38を停止する。上述の如く駆動ローラ44は薬瓶Vの側面に当接するので、当該駆動ローラ44の回転によって薬瓶Vは回転する。ラベル66は所定箇所で切断され、或いは、予め切断されているので、このような回転用モータ38の制御により、印字されたラベル66は薬瓶Vの側面(外面)に張り付きながら引き出されて貼付されることになる。このような構成とすることにより、薬瓶Vへの薬剤の充填からラベル貼付までを全自動化することができる。また、タブレットケース9から薬剤を排出する排出ドラム13を回転させるための回転用モータ38を用いて薬瓶V外面にラベル66を貼付することができるようになり、部品点数とコストの著しい削減が図れる。
【0050】
(4−4)充填済み薬瓶Vの受け渡し
このようにラベル66を薬瓶Vの側面に貼付した後、マイクロコンピュータ73は搬送装置31のモータ33Mを駆動して保持装置29の保持腕36、36を支柱69、69から離間させる。次に、搬送装置31のモータ32M、33Mを制御して受け渡し台62に保持装置29を移動させる。そして、保持腕36、36から充填済み薬瓶Vを放し、受け渡し台62上に載置する。この状態でマイクロコンピュータ73は撮影装置57により薬瓶Vを上から撮影し、当該薬瓶V内の薬剤の映像を取り込んで記憶装置に保管する。この保管された映像はディスプレイ71に表示することができるので、当該薬瓶V内に充填された薬剤の確認を容易に行うことができるようになり、これにより、薬剤の誤提供を未然に回避し、或いは、誤提供された場合の原因究明に役立てることができるようになる。
【0051】
(4−5)薬剤提供
次に、マイクロコンピュータ73は提供装置55の搬送装置53を制御して、保持装置54を受け渡し台62まで移動させる。そして、モータを制御して受け渡し台62上の充填済み薬瓶Vを保持腕36、36に保持する。そして、搬送装置53を制御し、受け渡し台62と同じ高さでその近傍に設けられた閉蓋装置58に保持装置54及び薬瓶Vを移動させ、蓋ユニット52から排出された蓋を薬瓶Vの上面開口に被せて密閉する。次に、マイクロコンピュータ73は搬送装置53により閉蓋された薬瓶Vを上昇させ、また、左右に移動させて提供ユニット3上面の所定の整列コンベア47に載せる。このような上昇及び左右への移動の際も薬瓶Vは閉蓋されているので、内部の薬剤がこぼれることも無い。そして、整列コンベア47は載せられた薬瓶Vを前方に搬送して所定の提供位置に整列させる。
【0052】
マイクロコンピュータ73は、整列コンベア47上に薬瓶Vが無いときはその前方に対応する提供表示器48を消灯しており、薬瓶Vを整列提供中には提供表示器48を点滅させ、整列が終了した場合に提供表示器48を連続点灯させる。また、マイクロコンピュータ73は提供表示器48に整列中から当該薬瓶Vを提供する被提供者である患者名、或いは、それを特定する情報を表示すると共に、薬瓶Vが取り出された場合に消灯する。これにより、薬瓶Vは提供者毎に区別して整列提供されるので、作業者は当該患者に提供する薬瓶Vを容易に且つ確実に見つけることができるようになり、円滑な薬剤提供を実現し、且つ、誤った薬剤の提供を未然に回避することができるようになる。
【0053】
また、このように充填ユニット2と提供ユニット3の間で受け渡し台61、62を介し、空薬瓶V及び充填済み薬瓶Vの受け渡しを行うようにしたので、薬剤充填のための薬瓶Vの搬送方向(水平方向)と、薬剤提供のための薬瓶Vの搬送方向(垂直方向)とが異なる場合にも、搬送装置の構成を著しく簡素化しながら円滑な薬瓶搬送を実現することができるようになる。
【0054】
ここで、実施例では受け渡し台を2個設けているので、受け渡し台61に空薬瓶Vを、受け渡し台62には充填済み薬瓶Vを同時に載置することができる。そこで、マイクロコンピュータ73は、搬送装置31の動作状況に関わらず、受け渡し台61上に空薬瓶Vが存在しなければ、搬送装置53により空薬瓶Vを受け渡し台61上に搬送すると共に、受け渡し台62上の充填済み薬瓶Vの撮影が終了していれば、当該充填済み薬瓶Vを搬送装置53により閉蓋装置58に搬送する。また、搬送装置53の動作状況に関わらず、受け渡し台61上に空薬瓶Vが存在すれば、搬送装置31を移動させて当該空薬瓶Vを保持し、薬瓶V内に薬剤を充填する動作を実行すると共に、受け渡し台62上に充填済み薬瓶Vが無ければ、ラベル66を貼付した充填済み薬瓶Vを搬送装置31により受け渡し台62上に搬送する。
【0055】
即ち、搬送装置53による薬瓶V(空薬瓶及び充填済み薬瓶)の移動と、搬送装置31による薬瓶V(充填済み薬瓶及び空薬瓶)の移動を同時進行で行うので、薬剤供給作業の迅速化が図れるようになる。
【0056】
尚、実施例ではタブレットケース9から排出される薬剤のカウントに用いる薬剤検知センサ37を使用して薬剤の溢れを判断したが、通常薬瓶Vは透光性の硬質合成樹脂にて成型されているので、赤外線センサを薬瓶Vの上面開口直下に対応して設ければ、この赤外線センサが薬剤を検出することによっても、薬剤が溢れようとしていることを検出することができる。その場合には、上記実施例に比して赤外線センサを別途設ける必要が生じるものの、薬瓶Vの上面開口から薬剤が盛り上がる以前に溢れを判断できるようになるので、溢出予防効果をより一層向上させることが可能となる。
【0057】
また、実施例では薬瓶に薬剤を充填する例で説明したが、それに限らず、薬包に薬剤を充填する薬剤供給装置にも本発明は有効である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明を適用した実施例の薬剤供給装置の斜視図である。
【図2】薬剤供給装置の内部構成を一部透視した概略斜視図である。
【図3】薬剤供給装置の内部構成の前方斜視図である。
【図4】同じく後方斜視図である。
【図5】同じく平面図である。
【図6】同じく正面図である。
【図7】同じく側面図である。
【図8】タブレットケースの斜視図である。
【図9】充填装置の搬送装置と提供装置のラベル貼付装置の斜視図である。
【図10】図9の正面図である。
【図11】充填装置の搬送装置の保持装置と取付ベースの斜視図である。
【図12】充填装置の搬送装置の保持装置の正面図である。
【図13】図12の保持装置の平面図である。
【図14】図12の保持装置の昇降動作を説明する図である。
【図15】ラベル貼付位置にある充填装置の搬送装置とラベル貼付装置の斜視図である。
【図16】図15の正面図である。
【図17】ラベル貼付位置における搬送装置の保持装置の正面図である。
【図18】図17の保持装置の平面図である。
【図19】保持腕が上昇した状態の図12の保持装置の斜視図である。
【図20】薬剤供給装置の制御装置の回路ブロック図である。
【図21】図12の保持装置ももう一つの平面図である。
【図22】充填装置の搬送装置の保持装置の他の実施例を示す正面図である。
【図23】図22の保持装置の平面図である。
【図24】図22の保持装置の側面図である。
【符号の説明】
【0059】
1 薬剤供給装置
2 充填ユニット
3 提供ユニット(提供手段)
6 ケース収納部
7 トップテーブル
9 タブレットケース
12 取付ベース
13 排出ドラム(排出手段)
16 係合ギヤ
17 シュート
18 タブレットケースセンサ(検出手段)
22 蓋
23 ロック(ロック機構)
26 仕切部材
28 充填装置(充填手段)
29 保持装置(充填用薬瓶保持手段)
31 搬送装置(充填用搬送手段)
34 ローラ
36 保持腕
37 薬剤検知センサ(薬剤検出手段)
38 回転用モータ(駆動手段)
41 昇降用モータ(昇降手段)
43 駆動ギヤ
44 駆動ローラ
47 整列コンベア
48 提供表示器
53 搬送装置(提供用搬送手段)
54 保持装置(提供用薬瓶保持手段)
56 ラベル貼付装置(ラベル貼付手段)
58 閉蓋装置(閉蓋手段)
61、62 受け渡し台
66 ラベル
67 プリンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タブレットケースから排出された薬剤を容器に充填する薬剤供給装置において、
前記容器から薬剤が溢れようとすることを検出する手段を備えたことを特徴とする薬剤供給装置。
【請求項2】
前記タブレットケース内の薬剤を排出する排出手段と、
前記容器の上面開口直上に配置され、前記タブレットケースから排出された薬剤を検出する薬剤検出手段と、
制御手段及び警報手段とを備え、
該制御手段は、前記排出手段を制御して前記タブレットケースから薬剤を排出し、前記薬剤検出手段の検出動作に基づいて排出された薬剤をカウントすると共に、前記薬剤検出手段が連続して薬剤を検出した場合、前記容器から薬剤が溢れようとしているものと判断して前記警報手段を動作させることを特徴とする請求項1の薬剤供給装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記薬剤検出手段が連続して薬剤を検出した場合、前記排出手段による薬剤の排出を停止することを特徴とする請求項2の薬剤供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2006−204495(P2006−204495A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−19636(P2005−19636)
【出願日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(302010448)三洋電機バイオメディカ株式会社 (14)
【Fターム(参考)】