説明

薬剤組成物

【課題】経口投与後の消化管吸収が特に向上した、クラブラン酸粒子、その製造法および薬剤組成物の提供。
【解決手段】粒子のメジアンが8μm〜35μmである、クラブラン酸またはその塩。a)有機溶媒からクラブラン酸を単離するステップと、b)ステップa)で得た粒子を、粒子のメジアンが8μmと35μmの間になるまで、乾燥/混合兼用機中で処理するステップ、とを含む、該クラブラン酸粒子の製造方法。該クラブラン酸またはその塩の粒子を含む、錠剤、フィルムコート錠、チュアブル錠、経口懸濁剤用の散剤、または分散性錠剤である、薬剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クラブラン酸とアモキシシリンの併用型薬剤組成物など、薬剤組成物に関する。
【0002】
オーグメンチン(登録商標)(たとえば「Merck Index」第12版、第2402項を参照)は、β−ラクタマーゼ阻害薬クラブラン酸(カリウム塩の形)と広スペクトル抗生物質のアモキシシリン(三水和物の形)を併せた薬剤組成物の市販形態である。経口投与された場合、このような組成物の活性成分アモキシシリンおよびβ−ラクタマーゼ阻害薬は、妥当な量および濃度で吸収部位では溶解形で利用されるべきである。
【0003】
クラブラン酸を調製する従来からの方法によれば、たとえば針状、棒形結晶状、またはロゼッタ状のクラブラン酸およびその塩が、粒子、たとえば結晶粒子の80%が粒径40μm以上、たとえば最高で250μm以上、かつ粒子のメジアンが70μm以上、たとえば最高で110μm以上という粒径および粒径分布で得られる。粒径および粒径分布は、公知の方法、たとえばパターン分析またはレーザー回折プロセスによって測定しうる。メジアンは、平均値に代わる中央値である。粒径の場合では、メジアンは、粒子の50%がそれより大きく、粒子の50%がそれより小さい実粒径を意味する。メジアンは、従来の方法、たとえば実粒径の分布に基づく数計算によって決定しうる。
【0004】
今回我々は、驚くべきことに、クラブラン酸粒子のメジアンおよび/または粒径がある大きさであると、クラブラン酸の経口投与後の消化管吸収が特に向上することを発見した。
【0005】
一態様としては、本発明は、たとえばナトリウム塩のクラブラン酸であって、
−粒子のメジアンが、8μm、好ましくは10μmと、35μm、好ましくは30μmの間であり、かつ/または
−クラブラン酸粒子の80%が粒径2μm〜70μmなど、1μm〜70μmであるものを提供する。
【0006】
メジアンは、10μm〜30μmであることが好ましく、より好ましくは12μm〜30μmである。クラブラン酸粒子の80%が粒径2μm〜70μmであることが好ましい。クラブラン酸には、遊離のクラブラン酸、および塩の形のクラブラン酸、たとえばアルカリ塩やアルカリ金属塩などの薬剤として許容される塩、好ましくはカリウム塩が含まれる。発明によるクラブラン酸塩は、たとえば粉末または結晶状の固体粒子である。
【0007】
また驚くべきことに、発明によるクラブラン酸粒子を、薬剤組成物、たとえばオーグメンチン(登録商標)組成物の形で投与しても、その有利な吸収特性が保持されることを発見した。
【0008】
別の態様として、本発明は、
−クラブラン酸粒子のメジアンが8μm、好ましくは10μm〜35μm、好ましくは10μm〜30μmであり、かつ/または
−クラブラン酸のクラブラン酸粒子、たとえば結晶粒子または粉末粒子の80%が粒径2μm〜70μmなど、1μm〜70μmであるクラブラン酸含有薬剤組成物を提供する。
【0009】
薬剤組成物には、フィルムコート錠、チュアブル錠、経口懸濁剤用の散剤、分散性錠剤など、経口薬剤組成物が含まれる。
【0010】
本発明によるクラブラン酸は、たとえば以下のように、すなわち、溶媒、好ましくはn−ブタノールおよび/またはイソブタノールから、好ましくはカリウム塩のクラブラン酸を、たとえば結晶化して単離し、さらに、たとえばまだ溶媒で湿っているような得られた結晶を、粒子のメジアンが8μm〜35μmになり、かつ/またはクラブラン酸粒子の80%が粒径1μm〜70μmになるまで乾燥/混合兼用機中で処理することによって得られる。
【0011】
驚くべきことに、我々は、クラブラン酸(カリウム塩)の調製においてn−ブタノールおよび/またはイソブタノールを溶媒として使用すると、n−ブタノールおよび/またはイソブタノール以外の溶媒よりも、後に続く乾燥および混合兼用機での処理によって、本発明によるクラブラン酸を得るのに特に有用な大きさのクラブラン酸粒子が製造できることを発見した。
【0012】
別の態様として、本発明は、
a)有機溶媒、たとえばn−ブタノールおよび/またはイソブタノールから、たとえばカリウム塩のクラブラン酸を単離するステップと、
b)ステップ(a)で得られた粒子を、粒子のメジアンが8μmと35μmの間になり、かつ/またはクラブラン酸粒子の80%が粒径1μm〜70μmになるまで乾燥/混合兼用機中で処理するステップとを含む、粒子のメジアンが8μmと35μmの間であり、かつ/またはクラブラン酸粒子の80%が粒径1μm〜70μmであるクラブラン酸の製造
方法を提供する。
【0013】
n−ブタノールおよび/またはイソブタノールから薬剤として許容される塩の形のクラブラン酸を単離することは知られており、たとえばWO97/18216に記載されている。97/18216の内容およびそこで引用されている文献の内容を本出願の一部として参照により本出願に組み込む。
【0014】
WO97/18216に記載の方法によると、溶媒としてのn−ブタノールおよび/またはイソブタノール中のクラブラン酸が、薬剤として許容されるクラブラン酸塩、たとえばアルカリ塩またはアルカリ金属塩、好ましくはカリウム塩に変換される。出発材料として、クラブラン酸は、それ自体を使用しても、塩の形、たとえばリチウム塩またはアミン塩、好ましくはアミン塩を使用してもよい。アミン塩には、WO97/18216で開示されているアミン、たとえばt−ブチルアミン、t−オクチルアミン(2−アミノ−2,4,4−トリメチルペンタン)、N,N’−ジイソプロピルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−ジアミノエタン、および1,3−ビス(ジメチルアミノ)−2−プロパノール、好ましくはt−オクチルアミンまたはt−ブチルアミンとクラブラン酸の塩が含まれる。アミンとの塩の形のクラブラン酸は、たとえば、そこで引用した文献を含むWO97/18216で開示された方法の1つ、好ましくは以下の方法、すなわち、
a)相当する微生物、たとえば、発酵中にクラブラン酸を産生できる微生物で発酵させて、不純なクラブラン酸含有水性発酵ブロスを得、
b)場合によって、ステップa)で得た発酵ブロスの一部を採取し、
c)場合によって、たとえば、
−発酵ブロスから少なくとも固体の一部を除去し、かつ/または
−クラブラン酸を含有する不純もしくは予備精製水性発酵ブロスを、水との接触時に2つの相を形成し得る有機溶媒での抽出にかけることによって、ステップa)またはb)の発酵ブロスを予め精製して、予備精製クラブラン酸含有水性発酵ブロスまたは水溶液を得、
d)場合によって、ステップa)、b)、またはc)の不純もしくは予備精製発酵ブロスもしくは水溶液を濃縮し、
e)ステップa)、b)、c)、またはd)の発酵ブロスを酸性化して、酸性化された、場合によって濃縮される不純もしくは予備精製クラブラン酸含有水性発酵ブロスまたは水溶液を得、
f)ステップe)の酸性化された発酵ブロスまたは溶液を、抽出条件下でクラブラン酸を溶解し、かつ水との接触時に2つの相を形成し得る有機溶媒での抽出して、クラブラン酸の有機溶媒溶液を得、
g)ステップf)で得た溶液を、アミン、好ましくはt−ブチルアミン、t−オクチルアミン、N,N’−ジイソプロピルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−ジアミノエタン、または1,3−ビス(ジメチルアミノ)−2−プロパノール、より好ましくはt−オクチルアミンまたはt−ブチルアミンで処理して、アミン塩、および/またはアセトン溶媒など、溶媒和化合物の形のクラブラン酸を得、得られた塩を場合によって単離し、さらに
h)ステップg)の塩を、薬剤として許容されるクラブラン酸塩、たとえばカリウム塩に変換する方法に従って製造してよい。
【0015】
ステップh)による変換は、たとえば次のように、適切に実施すればよい。アミン塩の形のクラブラン酸を、n−ブタノールおよび/またはイソブタノールに溶解させる。たとえば、クラブラン酸が十分に溶解する量のn−ブタノールまたはイソブタノールを使用することが好ましい。水は、たとえば0.5〜10%、1.0〜4%などのたとえば1.0〜5%、たとえば1.5〜3.0%溶液中に存在していてよい。得られた溶液を、場合によって活性炭素で処理し、クラブラン酸と共に薬剤として許容される塩を形成し得るカチオン源と接触させる。この種のカチオン源は、WO97/18216、たとえばそこで引用されている文献に記載されており、それには、たとえば(C2〜8)−カルボン酸、たとえば2−エチルヘキサン酸のアルカリ金属塩またはアルカリ塩、たとえばそのカリウム塩、ならびに酢酸塩、たとえば酢酸カリウムが含まれる。酢酸塩をカチオン源として使用する場合、反応混合物に酢酸を追加として加えてよい。カチオン源とクラブラン酸アミン塩溶液との接触は、WO97/18216、たとえばそこに引用されている文献に記載されている方法の1つに従って行えばよく、次のように行うことが好ましい。カチオン源を溶媒、好ましくはn−ブタノールおよび/またはイソブタノールに溶かした溶液を、たとえば少量ずつ、クラブラン酸アミン塩の溶液に加える。クラブラン酸(塩)1モルあたり少なくとも1当量のカチオン源、好ましくは約1.1など、1.0から、好ましくは約2.0など、3.0当量を使用する。薬剤として許容される塩の形のクラブラン酸は、反応混合物から沈殿することがある。たとえば、完全に沈殿させるために、薬剤として許容される塩が溶解しにくい溶媒を混合物にさらに加えても、かつ/または得られた混合物を、たとえば約0℃〜約5℃など、0℃〜約10℃未満の温度に冷却してもよい。薬剤として許容されるクラブラン酸塩は、たとえば濾過、遠心分離によって単離し、それを固体、たとえば非ロゼット状またはロゼット状結晶の形で得る。
【0016】
粒子のメジアンが8μm〜35μmであり、かつ/またはクラブラン酸の粒子、たとえば結晶もしくは粉末粒子の80%が粒径1μm〜70μmであるクラブラン酸が得られるように混合機のせん断力を設定してある混合機兼用の乾燥機中で薬剤として許容されるクラブラン酸塩を、たとえば溶媒で湿っている間に乾燥させる。混合機兼用の乾燥機は、市販されている。混合機のせん断力、およびそれと共にクラブラン酸の粒径は、乾燥中に混合機のスイッチを入れている期間が短いか長いかによって調節される。混合機のスイッチをオンおよびオフにすべき最も適切な時間は、予備試験によって決定される。
【0017】
粒子のメジアンが8μm〜35μmであり、かつ/またはクラブラン酸の粒子、たとえば結晶もしくは粉末粒子の80%が粒径1μm〜70μmである、薬剤として許容される形の本発明によるクラブラン酸が得られる。
【0018】
別の態様として、本発明は、
a)クラブラン酸のアミン塩を薬剤として許容されるクラブラン酸塩に変換するステップであって、たとえば、
−クラブラン酸の有機溶媒溶液をアミンで処理することによって前記アミン塩を得、たとえば、
−酸性化された、不純もしくは予備精製クラブラン酸含有水性発酵ブロスまたは水溶液を、抽出条件下でクラブラン酸を溶解し、かつ水との接触時に2つの相を形成し得る有機溶媒での抽出にかけることによって前記のクラブラン酸の有機溶媒溶液を得、たとえば、
−場合によって予備濃縮した不純もしくは予備精製クラブラン酸含有水性発酵ブロスまたは水溶液を酸性化することによって、前記の酸性化された、不純もしくは予備精製クラブラン酸含有発酵ブロスまたは溶液を得、たとえば、
−不純もしくは予備精製クラブラン酸含有発酵ブロスまたは水溶液を場合によって濃縮することによって、前記の場合によって予備濃縮した不純または予備精製クラブラン酸含有水性発酵ブロスまたは水溶液を得、たとえば、
−クラブラン酸含有発酵ブロスから少なくとも固体の一部を除去し、かつ/または不純もしくは予備精製クラブラン酸含有水性発酵ブロスを、水との接触時に2つの相を形成し得る有機溶媒での抽出にかけることによって、前記の予備精製クラブラン酸含有水性発酵ブロスまたは水溶液を得、たとえば、
−適切な微生物で発酵させることによって前記の不純なクラブラン酸含有水性発酵ブロスを得るステップと、
b)ステップa)で得た、たとえば溶媒で湿った形の薬剤として許容されるクラブラン酸塩を、粒子のメジアンが8μm〜35μmになり、かつ/または粒子の80%が粒径1μm〜70μmになるまで、乾燥および混合兼用機中で処理するステップであり、たとえば、たとえば乾燥中に混合機のスイッチを適切にオンおよびオフにすることによって、混合機のせん断力を適切なメジアンおよび/または粒径の調節に利用するステップとを含む、粒子のメジアンが8μm〜35μmであり、かつ/またはクラブラン酸粒子の80%が粒径1μm〜70μmである、カリウム塩など、薬剤として許容される塩の形のクラブラン酸を調製する方法を提供する。
【0019】
クラブラン酸の溶液は、クラブラン酸を水性溶媒系に溶解させることによって得てもよい。
【0020】
以下の実施例における温度はすべて、摂氏度であり、補正していない。
【0021】
以下の略語を使用した。
CS−K:カリウム塩の形のクラブラン酸
【0022】
実施例A
CS−Kは、WO97/18216の実施例1〜9の方法に従って作製し、混合物から抽出する。メジアンが35μmより大きく、粒径が1μmと70μmの間である粒子が80%未満である結晶粒子が得られる。そうして得たCS−Kを、以下の実施例のいずれかに従って、溶媒で湿っている間に処理する。
【0023】
実施例1
粒子のメジアンが103μmであり、粒子の80%が粒径40μm〜250μmである、実施例Aに従って得た溶媒で湿った形のCS−K(以下では、「CS−B」とする)を、粒子の混合および乾燥を同時にしうる乾燥機中で処理する。乾燥中に混合機のスイッチをオンおよびオフにして、粒子のメジアンが25μmであり、かつ粒子の80%が粒径5μm〜60μmであるCS−K粒子(以下では、「CS−A」とする)を得る。混合機のスイッチをオンおよびオフにする回数とCS−Aを得るための混合時間は、予備試験によって決定する。
【0024】
実施例2
粒子のメジアンが87μmであり、かつ粒子の80%が粒径50μm〜200μmである実施例Aに従って得たCS−K(以下では、「CS−D」とする)を、使用する混合時間および混合スイッチは異なるが、実施例1で記載したとおりに処理する。粒子のメジアンが18μmであり、かつ粒子の80%が粒径2μm〜50μmであるCS−K(以下では、「CS−C」とする)が得られる。
【0025】
実施例3
フィルムコート錠
三水和物の形のアモキシシリンと架橋デンプンを混合し、水で粒状化し、乾燥させ、一様にする。得られた顆粒をCS−AもしくはCS−B、セルロース、タルク、およびステアリン酸マグネシウムと混合し、得られた混合物をプレスして錠剤にする。1錠に三水和物の形のアモキシシリン1.0g(アモキシシリン0.875gに相当する)、架橋デンプン、セルロース、タルク、およびステアリン酸マグネシウム、さらに
−錠剤「A」には(クラブラン酸0.125gに相当する)0.149gの「CS−A」、および
−錠剤「B」には(クラブラン酸0.125gに相当する)0.149gの「CS−B」を含有する錠剤「A」または「B」が得られる。
【0026】
錠剤「A」および「B」をフィルム組成物でコーティングする。錠剤「A」または「B」を含み、フィルム形成成分、顔料、可塑剤を含むフィルムコーティングで錠剤毎にコーティングされたフィルムコート錠「A」またはフィルムコート錠「B」が得られる。
【0027】
実施例4
チュアブル錠
三水和物の形のアモキシシリン、糖アルコール類、および着色剤を混合し、得られた混合物を水で粒状化し、乾燥させ、一様にする。得られた顆粒を、CS−CもしくはCS−D、甘味剤、芳香剤、架橋デンプン、タルク、およびステアリン酸マグネシウムと混合し、得られた混合物をプレスして錠剤にする。1錠に三水和物の形のアモキシシリン0.466g(アモキシシリン0.4gに相当する)、糖アルコール類、甘味剤、芳香性物質、架橋デンプン、タルク、およびステアリン酸マグネシウム、さらに
−チュアブル錠「C」には(クラブラン酸0.057gに相当する)0.068gのCS−C、および
−チュアブル錠「D」には(クラブラン酸0.057gに相当する)0.068gのCS−Dを含有するチュアブル錠「C」または「D」が得られる。
【0028】
実施例5
経口懸濁剤用の散剤
三水和物の形のアモキシシリン、CS−CもしくはCS−D、カルボン酸、甘味剤、芳香剤、増粘剤、糖アルコール類、および二酸化ケイ素を混合する。それによって経口懸濁剤用の散剤「C」または「D」が得られる。ガラス瓶(複数回投与容器)に、得られた経口懸濁剤用の散剤「C」または「D」を23gずつ充填する。投与前に、水84mlをこの瓶に加える。各5mlを20回分とした100mlの調製済みの経口懸濁剤「C」または「D」が得られる。1回分毎に、三水和物の形のアモキシシリン0.466g(アモキシシリン0.4gに相当する)、カルボン酸、甘味剤、芳香剤、増粘剤、糖アルコール類、二酸化ケイ素、さらに
−経口懸濁剤「C」には(クラブラン酸0.057gに相当する)0.068gのCS−C、
−経口懸濁剤「D」には(クラブラン酸0.057gに相当する)0.068gのCS−Dを含有している。
【0029】
生物学的利用能試験
24人の健康な発端者(被験者)に、
−フィルムコート錠「A」またはフィルムコート錠「B」
−チュアブル錠「C」またはチュアブル錠「D」
−経口懸濁剤「C」または経口懸濁剤「D」を投与する。
【0030】
医薬剤形のクラブラン酸が投与された場合の生物学的利用能は、関係のあるEUおよびICHの指針および規則を遵守しつつ、1998年12月17日公布の「Note for guidance on the investigation of bioavailability and bioequivalence」(CPMP/EWP/QWP/1401/98)というタイトルの欧州医薬品庁 (EMEA)、Human Medicines Evaluation Unit、Draft of the Committee for proprietary Medicinal Products (CPMP)による指針に従って決定する。
【0031】
maxは、最大血漿濃度である。
AUCは、t=無限に補外を加えた血漿濃度曲線下の面積である。
【0032】
以下の表1で示すAUC(μg×h/ml)およびCmax(μg/ml)の値は、使用したそれぞれの薬剤組成物毎に得ている。
【0033】
【表1】

【0034】
表1から、メジアン=25μm、80%粒径が5μm〜60μm、またはメジアン=18μm、80%粒径が2μm〜50μmであるCS−K粒子をそれぞれ含有するフィルムコート錠「A」、チュアブル剤「C」、および経口懸濁剤「C」は、クラブラン酸の生物学的利用能が、メジアン=103μmかつ80%粒径が40μm〜250μm、またはメジアン=87μmかつ80%粒径が50μm〜200μmであるCS−K粒子をそれぞれ含有するフィルムコート錠「B」、チュアブル錠「D」、および経口懸濁剤「D」よりも少なくとも10%向上することがすぐにわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子のメジアンが8μm〜35μmである、クラブラン酸またはその塩。
【請求項2】
クラブラン酸粒子の80%が粒径1μm〜70μmである、請求項1に記載のクラブラン酸またはその塩。
【請求項3】
クラブラン酸粒子の80%が粒径2μm〜70μmの範囲であり、かつ
粒子のメジアンが10μmと30μmの間である、
クラブラン酸またはその塩。
【請求項4】
クラブラン酸がカリウム塩の形である、請求項1から3のいずれか一項に記載のクラブラン酸。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項で定義したクラブラン酸またはその塩を含む薬剤組成物。
【請求項6】
錠剤、フィルムコート錠、チュアブル錠、経口懸濁剤用の散剤、または分散性錠剤である、請求項5に記載の薬剤組成物。
【請求項7】
a)有機溶媒からクラブラン酸を単離するステップと、
b)ステップa)で得た粒子を、粒子のメジアンが8μmと35μmの間になるまで、乾燥/混合兼用機中で処理するステップ、
とを含む、請求項1から4のいずれか一項で定義したクラブラン酸の製造方法。
【請求項8】
ステップa)の有機溶媒がn−ブタノールおよび/またはイソブタノールである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
a)適切な微生物で発酵させて、不純なクラブラン酸含有水性発酵ブロスを得るステップ、
b)場合によって、ステップa)で得た発酵ブロスの一部を採取するステップ、
c)場合によって、ステップa)またはb)の発酵ブロスを予備精製して、予備精製クラブラン酸含有水性発酵ブロスまたは水溶液を得るステップ、
d)場合によって、ステップa)、b)、またはc)の不純もしくは予備精製発酵ブロスまたは水溶液を濃縮するステップ、
e)ステップa)、b)、c)、またはd)の発酵ブロスを酸性化して、酸性化された、場合によって濃縮される不純もしくは予備精製クラブラン酸含有水性発酵ブロスまたは水溶液を得るステップ、
f)ステップe)の酸性化された発酵ブロスまたは溶液を、抽出条件下でクラブラン酸を溶解し、かつ水との接触時に2つの相を形成し得る有機溶媒で抽出して、クラブラン酸の有機溶媒溶液を得るステップ、
g)ステップf)で得た溶液をアミンで処理して、アミンとの塩の形のクラブラン酸を得るステップ、
h)ステップg)の塩を薬剤として許容されるクラブラン酸塩に変換するステップ、および
i)ステップh)で得た粒子を、粒子のメジアンが8μmと35μmの間になるまで、乾燥/混合兼用機中で処理するステップ
を含む、請求項1から4のいずれか一項で定義した、クラブラン酸またはその塩の製造方法。

【公開番号】特開2009−197020(P2009−197020A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−112262(P2009−112262)
【出願日】平成21年5月1日(2009.5.1)
【分割の表示】特願2002−536287(P2002−536287)の分割
【原出願日】平成13年10月18日(2001.10.18)
【出願人】(305008042)サンド・アクチエンゲゼルシヤフト (54)
【Fターム(参考)】