説明

薬剤耐性に関連する遺伝的変異

T−DM1を用いた治療を含む、癌が有糸分裂阻害剤を用いた治療に対する耐性があるかどうかを決定するために提供される方法と組成物。該方法は、ABCC3遺伝子が癌において増幅及び/又は過剰発現されるかどうかの決定に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、開示の全体が出典明示によりここに援用される2008年3月14日出願の米国仮出願第61/036874号及び2008年5月16日出願の米国仮出願第61/036874号の優先権を主張する。
本発明は、一般的には医薬耐性を予測する遺伝変異に関する。
【背景技術】
【0002】
現代分子腫瘍学の鍵である目的は、患者が最も恩恵が得られるであろう化学療法剤を用いた、標的療法を受けることができるようにするため、得られた腫瘍を特徴づける基本の遺伝学的及びゲノム変異を同定することである。乳癌は、西洋において女性の間で最も普及した形態の癌であり、世界規模で、毎年、推定100万人が新たに診断され、400000人が死亡する(1)。エストロゲンレセプター陽性癌のためのタモキシフェン(2)及びHER2癌遺伝子の増幅を含む腫瘍のためのハーセプチン(3)のような、標的療法の到来は、患者の生存に重大な影響を有するが、種々の化学療法は、乳癌治療の重要な要素を依然として構成する(4)。乳癌は、標的及び化学療法剤に対する異なる応答によって特徴付けられる異なる分子サブタイプを伴う不均一疾患である。化学療法は多くの場合優れた治療であるのに対し、推定50%の患者は、先天的又は後天的な多剤耐性によって、効果がない。多剤耐性(MDR)は、構造的及び機構的に無関係であり得る化学療法剤の複数のクラスに対する癌細胞の耐性を意味し、ATP依存排出ポンプとして働く種々のタンパク質の過剰発現に関する(5)。乳癌におけるMDRに寄与する分子的変化の理解は、施す治療に対する耐性を予測し、より効果的な治療剤を合理的に選択することが可能な診断試験の開発を可能にする、決定的な最初の段階である。
【0003】
ABCC3の過剰発現は、以前の研究において、癌細胞株における後天性多剤耐性に関与した。例えば、Liu等は、ドキソルビシンの存在下の増殖についてのセレクションによって得られた細胞株であるMCF−7/AdVp3000中において、親と比較して459倍のABCC3の過剰発現を報告している。更に、ビンクリスチンを用いた癌細胞株の治療は、これらの細胞において、ABCC2とABCC3転写物の有意な過剰発現の結果となることが最近示された(37)。関連のポンプABCC2(MRP2)とABCC10(MRP7)は、過剰発現させた際にパクリタキセル耐性を付与することが示され(38)(39)、ABCC2はインビボのマウスモデル中のパクリタキセルの薬物動態の重要な決定因子であることが示された(40)。パクリタキセルは、以前にABCC3の基質でないことが以前に示され、実際、MDCK又はNIH−3T3細胞におけるABCC3の異所性過剰発現は、パクリタキセルに対する高い耐性を示さなかった(41、42)。注目すべきことに、他の公表された機能研究の報告は、この薬剤を輸送する際のABCC3の役割を示唆している(36)にもかかわらず、ABCC3は、長期間のアッセイにおいて、ドキソルビシンに対する耐性を与えないことがまた示された(41)。
【0004】
これらの種々の所見は、乳癌が複数の機構を通じて化学療法から逃れることができる不均一疾患であるという事実を示し、それぞれの癌患者における治療的応答を予測するために使用することができるバイオメーカーパネルの必要性を強調している。
【発明の概要】
【0005】
本発明の一態様は、ABCC3遺伝子の増幅が、癌が有糸分裂阻害剤を用いた治療に耐性があることを示す、ABCC3遺伝子が、患者からの試験癌サンプルにおいて、増幅されるかどうかを検出することを含む、患者の癌が、有糸分裂阻害剤を用いた治療に耐性があるかどうかを決定するための方法を提供する。一実施態様では、試験癌サンプルは、癌腫瘍サンプルである。
【0006】
ABCC3遺伝子の増幅は、例えば、ABCC3遺伝子のコピー数の決定により検出される。幾つかの実施態様では、少なくとも3のコピー数は、ABCC3遺伝子の増幅を示し、他の実施態様では、少なくとも5のコピー数は、ABCC3遺伝子の増幅を示す。
【0007】
ABCC3遺伝子のコピー数は、例えば、蛍光インサイツハイブリダイゼーション(FISH)、サザンブロット、免疫組織化学(IHC)、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、定量的PCR(qPCR)、定量的リアルタイムPCR(qRT−PCR)、比較ゲノムハイブリダイゼーション、比較ゲノムハイブリダイゼーションベースマイクロアレイ、又はリガーゼ連鎖反応(LCR)によって、決定される。
【0008】
本発明の別の態様は、ABCC3遺伝子の過剰発現が、有糸分裂阻害剤を用いた治療に耐性があることを示す、ABCC3遺伝子が、患者からの試験癌サンプルにおいて、過剰発現されるかどうかを検出することを含む、患者の癌が、有糸分裂阻害剤を用いた治療に耐性があるかどうかを決定するための方法を提供する。
【0009】
一実施態様では、ABCC3遺伝子の過剰発現は、ABCC3遺伝子からの、mRNA転写物のレベルの決定によって、検出される。幾つかの実施態様では、ABCC3遺伝子の過剰発現は、試験癌サンプル中のABCC3遺伝子からの、コントロールサンプルと比較して少なくとも5倍のmRNA転写物レベルの増加によって示される。他の実施態様では、ABCC3遺伝子の過剰発現は、試験癌サンプル中のABCC3遺伝子からの、コントロールサンプルと比較して少なくとも25倍のmRNA転写物レベルの増加によって示される。
【0010】
他の実施態様では、ABCC3遺伝子の過剰発現は、ABCC3ポリペプチドの発現のレベルを決定することにより検出される。幾つかの実施態様では、ABCC3ポリペプチド発現のレベルは、試験癌サンプルを抗ABCC3抗体に接触すること及び抗ABCC3抗体のABCC3ポリペプチドに対する結合を検出することを含む。幾つかの実施態様では、ABCC3遺伝子の過剰発現は、試験癌サンプル中のABCC3遺伝子からの、コントロールサンプルと比較して少なくとも2倍のABCC3ポリペプチドのレベルの増加によって示される。他の実施態様では、ABCC3遺伝子の過剰発現は、試験癌サンプル中のコントロールサンプルと比較して少なくとも10倍のABCC3ポリペプチドの発現レベルの増加によって示される。
【0011】
幾つかの実施態様では、癌は、乳癌、卵巣癌、及び結腸癌からなる群から選択される。
【0012】
幾つかの実施態様では、有糸分裂阻害剤は、タキサン(例えば、パクリタキセルとドセタキセルを含む)、メイタンシノイド(例えば、DM1とDM4を含む)、及びアウリスタチン(例えば、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)とモノメチルアウリスタチンF(MMAF)を含む)、及びそのアナログ及び類似体からなる群から選択される。
【0013】
幾つかの実施態様では、有糸分裂阻害剤は、抗体にコンジュゲートされる。一実施態様では、有糸分裂阻害剤−抗体コンジュゲートは、トラスツズマブ−DM1のような、メイタンシノイド−抗Her2抗体コンジュゲートである。
【0014】
本発明の別の態様は、ABCC3遺伝子の増幅が、乳癌腫瘍が有糸分裂阻害剤を用いた治療に耐性があることを示す、ABCC3遺伝子が、乳癌腫瘍サンプルにおいて、増幅されるかどうかを検出することを含む、乳癌腫瘍が、有糸分裂阻害剤を用いた治療に耐性があるかどうかを決定するための方法を提供する。
【0015】
ABCC3遺伝子の増幅は、例えば、ABCC3遺伝子のコピー数の決定により検出される。幾つかの実施態様では、少なくとも3のコピー数は、ABCC3遺伝子の増幅を示し、他の実施態様では、少なくとも5のコピー数は、ABCC3遺伝子の増幅を示す。
【0016】
ABCC3遺伝子のコピー数は、例えば、蛍光インサイツハイブリダイゼーション(FISH)、サザンブロット、免疫組織化学(IHC)、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、定量的PCR(qPCR)、定量的リアルタイムPCR(qRT−PCR)、比較ゲノムハイブリダイゼーション、比較ゲノムハイブリダイゼーションベースマイクロアレイ、又はリガーゼ連鎖反応(LCR)によって、決定される。
【0017】
本発明の別の態様は、ABCC3遺伝子の過剰発現が、乳癌が有糸分裂阻害剤を用いた治療に耐性があることを示す、ABCC3遺伝子が、乳癌腫瘍サンプルにおいて、過剰発現されるかどうかを検出することを含む、乳癌腫瘍が、有糸分裂阻害剤を用いた治療に耐性があるかどうかを決定するための方法を提供する。
【0018】
一実施態様では、ABCC3遺伝子の過剰発現は、ABCC3遺伝子からの、mRNA転写物のレベルの決定によって、検出される。幾つかの実施態様では、ABCC3遺伝子の過剰発現は、試験癌サンプル中のABCC3遺伝子からの、コントロールサンプルと比較して少なくとも5倍のmRNA転写物レベルの増加によって示される。他の実施態様では、ABCC3遺伝子の過剰発現は、試験癌サンプル中のABCC3遺伝子からの、コントロールサンプルと比較して少なくとも25倍のmRNA転写物レベルの増加によって示される。
【0019】
他の実施態様では、ABCC3遺伝子の過剰発現は、ABCC3ポリペプチドの発現のレベルを決定することにより検出される。幾つかの実施態様では、ABCC3ポリペプチド発現のレベルは、試験癌サンプルを抗ABCC3抗体に接触すること及び抗ABCC3抗体のABCC3ポリペプチドに対する結合を検出することを含む。幾つかの実施態様では、ABCC3遺伝子の過剰発現は、ABCC3遺伝子の過剰発現は、試験癌サンプル中のABCC3遺伝子からの、コントロールサンプルと比較して少なくとも2倍のABCC3ポリペプチドのレベルの増加によって示される。幾つかの実施態様では、ABCC3遺伝子の過剰発現は、ABCC3遺伝子の過剰発現は、試験癌サンプル中のABCC3遺伝子からの、コントロールサンプルと比較して少なくとも10倍のABCC3ポリペプチドのレベルの増加によって示される。
【0020】
幾つかの実施態様では、乳癌腫瘍は、Her2陽性乳癌腫瘍である。
【0021】
幾つかの実施態様では、有糸分裂阻害剤は、タキサン(例えば、パクリタキセルとドセタキセルを含む)、メイタンシノイド(例えば、DM1とDM4を含む)、及びアウリスタチン(例えば、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)とモノメチルアウリスタチンF(MMAF)を含む)、及びそのアナログ及び類似体からなる群から選択される。
【0022】
幾つかの実施態様では、有糸分裂阻害剤は、抗体にコンジュゲートされる。一実施態様では、有糸分裂阻害剤−抗体コンジュゲートは、トラスツズマブ−DM1のような、メイタンシノイド−抗Her2抗体コンジュゲートである。
【0023】
本発明の別の態様は、a)ABCC3遺伝子が、患者からの試験癌サンプル中で増幅されるかどうかを検出すること、及びb)ABCC3遺伝子の増幅が、試験癌サンプル中で検出されない場合に、有糸分裂阻害剤ベースの化学療法を選択することを含む、有糸分裂阻害剤ベースの化学療法のための乳癌患者を選択するための方法を提供する。
【0024】
ABCC3遺伝子の増幅は、例えば、ABCC3遺伝子のコピー数の決定により検出される。幾つかの実施態様では、少なくとも3のコピー数は、ABCC3遺伝子の増幅を示し、他の実施態様では、少なくとも5のコピー数は、ABCC3遺伝子の増幅を示す。
【0025】
ABCC3遺伝子のコピー数は、例えば、蛍光インサイツハイブリダイゼーション(FISH)、サザンブロット、免疫組織化学(IHC)、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、定量的PCR(qPCR)、定量的リアルタイムPCR(qRT−PCR)、比較ゲノムハイブリダイゼーション、比較ゲノムハイブリダイゼーションベースマイクロアレイ、又はリガーゼ連鎖反応(LCR)によって、決定される。
【0026】
本発明の別の態様は、a)ABCC3遺伝子が、患者からの試験癌サンプル中で過剰発現されるかどうかを検出すること、及びb)ABCC3遺伝子の増幅が、試験癌サンプル中で検出されない場合に、有糸分裂阻害剤ベースの化学療法を選択することを含む、有糸分裂阻害剤ベースの化学療法のための乳癌患者を選択するための方法を提供する。
【0027】
一実施態様では、ABCC3遺伝子の過剰発現は、ABCC3遺伝子からの、mRNA転写物のレベルの決定によって、検出される。幾つかの実施態様では、ABCC3遺伝子の過剰発現は、試験癌サンプル中のABCC3遺伝子からの、コントロールサンプルと比較して少なくとも5倍のmRNA転写物レベルの増加によって示される。他の実施態様では、ABCC3遺伝子の過剰発現は、試験癌サンプル中のABCC3遺伝子からの、コントロールサンプルと比較して少なくとも25倍のmRNA転写物レベルの増加によって示される。
【0028】
他の実施態様では、ABCC3遺伝子の過剰発現は、ABCC3ポリペプチドの発現のレベルを決定することにより検出される。幾つかの実施態様では、ABCC3ポリペプチド発現のレベルは、試験癌サンプルを抗ABCC3抗体に接触すること及び抗ABCC3抗体のABCC3ポリペプチドに対する結合を検出することを含む。幾つかの実施態様では、ABCC3遺伝子の過剰発現は、ABCC3遺伝子の過剰発現は、試験癌サンプル中のABCC3遺伝子からの、コントロールサンプルと比較して少なくとも2倍のABCC3ポリペプチドのレベルの増加によって示される。幾つかの実施態様では、ABCC3遺伝子の過剰発現は、ABCC3遺伝子の過剰発現は、試験癌サンプル中のABCC3遺伝子からの、コントロールサンプルと比較して少なくとも10倍のABCC3ポリペプチドのレベルの増加によって示される。
【0029】
幾つかの実施態様では、乳癌腫瘍は、Her2陽性乳癌腫瘍である。
【0030】
幾つかの実施態様では、有糸分裂阻害剤は、タキサン(例えば、パクリタキセルとドセタキセルを含む)、メイタンシノイド(例えば、DM1とDM4を含む)、及びアウリスタチン(例えば、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)とモノメチルアウリスタチンF(MMAF)を含む)、及びそのアナログ及び類似体からなる群から選択される。
【0031】
幾つかの実施態様では、有糸分裂阻害剤は、抗体にコンジュゲートされる。一実施態様では、有糸分裂阻害剤−抗体コンジュゲートは、トラスツズマブ−DM1のような、メイタンシノイド−抗Her2抗体コンジュゲートである。
【0032】
本発明の別の態様は、癌細胞をABCC3のアンタゴニストに接触させることを含む、癌細胞の有糸分裂阻害剤に対する耐性を減少させる方法を提供する。幾つかの実施態様では、アンタゴニストは、ABCC3に結合する、ABCC3抗体又は、siRNAである。
【0033】
本発明の更に別の態様は、患者にABCC3のアンタゴニストと有糸分裂阻害剤の有効量を投与することを含む、有糸分裂阻害剤に耐性の癌を持つ患者の治療法を提供する。幾つかの実施態様では、有糸分裂阻害剤は、タキサン、メイタンシノイド、及びアウリスタチンからなる群から選択される有糸分裂阻害剤とそのアナログ及び誘導体である。幾つかの実施態様では、有糸分裂阻害剤は、抗体にコンジュゲートされる。一実施態様では、有糸分裂阻害剤−抗体コンジュゲートは、トラスツズマブ−DM1のような、メイタンシノイド−抗Her2抗体コンジュゲートである。
【0034】
本発明はまた癌のABCC3増幅状況に基づく癌患者の治療法を提供する。一実施態様では、該方法は、患者からの試験癌サンプルにおいて、ABCC3遺伝子が増幅又は過剰発現されるかどうかを検出し、試験癌サンプルにおいて、ABCC3遺伝子の過剰発現が、検出されない場合は、患者に治療的な有効量の有糸分裂阻害剤ベースの化学療法が施すことを含む。一実施態様では、患者は、Her2陽性乳癌を有し、トラスツズマブ−DM1又はトラスツズマブ−MMAEのような、抗Her2抗体−有糸分裂阻害剤コンジュゲートが投与される。
【0035】
本発明の別の実施態様では、患者は、癌中のABCC3の増幅又は過剰発現が無いことに基づく、有糸分裂阻害剤ベースの化学療法を選択される。一実施態様では、選択した患者は、Her2陽性乳癌を有し、トラスツズマブ−DM1又はトラスツズマブ−MMAEのような抗Her2抗体−有糸分裂阻害剤コンジュゲートを投与される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】図1aは乳癌細胞株のMMAEに対するインビトロの応答を示す。図1bは乳癌細胞のパクリタキセルに対するインビトロの応答を示す。x軸上で、細胞株は乳癌の主要な分子サブタイプに分類された。y軸はインビトロのIC50値を示すか、又は細胞生存率50%阻害の結果となる薬剤濃度を示す。水平線は与えたサブタイプの細胞株のためのそれぞれの薬剤に対する平均の感受性を示す。
【図2】図2aはパクリタキセルに対するインビトロの耐性が、染色体17q21領域の増幅に関連することを示す。図2bはMMAEに対するインビトロの耐性が、染色体17q21領域の増幅と関連することを示す。細胞株は、左から右に薬剤感受性が増加する順に示す。SNPアレイデータの監督解析のために使用した分類(感受性、中間、耐性)と耐性のバイオメーカーの同定が、図の上部に記載される。ゲノムDNAコピー数増幅を伴うそれらの細胞株は、菱形で示す。
【図3】図3は17q21.3増幅を伴う細胞株中においてABCC3が過剰発現されることを示す。31個の細胞株を、領域中の4のコピー数カットオフに基づき、増幅された及び増幅されなかった分類で、箱に入れた。箱髭図は、それぞれのグループにおけるABCC3の発現を示す。208161_s_atは、ABCC3を示す最も可変なアフィメトリクス発現プローブセットとして選択された。他のプローブセットは、類似の結果を与えた。中央の箱は、四分位範囲を示し、箱の中の線は、中央を示し、点の垂直線は、中央から最も離れるが、四分位範囲の1.5倍以内であるデータ点へ伸びる。点の垂直線の外側のデータ点は、それぞれの円によって示される。
【図4】図4a−4dは、ABCC3又はコントロールのsiRNA治療後の4個の異なる細胞株についてのパクリタキセル治療に応答する、分裂指数を示すグラフを示す。EFM−192A(a)とZR−75−30(b)細胞が、ABCC3の増幅と過剰発現を有し、ノックダウン後に高められた感受性(増加した分裂指数)を示し、一方でHCC−1428(c)とMDA−MB−453(d)は、低いコピー数と発現を有し、感受性の増加は示さない。
【図5】図5は、安定なABCC3の過剰発現が、パクリタキセルとMMAEに対するインビトロ耐性の結果となることを示す。CMVプロモーターからABCC3を過剰発現する、単一細胞クローン由来の安定な細胞株又は空ベクターを伴うコントロール株を、パクリタキセル(図5a)又はMMAE(図5b)の増殖阻害効果について評価した。
【図6】図6は、MMAE(a)又はパクリタキセル(b)を用いて処理した乳癌細胞株の増殖阻害を示す。点は、フィットした非線形投与応答曲線を伴う384ウェル中の4重ウェルの平均を示す。y軸は、コントロールビヒクルで処理したウェルに対するパーセント細胞生存率を示す。エラーバーは、標準偏差を示す。
【図7】図7は、標準細胞生存率アッセイにおけるフリーのDM1に対する感受性について分析した3個のABCC3過剰発現クローンとコントロール細胞株を示す。
【図8】図8は、トラスツズマブ−mc−vc−PAB−MMAFで処理した際の、コントロール(NTC)又はABCC3siRNAで形質転換した分裂指標EFM−192A細胞を表すグラフを示す。
【図9】図9aは、フリーのDM1で処理した際の、コントロール(NTC)又はABCC3siRNAで形質転換したEFM−192A細胞の分裂応答を示す。図9bは、T−DM1で処理した、コントロール(NTC)又はsiRNAで形質転換したEFM−192Aの有糸分裂応答を示す
【図10】図10は、T−DM1フェーズII試験から得られたサンプルにおいて実施したFISH分析の結果を示す。
【図11】図11は、細胞株の分子サブタイプにおける情報とその有糸分裂阻害剤に対する感受性を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
1.定義
「遺伝子増幅」及び「遺伝子複製」なる語句(及び「遺伝子の増幅」又は「遺伝子の複製」のような変形例)は交換可能に用いられ、遺伝子又は遺伝子断片の複数のコピーが特定の細胞又は細胞系で形成されるプロセスを意味する。複製された領域(増幅されたDNAのストレッチ)は、しばしば「アンプリコン」と呼ばれる。通常は、生成されるメッセンジャーRNA(mRNA)の量、つまり遺伝子発現レベルも、特定遺伝子の作成されたコピー数に比例して増加する。
【0038】
ここで使用される「ABCC3」なる用語は、他に示さない場合、霊長類(例えば、ヒトやサル)及び齧歯類(例えば、マウスやラット)のような哺乳類を含む、任意の脊椎動物源からの任意のABCC3(MRP−3としても知られる)を意味する。該用語は、細胞中のプロセシングの結果として生じる任意の形態のABCC3だけでなく、「全長」の処理されていないABCC3を含む。概用語は、また例えばスプライス変異体、対立変異体、及び他のアイソフォームのようなABCC3の自然発生変異体を含む。該用語は、またABCC3の少なくとも一つの生物学的活性を維持する天然のABCC3の断片又は変異体を含む。ABCC3の例は、Genbank受託番号NM_003786(ヒト)及びXM_358306(マウス)で同定されるものを含む。Kiuchi等, FEBS Lett. 433:149-152 (1998);及び Borst等, JNCI 92(16):1295-1302 (2000)をまた参照されたい。
【0039】
「遺伝的変異」なる用語は、アミノ酸配列又はポリヌクレオチド配列中における変異だけでなく遺伝子又はポリペプチドの増幅における変異を含む。
【0040】
「細胞増殖性疾患」及び「増殖性疾患」という用語は、ある程度の異常な細胞増殖に関連する疾患を意味する。一実施態様では、細胞増殖性疾患は癌である。
【0041】
ここで使用される「腫瘍」は、悪性であれ良性であれ、全ての新生物細胞成長及び増殖、及び全ての前癌状態及び癌性細胞及び組織を意味する。「癌」、「癌性」、「細胞増殖性疾患」、「増殖性疾患」及び「腫瘍」はここで称される場合は相互に排他的ではない。
【0042】
「癌」及び「癌性」という用語は、典型的には調節されない細胞成長を特徴とする、哺乳動物における生理学的状態を指すか記述する。癌の例には、これらに限定されるものではないが、癌腫、リンパ腫(例えば非ホジキンリンパ腫)、芽細胞腫、肉腫、及び白血病が含まれる。このような癌のより特定の例には、扁平細胞癌(squamous cell cancer)、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌、及び肺の扁平癌腫(squamous carcinoma)、腹膜癌、肝細胞癌、胃腸癌、膵臓癌、神経膠芽腫、子宮頸管癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、肝癌、乳癌、大腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜又は子宮癌、唾液腺癌、腎臓癌、肝臓癌、前立腺癌、産卵口癌、甲状腺癌、肝臓性癌及び様々なタイプの頭部及び頸部の癌が含まれる。
【0043】
抗有糸分裂を用いた「治療に応答する」又は「治療に応答性の」癌患者は、抗有糸分裂剤を用いた治療の結果から又は結果として生じる臨床又は治療的な利点を示す。このような利点は、細胞又は生物学的応答、完全な応答、部分的な応答、病勢安定(進行又は回復なし)、又は治療に対する患者の応答又は再発に対する薬剤を用いた治療の結果を含む。
有糸分裂阻害剤を用いた「治療に耐性」である癌、癌細胞、又は癌腫瘍は、薬剤に対する統計的に有意な細胞学的又は生物学的応答、例えば細胞死又はアポトーシスの速度増加、又は薬剤で処理していない癌細胞又は腫瘍と比較した際の増幅又は成長の減少、を示さない腫瘍である。特定の実施態様では、癌、癌細胞、又は癌腫瘍は、IC50がMMAEの30nMより大きいか、又はその代わりに50nMより大きいか、又はその代わりに100nMより大きい場合に、MMAEを用いた治療に耐性がある。他の実施態様では、癌、癌細胞、又は癌腫瘍は、IC50がパクリタキセルの50nMより大きいか、又はその代わりに100nMより大きいか、又はその代わりに500nM、又はその代わりに1000nMより大きい場合に、パクリタキセルを用いた治療に耐性がある。
【0044】
「有糸分裂阻害剤」は、有糸分裂を阻害、予防、又はさもなければ有糸分裂を壊す化合物である。有糸分裂阻害剤の具体的な例は、限定されるものではないが、パクリタキセル及びドセタキセル;DM1及びDM4のようなメイタンシノイド;ドラスタチン10;ドラスタチン15;モノメチルアウリスタチンE(MMAE)及びモノメチルアウリスタチンF(MMAF);ビンブラスチン及びビンクリスチンのようなビンカアルカノイド;及びそれらのアナログ及び誘導体である。有糸分裂阻害剤は、抗体にコンジュゲートされていてもよい。
【0045】
「治療する」及び「治療」なる用語は、治療処置と予防処置又は予防的処置との両方をいい、その目的は、望ましくない生理学的変化又は障害、例えば癌の発生又は広がりを予防するか又は遅くする(減らす)ことである。本発明の目的で、有利又は望ましい臨床結果としては、検出可能であれ検出不可能であれ、症状の軽減、疾患の程度の減少、疾患の安定化された(すなわち、悪化しない)状態、疾患の進行の遅延又は減速、疾患状態の軽減又は緩和、及び寛解(部分的であれ全体的であれ)が挙げられるが、これらに限定されない。「治療」はまた、治療を受けない場合に予測される生存と比較される場合に、生存を延長することを意味し得る。治療を必要とするものには、その状態又は障害を既に有するもの、並びにその状態又は障害を有しやすいもの、あるいはその状態又は障害が予防されるべきであるものが挙げられる。
【0046】
「個体」又は「患者」は脊椎動物である。特定の実施態様では、脊椎動物は哺乳動物である。哺乳動物には、これに限定されないが、家畜(例えばウシ)、スポーツ用動物、愛玩動物(例えばネコ、イヌ及びウマ)、霊長類、マウス及びラットが含まれる。特定の実施態様では、哺乳動物はヒトである。
【0047】
「有効量」とは、所望される治療的又は予防的結果を達成するのに必要な期間、必要な用量での有効量を意味する。
【0048】
本発明の物質/分子の「治療的有効量」は、病状、年齢、性別、個体の体重、及び個体に所望する反応を引き出すための物質/分子の能力等の要因に応じて変わり得る。また、治療的有効量とは、物質/分子の任意の毒性又は有害な影響を、治療的に有益な効果が上回る量である。「予防的有効量」は、所望する予防的結果を達成するのに必要な期間、用量で有効な量を意味する。必ずではないが、典型的には、予防的用量は、疾病の前又は初期の段階に患者に使用されるために、予防的有効量は治療的有効量よりも少ない。
【0049】
ここで用いられる「細胞障害性剤」という用語は、細胞の機能を阻害又は阻止し及び/又は細胞破壊を生ずる物質を意味する。この用語は、放射性同位元素(例えば、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、Pb212及びLuの放射性同位元素)、化学治療薬、例えばメトトレキセート、アドリアマイシン、ビンカアルカロイド類(ビンクリスチン、ビンブラスチン、エトポシド)、ドキソルビシン、メルファラン、マイトマイシンC、クロラムブシル、ダウノルビシン又は他の挿入剤、酵素及びその断片、例えば核酸分解酵素、抗生物質、及び毒素、例えばその断片及び/又は変異体を含む小分子毒素又は細菌、糸状菌、植物又は動物起源の酵素的に活性な毒素、そして下記に開示する種々の抗腫瘍又は抗癌剤を含むように意図されている。他の細胞毒性剤を以下に記載する。「殺腫瘍性」剤は、腫瘍細胞の破壊を引き起こす。
【0050】
「毒素」は、細胞の成長又は増殖に対して有害な影響を有する任意の物質である。
【0051】
「化学療法剤」は、癌の治療に有用な化学的化合物である。
【0052】
「アンタゴニスト」なる用語は最も広い意味で用いられ、ABCC3のようなポリペプチドの生物学的活性、又はその転写もしくは翻訳を部分的又は完全に阻止、阻害、又は中和する任意の分子を含む。好適なアンタゴニスト分子には、限定されないが、アンタゴニスト抗体、ポリペプチド断片、オリゴペプチド、有機分子(低分子を含む)、及びsiRNAを含む、アンチセンス核酸が含まれる。
【0053】
「抗体」(Abs)及び「免疫グロブリン」(Igs)は同様の構造的特徴を有する糖タンパク質を意味する。抗体は特定の抗原に対して結合特異性を示す一方、免疫グロブリンは、抗体と抗原特異性を欠く他の抗体様分子の双方を含む。後者の種類のポリペプチドは例えばリンパ系によって低レベルで、またミエローマによって増加したレベルで生産される。
【0054】
「抗体」及び「イムノグロブリン」なる用語は、広義の意味で交換可能に用いられ、モノクローナル抗体(例として完全長又はインタクトモノクローナル抗体)、ポリクローナル抗体、多価抗体、及び多特異性抗体(例として所望の生物学的活性を示すかぎりの二重特異性抗体)が含まれ、特定の抗体断片(本明細書中においてより詳細に記載するもの)も含まれうる。抗体は、キメラ、ヒト、ヒト化、及び/又は親和性成熟したものでもよい。
【0055】
「抗ABCC3抗体」又は「ABCC3に結合する抗体」は、抗体がABCC3をターゲッティングする際に診断用及び/又は治療用の薬剤として有用である程度に十分な親和性を有してABCC3を結合することが可能である抗体を指す。好ましくは、関係がなくABCC3でないタンパク質への抗ABCC3抗体の結合の程度は、例えばラジオイムノアッセイ(RIA)によって測定するところの、ABCC3への抗体の結合のおよそ10%未満である。ある実施態様では、ABCC3に結合する抗体は、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、又は≦0.1nMの解離定数(Kd)を有する。ある実施態様では、抗ABCC3抗体は、異なる種のABCC3間で保存されるPROのエピトープに結合する。
【0056】
「全長抗体」、「無傷抗体」及び「全抗体」なる用語は、以下に定義する抗体断片ではなく、その実質的に無傷の形態の抗体を意味するためにここでは交換可能に使用される。該用語は特にFc領域を含む重鎖を持つ抗体を意味する。
【0057】
「抗体断片」は、インタクト抗体の一部のみを含有するものであり、この部分は、インタクト抗体中に存在する場合にその部分に通常伴う機能の少なくとも一、好ましくはほとんど又はすべてを保持する。一実施態様では、抗体断片は、インタクト抗体の抗原結合部位を含有するため、抗原結合能を有する。他の実施態様では、抗体断片、例えばFc領域を含有するものは、完全抗体に存在するFc領域が通常関連する生物学的機能の少なくとも一つ、例えばFcRn結合、抗体半減期調節、ADCC機能及び補体結合を保持する。一実施態様では、抗体断片は、インタクト抗体と実質的に同じインビボ半減期を有する一価の抗体である。例えばそのような抗体断片は、該断片にインビボ安定性を供与しうるFc配列に結合した抗原結合アーム上に含みうる。
【0058】
抗体のパパイン消化は、「Fab」断片と呼ばれる2つの同一の抗体結合断片を生成し、その各々は単一の抗原結合部位を持ち、残りは容易に結晶化する能力を反映して「Fc」断片と命名される。ペプシン処理はF(ab')断片を生じ、それは2つの抗原結合部位を持ち、抗原を交差結合することができる。
【0059】
「Fv」は、完全な抗原結合部位を含む最小抗体断片である。一実施態様では、二本鎖Fv種は、緊密に非共有的に結合した一つの重鎖と一つの軽鎖の二量体からなる。単鎖Fv(scFv)種では、一つの重鎖及び一つの軽鎖可変ドメインが、軽鎖及び重鎖が二本鎖Fv種におけるものに類似した「二量体」構造で結合できるように可撓性ペプチドリンカーによって共有的に結合されうる。各可変領域の3つのCDRが相互作用してVH−VL二量体の表面に抗原結合部位を定めるのはこの配置においてである。まとめると、6つのCDRが抗体に抗原結合特異性を付与する。しかしながら、単一の可変ドメイン(又は抗原に特異的な3つのCDRしか含まないFvの半分)でさえも抗原を認識しそれに結合する能力を持つが、結合部位全体よりは低い親和性でである。
【0060】
Fab断片は重鎖及び軽鎖可変ドメインを含み、また軽鎖の定常ドメインと重鎖の第一定常ドメイン(CH1)を含む。Fab'断片は、抗体ヒンジ領域からの一又は複数のシステインを含む重鎖CH1ドメインのカルボキシ末端に数残基が付加されている点でFab断片と相違する。Fab'-SHは、ここでは定常ドメインのシステイン残基が遊離チオール基を持つFab'を表す。F(ab')2抗体断片は、元々は、その間にヒンジシステインを有するFab'断片の対として生成された。抗体断片の他の化学的結合もまた知られている。
【0061】
「単鎖Fv」又は「scFv」抗体断片は、抗体のVH及びVLドメインを含み、ここで、これらのドメインは単一のポリペプチド鎖内に存在する。一般には、scFvポリペプチドは、scFVが抗原結合のために望ましい構造を形成するのを可能にするポリペプチドリンカーをVH及びVLドメイン間に更に含む。scFvの概説については、Pluckthun, The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, vol. 113, Rosenburg及びMoore編, Springer-Verlag, New York, pp. 269-315 (1994)を参照のこと。
【0062】
「ダイアボディ(diabodies)」という用語は、2つの抗原結合部位を有する小抗体断片を指し、その断片は同じポリペプチド鎖(VH−VL)において軽鎖可変ドメイン(VL)に連結された重鎖可変ドメイン(VH)を含む。同じ鎖上で二つのドメイン間での対形成を可能にするには短すぎるリンカーを使用して、ドメインを他の鎖の相補的ドメインと強制的に対形成させ、二つの抗原結合部位をつくり出す。ダイアボディは二価又は二重特異的でありうる。ダイアボディは、例えば、欧州特許出願公開第404097号;国際公開第93/11161号;Hudson等, (2003) Nat. Med. 9:129-134;及びHollinger等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90: 6444-6448 (1993)に、より十分に記載されている。トリアボディ(triabodies)及びテトラボディ(tetrabodies)もまたHudson等, (2003) Nat. Med. 9:129-134に記載されている。
【0063】
ここで使用される「モノクローナル抗体」なる用語は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を指し、すなわち、集団に含まれる個々の抗体は、少量で存在しうる自然に生じる可能性がある突然変異を除いて同一である。従って、「モノクローナル」との形容は、個別の抗体の混合物ではないという抗体の性質を示す。このようなモノクローナル抗体は、通常、標的に結合するポリペプチド配列を含む抗体を含み、この場合、標的に結合するポリペプチド配列は、複数のポリペプチド配列から単一の標的結合ポリペプチド配列を選択することを含むプロセスにより得られる。例えば、この選択プロセスは、雑種細胞クローン、ファージクローン又は組換えDNAクローンのプールのような複数のクローンからの、唯一のクローンの選択とすることができる。重要なのは、選択された標的結合配列を更に変化させることにより、例えば標的への親和性の向上、標的結合配列のヒト化、細胞培養液中におけるその産生の向上、インビボでの免疫原性の低減、多選択性抗体の生成等が可能になること、並びに、変化させた標的結合配列を含む抗体も、本発明のモノクローナル抗体であることである。異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を典型的に含むポリクローナル抗体の調製物とは異なり、モノクローナル抗体の調製物の各モノクローナル抗体は、抗原の単一の決定基に対するものである。それらの特異性に加えて、モノクローナル抗体の調製物は、それらが他の免疫グロブリンで通常汚染されていないという点で有利である。
【0064】
「モノクローナル」との形容は、抗体の、実質的に均一な抗体の集団から得られたものであるという特性を示し、抗体を何か特定の方法で生産しなければならないことを意味するものではない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は様々な技術によって作製することができ、それらの技術には、例えば、ハイブリドーマ法(例えば、Kohler等、Nature, 256:495 (1975); Harlow等、Antibodies: A Laboratory Manual, (Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2nd ed. 1988); Hammerling等: Monoclonal Antibodies and T-Cell hybridomas 563-681 (Elsevier, N. Y., 1981))、組換えDNA法(例えば、米国特許第4816567号参照)、ファージディスプレイ技術(例えば、Clackson等、Nature, 352:624-628 (1991); Marks等、J. Mol. Biol. 222:581-597 (1992); Sidhu等、J. Mol. Biol. 338(2): 299-310 (2004); Lee等、J. Mol. Biol. 340(5);1073-1093 (2004); Fellouse, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 101(34):12467-12472 (2004); 及びLee等、J. Immounol. Methods 284(1-2): 119-132 (2004))、並びに、ヒト免疫グロブリン座位の一部又は全部、或るいはヒト免疫グロブリン配列をコードする遺伝子を有する動物にヒト又はヒト様抗体を生成する技術(例えば、WO98/24893; WO96/34096; WO96/33735; WO91/10741; Jakobovits等、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 2551 (1993); Jakobovits等、Nature 362: 255-258 (1993); Bruggemann等、Year in Immunol. 7:33 (1993); 米国特許第5545807号; 同第5545806号; 同第5569825号;同第5625126号; 同第5633425号; 同第5661016号; Marks等、Bio.Technology 10: 779-783 (1992); Lonberg等、Nature 368: 856-859 (1994); Morrison, Nature 368: 812-813 (1994); Fishwild等、Nature Biotechnol. 14: 845-851 (1996); Neuberger, Nature Biotechnol. 14: 826 (1996)及びLonberg及びHuszar, Intern. Rev. Immunol. 13: 65-93 (1995)参照)が含まれる。
【0065】
ここでモノクローナル抗体は、特に「キメラ」抗体を含み、それは特定の種由来又は特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体において、対応する配列に一致する又は類似する重鎖及び/又は軽鎖の一部であり、残りの鎖は、所望の生物学的活性を表す限り、抗体断片のように他の種由来又は他の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体において、対応する配列に一致するか又は類似するものである(米国特許第4816567号;及びMorrison等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:6851-6855(1984))。
【0066】
非ヒト(例えばマウス)の抗体の「ヒト化」型は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含むキメラ抗体である。一実施態様では、ヒト化抗体は、レシピエントの高頻度可変領域の残基が、マウス、ラット、ウサギ又は所望の特異性、親和性及び/又は能力を有する非ヒト霊長類のような非ヒト種(ドナー抗体)からの高頻度可変領域の残基によって置換されたヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。例として、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非ヒト残基によって置換される。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にも、もしくはドナー抗体にも見出されない残基を含んでいてもよい。これらの修飾は抗体の特性をさらに洗練するために行われる。一般に、ヒト化抗体は、全てあるいは実質的に全ての高頻度可変ループが非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、全てあるいは実質的に全てのFRが、ヒト免疫グロブリン配列のものである少なくとも一又は典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含むであろう。また、ヒト化抗体は、場合によっては免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部、典型的にはヒト免疫グロブリンのものの少なくとも一部も含む。さらなる詳細については、Jones等, Nature 321:522-525(1986);Riechmann等, Nature 332:323-329(1988);及びPresta, Curr. Op. Struct. Biol. 2:593-596(1992)を参照のこと。また次の文献とそこに引用されている文献を参考のこと:Vaswani及びHamilton, Ann. Allergy, Asthma &; Immunol. 1:105-115 (1998);Harris, Biochem. Soc. Transactions 23:1035-1038 (1995);Hurle及びGross, Curr. Op. Biotech. 5:428-433 (1994)。
【0067】
「ヒト抗体」は、ヒトによって生産される抗体のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を含むもの、及び/又はここに開示されたヒト抗体を作製する任意の技術を使用して製造されたものである。そのような技術には、ファージディスプレイのようなヒト由来組み合わせライブラリーのスクリーニング(Marks 等, J. Mol. Biol., 222: 581-597 (1991)及びHoogenboom 等, Nucl. Acids Res., 19: 4133-4137 (1991)参照);ヒトモノクローナル抗体産生のためのヒトミエローマ及びマウス−ヒトヘテロミエローマ細胞株の使用(Kozbor J. Immunol., 133: 3001 (1984); Brodeur等, Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications, pp. 51-63 (Marcel Dekker, Inc., New York, 1987)及びBoerner等, J. Immunol., 147: 86 (1991)参照);及び内因性の免疫グロブリンを産生しない、ヒト抗体の完全なレパートリーを産生可能なトランスジェニック動物(例えばマウス)におけるモノクローナル抗体の生成(Jakobovits等, Proc. Natl. Acad. Sci USA, 90: 2551 (1993); Jakobovits等, Nature, 362: 255 (1993); Bruggermann等, Year in Immunol., 7: 33 (1993)参照)が含まれる。ヒト抗体のこの定義は、特に非ヒト動物由来の抗原結合残基を含むヒト化抗体を除く。
【0068】
「親和成熟」抗体とは、その改変を有していない親抗体と比較して、抗原に対する抗体の親和性に改良を生じさせる、その一又は複数のCDRにおいて一又は複数の改変を持つものである。一実施態様では、親和成熟抗体は、標的抗原に対してナノモル又はピコモルの親和性を有する。親和成熟抗体は、当該分野において知られている手順によって生産される。Marks et al., Bio/Technology, 10:779-783(1992)は、VH及びVLドメインシャッフリングによる親和成熟について記載している。HVR及び/又はフレームワーク残基のランダム突然変異誘導は、Barbas et al., Proc Nat Acad. Sci, USA 91:3809-3813(1994);Schier et al., Gene, 169:147-155(1995);Yelton et al., J. Immunol.155:1994-2004(1995);Jackson et al., J. Immunol.154(7):3310-9(1995);及びHawkins et al., J. Mol. Biol.226:889-896(1992)に記載されている。
【0069】
「阻止」抗体又は「アンタゴニスト」抗体は、それが結合する抗原の生物学的活性を阻害し又は減少させるものである。ある阻止抗体又はアンタゴニスト抗体は抗原の生物学的活性を部分的に又は完全に阻害する。
【0070】
抗体「エフェクター機能」は抗体のFc領域(天然配列Fc領域又はアミノ酸配列変異体Fc領域)に起因する生物学的活性を意味し、抗体アイソタイプと共に変わる。抗体エフェクター機能の例は、C1q結合及び補体依存性細胞毒性;Fcレセプター結合;抗体依存性細胞障害性(ADCC);ファゴサイトーシス;細胞表面レセプター(例えばB細胞レセプター)のダウンレギュレーション;及びB細胞活性化を含む。
【0071】
「Fcレセプター」又は「FcR」は、抗体のFc領域に結合するレセプターを記述する。ある実施態様では、FcRは天然ヒトFcRである。ある実施態様では、FcRは、IgG抗体(ガンマレセプター)と結合するもので、FcγRI、FcγRII及びFcγRIIIサブクラスのレセプターを含み、これらのレセプターの対立遺伝子変異体、選択的にスプライシングされた形態も含まれる。FcγRIIレセプターには、FcγRIIA(「活性型レセプター」)及びFcγRIIB(「阻害型レセプター」)が含まれ、これは、主としてその細胞質ドメインは異なるが、類似のアミノ酸配列を有するものである。活性型レセプターFcγRIIAは、その細胞質ドメインにチロシン依存性免疫レセプター活性化モチーフ(immunoreceptor tyrosine-based activation motif ;ITAM)を含んでいる。阻害型レセプターFcγRIIBは、その細胞質ドメインにチロシン依存性免疫レセプター阻害性モチーフ(immunoreceptor tyrosine-based inhibition motif ;ITIM)を含んでいる(Daeron, Annu. Rev. immunol. 15:203-234 (1997)を参照)。FcRは、 Ravetch及びKinet, Annu.Rev. Immunol. 9:457-492 (1991);Capel等, Immunomethods 4:25-34 (1994);及びde Haas等, J.Lab. Clin. Med. 126:330-41 (1995) に概説されている。将来的に同定されるものも含む他のFcRはここでの「FcR」なる用語に包含される。
【0072】
「Fcレセプター」又は「FcR」なる用語には、母性IgGsが胎児に受け継がれる要因(Guyer等, J. Immunol. 117:587 (1976) Kim等, J. Immunol.24:249 (1994))及び免疫グロブリンのホメオスタシスの調節の要因となっている新生児性レセプターFcRnも含まれる。FcRnへの結合を測定する方法は知られている。インビボでのヒトFcRnへの結合及びヒトFcRn高親和性結合ポリペプチドの血清半減期は、例えばヒトFcRnを発現するトランスジェニックマウス又は形質移入ヒト細胞株、又はFc変異体ポリペプチドを投与された霊長類において、アッセイできる。
【0073】
国際公開第00/42072号(Presta)はFcRへの結合が改善された又は減少した抗体変異体を記載している。該特許刊行物の内容は出典明示により特にここに援用される。またShields等 J. Biol. Chem. 9(2): 6591-6604 (2001)も参照のこと。
【0074】
「ヒトエフェクター細胞」は、一又は複数のFcRを発現し、エフェクター機能をなす白血球である。ある実施態様では、該細胞は少なくともFcγRIIIを発現し、ADCCエフェクター機能をなす。ADCCを媒介するヒト白血球の例には、末梢血液単核細胞(PBMC)、ナチュラルキラー(NK)細胞、単球、細胞毒性T細胞及び好中球が含まれる。エフェクター細胞は天然源、例えば血液から単離できる。
【0075】
「抗体依存性細胞媒介性細胞障害性」又は「ADCC」とは、ある種の細胞障害細胞(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球及びマクロファージ)上に存在するFcレセプター(FcR)と結合した免疫グロブリンにより、これらの細胞障害エフェクター細胞が抗原担持標的細胞に特異的に結合し、続いて細胞毒素により標的細胞を死滅させることを可能にする細胞毒性の形態を意味する。ADCCを媒介する一次細胞のNK細胞はFcγRIIIのみを発現するのに対し、単球はFcγRI、FcγRII及びFcγRIIIを発現する。造血細胞でのFcRの発現は、Ravetch及びKinet, Annu. Rev. Immunol 9:457-92(1991)の464頁の表3に要約されている。対象の分子のADCC活性をアッセイするために、米国特許第5500362号又は同5821337号又はPrestaの米国特許第6737056号に記載されているようなインビトロADCCアッセイを実施することができる。このようなアッセイにおいて有用なエフェクター細胞には、末梢血液単核細胞(PBMC)及びナチュラルキラー細胞(NK細胞)が含まれる。別法として、もしくは付加的に、対象の分子のADCC活性は、例えば、Clynes等, (USA) 95:652-656 (1998)において開示されているような動物モデルにおいて、インビボで評価することができる。
【0076】
「補体依存性細胞障害」もしくは「CDC」は、補体の存在下で標的を溶解することを意味する。古典的な補体経路の活性化は補体系(Clq)の第1補体が、同族抗原と結合した(適切なサブクラスの)抗体に結合することにより開始される。補体の活性化を評価するために、CDCアッセイを、例えばGazzano-Santoro等, J. Immunol. Methods 202:163 (1996)に記載されているようにして、実施することができる。変異されたFc領域アミノ酸配列を有しC1q結合能が増加又は減少したポリペプチド変異体は米国特許第6194551B1号及び国際公開第99/51642号に記載されている。その特許刊行物の内容はここに出典明示により特に援用される。またIdusogie等J. Immunol. 164: 4178-4184 (2000)を参照のこと。
【0077】
「Fc領域含有ポリペプチド」なる用語はFc領域を含む抗体又はイムノアドヘシンのようなポリペプチドを意味する。Fc領域のC末端リジン(EU番号付け系による残基447)を、例えばポリペプチドの精製中に、又はポリペプチドをコードする核酸を組換え操作することによって、取り除くことができる。従って、本発明に係るFc領域を有するポリペプチドを含有する組成物は、K477を持つポリペプチド、全てのK477が取り除かれたもの、又はK447残基を持つポリペプチドと持たないものの混合物を含みうる。
【0078】
「細胞障害性抗体」はエフェクター機能を示すことができ、及び/又はその抗原への結合時に細胞死を誘発することができる抗体である。
【0079】
「免疫複合体」は一又は複数の細胞障害性剤にコンジュゲートされた抗体を意味する。
【0080】
「小分子」又は「小有機分子」はここでは約500ダルトン以下の分子量を有する有機分子として定義される。
【0081】
「ABCC3結合オリゴペプチド」又は「ABCC3に結合するオリゴペプチド」又は「ABCC3ポリペプチド結合オリゴペプチド」は、ABCC3を標的とした診断薬及び/又は治療薬として有用な程度にABCC3と十分な親和性で結合可能なオリゴペプチドである。ある実施態様では、関連のない非ABCC3タンパク質へのABCC3結合オリゴペプチドの結合の程度は、ABCC3へのABCC3結合オリゴペプチドの結合の約10%より低く、その程度は例えば表面プラズモン共鳴アッセイにより測定される。ある実施態様では、CRTAM結合オリゴペプチドは、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM又は≦0.1nMの解離定数(Kd)を有する。
【0082】
「ABCC3結合有機分子」又は「ABCC3に結合する有機分子」は、ABCC3を標的とした診断薬及び/又は治療薬として有用な程度にABCC3と十分な親和性で結合可能な有機分子である。ある実施態様では、関連のない非ABCC3タンパク質へのABCC3結合有機分子の結合の程度は、ABCC3へのABCC3結合有機分子の結合の約10%より低く、その程度は例えば表面プラズモン共鳴アッセイにより測定される。ある実施態様では、ABCC3結合有機分子は、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM又は≦0.1nMの解離定数(Kd)を有する。
【0083】
標的ポリペプチドに結合する任意の分子の解離定数(Kd)は、便宜上表面プラズモン共鳴アッセイを用いて測定され得る。そのようなアッセイは、25℃で、〜10反応単位(RU)の固定した標的ポリペプチドCM5チップと共に、BIAcoreTM−2000又はBIAcoreTM−3000(BIAcore, Inc., Piscataway, NJ)を用いてもよい。簡単に言うと、カルボキシメチル化デキストランバイオセンサーチップ(CM5, BIAcore Inc.)を、提供者の指示書に従ってN-エチル-N'-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミド塩酸塩(EDC)及びN-ヒドロキシスクシニミド(NHS)で活性化した。標的ポリペプチドを10mM 酢酸ナトリウム(pH4.8)で5μg/ml(〜0.2μM)に希釈し、結合したタンパク質の反応単位(RU)がおよそ10になるように5μl/分の流速で注入した。標的ポリペプチドの注入後、反応しない群をブロックするために1Mのエタノールアミンを注入した。動力学的な測定のために、2倍の段階希釈した結合分子(0.78nMから500nM)を25℃、およそ25μl/分の流速で0.05%Tween20(PBST)を含むPBSに注入した。会合及び解離のセンサーグラムを同時にフィットさせることによる単純一対一ラングミュア結合モデル(simple one-to-one Langmuir binding model) (BIAcore Evaluationソフトウェアバージョン3.2)を用いて、会合速度(kon)と解離速度(koff)を算出した。平衡解離定数(Kd)をkoff/kon比として算出した。Chen, Y. et al., (1999) J. Mol Biol 293:865-881を参照のこと。上記の表面プラスモン共鳴アッセイによる抗体の結合速度が10−1−1を上回る場合、分光計、例えば、流動停止を備えた分光光度計(stop-flow equipped spectrophometer)(Aviv Instruments)又は撹拌キュベットを備えた8000シリーズSLM-Aminco分光光度計(ThermoSpectronic)で測定される、漸増濃度の抗原の存在下にて、PBS(pH7.2)、25℃の、20nMの抗体(Fab型)の蛍光放出強度(励起=295nm;放出=340nm、帯域通過=16nm)における増加又は減少を測定する蛍光消光技術を用いて結合速度を測定することができる。
【0084】
ここで使用される場合「標識」なる語句は検出可能な化合物又は組成物を意味する。標識はそれ自体が検出可能であり得(例えば放射性同位体標識又は蛍光標識)、又は酵素標識の場合には、検出可能な産物を生じる基質化合物又は組成物の化学的変化を触媒しうる。検出可能な標識となりうる放射性核種は例えばI−131、I−123、I−125、Y−90、Re−188、Re−186、At−211、Cu−67、Bi−212、及びPd−109を含む。
【0085】
「単離された」生物学的分子、例えば核酸、ポリペプチド、又は抗体は、その天然環境の少なくとも一成分から同定され、分離され、及び/又は回収されたものである。
【0086】
(実施態様の詳細な説明)
原発性乳癌は、遺伝子発現プロファイルによって、少なくとも3種類の主要なサブタイプに分類し得、サブタイプは、患者の生存という点において、異なる予後の結果を有する(9)。管腔乳癌は、典型的には、エストロジェンレセプター陽性であり、上皮特異的遺伝子の幾つかの発現、比較的良い予後、及び標的のホルモン治療に良い応答速度によって特徴付けられる。HER2陽性乳癌は、HER2癌遺伝子の高レベルの遺伝子増幅、未処理の場合、比較的、予後不良であること、及びHER2を標的とするモノクローナル抗体であるトラスツズマブ(ハーセプチン、ジェネンテック)から得られる有意な臨床上の有用性によって特徴付けられる(3)。基底様乳癌は、典型的には、HER2、ER及びプロゲステロンレセプターの発現が無く、したがって、「3重陰性」腫瘍と呼ばれることもある(10、11)。基底様乳癌は、比較的予後不良であり、現在、如何なる標的療法に対しても応答しないことが示されている(12)。これらのサブタイプは、術前の化学療法に対して異なる応答を示すが(13)、これらの違いの基本となる薬剤耐性機構の大部分は、未だ決定されていない。
【0087】
近年の研究によって、乳癌細胞株の大部分が、ヒト乳癌腫瘍の遺伝及びゲノム特性の多くを反映し、したがって、分子異種性乳癌の割合のモデルシステムとして使用し得ることが明らかとなった(14)。例えば、細胞は、遺伝子発現プロファイルサインに基づいて、基底様及び管腔サブタイプに分類し得、それらは、原発性腫瘍における不良の結果と関連する、高レベルの増幅と欠失のほとんどを維持する(14)。
【0088】
共通する特徴と類似の予後を有するサブタイプの乳癌の分子分類は、癌治療を個別化に注力し始めるための枠組みを提供する。本発明は、乳癌のサブタイプが、有糸分裂阻害剤に対する明らかに異なる応答を示し、基底様サブタイプが最も感受性が高いことを示す。この異なる応答の一つの機構は、基底様細胞株では観察されないが、管腔とHER2増殖細胞のサブセットにおいては観察されるABCC3薬剤排出ポンプの増加である。
【0089】
実施例に記載の通り、本発明は、2個の抗有糸分裂ベースの医薬である、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)及びパクリタキセルに対する応答における耐性機構とサブタイプの違いを製薬的な分析のためのモデルとして分子的に特徴付けられる乳癌細胞株のパネルを使用した。MMAEは、癌治療のための幾つかのヒト臨床試験の対象であるペンタペプチド天然物である、ドラスタチン10と構造的に関連し、チューブリンの重合を阻害することにより強力な抗腫瘍活性を示し、したがって、細胞の微小管を不安定化する(15)。抗体による特定の抗原認識を通じた医薬の標的送達は、毒素から非標的発現組織を守る一方で、化学療法剤の効果を増加する結果となるという根拠に基づき、アウリスタチン−モノクローナル抗体コンジュゲートが作製される(16)。
【0090】
実施例に説明されたこれらの研究に基づき、17番染色体(17q21)の領域の増幅が、タキサンとアウリスタチンのインビトロの耐性に強く関連することが見出された。増幅の領域は、少なくとも100個の遺伝子を有する。関連する遺伝子を同定するために、RNAi干渉からなる不偏アプローチとハイコンテント分析を、ABCC3遺伝子の増幅と随伴性過剰発現が、パクリタキセルとMMAEに対する耐性を付与する最も可能背の高い原因であることを示すために使用した。このアンプリコンは、原発性の乳癌に存在し、増幅したHER2と管腔腫瘍には共通であるが、基底様細胞には存在しないことが示された(図6及び9)。
【0091】
したがって、本発明の一態様は、有糸分裂阻害剤を用いた治療に対して耐性であるかどうかを決定する方法を提供する。一実施態様では、該方法は、ABCC3遺伝子が、癌細胞のサンプル中で増幅されるかどうかを検出することを含む。ABCC3遺伝子の増幅は、癌が有糸分裂阻害剤に耐性であることを示す。ABCC3遺伝子増幅の検出は、当該分野に周知の任意の方法によって実施され得る。一実施態様では、ABCC3遺伝子の増幅は、ABCC3遺伝子のコピー数が、癌細胞のサンプル中で増幅されるかどうかを検出することによって実施される。幾つかの実施態様では、遺伝子は、コピー数が少なくとも3、又はその代わりに少なくとも4、又はその代わりに少なくとも5、又はその代わりに少なくとも7、又はその代わりに少なくとも9、又はその代わりに少なくとも10である場合に増幅される。
【0092】
遺伝子コピー数は、例えば、蛍光インサイツハイブリダイゼーション(FISH)、サザンブロット、免疫組織化学(IHC)、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、定量的PCR(qPCR)、定量的リアルタイムPCR(qRT−PCR)、比較ゲノムハイブリダイゼーション、マイクロアレイベース比較ゲノムハイブリダイゼーション、又はリガーゼ連鎖反応(LCR)等の、当該分野で知られている任意の方法によって決定され得る。例えば、Avison, M., Measuring Gene Expression, New York: Taylor & Francis Group, 2007, Allison, D. B.等, ed. DNA Microarrays and Related Genomics Techniques: Design, Analysis, and Interpretation of Experiments (Biostatistics), Boca Raton : Chapman & Hill/CRC, 2006; Hayat M. A., ed., Handbook of Immunohistochemistry and in Situ Hybridization of Human Carcinomas, Burlington: Elsevier Academic Press, 2004を参照されたい。
【0093】
更なる実施態様では、癌が有糸分裂阻害剤に耐性であるかどうかを決定する方法は、ABCC3遺伝子が癌細胞のサンプル中で過剰発現しているかどうかを検出することを含む。ABCC3遺伝子の過剰発現は、癌が有糸分裂阻害剤に対する耐性があることを示す。ABCC3遺伝子の過剰発現の検出は、当該分野で知られている任意の方法によって実施され得る。一実施態様では、ABCC3遺伝子の過剰発現は、ABCC3遺伝子からのmRNA転写のレベルを決定することにより検出される。mRNA転写のレベルは、当業者に知られる種々の方法によって定量的又は定性的に決定され得る。mRNAの転写レベルは、またmRNAから調製したcDNAの検出レベルによって直接又は間接的に決定し得る。mRNAの転写レベルを決定する例示的な方法は、限定するものではないが、PCR、リアルタイム定量的RT−PCR及びマイクロアレイベースアッセイ及びノザンブロットのようなフィルターベースアッセイを含むハイブリダイゼーションベースアッセイを含む。ある実施態様では、ABCC3遺伝子は、mRNAの転写レベルが、適切なコントロールサンプルと比較してmRNAの転写において、少なくとも3、5、7、10、15、20、25、30、35、40、45、又は50倍増加した場合、過剰発現する。
【0094】
他の実施態様では、ABCC3遺伝子の発現は、ABCC3ポリペプチド発現のレベルの決定によって検出される。ABCC3ポリペプチドのレベルは、定量的又は定性的に、抗体ベース検出法を含む、当業者に知られた方法で決定し得る。一実施態様では、試験癌サンプル中でのABCC3遺伝子の発現の検出は、癌サンプルを抗ABCC3抗体に接触させ、抗ABCC3抗体のABCC3ポリペプチドに対する結合を検出することにより、試験癌サンプル中のABCC3の発現レベルを(定量的又は定性的に)決定することを含む。ある実施態様では、抗ABCC3抗体のABCC3ポリペプチドに対する結合は、限定されるものではないが、免疫組織化学、蛍光標示式細胞分取器、ウェスタンブロット、ラジオイムノアッセイ、ELISA等を含む当業者に知られた種々の方法によって検出し得る。ある実施態様では、ABCC3の過剰発現は、ABCC3ポリペプチドレベルが、適切なコントロールサンプルと比較して、少なくとも3、5、7、10、15、20、25、30、35、40、45、又は50倍増加した場合、過剰発現する。
【0095】
癌細胞または試験癌サンプルのサンプルは好ましくは、癌腫瘍から直接に採取した細胞から成るが、試験癌サンプルはまた、転移癌細胞、循環腫瘍細胞又は癌のABCC3遺伝子の増幅又は表現型を識別する細胞の任意の適切な試料に含まれ得る。試験され得る癌の実施例は、乳癌、卵巣がん、結腸直腸癌、前立腺ガン、扁平上皮細胞癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌、肺胞上皮癌、腹膜癌、肝細胞性癌、消化器癌、膵癌、神経膠腫、子宮頸癌、肝癌、膀胱ガン、肝癌、大腸癌、直腸ガン、子宮内膜であるか子宮癌、唾液腺癌、腎臓癌、肝癌、外陰部癌、甲状腺ガン、肝癌、白血病及び他のリンパ増殖性障害の癌、種々の型の頭頸部、及び有糸分裂阻害剤を用いた治療のために適切な任意の他の癌を含む。
【0096】
癌中のABCC3の過剰発現を決定するための適切な制御は、例えば、ABCC3の標準レベルを発現する細胞又は組織のコントロールサンプル中におけるABCC3の発現レベルを決定し、癌中のABCC3の発現レベルを、コントロールサンプル中のABCC3の発現レベルと比較することによって、なされ得る。その代わりに、コントロールは、ABCC3の過剰発現を決定するために使用される同じ試験癌サンプル中か、又はABCC3の過剰発現について、試験され得る同じ癌から得たサンプル中でのハウスキーピング遺伝子(アクチンファミリーメンバーのような)の発現を決定することにより、なされ得る。ハウスキーピング遺伝子は、ABCC3遺伝子の過剰発現を決定するためのコントロールとして機能する。
【0097】
ABCC3の増幅及び/又は過剰発現は、したがって、癌に罹患した患者が癌を有効に治療するために最も見込みのある適切な治療法を選択することを可能にする。
【0098】
したがって、有糸分裂阻害剤ベースの化学療法のための癌患者を選択する方法を提供することは、本発明の一態様である。癌がABCC3の増幅又は過剰発現を示す患者は、抗有糸分裂治療に代わる治療を追求すべきかどうかを主治医と共に決定するためにそのような情報を使用し得る。一実施態様では、該方法は、ABCC3遺伝子が患者から得られた私権癌サンプル中で増幅されているかどうかを検出し、ABCC3遺伝子の増幅が試験癌サンプル中で検出されない場合は、有糸分裂阻害剤ベースの化学療法のための患者を選択することを含む。別の実施態様では、該方法は、ABCC3遺伝子が患者からの試験癌サンプル中で過剰発現しているかどうかを検出し、ABCC3遺伝子の過剰発現が試験癌サンプル中で検出されない場合は、有糸分裂阻害剤ベースの化学療法のための患者を選択することを含む。
【0099】
一実施態様では、患者は、乳癌患者である。更なる実施態様では、患者は、Her2陽性乳癌を有する。乳癌(Her2陽性乳癌)中のHER2の発現又は増幅は、Her2陰性、エストロジェンレセプター陽性、リンパ節転移陽性有癌(52)の患者と比較して、ドキソルビシンを用いたアジュバント治療後の有糸分裂阻害剤であるパクリタキセルの添加より得られる臨床上のより大きな効果と関連する(52)。しかし、HER2陽性腫瘍を有する女性の優位な割合が、この治療から得られる延命効果を示さず(52)、パクリタキセル耐性機構は、HER2陽性腫瘍に比例して存在することを示唆する。有糸分裂阻害剤に対するこの耐性は、例えば、トラスツズマブ−DM1抗体コンジュゲートのような、有糸分裂阻害剤にコンジュゲートさせた抗Her2抗体を使用する治療法に特に関係がある。実施例に示した通り、ABCC3の過剰発現は、トラスツズマブ−有糸分裂阻害剤コンジュゲートを用いた治療に対する耐性と関連がある。逆に、siRNAを用いたABCC3遺伝子のノックダウンは、トラスツズマブ有糸分裂阻害剤コンジュゲートを用いた治療に対する細胞の感受性を増加させる。したがって、本発明は、抗Her2抗体−有糸分裂阻害剤コンジュゲートを用いた治療のための、Her2陽性乳癌細胞患者を選択する方法を提供する。一実施態様では、該方法は、ABCC3遺伝子が患者の試験乳癌サンプル中で増幅されるかどうかを検出し、ABCC3遺伝子の増幅が試験乳癌サンプル中で検出されない場合、抗Her抗体−有糸分裂阻害剤コンジュゲートを用いた治療のための患者を選択することを含む。別の実施態様では、該方法は、ABCC3遺伝子が患者の試験癌サンプル中で過剰発現されるかどうかを検出し、ABCC3遺伝子の過剰発現が試験癌サンプル中で検出されない場合、抗Her抗体−有糸分裂阻害剤コンジュゲートを用いた治療のための患者を選択することを含む。幾つかの実施態様では、該方法は、この情報が既に知られていない場合、患者がHer2陽性乳癌を有しているかどうかを決定し、したがって、抗Her2抗体治療のための適性を決定することを含む。幾つかの実施態様では、抗Her2抗体−有糸分裂阻害剤コンジュゲートは、トラスツズマブ−DM1又はトラスツズマブ−MMAEのようなトラスツズマブ−有糸分裂阻害剤コンジュゲートである。
【0100】
本発明はまた癌のABCC3増幅状態に基づく癌患者の治療法を提供する。一実施態様では、該方法は、ABCC3遺伝子が患者の試験癌サンプル中で増幅されるかどうかを検出し、ABCC3遺伝子の増幅が試験癌サンプル中で検出されない場合、患者に治療的有効量の有糸分裂阻害剤ベース化学療法を施すことを含む。別の実施態様では、該方法は、ABCC3遺伝子が患者の試験癌サンプル中で過剰発現されるかどうかを検出し、ABCC3遺伝子の過剰発現が試験癌サンプル中で検出されない場合、患者に治療的有効量の有糸分裂阻害剤ベース化学療法を施すことを含む。一実施態様では、患者はHer2陽性乳癌を有し、試験癌サンプル中でABCC3遺伝子の増幅又は過剰発現が検出されない場合は、抗Her2抗体−有糸分裂阻害剤コンジュゲートが投与される。幾つかの実施態様では、抗Her2抗体−有糸分裂阻害剤コンジュゲートは、トラスツズマブ−DM1又はトラスツズマブ−MMAEのような、トラスツズマブ−有糸分裂阻害剤コンジュゲートである。
【0101】
更に別の実施態様では、患者は、癌におけるABCC3の増幅又は過剰発現の欠損に基づく有糸分裂阻害剤ベース化学療法について選択され、治療的有効量の抗有糸分裂阻害ベース化学療法を投与される。一実施態様では、選択された患者は、Her2陽性乳癌を有し、抗Her2抗体−有糸分裂阻害剤コンジュゲートを投与される。幾つかの実施態様では、抗Her2抗体−有糸分裂阻害剤コンジュゲートは、トラスツズマブ−DM1又はトラスツズマブ−MMAEのような、トラスツズマブ−有糸分裂阻害剤コンジュゲートである。
【0102】
本発明の別の態様は、変化した医薬感受性に関連する遺伝子増幅変化を同定する方法を提供する。薬剤耐性の理解に向けられた殆どのインビトロプロファイリングの取り組みは、今日まで遺伝子発現解析に焦点が置かれた。本発明は、高密度SNPアレイプロファイル(Affymetrix)の解析を用いた、変化した薬剤感受性に関連するDNAコピー数変化の同定を記載する。高密度一塩基多型(SNP)アレイは、ジェノタイピングにおけるそれらの意図した応用に加えて、ゲノムワイドDNAコピー数変化とヒト癌中のヘテロ接合性欠失(17)に検出に使用され得ることを、最近の研究は示した。これらのアレイは、反復欠失及び増幅した染色体領域(18)を指摘することによる、腫瘍抑制因子と癌遺伝子座の同定において応用されることが示された。
【0103】
ここに示したデータは、アレイが治療薬の活性を調節し得る遺伝子を有する増幅された領域を同定するために使用され得ることを示す。このアプローチの鍵となる利点は、遺伝子増幅事象が、比較的安定であり、臨床試験から得られた保存サンプルにおいて最終的に評価され得ることである。保存サンプル中の遺伝子増幅事象を検出するための、一の特定の適切なアッセイは、蛍光インサイツハイブリダイゼーション(FISH)である。FISHアッセイは、既にHER2陽性MBC(50)の診断における所定の診療の一部であり、現在、Tarceva又はErbitux(51)への応答の見込みあるバイオマーカーとしてのEGFR増幅を検出するための診断試験として評価されている。
【0104】
本発明の更に別の態様は、癌がABCC3の増幅と過剰発現を含む患者のための、有糸分裂阻害剤の適切な投与レベルを決定する方法を提供する。一実施態様では、該方法は、ABCC3が患者の試験癌サンプル中で増幅及び/又は過剰発現しているかどうかを決定し、ABCC3が増幅又は過剰発現している場合は、患者に有糸分裂阻害剤の増加した投与量を投与することを含む。有糸分裂阻害剤の投与量は、癌が有糸分裂阻害剤を用いた治療に応答を示す投与量まで増加させる。幾つかの実施態様では、患者に投与する有糸分裂阻害剤の投与量は、癌がABCC3の増幅及び/又は過剰発現を含まない患者に対する投与量の、少なくとも1.2倍、又はその代わりに1.3倍、又はその代わりに1.5倍、又はその代わりに2倍、又はその代わりに2.5倍、又はその代わりに3倍、又はその代わりに5倍、又はその代わりに10倍である。
【0105】
本発明の更に別の態様は、癌細胞をABCC3のアンタゴニストに接触することを含む癌細胞の有糸分裂阻害剤に対する耐性を低減する方法を提供する。幾つかの実施態様では、ABCC3アンタゴニストは、ABCC3の増幅及び/又は過剰発現を防ぐために役立ち、増幅及び/又は過剰発現によって得られる薬剤耐性を低減する。他の実施態様では、ABCC3アンタゴニストは、ABCC3活性を阻害するために役立つ。該方法において有用なアンタゴニストは、ABCC3抗体、RNA干渉(RNAi)ベースABCC3アンタゴニスト、特に、アンチセンスRNA、miRNA、siRNA、及びshRNA、ABCC3ポリペプチド結合オリゴペプチド、ABCC3結合有機分子を含む。
【0106】
本発明の更なる態様は、患者にABCC3のアンタゴニストと有糸分裂阻害剤を投与することを含む、有糸分裂阻害剤に耐性の癌を有する患者を治療するための、併用療法を提供する。幾つかの実施態様では、アンタゴニストは、ABCC3抗体とABCC3に結合するsiRNAからなる群から選択される。幾つかの実施態様では、有糸分裂阻害剤は、タキサン、メイタンシノイド、及びアウリスタチンと、それらのアナログ及び誘導体からなる群から選択される。幾つかの実施態様では、有糸分裂阻害剤は、例えば、トラスツズマブ−DM1のような、メイタンシノイド−抗−Her2抗体コンジュゲートのように、抗体にコンジュゲートされる。一実施態様では、併用療法は、ABCC3とトラスツズマブ−DM1に結合するsiRNAを用いた治療を含む。
【0107】
上記のような併用療法は、併用投与(2又は複数の治療薬が同じ又は別の製剤に含まれる)、及び分離投与、この場合、ABCC3アンタゴニストの投与は、有糸分裂阻害剤の投与の前、同時、及び/又は後になされ得る、を含む。
【0108】
一実施態様では、ABCC3アンタゴニストは、抗ABCCポリペプチド抗体である。例示的な抗体は、ポリクローナル、モノクローナル、ヒト化、二重特異性、及びヘテロコンジュゲート抗体を含む。
【0109】
ポリクローナル抗体は、好ましくは、関連する抗原とアジュバントを複数回皮下(sc)又は腹腔内(ip)注射することにより、動物に産生される。それは、免疫化されるべき種において免疫原性であるタンパク質へ、関連する抗原(特に、合成ペプチドが用いられる場合)を結合させるために有用である。例えば、この抗原を、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、血清アルブミン、ウシサイログロブリン、又は大豆トリプシンインヒビターへ、二重官能性又は誘導体形成剤、例えばマレイミドベンゾイルスルホスクシンイミドエステル(システイン残基を介する抱合)、N-ヒドロキシスクシンイミド(リジン残基を介する抱合)、グルタルアルデヒド、及び無水コハク酸、SOCl、又はR及びRが異なるアルキル基であるRN=C=NRを用いて結合させることができる。ある実施態様では、抗体を作製するために使用される動物は、トランスジェニック動物であり得る。このようなある実施態様では、ABCC3をコードするポリヌクレオチドが完全に無いことを示し、ABCC3の発現を示さない(「ノックアウト」動物と呼ぶ)ようにするために、動物は改変され得る。このような動物を調製する方法は、当該分野でよく知られており、例えば、Snouwaert等, Science 257:1083, 1992; Lowell等, Nature 366:740-42, 1993; Capecchi, M. R., Science 244: 1288-1292, 1989を参照されたい。そのようなタンパク質又はペプチドのためのノックアウト動物中で特定のタンパク質又はペプチドに対する抗体を調製することは、当該分野で知られているように、抗体の産生及び/又は収率を低減し得る動物中での抗自己反応が起き得ないので、有利であり得る。
【0110】
動物は、抗原、免疫原性コンジュゲート、又は誘導体に対して、例えばタンパク質又はコンジュゲート100μg又は5μg(それぞれウサギ又はマウスに対して)をフロイント完全アジュバント3容積量と混合し、その溶液を複数部位において皮内投与注射することによって免疫される。1か月後に、動物は、複数部位での皮下注射によって、フロイント完全アジュバント中の抗原又はコンジュゲートの初期量の1/5から1/10の量で追加免疫される。7−14日後に、動物から採血し、血清の抗体力価を分析する。動物は抗体力価が一定になるまで追加免疫される。コンジュゲートはまたタンパク質融合体として組換え細胞培養において作成することができる。また、ミョウバンのような凝集剤が免疫反応を増強するために適宜用いられる。
【0111】
モノクローナル抗体は、Kohler等, Nature, 256:495 (1975)により最初に記載されたハイブリドーマ法を用いて作製でき、又は組換えDNA法(米国特許第4816567号)によって作製することができる。
【0112】
本発明の抗ABCC3抗体は、更にヒト化抗体又はヒト抗体を含む。非ヒト(例えばマウス)抗体のヒト化形とは、キメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖又はその断片(例えばFv、Fab、Fab’、F(ab’)又は抗体の他の抗原結合サブ配列)であって、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含むものである。ヒト化抗体はレシピエントの相補性決定領域(CDR)の残基が、マウス、ラット又はウサギのような所望の特異性、親和性及び能力を有する非ヒト種(ドナー抗体)のCDRの残基によって置換されたヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)を含む。幾つかの例では、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク残基は、対応する非ヒト残基によって置換されている。また、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にも、移入されたCDRもしくはフレームワーク配列にも見出されない残基を含んでいてもよい。一般に、ヒト化抗体は、全て或いはほとんど全てのCDR領域が非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、全て或いはほとんど全てのFR領域がヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のものである、少なくとも一つ、典型的には二つの可変ドメインの実質的に全てを含む。好ましくは、ヒト化抗体は、免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的にはヒトの免疫グロブリンの定常領域の少なくとも一部を含んでなる[Jones等, Nature, 321:522-525 (1986);Riechmann等, Nature, 332:323-329 (1988);及びPresta, Curr. Op Struct. Biol., 2:593-596 (1992)]。
【0113】
非ヒト抗体をヒト化する方法はこの分野でよく知られている。一般的に、ヒト化抗体には非ヒト由来の一つ又は複数のアミノ酸残基が導入される。これら非ヒトアミノ酸残基は、しばしば、典型的には「移入」可変ドメインから得られる「移入」残基と称される。ヒト化は基本的に齧歯動物のCDR又はCDR配列でヒト抗体の該当する配列を置換することによりウィンター(Winter)及び共同研究者[Jonesら, Nature, 321:522-525 (1986);Riechmannら, Nature, 332:323-327 (1988);Verhoeyenら, Science, 239:1534-1536 (1988)]の方法に従って、齧歯類CDR又はCDR配列をヒト抗体の対応する配列に置換することにより実施される。よって、このような「ヒト化」抗体は、原型のヒト可変ドメインより実質的に少ない分が非ヒト種由来の対応する配列で置換されたキメラ抗体(米国特許第4,816,567号)である。実際には、ヒト化抗体は典型的には幾つかのCDR残基及び場合によっては幾つかのFR残基が齧歯類抗体の類似する部位からの残基によって置換されたヒト抗体である。
【0114】
抗体がヒトの治療用途を意図している場合、抗原性及びHAMA反応(ヒト抗-マウス抗体)を低減するには、ヒト化抗体を生成する際に使用するヒトの軽重両方のヒト可変ドメインの選択が非常に重要である。いわゆる「ベストフィット法」では、齧歯動物抗体の可変ドメインの配列を、既知のヒト可変ドメイン配列のライブラリー全体に対してスクリーニングする。次に齧歯動物のものと最も近いヒトVドメイン配列を同定し、その中のヒトフレームワーク(FR)をヒト化抗体のために受け入れる(Sims等, J. Immunol., 151:2296 (1993);Chothia等, J. Mol. Biol., 196:901(1987))。他の方法では、軽又は重鎖の特定のサブグループのヒト抗体全てのコンセンサス配列から誘導される特定のフレームワーク領域を使用する。同じフレームワークをいくつかの異なるヒト化抗体に使用できる(Carter等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89:4285 (1992);Presta等, J. Immunol., 151:2623(1993))。
【0115】
更に、抗体を、抗原に対する高結合親和性や他の好ましい生物学的性質を保持してヒト化することが重要である。この目標を達成するべく、好ましい方法では、親及びヒト化配列の三次元モデルを使用して、親配列及び様々な概念的ヒト化産物の分析工程を経てヒト化抗体を調製する。三次元免疫グロブリンモデルは一般的に入手可能であり、当業者にはよく知られている。選択された候補免疫グロブリン配列の推測三次元立体配座構造を図解し、表示するコンピュータプログラムは購入可能である。これら表示を見ることで、候補免疫グロブリン配列の機能における残基のありそうな役割の分析、すなわち候補免疫グログリンの抗原との結合能力に影響を及ぼす残基の分析が可能になる。このようにして、例えば標的抗原に対する親和性が高まるといった、望ましい抗体特性が達成されるように、FR残基をレシピエント及び移入配列から選択し、組み合わせることができる。一般的に、高頻度可変領域残基は、直接かつ最も実質的に抗原結合性に影響を及ぼしている。
【0116】
ヒト化抗ABCC3ポリペプチド抗体の種々の形態が考えられる。例えばヒト化抗体は、免疫結合体を生成するために、状況に応じて一又は複数の細胞傷害剤(類)と結合していてもよい抗体断片、例えばFabであってもよい。その代わりに、ヒト化抗体は無傷抗体、例えば無傷IgG1抗体であってもよい。
【0117】
ヒト化の別法として、ヒト抗体を生成することができる。例えば、現在では、免疫化することで、内因性免疫グロブリンの産生がなく、ヒト抗体の全レパートリーを産生することのできるトランスジェニック動物(例えば、マウス)を作ることが可能である。例えば、キメラ及び生殖細胞系突然変異体マウスにおける抗体重鎖結合領域(J)遺伝子のホモ接合体欠失によって、結果として内因性抗体産生の完全な阻害が起こることが説明されてきた。ヒト生殖系列免疫グロブリン遺伝子配列の、このような生殖細胞系突然変異体マウスへの転移によって、結果として抗原投与時にヒト抗体の産生がおこる。Jakobovits等, Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 90:2551 (1993);Jakobovits等, Nature 362:255-258 (1993); Bruggeman等, Year in Immuno., 7:33 (1993);米国特許第5545806号、同5569825号、同5591669号(全てジェンファーム(GenPharm));同5545807号;及び国際公開第97/17852号を参照されたい。
【0118】
別法として、ファージディスプレイ技術(McCafferty等, Nature 348:552-553[1990])を使用して、非免疫化ドナーの免疫グロブリン可変(V)ドメイン遺伝子レパートリーから、インビトロでヒト抗体及び抗体断片を産出させることができる。この技術によれば、抗体Vドメイン遺伝子を、フレーム単位で、繊維状バクテリオファージ、例えばM13又はfdの大きい又は小さいコートタンパク質遺伝子のどちらかでクローンし、ファージ粒子の表面で機能的抗体断片として表示させる。繊維状粒子がファージゲノムの一本鎖DNAコピーを含むので、抗体の機能特性に基づいた選択に基づいても、結果としてこれらの特性を示す抗体をコードする遺伝子の選択が成される。よって、このファージはB細胞のいくつかの特性を模倣している。ファージディスプレイは多様な形式で行うことができる;例えばJohnson, Kevin S. 及びChiswell, David J., Current Opinion in Structural Biology 3:564-571(1993)を参照せよ。V-遺伝子セグメントのいくつかの供給源を、ファージディスプレイのために使用できる。Clackson等, Nature, 352:624-628(1991)は、免疫化したマウス脾臓由来のV遺伝子の小さいランダムなコンビナトリアルライブラリーから、多様で多くの抗-オキサゾロン抗体を単離した。非免疫化ヒトドナーのV遺伝子のレパートリーが構成可能であり、多様で多くの抗原(自己抗原を含む)に対する抗体は、Marks等, J. Mol. Biol. 222:581-597(1991)、又はGriffith等, EMBO J. 12:725-734(1993)に記載の技術にそのまま従うことで単離することができる。また、米国特許第5565332号及び同5573905号を参照のこと。
【0119】
上述したように、ヒト抗体はインビトロで活性化したB細胞により産生することができる(米国特許第5567610号及び同5229275号)。
【0120】
ある状況下では、抗体全体よりも、抗体断片を用いることに利点がある。より小さな大きさの断片によって迅速なクリアランスが可能となり、固形腫瘍への接近の改良につながり得る。
【0121】
抗体断片を産生するために様々な技術が開発されている。伝統的には、これらの断片は、無傷の抗体のタンパク分解性消化によって誘導された(例えば、Morimoto等, Journal of Biochemical and Biophysical Methods 24:107-117 (1992)及びBrennan等, Science, 229:81(1985)を参照されたい)。しかし、これらの断片は、現在は組換え宿主細胞により直接産生することができる。Fab、Fv及びScFv抗体断片は、すべて大腸菌で発現させ分泌させることができ、従って、大量のこれら断片の産生が容易となった。抗体断片は、上で論じた抗体ファージライブラリーから単離することができる。別法として、Fab'-SH断片は大腸菌から直接回収することができ、化学的に結合させてF(ab')断片を形成することができる(Carter等, Bio/Technology 10:163-167(1992))。他のアプローチ法では、F(ab')断片を組換え宿主細胞培養から直接分離することができる。インビボ半減期が増した、サルベージレセプター結合性エピトープ残基を含むFab及びF(ab’)が、米国特許第5869046号に記載されている。抗体断片を生成するのための他の方法は、当業者には明らかであろう。他の実施態様では、選択する抗体は単鎖Fv断片(scFv)である。国際公開93/16185号;米国特許第5571894号;及び米国特許第5587458号を参照のこと。Fv及びsFvは、定常領域を欠く無傷の連結部位を有する唯一の種である;従って、インビボで使用している間の減少した非特異的結合に適している。sFv融合タンパク質は、sFvのアミノ又はカルボキシ末端のどちらかで、エフェクタータンパク質の融合体が生成されるように構成されてもよい。上掲のAntibody Engineering, Borrebaeck編を参照のこと。また、抗体断片は、例えば米国特許第5641870号に記載されているような「直鎖状抗体」であってもよい。そのような直鎖状抗体断片は単一特異性又は二重特異性であってもよい。
【0122】
本発明の抗体をエフェクター機能について改変し、例えば抗体の抗原依存性細胞媒介性細胞障害(ADCC)及び/又は補体依存性細胞障害(CDC)を増強することが望ましい。このことは、抗体のFc領域に一又は複数のアミノ酸置換基を導入することにより達成される。別に、又は付加的にシステイン残基(類)をFc領域に導入して、この領域における鎖間ジスルイド結合を形成させる。このようにして産生されたホモダイマー抗体は改善された内部移行能力及び/又は増加した補体媒介細胞死滅及び抗体依存性細胞障害(ADCC)を有しうる。Caron等, J. Exp. Med. 176:1191-1195 (1992)及びShopes, B. J. Immunol. 148:2918-2922 (1992)を参照されたい。抗腫瘍活性が高められたホモダイマー抗体は、Wolff等, Cancer Research 53:2560-2565(1993)に記載されているようなヘテロ二官能性架橋剤を使用して調製することもできる。あるいは二重Fc領域を有し、よって増強された補体溶解及びADCC能を有しうる抗体を設計することができる。Stevenson等, Anti-cancer Drug Design 3:219-230 (1989)を参照。アンタゴニストの血清半減期を延長するために、例として米国特許第5,739,277号に記載されているようにアンタゴニスト(特に抗体断片)内にサルベージレセプター結合エピトープを組み込む方法がある。ここで用いる、「サルベージレセプター結合エピトープ」は、IgG分子のインビボ血清半減期延長に関与するIgG分子(例えば、IgG、IgG、IgG又はIgG)のFc領域のエピトープを表す。
【0123】
別のABCC3ポリペプチドアンタゴニストとなり得るものは、アンチセンス技術により調製されたアンチセンスRNAまたはDNA構築物であり、例えば、アンチセンスRNAまたはDNA分子は、標的mRNAにハイブリダイズし、蛋白質の翻訳を阻害することにより直接mRNAの翻訳を妨げるように働く。三本鎖形成、または、アンチセンスDNA若しくはRNAによって、アンチセンス技術は遺伝子発現を調製するのに用いることができ、どちらの方法もポリヌクレオチドのDNAまたはRNAへの結合に基づく。例えば、ここでは成熟ABCC3ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列の5’コード部分は、長さが約10〜40塩基対のアンチセンスRNAオリゴヌクレオチドを設計するのに用いられる。DNAオリゴヌクレオチドは、遺伝子の転写に関る領域に相補的に設計され(三本鎖―Leeet al., Nucleic Acids Res., 6:3073(1979);Cooney et al., Science, 241:456(1988);Dervan et al., Science, 251:1360(1991)参照)、それによりVEGF−Eポリペプチドの転写、および、産生を阻害する。アンチセンスRNAオリゴヌクレオチドはイン・ビボでmRNAにハイブリダイズし、mRNA分子のABCC3ポリペプチドへの転写を妨げる(アンチセンス―Okano, Neurochem., 56:560(1991);「Origodeoxynulcleotide as Antisense Inhibitors of Gene Expression」(CRC Press:Boca Raton, FL, 1988))。また、アンチセンスRNAまたはDNAがイン・ビボでABCC3ポリペプチドの産生を阻害するように発現されるように、上記オリゴヌクレオチドは細胞へ届けられ得る。アンチセンスDNAが用いられる場合、例えば、標的遺伝子ヌクレオチド配列の約−10および+10位の間である翻訳開始部位由来のオリゴデオキシリボヌクレオチドが好ましい。
【0124】
低分子干渉RNA(siRNA)は、標的遺伝子の発現を低減する一般的には30ヌクレオチド長より短い二重鎖RNA分子である。siRNAは、小分子又は抗体のような伝統的なアンタゴニストが機能しない遺伝子発現調節の研究においてツールとして役立つことが証明されている(Shi Y., Trends in Genetics 19(1):9-12 (2003))。インビトロで調製され、21から23ヌクレオチド長の二重鎖RNAは、干渉RNA(iRNA)として機能し得、遺伝子発現を特異的に阻害し得る(Fire A., Trends in Genetics 391; 806-810 (1999))。これらのsiRNAは、それらの標的RNAの消化を媒介することによって機能する。それらは、30ヌクレオチド長より短いので、細胞抗ウイルス機構を開始しない。幾つかの実施態様では、siRNAは、ABCC3コードポリヌクレオチド又はその構成要素のコード配列の部分と少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%のヌクレオチド相同性を有する。
【0125】
ABCC3ポリペプチド結合オリゴヌクレオチドはここで記載される様なABCC3ポリペプチドに好ましくは特異的に結合するオリゴペプチドである。ABCC3ポリペプチド結合オリゴペプチドは、既知のオリゴペプチド合成方法論を用いて化学的に合成することができ、あるいは組み換え技術を用いて調製及び精製することができる。ABCC3ポリペプチド結合オリゴペプチドは通常、少なくとも約5のアミノ酸長であり、或いは少なくとも約6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100のアミノ酸長以上であり、このようなオリゴペプチドはここに記載される様なABCC3ポリペプチドに対して好ましくは特異的に結合する能力がある。ABCC3ポリペプチド結合オリゴペプチドは、よく知られた技術を用いて過度の実験をすることなしに同定することができる。この点において、ポリペプチド標的に特異的に結合する能力のあるオリゴペプチドのオリゴペプチドライブラリーを検索する技術は当分野でよく知られていることを注記する(例えば、米国特許第5556762号、同第5750373号、同第4708871号、同第4833092号、同第5223409号、同第5403484号、同第5571689号、同第5663143号;PCT公開第WO84/03506号、及びWO84/03564号;Geysen等, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 81:3998-4002 (1984);Geysen等, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 82:178-182 (1985);Geysen等, in Synthetic Peptides as Antigens, 130-149 (1986);Geysen等, J. Immunol. Meth., 102:259-274 (1987);Schoofs等, J. Immunol., 140:611-616 (1988), Cwirla,S.E.等(1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87:6378;Lowman,H.B.等 (1991) Biochemistry, 30:10832;Clackson,T.等 (1991) Nature, 352:624;Marks,J.D.等 (1991) J. Mol. Biol., 222:581;Kang,A.S.等 (1991) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88:8363、及びSmith, G.P. (1991) Current Opin. Biotechnol., 2:668参照)。
【0126】
この点において、バクテリオファージ(ファージ)ディスプレイは、大きなオリゴペプチドライブラリーを検索して、ポリペプチド標的に特異的に結合する能力のあるこれらライブラリーのメンバーを同定することを可能にするよく知られた技術の一つである。ファージディスプレイは、様々なポリペプチドがバクテリオファージ粒子の表面上のコートタンパク質に融合タンパク質として表示されることによる技術である(Scott,J.K.及びSmith G. P. (1990) Science 249:386)。ファージディスプレイの有用性は、選択的にランダム化されたタンパク質変異体(又はランダムクローンcDNA)の大きなライブラリーを標的分子に高い親和性で結合するこれらの配列について素早く効果的に分類することができる点にある。ファージでのペプチド(Cwirla,S.E.等 (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87:6378)又はタンパク質(Lowman,H.B.ら (1991) Biochemistry, 30:10832; Clackson,T.ら (1991) Nature, 352: 624; Marks,J.D.等 (1991), J. Mol. Biol., 222:581; Kang,A.S.等 (1991) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88:8363)ライブラーリのディスプレイは、特異的に結合する特性を有するものについて無数のポリペプチド又はオリゴペプチドをスクリーニングするために使用されている(Smith, G.P. (1991) Current Opin. Biotechnol., 2:668)。ランダム突然変異体のファージライブラリーの分類は、多数の変異体を構築して増殖させる方法、標的レセプターを用いた親和性精製の方法、及び結合増強の結果を評価する手段を必要とする。米国特許第5223409号、同第5403484号、同第5571689号、及び同第5663143号。
【0127】
ペプチドライブラリーを作製し、これらのライブラリーをスクリーニングする方法は、また、米国特許第5,723,286号、同第5,432,018号、同5,580,717号、同5,427,908号、同5,498,530,号、同5,770,434,号、同5,734,018号、同5,698,426,号、同5,763,192号及び同5,723,323号に開示されている。
【0128】
ABCC3ポリペプチド結合小分子は、好ましくは特異的にABCC3ポリペプチドに結合する、本明細書で定義されるようなオリゴペプチド又は抗体以外の有機分子である。ABCC3ポリペプチド結合有機小分子は、公知の方法を用いて同定され、化学的に合成されてよい(例としてPCT国際公開第00/00823号および国際公開第00/39585号参照)。ABCC3ポリペプチド結合有機小分子は通常、およそ2000ダルトン未満の大きさ、あるいはおよそ1500、750、500、250又は200ダルトン未満の大きさであり、このようなABCC3ポリペプチドに好ましくは特異的に結合できる有機小分子は周知の技術を使用して過度の実験を行うことなく同定されてよい。この点に関して、ポリペプチド標的に結合することができる分子について有機小分子ライブラリをスクリーニングするための技術は当分野で周知である(例としてPCT国際公開00/00823および国際公開00/39585参照)。ABCC3ポリペプチド結合有機小分子は、例えば、アルデヒド、ケトン、オキシム、ヒドラゾン、セミカルバゾン、カルバジド、一級アミン、二級アミン、三級アミン、N置換ヒドラジン、ヒドラジド、アルコール類、エーテル、チオール、チオエーテル、ジスルフィド、カルボン酸、エステル、アミド、尿素、カルバミン酸エステル、炭酸塩、ケタール、チオケタール、アセタール、チオアセタール、ハロゲン化アリール、アリールスルホン酸塩、ハロゲン化アルキル、アルキルスルホン酸塩、芳香族化合物、複素環化合物、アニリン、アルケン、アルキン、ジオール、アミノアルコール、オキサゾリジン、オキサゾリン、チアゾリジン、チアゾリン、エナミン、スルホンアミド、エポキシド、アジリジン、イソシアネート、スルホニルクロリド、ジアゾ化合物、酸クロリド等であってよい。
【0129】
上記薬剤の何れかを含む薬学的製剤は、水溶液又は凍結乾燥されるか又は他の乾燥した形態で、好適な生理学的に受容可能な担体、賦形剤又は安定剤と、所望の精製度を有する抗体又は免疫コンジュゲートとを混合することにより、保存用に調整される(Remington's Pharmaceutical Sciences, 16th edition, A. Osol, Ed., (1980))。受容可能な担体、賦形剤又は安定剤は、用いる投与量及び濃度ではレシピエントに対して無毒性であり、リン酸、クエン酸、ヒスチジン及び他の有機酸等の緩衝液;アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化剤;防腐剤(例えば、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンズアルコニウム;塩化ベンゼトニウム);フェノール、ブチル又はベンジルアルコール;アルキルパラベン類、例えばメチル又はプロピルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾール);低分子量(残基数10個未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン又は免疫グロブリン等のタンパク質;ポリビニルピロリドン等の親水性重合体;グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、ヒスチジン又はリシン等のアミノ酸;グルコース、マンノース、又はデキストリンを含む単糖類、二糖類、及び他の炭水化物;EDTA等のキレート剤、スクロース、マンニトール、トレハロース又はソルビトール等の糖類、ナトリウム等の塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);及び/又はTWEEN(商標)、PLURONICS(商標)又はポリエチレングリコール(PEG)等の非イオン性界面活性剤を含む。インビトロ投与に使用される薬学的製剤は、一般的には無菌である。これは、滅菌濾過膜を通して濾過することにより即時達成される。
【0130】
また薬剤は、例えばコアセルベーション技術又は界面重合により調製されたマイクロカプセル、例えば、それぞれ、ヒドロキシメチルセルロース又はゼラチンマイクロカプセル及びポリペプチド-(メタクリル酸メチル)マイクロカプセル、コロイド状ドラッグデリバリー系(例えば、リポソーム、アルブミン微小球、マイクロエマルション、ナノ-粒子及びナノカプセル)又はマクロエマルションに捕捉させてもよい。このような技術は、(Remington's Pharmaceutical sciences 16th edition, Osol, A. 編, (1980)に開示されている。
【0131】
徐放性製剤を調整してもよい。徐放性製剤の適切な例として、抗体を含む固形疎水性ポリマーの半透性基質を上げることができ、この基質は、有形物、例えばフィルム、又はマイクロカプセルの形態である。徐放性基質の例には、ポリエステル、ハイドロゲル(例えば、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリル酸)、又はポリ(ビニルアルコール))、ポリ乳酸(米国特許第3773919号)、Lグルタミン酸及びγエチル−L−グルタミンの共重合体、非分解性エチレン−ビニルアセテート、LUPRON DEPOTTM(乳酸−グリコール酸共重合体及びリュープロリド酢酸塩からなる注射可能な微粒子)のような、分解性の乳酸−グリコール酸の共重合体、並びにポリ−D−(−)3−ヒドロキシブチル酸が含まれる。エチレンビニルアセテート及び乳酸−グリコール酸のようなポリマーは、100日に亘る分子の放出を可能にし、一方、特定のハイドロゲルは、それよりも短期間に亘ってタンパク質を放出する。カプセル封入された抗体は、体内に長時間留まるとき、37℃で水分に曝されることにより、変性又は凝集し、その結果生物学的活性を失い、場合によっては免疫原生が変化する。関与する機序に応じて、安定化のために合理的な戦略を講じることができる。例えば、凝集の機序が、チオ−ジスルフィド交換により分子間S−S結合の形成であることが発見された場合、スルフヒドリル残基の修飾、酸性溶液の凍結、水分含有率の制御、適切な添加剤の使用、及び特定のポリマー基質組成物の開発により、安定化させることができる。
【0132】
有糸分裂阻害剤
有糸分裂阻害剤は、有糸分裂を、阻害、予防、又はそうでなければ崩壊させる任意の化合物である。有糸分裂阻害剤の具体的な例は、限定されるものではないが、パクリタキセルとドセタキセルのようなタキサン、種々のメイタンシノールエステル、及びDM1及びDM4のような、メイタンシノール分子の芳香環又は他の部分において修飾されたメイタンシノールとメイタンシノールアナログを含むメイタンシノイド、ドラスタチン10、ドラスタチン15、及びモノメチルアウリスタチンE(MMAE)とモノメチルアウリスタチンF(MMAF)のようなアウリスタチン、ビンブラスタチンとビンクリスチンのような、ビンカアルカロイド及びそれらのアナログと誘導体を含む。
【0133】
タキサンは、イチイの木由来の抗癌剤である。ヨーロッパイチイに由来するドセタキセル(TAXOTERE(登録商標)、ローン・プーラン ローラー)は、パクリタキセル(TAXOL(登録商標)、ブリストル-マイヤー スクウィブ)の半合成類似体である。パクリタキセル及びドセタキセルは、チューブリン二量体から微小管の集合を促進し、細胞の有糸分裂を阻害する結果となる脱重合を防ぐことによって微小管を安定化にする。
【0134】
メイタンシノイドは、細胞を細胞周期のG2/M期に留め、最終的に細胞死に至らせる、強力な有糸分裂阻害剤である、チューブリン結合剤である。メイタンシノイドは、メイタンシンの誘導体であり、メイタンシンは、最初、東アフリカシラブMaytenus serrataから単離されたものである(米国特許第3896111号)。その後、ある種の微生物がメイタンシノイド類、例えばメイタンシノール及びC-3メイタンシノールエステルを生成することが発見された(米国特許第4151042号)。合成メイタンシノール及びその誘導体及び類似体は、例えば米国特許第4137230号;同4248870号;同4256746号;同4260608号;同4265814号;同4294757号;同4307016号;同4308268号;同4308269号;同4309428号;同4313946号;同4315929号;同4317821号;同4322348号;同4331598号;同4361650号;同4364866号;同4424219号;同4450254号;同4362663号;及び同4371533号及びKawai等(1984) Chem. Pharm. Bull. 3441-3451に開示されている。
【0135】
アウリスタチンは、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)及びモノメチルアウリスタチンF(MMAF)を含む、ドラスタチン10(ペンタペプチド天然物)のアナログである。このファミリーの分子は、チューブリン重合を阻害する。一般的に、活性は、ドキソルビシンより100から1000倍強い(Pettit, G. R., The dolastatins. Progress in the Chemistry of Organic Natural Products 70, 1-79, 1997)。
【0136】
有糸分裂阻害剤は、抗体にコンジュゲートされていてもよい。
【0137】
抗体−薬剤コンジュゲートを調製するために、当該分野で知られている多くの結合基がある。抗体メイタンシノイドコンジュゲートは、文献中で広く記述されている。例えば、米国特許第5208020号又は欧州特許第0425235B1号及びChari等, Cancer Research 52:127-131 (1992)を参照されたい。抗体−薬剤コンジュゲートを作製するのに有用な結合基は、ジスルフィド基、チオエーテル基、酸開裂基、光開裂基、ペプチド開裂基、又はエステラーゼ開裂基、上記の特許に記載の通り、ジスルフィド及びチオエーテル基が好ましい。
【0138】
抗体とメイタンシノイド、又は他の有糸分裂阻害剤とのコンジュゲートは、種々の二官能性タンパク質カップリング剤、例えばN-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオナート(SPDP)、スクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシラート、イミノチオラン(IT)、イミドエステル類の二官能性誘導体(例えばジメチルアジピミダートHCl)、活性エステル類(例えば、スベリン酸ジスクシンイミジル)、アルデヒド類(例えば、グルタルアルデヒド)、ビスアジド化合物(例えば、ビス(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビス-ジアゾニウム誘導体(例えば、ビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)エチレンジアミン)、ジイソシアネート(例えば、トルエン-2,6-ジイソシアネート)、及び二活性フッ素化合物(例えば、1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン)を使用して作製することができる。ある実施態様では、カップリング剤は、ジスルフィド結合により提供されるN-スクシンイミジル-4-(2-ピリジルチオ)ペンタノアート(SPP)又はN-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオナート(SPDP)(Carlsson等, Biochem. J. 173:723-737[1978])である。
【0139】
リンカーは結合の種類に応じて、種々の位置でメイタンシノイド分子に結合し得る。例えば、従来からのカップリング技術を使用してヒドロキシル基と反応させることによりエステル結合を形成することができる。反応はヒドロキシル基を有するC-3位、ヒドロキシメチルで修飾されたC-14位、ヒドロキシル基で修飾されたC-15位、及びヒドロキシル基を有するC-20位で生じる。一実施態様では、結合はメイタンシノール又はメイタンシノールの類似体のC-3位で形成される。
【0140】
有糸分裂阻害剤抗体コンジュゲートの例は、限定されるものでは無いが、トラスツズマブ−DM1(Genentech/ImmunoGen、出典明示によりその全体がここに取り込まれる米国特許第7097840号において記載される)、トラスツズマブ−アウリスタチン(Genentech/ Seattle Genetics)、カンツズマブメルタンシン(huC242−DM1、SB−408075)(ImmunoGen)、BB−10901(huN901−DM1)(ImmunoGen)、MLN2704(DM1)(Millennium Pharmaceuticals)、ビバツズマブメルタンシン(DM1)(Boehringer Ingelheim)、huMy9−6−DM4(AVE9633)(Sanofi−aventisc)、huC242−DM4(ImmunoGen)、SGN−35(モノメチルアウリスタチン)(Seattle Genetics)、SGN−75(モノメチルアウリスタチン)(Seattle Genetics)、及びCR011−vcMMAE(Curagen/Seattle Genetics)を含む。
【0141】
トラスツズマブ−MCC−DM1(T−DM1)(CAS登録番号139504−50−0)は、構造:

を有し、ここで、Trは、リンカー部位であるMCCを通してメイタンシノイド医薬部位であるDM1(米国特許第5208020号;米国特許第6441163号)に結合させたトラスツズマブである。抗体に対する医薬の割合又は医薬の搭載は、トラスツズマブ−MCC−DM1の上の構造においてpによって表され、整数値の範囲は1から約8である。医薬の搭載値pは1から8である。トラスツズマブ−MCC−DM1は、1、2、3、4、5、6、7、及び8の医薬部位が抗体のトラスツズマブに共有結合した(米国特許第7097840号;米国特許第2005/0276812号;米国特許第2005/0166993号)、種々に搭載し、結合した抗体医薬コンジュゲートの全ての混合物を含む。トラスツズマブは、マウス4D5抗体(1990年5月24日の、ブダペスト条約の下、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション12301 Parklawn Drive, Rockville, Md. 20852に寄託されたATCC CRL 10463である。ATCC CRL 10463, deposited with American Type Culture Collection, 12301 Parklawn Drive, Rockville, Md. 20852 under the Budapest Treaty on May 24, 1990)の、又はマウス4D5抗体由来の抗原結合部位を有する抗体である。例示的なヒト化4D5抗体は、米国特許第5821337号中のような、huMAb4D5−1、huMAb4D5−2、huMAb4D5−3、huMAb4D5−4、huMAb4D5−5、huMAb4D5−6、huMAb4D5−7及びhuMAb4D5−8(HERCEPTIN(登録商標))である。
【0142】
トラスツズマブ−DM1(又はT−DM1)は、HER2過剰発現癌の、トラスツズマブ感受性及びトラスツズマブ非感受性モデルにおいて有効であることが示される。臨床研究が、HER2過剰発現乳癌を有する患者におけるT−DM1の安全性と効能を評価するために現在進行中である。
【実施例】
【0143】
実施例1−技術とアッセイ
細胞株と生存率実験
乳癌細胞株AU565、BT−474、BT−549、CAMA−1、DU4475、HCC1143、HCC1419、HCC1428、HCC2218、HCC70、Hs578T、KPL−1、MCF−7、MDA−MB−231、MDA−MB−435S、MDA−MB−436、MDA−MB−453、MDA−MB−468、T−47D、UACC−812、ZR−75−1及びZR−75−30は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC, Manassas, VA)から得た。細胞株CAL−120、CAL−148、CAL−51、CAL−85−1、EFM−19、EFM−192A、EVSA−T、及びMT−3は、the Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH (DSMZ, Braunschweig, Germany)から得た。10%のウシ胎児血清(Sigma, St. Louis, MO)、非必須アミノ酸及び2mmol/LのL−グルタミンを補充したRPMI1640又はDMEM中で維持した。乳癌細胞株として注釈付けられるが、MDA−MB−435Sは、実際には、分子及び遺伝学的基準(19、20)に基づき、メラノーマ起源及び結腸起源のMT−3であり得る。これらの発見は、この研究の結果に影響を与えない。
【0144】
MMAEとパクリタキセルのIC50の決定については、細胞は、通常の成長培地中、384ウェルプレートにおいて、ウェル毎に3000細胞の密度で四重に播き、終夜付着させた。パクリタキセル(シグマ)又はMMAE(Seattle Genetics, Seattle, WA)を、3倍希釈系列(パクリタキセルについて最大1μmol/L又はMMAEについて最大0.1μmol/L)に基づき、10倍濃度添加した。
【0145】
細胞生存率をCelltiter-Glo Luminescent Cell Viability Assay (Promega, Madison, WI)を使用して72時間後に測定した。細胞生存率(IC50)の50%阻害の結果になる薬剤の濃度は、4パラメーター曲線解析(XLfit, IDBS software)から計算され、3回の実験の最小値から決定された。実施された実験の多数における薬剤治療に応答する細胞生存率の50%の減少を示さなかった細胞株は、定義によるとIC50に達していないと見なされ、IC50が、100nM(MMAE)より多いか又は1000nMより多い(パクリタキセル)として記載される。図6は、6個の細胞株について、代表的な細胞生存率実験の実施例を提供する。細胞株EFM192A、NDAMB361、及びBT474は、バイオインフォマティック解析におけるそれぞれの薬剤に耐性があるとして分類された。AU565、EFM19、及びMDAMB468は、感受性として分類された。フィットした曲線からのIC50値は、それぞれの右側にチャートとして示される。
【0146】
IC50に達していないEVSA−T細胞株のABCC3過剰発現クローンについては、GraphPad Prism software (GraphPad Software, Inc)において、最大半量効果濃度、又はEC50、を計算した。図5のコントロール細胞株は、実際、空のベクターでトランスフェクション後のEVSA−T由来のクローンであり、示された特定の実験ではIC50に達した。
【0147】
乳腺腫瘍サンプル
145個の独立した乳癌患者からの原発性乳癌は、Agilent Array CGH分析(21)のためのゲノムDNAを調製するために使用した。全ての腫瘍は新鮮に凍結され、70%より大きな腫瘍内容物を含み、浸潤性乳管癌として分類された。ABCC3のFISH実験は、ジェネンテック腫瘍バンクからの61個の付随的な独立した原発性乳癌腫瘍サンプルにおいて実施された。
【0148】
遺伝子発現マイクロアレイ実験
乳癌細胞株の遺伝子発現解析は、キアゲンRNAasyキットを使用し、サブコンフルエント細胞培養液からのRNA抽出物において実施された。RNA品質は、Agilent Bioanalyzer 2100にいてサンプルを走らせることにより確かめ、十分な品質のサンプルは、アフィメトリクス HGU133Plus_2.0 chips (Santa Clara, CA)上でプロファイルした。相補RNAの調製、アレイハイブリダイゼーション、スキャニング及び続くアレイイメージデータ解析は、製造元の特定のプロトコルを使用してなされた。
【0149】
乳癌細胞株の監督されていない全体の階層型クラスタリング分析について、遺伝子発現データは、細部株を通じてわずかな変化を示すプローブセットを除くためにフィルターにかけた。簡潔には、サンプルを通じて少なくとも5倍の変化と(最大/最小>10)、少なくとも250(最大−最小>250)の絶対強度の差異を示さなかったプローブを、階層型分析から抽出した。データ処理は、ログ変換と遺伝子発現値の中間値の算出を行い、その後、平均リンケージクラスタリングをCluster and TreeView software (22)を使用して実施した。
【0150】
SNPアレイ及びアジレントaCGHコピー数研究
細胞株コピー数分析を、キアゲンDNAeasyキットを用いてサブコンフルエント細胞培養液から抽出したゲノムDNA上で実施した。それぞれの細胞株について、500ngのゲノムDNAを製造元の指示書に従ってジーンチップ100Kマッピングアレイ(Affymetrix, Inc., Santa Clara, CA)にハイブリダイズさせた。これらのアレイは、26kbの平均マーカー距離を有する、全ヒト染色体(Y染色体を除く)由来の116000以上のSNP遺伝子座についてのプローブセットを含む(23)。SNPコールとシグナル定量は、Gene Chip Operating Systemによって得られた。アジレントヒトゲノム244ACGHマイクロアレイ及びアジレントフィーチャー抽出ソフトウェアを、製造元の指示書に従って実行し、それぞれのSNPプローブについて、アフィメトリクス染色体コピー数解析ツール3.0(CNAT3.0)を用いて、ゲノム平滑化分析DNAコピー数(GSA_CN)をハイブリダイゼーション強度(両者のアレル強度の合計)に基づいて計算した。コピー数データは、GLAC区分アルゴリズム(24)を用いて区分した。
【0151】
GSA_CNコピー数と薬剤感受性の関係は、maxT処理バージョンを使用したMatlabソフトウェア(The MathWorks, Inc. Natick, MA, USA)で同定した(26)。それぞれの薬剤について、感受性におけるログ形質転換コピー数と耐性細胞株の差異を反映するそれぞれのSNPについて、試験統計を計算した。感受性と耐性クラスの間に平均コピー数が1.75倍より少ない差異であるそれらのSNPについてゼロに設定していることを除き、統計は、標準t統計(2サンプル、不等分散)の絶対値として計算された。次いで全てのSNPに渡る最大試験統計の帰無分散を、10000個のランダムな感受性ラベルの置換において、計算した。それぞれのSNPのp値を、最大の試験統計が、SNPについて観察された統計より大きいか又は等しい置換の分数として計算した。得られたp値は、過誤率を制御し、試験したSNPの数を考慮する。
【0152】
定量的RT PCRを用いたHER2コピー数の決定
定量的PCRをABIプリズム7700配列決定システム(Applied Biosystems, Foster City, CA)を使用して、上記の通り調製したゲノムDNAにおいて、実施した。qRT−PCRを、Her2について、プライマーCACTGTCTGCACCTTGCTTTG(配列番号:1)とGCTCTGCAGCTATTGAAAGAACAA(配列番号:2)を、Line−1反復配列について、AAAGCCGCTCAACTACATGG(配列番号:3)とTGCTTTGAATGCGTCCCAGAG (配列番号:4)を用いて実施した。Line−1は、ヒトの正常と腫瘍細胞間のハプロイド毎の類似のコピー数を有する反復配列である。定量は、ヒト正常ゲノムDNAの連続希釈からの標準曲線に基づいた。相対標的コピー数レベルは、また校正器として正常ヒトゲノムDNAに正規化した。Line−1と比較した標的遺伝子のコピー数変化と校正器は、Kindich等(28)によって記載された通り、式E-[(CPtarget - Cpref)control - (CPtarget - Cpref)test]を用いて決定された。定量的PCR反応の条件は、Invitrogen Platinum(登録商標)SYBR(登録商標)Green qPCR SuperMix-UDG w/ROXパッケージ挿入物(カタログ番号11744-500)において記載された通りである。
【0153】
蛍光インサイツハイブリダイゼーション(FISH)分析
プローブ
ABCC3遺伝子座及び隣接領域(USCSゲノムブラウザー2006年4月会議に基づく)を被覆する、CTD−2605A1とCTD−3006C13の2個の重複クローンを含む、細菌人工染色体(BAC)コンティグをFISH実験のためのプローブとして使用した。商業的に利用可能なHER2/CEP17(Pathvysion, Vysis/Abbott Laboratories, Des Plaines, IL)とCEP17(Vysis/Abbott Laboratories, Des Plaines, IL)のためのプローブをまたFISH実験のために使用した。
【0154】
FISH解析
細胞株を以前に記載の通り(29)、0.1μg/mLのColcemid(インビトロジェン)に2から3時間インキュベートし、KCl(0.075M)において浸透圧膨張させ、メタノール:酢酸(3:1)中で固定化することにより、細胞遺伝学的解析のために調製した。BACクローンからのDNAは、定法により抽出した。
抽出したBAC DNAを直接スペクトルオレンジ、スペクトルグリーン(Vysis/Abbott Laboratories, Des Plaines, IL)、又はジエチルアミノクマリン(DEAC)(インビトロジェン)を用いて、製造元の指示書に従ってVysisニックトランスレーションキット(Vysis/Abbott Laboratories)を使用してニックトランスレーションによりラベル化した。正常ヒト中期(Abbott Laboratories, Des Plaines, IL)に対するFISHで、BACクローンの遺伝子座を確認した。約300ngの標識化したプローブを、FISH実験のため、過剰のヒトCot−1DNA(インビトロジェン)と超音波をかけたサケ精子DNA(シグマ)中で沈殿させ、50%ホルムアミド、10%硫酸デキストラン、及び2’SSCハイブリダイゼーションバッファー(Vysis/Abbott Laboratories, Des Plaines, IL)中で再懸濁した。細胞遺伝学的製剤とホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織におけるFISHは、幾つかの修正を加えて以前に記載した通り(Pandita等, 2004)に実施した。50℃から60℃で終夜インキュベーション後、スライドをそれぞれ5分、CitroSolvで3回洗浄、次いでアルコール中で2回洗浄中に脱パラフィンした。風乾後、スライドを1MのNaSCN溶液に30分間80℃でインキュベートし、次いで水と連続エタノール中の付加的な洗浄に先立ちペプシンで処理した。乾燥したスライドを次いでプローブを用いて共変性(76℃で6分間)させ、37℃(ThermoBrite; Vysis, Downers Grove, IL)で終夜ハイブリダイズした。ハイブリダイゼーション後の洗浄液と対染色を以前に記述の方法に類似の方法で行った。スライドをオリンパスBX61顕微鏡で可視化し、FISHViewソフトウェア(Applied Spectral Imaging, Vista CA)で解析した。コピー数解析とHER2/ABCC3のCEP17に対する比率は、製造元の指示書の通り実施した。
【0155】
機能変性実験
ハイコンテントスクリーニングアッセイをArrayscan VTI(Cellomics Inc, Pittsburgh, PA)において実施した。細胞を、ダーマコン インクから購入したsiRNA「スマートプール」オリゴヌクレオチドとオリゴフェクタミン形質転換試薬を用いて、96穴形式において形質転換した。機能実験のための遺伝子を優先するために、17q21.3アンプリコンの4コピーより少ないものに比較して4コピーよりも多い細胞株中の遺伝子発現において有意な差がある遺伝子を同定するための、Rプログラム言語(http://www.r-project.org)を使用した両側ウィルコクスンの順位和検定を行った。この分析から現れた遺伝子の異なる発現の例である、ABCC3(p=0.0053)を図3に示す。この解析は、EFM−192A細胞株における機能実験のための次の24遺伝子:ABCC3、COL1A1、CROP、EAP、EPN3、FLJ13855、FLJ20920、HOXB7、LOC201191、ITGB3、KIAA0924、KPNB1、LOC400604、LOC81558、MGC11242、MGC15396、NDP52、PDK2、PHB、PP1R9B、SLC35B1、SPOP、TOB1、WNT3の選択につながるRNAi実験のための試薬の効果と組み合わせた。ABCC3siRNAを用いた追跡調査は、付加的な細胞株ZR75−30、MDAMB−453及びHCC−1428中で行った。ヒトゲノム中の如何なる配列に対しても有意な同一性を示さない非標的コントロール(NTC)siRNAを全てのRNAi実験のネガティブコントロールとして使用した(www.dharmacon.comの技術所見における記載の通り)。37℃で48から72時間のインキュベーション後、細胞を3.7%のホルムアルデヒド中で固定化し、0.1%のトリトンX−100中で透過させ、次いで抗ホスホヒストンH3(pH3、Upstate)の1:500希釈液、次いでアレクサ−フルオロ488(モレキュラープローブ)のヤギ抗ウサギ二次抗体の1:250希釈液でラベル化した。細胞は、細胞核を同定するために、ヘキスト33258で対比染色し、次いで、中期指標としても知られる(30)、核pH3免疫蛍光が陽性の細胞のパーセントを、少なくともウェル毎の1000細胞について、Cellomics Target Activationソフトウェアを使用して定量した。全ての実験は、少なくとも3回繰り返した。siRNAプールが、コントロールsiRNAに対してABCC3の90%のノックダウンの結果になることを確認するために、ABI7900において、qRT−PCR (5’プライマーGATTCCAGCCGCTTCAGTT (配列番号:5)、3’プライマー CCTGGCTGTGCTCTACACCT (配列番号:6) を実施した。
【0156】
ABCC3過剰発現実験については、CMVプロモーター含有ベクターpCMV5(Invitrogen, Carlsbad, CA)中でクローン化した全長ABCC3cDNAを全長コード化シークエンスをシークエンスすることにより確かめた。コンストラクトをEVSA−T細胞に形質転換し、安定クローンを1mg/mlジェネティシン(Invitrogen Carlsbad, CA)における培養により選択した。安定クローンにおけるABCC3の過剰発現を、pCMV5−ABCC3、pCMV5ベクターのみ、又は親のEVSA−T株を含む株由来のcDNAにおいてqRT−PCRで確認した。この報告において記載される全ての安定細胞株は、ベクターコントロール株又は親の細胞株よりもABCC3転写物が少なくとも25−35倍発現するために、qRT−PCR実験において決定した。
【0157】
実施例2−細胞株の分子特徴付け
アフィメトリクス遺伝子発現プロファイリングは、全長mRNAから調製されたcDNA上で実施され、アフィメトリクス100KSNPアレイプロファイリングは、44個の乳癌細胞株から得られたDNA上で行われた。細胞株パネルに渡る11000個のほとんど異なる発現の遺伝子を用いた監督されない分析を、遺伝子発現に基づき(図11)、管腔及び基底様サブタイプに分類するために使用した。管腔として分類される細胞株は、高レベルのエストロジェンレセプターアルファ(ER)及びGATA3、HNF3A、IGF1R及びXBP1を含む、ERによって制御される多くの標的遺伝子を発現した。基底様として分類される細胞株は、幾つか又は全てのよく知られた基底マーカーである、ビメンチン、カベオリン、MFGE8及びKRT5のような基底サイトケラチンを発現した(31)。HER2癌遺伝子の増幅は、細胞株中の全体の遺伝子発現の分類から明らかではない別の疾患のサブタイプを明らかに定義するため(14)、HER2のコピー数は、ゲノムDNAにおけるqRT−PCRによって決定され、全ての細胞株に対し、Line−1のそれぞれの要素に対して規格化される(図11)。これらの分析における4より大きな見かけのコピー数を示す細胞株は、図11の表中に増幅されたHER2として示される。図11の合成分子サブタイプは、HER2コピー数解析並びに全体の遺伝子発現結果の両者から導かれた分類である。これらの発見は、以前の報告に一致し(14)、この乳癌細胞株の回収は、ある程度、乳癌細胞サブタイプを定義し、ある程度、管腔、基底様、及びHER2増幅腫瘍のような、サブタイプのモデルとして代表的な、転写の差異を反映する。細胞株パネル中のコピー数獲得及び欠失のゲノムワイドパターンは、乳癌細胞が、腫瘍に見られる有名なコピー数変化(例えば、MYC、CCND1、HER2獲得及びp16、PTEN欠失)のほとんどを有することを示す。サブタイプ特異的な差異は、報告されている(32)。本研究に関する発見は、17q21.3における増幅は、HER2増幅及び管腔細胞株に共通するが、基底様細胞株に共通しない。
【0158】
実施例3−有糸分裂阻害剤に対するインビトロ感受性
31個の乳癌細胞株をパクリタキセルとMMACに対する感受性についてスクリーニングした。図11は、全ての細胞株における標準ルシフェラーゼベース生存率アッセイにおける制帽生存率を50%阻害するために必要な濃度として定義される、それぞれの化合物についてのIC50値を示す。注目すべきことは、細胞株のパネルを通じて、それぞれの薬剤に対する相対的な感受性の間に大きな相関があった(スピアマン順位相関係数、rs=0.55)。更に、図1は、基底様遺伝子発現サインを示す細胞株が、より低い平均IC50値を有し、クラスカル・ウォリス検定(MMAEについては、P値=0.002、パクリタキセルについては、P値=0.005)によって決定される通り、管腔又はHER2増幅細胞株に比べ、それぞれの薬剤に対する感受性がより高いことを示す。
【0159】
実施例4−インビトロ感受性に相関するゲノム変異の同定
パクリタキセル又はMMAEに対する感受性に関連する染色体の獲得又は欠失の領域を、SNPアレイコピー数データの監督解析によって同定した。最初に、細胞株を、感受性データに基づき、感受性(IC50<10nM)又は耐性(MMAE IC50>100nM、パクリタキセル IC50>1000nM)グループに分類した。次いで、最大Tアルゴリズム(26)を、約115000SNPからのデータを解析するために使用し、それぞれのSNPをゲノムワイドの重要性を有する感受性及び耐性のクラスの間でどこが平均コピー数が異なるかを同定した。パクリタキセルの場合、17番染色体のSNPのグループは、染色体の位置44303217から開始し、位置44724301(17q21から17q21.23)で終了し、感受性と耐性のクラスの間で統計的に有意なコピー数の差異を示した(rs2411377=0.04のP値)。同じグループのマーカーはまたコピー数とMMAE感受性の間に有意な関連性を示した(rs2411377=0.05のP値)。図2aは、パクリタキセルの感受性と17番染色体のこの部位におけるゲノムDNAコピー数の間に関係性があることを示す。パクリタキセルに耐性を示す有意な数の細胞株(14のうち8)が、(菱形で示した)領域中の遺伝子増幅が増加した。分析により得られたヒートマップは、この領域において少なくとも4のゲノムDNAのコピー数を示す。パクリタキセルに対する感受性を示す細胞株のうち、この領域において、ゲノムDNAのコピー数が有意に増加したものは無かった。図2bは、MMAE感受性の類似のデータを示す。
【0160】
実施例5−インターバルの候補遺伝子の同定
17q21.31から17q21.33の染色体領域は、UCサンタクルーズゲノムブラウザー(http://genome.ucsc.edu)によれば、約100個の発現転写物をコードする。増幅の領域における機能的な関連遺伝子が、mRNA発現の付随的な増加を示すべきであるという原則に基づけば、このリストは、増幅において有意な過剰発現を示す24遺伝子(ABCC3、COL1A1、CROP、EAP、EPN3、FLJ13855、FLJ20920、HOXB7、LOC201191、ITGB3、KIAA0924、KPNB1、LOC400604、LOC81558、MGC11242、MGC15396、NDP52、PDK2、PHB、PP1R9B、SLC35B1、SPOP、TOB1、WNT3)までフィルターダウンした。非増幅細胞株に比較して増幅された細胞株において、有意により高い候補遺伝子ABCC3の発現の例を、図3に示す。24遺伝子をタキサンとアウリスタチンに耐性を付与する原因である遺伝子座を同定するための機能分析にかけた。
【0161】
実施例6−RNA干渉によるABCC3の機能検証
RNA干渉戦略を増幅された細胞株におけるタキサンとアウリスタチンに対する耐性を伝達する原因である遺伝子を同定するために使用した。用いたアッセイは、パクリタキセル又はMMAEを用いた細胞の治療は、有糸分裂マーカーのリン酸化ヒストンH3(33)の存在によって評価され得るM期における一連の細胞周期進行の結果となるという事実を利用した。ヒストンH3のSer10におけるリン酸化は、M期における染色体凝縮と強く関係し、pH3染色、又は分裂指数が陽性の細胞のパーセンテージは、免疫蛍光アッセイによって決定され得る。耐性を媒介する遺伝子の細胞ノックダウンは、パクリタキセルとMMAEに対する増幅のある細胞株の感受性を増加すべきであり、したがって、非増殖細胞と投与薬剤濃度におけるコントロール処理した細胞に比較してより高い分裂指数の蓄積の結果となる。より高い分裂指数は、他のアッセイ(COB及びMRL、発表されていない見解)によって決定される生存率と増殖の減少に関連するが、これらの薬剤の有糸分裂効果のより特異的な読み出しである。24個の候補遺伝子のうち23のRNAiは、再現性良く、非増殖細胞の蓄積の結果とならず、EFM−192A細胞中の分裂指数が増加したが、ABCC3のRNAiは、細胞株EFM−192AとZR75−30(図4a−b)中の非標的コントロールsiRNAを用いるコントロール治療に比較して分裂指数が2から3倍増加する結果となった。それに対し、ABCC3RNAiは、非増殖細胞株HCC−1428及びMDA−MB−453において、明確に分裂指数を変化させなかった。類似の結果が、MMAEについて得られた。
【0162】
実施例7−ABCC3の過剰発現がインビトロ多剤耐性を引き起こす
ABCC3増幅を示さず、ABCC3転写物を低いレベルで発現するので、EVSA−T細胞を、ABCC3過剰発現株を生じるモデルとして選択した。3個の独立した由来の株がABCC3転写物を過剰発現するのを確認し、ATBベースの発光アッセイを用いてパクリタキセルやMMAEに対するインビトロの感受性をスクリーニングした。この実験では、ABCC3過剰発現クローンの治療は、3日間のアッセイにおいて50%の細胞生存率の減少の結果とならず、よって感受性の倍変化を、最大半量応答又はEC50の結果となる濃度を計算することにより評価した。パクリタキセルを用いて処理したベクターコントロールのEC50は、0.2nMであり、一方で、ABCC3−発現株のEC50値は、それぞれ、5nM、10nM、及び80nMであった。MMAEで処理したベクターコントロールのEC50は、0.05nMであり、一方でABCC3発現株のEC50値は、それぞれ、1.5nM、12nM、及び90nMであった。全ての3個の過剰細胞発現株は、EC50値に基づき、少なくとも20倍パクリタキセルやMMAEに対する感受性が低く、ATPベース発光アッセイ(図5)において、ベクターのみのコントロールの安定細胞株に比較して、細胞増殖のより少ない注目すべき阻害をまた示した。
【0163】
実施例8−ABCC3の増幅が乳腺腫瘍中で起きる
細胞株100KのSNPアレイデータにおけるHER2とABCC3を含む17番染色体の領域の分析は、ABCC3アンプリコンが、HER2増幅サブタイプに殆ど共通して付随し、管腔又は基底様として分類される細胞株には見られないことを示唆した。
【0164】
ABCC3増幅が、細胞株特異的な現象ではないことを確かめるために、ABCC3遺伝子座におけるコピー数データを、145の原発性乳腺腫瘍のDNAにおいて、アジレントアレイCGH(aCGH)アレイを用いて特徴付けた。これらの腫瘍サンプルはまた、(32)に記載した通り、ER、PR及びHER2の発現レベルに基づく予想を用いて、管腔、基底様、及びHER2サブタイプに分類された。ABCC3コピー数獲得(3.5コピーよりも多い)は、増幅されたHER2の25%及び11%の管腔において存在し、基底様腫瘍においては、存在しなかった。
【0165】
実施例9−FISHアッセイ
SNPとCGHアレイによって観察される見かけのコピー数獲得の細胞遺伝学的基礎を確認するために、蛍光インサイツハイブリダイゼーション(FISH)アッセイをABCC3遺伝子座に及ぶBACクローン(実施例1を参照されたい)を用いて開発し、FISH解析を選択細胞株及びHercept試験((35)で検討されるIHCアッセイ)に基づき過剰発現HER2として分類された61個の原発性腫瘍において実施された。細胞株から得られたFISHの結果は、SNPアッセイとqPCR解析から得られたデータを裏付けた。SNPアレイから高いABCC3コピー数を有すると予想された乳癌細胞株EFM−192Aは、実際にABCC3の高レベルの増幅を示し、17番染色体上のHER2及びABCC3の単一コピーを維持する一方で、種々の染色体への単一又は複数のインテグレーションを伴う均一染色領域(HSR)として明らかである。 SNPアレイ分析に基づきABCC3について2倍体と予想された細胞株は、CEP17とABCC3を用いたFISH分析に基づき2倍体であることが確認された。ABCC3増幅のためにスクリーニングされた61個のHER2陽性原発性腫瘍のFISH解析は、ABCC3における高いコピー数がHER2陽性乳腺腫瘍に共通であることを確認した。高レベルの遺伝子増幅(ABCC3/CEP17の比が2.2より大きい)が25%の腫瘍で観察され、一方で腫瘍のさらに11%は、中程度のABCC3の増加を示した(ABCC3の3−7コピー)。興味深いことに、幾つかの腫瘍は、異種の証拠を示し、ABCC3の二倍体コピー数を有する細胞と共にABCC3の非常に高レベルの増幅を示した。
【0166】
実施例10−ABCC3の過剰発現は、DM1に対する耐性を引き起こす
EVSA−T細胞を、ABCC3がサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターから高レベルで発現する、ABCC3含有プラスミドで安定に形質転換した。次いで、3個の過剰発現クローンとコントロール細胞株を、通常の細胞生存率アッセイにおいて、フリーのDM1に対する感受性について分析し、過剰発現クローンが、コントロール細胞株よりもDM1に対する感受性が高いことが示され、ABCC3の過剰発現がこの薬剤の耐性につながることに一致した(図7)。
【0167】
実施例11−ABCC3RNAiは、MMAF抗体コンジュゲートに対する応答を高める
EFM192A細胞に、ABCC3siRNAで形質転換し、リンカー試薬であるマレイミドカプロイル−バリン−シトルリン−PABを用いてMMAF(トラスツズマブ−mc−vc−PAB−MMAF)にコンジュゲートしたトラスツズマブ(ハーセプチン)を用いた治療を施した。ABCC3siRNAで形質転換したEFM−192Aは、トラスツズマブ−mc−vc−PAB−MMAFに対して、コントロールのsiRNAを用いて形質転換した細胞よりも、感受性が高く、ABCC3発現レベルは、この薬剤に対する感受性に影響し得ることを示唆する(図8)。
【0168】
実施例12−ABCC3RNAiは、フリーのDM1とトラスツズマブ−smcc−DM1コンジュゲートに対する応答を高める
ABCC3siRNAを用いて形質転換したEFM−192A細胞は、フリーのDM1又はトラスツズマブ−smcc−DM1コンジュゲートに対して、siRNA(NTC)を用いて形質転換した細胞よりも、感受性が高く、ABCC3発現レベルは、これらの薬剤に対する感受性に影響し得ることを示唆する(図9a及び9b)。
【0169】
実施例13−T−DM1活性に関するABCC3増幅状態
ABCC3FISH分析は、HER2増幅乳腺腫瘍におけるT−DM1活性に対するABCC増幅の影響を調査するために、T−DM1フェーズII(TDM4258G)試験から得られたサンプルにおいて実施された。TDM4258G試験は、HER2陽性転移乳癌の患者にIV注入によって投与されたT−DM1の、多施設共同、オープンラベル、単一アーム、フェーズII試験である。試験中の患者は、HER2直接治療において事前増殖を示した。臨床試験からのホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)アーカイブ腫瘍組織サンプルは、適切なIRB承認と患者の同意を得た、臨床試験から得られた。
【0170】
FISHアッセイは、実施例1に記載の通り臨床試験サンプルにおいて実施された。図10は、ABCC3/CEP17の比によって分類されたFISHアッセイの分析からのデータを示す。ABCC3/CPE17比が1.8以上のサンプルを、ABCC3増幅を有すると見なす。サンプルがABCC3の増幅を示す患者の40%(2/5)は、T−DM1ちりょうに応答した一方で、サンプルがABCC3の増幅を示さない患者の80%(12/15)がT−DM1に対する治療に応答した。この分析は、ABCC3増幅状態がT−DM1を用いた治療に対する患者の推定される応答を決定する際に有用であることを示す。
【0171】
引用文献
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【0172】
本発明は、理解を明確にするための図説及び実施例によってある程度詳細に記載されているが、この説明及び実施例は本発明の権利範囲を限定するものとみなされるものではない。本明細書中において引用したすべての特許文献及び科学文献の開示内容は、出典明記によってその全体が特別に援用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の癌が有糸分裂阻害剤を用いた治療に対する耐性があるかどうかを決定するための方法において、患者からの試験癌サンプル中においてABCC3遺伝子が増幅されるかどうかの検出を含み、ここで、ABCC3遺伝子の増幅が、癌が有糸分裂剤を用いた治療に耐性があることを示す方法。
【請求項2】
ABCC3遺伝子の増幅の検出が、ABCC3遺伝子のコピー数の決定を含み、少なくとも3のコピー数がABCC3遺伝子増幅を示す、請求項1の方法。
【請求項3】
少なくとも5のコピー数がABCC3遺伝子の増幅を示す、請求項2の方法。
【請求項4】
ABCC3遺伝子のコピー数が、蛍光インサイツハイブリダイゼーション(FISH)、サザンブロット、免疫組織化学(IHC)、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、定量的PCR(qPCR)、定量的リアルタイムPCR(qRT−PCR)、比較ゲノムハイブリダイゼーション、比較ゲノムハイブリダイゼーションに基づくマイクロアレイ、又はリガーゼ連鎖反応(LCR)によって決定される、請求項2又は3の方法。
【請求項5】
癌が乳癌、卵巣癌、及び結腸直腸癌からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
試験癌サンプルが、癌腫瘍サンプルである、請求項1の方法。
【請求項7】
有糸分裂阻害剤が、タキサン、メイタンシノイド、及びアウリスタチン、及びそのアナログと誘導体である、請求項1の方法。
【請求項8】
タキサンがパクリタキセル及びドセタキセルからなる群から選択される、請求項7の方法。
【請求項9】
アウリスタチンが、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)及びモノメチルアウリスタチンF(MMAF)からなる群から選択される、請求項7の方法。
【請求項10】
メイタンシノイドがDM1及びDM4からなる群から選択される、請求項7の方法。
【請求項11】
有糸分裂阻害剤が抗体にコンジュゲートされた、請求項7の方法。
【請求項12】
有糸分裂阻害剤−抗体コンジュゲートが、メイタンシノイド−抗Her2抗体コンジュゲートである、請求項11の方法。
【請求項13】
メイタンシノイド−抗Her2抗体コンジュゲートがトラスツズマブ−DM1である、請求項12の方法。
【請求項14】
患者の癌が有糸分裂阻害剤を用いた治療に対する耐性があるかどうかを決定するための方法において、ABCC3遺伝子が患者からの試験癌サンプルにおいて過剰発現するかどうかの検出を含み、ABCC3遺伝子の過剰発現が、癌が有糸分裂阻害剤を用いた治療に対する耐性があることを示す方法。
【請求項15】
ABCC3遺伝子の過剰発現の検出が、ABCC3遺伝子からのmRNA転写のレベルの決定を含む、請求項14の方法。
【請求項16】
ABCC3遺伝子の過剰発現が、コントロールサンプルに対する、試験癌サンプル中における少なくとも5倍のABCC3遺伝子からのmRNA転写レベル増加によって示される、請求項15の方法。
【請求項17】
ABCC3遺伝子の過剰発現が、コントロールサンプルに対する、試験癌サンプル中における少なくとも25倍のABCC3遺伝子からのmRNA転写レベル増加によって示される、請求項15の方法。
【請求項18】
ABCC3遺伝子の過剰発現の検出が、ABCC3ポリペプチド発現レベルの決定を含む、請求項14の方法。
【請求項19】
ABCC3ポリペプチド発現レベルの決定が、試験癌サンプルを抗ABCC3抗体に接触させ、抗ABCC3抗体のABCC3ポリペプチドに対する結合を検出することを含む、請求項18の方法。
【請求項20】
ABCC3遺伝子の過剰発現が、コントロールサンプルに対する、試験癌サンプル中における少なくとも2倍のABCC3ポリペプチドの発現レベルの増加によって示される、請求項18の方法。
【請求項21】
ABCC3遺伝子の過剰発現が、コントロールサンプルに対する、試験癌サンプル中における少なくとも10倍のABCC3ポリペプチドの発現レベルの増加によって示される、請求項18の方法。
【請求項22】
癌が乳癌、卵巣癌、及び結腸癌からなる群から選択される癌である、請求項14に記載の方法。
【請求項23】
試験癌サンプルが、癌腫瘍サンプルである、請求項14に記載の方法。
【請求項24】
有糸分裂阻害剤が、タキサン、メイタンシノイド、及びアウリスタチン、及びそのアナログと誘導体である、請求項14の方法。
【請求項25】
タキサンがパクリタキセル及びドセタキセルからなる群から選択される、請求項24の方法。
【請求項26】
アウリスタチンが、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)及びモノメチルアウリスタチンF(MMAF)からなる群から選択される、請求項24の方法。
【請求項27】
メイタンシノイドがDM1及びDM4からなる群から選択される、請求項24の方法。
【請求項28】
有糸分裂阻害剤が抗体にコンジュゲートされた、請求項24の方法。
【請求項29】
有糸分裂阻害剤−抗体コンジュゲートが、メイタンシノイド−抗Her2抗体コンジュゲートである、請求項28の方法。
【請求項30】
メイタンシノイド−抗Her2抗体コンジュゲートがトラスツズマブ−DM1である、請求項29の方法。
【請求項31】
ABCC3遺伝子の増幅が、乳癌が抗有糸分裂剤を用いた治療に耐性があることを示し、乳癌腫瘍サンプル中においてABCC3遺伝子が増幅されるかどうかの検出を含み、乳癌腫瘍が有糸分裂阻害剤を用いた治療に対する耐性があるかどうかを決定するための方法。
【請求項32】
少なくとも3のコピー数がABCC3遺伝子増幅を示す、ABCC3遺伝子の増幅の検出が、ABCC3遺伝子のコピー数の決定を含む、請求項31の方法。
【請求項33】
少なくとも5のコピー数がABCC3遺伝子の増幅を示す、請求項32の方法。
【請求項34】
ABCC3遺伝子のコピー数が、蛍光インサイツハイブリダイゼーション(FISH)、サザンブロット、免疫組織化学(IHC)、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、定量的PCR(qPCR)、定量的リアルタイムPCR(qRT−PCR)、比較ゲノムハイブリダイゼーション、比較ゲノムハイブリダイゼーションに基づくマイクロアレイ、又はリガーゼ連鎖反応(LCR)によって決定される、請求項32又は33の方法。
【請求項35】
有糸分裂阻害剤が、タキサン、メイタンシノイド、及びアウリスタチン、及びそのアナログと誘導体である、請求項31の方法。
【請求項36】
タキサンがパクリタキセル及びドセタキセルからなる群から選択される、請求項35の方法。
【請求項37】
アウリスタチンが、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)及びモノメチルアウリスタチンF(MMAF)からなる群から選択される、請求項35の方法。
【請求項38】
メイタンシノイドがDM1及びDM4からなる群から選択される、請求項35の方法。
【請求項39】
有糸分裂阻害剤が抗体にコンジュゲートされた、請求項35の方法。
【請求項40】
有糸分裂阻害剤−抗体コンジュゲートが、メイタンシノイド−抗Her2抗体コンジュゲートである、請求項39の方法。
【請求項41】
メイタンシノイド−抗Her2抗体コンジュゲートがトラスツズマブ−DM1である、請求項40の方法。
【請求項42】
ABCC3遺伝子の過剰発現が、癌が有糸分裂阻害剤を用いた治療に対する耐性があることを示す、ABCC3遺伝子が患者からの試験癌サンプルにおいて過剰発現するかどうかの検出を含む、患者の癌が有糸分裂阻害剤を用いた治療に対する耐性があるかどうかを決定するための方法。
【請求項43】
ABCC3遺伝子の過剰発現の検出が、ABCC3遺伝子からのmRNA転写のレベルの決定を含む、請求項42の方法。
【請求項44】
ABCC3遺伝子の過剰発現が、コントロールサンプルに対する、乳癌腫瘍サンプル中における少なくとも5倍のABCC3遺伝子からのmRNA転写レベル増加によって示される、請求項43の方法。
【請求項45】
ABCC3遺伝子の過剰発現が、コントロールサンプルに対する、乳癌腫瘍サンプル中における少なくとも25倍のABCC3遺伝子からのmRNA転写レベル増加によって示される、請求項43の方法。
【請求項46】
ABCC3遺伝子の過剰発現の検出が、ABCC3ポリペプチド発現レベルの決定を含む、請求項42の方法。
【請求項47】
ABCC3ポリペプチド発現レベルの決定が、乳癌腫瘍サンプルを抗ABCC3抗体に接触させ、抗ABCC3抗体のABCC3ポリペプチドに対する結合を検出することを含む、請求項46の方法。
【請求項48】
ABCC3遺伝子の過剰発現が、コントロールサンプルに対する、乳癌腫瘍サンプル中における少なくとも2倍のABCC3ポリペプチドの発現レベルの増加によって示される、請求項47の方法。
【請求項49】
ABCC3遺伝子の過剰発現が、コントロールサンプルに対する、試験癌サンプル中における少なくとも10倍のABCC3ポリペプチドの発現レベルの増加によって示される、請求項47の方法。
【請求項50】
有糸分裂阻害剤が、タキサン、メイタンシノイド、及びアウリスタチン、及びそのアナログと誘導体である、請求項42の方法。
【請求項51】
タキサンがパクリタキセル及びドセタキセルからなる群から選択される、請求項50の方法。
【請求項52】
アウリスタチンが、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)及びモノメチルアウリスタチンF(MMAF)からなる群から選択される、請求項50の方法。
【請求項53】
メイタンシノイドがDM1及びDM4からなる群から選択される、請求項50の方法。
【請求項54】
有糸分裂阻害剤が抗体にコンジュゲートされた、請求項50の方法。
【請求項55】
有糸分裂阻害剤−抗体コンジュゲートが、メイタンシノイド−抗Her2抗体コンジュゲートである、請求項54の方法。
【請求項56】
メイタンシノイド−抗Her2抗体コンジュゲートがトラスツズマブ−DM1である、請求項55の方法。
【請求項57】
乳癌腫瘍がHer2陽性乳癌腫瘍である、請求項40、41、55又は56の方法。
【請求項58】
a)患者からの試験癌サンプル中でABCC3遺伝子が増幅されるかどうかを検出し、 b)試験癌サンプル中で、ABCC3遺伝子の増幅が検出されない場合、有糸分裂阻害剤ベースの化学療法のための患者を選択することを含む、
抗有糸分裂阻害ベースの化学療法のための乳癌患者を選択するための方法。
【請求項59】
少なくとも3のコピー数がABCC3遺伝子増幅を示す、ABCC3遺伝子の増幅の検出が、ABCC3遺伝子のコピー数の決定を含む、請求項58の方法。
【請求項60】
少なくとも5のコピー数がABCC3遺伝子の増幅を示す、請求項58の方法。
【請求項61】
ABCC3遺伝子のコピー数が、蛍光インサイツハイブリダイゼーション(FISH)、サザンブロット、免疫組織化学(IHC)、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、定量的PCR(qPCR)、定量的リアルタイムPCR(qRT−PCR)、比較ゲノムハイブリダイゼーション、比較ゲノムハイブリダイゼーションに基づくマイクロアレイ、又はリガーゼ連鎖反応(LCR)によって決定される、免疫請求項59又は60の方法。
【請求項62】
有糸分裂阻害剤が、タキサン、メイタンシノイド、及びアウリスタチン、及びそのアナログと誘導体である、請求項58の方法。
【請求項63】
タキサンがパクリタキセル及びドセタキセルからなる群から選択される、請求項62の方法。
【請求項64】
アウリスタチンが、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)及びモノメチルアウリスタチンF(MMAF)からなる群から選択される、請求項62の方法。
【請求項65】
メイタンシノイドがDM1及びDM4からなる群から選択される、請求項62の方法。
【請求項66】
有糸分裂阻害剤が抗体にコンジュゲートされた、請求項58の方法。
【請求項67】
有糸分裂阻害剤−抗体コンジュゲートが、メイタンシノイド−抗Her2抗体コンジュゲートである、請求項66の方法。
【請求項68】
メイタンシノイド−抗Her2抗体コンジュゲートがトラスツズマブ−DM1である、請求項67の方法。
【請求項69】
乳癌患者がHer2陽性乳癌腫瘍を有する、請求項58の方法。
【請求項70】
a)患者からの試験癌サンプル中でABCC3遺伝子が過剰発現されるかどうかを検出し、 b)試験癌サンプル中で、ABCC3遺伝子の過剰発現が検出されない場合、有糸分裂阻害剤ベースの化学療法のための患者を選択することを含む、
抗有糸分裂阻害ベースの化学療法のための乳癌患者を選択するための方法。
【請求項71】
ABCC3遺伝子の過剰発現の検出が、ABCC3遺伝子からのmRNA転写のレベルの決定を含む、請求項70の方法。
【請求項72】
ABCC3遺伝子の過剰発現が、コントロールサンプルに対する、試験癌サンプル中における少なくとも5倍のABCC3遺伝子からのmRNA転写レベル増加によって示される、請求項71の方法。
【請求項73】
ABCC3遺伝子の過剰発現が、コントロールサンプルに対する、試験癌サンプル中における少なくとも25倍のABCC3遺伝子からのmRNA転写レベル増加によって示される、請求項71の方法。
【請求項74】
ABCC3遺伝子の過剰発現の検出が、ABCC3ポリペプチド発現レベルの決定を含む、請求項70の方法。
【請求項75】
ABCC3ポリペプチド発現レベルの決定が、試験癌サンプルを抗ABCC3抗体に接触させ、抗ABCC3抗体のABCC3ポリペプチドに対する結合を検出することを含む、請求項74の方法。
【請求項76】
ABCC3遺伝子の過剰発現が、コントロールサンプルに対する、試験癌サンプル中における少なくとも2倍のABCC3ポリペプチドの発現レベルの増加によって示される、請求項75の方法。
【請求項77】
ABCC3遺伝子の過剰発現が、コントロールサンプルに対する、試験癌サンプル中における少なくとも10倍のABCC3ポリペプチドの発現レベルの増加によって示される、請求項75の方法。
【請求項78】
有糸分裂阻害剤が、タキサン、メイタンシノイド、及びアウリスタチン、及びそのアナログと誘導体である、請求項70の方法。
【請求項79】
タキサンがパクリタキセル及びドセタキセルからなる群から選択される、請求項78の方法。
【請求項80】
アウリスタチンが、モノメチルアウリスタチン(MMAE)及びものメチルアウリスタチンF(MMAF)からなる群から選択される、請求項78の方法。
【請求項81】
メイタンシノイドがDM1及びDM4からなる群から選択される、請求78の方法。
【請求項82】
有糸分裂阻害剤が抗体にコンジュゲートされた、請求項78の方法。
【請求項83】
有糸分裂阻害剤−抗体コンジュゲートが、メイタンシノイド−抗Her2抗体コンジュゲートである、請求項82の方法。
【請求項84】
メイタンシノイド−抗Her2抗体コンジュゲートがトラスツズマブ−DM1である、請求項83の方法。
【請求項85】
乳癌患者がHer2陽性乳癌腫瘍である、請求項70の方法。
【請求項86】
癌細胞をABCC3のアンタゴニストに接触させることを含む、癌細胞の有糸分裂阻害剤に対する耐性を減少する方法。
【請求項87】
アンタゴニストが、ABCC3に結合するABCC3抗体及びsiRNAからなる群から選択される、請求項86の方法。
【請求項88】
患者にABCC3アンタゴニストと有糸分裂阻害剤の治療的な有効量を投与することを含む、有糸分裂阻害剤に耐性の癌を有する患者を治療する方法。
【請求項89】
アンタゴニストが、ABCC3に結合するABCC3抗体及びsiRNAからなる群から選択される、請求項88の方法。
【請求項90】
有糸分裂阻害剤が、タキサン、メイタンシノイド、及びアウリスタチン、及びそのアナログと誘導体である、請求項89の方法。
【請求項91】
有糸分裂阻害剤が抗体にコンジュゲートされた、請求項90の方法。
【請求項92】
有糸分裂阻害剤−抗体コンジュゲートが、メイタンシノイド−抗Her2抗体コンジュゲートである、請求項91の方法。
【請求項93】
メイタンシノイド−抗Her2抗体コンジュゲートがトラスツズマブ−DM1である、請求項92の方法。
【請求項94】
a)患者からの試験癌サンプル中においてABCC3遺伝子が、増幅又は過剰発現されるかどうかを検出し、
b)ABCC遺伝子の増幅又は過剰発現が試験癌サンプル中で検出されない場合は、患者に治療的な有効量の有糸分裂阻害剤ベースの化学療法を施すこと、
を含む、患者の癌のABCC3増幅状態に基づく患者の癌の治療法。
【請求項95】
患者がHer2陽性の乳癌を有し、抗Her2抗体−有糸分裂阻害剤コンジュゲートを投与される、請求項94の方法。
【請求項96】
抗Her2抗体−有糸分裂阻害剤コンジュゲートが、トラスツズマブ−DM1又はトラスツズマブ−MMAEである、請求項95の方法。
【請求項97】
a)患者の癌中でABCC3の増幅又は過剰発現がないことに基づいて患者を選択し、
b)患者に治療的な有効量の有糸分裂阻害剤を投与すること
を含む、方法。
【請求項98】
選択される患者がHer2陽性乳癌を有する、請求項97の方法。
【請求項99】
有糸分裂阻害剤が、抗Her2抗体−有糸分裂阻害剤コンジュゲートである、請求項98の方法。
【請求項100】
抗Her2抗体−有糸分裂阻害剤コンジュゲートが、トラスツズマブ−DM1又はトラスツズマブ−MMAEである、請求項99の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【公表番号】特表2011−517555(P2011−517555A)
【公表日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−550871(P2010−550871)
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際出願番号】PCT/US2009/036985
【国際公開番号】WO2009/114711
【国際公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(509012625)ジェネンテック, インコーポレイテッド (357)
【Fターム(参考)】