説明

薬品類カセット及び払出装置ならびに払出システム

【課題】滑落面の傾斜増加を許容して滑落面の形成部材を簡素化するとともに、簡素かつ小形でも確実に排出動作するよう排出機構を強化する。
【解決手段】傾斜方向に滑落面画成部材13,13を並走させて滑落面を形成し、排出機構18をリンク仕掛けの従節14,15で構成して滑落面画成部材13,13の間に配し、薬品類排出時には従節14,15を交互に上下動させる。また、原節17と従節14,15は回り対偶で連結させ、原節17と駆動源16はすべり対偶で連結させたうえで、原節17と駆動源16を従節14,15の中間に配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、病院薬局等における調剤業務を支援するための薬品類カセット,これを多数保持する薬品類払出装置,及び異種装置を並設した薬品類払出システムに関し、詳しくは、薬品類を整列収納しておき端から順に排出する薬品類カセット,薬品類を自動で払い出す薬品類払出装置,及び薬品類を薬品類払出装置から自動で払い出したり薬品類収納装置から半自動で払い出したりする薬品類払出システムに関する。
【0002】
この発明は、箱物セット薬剤のような転がり難い薬品類を対象とした自動排出・自動払出に好適なものであるが、本明細書における薬品類は、転がり難いものに限定される訳でなく、転がり易いものでも良く、箱状の薬剤や束ねたPTP包装剤の他、アンプル・バイアル・造影剤等の容器入り注射薬や、ボトル等に収容された錠剤・散剤・軟膏・目薬等の医薬品、その他の補助薬品等も、整列収納可能ならば、該当する。なお、半自動の薬品類収納装置による収納・払出の対象薬品類には、整列収納や落下排出に適さないものも含まれる。
【背景技術】
【0003】
収納対象を薬品類に限らなければ、分別保管機能の付いた収納庫の典型例として、収納部が多数の区画室に区切られて各々の区画室に扉が着いている汎用のロッカーや設備用物品台などが挙げられる。
収納対象が薬品類の場合、アンプル剤等の薬品をカセットに整列収納しておきワンタッチで出し入れできるようになった薬品収納装置が知られている(例えば特許文献1参照)。これは、出し入れ対象のカセット位置をLED等で案内表示し、薬品類の取出は人手で摘んで行うようになっている。
【0004】
また、散薬を収納した瓶を光らせることにより取出対象位置の案内表示を行うようになった薬品棚も知られている(例えば特許文献2参照)。
さらに、そのような位置案内表示が要らないほど大きく扉や引出箱を開けるようになった薬品類収納装置も知られている(例えば特許文献3参照)。これは、分別保管中の薬品類の選択に加えて開動作まで自動で行うので、所望の薬品類の在処が一目瞭然になると同時にその薬品類を取り出せる状態になるため、好評を博している。
【0005】
収納に加えて自動払出も考慮すると、カセットの前端に半円筒の可動蓋を設け、これを軸回転させることにより、薬品類の排出を自動で行えるようになった薬品払出装置も、実現されている(例えば特許文献4参照)。これには、カセットの薬品類排出口から収納薬品類を取り出して所定の位置に搬送する払出搬送機構が組み込まれている。
さらに、カセットから排出された薬剤を水平移動させる薬剤搬送装置と、薬剤を落下させて収集する落下案内部材と、収集薬剤の投入位置へ搬器を移送する搬器搬送装置を備えた薬剤払出装置も開発されている(例えば特許文献5参照)。
【0006】
また、PTP包装した薬剤を整列収納する外板と、その解放前面の上部で収納薬剤の前倒を止める上枠と、収納薬剤を載せて振動時には前進させる内板と、この内板を振動させる振動部材とを備えた振動排出カセットも、開発されている(例えば特許文献6参照)。この場合、PTP包装剤の整列維持と整列前進と順次排出とが振動にて行われ、秤量部材や付勢部材は設けなくても済むので、機構が簡素なものとなる。
このようなカセットや払出装置により、各種の薬剤・薬品類を整列収納しておき所望のものを自動で排出させ更に収集して払い出せるようになっている。
【0007】
【特許文献1】特開2001−198194号公報 (図5、図11)
【特許文献2】特開2004−148036号公報 (第1頁、図4)
【特許文献3】特開2004−187958号公報 (第1頁、図3)
【特許文献4】特開2004−275550号公報 (第1頁)
【特許文献5】特開2004−344420号公報 (第1頁)
【特許文献6】特開2006−109854号公報 (第1頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、薬品類のうち箱物セット薬剤やPTP包装の結束物のように扁平や角形なため転がり難い形状をしたものの場合、傾斜している滑落面の上に整列収納することは可能であるが、滑落面上を自重だけで安定に滑落させるには、滑落面にローラを並べる等のことで摩擦力を軽減することが有効であり(特願2005−190737)、ローラ列の採用により滑落面の傾斜を緩くすることもできる。
ただし、ローラ列のような多数個の部品を組み込むのでは、性能は十分良好でも、コストダウンに限界がある。
【0009】
そのため、コスト削減を更に推し進めるには、滑落面を形成している部材について思い切った簡素化を図ることが必要であり、それには滑落面について或る程度なら傾斜の増加を容認せざるを得ない。
もっとも、滑落面の傾斜がきつくなると、先頭薬品類の自動排出を担う排出機構に掛かる分力が増すこととなるため、排出機構の確実な動作を期すには排出機構の強化が必要になるが、排出機構が大形化したり高価になったのでは、滑落面側のコストダウンの効果が減殺されてしまう。
そこで、簡素かつ小形でも確実に排出動作するよう、排出機構等に工夫を凝らすことが、薬品類カセット及び自動の薬品類払出装置の技術課題となる。
【0010】
一方、半自動の薬品類収納装置についてみると、上述の利便性すなわち多くの薬品類を分別保管しておき取出は手動でも対象の選択および開動作は自動で行うことの利便性が認知されたため、適用希望範囲が広がり、例えば使用頻度の多い薬品類だけでなく使用頻度の少ないものまで含めて多くの薬品類を取り扱いたいという要請が生じた。
しかしながら、従来の薬品類収納装置では、引出箱を一目瞭然なほど大きく開けることができるよう開駆動機構に永久磁石と電磁コイルとの組み合わせからなる特別な機構を採用しているので、開駆動機構の単価低減が難しい。
【0011】
そのため、例えば小さな引出を縦横に多数並べて収納容器の個数を従来より増やすと、開駆動機構の個数も同じだけ増えて、装置価格がアップしてしまう。収納容器の単価は小形化で下げられても、それを引出方向に前進させる距離すなわち駆動距離が変わらなければ開駆動機構の原価はさほど下がらないのである。
そうすると、原価低減を図るには、開駆動機構の駆動距離を短縮するのが近道であり、そうすれば開駆動機構を例えば量産品で安価な電動モータやカム等で構成することができる。
【0012】
もっとも、開駆動機構の駆動距離が短くなると、取出対象の開動作すなわち対象薬品類収容中の収納容器の前進が自動で行われてもその収納容器が十分に目立つとは言えなくなるため、取出対象位置の案内表示を併用することが望まれ、それによるコストアップが開駆動機構のコストダウンを食い潰す。
取出対象位置の案内表示については、縦や横の並びで発光部材を共用することにより発光部材の必要個数を収納容器より少なくして原価低減を図るという手立てもあるが(例えば特許文献1図11参照)、その従来手法では、収納容器それぞれのところが光る訳でない。
【0013】
一方、収納容器と同数の発光部材を具備して収納容器と一対一に配置した場合(例えば特許文献1図5や特許文献2参照)、収納容器それぞれのところが光るので、視認性には優れるが、コストダウンが難しい。
そこで、薬品類収納装置の原価低減のため、開駆動機構の駆動距離の短縮を容認するとともに、発光部材の個数を収納容器より少なく抑えたうえで、駆動距離が短くなっても収納容器の自動前進は維持されていることを利用して発光部材が少数でも収納容器それぞれのところが光るように改造することが半自動の薬品類収納装置の技術課題となる。
【0014】
ところで、規模の大きな病院や薬局では、各種の調剤機を並設するとともに所要の薬剤を人手で収集したり各々の搬送機構を繋げたりして調剤システムを構築している。
しかしながら、薬剤の種類は膨大であり、全種類の薬品類を自動の薬品類払出装置に実装するのはコスト負担が過大となる。そのため、使用頻度の高い薬品類は特許文献5記載のような自動装置に実装されるが、そのような自動装置に実装されない多くの非実装薬品類は、手動の薬品棚等に収納されていた。この事情は、使用頻度の高い薬品類を特許文献3記載のような半自動の薬品類収納装置に実装した場合も、同じである。
【0015】
そこで、限られた予算の中で出来るだけ多くの薬品類を調剤機に実装することができるよう、自動の薬品類払出装置と半自動の薬品類収納装置とに実装を分担させるとともに何れの装置もコストダウンすることが薬品類払出システムの第1技術課題となる。
また、実装を分担し合う自動の薬品類払出装置と半自動の薬品類収納装置とから薬品類を払い出す作業や監査する作業が行い易いよう、両装置を連携させるとともに便利な作業場所を確保することが薬品類払出システムの第2技術課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の薬品類カセット及び薬品類払出装置は(解決手段1)、上述した薬品類カセット及び自動の薬品類払出装置の技術課題を解決するために創案されたものであり、薬品類を整列収納して逐次排出(順次排出)するために、薬品類を乗せおく傾斜した滑落面と、薬品類を端から一つずつ排出させる排出機構と、この排出機構を薬品類排出時に動作させる駆動源等とを備えており、さらに、次のようになっている。
【0017】
すなわち、各々が前記滑落面の傾斜方向に延びるとともに互いが並走する状態で設けられた滑落面画成部材にて前記滑落面が形成されており、前記傾斜方向で上側に位置する第1従節と前記傾斜方向で下側に位置する第2従節と両従節に回り対偶で連結されていて両従節を作動させる原節とを具備したリンク仕掛けの排出機構が前記滑落面の落下端近傍で前記滑落面画成部材の間に設けられ、前記第1従節が作動時には前記滑落面より上方へ突き出し常態では前記滑落面と同じ高さかそれより下方へ引き下がっているものであり、前記第2従節が作動時には前記滑落面と同じ高さかそれより下方へ引き下がり常態では前記滑落面より上方へ突き出ているものであり、前記原節と該原節にすべり対偶で連結された駆動源とが前記第1,第2従節の中間位置であって前記滑落面の裏側下方に当たるところに設けられている、というものである。
【0018】
これらを単体で纏めると薬品類カセットになり(請求項1)、そのカセットを多数並べて収集払出機構と組み合わせると薬品類払出装置になる(請求項2)。
あるいは、カセットにしないで棚に並べて仕切ったものと収集払出機構とを組み合わせても、薬品類払出装置になる(請求項3)。具体的には、仕切に滑落面画成部材をかねさせて次のようになる。すなわち、この薬品類払出装置は、一方には傾斜し他方には傾斜しない状態で設けられた傾斜棚と、この棚上に非傾斜方向へ列設され各々が傾斜方向に延びていて隣の部材との間に薬品類整列収納可能な傾斜状態の滑落面を画成する仕切と、前記傾斜方向で上側に位置し作動時には前記滑落面より上方へ突き出し常態では前記滑落面と同じ高さかそれより下方へ引き下がっている第1従節と前記傾斜方向で下側に位置し作動時には前記滑落面と同じ高さかそれより下方へ引き下がり常態では前記滑落面より上方へ突き出ている第2従節と両従節に回り対偶で連結されていて両従節を作動させる原節とを具備したリンク仕掛けからなり前記滑落面の落下端近傍で前記仕切のうち隣り合うもの同士の間に設けられた排出機構と、前記原節にすべり対偶で連結され該原節と共に前記第1,第2従節の中間位置であって前記滑落面の裏側下方に当たるところに設けられた駆動源と、前記排出機構にて排出された薬品類を収集して払い出す収集払出機構とを備える。
【0019】
さらに、本発明の薬品類払出システムは(解決手段2、出願当初の請求項4)、上述した第1技術課題(これには薬品類払出装置の技術課題と薬品類収納装置の技術課題も含まれる)を解決するために創案されたものであり、
薬品類を逐次排出(順次排出)可能に且つ多列に整列収納し各列から薬品類を自動放出させ下方へ導いて収集する薬品類払出装置と、薬品類を収容する多数の収納容器を前方へ引出可能な状態で縦横に並べて保持し後方配設の開駆動機構にて前進させる薬品類収納装置とが並設された薬品類払出システムであって、
前記薬品類払出装置は、両脇を画成された滑落面上で薬品類の整列維持と整列前進を行い、原節およびその駆動源の両側に配置されたリンク仕掛けの第1,第2従節の交互上下動にて薬品類の逐次排出を行うものであり、
前記薬品類収納装置は、後退状態の前記収納容器のうち複数のものの前を通過する送光を行う送光部材が設けられ、その送光を受けるとそれを前方へ向ける視覚化手段が前記収納容器それぞれの前端部に形成され又は付設されている、というものである。
【0020】
また、本発明の薬品類払出システムは(解決手段3、出願当初の請求項5)、上述した第2技術課題を解決するために創案されたものであり、上記解決手段2の薬品類払出システムであって更に、前記薬品類収納装置に作業台が付設され、その作業台の一部を切欠いた形で落し込み空間が形成され、その落し込み空間に秤量計が設置され、前記薬品類払出装置で払い出された薬剤を前記落し込み空間へ送り込む搬送機構が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
このような本発明の薬品類カセット及び払出装置にあっては(解決手段1)、傾斜して並走する滑落面画成部材や仕切で両脇を画することで滑落面が形成されているので、滑落面を形成する部材が極限まで簡素化されている。
また、滑落面の落下端近傍で薬品類を端から一つずつ排出させる排出機構がリンク仕掛けの第1,第2従節などで構成され、それが滑落面画成部材の間に設けられているので、滑落面上に薬品類を整列収納させると、先頭の薬品類が排出機構の方へ滑り落ちてくる。しかも、常態では、即ち排出機構の非作動時には、第2従節より上側の第1従節は滑落面と同じ高さか下方へ引き下がっており、下側の第2従節は滑落面より上方へ突き出ているので、先頭の薬品類は落下端近傍まで進んだところで第2従節によって止められ、その状態が維持される。
【0022】
そして、排出機構の作動時には、駆動源によって原節が駆動されて、第1従節が突き出す一方、第2従節が引き下がることから、先頭の薬品類は、第2従節の支えが外れると同時に滑落面よりも急傾斜になるので、速やかに滑落面を滑り落ちて排出される。また、その間、次の薬品類は、突き出た第1従節によって進行を止められ、滑落面上にとどまる。それから、第1従節が引き下がり、第2従節が突き出て、常態に戻ると、次の薬品類が先頭に繰り上がって滑落面の落下端近傍まで進みそこにとどまる。
このように、傾斜した部材で両脇を画成された簡素な構成の滑落面上で薬品類の整列維持と整列前進が行われ、薬品類の逐次排出・順次排出はリンク仕掛けの第1,第2従節の交互上下動にて行われるようにしたことにより、排出機構までも簡素になり、簡素な機構でも薬品類を必要なときだけ的確に排出することができる。
【0023】
さらに、原節と第1,第2従節は回り対偶で連結させ、原節と駆動源はすべり対偶で連結させたうえで、原節と駆動源を第1,第2従節の中間に配置したことにより、リンク仕掛けの複雑化や大形化を招くことなく、排出機構の強化が実現する。
そのため、滑落面の傾斜がきつくなって、排出機構に掛かる分力が増したとしても、その力に負けないで排出機構が確実に動作することとなる。
したがって、この発明によれば、安価で小形の薬品類カセット及び薬品類払出装置を実現することができる。
【0024】
また、本発明の薬品類払出システムにあっては(解決手段2)、自動の薬品類払出装置と半自動の薬品類収納装置とを並設したことで両装置に薬品類の実装を分担させることができるようになっているが、さらに、薬品類払出装置に関して、薬品類の整列維持と整列前進は両脇画成の簡素な滑落面上で行われ、薬品類の逐次排出・順次排出は原節と駆動源を間に配したリンク仕掛けの第1,第2従節の交互上下動にて行われるようにしたことにより、ローラや秤量部材さらには付勢部材を個々に設けなくても済むので、機構が簡素化され、ひいてはコストダウンされる。また、半自動の薬品類収納装置については、収納容器の自動前進を利用して収納容器より少数の送光部材にて収納容器それぞれのところを光らせるようにもしたことにより、利便性を損なうことなくコストダウンを進めることができる。
したがって、この発明によれば、上述した薬品類払出システムの第1技術課題(これには薬品類収納装置の技術課題と薬品類払出装置の技術課題も含まれる)が解決される。
【0025】
さらに、本発明の薬品類払出システムにあっては(解決手段3)、自動の薬品類払出装置と半自動の薬品類収納装置とを並設したことで両装置に薬品類の実装を分担させることができるようになっているが、さらに、薬品類払出装置から自動で払い出された薬品類は、搬送機構により更に自動で、落し込み空間に移送されて、秤量計に載る。また、薬品類収納装置から半自動で払い出された薬品類は、人手によって、作業台上に揃えられ、確認後に作業台上を滑らせて落し込み空間に移されると、やはり秤量計に載る。
【0026】
こうして秤量による確認も容易かつ迅速に行われ、さらに目視による調剤監査も必要であれば払出した全薬品類が電子秤から作業台の上に戻されて監査に供される。
したがって、この発明によれば、実装を分担し合う自動の薬品類払出装置と半自動の薬品類収納装置とを連携させたうえで、薬品類を払い出したり監査するのに使える作業場所を確保するとともに、その作業の利便性を高める特定空間に秤量計を設置したことにより、上述した薬品類払出システムの第2技術課題が解決される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
このような本発明の薬品類払出システムを実施するための形態を幾つか説明する。以下の実施形態1〜4によれば、上述した半自動の薬品類収納装置の技術課題の解決が更に推し進められる。
【0028】
本発明の薬品類払出システムの半自動の薬品類収納装置は(実施形態1)、上記解決手段の薬品類払出システムの半自動の薬品類収納装置であって、次の如き具体的構成のものである。即ち、薬品類を収容する多数の収納容器と、それらを前方へ引出可能な状態で縦横に並べて保持する庫部と、前記収納容器それぞれの後方に配設され該当する収納容器を前進させる多数の開駆動機構とを備えた薬品類収納装置において、前記開駆動機構が駆動距離の短いものであり、後退状態の前記収納容器のうち複数のものの前を通過する送光を行う送光部材(発光部材)が設けられ、その送光を受けるとそれを前方へ向ける視覚化手段が前記収納容器それぞれの前端部に形成され又は付設されていることを特徴とする。
ここで、「駆動距離の短い」とは、開駆動機構が該当収納容器を前進させた際、その前進距離が収納容器の奥行き即ち前後方向の長さよりも短いことを意味し、少なくとも半分未満であり、通常は収納容器のうち前端部と認識される部分に係る前後方向の長さ程度に短い。
【0029】
このような本発明の半自動の薬品類収納装置にあっては(実施形態1)、取出対象に選択された収納容器が該当開駆動機構によって自動前進させられると、その収納容器の前端部が庫部から突き出して、その前端部に送光部材から出た光が当たり、その光が視覚化手段によって前方へ向けられるので、取出対象の収納容器が光ることとなる。他の収納容器が取出対象になったときも同様であり、収納容器それぞれのところが光る。しかも、同じ送光ラインに臨んで配置された収納容器は一つの送光部材を共用するので、そのような収納容器が複数同時に光ることはできないが、そのような使用を必須とする応用さえ避ければ、送光部材の個数が収納容器の個数より少数でも不都合が無い。
【0030】
光の向きを変えて視認し易くする視覚化手段は、公知の導光部材(特許文献2参照)や,適宜な反射部材,散乱部材を導入したり、あるいは反射面や散乱面を形成する表面処理を施すといったことで、送光部材より安価に具現化できるものである。
したがって、この発明によれば、開駆動機構の駆動距離の短縮化に際して、収納容器より少ない送光部材にて収納容器それぞれのところを光らせるようにもしたことにより、利便性を維持しつつ半自動の薬品類収納装置を安価にすることができる。
【0031】
また、本発明の半自動の薬品類収納装置は(実施形態2)、上記実施形態1の薬品類収納装置であって、前記開駆動機構がモータ及びその回転軸に取着された偏心カムを具えたものであることを特徴とする。
この場合、駆動距離の短い開駆動機構であれば、市販の量産品を用いる等のことで、十分なコストダウンを達成することができる。
【0032】
また、本発明の半自動の薬品類収納装置は(実施形態3)、上記実施形態1,2の薬品類収納装置であって、前記収納容器の前板が透明であり、その直ぐ後ろに傾斜面が形成されており、前記視覚化手段が前記傾斜面に置かれた銘板であることを特徴とする。
この場合、収納容器の内部の傾斜面に銘板を置くことで視覚化手段が実装され、その視覚化手段を兼ねる銘板には、表面で光を反射させ且つ散乱させる板状体が採用されるが、これは一般的な白っぽい紙などで良いので、簡便かつ安価に具現することができる。なお、光度の大きな発光素子が安価になれば、視覚化手段の反射率を下げて一部の光は透過して更に直進するよう改造することにより、上述した送光ライン共通の複数収納容器の同時発光も実用化することができる。
【0033】
また、本発明の半自動の薬品類収納装置は(実施形態4)、上記実施形態1〜3の薬品類収納装置であって、前記収納容器の底板が不透明であり、前記送光部材の送光先に受光部材が設けられ、その受光状態に基づいて前記収納容器の引出状態を判別するようになっている、というものである。
このような本発明の半自動の薬品類収納装置にあっては(実施形態4)、収納容器が庫部から突き出ていると送光が遮られる一方、収納容器が庫部内に後退していれば送光が遮られない。このように収納容器の突出の有無に応じて受光部材の受光状態が変化するので、受光部材の受光状態に基づいて収納容器の自動前進および手動での押し戻しが完遂されたか否かを自動判別することができる。しかも、送光部材と同じく受光部材も複数の収納容器で共用されるので、受光部材も収納容器より少なくて済む。
【0034】
このような本発明の薬品類カセット及び払出装置ならびに払出システムについて、これを実施するための具体的な形態を、以下の実施例1〜6により説明する。
図1〜2に示した実施例1は、上述した解決手段1を薬品類カセット(出願当初の請求項1)として具現化したものであり、図3に示した実施例2は、上述した解決手段1をカセット列設タイプの薬品類払出装置(出願当初の請求項2)として具現化したものであり、図4〜5に示した実施例3は、上述した解決手段1を棚仕切タイプの薬品類払出装置(出願当初の請求項3)として具現化したものである。
【0035】
また、実施例4〜6は薬品類払出システムに関し、図6〜11に示した実施例4は、上述した解決手段2〜3(出願当初の請求項4〜5)及び実施形態1〜2を具現化したものであり、図12に示した実施例5は、上述した実施形態3を具現化したものであり、図13に示した実施例6は、上述した実施形態4を具現化したものである。
なお、それらの図示に際しては、簡明化等のため、フレーム等の支持部材や,ボルト等の締結具,ヒンジ等の連結具,モータドライバ等の電気回路,電子回路の詳細などは図示を割愛し、発明の説明に必要なものや関連するものを中心に図示した。また、図中でハッチングを施した部分は断面を示しているが、散点を付した部分は断面でなく部材表面を示している。
【実施例1】
【0036】
本発明の実施例1について、薬品類カセットの具体的な構成を、図面を引用して説明する。図1は、(a)が薬品類カセット10の外観斜視図、(b)が展開した第1リンク従節14の正面図と側面図、(c)が組み立てた第1リンク従節14の正面図と側面図、(d)が運動時の第1リンク従節14及び第2リンク従節15の側面図、(e)が駆動源としてのモータ16の斜視図、(f)がリンク原節17の側面図、(g)が常態の排出機構18の側面図、(h)が作動時の排出機構18の側面図である。
【0037】
この薬品類カセット10は(図1(a)参照)、水平設置用基台部としての底板11と、その上にスペーサ12で支持された二本の滑落面画成部材13と、リンク仕掛け14,15,17やそれを駆動する電動モータ16からなる排出機構18とを具えている。
【0038】
底板11は、図示の例では長方形状の平板であるが、机上や棚上など水平な平坦面上に固定して又は固定しないで載せ置くことができ、さらに滑落面画成部材13や排出機構18を固定支持可能であれば、他の形状物たとえば枠組み構造体などであっても良い。
スペーサ12は、カセット10を水平に設置したときに滑落面を傾斜状態におくためのものであり、大小二つの四辺形枠材を図示したが、滑落面を形成する滑落面画成部材13をその長手方向に傾けて支持できれば、他の形状の物でも良い。
【0039】
滑落面画成部材13は、何れも、例えばアルミニウム押出のアングル材からなり、薬品類を整列収納する滑落面を形成するために、傾斜している滑落面の両側に互いが並走する状態で且つ滑落面の傾斜方向に延びる状態で配置されている。滑落面画成部材13は、滑落面の両縁部分とそこから立ち上がる両側面とを占めるだけで、並走する画成部材13の間は空いている。そのため、このカセット10における滑落面は、両縁部分だけが実部材(13)で規定され、それらを繋ぐ仮想平面で中間部分が規定されたものとなっている。
【0040】
排出機構18は、傾斜している滑落面上に即ち滑落面画成部材13上に整列収納された薬品類を先頭から一つずつ逐次排出するためのものであり、滑落面の落下端近傍すなわち滑落面の傾斜方向最下部位であって滑落面画成部材13の中間部位に当たるところに配置されて、底板11に取り付けられている。
排出機構18のリンク仕掛け14,15,17は、滑落面の傾斜方向で相対的には上側に位置する第1従節としての第1リンク従節14と、その支持部材14b,14cと、滑落面の傾斜方向で下側に位置する第2従節としての第2リンク従節15と、その支持部材15b,15cと、両リンク従節14,15に回り対偶で連結されていて両リンク従節14,15を作動させる原節としてのリンク原節17とを具えている。
【0041】
第1リンク従節14は(図1(b)〜(d)参照)、平板状であるが、その一部には例えば短い突軸からなる回り対偶用連結部14aが形成されており、さらに、作動時の揺動中心となる支軸14bを挿通させる穴が形成されている。そして、支軸14bを上端部に挿通させて底板11上に立設された支持板14cによって、滑落面の高さに対応した適宜位置に支持され、その状態で回り対偶用連結部14aが押し引きされると、支持板14cの上側を揺動するようになっている。
第2リンク従節15は(図1(d)参照)、ほとんどの場合、第1リンク従節14と同じもので良く、具体的には平板状であって回り対偶用連結部14aと同じ回り対偶用連結部15aが形成され、その押し引きで揺動するように支持されているが、ここでは、滑落面の傾斜に合わせて第2リンク従節15より少しだけ低いところに支持されている。
【0042】
電動モータ16は(図1(e)参照)、この例では図示しないコントローラから排出指令を受けると出力軸を一回転するものであるが、この電動モータ16にはクランク状の出力軸が装備されており、その先端がすべり対偶用連結部16aになっているので、すべり対偶用連結部16aがモータ16の作動に応じて円運動するようになっている。
リンク原節17は(図1(f)参照)、例えば長板状の剛体からなり、一端部には回り対偶用連結部14aに適合した例えば丸穴状の回り対偶用連結部17aが形成され、中央部にはすべり対偶用連結部16aに適合した例えば長穴状のすべり対偶用連結部17bが形成され、他端部には回り対偶用連結部15aに適合した例えば丸穴状の回り対偶用連結部17cが形成されていて、すべり対偶用連結部17bに作用した運動のうち長手方向成分は回り対偶用連結部17a,17cに伝達するが直交成分は逃がすようになっている。
【0043】
排出機構18は(図1(g),(h)参照)、これらの部材14〜17を相互に連結して組み上げられる。具体的には、第1リンク従節14の回り対偶用連結部14aとリンク原節17の回り対偶用連結部17aとが連結され、第2リンク従節15の回り対偶用連結部15aとリンク原節17の回り対偶用連結部17cとが連結され、モータ16のすべり対偶用連結部16aとリンク原節17のすべり対偶用連結部17bとが連結される。そして、これによって、両リンク従節14,15の中間位置であって滑落面の裏側下方に当たるところにモータ16とリンク原節17とが位置することにもなる。
【0044】
また、このような排出機構18の場合、常態では(図1(g)参照)、モータ16のすべり対偶用連結部16aが第2リンク従節15寄りに位置して止まっている。そのため、常態では、リンク原節17が第1リンク従節14から離れて第2リンク従節15に寄っており、これに応じて、第1リンク従節14はほぼ倒伏状態で滑落面と同じ高さかそれより下方へ引き下がり、第2リンク従節15はほぼ直立状態で滑落面より上方へ突き出ている。これに対し、作動時には(図1(h)参照)、モータ16のすべり対偶用連結部16aが円運動して一時的に第1リンク従節14側に寄るため、リンク原節17が第2リンク従節15から離れて第1リンク従節14に寄り、これに応じて、第1リンク従節14は立ち上がって滑落面より上方へ突き出し、第2リンク従節15は倒れ伏して滑落面と同じ高さかそれより下方へ引き下がる。
【0045】
この実施例1の薬品類カセット10について、その使用態様及び動作を、図面を引用して説明する。図2(a)〜(c)は、何れも、カセット10に箱状の薬品類20を整列収納したところの外観斜視図であり、カセット10の排出動作を時系列で示している。
【0046】
整列収納や落下排出に適した箱物セット薬剤などの薬品類20を横にして次々と滑落面上に置くと、具体的には並走状態の滑落面画成部材13上に架け渡すと、それらの薬品類20が滑落面上で傾斜方向へ一列に並ぶ(図2(a)参照)。常態では、上側の第1リンク従節14が滑落面より下方へ引き下がり、下側の第2リンク従節15が滑落面より上方へ突き出ているので、滑落面を滑り落ちてきた薬品類20は、先頭の薬品類20が第2リンク従節15に当接してそこにとどまり、次以降の薬品類20が滑落面上で間を詰めて連なり、総てがカセット10に整列収納される。
【0047】
この状態で排出指令が出ると、排出機構18では、電動モータ16が動作して、回転出力軸の先端のすべり対偶用連結部16aが一回転の円運動を行い、その円運動に伴ってリンク原節17が往復動し更には第1,第2リンク従節14,15が交互に上下動する。詳述すると、モータ16の出力軸が半回転したとき(図2(b)参照)、第1リンク従節14が滑落面より上方へ突き出すと同時に、第2リンク従節15が滑落面より下方へ引き下がる。すると、支えを外されたうえ急傾斜にされた先頭の薬品類20は、滑落面上から速やかに滑り落ちる。それに連れて滑落面上の他の薬品類20も滑り落ちようとするが、第1リンク従節14が滑落面より上に突き出ているので、それによって次以降の薬品類20は前進を阻まれる。
【0048】
その後、モータ16が残りの半回転を行っている間に、先頭の薬品類20の落下が完了して、先頭の薬品類20はカセット外に排出される。
こうして、カセット10から薬品類20が逐次排出・順次排出される。そして、モータ16が一回転を終えると(図2(c)参照)、常態に戻るが、それまでには、上側の第1リンク従節14が滑落面より下方へ引き下がり、下側の第2リンク従節15が滑落面より上方へ突き出すので、二番目から先頭に繰り上がった薬品類20が落下端のところまで進み第2リンク従節15に当接してそこにとどまる。以降の薬品類20も滑落面を滑り落ちて一つずつ位置がずれる。個数は一個減っているが、薬品類20は整列収納状態を維持するので、薬品類20の逐次排出・順次排出を繰り返すことができる。
【実施例2】
【0049】
本発明の実施例2について、カセット列設タイプの薬品類払出装置の具体的な構成を、図面を引用して説明する。図3は、(a)が薬品類払出装置30の正面図(BB断面図)、(b)が薬品類払出装置30の側面図(AA断面図)である。
【0050】
この薬品類払出装置30は、上述したカセット10をカセット格納部に多数格納するとともに(図では4行3列の計12個)、カセット10の排出側を例えば装置前面に揃えて、そこに落下案内路31を配したものである。落下案内路31の下方にはそれと共に収集払出機構を構成する搬送機構32が配置され、その搬出先には払出口33が形成されている。
【0051】
この場合、或るカセット10には上述の薬品類20が整列収納され、他のカセット10には別の薬品類が整列収納される。
そして、処方箋データ又は派生した調剤指示箋データに基づき、図示しないコントローラによって適宜なカセット10に排出指令が出されると、それを受けた各々のカセット10から上述したようにして薬品類20等の薬品類が逐次排出・順次排出される。排出された薬品類は、落下案内路31を下って搬送機構32上に落ち、搬送機構32によって運ばれ払出口33から装置外へ出される。
こうして、各種の薬品類から所望のものが自動で払い出される。
【実施例3】
【0052】
本発明の実施例3について、棚仕切タイプの薬品類払出装置の具体的な構成を、図面を引用して説明する。図4は、(a)が薬品類払出装置40の正面図(DD断面図)、(b)が薬品類払出装置40の側面図(CC断面図)である。また、図5は、棚部の構造を示す斜視図である。
【0053】
この薬品類払出装置40が上述した薬品類払出装置30と相違するのは、横一列に並んだ複数個のカセット10に相当するものが、横には水平だが前後には前下がり傾斜している傾斜棚41の上に作り込まれていることである。
詳述すると、断面が何処でも同じ条材からなる仕切43が何れも長手方向を前後にした向きで適宜なスペーサ42を介して傾斜棚41上に並走状態で列設されている。仕切43は、断面が凸形になっていて、左右両側が滑落面画成部材として機能するため、棚41上に非傾斜方向へ列設され各々が傾斜方向に延びていて隣の部材との間に薬品類整列収納可能な傾斜状態の滑落面を画成するものとなっている。
【0054】
また、このような仕切43のうち隣り合うもの同士の間であって、それらが画成する滑落面の落下端の近傍には、排出機構18が配置されている。排出機構18は上述のものが踏襲されて傾斜棚41に取り付けられており、第1,第2リンク従節14,15が交互に上下動するようになっている。
この場合、仕切43で仕切られた各区分が上述したカセット10に相当するので、修理交換の単位がカセット単位でなく棚単位になることを除けば、使用態様や動作は上述したのと同じである。なお、仕切43やモータ16の取り付けは、固定式に限らず、着脱式でも良く、滑落面の幅を規定する取付ピッチを適宜調整できるようにしても良い。
【実施例4】
【0055】
本発明の薬品類払出システムの実施例4について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。
図6はシステム全体の正面図である。
【0056】
また、図7は、薬品類払出システムのうち自動のカセット列設タイプ薬品類払出装置90の構造を示し、(a)が斜視図、(b)が棚部91の平面図、(c)がそのE−E断面矢視図(縦断正面図)である。また、図8は、振動排出カセット93の構造を示し、(a)がカセット93の外観斜視図、(b)がPTP包装剤21(薬剤,薬品類)の外観斜視図、(c)が薬剤21を整列収納したカセット93の要部の縦断左側面図である。
【0057】
さらに、図9は、半自動の薬品類収納装置100の機械的構造等を示し、(a)が正面図、(b)が斜視図である。また、図10は、もう一つの半自動の薬品類収納装置200の機械的構造等を示し、(a)が装置全体の正面図、(b)が装置全体の斜視図、(c)が収納容器220の斜視図、(d)が開駆動機構230〜233の斜視図、(e)及び(f)が要部の右側面図である。
また、図11は、制御部の概要ブロック図である。
【0058】
この薬品類払出システムは(図6参照)、自動の薬品類払出装置80と自動の薬品類払出装置90と半自動の薬品類収納装置100と半自動の薬品類収納装置200をその順に並べて隣接設置したものである。
薬品類払出装置80は、箱物セット薬剤のような箱状の薬剤(薬品類)を逐次排出(順次排出)可能に且つ多列に整列収納しておき、各列から薬品類を自動放出させ下方へ導いて自動収集するようになっている。
【0059】
薬品類払出装置90は、PTP包装剤または等価な薬剤を(薬品類)を逐次排出(順次排出)可能に且つ多列に整列収納しておき、各列から薬品類を自動放出させ下方へ導いて自動収集するようになっている。
薬品類収納装置100と薬品類収納装置200は、箱状の薬剤を含む各種の薬剤(薬品類)を収容する多数の収納容器を前方へ引出可能な状態で縦横に並べて保持し、後方配設の開駆動機構にて自動で任意の収納容器を前進させるが、その収納容器からの薬剤取出は人手で行うようになっている。なお、薬品類収納装置100には搬送機構160や作業台115が付設されているが、薬品類収納装置200には付設されていない。
【0060】
また、薬品類払出装置80の筐体内部の最下部に設けられた搬送機構32と、薬品類払出装置90の筐体内部の最下部に設けられた搬送機構92と、薬品類収納装置100の筐体内部の下半部に設けられた搬送機構160は、薬品類払出装置80と薬品類払出装置90と薬品類収納装置100とを貫く一連の搬送路を構成している。
以下、順に、各部を説明するが、薬品類払出装置80は上述した薬品類払出装置30,40の何れかと同じなので、その説明は割愛し、図7,図8を引用して自動の薬品類払出装置90の構成を説明し、図9を引用して半自動の薬品類収納装置100の構成を説明し、図10を引用して半自動の薬品類収納装置200の構成を説明し、図11を引用して制御装置の構成を説明する。
【0061】
薬品類払出装置90は(図7(a)参照)、筐体のうち搬送機構92配置部や図示しない電装部を除いた大部分のところに、引出棚91が多段に設けられている。
各々の引出棚91には(図7(b),(c)参照)、左右に分かれて振動排出カセット93が列設されている。左側の列の各カセット93は薬剤排出端を右側に向け、右側の列の各カセット93は薬剤排出端を左側に向けており、それらの振動排出カセット93の薬剤排出端の斜め上に設けられた斜板94によって中央に共用の落下案内路95が確保されている。引出棚91を筐体から引き出して振動排出カセット93に薬剤を補充し、引出棚91を筐体内に押し戻すと、各段の落下案内路95が上下に連なって搬送機構92の上方に位置するようになっている。
【0062】
振動排出カセット93は(図8参照)、PTP包装剤21を立てた状態で横一列に並べて整列収納する箱体状の外板93aと、その薬剤排出端の解放前面の上部に横架されていて収納薬剤の前倒を止める上枠93cと、収納薬剤を載せて振動時には前進させる前下がり傾斜の内板93bと、この内板93bを振動させる振動モータ等の振動部材93eと、外板93aの薬剤排出端の解放前面の手前に設けられた爪状の留置部材93dとからなり、後述するメインコントローラ300の指示に従って留置部材93dが一時下降する度に収納薬剤を先頭から一つずつ排出するようになっている。
【0063】
薬品類収納装置100は(図9(a),(b)参照)、筐体111の最上部に開閉シャッター112が装備され、手を掛けやすい筐体111の上半分には庫部114が割り当てられている。庫部114は、格子状に区切られて、多段多列(図では10段8列)の引出枠を成しており、引出枠それぞれの内面が摩擦抵抗の小さい円滑面に仕上げられているので、収納容器220を前方へ引出可能な状態ひいては押出も可能な状態で縦横に並べて保持するものとなっている。引出枠には一つずつ開駆動機構230〜233も付設されているが、開駆動機構230〜233は収納容器220の後方に配置されているので正面からは見えない。庫部214の前面上端には送光部材213が列設されている。これらは同じ物が薬品類収納装置200にも装備されているので、その詳細説明は後述する。
【0064】
薬品類収納装置100の筐体111の下半分は、薬品類等の払出作業や監査作業を人手で行うときの作業場に割り当てられており、具体的には、筐体111の高さ方向ほぼ中間位置に上面の平坦な板状の作業台115が水平設置され、その直上で奥のところには表示器150が視認可能に付設され、作業台115の両端部のうち薬品類払出装置80から遠い方の端部には作業台115の一部を切欠いた形で落し込み空間116が形成され、その落し込み空間116には秤量計170が設置され、作業台115の下方には搬送機構160が内蔵されている。
【0065】
落し込み空間116は秤量計170の高さより十分に深く、作業台115と秤量計170の秤量皿との中間高さ位置に放出口117が開口形成されている。また、筐体111の両側面のうち薬品類払出装置80側には受入口118が開口形成されており、搬送機構160は、その受入口118から放出口117へ斜め上向きに延びていて、自動の薬品類払出装置80で払い出された薬剤を受入口118から受け入れて放出口117へ運び更には落し込み空間116へ送り込むものとなっている。表示器150は、例えば小形の液晶パネル等からなり、払出対象薬剤の数を自動と半自動とに分けて或いは各装置80,100,200に分けて表示できるようになっている。秤量計170は、精度が十分で且つ秤量皿が上になっていれば良いが、この例では、秤量値をデータ送信できる電子秤が採用されている。
【0066】
薬品類収納装置200は(図10(a),(b)参照)、筐体211の上部に開閉シャッター212が装備され、筐体211の下部に引出215や電装部216が設けられているが、手を掛けやすい大部分には即ち筐体211の中間部には庫部214が割り当てられている。庫部214は、庫部114同様、格子状に区切られて、多段多列(図では17段8列)の引出枠を成しており、引出枠それぞれの内面が摩擦抵抗の小さい円滑面に仕上げられているので、収納容器220を前方へ引出可能な状態ひいては押出も可能な状態で縦横に並べて保持するものとなっている。引出枠には一つずつ開駆動機構230〜233も付設されているが、開駆動機構230〜233は収納容器220の後方に配置されているので正面からは見えない。庫部214の前面上端には送光部材213が列設されている。
【0067】
収納容器220は(図10(c)参照)、薬品類を収容して引出させるよう奥行きの長い上面解放の箱状体であり、前板221は透明であるが、この例では側板223や底板224が不透明になっている。収納容器220内の前端部、具体的には収納容器220の内部において前板221の直ぐ後ろのところは、底板224が盛り上がっていて又は底板224上に横倒しの三角柱状部材が装着されていて、傾斜面222が形成されている。傾斜面222は、磨りガラス状の乱反射面に仕上げられており、これが水平から30゜〜60゜程度(図10(e),(f)では約45゜)傾いて前方斜め上を向いているので、鉛直下方への送光を受けると(図10(f)参照)それを反射散乱光Fにして前方へ向ける視覚化手段となっている。
【0068】
開駆動機構230〜233は(図10(d)参照)、市販の扁平タイプの電動モータ230と、その回転軸231に取着された偏心カム232と、プッシュスイッチ等の原点センサ233とを具えている。そして、偏心カム232の長径部が原点センサ233に接して止まっているときには(図10(e)参照)収納容器220を十分に後退可能で庫部214内に納まる状態にし、その状態からモータ230の回転軸231が一回転すると途中で(図10(f)参照)偏心カム232の長径部が該当収納容器220の後端面を押して収納容器220を前進させるようになっている。その前進量すなわち駆動距離は、傾斜面222を引出枠から突き出すとともに前板221に指を掛けるのに十分な例えば2〜3cm程度であり、収納容器220の奥行き例えば20〜30cm程度より桁違いに短い。
【0069】
送光部材213は(図10(a)参照)、指向性が強くてビーム状の光を発する例えば赤色LED(発光ダイオード)が採用され、庫部214の引出枠の各列に対し一つずつ設けられて、鉛直下方へ送光するようになっている。そして、上述した収納容器220の配置状態と相まって、後退状態の収納容器220のうち縦一列分の複数個の前を通過する送光を行うとともに(図10(e)の二点鎖線を参照)、開駆動機構230〜233の偏心カム232にて前進させられた収納容器220が前端部を突き出すと(図10(b),(f)参照)傾斜面222の受光部位を反射散乱光Fで光らせる。この送光部材213や上述のモータ230は次に述べるメインコントローラ300の自動制御に従って動作するようになっている。
【0070】
制御装置は(図11参照)、プログラマブルなパーソナルコンピュータ又はマイクロプロセッサシステム等からなるメインコントローラ300と、いわゆるワンチップマイコン等からなる多数のサブコントローラ310,311,312,313とを具えたプロセッサ群であり、メインコントローラ300を中心にスター接続またはLAN接続されている。メインコントローラ300は、操作卓が有ればそこに設置しても良く、薬品類収納装置100の下部や薬品類払出装置80の上部などに格納しても良いが、この例では薬品類収納装置200の電装部216に図示しない電源等と共に格納されている。サブコントローラ310は、薬品類払出装置80内に分散設置され、サブコントローラ311は薬品類払出装置90内に分散設置され、サブコントローラ312は薬品類収納装置100内に分散設置され、サブコントローラ313は薬品類収納装置200内に分散設置されている。
【0071】
メインコントローラ300は、薬品類払出情報に基づき、自動の薬品類払出装置80,90に対して薬品類20,PTP包装剤21の選択や払出動作の制御を行うとともに、半自動の薬品類収納装置100,200に対し、多数の収納容器220のうち何れか一つ又は複数のものを選択して多数の開駆動機構230〜233のうち前記選択に対応するものを作動させる制御を行うものである。どの薬品類を払い出すのかを定めた薬品類払出情報を得るために、破線で図示した処方オーダリングシステム(処方オーダーエントリシステム)等の上位コンピュータから処方データや派生した調剤指示データを受信したり、図示しない入力装置から払出指示を入力しうるようになっている。
【0072】
薬品類収納装置200においては、複数のモータ230と送光部材213とが、サブコントローラ313を介してメインコントローラ300に接続されている。薬品類収納装置100においては、複数のモータ230と送光部材213とがサブコントローラ312を介してメインコントローラ300に接続され、更に表示器150と搬送機構160と秤量計170もサブコントローラ312を介してメインコントローラ300に接続されている。薬品類払出装置90においては、複数の振動排出カセット93の留置部材93dの駆動ソレノイドがサブコントローラ311を介してメインコントローラ300に接続され、更に搬送機構92もサブコントローラ311を介してメインコントローラ300に接続されている。薬品類払出装置80においては、複数のモータ16がサブコントローラ310を介してメインコントローラ300に接続され、更に搬送機構32もサブコントローラ310を介してメインコントローラ300に接続されている。
【0073】
この実施例4の薬品類払出システムについて、その使用態様及び動作を、図面を引用して説明する。
【0074】
図10は、半自動の薬品類収納装置200の動作状態等を示し、(a)が正面図、(b)が斜視図、(e)及び(f)は、要部の右側面図である。図10(a),(e)は、総ての収納容器220が押し戻されて庫部214内に後退している状態を示し、図10(b),(f)は、右上から2段2列目の収納容器220が選択されて自動前進した状態を示している。なお、図10(e),(f)は、図9に示した薬品類収納装置100の庫部114にも共通しており、図9(a),図10(e)は、総ての収納容器220が押し戻されて庫部114内に後退している状態を示し、図9(b),図10(f)は、左上から2段3列目の収納容器220が選択されて自動前進した状態を示している。
【0075】
使用に先立ち、半自動の薬品類収納装置100,200については、それぞれの収納容器220に医薬品や医療材料などの薬品類が種類毎に分類して収容される。医薬品としては(特許文献3参照)、箱物セット薬剤やアンプル更には溶解剤などが典型例であり、医療材料としては骨補綴材や手術用具などが挙げられる。
この薬品類払出システムでは、自動の薬品類払出装置80に実装された薬品類20や自動の薬品類払出装置90に実装されたPTP包装剤21を各種の薬品類から除いた残りの薬品類のうち、使用頻度の高いものが先ず収納容器220に分別保管され、余裕があれば他の薬品類も収納容器220に分別保管される。さらに余裕があれば、補充待ち回避等のため、薬品類払出装置80,90と重複した実装も行われる。
【0076】
このような薬品類を分類収納した収納容器220は、何れも、庫部114,214の各引出枠に押し込み挿入され、その位置が手動操作等にてメインコントローラ300に入力され薬品マスターファイル等に記憶される。これで半自動の薬品類収納装置100,200の準備が調うが、この段階では(図9(a),図10(a),図10(e)参照)、収納容器220が総て後退状態で閉まっているので、どれも光らない。
【0077】
自動の薬品類払出装置80についても使用・自動調剤に先立つ準備を行う。繰り返しとなる説明は割愛するが、上述のようにして箱物セット薬剤やPTP包装剤21の結束体などの薬品類20を整列収納しておく。使用頻度の多い薬剤20が優先的に実装される。
自動の薬品類払出装置90には、一枚ずつバラバラになっているPTP包装剤21を整列させて各振動排出カセット93に収納しておく。
いずれも使用頻度の多い薬品類が優先的に実装され、以上で、薬品類払出システム使用の準備が調う。
【0078】
そして、その状態で、メインコントローラ300に処方箋データや調剤指示データが通信や入力操作にて届けられると、その中から薬品コードや処方数量値が抽出され、それが薬品類払出情報とされる。さらに、その薬品類払出情報に基づき、メインコントローラ300によって、薬品マスターファイルの検索等が行われ、薬品類払出装置80から自動で払い出せる薬品類20が有ればそれが先ず選択され、次に薬品類払出装置90から自動で払い出せるPTP包装剤21が有ればそれが選択され、それが駄目でも薬品類収納装置100,200から半自動で払い出せる薬品類が有ればそれが選択され、その払出数が表示器150に表示される。
【0079】
そして、上述のようにして自動の薬品類払出装置80から払出された薬品類20や、自動の薬品類払出装置90から払出されたPTP包装剤21が、さらに自動で、搬送機構32や搬送機構92で運ばれてから受入口118を通って薬品類収納装置100の搬送機構160上に移され、搬送機構160によって放出口117へ運ばれ更に落し込み空間116へ送り込まれる。そこで、秤量計170の秤量皿に載せられ秤量される。
一方、それと並行して又は単独に、メインコントローラ300によって、上述した薬品類払出情報に基づき、払出対象・取出対象に薬品類収納装置100,200の薬品類が選択されることもある。その場合、払出対象・取出対象の薬品類を収納している収納容器220が選択されるとともに、その後方の開駆動機構230〜233が作動させられる。そうすると、対象の収納容器220は、偏心カム232で前方へ押し出されて開く。また、上方の送光部材213が点灯する。
【0080】
その状態では(図9(b),図10(b),図10(f)参照)、対象の収納容器220の前端部が庫部114,214から突き出て、送光部材213から発した光が対象の収納容器220の傾斜面222に当たり、そこから前方に向けて反射散乱光Fが出るので、対象の収納容器220が光って見える。こうして、取出対象の収納容器220が一目瞭然になるとともに口を開けるので、作業者は、その開口から収納容器220の前板221に指を掛けて収納容器220を引き出す。そして、所望の薬品類を取り出し、それから収納容器220を押し戻して閉めるとともに、作業履歴を残すためメインコントローラ300に払出作業完了の入力を行う。すると、それに応じて送光部材213が消灯する。
【0081】
こうして、薬品類収納装置100,200に閉塞状態で分別収納した各種の薬品類に関する手作業での払出が容易かつ迅速に行われる。取出は手作業で行われ、表示器150の案内に従って薬品類が必要量だけ取り出される。なお、取出は手作業でも、取出対象の選択と前進動作は自動なので、必要な薬剤を容易かつ的確に払出すことができる。また、上述したように、開駆動機構230〜233がモータ230と偏心カム232とを組み合わせた簡便な構造であり、送光部材213の個数も庫部114,214の引出枠の列数と同じで収納容器220の個数より少ないため、半自動の薬品類収納装置100,200は安価に製造することができる。
【0082】
半自動の薬品類収納装置100,200から払出された薬品類は、作業者によって、作業台115の上に広げられ、剤種や個数の確認後、作業台115上を滑らせて落し込み空間116に落とし込まれる。そこで、秤量計170の秤量皿に載せられ、薬剤20,21と一緒に秤量される。その秤量値は、秤量計170にて目視可能に表示されるとともに、秤量計170からメインコントローラ300に信号や通信で報告され、メインコントローラ300によって、薬品マスターファイルの薬剤単位重量値などに基づき、剤数に換算され、それから処方数量との突き合わせに供され、一致時は表示器150に例えばOK表示がなされ、不一致時は表示器150に例えばNG表示がなされる。
【0083】
その判定表示や装置毎の払出数の表示も参照しながら、作業者は、秤量計170から作業台115上に薬剤20及び薬品類を移して、調剤監査を行うことにより、調剤作業ばかりか監査作業も、容易に進めることができる。
こうして、この薬品類払出システムにあっては、合理的な費用で、多くの薬品類を能率良く調剤し更に監査することができる。
【実施例5】
【0084】
本発明の半自動の薬品類収納装置の実施例5について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。図12は、(a)が収納容器220の斜視図、(b)が銘板225の正面図、(c)が収納容器220の斜視図である。なお、薬品類250の具体例として図12(c)には箱物でないセット薬剤を図示した。
この薬品類収納装置が上述した実施例4のものと相違するのは、透明プラスチックの一体成型にて収納容器220が作られている点と、それに付設される視覚化手段が傾斜面222に置かれた銘板225にて具現化されている点である。
【0085】
収納容器220は、傾斜面222も側板223も底板224も前板221と同じ材料で一体成型で安価に製造することができる。
銘板225は、不透明な紙やプラスチックシートで、傾斜面222とほぼ同サイズに形成され、少なくとも片面が照射光を散乱させながら反射する粗面になっており、そこには薬品名やコード等が書込や印刷にて記入されている。
この場合、薬品名の記入面を表にして銘板225を傾斜面222に乗せ置けば、簡便かつ安価に、視覚化手段が収納容器220に付設されることとなる。
【実施例6】
【0086】
図13(a)〜(c)に要部の右側面図を示した本発明の半自動の薬品類収納装置が上述した実施例4,5のものと相違するのは、収納容器220の底板224が不透明になっている点と、送光部材213の送光先に受光部材260が設けられている点である。図示は割愛したが、メインコントローラ300が受光部材260の受光状態に基づいて各収納容器220の引出状態を判別するようにもなっている。
【0087】
この場合、取出対象の収納容器220が開駆動機構230〜233によって庫部114,214から突き出されると(図13(a)参照)、送光部材213から受光部材260への送光が収納容器220の前端部で遮られ、受光部材260が受光できない。
また、薬品類250を取り出す際に、収納容器220を更に引き出したときも(図13(b)参照)、収納容器220が抜き取られない限り、送光部材213から受光部材260への送光が収納容器220の底板224で遮られるので、やはり受光部材260が受光できない。
【0088】
これに対し、薬品類250を取り終えて、収納容器220を押し戻し、収納容器220が庫部114,214内に後退した状態になると(図13(c)参照)、送光部材213から受光部材260への送光を遮るものが無くなるので、受光部材260が受光する。
そして、このような収納容器220の突出の有無に応じた受光部材260の受光状態の変化がメインコントローラ300に信号入力され、それらのタイムスタンプがログデータに録られる。
【0089】
また、モータ230を作動させたのに受光部材260の受光停止が検出できなければ、収納容器220の自動前進が完遂されなかったとメインコントローラ300によって判定され、適宜なアラームが発せられる。
さらに、薬品類250の取出後に、受光部材260での受光再開が検出されないうちに払出作業完了の入力があると、メインコントローラ300によって払出作業が完了していないと判定され、作業者に収納容器220の閉塞を促す案内メッセージ等が出される。
【0090】
[その他]
上記実施例では、滑落面を画成する部材13や仕切43に押出材が用いられていたが、これは一例であり、曲げ加工など他の製法で作られた部材でも良い。また、そのような部材13,43の外面のうち滑落面画成部位には、薬品類の滑落の円滑化のため、摩擦係数の小さい樹脂等をコーティングしても良い。
上記実施例で、排出機構18は、薬品類を先頭から一つずつ排出するようになっていたが、一つに限定される訳でなく、二つなど複数個ずつ排出するようにしても良い。
上記実施例では、リンク仕掛け14,15,17の他にモータ16も排出機構18に含めていたが、駆動源のモータ16を排出機構18に含めるか排出機構18から外すかは、駆動源の配置を規定している本発明にあっては、本質的な差異がなく、任意である。
【0091】
上記の実施例2〜4では、収集払出機構が、カセット10,93や相当する棚区分から前方に排出された薬品類20を落下させてから水平搬送するようになっていたが、収集払出機構は、これに限られる訳でなく、例えば、カセット10,93等から排出された薬品類20をXY移動等で受け取りに行き収集後に払出位置へ搬送するようになっていても良く(例えば特許文献4参照)、カセット10,93等から排出された薬品類20を水平移動させてから落下させて収集するようになっていても良い(例えば特許文献5参照)。
【0092】
上記の実施例4〜6では、収納容器220の形状やサイズが総て同じであったが、異なっていても良い。その場合、偏心カム232の高さも収納容器220の高さに合わせて変えると良い。偏心カム232が収納容器220の後端面を押せるようになっていれば、モータ230が該当収納容器220と同じ高さ範囲に入っている必要もない。
また、送光部材213の設置箇所は、上側に限らず、下側や左右であっても良い。送光部材213の送光方向も、鉛直下方に限らず、上向きや,横向き,さらには斜めであっても良い。
【0093】
上記実施例では、制御装置がメインコントローラ300とサブコントローラ310,311,312,313との二段構成になっていたが、各払出装置80,90,100,200毎にローカルコントローラを設けて、メインコントローラ300とローカルコントローラとサブコントローラ310,311,312,313との三段構成にしても良い。
上記実施例では、搬送機構160としてエスカレータ様の斜めコンベアを図示したが、搬送機構160は、エレベータ様のものでも良く、複数タイプの組み合わせでも良い。
上記実施例で、作業台115は、放出口117の真上で切れていたが、落し込み空間116の上へ突き出ていても良い。
薬品類収納装置200は、薬品類収納装置100の庫部拡張用であり、薬品類の種類数に応じて適宜増減されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の実施例1について、薬品類カセットの構造を示し、(a)がカセット外観斜視図、(b)が展開したリンク従節の正面図と側面図、(c)が組み立てたリンク従節の正面図と側面図、(d)が運動時のリンク従節の側面図、(e)がモータの斜視図、(f)がリンク原節の側面図、(g)が常態の排出機構の側面図、(h)が作動時の排出機構の側面図である。
【図2】薬品類カセットの排出動作を時系列で示し、(a)〜(c)、何れも、箱状の薬品類を整列収納したカセットの斜視図である。
【図3】本発明の実施例2について、自動のカセット列設タイプ薬品類払出装置の構造を示し、(a)が正面図(BB断面図)、(b)が側面図(AA断面図)である。
【図4】本発明の実施例3について、自動の棚仕切タイプ薬品類払出装置の構造を示し、(a)が正面図(DD断面図)、(b)が側面図(CC断面図)である。
【図5】そのうち棚部の斜視図である。
【図6】本発明の実施例4について、薬品類払出システムの概要構造を示す全体正面図である。
【図7】薬品類払出システムのうち自動のカセット列設タイプ薬品類払出装置の構造を示し、(a)が斜視図、(b)が棚部の平面図、(c)がE−E断面矢視図(縦断正面図)である。
【図8】振動排出カセットの構造を示し、(a)がカセットの外観斜視図、(b)がPTP包装剤の外観斜視図、(c)が薬剤を整列収納したカセットの要部の縦断左側面図である。
【図9】半自動の薬品類収納装置の機械的構造等を示し、(a)が正面図、(b)が斜視図である。
【図10】もう一つの半自動の薬品類収納装置の機械的構造等を示し、(a)が正面図、(b)が斜視図、(c)が収納容器の斜視図、(d)が開駆動機構の斜視図、(e)及び(f)が要部の右側面図である。
【図11】制御部の概要ブロック図である。
【図12】本発明の実施例5について、半自動の薬品類収納装置の構造を示し、(a)が収納容器の斜視図、(b)が銘板の正面図、(c)が収納容器の斜視図である。
【図13】本発明の実施例6について、半自動の薬品類収納装置の構造を示し、(a)〜(c)何れも要部の右側面図である。
【符号の説明】
【0095】
10…カセット(薬品類カセット)、
11…底板、12…スペーサ、13…滑落面画成部材、
14…第1リンク従節、15…第2リンク従節、
16…モータ(駆動源)、17…リンク原節、18…排出機構、
20…薬品類、21…PTP包装剤(薬品類)、
30…薬品類払出装置(カセット列設タイプ,自動)、
31…落下案内路、32…搬送機構、33…払出口、
40…薬品類払出装置(棚仕切タイプ,自動)、
41…傾斜棚、42…スペーサ、43…仕切(滑落面画成部材)、
80…薬品類払出装置(箱出,束出,自動)、
90…薬品類払出装置(枚様式,自動)、
91…引出棚、92…搬送機構、
93…振動排出カセット、94…斜板、95…落下案内路、
100…薬品類収納装置(半自動)、
111…筐体、112…シャッター、114…庫部、
115…作業台、116…落し込み空間、117…放出口、
118…受入口、150…表示器、160…搬送機構、170…秤量計、
200…薬品類収納装置(半自動)、
211…筐体、212…シャッター、213…送光部材、
214…庫部、215…引出、216…電装部、220…収納容器、
221…前板、222…傾斜面、223…側板、224…底板、
225…銘板、230…モータ、231…回転軸、232…偏心カム、
233…原点センサ、250…薬品類、260…受光部材、
300…メインコントローラ、
310,311,312,313…サブコントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾斜している滑落面上に薬品類を整列収納して逐次排出する薬品類カセットにおいて、各々が前記滑落面の傾斜方向に延びるとともに互いが並走する状態で設けられた滑落面画成部材にて前記滑落面が形成されており、前記傾斜方向で上側に位置する第1従節と前記傾斜方向で下側に位置する第2従節と両従節に回り対偶で連結されていて両従節を作動させる原節とを具備したリンク仕掛けの排出機構が前記滑落面の落下端近傍で前記滑落面画成部材の間に設けられ、前記第1従節が作動時には前記滑落面より上方へ突き出し常態では前記滑落面と同じ高さかそれより下方へ引き下がっているものであり、前記第2従節が作動時には前記滑落面と同じ高さかそれより下方へ引き下がり常態では前記滑落面より上方へ突き出ているものであり、前記原節と該原節にすべり対偶で連結された駆動源とが前記第1,第2従節の中間位置であって前記滑落面の裏側下方に当たるところに設けられていることを特徴とする薬品類カセット。
【請求項2】
請求項1記載の薬品類カセットを多数格納したカセット格納部と、それらから排出された薬品類を収集して払い出す収集払出機構とを備えている薬品類払出装置。
【請求項3】
一方には傾斜し他方には傾斜しない状態で設けられた傾斜棚と、この棚上に非傾斜方向へ列設され各々が傾斜方向に延びていて隣の部材との間に薬品類整列収納可能な傾斜状態の滑落面を画成する仕切と、前記傾斜方向で上側に位置し作動時には前記滑落面より上方へ突き出し常態では前記滑落面と同じ高さかそれより下方へ引き下がっている第1従節と前記傾斜方向で下側に位置し作動時には前記滑落面と同じ高さかそれより下方へ引き下がり常態では前記滑落面より上方へ突き出ている第2従節と両従節に回り対偶で連結されていて両従節を作動させる原節とを具備したリンク仕掛けからなり前記滑落面の落下端近傍で前記仕切のうち隣り合うもの同士の間に設けられた排出機構と、前記原節にすべり対偶で連結され該原節と共に前記第1,第2従節の中間位置であって前記滑落面の裏側下方に当たるところに設けられた駆動源と、前記排出機構にて排出された薬品類を収集して払い出す収集払出機構とを備えている薬品類払出装置。
【請求項4】
薬品類を逐次排出可能に且つ多列に整列収納し各列から薬品類を自動放出させ下方へ導いて収集する薬品類払出装置と、薬品類を収容する多数の収納容器を前方へ引出可能な状態で縦横に並べて保持し後方配設の開駆動機構にて前進させる薬品類収納装置とが並設された薬品類払出システムであって、前記薬品類払出装置は、両脇を画成された滑落面上で薬品類の整列維持と整列前進を行い、原節およびその駆動源の両側に配置されたリンク仕掛けの第1,第2従節の交互上下動にて薬品類の逐次排出を行うものであり、前記薬品類収納装置は、後退状態の前記収納容器のうち複数のものの前を通過する送光を行う送光部材が設けられ、その送光を受けるとそれを前方へ向ける視覚化手段が前記収納容器それぞれの前端部に形成され又は付設されていることを特徴とする薬品類払出システム。
【請求項5】
前記薬品類収納装置に作業台が付設され、その作業台の一部を切欠いた形で落し込み空間が形成され、その落し込み空間に秤量計が設置され、前記薬品類払出装置で払い出された薬剤を前記落し込み空間へ送り込む搬送機構が設けられていることを特徴とする請求項4記載の薬品類払出システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−119069(P2008−119069A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−303460(P2006−303460)
【出願日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(000151472)株式会社トーショー (156)
【Fターム(参考)】