説明

薬物送達のための医薬組成物及びそれを使用する症状の治療又は予防法

本発明は、医薬活性物質の制御された-又は持続された-放出のためのゲルの形態の医薬組成物、及びこの医薬組成物をそれを必要とする動物へ投与することによる、動物における症状を治療又は予防又は予防する方法に関する。この医薬組成物が有用であるひとつの症状の具体的な型は、特に獣医適用の、例えば皮膚、耳又は眼の微生物感染症である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.1 発明の技術分野
本発明は、医薬活性物質の制御された-又は持続された-放出のための、ゲル形の医薬組成物、並びにこの医薬組成物をそれが必要な動物へ投与することによる、動物における症状の治療又は予防の方法に関する。この医薬組成物が有用であるひとつの具体的症状型は、特に獣医適用の、例えば皮膚、耳又は眼の微生物感染症である。
【背景技術】
【0002】
1.2 関連技術の説明
長期間にわたり薬物の少なくとも最低治療レベル、例えば血中レベルを維持することができる制御された-又は持続された-放出製剤を用いて薬物を投与することが望ましいことが多い。これらの制御された-又は持続された-放出製剤は、投与頻度を減少し、利便性及び服薬遵守を増強し、更に副作用の重症度及び頻度を低下する。例えば、実質的に一定の血中レベルを維持し、並びに1日数回投与される従来の速放性製剤に関連したような、薬物の血中レベルの変動を避けることにより、制御された-又は持続された-放出製剤は、従来の速放性製剤により得られるものよりもより良い治療プロファイルを提供することができる。
【0003】
発明の背景
制御された-又は持続された-薬物放出の公知の方法は、浸透圧ポンプのような、埋込された用具、及び埋込、経口投与又は注射することができる生体適合性ポリマーマトリックス中に分散された薬物を含む。このような適用において使用される生体適合性ポリマーの例は、ポリ(乳酸)及びポリ(乳酸-コ-グリコール酸)を含む。このポリマーは典型的には、in vivoにおいて緩徐な加水分解を受け、捕獲された薬物を時間をかけて絶え間なく放出する。このポリマー分解産物は、無毒であり、生体により吸収又は代謝される。例えば生体適合性ポリマーがポリ(乳酸)又はポリ(乳酸-コ-グリコール酸)である場合、分解産物は、親酸、乳酸及びグリコール酸であり、これらは生体により吸収される。
【0004】
下記特許は、制御された-又は持続された-薬物放出製剤を考察する代表的なものである。
【0005】
Songらの米国特許第4,814,173号明細書は、医薬等級のポリシロキサン、エラストマーの形成が可能な触媒、透過性増強剤、及び生物学的活性物質を含有する薬物を哺乳類へ投与するための膜貫通型医薬調製物を開示している。この特許の開示は、経皮的薬物送達システム、特に経皮的貼付剤に最も焦点を当てている。
【0006】
Akazawaらの米国特許第5,480,649号明細書は、支持体上に提供された薬物-含有層を有し、並びに必須成分としてポリアクリル酸、架橋剤、少なくとも1種の低級アルコール又は多価アルコール、及び0.1〜5重量%のプロカテロール又はその薬学的に許容される塩を有する実質的に水-非含有の接着ゲル基剤を含む、皮膚へ適用するためのプロカテロール-含有調製物を開示している。
【0007】
国際公開公報第03/034988号は、注射可能な組成物を提供するために一緒にされる、薬理学的活性化合物の塩及び親油性対イオン及び薬学的に許容される水溶性溶媒のこの組成物を開示している。動物へ注射される場合、少なくとも組成物の一部は沈殿し、薬理学的活性化合物を時間をかけて緩徐に放出する貯蔵庫(depot)を形成する。
【0008】
下記特許は、外用又は耳内医薬組成物を考察する特許の代表を表している。
Stiefelの米国特許第4,843,096号明細書は、13-cis-レチノール酸を含有する非-水性ゲルを使用する、炎症性ざ瘡の外用治療を開示している。この特許の開示は、約0.05重量%13-cis-レチノール酸、3重量%ヒドロキシプロピルセルロース、約96.9重量%エタノール(SDA-40B)、及び0.05重量%ブチル化されたヒドロキシトルエンを含有する、好ましいゲル製剤を示している。
【0009】
Decknerらの米国特許第4,847,267号明細書は、6-ヒドロキシ-2,5,7,8-テトラメチルクロマン-2-カルボン酸及び/又は6-エトキシ-1,2-ジヒドロ-2,2,4-トリメチルキノリン、並びに任意にモノエタノールアミン亜硫酸塩又は亜硫酸ナトリウムの安定化剤を含有する、皮膚用治療組成物及び皮膚内のフリーラジカルを阻害する方法を開示している。この皮膚用治療組成物は、水、少なくとも1種の保存剤、好ましくは少なくとも1種の湿潤剤、少なくとも1種の乳化剤及び/又は増粘剤を含み、並びに任意に1種又は複数のキレート剤、1種又は複数のゲル化剤、1種又は複数の保湿剤、1種又は複数のフリーラジカルインヒビターもしくは失活物質の溶媒、1種又は複数の日焼け止め剤、1種又は複数の香料、及び/又は1種又は複数の着色剤を含有してもよい。
【0010】
Wangらの米国特許第5,110,809号明細書は、イミダゾール、ステロイド、一価及び二価のアルコールを含む共-溶媒システム、並びにヒドロキシアルキルセルロースゲル化剤を含有する、外用抗真菌用途のための安定した無水ゲル製剤を開示している。
【0011】
国際公開公報第00/09117号は、水への溶解度が低い非-ステロイド系抗炎症剤であるニメスルフィド(nimesulfide)を含有する外用医薬組成物を開示している。
【0012】
Siddiquiの米国特許第6,146,664号明細書は、実質的に周囲に酸素を含まない非-水性又は実質的に無水物のシリコーンビヒクル中のアスコルビン酸の安定した組成物を開示している。アスコルビン酸は、不溶性粒子としてポリ有機シロキサンビヒクル中に存在し、例えば皺を減少し並びにコラーゲンの成長及び弾力性を増大するための外用適用において、高度のバイオアベイラビリティ及び有効性を有する。
【0013】
Pellicoの米国特許第6,214,339号明細書は、液体又はゲル液担体中の、実質的に非-水性、二-酵素性の治療的組成物を投与することを含む、ネコ及びイヌにおける外耳炎の治療を開示している。組成物の例は、グリセロール及びプロピレングリコールの液体混合物中に、グルコース、グルコースオキシダーゼ、ヨウ化カリウム、及びラクトペルオキシダーゼを含有する。
【0014】
Burnettらの米国特許第6,238,683号明細書は、(A)アルコール及び/又はプロピレングリコールの浸透増強剤、(B)ポリエチレングリコール、グリセリン、ソルビトール、及び/又はキシリトールの湿潤剤/溶媒、(C)無水ビヒクル、並びに(D)医薬品を含有する、医薬品の外用送達のための無水組成物を開示している。
【0015】
下記特許は、非-水性及び/又はゲル状である薬物-含有組成物を考察している特許の代表である。
【0016】
欧州特許第0 081 896 B1号は、動物へ投与するための非水(waterless)チキソトロープ医薬品製剤、特にマクロライド系抗生物質の安定した半-固形製剤を開示している。本質的に無水ゲル製剤の例証的製剤は、薬物0.5〜10重量%、グリセリンの水酸化された脂肪酸エステル2〜25重量%、グリコール又はグリセリン55〜97.2重量%、及び水溶性ポリマー0.3〜15重量%を含有する。
【0017】
Rudyらの米国特許第4,837,008号明細書は、その中に経口的に許容できる有機又は無機の過酸化物及び炭酸水素塩を分散している水-溶性の非-水性ビヒクルを含有する、歯周適用のための非-水性ペースト又はゲル状デントリフィス(dentrifice)組成物を開示している。
【0018】
Caronらの米国特許第4,837,213号明細書は、粘度少なくとも540cpsを有する無水ゲルの形態で活性物質を投与及び保護し、並びにパラフィン油、少なくとも1種の脂肪酸アルキルエステル、及びポリビニルジメチルシロキサン-型エラストマーシリコーンを増粘剤として含有する、医薬ビヒクルを開示している。
【0019】
Tragerらの国際公開公報第98/36776号及び米国特許第6,669,958号明細書は両方とも、細胞増殖性疾患に罹患した宿主の治療のための方法及び組成物を開示しており、ここで抗増殖薬は、少なくとも1種の極性溶媒を、1種又は複数の増粘剤と組合せて含有する、実質的に非-水性ゲルビヒクル中で投与される。
【0020】
Chenらの米国特許第6,018,033号明細書は、制御された-薬物送達のためのヒドロゲルを含む、親水性、疎水性及び熱可逆性(thermoreversible)多糖ゲルを開示している。ゲル成分の例は、サッカロース及び(メタ)アクリレートの、又はスクロースもしくは改質スクロースと疎水性ポリ(アルキレンオキシド)(メタ)アクリレートのコポリマーである。スクロースは:親水性スクロースを生成するための、スクロースのエポキシアクリレートとの反応によるか;疎水性スクロースを生成するための、塩化メタクリロイルとの第一の反応、その後の塩化アセチルとの反応によるか;又は、熱可逆性スクロースを生成するための、塩化メタクリロイルとの第一の反応、その後のアミノカルボン酸との反応により、改質することができる。
【0021】
Heiらの米国特許第6,436,455号明細書は、in situ水性、非-水性、ゲル、エアゾール、固相、又は粉末の調製物中に、第4級又はプロトン化可能な窒素化合物、酸化体化合物、及びハライド源の組合せの反応生成物である酸化種を制御された割合で含有する、抗菌及び抗ウイルス組成物を開示している。
【0022】
米国特許出願第2004/0197408号明細書は、アミノ酸、オリゴペプチドから選択される添加剤を伴う、疎水性ブロック及び親水性ブロックを有する二ブロックコポリマーの製剤を開示している。これらの製剤は、水と混合された場合に、ミセル型の薬物送達ビヒクルを形成する。
【0023】
しかし当該技術分野において、その中に含まれた薬物の制御された-及び/又は持続された-放出を提供する外用、耳内、及び眼内適用に適した薬物-含有医薬組成物の必要性が依然存在する。
【0024】
本明細書の第4項の参考文献の引用は、そのような参考文献が本出願に先行することを構築するものではない。
【発明の開示】
【0025】
2. 発明の概要
本発明は、(i)局方グリセロール(glycerol formal)、乳酸エチル、及びそれらの混合物からなる群より選択される第一の有機溶媒;(ii)ヒドロキシプロピルメチルセルロース;並びに、(iii)医薬活性物質;を含有する、医薬組成物であり、ここで医薬組成物が、ゲルの形態である、医薬組成物に関連する。場合により、この医薬組成物は更に、グリセロール、プロピレングリコール、ポリ(エチレングリコール)、及びそれらの混合物からなる群より選択される第二の有機溶媒を含有する。
【0026】
本発明は、(i)ポリ(エチレングリコール);(ii)ポリ(アクリル酸)ポリマー;及び、(iii)医薬活性物質を含有する、医薬組成物であり、ここで医薬組成物がゲルの形態である、医薬組成物にも関する。任意にこの医薬組成物は、グリセロール、プロピレングリコール、ポリ(エチレングリコール)、及びそれらの混合物からなる群より選択される有機溶媒を含有してもよい。
【0027】
本発明は更に、本発明の医薬組成物の治療上有効量を、外用、耳内、又は眼内投与することを含む、動物における症状を治療又は予防する方法に関する。ひとつの態様において、本発明の医薬組成物は、ヒトに投与されるが、別の態様においては、本発明の医薬組成物は、非-ヒト動物へ投与される。
【0028】
本発明は更に、本発明の医薬組成物を含有するキットに関する。
【0029】
これら及び他の本発明の特徴及び利点は、本明細書の他の部分、特に全てが本発明の原理を例により例示している、以下の「好ましい態様の詳細な説明」から明らかになるであろう。
【0030】
4. 発明の詳細な説明
4.1 定義
本明細書において使用される用語「ゲル」は、25℃での平均粘度が少なくとも約1,000センチポアズ(「cps」)、好ましくは少なくとも約2,000 cps、より好ましくは少なくとも約5,000 cps、更により好ましくは少なくとも約7,500 cps、最も好ましくは少なくとも約10,000 cpsであるが、約100,000c ps未満、好ましくは約75,000 cps未満である物質を意味する。典型的にはゲルは、例えば会合複合体の形で、その成分間で静的及び/又は動的相互作用を示し、これは一般に力(例えば剪断力)及び/又は流動を実現するための温度の適用により可逆性である。
【0031】
本明細書において使用される用語「ポリマー」は、互いに連結した少なくとも約10、好ましくはそれよりも多い反復単位の連続で作製される高分子を意味する。典型的ポリマーは、約500 g/molよりも大きい数平均分子量も有する。ポリマーは、ホモポリマー(ただ1種の反復単位)、コポリマー(2種又はそれよりも多い反復単位)、ホモポリマーブレンド、コポリマーブレンド、又は1種又は複数のホモポリマー及び1種又は複数のコポリマーブレンドを含むことができる。
【0032】
本明細書において使用される用語「有機溶媒」は、約20℃又はそれ以上で、好ましくは約10℃又はそれ以上で、より好ましくは約0℃又はそれ以上で、最も好ましくは約-10℃又はそれ以上で液体である、任意の有機化合物、又は有機化合物の混合物を意味する。典型的有機溶媒は、約500 g/molを超えない分子量を有し、時には約100 g/mol未満である。好ましい有機溶媒は、妥当なリスク/ベネフィット比と釣り合った、動物へ投与した場合に、過剰な毒性、刺激又はアレルギー反応のような、過度の有害作用を著しく誘導しない化合物(すなわち、「薬学的に許容される有機溶媒」)である。
【0033】
本明細書において使用される用語「医薬活性物質」は、動物において薬理学的作用を引き起こす化合物を意味する。典型的には、薬理学的作用は、動物の症状の治療又は予防である。医薬活性物質は有利なことに、その生物学的活性型の薬物、動物のin vivoにおいて生物学的活性型が形成される形のプロドラッグ、薬物代謝産物、生物学的活性のある薬物の薬学的に許容される塩もしくはエステル、生物学的活性のある薬物の別の治療上許容できる形、又はそれらの組合せを含む。
【0034】
本明細書において使用される用語「動物」は、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、有蹄動物、チンパンジー、サル、ヒヒ、ニワトリ、シチメンチョウ、マウス、ウサギ、ラット、モルモット、イヌ、ネコ、及びヒトを含むが、これらに限定されるものではない。
【0035】
本明細書において使用される用語「症状」は、体の機能、システム、又は臓器の妨害、停止、又は障害を意味し、並びに疾患、欠損及び障害を含む。代表的症状は、細菌、ウイルス、真菌、酵母、及び寄生虫の感染症のような、感染症;癌のような疾患;炎症;糖尿病;並びに、他の臓器不全を含むが、これらに限定されるものではない。
【0036】
本明細書において使用される用語「有効量」及び「治療上有効量」は、動物の症状の治療又は予防に十分な量を意味する。
語句「治療する」、「治療」などは、特定の症状の改善又は停止を含む。
語句「予防する」、「予防」などは、症状の開始の回避を含む。
【0037】
本明細書において使用される語句「薬学的に許容される塩」は、医薬活性物質の酸及び塩基性窒素基(nitorogen group)から形成された塩である。例証的塩は、硫酸塩;クエン酸塩、酢酸塩;シュウ酸塩;塩化物;臭化物;ヨウ化物;硝酸塩;亜硫酸塩;リン酸塩;酸性リン酸塩;イソニコチン酸塩;乳酸塩;サリチル酸塩;酸性クエン酸塩;酒石酸塩;オレイン酸塩;タンニン酸塩;パントテン酸塩;酒石酸水素塩;アスコルビン酸塩;コハク酸塩;マレイン酸塩;ゲンチシン酸塩;フマル酸塩;グルコン酸塩;グルカロン酸塩;サッカラート;ギ酸塩;安息香酸塩;グルタミン酸塩;メタンスルホン酸塩;エタンスルホン酸塩;ベンゼンスルホン酸塩;p-トルエンスルホン酸塩;パモ酸塩(すなわち、1,1'-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフトエート));並びに、脂肪酸の塩、例えばカプロン酸塩、ラウリン酸塩、ミリスチン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、オレイン酸塩、リノール酸塩、及びリノレイン酸塩を含むが、これらに限定されるものではない。用語「薬学的に許容される塩」は、例えばカルボン酸官能基のような、酸性官能基を有する医薬活性物質、並びに薬学的に許容される無機又は有機の塩基から調製された塩も意味する。適当な塩基は、ナトリウム、カリウム、及びリチウムなどのアルカリ金属の水酸化物;カルシウム及びマグネシウムなどのアルカリ土類金属の水酸化物;アルミニウム及び亜鉛などの他の金属の水酸化物;アンモニア;並びに、有機アミンを含むが、これらに限定されるものではない。代表的有機アミンは、未置換の又はヒドロキシ-置換されたモノ-、ジ-、又はトリアルキルアミン;ジシクロヘキシルアミン;トリブチルアミン;ピリジン;N-メチル、N-エチルアミン;ジエチルアミン;トリエチルアミン;モノ-、ビス-、又はトリス-(2-ヒドロキシ-低級アルキルアミン)、例えばモノ-、ビス-、又はトリス-(2-ヒドロキシエチル)アミン、2-ヒドロキシ-tert-ブチルアミン、又はトリス-(ヒドロキシメチル)メチルアミン、及びN,N-ジ-低級アルキル-N-(ヒドロキシ低級アルキル)-アミン(例えば、N,N-ジメチル-N-(2-ヒドロキシエチル)アミン又はN,N-ジアルキル-N-トリス-(2-ヒドロキシエチル)アミン);N-メチル-D-グルカミン;並びに、アルギニン、リシンなどのアミノ酸を含むが、これらに限定されるものではない。
【0038】
本明細書において使用される語句「実質的に無」、「実質的にない」及び「実質的に非含有」は、約5重量%未満、好ましくは約1重量%未満、より好ましくは約0.5重量%未満、最も好ましくは約0.1重量%未満を意味する。例えば語句「実質的に水非含有の医薬組成物」は、医薬組成物中の水の量が、その医薬組成物の約5重量%未満、好ましくは約1重量%未満、より好ましくは約0.5重量%未満、最も好ましくは約0.1重量%未満であることを意味する。
【0039】
4.2 ヒドロキシプロピルメチルセルロース;局方グリセロール、乳酸エチル、又はそれらの混合物;及び、医薬活性物質を含有する医薬組成物
本発明は、(i)局方グリセロール、乳酸エチル、及びそれらの混合物からなる群より選択される第一の有機溶媒;(ii)ヒドロキシプロピルメチルセルロース;並びに、(iii)治療上有効量の医薬活性物質;を含有する、医薬組成物であり、ここで医薬組成物が、ゲルの形態である、医薬組成物に関する。
【0040】
ひとつの態様において、この医薬組成物は更に、グリセロール、プロピレングリコール、ポリ(エチレングリコール)、及びそれらの混合物からなる群より選択される第二の有機溶媒を含有する。
【0041】
ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、有機溶媒(複数)、及び医薬活性物質が一緒にされた場合に、これらがゲルを形成するのに十分に高い平均分子量を有する。
【0042】
ひとつの態様において、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの数平均分子量は、少なくとも約7,500 g/molである。
別の態様において、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの数平均分子量は、少なくとも約10,000 g/molである。
別の態様において、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの数平均分子量は、少なくとも約20,000 g/molである。
別の態様において、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの数平均分子量は、少なくとも約30,000 g/molである。
【0043】
別の態様において、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの数平均分子量は、約7,500〜約1,000,000 g/molである。
別の態様において、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの数平均分子量は、約10,000〜約1,000,000 g/molである。
別の態様において、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの数平均分子量は、約20,000〜約1,000,000 g/molである。
別の態様において、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの数平均分子量は、約30,000〜約1,000,000 g/molである。
【0044】
ひとつの態様において、ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、架橋されてよい。理論により結びつけられることを欲するものではないが、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの架橋は、ゲル形成を促進すると考えられる。
【0045】
別の態様において、ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、実質的に架橋されない。
【0046】
ひとつの態様において、本発明の医薬組成物中のヒドロキシプロピルメチルセルロースの量は、その医薬組成物の約1〜約10重量%の範囲である。
別の態様において、本発明の医薬組成物中のヒドロキシプロピルメチルセルロースの量は、その医薬組成物の約2〜約6重量%の範囲である。
別の態様において、本発明の医薬組成物中のヒドロキシプロピルメチルセルロースの量は、その医薬組成物の約2〜約5重量%の範囲である。
別の態様において、本発明の医薬組成物中のヒドロキシプロピルメチルセルロースの量は、その医薬組成物の約3〜約6重量%の範囲である。
別の態様において、本発明の医薬組成物中のヒドロキシプロピルメチルセルロースの量は、その医薬組成物の約3〜約4重量%の範囲である。
【0047】
ヒドロキシプロピルメチルセルロースの量が変動することにより、この医薬組成物の粘度を変動することができる。典型的には、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの量が多くなると、得られる医薬組成物の粘度は高くなる。
【0048】
しかし当業者は、本発明の医薬組成物中のヒドロキシプロピルメチルセルロースの量は、特にその分子量、存在する有機溶媒(複数)、存在する医薬活性物質、及び/又はその医薬組成物中に存在する他の追加成分に応じて、広範に変動することができることを認めるであろう。
【0049】
第一の有機溶媒及び任意の第二の有機溶媒は、少量の不純物を含有することができる。典型的にはこの有機溶媒(複数)は、純度が約95重量%より大きい、好ましくは約97重量%より大きい、より好ましくは約98重量%より大きい、最も好ましくは約99重量%より大きい。
【0050】
ひとつの態様において、第一の有機溶媒は、局方グリセロールを含む。別の態様において、第一の有機溶媒は、局方グリセロールである。
別の態様において、第一の有機溶媒は、乳酸エチルを含む。別の態様において、第一の有機溶媒は、乳酸エチルである。
ひとつの態様において、第二の有機溶媒は、ポリ(エチレングリコール)を含む。別の態様において、ポリ(エチレングリコール)は、約500 g/molを超えない分子量を有する。別の態様において、ポリ(エチレングリコール)は、約400 g/molの分子量を有する。
別の態様において、第二の有機溶媒は、ポリ(エチレングリコール)である。別の態様において、ポリ(エチレングリコール)は、約500 g/molを超えない分子量を有する。別の態様において、ポリ(エチレングリコール)は、約400 g/molの分子量を有する。
【0051】
別の態様において、第二の有機溶媒は、プロピレングリコールを含む。別の態様において、第二の有機溶媒は、プロピレングリコールである。
別の態様において、第二の有機溶媒は、グリセロールを含む。別の態様において、第二の有機溶媒は、グリセロールである。
【0052】
有機溶媒の総量(すなわち、第一の有機溶媒と、存在する場合の第二の有機溶媒の和)は、典型的には医薬組成物の約10〜約98重量%の範囲である。
別の態様において、有機溶媒の総量は、医薬組成物の約20〜約98重量%である。
別の態様において、有機溶媒の総量は、医薬組成物の約25〜約90重量%である。
別の態様において、有機溶媒の総量は、医薬組成物の約35〜約95重量%である。
別の態様において、有機溶媒の総量は、医薬組成物の約45〜約90重量%である。
別の態様において、有機溶媒の総量は、医薬組成物の約50〜約95重量%である。
別の態様において、有機溶媒の総量は、医薬組成物の約60〜約90重量%である。
別の態様において、有機溶媒の総量は、医薬組成物の約55〜約95重量%である。
別の態様において、有機溶媒の総量は、医薬組成物の約70〜約98重量%である。
【0053】
第二の有機溶媒の量は、存在する場合、有機溶媒の総量の最大約50重量%であることができる。
ひとつの態様において、医薬組成物は、実質的に第二の有機溶媒を含まない。
別の態様において、第二の有機溶媒の量は、有機溶媒の総量の最大約40重量%である。
別の態様において、第二の有機溶媒の量は、有機溶媒の総量の最大約30重量%である。
別の態様において、第二の有機溶媒の量は、有機溶媒の総量の最大約20重量%である。
別の態様において、第二の有機溶媒の量は、有機溶媒の総量の最大約10重量%である。
別の態様において、第二の有機溶媒の量は、有機溶媒の総量の最大約5重量%である。
【0054】
別の態様において、第二の有機溶媒の量は、有機溶媒の総量の約5重量%〜約40重量%である。
別の態様において、第二の有機溶媒の量は、有機溶媒の総量の約10重量%〜約30重量%である。
別の態様において、第二の有機溶媒の量は、有機溶媒の総量の約5重量%〜約25重量%である。
別の態様において、第二の有機溶媒の量は、有機溶媒の総量の約10重量%〜約20重量%である。
【0055】
ひとつの態様において、第一の有機溶媒は、局方グリセロールであり、及び第二の有機溶媒は、グリセロールである。
別の態様において、局方グリセロール及びグリセロールが、医薬組成物中に、容量比約90:10で存在する。
ひとつの態様において、医薬組成物は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、グリセロール、及び局方グリセロールを含有する。
別の態様において、医薬組成物は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース約0.2〜約7重量%、グリセロール約3〜約20重量%、及び局方グリセロール約65〜約86重量%を含有する。
別の態様において、医薬組成物は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース約4重量%、グリセロール約9〜約10重量%、及び局方グリセロール約78〜約85重量%を含有する。
【0056】
別の態様において、第一の有機溶媒は、乳酸エチルであり、及び第二の有機溶媒は、グリセロールである。
別の態様において、乳酸エチル及びグリセロールは、医薬組成物中に、容量比約95:5〜約75:25で存在する。
ひとつの態様において、医薬組成物は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、グリセロール、及び乳酸エチルを含有する右。
別の態様において、医薬組成物は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース約0.2〜約7重量%、グリセロール約3〜約20重量%、及び乳酸エチル約65〜約86重量%を含有する。
別の態様において、医薬組成物は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース約4重量%、グリセロール約9〜約10重量%、及び乳酸エチル約78〜約85重量%を含有する。
【0057】
任意の医薬活性物質を、本発明のこの医薬組成物において使用することができる。
本発明の医薬組成物は、医薬活性物質(複数)を、局方グリセロール及び/又は乳酸エチル、更には存在するならば第二の有機溶媒(典型的には、最終医薬組成物中の有機溶媒総量約90%が望ましい)へ単純に添加し、並びに得られる混合物を、医薬活性物質(複数)が溶解するまで攪拌することにより、調製することができる。1種又は複数の任意の添加剤成分を、同時に及び/又は連続して添加することができ、並びにこの混合物は、添加剤成分(複数)が溶解するまで攪拌される。その後HPMCが添加され、引き続き追加の溶媒が添加され、医薬組成物中の所望の濃度の医薬活性物質(複数)を提供する。任意に溶媒は、HMPCが添加される前に温度約40℃へ温められる。一旦全ての望ましい成分が添加されたならば、その後得られる溶液は、例えば約1〜約10分間ホモジナイズし、均質な医薬組成物を形成することができる。理論に結びつけられるものではないが、より長いホモジナイズ時間及びより高いホモジナイズ速度は、低下した粘度を有する医薬組成物を生じると考えられる。ホモジナイズ後、組成物を、ゲルが形成されるまで、静置することができる。しかし当業者は、本発明の医薬組成物の調製に関する前述の方法の修飾が可能であり、成分の溶媒(複数)への添加の順番を変更することができることを容易に認めるであろう。
【0058】
4.3 ポリ(アクリル酸)、ポリ(エチレングリコール)及び医薬活性物質を含有する医薬組成物
別の本発明の局面は、(i)ポリ(エチレングリコール);(ii)ポリ(アクリル酸)ポリマー;及び、(iii)治療上有効量の医薬活性物質を含有する、医薬組成物であり、ここで医薬組成物がゲルの形態である、医薬組成物に関する。
【0059】
ひとつの態様において、この医薬組成物は、更にグリセロール、プロピレングリコール、及びそれらの混合物からなる群より選択される有機溶媒を含有する。
【0060】
本発明の医薬組成物において使用されるポリ(アクリル酸)ポリマーは、ポリ(アクリル酸)ポリマー、ポリ(エチレングリコール)、任意の有機溶媒、及び医薬活性物質が一緒にされた場合に、これらがゲルを形成するのに十分に高い平均分子量を有する。
【0061】
ひとつの態様において、ポリ(アクリル酸)ポリマーの数平均分子量は、少なくとも約7,500 g/molである。
別の態様において、ポリ(アクリル酸)ポリマーの数平均分子量は、少なくとも約10,000 g/molである。
別の態様において、ポリ(アクリル酸)ポリマーの数平均分子量は、少なくとも約20,000 g/molである。
別の態様において、ポリ(アクリル酸)ポリマーの数平均分子量は、少なくとも約30,000 g/molである。
【0062】
別の態様において、ポリ(アクリル酸)ポリマーの数平均分子量は、約7,500〜約1,000,000 g/molである。
別の態様において、ポリ(アクリル酸)ポリマーの数平均分子量は、約10,000〜約1,000,000 g/molである。
別の態様において、ポリ(アクリル酸)ポリマーの数平均分子量は、約20,000〜約1,000,000 g/molである。
別の態様において、ポリ(アクリル酸)ポリマーの数平均分子量は、約30,000〜約1,000,000g/molである。
【0063】
ひとつの態様において、本発明の医薬組成物において使用されるポリ(アクリル酸)ポリマーは、実質的に架橋されない。
【0064】
別の態様において、本発明の医薬組成物において使用されるポリマーは、架橋したポリ(アクリル酸)、例えばNoveon, Inc.(クリーブランド, OH)から市販されている商標Carbomer(商標)又はCarbopolなどを含む。別の態様において、本発明の医薬組成物において使用されるポリマー(複数)は、Carbomer(商標)941又はCarbopol(登録商標)941を含む。理論により結びつけられることを欲するものではないが、ある種の架橋したポリマーは、ゲル形成を促進すると考えられる。
【0065】
ひとつの態様において、ポリ(アクリル酸)ポリマーの量は、医薬組成物の約0.1〜約2重量%の範囲である。
別の態様において、ポリ(アクリル酸)ポリマーの量は、医薬組成物の約0.1〜約1重量%の範囲である。
別の態様において、ポリ(アクリル酸)ポリマーの量は、医薬組成物の約0.2〜約0.6重量%の範囲である。
別の態様において、ポリ(アクリル酸)ポリマーの量は、医薬組成物の約0.4重量%である。
【0066】
しかし当業者は、本発明の医薬組成物中のポリ(アクリル酸)ポリマーの量は、特にポリマー架橋のレベル、そのポリマーの分子量、ポリ(エチレングリコール)の分子量、存在する任意の有機溶媒(複数)、存在する医薬活性物質、及び/又はその医薬組成物中に存在する他の追加成分に応じて、広範に変動することができることを認めるであろう。
【0067】
ポリ(エチレングリコール)及び任意の有機溶媒は、少量の不純物を含有することができる。典型的にはポリ(エチレングリコール)及び任意の有機溶媒は、純度が約95重量%より大きい、好ましくは約97重量%より大きい、より好ましくは約98重量%より大きい、最も好ましくは約99重量%より大きい。
【0068】
別の態様において、任意の有機溶媒が存在し、プロピレングリコールを含む。別の態様において、任意の有機溶媒が存在し、プロピレングリコールである。
【0069】
別の態様において、任意の有機溶媒が存在し、グリセロールを含む。別の態様において、任意の有機溶媒が存在し、グリセロールである。
【0070】
溶媒の総量(すなわち、ポリ(エチレングリコール)と任意の有機溶媒の和)は、典型的には医薬組成物の約10〜約98重量%の範囲である。
別の態様において、溶媒の総量は、医薬組成物の約20〜約98重量%である。
別の態様において、溶媒の総量は、医薬組成物の約25〜約90重量%である。
別の態様において、溶媒の総量は、医薬組成物の約35〜約95重量%である。
別の態様において、溶媒の総量は、医薬組成物の約45〜約90重量%である。
別の態様において、溶媒の総量は、医薬組成物の約50〜約95重量%である。
別の態様において、溶媒の総量は、医薬組成物の約60〜約90重量%である。
別の態様において、溶媒の総量は、医薬組成物の約55〜約95重量%である。
別の態様において、溶媒の総量は、医薬組成物の約70〜約98重量%である。
【0071】
任意の有機溶媒が存在する場合、その量は、溶媒の総量の最大約50重量%であることができる。
ひとつの態様において、医薬組成物は、任意の有機溶媒を実質的に含まない。
別の態様において、任意の有機溶媒の量は、溶媒総量の最大約40重量%である。
別の態様において、任意の有機溶媒の量は、溶媒総量の最大約30重量%である。
別の態様において、任意の有機溶媒の量は、溶媒総量の最大約20重量%である。
別の態様において、任意の有機溶媒の量は、溶媒総量の最大約10重量%である。
別の態様において、任意の有機溶媒の量は、溶媒総量の最大約5重量%である。
【0072】
別の態様において、任意の有機溶媒の量は、溶媒総量の約5重量%〜約40重量%である。
別の態様において、任意の有機溶媒の量は、溶媒総量の約10重量%〜約30重量%である。
別の態様において、任意の有機溶媒の量は、溶媒総量の約5重量%〜約25重量%である。
別の態様において、任意の有機溶媒の量は、溶媒総量の約10重量%〜約20重量%である。
【0073】
ひとつの態様において、ポリ(エチレングリコール)は、平均分子量約500 g/molを有する。
別の態様において、ポリ(エチレングリコール)は、平均分子量約400 g/molを有する。
別の態様において、ポリ(エチレングリコール)は、平均分子量約400 g/molを有し、グリセロールは有機溶媒であり、並びにポリ(エチレングリコール)及びグリセロールは、医薬組成物中に容量比約80:20で存在する。
【0074】
ひとつの態様において、医薬組成物は、ポリ(アクリル酸)、グリセロール、及びポリ(エチレングリコール)を含む。
別の態様において、医薬組成物は、架橋したポリ(アクリル酸)、グリセロール、及び平均分子量約400 g/molを有するポリ(エチレングリコール)を含む。
別の態様において、医薬組成物は、架橋したポリ(アクリル酸)約0.1〜約2重量%、グリセロール約5〜約30重量%、及び平均分子量約400g/molを有するポリ(エチレングリコール)約60〜約93重量%を含む。
別の態様において、医薬組成物は、架橋したポリ(アクリル酸)約0.1〜約1重量%、グリセロール約5〜約30重量%、及び平均分子量約400 g/molを有するポリ(エチレングリコール)約60〜約93重量%を含む。
別の態様において、医薬組成物は、架橋したポリ(アクリル酸)約0.5重量%、グリセロール約19〜約20重量%、及び平均分子量約400 g/molを有するポリ(エチレングリコール)約73〜約79重量%を含む。
【0075】
任意の医薬活性物質を、本発明の医薬組成物において使用することができる。しかし、この医薬活性物質は、1個よりも多いアミノ基を有さないことが好ましい。理論により結びつけられることを欲するものではないが、1個よりも多いアミノ基を有する医薬活性物質は、ポリ(アクリル酸)ポリマーとの追加の架橋を引き起こすことができ、望ましい適用にとって粘度が高すぎるゲルを生じると考えられる。
【0076】
本発明の医薬組成物は、医薬活性物質(複数)を、ポリ(エチレングリコール)、及び存在するならば第二の有機溶媒(典型的には、最終医薬組成物中の有機溶媒総量約90%が望ましい)へ単純に添加し、並びに得られる混合物を、医薬活性物質(複数)が溶解するまで攪拌することにより、調製することができる。1種又は複数の任意の添加剤成分を、同時に及び/又は連続して添加することができ、並びにこの混合物は、添加剤成分(複数)が溶解するまで攪拌される。その後ポリ(アクリル酸)ポリマーが添加され、引き続き追加の溶媒が添加され、医薬組成物中の所望の濃度の医薬活性物質(複数)を提供する。任意に溶媒は、ポリ(アクリル酸)ポリマーが添加される前に温度約40℃へ温められる。一旦全ての望ましい成分が添加されたならば、その後得られる溶液は、例えば約1〜約10分間ホモジナイズし、均質な医薬組成物を形成することができる。理論には結びつけるものではないが、より長いホモジナイズ時間及びより高いホモジナイズ速度は、低下した粘度を有する医薬組成物を生じると考えられる。ホモジナイズ後、組成物を、ゲルが形成されるまで、静置することができる。しかし当業者は、本発明の医薬組成物の調製に関する前述方法の修飾が可能であり、成分の溶媒(複数)への添加の順番を変更することができることを容易に認めるであろう。
【0077】
4.4 医薬活性物質
ひとつの態様において、医薬活性物質は、医薬活性物質の薬学的に許容される塩として存在する。
別の態様において、医薬活性物質は、両性イオンである。
別の態様において、医薬活性物質は、塩基性化合物である。
別の態様において、医薬活性物質は、酸性化合物である。
別の態様において、医薬活性物質は、中性化合物である。
【0078】
医薬組成物中の医薬活性物質の量は、典型的には医薬組成物の約0.01〜約5重量%の範囲である。
別の態様において、医薬組成物中の医薬活性物質の量は、医薬組成物の約0.05〜約5重量%の範囲である。
別の態様において、医薬組成物中の医薬活性物質の量は、医薬組成物の約0.1〜約3重量%の範囲である。
別の態様において、医薬組成物中の医薬活性物質の量は、医薬組成物の約0.3〜約2重量%の範囲である。
別の態様において、医薬組成物中の医薬活性物質の量は、医薬組成物の約0.5〜約4重量%の範囲である。
【0079】
ひとつの態様において、医薬組成物中の医薬活性物質の量は、医薬組成物の約1〜約5重量%である。
ひとつの態様において、医薬組成物中の医薬活性物質の量は、医薬組成物の約0.2〜約2.5重量%である。
別の態様において、医薬組成物中の医薬活性物質の量は、医薬組成物の約0.05〜約1.5重量%である。
別の態様において、医薬組成物中の医薬活性物質の量は、医薬組成物の約0.01〜約1重量%である。
【0080】
しかし当業者は、本発明の医薬組成物中の医薬活性物質の量は、医薬組成物中に存在する医薬活性物質及び任意の他の成分に応じ、非常に広範であることができることを認めるであろう。
【0081】
本発明の活性物質成分として有用な活性物質の例は、α-アドレナリン作用性アゴニスト、β-アドレナリン作用性アゴニスト、α-アドレナリン作用性遮断薬、β-アドレナリン作用性遮断薬、アルドース還元酵素インヒビター、同化作用剤、鎮痛薬(麻薬性及び非-麻薬性)、アンドロゲン、麻酔薬、食欲減退薬、駆虫薬(例えば、条虫、線虫、回旋糸状虫、住血吸虫など)、抗-アレルギー薬、抗-アメーバー薬(ameboics)、抗-アンドロゲン薬、抗-狭心症薬、抗-不整脈薬、動脈硬化症治療薬、関節炎治療薬、抗生物質及び他の抗菌薬、抗-コリン作用薬、抗-痙攣薬、抗-鬱薬、糖尿病治療薬、止瀉薬、抗-利尿薬、抗-エストロゲン薬、抗-真菌薬、抗-酵母薬、緑内障治療薬、抗-ゴナドトロピン薬、痛風治療薬、抗-ヒスタミン薬、高リポタンパク質血症治療薬、高血圧治療薬、甲状腺機能亢進症治療薬、抗-肥大薬、低血圧治療薬、甲状腺機能低下症治療薬、抗-炎症薬、抗-マラリア薬、抗-微生物薬、片頭痛薬、制吐薬、新生物治療薬、酸化防止薬、抗寄生虫薬、パーキンソン治療薬、褐色細胞腫治療薬、ニューモシティス治療薬、抗-増殖薬、原虫治療薬(例えば、リーシュマニア、トリコモナス、トリパノソーマなど)、止痒薬、乾癬治療薬、精神病治療薬、解熱薬、リウマチ治療薬、リケッチア治療薬、脂漏症治療薬、敗血症治療薬、鎮痙薬、血栓防止薬、鎮咳薬、潰瘍治療薬、泌尿結石治療薬、抗-毒素、抗-ウイルス薬、抗不安薬、ベンゾジアゼピンアンタゴニスト、気管支拡張薬、カルシウムチャネルブロッカー、カルシウムレギュレーター、強心薬、キレート薬、化学療法薬、コレシストキニンアンタゴニスト、胆石溶解薬、胆汁分泌促進薬、コリン作用薬、コリンエステラーゼインヒビター、コリンエステラーゼリアクチベーター、中枢神経系刺激因子及び薬、充血除去薬、利尿薬、ドパミン受容体アゴニスト、疼痛治療薬又は予防薬、外部寄生虫撲滅薬、酵素、酵素誘導剤、エストロゲン、胃液分泌抑制薬、糖質コルチコイド、性腺刺激因子(principles)、性腺刺激ホルモン、成長ホルモン、成長ホルモン放出因子、成長刺激因子、溶血素、ヘパリンアゴニスト、肝臓保護薬、睡眠薬、免疫ブースター、免疫変調薬、免疫抑制薬、乳汁分泌刺激ホルモン、LH-RH刺激アゴニスト、脂肪肝防止薬、紅斑狼瘡治療薬、鉱質コルチコイド、縮瞳薬、モノアミンオキシダーゼインヒビター、粘液溶解薬、筋弛緩薬、麻薬拮抗薬、神経保護薬、ネオトロピック(neotropics)、卵巣ホルモン、オキシトシン、ペプシンインヒビター、蠕動運動刺激薬、プロゲストゲン、プロラクチンインヒビター、プロスタグランジン、プロスタグランジンアナログ、プロテアーゼインヒビター、呼吸器刺激因子、硬化薬、鎮静薬、ステロイド、血栓溶解薬、甲状腺刺激ホルモン、経皮浸透増強剤、尿酸排泄薬、血管収縮薬、血管拡張薬(例えば、脳血管、冠状動脈、末梢血管など)、血管保護薬、ビタミン、ビタミン源抽出物質、外傷治療薬(本明細書に参照として組入れられている、米国特許第5,719,197号明細書に列記されたものを含むが、これらに限定されるものではない。)、並びにそれらの組合せを含むが、これらに限定されるものではない。他の追加の又は代わりの許容できる医薬活性物質は、例えば米国特許第6,221,383号明細書に認められ、その開示は全て本明細書に参照として組入れられている。
【0082】
ひとつの態様において、医薬活性物質は、抗菌薬を含む。
別の態様において、医薬活性物質は、抗真菌薬を含む。
別の態様において、医薬活性物質は、抗寄生虫薬を含む。
別の態様において、医薬活性物質は、抗-ウイルス薬を含む。
別の態様において、医薬活性物質は、抗-酵母薬を含む。
別の態様において、医薬活性物質は、ステロイドを含む。
別の態様において、医薬活性物質は、抗-炎症薬を含む。
【0083】
有用な抗菌薬の例は、β-ラクタム系抗生物質、例えばペニシリン、アモキシシリン、アンピシリン、及びセファロスポリンなど;マクロライド系抗生物質、例えばオレアンドマイシン及びエリスロマイシンなど;テトラサイクリン系、例えばテトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、及びクロロテトラサイクリンなど;プロカインペニシリンG;キノロン系、例えば、エンロフロキサシン、ナリジクス酸及びノルフロキサシンなど;スルホンアミド;クロラムフェニコール;フロルフェニコール;サイアムフェニコール、アミノグリコシド、例えばトブラマイシン、ストレプトマイシン、カナマイシン、及びゲンタマイシンなど;ヌクレオシド抗生物質、例えばポリオキシンB;アクチノロジン;バシトラシン;カンジシジンA;セフチオフォール;クリンダマイシン;シクロヘキシミド;シクロセリン;フォスフォマイシン;グリセオフルビン;メトロニダゾール;モネンシン;ノボビオシン;リファンピン;ストレプトスリシン;テトラナクチン;チルミコシン;タイロシン;アクチノマイシンD;アドリアマイシン;ブレオマイシンB2;糖脂質、例えばモエノマイシンA;ミトマイシンC;ノジリマイシン;バリノマイシン;及び、バンコマイシンを含むが、これらに限定されるものではない(例えば、Bradford P. Smith, 「Large Animal Internal Medicine」、第2版、Mosby, セントルイス, 1996, p. 644、及びS. Birchard and R. Sherding, 「Saunders Manual of Small Animal Practice」、W.B. Saunders Company, フィラデルフィア, 1994, p. 739を参照のこと)。
【0084】
有用な抗真菌薬の例は、アンホテリシンB、クロトリマゾール、ケトコナゾール、ミコナゾール、5-フルオロシトシン、エニルコナゾール、イトラコナゾール、チアベンダゾール、及びヨウ素を含むが、これらに限定されるものではない(例えば、Bradford P. Smith,「Large Animal Internal Medicine」、第2版、Mosby, セントルイス, 1996, p. 576、及びS. Birchard and R. Sherding、「Saunders Manual of Small Animal Practice」、W.B. Saunders Company, フィラデルフィア, 1994, p. 576参照)。
【0085】
有用な抗-ウイルス薬の例は、インターフェロンを含むが、これらに限定されるものではない(例えば、Bradford P. Smith,「Large Animal Internal Medicine」, 第2版、Mosby, セントルイス, 1996, p. 646を参照のこと)。
【0086】
有用な抗-酵母薬の例は、アミノグリコシド、例えばトブラマイシン、ストレプトマイシン、カナマイシン、及びゲンタマイシンを含むが、これらに限定されるものではない。
【0087】
有用な抗寄生虫薬の例は、ニタゾキサニド(NTA);ベンズイミダゾール、例えばチアベンダゾール、フェンベンダゾール、メベンダゾール、オキソフェンダゾール、オキシベンダゾール、アルベンダゾール、パルベンダゾール、及びフェバンテルなど;テトラヒドロピリジン、例えば酒石酸モランテル/パモ酸ピランテル;レバミソル、有機リン酸、例えばハロキソン、クマホス、トリクロロホン、及びジクロロホス;ピペラジン塩;イベルメクチン;及び、フェノチアジンを含むが、これらに限定されるものではない(例えば、Bradford P. Smith,「Large Animal Internal Medicine」, 第2版、Mosby, セントルイス, 1996, p. 1688を参照のこと)。
【0088】
有用な抗-炎症薬の例は、ステロイド、例えばベタメサゾン;コルチコステロイド、例えばデキサメタゾン;抗-ヒスタミン;及び、非-ステロイド系抗炎症薬、例えばジクロフェナク、アスピリン、フルニキシンメグルミン、フェニルブタゾン、及びイブプロフェンを含むが、これらに限定されるものではない(例えば、Bradford P. Smith, Large Animal Internal Medicine, 第2版、Mosby, セントルイス, 1996, p. 645を参照のこと)。
【0089】
ひとつの態様において、単独の医薬組成物中に複数の医薬活性物質が存在することができる。
別の態様において、医薬活性物質は、抗菌薬、抗真菌薬及びステロイドの組合せを含む。
これらの医薬活性物質の有効量は、当業者に公知である。各医薬活性物質の適切な有効量の範囲の決定は、十分に当業者の技術範囲内である。
【0090】
複数の医薬活性物質が動物へ投与される本発明のひとつの態様において、各医薬活性物質の有効量は、他の医薬活性物質(複数)が投与されない場合のその有効量より少ない。この場合、理論に結びつけられるものではないが、複数の医薬活性物質は、症状(例えば細菌感染症)を治療又は予防するために、相乗的に作用すると考えられる。
【0091】
ひとつの態様において、医薬活性物質は、トブラマイシンを含む。
別の態様において、医薬活性物質は、デカン酸トブラマイシンの脂肪酸塩を含む。
別の態様において、医薬活性物質は、オレイン酸トブラマイシンの脂肪酸塩を含む。
別の態様において、医薬活性物質は、酢酸トブラマイシン塩を含む。
【0092】
別の態様において、医薬活性物質は、テルビナフィンを含む。
別の態様において、医薬活性物質は、デカン酸テルビナフィンの脂肪酸塩を含む。
別の態様において、医薬活性物質は、オレイン酸テルビナフィンの脂肪酸塩を含む。
別の態様において、医薬活性物質は、酢酸テルビナフィン塩を含む。
【0093】
別の態様において、医薬活性物質は、ベタメサゾンを含む。
別の態様において、医薬活性物質は、酢酸ベタメサゾンを含む。
別の態様において、医薬活性物質は、フロルフェニコールを含む。
別の態様において、医薬活性物質は、サイアムフェニコールを含む。
別の態様において、医薬活性物質は、クロラムフェニコールを含む。
別の態様において、医薬活性物質は、ゲンタマイシンを含む。
別の態様において、医薬活性物質は、クロトリマゾールを含む。
【0094】
別の態様において、医薬活性物質は、チルミコシンを含む。
別の態様において、医薬活性物質は、テトラサイクリン化合物を含む。
別の態様において、医薬活性物質は、ケトコナゾールを含む。
別の態様において、医薬活性物質は、ジクロフェナックを含む。
別の態様において、医薬活性物質は、フルニキシンを含む。
別の態様において、医薬活性物質は、カルプロフェンを含む。
別の態様において、医薬活性物質は、セファロスポリンを含む。
【0095】
別の態様において、医薬活性物質は、トブラマイシン又はその薬学的に許容される塩、テルビナフィン又はその薬学的に許容される塩、及びベタメサゾン又はその薬学的に許容されるエステルの組合せを含む。
【0096】
別の態様において、医薬活性物質は、デカン酸トブラマイシンの脂肪酸塩、デカン酸テルビナフィンの脂肪酸塩、及びベタメサゾン又はその薬学的に許容されるエステルの組合せを含む。
【0097】
別の態様において、医薬活性物質は、デカン酸トブラマイシンの脂肪酸塩約0.5〜約3重量%、デカン酸テルビナフィンの脂肪酸塩約0.5〜約3重量%、及びベタメサゾン又はその薬学的に許容されるエステル約0.01〜約0.5重量%を含む。
【0098】
別の態様において、医薬活性物質は、デカン酸トブラマイシンの脂肪酸塩約1重量%、デカン酸テルビナフィンの脂肪酸塩約1重量%、及びベタメサゾン又はその薬学的に許容されるエステル約0.1重量%を含む。
【0099】
別の態様において、医薬活性物質は、フロルフェニコール又はその薬学的に許容されるエステル、テルビナフィン又はその薬学的に許容される塩、及びベタメサゾン又はその薬学的に許容されるエステルの組合せを含む。
【0100】
別の態様において、医薬活性物質は、フロルフェニコール又はその薬学的に許容されるエステル、オレイン酸テルビナフィンの脂肪酸塩、及びベタメサゾン又はその薬学的に許容されるエステルの組合せを含む。
【0101】
別の態様において、医薬活性物質は、フロルフェニコール又はその薬学的に許容されるエステル約0.5〜約3重量%、オレイン酸テルビナフィンの脂肪酸塩約0.5〜約3重量%、及びベタメサゾン又はその薬学的に許容されるエステル約0.01〜約0.5重量%を含む。
【0102】
別の態様において、医薬活性物質は、フロルフェニコール又はその薬学的に許容されるエステル約1重量%、オレイン酸テルビナフィンの脂肪酸塩約1重量%、及びベタメサゾン又はその薬学的に許容されるエステル約0.1重量%を含む。
【0103】
別の態様において、医薬活性物質は、ゲンタマイシン又はその薬学的に許容される塩、クロトリマゾール又はその薬学的に許容される塩、及びベタメサゾン又はその薬学的に許容されるエステルを含む。
【0104】
別の態様において、医薬活性物質は、ゲンタマイシン又はその薬学的に許容される塩約0.5〜約3重量%、クロトリマゾール又はその薬学的に許容される塩約0.5〜約3重量%、及びベタメサゾン又はその薬学的に許容されるエステル約0.01〜約0.5重量%を含む。
【0105】
別の態様において、医薬活性物質は、ゲンタマイシン又はその薬学的に許容される塩約1重量%、クロトリマゾール又はその薬学的に許容される塩約1重量%、及びベタメサゾン又はその薬学的に許容されるエステル約0.1重量%を含む。
【0106】
ひとつの態様において、医薬活性物質は、アミン部分を有し、これはアミン部分を、その対イオンが脂肪酸部分であるアンモニウムカチオンに転換することにより、本発明の医薬組成物中で脂肪酸塩(「FAS」)として存在し、その例は国際公開公報第03/034988 A2号に開示されており、その開示全体は本明細書に参照として組入れられている。
【0107】
理論に結びつけられるものではないが、医薬活性物質のFASは、医薬活性物質の追加の持続された-又は制御された-放出を提供すると考えられる(時間の関数としての、より一定の血中レベルに反映される)。理論により結びつけられることを欲するものではないが、医薬活性物質のFASを使用した場合に得られた医薬活性物質の追加の持続された-又は制御された-放出は、医薬活性物質のFASは、医薬活性物質それ自身、又は医薬活性物質の他の非-脂肪酸塩よりも水中への溶解度が低く、従って動物によりより緩徐に吸収されることが理由であると考えられる。
【0108】
4.5 任意の医薬組成物添加剤
本発明の医薬組成物は、微生物増殖に対する更なる保護を提供するために、望ましいならば任意に適量の薬学的に許容される保存剤を含有することができる。
【0109】
本発明の医薬組成物において有用な保存剤の例は、ソルビン酸カリウム、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸及びその塩、パラヒドロキシ安息香酸の他のエステル、例えばブチルパラベン、アルコール、例えばエチルアルコール又はベンジルアルコール、フェノール化合物、例えばフェノール、又は第4級化合物、例えば塩化ベンザルコニウム(例えば塩化ベンゼトニウム)を含むが、これらに限定されるものではない。
【0110】
ひとつの態様において、本発明の医薬組成物へ添加される任意の追加成分は、動物による使用又は消費のために、FDAによりGRAS(「一般に安全と認める物質」)として指定されている。
別の態様において、本発明の医薬組成物へ添加される任意の追加成分は、ヒトによる使用又は消費のために、FDAによりGRAS(「一般に安全と認める物質」)として指定されている。
ひとつの態様において、本発明の医薬組成物へ添加される任意の追加成分は、動物へ投与される場合に無菌である。
【0111】
4.6 医薬組成物
ひとつの態様において、医薬組成物は、約25℃で約1,000cpsより大きい粘度を有する。
別の態様において、医薬組成物は、約25℃で約2,000cpsより大きい粘度を有する。
別の態様において、医薬組成物は、約25℃で約5,000cpsより大きい粘度を有する。
別の態様において、医薬組成物は、約25℃で約10,000cpsより大きい粘度を有する。
別の態様において、医薬組成物は、約25℃で約15,000cpsより大きい粘度を有する。
別の態様において、医薬組成物は、約25℃で約20,000cpsより大きい粘度を有する。
別の態様において、医薬組成物は、約25℃で約25,000cpsより大きい粘度を有する。
【0112】
典型的には、医薬組成物は、約25℃で約100,000cps未満の粘度を有する。
ひとつの態様において、医薬組成物は、約25℃で約75,000cps未満の粘度を有する。
別の態様において、医薬組成物は、約25℃で約1,000cps〜約100,000cpsの範囲の粘度を有する。
別の態様において、医薬組成物は、約25℃で約2,000cps〜約100,000cpsの範囲の粘度を有する。
別の態様において、医薬組成物は、約25℃で約5,000cps〜約100,000cpsの範囲の粘度を有する。
別の態様において、医薬組成物は、約25℃で約10,000cps〜約100,000cpsの範囲の粘度を有する。
【0113】
別の態様において、医薬組成物は、約25℃で約20,000cps〜約100,000cpsの範囲の粘度を有する。
別の態様において、医薬組成物は、約25℃で約25,000cps〜約100,000cpsの範囲の粘度を有する。
別の態様において、医薬組成物は、約25℃で約2,000cps〜約75,000cpsの範囲の粘度を有する。
別の態様において、医薬組成物は、約25℃で約5,000cps〜約75,000cpsの範囲の粘度を有する。
別の態様において、医薬組成物は、約25℃で約10,000cps〜約75,000cpsの範囲の粘度を有する。
別の態様において、医薬組成物は、約25℃で約20,000cps〜約75,000cpsの範囲の粘度を有する。
【0114】
別の態様において、医薬組成物は、約25℃で約25,000cps〜約75,000cpsの範囲の粘度を有する。
別の態様において、医薬組成物は、約25℃で約1,000cps〜約25,000cpsの範囲の粘度を有する。
別の態様において、医薬組成物は、約25℃で約2,000cps〜約25,000cpsの範囲の粘度を有する。
別の態様において、医薬組成物は、約25℃で約5,000cps〜約25,000cpsの範囲の粘度を有する。
別の態様において、医薬組成物は、約25℃で約2,000cps〜約18,000cpsの範囲の粘度を有する。
別の態様において、医薬組成物は、約25℃で約5,000cps〜約18,000cpsの範囲の粘度を有する。
粘度は、Brookfield DV-E粘度計(Brookfield of Middleboro, MAから市販されている)を使用し測定した。
【0115】
ひとつの態様において、医薬組成物は、実質的に水非含有である。実質的に水非含有の医薬組成物は、細菌増殖を行わないので、これらは利点がある。従って、これは典型的には、実質的に水非含有である医薬組成物中に保存剤を含むことは不要である。しかし一部の態様において、非-水性医薬組成物は保存剤を含有する。
【0116】
ひとつの態様において、医薬組成物は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、グリセロール、局方グリセロール、トブラマイシン又はその薬学的に許容される塩、テルビナフィン又はその薬学的に許容される塩、及びベタメサゾン又はその薬学的に許容されるエステルを含む。
【0117】
別の態様において、この医薬組成物は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、グリセロール、局方グリセロール、デカン酸トブラマイシンの脂肪酸塩、デカン酸テルビナフィンの脂肪酸塩、及びベタメサゾン又はその薬学的に許容されるエステルを含む。
【0118】
別の態様において、この医薬組成物は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース約0.2〜約7重量%、グリセロール約3〜約20重量%、局方グリセロール約65〜約86重量%、デカン酸トブラマイシンの脂肪酸塩約0.5〜約3重量%、デカン酸テルビナフィンの脂肪酸塩約0.5〜約3重量%、及びベタメサゾン又はその薬学的に許容されるエステル約0.01〜約0.5重量%を含む。
【0119】
別の態様において、この医薬組成物は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース約4重量%、グリセロール約9〜約10重量%、局方グリセロール約78〜約85重量%、デカン酸トブラマイシンの脂肪酸塩約1重量%、デカン酸テルビナフィンの脂肪酸塩約1重量%、及びベタメサゾン又はその薬学的に許容されるエステル約0.1重量%を含む。
【0120】
別の態様において、この医薬組成物は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、グリセロール、局方グリセロール、トブラマイシン又はその薬学的に許容される塩、テルビナフィン又はその薬学的に許容される塩、ベタメサゾン又はその薬学的に許容される塩、及び塩化ベンゼトニウムを含む。
【0121】
別の態様において、この医薬組成物は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、グリセロール、局方グリセロール、デカン酸トブラマイシンの脂肪酸塩、デカン酸テルビナフィンの脂肪酸塩、ベタメサゾン又はその薬学的に許容されるエステル、及び塩化ベンゼトニウムを含む。
【0122】
別の態様において、この医薬組成物は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース約0.2〜約7重量%、グリセロール約3〜約20重量%、局方グリセロール約65〜約86重量%、デカン酸トブラマイシンの脂肪酸塩約0.5〜約3重量%、デカン酸テルビナフィンの脂肪酸塩約0.5〜約3重量%、ベタメサゾン又はその薬学的に許容されるエステル約0.01〜約0.5重量%、及び塩化ベンゼトニウム約0.005〜約0.1重量%を含む。
【0123】
別の態様において、この医薬組成物は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース約4重量%、グリセロール約9〜約10重量%、局方グリセロール約78〜約85重量%、デカン酸トブラマイシンの脂肪酸塩約1重量%、デカン酸テルビナフィンの脂肪酸塩約1重量%、ベタメサゾン又はその薬学的に許容されるエステル約0.1重量%、及び塩化ベンゼトニウム約0.02重量%を含む。
【0124】
ひとつの態様において、この医薬組成物は、ポリ(アクリル酸)、グリセロール、ポリ(エチレングリコール)、フロルフェニコール又はその薬学的に許容されるエステル、テルビナフィン又はその薬学的に許容される塩、及びベタメサゾン又はその薬学的に許容されるエステルを含む。
【0125】
別の態様において、この医薬組成物は、架橋したポリ(アクリル酸)、グリセロール、平均分子量約400g/molを有するポリ(エチレングリコール)、フロルフェニコール又はその薬学的に許容されるエステル、オレイン酸テルビナフィンの脂肪酸塩、及びベタメサゾン又はその薬学的に許容されるエステルを含む。
【0126】
別の態様において、この医薬組成物は、架橋したポリ(アクリル酸)約0.1〜約5重量%、グリセロール約5〜約30重量%、平均分子量約400g/molを有するポリ(エチレングリコール)約60〜約93重量%、フロルフェニコール又はその薬学的に許容されるエステル約0.5〜約3重量%、オレイン酸テルビナフィンの脂肪酸塩約0.5〜約3重量%、及びベタメサゾン又はその薬学的に許容されるエステル約0.01〜約0.5重量%を含む。
【0127】
別の態様において、この医薬組成物は、架橋したポリ(アクリル酸)約0.5重量%、グリセロール約19〜約20重量%、平均分子量約400g/molを有するポリ(エチレングリコール)約73〜約79重量%、フロルフェニコール又はその薬学的に許容されるエステル約1重量%、オレイン酸テルビナフィンの脂肪酸塩約1重量%、及びベタメサゾン又はその薬学的に許容されるエステル約0.1重量%を含む。
【0128】
ひとつの態様において、この医薬組成物は、ポリ(アクリル酸)、グリセロール、ポリ(エチレングリコール)、フロルフェニコール又はその薬学的に許容されるエステル、テルビナフィン又はその薬学的に許容される塩、ベタメサゾン又はその薬学的に許容されるエステル、及び塩化ベンゼトニウムを含む。
【0129】
別の態様において、この医薬組成物は、架橋したポリ(アクリル酸)、グリセロール、平均分子量約400g/molを有するポリ(エチレングリコール)、フロルフェニコール又はその薬学的に許容されるエステル、オレイン酸テルビナフィンの脂肪酸塩、ベタメサゾン又はその薬学的に許容されるエステル、及び塩化ベンゼトニウムを含む。
【0130】
別の態様において、この医薬組成物は、架橋したポリ(アクリル酸)約0.1〜約5重量%、グリセロール約5〜約30重量%、平均分子量約400g/molを有するポリ(エチレングリコール)約60〜約93重量%、フロルフェニコール又はその薬学的に許容されるエステル約0.5〜約3重量%、オレイン酸テルビナフィンの脂肪酸塩約0.5〜約3重量%、ベタメサゾン又はその薬学的に許容されるエステル約0.01〜約0.5重量%、及び塩化ベンゼトニウム約0.005〜約0.1重量%を含む。
【0131】
別の態様において、この医薬組成物は、架橋したポリ(アクリル酸)約0.5重量%、グリセロール約19〜約20重量%、平均分子量約400g/molを有するポリ(エチレングリコール)約73〜約79重量%、フロルフェニコール又はその薬学的に許容されるエステル約1重量%、オレイン酸テルビナフィンの脂肪酸塩約1重量%、ベタメサゾン又はその薬学的に許容されるエステル約0.1重量%、及び塩化ベンゼトニウム約0.02重量%を含む。
【0132】
ひとつの態様において、この医薬組成物は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、グリセロール、局方グリセロール、ゲンタマイシン又はその薬学的に許容される塩、クロトリマゾール又はその薬学的に許容される塩、及びベタメサゾン又はその薬学的に許容されるエステルを含む。
【0133】
別の態様において、この医薬組成物は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、グリセロール、局方グリセロール、デカン酸ゲンタマイシンの脂肪酸塩、デカン酸クロトリマゾールの脂肪酸塩、及びベタメサゾン又はその薬学的に許容されるエステルを含む。
【0134】
別の態様において、この医薬組成物は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース約0.2〜約7重量%、グリセロール約3〜約20重量%、局方グリセロール約65〜約86重量%、デカン酸ゲンタマイシンの脂肪酸塩約0.5〜約3重量%、デカン酸クロトリマゾールの脂肪酸塩約0.5〜約3重量%、及びベタメサゾン又はその薬学的に許容されるエステル約0.01〜約0.5重量%を含む。
【0135】
別の態様において、この医薬組成物は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース約4重量%、グリセロール約9〜約10重量%、局方グリセロール約78〜約85重量%、デカン酸ゲンタマイシンの脂肪酸塩約1重量%、デカン酸クロトリマゾールの脂肪酸塩約1重量%、及びベタメサゾン又はその薬学的に許容されるエステル約0.1重量%を含む。
【0136】
別の態様において、この医薬組成物は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、グリセロール、局方グリセロール、ゲンタマイシン又はその薬学的に許容される塩、クロトリマゾール又はその薬学的に許容される塩、ベタメサゾン又はその薬学的に許容される塩、及び塩化ベンゼトニウムを含む。
【0137】
別の態様において、この医薬組成物は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、グリセロール、局方グリセロール、デカン酸ゲンタマイシンの脂肪酸塩、デカン酸クロトリマゾールの脂肪酸塩、ベタメサゾン又はその薬学的に許容されるエステル、及び塩化ベンゼトニウムを含む。
【0138】
別の態様において、この医薬組成物は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース約0.2〜約7重量%、グリセロール約3〜約20重量%、局方グリセロール約65〜約86重量%、デカン酸ゲンタマイシンの脂肪酸塩約0.5〜約3重量%、デカン酸クロトリマゾールの脂肪酸塩約0.5〜約3重量%、ベタメサゾン又はその薬学的に許容されるエステル約0.01〜約0.5重量%、及び塩化ベンゼトニウム約0.005〜約0.1重量%を含む。
【0139】
別の態様において、この医薬組成物は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース約4重量%、グリセロール約9〜約10重量%、局方グリセロール約78〜約85重量%、デカン酸ゲンタマイシンの脂肪酸塩約1重量%、デカン酸クロトリマゾールの脂肪酸塩約1重量%、ベタメサゾン又はその薬学的に許容されるエステル約0.1重量%、及び塩化ベンゼトニウム約0.02重量%を含む。
【0140】
4.7動物における症状の治療又は予防法
ひとつの態様において、動物の症状を治療又は予防する方法は、本発明の医薬組成物を耳内適用することにより、医薬活性物質の治療上有効量をそれが必要な動物へ投与することを含む。
ひとつの態様において、動物の症状を治療又は予防する方法は、本発明の医薬組成物を眼内適用することにより、医薬活性物質の治療上有効量をそれが必要な動物へ投与することを含む。
ひとつの態様において、動物の症状を治療又は予防する方法は、本発明の医薬組成物を外用適用することにより、医薬活性物質の治療上有効量をそれが必要な動物へ投与することを含む。
【0141】
本発明の医薬組成物は、経口的に投与することもできる。この医薬組成物を経口的に投与するためには、医薬組成物は、例えば、硬ゼラチンカプセル又は軟ゼラチンカプセルのようなカプセル内に封入し、及びこのカプセルを動物へ経口投与することができる。本発明における使用に適したカプセルは、Shionogi Qualicaps (Shionogi & Co., Ltd。大阪、日本から市販されている)である。経口剤形は消化され、胃内で医薬としての活性化合物を迅速に又はほぼ迅速に放出するか、又は胃内において医薬としての活性化合物の持続された-放出を提供する。経口剤形は同じく、消化され、小腸内で医薬としての活性化合物を迅速に又はほぼ迅速に放出するか、又は小腸内において医薬としての活性化合物の持続された-放出を提供する。剤形が小腸に到達するまで、医薬として活性のある化合物の放出を遅延するために、カプセルは、腸溶性コーティングでコートされる。典型的には腸溶性コーティングは、例えばEudragit(登録商標)L-100 (DeGussa AG、フランクフルト、独国より市販)などの、pH感受性ポリマーである。医薬として活性のある化合物の放出速度は、例えば医薬組成物中のポリマーの量、ポリマー架橋度、及び医薬組成物中の溶媒により変動される。
【0142】
本発明の医薬組成物は、粘性の組成物である。薬物を含有する粘性の組成物は、動物の症状の治療又は予防に関して粘性の少ない(希薄な)液体製剤に勝る利点を有する。特に獣医用途における、例えば、外用適用、耳内適用、及び眼内適用に関して、希薄な液体製剤は、より粘性(濃厚な)である製剤よりも、送達の標的領域から容易に洗浄又は一掃される。特に非-ヒト動物における、微生物感染症などの症状の治療に関して、より濃厚な医薬組成物の利点は、より長い期間標的領域に、抗生物質のような、医薬活性物質を維持することを含む。
【0143】
本発明の医薬組成物は、特に耳内適用のための、獣医薬において、特に有用である。例えば、ネコ及びイヌなどの小型動物の耳内微生物感染症を治療又は予防する場合、この医薬組成物は典型的には、片方の耳に約0.5 mLの量で投与される。しかし、より大型動物には、より多い量を投与することができる。
【0144】
本発明の医薬組成物は、市販の医薬組成物と比べ、特に耳内適用のための獣医薬において利点がある。例えば、市販の医薬組成物を使用し動物の耳内微生物感染症を治療又は予防する場合、その動物は、典型的には頭を振り、この組成物を標的感染領域(及び時には耳全体から)から振り落とす。このことは、市販の抗生物質組成物は比較的低い粘度を有するので、市販の抗生物質組成物により容易に生じる。しかしより高い粘度を有する本発明の医薬組成物は、そのように容易には振り落とされず、その結果これらは医薬活性物質の標的感染領域への送達をより効果的にし、感染領域に延長された期間残存させ、医薬活性物質の制御された-又は持続された-放出を提供する。
【0145】
有利なことに、本発明の医薬組成物は、市販の医薬組成物よりも少ない頻度の適用を必要とする。時には本発明の医薬組成物のわずかに2回投与量又は単回投与量で、動物の耳内微生物感染症の治療又は予防に効果がある。対照的に、市販の医薬組成物は、典型的には、より多い回数の投与量が必要である。例えば、OTOMAX(登録商標)(Schering-Plough Animal Health of Union, NJから販売)は、7日間にあたり1日2回の投与量を必要とする。
【0146】
更に本発明の医薬組成物は、典型的には水性又は半-水性製剤よりもより親油性である。理論に結びつけられるものではないが、本発明の医薬組成物は、動物の耳の高度に親油性環境とより適合性があるので、本発明の医薬組成物の増加した親油性は、特に動物の耳感染症の治療又は予防に関して、これらを水性又は半-水性製剤よりもより効果的にすると考えられる。
【0147】
本発明の医薬組成物は、皮膚へ良好に接着し、従って外用適用にも有用である。
本発明の医薬組成物は、最大約15日間及び更にはそれよりも長く、有効量の医薬活性物質の制御された-又は持続された-放出を提供することができる。
ひとつの態様において、本発明の医薬組成物は、少なくとも約4〜約15日間、医薬として有効量の医薬活性物質の制御された-又は持続された-放出を提供することができる。
【0148】
別の態様において、本発明の医薬組成物は、少なくとも約4〜約10日間、医薬として有効量の医薬活性物質の制御された-又は持続された-放出を提供することができる。
別の態様において、本発明の医薬組成物は、少なくとも約1週間、医薬として有効量の医薬活性物質の制御された-又は持続された-放出を提供することができる。
【0149】
ひとつの態様において、動物は、非-ヒト動物である。
別の態様において、動物は、ヒトである。
別の態様において、動物は、ネコである。
別の態様において、動物は、イヌである。
別の態様において、動物は、ウシである。
別の態様において、動物は、ブタである。
別の態様において、動物は、ヒツジである。
別の態様において、動物は、ウマである。
【0150】
好ましい態様において、本発明の医薬組成物は、医薬活性物質の制御された-又は持続された-放出を提供することにより、特にネコ及びイヌのような小型動物における、毒性を低下する。従って本発明の医薬組成物は、従来の速放性製剤よりもより良い治療プロファイルを有する。医薬活性物質を動物へ、本発明の医薬組成物の外用、耳内又は眼内適用により投与することに関連する方法は、(現在入手可能な剤形で投与される場合)毒性を生じる可能性があり、治療される動物が死亡することさえあるような医薬活性物質が動物へ投与されることを可能にする。有利なことに医薬活性物質の制御された-又は持続された-放出を提供することにより、本発明の医薬組成物は、より少ない頻度で投与することができ、従って医薬活性物質を投与する従来の様式よりも、投与がより容易で、より簡便で、及びより費用効果が大きい。
【0151】
例えば細菌感染症などの症状の治療又は予防に有効である医薬活性物質(複数)の量は、標準の臨床技術により決定することができる。加えてin vitro又はin vivoアッセイを、適量範囲の設定を補助するために、任意に使用することができる。正確な投与量は、投与経路、症状の重篤性、及び治療される動物に応じても変動し、並びに獣医師の判断及び/又は各動物の状況で決定することができる。しかしながら、好適な有効量は典型的には、約0.1 mg/kg体重〜約100 mg/kg体重、好ましくは約1 mg/kg体重〜約50 mg/kg体重、より好ましくは約2 mg/kg体重〜約30 mg/kg体重、例えば約5mg/kg体重〜約100 mg/kg体重の範囲である。本明細書に説明された有効用量は、投与される全医薬活性物質の総量を意味し;すなわち、1回よりも多く医薬活性物質が投与される場合、有効用量は、投与される総量に対応する。
【0152】
典型的には、外用組成物は、その症状がおさまるまで、約1日1回から約1週間に1回までで適用される。
ひとつの態様において、外用組成物は、その症状がおさまるまで、1日1回適用される。
別の態様において、外用組成物は、その症状がおさまるまで、毎週1回適用される。
別の態様において、外用適用は、約4週間適用される。
別の態様において、外用適用は、約3週間適用される。
別の態様において、外用適用は、約2週間適用される。
別の態様において、外用適用は、約1週間適用される。
【0153】
ひとつの態様において、有効用量は、その症状がおさまるまで、約7日毎に投与される。
別の態様において、有効用量は、約4週間にわたり約7日毎に投与される。
別の態様において、有効用量は、約2週間にわたり約7日毎に投与される。
別の態様において、単回有効用量が投与される。
別の態様において、2回有効用量が、約24時間間をあけて投与される。
別の態様において、2回有効用量が、約48時間間をあけて投与される。
【0154】
別の態様において、有効用量は、その症状がおさまるまで、約24時間毎に投与される。
別の態様において、有効用量は、その症状がおさまるまで、約12時間毎に投与される。
別の態様において、有効用量は、約4週間、約24時間毎に投与される。
別の態様において、有効用量は、約4週間、約12時間毎に投与される。
別の態様において、有効用量は、約2週間、約24時間毎に投与される。
別の態様において、有効用量は、約2週間、約12時間毎に投与される。
別の態様において、有効用量は、約1週間、約24時間毎に投与される。
別の態様において、有効用量は、約1週間、約12時間毎に投与される。
別の態様において、有効用量は、約2週間、約7日毎に投与される。
【0155】
別の態様において、有効用量は、その症状がおさまるまで、毎日投与される。総投与量は、任意に一日量及び/又は約2〜約4回の個別投与量に分割することができる。
【0156】
ひとつの態様において、症状は細菌感染症である。
本発明の医薬組成物を用いて治療することができる代表的細菌感染症は、パスツレラ、ヘモフィルス、フソバクテリウム、モラクセラ、バクテロイデス、エロモナス、エシェリヒア、エンテロバクター、クレブシエラ、サルモネラ、シゲラ、セラチア、ウレアプラスマ、クラミジア、アクチノバシラス、ストレプトコッカス、エドワードシエラ、スタヒロコッカス、エンテロコッカス、ボルデテラ、プロテウス、マイコプラズマ、又はマンハイミア属の細菌により引き起こされた細菌感染症を含むが、これらに限定されるものではない。
【0157】
本発明の医薬活性物質を用いて治療することができる代表的細菌感染症は、パスツレラ・ヘモリチカ(Pasturella haemolytica)、パスツレラ・マルトサイダ(Pasturella multocida)、ヘモフィリス・ソムナス(Haemophilus somnus)、アクチノバシラス・プルニューモニエ(Actinobacillus pleuropneumoniae)、アクチノマイセス・ピオゲネス(Actinomyces pyogenes)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、肺炎桿(Klebsiella Pneumonia)、エシェリヒア・フェカリス(Escherichia Faecalis)、大腸菌(Escherichia Coli)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus Aureaus)、化膿連鎖球菌(Streptococcus Pyogenes)、枯草菌(Bacillus Subtilis)、ストレプトコッカス(Streptococcus spp.)、スタフィロコッカス(Staphylococcus spp.)、モラクセラ(Moraxella spp.)、サルモネラ(Salmonella spp.)、バクテロイデス(Bacteroides spp.)、ペプトコッカス・インドリカス(Peptococcus indolicus)、フソバクテリウム(Fusobacterium spp.)、マイコプラズマ・ボビス(Mycoplasma bovis)、マイコプラズマ・ディスパル(Mycoplasma dispar)、ウレアプラズマ(Ureaplasma spp.)、クラミジア(Chlamydia spp.)、マイコプラズマ・ミコイデス(Mycoplasma mycoides)、マイコプラズマ・オビニューモニア(Mycoplasma ovipneumonia)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、クレブシエラ・サルモネラ(Klebsiella salmonella)、赤痢菌(Shigella)、プロテウス・エンテロバクター(Proteus Enterobacter)、セラチア菌(Serratia)、及び気管支敗血症菌(Bordetella bronchos eptica)により引き起こされた細菌感染症を含むが、これらに限定されるものではない。
【0158】
理論に結びつけるものではないが、医薬活性物質(複数)を取り巻くか又は封入している非-水性ゲルの存在は、水性ゲル(そこでは最大負荷は、水性医薬組成物の約0.3重量%であると考えられる)においてか、もしくはリポソーム型製剤(そこでは最大負荷は、リポソーム-含有組成物の約1重量%であると考えられる)を介して得られるものよりもより高度の負荷を可能にすると考えられる。実際、均等に分散された医薬活性物質を含有する医薬組成物は、これを少なくとも本発明の医薬組成物の約5重量%程含むように製剤される。
【0159】
4.8 キット
本発明は、医薬活性物質の動物への投与を簡便化することができるキットを包含している。典型的本発明のキットは、本発明の医薬組成物の単位剤形を含む。ひとつの態様において、単位剤形は、本発明の医薬組成物を含有する、有利なことに滅菌することができる、容器(バイアル、パウチ、チューブ、シリンジなど)である。このキットは更に、症状を治療又は予防するための医薬活性物質の使用を指示するラベル又は印刷された使用説明書を備えることができる。別の態様において、キットは、本発明の医薬組成物の単位剤形、及び医薬組成物を投与するための点滴器、シリンジ又は他のアプリケーターを含む。典型的には、キットの構成要素、例えば単位剤形及び使用説明書は、適当な包装材中に含まれる。
【実施例】
【0160】
5. 実施例
下記実施例は、本発明の理解を助けるために示されており、本明細書において説明及び請求された発明を特に限定するものとして構築されるものではない。当業者の範囲内である現在公知又は後に開発されるあらゆる同等物との置換を含む、そのような本発明の変動、並びに製剤の変更又は実験デザインの小さい変更は、本明細書に組入れられている本発明の範囲内であると考えられる。
【0161】
実施例5.1:本発明のポリマー-溶媒医薬組成物
グリセロール約63 g及び安定化した局方グリセロール約523.3 gの混合物を、空のフラスコに入れた。得られた混合物に、トブラマイシン約5 g、テルビナフィン約5 g、デカン酸約12.7 g、酢酸ベタメサゾン約0.5 g、及び保存剤塩化ベンゼトニウム約0.1 gを、攪拌しながら添加した。得られる溶液を、約40℃で攪拌し、透明な溶液を提供した。次にHPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)約20 gを透明な溶液へ添加し、得られる溶液を、Omni International モデルGLH ホモジナイザー(Omni International of Marietta, GAより販売)で約3分間、約3000 rpmでホモジナイズした。ホモジナイズした溶液を、暗所で温度約20〜25℃で、約12時間静置した。得られるゲルは、デカン酸塩としてトブラマイシン約1重量%、デカン酸塩としてテルビナフィン約1重量%、酢酸ベタメサゾン約0.1重量%、及び塩化ベンゼトニウム約0.02重量%を含有し25℃で粘度約8,020 cpsを示した。
【0162】
実施例5.2:本発明のポリマー-溶媒医薬組成物
グリセロール約63 g、トブラマイシン約5 g、テルビナフィン約3.75 g、オレイン酸約3.2 g、デカン酸約3.9 g、酢酸約2 g、酢酸ベタメサゾン約0.5 g、及び保存剤塩化ベンゼトニウム約0.1 gを、フラスコ中で攪拌しながら一緒にした。安定化した局方グリセロールを添加し、総容積を約500 mLとした。その後得られる溶液を、約10分間、温度約40℃で音波処理し、透明な溶液を提供した。透明な溶液を次に、温度約20〜25℃に冷却した。約500 mL溶液の最終質量は、約605 gであった。その後この溶液を、1Lのビーカーに移し、約40℃の水浴で平衡とした。その後HPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)約20 gを、透明な溶液へ添加し、これを次にOmni International model GLH ホモジナイザー(Omni International of Marietta, GAより販売)で約3〜5分間、約3000 rpmでホモジナイズした。得られたホモジナイズした溶液を、約40℃で約5分間静置し、約40℃で約5分間音波処理し、この溶液から目に見える泡を除去し、暗所で温度約20〜25℃で、約12時間静置し、ゲルを得た。得られたゲルは、デカン酸塩、オレイン酸塩及び酢酸塩の混合物としてトブラマイシン約1重量%;デカン酸塩、オレイン酸塩及び酢酸塩の混合物としてテルビナフィン約1重量%;酢酸ベタメサゾン約0.1重量%;及び塩化ベンゼトニウム約0.02重量%を含有し;25℃で粘度約4,188 cpsを示した。
【0163】
実施例5.3:本発明のポリマー-溶媒医薬組成物
グリセロール約126 g、フロルフェニコール約5 g、テルビナフィン約5 g、オレイン酸約6.5 g、酢酸ベタメサゾン約0.5 g、及び保存剤塩化ベンゼトニウム約0.1 gを、フラスコ内で一緒にした。ポリエチレングリコール400(PEG 400)約430 gをこのフラスコに添加し、得られる溶液を約43℃で約45分間攪拌し、その後約5分間音波処理し、透明な溶液を得た。透明な溶液を次に、約40℃の水浴で平衡とし、CARBOMER(商標)941(架橋したポリ(アクリル酸)ポリマー、Noveon, Inc.,クリーブランド, OHから販売)約2.5 gを、この溶液へ添加した。その後溶液を、Omni International モデルGLH ホモジナイザー(Omni International of Marietta, GAより販売)を用い、約5分間、約3000rpmでホモジナイズし、次に約5分間音波処理し、この溶液から目に見える泡を除去した。この溶液を、温度約20〜25℃で、約12時間静置し、透明なゲルを得た。得られたゲルは、フロルフェニコール約1重量%、オレイン酸塩としてテルビナフィン約1重量%、酢酸ベタメサゾン約0.1重量%、及び塩化ベンゼトニウム約0.02重量%を含有し、25℃で粘度約2,002 cpsを示した。
【0164】
実施例5.4:本発明のポリマー-溶媒医薬組成物
グリセロール約50.4 gを第一のフラスコに添加し、容量約140 mLとするのに十分な乳酸エチルを添加した。得られた溶媒混合物を攪拌し、約40℃に加熱した。トブラマイシン約2.0 g及びデカン酸約3.8 gを、この溶媒混合物へ添加し、得られる溶液を透明になるまで攪拌した。
【0165】
第二のフラスコ中に、テルビナフィン約2.0 g及びオレイン酸約2.88 mLを添加し、得られる混合物を約40℃に加熱した。得られる混合物に、容量約60 mLとするのに十分な酢酸エチルを添加した。得られる溶液に、酢酸ベタメサゾン約200 mg及び塩化ベンゼトニウム約40 mgを添加し、この溶液を約40℃で透明になるまで攪拌した。
【0166】
次に第一のフラスコの内容物及び第二のフラスコの内容物を一緒にし、温度約40℃で攪拌し、得られる溶液に、HPMC約7.0 gを攪拌しながら添加した。その後得られる溶液を、温度約20〜25℃で、約12時間静置し、ゲルを得た。
【0167】
得られるゲルは、デカン酸塩及びオレイン酸塩の混合物としてトブラマイシン約1重量%、デカン酸塩及びオレイン酸塩の混合物としてテルビナフィン約1重量%、酢酸ベタメサゾン約0.1重量%、及び塩化ベンゼトニウム約0.02重量%を含有し、25℃で粘度約7,170 cpsを示した。
【0168】
実施例5.5:本発明のポリマー-溶媒医薬組成物
グリセロール約63.0 g、引き続きPEG 400(約398.2 g)及びオレイン酸(約6.5 g)を、第一のフラスコに添加し、得られる混合物を攪拌し、約40℃に加熱した。テルビナフィン約5.0 g、フロルフェニコール約5.0 g、酢酸ベタメサゾン約500 mg、及び塩化ベンゼトニウム約100 mgを、この混合物へ添加し、得られた溶液を約1時間、温度約40℃で透明になるまで攪拌した。
【0169】
50mLの遠心管内に、PEG 400 約12 g、引き続きCARBOMER(商標)941(架橋したポリ(アクリル酸)ポリマー、Noveon, Inc., クリーブランド, OHから販売) 約1.25 gを添加した。得られる混合物を、ボルテックスミキサーを使用し十分に混合し、その後第一のフラスコの内容物と攪拌しながら温度約40℃で一緒にした。50 mLの遠心管へのPEG 400 約12 g、引き続きCARBOMER(商標)941(架橋したポリ(アクリル酸)ポリマー、Noveon, Inc.,クリーブランド, OHから販売) 約1.25 gの添加工程、得られた混合物のボルテックスミキサーを使用する十分な混合工程、及び得られた混合物の第一のフラスコの内容物への攪拌しながら温度約40℃での添加工程を、2回繰り返した。その後第一のフラスコの内容物を、温度約40℃で約60分間攪拌した。得られた第一のフラスコの内容物を、温度約20〜25℃で、約12時間静置し、ゲルを得た。
【0170】
得られたゲルは、オレイン酸塩としてテルビナフィン約1重量%、フロルフェニコール約1重量%、酢酸ベタメサゾン約0.1重量%、及び塩化ベンゼトニウム約0.02重量%を含み、25℃で粘度約35,480 cpsを示した。
【0171】
実施例5.6:本発明の医薬組成物を使用するヒトにおける真菌感染症の治療
実施例8.5の医薬組成物を、競技者足に罹患した24歳の男性の足に投与した。医薬組成物は、3週間にわたり週1回投与した。3週間後、対象は、低下した痒み、発赤及び炎症など、真菌感染症の症状が消失したことに気づいた。
【0172】
実施例5.7:医薬組成物の安定性
実施例8.1に説明されたように調製した医薬組成物を、約40℃又は約70℃で最大7日間インキュベーションし、テルビナフィンの分解を時間及び温度の関数としてモニタリングした。テルビナフィンは、実施例8.1の医薬組成物で最も安定性が低い成分であることがわかっているので、テルビナフィンのみをモニタリングした。テルビナフィンの濃度を、以下のHPLC手法により、各時点で決定した。
【0173】
医薬組成物約200 mgを、100 mLの容量フラスコに秤量し、このフラスコを約25 mMリン酸緩衝液(約pH 2.4)及びメタノール:アセトニトリル約50:50混合物の、約50:50混合物で満たし、約1分間振盪した。次に得られる溶液約2mLを、Acrodisc 25 mmシリンジフィルター(0.2 :m Ultiporeナイロンメンブレン)を通して濾過し、濾液約10 :Lを、Phenomenex Luna, 5 :m, C8 10OA、250 mm x 4.6 mm、分析用HPLCカラムに注入した。HPLCを、流量約1mL/分で操作し、約50%の約25 mMリン酸緩衝液(約pH 2.4)及び約50%のメタノール:アセトニトリル約50:50混合物で、約40分間溶出した。HPLCは、UV検出器を装備していた。テルビナフィンは、約223 nmで検出した。
安定性試験の結果を、表1に示す。
【0174】
【表1】

【0175】
表1のデータは、実施例5.1の医薬組成物が良好な安定性を有することを示している。
【0176】
実施例5.8:臨床試験
耳感染症の数匹のイヌに、実施例5.1又は5.5の医薬組成物を投与した。
下記のプロトコールに従い、本発明の医薬組成物の臨床有効性を評価した。
【0177】
耳感染症イヌは、0日目に獣医師により試験し、各耳を、外耳炎に関連した以下の徴候を基に、臨床スコアに割当てた:疼痛、紅斑、滲出液、腫脹、異臭及び潰瘍。以下のスコアを使用した:
疼痛:0=なし
1=軽度/中程度中程度:触診時に疼痛有り
2=重度:耳介を引き上げた時に疼痛有り
紅斑:0=なし
1=軽度/中程度:オトスコープにより視認可能な明らかな発赤をかろうじて認知できる
2=重度:ビーツ又はチェリーの赤色又は紅斑が耳介に広がる
滲出液:0=なし
1=軽度/中程度:外耳道に少量認められる
2=重度:外耳道から広がり、かさぶたになることがある
腫脹:0=なし
1=軽度/中程度:外耳道の一部閉塞
2=重度:外耳道の完全な閉塞
異臭:0=なし
1=軽度/中程度:耳介を上げた時に明らかな悪臭
2=重度:外耳道を露出した耳介を引き上げなくとも明らかな異臭
潰瘍:0=なし
1=軽度/中程度:軽度の剥離
2=重度:出血することのある剥離
疼痛、紅斑、滲出液、腫脹、異臭及び潰瘍のスコアは合算し、0〜12の範囲の総合の臨床スコアを提供し、12は、最も重度の外耳炎であり及び0は最も軽度の外耳炎である。
【0178】
0日目に、イヌは、生理的試験を受け、耳のスワブを入手し、細菌及び酵母培養に提出し、第二の耳スワブを入手し、細菌及び/又は酵母を同定するためのロール塗抹標本を調製した。イヌの耳を、抗-微生物及び抗-炎症活性を伴わない洗浄液で同じく洗浄し、過剰な溶液を耳から除去した。その後実施例5.1又は5.5の医薬組成物約0.5 mLを、各感染した耳に投与し、及び医薬組成物が耳を分布されるようにマッサージした。
【0179】
7日目(2日間)に、各耳に、0日目に使用したのと同じスコアを用いて、臨床スコアを再度割当てた。7日目(2日間)に、0日目に投与したのと同じ医薬組成物0.5mLを、各感染した耳に投与し、及び医薬組成物が分布されるように耳をマッサージした。
14日目(2日間)に、各耳に、0日目に使用したのと同じスコアを用いて、臨床スコアを再度割当てた。
【0180】
イヌは様々な品種、様々な体重及び生理的症状を、両性の試験において使用した。全てのイヌは、少なくとも約8週齢であり、概して良好な健康症状であった。本試験の包含基準は、イヌが、0日目に約6の最小の総臨床スコアを有すること、最後の1ヶ月間は抗微生物又は抗-炎症薬の全身又は耳内治療を受けていないこと、完全な鼓膜を有すること、ロール塗抹標本上に細菌又は酵母の視認を示したこと、及びミミヒゼンダニ(Otodectes cynotis)感染症の発生を有さないことであった。
【0181】
本試験の結果は、下記表IIに示した。A群のイヌは、実施例5.1の医薬組成物で治療し、B群のイヌは、実施例5.5の医薬組成物で治療した。
【0182】
【表2】

【0183】
表IIのデータは、本発明の医薬組成物は、イヌにおける耳内微生物感染症の治療に有効であることが明らかに示している。
【0184】
本発明は、本発明のわずかな局面の例証として意図されているこれらの実施例において開示された特定の態様により範囲は制限されず、機能的に同等であるあらゆる態様は、本発明の範囲内である。実際、本明細書に示されかつ説明されたことに加え、本発明の様々な修飾が、当業者に明らかであり、及び添付された「特許請求の範囲」内であることが意図されている。
【0185】
多くの参考文献が引用され、その全体の開示本明細書に参照として組入れられている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
局方グリセロール、乳酸エチル及びそれらの混合物からなる群より選択される第一の有機溶媒;
ヒドロキシプロピルメチルセルロース;並びに
医薬活性物質
を含み、かつゲルの形態にある、医薬組成物。
【請求項2】
実質的に水を含まない、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項3】
グリセロール、プロピレングリコール、ポリ(エチレングリコール)及びそれらの混合物からなる群より選択される第二の有機溶媒を更に含む、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記第二の有機溶媒が、グリセロールを含む、請求項3記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記第二の有機溶媒が、プロピレングリコールを含む、請求項3記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記第二の有機溶媒が、ポリ(エチレングリコール)を含む、請求項3記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記医薬活性物質が、抗菌薬、抗真菌薬、抗寄生虫薬、抗酵母薬、抗ウイルス薬、抗炎症薬、又はそれらの組合せを含む、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記医薬活性物質が、抗菌薬、抗真菌薬、及びステロイドの各々を含む、請求項7記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記医薬活性物質が、トブラマイシン又はその薬学的に許容される塩、テルビナフィン又はその薬学的に許容される塩、及びベタメサゾン又はその薬学的に許容される塩を含む、請求項8記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記トブラマイシン又はその薬学的に許容される塩が、約0.5〜3重量%の範囲の量で存在し、前記テルビナフィン又はその薬学的に許容される塩が、約0.5〜3重量%の範囲の量で存在し、及び前記ベタメサゾン又はその薬学的に許容されるエステルが、約0.01〜0.5重量%の範囲の量で存在する、請求項9記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記医薬活性物質が、フロルフェニコール又はその薬学的に許容されるエステル、テルビナフィン又はその薬学的に許容される塩、及びベタメサゾン又はその薬学的に許容されるエステルを含む、請求項8記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記フロルフェニコール又はその薬学的に許容されるエステルが、約0.5〜3重量%の範囲の量で存在し、前記テルビナフィン又はその薬学的に許容される塩が、約0.5〜3重量%の範囲の量で存在し、及び前記ベタメサゾン又はその薬学的に許容されるエステルが、約0.01〜0.5重量%の範囲の量で存在する、請求項11記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記医薬活性物質が、ゲンタマイシン又はその薬学的に許容される塩、クロトリマゾール又はその薬学的に許容される塩、及びベタメサゾン又はその薬学的に許容されるエステルを含む、請求項8記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記ゲンタマイシン又はその薬学的に許容される塩が、約0.5〜3重量%の範囲の量で存在し、前記クロトリマゾール又はその薬学的に許容される塩が、約0.5〜3重量%の範囲の量で存在し、及び前記ベタメサゾン又はその薬学的に許容されるエステルが、約0.01〜0.5重量%の範囲の量で存在する、請求項9記載の医薬組成物。
【請求項15】
ポリ(エチレングリコール);
ポリ(アクリル酸)ポリマー;及び
医薬活性物質
を含み、かつゲルの形態にある、医薬組成物。
【請求項16】
実質的に水を含まない、請求項15記載の医薬組成物。
【請求項17】
グリセロール、プロピレングリコール及びそれらの混合物からなる群より選択される有機溶媒を更に含む、請求項15記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記有機溶媒が、グリセロールを含む、請求項17記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記有機溶媒が、プロピレングリコールを含む、請求項17記載の医薬組成物。
【請求項20】
前記医薬活性物質が、抗菌薬、抗真菌薬、抗寄生虫薬、抗酵母薬、抗ウイルス薬、抗炎症薬、又はそれらの組合せを含む、請求項15記載の医薬組成物。
【請求項21】
前記医薬活性物質が、抗菌薬、抗真菌薬及びステロイドの組合せを含む、請求項20記載の医薬組成物。
【請求項22】
前記医薬活性物質が、フロルフェニコール又はその薬学的に許容されるエステル、テルビナフィン又はその薬学的に許容される塩、及びベタメサゾン又はその薬学的に許容されるエステルを含む、請求項21記載の医薬組成物。
【請求項23】
前記ポリ(エチレングリコール)が、約500 g/mol未満の数平均分子量を有する、請求項15記載の医薬組成物。
【請求項24】
前記ポリ(エチレングリコール)が、約400 g/mol未満の数平均分子量を有す る、請求項23記載の医薬組成物。
【請求項25】
前記ポリ(アクリル酸)ポリマーが、架橋されている、請求項15記載の医薬組成物。
【請求項26】
前記医薬活性物質が、トブラマイシン又はその薬学的に許容される塩、テルビナフィン又はその薬学的に許容される塩、及びベタメサゾン又はその薬学的に許容されるエステルを含む、請求項15記載の医薬組成物。
【請求項27】
前記トブラマイシン又はその薬学的に許容される塩が、約0.5〜3重量%の範囲の量で存在し、前記テルビナフィン又はその薬学的に許容される塩が、約0.5〜3重量%の範囲の量で存在し、及び前記ベタメサゾン又はその薬学的に許容されるエステルが、約0.01〜0.5重量%の範囲の量で存在する、請求項26記載の医薬組成物。
【請求項28】
前記医薬活性物質が、フロルフェニコール又はその薬学的に許容されるエステル、テルビナフィン又はその薬学的に許容される塩、及びベタメサゾン又はその薬学的に許容されるエステルを含む、請求項15記載の医薬組成物。
【請求項29】
前記フロルフェニコール又はその薬学的に許容されるエステルが、約0.5〜3重量%の範囲の量で存在し、前記テルビナフィン又はその薬学的に許容される塩が、約0.5〜3重量%の範囲の量で存在し、及び前記ベタメサゾン又はその薬学的に許容されるエステルが、約0.01〜0.5重量%の範囲の量で存在する、請求項28記載の医薬組成物。
【請求項30】
請求項1記載の医薬組成物の治療上有効量を、外用、耳内、又は眼内投与することを含む、動物における症状を治療又は予防する方法。
【請求項31】
前記動物が、非-ヒト動物である、請求項30記載の方法。
【請求項32】
請求項15記載の医薬組成物の治療上有効量を、外用、耳内、又は眼内投与することを含む、動物における症状を治療又は予防する方法。
【請求項33】
前記動物が、非-ヒト動物である、請求項32記載の方法。

【公表番号】特表2008−504272(P2008−504272A)
【公表日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−518238(P2007−518238)
【出願日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【国際出願番号】PCT/US2005/022073
【国際公開番号】WO2006/012146
【国際公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【出願人】(505388551)アイデックス ラボラトリーズ,インコーポレイティド (11)
【Fターム(参考)】