説明

藍及びその他の染料を使用する染色装置及び方法

【課題】1又は複数のユニットを藍を用いた連続染色工程に使用することができ、従来技術において通常使用されていたバットの数を減少させて、関連する及び結果的な経済的利点を得るだけでなく、毎回のバッチで廃棄される材料を減少させるやり方で運転することが可能であるような染色装置を実現する。
【解決手段】連鎖するたて糸及び/又は織物(13)のための藍及び/又はその他の染料を使用する連続染色装置(100)であって、少なくとも第1の染色区画室(1)と第2の染色区画室(2)とが、染色浴槽(11a,11b,11c,11d)を収容し、これらの染色浴槽は、少なくとも部分的に気密封止されたチャンバ(20)内に収容されている。装置(100)は、少なくとも2つの染色区画室(1,2)の間に介在させた少なくともひとつの絞り要素(14)と、染料の拡散と染料の吸収とを高めるべくヤーン及び/又は織物(13)を加熱及び/又は脱水する3つのシリンダとを備える。シリンダ(3)は、第1の染色区画室(1)及び絞り要素(14)の下流側に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、藍その他の染料を使用して、連鎖するたて糸及び/又は織物を連続的に染めるための染色装置及び方法に関する。
特に、本発明は、連続染色装置及び染色装置で用いる工程、及び/又は、還元浴槽や高温又は低温を用いて運転する必要のあるプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
この染色技術の代表的な用途は、デニム織物に用いられる連鎖するたて糸を、藍又はその他の染料、硫化染料、インダンスレン染料、及び反応性ベースの染料を用いて、連続染色することである。
デニムは、通常、ジーンズやスポーツウェア製品の製造に使用され、世界中で最も大量に使用されている織物である。
古典的なデニムは、予め染色された木綿のヤーンによって製造され、特に、たて糸だけが藍やその他の染料を用いて連続的に染色され、一方、よこ糸は加工されずに使用される。
代表的及び伝統的に、デニム織物のための連鎖するたて糸を染色するには、古来の天然染料であって現在は化学合成によって生産されている藍を用いて、低温の開いたバットの中でロープ装置とシフト装置との両方を使用することで実現している。
【0003】
木綿のヤーンに藍の染料を適用するために必要とされる特別な染色方法は、この染料の特性である。
実際に、前記染料は、セルロース繊維に対して還元親和性をもった比較的小さい分子を有しており、従って、前記繊維に適用するには、アルカリ性の浴槽中で化学的に還元させる(ロイコ塩基の形態)ことが必要なだけでなく、各浴槽の間において、空気中で絞る段階と酸化する段階を備えた複数の着色が必要である。
従って、ミディアムブルーやダークブルーのデニムを得るには、ヤーンを最初の染色工程(浸漬、絞り、酸化)にさらした直後に、さらに重ねて染色段階を繰り返して行い、段階の数が多くなるほど、色は濃くなり、必要な色の堅牢度がより強くなる。
上述した染色工程は、現在、ロープ装置及びシフト装置の両方について、藍を使用した、連続的なやり方のすべての装置及び設備において、連鎖するたて糸に対して適用されている。
【0004】
より詳しくは、上述した装置は通常、2以上の前処理バットと、8以上の染色バット及びその完了のための関連する絞りユニット及び酸化ユニットと、これに続く3以上の最終洗浄段階とから構成される。
染色バットは、ここでは説明しない公知の装置によれば、循環システムによって互いに結合されており、染色浴槽を混合、変化、及び強化させている。
これらの装置における染色は、計算よりも余剰なヒドロ亜硫酸ナトリウムを含む、アルカリ性の環境において実行され、浴槽/空気に接触させると、空気中の酸素と反応して、藍の還元能力が失なわれる。
ヒドロ亜硫酸塩は容易に酸化される能力を有するために、この損失を補うために、計量された量のヒドロ亜硫酸塩を染色浴槽に加えることが必要である。
【0005】
浴槽の染色能力を変えずに保ち、一定した再現性のある結果を保証するためには、ヒドロ亜硫酸ナトリウムを対応する量の苛性ソーダに再統合することを、規則正しく正確に実行しなければならない。
前述した装置において、シフト染色装置に使用されるものは、染色設備において直列に糊付け装置に結合され、糊付け、乾燥、及び染色されたヤーンの巻棒への巻取りを実行して、織布機に配置する準備を行う。
前述した染色装置は、浸漬及び酸化時間に関連した所定の基本的なパラメータを考慮して構築する必要があり、これにより、ヤーンは、可能な最良の条件にて染料を吸収することができ、また、絞りの後には、続く浴槽に入る前に完全に酸化されて、増強され、言い換えれば、色調が濃くなる。
【0006】
染色浴槽へのヤーンの平均浸漬時間は通常は約8〜12秒間であり、一方、絞りの後の酸化時間は約60秒間であるので、このことは、ヤーンを続くバットに再び浸漬する前に、60秒間にわたって空気にさらし続ける必要があることを意味し、この工程をすべてのバットについて繰り返す。
本出願人による特許EP533286号に開示されているような、酸化強化装置を装備した装置においてのみ、酸化時間を短縮することが可能である。
【0007】
【特許文献1】EP533286号
【0008】
平均染色速度は、1分あたりおよそ30mとして計算されるから、各浴槽には平均長さ6〜8mのヤーンが浸漬されることになり、一方、ひとつの浴槽と、次の浴槽との間でヤーンを空気にさらす長さは、少なくとも30m以上となる。
従って、基本的な構成である8つの染色バットを備えた装置について考えると、染色浴槽及び関連する酸化装置を通り抜ける実質的なヤーンの長さは、6m×8 + 30m×8、つまり288mになる。
【0009】
これらの288mのヤーンに、生産ラインを構成する他の装置で処理される、ずっと短い長さのヤーンを加えると(染色装置+糊付け装置)、合計400〜500mに達し、ラインの制御は困難になって、毎回のバッチ変更のたびに、染色が均一でないため、及び、新たなバッチの始動に関連した問題点のため、相当な分量が損失とみなされる。
また、前述した装置は、前述した硫化染料、インダンスレン染料、及び反応性ベースの染料など、その他の染料を用いた染色工程にも適合する必要があるが、それらの適用には、藍に使用される方法とは異なった方法が求められる。従って、藍染めに用いるのとは異なった工程を用いる、これらの装置には、特定の染色装置を据え付けることに関連して、過剰にコストが上昇しないような、自在性と適合性とが求められる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述した観点に鑑みれば、各バッチの間に廃棄されるヤーンを減少させると共に、染色設備のサイズを小型化し、もってコストを低下させる、染色装置及び方法を求める要望が存在することは明らかである。
【0011】
従って、本発明の目的は、1又は複数のユニットを藍を用いた連続染色工程に使用することができ、従来技術において通常使用されていたバットの数を減少させて、関連する及び結果的な経済的利点を得るだけでなく、毎回のバッチで廃棄される材料を減少させるやり方で運転することが可能であるような、染色装置を実現することである。
【0012】
本発明の他の目的は、藍染めにおけるヒドロ亜硫酸塩及びソーダの消費を抑制することが出来るように、不活性な環境中で運転することが可能な装置及び方法を提供することである。本発明の他の目的は、藍染め中に繊維内に拡散する染料を増加せしめ、染料自体の含浸能力を高めることができる装置及び方法を提供することである。
【0013】
本発明のさらに別の目的は、硫化染料、インダンスレン染料、及び反応性ベースの染料など、高い親和性をもった染料を使用した染色が可能な装置及び方法を提供することである。
【0014】
本発明の別の目的は、色素沈着方法を用いたインダンスレン染料による染色と、2段階方法を用いた反応染料による染色とを、可能な最良の技術的条件において実行できる、装置及び方法を提供することである。
【0015】
本発明の別の目的は、市場で高まる要求に鑑み、小バッチないし少ないヤード数における染色の可能性を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
これらの及びその他の目的を達成するための、本発明による連続染色装置及び方法は、特許請求の範囲の請求項1,24,30,32,35に記載された特徴を備え、連鎖するたて糸を染色するために、藍及び/又はその他の染料を使用する。
本発明による、連鎖するたて糸のための藍及び/又はその他の染料を使用する連続染色装置は、少なくとも第1及び第2の染色区画室を備え、染色区画室は染色バットを収容するのに適していて、これらは気密封止されたチャンバに少なくとも部分的に収容される。この装置は、2つの染色区画室の間に介在させた少なくともひとつの絞り要素と、繊維中への染料の拡散と染料自体の含浸とを高めるべくヤーンを加熱及び/又は脱水する、第1の染色区画室及び絞り要素の下流側に配置された少なくともひとつの手段とを備えている。
本発明の更なる特徴及び利点については、いかなる観点からも制限的なものとみなされるべきではない、あくまでも例示として提供された、以下の詳細な説明と添付図面を参照することで明らかになるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
添付図面は、藍及び/又は硫化染料、インダンスレン染料、反応性ベースの染料などのその他の染料を使用して、連鎖するたて糸を染色する、本発明による連続染色装置を示している。
説明を明瞭にするため、以下、連鎖するたて糸についてだけ説明するけれども、本発明は織物に適用できることは明らかである。
【0018】
図1に示すように、全体を参照符号100にて示した染色装置は、少なくとも2つの染色区画室1,2を備え、染色区画室は染色浴槽11a,11b,11c,11dを収容するのに適合していて、これらは気密封止されたチャンバ20の内部に少なくとも部分的に収容されている。装置100は、2つの染色区画室1,2の間に介在させた少なくともひとつの絞り要素14と、ヤーン13を加熱及び/又は脱水する少なくともひとつの手段3とを備えている。ヤーン13を直接加熱することで、染色区画室1に浸漬させた後、染料の繊維への拡散が高まり、採用される染料のタイプによっては、ヤーンに含まれる水を蒸発させて脱水することによって、加水分解を防止し、及び/又は、続く染色区画室2における染料の含浸を高める。本発明においては、有利には、ヤーン13を直接加熱し及び/又は脱水するための手段3が、第2の区画室2の上流側に配置されている。
このように、ヤーン13を脱水することで、第2の浴槽、言い換えれば区画室2におけるヤーン自体の吸収能力が高まるが、さもなくば、第2の浴槽における吸収はほとんどゼロになるだろう。
【0019】
チャンバ20は、気密封止されていて、少なくともひとつのベース21を備え、
2つの染色区画室1,2と、少なくともひとつのフード22とを備え、フードは、掃除及び保守の介入のためにベース21から持ち上げることができると共に、ベースに対して再び気密封止することができる。
チャンバ20は、特別な封止手段9によって気密封止される。
【0020】
特に、図1乃至図5に示した好ましい実施形態においては、封止手段9は、ベース21と共に周辺に設けられた液圧シールで代表され、ベースは、浴槽11a,11b,11c,11dを収容した2つの区画室1,2を構成しており、フード22の側壁から部分的に延びており、それぞれの区画室1,2に少なくともひとつの分割壁7を備えている。
各区画室1又は2に取り付けられた、それぞれの分割壁7は、図示の如く、浴槽11a,11b,11c,11dの内部へと降りており、気密封止を実現するために、フード22に係合するように適合した座部8を有している。
【0021】
変形例としては、前記気密封止手段9は、フード22とベース21との間に介在させたガスケット(図示せず)から形成しても良く、かかる実施形態も本発明の文脈の範囲内に含まれる。
ヤーン13を直接加熱するための手段3は、図示の好ましい実施形態においては、加熱シリンダ73として示され、好ましくはシリンダは流体で加熱される。
より詳しくは、3つの加熱シリンダ73が図示されており、ヤーン13はシリンダ上を通過し、シリンダは、第2の染色区画室2のすぐ上流側において、ひとつシリンダの後ろに次のシリンダのように直列に配置されている。
【0022】
染色工程に使用される染料のタイプによっては、シリンダ73は加熱されない場合もある。
この目的から、必要に応じて、シリンダ73を加熱し又は加熱しないために、不図示のスイッチ制御手段が備えられ、シリンダ73の加熱を作動又は排除するように適合している。
前記スイッチ制御手段は、公知のタイプのものであり、または、いかなる場合にも当業者によって容易に実現されるものであるので、ここでは詳述しない。
ヤーン13のための前記直接加熱手段3は、変形例としては、照射によってヤーン13を加熱するのに適合した赤外線源、または、ヤーン13を直接加熱するのに適合したマイクロ波源や高周波源によって実現しても良い。
しかしながら、ヤーン13を加熱するのにあらゆる適当な手段を用いることが、本発明の文脈の範囲内に留保されることに留意されたい。
【0023】
さらに別の例としては、この目的のために、ヤーン13を少なくとも不活性な除湿された高温流体の流れにさらしても良い。
ヤーン13を直接加熱する手段3の上流側には、前述の如く、ヤーン13に強い圧力を適用可能な、絞り手段14が設けられる。
より詳しくは、絞り要素14は、連鎖するたて糸13に対して、3〜20トンの範囲の圧力を適用することができる。
好ましくは、2つのシリンダを互いに合わせたシリンダから構成される絞り要素14は、5〜12トンの間の範囲の圧力を、連鎖するたて糸13に対して適用できる。
ヤーン13が第1の染色区画室1から出るときに、この強さの絞りをヤーンに適用することによって、優れたやり方で、ヤーン13からあらゆる余分な浴槽の液体を排除できる。
さらに、図1に示すように、染色区画室1,2は、バットに接触せず、間接的に、染色浴槽11a,11b,11c,11dに対して加熱作用又は冷却作用するための、少なくともひとつの手段17を備えている。
【0024】
特に、区画室1,2のそれぞれには、少なくともひとつのコイル27が設けられ、コイルの内部には加熱又は冷却液体が循環し、染色工程に従って、染色浴槽11a,11b,11c,11dを加熱又は冷却するが、かかる加熱又は冷却は、区画室1,2に収容されたバットには接触せず、間接的に行われる。
この目的のために、コイル27は、区画室1,2の底部付近に、公知のやり方で、キャビティを形成している。
チャンバ20の内部には、戻りローラー30,31がさらに設けられ、チャンバ20の内部におけるヤーン13の経路を形成するように適合している。
染色区画室2と比べると、染色区画室1は、より大きいヤーン収容量を有し、その結果、より大きなバットを有し、染料の染色親和性を最も良く活用できるようになっている。
言い換えれば、染色区画室1は、区画室2に比べて、より大きいヤーン容量を有する。
本発明によれば、有利には、区画室1の底部付近に配置された3つの浸漬ローラー29と、区画室2の底部付近に配置されたもうひとつの浸漬ローラーとが設けられ、区画室1,2の底部付近の染色浴槽にヤーン13を通り抜けさせている。
染色区画室1において、3つの浸漬ローラー29の間には、中間的な絞り要素32が介在しており、軽い圧力、すなわち6トン未満、好ましくは1トン未満の圧力をヤーン13に適用するように適合している。
【0025】
中間的な絞り要素32によって圧力を加えることで、染料はヤーン13に浸透し易くなり、色の均一性が高まる。
2つの区画室1,2は、有利には、オーバーフロータイプの入口33a,33b及び出口34a,34bを備えている。
より詳しくは、藍染めの場合には、2つの区画室1,2は、最大レベルの単一の浴槽11a,11cを用いて動作させ、図2に示すように、それぞれオーバーフロー入口33a,33bから供給され、オーバーフロー出口34aからダウンフローさせる。
藍染め中には、区画室1,2は、公知の流体回路によって連通させられるが、これについては詳しく説明しない。
しかしながら、例えばインダンスレン染料や反応染料を使用する染色動作の場合には、2つの区画室1,2の間の流体を連通させる流体回路は閉じられて、2つの区画室1,2の間の染色浴槽の連通を防止する。従って、2つの染色区画室1,2は、進行中の染色工程に応じて、異なる浴槽を用いて動作し、及び/又は、異なる浴槽レベルを用いて動作する。
より詳しくは、インダンスレン染料及び反応染料を用いた染色の場合には、2つの区画室1,2を好ましくは、最小レベルの2つの異なる浴槽11b,11dを用いて動作させ、オーバーフロー入口33bから供給を受けて、オーバーフロー出口34bからダウンフローさせる。
【0026】
硫化染料、インダンスレン染料、又は反応性ベースの染料の場合には、2つの区画室1,2を、バルブを用いて遮断できる、関連する流体回路(藍染めに使用される回路とは独立)に結合するが、前記回路は公知のタイプであるので詳しくは説明しない。
浴槽が低いレベルにあるとき、区画室1,2は、最大のヤーン/浴槽接触時間を提供するが、可能な最小の浴槽流体では、ヤーンの先頭と末尾との間で色が異なるという公知の欠陥を解消するための本質的な技術的要求条件は、大量の液体を収めたバットを使用したとき、藍以外の染料においては、その親和性がより大きいために生じる。
【0027】
最大のヤーン収容量と可能な最小の浴槽液体において、区画室1,2を使用できる可能性は、ローラー29のまわりの区画室1,2が特別な底部形状になっているおかげで実現される。
本発明による装置100は、適切に絞るための要素15を第2の区画室2の下流側に配置されて備えていて、ヤーン13がチャンバ20から出るとき、続く酸化又は蒸し段階の前に、ヤーンからあらゆる余分な浴槽の液体を除去する。
特に、前記絞り要素15は、チャンバ20の外部に配置され、第2の区画室2のすぐ下流側に位置している。
【0028】
さらに、本発明による装置100は、蒸気と混合した流体をチャンバ20から引き出すための手段を備えている。
この目的のために、本発明による装置100は、チャンバ20から蒸気と共に流体を吸引するように適合した、蒸気吸引のための閉じた回路4を備えていて、必要ならば、装置で実行されている染色工程に応じて、前記除湿された流体をチャンバ20へ戻すこともできる。
【0029】
従って、図1に示すように、吸引回路4は、チャンバ20から蒸気と併せて流体を吸引するのに適合してなる、例えば遠心吸引手段などの少なくともひとつの蒸気吸引手段40を備えていると共に、チャンバ20からの蒸気を凝縮して、除湿された流体を前記チャンバ20に送り戻すための、少なくともひとつの熱交換器41を備えている。
公知のように、熱交換器41は、冷媒と交差したコイル42と、熱交換器41の底部に凝縮した水のための排出バルブ43とを備える。
吸引回路4は、さらに、熱交換器41の上流側に配置された、不図示の3方向バルブを備えていて、硫化染料、反応染料、又はインダンスレン染料を用いた染色工程中には、蒸気を外部へ排出するように導き、この場合には、バルブ47はチャンバ20の内部へ空気を導入する。
藍染め浴槽11a,11cに用いられるヒドロ亜硫酸塩及びソーダの消費を抑えるために、ヤーンに含まれる染料を酸化させずにヤーンを加熱及び脱水するため、本発明による装置100は、不活性の環境において処理を実行できる。
この目的のために、脱酸素化空気及び/又は窒素ガスをチャンバ20に導入するための手段50と、チャンバから酸素を抜き取るための手段51とを備えており、脱酸素化され、従って不活性な処理環境をチャンバ20の内部に作り出す。
脱酸素化空気/窒素ガスをチャンバ20の内部に導入するための手段50は、不図示の脱酸素化空気又は窒素ガスの加圧源に結合されたバルブ45を備えている。
【0030】
他方において、酸素を抜き取るための手段51は、排出バルブ46を備えている。
当初に、バルブ46を所定の時間だけ開いて、窒素ガス又は脱酸素化空気を流すことによって、過大圧力と、比重量の違いとのために、チャンバ20から酸素が排出される。
チャンバ20の内部に不活性な環境を作り出すのに必要な流れ時間は、チャンバ20の内部状態を計器で測定して定めるか、または、専門家による評価及び計算に従って定める。
【0031】
図6に示した本発明の他の実施形態は、図1乃至図5に示した実施形態と良く似ているが、2つのベース21と2つのフード22とを備えている点が異なっており、フード22は、掃除及び保守の介入のためにベース21から持ち上げることができ、また、ベース21に対して気密封止することができる。
この事例においては、気密封止手段9は、それぞれのベースと、対応するフードとの間にシールを作り出す。
本発明による装置100は、前述したように、藍染料、硫化染料、インダンスレン染料、又は反応染料を用いた、ヤーンの染色を提供する。
【0032】
特に、図2に示した本発明の装置100を使用した藍染め工程は、以下の段階を備える。
a) 高いレベルに藍の染色浴槽11aを収容した第1の区画室1に、ヤーン13を浸漬する。
b) 第1の区画室1の浴槽11aからの出口において、5〜12トンの範囲の強い圧力を加えて、ヤーン13を絞る。
c) ヤーン13を直接加熱して、繊維中への染料の拡散を高め、続く区画室2における染料の吸収を高めるために、ヤーンを脱水する。
d) 第2の区画室2において藍の染料を高いレベルに収容している染色浴槽11cに、ヤーン13を浸漬する。
e) 第2の区画室2からの出口において、ヤーン13に対して、第2の強い圧力による絞りを適用する。
f) 装置100の外部において、公知のやり方で、ヤーンを酸化する。
前述した染色工程は、実質的に不活性な環境中で実行される特徴を有する。
特に、段階a)〜段階d)は、不活性な環境中で実行され、還元された浴槽の液体(ロイコ塩基)に含浸させたヤーンを空気中の酸素に接触させずに行い、これにより、ヒドロ亜硫酸塩が破壊されるのを防止する。
さらに、藍染め工程を開始する前に、手段50を用い、必要な時間にわたって、チャンバ20の内部に窒素ガス又は脱酸素化空気の流れを導入し、手段51を用い、酸素を抜き取って、実質的に不活性な環境を作り出す。
【0033】
こうして作り出した、不活性な環境は、チャンバ20が完全に気密封止されているおかげで、かかる状態のままに維持される。
段階a)〜段階d)の間、とりわけ段階c)の間には、手段3によってヤーン13を加熱して脱水する結果、蒸気が発生する。
こうして発生した、蒸気を含む窒素ガス又は脱酸素化空気は、閉じた吸引回路4によって吸引されて、熱交換器41へと送られる。熱交換器41の内部では、蒸気が凝縮して水が形成され、水はバルブ43を通して排出される一方、除湿された脱酸素化空気又は窒素ガスは、チャンバ20の内部へと戻される。
【0034】
本発明による方法においては、有利には、区画室1,2に収容された染色浴槽11a,11cを加熱して、ヤーンへの浸透を容易にしても良く、または、適当に冷却して繊維に対する藍の親和性を高め、その結果、温度が低くなると増加することが良く知られている、色の濃さを高めても良い。特に、第2の区画室2における浴槽11cについては、シリンダ73から出る際に加熱されたヤーン13が浴槽の温度を余りに上昇させるようであれば、第2の区画室におけるコイル27に冷媒を流して、これを冷却する。
さらに、第1の区画室1の浴槽11aにおいては、ヤーンに対する染料の浸透と均一性を促進するため、浴槽の直前にある要素32によって、ヤーン13に軽い圧力を加えても良い。
【0035】
図3は、本発明による装置100において、硫化ベースの染料を用いてヤーン13を連続染色する方法を示している。要約すると、前記方法は以下の段階を備えている。
a) 硫化ベースの染料を含む低いレベルの染色浴槽11bを収容した第1の区画室1に、ヤーン13を浸漬させる(黒色に染色する場合には、高いレベルの浴槽を使用する。)。
b) 第1の区画室1の浴槽11bからの出口において、5〜12トンの範囲の強い圧力を加えて、ヤーン13を絞る。
c) 第2の区画室2において、硫化染料を含む低いレベルの染色浴槽11dに、ヤーン13を浸漬させる(黒色に染色する場合には、高いレベルの浴槽を使用する。)。
d) 第2の区画室2からの出口において、ヤーン13に対して、強い圧力を適用して絞る。
e) 不図示の適当な蒸し器によってヤーンを蒸し工程にかける。
【0036】
高温の染色浴槽から蒸発した蒸気と、段階a)〜段階d)の間にヤーンから蒸発した蒸気とは、吸引回路4によって引き出され、不図示の3方向排出バルブを介して外部へ排出されることに留意することが重要である。
この状況において、フード22は、周囲の外部環境に、臭いが散乱することを防止する。
この染色工程においても同様に、第1の区画室1の近くの絞り器32によって、ヤーン13を軽く絞って、ヤーンに対する染料の浸透を促進し、色をより均一にする。
さらに、このタイプの硫化ベースの染料においては、第1の区画室1に収容された染色浴槽11bと、第2の区画室2に収容された染色浴槽11dとの両方が、公知のやり方で加熱される。
【0037】
基本的に、硫化染料を用いた染色工程が、藍を用いた染色工程と異なる点は、使用される浴槽のタイプと、適用温度が異なること、また、シリンダ73は加熱しなくて良く、シリンダは、この場合には、単なる戻りローラーとして機能すること、及び、工程は酸化段階を含まず、単なる蒸し段階を備えることである。
【0038】
図4は、本発明による装置100において、インダンスレン染料を用いてヤーン13を連続染色する方法を示している。
要約すると、前記方法は以下の段階を備えている。
a) インダンスレンベースの染料を含む低いレベルの着色浴槽11bを収容した第1の区画室1に、ヤーン13を浸漬させる。
b) 第1の区画室1の浴槽11bからの出口において、5〜12トンの範囲の強い圧力を加えて、ヤーン13を絞る。
c) 第2の区画室に収容された浴槽が加水分解するのを防ぐため、ヤーン13を脱水させるために直接加熱する。
d) 第2の区画室2の低いレベルに収容された、化学浴槽11dに、ヤーン13を浸漬させる。
e) 第2の区画室からの出口において、ヤーン13に対して、強い圧力を適用して絞る。
f) 不図示の適当な蒸し器によってヤーンを蒸し工程にかける。
この染色段階でも同じく、段階a)〜段階d)の間、とりわけ段階c)の間には、加熱されたヤーン13からの蒸発によって蒸気が発生する。この蒸気は、吸引回路4によって引き出されて、外部へ排出される。
【0039】
さらに、この工程においては、第1の区画室1に収容された染色浴槽11bは加熱され、第2の区画室2の浴槽11dは冷却されることに留意されたい。
この染色工程においても、第1の区画室1の近くの絞り器32によって、ヤーン13を軽く絞って、ヤーンの内部への染料の浸透を促進し、着色をより均一にする。
最後に、図5は、2段階方法に従って、反応染料を用いて連続染色する方法を示している。
要するに、この方法は以下の段階を備えている。
a) 反応染料を含む低いレベルの染色浴槽11bを収容した第1の区画室1に、ヤーン13を浸漬させる。
b) 第1の区画室1の浴槽11bからの出口において、強い圧力を加えて、ヤーン13を絞る。
c) 第2の区画室に収容された浴槽が加水分解するのを防ぐため、ヤーン13を脱水させるために直接加熱する。
d) 第2の区画室2の低いレベルに収容された、塩類アルカリ浴槽11dに、ヤーン13を浸漬させる。
e) 第2の区画室からの出口において、ヤーン13に対して、強い圧力を適用して絞る。
f) 不図示の適当な蒸し器によってヤーンを蒸し工程にかける。
段階a)〜段階d)の間、とりわけ段階c)の間には、加熱されたヤーン13によって蒸気が発生する。こうして発生した蒸気は、吸引回路4によって引き出されて、外部へ排出される。
2段階にて反応染料を用いる、この工程においては、第1の区画室1に収容された染色浴槽は加熱され、第2の区画室2の浴槽は冷却される。
【0040】
この事例においても同様に、第1の区画室1の近くの絞り器32によって、ヤーンを軽く絞って、ヤーンに対する染料の浸透を促進し、色をより均一にする。
従って、本発明による装置100及び方法によれば、明細書の序論に述べた目的を達成することができ、現在までの藍染めシステムに使用されている装置及び方法とは相反して、本発明によれば、処理バットの数を著しく減少でき、その結果、設備のコストを低減できると共に、バッチ変更中に廃棄される生産材料を減少させることができる。
有利には、装置100及び本発明による装置を用いて実現される方法によれば、藍を使用する場合に、不活性な環境中で作業することが可能になって、染料を酸化させずに、ヤーンを脱水させることができると共に、ヒドロ亜硫酸塩及びソーダの通常の消費量を著しく低減することができる。
【0041】
本発明によれば、加熱手段3でヤーンを加熱及び/又は脱水することによって、ヤーンに対する染料の拡散を高めると共に、ヤーン自体の含浸(染料を吸収する能力)を高め、染色工程をより効率的とし、経済的で、エコロジカルなものとすることができる。
別言すれば、藍染めの場合、同一レベルの色調と濃度のヤーンを得るために、本発明による装置100及びこの装置を用いた染色方法によれば、必要な重ね染め作業の数を著しく低減できる可能性が提供される。
また、本発明によれば、市場で高まる要求に答えて、小バッチないし少ないヤード数における染色の可能性を提供することができる。
特に、伝統的な設備においては、染色できる最小のピースは、設備の全長を構成するヤーンの長さに依存していたことを覚えておく必要がある。
藍を用いた従来の染色設備において、ミディアムやダークの色濃度を得るためには、多数のバットが必要とされ、その結果、設備のサイズとコストも比例的に増加する。
【0042】
本発明について例示的に説明したけれども、好ましい実施形態は、なんら限定的にみなされるべきではなく、当業者が適用できる変形例及び/又は応用例は、特許請求の範囲に定められた保護範囲に包含されることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1は、本発明による染色装置を示した側立面図である。
【図2】図2は、藍を用いた、連鎖するたて糸の連続染色工程に使用される、本発明による染色装置を示した側立面図である。
【図3】図3は、硫化染料を用いた、連鎖するたて糸の連続染色工程に使用される、本発明による染色装置を示した側立面図である。
【図4】図4は、インダンスレン染料を用いた、連鎖するたて糸の連続染色工程に使用される、本発明による染色装置を示した側立面図である。
【図5】図5は、反応染料を用いた、連鎖するたて糸の連続染色工程に使用される、本発明による染色装置を示した側立面図である。
【図6】図6は、本発明の他の実施形態による染色装置を示した側立面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
染色浴槽(11a,11b,11c,11d)を収容するように適合してなる、少なくとも第1の染色区画室(1)と第2の染色区画室(2)とが、気密封止されたチャンバ(20)内に少なくとも部分的に収容されたタイプの、連鎖するたて糸(13)及び/又は織物のための藍及び/又はその他の染料を使用する連続染色装置(100)であって、この装置が、前記少なくとも2つの染色区画室(1,2)の間に介在させた少なくともひとつの絞り要素(14)と、ヤーンの繊維中への染料の拡散とヤーンによる染料の吸収とを高めるべくヤーンを加熱及び/又は脱水する、前記第1の染色区画室(1)及び前記絞り要素(14)の下流側に配置された少なくともひとつの手段(3)とを備えていることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記染色区画室(1,2)が、その底部に、前記染色区画室(1,2)に収容された染色浴槽(11a,11b,11c,11d)を接触せず、間接的に加熱又は冷却するための、少なくともひとつの手段(17)を備えていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
染色浴槽(11a,11b,11c,11d)を加熱するための前記少なくともひとつの手段(17)は、前記染色区画室の底部付近にキャビティを形成していて、加熱流体又は冷却流体が循環する少なくともひとつのコイル(27)を備えていることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記気密封止されたチャンバ(20)は、少なくともひとつのベース(21)と少なくともひとつのフード(22)とを備え、フードは、掃除及び保守の介入のために前記ベース(21)から持ち上げることができ、前記ベース(21)に対して再び気密封止することができることを特徴とする先行するいずれかの請求項に記載の装置。
【請求項5】
前記気密封止されたチャンバ(20)は、2つのベース(21)と2つのフード(22)とを備え、フードは、掃除及び保守の介入のために前記ベース(21)から持ち上げることができ、前記ベース(21)に対して再び気密封止することができることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記気密封止されたチャンバ(20)は、気密封止手段(9)を備えていることを特徴とする請求項4又は5に記載の装置(100)。
【請求項7】
前記気密封止手段(9)は、前記少なくともひとつのフード(22)と前記少なくともひとつのベース(21)との間に介装された、少なくともひとつのガスケットを備えていることを特徴とする請求項6に記載の装置(100)。
【請求項8】
前記気密封止手段(9)は、それぞれの区画室(1,2)のための少なくともひとつの分割壁(7)を備えた液圧シールから構成され、前記分割壁(7)は、少なくとも部分的に染色浴槽の中に浸漬され、その上部には、気密封止を形成するために、前記少なくともひとつのフード(22)に結合するように適合した、座部(8)を具備していることを特徴とする請求項6に記載の装置(100)。
【請求項9】
前記絞り要素(14)は、前記区画室(1)からの出口において、連鎖するたて糸(13)に対して、3〜20トンの間の範囲内の強い圧力を適用することができることを特徴とする先行するいずれかの請求項に記載の装置(100)。
【請求項10】
ヤーン(13)を加熱及び/又は脱水するための前記手段(3)は、前記絞り要素(14)と前記第2の染色区画室(2)との間に配置された、少なくともひとつの加熱可能なシリンダ(73)から構成されており、ヤーン(13)は第2の染色浴槽(2)に浸漬される前に該シリンダを通過することを特徴とする先行するいずれかの請求項に記載の装置(100)。
【請求項11】
ヤーンを加熱及び/又は脱水するための前記手段(3)は、直接照射によって前記ヤーン(13)を加熱するように適合した、少なくともひとつの赤外線源を備えていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項12】
ヤーンを加熱及び/又は脱水するための前記手段(3)は、前記絞り要素(14)の下流側において、ヤーン(13)を直接加熱するように適合した、少なくともひとつのマイクロ波又は高周波の源を備えていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項13】
ヤーン(13)を加熱及び/又は脱水するための前記手段(3)は、対流によってヤーン(13)を加熱するように適合した、除湿された高温流体の少なくともひとつの流れのための、少なくともひとつの源を備えていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項14】
装置は、前記第2の染色区画室(2)の下流側に配置された、少なくともひとつの第2の絞りユニット(15)を備えていることを特徴とする先行するいずれかの請求項に記載の装置。
【請求項15】
装置は、前記ヤーン(13)が前記第1の区画室(1)の内部に留まっている間に、前記ヤーン(13)に対して絞り動作を実行するように適合してなる、前記第1の区画室(1)の上方に配置された、少なくともひとつの中間絞りユニット(32)を備えていることを特徴とする先行するいずれかの請求項に記載の装置。
【請求項16】
前記チャンバ(20)の内部に、ヤーン(13)のための複数のガイドローラー(29,30,31)を備えていることを特徴とする先行するいずれかの請求項に記載の装置(100)。
【請求項17】
装置は、前記チャンバ(20)から蒸気を吸引して、除湿された流体を前記チャンバ(20)の内部へ戻すための、閉じた流体及び蒸気吸引回路(4)を備えていることを特徴とする先行するいずれかの請求項に記載の装置(100)。
【請求項18】
前記閉じた流体及び蒸気吸引回路(4)は、吸引された蒸気を前記チャンバ(20)の外部へ向けて放出する、少なくともひとつのバルブ要素を備えていることを特徴とする請求項17に記載の装置(100)。
【請求項19】
前記閉じた吸引回路(4)は、前記チャンバ(20)から蒸気を吸引するように適合した、少なくともひとつの蒸気吸引手段(40)と、水蒸気を凝縮して、除湿された流体を前記チャンバ(20)へ戻すように適合した、少なくともひとつの熱交換器(41)とを備えていることを特徴とする請求項17又は18に記載の装置(100)。
【請求項20】
装置は、前記チャンバ(20)の内部に不活性な処理環境を作り出すために、前記チャンバ(20)の中に脱酸素化空気及び/又は窒素ガスを導入するための手段(50)と、前記チャンバ(20)から酸素を排出するための手段(51)とを備えていることを特徴とする先行するいずれかの請求項に記載の装置(100)。
【請求項21】
前記染色区画室(1)及び(2)は、オーバーフロータイプの少なくともひとつの入口(33a,33b)と、ひとつの出口(34a,34b)とを備えていることを特徴とする先行するいずれかの請求項に記載の装置(100)。
【請求項22】
前記染色区画室(1)は、前記区画室(2)に比べて、より大きなヤーン収容容量を有していることを特徴とする先行するいずれかの請求項に記載の装置(100)。
【請求項23】
前記染色区画室(1,2)は、異なる浴槽にて運転することができることを特徴とする先行するいずれかの請求項に記載の装置(100)。
【請求項24】
前記染色区画室(1,2)は、染色工程に従って動作する、浴槽のレベルを変化させることを特徴とする先行するいずれかの請求項に記載の装置(100)。
【請求項25】
先行するいずれかの請求項に記載された装置(100)によって、藍を用いてたて糸(13)を連続的に染色する方法(100)であって、この方法が、
a) 染色浴槽を収容した前記第1の区画室(1)に、前記ヤーン(13)を浸漬する段階と、
b) 前記第1の区画室(1)の浴槽からの出口において、前記ヤーン(13)に対して、5〜12トンの範囲の圧力による絞り作用を施す段階と、
c) 前記ヤーン(13)を直接加熱して、繊維中への染料の拡散を高め、続く区画室における染料の吸収を高めるために、ヤーンを脱水する段階と、
d) 前記第2の区画室(2)に収容された染色浴槽に、前記ヤーン(13)を浸漬する段階と、
e) 前記第2の区画室(2)からの出口において、ヤーン(13)に対して、第2の絞り作用を施す段階と、
f) ヤーンを酸化する段階と、
を備えていることを特徴とする染色方法。
【請求項26】
段階a)〜段階d)は、不活性な環境において実行されることを特徴とする請求項25に記載の染色方法。
【請求項27】
染色工程を開始する前に、前記チャンバ(20)の内部に不活性の環境が得られるのに充分な時間にわたって、前記チャンバ(20)の中へ窒素ガス及び/又は脱酸素化空気を導入することを特徴とする請求項25又は26に記載の染色方法。
【請求項28】
段階a)〜段階d)の間、ヤーンから蒸発した蒸気を含む流体を、前記閉じた吸引回路(4)によって吸引し、蒸気を凝縮し、除湿された流体を前記チャンバ(20)に戻して導入することを特徴とする請求項25に記載の染色方法。
【請求項29】
第1の区画室(1)に収容された浴槽(11a〜11b)が加熱されることを特徴とする請求項25乃至28のいずれか一項に記載の染色方法。
【請求項30】
前記第1及び第2の区画室(1〜2)に収容された、染色浴槽(11a,11b,11c,11d)が加熱又は冷却されることを特徴とする請求項25乃至29のいずれか一項に記載の染色方法。
【請求項31】
請求項1乃至24のいずれか一項に記載された装置(100)によって、硫化染料を用いて連鎖するたて糸(13)を連続的に染色する方法(100)であって、この方法が、
a) 硫化染料の染色浴槽を収容した前記第1の区画室(1)に、前記ヤーン(13)を浸漬する段階と、
b) 前記第1の区画室(1)の浴槽からの出口において、前記ヤーン(13)に対して、5〜12トンの間の圧力による絞り作用を施す段階と、
c) 硫化染料の染色浴槽を収容した前記第2の区画室(2)に、前記ヤーン(13)を浸漬する段階と、
d) 前記第2の区画室(2)からの出口において、ヤーン(13)に対して、絞り作用を施す段階と、
e) ヤーンを蒸す段階と、
を備えていることを特徴とする染色方法。
【請求項32】
段階a)〜段階c)の間に、前記ヤーン(13)から蒸発した蒸気を、前記吸引回路(4)によって吸引し、外部へ放出することを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項33】
請求項1乃至23のいずれか一項に記載された装置(100)によって、インダンスレン染料を用いた色素沈着方法により、連鎖するたて糸(13)を連続的に染色する方法(100)であって、この方法が、
a) インダンスレン染料の着色浴槽を収容した前記第1の区画室(1)に、前記ヤーン(13)を浸漬する段階と、
b) 前記第1の区画室(1)の浴槽(11)からの出口において、前記ヤーン(13)に対して、5〜12トンの間の圧力による絞り作用を施す段階と、
c) 続く、第2の区画室(2)の化学浴槽における加水分解を防ぐために、前記ヤーン(13)を直接加熱して脱水する段階と、
d) 前記第2の区画室(2)に収容された化学浴槽(11d)に、前記ヤーン(13)を浸漬する段階と、
e) 前記第2の区画室からの出口において、ヤーン(13)に対して、第2の絞りを施す段階と、
f) ヤーン(13)を蒸す段階と、
を備えていることを特徴とする染色方法。
【請求項34】
段階a)〜段階d)の間に、前記ヤーン(13)から蒸発した蒸気を、前記吸引回路(4)によって吸引し、外部へ放出することを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記第1の区画室(1)に収容された着色浴槽を加熱して、前記第2の区画室(2)に収容された浴槽(11d)を冷却することを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項36】
請求項1乃至19のいずれか一項に記載された装置(100)によって、反応染料を用いた2段階方法を用いて連鎖するたて糸を連続的に染色する方法であって、この方法が、
a) 反応染料の着色浴槽を収容した前記第1の区画室(1)に、前記ヤーン(13)を浸漬する段階と、
b) 前記第1の区画室(1)の浴槽からの出口において、前記ヤーン(13)に対して、5〜12トンの間の圧力による絞り作用を施す段階と、
c) 第2の区画室(2)に収容された浴槽における加水分解を防ぐために、前記ヤーン(13)を直接加熱して脱水する段階と、
d) 前記第2の区画室(2)に収容された塩類アルカリ浴槽に、前記ヤーン(13)を浸漬する段階と、
e) 前記第2の区画室からの出口において、ヤーン(13)に対して、第2の絞りを施す段階と、
f) ヤーン(13)を蒸す段階と、
を備えていることを特徴とする方法。
【請求項37】
段階a)〜段階d)の間に、前記ヤーン(13)から蒸発した蒸気を、前記吸引回路(4)によって吸引し、外部へ放出することを特徴とする請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記第1の区画室(1)に収容された染色浴槽を加熱して、前記第2の区画室(2)に収容された浴槽を冷却することを特徴とする請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記第1の区画室(1)において、ヤーンに中間的な絞り作用を施して、染料がヤーンに浸透するのを容易にすると共に、着色をより均一にすることを特徴とする請求項25乃至38のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2008−508437(P2008−508437A)
【公表日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−523174(P2007−523174)
【出願日】平成17年7月27日(2005.7.27)
【国際出願番号】PCT/IB2005/002403
【国際公開番号】WO2006/013458
【国際公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(507026268)
【Fターム(参考)】