説明

蛍光ランプを有する照明装置及びこれを用いた表示装置、並びに光拡散フィルム

【課題】高速動画特性の色品質を向上させることができる、蛍光ランプを有する照明装置及びこれを用いた表示装置、並びに光拡散フィルムを提供すること。
【解決手段】照明装置は蛍光ランプ40a〜40dを有し、青色及び赤色蛍光体を有する蛍光体層10aが蛍光ランプ管の内面に形成され、Eu2+又はCe3+を発光中心とする緑色蛍光体の層10bが蛍光ランプ管の外面に形成され、青色蛍光体から発する青色光によって緑色蛍光体が励起され、青色光、赤色光、緑色光の混色によって白色光が出射される。蛍光体層10bを拡散板上に形成して蛍光ランプ管と別体としてもよい。蛍光体層10bに代えて、緑色蛍光体を透明シートに形成してなる光拡散フィルムを蛍光ランプ管と別体としてもよい。1/10残光時間が0.2ms以下である緑色蛍光体の使用が望ましい。照明装置は高速動画表示を行う液晶表示装置のバックライトとして好適である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶テレビ等の表示装置に用いられる照明装置に関し、特に、高速動画表示を行う液晶テレビ等の表示装置に好適に使用することができる、蛍光ランプを有する照明装置及びこれを用いた表示装置、並びに照明装置に使用される光拡散フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
蛍光ランプは、テレビやPC用の液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)のバックライトに使用されており、一般的に青色光、緑色光、赤色光の3種類(機種によっては3種類以上の場合もある。)の光を出射する蛍光体が塗布されている。LCDの表示色は、主に蛍光ランプ(冷陰極蛍光ランプ(CCFL:Cold Cathode Fluorescent Lamp)、熱陰極蛍光ランプ(HCFL:Hot Cathode Fluorescent Lamp)、外部電極型ランプ(EEFL:External Electrode Fluorescent Lamp)、平面型ランプ(FFL:Flat Fluorescent Lamp)等)によって構成されるバックライトから出射される白色光を、青色、緑色、赤色のカラーフィルタによって選別し作られている。
【0003】
従来、LCDの性能を向上させるために、液晶材料、バックライト用光源としてのLEDや蛍光タンプと蛍光体、駆動方式、輝度劣化、色再現性、色域拡大、動画表示画質等に関して、種々の検討が行われており、例えば、動画表示画質に関しては、120Hz駆動を用いた改善方法、高速応答特性をもつ液晶を使用し黒挿入駆動方式とブリンキングバックライト方式を用いた擬似インパルス表示による改善方法等が知られている(例えば、後記の非特許文献1、非特許文献2を参照。)。
【0004】
以下、蛍光ランプを用いた照明における色品質に関する従来技術について説明する。
【0005】
「色順次照明装置」と題する後記の特許文献1に、以下の記載がある。
【0006】
図11は、特許文献1による色順次照明装置に使用するためのランプの1つの実施例を示す概略図及びその線X−Xに沿って見た断面図であり、特許文献1に記載の図1、図2である。
【0007】
図11を参照すると、放電管のような照明手段が全体として101で示されている。この照明手段は、内表面に粉末状の青色蛍光体104を被覆されたガラスエンベロープ102を具備している。エンベロープ102の端部はシールされており、且つガラスエンベロープ102内に入れられたガス108内で例えば紫外線放電のような放電を励起するための電極106を含んでいる。
【0008】
エンベロープ102の内側のまわりにはプラスチック材料の型式の染料をドープされた有機蛍光物質がある。照明手段の動作時には、ガス108中の放電によりガラスエンベロープ102内に光を発生させる。これが青色蛍光体粉末104に青色光を放出させ、そしてこの青色光が蛍光性プラスチック物質110内の蛍光を刺激する。この場合、その蛍光性プラスチック物質110は例えば緑色又は赤色の適当な波長の光特性を有するように選択されている。
【0009】
有機蛍光物質110の光減衰時間は青色蛍光体粉末104のそれ(約0.4msec)に略等しいから、照明手段がオフにされ後では、両方の色の発光が長い時間の間生じることはない。更に、青色、緑色及び赤色光の減衰時間は実質的に等しいようになされ得るから、色順次照明装置から放出された光は、ランプの付勢を制御するために用いられる電気信号と完全に同期することができ、その結果、望ましくない色混合が軽減されることになる。有機蛍光物質110を生成するために用いられるプラスチック材料と蛍光染料はエンベロープ102内で励起される放電から生じるもののような比較的高いレベルの紫外線に高時間露呈されると劣化することになりうる。しかし、エンベロープ102はガラスで構成されており、ガラスは紫外線の良好な吸収体であるから、紫外線をフィルタにかける必要はない。
【0010】
「可変色蛍光ランプ」と題する後記の特許文献2に、以下の記載がある。
【0011】
図12は、特許文献2に係る可変色蛍光ランプの一実施形態を示す簡略図であり、特許文献2に記載の図1である。
【0012】
図12は特許文献2に係る実施の形態を示すもので、この可変色蛍光ランプは、外管201、内管202、内管支持板203及び電極204a、204b、205a、205bを備えている。
【0013】
外管201は、光透過性部材である例えばガラス製で、内径約30mm、長さ約1200mmの筒状に形成されており、その内面には色温度が2800Kの蛍光体(図示せず)が塗布されている。また、外管201の両端は端板206a、206bで封着されており、その端板206a、206bにはそれぞれ電極204a、205a及び電極204b、205bが設けられている。外管1の内部の気密空間には、数Torrの希ガスと金属蒸気である水銀蒸気が封入されている。
【0014】
内管202は、外管201と同様に光透過性部材である例えばガラス製で、その形状はスパイラル構造で、外管201内に配設されている。その内管2は、外径12mmの筒状体を巻内径5mm、1ターン当たりの長さ150mmのスパイラル構造に加工されており、その内面には色度が(0.248、0.346)の青緑色の蛍光体(図示せず)が、外面には外管201に塗布した蛍光体と同一の色温度2800Kの蛍光体(図示せず)が塗布されている。また、内管202内の両端部近傍には一対の電極205a、205bが配設されている。更に、内管202は内管支持板203によって、スパイラル構造の下位点が、1ターン毎に外管201の内面に当接するように固定されている。なお、内管202内の空間は外管201内の空間と同一の気密空間を形成するように構成されている。
【0015】
このように構成された可変色蛍光ランプは、外管201と内管202が調光装置(図示せず)を介して並列に点灯され、それぞれが独立して調光制御されることにより、所望の光色が得られるようになっている。この実施形態においては、外管201のみを点灯させた状態で色温度2800K、外管201と内管202を同時に点灯させた状態では色温度6000Kという結果が得られた。
【0016】
なお、蛍光体の残光時間に関する物理的な説明は、例えば、非特許文献3に記載されている。
【0017】
更に、蛍光体シートに関しては、例えば、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6に記載されている。
【0018】
【特許文献1】特開平4−370650号公報(段落0009〜0011、図1、図2)
【特許文献2】特開平10−69889号公報(段落0013〜000016、図1)
【特許文献3】特開2007−86797号公報(段落0065〜0070、段落0077〜0078)
【特許文献4】特開2006−126109号公報(段落0157)
【特許文献5】特開2004−161808号公報(段落067〜0068、図1)
【特許文献6】特開2008−50593号公報(段落0006〜0010、段落0066、段落0085〜0086、図3)
【非特許文献1】「特集 映像情報メディア年報」、栗田他、映像情報メディア学会誌、Vol.60, No.8, pp.1169〜1177(2006)(LCD(第1169頁右欄〜第1172頁左欄))
【非特許文献2】「高画質OCB液晶技術」、瀧本他、東芝レビュー、Vol.60, No.7, pp.42〜45(2005)(動画性能向上技術(第44頁左欄〜第45頁左欄、図6〜図9))
【非特許文献3】蛍光体学会編、蛍光体ハンドブック、オーム社、初版、pp.101〜102(1987)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
以下の説明では、青色光を発光する蛍光体を「青色蛍光体」と略記し、緑色光を発光する蛍光体を「緑色蛍光体」と略記し、赤色光を発光する蛍光体を「赤色蛍光体」と略記する。
【0020】
LCDのバックライトとして蛍光ランプが使用され、この蛍光ランプの劣化、特に、輝度劣化を抑制するためには、これに用いられる蛍光体には耐光性、耐湿性、耐熱性等が要求されるが、特許文献1に記載されるような有機蛍光物質は、一般に、耐光性、耐湿性、耐熱性等が良好でなく、蛍光ランプには無機蛍光体が広く使用されている。
【0021】
蛍光ランプを用いたバックライトを有するLCDを高速動画に適応させるために必要な条件は、蛍光ランプに使用されている蛍光体の残光時間が短いことである。60Hz〜120Hzで蛍光ランプを点滅させることによって、動画特性を向上させる技術があるが、60Hz〜120Hzで蛍光ランプを点滅させても、蛍光ランプに使用されている蛍光体の残光時間が長ければ、蛍光ランプの駆動がオフとされた状態の時間帯においても残光が存在するので、動画特性の向上効果は減ってしまう。
【0022】
即ち、蛍光ランプを高い周波数でオンオフスイッチング(点滅)させて、高速動画表示を行う場合、蛍光ランプに使用される蛍光体の残光時間が長い場合には、前回のオフに起因する残光が次回のオンの時まで発光が残るためオフさせる意味が無くなる。そのためブリンキングの意味を成さない。従って、蛍光ランプを用いたバックライトを有する液晶表示装置において、高速動画特性の色品質を向上させるためには、蛍光ランプに使用される蛍光体、特に、比視感度が最大である緑色蛍光体の残光時間が短いことが必要である。
【0023】
広く実用化されているCCFL(冷陰極蛍光ランプ)に用いられている青色蛍光体は、BaMgAl1017:Eu、(Srx,Bay,Caz,Mg(1-x-y-z)5(PO4)3Cl:Euであるが、それらの残光時間はμsecオーダーである。また、CCFLに実用化されている赤色蛍光体Y23:Eu、YVO4:Euの残光時間はmsecオーダーである。比視感度曲線から明らかなように、赤色光の視感度は、緑色光の視感度の約半分以下と小さいために、残光時間が長くても赤色光の残光は緑色光に比較すると目に付きづらい。ブラウン管で使用されていた赤色蛍光体YS:EuやY:Euの残光時間もmsecオーダーであったが、青色、緑色蛍光体の残光時間が20μsecであったために動画特性が良好であったという実績がある。
【0024】
CCFLに用いる蛍光体は、水銀の253.7nmの紫外線発光を吸収して効率よく発光しなければならない。CCFLで使用されている緑色蛍光体は、様々提案されてはいるが、寿命や効率等を考慮にいれるとLaPO4:Tb、BaMgAl1017:Eu,Mnである。また、実用化されていない緑色蛍光体についても、Tb3+とMn2+を発光中心にもつ蛍光体である。これら蛍光体からの蛍光は、物理的に発光中心金属の遷移準位に由来する。これらの発光中心は禁制遷移であるために残光時間はmsecオーダーと長い。緑色蛍光体LaPO4:Ce,TbもBaMgAl1017:Eu,Mnも蛍光ランプに使用され、発光強度が大きいが、残光時間がmsecオーダーと長い。
【0025】
高速動画表示を行う液晶表示装置では、バックライトに使用される蛍光ランプを高い周波数で点滅を繰返すことが要求されるので、白色光の色純度を良好に確保するためには、残光時間の短い蛍光体を蛍光ランプに使用することが要求される。
【0026】
Ce3+、Eu2+を発光中心にもつ蛍光体は、Ce3+、Eu2+が許容遷移であるため、残光時間はnsec〜μsecオーダーで桁違いに短い。253.7nmの紫外励起光で発光し、Eu2+を発光中心にもつ緑色蛍光体は存在するが、効率や寿命の点で広く使われている蛍光体は知られていない。
【0027】
蛍光体粒子を含むペースト状の塗料を用いて塗布法によって基体に蛍光体層を形成することができるが、蛍光体の比重が大きくその粒径が大きくなる程、蛍光体粒子が沈降し易くなるため、蛍光体が均一に分散された塗料を調製することが困難となる。このため、均一な組成、厚さを有する蛍光体層を塗布法によって作製することが困難であり、発光ムラがなく均一な発光を呈する蛍光体層の形成が困難である。従って、このような蛍光体層を光拡散層として使用し、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色領域の光を混色させる構成としても、均一な光拡散効果を得ることが困難であるので、一様な色度及び輝度をもった光を光拡散層から放射させることは困難である。
【0028】
本発明は、上述したような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、高速動画特性の色品質を向上させることができる、蛍光ランプを有する照明装置及びこれを用いた表示装置、並びに照明装置に使用される光拡散フィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0029】
即ち、本発明は、内面に塗布された青色蛍光体、赤色蛍光体によって青色光、赤色光を発光する蛍光ランプと、この蛍光ランプの外部に配置され、Eu2+又はCe3+を発光中心とする緑色蛍光体を含む緑色蛍光体層とを有し、前記青色光によって前記緑色蛍光体が励起されて発光された緑色光と、前記赤色光及び前記青色光とが混色されて白色光を出射する照明装置に係るものである。
【0030】
また、本発明は、透明なシート状基材と、樹脂バインダーと、Eu2+又はCe3+を発光中心とする緑色蛍光体を含有し、前記シート状基材上に形成された光拡散層とを有し、内面に青色蛍光体と赤色蛍光体が塗布され青色光と赤色光を発する蛍光ランプの外部に配置され、前記青色光によって前記緑色蛍光体が励起されて発光された緑色光と、前記赤色光及び前記青色光とが混色されて白色光を出射する照明装置に使用される、光拡散フィルムに係るものである。
【0031】
また、本発明は、上記の照明装置を有する表示装置に係るものである。
【発明の効果】
【0032】
本発明の照明装置によれば、内面に塗布された青色蛍光体、赤色蛍光体によって青色光、赤色光を発光する蛍光ランプと、この蛍光ランプの外部に配置され、Eu2+又はCe3+を発光中心とする緑色蛍光体を含む緑色蛍光体層とを有し、前記青色光によって前記緑色蛍光体が励起されて発光された緑色光と、前記赤色光及び前記青色光とが混色されて白色光を出射するので、蛍光ランプを高い周波数で点滅させた場合でも、照明装置から放射される前記白色光の色純度が前記緑色光の残光によって劣化せず、色度が変化しないので、動画品質の劣化が抑制された照明装置を提供することができる。
【0033】
本発明の光拡散フィルムによれば、透明なシート状基材と、樹脂バインダーと、Eu2+又はCe3+を発光中心とする緑色蛍光体を含有し、前記シート状基材上に形成された光拡散層とを有するので、内面に青色蛍光体と赤色蛍光体が塗布され青色光と赤色光を発する蛍光ランプの外部に配置され、前記青色光によって前記緑色蛍光体が励起されて発光された緑色光と、前記赤色光及び前記青色光とが混色されて白色光を出射する照明装置に好適に使用することができ、略均一な光拡散効果を有し、略一様な色度及び輝度をもった光を放射させることができる。
【0034】
また、本発明の表示装置によれば、上記の照明装置を有するので、バックライトOn−Offによる発光の点滅を確実に行うことができる。よって、動画特性の色品質を向上させることができ、高速動画表示を行う表示装置、特に、液晶表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
本発明の照明装置では、前記緑色蛍光体層が前記蛍光ランプの外面に形成された構成とするのがよい。この構成によれば、前記蛍光ランプのガラス管として紫外線を遮蔽するものを使用することによって、前記緑色蛍光体の紫外線劣化がないので、照明装置の長寿命化を図ることができる。また水銀を使用するランプにおいては、水銀が蛍光体の付着し発光強度が低下するといった不具合も生じない。前記緑色蛍光体は500nm〜570nmの発光中心波長を有する無機蛍光体であり、残光時間は短く、耐光性、耐熱性に優れている。
【0036】
また、前記緑色蛍光体層が前記蛍光ランプの外部に配置された光拡散板上に形成された構成とするのがよい。この構成によれば、前記緑色蛍光体の種類を選択して使用することによって、照明装置による白色光の色純度を所望のものとすることができる。
【0037】
また、異なる種類の前記緑色蛍光体をそれぞれ含む前記緑色蛍光体層が前記光拡散板上に形成された構成とするのがよい。この構成によれば、前記緑色蛍光体として、色度の異なる複数の蛍光体を使用することによって、照明装置による白色光の色純度を変化させることができる。
【0038】
また、前記緑色蛍光体層は光拡散性を有し光拡散板を構成するのがよい。この構成によれば、前記緑色蛍光体層を、略均一な光拡散効果を有し、略一様な色度及び輝度をもった光を放射させることができる、蛍光発光と光拡散作用を有する光拡散板とすることができる。前記緑色蛍光体層と独立した光拡散板を設ける必要がなく、照明装置の構成を単純化することができる。
【0039】
また、前記緑色蛍光体層は異なる種類の前記緑色蛍光体を含む構成とするのがよい。この構成によれば、前記緑色蛍光体層を、略均一な光拡散効果を有し、略一様な色度及び輝度をもった光を放射させることができる、蛍光発光と光拡散作用を有する光拡散板とすることができ、前記緑色蛍光体として、色度の異なる複数の蛍光体を使用することによって、照明装置による白色光の色純度を変化させることができる。
【0040】
また、前記緑色蛍光体層は光拡散粒子を含む構成とするのがよい。この構成によれば、より均一な光拡散効果を有する光拡散板とすることができる。
【0041】
また、前記光拡散粒子が樹脂微粒子である構成とするのがよい。この構成によれば、より安価により均一な光拡散効果を有する光拡散板とすることができる。
【0042】
また、前記緑色蛍光体の1/10残光時間は、0.2msec以下である構成とするのがよい。この構成によれば、蛍光ランプを高い周波数、例えば、60Hz〜120Hzでオンオフスイッチング(点滅)させた場合でも、前記緑色蛍光体の残光時間が0.2msec以下と短いので、次回のオンによって出射される緑色蛍光に加わる前回のオフに起因する緑色蛍光の残光強度が小さく、照明装置から放射される前記白色光の色純度が、前記緑色光の残光によって劣化せず、色度が変化しないので、色品質の劣化を抑制することができる照明装置を実現することができる。従って、このような照明装置を使用することによって、動画特性の色品質を向上させることができ、高速動画表示を行う液晶表示装置を実現することができる。なお、「1/10残光時間」は、励起を停止した直後を0として、蛍光の発光輝度が1/10に減少した時点までの時間を示すものとする。
【0043】
また、より好ましくは前記緑色蛍光体の1/10残光時間は、0.1msec以下である構成とするのがよい。この構成によれば、前記緑色蛍光体の残光時間は0.1msec以下と更に短いので、次回のオンによって出射される緑色蛍光に加わる前回のオフに起因する緑色蛍光の残光強度がより小さく、色品質の劣化を抑制することができる照明装置を実現することができる。従って、このような照明装置を使用することによって、動画特性の色品質をより向上させることができ、より高い周波数で高速動画表示を行う液晶表示装置を実現することができる。
【0044】
また、前記緑色蛍光体が、ガーネット構造を有する希土類アルミン酸塩系蛍光体、アルカリ土類金属アルミン酸塩蛍光体、アルカリ土類金属珪酸塩蛍光体、アルカリ土類金属酸窒化珪素蛍光体、アルカリ土類金属硫化ガリウム蛍光体である構成とするのがよい。この構成によれば、前記緑色蛍光体の種類を選択して使用することによって、照明装置による白色光の色純度を所望のものとすることができる。
【0045】
また、前記蛍光ランプとして、冷熱陰極蛍光ランプ、熱陰極蛍光ランプ、外部電極蛍光ランプ、無電極蛍光ランプの何れかを目的に応じて使用することができる。
【0046】
また、前記蛍光ランプは冷陰極蛍光ランプである構成とするのがよい。この構成によれば、冷陰極を使用しているので長寿命で信頼性の高い照明装置を実現することができる。
【0047】
本発明の光拡散フィルムでは、前記光拡散層は異なる種類の前記緑色蛍光体を含む構成とするのがよい。この構成によれば、前記緑色蛍光体層を、略均一な光拡散効果を有し、略一様な色度及び輝度をもった光を放射させることができる、蛍光発光と光拡散作用を有する光拡散板とすることができ、前記緑色蛍光体として、色度の異なる複数の蛍光体を使用することによって、照明装置による白色光の色純度を変化させることができる。
【0048】
また、前記光拡散層は光拡散粒子を含む構成とするのがよい。この構成によれば、より均一な光拡散効果を有する光拡散板とすることができる。
【0049】
また、前記光拡散粒子が樹脂微粒子である構成とするのがよい。この構成によれば、より安価により均一な光拡散効果を有する光拡散板とすることができる。
【0050】
また、前記緑色蛍光体の1/10残光時間は、0.2msec以下である構成とするのがよい。この構成によれば、蛍光ランプを高い周波数、例えば、60Hz〜120Hzでオンオフスイッチング(点滅)させた場合でも、前記緑色蛍光体の残光時間が0.2msec以下と短いので、次回のオンによって出射される緑色蛍光に加わる前回のオフに起因する緑色蛍光の残光強度が小さく、照明装置から放射される前記白色光の色純度が、前記緑色光の残光によって劣化せず、色度が変化しないので、色品質の劣化を抑制することができる照明装置に使用される光拡散フィルムとして、好適である。従って、このような光拡散フィルムを備えた照明装置を使用することによって、動画特性の色品質を向上させることができ、高速動画表示を行う液晶表示装置を実現することができる。
【0051】
本発明の表示装置では、液晶パネルを有する構成とするのがよい。この液晶パネルを有する液晶表示装置は、テレビ、PC用の表示装置等に好適に使用することができる。
【0052】
また、前記照明装置はバックライトである構成とするのがよい。この構成によれば、表示装置を、薄型、軽量に構成することができる。
【0053】
また、画素部を有し、この画素部のオンオフと前記バックライトの点滅とを同期させる構成とするのがよい。この構成によれば、1フレームに一部に黒画像データを挿入(挿入される領域を「黒挿入領域」という。)し、この黒画像の表示タイミングに合わせ、黒挿入領域に対応する位置にあるバックライトを、黒挿入領域の移動に同期させてオフの状態とするので、即ち、黒挿入領域以外の領域に対応するバックライトをオンの状態とし、黒挿入領域に対応する位置にあるバックライトをオフの状態とするので、動画特性の色品質を上させることができ、高速動画表示を行うことができる表示装置を実現することができる。
【0054】
本発明による照明装置の製造方法は、以下の特徴を有する。
(1)内面に青色蛍光体と赤色蛍光体が塗布され青色光と赤色光を発する蛍光ランプを作成する工程と、バインダー樹脂と、Eu2+又はCe3+を発光中心とする緑色蛍光体を含み、4Pa・s以上、より好ましくは、5Pa・s以上、20Pa・s以下の粘度を有する塗料を用いて緑色蛍光体層を形成する工程とを有し、前記緑色蛍光体層が前記蛍光ランプの外部に配置され、前記青色光によって前記緑色蛍光体が励起されて発光された緑色光と、前記赤色光及び前記青色光とが混色されて白色光を出射する、照明装置の製造方法である。
【0055】
本発明の照明装置の製造方法によれば、前記緑色蛍光体の比重が大きくその粒径が大きい場合でも、前記緑色蛍光体が沈降し難く、前記緑色蛍光体が均一に分散された塗料を調製することでき、均一な組成、厚さを有する前記緑色蛍光体層を塗布法によって作製することができ、発光ムラがなく均一な発光を呈する前記緑色蛍光体層を有する照明装置を提供することができる。特に、上記塗料の粘度を5Pa・s以上、20Pa・s以下とすると、蛍光体粒子の分散安定性が優れ、塗布膜中がより均一な組成と厚さを有し、より均一な発光を呈する前記緑色蛍光体層を塗布法によって作製することができる。
【0056】
(2)上記(1)において、前記塗料が前記蛍光ランプの外面に塗布され前記緑色蛍光体層が形成される。この構成によれば、均一な照明を可能とする照明装置を作製することができる。
【0057】
(3)上記(1)において、前記塗料が、前記蛍光ランプの外部に配置された光拡散板に塗布され、前記緑色蛍光体層が形成され。この構成によれば、前記光拡散板が大面積の場合でも、均一な組成、厚さを有する前記緑色蛍光体層を塗布法によって、作製することができる。
【0058】
(4)上記(3)において、異なる種類の前記緑色蛍光体をそれぞれ含む前記塗料が順次使用され、異なる種類の前記緑色蛍光体をそれぞれ含む前記緑色蛍光体層が前記光拡散板に順次形成される。前記緑色蛍光体として、色度の異なる複数の蛍光体を使用することによって、照明装置による白色光の色純度を変化させることができる。
【0059】
(5)上記(1)において、光透過性を有する平板に前記塗料を塗布し、光拡散性を有する光拡散板が形成される。この構成によれば、前記緑色蛍光体層を、略均一な光拡散効果を有し、略一様な色度及び輝度をもった光を放射させることができる、蛍光発光と光拡散作用を有する光拡散板とすることができる。
【0060】
(6)上記(5)において、前記塗料は異なる種類の前記緑色蛍光体を含む。この構成によれば、前記緑色蛍光体層を、略均一な光拡散効果を有し、略一様な色度及び輝度をもった光を放射させることができる、蛍光発光と光拡散作用を有する光拡散板とすることができ、前記緑色蛍光体として、色度の異なる複数の蛍光体を使用することによって、照明装置による白色光の色純度を変化させることができる。
【0061】
(7)上記(5)において、前記塗料は前記緑色蛍光体とは異なる光拡散粒子を含む。この構成によれば、より均一な光拡散効果を有する光拡散板とすることができる。
【0062】
(8)上記(7)において、前記光拡散粒子が樹脂微粒子である。この構成によれば、より安価により均一な光拡散効果を有する光拡散板とすることができる。
【0063】
(9)上記(1)において、前記塗料が、有機樹脂を含む溶液に前記緑色蛍光体を分散させて調製される。この構成によれば、前記塗料を調整する際に前記有機樹脂と前記緑色蛍光体の混合比を調整することによって、前記塗料の粘度を塗布法の種類に応じ好適な範囲にすることができ、均一な組成、厚さを有する前記緑色蛍光体層を塗布法によって作製することができ、発光ムラがなく均一な発光を呈する前記緑色蛍光体層を有する照明装置を提供することができる。
【0064】
(10)上記(9)において、前記有機樹脂として、ポリウレタン、ポリエステル、ウレタンアクリレート、アクリルモノマー等が使用される。この構成によれば、前記有機樹脂として硬化後において可撓性を有するものを使用することによって、変形可能なフレキシブルな緑色蛍光体層を形成することができる。
【0065】
青色光、赤色光の視感度は小さく、緑色光の視感度が大きいので、青色光、赤色光の残光時間は長くても、液晶表示装置のバックライトをOffした際の残光の明るさに与える影響は軽微である。青色、赤色は残光の明るさに与える影響が小さいが、緑色は視感度が大きく残光時間に対する寄与が大きいので、本発明では、バックライトをOffした際の残光の明るさを大幅に低減させるために、残光時間の短い緑色蛍光体を使用する。
【0066】
本発明の蛍光ランプを用いた照明装置では、青色蛍光体と赤色蛍光体とが内面に塗布されたCCFLから発する青色発光によって、CCFLの外側に配置され、Eu2+、Ce3+を発光中心としてもつ残光時間の短い緑色蛍光体を励起、発光させ、CCFLの内部から発光した青色光、赤色光、及び、CCFLの外部で発光した緑色光を混合することによって白色を発生させる。例えば、CCFLのガラス管の外側の表面に緑色蛍光体を塗布する構成、バックライトを構成する拡散板や各種光学シートの表面に緑色蛍光体を塗布や練り込む構成、緑色蛍光体層を透明なシート状基体上に形成し、緑色蛍光体層を光拡散板(蛍光発光と光拡散作用を有する。)とする構成とすることができる。
【0067】
光拡散板等の平板面に形成される緑色蛍光体層は、有機溶剤に溶解又は希釈されたバインダー(結合剤又は結着剤)に蛍光体粒子を混合してペースト状の塗料(塗液)を光拡散板に塗布し、乾燥させることによって形成することができる。緑色蛍光体層からの発光強度を大きくするためには、緑色蛍光体層中での蛍光体粒子の充填率を大きくし、且つ、緑色蛍光体層の光透過率を大きくすることが望ましい。
【0068】
上記バインダーとして、例えば、エチルセルロース、エチレン酢酸ビニル共重合体、ニトロセルロース、ポリ酢酸ビニル、セルロースアセテートブチレート、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂等を使用することができる。また、上記有機溶剤として、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン、メチレンクロライド、エチレンクロライド等のハロゲン化炭化水素等を使用することができる。
【0069】
なお、上記塗料の塗布は、スクリーン印刷、バーコーター、ロールコーター等の一般的な方法を用いて行うことができる。また、緑色蛍光体層の厚さは、上記塗料の粘度、塗布条件等によって調製することができる。この粘度は上記塗料を調製する際の、有機溶剤、蛍光体粒子、バインダーの混合条件、温度によって、適宜変更することができる。
【0070】
例えば、緑色蛍光体としてSrGa24:Eu(平均粒径12μmφ、比重5.1)を用い、光拡散板に形成される緑色蛍光体層は、厚さ15μm以上、40μm以下であり、緑色蛍光体層における緑色蛍光体と樹脂(バインダー)の体積比率は、5vol%以上、20vol%以下であるある。SrGa24:Euの平均粒径及び比重が大であるにも係わらず、層中で略均一に分散され略均一厚さを有し、光透過性に優れ、光拡散板との接着性が良好であり、耐衝撃性を有し、紫外線耐性が良好である緑色蛍光体層を形成することができる。
【0071】
また、緑色蛍光体層を光拡散板に形成する構成に代えて、緑色蛍光体層を透明なシート状基体上に形成し、緑色蛍光体層は光拡散性を有するので、緑色蛍光体層とシート状基体を光拡散板(蛍光発光と光拡散作用を有する。)として使用することもできる。
【0072】
なお、離型性を有する樹脂基板上に緑色蛍光体層を形成した後、緑色蛍光体層を樹脂基板上から剥離させて、緑色蛍光体層を、蛍光発光と光拡散作用を有する光拡散板として使用することもできる。この場合、緑色蛍光体を分散させバインダーとして使用する有機樹脂として、硬化後において可撓性を有するものを使用することによって、変形可能なフレキシブルな緑色蛍光体層からなり、蛍光発光と光拡散作用を有する光拡散板を形成することができる。
【0073】
本発明の照明装置は、液晶テレビ等の表示装置に使用することができ、特に、高速動画表示を行う液晶テレビ等の表示装置に好適に使用することができる。
【0074】
以下、図面を参照しながら本発明による実施の形態について詳細に説明する。
【0075】
実施の形態
本発明の実施形態による照明装置は、紫外線によって青色蛍光体及び赤色蛍光体が励起される蛍光ランプを有しており、青色蛍光体及び赤色蛍光体を有する蛍光体層が蛍光ランプ管の内面に形成され、Eu2+又はCe3+を発光中心とし500nm〜570nmの発光中心波長を有する緑色蛍光体を有する蛍光体層が蛍光ランプ管の外面に形成されている。青色蛍光体から発する青色光によって緑色蛍光体が励起され、青色光、赤色光、及び、緑色光の混色によって白色光が、照明装置から出射される。緑色蛍光体を有する蛍光体層を蛍光ランプ管の外面に形成せずに、緑色蛍光体を有する蛍光体層を光拡散板上に形成して、蛍光ランプ管とは別体とする構成とすることもできる。
【0076】
緑色蛍光体として、1/10残光時間が0.2msec以下である蛍光体を使用することが望ましく、高速動画特性の色品質を向上させることができる照明装置及びこれを用いた表示装置を提供することができる。この照明装置は高速動画表示を行う液晶表示装置のバックライトとして好適である。
【0077】
図1は、本発明の実施の形態における、蛍光ランプの外部に緑色蛍光体を配置した照明装置の概略構成を説明する断面図であり、図1(A)は冷陰極蛍光ランプ(CCFL)40a、図1(B)は熱陰極蛍光ランプ(HCFL)40b、図1(C)は外部電極蛍光ランプ(EEFL)40c、図1(D)は無電極蛍光ランプ(内部コイル型)40dの構成を模式的に示す断面図である。
【0078】
なお、図1(A)〜図1(D)では、蛍光ランプの中心軸を通り管長方向に平行な面における断面図を示し、図1(A)では、蛍光ランプの中心軸に垂直な面における断面図を示しており、図1(B)〜図1(D)における蛍光ランプの中心軸に垂直な面における断面図は、図1(A)に示す断面図と同じであるので図示を省略している。
【0079】
図1(A)〜図1(D)に示すように、蛍光ランプを構成するガラス管11の内壁面に、赤色蛍光体、青色蛍光体の粉末の混合物が塗布された蛍光体層(以下、「赤青色蛍光体層」と略記する。)10aが形成され、ガラス管11の外壁面に、緑色蛍光体の粉末が塗布された蛍光体層(以下、「緑色蛍光体層」と略記する。)10bが形成されている。ガラス管11は紫外線を吸収し透過しないガラスによって構成されている。なお、ガラス管11の内壁面に、青色蛍光体による青色蛍光体層と、赤色蛍光体による赤色蛍光体層とを積層して形成してもよい。
【0080】
ガラス管11の外壁面に形成された緑色蛍光体層10b中の緑色蛍光体は、青色蛍光体から励起発光された青色光によって励起され緑色光を放射する。照明装置には蛍光ランプとして、図1(A)〜図1(D)に示す各タイプのものを目的に応じて使用することができる。蛍光ランプは、所望の周波数で点滅が制御され、赤色蛍光体、青色蛍光体の紫外線による励起が制御され、赤色光、青色光が発光され、青色光による励起によって緑色蛍光体から緑色光が発光する。そして、赤色光、青色光、緑色光の混色によって、白色光が照明装置から出射される。
【0081】
図1(A)〜図1(D)に示す構成において、色度の異なる緑色蛍光体の層を2種類以上積層して緑色蛍光体層10bを形成することもでき、緑色蛍光体層10b全体における色度の異なる緑色蛍光体の存在比(重量比)によって、色度点を変化させることができる。また、色度の異なる2種類以上の緑色蛍光体の粉末を混合して使用することもでき、混合比(重量比)によって、色度点を変化させることができる。
【0082】
図1(A)〜図1(D)に示す構成において、例えば、ガラス管11の外壁面に、ペースト状とした緑色蛍光体−1を塗布、乾燥して緑色蛍光体層−1を形成し、次に、緑色蛍光体層−1上に、ペースト状とした緑色蛍光体−2を塗布、乾燥して緑色蛍光体層−2を形成することによって、緑色蛍光体層10bを形成することができる。また、緑色蛍光体−1と緑色蛍光体−2を混合しペースト状とし、ガラス管11の外壁面に塗布、乾燥して緑色蛍光体層10bを形成することができる。
【0083】
図1(A)に示すように、冷陰極ランプ40aのガラス管11の内面には赤青色蛍光体層10aが形成されており、ガラス管11内にはAr等の希ガスと共にHgが封入されている。ガラス管11の内部の両端部に陰極側内部電極12a、陽極側内部電極12bが設けられており、フィラメント電極は設けられていない。
【0084】
CCFL40aでは、陰極側導体線13a、陽極側導体線13bから陰極側内部電極12aと陽極側内部電極12bとの間に高電圧が印加され、冷陰極放出により陰極側内部電極12aから放出された電子、又は、ガラス管11内に既に存在していた電子が加速され、電子とArとの衝突によってArは電離し、Arイオンと電子を生じる。Arイオンは陰極側に加速され陰極側内部電極12aに衝突して、電極12aから電子を放出させる。放出された2次電子は陽極側に加速され、再び、Arの電離を生じる。このようにして、電子なだれを生じ放電が開始され安定した放電が維持される。
【0085】
電子とHgとの衝突によってHgが基底状態から励起状態に励起され、励起状態にあるHgが基底状態に戻る際に紫外線が放出される。紫外線は赤青色蛍光体層10a中の赤色及び青色蛍光体に照射され、両蛍光体が励起されて赤色及び青色の蛍光が発生し、ガラス管11の外部に放出される。青色蛍光体から励起された青色の蛍光によって、ガラス管11の外面に塗布された緑色蛍光体層10b中の緑色蛍光体が励起されて、緑色の蛍光を発生する。ガラス管11の内部で発生した赤色及び青色の蛍光とガラス管11の外部で発生した緑色の蛍光が混色されて、白色光を生じる。
【0086】
図1(B)に示すように、図1(A)のCCFL40aにおいて陰極側内部電極12aと陽極側内部電極12bを、陰極側フィラメント19a、陽極側フィラメント19bに置き換えた構成となっている。HCFL40bでは、陰極側フィラメント19aに電流を流して熱電子を発生させる。陰極側フィラメント19aと陽極側フィラメント19bとの間に印加された高電圧によって、フィラメントから発生した熱電子は、陽極側に加速される。加速された熱電子はArと衝突してArは電離し、Arイオンと電子を生じる。放出された2次電子は陽極側に加速され、電子とHgとの衝突によってHgを励起させて紫外線を生じさせる。この紫外線によって、CCFL40aと同様にして、赤色及び青色蛍光体が励起され赤色及び青色の蛍光が発生し、青色の蛍光によって緑色蛍光体が励起され緑色の蛍光を発生し、これか蛍光が混色されて白色光を生じる。
【0087】
図1(C)に示すように、EEFL40cでは、CCFL、HCFLとは異なっており、ガラス管11の内部に電極を設けず、ガラス管11の外側の両端部に、陰極側外部電極14a、陽極側外部電極14bが設けられており、ガラス管11の外部から電圧を印加して、ガラス管11の内部に放電を発生させる。この放電によってArの電離が生じ、放出された2次電子は陽極側に加速され、電子とHgとの衝突によってHgを励起させて紫外線を生じさせる。この紫外線によって、CCFL40a、CCFL40bと同様にして、赤色及び青色蛍光体が励起され赤色及び青色の蛍光が発生し、青色の蛍光によって緑色蛍光体が励起され緑色の蛍光を発生し、これか蛍光が混色されて白色光を生じる。
【0088】
図1(D)に示すように、CCFL40a、CCFL40b、EEFL40cと異なって、無電極蛍光ランプ40dでは、放電用の電極を使用せず、ガラス管11の内部又は外部に置かれたコイル15から発生させた高周波の電磁界によって、内部に封入されたHgを励起させて紫外線を発生させる。この紫外線によって、CCFL40a、CCFL40b、EEFL40cと同様にして、赤色及び青色蛍光体が励起され赤色及び青色の蛍光が発生し、青色の蛍光によって緑色蛍光体が励起され緑色の蛍光を発生し、これか蛍光が混色されて白色光を生じる。
【0089】
なお、図1(D)では、内巻型コイル型を示しているが、コイル15をガラス管11の外部に置く構成(外巻型コイル型)も可能である。
【0090】
以上、図1(A)〜図1(D)に示す構成では、蛍光体ランプを構成するガラス管11は紫外線を透過しないものを使用しているので、ガラス管11の内部に配置される赤青色蛍光体層10aには耐紫外線が要求されるが、ガラス管11の外部に配置される緑色蛍光体層10bには、紫外線が照射されないので紫外線劣化を生じることはない。このように、比視感度が最大である緑色蛍光体の劣化が抑制されるので、白色光の色品質の劣化を抑制することができる。
【0091】
ガラス管11として、紫外線を透過するものを使用することもでき、赤青色蛍光体層10a、緑色蛍光体層10bを共にガラス管11の外部に配置することができる。この場合、ガラス管11の外壁に、赤青色蛍光体層10aを形成して、次に、この赤青色蛍光体層10a上に緑色蛍光体層10bを形成する。
【0092】
赤青色蛍光体層10a、緑色蛍光体層10bに使用される蛍光体が共に紫外線によって劣化を生じない場合には、赤青色蛍光体層10a、緑色蛍光体層10bをガラス管11の内部に形成することができる。この場合、ガラス管11の内壁に緑色蛍光体層10bを形成して、次に、この緑色蛍光体層10b上に、赤青色蛍光体層10aを形成する。
【0093】
図1において説明した照明装置は、液晶テレビ等の表示装置に使用することができ、特に、高速動画表示を行う液晶テレビ等の表示装置に好適に使用することができる。また、天井照明器具を始め、一般照明用にも使用できることは言うまでもない。
【0094】
図2は、本発明の実施の形態における、蛍光ランプの外部に緑色蛍光体を配置した照明装置の概略構成を説明する図であり、図2(A)は斜視図、図2(B)は断面図である。
【0095】
図1では、ガラス管11の外壁面に、緑色蛍光体層10bが形成されて構成された蛍光ランプからなる照明装置について説明したが、図2に示す照明装置の構成では、図1に示す構成において緑色蛍光体層10bがガラス管11の外壁面に形成されていない構成を有する蛍光ランプ40、及び、この蛍光ランプ40の外部に配置された拡散層(拡散シート)23から、照明装置が構成されている。
【0096】
拡散層(拡散シート)23は、拡散板(光拡散板)16の面に、拡散板16とほぼ同じ面積に形成された緑色蛍光体層18から構成されている。拡散層23の短辺にほぼ平行に、蛍光ランプ40が複数本配置され、蛍光ランプ40は拡散層23の短辺とほぼ同じ長さを有している。拡散板16として、例えば、摺りガラス、半透明樹脂板、粗面化され微細な凹凸を有する表面をもった透明又は半透明の板、或いは、透明な熱可塑性樹脂にシリコーン系樹脂、アクリル系樹脂等の微粒子を混練した組成物を板状に成形したもの、PET(ポリエチレンテレフタレート)等の透明フィルム上に透光性樹脂に微粒子を混練した組成物をコーティングしたもの等が使用される。
【0097】
拡散シート23は、例えば、エチルセルロースをテルピネオールに溶解させてバインダーを作成し、このバインダーに緑色蛍光体の粉末を混合しペースト状とし、これを印刷法により拡散板16に所望の厚さで層塗布した後、乾燥させることによって、形成することができる。蛍光ランプ40から出射した青色蛍光及び赤色蛍光からなるランプ光LLは緑色蛍光体層18に入射し、緑色蛍光体は青色蛍光によって励起され緑色蛍光を発する。青色蛍光、緑色蛍光、赤色蛍光が混色され生成された白色光は、拡散板16によって拡散され均斉化され、面状の白色光WLとして拡散板16から出射していく。
【0098】
図2に示す構成では、緑色蛍光体層18、拡散板16の順に、これらへ蛍光ランプ40からのランプ光LLが入射されるが、拡散板16、蛍光体層18の順にランプ光LLが入射される構成とすることもできる。
【0099】
以下に説明するように、色度の異なる緑色蛍光体の層を2種類以上積層して蛍光体層を形成することもでき、積層された蛍光体層全体における色度の異なる緑色蛍光体の存在比(重量比)によって、色度点を変化させることができる。また、色度の異なる2種類以上の緑色蛍光体の粉末を混合して使用することもでき、混合比(重量比)によって、色度点を変化させることができる。
【0100】
図3は、本発明の実施の形態における、蛍光ランプの外部に複数種類の緑色蛍光体を配置した照明装置の概略構成を説明する図であり、図3(A)は斜視図、図3(B)は断面図である。
【0101】
図2に示す構成において、拡散板16に、ペースト状とした緑色蛍光体−1を塗布、乾燥して緑色蛍光体層−1(18a)を形成し、次に、緑色蛍光体層−1(18a)上に、ペースト状とした緑色蛍光体−2を塗布、乾燥して緑色蛍光体層−2(18b)を形成することによって、拡散層23を形成することができる。また、図示しないが、緑色蛍光体−1と緑色蛍光体−2を混合しペースト状とし、これを拡散板16に塗布、乾燥して拡散層23を形成することができる。
【0102】
図3に示す構成では、緑色蛍光体層18b、18a、拡散板16の順に、これらへ蛍光ランプ40からのランプ光LLが入射されるが、拡散板16、蛍光体層18a、18bの順にランプ光LLが入射される構成とすることもできる。
【0103】
図2、図3に示す構成では、蛍光ランプ40からの放射光を反射させるための反射板は図示していないが、例えば、後述する図5、図6に示すような照明装置2aと同じような構成として、図2、図3に示す蛍光ランプ40の下方に、断面が凹条の反射面が複数個形成されている反射板22を配置した構成を有する照明装置とすることもでき、また、後述する図7、図8、図9に示す照明装置2b、2cと同じような構成の照明装置とすることもできる。
【0104】
以上、図2、図3に示す構成では、蛍光体ランプを構成するガラス管11は紫外線を透過しないものを使用しているので、ガラス管11の内部に配置される赤青色蛍光体層10aには耐紫外線が要求されるが、ガラス管11の外部に配置される緑色蛍光体層10bには、紫外線が照射されることがなく紫外線劣化を生じることはない。
【0105】
図2、図3において説明した照明装置は、液晶テレビ等の表示装置に使用することができ、特に、高速動画表示を行う液晶テレビ等の表示装置に好適に使用することができる。また、天井照明器具を始め、一般照明用にも使用できることは言うまでもない。
【0106】
図4は、本発明の実施の形態における、蛍光ランプの外部に緑色蛍光体を配置した照明装置の概略構成を説明する図であり、図4(A)は斜視図、図4(B)は断面図である。
【0107】
図4に示す照明装置の構成では、緑色蛍光体を含む拡散層(光拡散層)8が、透明支持体6上に設けられた拡散フィルム(拡散板)9を蛍光ランプ40の外部に配置された形で、照明装置が構成されている。
【0108】
図2に示した、拡散板16の面に緑色蛍光体層18が形成された拡散層(拡散シート)23に代えて、図4に示す構成では、透明支持板6上に形成された緑色蛍光体を含む光拡散層8を有する拡散フィルム9が使用される。
【0109】
図4に示す構成では、光拡散層8、透明支持板6の順に、これらへ蛍光ランプ40からのランプ光LLが入射されるが、透明支持板6、光拡散層8の順にランプ光LLが入射される構成とすることもできる。
【0110】
緑色蛍光体を含む拡散フィルム9の短辺にほぼ平行に、蛍光ランプ40が複数本配置され、蛍光ランプ40は拡散層フィルム9の短辺とほぼ同じ長さを有している。緑色蛍光体を含む拡散層8として、例えば、無機微粒子や有機微粒子とバインダーによって粗面化され微細な凹凸を有する表面をもった透明又は半透明の膜が使用される。
【0111】
上記、蛍光体を含む拡散フィルム9に用いることのできる透明支持体6としては、透明な光線透過率の高いプラスチックフィルム等が用いられ、例えばポリエステル、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、トリアセチルセルロース、ポリ塩化ビニル、アクリル、ポリスチレン、ポリアミド、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体等があげられる。なかでも、耐候性、加工性等の点からポリエステルフィルムが好ましく用いられる。プラスチックフィルムの厚みは特に限定されないが、一般には10μm〜500μm、好ましくは20μm〜200μm程度である。
【0112】
次に、蛍光体を含む光拡散層8を構成する透明なバインダー樹脂、樹脂粒子、及び粒子状滑剤について説明する。
【0113】
透明なバインダー樹脂としては、光学的透明性に優れた樹脂が用いられ、例えばポリエステルアクリレート系樹脂、ポリウレタンアクリレート系樹脂、エポキシアクリレート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン含有ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、エポキシ系樹脂、セルロース系樹脂、アセタール系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂等の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂等があげられる。
【0114】
次に、樹脂粒子は、光拡散性を付与するため、上記バインダー樹脂中に分散させて含有させる。樹脂粒子としては、アクリル系、スチレン系、シリコーン系の樹脂粒子と、Eu2+又はCe3+を発光中心とする緑色蛍光体微粒子や赤色蛍光体微粒子、シリカ系の無機微粒子があげられる。
【0115】
拡散機能をもつ層が表示部材の一部として設置される他部材と接触した場合に起こりえる他部材への傷や、該拡散層のひっかき傷が発生し得る懸念点を考慮に入れると、蛍光体に代表される無機微粒子だけで光拡散性を付与するのではなく、柔軟性に優れた有機樹脂粒子を合わせもった設計にした方が好ましい。
【0116】
このような樹脂粒子の平均粒径は、光拡散層の厚みとの関係もあるが、下限として2μm以上、好ましくは4μm以上、上限として40μm以下、好ましくは20μm以下のものが使用される。このような粒子は、粒度分布が広くなると、光拡散層中に埋没して光拡散性に寄与しないものも出てくるので、できるだけ粒径の揃ったものであることが好ましい。しかし、粒径は、単一径ではモアレが発生しやすくなることから、数種類の単一径をもつものが混合されている状態が好ましい。
【0117】
また、色度の異なる緑色蛍光体微粒子を2種類以上混合することもでき、蛍光体を含む拡散層全体における色度の異なる緑色蛍光体の存在比(重量比)によって、色度点を変化させることができる。また、色度の異なる2種類以上の緑色蛍光体の粉末を混合して使用することもでき、混合比(重量比)によって、色度点を変化させることができる。
【0118】
また、粒子の含有量は、バインダー樹脂に対し、下限として1重量パーセント以上、好ましくは5重量パーセント以上、上限として500重量パーセント以下、好ましくは300重量パーセント以下である。20重量部以上とすることにより、十分な光拡散性と、蛍光ランプから発せられた光を白色に変換する能力を合わせもつことができる。また、300重量部以下とすることにより、高い透明性を維持することができる。なお、上記性能を損なわない範囲であれば他の拡散剤を添加することも可能である。
【0119】
上記のような本発明における光拡散層には、本発明の機能を損なわない範囲で、滑剤、架橋剤、着色剤、顔料、帯電防止剤、難燃剤、抗菌剤、防カビ剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、可塑剤、レベリング剤、顔料分散剤、流動調整剤、消泡剤等の種々の添加剤を含ませることができる。
【0120】
本発明の光拡散性シートは、上述した透明なバインダー樹脂、蛍光体を含む粒子、及び必要に応じて加えた添加剤や希釈溶剤を混合して調整し、従来公知のコーティング方法、例えば、バーコーター、ブレードコーター、スピンコーター、ロールコーター、グラビアコーター、フローコーター、スプレー、スクリーン印刷等によって、上述の透明な支持体の少なくとも一方の面に塗布し、加熱によって乾燥、及び必要に応じて熱や電離放射線照射による硬化によって光拡散層を形成し得ることができる。
【0121】
尚、電離放射線を照射する方法としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、メタルハライドランプ等から発せられる400nm以下の波長領域の紫外線を照射する、電子線加速器から発せられる電子線を照射することにより行うことができる。
【0122】
以上のような光拡散層の厚みとしては、特に限定されるものではないが、上記コーティング法によって設ける場合は、2μm〜50μm、好ましくは4μm〜25μmとする。
【0123】
以上のように、本発明によれば、透明な支持体の少なくとも一方の面に、透明なバインダー樹脂、蛍光体を含む粒子、及び種々の添加剤からなる光拡散層を設けたことにより、蛍光ランプから発せられる光が透過した状態で、光拡散した白色光が得られる。
【0124】
図4において説明した照明装置は、液晶テレビ等の表示装置に使用することができ、特に、高速動画表示を行う液晶テレビ等の表示装置に好適に使用することができる。また、天井照明器具を始め、一般照明用にも使用できることは言うまでもない。
【0125】
図5は、本発明の実施の形態における、直下型バックライトを使用した液晶表示装置1aの概略構成を説明する断面図である。
【0126】
図5に示すように、液晶表示装置1aは、液晶パネル3と、この液晶パネル3の背後(映像の観察側とは逆側)に位置する照明装置2aとから構成され、液晶表示パネル3の背面側直下にバックライトとして照明装置2aが配置されている。即ち、この液晶表示装置1aは透過型のものであり、照明装置2aからの白色光WLを利用して、液晶パネル2の表示面に、赤色表示光LOr、緑色表示光LOg、青色表示光LObからなる表示光LOを出射するように構成されている。
【0127】
図5に示す照明装置2aの構成では、図1(A)に示すCCFLにおいてガラス管11の外面に形成された緑色蛍光体層10bが形成されていない構成を有する複数の蛍光ランプ(CCFL)40が使用され、プリズムシート24と蛍光ランプ40の間に、緑色蛍光体層18が表面に形成された拡散板16からなる拡散層23が配置されている。
【0128】
図5に示す構成において、拡散層23をプリズムシート24と拡散シート25の間に配置して、拡散シート25を配置しない構成とすることもできる。
【0129】
図5に示す照明装置2aでは、拡散層23の一辺方向(図5が図示された紙面に垂直方向の辺)にほぼ平行に、蛍光ランプ40が複数本配置され、各蛍光ランプ40は拡散層23の上記一辺方向での長さとほぼ同じ長さを有する長尺の蛍光ランプである。この長尺の蛍光ランプを、短尺の蛍光ランプの複数本を上記一辺方向に近接させて配置することによって構成することもできる。
【0130】
照明装置2aには、冷陰極蛍光ランプ(CCFL)40が光源として複数(図5に示す例では4本)並列して配置されている。また、これら冷陰極蛍光ランプ40の周囲には、液晶パネル3側を除いて反射板22が設けられている。これら複数の冷陰極蛍光ランプ40の液晶パネル3側には、冷陰極蛍光ランプ40側から順に、拡散シート23及びプリズムシート24が設けられている。冷陰極蛍光ランプ40の内壁の赤青色蛍光体層10aから紫外線によって励起された赤色及び青色の蛍光からなるランプ光LLと、青色の蛍光によって緑色蛍光体層18から励起された緑色の蛍光の混色によって白色光WLが生成される。
【0131】
なお、図5に示す構成において、冷陰極蛍光ランプ40を、図1(B)に示すHFCL、図1(C)に示すEEFL、図1(D)に示す無電極傾向ランプに置き換える構成としてもよい。
【0132】
反射板22は、冷陰極蛍光ランプ40から出射されたランプ光LLを、液晶パネル3側へ反射するためのものである。反射板22には断面が円弧状(例えば、半円状)、パラボラ状、放物線状等の凹条の反射面が複数個形成され、反射面はランプ光LLの反射率の高いAl等の材料で形成されている。反射板22により、冷陰極蛍光ランプ40から出射されたランプ光LLを、効率的に利用できるようにしている。
【0133】
拡散シート23、25は、液晶パネル3へ向かう白色光WLを拡散させ、明るさのむらを低減させるためのものである。また、プリズムシート24は、白色光WLの方向を指向させるためのものである。
【0134】
液晶パネル3は、一対のガラス基板32A、32B(照明装置2a側のガラス基板32A及び観察側のガラス基板32B)間に多層膜を有する積層構造となっている。この多層膜は具体的には、照明装置2a側から順に、各画素に配置された透明画素電極33と、液晶層34と、各画素に共通の透明電極35と、各画素に対応して配置されたカラーフィルタ36と、各カラーフィルタ36間に形成されたブラックマトリクス37とから構成されている。また、これらガラス基板31A、32Aにおける液晶層34と反対の面側には、それぞれ、偏光板31A、31Bが形成されている。
【0135】
偏光板31A、31Bは光学シャッタの一種であり、ある一定の振動方向の光(偏光)のみを通過させるものである。これら偏光板31A、31Bはそれぞれ、偏光軸が互いに90度異なるように配置されており、照明装置2aからの白色光WLが、液晶層34を介して透過或いは遮断されるようになっている。
【0136】
ガラス基板32A、32Bは、一般に可視光に対して透明な透明基板である。よって、可視光に対して透明なものであれば、ガラス基板に限定されることはなく、透明樹脂基板を使用することもできる。なお、ガラス基板31Aには、透明画素電極33に電気的に接続された駆動素子としてのTFT(Thin Film Transistor:薄膜トランジスタ)及び配線等を有する駆動回路(図示せず)が形成されている。
【0137】
透明画素電極33は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウムスズ)から構成され、各画素の画素電極として機能する。また、透明電極35も、例えば、ITOから構成され、共通の対向電極として機能する。
【0138】
液晶層34は、例えば、TN(Twisted Nematic)モードやSTN(Super Twisted Nematic)モード等の液晶から構成され、図示しない駆動回路からの印加電圧に応じて、照明装置2aからの白色光WLを各画素で透過又は遮断するためのものである。
【0139】
ブラックマトリクス37は、各カラーフィルタ36の間に配置されており、照射装置2からの白色光WLを遮断し、液晶パネル3の観察側へ出射しないようにするためのものである。
【0140】
カラーフィルタ36は、照明装置2aからの白色光WLを、赤(R)、緑(G)及び青(B)の三原色にそれぞれ色分離するためのものであり、白色光WLのうち、赤色波長領域の光を選択的に透過させる赤色カラーフィルタと、緑色波長領域の光を選択的に透過させる緑色カラーフィルタと、青色波長領域の光を選択的に透過させる緑色カラーフィルタとから構成されている。
【0141】
本実施の形態の液晶表示装置では、内面に赤色及び青色蛍光体が塗布された冷陰極蛍光ランプ40からのランプ光LLは、反射板22によって緑色蛍光体層18へ出射される。ランプ光LLに含まれる青色の蛍光によって緑色蛍光体層18から励起された緑色の蛍光は、ランプ光LLに含まれる赤色及び青色の蛍光と混色されると共に、拡散板16へ出射され、緑色の蛍光、赤色及び青色の蛍光の混色によって白色光WLが生成される。この白色光WLは、拡散シート23によってその明るさのむらが低減され、プリズムシート24によってその方向が指向される。
【0142】
そして液晶パネル3へ入射した白色光WLは、映像信号に基づいて各透明画素電極33と透明電極35との間に印加される電圧によって変調され、各色に対応したカラーフィルタ36によって色分離される。よって、液晶パネル2の観察側の表示面に、赤色表示光LOr、緑色表示光LOg、青色表示光LObからなる表示光LOが出射され、カラーの映像表示が行われる。
【0143】
表示装置では、画素部を構成する透明画素電極33に印加される電圧のオンオフは、透明画素電極33に電気的に接続された駆動素子(TFT)によって制御される。透明画素電極33に印加される電圧のオンオフは、液晶表示装置1aを構成する蛍光ランプ40の点滅と同期させる構成とする。なお、蛍光ランプ40として、上述したような、長尺の蛍光ランプに代えて、短尺の蛍光ランプの複数本で構成することもでき、透明画素電極33に印加される電圧のオンオフを、短尺の蛍光ランプの点滅をと同期させる構成とすることもできる。
【0144】
この液晶表示装置では、フレーム毎に、上記駆動素子をオンとする映像表示期間と駆動素子をオフとする黒画像データを挿入する黒表示期間を設け、1フレームの一部に黒画像データを単数又は複数の走査線に対して挿入し、この黒画像の表示タイミングに合わせ、黒挿入領域(黒画像データが挿入される領域を「黒挿入領域」という。)に対応する位置にあるバックライトを、黒挿入領域の移動に同期させてオフの状態とする。上記の短尺の蛍光ランプの点滅をと同期させる場合、黒画像データを単数又は複数の走査線の一部に対して挿入することができる。
【0145】
即ち、黒挿入領域以外の領域に対応するバックライトをオンの状態とし、黒挿入領域に対応する位置にあるバックライトをオフの状態とする。このような制御により、擬似インパルス表示を実現することによって、高速動画表示において、動画視認性を向上させることができ、動画特性の色品質を上させることができる。
【0146】
図5に示す構成では、緑色蛍光体層18、拡散板16の順に、これらへ蛍光ランプ40からのランプ光LLが入射されるが、拡散板6、緑色蛍光体層18の順にランプ光LLが入射される構成とすることもできる。
【0147】
図5に示す構成では、液晶パネル3の背面に照明装置2aを配置した直下型方式のバックライトについて説明したが、液晶パネル3の背面に導光板を配置し、この導光板の上下又は左右のエッジ部分に複数の蛍光ランプを配置するエッジライト方式(サイドライト方式、導光板方式)のバックライトの構成をとることも可能である。
【0148】
図6は、本発明の実施の形態における、直下型バックライトを使用した液晶表示装置1a’の概略構成を説明する断面図である。
【0149】
図5に示した、拡散板16の面に緑色蛍光体層18が形成された拡散層(拡散シート)23に代えて、図6に示す構成では、透明支持板6上に形成された緑色蛍光体を含む光拡散層8を有する拡散フィルム9が使用される。
【0150】
図6に示すように、液晶表示装置1a’は、液晶パネル3と、この液晶パネル3の背後(映像の観察側とは逆側)に位置する照明装置2aとから構成され、液晶表示パネル3の背面側直下にバックライトとして照明装置2aが配置されている。即ち、この液晶表示装置1a’は透過型のものであり、照明装置2aからの白色光WLを利用して、液晶パネル2の表示面に、赤色表示光LOr、緑色表示光LOg、青色表示光LObからなる表示光LOを出射するように構成されている。
【0151】
図6に示す照明装置2aの構成では、複数の蛍光ランプ(CCFL)40が使用され、プリズムシート24と蛍光ランプ40の間に、緑色蛍光体を含む拡散層8が透明支持基板6上に形成された拡散フィルム9が配置されている。拡散フィルム9の構成は、図4に示すものと同様である。
【0152】
図6に示す照明装置2aでは、蛍光体を含む拡散層8の一辺方向(図6が図示された紙面に垂直方向の辺)にほぼ平行に、蛍光ランプ40が複数本配置され、各蛍光ランプ40は蛍光体を含む拡散層8の上記一辺方向での長さとほぼ同じ長さを有する長尺の蛍光ランプである。この長尺の蛍光ランプを、短尺の蛍光ランプの複数本を上記一辺方向に近接させて配置することによって構成することもできる。
【0153】
照明装置2aには、冷陰極蛍光ランプ(CCFL)40が光源として複数(図6に示す例では4本)並列して配置されている。また、これら冷陰極蛍光ランプ40の周囲には、液晶パネル3側を除いて反射板22が設けられている。これら複数の冷陰極蛍光ランプ40の液晶パネル3側には、冷陰極蛍光ランプ40側から順に、プリズムシート24及び拡散フィルム9が設けられている。冷陰極蛍光ランプ40の内壁の赤青色蛍光体層10aから紫外線によって励起された赤色及び青色の蛍光からなるランプ光LLと、青色の蛍光によって緑色蛍光体を含んだ拡散層8から励起された緑色の蛍光の混色によって白色光WLが生成される。
【0154】
なお、図6に示す構成において、冷陰極蛍光ランプ40を、HFCL、EEFL、無電極傾向ランプに置き換える構成としてもよい。
【0155】
反射板22は、冷陰極蛍光ランプ40から出射されたランプ光LLを、液晶パネル3側へ反射するためのものである。反射板22には断面が円弧状(例えば、半円状)、パラボラ状、放物線状等の凹条の反射面が複数個形成され、反射面はランプ光LLの反射率の高いAl等の材料で形成されている。反射板22により、冷陰極蛍光ランプ40から出射されたランプ光LLを、効率的に利用できるようにしている。
【0156】
拡散フィルム(シート)9は、液晶パネル3へ向かう白色光を拡散させ、明るさのむらを低減させるためのものである。また、プリズムシート24は、冷陰極蛍光ランプ40殻の光の方向を指向させるためのものである。
【0157】
液晶パネル3は、一対のガラス基板32A、32B(照明装置2a側のガラス基板32A及び観察側のガラス基板32B)間に多層膜を有する積層構造となっている。この多層膜は具体的には、照明装置2a側から順に、各画素に配置された透明画素電極33と、液晶層34と、各画素に共通の透明電極35と、各画素に対応して配置されたカラーフィルタ36と、各カラーフィルタ36間に形成されたブラックマトリクス37とから構成されている。また、これらガラス基板31A、32Aにおける液晶層34と反対の面側には、それぞれ、偏光板31A、31Bが形成されている。
【0158】
偏光板31A、31Bは光学シャッタの一種であり、ある一定の振動方向の光(偏光)のみを通過させるものである。これら偏光板31A、31Bはそれぞれ、偏光軸が互いに90度異なるように配置されており、照明装置2aからの白色光WLが、液晶層34を介して透過或いは遮断されるようになっている。
【0159】
ガラス基板32A、32Bは、一般に可視光に対して透明な透明基板である。よって、可視光に対して透明なものであれば、ガラス基板に限定されることはなく、透明樹脂基板を使用することもできる。なお、ガラス基板31Aには、透明画素電極33に電気的に接続された駆動素子としてのTFT(Thin Film Transistor:薄膜トランジスタ)及び配線等を有する駆動回路(図示せず)が形成されている。
【0160】
透明画素電極33は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウムスズ)から構成され、各画素の画素電極として機能する。また、透明電極35も、例えば、ITOから構成され、共通の対向電極として機能する。
【0161】
液晶層34は、例えば、TN(Twisted Nematic)モードやSTN(Super Twisted Nematic)モード等の液晶から構成され、図示しない駆動回路からの印加電圧に応じて、照明装置2aからの白色光WLを各画素で透過又は遮断するためのものである。
【0162】
ブラックマトリクス37は、各カラーフィルタ36の間に配置されており、照射装置2aからの白色光WLを遮断し、液晶パネル3の観察側へ出射しないようにするためのものである。
【0163】
カラーフィルタ36は、照明装置2aからの白色光WLを、赤(R)、緑(G)及び青(B)の三原色にそれぞれ色分離するためのものであり、白色光WLのうち、赤色波長領域の光を選択的に透過させる赤色カラーフィルタと、緑色波長領域の光を選択的に透過させる緑色カラーフィルタと、青色波長領域の光を選択的に透過させる緑色カラーフィルタとから構成されている。
【0164】
本実施の形態の液晶表示装置では、内面に赤色及び青色蛍光体が塗布された冷陰極蛍光ランプ40からのランプ光LLは、反射板22によって反射され、プリズムシート24によってその方向が指向され、緑色蛍光体を含む拡散層8へ出射される。ランプ光LLに含まれる青色の蛍光によって、拡散層8に含まれる緑色蛍光体から励起された緑色の蛍光は、ランプ光LLに含まれる赤色及び青色の蛍光と混色され、その明るさのむらが低減された白色光WLが生成される。
【0165】
そして液晶パネル3へ入射した白色光WLは、映像信号に基づいて各透明画素電極33と透明電極35との間に印加される電圧によって変調され、各色に対応したカラーフィルタ36によって色分離される。よって、液晶パネル2の観察側の表示面に、赤色表示光LOr、緑色表示光LOg、青色表示光LObからなる表示光LOが出射され、カラーの映像表示が行われる。
【0166】
表示装置では、画素部を構成する透明画素電極33に印加される電圧のオンオフは、透明画素電極33に電気的に接続された駆動素子(TFT)によって制御される。透明画素電極33に印加される電圧のオンオフは、液晶表示装置1a’を構成する蛍光ランプ40の点滅と同期させる構成とする。なお、蛍光ランプ40として、上述したような、長尺の蛍光ランプに代えて、短尺の蛍光ランプの複数本で構成することもでき、透明画素電極33に印加される電圧のオンオフを、短尺の蛍光ランプの点滅をと同期させる構成とすることもできる。
【0167】
この液晶表示装置では、フレーム毎に、上記駆動素子をオンとする映像表示期間と駆動素子をオフとする黒画像データを挿入する黒表示期間を設け、1フレームの一部に黒画像データを単数又は複数の走査線に対して挿入し、この黒画像の表示タイミングに合わせ、黒挿入領域(黒画像データが挿入される領域を「黒挿入領域」という。)に対応する位置にあるバックライトを、黒挿入領域の移動に同期させてオフの状態とする。上記の短尺の蛍光ランプの点滅をと同期させる場合、黒画像データを単数又は複数の走査線の一部に対して挿入することができる。
【0168】
即ち、黒挿入領域以外の領域に対応するバックライトをオンの状態とし、黒挿入領域に対応する位置にあるバックライトをオフの状態とする。このような制御により、擬似インパルス表示を実現することによって、高速動画表示において、動画視認性を向上させることができ、動画特性の色品質を上させることができる。
【0169】
図6に示す構成では、光拡散層8、透明支持板6の順に、これらへ蛍光ランプ40からのランプ光LLが入射されるが、透明支持板6、光拡散層8の順にランプ光LLが入射される構成とすることもできる。
【0170】
図6に示す構成では、液晶パネル3の背面に照明装置2aを配置した直下型方式のバックライトについて説明したが、液晶パネル3の背面に導光板を配置し、この導光板の上下又は左右のエッジ部分に複数の蛍光ランプを配置するエッジライト方式(サイドライト方式、導光板方式)のバックライトの構成をとることも可能である。
【0171】
図7、図8は、本発明の実施の形態における、サイドエッジ型バックライトを使用した液晶表示装置1b、1cの概略構成を説明する断面図である。
【0172】
液晶表示パネル3の背面側直下に照明装置2aが配置された図5に示す液晶表示装置1aの構成を変更して、図7に示すように、透明板からなる導光板26の側縁部に沿って冷陰極蛍光管40を線状光源として配置したサイドエッジ(サイドライト)型バックライトを使用した液晶表示装置1bとすることもできる。蛍光ランプ40、拡散層23(16、18)による白色光WLは導光板26を介して面状の光に変換され液晶パネル3の背後から照射される。以下、図5に示す液晶表示装置1aと相違する点を中心として説明する。
【0173】
図7に示す照明装置2bの構成では、図1(A)に示すCCFLにおいてガラス管11の外面に形成された緑色蛍光体層10bが形成されていない構成を有する蛍光ランプ(CCFL)40が使用され、導光板26と蛍光ランプ40の間に、緑色蛍光体層18が表面に形成された拡散板16からなる拡散層23が配置され、拡散層23を透過した白色光WLが導光板26に入射される構成を有している。
【0174】
冷陰極蛍光ランプ40の内壁の赤青色蛍光体層10aから紫外線によって励起された赤色及び青色の蛍光からなるランプ光LLと、青色の蛍光によって緑色蛍光体層18から励起された緑色の蛍光の混色によって白色光WLが生成される。
【0175】
また、図8に示すように、図7示す構成において、プリズムシート24と拡散シート25の間に緑色蛍光体層18を配置する構成として、即ち、図7に示す拡散シート25に代えて拡散層23(拡散板16、緑色蛍光体層18)を配置する構成とすることもでき、この場合、図7に示す拡散層23(16、18)と導光板26は、導光板26aに置き換えられる。
【0176】
更に、図8に示す構成において、プリズムシート24の下方、又は、導光板26aの上方に、緑色蛍光体層18を形成することによって、緑色蛍光体層18をプリズムシート24と導光板26aの間に配置させる構成とすることもできる。
【0177】
図7、図8に示す構成では、緑色蛍光体層18、拡散板16の順に、これらへ蛍光ランプ40からのランプ光LLが入射されるが、拡散板16、緑色蛍光体層18の順にランプ光LLが入射される構成とすることもできる。
【0178】
図9は、本発明の実施の形態における、サイドエッジ型バックライトを使用した液晶表示装置1c’の概略構成を説明する断面図である。
【0179】
液晶表示パネル3の背面側直下に照明装置2aが配置された図6に示す液晶表示装置1a’の構成を変更して、図9に示すように、透明板からなる導光板26aの側縁部に沿って冷陰極蛍光管40を線状光源として配置したサイドエッジ(サイドライト)型バックライトを使用した液晶表示装置1c’とすることもできる。
【0180】
冷陰極蛍光ランプ40からのランプ光LLは、反射板22によって反射され、導光板26aを介して面状の光に変換され、プリズムシート24によってその方向が指向され、緑色蛍光体を含む拡散層8へ出射される。ランプ光LLに含まれる青色の蛍光によって、拡散層8に含まれる緑色蛍光体から励起された緑色の蛍光は、ランプ光LLに含まれる赤色及び青色の蛍光と混色され、その明るさのむらが低減された白色光WLが生成される。
【0181】
緑色蛍光体を含む拡散層8が透明支持基板6上に形成された拡散フィルム9による白色光WLは液晶パネル3の背後から照射される。拡散フィルム9の構成は、図4に示すものと同様である。
【0182】
図9に示す構成において、拡散フィルム9をプリズムシート24と導光板26aの間に配置させる構成とすることもできる。
【0183】
図9に示す構成では、光拡散層8、透明支持板6の順に、これらへ蛍光ランプ40からのランプ光LLが入射されるが、透明支持板6、光拡散層8の順にランプ光LLが入射される構成とすることもできる。
【0184】
図10は、本発明の実施の形態における、蛍光ランプの外部に緑色蛍光体を配置した照明装置の概略構成を説明する断面図であり、図10(A)は緑色蛍光体層のガラス管(外側管)による保護を説明する図、図10(B)は緑色蛍光体層の透明被覆膜による保護を説明する図である。なお、図10では、蛍光ランプの図1に示す諸構成要素のうち、ガラス管11、赤青色蛍光体層10a、緑色蛍光体層10bのみを示し、その他の構成要素は省略している。
【0185】
蛍光ランプのガラス管の外面に蛍光体層を形成する場合には、図10(A)に示すように、ガラス管11の外面に形成された緑色蛍光体層10bをガラス管(外側管)21aによって密閉して覆う構成、又は、図10(B)に示すように、ガラス管11の外面に形成された緑色蛍光体層10b上に、透湿性の小さい樹脂膜又はガラス膜によって透明被覆膜21bを形成する構成によって、緑色蛍光体層10bの耐湿性等を向上させることができる。
【0186】
緑色蛍光体層10bの他に、青色蛍光体層及び/又は赤色蛍光体層が、ガラス管11の外面に形成されている場合にも、図10に示す構成をとることができることは言うまでもない。蛍光ランプは、CCFL、HCFL、EEFL、無電極蛍光ランプの何れであってもよい。
【0187】
実施例(その1)
図2に示す蛍光体層23と蛍光ランプ40からなる照明装置を構成して、緑色蛍光体の残光時間を、蛍光ランプの励起を停止した直後を0として、緑色蛍光の輝度が1/10に減少した時点までの時間を1/10残光時間として評価した。拡散板に形成された緑色蛍光体層の残光時間の測定は、蛍光ランプの交流電源を停止した後の緑色蛍光の強度を、緑色波長領域の光を選択的に透過させる緑色カラーフィルタを通して、ピンダイオードでモニターし、オシロスコープで緑色蛍光の減衰を観察することによって、行った。
【0188】
実施例1:緑色蛍光体(SrGa24:Eu)層が形成された拡散板がCCFLの外部に配置された照明装置
エチルセルロース6gをテルピネオール300mLに溶解させたバインダーを作成し、このバインダー20mLに対し、緑色蛍光体SrGa24:Eu、5.0gを混合してペースト状とし、これを印刷法により拡散板16に1層塗布した。
【0189】
この拡散板、及び、内壁に青色蛍光体(Srx,Bay,Caz,Mg(1-x-y-z)5(PO43Cl:Eu、赤色蛍光体Y23:Euが塗布されたCCFLによって、照明装置を構成してこれを液晶パネルのバックライトとした。液晶パネルにバックライトを取り付け点灯させた時に、白色の色度点が(0.300,0.300)近辺になるように、青色蛍光体(Srx,Bay,Caz,Mg(1-x-y-z)5(PO43Cl:Euと赤色蛍光体Y23:Euの重量比を試行錯誤によって探索して、青色蛍光体と赤色蛍光体の混合体をCCFLに塗布した。探索テストは、32インチの液晶テレビを使用して行った。
【0190】
探索テストの結果得られた重量比(青色蛍光体:赤色蛍光体)=73:27の青色蛍光体と赤色蛍光体の混合体が塗布されたCCFL、及び、緑色蛍光体(SrGa24:Eu)が塗布された拡散板によって照明装置を構成し、これをバックライトとして液晶パネルに取り付けた結果、白色色度は(0.3024,0.3077)となった。このバックライトを取り出して、緑色蛍光体の残光特性を評価した結果、緑色蛍光体(SrGa24:Eu)の1/10残光時間は約0.2msecであった。
【0191】
実施例2:緑色蛍光体((Sr,Ba,Ca,Mg)2SiO4:Eu)層が形成された拡散板がCCFLの外部に配置された照明装置
実施例1において、緑色蛍光体(SrGa24:Eu)に代えて(Sr,Ba,Ca,Mg)2SiO4:Euを使用して、緑色蛍光体(Sr,Ba,Ca,Mg)2SiO4:Euの1/10残光時間を評価した。
【0192】
実施例1と同様にして、緑色蛍光体(Sr,Ba,Ca,Mg)2SiO4:Euを拡散板16に塗布し、この拡散板、及び、内壁に青色蛍光体(Srx,Bay,Caz,Mg(1-x-y-z)5(PO43Cl:Eu、赤色蛍光体Y23:Euが塗布されたCCFLによって、照明装置を構成してこれを液晶パネルのバックライトとした。このバックライトにおける緑色蛍光体(Sr,Ba,Ca,Mg)2SiO4:Euの1/10残光時間も約0.2msecであった。
【0193】
実施例3:拡散板に塗布された緑色蛍光体の色度
色度の異なる緑色蛍光体SrGa24:Eu、(Sr,Ba)SiO4:Euを用いて、拡散板16に緑色蛍光体層を形成し、緑色蛍光体の色度を測定した。これら蛍光体SrGa24:Eu、(Sr,Ba)SiO4:Euは、Eu2+を含むために、蛍光の残光時間は短い。
【0194】
(1)緑色蛍光体SrGa24:Euを用いた場合
エチルセルロース6gをテルピネオール300mLに溶解させてバインダーを作成し、このバインダー20mLに対し5gの蛍光体を混合してペースト状とし、印刷法により拡散板16に1層塗布した。緑色蛍光体の色度点は、(0.2640,0.6555)であった。
【0195】
(2)(Sr,Ba)SiO4:Euを用いた場合
エチルセルロース6gをテルピネオール300mLに溶解させてバインダーを作成し、このバインダー20mLに対し6.6gの蛍光体を混合してペースト状とし、印刷法により拡散板16に1層塗布した。緑色蛍光体の色度点は、(0.2740,0.6104)であった。
【0196】
(3)SrGa24:Eu、及び、(Sr,Ba)SiO4:Euを用いた場合
SrGa24:Eu蛍光体をバインダー20mLに対し2.5gの蛍光体を混合してペースト状とし、第1の拡散板に1層塗布(厚さ10μm)した。また、(Sr,Ba)SiO4:Eu蛍光体をバインダー20mLに対し3.3gの蛍光体を混合しペースト状とし、第2の拡散板に1層塗布(厚さ10μm)した。
【0197】
第1の拡散板と第2の拡散板を重ね合わせて評価すると、緑色蛍光体全体による色度は(0.2690,0.6342)になった。緑色蛍光体の色度点は、SrGa24:Euのみを使った時の色度点と(Sr,Ba)SiO4:Eu蛍光体のみを使った時の色度点の中間点(0.2690,0.6330)に略一致した。即ち、色度の異なる2種類の蛍光体を用いて、2種類の蛍光体の色度点の中間点に略一致する色度を得ることができる。
【0198】
また、SrGa24:Eu蛍光体をバインダー20mLに対し2.5gの蛍光体を混合してペースト状とし、拡散板16に1層塗布(厚さ10μm)し硬化させ、第1の蛍光体層18aとする。更に、(Sr,Ba)SiO4:Eu蛍光体をバインダー20mLに対し3.3gの蛍光体を混合しペースト状とし、第1の蛍光体層18a上に1層塗布(厚さ10μm)し硬化させ、第2の蛍光体層18bとする。拡散板16上に、第1の蛍光体層18a及び第2の蛍光体層18bが形成されてなる拡散層23による色度も、上記と同様である。
【0199】
比較例(その1)
比較例として、通常のCCFLにおける緑色蛍光体の残光時間を、CCFLの励起を停止した直後を0として、緑色蛍光の輝度が1/10に減少した時点までの時間を1/10残光時間として評価した。CCFLにおける緑色蛍光体の残光時間の測定は、CCFLの交流電源を停止した後の緑色蛍光の強度を、緑色波長領域の光を選択的に透過させる緑色カラーフィルタを通して、ピンダイオードでモニターし、オシロスコープで緑色蛍光の減衰を観察することによって行った。
【0200】
比較例1:
ガラス管の内面に青色蛍光体(Srx,Bay,Caz,Mg(1-x-y-z)5(PO43Cl:Eu、緑色蛍光体BaMgAl1017:Eu,Mn、赤色蛍光体Y23:Euが塗布されたCCFLにおける、緑色蛍光体BaMgAl1017:Eu,Mnの1/10残光時間は12msecであった。
【0201】
比較例2:
ガラス管の内面に青色蛍光体(Srx,Bay,Caz,Mg(1-x-y-z)5(PO43Cl:Eu、緑色蛍光体LaPO4:Tb、赤色蛍光体Y23:Euが塗布されたCCFLにおける、緑色蛍光体LaPO4:Tbの1/10残光時間は10msecであった。
【0202】
上述の比較例1、比較例2のように緑色蛍光体の発光中心がMn2+若しくはTb3+である場合には、1/10残光時間は12msec、10msecと長いが、実施例1、実施例2のように緑色蛍光体の発光中心がEu2+である場合には、1/10残光時間は約0.2msecであり、比較例における1/10残光時間の1/(約30〜40)以下と短いので、高速動画特性を向上させることができる。
【0203】
即ち、60Hz〜120Hzで蛍光ランプを点滅させても、蛍光ランプに使用されている蛍光体の1/10残光時間が約0.2msecと短いので、緑色蛍光体の残像による影響はなく、良好な動画特性を保持することができる。
【0204】
蛍光発光のメカニズムがEu2+と同じであるCe3+を含む蛍光体を使用すれば、上述の実施例と同様に、1/10残光時間は短いものとなり、高速動画特性を向上させることができる。
【0205】
Ce3+を含む蛍光体の例としてガーネット構造を有する蛍光体が挙げられ、Y3Al3Ga212:Ce(発光中心波長540nm)、Y2GdAl3Ga212:Ce(発光中心波長555nm)、YGd2Al3Ga212:Ce(発光中心波長562nm)、Gd3Al3Ga212:Ce(発光中心波長570nm)等の蛍光体を緑色蛍光体として使用することができる。
【0206】
実施例(その2)
拡散板16に形成された緑色蛍光体層18を有する図2に示す拡散層23の作製における、緑色蛍光体層18の形成に使用する塗料の組成、粘度の条件を検討した。拡散板(蛍光体シート)による色度分布のムラは目視で確認した。
【0207】
また、図2に示す蛍光体層23と蛍光ランプ40からなる照明装置を構成して、緑色蛍光体の残光時間を、蛍光ランプの励起を停止した直後を0として、緑色蛍光の輝度が1/10に減少した時点までの時間を1/10残光時間として評価した。拡散板に形成された緑色蛍光体層の残光時間の測定は、蛍光ランプの交流電源を停止した後の緑色蛍光の強度を、緑色波長領域の光を選択的に透過させる緑色カラーフィルタを通して、ピンダイオードでモニターし、オシロスコープで緑色蛍光の減衰を観察することによって、行った。
【0208】
実施例1A:緑色蛍光体(SrGa24:Eu)層が形成された拡散板がCCFLの外部に配置された照明装置
熱可塑性ウレタン樹脂(DIC社製:パンデックスT−5265L)1.5gをエチルメチルケトン3.0gに溶解し、これに緑色蛍光体SrGa24:Eu、1.0gを混合して攪拌し塗料(塗布液)を調製し、これをバーコーターで拡散板16に塗布した。この塗料の粘度は、Pheometric Scientific社の装置pheosol-G3000を使用し、温度25℃(以下に説明する各実施例及び比較例においても同様である。)、80(1/sec)のせん断速度において4,000mPa・s(4Pa・s)であった。塗布膜の厚みは、20μmであった。
【0209】
この拡散板、及び、内壁に青色蛍光体(Srx,Bay,Caz,Mg(1-x-y-z)5(PO43Cl:Eu、赤色蛍光体Y23:Euが塗布されたCCFLによって、照明装置を構成してこれを液晶パネルのバックライトとした。液晶パネルにバックライトを取り付け点灯させた時に、白色の色度点が(0.300,0.300)近辺になるように、青色蛍光体(Srx,Bay,Caz,Mg(1-x-y-z)5(PO43Cl:Euと赤色蛍光体Y23:Euの重量比を試行錯誤によって探索して、青色蛍光体と赤色蛍光体の混合体をCCFLに塗布した。探索テストは、32インチの液晶テレビを使用して行った。
【0210】
探索テストの結果得られた重量比(青色蛍光体:赤色蛍光体)=73:27の青色蛍光体と赤色蛍光体の混合体が塗布されたCCFL、及び、緑色蛍光体(SrGa24:Eu)が塗布された拡散板によって照明装置を構成し、これをバックライトとして液晶パネルに取り付けた結果、白色色度は(0.3024,0.3077)となった。このバックライトを取り出して、緑色蛍光体の残光特性を評価した結果、緑色蛍光体(SrGa24:Eu)の1/10残光時間は約0.2msecであった。また、拡散板(蛍光体シート)による色度分布のムラは目視で確認できなかった。
【0211】
実施例2A:緑色蛍光体(SrGa24:Eu)層が形成された拡散板がCCFLの外部に配置された照明装置
熱可塑性ウレタン樹脂(DIC社製:パンデックスT−5265H)1.5gをシクロヘキサノン6.6gに溶解し、これに緑色蛍光体SrGa24:Eu、0.53gを混合して攪拌し塗料を調製し、これをバーコーターで拡散板16に塗布した。この塗料の粘度は、80(1/sec)のせん断速度において20,000mPa・s(20Pa・s)であった。塗布膜の厚みは、20μmであった。
【0212】
この拡散板、及び、内壁に青色蛍光体(Srx,Bay,Caz,Mg(1-x-y-z)5(PO43Cl:Eu、赤色蛍光体Y23:Euが塗布されたCCFLによって、照明装置を構成してこれを液晶パネルのバックライトとした。液晶パネルにバックライトを取り付け点灯させた時に、白色の色度点が(0.300,0.300)近辺になるように、青色蛍光体(Srx,Bay,Caz,Mg(1-x-y-z)5(PO43Cl:Euと赤色蛍光体Y23:Euの重量比を試行錯誤によって探索して、青色蛍光体と赤色蛍光体の混合体をCCFLに塗布した。探索テストは、32インチの液晶テレビを使用して行った。
【0213】
バックライトを液晶パネルに取り付けた結果、白色色度は(0.3024,0.3077)となった。このバックライトを取り出して、緑色蛍光体の残光特性を評価した結果、緑色蛍光体(SrGa24:Eu)の1/10残光時間は約0.2msecであった。また、拡散板(蛍光体シート)による色度分布のムラは目視で確認できなかった。
【0214】
実施例3A:緑色蛍光体(SrGa24:Eu)層が形成された拡散板がCCFLの外部に配置された照明装置
アクリルモノマー(日本化薬社製:KAYARAD DPHA(ジペンタエリスリトールアクリレート))1.5gに、緑色蛍光体SrGa24:Eu、1.0gを混合して攪拌し塗料を調製し、これをバーコーターで拡散板16に塗布した。この塗料の粘度は、80(1/sec)のせん断速度において10,000mPa・s(10Pa・s)であった。塗布膜の厚みは、20μmであった。
【0215】
この拡散板、及び、内壁に青色蛍光体(Srx,Bay,Caz,Mg(1-x-y-z)5(PO43Cl:Eu、赤色蛍光体Y23:Euが塗布されたCCFLによって、照明装置を構成してこれを液晶パネルのバックライトとした。液晶パネルにバックライトを取り付け点灯させた時に、白色の色度点が(0.300,0.300)近辺になるように、青色蛍光体(Srx,Bay,Caz,Mg(1-x-y-z)5(PO43Cl:Euと赤色蛍光体Y23:Euの重量比を試行錯誤によって探索して、青色蛍光体と赤色蛍光体の混合体をCCFLに塗布した。探索テストは、32インチの液晶テレビを使用して行った。
【0216】
バックライトを液晶パネルに取り付けた結果、白色色度は(0.3024,0.3077)となった。このバックライトを取り出して、緑色蛍光体の残光特性を評価した結果、緑色蛍光体(SrGa24:Eu)の1/10残光時間は約0.2msecであった。また、拡散板(蛍光体シート)による色度分布のムラは目視で確認できなかった。
【0217】
実施例4A:緑色蛍光体((Sr,Ba,Ca,Mg)2SiO4:Eu)層が形成された拡散板がCCFLの外部に配置された照明装置
実施例1Aにおいて、緑色蛍光体(SrGa24:Eu)に代えて(Sr,Ba,Ca,Mg)2SiO4:Euを使用して、緑色蛍光体(Sr,Ba,Ca,Mg)2SiO4:Euの1/10残光時間を評価した。
【0218】
実施例1Aと同様にして、緑色蛍光体(Sr,Ba,Ca,Mg)2SiO4:Euを含む塗料を拡散板に塗布し、この拡散板、及び、内壁に青色蛍光体(Srx,Bay,Caz,Mg(1-x-y-z)5(PO43Cl:Eu、赤色蛍光体Y23:Euが塗布されたCCFLによって、照明装置を構成してこれを液晶パネルのバックライトとした。このバックライトにおける緑色蛍光体(Sr,Ba,Ca,Mg)2SiO4:Euの1/10残光時間も約0.2msecであった。
【0219】
実施例2Aと同様にして、緑色蛍光体(Sr,Ba,Ca,Mg)2SiO4:Euを含む塗料を拡散板16に塗布し、この拡散板、及び、内壁に青色蛍光体(Srx,Bay,Caz,Mg(1-x-y-z)5(PO43Cl:Eu、赤色蛍光体Y23:Euが塗布されたCCFLによって、照明装置を構成してこれを液晶パネルのバックライトとした。このバックライトにおける緑色蛍光体(Sr,Ba,Ca,Mg)2SiO4:Euの1/10残光時間も約0.2msecであった。
【0220】
実施例5A:拡散板に塗布された緑色蛍光体の色度
色度の異なる緑色蛍光体SrGa24:Eu、(Sr,Ba)SiO4:Euを含む塗料を用いて、拡散板16に緑色蛍光体層を形成し、緑色蛍光体の色度を測定した。これら蛍光体SrGa24:Eu、(Sr,Ba)SiO4:Euは、Eu2+を含むために、蛍光の残光時間は短い。
【0221】
(1)緑色蛍光体SrGa24:Euを用いた場合
ウレタン樹脂(DIC社製:パンデックスT−5265L)1.5gをエチルメチルケトン3.0gに溶解し、これに、緑色蛍光体SrGa24:Eu、1.0gを混合して攪拌し塗料(塗布液)を調製し、これをバーコーターで拡散板16に塗布した。この塗料の粘度は、80(1/sec)のせん断速度において4,010mPa・s(4.01Pa・s)であった。塗布膜の厚みは、20μmであった。緑色蛍光体の色度点は、(0.2640,0.6555)であった。
【0222】
(2)(Sr,Ba)SiO4:Euを用いた場合
ウレタン樹脂(DIC社製:パンデックスT−5265L)1.5gをエチルメチルケトン3.0gに溶解し、これに、緑色蛍光体SrGa:Eu、1.3gを混合して攪拌し塗料(塗布液)を調製し、これをバーコーターで拡散板16に塗布した。この塗料の粘度は、80(1/sec)のせん断速度において4,005mPa・s(4.005Pa・s)であった。塗布膜の厚みは、21μmであった。緑色蛍光体の色度点は、(0.2740,0.6104)であった。
【0223】
(3)SrGa24:Eu、及び、(Sr,Ba)SiO4:Euを用いた場合
ウレタン樹脂(DIC社製:パンデックスT−5265L)1.5gをエチルメチルケトン3.0gに溶解し、これにSrGa24:Eu蛍光体を0.5g混合して塗料とし、第1の拡散板にバーコーターにて塗布(厚さ20μm)した。また、ウレタン樹脂(DIC社製:パンデックスT−5265L)1.5gをエチルメチルケトン3.0gに溶解し、これに(Sr,Ba)SiO4:Eu蛍光体を0.7g混合して塗料とし、第2の拡散板にバーコーターにて塗布した(厚さ20μm)した。
【0224】
第1の拡散板と第2の拡散板を重ね合わせて評価すると、緑色蛍光体全体による色度は(0.2690,0.6342)になった。緑色蛍光体の色度点は、SrGa24:Euのみを使った時の色度点と(Sr,Ba)SiO4:Eu蛍光体のみを使った時の色度点の中間点(0.2690,0.6330)に略一致した。即ち、色度の異なる2種類の蛍光体を用いて、2種類の蛍光体の色度点の中間点に略一致する色度を得ることができる。
【0225】
また、ウレタン樹脂(DIC社製:パンデックスT−5265L)1.5gをエチルメチルケトン3.0gに溶解し、これにSrGa24:Eu蛍光体を0.5g混合して塗料とし、これを拡散板16にバーコーターにて塗布(厚さ20μm)し、硬化させ、第1の蛍光体層18aとする。更に、ウレタン樹脂(DIC社製:パンデックスT−5265L)1.5gをエチルメチルケトン3.0gに溶解し、これに(Sr,Ba)SiO4:Eu蛍光体を0.7g混合して塗料とし、これを第1の蛍光体層18a上にバーコーターにて塗布(厚さ20μm)し硬化させ、第2の蛍光体層18bとする。拡散板16上に、第1の蛍光体層18a及び第2の蛍光体層18bが形成されてなる拡散層23による色度も、上記と同様である。
【0226】
比較例(その2)
また、比較例として、通常のCCFLにおける緑色蛍光体の残光時間を、CCFLの励起を停止した直後を0として、緑色蛍光の輝度が1/10に減少した時点までの時間を1/10残光時間として評価した。CCFLにおける緑色蛍光体の残光時間の測定は、CCFLの交流電源を停止した後の緑色蛍光の強度を、緑色波長領域の光を選択的に透過させる緑色カラーフィルタを通して、ピンダイオードでモニターし、オシロスコープで緑色蛍光の減衰を観察することによって行った。また、拡散板(蛍光体シート)による色度分布のムラは目視で確認した。
【0227】
比較例1A:
ウレタン樹脂(DIC社製:パンデックスL)1.5gをエチルメチルケトン5.0gに溶解し、これに、緑色蛍光体SrGa24:Eu、1.0gを混合して攪拌し塗料(塗布液)を調製し、これをバーコーターで拡散板に塗布した。この塗料の粘度は、80(1/sec)のせん断速度において3,500mPa・s(3.5Pa・s)であった。塗布膜の厚みは、20μmであった。この拡散板を用いたバックライトを液晶パネルに取り付けた結果、目視にて色度が部分的に変化していることが確認できた。
【0228】
比較例1B:
ウレタン樹脂(DIC社製:パンデックスL)1.5gをシクロヘキサノン3.0gに溶解し、これに、緑色蛍光体SrGa24:Eu、1.0gを混合して攪拌し塗料(塗布液)を調製した。この塗料の粘度は、80(1/sec)のせん断速度において28,000mPa・s(28Pa・s)であった。これをバーコーターで拡散板に塗布しようとしたが、塗布液が広がらず塗布できなかった。
【0229】
比較例1C:
ガラス管の内面に青色蛍光体(Srx,Bay,Caz,Mg(1-x-y-z)5(PO43Cl:Eu、緑色蛍光体BaMgAl1017:Eu,Mn、赤色蛍光体Y23:Euを含む塗料が塗布されたCCFLにおける、緑色蛍光体BaMgAl1017:Eu,Mnの1/10残光時間は12msecであった。
【0230】
比較例1D:
ガラス管の内面に青色蛍光体(Srx,Bay,Caz,Mg(1-x-y-z)5(PO43Cl:Eu、緑色蛍光体LaPO4:Tb、赤色蛍光体Y23:Euを含む塗料が塗布されたCCFLにおける、緑色蛍光体LaPO4:Tbの1/10残光時間は10msecであった。
【0231】
上述の比較例1C、比較例1Dのように緑色蛍光体の発光中心がMn2+若しくはTb3+である場合には、1/10残光時間は12msec、10msecと長いが、実施例1A、実施例2Aのように緑色蛍光体の発光中心がEu2+である場合には、1/10残光時間は約0.2msecであり、比較例における1/10残光時間の1/(約30〜40)以下と短いので、高速動画特性を向上させることができる。
【0232】
即ち、60Hz〜120Hzで蛍光ランプを点滅させても、蛍光ランプに使用されている蛍光体の1/10残光時間が約0.2msecと短いので、緑色蛍光体の残像による影響はなく、良好な動画特性を保持することができる。
【0233】
蛍光発光のメカニズムがEu2+と同じであるCe3+を含む蛍光体を使用すれば、上述の実施例と同様に、1/10残光時間は短いものとなり、高速動画特性を向上させることができる。
【0234】
Ce3+を含む蛍光体の例としてガーネット構造を有する蛍光体が挙げられ、Y3Al3Ga212:Ce(発光中心波長540nm)、Y2GdAl3Ga212:Ce(発光中心波長555nm)、YGd2Al3Ga212:Ce(発光中心波長562nm)、Gd3Al3Ga212:Ce(発光中心波長570nm)等の蛍光体を緑色蛍光体として使用することができる。
【0235】
なお、上述した実施例(その1)及び実施例(その2)における、拡散板16は、光拡散剤としてアクリル樹脂粒子を透明なポリウレタン系樹脂に分散させた塗料を、厚さ188μmのPETフィルム上に、厚さ約30μmで塗布して、硬化させ形成されたものである。
【0236】
実施例(その3)
透明支持板6上に形成された緑色蛍光体を含む光拡散層8を有する拡散フィルム9(図4に示す。)と蛍光ランプ40からなる照明装置を構成して、緑色蛍光体の残光時間を、蛍光ランプの励起を停止した直後を0として、緑色蛍光の輝度が1/10に減少した時点までの時間を1/10残光時間として評価した。拡散フィルム9に形成された緑色蛍光体層の残光時間の測定は、蛍光ランプの交流電源を停止した後の緑色蛍光の強度を、緑色波長領域の光を選択的に透過させる緑色カラーフィルタを通して、ピンダイオードでモニターし、オシロスコープで緑色蛍光の減衰を観察することによって、行った。
【0237】
実施例1B:緑色蛍光体(SrGa24:Eu)を含む光拡散層を有する拡散フィルムがCCFLの外部に配置された照明装置
緑色蛍光体(SrGa24:Eu)微粒子を含み以下の(a)〜(e)の組成を有する塗料を調製し、これを透明支持板6上に塗布した後、乾燥して、拡散層8を形成し、拡散フィルム9を作製した。
(a)緑色蛍光体微粒子:SrGa24:Eu 15重量%
(b)拡散粒子:PMMA粒子(8μm径) 38重量%
(c)バインダー:ユニディックV4263(大日本インキ工業社製) 37重量%
(d)光重合開始剤:ダロキュア1173 0.6重量%
(e)溶剤:メチルエチルケトン 9.4重量%
上記(a)〜(e)を攪拌装置(HM−800:キーエンス社製)にて1分間攪拌して塗料とした。基材(透明支持板6)をPET(A4300:東洋紡績社製)(厚さ188μm)とし、上記塗料をバーコーターで塗布した。塗布後、80℃で2分間乾燥し、高圧水銀ランプにて、1000mJ/cm2のエネルギーを照射して塗膜を硬化させ、拡散フィルム9を作製した。塗布膜の厚みは、25μmであった。
【0238】
なお、ユニディックV4263(大日本インキ工業社製)はウレタンアクリレートであり、アルキルフェノン系光重合開始剤、例えば、ダロキュア1173(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)を用いて反応が促進される紫外線硬化型樹脂である。
【0239】
また、拡散粒子として使用されるPMMA粒子として、テクノポリマー(積水化成品工業社製)を使用することができる。
【0240】
この拡散フィルム、及び、内壁に青色蛍光体(Srx,Bay,Caz,Mg(1-x-y-z)5(PO43Cl:Eu、赤色蛍光体Y23:Euが塗布されたCCFLによって、照明装置を構成してこれを液晶パネルのバックライトとした。液晶パネルにバックライトを取り付け点灯させた時に、白色の色度点が(0.300,0.300)近辺になるように、青色蛍光体(Srx,Bay,Caz,Mg(1-x-y-z)5(PO43Cl:Euと赤色蛍光体Y23:Euの重量比を試行錯誤によって探索して、青色蛍光体と赤色蛍光体の混合体をCCFLに塗布した。探索テストは、32インチの液晶テレビを使用して行った。
【0241】
探索テストの結果得られた重量比(青色蛍光体:赤色蛍光体)=73:27の青色蛍光体と赤色蛍光体の混合体が塗布されたCCFL、及び、緑色蛍光体(SrGa24:Eu)が塗布された拡散板によって照明装置を構成し、これをバックライトとして液晶パネルに取り付けた結果、白色色度は(0.3024,0.3077)となった。このバックライトを取り出して、緑色蛍光体の残光特性を評価した結果、緑色蛍光体(SrGa24:Eu)の1/10残光時間は約0.2msecであった。また、蛍光体を含む拡散フィルムの塗布膜厚ムラによる色図分布は目視で確認できなかった。また、光拡散機能は良好であった。
【0242】
実施例2B:緑色蛍光体(SrGa24:Eu)を含む光拡散層を有する拡散フィルムがCCFLの外部に配置された照明装置
実施例1Bにおいて、バインダーをV4263(大日本インキ工業社製)からT5265L(大日本インキ工業社製)に代えて、以下の(a)〜(d)の組成を有する塗料を調製し、これを透明支持板6上に塗布した後、乾燥して、拡散層8を形成し、拡散フィルム9を作製した。
(a)緑色蛍光体微粒子:SrGa24:Eu: 10重量%
(b)拡散粒子:PMMA粒子(8μm径) 27重量%
(c)バインダー:T5265L(大日本インキ工業社製) 21重量%
(d)溶剤:メチルエチルケトン 42重量%
上記(a)〜(d)を攪拌装置(HM−800:キーエンス社製)にて1分間攪拌して塗料とした。基材(透明支持板6)をPET(A4300:東洋紡績社製)(厚さ188μm)とし、上記塗料をバーコーターで塗布した。塗布後、80℃にて2分間乾燥させ、拡散フィルム9を作製した。塗布膜の厚みは、25μmであった。評価は、実施例1Bと同様に行った。結果は同等であった。
【0243】
実施例3B:緑色蛍光体(SrGa24:Eu)を含む光拡散層を有する拡散フィルムがCCFLの外部に配置された照明装置
実施例1Bにおいて、バインダーをV4263(大日本インキ工業社製)からバイロン885(東洋紡績社製)に代えて、以下の(a)〜(d)の組成を有する塗料を調製し、これを透明支持板6上に塗布した後、乾燥して、拡散層8を形成し、拡散フィルム9を作製した。
(a)緑色蛍光体微粒子:SrGa24:Eu: 10重量%
(b)拡散粒子:PMMA粒子(8μm径) 27重量%
(c)バインダー:バイロン885(東洋紡績社製) 21重量%
(d)溶剤:メチルエチルケトン 42重量%
上記(a)〜(d)を攪拌装置(HM−800:キーエンス社製)にて1分間攪拌して塗料とした。基材(透明支持板6)をPET(A4300:東洋紡績社製)(厚さ188μm)とし、上記塗料をバーコーターで塗布した。塗布後、80℃にて2分間乾燥させ、拡散フィルム9を作製した。塗布膜の厚みは、25μmであった。評価は、実施例1Bと同様に行った。結果は同等であった。なお、バイロン885(東洋紡績社製)は、メチルエチルケトン、トルエン等の汎用有機溶媒にかようなポリエステル樹脂である。
【0244】
実施例4B:緑色蛍光体(SrGa24:Eu)を含む光拡散層を有する拡散フィルムがCCFLの外部に配置された照明装置
実施例2Bにおいて、拡散粒子を除いた以下の(a)、(c)、(d)の組成を有する塗料を調製し、これを透明支持板6上に塗布した後、乾燥して、拡散層8を形成し、拡散フィルム9を作製した。
(a)緑色蛍光体微粒子:SrGa24:Eu 18重量%
(c)バインダー:T5265L(大日本インキ工業社製) 27重量%
(d)溶剤:メチルエチルケトン 55重量%
上記(a)、(c)、(d)を攪拌装置(HM−800:キーエンス社製)にて1分間攪拌して塗料とした。基材(透明支持板6)をPET(A4300:東洋紡績社製)(厚さ188μm)とし、上記塗料をバーコーターで塗布した。塗布後、80℃にて2分間乾燥させ、拡散フィルム9を作製した。塗布膜の厚みは、23μmであった。評価は、実施例1Bと同様に行った。結果は同等であった。
【0245】
実施例5B:緑色蛍光体(SrGa24:Eu)を含む光拡散層を有する拡散フィルムがCCFLの外部に配置された照明装置
実施例3Bにおいて、拡散粒子を除いた以下の(a)、(c)、(d)の組成を有する塗料を調製し、これを透明支持板6上に塗布した後、乾燥して、拡散層8を形成し、拡散フィルム9を作製した。
【0246】
拡散粒子を除いて以下の組成とした。
(a)緑色蛍光体微粒子:SrGa24:Eu 18重量%
(c)バインダー:バイロン885(東洋紡績社製) 30重量%
(d)溶剤:メチルエチルケトン 52重量%
上記(a)、(c)、(d)を攪拌装置(HM−800:キーエンス社製)にて1分間攪拌して塗料とした。基材をPET(A4300:東洋紡績社製)とし、上記塗料をバーコーターで塗布した。塗布後、80℃にて2分間乾燥させ、拡散フィルム9を作製した。塗布膜の厚みは、22μmであった。評価は、実施例1Bと同様に行った。結果は同等であった。
【0247】
実施例6B:緑色蛍光体((Sr,Ba,Ca,Mg)2SiO4:Eu)を含む光拡散層を有する拡散フィルムがCCFLの外部に配置された照明装置
実施例1Bにおいて、緑色蛍光体を(SrGa24:Eu)に代えて(Sr,Ba,Ca,Mg)2SiO4:Euを使用して、塗料を調製し、これを透明支持板6上に塗布した後、乾燥して、拡散層8を形成し、拡散フィルム9を作製し、緑色蛍光体(Sr,Ba,Ca,Mg)2SiO4:Euの1/10残光時間を評価した。
【0248】
実施例1Bと同様にして、緑色蛍光体(Sr,Ba,Ca,Mg)2SiO4:Euを含む拡散板フィルムを作製し、この拡散板フィルム、及び、内壁に青色蛍光体(Srx,Bay,Caz,Mg(1-x-y-z)5(PO43Cl:Eu、赤色蛍光体Y23:Euが塗布されたCCFLによって、照明装置を構成してこれを液晶パネルのバックライトとした。このバックライトにおける緑色蛍光体(Sr,Ba,Ca,Mg)2SiO4:Euの1/10残光時間も約0.2msecであった。
【0249】
実施例7B:2種類の緑色蛍光体(SrGa24:Eu、(Sr,Ba,Ca,Mg)2SiO4:Eu)を含む光拡散層を有する拡散フィルムがCCFLの外部に配置された照明装置
実施例1Bにおいて、色度調整について2種類の緑色蛍光体(SrGa24:Eu、(Sr,Ba,Ca,Mg)2SiO4:Eu)を使用して、以下の(a1)、(a2)、(b)〜(e)の組成を有する塗料を調製し、これを透明支持板6上に塗布した後、乾燥して、拡散層8を形成し、拡散フィルム9を作製した。
(a1)緑色蛍光体:SrGa24:Eu 11重量%
(a2)緑色蛍光体:Sr,Ba)SiO4:Eu 14重量%
(b)拡散粒子:PMMA粒子(8μm径) 32重量%
(c)バインダー:ユニディックV4263(大日本インキ工業社製) 33重量%
(d)溶剤:メチルエチルケトン 9.4重量%
(e)光重合開始剤:ダロキュア1173 0.6重量%
上記(a1)、(a2)、(b)〜(e)を攪拌装置(HM−800:キーエンス社製)にて1分間攪拌して塗料とした。基材(透明支持板6)をPET(A4300:東洋紡績社製)(厚さ188μm)とし、上記塗料をバーコーターで塗布した。塗布後、80℃で2分間乾燥し、高圧水銀ランプにて、1000mJ/cm2のエネルギーを照射して塗膜を硬化させ、拡散フィルム9を作製した。塗布膜の厚みは、25μmであった。
【0250】
上記2種類の蛍光体微粒子をそれぞれ単独で添加した場合の色度は(0.2640,0.6555)、(0.2740,0.6104)であったのに対し、実施例7Bにおける2種類の蛍光体微粒子混合系においては、(0.2690,0.6342)であった。これは、それぞれの蛍光体を含む拡散フィルムの色度点の中間点(0.2690,0.6330)に略一致した。即ち、色度の異なる2種類の蛍光体を用いて、2種類の蛍光体の色度点の中間点に略一致する色度を得ることができる。
【0251】
比較例(その3)
比較例2A:
実施例1Bにおいて、拡散微粒子を除いた組成を有する塗料を調製し、これを透明支持板6上に塗布した後、乾燥して、拡散層8を形成し、拡散フィルム9を作製した。この拡散フィルムでは、拡散性が劣り目視で輝度の分布が確認された。
【0252】
比較例2B:
実施例1Bにおいて、混合する拡散微粒子を減らした、以下の(a)〜(e)の組成を有する塗料を調製し、これを透明支持板6上に塗布した後、乾燥して、拡散層8を形成し、拡散フィルム9を作製した。この拡散フィルムでは、拡散性が劣り目視で輝度の分布が確認された。
(a)緑色蛍光体微粒子:SrGa24:Eu 16重量%
(b)拡散粒子:PMMA粒子(8μm径) 16重量%
(c)バインダー:ユニディックV4263(大日本インキ工業社製) 64重量%
(d)溶剤:メチルエチルケトン 3.4重量%
(e)光重合開始剤:ダロキュア1173 0.6重量%
【0253】
以上の実施の形態の説明では、特定の蛍光体を使用した照明装置を例にとって説明したが、これに限定されるものではない。例えば、図1〜図10に示す構成において、以下に示すような蛍光体を使用することができる。120Hzで蛍光ランプを点滅させて高速動画表示を行う場合には、蛍光体の1/10残光時間が0.2msec以下であればよい。
【0254】
青色から青緑色系領域に発光色を有する青色無機蛍光体として、アルカリ土類金属ハロゲンアパタイト蛍光体、アルカリ土類金属ホウ酸ハロゲン塩蛍光体、アルカリ土類金属アルミン酸塩蛍光体、アルカリ土類金属酸窒化ケイ素塩蛍光体、アルカリ土類金属窒化ケイ素塩蛍光体等を使用することができる。
【0255】
具体的には、Ca10(PO46Cl2:Eu、Sr10(PO46Cl2:Eu、(Sr,Mg,Ca)10(PO46Cl2:Eu、(Sr,Ca)10(PO46Cl2:Eu、(Sr,Ca)10(PO46Cl2・nB23:Eu、(Sr,Ca,Ba)5(PO43Cl:Eu、(Ba,Ca,Mg)5(PO43Cl:Eu、(Ba,Sr)5(PO43(F,Cl):Eu、Sr5(PO43Cl:Eu、(Sr,Mg)227:Eu、Sr227:Eu、BaMgAl1017:Eu、(Ba,Mg)Al1017:Eu、BaMg2Al1627:Eu、(Ba,Mg)2Al1527:Eu、Sr4Al1425:Eu、Ba3MgSi28:Eu、Ca259Cl:Eu、BaSi222:Eu、SrS:Eu、(Ca,Ba,Sr)S:Eu、Y2SiO5:Ce、La0.7Gd0.3OBr:Ce等を使用することができる。
【0256】
緑色から橙色系領域に発光色を有する緑色無機蛍光体として、ガーネット構造を有する希土類アルミン酸塩系蛍光体、少なくともEuで付活されたアルカリ土類金属アルミン酸塩蛍光体、少なくともEuで付活されたアルカリ土類金属珪酸塩蛍光体、少なくともEu若しくはCeで付活されたアルカリ土類金属酸窒化珪素蛍光体、少なくともEu若しくはCeで付活されたアルカリ土類金属硫化ガリウム蛍光体等を使用することができる。
【0257】
具体的には、SrGa24:Eu、(Sr,Ca,Ba)(Al,Ga)24:Eu、(Ca,Sr,Ba)Ga24:Eu、BaAl24:Eu、SrAl24:Eu、(Ba,Sr)Al24:Eu、CaAl24:Eu、Sr4Al425:Eu、Ba2SiO4:Eu、(Sr,Ba,Mg)2SiO4:Eu、(Ba,Sr)2SiO4:Eu、Ba2MgSi27:Eu、Ca3(1-x)Mg3Si428:Eux、Ba2(Mg,Zn)Si27:Eu、BaSi222:Eu、(Sr,Ca)Si222:Eu、β−SiAlON:Eu、Lu3Al512:Ce、Y3Al512:Ce、Y3(Al,Ga)512:Ce、(Y,Gd)3Al512:Ce、Y2(Al,Ga)512:Ce、Ca3Sc2Si312:Ce等を使用することができる。
【0258】
橙色から赤色系領域に発光色を有する赤色無機蛍光体として、単斜晶又は斜方晶のアルカリ土類金属窒化珪素蛍光体等を使用することができる。
【0259】
具体的には、Ca2Si58:Eu、Sr2Si58:Eu、(Sr,Ca)2Si58:Eu、Ba2Si58:Eu、CaAlSiN3:Eu、YVO4:Eu、Y(P,V)O4:Eu、Sr2CeO4:Eu、(Y,Gd)BO3:Eu、SrS:Eu、CaS:Eu、Ca,Sr)S:Eu、(CaBaSr)S:Eu、Y23:Eu、Gd22S:Eu、La22S:Eu、Y22S:Eu、SrY24:Eu等を使用することができる。
【0260】
また、照明装置を構成する蛍光ランプは、図1〜図10に示したような直線状をなす直管型蛍光ランプに限定されるものではなく、U字状、スパイラル状等の曲線状をなす曲管型蛍光ランプであってもよい。更に、照明装置を構成する蛍光ランプの本数は任意に設定可能である。
【0261】
また、緑色蛍光体層18が形成される拡散板16は、各種の公知の光拡散剤を含むものであってもよい。緑色蛍光体を含む拡散層(光拡散層)8は、緑色蛍光体の他に、光拡散粒子としてPMMA(ポリメタクリル酸メチル)粒子、架橋ポリスチレン(PS)粒子等の樹脂微粒子や、無機材料からなる微粒子も使用することができる。緑色蛍光体層18の形成や、緑色蛍光体を含む拡散層(光拡散層)8の形成には、各種のバインダー(結合剤)を使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0262】
以上説明したように、本発明によれば、高速動画表示を行う液晶表示装置に好適に使用することができる、蛍光ランプを有する照明装置及びこれを用いた表示装置、並びに光拡散フィルムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0263】
【図1】本発明の実施の形態における、蛍光ランプの外部に緑色蛍光体を配置した照明装置の概略構成を説明する断面図である。
【図2】同上、蛍光ランプの外部に緑色蛍光体を配置した照明装置の概略構成を説明する断面図である。
【図3】同上、蛍光ランプの外部に複数種類の緑色蛍光体を配置した照明装置の概略構成を説明する断面図である。
【図4】同上、蛍光ランプの外部に緑色蛍光体を配置した照明装置の概略構成を説明する断面図である。
【図5】同上、直下型バックライトを使用した液晶表示装置の概略構成を説明する断面図である。
【図6】同上、直下型バックライトを使用した液晶表示装置の概略構成を説明する断面図である。
【図7】同上、サイドエッジ型バックライトを使用した液晶表示装置の概略構成を説明する断面図である。
【図8】同上、サイドエッジ型バックライトを使用した液晶表示装置の概略構成を説明する断面図である。
【図9】同上、サイドエッジ型バックライトを使用した液晶表示装置の概略構成を説明する断面図である。
【図10】同上、蛍光ランプの外部に緑色蛍光体を配置した照明装置の概略構成を説明する断面図である。
【図11】従来技術における、色順次照明装置に使用するためのランプを示す概略図である。
【図12】同上、可変色蛍光ランプを示す簡略図である。
【符号の説明】
【0264】
1a、1a’、1b、1c、1c’…液晶表示装置、2a、2b、2c…照明装置、
3…液晶パネル、6…透明支持体、8…緑色蛍光体を含む拡散層、9…拡散フィルム、
10a…赤青色蛍光体層、10b…緑色蛍光体層、11、21a…ガラス管、
12a…陰極側内部電極、12b…陽極側内部電極、13a…陽極側導体線、
13b…陽極側導体線、14a…陰極側外部電極、14b…陽極側外部電極、
15…コイル、16…拡散板、18…緑色蛍光体層、18a…緑色蛍光体層−1、
18b…緑色蛍光体層−2、19a…陰極側フィラメント、
19b…陽極側フィラメント、21b…透明被覆膜、22…反射板、23…拡散層、
24…プリズムシート、25…拡散シート、26、26a…導光板、
31A、31B…偏向板、32A、32B…ガラス基板、33…透明画素電極、
34…液晶層、35…透明電極、36…カラーフィルタ、37…ブラックマトリックス、
40…蛍光ランプ、40a…冷陰極蛍光ランプ、40b…熱陰極蛍光ランプ、
40c…外部電極蛍光ランプ、40d…無電極蛍光ランプ、LL…ランプ光、
LO…表示光、LOr…赤色表示光、LOg…緑色表示光、LOb…青色表示光、
WL…白色光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内面に塗布された青色蛍光体、赤色蛍光体によって青色光、赤色光を発光する蛍光ラ
ンプと、
この蛍光ランプの外部に配置され、Eu2+又はCe3+を発光中心とする緑色蛍光体を
含む緑色蛍光体層と
を有し、前記青色光によって前記緑色蛍光体が励起されて発光された緑色光と、前記赤色光及び前記青色光とが混色されて白色光を出射する照明装置。
【請求項2】
前記緑色蛍光体層が前記蛍光ランプの外面に形成された、請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記緑色蛍光体層が前記蛍光ランプの外部に配置された光拡散板上に形成された、請求項1に記載の照明装置。
【請求項4】
異なる種類の前記緑色蛍光体をそれぞれ含む前記緑色蛍光体層が前記光拡散板上に形成された、請求項3に記載の照明装置。
【請求項5】
前記緑色蛍光体層は光拡散性を有し光拡散板を構成する、請求項1に記載の照明装置。
【請求項6】
前記緑色蛍光体層は異なる種類の前記緑色蛍光体を含む、請求項5に記載の照明装置。
【請求項7】
前記緑色蛍光体層は光拡散粒子を含む、請求項5に記載の照明装置。
【請求項8】
前記光拡散粒子が樹脂微粒子である、請求項7に記載の照明装置。
【請求項9】
前記緑色蛍光体の1/10残光時間は、0.2msec以下である、請求項1に記載の照明装置。
【請求項10】
前記蛍光ランプは冷陰極蛍光ランプである、請求項1に記載の照明装置。
【請求項11】
透明なシート状基材と、
樹脂バインダーと、Eu2+又はCe3+を発光中心とする緑色蛍光体を含有し、前記シ
ート状基材上に形成された光拡散層と
を有し、内面に青色蛍光体と赤色蛍光体が塗布され青色光と赤色光を発する蛍光ランプの外部に配置され、前記青色光によって前記緑色蛍光体が励起されて発光された緑色光と、前記赤色光及び前記青色光とが混色されて白色光を出射する照明装置に使用される、光拡散フィルム。
【請求項12】
前記光拡散層は異なる種類の前記緑色蛍光体を含む、請求項11に記載の光拡散フィル
【請求項13】
前記光拡散層は光拡散粒子を含む、請求項11に記載の光拡散フィルム。
【請求項14】
前記光拡散粒子が樹脂微粒子である、請求項13に記載の光拡散フィルム。
【請求項15】
前記緑色蛍光体の1/10残光時間は、0.2msec以下である、請求項11に記載の光拡散フィルム。
【請求項16】
請求項1から請求項10の何れか1項に記載の照明装置を有する表示装置。
【請求項17】
液晶パネルを有する、請求項16に記載の表示装置。
【請求項18】
前記照明装置はバックライトである、請求項16に記載の表示装置。
【請求項19】
画素部を有し、この画素部のオンオフと前記バックライトの点滅とを同期させる、請求項18に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−110932(P2009−110932A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−212774(P2008−212774)
【出願日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】