説明

蛍光染料、合成方法及びその利用

この発明は、構造式Iを有する蛍光染料を提供するものである。式中、XはC(CH3)2、O、SまたはSe、mは1〜18の整数、R1及びR2はH、C1-18アルキル基、OR7、-C1-6アルキル-OR7またはハロゲンからそれぞれ独立に選択したもの、R3はピロリル、イミダゾリル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、グアニジノ基、NHR5またはN(R6)2、R4 はC1-18アルキル基、ベンジルまたは(CH2)mR3、R5は飽和及び/または不飽和、直鎖及び/または分枝鎖のC1-18アルキル基、ヒドロキシアルキル、メルカプトアルキル、アミノアルキル、アシル、フェニル、ナフチル又はベンジル、R6はC2-18アルキル基、R7はHまたはC1-18アルキル基、Y-は陰イオンである。この蛍光染料は生物染色に使われて、また核酸ラベル、血液細胞分析、臨床医療診断、免疫分析測定等の分野に応用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ファインケミカル<fine chemical>産業における新規蛍光染料、それらの合成方法及びその応用、特に単電荷の窒素を含む蛍光染料、それらの合成方法及び当該蛍光染料、その複合体または生物染色のための組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
機能分子としての蛍光染料は、科学技術上のあらゆる分野で広く使われて、特にライフサイエンス<life science>、臨床医療診断、免疫分析測定等における研究は世界で注目されている。現在、フェナントリジン<phenanthridine>系(EB、PI)、アクリジン<acridine>系(AO)、イミダゾール<imidazole>系(Hoechst、DAPI)とシアニン<cyanine>染料系(Cy、TOTO、SYTO)等の商品化された蛍光染料は、ゲノミクス<genomics>技術、核酸定量測定、血液細胞分析等の分野で大きな役割を果たしている。しかしながら、これらの染料はそれぞれ利用上の局限性がある。第一、主に大部分の蛍光染料は固定細胞サンプルに制限されることである。例えば、TOPRO、TOTO族染料、エチジウムブロミド(EB)、ヨウ化プロピジウム(PI)等は、細胞膜の透過性を増大して、または膜を崩壊することによって、ようやく生体サンプルに有効な蛍光ラベルを付けられる。しかしながら、このような固定方法は細胞と生物組織の実態への観察に悪い影響を与えることがある[Kozubek S, Lukasova E, Amrichova J, Kozubek M, LiskovaA, Slotova J. Anal Biochem2000;282:29-38]。それとともに、エチジウムブロミド等のアクリジン<acridine>,フェナントリジン<phenanthridine>系染料はひどい毒性と発癌性がある。第二に、数多くの蛍光染料の励起光源は紫外バンドにあり、例えば、デオキシリボ核酸(DNA)を専門に識別できる蛍光染料4’, 6-ジアミノ<diamino>-2-フェニルインドール化合物(DAPI)、Hoechst33258,Hoechst34580等は、DNAと結合すると、紫外線の励起によって、青い蛍光を発生することである。紫外線は細胞内の核酸、蛋白等の成分をひどく傷めるため、このような蛍光は蛍光顕微技術における利用は光励起時間に制限される[Davis SK, Bardeen C, J.Photochem Photobiol 2003;77:675-679]。また、紫外バンドで蛍光測定を行う時、生体サンプルのこのバンドでの吸収は光を生物組織内に入り難くさせるとともに、生体サンプルの中の一部の成分の自己蛍光は強いバックグラウンド<background>干渉を発生して、測定効率を大きく低下させる。従って、蛍光スペクトル<spectrum>性能がよい、毒性が小さい、生細胞通透性である新規蛍光染料の研究・開発は、まだ蛍光分析技術とライフサイエンス<life science>等の発展を推進するキーポイントとなっている。
【0003】
多種類の蛍光染料の中で、シアニン<cyanine>系蛍光染料は波長レンジが広い、モル<mole>吸光係数が大きい、蛍光量子収量が適度である等の特徴を持っているため、生体分子蛍光プローブ<probe>、CD・VCDメモリー材料、感光材料光増感剤、光電転換材料等として、既に広く使われている。その内、キノリン<quinoline>系非対称シアニン<cyanine>系蛍光染料は、核酸と高い親和力があるが、その他の生体高分子とほとんど結合しないという特異性によって、ゲノミクス<genomics>技術、核酸定量測定、血液細胞分析等の分野での応用は他のものと比べられない優位性がある。当該化合物と核酸との結合形態は、静電引力、塩基対はめ込みとスロット<slot>結合を含む。具体的な結合形態と結合力は当該マーカーの構造及び核酸濃度との割合に決められる。非対称シアニン<cyanine>系化合物の中の最も代表的なものは、TOTO、その類似物(YOYO)と派生物類(TOPRPO)である。TOTO(チアゾールオレンジダイマー)、YOYO(オキサゾールイエローダイマー)はGlazer研究チームより開発した1種類の核酸と高い親和力があり、正電荷の多い非対称シアニン<cyanine>系蛍光染料であって、ポリメチレン鎖<polymethylene chain>の長さと両端の芳香核(チアゾール<thiazole>、オキサゾール<oxazole>、キノリン<quinoline>、ビリジン<Viridine>とインドリン<indoline>)の構造を変更することによって、異なるヘテロダイマー<heterodimer>類似物と派生物が得られる。この種類の染料は、溶液の中でほとんど蛍光がなく、測定中の蛍光によるバックグラウンド<background>干渉を減らし、核酸と結合すると、蛍光が増強される。Jason等は溶液粘度測定法と原子力顕微鏡によって、TOTO、YOYOとDNAの二重はめ込み作用を解釈した。[J.A. Bordelon, K.J. Feierabend, S.A.Siddiqui, L.L. Wright. J. Phys. Chem. B, 2002, 106, 4838-3843] Furstenberg等は超速蛍光転換と時間相関シングルフォトンカウンティング<single-photon-counting>法によって、さらに蛍光増強の動力学メカニズム<mechanism>を述べた。[A. Furstenberg, M.D. Julliard, T.G. Deligeorgiec, N.I. Gadjev. J. AM. CHEM.SOC.,2006,128,7661-7669] この種類の染料の中の一部の品種はすでに商品化されており、例えば、SYTOXBlue,TOTO,POPO, BOBO,YO-PRO 等が挙げられる。しかしながら、これらの商品化された染料の中のほとんどのものは、分子が大きく、構造が複雑で、生細胞非透過性であるため、活体外核酸の識別と測定しか使われない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Kozubek S, Lukasova E, Amrichova J, Kozubek M, LiskovaA, Slotova J. Anal Biochem2000;282:29-38
【非特許文献2】Davis SK, Bardeen C, J.Photochem Photobiol 2003;77:675-679
【非特許文献3】J.A. Bordelon, K.J. Feierabend, S.A.Siddiqui, L.L. Wright. J. Phys. Chem. B, 2002, 106,
【非特許文献4】A. Furstenberg, M.D. Julliard, T.G. Deligeorgiec, N.I. Gadjev. J. AM.
【非特許文献5】CHEM.SOC.,2006,128,7661-76694838-3843
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、新規蛍光染料を開発することが必要となり、しかも、この蛍光染料は下記の特徴を備えなければならない。核酸がない場合は、蛍光バックグラウンド<background>が低いこと、核酸と結合すると、高い蛍光量子収量を発生して、しかも、核酸以外の生体分子に親和力がないこと、ある程度の水溶性があって、それとともによい細胞膜透過性があること、スペクトルレンジ<spectrum-range>は生体サンプルのスペクトルレンジ<spectrum-range>と大きな差があること。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、まず、従来の技術の欠点に対して、それらを踏まえて、改良を行って、構造が簡便で、感度が高い、波長が長い、しかもよい細胞膜透過性がある新規化合物を提供するものである。それは下記の構造式Iを有する、
【化1】

式Iの内、
X:C(CH3)2、O、SまたはSe。
m:1〜18の整数。
R1及びR2:それぞれH、C1-18アルキル<alkyl>基、OR7、-C1-6アルキル-OR7及びハロゲン<halogen>より独立に選択したものである。
R3:ピロリル<pyrrolyl>、イミダゾリル基、ピペリジニル<piperidinyl>、ピペラジニル、モルホリニル、グアニジノ<guanidino>基、NHR5及びN(R6)2からなる群より選択したものである。
R4 :C1-18アルキル基、ベンジル<benzil>及び(CH2)mR3からなる群より選択したものであり、前記ベンジルはH、C1-18 アルキル基、CN、COOH、NH2、NO2、OH、SH、C1-6 アルコキシ<alkoxy>、C1-6 アルキルアミノ<alkylamino>、C1-6アミド<amide>、ハロゲン、及びC1-6ハロゲン<halogen>化アルキル基からなる群より独立に選択された1以上の置換基で任意に置換される。
R5:飽和及び/または不飽和、直鎖及び/または分枝鎖のC1-18アルキル基、ヒドロキシC1-18アルキル、メルカプトC1-18アルキル基、アミノC1-18アルキル、アシル<acyl>基、フェニル<phenyl>基、ナフチル<naphthyl>基またはベンジルからなる群から選択したものであり、前記フェニル基、ナフチル基またはベンジルは、H、C1-18アルキル基、CN、COOH、NH2、NO2、OH、SH、C1-6アルコキシ、C1-6アルキルアミノ、C1-6アミド、ハロゲン、またはC1-6ハロゲン化アルキル基からなる群より独立に選択された1以上の置換基で任意に置換される。
R6:C2-18アルキル基。
R7:HまたはC1-18アルキル基。
Y-:陰イオン。
【0007】
別の態様では、本発明は、さらに以下の手順を含む式Iで上記に表す化合物の合成方法を提供する。
【0008】
1) 式IIの4-メチルキノリン<methylquinoline>複素環式芳香族化合物をR4Z化合物と反応させて、第一の四級アンモニウム<ammonium>塩中間体IIIを得る。式中、ZはハロゲンまたはOTsであり、Zは反応で発生したハロゲン陰イオンまたはOTs-である。
【化2】

【0009】
反応温度は10〜180℃、反応時間は4〜48時間、反応溶媒はジクロロメタン<dichloromethane>、クロロホルム<chloroform>、エタノール、アセトニトリル<acetonitrile>、酢酸エチル<ethyl>、トルエン<toluene>、キシレン<xylene>、オルトジクロロベンゼン<o‐dichlorobenzene>またはそれらの混合物から選択した極性有機溶媒である。式IIの化合物対R4Z化合物の投入モル比は1:1〜1:10とする。
【0010】
2) 手順1)で得た第一の四級アンモニウム塩中間物IIIをN,N’-ジフェニルホルムアミジン<diphenyl-formamidine>と縮合して、式IVの化合物を得る。
【化3】

【0011】
反応温度は50-200℃、反応時間は15分間ないし4時間、反応溶媒はないか、または無水酢酸、酢酸若しくはその混合物である。第一の四級アンモニウム塩中間物III対N,N’-ジフェニルホルムアミジンの投入モル比は1:1〜1:4とする。
【0012】
3) 式Vの化合物を化合物R3(CH2)mZと反応させて、第二の四級アンモニウム塩中間物VIを得る。式中、ZはハロゲンまたはOTs、Z-は反応で発生したハロゲン陰イオンまたはOTs-である。
【化4】

【0013】
反応温度は10〜180℃,反応時間は4〜48時間、反応溶媒はジクロロメタン、クロロホルム、エタノール、アセトニトリル、酢酸エチル、トルエン、キシレン、オルトジクロロベンゼンまたはそれらの混合物から選択した極性有機溶媒である。式Vの化合物対化合物R3(CH2)mZの投入モル比は1:1〜1:10とする。
【0014】
4)手順3)で得た第二の四級アンモニウム塩中間物VIを手順2)で得た式IVの化合物と反応させて、式VIIの化合物を得る。
【化5】

【0015】
反応温度は5〜130℃、反応時間は10分間ないし6時間、反応溶媒はないか、またはジクロロメタン、クロロホルム、メチルアルコール<methyl alcohol>、エタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル<ethylene glycol monomethylether>、若しくはその混合物から選択した極性有機溶媒であり、触媒は無水酢酸と有機塩基との混合物である。VIの化合物対式IVの化合物の投入モル比は1.5:1〜1:1.5とする。
上記の構造式中、X、m、R1、R2、R3、R4、R5 、R6及びR7の定義は上記のこの発明に記載する化合物のものと同じである。
【0016】
5)手順4)で得た化合物VIIをYを含むナトリウム<sodium>塩またはカリウム塩と陰イオン置換を行い式Iの化合物を得る。
【化6】

【0017】
反応温度は60〜140℃、反応時間は10分間ないし2時間、反応溶媒はDMF、
DMSO、またはその混合物から選択した極性有機溶媒である。Yを含むナトリウム塩またはカリウム<potassium>塩対式VIIの化合物の投入モル比は1:1〜10:1とする。
式中のY-の定義は上記のこの発明に記載する化合物のものと同じである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は実施例2に記載する化合物Aが商品化された染料エチジウムブロミド(EB)とpH7.36、濃度10mMの3-(ヒドロキシメチル<hydroxymethyl>)アミノメタン<aminomethane>塩酸塩緩衝液の中で、小牛胸腺DNAと結合する前後の蛍光強度対比図を示す。横座標は波長(nm)、縦座標は相対蛍光強度である。使用計器は紫外可視分光光度計 型式:Hp8453、蛍光分光光度計 型式:FP-6500。化合物A、エチジウムブロミド(EB)とも濃度は1μM、小牛胸腺DNAの濃度は100μMとする。
【図2】図2は実施例3に記載する化合物Bが商品化された染料エチジウムブロミド(EB)とpH7.4、濃度10mMの3-(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸塩緩衝液の中で、小牛胸腺DNAと結合する前後の蛍光強度対比図を示す。横座標は波長(nm)、縦座標は相対蛍光強度である。使用計器は紫外可視分光光度計 型式:Hp8453、蛍光分光光度計 型式:FP-6500。化合物B、エチジウムブロミド(EB)とも濃度は1μM、小牛胸腺DNAの濃度は100μMとする。
【図3】図3は実施例4に記載する化合物Cが商品化された染料エチジウムブロミド(EB)とpH7.24、濃度10mMの3-(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸塩緩衝液の中で、小牛胸腺DNAと結合する前後の蛍光強度対比図を示す。横座標は波長(nm)、縦座標は相対蛍光強度である。使用計器は紫外可視分光光度計 型式:Hp8453、蛍光分光光度計 型式:FP-6500。化合物A 、エチジウムブロミド(EB)とも濃度は1μM、小牛胸腺DNA の濃度は100μMとする。
【図4】図4は化合物Aが既知化合物M1、化合物M2とpH7.4 、濃度10mMの3-(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸塩緩衝液の中で、小牛胸腺DNAと結合する前後の蛍光量子収量対比図を示す。縦座標は蛍光量子収量である。使用計器は紫外可視分光光度計 型式:Hp8453、蛍光分光光度計 型式:FP-6500。化合物A、化合物M1、M2とも濃度は1μM、小牛胸腺DNAの濃度は100μMとする。
【図5】図5は化合物Aが既知化合物M1とぞれぞれpH7.0、濃度10mMの3-(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸塩緩衝液の中で、牛血清アルブミン<albumin>と小牛胸腺DNAと結合した後、及び結合する前の蛍光増強倍数対比図を示す。縦座標は蛍光増強倍数である。使用計器は蛍光分光光度計 型式:FP-6500。化合物A、化合物M1とも濃度は1μM、牛血清アルブミン、小牛胸腺DNAとも濃度は40μg/mlとする。
【図6】図6Aは化合物Aが生細胞MCF-7(人乳癌細胞)に染色した白色点顕微鏡写真、6Bは化合物Aが生細胞MCF-7に染色した蛍光顕微鏡写真を示す。化合物Aの濃度は2μMとする。使用計器は共焦点レーザー走査顕微鏡 型式:TCS-SP2。励起光通路:Cy5(633nm)。
【図7】図7Aは実施例5に記載する化合物Dが生細胞MCF-7(人乳癌細胞)に染色した白色点顕微鏡写真、7Bは化合物Dが生細胞MCF-7に染色した蛍光顕微鏡写真を示す。化合物Dの濃度は1.5μMとする。使用計器は共焦点レーザー走査顕微鏡 型式:TCS-SP2。励起光通路:Cy5(633nm)。
【図8】図8Aは実施例6に記載する化合物Eが生細胞MCF-7(人乳癌細胞) に染色した白色点顕微鏡写真、8Bは化合物Eが生細胞MCF-7に染色した蛍光顕微鏡写真を示す。化合物Aの濃度は3μMとする。使用計器は共焦点レーザー走査顕微鏡,型式:TCS-SP2。励起光通路:Cy5(633nm)。
【図9】図9Aは既知化合物M1 が生細胞MCF-7(人乳癌細胞)に染色した白色点顕微鏡写真、9Bは化合物M1が生細胞MCF-7に染色した蛍光顕微鏡写真を示す。化合物M1の濃度は2μMとする。使用計器は共焦点レーザー走査顕微鏡 型式:TCS-SP2。励起光通路:Cy5(633nm)。
【発明を実施するための形態】
【0019】
別途に説明する場合を除き、本書で使う用語の定義は下記に示すようである。
【0020】
「アルキル基」とは、直鎖アルキル基と分枝鎖アルキル基を含むものである。単体のアルキル基、例えば「プロピル<propyl>」と言えば、ただ直鎖アルキル基を指すが、単体の分枝鎖アルキル基、例えば「イソプロピル<isopropyl>」と言えば、ただ分枝鎖アルキル基を指す。例えば、「C1-6アルキル基」はC1-4アルキル基、C1-3アルキル基、メチル基、エチル、n-プロピル、イソプロピルとターシャリーブチル<tertiary-butyl>基を含む。このようなルールは本書の他のラジカルにも適用する。
【0021】
「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素とヨウ素を含む。
【0022】
「ベンジル」とは、-CH2-Ph ラジカルを指す。ベンジルの後ろに「任意に置換する」という言葉を添付する場合、当該ベンジルは置換されない形で存在されるし、または適当な置換基にいずれの適当な箇所で置換されることを指す。適当な置換基はH、C1-18アルキル基、CN、COOH、NH2、NO2、OH、SH、C1-6アルコキシ、C1-6アルキルアミノ、C1-6アミド、ハロゲン、またはC1-6ハロゲン化アルキル基等を含むが、それらに限らない。最後に形成した化合物はこの発明が期待する性質を持てばいい。好ましくは、ベンジル基はCOOH、NH2、OH、C1-6アルコキシ又はハロゲンで任意に置換される。
【0023】
「Y-」とは、陰イオンを指すが、あらゆる適当な陰イオンであればいい。無機陰イオンまたは有機陰イオンを含むが、それらに限らない。例えば、ハロゲンイオン、ClO4-、PF6- 、BF4-、CH3COO-またはOTs-が挙げられる。
【0024】
本発明の好ましい態様は、式Iに記載する化合物の式中、XはC(CH3)2、OまたはSである。より好ましい態様は、XはC(CH3)2またはSであり、最も好ましい態様は、XはSである。
【0025】
本発明の好ましい態様は、式I中、R1及びR2はそれぞれ独立にHまたはC1-18アルキル基である。より好ましくは、R1及びR2はそれぞれ独立にHまたはC1-12アルキル基であり、さらに好ましくは、R1及びR2はそれぞれ独立にHまたはC1-6アルキル基であり、最も好ましくは、R1及びR2は共にHである。
【0026】
本発明の好ましい態様は、式I中、R3はNHR5、N(R6)2、ピロリル及びピペリジニルからなる群より選択したものであり、最も好ましくは、R3はNHR5またはN(R6)2である。
【0027】
本発明の好ましい態様は、式I中、R4はC1-18アルキル基またはベンジルであり、より好ましくは、R4はC1-12アルキル基またはベンジルであり、最も好ましくは、R4はC1-6アルキル基またはベンジルである。前記のベンジルはH、C1-18アルキル基、CN、COOH、NH2、NO2、OH、SH、C1-6アルコキシ、C1-6アルキルアミノ、C1-6アミド、ハロゲン、及びC1-6ハロゲン化アルキル基からなる群より独立して選択される置換基で任意に置換される。より好ましくは、COOH、NH2、OH、C1-6アルコキシ、ハロゲンから任意に選択して、置換される。
【0028】
本発明の好ましい態様は、式I中、R5は飽和及び/または不飽和、直鎖及び/または分枝鎖のC1-18アルキル基、またはアミノ基C1-18アルキル基であり、より好ましい態様は、R5は飽和及び/または不飽和、直鎖及び/または分枝鎖のC1-12アルキル基であり、最も好ましい態様は、R5は飽和及び/または不飽和、直鎖及び/または分枝鎖のC1-6アルキル基である。
【0029】
本発明の好ましい態様は、式I中、R6はC2-6アルキル基である。
【0030】
本発明の好ましい態様は、式I中、R7はHまたはC1-6アルキル基である。
【0031】
本発明の好ましい態様は、式I中、Y-はハロゲンイオン、ClO4-、PF6- 、BF4-、CH3COO-またはOTs-である。
【0032】
別の態様では、本発明は上記の化合物の調製方法も提供するものである。この調製方法は下記の内容を含む。それぞれ第一と第二の四級アンモニウム塩中間物を調製して、それから、第一または第二の四級アンモニウム塩中間物のいずれをN,N-ジフェニルホルムアミジンと反応させた後、もう一つの中間物と有機塩基(例えば、アミン)と無水酢酸の作用で反応させて、上記の化合物を得るものである。具体的な調製手順は下記に示す通りである。
【0033】
まず、第一の四級アンモニウム塩中間物を調製する。即ち、4-メチルキノリン複素環式芳香族化合物IIを化合物R4Zと反応させて、第一の四級アンモニウム塩中間物(III)を得ることができる。式中、ZはハロゲンまたはOTs、Z-は反応で発生したハロゲン陰イオンまたはOTs-である。
【化7】

【0034】
反応温度は10〜180℃、反応時間は4〜48時間、反応溶媒はジクロロメタン、クロロホルム、エタノール、アセトニトリル、酢酸エチル、トルエン、キシレン、オルトジクロロベンゼンまたはその混合物等から選択した極性有機溶媒である。原料式IIの化合物対化合物R4Zのモル比は1:1〜1:10とする。
【0035】
好ましくは、反応温度は40〜140℃、反応時間は6〜36時間、反応溶媒はクロロホルム、アセトニトリル、トルエン、キシレン、オルトジクロロベンゼンまたはその混合物等から選択した極性有機溶媒である。原料式IIの化合物対化合物R4Zのモル比は1:1〜1:6とする。
【0036】
より好ましくは、反応温度は50〜120℃、反応時間は8〜24時間、反応溶媒はアセトニトリル、トルエン、オルトジクロロベンゼンまたはその混合物等から選択した極性有機溶媒である。式IIの化合物対化合物R4Zのモル比は1:1〜1:3とする。
【0037】
最も好ましくは、反応温度は60〜110℃、反応時間は8〜14時間、反応溶媒はトルエン、オルトジクロロベンゼンまたはその混合物等の極性有機溶媒である。式IIの化合物対化合物R4Zのモル比は1:1〜1:1.5とする。
【0038】
次に、調製した第一の四級アンモニウム塩中間物(III)をN,N-ジフェニルホルムアミジンと縮合して、式IVを有する化合物を得る。
【化8】

【0039】
反応温度は50〜200℃、反応時間は15分間ないし4時間、反応溶媒はないか、または無水酢酸、酢酸若しくはその混合物である。第一の四級アンモニウム塩中間物III対N,N’-ジフェニルホルムアミジンの投入モル比は1:1〜1:4とする。
【0040】
好ましくは、反応温度は70〜170℃、反応時間は20分間ないし3時間、反応溶媒はないか、または無水酢酸、酢酸若しくはその混合物である。第一の四級アンモニウム塩中間物III対N,N’-ジフェニルホルムアミジンのモル比は1:1〜1:3とする。
【0041】
より好ましくは、反応温度は90〜160℃、反応時間は30分間ないし2時間、反応溶媒はないか、または無水酢酸、酢酸若しくはその混合物である。第一の四級アンモニウム塩中間物III対N,N’-ジフェニルホルムアミジンのモル比は1:1.2〜1:3とする。
【0042】
最も好ましくは、反応温度は120〜160℃、反応時間は30分間ないし1.5時間、反応溶媒はないか、または無水酢酸である。第一の四級アンモニウム塩中間物III対N,N’-ジフェニルホルムアミジンのモル比は1:1.2- 1:2とする。
【0043】
次に、式IIIの合成方法と類似な方法で、式Vを有する化合物、好ましくは、置換基R1で置換された2-メチルベンゾチアゾール、置換基R1で置換された2-メチルベンゾオキサゾール、置換基R1で置換された2-メチルベンゾセレナゾール、または置換基R1で置換された2,3,3-トリメチル-3H-インドリン<indoline>と、化合物R3(CH2)mZと反応させて、第二の四級アンモニウム塩中間物VIを得る。式中、ZはハロゲンまたはOTs、Z-は反応で発生したハロゲン陰イオンまたはOTs-である。
【化9】

【0044】
反応温度は10〜180℃、反応時間は4〜48時間、反応溶媒はジクロロメタン、クロロホルム、エタノール、アセトニトリル、酢酸エチル、トルエン、キシレン、オルトジクロロベンゼンまたはその混合物等から選択した極性有機溶媒である。反応原料式Vの化合物対化合物R3(CH2)mZの投入モル比は1:1〜1:10とする。
【0045】
好ましくは、反応温度は60〜140℃、反応時間は6〜36時間、反応溶媒はクロロホルム、アセトニトリル、トルエン、キシレン、オルトジクロロベンゼンまたはその混合物等から選択した極性有機溶媒である。式Vの化合物対化合物R3(CH2)mZの投入モル比は1:1〜 1:6とする。
【0046】
より好ましくは、反応温度は80〜120℃、反応時間は10〜24時間、反応溶媒はアセトニトリル、トルエン、オルトジクロロベンゼンまたはその混合物等から選択した極性有機溶媒である。式Vの化合物対化合物R3(CH2)mZの投入モル比は1:1〜1:3とする。
【0047】
最も好ましくは、反応温度は90〜120℃、反応時間は12〜18時間、反応溶媒はトルエン、オルトジクロロベンゼンまたはその混合物等から選択した極性有機溶媒である。式Vの化合物対化合物R3(CH2)mZの投入モル比は1:1〜1:2とする。
【0048】
次に、有機塩基(例えば、アミン)存在下の無水酢酸を触媒として、式IVの化合物を第二の四級アンモニウム塩中間物VIと反応させて、式VIIの単電荷でアザシアニン<azacyanine>類を含む化合物を得ることができる。
【化10】

【0049】
反応温度は5〜130℃、反応時間は10分間ないし6時間、反応溶媒はないか、またはジクロロメタン、クロロホルム、メチルアルコール、エタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル若しくはその混合物等から選択した極性有機溶媒で、触媒は無水酢酸と有機塩基の混合物である。ここで、前記有機塩基は、ジエチルアミン<diethylamine>、プロピルアミン<propylamine>、トリエチルアミン<triethylamine>、ピリジン、ピペリジン、またはその混合物から選択したものである。第二四級アンモニウム塩中間物VI対式IV
の化合物の投入モル比は1.5:1〜1:1.5とする。
【0050】
好ましくは、反応温度は20〜130℃、反応時間は30分間ないし5時間、反応溶媒はないか、または反応溶剤はメチルアルコール、エタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、またはその混合物等から選択した極性有機溶媒で、有機塩基はトリエチルアミン、ピリジン、ピペリジン、若しくはその混合物から選択したもので、第二の四級アンモニウム塩中間物VI対式IVの化合物の投入モル比は1.2:1〜1:1.5とする。
【0051】
より好ましくは、反応温度は30〜120℃、反応時間は1〜4時間、反応溶媒はないか、またはメチルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、若しくはその混合物等から選択した極性有機溶媒で、有機塩基はトリエチルアミン、ピリジンまたはその混合物から選択したものである。第二の四級アンモニウム塩中間物VI対式IVの化合物の投入モル比は1.2:1〜1:1.2とする。
【0052】
最も好ましくは、反応温度は30〜100℃、反応時間は1.5〜3時間、反応溶媒はないか、またはメチルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル若しくはその混合物等から選択した極性有機溶媒で、触媒の中の有機塩基はトリエチルアミン、ピリジンまたはその混合物である。第二の四級アンモニウム塩中間物VI対式IVの化合物の投入モル比は1:1とする。
【0053】
最後に、必要に応じて、化合物VIIをClO4-、PF6- 、BF4- またはCH3COO-を含むナトリウム塩またはカリウム塩と陰イオン置換を行いこの発明の式I化合物を得る。
【化11】

【0054】
反応温度は60〜140℃、反応時間は10分間ないし2時間、反応溶媒はDMF、DMSO、またはその混合物等から選択した極性有機溶媒である。ClO4-、PF6- 、BF4- またはCH3COO-を含むナトリウム塩またはカリウム塩対式VIIの化合物の投入モル比は1:1〜10:1とする。
【0055】
好ましくは、反応温度は70〜130℃、反応時間は15分間ないし1.5時間、反応溶媒はDMF、DMSOまたはその混合物等の極性有機溶媒である。ClO4-、PF6- 、BF4- またはCH3COO-を含むナトリウム塩またはカリウム塩対式VIIの化合物のモル比は1:1〜7:1とする。
【0056】
より好ましくは、反応温度は80〜120℃、反応時間は20分間ないし1時間、反応溶媒はDMFである。ClO4-、PF6- 、BF4- またはCH3COO-を含むナトリウム塩またはカリウム塩対式VIIの化合物の投入モル比は1:1〜4:1とする。
【0057】
最も好ましくは、反応温度は90〜110℃、反応時間は30分間で、反応溶媒はDMFで、ClO4-、PF6- 、BF4- またはCH3COO-を含むナトリウム塩またはカリウム塩対式VIIの化合物の投入モル比は1:1〜2:1とする。
【0058】
この発明の上記の方法で合成された式Iの化合物はNMRスペクトル<spectrum>または質量スペクトルで確認することができる。または炭素スペクトル、融点テストを補助的に行い、その構造への確認を補助することができる。
【0059】
この発明で提供する上記の式Iの化合物の中で、最も主要で、重要な構造特徴は、原料式Vの化合物で第二の四級アンモニウム塩中間物VIを調製する時に導入した窒素を含む置換ラジカル(CH2)mR3である。その内、R3と直接に接合する-CH2-は1H核磁気共鳴の中の化学シフトδ:4-6(m=1);2-4(m=2〜18)。
【0060】
別の態様では、本発明はさらに、本発明の化合物を含む複合体、及び本発明の化合物またはそれらの複合体を含む組成物を提供する。
【0061】
別の態様では、本発明はさらに、上記の化合物、複合体またはそれらの組成物の生物染色における応用方法を提供する。
【0062】
この発明での化合物は、蛍光染料として使われる場合、下記の有利な効果が得られる。
【0063】
新規化合物分子の中に窒素を含む置換基を導入することによって、染料と核酸との結合後の蛍光量子収量を増大して、測定感度を高める。
【0064】
新規化合物分子の中に導入した窒素を含む置換基は非クォーターアミノ<quarter-amino>化(非正電荷化)であるため、生きた細胞膜の透過性がよく、応用範囲が広くなる。
【0065】
新規化合物分子の中に導入した窒素を含む置換基は適当に分子の極性を増大して、膜脂質、蛋白等の分子内部の疏水性部分への結合力を低下して、核酸への特異性結合を現す。
【0066】
同じメチンブリッジを有するベンゾチアゾール<benzothiazole>とインドリン<indoline>類の対称なシアニン<cyanine>染料と比べて、ここに開示する蛍光染料は、分子の一端にキノリン環を導入し、最大吸収波長は約80nm増加し、650nmの蛍光発光波長を有し、生物試料の蛍光バックグラウンド<background>干渉を避けることができる。
【0067】
新規化合物は安価で、体積が小さく、性能が安定している赤い半導体レーザー発生装置を光源とすることができるため、コストを大きく低下する。
【0068】
新規化合物製品は毒性が小さく、原料が得られやすく、構造が簡単で、普通、4〜5ステップの反応だけで対象分子を合成することができるため、産業化しやすい。
【0069】
図面とこの発明の具体的な実施形態を参照すれば、これらの特徴、利点及び他の特徴、利点が明らかになる。
【0070】
この発明での化合物は本書に記載する塩の形で直接に生体サンプルの染色に使われるし、また、その誘導体は生体サンプルの染色にも使われる。ここでの誘導体は複合体を含むが、それに限らない。
【0071】
その代表的なものは、複合体の活性化セルソーター(FACS)での利用である。本書での「複合体」とは、この発明での蛍光染料が共有結合によって、他の分子と接合して、形成した化合物を指す。この発明での蛍光染料と接合される分子は細胞または細胞成分と特異性に結合した分子で、抗体、抗原、受容体、配位子、酵素、基質、補酵素等を含むが、それらに限らない。普通、テストサンプルは蛍光複合体と一定時間温置して、当該蛍光複合体をテストサンプルの中の一部の細胞または細胞成分と特異性に結合させる場合、この当該蛍光複合体と細胞または細胞成分との結合は「染色」とも呼ばれる。当該染色手順は順番に数回に繰り返して、または多種類の複合体で同時に多種類の染色を行うことができる。染色が完了した後、サンプルを蛍光活性化セルソーター<cell-sorter>の中で分析して、この場合、励起光源で複合体の中のこの発明での蛍光染料を励起して、測定装置で励起された蛍光染料の発生した放出光を測定する。
【0072】
別の態様では、本発明はさらに、式Iの化合物及びその複合体を含む組成物を提供する。前記組成物は生体サンプルの染色に使われる。
【0073】
この発明での組成物は、式I化合物またはその複合体だけではなく、また生体サンプル染色のためのほかの必要な成分、例えば、溶剤、浸透圧調製剤、pH調整剤、界面活性剤等を含む。これらの成分はすべて業界で知られているものである。
【0074】
この発明での複合体は水溶液の形で存在することができるし、または利用直前に水で溶液を配合して、他の適当な形で存在することもできる。
【0075】
さらに、この発明は上記式Iの化合物、またはその複合体、式Iの化合物を含む組成物を利用して、生体サンプルを染色する方法を提供するのである。当該方法は上記式Iの化合物またはその複合体、式Iの化合物を含む組成物を生体サンプルに接触させる手順を含む。本書での「接触」とは溶液または固相の中での接触を指す。
【0076】
この発明での化合物は、構造の中に窒素を含むラジカルを導入した後に染料性能を最適化、改良した結果を説明するために、実施例7、8、9、10、11と比較例15で化合物M2、既知化合物M1と商品化された染料エチジウムブロミド(EB)を対照物として、対照しながら、説明する。その内、化合物M1とM2の構造は下記に示すようである。
【化12】

【化13】

【化14】

【実施例1】
【0077】
染料中間物1-エチル-4-メチルキノリン四級アンモニウム塩の合成
4-メチルキノリン20mmolとヨウ化エチル40mmolを100mlの20mlトルエンを含む丸底フラスコ<flask>に入れて、アルゴン<argon>で保つ。反応、過熱、還流を10h続けて行ってから、停止する。混合物を冷却した後、ろ過、沈殿して、エーテルでろ過ケークを洗浄する。乾燥して、浅い黄色い固体粉末を得て、粗収率は85%とする。
【実施例2】
【0078】
化合物Aの調製
【化15】

【0079】
1-エチル-4-メチルキノリン四級アンモニウム塩10mmolをN,N’-ジフェニルホルムアミジン10mmolと160℃の油浴で0.5時間を加熱、攪拌する。反応で得た赤茶色固体をアルコールの中で再結晶し、赤紫色結晶を得る。ろ過、乾燥して、収率は45%とする。その中に1-N,N-ジェチルアミンブチル-2-メチルベンゾチアゾール四級アンモニウム塩4.5mmol、トリエチルアミンと無水酢酸それぞれ1.5mlを入れて、25mlのエチレングリコールモノメチルエーテルの中で室温で1.5時間を攪拌する。反応液をエーテルの中に入れて、濃い紫色の小粒を析出して、ろ過、乾燥する。染料をシリカゲルカラム<column>で分離して、溶離液となるジクロロメタンとメチルアルコールで勾配に溶離し、青い成分を採集して、収率は60%とする。1H-NMR(400 MHz, DMSO, TMS): δ 1.20 (t,6H ),1.23 (t,3H),2.05 (m,2H),2.18 (m,2H),2.55-2.65 (m,6H),3.74 (t,2H), 4.55 (tetra,2H),6.50(d,1H),7.11(d,1H), 7.30-8.07(m,8H),8.15 (t,1H),8.41 (d,1H), 8.48 (d,1H)。MS (EI) C29H36IN3S m/z:458.26[M-I]+
【実施例3】
【0080】
化合物Bの調製
【化16】

【0081】
1-(3-ピペリジニル)-プロピル-4-メチルキノリン四級アンモニウム塩10mmolをN,N’-ジフェニルホルムアミジン25mmolと30mlの無水酢酸の中で120℃の油浴で1.5時間過熱、攪拌する。冷却した後、反応液の中に析出されたオレンジ固体をろ過、乾燥して、染料を、溶離液となるジクロロメタンとメチルアルコールで勾配混合液を用いてシリカゲルカラムで分離して、黄色い成分を採集して、収率は52%とする。その中に1-(3-ピペリジニル)-プロピル-2-メチル基-5-メトキシベンゾオキサゾール四級アンモニウム塩5mmol、ピペリジンと無水酢酸をそれぞれ1.5mlを入れて、25mlのエチレングリコールモノメチルエーテルの中で1.5時間還流、攪拌する。冷却した後、反応液をエーテルの中に入れて、濃い紫色小粒を析出して、ろ過、乾燥する。染料を中性アルミナカラムで分離して、溶離液となるジクロロメタンとアルコールで勾配混合液に溶離し、青い成分を採集して、収率は44%とする。1H-NMR (400 MHz, DMSO, TMS): δ 1.22-1.26 (m,12H), 2.34(m,2H),2.38 (m,2H),2.62-2.74 (m,6H),3.73 (s,3H),3.78(t,2H),4.58(t,2H),6.50(d,1H),7.11(d,1H),7.30-8.07(m,7H),8.15(t,1H),8.42(d,1H),8.48(d,1H).MS(EI)C36H47BrN4O2m/z:567.37[M-Br]+。
【実施例4】
【0082】
化合物Cの調製
【化17】

【0083】
1-水酸基エチル-4-メチルキノリン四級アンモニウム塩10mmolをN,N’-ジフェニルホルムアミジン10mmolと160℃の油浴で0.5時間加熱、攪拌する。反応で得た赤茶色の固体をアルコールの中で再結晶して、赤紫色の結晶を得て、ろ過、乾燥して、収率は48%とする。その中に1-アミノエチルアミンプロピル-2-メチルベンゾチアゾール四級アンモニウム塩5mmol、ピリジンと無水酢酸をそれぞれ1.5mlを入れて、20mlのエチレングリコールモノメチルエーテルの中で室温で1.5時間攪拌する。それから、反応液の中にNaClO45mmolをDMF2mlの中に溶解した溶液を入れて、還流まで過熱して、30分間攪拌して、反応液をエーテルの中に入れて、青緑色の小粒を析出して、ろ過、乾燥する。染料を中性アルミナカラムで分離して、溶離液となるジクロロメタンとアルコールで勾配混合液に溶離し、青い成分を採集して、収率は48%とする。1H-NMR (400 MHz, DMSO, TMS): δ 2.34(m, 2H), 2.58-2.76 (m, 6H), 3.74 (t,2H), 3.82 (tetra,2H), 4.65 (t,2H),5.15(t,1H), 6.50 (d,1H), 7.12 (d,1H), 7.30-8.07(m,8H), 8.15 (t,1H), 8.41 (d,1H), 8.48 (d,1H)。MS (EI) C26H31ClN4O5Sm/z:447.22 [M-ClO4]+。
【実施例5】
【0084】
化合物Dの調製
【化18】

【0085】
1-ベンジル-4-メチルキノリン四級アンモニウム塩10mmolをN,N’-ジフェニルホルムアミジン10mmolと160℃の油浴で0.5時間を加熱、攪拌する。反応で得た赤茶色の固体をアルコールの中で再結晶して、赤紫色の結晶を得て、ろ過、乾燥して、収率は42%とする。その中に1-アニリノプロピル-2,3,3-トリメチル-5-塩素-3H-インドリン<indoline>四級アンモニウム塩4mmol、トリエチルアミンと無水酢酸それぞれ1.5mlを入れて、20mlのメチルアルコールの中で室温で4時間攪拌する。反応液をエーテルの中に入れて、濃い紫色小粒を析出して、ろ過、乾燥する。染料をシリカゲルカラムで分離して、溶離液となるジクロロメタンとメチルアルコールで勾配混合液に溶離し、青い成分を採集して、収率は47%とする。1H-NMR(400MHz,CD3OD,TMS): δ1.73 (s,6H),2.34(m,2H),3.08 (t,2H),3.74(t,2H), 5.71 (s,2H), 6.48 (d,1H), 7.12 (d,1H), 7.21-7.80 (m,17H), 8.15 (t,1H), 8.41 (d,1H), 8.48 (d,1H)。MS (EI) C38H37BrClN3: m/z:570.27 [M-Br]+。
【実施例6】
【0086】
化合物Eの調製
【化19】

【0087】
1-塩素エチル-4,7-二メチルキノリン四級アンモニウム塩10mmolをN,N’-ジフェニルホルムアミジン20mmolと30mlの無水酢酸の中に入れて、120℃の油浴で1.5時間加熱、攪拌する。冷却した後、反応液の中で析出されたオレンジの固体をろ過、乾燥して、染料をシリカゲルカラムで分離して、溶離液となるジクロロメタンとメチルアルコールで勾配に溶離し、黄色い成分を採集して、収率は47%となる。その中に1-(N-プロピル)-アミンエチル-2-メチルベンゾセレナゾール四級アンモニウム塩5mmol、プロピルアミンと無水酢酸それぞれ2mlを入れて、25mlのエチレングリコールモノメチルエーテルの中で3時間還流、攪拌する。冷却した後、反応液をエーテルの中に入れて、濃い紫色小粒を析出して、ろ過、乾燥する。染料をシリカゲルカラムで分離して、溶離液となるジクロロメタンとメチルアルコールで勾配混合液に溶離し、青い成分を採集して、収率は43%とする。反応液をエーテルの中に入れて、青緑色の小粒を析出して、ろ過、乾燥する。染料をシリカゲルカラムで分離して、溶離液となるジクロロメタンとメチルアルコールで勾配混合液に溶離し、青い成分を採集して、収率は66%とする。1H-NMR (400 MHz,DMSO,TMS): δ0.96 (t,3H), 1.23(m,2H), 2.35(s,3H),2.55( tetra,2H),2.65(tetra,2H),3.74(t,2H), 3.86 (t,2H),4.65 (t,2H), 6.50(d,1H), 7.11(d,1H), 7.30-8.07 (m,7H), 8.15(t,1H), 8.41(d,1H),8.48(d,1H)。MS(EI) C27H31BrClN3Se: m/z:512.14 [M-Br]+。
【実施例7】
【0088】
化合物A、商品化された染料のエチジウムブロミド(EB)と小牛胸腺DNA と結合する前後の蛍光発光スペクトル<spectrum>及び相対蛍光強度の測定
濃度1mMの化合物AのDMSO(ジメチルスルホキシド<dimethyl sulfoxide>)溶液をエチジウムブロミド(EB)の水溶液と配合して、それぞれ3μLを取り、それから、pH7.36、10mMの3-(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸塩緩衝液を入れて、3mLに希釈して、キュベット<cuvette>の中に入れて、その蛍光強度を測定する。ある濃度の小牛胸腺DNAの水溶液を配合して、紫外吸収分光光度計でその260nmのところの吸光度を測定して、その濃度を1.5mMに調節する。また濃度1mMの化合物AのDMSO(ジメチルスルホキシド)溶液とエチジウムブロミド(EB)の水溶液をそれぞれ3μL取り、キュベットの中に入れて、それから、その中にそれぞれ濃度1.5mMの小牛胸腺DNA溶液200μLを入れて、最後にpH7.36、10mMの3-(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸塩緩衝液を入れて、3mLに希釈して、その蛍光強度を測定する。同じ条件(同じな基質濃度とDNA 濃度)で、商品化された染料のエチジウムブロミド(EB)を小牛胸腺DNAと結合した後に、相対蛍光強度は19( I/I0 = 36.3/1.89 =19 )倍増加して、それに対して、化合物Aを小牛胸腺DNAと結合した後に、相対蛍光強度は55(I/I0 = 345.3/6.25 =55)倍も増加した。使用計器は紫外可視分光光度計 型式:Hp8453、蛍光分光光度計 型式:FP-6500。
【実施例8】
【0089】
化合物B、商品化された染料のエチジウムブロミド(EB)と小牛胸腺DNAと結合する前後の蛍光発光スペクトル及び相対蛍光強度の測定
濃度1mMの化合物BのDMSO(ジメチルスルホキシド)溶液をエチジウムブロミド(EB)の水溶液と配合して、それぞれ3μLを取り、それから、pH7.4、10mMの3-(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸塩緩衝液を入れて、3mLに希釈して、キュベットの中に入れて、その蛍光強度を測定する。ある濃度の小牛胸腺DNAの水溶液を配合して、紫外吸収分光光度計でその260nmのところの吸光度を測定して、その濃度を1.5mMに調節する。また濃度1mMの化合物BのDMSO(ジメチルスルホキシド)溶液とエチジウムブロミド(EB)の水溶液をそれぞれ3μL取り、キュベットの中に入れて、それから、その中にそれぞれ濃度1.5mMの小牛胸腺DNA溶液200μLを入れて、最後にpH7.4、10mMの3-(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸塩緩衝液を入れて、3mLに希釈して、その蛍光強度を測定する。同じ条件(同じな基質濃度とDNA 濃度)で、商品化された染料のエチジウムブロミド(EB)を小牛胸腺DNAと結合した後に、相対蛍光強度は19( I/I0 = 36.3/1.89 =19 )倍増加して、それに対して、化合物Bを小牛胸腺DNAと結合した後に、相対蛍光強度は89(I/I0 =203.3/2.28 =89)倍も増加した。使用計器は紫外可視分光光度計 型式:Hp8453、蛍光分光光度計 型式:FP-6500。
【実施例9】
【0090】
化合物C、商品化された染料のエチジウムブロミド(EB)と小牛胸腺DNAと結合する前後の蛍光発光スペクトル<spectrum>及び相対蛍光強度の測定
濃度1mMの化合物CのDMSO(ジメチルスルホキシド)溶液をエチジウムブロミド(EB)の水溶液と配合して、それぞれ3μLを取り、それから、pH7.24、10mMの3-(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸塩緩衝液を入れて、3mLに希釈して、キュベットの中に入れて、その蛍光強度を測定する。ある濃度の小牛胸腺DNAの水溶液を配合して、紫外吸収分光光度計でその260nmのところの吸光度を測定して、その濃度を1.5mMに調節する。また濃度1mMの化合物CのDMSO(ジメチルスルホキシド)溶液とエチジウムブロミド(EB)の水溶液をぞれぞれ3μL取り、キュベットの中に入れて、それから、その中にそれぞれ濃度1.5mMの小牛胸腺DNA溶液200μLを入れて、最後にpH7.24、10mMの3-(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸塩緩衝液を入れて、3mLに希釈して、その蛍光強度を測定する。同じ条件(同じな基質濃度とDNA 濃度)で、商品化された染料のエチジウムブロミド(EB)を小牛胸腺DNAと結合した後に、相対蛍光強度は19( I/I0 = 36.3/1.89 =19 )倍増加して、それに対して、化合物Cを小牛胸腺DNAと結合した後に、相対蛍光強度は75(I/I0 = 274.5/3.65 =75)倍も増加した。使用計器は紫外可視分光光度計 型式:Hp8453、蛍光分光光度計 型式:FP-6500。
【実施例10】
【0091】
化合物A、既知化合物M1、M2を小牛胸腺DNAと結合する前後の蛍光量子収量の測定
ある重量の濃度1mMの化合物Aと化合物M1、M2のDMSO溶液を取り、pH 7.4、10mMの3-(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸塩緩衝液の中に入れて、それを紫外可視分光光度計で測定して、最大吸収値<0.1とする。それぞれ励起波長を選定して、蛍光強度を測定する。同じ条件で3回測定して、蛍光量子収量を算出して、その平均値を得る。羅丹明Bを基準物質(ΦF= 0.97、アルコール、15℃)として、計算する結果、緩衝溶液の中に化合物M1、M2と化合物Aの蛍光量子収量がすべて0.01以下で、三者はすべて低い蛍光バックグラウンド<background>があることがわかる。同じ濃度の小牛胸腺DNA (100μM)と結合した後、化合物M1の蛍光量子収量ΦF = 0.26、M2の蛍光量子収量ΦF = 0.35、Aの蛍光量子収量ΦF = 0.36。単電荷でジェチルアミンを含む化合物Aは生細胞膜透過性を保つことを前提として、DNAと結合した後に蛍光量子収量が増大されて、二電荷同類化合物の標識効果が得られる。使用計器は紫外可視分光光度計 型式:Hp8453、蛍光分光光度計,型式:FP-6500。
【実施例11】
【0092】
化合物A、既知化合物M1 をそれぞれ小牛胸腺DNAと牛血清アルブミン(BSA)と結合する前後の蛍光強度の測定
それぞれ濃度1mMの化合物AとM1のDMSO 溶液3μLを取り、pH 7.0、10mMの3-(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸塩緩衝液を入れて、3mLに希釈して、キュベットの中に入れて、その蛍光強度を測定する。それぞれ濃度1×10-3Mの化合物AとM1のDMSO溶液3μLを取り、二つのキュベットの中に入れて、それから、それぞれ濃度30mg/mLのBSA溶液4μLを入れて、pH7.0、10mMの3-(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸塩緩衝液で3mLに希釈して、その蛍光強度を測定する。またそれぞれ濃度1mMの化合物AとM1のDMSO 溶液3μLを二つのキュベットの中に入れて、その中に濃度600μg/mLの小牛胸腺DNA 溶液200μLを入れて、最後にpH 7.0、10mMの3-(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸塩緩衝液で3mLに希釈して、その蛍光強度を測定する。同じ条件で(同じ基質濃度、BSA 濃度とDNA 濃度)、既知化合物M1を小牛胸腺DNAと結合した後の相対蛍光強度は40 倍、牛血清アルブミン(BSA)と結合した後の相対蛍光強度は5.5 倍増加して、それに対して、化合物A を小牛胸腺DNAと結合した後、相対蛍光強度は45.5倍、牛血清アルブミン(BSA)と結合した後、相対蛍光強度は1.4 倍増加した。これによって、化合物A はDNA によく特異性に結合されることがわかる。使用計器は紫外可視分光光度計 型式:Hp8453、蛍光分光光度計,型式:FP-6500。
【実施例12】
【0093】
共焦点レーザー走査顕微鏡による化合物Aの生細胞MCF-7への染色観察
化合物Aを配合した濃度2μMのPBS 緩衝液12μLをMCF-7細胞が培養されたシックスウェルプレートの中に入れて、37℃、5%CO2の細胞インキュベーター<incubator>で30min培養する。それから、PBSで5 min×3振動、水洗して、細胞培地を入れて、共焦点レーザー走査顕微鏡(TCS-SP2,Germany)で細胞形態を観察する。代表的なゾーンを選択して、Cy5 (633nm)通路で励起して、油浸レンズ(1000×)で観察して、3回に繰り返す。図6Aは化合物A が生細胞MCF-7に染色した白色点顕微鏡写真、6B は化合物Aが生細胞MCF-7に染色した蛍光顕微鏡写真を示す。図に示すように、化合物AのMCF-7細胞核への特異性染色が観察される。使用計器は共焦点レーザー走査顕微鏡 型式:TCS-SP2。励起光通路:Cy5(633nm)。
【実施例13】
【0094】
共焦点レーザー走査顕微鏡による化合物Dの生細胞MCF-7への染色観察
化合物Dを配合した濃度1.5μMのPBS 緩衝液12μLをMCF-7細胞が培養されたシックスウェルプレートの中に入れて、37℃、5%CO2の細胞インキュベーターで30min培養する。それから、PBSで5min×3振動、水洗して、細胞培地を入れて、共焦点レーザー走査顕微鏡(TCS-SP2,Germany)で細胞形態を観察する。代表的なゾーンを選択して、Cy5 (633nm)通路で励起して、油浸レンズ(1000×)で観察して、3回に繰り返す。図7Aは化合物Dが生細胞MCF-7に染色した白色点顕微鏡写真、7B は化合物Dが生細胞MCF-7に染色した蛍光顕微鏡写真を示す。図に示すように、化合物DのMCF-7細胞核への特異性染色が観察される。使用計器は共焦点レーザー走査顕微鏡 型式:TCS-SP2。励起光通路:Cy5(633nm)。
【実施例14】
【0095】
共焦点レーザー走査顕微鏡による化合物Eの生細胞MCF-7への染色観察
化合物Eを配合した濃度3μMのPBS 緩衝液12μLをMCF-7細胞が培養されたシックスウェルプレートの中に入れて、37℃、5%CO2の細胞インキュベーターで30min培養する。それから、PBSで5 min×3振動、水洗して、細胞培地を入れて、共焦点レーザー走査顕微鏡(TCS-SP2,Germany)で細胞形態を観察する。代表的なゾーンを選択して、Cy5 (633nm)通路で励起して、油浸レンズ(1000×)で観察して、3回に繰り返す。図8Aは化合物Eが生細胞MCF-7に染色した白色点顕微鏡写真、8B は化合物Eが生細胞MCF-7に染色した蛍光顕微鏡写真を示す。図に示すように、化合物EのMCF-7細胞核への特異性染色が観察される。使用計器は共焦点レーザー走査顕微鏡 型式:TCS-SP2。励起光通路:Cy5(633nm)。
<比較例15>
【0096】
共焦点レーザー走査顕微鏡による既知化合物M1の生細胞MCF-7への染色観察
化合物M1を配合した濃度2μMのPBS 緩衝液12μLをMCF-7細胞が培養されたシックスウェルプレートの中に入れて、37℃、5%CO2の細胞インキュベーターで30min培養する。それから、PBSで5 min×3振動、水洗して、細胞培地を入れて、共焦点レーザー走査顕微鏡(TCS-SP2,Germany)で細胞形態を観察する。代表的なゾーンを選択して、Cy5(633nm)通路で励起して、油浸レンズ(1000×)で観察して、3回に繰り返す。図9Aは化合物M1が生細胞MCF-7に染色した白色点顕微鏡写真、9B は化合物M1が生細胞MCF-7に染色した蛍光顕微鏡写真を示す。図に示すように、化合物M1がMCF-7細胞核と細胞質への染色割合は大体に同じで、非特異性であることが観察される。使用計器は共焦点レーザー走査顕微鏡 型式:TCS-SP2。励起光通路:Cy5(633nm)。
【0097】
上記の内容は、具体的な優先的選択実施形態を合わせて、この発明についてのより詳細な説明であるが、この発明の具体的な実施はただこれらの説明に限られるとは認められない。この発明の所属する技術分野の普通な技術者にとっては、この発明の構想を逸脱しないことを前提として、さらに若干の簡単な推測・演繹または置換を行うことはすべてこの発明の保護範囲であるとされる。蛍光染料として使われるのはこの発明での新規化合物の一つの用途であるが、この発明での化合物はただ蛍光染料に限られるとは認められない。この発明の所属する技術分野の普通な技術者にとっては、この発明での化合物が蛍光染料として使われることと同じメカニズム<mechanism>に基づき若干の簡単な推理を経て、さらに他の応用用途を得られることはすべてこの発明の保護範囲であるとされる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式Iの化合物を含有する蛍光染料であって、
【化1】

式中、
Xは、C(CH3)2、O、SまたはSeであり、
mは1〜18の整数であり、
R1およびR2は、それぞれH、C1-18アルキル基、OR7、-C1-6アルキル-OR7及びハロゲンからなる群より独立に選択したものであり、
R3は、ピロリル、イミダゾリル基、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、グアニジノ基、NHR5およびN(R6)2からなる群より選択したものであり、
R4 は、C1-18アルキル基、ベンジル及び(CH2)mR3からなる群より選択したものであり(前記ベンジルはH、C1-18アルキル基、CN、COOH、NH2、NO2、OH、SH、C1-6アルコキシ、C1-6アルキルアミノ、C1-6アミド、ハロゲン、及びC1-6ハロゲン化アルキル基からなる群より独立に選択された1以上の置換基で任意に置換される)、
R5は、飽和及び/または不飽和、直鎖及び/または分枝鎖のC1-18アルキル基、ヒドロキシC1−18アルキル、メルカプトC1−18アルキル、アミノC1−18アルキル、アシル、フェニル、ナフチル及びベンジルからなる群から選択したものであり(前記フェニル、ナフチルまたはベンジルは、H、C1-18アルキル基、CN、COOH、NH2、NO2、OH、SH、C1-6アルコキシ、C1-6アルキルアミノ、C1-6アミド、ハロゲン、またはC1-6ハロゲン化アルキル基からなる群より独立に選択された1以上の置換基で任意に置換される)、
R6は、C2-18アルキル基であり、
R7は、HまたはC1-18アルキル基であり、
Y-は、陰イオン
である蛍光染料。
【請求項2】
R1及びR2はH及びC1-18アルキル基からなる群よりそれぞれ独立して選択したものである、請求項1に記載の蛍光染料。
【請求項3】
R3はNHR5、N(R6)2、ピロリル及びピペリジニルからなる群より選択したものである請求項1に記載の蛍光染料。
【請求項4】
R4はC1-18アルキル基及びベンジルからなる群より選択したものである、請求項1に記載の蛍光染料。
【請求項5】
Y-はハロゲンイオン、ClO4-、PF6-、BF4-、CH3COO-及びOTs-からなる群より選択したものである、請求項1に記載の蛍光染料。
【請求項6】
以下の化学式2乃至6に示した化学構造式のうちの1つを有した、請求項1〜5のいずれか1つに記載の蛍光染料。
【化2】

【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1つに記載する蛍光染料を含むことを特徴とする複合体。
【請求項8】
請求項1に記載する蛍光染料を合成する方法であって、以下記載のステップを経て得られる蛍光染料:
1)4-メチルキノリン複素環式芳香族化合物IIをR4Z化合物と反応させて、第一の四級アンモニウム塩中間体IIIを得る(ZはハロゲンまたはOTsであり、Zは反応で発生したハロゲン陰イオンまたはOTs-である)ステップ(反応温度は10〜180℃、反応時間は4〜48時間、反応溶媒はジクロロメタン、クロロホルム、エタノール、アセトニトリル、酢酸エチル、トルエン、キシレン、オルトジクロロベンゼンまたはそれらの混合物であり、式IIの化合物対R4Z化合物の投入モル比は1:1〜1:10とする);
【化7】

2)手順1)で得た第一の四級アンモニウム塩中間物IIIをN,N’-ジフェニルホルムアミジンと縮合して、式IVの化合物を得るステップ(反応温度は50-200℃、反応時間は15分間ないし4時間、反応溶媒はないか、または無水酢酸、酢酸若しくはその混合物であり、第一の四級アンモニウム塩中間物III対N,N’-ジフェニルホルムアミジンの投入モル比は1:1〜1:4とする);
【化8】

3)式Vの化合物を化合物R3(CH2)mZと反応させて、第二の四級アンモニウム塩中間物VIを得る(ZはハロゲンまたはOTs、Z-は反応で発生したハロゲン陰イオンまたはOTs-である)ステップ(反応温度は10〜180℃,反応時間は4〜48時間、反応溶媒はジクロロメタン、クロロホルム、エタノール、アセトニトリル、酢酸エチル、トルエン、キシレン、オルトジクロロベンゼンまたはそれらの混合物であり、式Vの化合物対化合物R3(CH2)mZの投入モル比は1:1〜1:10とする);
【化9】

4)手順3)で得た第二の四級アンモニウム塩中間物VIを手順2)で得た式IVの化合物と反応させて、式VIIの化合物を得る(上記の構造式の中のX、m、R1、R2、R3、R4、R5 、R6とR7の定義は請求項1に記載するのと同じである)ステップ(反応温度は5〜130℃、反応時間は10分間ないし6時間、反応溶媒はないか、またはジクロロメタン、クロロホルム、メタノール、エタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、若しくはその混合物であり、触媒は無水酢酸と有機塩基との混合物であり、VIの化合物対IVの化合物の投入モル比は1.5:1〜1:1.5とする);
【化10】

5)手順4)で得た化合物VIIをYを含むナトリウム塩またはカリウム塩と陰イオン置換を行い式Iの最終化合物を得る(Y-の定義は請求項1に記載するのと同じである)ステップ(反応温度は60〜140℃、反応時間は10分間ないし2時間、反応溶媒はDMF、DMSO、またはその混合物であり、Yを含むナトリウム塩またはカリウム塩対式VIIの化合物の投入モル比は1:1〜10:1とする)。
【化11】

【請求項9】
請求項1〜6のいずれかに記載の蛍光染料または請求項7に記載の複合体を含むことを特徴とする生体サンプルの染色に使われる組成物。
【請求項10】
請求項1〜6のいずれかに記載の蛍光染料、請求項7に記載の複合体または請求項9に記載の組成物を生体サンプルに接触させることを含む、生体サンプルへ染色方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2012−526862(P2012−526862A)
【公表日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−510098(P2012−510098)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際出願番号】PCT/CN2010/072378
【国際公開番号】WO2011/082566
【国際公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(510262769)大連理工大学 (3)
【出願人】(511178902)大▲連▼福思▲達▼信息材料有限公司 (1)
【Fターム(参考)】