説明

蛍光X線分析装置

【課題】試料セルに設けられたX線透過窓材の撓みによる誤差の発生を防止し、流動試料に対する高精度な分析を行うことができる蛍光X線分析装置を提供する。
【解決手段】セルホルダ2のセルホルダ内枠21に設けられた開口部21cの周縁に支持部24を突設し、支持部24の突端部に設けた円環状の平面が試料セル5の底部の開口52dの内側に設けられたX線透過窓材54に当接して試料セル5を支持する。また、試料セル5のX線透過窓材54、セルホルダ2の支持部24及びX線透過窓材23にて囲まれた略密閉空間と、筐体1内とにヘリウムガスなどの気体を注入し、X線管3から試料セル5まで及び試料セル5からX線検出器4までの空間をヘリウムガスなどの気体で充填した後に、X線の照射及び蛍光X線の検出を行って試料の分析を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線の照射により生じる蛍光X線を検出することによって試料の分析を行う蛍光X線分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、試料の分析を行うための装置として、試料に一次X線を照射して組成を分析する蛍光X線分析装置が利用されている。蛍光X線分析装置は、一次X線を試料に照射した際に生じる蛍光X線(二次X線)を検出器にて検出し、検出した蛍光X線のスペクトル分布などから、試料に含まれる元素の特定及びこの元素の濃度の算出等を行うことができる。
【0003】
試料が液体又は粉体のような流動試料の場合、X線を透過する膜(X線透過窓材)を底面とした容器(以下、試料セルという)内に試料を収容し、試料セルを蛍光X線分析装置の測定部位に載置した状態で、一次X線を試料セルの下方から照射することにより蛍光X線分析装置による分析を行うことができる。試料セルの下方から照射された一次X線は、試料セルの底面のX線透過膜を通して流動試料に照射され、このときに生じる蛍光X線は、試料セルの下方に配された検出器にてX線透過膜を通して検出される。
【0004】
特許文献1においては、測定部位において試料セルを保持する試料セル台として、台外枠と、この台外枠の内側に装着される台内枠と、台外枠及び台内枠の間に挟み込まれて枠内を閉塞するX線透過性シートとからなる試料セル台を用い、試料セル台を測定部位に着脱自在に設けた蛍光X線分析装置が提案されている。この蛍光X線分析装置は、試料セルの組み立てが不完全なとき、又は不測の事故などで試料セルのX線透過性シートが破損したとき等に、試料セル内の試料が漏れ出した場合であっても、測定部位の下方に設けられたX線検出器及びX線管等に漏れ出した試料が付着するなどの悪影響を及ぼすことがない。
【0005】
図6は、従来の蛍光X線分析装置の構成を示す模式図であり、特許文献1に記載の蛍光X線分析装置の構成と略同じである。図において101は、蛍光X線分析装置である。蛍光X線分析装置101は、試料セル5を載置するセルホルダ(試料セル台)102、試料セル5へ一次X線を照射するX線管3、及び一次X線の照射により生じる蛍光X線を検出するX線検出器等を備えている。
【0006】
流動試料が収容される試料セル5は、円筒状のセル内枠51と、セル内枠51の内面、外面及び下端部分を覆うと共に流動試料が収容される凹所が設けられた試料カップ(内枠カバー)52と、試料カップ52に覆われたセル内枠51に外嵌する円筒状のセル外枠53とを有しており、流動試料が収容された試料カップ52の凹所はX線透過窓材(X線透過性シート)54にて封止される。X線透過窓材54は、試料カップ52で覆われたセル内枠51と、セル外枠53との間に挟み込まれる態様で保持され、試料セル5の底面をなしている。
【0007】
試料セル5が載置されるセルホルダ102は、円環板状をなすセルホルダ内枠(台内枠)121と、セルホルダ内枠121に外嵌する周壁部が設けられた円環板状のセルホルダ外枠(台外枠)122とを有しており、セルホルダ内枠121及びセルホルダ外枠122が上下に重ねて嵌合された状態で蛍光X線分析装置101の測定部位に着脱自在に取り付けられている。セルホルダ内枠121及びセルホルダ外枠122の間にはX線透過窓材123が挟み込まれる態様で保持されており、セルホルダ内枠121及びセルホルダ外枠122の中央にそれぞれ形成された円形の開口部がX線透過窓材123により覆われて閉じられている。
【0008】
またセルホルダ102のセルホルダ内枠121には、中央に形成された開口部の内縁部分の一周に亘って、上方へ突出する円環状の突部が設けられている。試料が収容された試料セル5は、試料カップ52及びX線透過窓材54に覆われた試料セル5のセル内枠51の下端部分が、セルホルダ102のセルホルダ内枠121に設けられた突部に当接するようにして、セルホルダ102に載置される。X線管3からの一次X線は、セルホルダ102のX線透過窓材123及び試料セル5のX線透過窓材54を通して試料セル5に収容された流動試料に照射され、これにより生じた蛍光X線は、同様にX線透過窓材54及び123を通してX線検出器4にて検出される。
【0009】
例えば、試料セル5のX線透過窓材54が破損した場合、試料セル5に収容された流動試料はX線透過窓材54の破損個所から外部へ流出する虞があるが、セルホルダ102の開口部はX線透過窓材123にて閉塞されているため、内部のX線管3及びX線検出器4等に流動試料が付着する虞はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平9−127028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、図6に示した構成の試料セル5を用いる場合、試料セル5内の圧力変化などの要因でX線透過窓材54が撓む虞がある。X線透過窓材54に撓みが生じた場合、また試料セル5の組み立てにおいて不具合が生じ、セル外枠53がセルホルダ内枠121に接触するなどして、試料セル5の下面が傾いた状態でセルホルダ102に載置された場合等、試料セル5内に収容された流動試料とX線検出器4との間の距離が変化するため、X線による流動試料の分析に誤差が生じ、分析精度が低下するという問題があった。この問題は、特許文献1に記載の蛍光X線分析装置にて解決し得るものではない。また、試料セル5は汎用品であるため、試料セル5の形状変更などによって上記の問題を解決することは好ましくない。
【0012】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、試料セルに設けられたX線透過窓材(X線透過膜)の撓みによる誤差の発生を防止し、流動試料に対する高精度な分析を行うことができる蛍光X線分析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る蛍光X線分析装置は、開口がX線透過窓材にて閉塞されるべき試料収容容器が載置される載置部と、該載置部に載置された前記試料収容容器へ一次X線を照射するX線照射手段と、一次X線の照射により生じる前記試料収容容器に収容された試料からの蛍光X線を検出する検出手段とを備える蛍光X線分析装置において、前記載置部は、前記X線照射手段から前記試料収容容器への一次X線を通す開口部と、該開口部を通った一次X線が前記試料収容容器の開口を閉塞したX線透過窓材に至るように、前記試料収容容器を支持する支持部とを有し、該支持部は、前記試料収容容器の開口の内側にて、該開口を閉塞した前記X線透過窓材に当接して前記試料収容容器を支持するようにしてあることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る蛍光X線分析装置は、前記支持部の前記X線透過窓材との当接部分は平面としてあり、該平面が前記X線透過窓材に密接するようにしてあることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る蛍光X線分析装置は、前記載置部の開口部は、X線透過窓材にて閉塞することができ、前記支持部は、前記開口部の全周に亘って設けられ、前記載置部は、前記試料収容容器が載置された場合に、前記試料収容容器のX線透過窓材、前記支持部及び前記開口部を閉塞すべきX線透過窓材にて構成される閉所の内外を連通する貫通孔を有することを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る蛍光X線分析装置は、前記貫通孔を通して前記閉所内に気体を注入する注入管を更に備えることを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る蛍光X線分析装置は、前記載置部が、前記支持部が設けられた環状の内枠と、該内枠に外嵌する環状の外枠とを有し、嵌合した前記内枠及び前記外枠に前記X線透過窓材を挟持できるようにしてあることを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係る蛍光X線分析装置は、前記載置部が、前記X線照射手段及び前記検出手段が保持された筐体に着脱自在に設けられ、前記載置部を前記筐体に押さえ付けて固定する固定部を更に備えることを特徴とする。
【0019】
本発明においては、試料を収容する試料収容容器(試料セル)を載置する載置部を蛍光X線分析装置が備え、試料セルに設けられたX線透過窓材(X線透過膜)を通して試料へ一次X線を照射し、試料からの蛍光X線を検出することで試料の分析を行う。試料セルは、容器の開口がX線透過窓材にて閉塞された構成の汎用のものを用いることができる。
試料セルを載置する載置部には、X線照射手段から試料セル(に収容された試料)へ照射する一次X線及び試料セルから検出手段への蛍光X線を通すための開口部が形成される。また載置部は試料セルを支持する支持部を有し、支持部は、例えば試料セルのX線透過窓材を開口部の上方に位置させるなど、開口部を通った一次X線がX線透過窓材に至るように試料セルの支持を行う。更に、試料セルを支持する支持部は、試料セルの開口の内側の部分に設けられたX線透過窓材に当接して(即ち、X線透過窓材の反対側には試料が存在する部分に当接して)、試料セルを支持する。
図6に示した従来の蛍光X線分析装置101では、セルホルダ102が試料セル5のセル内枠51の下端部分に当接することで試料セル5を支持する構成であるため、セルホルダ102による支持位置に対してX線透過窓材54の位置が撓みにより変化したり、またセル外枠53がセルホルダ内枠121に当接するなどの要因で、試料セル5の下面(底面)が傾いた状態でセルホルダ102に載置されるなどして、X線検出器4に対する試料セル5内の試料の位置が変化する虞がある。これに対して、本発明のように載置部の支持部が開口の内側のX線透過窓材に当接して試料セルを支持する構成では、支持部によるX線透過窓材の支持位置の精度を大きく改善できる。
よって、試料セルのX線透過窓材に撓みが生じたり、試料セルの組み立てに不具合が生じた場合であっても、X線の検出手段に対するX線透過窓材の位置が変化することを抑制でき、X線の検出手段に対する試料セル内の試料の位置が変化することを抑制できるため、試料の分析精度の低下を抑制できる。
【0020】
また、本発明においては、載置部の支持部が試料セルのX線透過窓材に当接する部分を平面とし、この平面にて試料セルのX線透過窓材に密接するように、載置された試料セルを支持する。平面を密接させて試料セルを支持することで、試料セルを安定して支持することができると共に、試料セルのX線透過窓材の撓みを抑えることができる。
【0021】
蛍光X線分析装置においては、X線照射手段から試料への一次X線の経路と、試料から蛍光X線の検出手段への蛍光X線の経路とから空気を排除してヘリウムなどのガスで満たすことで、空気中のアルゴンなどの誤差要因を排除し、X線による試料の分析精度を向上することができる。このため、X線照射手段及び検出手段を密閉された筐体内に配し、筐体内の密閉空間にヘリウムガスを充填して一次X線の照射及び蛍光X線の検出を行うことが考えられる。
一方、載置部の開口部はX線透過窓材にて閉塞することができ、これによりX線透過窓材が保護膜の役割を果たし、試料セルの保護膜が破損するなどして試料がこぼれ出た場合などに、載置部の開口部を通してX線照射手段及び検出手段等に試料が付着することを防止できる。
しかし、載置部の開口部がX線透過窓材により閉塞される構成の場合、このX線透過窓材を間にしてX線照射手段及び検出手段が設けられた密閉空間と試料セルが載置された空間とが隔絶される。よって、X線照射手段及び検出手段が設けられた密閉空間がヘリウムガスにて充填されても、X線透過窓材から試料セルまでの空間には空気が存在するため、分析精度が低下するという問題がある。
そこで、本発明においては、載置部の開口部をX線透過窓材により閉塞する場合、載置部の開口部の全周に亘って支持部を立設し、載置された試料セルのX線透過窓材と、載置部の支持部及び載置部の開口を閉塞するX線透過窓材とで囲まれる閉所を構成する。また載置部には、この閉所の内外を連通する貫通孔を設ける。これにより、載置部の貫通孔を通して閉所内にヘリウムガスなどを注入することができ、載置部のX線透過窓材から試料セルまでの空間にヘリウムガスなどを充填し、X線による試料の分析精度を向上することができる。
また更には、ヘリウムガスなどを注入するための貫通孔と共に、閉所内の空気などの気体を放出するための貫通孔を別に設けてもよい。
【0022】
また、本発明においては、載置部の貫通孔を通して閉所内にヘリウムガスなどの気体を注入するための注入管を蛍光X線分析装置が備える。これにより、試料セル及び載置部にて構成された閉所内に効率よく気体を注入して充填することができる。
【0023】
また、本発明においては、試料セルを載置する載置部は、試料セルを支持する支持部が設けられた環状の内枠と、開口部が設けられた環状の外枠とを嵌合させた構成とし、内枠及び外枠の間にX線透過窓材が挟み込まれる態様で保持される構成とする。これにより、X線透過窓材を強固に保持することができるため、試料セルから流出した試料からX線照射手段及び検出手段等を確実に保護することができる。また内枠及び外枠の嵌合を解除することで、容易にX線透過窓材を交換することができる。
【0024】
また、本発明においては、X線照射手段及び検出手段等が保持された蛍光X線分析装置の筐体に対して、試料セルを載置する載置部を着脱自在に設ける。これにより、載置部の開口部を閉塞するX線透過窓材の交換をより容易に行うことが可能となる。
しかし、この構成において載置部の装着位置に変化が生じると、載置された試料セルと検出手段との位置に変化が生じて分析精度が低下する虞がある。そこで、本発明においては、装着部を筐体に対して押さえ付けて固定する固定部を蛍光X線分析装置に備えることによって、載置部の位置変動を防止し、分析精度の低下を防止する。
【発明の効果】
【0025】
本発明による場合は、試料セルを載置する載置部に試料セルを支持する支持部を設け、試料セルの開口の内側部分に設けられたX線透過窓材(X線透過膜)に支持部が当接して試料セルを支持する構成とすることにより、試料セルの組み立てに不具合が生じたり、試料セルのX線透過窓材に撓みなどが生じた場合であっても、蛍光X線の検出手段と試料セルのX線透過窓材との位置が変化しない、即ち検出手段と試料との位置が変化しないため、X線による試料の分析精度が低下することがなく、蛍光X線分析装置による高精度な分析を実現することができる。
【0026】
また本発明による場合は、載置部の開口部をX線透過窓材にて閉塞し、載置部の開口部の全周に亘って支持部を設け、試料セルのX線透過窓材、支持部及び開口部を閉塞するX線透過窓材にて囲まれる閉所を設けると共に、この閉所の内外を連通する貫通孔を設ける構成とすることにより、貫通孔を通してヘリウムガスなどを閉所内に注入し、載置部のX線透過皮膜から試料セルまでの空間にヘリウムガスなどを充填することができるため、蛍光X線分析装置による分析精度をより向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】蛍光X線分析装置の概略構成を示す模式図である。
【図2】本発明に係る蛍光X線分析装置の構成を示す模式図である。
【図3】試料セルの構成を示す分解斜視図である。
【図4】セルホルダの構成を示す分解斜視図である。
【図5】ヘリウムガスなどの気体の注入方法を説明するための模式図である。
【図6】従来の蛍光X線分析装置の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づき具体的に説明する。図1は、蛍光X線分析装置の概略構成を示す模式図である。図において1は蛍光X線分析装置の筐体であり、筐体1の上部は平面とされ、蛍光X線分析装置を使用する作業者が作業台として用いることができる。筐体1の上部平面の中央には開口が形成されており、この開口に内嵌する態様でセルホルダ(載置部)2が装着され、分析対象の試料が収容された試料セル(試料収容容器)5がセルホルダ2上に載置される。またX線による試料の分析を行う際には、セルホルダ2に載置された試料セル5はカバー7に覆われる。
【0029】
筐体1には、セルホルダ2が装着される開口の直下にX線検出器(検出手段)4が固定され、開口の斜め下30°の位置にX線管(X線照射手段)3が固定されている。X線管3は、X線源にて発生したX線を所定の照射範囲へ導くものであり、セルホルダ2に載置された試料セル5の底部へ(即ち、試料セル5に収容された試料へ)一次X線を照射する。X線検出器4は、X線管3が試料セル5内の試料へ一次X線を照射することにより発生する蛍光X線を検出するものであり、検出結果を図示しないPC(Personal Computer)などの処理装置へ出力する。なお、詳細は後述するが、セルホルダ2にはX線透過窓材(X線透過膜)23が設けられ、試料セル5の底部にはX線透過窓材(X線透過膜)54が設けられており、X線管3からの一次X線はX線透過窓材23及び54を通して試料セル5内の試料に照射され、試料からの蛍光X線はX線透過窓材54及び23を通してX線検出器4へ到達し、検出される(図中の破線の矢印参照)。
【0030】
また、セルホルダ2の装着によって筐体1の開口は閉塞され、筐体1内は密閉空間(分析室1a)となる。試料の分析を行う際、噴射口11から筐体1内にヘリウムガスが注入され(図中の実線の矢印参照)、分析室1aはヘリウムガスにて充填される。更に、セルホルダ2のX線透過窓材23と試料セル5のX線透過窓材54との間の空間も同様に、試料の分析を行う際には、注入管15(図5参照)からヘリウムガスが注入される。
【0031】
図2は、本発明に係る蛍光X線分析装置の構成を示す模式図である。また、図3は、試料セル5の構成を示す分解斜視図であり、図4は、セルホルダ2の構成を示す分解斜視図である。試料セル5は、セル内枠51、試料カップ52、セル外枠53及びX線透過窓材54にて構成されている。セル内枠51は、円筒状をなしており、ポリエチレンなどのプラスチック又は金属等にて成形されている。セル内枠51の上端部には、外周面の一周に亘って鍔部51aが設けられている。またセル内枠51の外周面には、軸方向における中央位置に、一周に亘って溝51bが形成されており、セル内枠51の内周面には、一周に亘って環状の突部51cが突設されている。
【0032】
試料カップ52は、軟質のプラスチックフィルムを折り曲げて成形したものであり、天面を有して底に開口52dが設けられた円筒状の試料収容部52aと、この試料収容部52aの下端に連設され、所定間隔を隔てて試料収容部52aの外周面を囲む用に設けられた円筒状の囲い部52bと、囲い部52bの上端部に外周面の一周に亘って設けられた鍔部52cとを有している。試料収容部52aの外径はセル内枠51の内径より小さく、囲い部52bの内径はセル内枠51の外径と略等しい。よって、試料カップ52の試料収容部52a及び囲い部52bの間の空間には、セル内枠51の鍔部51a及び試料カップ52の鍔部52cが当接するまで、セル内枠51を上側から挿入することができる。試料カップ52にセル内枠51を挿入した場合、セル内枠51は試料カップ52の囲い部52bに内嵌し、セル内枠51の内周面と試料カップ52の試料収容部52aの外周面との間には隙間が設けられる。
【0033】
X線透過窓材54は、試料カップ52の外径より十分に大きな直径を有する略円形の薄いシート状をなしており、液体又は粉体等の流動試料は通さないが、X線を透過する物質で形成されている。X線透過窓材54は、試料が収容された試料カップ52の底部の開口52dを覆うことによって、試料カップ52の(即ち、試料セル5の)底面をなす。
【0034】
セル外枠53は、円筒状をなし、ポリエチレンなどのプラスチック又は金属等にて成形されており、試料カップ52に挿入されたセル内枠51をセル外枠53内に挿入して嵌合させることができる。このときに、試料カップ52の底部の開口52dをX線透過窓材54で覆った状態でセル外枠53内に挿入することで、X線透過窓材54の外縁側の部分が試料カップ52の外周面とセル外枠53の内周面との間に挟み込まれ、試料カップ52内の試料が開口52dからこぼれ出ることがないようにX線透過窓材54が試料セル5の底面として強固に固定される。
【0035】
セル外枠53の上端部には、外周面の一周に亘って鍔部53aが設けられており、鍔部53aは、嵌合されたセル内枠51及び試料カップ52をそれぞれの鍔部51a及び52cにて支持する。またセル外枠53の内周面には、セル内枠51の外周面に設けられた溝51bに対応する位置に、一周に亘って突部53bが設けられており、この突部53bは、セル外枠53に内嵌したセル内枠51の溝部51bに、試料カップ52の囲い部52b及びX線透過窓材54を挟んだ状態で係合する。これにより、セル内枠51及びセル外枠53の間に、試料カップ52及びX線透過窓材54が強固に挟持される。
【0036】
なお、図2、図3及び上記の説明においては、蛍光X線分析装置にて試料の分析を行う際の配置に基づいて試料セル5の上下方向を定めているが、試料セル5の組み立て及び試料の収容を行う際には、試料セル5は上下逆に用いられる。即ち、鍔部51aを下側としたセル内枠51に上側から試料カップ52を被せ、試料カップ52の試料収容部52a内に開口52dから試料を注ぎ込み、試料カップ52の開口52dをX線透過窓材54にて覆い、その上側からセル外枠53を外嵌させることによって、試料セル5の組み立て及び試料の収容を行う。その後、試料セル5の上下を反転させ、試料カップ52の開口52dを覆うX線透過窓材54を底面として、試料セル5がセルホルダ2上に載置される。
【0037】
セルホルダ2は、セルホルダ内枠21、セルホルダ外枠22及びX線透過窓材23にて構成されている。セルホルダ内枠21は、銅又はアルミニウム等の金属製であり、中央に開口部21cが形成された円板状(即ち、円環状)の底板部21aを有している。セルホルダ内枠21は、1次X線が照射されることによる測定精度への影響を防ぐために銅製などのものを用いることが好ましい。底板部21aの外縁部分には、円筒状の周壁部21bが略垂直上方へ立設されており、周壁部21bの内径は、試料セル5のセル外枠53の円筒部分の外径より大きく、周壁部21bの高さは、試料セル5の軸方向の高さより十分に低い。
【0038】
またセルホルダ内枠21は、底板部21aの内縁部分(開口部21cの周縁部分)に、開口部21cの一周に亘って、開口部21cの内側へ向けて斜め上方に突設された支持部24を有している。即ち、支持部24は上側に縮径する円筒状(略円錐台形)をなしており、支持部24の突端部(上端部)は、円環状の水平で滑らかな支持平面24aが形成されている。支持平面24aの外径は、試料セル5の試料カップ52の底部に設けられた開口52dの直径より小さい。支持部24は、試料セル5のX線透過窓材54が載置部2の開口部21cに向かい合うように、またX線管3からの一次X線が開口部21cを通して試料セル5のX線透過窓材54へ至るように、その高さ及び支持平面24aのサイズ等が適切に設定されている。
なお、図示の支持部24は上側に縮径する筒状としたが、これに限るものではなく、開口52dの周縁に略垂直に支持部24を設けて、その上端部から軸芯へ向けて円環状の支持平面24aを設ける構成としてもよい。この場合、支持部24及び支持平面24aの外径は、試料セル5の開口52dの直径より小さく形成する。
【0039】
X線透過窓材23は、セルホルダ内枠21の外径より大きな直径を有する略円形の薄いシート状をなし、試料セル52のX線透過窓材54と同様のものであり、液体又は粉体等の流動試料は通さないが、X線を透過する物質で形成されている。X線透過窓材23がセルホルダ内枠21の開口部21cを覆って閉塞することによって、蛍光X線分析装置の分析室1aが密閉される。
【0040】
セルホルダ外枠22は、円環状の底板部22aを有している。底板部22aの内径は、セルホルダ内枠21の底板部21aの内径より大きい。底板部22aの外縁部分には、セルホルダ内枠21に外嵌する円筒状の周壁部22bが略垂直上方へ立設されている。セルホルダ内枠21及びセルホルダ外枠22はX線透過窓材23を挟んで嵌合され、これによりX線透過窓材23は開口部21cを閉塞した状態で強固に挟持される。またセルホルダ内枠21及びセルホルダ外枠22が嵌合した状態では、セルホルダ内枠21の周壁部21bは、セルホルダ外枠22の周壁部22bより若干上側に突出する。
【0041】
X線透過窓材23を挟んでセルホルダ内枠21及びセルホルダ外枠22を嵌合することで組み立てられたセルホルダ2は、蛍光X線分析装置の筐体1の上面に形成された開口を閉塞するようにして、着脱可能に装着される。装着されたセルホルダ2は、ホルダ押さえ(固定部)13にて筐体1に押さえ付けられて強固に固定され、その後、試料が収容された試料セル5がセルホルダ2上に載置される。
【0042】
ホルダ押さえ13は、円環状をなしており、金属又はプラスチック等で成形されている。ホルダ押さえ13の内径は、セルホルダ2のセルホルダ内枠21に設けられた周壁部21の内径に略等しく、筐体1に装着されたセルホルダ2の上端をなす周壁部21の上端面に当接して、セルホルダ2を下方へ押さえつける。またホルダ押さえ13は、セルホルダ2を押さえ付けた状態でネジ14により筐体1に固定される。また、後述の注入管15は、ホルダ押さえ13に固定する構成とすることができる。
なお、ホルダ押さえ13の構成は図示のように筐体1に対して取り外し可能にネジ止めする構成に限らず、例えば、ホルダ押さえ13の片側にヒンジ機構などを設けて筐体1に揺動可能となるようにホルダ押さえ13を取り付け、反対側をネジ14にて固定する構成としてもよい。また、ホルダ押さえ13の筐体1への固定はネジ14に限るものではなく、例えばパチン錠などの締め付け金具などを用いて固定してもよい。ホルダ押さえ13は、筐体1に対して容易に取り外しできる構成であることが望ましい。
【0043】
試料セル5はセルホルダ2の支持部24上に載置されるが、本発明に係る蛍光X線分析装置においては、支持部24の支持平面24aの外径は試料セル5の底部の開口52dの直径より小さい。このため、支持平面24aは、試料セル5の開口52dの縁部分より内側にて、開口52を覆って設けられたX線透過窓材54に当接して、試料セル5を支持することができる。またセルホルダ2の支持部24は、試料セル5のセル外枠53の下端がセルホルダ内枠21の底板部21aの上面に当接することがないように、十分な高さをもって立設されている。よって、セルホルダ2と試料セル5との当接箇所は、支持部24の支持平面24aと開口52dを閉塞するX線透過窓材54の下面とのみであり、他の箇所でセルホルダ2と試料セル5とが当接することはない。更には、セルホルダ2の支持平面24aに当接する試料セル5のX線透過窓材54の当接部分は、その上面に試料が存在する部分のみであり、その上面に試料カップ52の下端が存在する部分ではX線透過窓材54が支持平面24aに当接しない。
【0044】
これにより、試料セル5の組み立てに不具合があったり、X線透過窓材54に撓みなどが生じた場合であっても、セルホルダ2の支持部24の位置に対して試料セル5のX線透過窓材54の位置が変動することはない(ただし、支持部24の位置に対して試料セル5のセル内枠51及びセル外枠53等の他の部分の位置は変動する)。よって、試料セル5の組み立てに不具合があったり、X線透過窓材54に撓みなどが生じた場合であっても、X線透過窓材54の位置(即ち、試料セル5に収容された試料の位置)と、X線検出器4の位置とが変動することはなく、X線検出器4による蛍光X線の検出を精度よく行うことができる。
【0045】
また、セルホルダ2に試料セル5を載置することによって、セルホルダ2の支持部24の支持平面24aは試料セル5の底部のX線透過窓材54に密着し、これにより試料セル5のX線透過窓材54、セルホルダ2の支持部24及びX線透過窓材23にて囲まれた略円錐台形の略密閉空間(閉所)が形成される。本発明に係る蛍光X線分析装置は、この略密閉空間を分析室1aと同様にヘリウムガスなどの気体で充填してX線の照射及び検出を行うことにより、分析精度の向上を図っている。このため、セルホルダ2のセルホルダ内枠21には、ヘリウムガスなどの気体を略密閉空間へ注入するための注入孔(貫通孔)25が形成されている。
【0046】
図5は、ヘリウムガスなどの気体の注入方法を説明するための模式図であり、セルホルダ2の支持部24及びその近傍を拡大した側断面図である。また図5(a)には注入孔25が形成されていない位置における支持部24の側断面を示し、図5(b)には注入孔25が形成されて位置における支持部24の側断面を示してある。
【0047】
注入孔25は、セルホルダ内枠21の上面視で、セルホルダ内枠21の半径方向に長い長円状の貫通孔であり、セルホルダ内枠21の上下を貫通し且つ支持部24の傾斜部分を一側から他側へ貫通するように形成されている。即ち、注入孔25の一端部分は周壁部21bの内壁部分にまで達し、注入孔25の他端部分は支持部24の支持平面24aの外縁部分にまで達している。これにより、試料セル5のX線透過窓材54、セルホルダ2の支持部24及びX線透過窓材23にて囲まれた略密閉空間は、注入孔25を通してのみ内外が連通し、注入孔25を通してヘリウムガスなどの気体を略密閉空間内に注入することができる。
【0048】
蛍光X線分析装置は、注入孔25を通して略密閉空間にヘリウムガスなどの気体を注入するための注入管15を備えている。注入管15は、金属又はプラスチック等にて成形された直線状の細い管であり、注入管15の先端部分は略L字形に屈曲している。注入管15の最も先端の直線部分(第1部分15a)は、その長さが注入孔25の上面視における長さより若干短く、セルホルダ2の上側から注入孔25に注入管15の第1部分15aが略水平に挿入され、第1部分15aの先端の吹出口が略密閉空間の内側を向くように設置される。また注入管15の第1部分15aに略垂直に連なる第2部分15bは、第1部分15aが注入孔25内に挿入された場合に、セルホルダ内枠21の周壁部21bに沿って略垂直に配される。
【0049】
また、図示は省略するが、注入管15の反対端は電磁弁などを介してガスボンベなどの気体供給源に接続されており、X線による分析を開始する前に、気体供給減から供給されるヘリウムガスなどの気体を注入管15から略密閉空間内に注入する。又は、注入管15の反対端は、筐体1内の分析室1aに接続されていてもよく、この場合には分析室1a内のヘリウムガスなどの気体が注入管15を介して略密閉空間内に注入される。
【0050】
セルホルダ2の注入孔25への注入管15の挿入は、筐体1にセルホルダ2を装着した後、試料セル5をセルホルダ2上に載置する前に行われる。なお、注入管15は、セルホルダ2を筐体1に押さえ付けるホルダ押さえ13に取り付けられており、ホルダ押さえ13を筐体1にネジ止め固定した場合に、注入管15がセルホルダ2の注入孔25に挿入される。図示は省略するが、注入管15は、その先端部分がホルダ押さえ13の開口を通して外側から内側へ(上側から下側へ)挿入される構成であってもよく、ホルダ押さえ13に注入管15を通す切り欠き又は貫通孔等を形成する構成であってもよい。
【0051】
蛍光X線分析装置1を用いて試料の分析を行う作業者は、セルホルダ2を組み立てて筐体1に装着してホルダ押さえ13にて固定し、注入管15をセルホルダ2の注入孔25内に挿入し、試料を収容した試料セル5をセルホルダ2上に載置し、試料セル5及びセルホルダ2等をカバー7にて覆った後、試料の分析を開始することができる。蛍光X線分析装置は、まず、筐体1内の分析室1aに噴射口11からヘリウムガスなどの気体を注入すると共に、試料セル5のX線透過窓材54、セルホルダ2の支持部24及びX線透過窓材23にて囲まれた略密閉空間内に注入管15から注入孔25を通してヘリウムガスなどの気体を注入する。十分に気体が充填された後、蛍光X線分析装置は、X線管3から試料セル5の底部へ一次X線を照射し、これにより試料セル5内の試料から発せられる蛍光X線をX線検出器4にて検出し、検出された蛍光X線のスペクトル分布などを調べることによって試料の分析を行うことができる。
【0052】
以上の構成の蛍光X線分析装置においては、セルホルダ2のセルホルダ内枠21に設けられた開口部21cの周縁に支持部24を突設し、支持部24の突端部に設けた支持平面24aが試料セル5の底部の開口52dの内側に設けられたX線透過窓材54に当接して試料セル5を支持する構成とすることにより、試料セル5の組み立てに不具合があったり、X線透過窓材54に撓みが生じた場合であっても、X線検出器4に対するX線透過窓材54の位置が変化せず、試料セル5内の試料の位置が変化することがないため、蛍光X線分析装置の分析精度の低下を防止できる。また、試料セル5と支持部24との当接を円環状の支持平面24aにて行う構成であるため、試料セル5と支持部24との当接を広い面積で行うことができ、支持平面24aを試料セル5のX線透過窓材54に密接させることができ、試料セル5を安定して支持することができる。
【0053】
また、セルホルダ2の開口部21cをX線透過窓材23にて閉塞する構成とすることにより、試料セル5のX線透過窓材54が破損して試料がこぼれ出た場合であっても、X線透過窓材23を保護膜として筐体1の分析室1a内に試料が流入することを防止できるため、X線管3及びX線検出器4等に試料が付着する虞がない。また、セルホルダ2のセルホルダ内枠21及びセルホルダ外枠22にてX線透過窓材23を挟み込んで保持する構成とすることにより、X線透過窓材23を強固に保持することができ、分析室1a内を確実に保護することができる。また、セルホルダ2を筐体1に対して着脱可能に装着する構成とすることにより、X線透過窓材23の交換を容易に行うことができる。また、筐体1に装着されたセルホルダ2をホルダ押さえ13にて筐体1へ押さえつけて固定する構成とすることにより、セルホルダ2の位置変動を防止することができ、分析精度の低下を防止することができる。
【0054】
また、セルホルダ2に載置された試料セル5のX線透過窓材54、セルホルダ2の支持部24及びX線透過窓材23にて囲まれた略密閉空間に、注入孔25に挿入した注入管15からヘリウムガスなどの気体を注入すると共に、筐体1内の分析室1a内にヘリウムガスなどの気体を注入する構成とすることにより、X線管3から試料セル5まで及び試料セル5からX線検出器4までの空間をヘリウムガスなどの気体で充填することができ、空気中のアルゴンなどの誤差要因を排除してX線による試料の分析精度を向上することができる。
【0055】
なお、本実施の形態においては、セルホルダ2及び試料セル5の直下にX線検出器4を配し、斜め下30°の位置にX線管3を配する構成としたが、これに限るものではなく、例えばセルホルダ2及び試料セル5の直下にX線管3を配し、斜め下30°の位置にX線検出器4を配する構成としてもよく、その他の構成としてもよい。また、筐体1の分析室1aと、X線透過窓材54、支持部24及びX線透過窓材23にて囲まれた略密閉空間とにヘリウムガスなどの気体を注入する構成としたが、これに限るものではなく、ヘリウムガスなどの気体を注入せずにX線による分析を行う構成であってもよい。この場合、X線透過窓材54、支持部24及びX線透過窓材23による略密閉空間を構成する必要はないため、例えば支持部24は開口部21cの一周に亘って設けるのではなく、一定の間隔を隔てて複数の支持部24を開口部21cの周縁に設ける構成としてもよい。
【0056】
また、図3などに示した試料セル5の形状は、一例であってこれに限るものではなく、少なくとも底面にX線透過窓材54が設けられた容器であればよい。また、図5などに示した注入管15の形状(先端部分が略L字形に屈曲した形状)は、一例であってこれに限るものではなく、その他の形状であってもよい。例えば注入管15は、注入孔25内を水平方向に配される第1部分15aを有さずに、第2部分15bの側面に設けた吹出口から略密閉空間へヘリウムガスなどの気体を注入する構成としてもよい。更に、セルホルダ2を筐体1に対して着脱可能に設ける例について記載したが、これに限るものではなく、X線透過窓材23が筐体1に対して固定されていてもよい。この場合、支持部24はX線透過窓材23と別体に設けられてもよい。また、試料セル5、試料セル5の開口52dを閉塞するX線透過窓材54、及びセルホルダ2の開口部21cを閉塞するX線透過窓材23は、交換可能な汎用の消耗品とすることができ、蛍光X線分析装置の販売態様などにおいて、これらの消耗品が含まれていなくてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 筐体
1a 分析室
2 セルホルダ(載置部)
3 X線管(X線照射手段)
4 X線検出器(検出手段)
5 試料セル(試料収容容器)
7 カバー
13 ホルダ押さえ(固定部)
15 注入管
21 セルホルダ内枠(内枠)
21c 開口部
22 セルホルダ外枠(外枠)
23 X線透過窓材
24 支持部
24a 支持平面
25 注入孔(貫通孔)
51 セル内枠
52 試料カップ
52d 開口
53 セル外枠
54 X線透過窓材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口がX線透過窓材にて閉塞されるべき試料収容容器が載置される載置部と、該載置部に載置された前記試料収容容器へ一次X線を照射するX線照射手段と、一次X線の照射により生じる前記試料収容容器に収容された試料からの蛍光X線を検出する検出手段とを備える蛍光X線分析装置において、
前記載置部は、
前記X線照射手段から前記試料収容容器への一次X線を通す開口部と、
該開口部を通った一次X線が前記試料収容容器の開口を閉塞したX線透過窓材に至るように、前記試料収容容器を支持する支持部と
を有し、
該支持部は、前記試料収容容器の開口の内側にて、該開口を閉塞した前記X線透過窓材に当接して前記試料収容容器を支持するようにしてあること
を特徴とする蛍光X線分析装置。
【請求項2】
前記支持部の前記X線透過窓材との当接部分は平面としてあり、該平面が前記X線透過窓材に密接するようにしてあること
を特徴とする請求項1に記載の蛍光X線分析装置。
【請求項3】
前記載置部の開口部は、X線透過窓材にて閉塞することができ、
前記支持部は、前記開口部の全周に亘って設けられ、
前記載置部は、前記試料収容容器が載置された場合に、前記試料収容容器のX線透過窓材、前記支持部及び前記開口部を閉塞すべきX線透過窓材にて構成される閉所の内外を連通する貫通孔を有すること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の蛍光X線分析装置。
【請求項4】
前記貫通孔を通して前記閉所内に気体を注入する注入管を更に備えること
を特徴とする請求項3に記載の蛍光X線分析装置。
【請求項5】
前記載置部は、
前記支持部が設けられた環状の内枠と、
該内枠に外嵌する環状の外枠と
を有し、
嵌合した前記内枠及び前記外枠に前記X線透過窓材を挟持できるようにしてあること
を特徴とする請求項3又は請求項4に記載の蛍光X線分析装置。
【請求項6】
前記載置部は、前記X線照射手段及び前記検出手段が保持された筐体に着脱自在に設けられ、
前記載置部を前記筐体に押さえ付けて固定する固定部を更に備えること
を特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載の蛍光X線分析装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−13027(P2011−13027A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−155886(P2009−155886)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(000155023)株式会社堀場製作所 (638)
【Fターム(参考)】