蛍光pH検出システムおよび関連する方法
蛍光pH検出器および該蛍光pH検出器を用いてpHを測定する方法。基板上に固定された蛍光種からの発光を2つ以上の波長において受け入れ、励起光を発するプローブを用いて二酸化炭素濃度またはpHなどの試料特性を測定する方法およびシステム。このプローブは、基板上の蛍光種から、例えば、窓により物理的に隔離されている。第1および第2の波長において受け入れた光は、試料特性の測定に使われる。さらに、例えば、半透膜を介して分析対象物質がこの基板に接触することができるように、基板上にチップを具備するようにすることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、蛍光pH検出器および該蛍光pH検出器を用いてpHを測定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
pHを測定する光学センサー(オプトロード)はよく知られている。特定の有機芳香族化合物(フェノールフタレンのような)は、pHによって変色し、固体支持体上に固定し、「pH試験紙」を形成することができる。このような眼に見える指示体は、簡単に使用することができるが、定量的測定値を与えるものではない。変色を正確に見極めることは困難であり、着色した分析対象物質では試料自体の色により妨害されることがある。蛍光指示体は、光学センサーとしても使われてきた。pH感受性蛍光染料は、固体支持体上に固定することができ、一般に、単純な変色(吸光度または反射率に基づく)指示薬に比べてより感受性が高い。蛍光指示薬の感度を改善すると、固体支持体を小型化することができ、この指示薬を用いると、血液中のpH値、CO2およびO2の濃度を測定する光ファイバセンサー装置の開発を促進する。
【0003】
医療分野では、血液のpHを正確に測定する必要がある。血液または体液(胸水)のpHは、病理学に関連した特定の生理学的反応と関連することがある。血液ガス分析器は、通常の救急救命装置である。貯蔵条件によって、分離血液成分(血漿、血小板)のpHは、ドナーから集められる濃縮静脈血から溶解CO2の放散により急速に変化する。特に血小板は、代謝的に活性であり、20〜22℃で貯蔵中に乳酸を生じる。「バフィコート法」により調製された血小板に関する欧州の品質指針は、貯蔵血小板のpHは37℃で6.8〜7.4(22℃で7.0〜7.6)であることを必要とする。
【0004】
セミナフトフルオレセイン(SNAFL)化合物および関連セミナフトローダフルオル(SNARF)化合物は、市販のレシオメトリック・フルオル類(OR(オレゴン州)EugeneのMolecular Probes,Inc.;例えば、特許文献1を参照のこと)であり、これらの化合物の合成およびスペクトル特性は説明されている。これらの化合物は、LED光源を用いて効率的に励起することができる長波長吸光度を含む利点を有する。当該の酸/塩基平衡および関連スペクトル特性を下に示す。
【0005】
【化1】
SNAFL染料のナフトール構造から脱プロトンすると、長波長蛍光発光を有するナフトレート分子が得られる。pKaは、2つの分子種の形が等量にあるpH値である。興味のある他の分子へのSNAFL化合物の結合を可能にする反応性リンカーを有する該SNAFL化合物も市販されている。
【0006】
光ファイバpH検出器において使用する固体支持体に「レシオメトリック」染料を固定するために、種々の方法が使われている。カルボキシナフトフルオレセイン(CNF)はアミノエチルセルロースに接合し、この物質をポリエステル(Mylar)フィルムに糊で接合し、オプトロード用検知膜を作製した。この物質のpKaは7.41であり、フリーCNF(pKa7.62)よりわずかに低い。ガラスカバースリップ上に形成されたゾルゲルガラスにおいてCNFを捕捉するためにテトラエトキシシランを使用することも報告されている。この物質のpKaは7.46であった。9−クロロ置換SNAFL類似体(SNAFL−2)はポリビニルアミンと反応し、残りのアミノ基は光架橋剤により架橋させられ、アクリル繊維上にゲル状コーティングを形成する。この光ファイバセンサーのpKaは7.14であり、フリーのSNAFL化合物の公表されたpKa(pKa約7.7)よりかなり低い。これは、固定された染料の周りの分子環境およびリンカーの構造がpH検出器の性能を変えられることを示している。
【特許文献1】米国特許第4,945,171号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
pHの検出については上で指摘したような進歩がなされているにも関わらず、pHを測定する改善された方法および装置を求めるニーズがある。本発明は、このニーズを満たし、さらに、関連した利点を提供しようとしている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の概要
1つの態様では、本発明は試料のpHを測定する方法を提供する。この方法は、血液および血液製品のpHの測定において有用である。1つの実施態様では、この方法は、容器に密封された血液または血液製品のpHの測定において有用である。1つの実施態様では、この方法は、
(a)基板上に固定された該蛍光種から物理的に隔離されたプローブから発する励起光を基板上に固定された該蛍光種に照射する工程であって、基板上に固定された蛍光種は液体中で試料と連通し、励起光は該蛍光種から蛍光発光するのに十分な波長を有し、該蛍光種は、第1発光波長において第1発光強度を、第2発光波長において第2発光強度を示し、第1発光強度と第2発光強度との比はpHに依存する工程と、
(b)試料のpHを求めるために第1および第2の発光強度を測定する工程と、を含む。
【0009】
この方法では、このプローブは、基板上に固定された蛍光種から物理的に隔離されている。本明細書で使われている、用語「物理的に隔離された」は、調査しようとしている試料からのプローブの物理的隔離を意味している。励起光を発し、発光を受け取るプローブは、調査しようとしている試料に接触している。本発明の方法では、試料は基板に固定された蛍光種と接触(即ち、液体連通)している。このプローブは、試料から隔離されているが、試料と物理的に接触しないわけではない。試料からプローブの隔離は、図3および5に例示されている。1つの実施態様では、このプローブは、励起光および蛍光発光に対して透明な窓により蛍光種から隔離されている。
【0010】
1つの実施態様では、該プローブは、1つ以上の光ファイバを具備している。
【0011】
この方法では、この蛍光種はレシオメトリックな蛍光種である。1つの実施態様では、この蛍光種は、ナフトフルオレセイン化合物とセミナフトローダミン化合物とから選択される。1つの実施態様では、ナフトフルオレセイン化合物は、セミナフトフルオレセイン化合物とカルボキシナフトフルオレセイン化合物とから選択される。1つの実施態様では、セミナフトフルオレセイン化合物は、5’(および6’)−カルボキシ−3,10−ジヒドロキシ−スピロ[7H−ベンゾ[c]キサンテン−7,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−3’−オン(本明細書では、「SNAFL−1」とも呼ばれ,図7Aを参照のこと)および2−(2−クロロ−3−ヒドロキシ−9−カルボキシエチル−10−オキソ−10H−ベンゾ[c]キサンテン−7−イル)安息香酸(本明細書では、「EBIO−3」とも呼ばれ,図7Eを参照のこと)から選択される。
【0012】
1つの実施態様では、基板上に固定されたこの蛍光種は、蛍光種と巨大分子との複合体を含む。1つの実施態様では、この巨大分子はアルブミンである。1つの実施態様では、この巨大分子は血清アルブミンである。1つの実施態様では、この巨大分子はヒト血清アルブミンである。1つの実施態様では、この巨大分子は組み換えヒト血清アルブミンである。1つの実施態様では、基板上に固定されたこの蛍光種は、ナフトフルオレセイン/血清アルブミン複合体を含む。1つの実施態様では、基板上に固定されたこの蛍光種は、セミナフトフルオレセイン/ヒト血清アルブミン複合体を含む。
【0013】
上で指摘したように、この方法は、容器に密封された血液または血液製品のpHの測定に適している。1つの実施態様では、基板上に固定されたこの蛍光種は、容器のシールを保つ手段により密封容器内に導入される。
【0014】
本発明の別の態様では、pHを測定するシステムを提供している。1つの実施態様では、このシステムは、
(a)第1発光波長において第1発光強度および第2発光波長において第2発光強度を有する蛍光種を励起する光源と、
(b)第1発光強度を測定する第1発光検出器と、
(c)第2発光強度を測定する第2発光検出器と、
(d)光源に近い第1末端部および光源から遠い第2末端部を含み、光源から蛍光種へ励起光を送る励起光ライトガイドと、
(e)蛍光種から第1発光検出器へ発光を送る第1発光ライトガイドであって、検出器に近い第1末端部および検出器から遠い第2末端部を含むライトガイドと、
(f)蛍光種から第2発光検出器へ発光を送る第2発光ライトガイドであって、検出器に近い第1末端部および検出器から遠い第2末端部を含むライトガイドと、
(g)励起光ライトガイド、第1発光ライトガイドおよび第2発光ライトガイドの遠位末端部を格納するプローブと、
(h)アセンブリであって、
(i)プローブを受け入れるハウジングであって、ハウジングは第1端部においてプローブを受け入れ、第2端部において窓で終わるようになっており、窓は励起光および発光に対して透明であるハウジングと、
(ii)測定すべき試料から液体を受け入れるようになっており、前記ハウジングの第2端部に可逆的に接続可能なチップ部材と、
(iii)チップ部材と窓との間に介在する基板上に固定された蛍光種であって、基板上に固定された蛍光種は測定中前記試料と液体連通し、窓は基板上に固定された蛍光種からプローブ部材を物理的に隔離している蛍光種とを、
含む前記アセンブリとを具備するシステム。
【0015】
1つの実施態様では、光源は発光ダイオードである。
【0016】
1つの実施態様では、第1および第2の検出器はフォトダイオードである。
【0017】
1つの実施態様では、励起光ライトガイド、第1発光ライトガイド、および第2発光ライトガイドは光ファイバである。
【0018】
1つの実施態様では、ハウジングは窓で終わる先細りのチューブを具備する。
【0019】
1つの実施態様では、チップ部材は密封容器に穴を開けるスパイクを具備する。
【0020】
このシステムで有用な蛍光種は、方法について上で指摘された該蛍光種および下でさらに詳細に説明される該蛍光種を含む。1つの実施態様では、この蛍光種は、セミナフトフルオレセイン/ヒト血清アルブミン複合体を含む。
【0021】
別の態様では、本発明は、基板上に固定された蛍光種を試料内に導入するのに有用なアセンブリを提供する。このアセンブリは、容器内に密封された試料に基板上に固定された蛍光種を導入するのに特に有用である。1つの実施態様では、このアセンブリは、
(a)可視光に対して透明な窓を具備する第2閉鎖端部および第1開放端部を有するハウジングと、
(b)ハウジングの窓に露出するように構成され、ハウジングの閉鎖端部に可逆的に接続可能なチップ部材と、
(c)このハウジングの窓とチップ部材との間に介在する基板上に固定された蛍光種と、を含む。
【0022】
チップ部材は、ハウジングの窓を露出するように構成される。ハウジングの窓をチップ部材の外部環境に露出することにより、ハウジングの窓とチップ部材との間に介在する基板上に固定された蛍光種は、測定すべき試料と液体連通している。
【0023】
1つの実施態様では、ハウジングは先細りである。1つの実施態様では、チップ部材が密封容器に穴を開けるスパイクを具備する。このアセンブリで有用な蛍光種は、方法について上で指摘された該蛍光種および下でさらに詳細に説明する該蛍光種を含む。1つの実施態様では、この蛍光種は、セミナフトフルオレセイン/ヒト血清アルブミン複合体を含む。
【0024】
別の態様では、本発明は、上で説明したアセンブリを具備する血液バッグまたは血液製品バッグを提供する。
【0025】
本発明のさらに別の態様では、環境感受性フルオロフォアタンパク質複合体を提供する。1つの実施態様では、この複合体は、アルブミンに共有結合した環境感受性フルオロフォアを含む。1つの実施態様では、環境感受性フルオロフォアは、pH感受性フルオロフォア、酸素感受性フルオロフォア、核酸感受性フルオロフォア、イオン感受性フルオロフォア、グルコース感受性フルオロフォア、脂質感受性フルオロフォアまたは酵素感受性フルオロフォアである。
【0026】
1つの実施態様では、環境感受性フルオロフォアは、ナフトフルオレセイン化合物またはセミナフトローダミン化合物から選択されるpH感受性フルオロフォアである。1つの実施態様では、このナフトフルオレセイン化合物は、セミナフトフルオレセイン化合物またはカルボキシナフトフルオレセイン化合物である。1つの実施態様では、セミナフトフルオレセイン化合物は、5’(および6’)−カルボキシ−3,10−ジヒドロキシ−スピロ[7H−ベンゾ[c]キサンテン−7,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−3’−オンまたは2−(2−クロロ−3−ヒドロキシ−9−カルボキシエチル−10−オキソ−10H−ベンゾ[c]キサンテン−7−イル)安息香酸である。
【0027】
1つの実施態様では、アルブミンは血清アルブミンである。1つの実施態様では、アルブミンはヒト血清アルブミンである。1つの実施態様では、アルブミンは組み換えヒト血清アルブミンである。
【0028】
1つの実施態様では、環境感受性フルオロフォアは2−(2−クロロ−3−ヒドロキシ−9−カルボキシエチル−10−オキソ−10H−ベンゾ[c]キサンテン−7−イル)安息香酸であり、アルブミンはヒト血清アルブミンである。
【0029】
上で説明した本発明の方法およびシステムは、特定のフルオロフォアにより与えられた効用に特異的な方法およびシステムを提供する特定の環境感受性フルオロフォアを含むように変更することができることは言うまでもない。
【0030】
別の態様では、本発明は、基板固定蛍光種を提供する。1つの実施態様では、この基板固定蛍光種は膜固定蛍光種である。1つの実施態様では、この基板固定蛍光種はナフトフルオレセイン化合物と膜に付着したアルブミンとの複合体である。1つの実施態様では、膜は微孔膜である。1つの実施態様では、膜は、ニトロセルロース膜、ニトロセルロースと酢酸セルロースとの混合エステル類膜、ポリエチレンテレフタレート膜、ポリカーボネート膜、およびポリイミド膜である。
【0031】
1つの実施態様では、このナフトフルオレセイン化合物は、セミナフトフルオレセイン化合物またはカルボキシナフトフルオレセイン化合物である。1つの実施態様では、このナフトフルオレセイン化合物は、5’(および6’)−カルボキシ−3,10−ジヒドロキシ−スピロ[7H−ベンゾ[c]キサンテン−7,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−3’−オンまたは2−(2−クロロ−3−ヒドロキシ−9−カルボキシエチル−10−オキソ−10H−ベンゾ[c]キサンテン−7−イル)安息香酸である。
【0032】
1つの実施態様では、アルブミンは血清アルブミンである。1つの実施態様では、アルブミンはヒト血清アルブミンである。1つの実施態様では、アルブミンは組み換えヒト血清アルブミンである。
【0033】
本発明の別の態様では、二酸化炭素を測定する方法を提供している。1つの実施態様では、この方法は、
(a)基板上に固定された該蛍光種から物理的に隔離されたプローブから発する該励起光を基板上に固定された該蛍光種に照射する工程であって、基板上に固定された蛍光種は液体試料中に存在する二酸化炭素に応じたpHを有する溶液と液体連通し、二酸化炭素に応じたpHを有する該溶液は選択的透過膜を通して液体試料と連通し、励起光は該蛍光種から蛍光発光するのに十分な波長を有し、該蛍光種は、第1発光波長において第1発光強度を、第2発光波長において第2発光強度を示し、第1発光強度と第2発光強度との比はpHに依存する工程と、
(b)pH応答性を有する該溶液の該pHを決めるために第1および第2の発光強度を測定する工程と、
(c)試料中の二酸化炭素濃度へのpH応答性を有する該溶液の該pHを相関づける工程と、を含む。
【0034】
1つの実施態様では、プローブは、励起光および蛍光発光に対して透明な窓により基板上に固定された蛍光種から物理的に隔離されている。1つの実施態様では、このプローブは1つ以上の光ファイバを具備する。
【0035】
1つの実施態様では、この試料は血液または血液製品を含む。1つの実施態様では、この試料は密封容器内に収納される。1つの実施態様では、基板上に固定されたこの蛍光種は、容器のシールを保つ手段により密封容器内に導入される。
【0036】
この方法で有用な蛍光種は、pHを測定する方法について上で指摘された該蛍光種および下でさらに詳細に説明される該蛍光種を含む。1つの実施態様では、この蛍光種はセミナフトフルオレセイン/ヒト血清アルブミン複合体を含む。
【0037】
別の態様では、本発明は二酸化炭素を測定するシステムを提供している。このシステムは、液体試料中の二酸化炭素濃度を測定するのに有用である。このシステムは、
(a)第1発光波長において第1発光強度および第2発光波長において第2発光強度を有する、蛍光種を励起する光源と、
(b)第1発光強度を測定する第1発光検出器と、
(c)第2発光強度を測定する第2発光検出器と、
(d)光源に近い第1末端部および光源から遠い第2末端部を含む、光源から蛍光種へ励起光を送る励起光ライトガイドと、
(e)蛍光種から第1発光検出器へ発光を送る第1発光ライトガイドであって、検出器に近い第1末端部および検出器から遠い第2末端部を含むライトガイドと、
(f)蛍光種から第2発光検出器へ発光を送る第2発光ライトガイドであって、検出器に近い第1末端部および検出器から遠い第2末端部を含むライトガイドと、
(g)励起光ライトガイド、第1発光ライトガイドおよび第2発光ライトガイドの遠位末端部を格納するプローブと、
(h)アセンブリが、
(i)該プローブを受け入れるハウジングが、該ハウジングは第1端部において該プローブを受け入れ、前記第2端部において窓で終わるようになっており、該窓は励起光および発光に対して透明である該ハウジングと、
(ii)ハウジングの第2端部に可逆的に接続可能なチップ部材であって、チップ部材が液体試料中に存在する二酸化炭素に対してpH応答性を有する溶液を受け入れるチェンバを具備し、二酸化炭素に対してpH応答性を有する該溶液が選択的透過膜を通して液体試料と液体連通しているチップ部材と、
(iii)該チップ部材と窓との間に介在する基板上に固定された蛍光種であって、基板上に固定された蛍光種は、測定中二酸化炭素に対してpH応答性を有する該溶液と液体連通し、該窓は、基板上に固定された蛍光種から該プローブ部材を物理的に隔離している蛍光種とを含むプローブを受け入れるアセンブリと、を具備する。
【0038】
1つの実施態様では、光源が発光ダイオードである。
【0039】
1つの実施態様では、第1および第2の検出器がフォトダイオードである。
【0040】
1つの実施態様では、励起光ライトガイド、第1発光ライトガイド、および第2発光ライトガイドが光ファイバである。
【0041】
1つの実施態様では、ハウジングが窓で終わる先細りのチューブを具備する。
【0042】
1つの実施態様では、選択的透過膜が二酸化炭素を通すことができる。
【0043】
1つの実施態様では、チップ部材が密封容器に穴を開けるスパイクを具備する。
【0044】
この方法で有用な蛍光種は、pHを測定する方法について上で指摘された該蛍光種および下でさらに詳細に説明する該蛍光種を含む。1つの実施態様では、この蛍光種は、セミナフトフルオレセイン/ヒト血清アルブミン複合体を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
発明の詳細な説明
本発明は、pHを測定する方法およびシステムを提供する。この方法およびシステムは、密封容器内に収納された試料のpH測定に適している。
【0046】
本発明の1つの態様では、pHを測定する方法を提供している。この方法では、pH依存性の蛍光発光を有する単一の蛍光種からの蛍光発光強度を比較してpH値が得られる。pH依存性の蛍光発光を有する蛍光種は、第1波長において第1発光強度、第2波長において第2発光強度を有し、第1および第2の発光強度は、この蛍光種の環境におけるpHに特有なものである。第1および第2の発光強度の比からpH値が得られる。第1および第2の発光強度を較正すると、強度に基づく参照値(比に関する情報)が得られ、これを用いると蛍光種の環境におけるpH値が得られる。
【0047】
本発明の方法は、蛍光波長にレシオメトリックな方法である。本明細書で使われている用語「蛍光波長にレシオメトリック」は、第1および第2の波長において、それぞれ、測定された第1および第2の蛍光発光強度を対比させて、pH情報を得る方法を意味している。
【0048】
この方法では、pHに依存する蛍光発光を有する蛍光種は、試料と接触している基板上に固定されるので、該蛍光種は試料と接触している。試料と接触している固定蛍光種は試料内に配置されているので、この蛍光種は調査することができる。蛍光測定は、蛍光発光を引き出すのに十分な波長において蛍光種を照射することによりなされ、次いで、蛍光発光を測定する。蛍光種の発光プロフィール(即ち、第1および第2の波長において、それぞれ、測定された第1および第2の蛍光発光強度)はpH依存性があるので、蛍光発光プロフィールを測定すると該蛍光種の環境のpH(即ち、試料のpH)が得られる。
【0049】
本発明の方法の1つの実施態様では、pHを測定すべき試料は密封容器に収納されている。この方法は、普通の血液貯蔵容器に密封された血液および血液製品のpH測定に適している。
【0050】
別の実施態様では、pHを測定すべき試料は開放容器に収納されている。本明細書で使われている用語「開放容器」は、密封されていない容器を意味している。この方法は、測定すべき試料が汚染を避ける必要がある場合に適している。この方法では、プローブは浄化および/または消毒し、一度使ったら廃棄する。この方法は、物質を収納する容器が密封されていない(即ち、開放)食品、医薬品、または生物学の研究で使われる物質のpH測定に適している。このような「研究室用」システムは、プローブ上に置かれたチップ(下の説明を参照のこと)を含む。pHは、チップを試料中に浸漬してから測定する。チップは、プローブから外した試料から外し廃棄する。
【0051】
収納試料のpHを測定する方法では、基板固定蛍光種は、試料を容器に入れる前か後に容器に入れる。本明細書で使われている用語「密封容器」は、その収納物が該容器の外部環境に露出されるのを防ぐ容器を意味している。この密封容器は、その収納物が該容器の外側の、例えば、液体および気体と接触するのを防止する。密封容器は、その収納物が該容器から散逸するのも防止する。
【0052】
この容器は、該容器の1要素として基板固定蛍光種を含むように作ることができる。このような実施態様では、基板固定蛍光種は製造中の容器に組み込まれ、後で試料を入れて、該試料のpHを測定することができる容器を提供する。基板固定蛍光種を組み込んでいる容器の製造は、実施例1で説明している。
【0053】
一方、基板固定蛍光種は、試料を容器内に入れた後に該容器に入れることができる。このような実施態様では、基板固定蛍光種は、まず容器に穴を開け(またはスパイクし)基板固定蛍光種を入れ、次いで、再密封し該基板固定蛍光種と接触している試料を含む密封容器を提供するプロセスにより容器に入れられる。密封容器内に基板固定蛍光種を入れるプロセスは、実施例2で説明する。
【0054】
上で指摘したように、試料と接触している基板固定蛍光種を含む容器は、調査の前後および調査中に密封する。蛍光種を調べるには、該蛍光種から蛍光発光を生じるのに十分な波長における該蛍光種の励起およびその蛍光発光の測定を必要とする。本発明の方法では、調査は密封容器の窓を通して行う。この蛍光種は、窓を通して照射することにより励起され、該蛍光種からの発光は窓を通して集められる。窓は、密封容器の一部であり、試料と接触している蛍光種の調査を可能にする。この窓は、励起および発光の波長において十分透明であり、この方法による調査を可能にする。基板固定蛍光種は、調査のために窓に十分近接して、即ち、蛍光種を効率的に励起させるために、および該蛍光種からの発光を効率的に集めるために十分近接して、配置する。エピフルオレッセンスを用いる場合は、単一の窓を用いることはいうまでもない。しかし、本発明の他の方法および装置は、1つより多い窓を使用することができる直流または直角光学経路などの他の光学経路を具備することができる。
【0055】
本発明の方法は、1つの実施態様では、蛍光種からの発光を生じるのに十分な波長において、その発光を測定するために、基板固定蛍光種が密封容器内に試料と共に収納される該基板固定蛍光種への照射を含む。励起光および蛍光発光は密封容器の窓を通過する。1つの実施態様では、この密封容器は、さらに、励起光ライトガイドおよび発光ライトガイドを保持するハウジングを受け入れるポートを具備する。1つの実施態様では、この励起光ライトガイドは、光源から蛍光種へ励起光を送る1つ以上の光ファイバを含む。1つの実施態様では、発光ライトガイドは、蛍光種から光検出器へ発光を送る1つ以上の光ファイバを具備する。ハウジングを受け入れるポートは、調査のために窓に十分近接して、即ち、蛍光種を効率的に励起させるために、および該蛍光種からの発光を効率的に集めるために十分近接して、配置する。
【0056】
すべての光学的蛍光方法と同様に、本発明の方法は、蛍光種を励起するための光源および該蛍光種の発光を測定するための検出器を具備する。光源、波長選択フィルタ、および検出器は、吸光度およびこの方法で用いる蛍光種の発光プロフィールに基づいて選択する。
【0057】
適切な光源は、蛍光種から蛍光発光を生じるのに十分な波長および強度において励起エネルギーを提供する。この光源は、比較的幅の広い波長帯励起(例えば、紫外または白色の光源)または比較的幅の狭い波長帯励起(例えば、レーザーまたは発光ダイオード)を提供することができる。励起効率および発光測定を高めるために、光源からの比較的幅の広い波長帯励起光を選択し、蛍光種に適合する回折格子、単色光分光計、またはフィルタを使用して狭めることができる。適切な光源は、タングステンランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、アークランプ、LED、中空陰極ランプ、およびレーザーを含む。
【0058】
適切な検出器は、蛍光種の発光波長帯の蛍光発光の強度を検出する。発光測定、蛍光種からの蛍光発光を高めるために、光源は選択し、該蛍光種に適合させるために回折格子、単色光分光計、またはフィルタを使用して狭めることができる。適切な検出器は、蛍光種の発光波長帯に応答するフォトダイオードなどの光電子増倍管および固体検出器を具備している。他の適切な検出器は、光電池、PINダイオード、およびアバランシェフォトダイオードである。
【0059】
フィルタを使用することにより、標的から反射するすべての励起光は検出器に到達する前に除去される。これは、励起および発光の両光学経路においてフィルタを使用することにより達成される。特定の例では、検出器に到達する反射励起光(これは発光よりも桁はずれにはるかに強い)は特定の信号を無力にすることができる。一般に、10E5(105)またはそれ以上の帯域外の排除が、各フィルタセットにおいて適切である。励起光の低減は、傾斜した窓を使うことによっても達成できるので、反射光は発光検出器から離れる方向にある。しかし、このような光学経路は、フィルタセットと同等の効果はない。
【0060】
光源からの励起光は、1つ以上の光ファイバなどの光ライトガイドを使用することにより蛍光種の方に向けることができる。同様に、蛍光種からの発光は、1つ以上の光ファイバなどの光ライトガイドを使用することにより検出器の方に向けることができる。
【0061】
本発明の方法を行う代表的なシステムは、図1Aに概略示している。図1Aを参照すると、システム100はこのシステムの構成要素を制御し、作動させる制御器110を具備している。システムの構成要素には、システムコマンドを含む情報を入力するキーパッド120、該システムの状態を判断し、pHの測定結果を見るディスプレイ130、試料の確認、該システムにより測定するpHを含む該システムに情報を入力するバーコード・リーダー140、システムの状態およびpHの測定結果をプリントするプリンタ150、該システムに電力を供給するバッテリ(または壁のプラグおよびパワーアダプタ)160、テスト結果および較正データを貯蔵するメモリーデバイス165、光学プラットフォーム構成要素にコマンドし、該光学プラットフォームからの信号を処理する信号処理電子部品170、励起光源、発光検出器、光ライトガイド、および関連レンズとフィルタとを含む光学プラットフォーム180を具備する。光学プラットフォームは、1つ以上の励起光ライトガイドおよび2つ以上の発光ライトガイドを格納するプローブ部材185を具備する。図1Aは、プローブ部材185を受け入れるポート205を含む密封容器500も示している。
【0062】
図1Bは、pHを測定する本発明のシステムにおける有用な光学プラットフォームの略図である。図1Bを参照すると、光学プラットフォーム180は、励起光系280、第1発光系380、および第2発光系480を具備する。励起光系280は、光源282、平行レンズ284、フィルタ286、集束レンズ288、および励起光ライトガイド290を具備している。第1発光系380は、検出器382、集束レンズ384、フィルタ386、平行レンズ388、および第1発光ライトガイド390を具備している。第2発光系480は、検出器482、集束レンズ484、フィルタ486、平行レンズ488、および第2発光ライトガイド490を具備している。励起光ライトガイド290、第1発光ライトガイド390、および第2発光ライトガイド490は、プローブ部材185に格納されている。
【0063】
このシステムの光源は、蛍光種を励起するのに有効である。適切な光源は、発光ダイオード、レーザー、タングステンランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、アークランプ、LED、および中空陰極ランプを含む。1つの実施態様では、光源は、500〜560nmの範囲の光を放つ発光ダイオードである。本発明のシステムで有用な代表的な発光ダイオードは、NY(ニューヨーク州)LathamのMarktechが市販している、極めて輝きのよい緑色のCotco503シリーズLEDである。
【0064】
この平行レンズは、光(例えば、光源からの励起光または発光ライトガイドからの第1および第2の発光)を帯域通過フィルタに向けている。適切な平行レンズは、BiconvexガラスレンズおよびPlano−convexガラスレンズを含む。本発明のシステムで有用な代表的な平行レンズは、NJ(ニュージャージー州)BarringtonのEdmund Opticsが市販しているTech Spec PCXレンズである。励起平行レンズは12×36(mm単位の有効焦点距離の直径)であり、第1および第2の発光平行レンズは12×18である。
【0065】
集束レンズは、帯域通過フィルタから励起光ライトガイドまで、または帯域通過フィルタから検出器までの光を集束する。適切な集束レンズは、BiconvexガラスレンズおよびPlano−convexガラスレンズを含む。本発明のシステムで有用な代表的な集束レンズは、NJ(ニュージャージー州)BarringtonのEdmund Opticsが市販しているTech Spec PCXレンズである。励起集束レンズは12×18であり、第1および第2の発光集束レンズは12×15である。
【0066】
フィルタは、光学プラットフォームにおいて、送達される光の帯域幅を狭めるために使われる。
【0067】
適切な励起フィルタは、帯域通過フィルタ、短い波長の光を通過させるフィルタ、長い波長の光を通過させるフィルタ、または長短いずれかの波長の光を通過させるフィルタの組み合わせを含む。1つの実施態様では、このシステムは、約370〜540nmの範囲の光、即ち短い波長の光を通過させるフィルタを用いる。本発明のシステムで使われる代表的な短い波長の励起光を通過させるフィルタは、VT(バーモント州)BrattleboroのOmega Opticalが市販している540ASPである。
【0068】
適切な第1発光フィルタは、帯域通過フィルタ、短い波長の光を通過させるフィルタ、長い波長の光を通過させるフィルタ、または長短いずれかの波長の光を通過させるフィルタの組み合わせを含む。1つの実施態様では、帯域通過フィルタは、約595〜605nmの範囲の光を通過させ、10nmの半値幅を有する。本発明のシステムで有用な代表的な第1発光帯域通過フィルタは、VT(バーモント州)BrattleboroのOmega Opticalが市販している600DF10である。
【0069】
適切な第2発光フィルタは、帯域通過フィルタ、短い波長の光を通過させるフィルタ、長い波長の光を通過させるフィルタ、または長短いずれかの波長の光を通過させるフィルタの組み合わせを含む。1つの実施態様では、帯域通過フィルタは、約562〜573nmの範囲の光を通過させ、10nmの半値幅を有する。本発明のシステムにおいて有用で代表的な第1発光帯域通過フィルタは、VT(バーモント州)BrattleboroのOmega Opticalが市販している568DF10である。
【0070】
励起光ライトガイドは、光源からプローブ部材を通って蛍光種まで励起光を送達する。1つの実施態様では、励起光ライトガイドは、1つ以上の光ファイバを具備している。1つの実施態様では、励起光ライトガイドは単一の光ファイバである。本発明のシステムで有用な代表的光ファイバは、NJ(ニュージャージー州)BarringtonのEdmund Opticsが市販しているRO2−534である。
【0071】
第1および第2の発光ライトガイドは、蛍光種からプローブ部材を通って、それぞれ、第1および第2の発光検出器まで蛍光発光を送達する。
【0072】
1つの実施態様では、第1発光ライトガイドは、1つ以上の光ファイバを具備している。1つの実施態様では、第1発光ライトガイドは、複数の光ファイバを具備している。1つの実施態様では、第1発光ライトガイドは、4つの光ファイバを具備している。本発明のシステムで有用な代表的光ファイバは、NJ(ニュージャージー州)BarringtonのEdmund Opticsが市販しているRO2−533である。
【0073】
1つの実施態様では、第2発光ライトガイドは、1つ以上の光ファイバを具備している。1つの実施態様では、第2発光ライトガイドは、複数の光ファイバを具備している。1つの実施態様では、第2発光ライトガイドは、4つの光ファイバを具備している。本発明のシステムで有用な代表的光ファイバは、NJ(ニュージャージー州)BarringtonのEdmund Opticsが市販しているRO2−533である。
【0074】
本発明のシステムで有用で適切な光ファイバは、直径0.2〜2mmでガラスまたはプラスチック製の光ファイバである。
【0075】
このシステムの第1および第2の発光検出器は、蛍光種からの第1および第2の蛍光発光を測定する際に有効である。適切な検出器には、フォトダイオード、PINダイオード、および光電子増倍管が含まれる。1つの実施態様では、第1および第2の発光検出器は、400〜800nmの範囲で応答するフォトダイオードである。本発明のシステムで有用な代表的フォトダイオードは、PA(ペンシルバニア州)MalvernのVishay Intertechnologyが市販しているBPW34を含む。
【0076】
本発明のシステムで有用な励起光および発光のライトガイドを格納している代表的なプローブ部材は、図2にその概要を示している。図2に示したように、光ライトガイドは光ファイバである。図2を参照すると、プローブ部材185は、光ライトガイド290、複数の第1発光ライトガイド390、および複数の第2発光ライトガイド490を格納している。図2に示した代表的なプローブ部材には、4つの第1発光ライトガイド390、および4つの第2発光ライトガイド490がある。4つの第1発光ライトガイドは第1チャネル(例えば、蛍光種からの第1蛍光発光を測定する)であると考えられ、4つの第2発光ライトガイドは第2チャネル(例えば、蛍光種からの第2蛍光発光を測定する)であると考えることができる。例示した代表的プローブ部材では、2セットの繊維の各々からの繊維が中央繊維(290)の周りに交互に配置される(即ち、繊維390と490とが交互に)。この配置は、「ホットスポット」を平坦化するので、第1セットにより集められる光は、第2セットにより集められる光に似ている。
【0077】
励起光/発光ライトガイドを格納するプローブ部材と密封容器のポートとの間の関係は、図3に概要を説明している。図3を参照すると、プローブ部材185はポート205を受け入れる。ポート205は、蛍光測定に使われる励起光および発光の波長に対して透明である窓210を具備している。光ライトガイド290から発する励起光は、窓210を通過し、本発明の方法の操作において、密封容器200に収納された試料と接触している蛍光種をその上に固定する基板220を調べる。基板220を照射すると、基板固定蛍光種の励起および蛍光種からの蛍光発光を生じる結果になる。蛍光種からの発光は、光ライトガイド390と490とにより受け入れられ、これらのライトガイドを通って、それぞれ、検出器382と482とに送達される(図1Bを参照のこと)。上で指摘したように、蛍光種の第1および第2の発光強度は、試料のpHに依存する。
【0078】
密封容器内に基板固定蛍光種を導入する代表的ポートアセンブリは、図4Aおよび4Bに示している。図4Aは作製されたポートを示し、図4Bはポートアセンブリの分解図である。
【0079】
図4Aおよび4Bを参照すると、ポートアセンブリ202はポート205およびチップ215を具備している。ポート205は、窓210で終わり、プローブ部材185(図示していない)を受け入れる開口部212を有する円筒である。1つの実施態様では、ポート205は開口部212から窓210に向けて先細りになっているので、ポート205内へのプローブ部材185の挿入の深さはプローブの直径により予め決められる。1つの実施態様では、アセンブリ202における185の進行の深さは出っ張り(図示していない)により限定される。1つの実施態様では、プローブと膜との間の最適間隔は2mm以下であった。図21は、プローブと膜との間の間隔の関数として測定した蛍光強度を示している。ポートに挿入したとき、プローブ部材185の面と窓210の面とは、ほぼ平行である。ポート205とチップ215とは適合しているので、ポートとチップとは可逆的に接続することができる。1つの実施態様では、ポート205は環状インセット214を具備し、チップ215はインセット214を受け入れる環状リップ218により画定された開口部216を具備している。この実施態様では、インセット214の直径は開口部216より小さい。ポートとチップとの間の接続関係は逆に(即ち、インセットを有するチップを受け入れる環状リップをポートが有する)することができることはいうまでもない。リップ218は基板220を受け入れるベッド222を画定し、該基板は、ポート205がチップ215に接続される時にポートアセンブリ202に固定される。チップ215は、ベッド222に隙間224を具備している。隙間224は、ポートアセンブリが導入される密封容器に収納された液体試料と基板220とを接触させる。チップ215は、穴を開けることにより密封容器内にポートアセンブリ202を入れやすくする先端226で終わる。図4Cは、ベッド222および隙間224を示しているチップ215の平面図である。1つの実施態様では、アセンブリは、MA(マサチューセッツ州)PittsfildのGE Polymerlandが市販しているLexan HPS1 1125から作る。
【0080】
基板固定蛍光種を組み込んでいる代表的な密封容器は、図5Aおよび5Bに示す。図5Aは、穴を開けて中にポートアセンブリを挿入する密封容器を示している。図5Bは、ポートアセンブリを具備するように作られた密封容器を示している。
【0081】
図5Aを参照すると、密封容器500は複数の容器ポート510を具備している。ポートアセンブリ202(ポート205、膜220、およびチップ215を含む)は、挿入後容器ポート510Aに存在する。容器500は、ポートアセンブリ202の挿入後密封されている。容器ポート510Aは、ポート205を密封している。
【0082】
図5Bを参照すると、密封容器500は複数の容器ポート510を具備している。ポートアセンブリ232(ポート205、膜220、およびチップ215を含む)は、容器製造後容器ポート510Aに存在する。ポートアセンブリを組み込む代表的な密封容器を製造するプロセスは、実施例1で説明している。
【0083】
製造中密封容器内に組み込むための有用で代表的なポートアセンブリは、図6に示している。容器製造中組み込むために有用なポートアセンブリは、容器製造において容器に穴を開ける特徴を含む必要がないか、好ましくは含まないことを除いて、図4に示した密封容器内に導入するのに有用なポートアセンブリとほぼ同じである。図6を参照すると、ポートアセンブリ232はポート205およびチップ235を具備している。ポート205は、窓210で終わり、プローブ部材185(図示していない)を受け入れる開口部212を有する円筒である。1つの実施態様では、ポート205は開口部212から窓210に向けて先細りになっているので、ポート205内へのプローブ部材185の挿入の深さはプローブの直径により予め決まる。ポートに挿入したとき、プローブ部材185の面と窓210の面とはほぼ平行である。ポート205とチップ215とは適合しているので、ポートとチップとは可逆的に接続することができる。1つの実施態様では、ポート205は環状インセット214を具備し、チップ215はインセット214を受け入れる環状リップ218により画定された開口部216を具備している。この実施態様では、インセット214の直径は開口部216より小さい。ポートとチップとの間の接続関係は逆に(即ち、インセットを有するチップを受け入れる環状リップをポートが有する)することができることはいうまでもない。リップ218は基板220を受け入れるベッド222を画定し、該基板は、ポート205がチップ235に接続される時にポートアセンブリ202に固定される。チップ215は、ベッド222に隙間224を具備している。隙間224は、ポートアセンブリが導入される密封容器に収納された液体試料と基板220を接触させる。
【0084】
pH依存性の発光を有する蛍光種。pHを測定する本発明の方法およびシステムは、pH依存性の蛍光発光を有する蛍光種を用いる。該蛍光種は、第1波長において第1発光強度および第2波長において第2発光強度を有し、第1および第2の発光強度は、該蛍光種の環境においてpHに特有のものである。第1および第2の発光強度の比からpH値が得られる。蛍光発光は、本明細書で発光波長と呼ばれる帯域ピークを有する波長帯として起きるものと考えられる。
【0085】
1つの実施態様では、第1波長と第2波長との間の分離は約40nm以上である。1つの実施態様では、第1波長と第2波長との間の分離は約30nm以上である。1つの実施態様では、第1波長と第2波長との間の分離は約20nm以上である。10nmのHBWフィルタを用いると、分離は約30nm以上である。本発明のシステムは、10E5以上の発光帯の重なりを除去することにより蛍光信号の分離を達成するのが好ましい。
【0086】
pHを測定する本発明の方法およびシステムは、特定の蛍光種にも、特定のpH範囲にも限定されない。本発明の方法およびシステムは、励起することができ、蛍光種の発光を測定することができるpH依存特性を有する該蛍光種を用いれば操作可能である。本発明の方法およびシステムにより測定できるpHの範囲は、選択することができ、蛍光種のpH依存特性により決めることができる。
【0087】
上で指摘した蛍光種のpH依存特性に加えて、適切な蛍光種には、基板上にほぼ不可逆的に固定することができるものがある。蛍光種は、基板に共有結合するか、または非共有で結合することができる。
【0088】
適切なpH依存性の蛍光種には、当該技術分野で周知のものがある。適切なpH依存特性を有する代表的な蛍光種には、ナフトフルオレセイン化合物、セミナフトフルオレセイン化合物(例えば、SNAFL化合物)、およびセミナフトローダフルオル化合物(例えば、SNARF化合物)を含むフルオレセイン誘導体が含まれる。これらの化合物は、血液中の潜在的妨害光を吸収する物質の影響を受け難い該化合物の長波長発光に関連した利点を有する。これらの化合物は、市販のLED光源による自身の励起について、該化合物を特に適切にする比較的長波長にも吸光度を有する。適切なpH依存特性を有する別の化合物は、HPTS、即ち8−ヒドロキシ−1,3,6−ピレントリスルホン酸である。この化合物は、望ましいレシオメトリックなpH特性を有するが、強いLED光源が市販されていない短波長(403nm)において励起は最適である。本発明の方法およびシステムにおいて有用な代表的SNAFLおよびSNARF化合物は、米国特許第4,945,171号で説明されている。Molecular Probes(現在は、OR(オレゴン州)EugeneのInvitrogen)が、接合可能なカルボン酸結合基を有するCNF、SNAFL、SNARFフルオルを販売している。これについては、例えば、R.P.HauglandによるMolecular Probes Handbook(第9版)21章「pH指示薬」829〜847頁を参照のこと。Epoch Biosciences(現在は、WA(ワシントン州)BothellのNanogen)は、プロパン酸リンカーを有するEBIO−3を販売している。Whitaker et al.(Anal.Biochem.(1991)194,330〜344)は、多数のSNAFL化合物の合成を示した。Wofbeis et al.(Mikrochim Acta(1992)108,133−141)は、CNFとアミノセルロースとの複合体の使用について説明した。SNAFLファミリ化合物に関する最も早い文献は、Whitaker et al.(1988)Biophys.J.53,197aである。CNFファミリにおける関連染料は、VITABLUE、即ち7.56のpKaを有するスルホンナフトフルオレセイン誘導体(Lee et al(1989)Cytometry 10,151〜164)である。フェノール(pKa7.45)に隣接した各炭素に臭素置換基を有するCNF類似体は、CNF(pKa7.99)の測定pKa値より0.54pKaユニット低いpKaを有する。Lee et al.は、これらの化合物について「真の」pKa値を決めることは困難であることを指摘している。pKaを決める方法は、実施例3で説明している。SNAFL−1フリー酸(文献pKa値は約7.8)は、その蛍光ベースの試験で7.6のpKaを有する。
【0089】
本発明の方法およびシステムにおいて有用なセミナフトフルオレセイン化合物(SNAFL−1およびEBIO−3)の構造は下に示す。
【0090】
【化2】
番号付与体系は、リンカー分子が取り付く位置を示している。これらの化合物は、下に説明するようにキャリアタンパク質に接合するのに適したカルボキシレート結合基を有する。接合では、SNAFL−1の反応性N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル(OR(オレゴン州)EugeneのMolecular Probesが市販している)を使用することができる。ヒト血清アルブミン(HSA)のリジン残基への接合により、所望のSNAFL/HSA複合体が得られた。EBIO−3のカルボジイミド活性化により、ヒト血清アルブミンに効率的に接合した反応性中間体が得られた。
【0091】
本発明の方法およびシステムにおいて有用で代表的なナフトフルオレセインおよびセミナフトフルオレセイン化合物は、図7に示している。
【0092】
SNAFL化合物は、OR(オレゴン州)EugeneのMolecular Probes,Inc.が市販している。SNAFL化合物は、公表されている一般的な手順により容易に合成することができる(例えば、米国特許第4,945,171号を参照のこと)。
【0093】
代表的な2−クロロ置換SNAFL化合物の調製を下に示す。
【0094】
【化3】
この化合物は、塩化亜鉛などのルイス酸または脱水性酸触媒の存在下でジ酸置換4−アクリルレゾルシノールと1,6−ジヒドロキシナフタレンとの縮合により作ることができる。
【0095】
プロピオン酸リンカーを有するSNAFL化合物の調製は、引用により全体が本明細書に援用されている米国特許出願第11/022,039号で説明されている。プロピオン酸リンカーを有する代表的なSNAFL化合物である、EBIO−3は、WA(ワシントン州)BothellのNanogenが市販している。
【0096】
本発明の方法およびシステムにおいて有用な代表的蛍光種(即ち、SNAFL−1およびEBIO−1)の発光スペクトルをpHの関数として、それぞれ、図8および9に示している。図8は、50mM燐酸カリウム緩衝液中のSNAFL−1の発光スペクトルをpH(pH6.0〜10.0)(540nmにおける励起)の関数として示している。図8を参照すると、pH6〜7における応答は比較的弱い(pKa=7.6)。図9は、50mM燐酸カリウム緩衝液中のEBIO−3の発光スペクトルをpH(pH6.0〜10.0)(545nmにおける励起)の関数として示している。図9を参照すると、pH6〜7における応答は比較的良い(pKa=6.6)。図7A〜7Eに示したSNAFL類似体のスペクトル特性およびpKaデータを表1に要約している。
【0097】
【表1】
表1を参照すると、吸光度および発光スペクトルは10μMのSNFL類似体において得た。吸光度はpH6、8、および10において測定し、酸性(pH6)では類似の吸光度の2つの吸収帯が得られ、pH10では単一のλmax(塩基)が得られた。発光スペクトルが交差する波長は、λisoとして報告している。発光λmaxはpH10にて測定した。pKaは、蛍光発光スペクトルから得た。EBIO−1およびEBIO−3は、pH約6.5における変化に対してより敏感であった。他の類似体は、pH約8においてより敏感であった。
【0098】
基板に固定する蛍光種複合体。本発明の方法およびシステムにおいて使用する場合、蛍光種は基板上に固定するので、該蛍光種はpHを測定すべき試料に接触している。蛍光種は、基板と強い結合性を有する物質(例えば、巨大分子スペーサ)を使用することにより基板上に固定することができる。このスペーサ物質は、蛍光種の共有結合を可能にし、基板表面への非共有による効果的な固定に必要な大きな表面積を提供する。1つの実施態様では、このスペーサ物質は共有結合を利用できる約44個のリジン残基を有するヒト血清アルブミン(HSA)である。HSAの緻密に充填された分子構造は、バイオ物質に吸着された時に保護効果を有する。他の利点には、蛍光消光の低減、複合フルオロフォアの均一な環境、および組み換え形式(イーストからの)の有効性があるので、感染(ドナーからのHSAの場合のような)の機会はない。HSA複合体は、限外ろ過法により容易に浄化され、タンパク質あたりのフルオロフォアの数を決めるための蛍光分析および吸光度により容易に特徴づけられる安定溶液を形成する。
【0099】
1つの実施態様では、蛍光種は、タンパク質またはタンパク質フラグメントを使用して基板上に固定する。適切なタンパク質には、基板上にほぼ不可逆的に固定することができるタンパク質が含まれる。このタンパク質は、基板に共有結合するか、または非共有で該基板と結合することができる。適切なタンパク質は、蛍光種が該タンパク質にほぼ不可逆的に固定するものとすることができる該タンパク質を含む。この蛍光種は、このタンパク質と共有または非共有で結合することができる。
【0100】
適切なタンパク質は、ヒト血清アルブミン(HSA)、ウシ血清アルブミン(BSA)、フォン・ヴィレブランド因子、キニノゲン、フィブリノゲン、およびヘモグロビン(鉄を含まない)を含む。適切なタンパク質は、利用可能なリジン残基(フルオロフォアに結合する場合)およびブロット膜に固定効率を可能にするのに十分な分子量を含む。タンパク質内の他の官能基(システィンのような)は、おそらく、適度の反応性を有する固体支持体に共有結合する場合に使われるであろう。
【0101】
1つの実施態様では、蛍光種は、多糖類を使用して基板上に固定される。適切な多糖類は、基板上にほぼ不可逆的に固定することができる多糖類を含む。この多糖類は、基板に共有結合するか、または非共有で該基板と結合することができる。適切な多糖類は、蛍光種が該多糖類にほぼ不可逆的に固定するものとすることができる該多糖類を含む。この蛍光種は、この多糖類と共有または非共有で結合することができる。
【0102】
適切な多糖類は、デキストラン、アミノデキストラン、ヘパリン、およびレクチンを含む。
【0103】
別の実施態様では、蛍光種は、デンドリマ構造を使用して基板上に固定される。適切なデンドリマ構造は、ほぼ不可逆的に基板上に固定されうる該構造を含む。このデンドリマ構造は、基板に共有結合するか、または非共有で該基板と結合することができる。構造のタイプおよびサイズが異なるPAMAMデンドリマが市販されている。
【0104】
1つの実施態様では、蛍光種はタンパク質に共有結合し、フルオロフォアと多糖類との複合体を形成し、該複合体は基板上に固定することができる。1つの実施態様では、フルオロフォアと多糖類との複合体は非共有で基板に結合する。
【0105】
1つの実施態様では、フルオロフォアとタンパク質との複合体は基板上に固定される。1つの実施態様では、蛍光種は、セミナフトフルオレセインであり、タンパク質はヒト血清アルブミンである。1つの実施態様では、セミナフトフルオレセインはSNAFL−1である。SNAFL−1/HSA複合体の調製は、実施例4で説明している。SNAFL−1/HSA複合体の蛍光特性は、実施例5で説明している。1つの実施態様では、セミナフトフルオレセインはEBIO−3である。EBIO−3/HSA複合体の調製は、実施例6で説明している。HSAへのEBIO−3の結合の概要は図10に示している。EBIO−3/HSA複合体の蛍光特性は、実施例7で説明している。
【0106】
本発明の方法およびシステムにおいて有用で代表的なフルオロフォアとタンパク質との複合体(SNAFL−1/HSA、HSAあたり1.6個のフルオロフォア)のpH(6.0〜10.0)の関数としての蛍光発光スペクトルは、図11に示している。
【0107】
本発明の方法およびシステムにおいて有用で代表的なフルオロフォアとタンパク質との複合体(EBIO−3/HSA、HSAあたり1.92個のフルオロフォア)のpH(6.0〜10.0)の関数としての蛍光発光スペクトルは、図12に示している。
【0108】
フルオロフォアとタンパク質との複合体では、フルオロフォアの最適負荷は、個別のフルオロフォアにより変動する。
【0109】
SNAFL−1/HSA複合体では、フルオロフォアの負荷は、SNAFL−1/HSAの比が、約0.01〜約40の範囲で変動する。フルオロフォア/HSAの比が、0.01では低信号であり、40では蛍光が消光する。1つの実施態様では、SNAFL−1/HSAの比は約2である。
【0110】
EBIO−3/HSA複合体では、フルオロフォアの負荷は、EBIO−3/HSAの比が、約0.01〜約40の範囲で変動する。1つの実施態様では、EBIO−3/HSAの比は約2である。
【0111】
蛍光種を固定するための基板。本発明の方法およびシステムでは、蛍光種は基板上に固定される。上で指摘したように、共有または非共有結合により、あるいは共有または非共有結合により基板上に固定することができる物質(例えば、フルオロフォアとタンパク質との複合体)を使用することにより基板上に直接固定することができる。
【0112】
適切な基板は、蛍光種をほぼ不可逆的に固定した。本発明の方法では、適切な基板は、蛍光種と液体試料との接触を妨げず、pH測定を妨害したり、変えたりすることもない。
【0113】
代表的な膜は、ニトロセルロース、ニトロセルロースと酢酸セルロースとの混合エステル類、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリフッ化ビニリデンおよびポリイミドから作られた微孔膜などの膜を含む。この種の物質は、NJ(ニュージャージー州)Florham ParkのWhatman S&SおよびMA(マサチューセッツ州)BillericaのMilliporeが市販している。適切な膜は、微小孔のある構造が、OXYPHENという名称でドイツ、DresdenのOxyphen Gmbhが市販している膜などのイオンビーム侵入により作られる膜を含む。帯電したナイロン表面(Nytran)も使用することができる。適切な膜は、Sweden,StockholmのAmicが用いたプロセスなどの、微小孔のある構造が射出成形により作られ、プラスチック内に微小な孔のあるプラスチック膜を含む。種々の気孔サイズがあるニトロセルロースと酢酸セルロースとの混合エステル類の膜上に固定されたSNAFL−1/HSAのpH7における発光強度は、図22に示している。
【0114】
代表的フルオロフォアタンパク質複合体の膜上への固定は、実施例8および10で説明している。実施例8は、SNAFL−1/HSA複合体の固定について説明している。実施例9は、固定SNAFL−1/HSA複合体の蛍光特性について説明している。実施例10は、EBIO−3/HSA複合体の固定について説明している。実施例11は、固定EBIO−3/HSA複合体の蛍光特性について説明している。
【0115】
実施例9で説明したマイクロウエル分析により測定した、Oxyphenおよびニトロセルロース上に固定した代表的なフルオロフォアとタンパク質との複合体(SNAFL−1/HSA,3.6:1)の発光スペクトルをpHの関数(pH応答)として、それぞれ、図13および14に示している。
【0116】
実施例8で説明し、実施例11で説明したテレスコーピング・チューブ挿入試験により測定した、ニトロセルロース上に固定した代表的なフルオロフォアとタンパク質との複合体(EBIO−3/HSA、2.0:1)の発光スペクトルを、pH(6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、および10.0)の関数として図15に示している。pH6〜8の範囲の場合、600nmにおける発光が大きく拡大していることは、蛍光対pHの応答が良好であることを示している。
【0117】
レシオメトリックにpHを測定する方法およびシステム。本発明の方法は蛍光波長にレシオメトリックする方法である。この方法では、第1および第2の蛍光波長で、それぞれ、測定した蛍光種の第1および第2の蛍光発光強度を比例させてpH値に関する情報を得る。第1の発光波長はpHと共に変動するが、第2の発光波長はpHが変わっても一定であり、蛍光強度の内部コントロールが得られる。1つの実施態様では、測定した比の組み合わせ、第1および第2の発光波長を調べ、その対応するpHを決めるために、参照テーブルが使われる。1つの実施態様では、この比の数学関数、第1および第2の発光波長を用いて、得られるpHを計算する。
【0118】
図16は、pHを測定するために本発明の方法で用いたデータを示している。テレスコーピング・チューブ挿入試験により測定した、ニトロセルロース上に固定した代表的なフルオロフォアとタンパク質との複合体(EBIO−3/HSA、2.0:1)のpH7における発光スペクトルを示す。この設定では、励起帯域フィルタは、ブランクのニトロセルロース・ディスクについて測定したバックグラウンド信号により示した発光領域における励起光を完全に除去することはできなかった。バックグラウンドについて集めたフルスペクトルに、各波長における第1および第2の仮想フィルタの透過率をかけ、得られる曲線の下の面積を計算すると第1および第2の波長の信号が得られる。中心波長および仮想フィルタの帯域幅は、この複合体のレシオメトリックな特性が、興味のある領域のpHに対して最強の関係を有するように選択した。
【0119】
図17は、実施例11で説明したテレスコーピング・チューブ挿入試験により測定した、燐酸塩緩衝生理食塩水(PBS)、血小板の少ない血漿(PPP)、および血小板の多い血漿(PRP)に関する本発明の方法の結果を示している。3つの曲線は、測定pH値と3種類の液体の比との間で最もよく一致する関係を示している。
【0120】
図18は、実施例11で説明した射出成形したPVCチューブ挿入試験により測定した本発明の方法およびシステムにより得られた3種類の血漿試料のpH測定結果の相関関係を示している。蛍光信号とpHとの間の関係は、約0.1pHユニットの精度を有する。
【0121】
図19は、実施例10で説明した浸出試験により測定した、浸漬法により調製したニトロセルロースと酢酸セルロースとの混合エステル類上の本発明の代表的基板固定フルオロフォア複合体(EBIO−3/HSA、2:1)の安定性を示している。浸出のレベルは低く、任意の化合物の毒性レベルよりはるかに低い。
【0122】
二酸化炭素の測定。別の態様では、本発明は、液体試料中の二酸化炭素濃度を測定する装置および方法を提供する。この二酸化炭素を測定する方法は、上で説明したpHの測定方法およびシステムを利用している。この二酸化炭素を測定する方法および装置では、上で説明した基板固定蛍光種は溶液と接触しており、該溶液のpHは二酸化炭素濃度に応答している。基板固定蛍光種に接触していることに加えて、二酸化炭素濃度に応じたpHを有するこの溶液は、二酸化炭素濃度を測定すべき液体試料に接触している。二酸化炭素濃度に応じたpHを有するこの溶液は、選択的透過膜により二酸化炭素濃度を測定すべき液体試料から隔離されている。この膜は、ガス(例えば、二酸化炭素)を通すが、他の物質(例えば、液体)を通さない。上で説明したpH測定方法を用いると、基板固定蛍光種と接触している二酸化炭素濃度に応じた溶液のpHが測定され、その溶液と接触している試料の二酸化炭素濃度と相関づけられる。
【0123】
二酸化炭素濃度へのpH応答を有する溶液は、二酸化炭素に対して反応性があり、二酸化炭素濃度に応じた溶液のpHを変える薬剤を含む。二酸化炭素に対して反応性があり、薬剤が溶解している溶液のpHを変える適切な薬剤は、重炭酸ナトリウムなどの重炭酸塩を含む。
【0124】
選択的透過膜は、二酸化炭素濃度に応じたpHを有する溶液を二酸化炭素を含む液体試料から隔離する。この膜は、二酸化炭素を通し、液体および他の溶質を通さない。この方法では、液体試料からの二酸化炭素は膜を通って水溶液に入り、それにより二酸化炭素と反応する反応性薬剤は水溶液のpHを変える。適切な選択的透過膜には、シリコーンおよびPTFEから作られる膜がある。
【0125】
図20は、密封容器内の二酸化炭素を測定する本発明の代表的な装置を示している。図20を参照すると、装置600は、ポート620とチップ630とを含むポートアセンブリ610を具備している。ポート620は、窓622で終わり、プローブ部材185を受け入れる開口部624を有する円筒である。このポートに挿入すると、プローブ部材185の面と窓622とはほぼ平行である。ポート620とチップ630とは適合しているので、ポートとチップとは可逆的に接続することができる。固定蛍光種を含む基板640は、ポート620およびチップ630内に固定されている。チップ630は、二酸化炭素に応じてpHを有する溶液を受け入れるチェンバ645を具備している。チェンバ645は、窓622、チップ630、および選択的透過膜650により画定されている。チェンバ645は、プローブ部材185により調べられる基板640を具備している。
【0126】
二酸化炭素を測定する装置は、固定EBIO−3/rHSA複合体(rHSAは組み換えHSA)を含む膜を用いて上で説明したように組み立てた。PARAFILM M、即ちオレフィン・タイプの物質のブレンドの層を、膜の下、チップの方向に入れた。この膜を5ulの35mMの炭酸塩緩衝液(pH7.4)を用いて水和し、該膜をPARAFILM Mによりアセンブリ内に密封し、試験中は水和したままにした。このアセンブリを配管および「Y」アダプタを用いてガス源に接続することにより100%二酸化炭素ガスにさらし、圧力を少しずつ下げた。このアセンブリを割り当て時間の間二酸化炭素にさらし、周辺の空気条件に順応させ、反復した。蛍光は、525nmにて励起した後、568nmおよび600nmにおいてそれぞれ測定した。結果を下の表2に要約し、二酸化炭素濃度の変化が蛍光の変化に反映し、本発明の蛍光光度の比による方法が二酸化炭素濃度の計算に使えることも証明している。血小板の貯蔵に使われるPVC貯蔵バッグは少しガスを通すが、二酸化炭素はpHの測定に直接関係づけられる。
【0127】
【表2】
本発明は、デザインした血液貯蔵バッグの試料採取ポートに容易に挿入し、光ファイバをベースにするLED光源およびフォトダイオード測定システムを用いて調べることができる蛍光ベースのpH指示器を提供する。この固体システムは、指示染料をヒットする励起光の量を妨害する可能性がある血液中の妨害物質による蛍光信号強度の変動を説明する「レシオメトリック」な較正方法を用いる。蛍光強度の比は、2つの波長、即ち1つは染料の酸性(プロトン化)異性体を検出する波長、1つは塩基性(脱プロトン化)異性体を検出する波長、において測定する。
【0128】
血小板の多い血漿用の正確なpH検出器を開発するためには、約6.6のpKaを有する化合物が適切で、例えば、SNAFL化合物の2−クロロ置換体はフェノールのpKaを7.6から約6.6へ下げる。これらの化合物の複合体は、種々の固体支持体上に固定し、pH検知膜を提供することができる。
【0129】
本発明は、pH6.5〜7.5において血小板貯蔵バッグにおけるpHを正確に測定する、安価で容易に製造できるpH検知膜を提供する。1つの実施態様では、本発明は、レシオメトリックな2−クロロ置換蛍光化合物のタンパク質複合体(ヒト血清アルブミン)を用いる。フルオロフォア:HSAの比は、ニトロセルロースブロット膜に固定した場合は、性能が最適であった。膜上で乾燥後、フルオロフォア:HSA複合体は、非常に低い浸出速度を有する。この物質のディスクは、血小板貯蔵バッグの試料採取ポート内に挿入するホルダー内で簡単に組み立てられる。蛍光膜物質は、緑のLEDをベースとする蛍光計を用いると良好なpH応答を示した。この方法では、レシオメトリックなpH検出のための2つの発光波長は、所望の6.5という低pH閾値において約0.1ユニットの精度で適切にフィルタ処理したフォトダイオードを用いて測定する。
【0130】
フルオロフォア分子は、種々の環境に対して検知できるようにデザインすることができる。本発明の方法およびシステムは、pH検知フルオロフォアの使用について説明している。しかし、他の環境は、pH検知フルオロフォア以外の環境検知フルオロフォアを含むように修正した本発明の方法およびシステムにより調べることができる。分子環境が変化した時に、蛍光特性を変える種々のフルオロフォアが市販されている。例えば、R.P.HauglandによるMolecular Probes Handbook(第9版)を参照のこと。プローブはアルブミンまたのタンパク質に結合し、本発明で説明したか、または蛍光をベースとする方法を用いて調査のための基板の調製に用いることができる。環境検知フルオロフォア、システム、および方法の実施例は、次のような実施例を含む。
【0131】
核酸検出:核酸結合染料は、DNAまたはRNАの存在下で蛍光特性を変える。
【0132】
酵素基板:タンパク質またはペプチドは、蛍光染料および蛍光消光分子で標識付けできるので、プロテアーゼなどの特定の酵素の存在下で蛍光信号が作られる(FRET検出)。
【0133】
脂質のプローブ:親油性染料は、細胞膜または他の脂質の多い分析対象物質の存在下で蛍光特性を変えることができる。
【0134】
酸素のプローブ:pH検出および二酸化炭素検出に加えて、特定の蛍光分子、例えば、トリス(2,2’−ビピリジル)ルテニウム(II)ジクロライド(RTDP)は、酸素濃度の変化を検知することができる。
【0135】
金属イオンの指示薬:金属を結合する蛍光染料は、特にカルシウム、マグネシウム、亜鉛、ナトリウム、カリウムに結合すると蛍光特性を変えることができる。
【0136】
グルコースの検出:ConAなどの特定のレクチン類は、グルコースを結合し、適切に標識を付けたレクチン類はグルコースのプローブとして作ることができる。
【0137】
本発明を限定せず、説明のために、次のような実施例を提示する。
【実施例】
【0138】
実施例1
代表的な基板固定蛍光種を組み込んでいる容器の製造
図5Bを参照すると、密封容器500はPVCから作られる。PVCは、多数の添加剤、例えば、可塑剤、安定剤、および潤滑剤と混合する。この処方物は、バッグおよびチューブの製作に用いる。混合PVCは、この可塑性物質をシートに成形するためにダイを通して押出す。押し出しシートは、細長く切断した後、所望のサイズに切り、溶接セクションに送る。供給および移送用の配管は、類似のPVCコンパウンドを押出して作る。次いで、このチューブは、適切な長さに切り、溶接セクションに送る。注入ポート、針カバー、およびクランプなどの部品は、射出成形により製作する。これらの部品は超音波で浄化し、オーブン中で乾燥する。
【0139】
溶接。血液バッグは、高周波溶接技法により作る。標準サイズのPVCシートは、電極の間に置かれ、高電圧の高周波を加えられる。PVCは、非常に急速に加熱され、電極の間で密封される。注入ポートおよび供給・移送配管は、バッグの適切な位置に置き、溶接して血液バッグシステムの一体部品を形成する。代表的な基板固定蛍光種を組み込んでいる容器を製造する場合(図5B)は、開口チューブを溶接してポート510Aを得る。このチューブは、着色したPVCから作られ、固定蛍光種を光から保護する。溶接したバッグは最終仕上げする。ポートアセンブリ232(図6)は、射出成形したLexanの部品(205および235)および固定蛍光種を有する直径3.53mm(9/64インチ)のニトロセルロース・ディスク(220)から作る。ポートアセンブリは、摩擦かみ合いによりまとめるか、または適所にのりで接着する。ポートアセンブリは、ポート510Aの開口チューブに挿入する。ポートアセンブリは、摩擦かみ合いによりポートに保持するか、または適所にのりで接着する。組み立てたバッグおよびポートアセンブリは消毒し、血小板濃縮物を最終貯蔵するためにラベルを貼る。
【0140】
実施例2
代表的な基板固定蛍光種の密封容器内への組み込み
図5Aを参照すると、密封容器500は複数の容器ポート510を具備している。ポートアセンブリ202は、挿入後容器ポート510Aに存在する。ポートアセンブリ202(図4A〜4C)は、射出成形したLexanの部品(205および215)および固定蛍光種を有する直径3.53mm(9/64インチ)のニトロセルロース・ディスク(220)から作る。ポートアセンブリは、摩擦かみ合いによりまとめるか、または適所にのりで接着する。ポートアセンブリは、スパイクチップを用いてシールに穴を開けて隔壁シールを通してポート510A内に挿入する。あるいは、別のスパイクツールを用いてシールに予め穴を開けることができる。ポートアセンブリの挿入は、空のバッグまたは血小板を満たしたバッグについて行うことができるが、いずれの場合もバッグの中身の汚染を回避するために無菌の方法を用いる必要がある。ポートアセンブリは、摩擦かみ合いによりポートに保持するか、または適所にのりで接着する。容器500は、ポート510A内にポートアセンブリ202を挿入後密封(漏れのない)されている。
【0141】
実施例3
代表的SNAFL類似体の蛍光およびpH特性:pKaの測定
器具の使用。種々のSNAFLフリー酸類の蛍光対pHを、Ocean OpticsのUSB2000光ファイバおよびタングステンハロゲン光源(部品番号HL−2000 FHSA)を用いて比較した。光源は、励起ビームの波長および形を調節することができる直線的に変動するフィルタを備えていた。フルオロフォアの最大吸光度に対するブランク・キュベットを用いて励起波長を調節した(表1を参照のこと)。キュベット・ホルダー(部品番号CUV−FL−DA)を光源に直接取り付け、光ファイバ・ケーブルが発光を分光計に向けた。各蛍光スペクトルについて励起条件を報告する(指定波長における3000msecの照射)。Ocean Opticsのソフトウエアを用いて、スペクトル・データをパーソナル・コンピュータに集め、種々のスペクトルの重なりを記録した。
【0142】
試料の調製。SNAFL−1は、Molecular Probesから小瓶入の1mgのフリーのカルボン酸として購入した。0.3mLのイソプロピルアルコールと0.7mLの水を加えて1mg/mLの溶液を調製した。SNAFL−1の分子量(MW)を426として、モル濃度(SNAFL−1=2.35mM)を計算した。この溶液の4.25uLを、種々の50mM燐酸塩緩衝液を用いて1mLに希釈し、pH6〜10の10マイクロモル濃度の溶液を得た。SNAFL−2(MW=460)の10マイクロモル濃度の溶液は、同様に調製した。EBIO−1(MW=523)、EBIO−2(MW=627)、およびEBIO−3(MW=489)は、Epoch Biosciencesからバルク化合物として得た。1.6mgの各固体粉末を注意深く秤量し、3.2mLの40%イソプロピルアルコールに溶解し、0.5mg/mL溶液を得た。種々のSNAFLおよびEBIO化合物について、pH6.0、6.2、6.4、6.6、6.8、7.0、8.0および10.0において発光スペクトルを得た。重なり合った蛍光発光スペクトルの例を、図8(SNAFL−1)および図9(EBIO−3)に示す。すべてのスペクトルは、すべての発光スペクトルが重なる等吸収波長を示した(表1を参照のこと)。これは、上に示したもの(ラクトン、ナフトール、ナフトレート)以外は競合蛍光構造がない理想的なレシオメトリックな性能の特徴である。
【0143】
pKaの計算。pKaとして規定されるpHにおいて2つの分子種(互変異性体)が同等に表される。pKaに影響を及ぼす可能性のある変数が多数存在し、これらの構造は重なり吸光度を有するので、測定する方法は困難である。したがって、文献からの直接比較はわずかに変動しうる。本明細書に含まれる計算は、pH10では、3価アニオンナフトレート構造のみが存在するという仮定に基づいている。発光ピークにおける蛍光強度は、2で割り、交差するpH曲線のpHは最も近い2曲線の間の内挿により計算する。2−クロロ置換EBIO化合物のpKaは、表1に示した他の類似体より有意に低い。
【0144】
実施例4
代表的なフルオロフォアとタンパク質との複合体であるSNAFL−1/HSAの調製
ヒト血清アルブミン(HSA)は、100mgの凍結乾燥粉末としてSigma(カタログ#A−8763)から購入した。SNAFL−1 NHSエステルは、5および6個の異性体の混合物としてMolecular Probesから購入した。1mLのpH8.56の重炭酸ナトリウム(0.1M)と10mg(0.15マイクロモル)のHSAとの溶液を調製した。1mL(1.91マイクロモル)のNHSエステルと0.1mLのジメチルスルホキサイドとの溶液を調製した。このHSA溶液の0.3mLアリコートを1.6mLのEppendorfチューブに移し、種々の提示比のNHSエステル溶液、即ち、チューブ1、11.8マイクロリッター(5当量)、チューブ2、23.6マイクロリッター(10当量)、チューブ3、47.1マイクロリッター(20当量)を加えた。深赤色の溶液を激しく撹拌し、暗所で1時間以上放置した。チューブ1からの5:1複合体は、Sephadex G−15を充填した0.5×20cmのカラムからなるゲルろ過クロマトグラフィおよびpH7.4の燐酸塩緩衝生理食塩水(PBS)により浄化した。この複合体は、PBS中で迅速に動く赤/オレンジ帯として分離し、PBSを用いて0.75mLに希釈し、タンパク質複合体の4mg/mL溶液を得た。ほとんどの色は複合体と共に溶出したが、一部の小分子量(オレンジ)の不純物はカラムのトップに残った。このカラムを浄化し、10:1および20:1の複合体の精製に再使用した。各々はPBS中に溶出し、0.75mLに希釈し、約4mg/mL溶液を得た(HSA成分に基づいて60マイクロモル濃度)。赤い溶液は、貯蔵し、冷凍し、光から保護した。各SNAFL−1/HSA複合体の1マイクロモル濃度の溶液を調製し、Beckman DU640B分光計を用いて紫外−可視スペクトルにより分析した。各スペクトルは、SNAFL−1複合体の酸形について予想される、pH7における490および521nmにおいて最大吸光度を示した。相対吸光度は、SNAFL:HSAの種々の提示比の場合に、予想された吸光度の変化を示した。各HSA複合体調合品あたりのSNAFL−1の平均負荷をより正確に決めるために、pH7のSNAFL−1酸(Molecular Probesから入手)の10マイクロモル濃度の溶液を基準として用いた。この試験を用いると、5:1複合体は4.1フルオル/HSAを有し、10:1複合体は6.4フルオル/HSAを有し、および20:1複合体は11.2フルオル/HSAを有した。
【0145】
実施例5
代表的なフルオロフォアとタンパク質との複合体であるSNAFL−1/HSAの蛍光特性
種々のSNAFL−1/HSA複合体およびSNAFL−1フリー酸の蛍光発光を、Ocean OpticsのUSB2000光ファイバおよびタングステンハロゲン光源(部品番号HL−2000 FHSA)を用いて比較した。光源は、励起ビームの波長および形を調節することができる直線的に変動するフィルタを備えていた。キュベット・ホルダー(部品番号CUV−FL−DA)を光源に直接取り付け、光ファイバ・ケーブルが発光を分光計に向けた。各蛍光スペクトルについて励起条件を報告する(指定波長における3000msecの照射)。Ocean Opticsのソフトウエアを用いて、スペクトル・データをパーソナル・コンピュータに集め種々のスペクトルの重なりを記録した。SNAFL−1/HSAの種々の負荷レベルを比較すると、4.1〜1.6SNAFL−1分子が同じ蛍光信号を与えることが分かった。負荷がより高いか低い場合は、複合体はより低い信号を与えた。
【0146】
燐酸カリウム緩衝液中の10マイクロモル濃度の溶液について発光スペクトルを得た。励起は540nmにおいてなされた。塩基形のSNAFL−1(pH10)の場合、発光ピークは620nmにおいて認めた。予想通り、620nmの蛍光強度は、pHが低下すると低下した。蛍光がすべてのpHで一定である585nmにおいて等吸収点を認めた。応答は、約pH8では良好であったが、pH6〜7の間では弱かった。
【0147】
代表的なSNAFL−1/HSA複合体(1.6SNAFL−1/HSA)の2.5マイクロモル濃度の溶液で得たスペクトルは、pH6〜7の間でpH応答が改善されていた(図11を参照のこと)。Ocean Opticsのハロゲン光源は、532nmの干渉フィルタ(NJ(ニュージャージー州)BarringtonのEdmund Optics)を備え、このフィルタが蛍光等吸収点をpH6〜7の間で572nmで検出することを可能にした。塩基形のSNAFL−1(pH10の曲線を参照のこと)の場合、発光ピークは620nmにおいて認めた。予想通り、620nmの蛍光強度は、pHが低下すると低下した。フリーSNAFL−1カルボン酸(図8を参照のこと)と比較すると、HSA複合体の場合pH6〜7の間で応答の改善が認められた。蛍光種を含む他の競合分子構造を暗示する、等吸収点波長からのpH8および10の曲線のレッドシフトが認められた。この非理想的挙動は、蛍光染料とHSAスペーサとの間に、より長いリンカー構造またはより親水性のリンカー構造を用いることにより排除することができる。
【0148】
実施例6
代表的なフルオロフォアとタンパク質との複合体であるEBIO−3/HSAの調製
方法A。EDC(MO(ミズーリ州)St LouisのSigma/Aldrich Chemical Co.)の0.1Mの原液は、6.2mgのEDCを0.2mLのDMFおよび0.123mLの50mMの燐酸塩緩衝液(pH5.8)に溶解して調製した。1.0mgのEBIO−3酸(WA(ワシントン州)BothelのNanogen)は、0.102mLのDMFに溶解して20mMの溶液を得た。3.0mg(0.045マイクロモル)のHSA(MO(ミズーリ州))のSt Louis、Sigma/Aldrich Chemical Co.)は、2つの1.7mLのEppendorfチューブの各々において、0.3mLのpH8.5の重炭酸ナトリウムに溶解した。0.1MのEDC(0.045mL)は、別々のEppendorfチューブにおいて、20mMのEBIO−3(0.045mL、0.9マイクロモル)に加え、HSAチューブの1つに加え、提示比20:1のEBIO−3:HSAを得た。5:1の提示比は、0.0225mLのEDC(0.1mM)および0.0225mLのEBIO−3(20mM)の予め混合した溶液を加えることにより他のHSAチューブにおいて用いた。均一な暗赤色HSA複合体溶液は、室温で暗所に保管した。21時間後、HSA複合体の各々は、SNAFL複合体の場合(実施例4)について上で説明したG15 Sephadexカラムで浄化した。一部の未反応EBIO−3酸は、カラムのトップに残った(特に提示比20:1の場合)が、約0.5mLのpH7.4緩衝液のピンク色の画分として最初に溶出した所望のタンパク質複合体から明確に分離した。浄化した各複合体は、pH7.4のPBSを用いて0.75mLに希釈し、4mg/mLの溶液(0.06mM)を得た。赤い溶液は、貯蔵し、冷凍し、光から保護した。各EBIO−3/HSA複合体の1マイクロモル濃度の溶液をpH7.4で調製し、Beckman DU640B分光計を用いて紫外−可視スペクトルにより分析した。フリーEBIO−3酸(10マイクロモル濃度)のスペクトルは、534nmに最大吸光度を有し、20:1の複合体は538nmに吸光度を有し、5:1の複合体は545nmに最高値を有した。このスペクトルは、EBIO−3:HSA提示比が上がると吸光度が予想された増加を示した。標準としてこのEBIO−3酸を用いると、20:1の複合体は5.07EBIO−3:HSAを有し、5:1の提示は1.92EBIO−3:HSAを有した。結合効率は、実施例4のSNAFL/HSA複合体の場合より少し低かった(20:1複合体は11.2フルオル/HSAを有し、5:1の提示は4.1フルオル/HSAを有した)。EDC結合法は、適切に有効であり、再現性がよかった。
【0149】
方法B。EDC(MO(ミズーリ州)St LouisのSigma/Aldrich Chemical Co.)の0.1M溶液は、6.0mgのEDCを0.194mLのDMFおよび0.118mLの50mMのPBS(pH7.4)に溶解して調製した。3.0mgのEBIO−3酸(WA(ワシントン州)BothelのNanogen)は、0.306mLのDMFに溶解して20mMの溶液を得た。これら2つの溶液をEBIO−3溶液の容器で合体し、室温で1時間暗所に保存した。イースト(UK(英国)NottinghamのDelta Biotchnology,Ltd.)からの75.0mg(1マイクロモル)の液体組み換えHSA(rHSA)は、15mLの円錐チューブにおいて7.5mLのpH8.5の重炭酸ナトリウムと混合する。EBIO−3/EDC溶液の全部をrHSA溶液と合体し、室温暗所に15〜20時間保存した。rHSA/EBIO−3複合体は、Amicon撹拌限外ろ過セルシステムおよびYM10膜(MA(マサチューセッツ州)RockfordのMillipore)を用いて浄化する。50mMのPBS(pH7.4)を洗浄溶液として用いる。浄化後、この複合体のタンパク質濃度は、BCA(商標)Protein Assay(IL(イリノイ州)BedfordのPierce)を用いて測定する。この複合体のアリコートは、BCAを用いて測定したアリコートのタンパク質濃度に基づいて50mMのPBS(pH7.4)を用いて希釈する。複合体の1mg/mlのアリコート、PBS流出液の最後のミリリッター、50mMのPBS(pH7.4)のアリコート、およびEB3標準(DMF中15mMのEBIO−3溶液および50mMのPBS(pH7.4))のアリコートをBio−Tek’s Synergy HTプレート・リーダーを用いる吸光度のスキャンにより分析する。このスキャンは、黒い96のウエルがある透明で平坦なボトム・プレートにおける上述の各試料の300マイクロリッターについて、450nmから650nmまでスキャンして行う。これらの最大ピークを記録し、この複合体の純度および品質を決める。
【0150】
実施例7
代表的なフルオロフォアとタンパク質との複合体であるEBIO−3/HSAの蛍光特性
実施例6(方法A)において説明したように調製した2つのEBIO−3/HSA複合体の2.5マイクロモル濃度の溶液について、蛍光スペクトルを得た。これらの複合体は、pH6〜7において改善されたpH応答を示した(図12の1.92EBIO−3/HSA複合体の重なり合ったスペクトルを参照のこと)。Ocean Opticsのハロゲン光源は、532nmの干渉フィルタ(NJ(ニュージャージー州)BarringtonのEdmund Optics)を備え、これが蛍光等吸収点をpH6〜7の間で約565nmにて検出することを可能にした。塩基形のSNAFL−1(赤いトレース、pH10)の場合、発光ピークは605nmにおいて認めた。予想通り、605nmの蛍光強度は、pHが低下すると低下した。SNAFL−1/HSA複合体(図11を参照のこと)と比較すると、EBIO−3/HSA複合体の場合pH6〜7の間で応答の改善が認められた。蛍光種を含む他の競合分子構造を暗示する、等吸収点波長からのpH8および10の曲線のレッドシフトを認めたが、SNAFL−1/HSA複合体の場合より度合いが小さかった。
【0151】
実施例8
代表的なフルオロフォアとタンパク質との複合体であるSNAFL−1/HSAの固定
フルオロフォアとタンパク質との複合体およびフルオロフォアと炭水化物との複合体は、次のような一般的方法を用いてニトロセルロースか、または毛細管気孔の膜のいずれかの膜の上に固定した。「固定可能な」リジン残基を有するフルオレセイン標識付デキストランは、Molecular Probesから入手した。これらのデキストラン類は、約10,000の分子量、複合体あたり1.8個のフルオロフォアおよび2.2個のリジンを有し、商品名「Fluoro−Emerald」として販売されている。フルオレセイン標識付ウシ血清アルブミン(BSA)もMolecular Probesから入手し、複合体あたり4.5個のフルオルを有した。種々のSNAFL−1/HSA複合体は、実施例4で説明した通りに調製した。ニトロセルロース膜は、Schleicher and SchnellからPROTRANという商品名で入手した。気候直径は0.2ミクロンとされている。ポリエステルフィルムから作った毛細管気孔膜は、種々の気孔サイズのものをOxyphenから入手した。気孔サイズ0.1ミクロンおよび1.0ミクロンの膜を用いてフルオレセイン・デキストラン類を固定するのに成功した。フルオレセイン/デキストラン、フルオレセイン/BSAおよびSNAFL−1/HSA複合体はすべて固定に成功し、SNAFL−1/HSA複合体の蛍光特性は、次に説明するように十分キャラクタイズできた。
【0152】
一般的な固定方法。直径0.1ミクロンのOxyphn Membrane Disc上のSNAFL−1/HSA(2.5SNAFL−1/HSA)。2.5:1のSNAFL−1:HSA提示比を有する蛍光HSA複合体は、実施例4に説明されている通りに調製し、燐酸塩緩衝生理食塩水(PBS)(pH7.4)で希釈し、0.05、0.2、1.0および4mg/mLの濃度を得た。5マイクロリッターの液滴は、ベンチトップ上に置かれた予め穴を開けた多孔性ディスク(直径1/4インチ)の中心に20マイクロリッターのピペッタにより塗布した。これらのスポットディスクは、空気乾燥し(約30分)、別のデシケータ中に一晩置いた。乾燥したディスクを2×1mLのPBSを用いて別のEppendorfチューブ内で洗浄し、1mLのPBSに一晩浸漬した。洗浄したディスクは、PBS溶液中で安定であった(30日後劣化なし)。一方、これらのディスクはデシケータ内で再乾燥し、乾燥貯蔵することができる。湿りまたは乾燥の貯蔵ディスクは同程度の蛍光特性を有した。これらのディスクは蛍光信号を有し、これらの信号は、実施例9で説明した蛍光試験により測定した各ディスクに塗布された標識付巨大分子の濃度に比例した。
【0153】
実施例9
代表的な固定フルオロフォアとタンパク質との複合体であるSNAFL−1/HSAの蛍光特性
光ファイバ分光計を用いた多孔性膜ディスク上の蛍光巨大分子複合体のマイクロウエル試験。実施例8で説明した通りに調製した蛍光ディスクは、実施例5に説明したOcean Opticsの光ファイバ分光計を用いて蛍光特性について調べた。光源上のキュベットは、光ファイバ反射率プローブにより置換し、該プローブは試料からの発光を受け取り、その発光を分光計に送る単一繊維の周りに包まれた6本の励起繊維を有した。この反射率プローブは、正面にふたのある12×12×18インチのブラックボックス内の穴に通した。このプローブは、該プローブのチップを96のウエルがあるマイクロウエル・プレート(ボトムの透明なブラックプレート)の下に配置することができる1cm平方の開口部の下の内側に固定した。このプローブを30度傾け、プローブチップに入る光を低減した。興味のある蛍光ディスクをウエルのボトムに置き、興味のある300マイクロリッターの分析対象物質でカバーした。反射率プローブのチップ上に興味のあるディスクを配置するのに十分な時間励起光源を点灯し、次いで、シャッタを閉じ、ディスクを周囲の光から遮蔽するためにプレートを別のボックスでカバーした。特に明記しない限り、3000msecの積分時間および3つの平均を用いてデータを集めるためにOcean Opticsのソフトウエアをセットした。閉じたシャッタを用いてダーク・スペクトルを記録し、試験中にすべてのバックグラウンドを差し引いた測定値を用いた。次いで、シャッタを開き、ディスクの蛍光測定を開始した。コンピュータ・スクリーン上のグラフ・ディスプレイにより、各3000msecの積分時間の後にリアルタイムのスペクトルが得られた。必要な3つのスペクトルを得た後(約10秒)、グラフ・ディスプレイはわずかな変化を示しただけであった。この点で、ディスプレイされたスペクトルのスナップショットを記録し、将来の処理のためにディスクに保存した。シャッタを閉じ、次のマイクロウエル実験をセットアップした。マイクロウエル内の分析対象物質溶液を交換することにより、同じディスクを複数回測定に使える。一方、異なるウエル内の異なるディスクは、反射率プローブ上にマイクロウエル・プレートを再配置することにより測定に使える。
【0154】
Oxyphenディスク上に固定したSNAFL−1/HSAの蛍光負荷。上で説明したマイクロウエル試験を用いると、Oxyphenディスク上のSNAFL−1/HSAの相対的蛍光を比較することができる。ハロゲン光源内の励起フィルタは、532nmの波長にセットし、「広く開いた」帯域通過をこの試験の最大感度に配置する。検出器繊維に戻る励起ビームの反射率は、重要であり、フィルタの波長位置は、塩基形のSNAFL−1/HSAからの蛍光が最大である620nmにおいて「最小値」を与えるように調節した。実施例8で説明した種々の濃度のSNAFL−1/HSAは、上で説明したpH7の燐酸カリウム緩衝液(50mM)中で別々のマイクロウエルにおいて調べた。このスペクトルは、pH7において4、1、0.2および0.05mg/mL膜の相対蛍光強度を区別する能力があることを示した。すべての信号がバックグラウンドより大きかった。
【0155】
pH7において多孔性Oxyphen上に固定された種々の量のSNAFL−1/HSA(2.5:1)の相対蛍光強度。フルオロフォアの塩基形の蛍光が最大になる620nmにおいて、蛍光強度を測定した。励起は、SNAFL−1の酸および塩基の両方の形を効果的に励起するハロゲンランプについて広く開いた設定を用いた。源(未修正ディスク)からの反射光は、最低強度のスペクトルを有した。0.05mg/mLディスクのスペクトルは、蛍光強度が少し上昇した。0.2mg/mLディスク、1mg/mLディスク、および4mg/mLディスクは、蛍光強度の段階的上昇を示した。種々の膜バッチからの30日PBSに浸漬した2つの試料(1mg/mL)の蛍光スペクトルは本質的には同じであり、膜負荷はバッチ毎に再現性があり、SNAFL−1/HSA複合体はPBS溶液中でディスク表面からあまり解離しないことを示した。
【0156】
Oxyphenディスク上に固定したSNAFL−1/HSAのpHに依存する蛍光。上で説明した1mg/mLのSNAFL−1/HSAディスクのマイクロウエル試験におけるpHに依存する蛍光について調べた。pH4、5、6、7、8、9、および10の燐酸カリウム緩衝液において、単一ディスクについて調べた。これらのデータは、これらの膜ディスクは、pH測定の広いダイナミック・レンジを有するが、pH>6においてより敏感な応答を有することを示した。緩衝液交換の間の時間は、5分であり、追加平衡時間後のスペクトルには顕著な変化はなかった。これは、固定SNAFL−1/HSA複合体のpH環境における劇的な変化の場合でも応答時間は早いことを示した。
【0157】
SNAFL−1/HSAのOxyphenディスクを用いたpHの蛍光測定の場合の「クロスオーバー試験」。上で説明したマイクロウエル試験は、これらのディスクの蛍光等吸収特性の調査に用いた。この試験では、Ocean Opticsのハロゲン光源(部品番号HL−2000 FHSA)のシャッタ・アセンブリを取り外し、2個の532nm帯域フィルタ(Edmund Scientific)を特殊なアダプタを用いてキャビティに挿入した。これは、興味のあるスペクトル領域(>550nm)における反射バックグラウンドを劇的に低減した。示したデータは、SNAFL:HSA(5:1)複合体を用いて調製した4mg/mL負荷のディスクの場合のものである。固定タンパク質複合体は、溶液相データに比べて異常なpH対蛍光特性の関係を示した。575nmにおける蛍光等吸収点の代わりに、pHが上がると蛍光強度が段階的に上昇した。pH10のスペクトルは、予想した620nmにピークを示し、pH4、6、7および8の緩衝液で得た重なり合ったスペクトル曲線と交差した。これらの「クロスオーバーポイント」は、膜環境のpHを決める感度のよい試験の根拠として用いた。この試験フォーマットを用いて、3日間3種類の膜ディスクについて調べた。クロスオーバーポイントは、2nmの範囲内で再現性があった。
【0158】
4mg/mLのディスク(3.6:1 SNAFL−1:HSA)は、pH10の「クロスオーバー」における段階的な上昇を示した。クロスオーバーは、pH4では579nmにおいて認められた。3個のディスクを3日間調べると、±2nmで同じ結果が得られた。クロスオーバーポイントは、592nm(pH6)、600nm(pH7a,b)、および611nm(pH8)において認められた。pH10における蛍光ピークは、溶液相特性に類似した620nmにおいて認められた。
【0159】
実施例10
代表的なフルオロフォアとタンパク質との複合体であるEBIO−3/HSAの固定
スポット固定法。EBIO−3/HSA複合体は、2:1の比にて実施例6で説明した通りに調製した。ニトロセルロース膜は、Schleicher and SchnellからPROTRANという商品名で入手した。これらのディスクは、EBIO−3/HSAの4mg/mLの溶液を用いて実施例5で説明した一般的な固定方法と同じ方法で処理した。
【0160】
浸漬固定方法。EBIO−3/HSA複合体は、2:1の比にて実施例6で説明した通りに調製した。ニトロセルロースエステルの混合物および酢酸セルロースの膜は、製品シリーズTFとしてMilliporeから入手した。EBIO−3/HSA複合体は0.2mg/mlに希釈し、その45mlを膜の9cmディスクに加える。このディスクを室温で一晩撹拌し、光から保護する。非結合複合体は除去し、このディスクは1時間の洗浄を2回行い、さらに一晩洗浄する。洗浄はすべて撹拌しながら行う。次いで、このディスクをデシケータで乾燥し、乾燥貯蔵した。試験のために、9cmのディスクから小さなディスクを切り取った。
【0161】
実施例11
代表的な固定フルオロフォアとタンパク質との複合体であるEBIO−3/HSAの蛍光特性
光ファイバ分光計を用いた多孔性膜ディスク上の蛍光巨大分子複合体のテレスコーピング・チューブ挿入試験。実施例10で説明した方法で調製した蛍光ディスクは、蛍光特性を液相pHに関係付けるために、二重の532nmフィルタ(Edmund Scientific)およびハロゲン光源(部品番号HL−2000 FHSA)を備えた、実施例9で説明したOcean Opticsの光ファイバ分光計を用いて調べた。5/32インチの膜ディスクのホルダーは、外径4mmおよび5mmのポリスチレン・テレスコーピング・チューブおよび傾斜のついた厚さ0.015インのポリスチレン製の窓を用いて作った。傾斜のついた窓を置いたので、該窓はチューブの軸に関して60度の角度に膜ディスクを保持した。これにより、光ファイバ・プローブをチューブの一端に置き、特定のpHの液体と接触している窓の他のサイドでこのディスクを調べることができる。pH値既知の緩衝液を、テレスコーピング・チューブ挿入物および実施例10のスポット固定方法により作ったディスクと接触させ、1000msecの積分時間と3つの平均値を用いてデータを集めるためにOcean Opticsのソフトウエア・セットを用いて蛍光発光を記録した。
【0162】
未知のpH値を有する液体の場合、5個のテレスコーピング・チューブ挿入物および実施例10の浸漬固定方法により作ったディスク、50mLの緩衝液または血漿、および較正pH電極(ROSS電極/Orion 720aメーター)を収納する撹拌および光保護容器を用いて蛍光ディスクのpHおよび蛍光応答を調べた。調べた液体からある範囲のpHを創り出すために1NのHClまたは1MのNaOHの液滴を加えた。1000msecの積分時間と3つの平均値について判断するためにExcelセットにおけるOcean Opticsのマクロスにより蛍光スペクトルを集めた。モデル化した帯域通過フィルタおよびExcelにおけるレシオメトリックな方法を用いてこれらのスペクトルを分析し、PBS、血小板の少ない血漿および血小板の多い血漿の較正曲線を得た。
【0163】
pH検出器に基づく最適カスタム蛍光を用いて多孔性膜ディスク上の蛍光巨大分子複合体の射出成形したPVCチューブ挿入試験。射出成形したポリカーボネート部品を創り出し、図4に示したように蛍光pH検出器プローブに蛍光ディスクを固定した。膜は、実施例10の浸漬固定方法で説明した方法で作り、プラスチック挿入物内で組立てた。長さ1イン、内径3/16インのPVCチューブは、挿入物のスパイク端部に置いたので、250ulの液体をチューブに入れ、パラフィルムでカバーし、二酸化炭素の脱着を遅延させた。第1および第2の波長の蛍光測定を行い、次いで、pHを血液ガス分析器(Bayer348)により測定した。血漿試料のpHは、pHデータの範囲を創り出すためのテレスコーピング・チューブ挿入試験におけるように酸および塩基の添加により調節した。
【0164】
本発明の好ましい実施態様が例示され、説明されているが、その中で、本発明の意図および範囲から逸脱することなく種々の変更を行うことができることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0165】
本発明の前述の態様および付随する利点は、添付図面と併せて次の詳細な説明を参照することによりよく理解され、容易に評価されるであろう。
【図1A】図1Aは、本発明のpHを測定する代表的システムの略図である。
【図1B】図1Bは、本発明のpHを測定するシステムにおいて有用な光学プラットフォームの略図である。
【図2】図2は、本発明のシステムにおいて有用な励起光および発光のライトガイドの代表的ハウジングの略図である。
【図3】図3は、励起光/発光の光ファイバ・ハウジングと密封容器ポートとの間の関係を示す。
【図4】図4A〜4Cは、基板固定蛍光種を密封容器に導入する代表的ポートアセンブリを示し、図4Aは組み立てたポートを示し、図4Bはポートアセンブリの分解図であり、図4Cはチップの平面図である。
【図5】図5Aおよび5Bは、基板固定蛍光種を組み込んでいる代表的密封容器を示し、図5Aは穴開けおよび再封入のプロセスにより基板が導入された密封容器を示し、図5Bは容器製造の間に基板を組み込んでいる密封容器を示す。
【図6】図6は、密封容器を製造する際に有用な代表的ポートアセンブリである。
【図7】図7A〜Eは、本発明の方法およびシステムにおいて有用な代表的セミナフトフルオレセイン化合物類の構造を示す。
【図8】図8は、本発明の方法およびシステムにおいて有用な代表的蛍光種(SNAFL−1)の発光スペクトルをpHの関数として示す。
【図9】図9は、本発明の方法およびシステムにおいて有用な代表的蛍光種(EBIO−3)の発光スペクトルをpHの関数として示す。
【図10】図10は、本発明の方法およびシステムにおいて有用な代表的フルオロフォア−タンパク質(EBIO−3/HSA)複合体の調製方法の略図である。
【図11】図11は、本発明の方法およびシステムにおいて有用な代表的フルオロフォア−タンパク質複合体(SNAFL−1/HSA)の発光スペクトルをpHの関数として示す。
【図12】図12は、本発明の方法およびシステムにおいて有用な代表的フルオロフォア−タンパク質複合体(EBIO−3/HSA)の発光スペクトルをpHの関数として示す。
【図13】図13は、代表的な基板固定フルオロフォア−タンパク質複合体(SNAFL−1/HSA)の発光スペクトルをpHの関数として示す(Oxyphen)。
【図14】図14は、代表的な基板固定フルオロフォア−タンパク質複合体(SNAFL−1/HSA)の発光スペクトルをpHの関数として示す(ニトロセルロース)。
【図15】図15は、代表的な基板固定フルオロフォア−タンパク質複合体(EBIO−3/HSA)の発光スペクトルをpHの関数として示す(ニトロセルロース)。
【図16】図16は、pHを測定するために本発明の方法で使われたデータを示す。
【図17】図17は、血小板リッチの血漿に関する本発明の方法の結果を示す。
【図18】図18は、本発明の方法およびシステムにより得られた血小板リッチの血漿に関するpHの相関関係を示す。
【図19】図19は、本発明の代表的な基板固定フルオロフォア複合体の安定性を示す。
【図20】図20は、密封容器内の二酸化炭素を測定する本発明の代表的装置を示す。
【図21】図21は、本発明によるpH測定における蛍光強度に対するプローブの位置の効果を示す。
【図22】図22は、本発明によるpH測定における蛍光強度に対する膜の気孔サイズの効果を示す。
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、蛍光pH検出器および該蛍光pH検出器を用いてpHを測定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
pHを測定する光学センサー(オプトロード)はよく知られている。特定の有機芳香族化合物(フェノールフタレンのような)は、pHによって変色し、固体支持体上に固定し、「pH試験紙」を形成することができる。このような眼に見える指示体は、簡単に使用することができるが、定量的測定値を与えるものではない。変色を正確に見極めることは困難であり、着色した分析対象物質では試料自体の色により妨害されることがある。蛍光指示体は、光学センサーとしても使われてきた。pH感受性蛍光染料は、固体支持体上に固定することができ、一般に、単純な変色(吸光度または反射率に基づく)指示薬に比べてより感受性が高い。蛍光指示薬の感度を改善すると、固体支持体を小型化することができ、この指示薬を用いると、血液中のpH値、CO2およびO2の濃度を測定する光ファイバセンサー装置の開発を促進する。
【0003】
医療分野では、血液のpHを正確に測定する必要がある。血液または体液(胸水)のpHは、病理学に関連した特定の生理学的反応と関連することがある。血液ガス分析器は、通常の救急救命装置である。貯蔵条件によって、分離血液成分(血漿、血小板)のpHは、ドナーから集められる濃縮静脈血から溶解CO2の放散により急速に変化する。特に血小板は、代謝的に活性であり、20〜22℃で貯蔵中に乳酸を生じる。「バフィコート法」により調製された血小板に関する欧州の品質指針は、貯蔵血小板のpHは37℃で6.8〜7.4(22℃で7.0〜7.6)であることを必要とする。
【0004】
セミナフトフルオレセイン(SNAFL)化合物および関連セミナフトローダフルオル(SNARF)化合物は、市販のレシオメトリック・フルオル類(OR(オレゴン州)EugeneのMolecular Probes,Inc.;例えば、特許文献1を参照のこと)であり、これらの化合物の合成およびスペクトル特性は説明されている。これらの化合物は、LED光源を用いて効率的に励起することができる長波長吸光度を含む利点を有する。当該の酸/塩基平衡および関連スペクトル特性を下に示す。
【0005】
【化1】
SNAFL染料のナフトール構造から脱プロトンすると、長波長蛍光発光を有するナフトレート分子が得られる。pKaは、2つの分子種の形が等量にあるpH値である。興味のある他の分子へのSNAFL化合物の結合を可能にする反応性リンカーを有する該SNAFL化合物も市販されている。
【0006】
光ファイバpH検出器において使用する固体支持体に「レシオメトリック」染料を固定するために、種々の方法が使われている。カルボキシナフトフルオレセイン(CNF)はアミノエチルセルロースに接合し、この物質をポリエステル(Mylar)フィルムに糊で接合し、オプトロード用検知膜を作製した。この物質のpKaは7.41であり、フリーCNF(pKa7.62)よりわずかに低い。ガラスカバースリップ上に形成されたゾルゲルガラスにおいてCNFを捕捉するためにテトラエトキシシランを使用することも報告されている。この物質のpKaは7.46であった。9−クロロ置換SNAFL類似体(SNAFL−2)はポリビニルアミンと反応し、残りのアミノ基は光架橋剤により架橋させられ、アクリル繊維上にゲル状コーティングを形成する。この光ファイバセンサーのpKaは7.14であり、フリーのSNAFL化合物の公表されたpKa(pKa約7.7)よりかなり低い。これは、固定された染料の周りの分子環境およびリンカーの構造がpH検出器の性能を変えられることを示している。
【特許文献1】米国特許第4,945,171号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
pHの検出については上で指摘したような進歩がなされているにも関わらず、pHを測定する改善された方法および装置を求めるニーズがある。本発明は、このニーズを満たし、さらに、関連した利点を提供しようとしている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の概要
1つの態様では、本発明は試料のpHを測定する方法を提供する。この方法は、血液および血液製品のpHの測定において有用である。1つの実施態様では、この方法は、容器に密封された血液または血液製品のpHの測定において有用である。1つの実施態様では、この方法は、
(a)基板上に固定された該蛍光種から物理的に隔離されたプローブから発する励起光を基板上に固定された該蛍光種に照射する工程であって、基板上に固定された蛍光種は液体中で試料と連通し、励起光は該蛍光種から蛍光発光するのに十分な波長を有し、該蛍光種は、第1発光波長において第1発光強度を、第2発光波長において第2発光強度を示し、第1発光強度と第2発光強度との比はpHに依存する工程と、
(b)試料のpHを求めるために第1および第2の発光強度を測定する工程と、を含む。
【0009】
この方法では、このプローブは、基板上に固定された蛍光種から物理的に隔離されている。本明細書で使われている、用語「物理的に隔離された」は、調査しようとしている試料からのプローブの物理的隔離を意味している。励起光を発し、発光を受け取るプローブは、調査しようとしている試料に接触している。本発明の方法では、試料は基板に固定された蛍光種と接触(即ち、液体連通)している。このプローブは、試料から隔離されているが、試料と物理的に接触しないわけではない。試料からプローブの隔離は、図3および5に例示されている。1つの実施態様では、このプローブは、励起光および蛍光発光に対して透明な窓により蛍光種から隔離されている。
【0010】
1つの実施態様では、該プローブは、1つ以上の光ファイバを具備している。
【0011】
この方法では、この蛍光種はレシオメトリックな蛍光種である。1つの実施態様では、この蛍光種は、ナフトフルオレセイン化合物とセミナフトローダミン化合物とから選択される。1つの実施態様では、ナフトフルオレセイン化合物は、セミナフトフルオレセイン化合物とカルボキシナフトフルオレセイン化合物とから選択される。1つの実施態様では、セミナフトフルオレセイン化合物は、5’(および6’)−カルボキシ−3,10−ジヒドロキシ−スピロ[7H−ベンゾ[c]キサンテン−7,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−3’−オン(本明細書では、「SNAFL−1」とも呼ばれ,図7Aを参照のこと)および2−(2−クロロ−3−ヒドロキシ−9−カルボキシエチル−10−オキソ−10H−ベンゾ[c]キサンテン−7−イル)安息香酸(本明細書では、「EBIO−3」とも呼ばれ,図7Eを参照のこと)から選択される。
【0012】
1つの実施態様では、基板上に固定されたこの蛍光種は、蛍光種と巨大分子との複合体を含む。1つの実施態様では、この巨大分子はアルブミンである。1つの実施態様では、この巨大分子は血清アルブミンである。1つの実施態様では、この巨大分子はヒト血清アルブミンである。1つの実施態様では、この巨大分子は組み換えヒト血清アルブミンである。1つの実施態様では、基板上に固定されたこの蛍光種は、ナフトフルオレセイン/血清アルブミン複合体を含む。1つの実施態様では、基板上に固定されたこの蛍光種は、セミナフトフルオレセイン/ヒト血清アルブミン複合体を含む。
【0013】
上で指摘したように、この方法は、容器に密封された血液または血液製品のpHの測定に適している。1つの実施態様では、基板上に固定されたこの蛍光種は、容器のシールを保つ手段により密封容器内に導入される。
【0014】
本発明の別の態様では、pHを測定するシステムを提供している。1つの実施態様では、このシステムは、
(a)第1発光波長において第1発光強度および第2発光波長において第2発光強度を有する蛍光種を励起する光源と、
(b)第1発光強度を測定する第1発光検出器と、
(c)第2発光強度を測定する第2発光検出器と、
(d)光源に近い第1末端部および光源から遠い第2末端部を含み、光源から蛍光種へ励起光を送る励起光ライトガイドと、
(e)蛍光種から第1発光検出器へ発光を送る第1発光ライトガイドであって、検出器に近い第1末端部および検出器から遠い第2末端部を含むライトガイドと、
(f)蛍光種から第2発光検出器へ発光を送る第2発光ライトガイドであって、検出器に近い第1末端部および検出器から遠い第2末端部を含むライトガイドと、
(g)励起光ライトガイド、第1発光ライトガイドおよび第2発光ライトガイドの遠位末端部を格納するプローブと、
(h)アセンブリであって、
(i)プローブを受け入れるハウジングであって、ハウジングは第1端部においてプローブを受け入れ、第2端部において窓で終わるようになっており、窓は励起光および発光に対して透明であるハウジングと、
(ii)測定すべき試料から液体を受け入れるようになっており、前記ハウジングの第2端部に可逆的に接続可能なチップ部材と、
(iii)チップ部材と窓との間に介在する基板上に固定された蛍光種であって、基板上に固定された蛍光種は測定中前記試料と液体連通し、窓は基板上に固定された蛍光種からプローブ部材を物理的に隔離している蛍光種とを、
含む前記アセンブリとを具備するシステム。
【0015】
1つの実施態様では、光源は発光ダイオードである。
【0016】
1つの実施態様では、第1および第2の検出器はフォトダイオードである。
【0017】
1つの実施態様では、励起光ライトガイド、第1発光ライトガイド、および第2発光ライトガイドは光ファイバである。
【0018】
1つの実施態様では、ハウジングは窓で終わる先細りのチューブを具備する。
【0019】
1つの実施態様では、チップ部材は密封容器に穴を開けるスパイクを具備する。
【0020】
このシステムで有用な蛍光種は、方法について上で指摘された該蛍光種および下でさらに詳細に説明される該蛍光種を含む。1つの実施態様では、この蛍光種は、セミナフトフルオレセイン/ヒト血清アルブミン複合体を含む。
【0021】
別の態様では、本発明は、基板上に固定された蛍光種を試料内に導入するのに有用なアセンブリを提供する。このアセンブリは、容器内に密封された試料に基板上に固定された蛍光種を導入するのに特に有用である。1つの実施態様では、このアセンブリは、
(a)可視光に対して透明な窓を具備する第2閉鎖端部および第1開放端部を有するハウジングと、
(b)ハウジングの窓に露出するように構成され、ハウジングの閉鎖端部に可逆的に接続可能なチップ部材と、
(c)このハウジングの窓とチップ部材との間に介在する基板上に固定された蛍光種と、を含む。
【0022】
チップ部材は、ハウジングの窓を露出するように構成される。ハウジングの窓をチップ部材の外部環境に露出することにより、ハウジングの窓とチップ部材との間に介在する基板上に固定された蛍光種は、測定すべき試料と液体連通している。
【0023】
1つの実施態様では、ハウジングは先細りである。1つの実施態様では、チップ部材が密封容器に穴を開けるスパイクを具備する。このアセンブリで有用な蛍光種は、方法について上で指摘された該蛍光種および下でさらに詳細に説明する該蛍光種を含む。1つの実施態様では、この蛍光種は、セミナフトフルオレセイン/ヒト血清アルブミン複合体を含む。
【0024】
別の態様では、本発明は、上で説明したアセンブリを具備する血液バッグまたは血液製品バッグを提供する。
【0025】
本発明のさらに別の態様では、環境感受性フルオロフォアタンパク質複合体を提供する。1つの実施態様では、この複合体は、アルブミンに共有結合した環境感受性フルオロフォアを含む。1つの実施態様では、環境感受性フルオロフォアは、pH感受性フルオロフォア、酸素感受性フルオロフォア、核酸感受性フルオロフォア、イオン感受性フルオロフォア、グルコース感受性フルオロフォア、脂質感受性フルオロフォアまたは酵素感受性フルオロフォアである。
【0026】
1つの実施態様では、環境感受性フルオロフォアは、ナフトフルオレセイン化合物またはセミナフトローダミン化合物から選択されるpH感受性フルオロフォアである。1つの実施態様では、このナフトフルオレセイン化合物は、セミナフトフルオレセイン化合物またはカルボキシナフトフルオレセイン化合物である。1つの実施態様では、セミナフトフルオレセイン化合物は、5’(および6’)−カルボキシ−3,10−ジヒドロキシ−スピロ[7H−ベンゾ[c]キサンテン−7,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−3’−オンまたは2−(2−クロロ−3−ヒドロキシ−9−カルボキシエチル−10−オキソ−10H−ベンゾ[c]キサンテン−7−イル)安息香酸である。
【0027】
1つの実施態様では、アルブミンは血清アルブミンである。1つの実施態様では、アルブミンはヒト血清アルブミンである。1つの実施態様では、アルブミンは組み換えヒト血清アルブミンである。
【0028】
1つの実施態様では、環境感受性フルオロフォアは2−(2−クロロ−3−ヒドロキシ−9−カルボキシエチル−10−オキソ−10H−ベンゾ[c]キサンテン−7−イル)安息香酸であり、アルブミンはヒト血清アルブミンである。
【0029】
上で説明した本発明の方法およびシステムは、特定のフルオロフォアにより与えられた効用に特異的な方法およびシステムを提供する特定の環境感受性フルオロフォアを含むように変更することができることは言うまでもない。
【0030】
別の態様では、本発明は、基板固定蛍光種を提供する。1つの実施態様では、この基板固定蛍光種は膜固定蛍光種である。1つの実施態様では、この基板固定蛍光種はナフトフルオレセイン化合物と膜に付着したアルブミンとの複合体である。1つの実施態様では、膜は微孔膜である。1つの実施態様では、膜は、ニトロセルロース膜、ニトロセルロースと酢酸セルロースとの混合エステル類膜、ポリエチレンテレフタレート膜、ポリカーボネート膜、およびポリイミド膜である。
【0031】
1つの実施態様では、このナフトフルオレセイン化合物は、セミナフトフルオレセイン化合物またはカルボキシナフトフルオレセイン化合物である。1つの実施態様では、このナフトフルオレセイン化合物は、5’(および6’)−カルボキシ−3,10−ジヒドロキシ−スピロ[7H−ベンゾ[c]キサンテン−7,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−3’−オンまたは2−(2−クロロ−3−ヒドロキシ−9−カルボキシエチル−10−オキソ−10H−ベンゾ[c]キサンテン−7−イル)安息香酸である。
【0032】
1つの実施態様では、アルブミンは血清アルブミンである。1つの実施態様では、アルブミンはヒト血清アルブミンである。1つの実施態様では、アルブミンは組み換えヒト血清アルブミンである。
【0033】
本発明の別の態様では、二酸化炭素を測定する方法を提供している。1つの実施態様では、この方法は、
(a)基板上に固定された該蛍光種から物理的に隔離されたプローブから発する該励起光を基板上に固定された該蛍光種に照射する工程であって、基板上に固定された蛍光種は液体試料中に存在する二酸化炭素に応じたpHを有する溶液と液体連通し、二酸化炭素に応じたpHを有する該溶液は選択的透過膜を通して液体試料と連通し、励起光は該蛍光種から蛍光発光するのに十分な波長を有し、該蛍光種は、第1発光波長において第1発光強度を、第2発光波長において第2発光強度を示し、第1発光強度と第2発光強度との比はpHに依存する工程と、
(b)pH応答性を有する該溶液の該pHを決めるために第1および第2の発光強度を測定する工程と、
(c)試料中の二酸化炭素濃度へのpH応答性を有する該溶液の該pHを相関づける工程と、を含む。
【0034】
1つの実施態様では、プローブは、励起光および蛍光発光に対して透明な窓により基板上に固定された蛍光種から物理的に隔離されている。1つの実施態様では、このプローブは1つ以上の光ファイバを具備する。
【0035】
1つの実施態様では、この試料は血液または血液製品を含む。1つの実施態様では、この試料は密封容器内に収納される。1つの実施態様では、基板上に固定されたこの蛍光種は、容器のシールを保つ手段により密封容器内に導入される。
【0036】
この方法で有用な蛍光種は、pHを測定する方法について上で指摘された該蛍光種および下でさらに詳細に説明される該蛍光種を含む。1つの実施態様では、この蛍光種はセミナフトフルオレセイン/ヒト血清アルブミン複合体を含む。
【0037】
別の態様では、本発明は二酸化炭素を測定するシステムを提供している。このシステムは、液体試料中の二酸化炭素濃度を測定するのに有用である。このシステムは、
(a)第1発光波長において第1発光強度および第2発光波長において第2発光強度を有する、蛍光種を励起する光源と、
(b)第1発光強度を測定する第1発光検出器と、
(c)第2発光強度を測定する第2発光検出器と、
(d)光源に近い第1末端部および光源から遠い第2末端部を含む、光源から蛍光種へ励起光を送る励起光ライトガイドと、
(e)蛍光種から第1発光検出器へ発光を送る第1発光ライトガイドであって、検出器に近い第1末端部および検出器から遠い第2末端部を含むライトガイドと、
(f)蛍光種から第2発光検出器へ発光を送る第2発光ライトガイドであって、検出器に近い第1末端部および検出器から遠い第2末端部を含むライトガイドと、
(g)励起光ライトガイド、第1発光ライトガイドおよび第2発光ライトガイドの遠位末端部を格納するプローブと、
(h)アセンブリが、
(i)該プローブを受け入れるハウジングが、該ハウジングは第1端部において該プローブを受け入れ、前記第2端部において窓で終わるようになっており、該窓は励起光および発光に対して透明である該ハウジングと、
(ii)ハウジングの第2端部に可逆的に接続可能なチップ部材であって、チップ部材が液体試料中に存在する二酸化炭素に対してpH応答性を有する溶液を受け入れるチェンバを具備し、二酸化炭素に対してpH応答性を有する該溶液が選択的透過膜を通して液体試料と液体連通しているチップ部材と、
(iii)該チップ部材と窓との間に介在する基板上に固定された蛍光種であって、基板上に固定された蛍光種は、測定中二酸化炭素に対してpH応答性を有する該溶液と液体連通し、該窓は、基板上に固定された蛍光種から該プローブ部材を物理的に隔離している蛍光種とを含むプローブを受け入れるアセンブリと、を具備する。
【0038】
1つの実施態様では、光源が発光ダイオードである。
【0039】
1つの実施態様では、第1および第2の検出器がフォトダイオードである。
【0040】
1つの実施態様では、励起光ライトガイド、第1発光ライトガイド、および第2発光ライトガイドが光ファイバである。
【0041】
1つの実施態様では、ハウジングが窓で終わる先細りのチューブを具備する。
【0042】
1つの実施態様では、選択的透過膜が二酸化炭素を通すことができる。
【0043】
1つの実施態様では、チップ部材が密封容器に穴を開けるスパイクを具備する。
【0044】
この方法で有用な蛍光種は、pHを測定する方法について上で指摘された該蛍光種および下でさらに詳細に説明する該蛍光種を含む。1つの実施態様では、この蛍光種は、セミナフトフルオレセイン/ヒト血清アルブミン複合体を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
発明の詳細な説明
本発明は、pHを測定する方法およびシステムを提供する。この方法およびシステムは、密封容器内に収納された試料のpH測定に適している。
【0046】
本発明の1つの態様では、pHを測定する方法を提供している。この方法では、pH依存性の蛍光発光を有する単一の蛍光種からの蛍光発光強度を比較してpH値が得られる。pH依存性の蛍光発光を有する蛍光種は、第1波長において第1発光強度、第2波長において第2発光強度を有し、第1および第2の発光強度は、この蛍光種の環境におけるpHに特有なものである。第1および第2の発光強度の比からpH値が得られる。第1および第2の発光強度を較正すると、強度に基づく参照値(比に関する情報)が得られ、これを用いると蛍光種の環境におけるpH値が得られる。
【0047】
本発明の方法は、蛍光波長にレシオメトリックな方法である。本明細書で使われている用語「蛍光波長にレシオメトリック」は、第1および第2の波長において、それぞれ、測定された第1および第2の蛍光発光強度を対比させて、pH情報を得る方法を意味している。
【0048】
この方法では、pHに依存する蛍光発光を有する蛍光種は、試料と接触している基板上に固定されるので、該蛍光種は試料と接触している。試料と接触している固定蛍光種は試料内に配置されているので、この蛍光種は調査することができる。蛍光測定は、蛍光発光を引き出すのに十分な波長において蛍光種を照射することによりなされ、次いで、蛍光発光を測定する。蛍光種の発光プロフィール(即ち、第1および第2の波長において、それぞれ、測定された第1および第2の蛍光発光強度)はpH依存性があるので、蛍光発光プロフィールを測定すると該蛍光種の環境のpH(即ち、試料のpH)が得られる。
【0049】
本発明の方法の1つの実施態様では、pHを測定すべき試料は密封容器に収納されている。この方法は、普通の血液貯蔵容器に密封された血液および血液製品のpH測定に適している。
【0050】
別の実施態様では、pHを測定すべき試料は開放容器に収納されている。本明細書で使われている用語「開放容器」は、密封されていない容器を意味している。この方法は、測定すべき試料が汚染を避ける必要がある場合に適している。この方法では、プローブは浄化および/または消毒し、一度使ったら廃棄する。この方法は、物質を収納する容器が密封されていない(即ち、開放)食品、医薬品、または生物学の研究で使われる物質のpH測定に適している。このような「研究室用」システムは、プローブ上に置かれたチップ(下の説明を参照のこと)を含む。pHは、チップを試料中に浸漬してから測定する。チップは、プローブから外した試料から外し廃棄する。
【0051】
収納試料のpHを測定する方法では、基板固定蛍光種は、試料を容器に入れる前か後に容器に入れる。本明細書で使われている用語「密封容器」は、その収納物が該容器の外部環境に露出されるのを防ぐ容器を意味している。この密封容器は、その収納物が該容器の外側の、例えば、液体および気体と接触するのを防止する。密封容器は、その収納物が該容器から散逸するのも防止する。
【0052】
この容器は、該容器の1要素として基板固定蛍光種を含むように作ることができる。このような実施態様では、基板固定蛍光種は製造中の容器に組み込まれ、後で試料を入れて、該試料のpHを測定することができる容器を提供する。基板固定蛍光種を組み込んでいる容器の製造は、実施例1で説明している。
【0053】
一方、基板固定蛍光種は、試料を容器内に入れた後に該容器に入れることができる。このような実施態様では、基板固定蛍光種は、まず容器に穴を開け(またはスパイクし)基板固定蛍光種を入れ、次いで、再密封し該基板固定蛍光種と接触している試料を含む密封容器を提供するプロセスにより容器に入れられる。密封容器内に基板固定蛍光種を入れるプロセスは、実施例2で説明する。
【0054】
上で指摘したように、試料と接触している基板固定蛍光種を含む容器は、調査の前後および調査中に密封する。蛍光種を調べるには、該蛍光種から蛍光発光を生じるのに十分な波長における該蛍光種の励起およびその蛍光発光の測定を必要とする。本発明の方法では、調査は密封容器の窓を通して行う。この蛍光種は、窓を通して照射することにより励起され、該蛍光種からの発光は窓を通して集められる。窓は、密封容器の一部であり、試料と接触している蛍光種の調査を可能にする。この窓は、励起および発光の波長において十分透明であり、この方法による調査を可能にする。基板固定蛍光種は、調査のために窓に十分近接して、即ち、蛍光種を効率的に励起させるために、および該蛍光種からの発光を効率的に集めるために十分近接して、配置する。エピフルオレッセンスを用いる場合は、単一の窓を用いることはいうまでもない。しかし、本発明の他の方法および装置は、1つより多い窓を使用することができる直流または直角光学経路などの他の光学経路を具備することができる。
【0055】
本発明の方法は、1つの実施態様では、蛍光種からの発光を生じるのに十分な波長において、その発光を測定するために、基板固定蛍光種が密封容器内に試料と共に収納される該基板固定蛍光種への照射を含む。励起光および蛍光発光は密封容器の窓を通過する。1つの実施態様では、この密封容器は、さらに、励起光ライトガイドおよび発光ライトガイドを保持するハウジングを受け入れるポートを具備する。1つの実施態様では、この励起光ライトガイドは、光源から蛍光種へ励起光を送る1つ以上の光ファイバを含む。1つの実施態様では、発光ライトガイドは、蛍光種から光検出器へ発光を送る1つ以上の光ファイバを具備する。ハウジングを受け入れるポートは、調査のために窓に十分近接して、即ち、蛍光種を効率的に励起させるために、および該蛍光種からの発光を効率的に集めるために十分近接して、配置する。
【0056】
すべての光学的蛍光方法と同様に、本発明の方法は、蛍光種を励起するための光源および該蛍光種の発光を測定するための検出器を具備する。光源、波長選択フィルタ、および検出器は、吸光度およびこの方法で用いる蛍光種の発光プロフィールに基づいて選択する。
【0057】
適切な光源は、蛍光種から蛍光発光を生じるのに十分な波長および強度において励起エネルギーを提供する。この光源は、比較的幅の広い波長帯励起(例えば、紫外または白色の光源)または比較的幅の狭い波長帯励起(例えば、レーザーまたは発光ダイオード)を提供することができる。励起効率および発光測定を高めるために、光源からの比較的幅の広い波長帯励起光を選択し、蛍光種に適合する回折格子、単色光分光計、またはフィルタを使用して狭めることができる。適切な光源は、タングステンランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、アークランプ、LED、中空陰極ランプ、およびレーザーを含む。
【0058】
適切な検出器は、蛍光種の発光波長帯の蛍光発光の強度を検出する。発光測定、蛍光種からの蛍光発光を高めるために、光源は選択し、該蛍光種に適合させるために回折格子、単色光分光計、またはフィルタを使用して狭めることができる。適切な検出器は、蛍光種の発光波長帯に応答するフォトダイオードなどの光電子増倍管および固体検出器を具備している。他の適切な検出器は、光電池、PINダイオード、およびアバランシェフォトダイオードである。
【0059】
フィルタを使用することにより、標的から反射するすべての励起光は検出器に到達する前に除去される。これは、励起および発光の両光学経路においてフィルタを使用することにより達成される。特定の例では、検出器に到達する反射励起光(これは発光よりも桁はずれにはるかに強い)は特定の信号を無力にすることができる。一般に、10E5(105)またはそれ以上の帯域外の排除が、各フィルタセットにおいて適切である。励起光の低減は、傾斜した窓を使うことによっても達成できるので、反射光は発光検出器から離れる方向にある。しかし、このような光学経路は、フィルタセットと同等の効果はない。
【0060】
光源からの励起光は、1つ以上の光ファイバなどの光ライトガイドを使用することにより蛍光種の方に向けることができる。同様に、蛍光種からの発光は、1つ以上の光ファイバなどの光ライトガイドを使用することにより検出器の方に向けることができる。
【0061】
本発明の方法を行う代表的なシステムは、図1Aに概略示している。図1Aを参照すると、システム100はこのシステムの構成要素を制御し、作動させる制御器110を具備している。システムの構成要素には、システムコマンドを含む情報を入力するキーパッド120、該システムの状態を判断し、pHの測定結果を見るディスプレイ130、試料の確認、該システムにより測定するpHを含む該システムに情報を入力するバーコード・リーダー140、システムの状態およびpHの測定結果をプリントするプリンタ150、該システムに電力を供給するバッテリ(または壁のプラグおよびパワーアダプタ)160、テスト結果および較正データを貯蔵するメモリーデバイス165、光学プラットフォーム構成要素にコマンドし、該光学プラットフォームからの信号を処理する信号処理電子部品170、励起光源、発光検出器、光ライトガイド、および関連レンズとフィルタとを含む光学プラットフォーム180を具備する。光学プラットフォームは、1つ以上の励起光ライトガイドおよび2つ以上の発光ライトガイドを格納するプローブ部材185を具備する。図1Aは、プローブ部材185を受け入れるポート205を含む密封容器500も示している。
【0062】
図1Bは、pHを測定する本発明のシステムにおける有用な光学プラットフォームの略図である。図1Bを参照すると、光学プラットフォーム180は、励起光系280、第1発光系380、および第2発光系480を具備する。励起光系280は、光源282、平行レンズ284、フィルタ286、集束レンズ288、および励起光ライトガイド290を具備している。第1発光系380は、検出器382、集束レンズ384、フィルタ386、平行レンズ388、および第1発光ライトガイド390を具備している。第2発光系480は、検出器482、集束レンズ484、フィルタ486、平行レンズ488、および第2発光ライトガイド490を具備している。励起光ライトガイド290、第1発光ライトガイド390、および第2発光ライトガイド490は、プローブ部材185に格納されている。
【0063】
このシステムの光源は、蛍光種を励起するのに有効である。適切な光源は、発光ダイオード、レーザー、タングステンランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、アークランプ、LED、および中空陰極ランプを含む。1つの実施態様では、光源は、500〜560nmの範囲の光を放つ発光ダイオードである。本発明のシステムで有用な代表的な発光ダイオードは、NY(ニューヨーク州)LathamのMarktechが市販している、極めて輝きのよい緑色のCotco503シリーズLEDである。
【0064】
この平行レンズは、光(例えば、光源からの励起光または発光ライトガイドからの第1および第2の発光)を帯域通過フィルタに向けている。適切な平行レンズは、BiconvexガラスレンズおよびPlano−convexガラスレンズを含む。本発明のシステムで有用な代表的な平行レンズは、NJ(ニュージャージー州)BarringtonのEdmund Opticsが市販しているTech Spec PCXレンズである。励起平行レンズは12×36(mm単位の有効焦点距離の直径)であり、第1および第2の発光平行レンズは12×18である。
【0065】
集束レンズは、帯域通過フィルタから励起光ライトガイドまで、または帯域通過フィルタから検出器までの光を集束する。適切な集束レンズは、BiconvexガラスレンズおよびPlano−convexガラスレンズを含む。本発明のシステムで有用な代表的な集束レンズは、NJ(ニュージャージー州)BarringtonのEdmund Opticsが市販しているTech Spec PCXレンズである。励起集束レンズは12×18であり、第1および第2の発光集束レンズは12×15である。
【0066】
フィルタは、光学プラットフォームにおいて、送達される光の帯域幅を狭めるために使われる。
【0067】
適切な励起フィルタは、帯域通過フィルタ、短い波長の光を通過させるフィルタ、長い波長の光を通過させるフィルタ、または長短いずれかの波長の光を通過させるフィルタの組み合わせを含む。1つの実施態様では、このシステムは、約370〜540nmの範囲の光、即ち短い波長の光を通過させるフィルタを用いる。本発明のシステムで使われる代表的な短い波長の励起光を通過させるフィルタは、VT(バーモント州)BrattleboroのOmega Opticalが市販している540ASPである。
【0068】
適切な第1発光フィルタは、帯域通過フィルタ、短い波長の光を通過させるフィルタ、長い波長の光を通過させるフィルタ、または長短いずれかの波長の光を通過させるフィルタの組み合わせを含む。1つの実施態様では、帯域通過フィルタは、約595〜605nmの範囲の光を通過させ、10nmの半値幅を有する。本発明のシステムで有用な代表的な第1発光帯域通過フィルタは、VT(バーモント州)BrattleboroのOmega Opticalが市販している600DF10である。
【0069】
適切な第2発光フィルタは、帯域通過フィルタ、短い波長の光を通過させるフィルタ、長い波長の光を通過させるフィルタ、または長短いずれかの波長の光を通過させるフィルタの組み合わせを含む。1つの実施態様では、帯域通過フィルタは、約562〜573nmの範囲の光を通過させ、10nmの半値幅を有する。本発明のシステムにおいて有用で代表的な第1発光帯域通過フィルタは、VT(バーモント州)BrattleboroのOmega Opticalが市販している568DF10である。
【0070】
励起光ライトガイドは、光源からプローブ部材を通って蛍光種まで励起光を送達する。1つの実施態様では、励起光ライトガイドは、1つ以上の光ファイバを具備している。1つの実施態様では、励起光ライトガイドは単一の光ファイバである。本発明のシステムで有用な代表的光ファイバは、NJ(ニュージャージー州)BarringtonのEdmund Opticsが市販しているRO2−534である。
【0071】
第1および第2の発光ライトガイドは、蛍光種からプローブ部材を通って、それぞれ、第1および第2の発光検出器まで蛍光発光を送達する。
【0072】
1つの実施態様では、第1発光ライトガイドは、1つ以上の光ファイバを具備している。1つの実施態様では、第1発光ライトガイドは、複数の光ファイバを具備している。1つの実施態様では、第1発光ライトガイドは、4つの光ファイバを具備している。本発明のシステムで有用な代表的光ファイバは、NJ(ニュージャージー州)BarringtonのEdmund Opticsが市販しているRO2−533である。
【0073】
1つの実施態様では、第2発光ライトガイドは、1つ以上の光ファイバを具備している。1つの実施態様では、第2発光ライトガイドは、複数の光ファイバを具備している。1つの実施態様では、第2発光ライトガイドは、4つの光ファイバを具備している。本発明のシステムで有用な代表的光ファイバは、NJ(ニュージャージー州)BarringtonのEdmund Opticsが市販しているRO2−533である。
【0074】
本発明のシステムで有用で適切な光ファイバは、直径0.2〜2mmでガラスまたはプラスチック製の光ファイバである。
【0075】
このシステムの第1および第2の発光検出器は、蛍光種からの第1および第2の蛍光発光を測定する際に有効である。適切な検出器には、フォトダイオード、PINダイオード、および光電子増倍管が含まれる。1つの実施態様では、第1および第2の発光検出器は、400〜800nmの範囲で応答するフォトダイオードである。本発明のシステムで有用な代表的フォトダイオードは、PA(ペンシルバニア州)MalvernのVishay Intertechnologyが市販しているBPW34を含む。
【0076】
本発明のシステムで有用な励起光および発光のライトガイドを格納している代表的なプローブ部材は、図2にその概要を示している。図2に示したように、光ライトガイドは光ファイバである。図2を参照すると、プローブ部材185は、光ライトガイド290、複数の第1発光ライトガイド390、および複数の第2発光ライトガイド490を格納している。図2に示した代表的なプローブ部材には、4つの第1発光ライトガイド390、および4つの第2発光ライトガイド490がある。4つの第1発光ライトガイドは第1チャネル(例えば、蛍光種からの第1蛍光発光を測定する)であると考えられ、4つの第2発光ライトガイドは第2チャネル(例えば、蛍光種からの第2蛍光発光を測定する)であると考えることができる。例示した代表的プローブ部材では、2セットの繊維の各々からの繊維が中央繊維(290)の周りに交互に配置される(即ち、繊維390と490とが交互に)。この配置は、「ホットスポット」を平坦化するので、第1セットにより集められる光は、第2セットにより集められる光に似ている。
【0077】
励起光/発光ライトガイドを格納するプローブ部材と密封容器のポートとの間の関係は、図3に概要を説明している。図3を参照すると、プローブ部材185はポート205を受け入れる。ポート205は、蛍光測定に使われる励起光および発光の波長に対して透明である窓210を具備している。光ライトガイド290から発する励起光は、窓210を通過し、本発明の方法の操作において、密封容器200に収納された試料と接触している蛍光種をその上に固定する基板220を調べる。基板220を照射すると、基板固定蛍光種の励起および蛍光種からの蛍光発光を生じる結果になる。蛍光種からの発光は、光ライトガイド390と490とにより受け入れられ、これらのライトガイドを通って、それぞれ、検出器382と482とに送達される(図1Bを参照のこと)。上で指摘したように、蛍光種の第1および第2の発光強度は、試料のpHに依存する。
【0078】
密封容器内に基板固定蛍光種を導入する代表的ポートアセンブリは、図4Aおよび4Bに示している。図4Aは作製されたポートを示し、図4Bはポートアセンブリの分解図である。
【0079】
図4Aおよび4Bを参照すると、ポートアセンブリ202はポート205およびチップ215を具備している。ポート205は、窓210で終わり、プローブ部材185(図示していない)を受け入れる開口部212を有する円筒である。1つの実施態様では、ポート205は開口部212から窓210に向けて先細りになっているので、ポート205内へのプローブ部材185の挿入の深さはプローブの直径により予め決められる。1つの実施態様では、アセンブリ202における185の進行の深さは出っ張り(図示していない)により限定される。1つの実施態様では、プローブと膜との間の最適間隔は2mm以下であった。図21は、プローブと膜との間の間隔の関数として測定した蛍光強度を示している。ポートに挿入したとき、プローブ部材185の面と窓210の面とは、ほぼ平行である。ポート205とチップ215とは適合しているので、ポートとチップとは可逆的に接続することができる。1つの実施態様では、ポート205は環状インセット214を具備し、チップ215はインセット214を受け入れる環状リップ218により画定された開口部216を具備している。この実施態様では、インセット214の直径は開口部216より小さい。ポートとチップとの間の接続関係は逆に(即ち、インセットを有するチップを受け入れる環状リップをポートが有する)することができることはいうまでもない。リップ218は基板220を受け入れるベッド222を画定し、該基板は、ポート205がチップ215に接続される時にポートアセンブリ202に固定される。チップ215は、ベッド222に隙間224を具備している。隙間224は、ポートアセンブリが導入される密封容器に収納された液体試料と基板220とを接触させる。チップ215は、穴を開けることにより密封容器内にポートアセンブリ202を入れやすくする先端226で終わる。図4Cは、ベッド222および隙間224を示しているチップ215の平面図である。1つの実施態様では、アセンブリは、MA(マサチューセッツ州)PittsfildのGE Polymerlandが市販しているLexan HPS1 1125から作る。
【0080】
基板固定蛍光種を組み込んでいる代表的な密封容器は、図5Aおよび5Bに示す。図5Aは、穴を開けて中にポートアセンブリを挿入する密封容器を示している。図5Bは、ポートアセンブリを具備するように作られた密封容器を示している。
【0081】
図5Aを参照すると、密封容器500は複数の容器ポート510を具備している。ポートアセンブリ202(ポート205、膜220、およびチップ215を含む)は、挿入後容器ポート510Aに存在する。容器500は、ポートアセンブリ202の挿入後密封されている。容器ポート510Aは、ポート205を密封している。
【0082】
図5Bを参照すると、密封容器500は複数の容器ポート510を具備している。ポートアセンブリ232(ポート205、膜220、およびチップ215を含む)は、容器製造後容器ポート510Aに存在する。ポートアセンブリを組み込む代表的な密封容器を製造するプロセスは、実施例1で説明している。
【0083】
製造中密封容器内に組み込むための有用で代表的なポートアセンブリは、図6に示している。容器製造中組み込むために有用なポートアセンブリは、容器製造において容器に穴を開ける特徴を含む必要がないか、好ましくは含まないことを除いて、図4に示した密封容器内に導入するのに有用なポートアセンブリとほぼ同じである。図6を参照すると、ポートアセンブリ232はポート205およびチップ235を具備している。ポート205は、窓210で終わり、プローブ部材185(図示していない)を受け入れる開口部212を有する円筒である。1つの実施態様では、ポート205は開口部212から窓210に向けて先細りになっているので、ポート205内へのプローブ部材185の挿入の深さはプローブの直径により予め決まる。ポートに挿入したとき、プローブ部材185の面と窓210の面とはほぼ平行である。ポート205とチップ215とは適合しているので、ポートとチップとは可逆的に接続することができる。1つの実施態様では、ポート205は環状インセット214を具備し、チップ215はインセット214を受け入れる環状リップ218により画定された開口部216を具備している。この実施態様では、インセット214の直径は開口部216より小さい。ポートとチップとの間の接続関係は逆に(即ち、インセットを有するチップを受け入れる環状リップをポートが有する)することができることはいうまでもない。リップ218は基板220を受け入れるベッド222を画定し、該基板は、ポート205がチップ235に接続される時にポートアセンブリ202に固定される。チップ215は、ベッド222に隙間224を具備している。隙間224は、ポートアセンブリが導入される密封容器に収納された液体試料と基板220を接触させる。
【0084】
pH依存性の発光を有する蛍光種。pHを測定する本発明の方法およびシステムは、pH依存性の蛍光発光を有する蛍光種を用いる。該蛍光種は、第1波長において第1発光強度および第2波長において第2発光強度を有し、第1および第2の発光強度は、該蛍光種の環境においてpHに特有のものである。第1および第2の発光強度の比からpH値が得られる。蛍光発光は、本明細書で発光波長と呼ばれる帯域ピークを有する波長帯として起きるものと考えられる。
【0085】
1つの実施態様では、第1波長と第2波長との間の分離は約40nm以上である。1つの実施態様では、第1波長と第2波長との間の分離は約30nm以上である。1つの実施態様では、第1波長と第2波長との間の分離は約20nm以上である。10nmのHBWフィルタを用いると、分離は約30nm以上である。本発明のシステムは、10E5以上の発光帯の重なりを除去することにより蛍光信号の分離を達成するのが好ましい。
【0086】
pHを測定する本発明の方法およびシステムは、特定の蛍光種にも、特定のpH範囲にも限定されない。本発明の方法およびシステムは、励起することができ、蛍光種の発光を測定することができるpH依存特性を有する該蛍光種を用いれば操作可能である。本発明の方法およびシステムにより測定できるpHの範囲は、選択することができ、蛍光種のpH依存特性により決めることができる。
【0087】
上で指摘した蛍光種のpH依存特性に加えて、適切な蛍光種には、基板上にほぼ不可逆的に固定することができるものがある。蛍光種は、基板に共有結合するか、または非共有で結合することができる。
【0088】
適切なpH依存性の蛍光種には、当該技術分野で周知のものがある。適切なpH依存特性を有する代表的な蛍光種には、ナフトフルオレセイン化合物、セミナフトフルオレセイン化合物(例えば、SNAFL化合物)、およびセミナフトローダフルオル化合物(例えば、SNARF化合物)を含むフルオレセイン誘導体が含まれる。これらの化合物は、血液中の潜在的妨害光を吸収する物質の影響を受け難い該化合物の長波長発光に関連した利点を有する。これらの化合物は、市販のLED光源による自身の励起について、該化合物を特に適切にする比較的長波長にも吸光度を有する。適切なpH依存特性を有する別の化合物は、HPTS、即ち8−ヒドロキシ−1,3,6−ピレントリスルホン酸である。この化合物は、望ましいレシオメトリックなpH特性を有するが、強いLED光源が市販されていない短波長(403nm)において励起は最適である。本発明の方法およびシステムにおいて有用な代表的SNAFLおよびSNARF化合物は、米国特許第4,945,171号で説明されている。Molecular Probes(現在は、OR(オレゴン州)EugeneのInvitrogen)が、接合可能なカルボン酸結合基を有するCNF、SNAFL、SNARFフルオルを販売している。これについては、例えば、R.P.HauglandによるMolecular Probes Handbook(第9版)21章「pH指示薬」829〜847頁を参照のこと。Epoch Biosciences(現在は、WA(ワシントン州)BothellのNanogen)は、プロパン酸リンカーを有するEBIO−3を販売している。Whitaker et al.(Anal.Biochem.(1991)194,330〜344)は、多数のSNAFL化合物の合成を示した。Wofbeis et al.(Mikrochim Acta(1992)108,133−141)は、CNFとアミノセルロースとの複合体の使用について説明した。SNAFLファミリ化合物に関する最も早い文献は、Whitaker et al.(1988)Biophys.J.53,197aである。CNFファミリにおける関連染料は、VITABLUE、即ち7.56のpKaを有するスルホンナフトフルオレセイン誘導体(Lee et al(1989)Cytometry 10,151〜164)である。フェノール(pKa7.45)に隣接した各炭素に臭素置換基を有するCNF類似体は、CNF(pKa7.99)の測定pKa値より0.54pKaユニット低いpKaを有する。Lee et al.は、これらの化合物について「真の」pKa値を決めることは困難であることを指摘している。pKaを決める方法は、実施例3で説明している。SNAFL−1フリー酸(文献pKa値は約7.8)は、その蛍光ベースの試験で7.6のpKaを有する。
【0089】
本発明の方法およびシステムにおいて有用なセミナフトフルオレセイン化合物(SNAFL−1およびEBIO−3)の構造は下に示す。
【0090】
【化2】
番号付与体系は、リンカー分子が取り付く位置を示している。これらの化合物は、下に説明するようにキャリアタンパク質に接合するのに適したカルボキシレート結合基を有する。接合では、SNAFL−1の反応性N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル(OR(オレゴン州)EugeneのMolecular Probesが市販している)を使用することができる。ヒト血清アルブミン(HSA)のリジン残基への接合により、所望のSNAFL/HSA複合体が得られた。EBIO−3のカルボジイミド活性化により、ヒト血清アルブミンに効率的に接合した反応性中間体が得られた。
【0091】
本発明の方法およびシステムにおいて有用で代表的なナフトフルオレセインおよびセミナフトフルオレセイン化合物は、図7に示している。
【0092】
SNAFL化合物は、OR(オレゴン州)EugeneのMolecular Probes,Inc.が市販している。SNAFL化合物は、公表されている一般的な手順により容易に合成することができる(例えば、米国特許第4,945,171号を参照のこと)。
【0093】
代表的な2−クロロ置換SNAFL化合物の調製を下に示す。
【0094】
【化3】
この化合物は、塩化亜鉛などのルイス酸または脱水性酸触媒の存在下でジ酸置換4−アクリルレゾルシノールと1,6−ジヒドロキシナフタレンとの縮合により作ることができる。
【0095】
プロピオン酸リンカーを有するSNAFL化合物の調製は、引用により全体が本明細書に援用されている米国特許出願第11/022,039号で説明されている。プロピオン酸リンカーを有する代表的なSNAFL化合物である、EBIO−3は、WA(ワシントン州)BothellのNanogenが市販している。
【0096】
本発明の方法およびシステムにおいて有用な代表的蛍光種(即ち、SNAFL−1およびEBIO−1)の発光スペクトルをpHの関数として、それぞれ、図8および9に示している。図8は、50mM燐酸カリウム緩衝液中のSNAFL−1の発光スペクトルをpH(pH6.0〜10.0)(540nmにおける励起)の関数として示している。図8を参照すると、pH6〜7における応答は比較的弱い(pKa=7.6)。図9は、50mM燐酸カリウム緩衝液中のEBIO−3の発光スペクトルをpH(pH6.0〜10.0)(545nmにおける励起)の関数として示している。図9を参照すると、pH6〜7における応答は比較的良い(pKa=6.6)。図7A〜7Eに示したSNAFL類似体のスペクトル特性およびpKaデータを表1に要約している。
【0097】
【表1】
表1を参照すると、吸光度および発光スペクトルは10μMのSNFL類似体において得た。吸光度はpH6、8、および10において測定し、酸性(pH6)では類似の吸光度の2つの吸収帯が得られ、pH10では単一のλmax(塩基)が得られた。発光スペクトルが交差する波長は、λisoとして報告している。発光λmaxはpH10にて測定した。pKaは、蛍光発光スペクトルから得た。EBIO−1およびEBIO−3は、pH約6.5における変化に対してより敏感であった。他の類似体は、pH約8においてより敏感であった。
【0098】
基板に固定する蛍光種複合体。本発明の方法およびシステムにおいて使用する場合、蛍光種は基板上に固定するので、該蛍光種はpHを測定すべき試料に接触している。蛍光種は、基板と強い結合性を有する物質(例えば、巨大分子スペーサ)を使用することにより基板上に固定することができる。このスペーサ物質は、蛍光種の共有結合を可能にし、基板表面への非共有による効果的な固定に必要な大きな表面積を提供する。1つの実施態様では、このスペーサ物質は共有結合を利用できる約44個のリジン残基を有するヒト血清アルブミン(HSA)である。HSAの緻密に充填された分子構造は、バイオ物質に吸着された時に保護効果を有する。他の利点には、蛍光消光の低減、複合フルオロフォアの均一な環境、および組み換え形式(イーストからの)の有効性があるので、感染(ドナーからのHSAの場合のような)の機会はない。HSA複合体は、限外ろ過法により容易に浄化され、タンパク質あたりのフルオロフォアの数を決めるための蛍光分析および吸光度により容易に特徴づけられる安定溶液を形成する。
【0099】
1つの実施態様では、蛍光種は、タンパク質またはタンパク質フラグメントを使用して基板上に固定する。適切なタンパク質には、基板上にほぼ不可逆的に固定することができるタンパク質が含まれる。このタンパク質は、基板に共有結合するか、または非共有で該基板と結合することができる。適切なタンパク質は、蛍光種が該タンパク質にほぼ不可逆的に固定するものとすることができる該タンパク質を含む。この蛍光種は、このタンパク質と共有または非共有で結合することができる。
【0100】
適切なタンパク質は、ヒト血清アルブミン(HSA)、ウシ血清アルブミン(BSA)、フォン・ヴィレブランド因子、キニノゲン、フィブリノゲン、およびヘモグロビン(鉄を含まない)を含む。適切なタンパク質は、利用可能なリジン残基(フルオロフォアに結合する場合)およびブロット膜に固定効率を可能にするのに十分な分子量を含む。タンパク質内の他の官能基(システィンのような)は、おそらく、適度の反応性を有する固体支持体に共有結合する場合に使われるであろう。
【0101】
1つの実施態様では、蛍光種は、多糖類を使用して基板上に固定される。適切な多糖類は、基板上にほぼ不可逆的に固定することができる多糖類を含む。この多糖類は、基板に共有結合するか、または非共有で該基板と結合することができる。適切な多糖類は、蛍光種が該多糖類にほぼ不可逆的に固定するものとすることができる該多糖類を含む。この蛍光種は、この多糖類と共有または非共有で結合することができる。
【0102】
適切な多糖類は、デキストラン、アミノデキストラン、ヘパリン、およびレクチンを含む。
【0103】
別の実施態様では、蛍光種は、デンドリマ構造を使用して基板上に固定される。適切なデンドリマ構造は、ほぼ不可逆的に基板上に固定されうる該構造を含む。このデンドリマ構造は、基板に共有結合するか、または非共有で該基板と結合することができる。構造のタイプおよびサイズが異なるPAMAMデンドリマが市販されている。
【0104】
1つの実施態様では、蛍光種はタンパク質に共有結合し、フルオロフォアと多糖類との複合体を形成し、該複合体は基板上に固定することができる。1つの実施態様では、フルオロフォアと多糖類との複合体は非共有で基板に結合する。
【0105】
1つの実施態様では、フルオロフォアとタンパク質との複合体は基板上に固定される。1つの実施態様では、蛍光種は、セミナフトフルオレセインであり、タンパク質はヒト血清アルブミンである。1つの実施態様では、セミナフトフルオレセインはSNAFL−1である。SNAFL−1/HSA複合体の調製は、実施例4で説明している。SNAFL−1/HSA複合体の蛍光特性は、実施例5で説明している。1つの実施態様では、セミナフトフルオレセインはEBIO−3である。EBIO−3/HSA複合体の調製は、実施例6で説明している。HSAへのEBIO−3の結合の概要は図10に示している。EBIO−3/HSA複合体の蛍光特性は、実施例7で説明している。
【0106】
本発明の方法およびシステムにおいて有用で代表的なフルオロフォアとタンパク質との複合体(SNAFL−1/HSA、HSAあたり1.6個のフルオロフォア)のpH(6.0〜10.0)の関数としての蛍光発光スペクトルは、図11に示している。
【0107】
本発明の方法およびシステムにおいて有用で代表的なフルオロフォアとタンパク質との複合体(EBIO−3/HSA、HSAあたり1.92個のフルオロフォア)のpH(6.0〜10.0)の関数としての蛍光発光スペクトルは、図12に示している。
【0108】
フルオロフォアとタンパク質との複合体では、フルオロフォアの最適負荷は、個別のフルオロフォアにより変動する。
【0109】
SNAFL−1/HSA複合体では、フルオロフォアの負荷は、SNAFL−1/HSAの比が、約0.01〜約40の範囲で変動する。フルオロフォア/HSAの比が、0.01では低信号であり、40では蛍光が消光する。1つの実施態様では、SNAFL−1/HSAの比は約2である。
【0110】
EBIO−3/HSA複合体では、フルオロフォアの負荷は、EBIO−3/HSAの比が、約0.01〜約40の範囲で変動する。1つの実施態様では、EBIO−3/HSAの比は約2である。
【0111】
蛍光種を固定するための基板。本発明の方法およびシステムでは、蛍光種は基板上に固定される。上で指摘したように、共有または非共有結合により、あるいは共有または非共有結合により基板上に固定することができる物質(例えば、フルオロフォアとタンパク質との複合体)を使用することにより基板上に直接固定することができる。
【0112】
適切な基板は、蛍光種をほぼ不可逆的に固定した。本発明の方法では、適切な基板は、蛍光種と液体試料との接触を妨げず、pH測定を妨害したり、変えたりすることもない。
【0113】
代表的な膜は、ニトロセルロース、ニトロセルロースと酢酸セルロースとの混合エステル類、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリフッ化ビニリデンおよびポリイミドから作られた微孔膜などの膜を含む。この種の物質は、NJ(ニュージャージー州)Florham ParkのWhatman S&SおよびMA(マサチューセッツ州)BillericaのMilliporeが市販している。適切な膜は、微小孔のある構造が、OXYPHENという名称でドイツ、DresdenのOxyphen Gmbhが市販している膜などのイオンビーム侵入により作られる膜を含む。帯電したナイロン表面(Nytran)も使用することができる。適切な膜は、Sweden,StockholmのAmicが用いたプロセスなどの、微小孔のある構造が射出成形により作られ、プラスチック内に微小な孔のあるプラスチック膜を含む。種々の気孔サイズがあるニトロセルロースと酢酸セルロースとの混合エステル類の膜上に固定されたSNAFL−1/HSAのpH7における発光強度は、図22に示している。
【0114】
代表的フルオロフォアタンパク質複合体の膜上への固定は、実施例8および10で説明している。実施例8は、SNAFL−1/HSA複合体の固定について説明している。実施例9は、固定SNAFL−1/HSA複合体の蛍光特性について説明している。実施例10は、EBIO−3/HSA複合体の固定について説明している。実施例11は、固定EBIO−3/HSA複合体の蛍光特性について説明している。
【0115】
実施例9で説明したマイクロウエル分析により測定した、Oxyphenおよびニトロセルロース上に固定した代表的なフルオロフォアとタンパク質との複合体(SNAFL−1/HSA,3.6:1)の発光スペクトルをpHの関数(pH応答)として、それぞれ、図13および14に示している。
【0116】
実施例8で説明し、実施例11で説明したテレスコーピング・チューブ挿入試験により測定した、ニトロセルロース上に固定した代表的なフルオロフォアとタンパク質との複合体(EBIO−3/HSA、2.0:1)の発光スペクトルを、pH(6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、および10.0)の関数として図15に示している。pH6〜8の範囲の場合、600nmにおける発光が大きく拡大していることは、蛍光対pHの応答が良好であることを示している。
【0117】
レシオメトリックにpHを測定する方法およびシステム。本発明の方法は蛍光波長にレシオメトリックする方法である。この方法では、第1および第2の蛍光波長で、それぞれ、測定した蛍光種の第1および第2の蛍光発光強度を比例させてpH値に関する情報を得る。第1の発光波長はpHと共に変動するが、第2の発光波長はpHが変わっても一定であり、蛍光強度の内部コントロールが得られる。1つの実施態様では、測定した比の組み合わせ、第1および第2の発光波長を調べ、その対応するpHを決めるために、参照テーブルが使われる。1つの実施態様では、この比の数学関数、第1および第2の発光波長を用いて、得られるpHを計算する。
【0118】
図16は、pHを測定するために本発明の方法で用いたデータを示している。テレスコーピング・チューブ挿入試験により測定した、ニトロセルロース上に固定した代表的なフルオロフォアとタンパク質との複合体(EBIO−3/HSA、2.0:1)のpH7における発光スペクトルを示す。この設定では、励起帯域フィルタは、ブランクのニトロセルロース・ディスクについて測定したバックグラウンド信号により示した発光領域における励起光を完全に除去することはできなかった。バックグラウンドについて集めたフルスペクトルに、各波長における第1および第2の仮想フィルタの透過率をかけ、得られる曲線の下の面積を計算すると第1および第2の波長の信号が得られる。中心波長および仮想フィルタの帯域幅は、この複合体のレシオメトリックな特性が、興味のある領域のpHに対して最強の関係を有するように選択した。
【0119】
図17は、実施例11で説明したテレスコーピング・チューブ挿入試験により測定した、燐酸塩緩衝生理食塩水(PBS)、血小板の少ない血漿(PPP)、および血小板の多い血漿(PRP)に関する本発明の方法の結果を示している。3つの曲線は、測定pH値と3種類の液体の比との間で最もよく一致する関係を示している。
【0120】
図18は、実施例11で説明した射出成形したPVCチューブ挿入試験により測定した本発明の方法およびシステムにより得られた3種類の血漿試料のpH測定結果の相関関係を示している。蛍光信号とpHとの間の関係は、約0.1pHユニットの精度を有する。
【0121】
図19は、実施例10で説明した浸出試験により測定した、浸漬法により調製したニトロセルロースと酢酸セルロースとの混合エステル類上の本発明の代表的基板固定フルオロフォア複合体(EBIO−3/HSA、2:1)の安定性を示している。浸出のレベルは低く、任意の化合物の毒性レベルよりはるかに低い。
【0122】
二酸化炭素の測定。別の態様では、本発明は、液体試料中の二酸化炭素濃度を測定する装置および方法を提供する。この二酸化炭素を測定する方法は、上で説明したpHの測定方法およびシステムを利用している。この二酸化炭素を測定する方法および装置では、上で説明した基板固定蛍光種は溶液と接触しており、該溶液のpHは二酸化炭素濃度に応答している。基板固定蛍光種に接触していることに加えて、二酸化炭素濃度に応じたpHを有するこの溶液は、二酸化炭素濃度を測定すべき液体試料に接触している。二酸化炭素濃度に応じたpHを有するこの溶液は、選択的透過膜により二酸化炭素濃度を測定すべき液体試料から隔離されている。この膜は、ガス(例えば、二酸化炭素)を通すが、他の物質(例えば、液体)を通さない。上で説明したpH測定方法を用いると、基板固定蛍光種と接触している二酸化炭素濃度に応じた溶液のpHが測定され、その溶液と接触している試料の二酸化炭素濃度と相関づけられる。
【0123】
二酸化炭素濃度へのpH応答を有する溶液は、二酸化炭素に対して反応性があり、二酸化炭素濃度に応じた溶液のpHを変える薬剤を含む。二酸化炭素に対して反応性があり、薬剤が溶解している溶液のpHを変える適切な薬剤は、重炭酸ナトリウムなどの重炭酸塩を含む。
【0124】
選択的透過膜は、二酸化炭素濃度に応じたpHを有する溶液を二酸化炭素を含む液体試料から隔離する。この膜は、二酸化炭素を通し、液体および他の溶質を通さない。この方法では、液体試料からの二酸化炭素は膜を通って水溶液に入り、それにより二酸化炭素と反応する反応性薬剤は水溶液のpHを変える。適切な選択的透過膜には、シリコーンおよびPTFEから作られる膜がある。
【0125】
図20は、密封容器内の二酸化炭素を測定する本発明の代表的な装置を示している。図20を参照すると、装置600は、ポート620とチップ630とを含むポートアセンブリ610を具備している。ポート620は、窓622で終わり、プローブ部材185を受け入れる開口部624を有する円筒である。このポートに挿入すると、プローブ部材185の面と窓622とはほぼ平行である。ポート620とチップ630とは適合しているので、ポートとチップとは可逆的に接続することができる。固定蛍光種を含む基板640は、ポート620およびチップ630内に固定されている。チップ630は、二酸化炭素に応じてpHを有する溶液を受け入れるチェンバ645を具備している。チェンバ645は、窓622、チップ630、および選択的透過膜650により画定されている。チェンバ645は、プローブ部材185により調べられる基板640を具備している。
【0126】
二酸化炭素を測定する装置は、固定EBIO−3/rHSA複合体(rHSAは組み換えHSA)を含む膜を用いて上で説明したように組み立てた。PARAFILM M、即ちオレフィン・タイプの物質のブレンドの層を、膜の下、チップの方向に入れた。この膜を5ulの35mMの炭酸塩緩衝液(pH7.4)を用いて水和し、該膜をPARAFILM Mによりアセンブリ内に密封し、試験中は水和したままにした。このアセンブリを配管および「Y」アダプタを用いてガス源に接続することにより100%二酸化炭素ガスにさらし、圧力を少しずつ下げた。このアセンブリを割り当て時間の間二酸化炭素にさらし、周辺の空気条件に順応させ、反復した。蛍光は、525nmにて励起した後、568nmおよび600nmにおいてそれぞれ測定した。結果を下の表2に要約し、二酸化炭素濃度の変化が蛍光の変化に反映し、本発明の蛍光光度の比による方法が二酸化炭素濃度の計算に使えることも証明している。血小板の貯蔵に使われるPVC貯蔵バッグは少しガスを通すが、二酸化炭素はpHの測定に直接関係づけられる。
【0127】
【表2】
本発明は、デザインした血液貯蔵バッグの試料採取ポートに容易に挿入し、光ファイバをベースにするLED光源およびフォトダイオード測定システムを用いて調べることができる蛍光ベースのpH指示器を提供する。この固体システムは、指示染料をヒットする励起光の量を妨害する可能性がある血液中の妨害物質による蛍光信号強度の変動を説明する「レシオメトリック」な較正方法を用いる。蛍光強度の比は、2つの波長、即ち1つは染料の酸性(プロトン化)異性体を検出する波長、1つは塩基性(脱プロトン化)異性体を検出する波長、において測定する。
【0128】
血小板の多い血漿用の正確なpH検出器を開発するためには、約6.6のpKaを有する化合物が適切で、例えば、SNAFL化合物の2−クロロ置換体はフェノールのpKaを7.6から約6.6へ下げる。これらの化合物の複合体は、種々の固体支持体上に固定し、pH検知膜を提供することができる。
【0129】
本発明は、pH6.5〜7.5において血小板貯蔵バッグにおけるpHを正確に測定する、安価で容易に製造できるpH検知膜を提供する。1つの実施態様では、本発明は、レシオメトリックな2−クロロ置換蛍光化合物のタンパク質複合体(ヒト血清アルブミン)を用いる。フルオロフォア:HSAの比は、ニトロセルロースブロット膜に固定した場合は、性能が最適であった。膜上で乾燥後、フルオロフォア:HSA複合体は、非常に低い浸出速度を有する。この物質のディスクは、血小板貯蔵バッグの試料採取ポート内に挿入するホルダー内で簡単に組み立てられる。蛍光膜物質は、緑のLEDをベースとする蛍光計を用いると良好なpH応答を示した。この方法では、レシオメトリックなpH検出のための2つの発光波長は、所望の6.5という低pH閾値において約0.1ユニットの精度で適切にフィルタ処理したフォトダイオードを用いて測定する。
【0130】
フルオロフォア分子は、種々の環境に対して検知できるようにデザインすることができる。本発明の方法およびシステムは、pH検知フルオロフォアの使用について説明している。しかし、他の環境は、pH検知フルオロフォア以外の環境検知フルオロフォアを含むように修正した本発明の方法およびシステムにより調べることができる。分子環境が変化した時に、蛍光特性を変える種々のフルオロフォアが市販されている。例えば、R.P.HauglandによるMolecular Probes Handbook(第9版)を参照のこと。プローブはアルブミンまたのタンパク質に結合し、本発明で説明したか、または蛍光をベースとする方法を用いて調査のための基板の調製に用いることができる。環境検知フルオロフォア、システム、および方法の実施例は、次のような実施例を含む。
【0131】
核酸検出:核酸結合染料は、DNAまたはRNАの存在下で蛍光特性を変える。
【0132】
酵素基板:タンパク質またはペプチドは、蛍光染料および蛍光消光分子で標識付けできるので、プロテアーゼなどの特定の酵素の存在下で蛍光信号が作られる(FRET検出)。
【0133】
脂質のプローブ:親油性染料は、細胞膜または他の脂質の多い分析対象物質の存在下で蛍光特性を変えることができる。
【0134】
酸素のプローブ:pH検出および二酸化炭素検出に加えて、特定の蛍光分子、例えば、トリス(2,2’−ビピリジル)ルテニウム(II)ジクロライド(RTDP)は、酸素濃度の変化を検知することができる。
【0135】
金属イオンの指示薬:金属を結合する蛍光染料は、特にカルシウム、マグネシウム、亜鉛、ナトリウム、カリウムに結合すると蛍光特性を変えることができる。
【0136】
グルコースの検出:ConAなどの特定のレクチン類は、グルコースを結合し、適切に標識を付けたレクチン類はグルコースのプローブとして作ることができる。
【0137】
本発明を限定せず、説明のために、次のような実施例を提示する。
【実施例】
【0138】
実施例1
代表的な基板固定蛍光種を組み込んでいる容器の製造
図5Bを参照すると、密封容器500はPVCから作られる。PVCは、多数の添加剤、例えば、可塑剤、安定剤、および潤滑剤と混合する。この処方物は、バッグおよびチューブの製作に用いる。混合PVCは、この可塑性物質をシートに成形するためにダイを通して押出す。押し出しシートは、細長く切断した後、所望のサイズに切り、溶接セクションに送る。供給および移送用の配管は、類似のPVCコンパウンドを押出して作る。次いで、このチューブは、適切な長さに切り、溶接セクションに送る。注入ポート、針カバー、およびクランプなどの部品は、射出成形により製作する。これらの部品は超音波で浄化し、オーブン中で乾燥する。
【0139】
溶接。血液バッグは、高周波溶接技法により作る。標準サイズのPVCシートは、電極の間に置かれ、高電圧の高周波を加えられる。PVCは、非常に急速に加熱され、電極の間で密封される。注入ポートおよび供給・移送配管は、バッグの適切な位置に置き、溶接して血液バッグシステムの一体部品を形成する。代表的な基板固定蛍光種を組み込んでいる容器を製造する場合(図5B)は、開口チューブを溶接してポート510Aを得る。このチューブは、着色したPVCから作られ、固定蛍光種を光から保護する。溶接したバッグは最終仕上げする。ポートアセンブリ232(図6)は、射出成形したLexanの部品(205および235)および固定蛍光種を有する直径3.53mm(9/64インチ)のニトロセルロース・ディスク(220)から作る。ポートアセンブリは、摩擦かみ合いによりまとめるか、または適所にのりで接着する。ポートアセンブリは、ポート510Aの開口チューブに挿入する。ポートアセンブリは、摩擦かみ合いによりポートに保持するか、または適所にのりで接着する。組み立てたバッグおよびポートアセンブリは消毒し、血小板濃縮物を最終貯蔵するためにラベルを貼る。
【0140】
実施例2
代表的な基板固定蛍光種の密封容器内への組み込み
図5Aを参照すると、密封容器500は複数の容器ポート510を具備している。ポートアセンブリ202は、挿入後容器ポート510Aに存在する。ポートアセンブリ202(図4A〜4C)は、射出成形したLexanの部品(205および215)および固定蛍光種を有する直径3.53mm(9/64インチ)のニトロセルロース・ディスク(220)から作る。ポートアセンブリは、摩擦かみ合いによりまとめるか、または適所にのりで接着する。ポートアセンブリは、スパイクチップを用いてシールに穴を開けて隔壁シールを通してポート510A内に挿入する。あるいは、別のスパイクツールを用いてシールに予め穴を開けることができる。ポートアセンブリの挿入は、空のバッグまたは血小板を満たしたバッグについて行うことができるが、いずれの場合もバッグの中身の汚染を回避するために無菌の方法を用いる必要がある。ポートアセンブリは、摩擦かみ合いによりポートに保持するか、または適所にのりで接着する。容器500は、ポート510A内にポートアセンブリ202を挿入後密封(漏れのない)されている。
【0141】
実施例3
代表的SNAFL類似体の蛍光およびpH特性:pKaの測定
器具の使用。種々のSNAFLフリー酸類の蛍光対pHを、Ocean OpticsのUSB2000光ファイバおよびタングステンハロゲン光源(部品番号HL−2000 FHSA)を用いて比較した。光源は、励起ビームの波長および形を調節することができる直線的に変動するフィルタを備えていた。フルオロフォアの最大吸光度に対するブランク・キュベットを用いて励起波長を調節した(表1を参照のこと)。キュベット・ホルダー(部品番号CUV−FL−DA)を光源に直接取り付け、光ファイバ・ケーブルが発光を分光計に向けた。各蛍光スペクトルについて励起条件を報告する(指定波長における3000msecの照射)。Ocean Opticsのソフトウエアを用いて、スペクトル・データをパーソナル・コンピュータに集め、種々のスペクトルの重なりを記録した。
【0142】
試料の調製。SNAFL−1は、Molecular Probesから小瓶入の1mgのフリーのカルボン酸として購入した。0.3mLのイソプロピルアルコールと0.7mLの水を加えて1mg/mLの溶液を調製した。SNAFL−1の分子量(MW)を426として、モル濃度(SNAFL−1=2.35mM)を計算した。この溶液の4.25uLを、種々の50mM燐酸塩緩衝液を用いて1mLに希釈し、pH6〜10の10マイクロモル濃度の溶液を得た。SNAFL−2(MW=460)の10マイクロモル濃度の溶液は、同様に調製した。EBIO−1(MW=523)、EBIO−2(MW=627)、およびEBIO−3(MW=489)は、Epoch Biosciencesからバルク化合物として得た。1.6mgの各固体粉末を注意深く秤量し、3.2mLの40%イソプロピルアルコールに溶解し、0.5mg/mL溶液を得た。種々のSNAFLおよびEBIO化合物について、pH6.0、6.2、6.4、6.6、6.8、7.0、8.0および10.0において発光スペクトルを得た。重なり合った蛍光発光スペクトルの例を、図8(SNAFL−1)および図9(EBIO−3)に示す。すべてのスペクトルは、すべての発光スペクトルが重なる等吸収波長を示した(表1を参照のこと)。これは、上に示したもの(ラクトン、ナフトール、ナフトレート)以外は競合蛍光構造がない理想的なレシオメトリックな性能の特徴である。
【0143】
pKaの計算。pKaとして規定されるpHにおいて2つの分子種(互変異性体)が同等に表される。pKaに影響を及ぼす可能性のある変数が多数存在し、これらの構造は重なり吸光度を有するので、測定する方法は困難である。したがって、文献からの直接比較はわずかに変動しうる。本明細書に含まれる計算は、pH10では、3価アニオンナフトレート構造のみが存在するという仮定に基づいている。発光ピークにおける蛍光強度は、2で割り、交差するpH曲線のpHは最も近い2曲線の間の内挿により計算する。2−クロロ置換EBIO化合物のpKaは、表1に示した他の類似体より有意に低い。
【0144】
実施例4
代表的なフルオロフォアとタンパク質との複合体であるSNAFL−1/HSAの調製
ヒト血清アルブミン(HSA)は、100mgの凍結乾燥粉末としてSigma(カタログ#A−8763)から購入した。SNAFL−1 NHSエステルは、5および6個の異性体の混合物としてMolecular Probesから購入した。1mLのpH8.56の重炭酸ナトリウム(0.1M)と10mg(0.15マイクロモル)のHSAとの溶液を調製した。1mL(1.91マイクロモル)のNHSエステルと0.1mLのジメチルスルホキサイドとの溶液を調製した。このHSA溶液の0.3mLアリコートを1.6mLのEppendorfチューブに移し、種々の提示比のNHSエステル溶液、即ち、チューブ1、11.8マイクロリッター(5当量)、チューブ2、23.6マイクロリッター(10当量)、チューブ3、47.1マイクロリッター(20当量)を加えた。深赤色の溶液を激しく撹拌し、暗所で1時間以上放置した。チューブ1からの5:1複合体は、Sephadex G−15を充填した0.5×20cmのカラムからなるゲルろ過クロマトグラフィおよびpH7.4の燐酸塩緩衝生理食塩水(PBS)により浄化した。この複合体は、PBS中で迅速に動く赤/オレンジ帯として分離し、PBSを用いて0.75mLに希釈し、タンパク質複合体の4mg/mL溶液を得た。ほとんどの色は複合体と共に溶出したが、一部の小分子量(オレンジ)の不純物はカラムのトップに残った。このカラムを浄化し、10:1および20:1の複合体の精製に再使用した。各々はPBS中に溶出し、0.75mLに希釈し、約4mg/mL溶液を得た(HSA成分に基づいて60マイクロモル濃度)。赤い溶液は、貯蔵し、冷凍し、光から保護した。各SNAFL−1/HSA複合体の1マイクロモル濃度の溶液を調製し、Beckman DU640B分光計を用いて紫外−可視スペクトルにより分析した。各スペクトルは、SNAFL−1複合体の酸形について予想される、pH7における490および521nmにおいて最大吸光度を示した。相対吸光度は、SNAFL:HSAの種々の提示比の場合に、予想された吸光度の変化を示した。各HSA複合体調合品あたりのSNAFL−1の平均負荷をより正確に決めるために、pH7のSNAFL−1酸(Molecular Probesから入手)の10マイクロモル濃度の溶液を基準として用いた。この試験を用いると、5:1複合体は4.1フルオル/HSAを有し、10:1複合体は6.4フルオル/HSAを有し、および20:1複合体は11.2フルオル/HSAを有した。
【0145】
実施例5
代表的なフルオロフォアとタンパク質との複合体であるSNAFL−1/HSAの蛍光特性
種々のSNAFL−1/HSA複合体およびSNAFL−1フリー酸の蛍光発光を、Ocean OpticsのUSB2000光ファイバおよびタングステンハロゲン光源(部品番号HL−2000 FHSA)を用いて比較した。光源は、励起ビームの波長および形を調節することができる直線的に変動するフィルタを備えていた。キュベット・ホルダー(部品番号CUV−FL−DA)を光源に直接取り付け、光ファイバ・ケーブルが発光を分光計に向けた。各蛍光スペクトルについて励起条件を報告する(指定波長における3000msecの照射)。Ocean Opticsのソフトウエアを用いて、スペクトル・データをパーソナル・コンピュータに集め種々のスペクトルの重なりを記録した。SNAFL−1/HSAの種々の負荷レベルを比較すると、4.1〜1.6SNAFL−1分子が同じ蛍光信号を与えることが分かった。負荷がより高いか低い場合は、複合体はより低い信号を与えた。
【0146】
燐酸カリウム緩衝液中の10マイクロモル濃度の溶液について発光スペクトルを得た。励起は540nmにおいてなされた。塩基形のSNAFL−1(pH10)の場合、発光ピークは620nmにおいて認めた。予想通り、620nmの蛍光強度は、pHが低下すると低下した。蛍光がすべてのpHで一定である585nmにおいて等吸収点を認めた。応答は、約pH8では良好であったが、pH6〜7の間では弱かった。
【0147】
代表的なSNAFL−1/HSA複合体(1.6SNAFL−1/HSA)の2.5マイクロモル濃度の溶液で得たスペクトルは、pH6〜7の間でpH応答が改善されていた(図11を参照のこと)。Ocean Opticsのハロゲン光源は、532nmの干渉フィルタ(NJ(ニュージャージー州)BarringtonのEdmund Optics)を備え、このフィルタが蛍光等吸収点をpH6〜7の間で572nmで検出することを可能にした。塩基形のSNAFL−1(pH10の曲線を参照のこと)の場合、発光ピークは620nmにおいて認めた。予想通り、620nmの蛍光強度は、pHが低下すると低下した。フリーSNAFL−1カルボン酸(図8を参照のこと)と比較すると、HSA複合体の場合pH6〜7の間で応答の改善が認められた。蛍光種を含む他の競合分子構造を暗示する、等吸収点波長からのpH8および10の曲線のレッドシフトが認められた。この非理想的挙動は、蛍光染料とHSAスペーサとの間に、より長いリンカー構造またはより親水性のリンカー構造を用いることにより排除することができる。
【0148】
実施例6
代表的なフルオロフォアとタンパク質との複合体であるEBIO−3/HSAの調製
方法A。EDC(MO(ミズーリ州)St LouisのSigma/Aldrich Chemical Co.)の0.1Mの原液は、6.2mgのEDCを0.2mLのDMFおよび0.123mLの50mMの燐酸塩緩衝液(pH5.8)に溶解して調製した。1.0mgのEBIO−3酸(WA(ワシントン州)BothelのNanogen)は、0.102mLのDMFに溶解して20mMの溶液を得た。3.0mg(0.045マイクロモル)のHSA(MO(ミズーリ州))のSt Louis、Sigma/Aldrich Chemical Co.)は、2つの1.7mLのEppendorfチューブの各々において、0.3mLのpH8.5の重炭酸ナトリウムに溶解した。0.1MのEDC(0.045mL)は、別々のEppendorfチューブにおいて、20mMのEBIO−3(0.045mL、0.9マイクロモル)に加え、HSAチューブの1つに加え、提示比20:1のEBIO−3:HSAを得た。5:1の提示比は、0.0225mLのEDC(0.1mM)および0.0225mLのEBIO−3(20mM)の予め混合した溶液を加えることにより他のHSAチューブにおいて用いた。均一な暗赤色HSA複合体溶液は、室温で暗所に保管した。21時間後、HSA複合体の各々は、SNAFL複合体の場合(実施例4)について上で説明したG15 Sephadexカラムで浄化した。一部の未反応EBIO−3酸は、カラムのトップに残った(特に提示比20:1の場合)が、約0.5mLのpH7.4緩衝液のピンク色の画分として最初に溶出した所望のタンパク質複合体から明確に分離した。浄化した各複合体は、pH7.4のPBSを用いて0.75mLに希釈し、4mg/mLの溶液(0.06mM)を得た。赤い溶液は、貯蔵し、冷凍し、光から保護した。各EBIO−3/HSA複合体の1マイクロモル濃度の溶液をpH7.4で調製し、Beckman DU640B分光計を用いて紫外−可視スペクトルにより分析した。フリーEBIO−3酸(10マイクロモル濃度)のスペクトルは、534nmに最大吸光度を有し、20:1の複合体は538nmに吸光度を有し、5:1の複合体は545nmに最高値を有した。このスペクトルは、EBIO−3:HSA提示比が上がると吸光度が予想された増加を示した。標準としてこのEBIO−3酸を用いると、20:1の複合体は5.07EBIO−3:HSAを有し、5:1の提示は1.92EBIO−3:HSAを有した。結合効率は、実施例4のSNAFL/HSA複合体の場合より少し低かった(20:1複合体は11.2フルオル/HSAを有し、5:1の提示は4.1フルオル/HSAを有した)。EDC結合法は、適切に有効であり、再現性がよかった。
【0149】
方法B。EDC(MO(ミズーリ州)St LouisのSigma/Aldrich Chemical Co.)の0.1M溶液は、6.0mgのEDCを0.194mLのDMFおよび0.118mLの50mMのPBS(pH7.4)に溶解して調製した。3.0mgのEBIO−3酸(WA(ワシントン州)BothelのNanogen)は、0.306mLのDMFに溶解して20mMの溶液を得た。これら2つの溶液をEBIO−3溶液の容器で合体し、室温で1時間暗所に保存した。イースト(UK(英国)NottinghamのDelta Biotchnology,Ltd.)からの75.0mg(1マイクロモル)の液体組み換えHSA(rHSA)は、15mLの円錐チューブにおいて7.5mLのpH8.5の重炭酸ナトリウムと混合する。EBIO−3/EDC溶液の全部をrHSA溶液と合体し、室温暗所に15〜20時間保存した。rHSA/EBIO−3複合体は、Amicon撹拌限外ろ過セルシステムおよびYM10膜(MA(マサチューセッツ州)RockfordのMillipore)を用いて浄化する。50mMのPBS(pH7.4)を洗浄溶液として用いる。浄化後、この複合体のタンパク質濃度は、BCA(商標)Protein Assay(IL(イリノイ州)BedfordのPierce)を用いて測定する。この複合体のアリコートは、BCAを用いて測定したアリコートのタンパク質濃度に基づいて50mMのPBS(pH7.4)を用いて希釈する。複合体の1mg/mlのアリコート、PBS流出液の最後のミリリッター、50mMのPBS(pH7.4)のアリコート、およびEB3標準(DMF中15mMのEBIO−3溶液および50mMのPBS(pH7.4))のアリコートをBio−Tek’s Synergy HTプレート・リーダーを用いる吸光度のスキャンにより分析する。このスキャンは、黒い96のウエルがある透明で平坦なボトム・プレートにおける上述の各試料の300マイクロリッターについて、450nmから650nmまでスキャンして行う。これらの最大ピークを記録し、この複合体の純度および品質を決める。
【0150】
実施例7
代表的なフルオロフォアとタンパク質との複合体であるEBIO−3/HSAの蛍光特性
実施例6(方法A)において説明したように調製した2つのEBIO−3/HSA複合体の2.5マイクロモル濃度の溶液について、蛍光スペクトルを得た。これらの複合体は、pH6〜7において改善されたpH応答を示した(図12の1.92EBIO−3/HSA複合体の重なり合ったスペクトルを参照のこと)。Ocean Opticsのハロゲン光源は、532nmの干渉フィルタ(NJ(ニュージャージー州)BarringtonのEdmund Optics)を備え、これが蛍光等吸収点をpH6〜7の間で約565nmにて検出することを可能にした。塩基形のSNAFL−1(赤いトレース、pH10)の場合、発光ピークは605nmにおいて認めた。予想通り、605nmの蛍光強度は、pHが低下すると低下した。SNAFL−1/HSA複合体(図11を参照のこと)と比較すると、EBIO−3/HSA複合体の場合pH6〜7の間で応答の改善が認められた。蛍光種を含む他の競合分子構造を暗示する、等吸収点波長からのpH8および10の曲線のレッドシフトを認めたが、SNAFL−1/HSA複合体の場合より度合いが小さかった。
【0151】
実施例8
代表的なフルオロフォアとタンパク質との複合体であるSNAFL−1/HSAの固定
フルオロフォアとタンパク質との複合体およびフルオロフォアと炭水化物との複合体は、次のような一般的方法を用いてニトロセルロースか、または毛細管気孔の膜のいずれかの膜の上に固定した。「固定可能な」リジン残基を有するフルオレセイン標識付デキストランは、Molecular Probesから入手した。これらのデキストラン類は、約10,000の分子量、複合体あたり1.8個のフルオロフォアおよび2.2個のリジンを有し、商品名「Fluoro−Emerald」として販売されている。フルオレセイン標識付ウシ血清アルブミン(BSA)もMolecular Probesから入手し、複合体あたり4.5個のフルオルを有した。種々のSNAFL−1/HSA複合体は、実施例4で説明した通りに調製した。ニトロセルロース膜は、Schleicher and SchnellからPROTRANという商品名で入手した。気候直径は0.2ミクロンとされている。ポリエステルフィルムから作った毛細管気孔膜は、種々の気孔サイズのものをOxyphenから入手した。気孔サイズ0.1ミクロンおよび1.0ミクロンの膜を用いてフルオレセイン・デキストラン類を固定するのに成功した。フルオレセイン/デキストラン、フルオレセイン/BSAおよびSNAFL−1/HSA複合体はすべて固定に成功し、SNAFL−1/HSA複合体の蛍光特性は、次に説明するように十分キャラクタイズできた。
【0152】
一般的な固定方法。直径0.1ミクロンのOxyphn Membrane Disc上のSNAFL−1/HSA(2.5SNAFL−1/HSA)。2.5:1のSNAFL−1:HSA提示比を有する蛍光HSA複合体は、実施例4に説明されている通りに調製し、燐酸塩緩衝生理食塩水(PBS)(pH7.4)で希釈し、0.05、0.2、1.0および4mg/mLの濃度を得た。5マイクロリッターの液滴は、ベンチトップ上に置かれた予め穴を開けた多孔性ディスク(直径1/4インチ)の中心に20マイクロリッターのピペッタにより塗布した。これらのスポットディスクは、空気乾燥し(約30分)、別のデシケータ中に一晩置いた。乾燥したディスクを2×1mLのPBSを用いて別のEppendorfチューブ内で洗浄し、1mLのPBSに一晩浸漬した。洗浄したディスクは、PBS溶液中で安定であった(30日後劣化なし)。一方、これらのディスクはデシケータ内で再乾燥し、乾燥貯蔵することができる。湿りまたは乾燥の貯蔵ディスクは同程度の蛍光特性を有した。これらのディスクは蛍光信号を有し、これらの信号は、実施例9で説明した蛍光試験により測定した各ディスクに塗布された標識付巨大分子の濃度に比例した。
【0153】
実施例9
代表的な固定フルオロフォアとタンパク質との複合体であるSNAFL−1/HSAの蛍光特性
光ファイバ分光計を用いた多孔性膜ディスク上の蛍光巨大分子複合体のマイクロウエル試験。実施例8で説明した通りに調製した蛍光ディスクは、実施例5に説明したOcean Opticsの光ファイバ分光計を用いて蛍光特性について調べた。光源上のキュベットは、光ファイバ反射率プローブにより置換し、該プローブは試料からの発光を受け取り、その発光を分光計に送る単一繊維の周りに包まれた6本の励起繊維を有した。この反射率プローブは、正面にふたのある12×12×18インチのブラックボックス内の穴に通した。このプローブは、該プローブのチップを96のウエルがあるマイクロウエル・プレート(ボトムの透明なブラックプレート)の下に配置することができる1cm平方の開口部の下の内側に固定した。このプローブを30度傾け、プローブチップに入る光を低減した。興味のある蛍光ディスクをウエルのボトムに置き、興味のある300マイクロリッターの分析対象物質でカバーした。反射率プローブのチップ上に興味のあるディスクを配置するのに十分な時間励起光源を点灯し、次いで、シャッタを閉じ、ディスクを周囲の光から遮蔽するためにプレートを別のボックスでカバーした。特に明記しない限り、3000msecの積分時間および3つの平均を用いてデータを集めるためにOcean Opticsのソフトウエアをセットした。閉じたシャッタを用いてダーク・スペクトルを記録し、試験中にすべてのバックグラウンドを差し引いた測定値を用いた。次いで、シャッタを開き、ディスクの蛍光測定を開始した。コンピュータ・スクリーン上のグラフ・ディスプレイにより、各3000msecの積分時間の後にリアルタイムのスペクトルが得られた。必要な3つのスペクトルを得た後(約10秒)、グラフ・ディスプレイはわずかな変化を示しただけであった。この点で、ディスプレイされたスペクトルのスナップショットを記録し、将来の処理のためにディスクに保存した。シャッタを閉じ、次のマイクロウエル実験をセットアップした。マイクロウエル内の分析対象物質溶液を交換することにより、同じディスクを複数回測定に使える。一方、異なるウエル内の異なるディスクは、反射率プローブ上にマイクロウエル・プレートを再配置することにより測定に使える。
【0154】
Oxyphenディスク上に固定したSNAFL−1/HSAの蛍光負荷。上で説明したマイクロウエル試験を用いると、Oxyphenディスク上のSNAFL−1/HSAの相対的蛍光を比較することができる。ハロゲン光源内の励起フィルタは、532nmの波長にセットし、「広く開いた」帯域通過をこの試験の最大感度に配置する。検出器繊維に戻る励起ビームの反射率は、重要であり、フィルタの波長位置は、塩基形のSNAFL−1/HSAからの蛍光が最大である620nmにおいて「最小値」を与えるように調節した。実施例8で説明した種々の濃度のSNAFL−1/HSAは、上で説明したpH7の燐酸カリウム緩衝液(50mM)中で別々のマイクロウエルにおいて調べた。このスペクトルは、pH7において4、1、0.2および0.05mg/mL膜の相対蛍光強度を区別する能力があることを示した。すべての信号がバックグラウンドより大きかった。
【0155】
pH7において多孔性Oxyphen上に固定された種々の量のSNAFL−1/HSA(2.5:1)の相対蛍光強度。フルオロフォアの塩基形の蛍光が最大になる620nmにおいて、蛍光強度を測定した。励起は、SNAFL−1の酸および塩基の両方の形を効果的に励起するハロゲンランプについて広く開いた設定を用いた。源(未修正ディスク)からの反射光は、最低強度のスペクトルを有した。0.05mg/mLディスクのスペクトルは、蛍光強度が少し上昇した。0.2mg/mLディスク、1mg/mLディスク、および4mg/mLディスクは、蛍光強度の段階的上昇を示した。種々の膜バッチからの30日PBSに浸漬した2つの試料(1mg/mL)の蛍光スペクトルは本質的には同じであり、膜負荷はバッチ毎に再現性があり、SNAFL−1/HSA複合体はPBS溶液中でディスク表面からあまり解離しないことを示した。
【0156】
Oxyphenディスク上に固定したSNAFL−1/HSAのpHに依存する蛍光。上で説明した1mg/mLのSNAFL−1/HSAディスクのマイクロウエル試験におけるpHに依存する蛍光について調べた。pH4、5、6、7、8、9、および10の燐酸カリウム緩衝液において、単一ディスクについて調べた。これらのデータは、これらの膜ディスクは、pH測定の広いダイナミック・レンジを有するが、pH>6においてより敏感な応答を有することを示した。緩衝液交換の間の時間は、5分であり、追加平衡時間後のスペクトルには顕著な変化はなかった。これは、固定SNAFL−1/HSA複合体のpH環境における劇的な変化の場合でも応答時間は早いことを示した。
【0157】
SNAFL−1/HSAのOxyphenディスクを用いたpHの蛍光測定の場合の「クロスオーバー試験」。上で説明したマイクロウエル試験は、これらのディスクの蛍光等吸収特性の調査に用いた。この試験では、Ocean Opticsのハロゲン光源(部品番号HL−2000 FHSA)のシャッタ・アセンブリを取り外し、2個の532nm帯域フィルタ(Edmund Scientific)を特殊なアダプタを用いてキャビティに挿入した。これは、興味のあるスペクトル領域(>550nm)における反射バックグラウンドを劇的に低減した。示したデータは、SNAFL:HSA(5:1)複合体を用いて調製した4mg/mL負荷のディスクの場合のものである。固定タンパク質複合体は、溶液相データに比べて異常なpH対蛍光特性の関係を示した。575nmにおける蛍光等吸収点の代わりに、pHが上がると蛍光強度が段階的に上昇した。pH10のスペクトルは、予想した620nmにピークを示し、pH4、6、7および8の緩衝液で得た重なり合ったスペクトル曲線と交差した。これらの「クロスオーバーポイント」は、膜環境のpHを決める感度のよい試験の根拠として用いた。この試験フォーマットを用いて、3日間3種類の膜ディスクについて調べた。クロスオーバーポイントは、2nmの範囲内で再現性があった。
【0158】
4mg/mLのディスク(3.6:1 SNAFL−1:HSA)は、pH10の「クロスオーバー」における段階的な上昇を示した。クロスオーバーは、pH4では579nmにおいて認められた。3個のディスクを3日間調べると、±2nmで同じ結果が得られた。クロスオーバーポイントは、592nm(pH6)、600nm(pH7a,b)、および611nm(pH8)において認められた。pH10における蛍光ピークは、溶液相特性に類似した620nmにおいて認められた。
【0159】
実施例10
代表的なフルオロフォアとタンパク質との複合体であるEBIO−3/HSAの固定
スポット固定法。EBIO−3/HSA複合体は、2:1の比にて実施例6で説明した通りに調製した。ニトロセルロース膜は、Schleicher and SchnellからPROTRANという商品名で入手した。これらのディスクは、EBIO−3/HSAの4mg/mLの溶液を用いて実施例5で説明した一般的な固定方法と同じ方法で処理した。
【0160】
浸漬固定方法。EBIO−3/HSA複合体は、2:1の比にて実施例6で説明した通りに調製した。ニトロセルロースエステルの混合物および酢酸セルロースの膜は、製品シリーズTFとしてMilliporeから入手した。EBIO−3/HSA複合体は0.2mg/mlに希釈し、その45mlを膜の9cmディスクに加える。このディスクを室温で一晩撹拌し、光から保護する。非結合複合体は除去し、このディスクは1時間の洗浄を2回行い、さらに一晩洗浄する。洗浄はすべて撹拌しながら行う。次いで、このディスクをデシケータで乾燥し、乾燥貯蔵した。試験のために、9cmのディスクから小さなディスクを切り取った。
【0161】
実施例11
代表的な固定フルオロフォアとタンパク質との複合体であるEBIO−3/HSAの蛍光特性
光ファイバ分光計を用いた多孔性膜ディスク上の蛍光巨大分子複合体のテレスコーピング・チューブ挿入試験。実施例10で説明した方法で調製した蛍光ディスクは、蛍光特性を液相pHに関係付けるために、二重の532nmフィルタ(Edmund Scientific)およびハロゲン光源(部品番号HL−2000 FHSA)を備えた、実施例9で説明したOcean Opticsの光ファイバ分光計を用いて調べた。5/32インチの膜ディスクのホルダーは、外径4mmおよび5mmのポリスチレン・テレスコーピング・チューブおよび傾斜のついた厚さ0.015インのポリスチレン製の窓を用いて作った。傾斜のついた窓を置いたので、該窓はチューブの軸に関して60度の角度に膜ディスクを保持した。これにより、光ファイバ・プローブをチューブの一端に置き、特定のpHの液体と接触している窓の他のサイドでこのディスクを調べることができる。pH値既知の緩衝液を、テレスコーピング・チューブ挿入物および実施例10のスポット固定方法により作ったディスクと接触させ、1000msecの積分時間と3つの平均値を用いてデータを集めるためにOcean Opticsのソフトウエア・セットを用いて蛍光発光を記録した。
【0162】
未知のpH値を有する液体の場合、5個のテレスコーピング・チューブ挿入物および実施例10の浸漬固定方法により作ったディスク、50mLの緩衝液または血漿、および較正pH電極(ROSS電極/Orion 720aメーター)を収納する撹拌および光保護容器を用いて蛍光ディスクのpHおよび蛍光応答を調べた。調べた液体からある範囲のpHを創り出すために1NのHClまたは1MのNaOHの液滴を加えた。1000msecの積分時間と3つの平均値について判断するためにExcelセットにおけるOcean Opticsのマクロスにより蛍光スペクトルを集めた。モデル化した帯域通過フィルタおよびExcelにおけるレシオメトリックな方法を用いてこれらのスペクトルを分析し、PBS、血小板の少ない血漿および血小板の多い血漿の較正曲線を得た。
【0163】
pH検出器に基づく最適カスタム蛍光を用いて多孔性膜ディスク上の蛍光巨大分子複合体の射出成形したPVCチューブ挿入試験。射出成形したポリカーボネート部品を創り出し、図4に示したように蛍光pH検出器プローブに蛍光ディスクを固定した。膜は、実施例10の浸漬固定方法で説明した方法で作り、プラスチック挿入物内で組立てた。長さ1イン、内径3/16インのPVCチューブは、挿入物のスパイク端部に置いたので、250ulの液体をチューブに入れ、パラフィルムでカバーし、二酸化炭素の脱着を遅延させた。第1および第2の波長の蛍光測定を行い、次いで、pHを血液ガス分析器(Bayer348)により測定した。血漿試料のpHは、pHデータの範囲を創り出すためのテレスコーピング・チューブ挿入試験におけるように酸および塩基の添加により調節した。
【0164】
本発明の好ましい実施態様が例示され、説明されているが、その中で、本発明の意図および範囲から逸脱することなく種々の変更を行うことができることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0165】
本発明の前述の態様および付随する利点は、添付図面と併せて次の詳細な説明を参照することによりよく理解され、容易に評価されるであろう。
【図1A】図1Aは、本発明のpHを測定する代表的システムの略図である。
【図1B】図1Bは、本発明のpHを測定するシステムにおいて有用な光学プラットフォームの略図である。
【図2】図2は、本発明のシステムにおいて有用な励起光および発光のライトガイドの代表的ハウジングの略図である。
【図3】図3は、励起光/発光の光ファイバ・ハウジングと密封容器ポートとの間の関係を示す。
【図4】図4A〜4Cは、基板固定蛍光種を密封容器に導入する代表的ポートアセンブリを示し、図4Aは組み立てたポートを示し、図4Bはポートアセンブリの分解図であり、図4Cはチップの平面図である。
【図5】図5Aおよび5Bは、基板固定蛍光種を組み込んでいる代表的密封容器を示し、図5Aは穴開けおよび再封入のプロセスにより基板が導入された密封容器を示し、図5Bは容器製造の間に基板を組み込んでいる密封容器を示す。
【図6】図6は、密封容器を製造する際に有用な代表的ポートアセンブリである。
【図7】図7A〜Eは、本発明の方法およびシステムにおいて有用な代表的セミナフトフルオレセイン化合物類の構造を示す。
【図8】図8は、本発明の方法およびシステムにおいて有用な代表的蛍光種(SNAFL−1)の発光スペクトルをpHの関数として示す。
【図9】図9は、本発明の方法およびシステムにおいて有用な代表的蛍光種(EBIO−3)の発光スペクトルをpHの関数として示す。
【図10】図10は、本発明の方法およびシステムにおいて有用な代表的フルオロフォア−タンパク質(EBIO−3/HSA)複合体の調製方法の略図である。
【図11】図11は、本発明の方法およびシステムにおいて有用な代表的フルオロフォア−タンパク質複合体(SNAFL−1/HSA)の発光スペクトルをpHの関数として示す。
【図12】図12は、本発明の方法およびシステムにおいて有用な代表的フルオロフォア−タンパク質複合体(EBIO−3/HSA)の発光スペクトルをpHの関数として示す。
【図13】図13は、代表的な基板固定フルオロフォア−タンパク質複合体(SNAFL−1/HSA)の発光スペクトルをpHの関数として示す(Oxyphen)。
【図14】図14は、代表的な基板固定フルオロフォア−タンパク質複合体(SNAFL−1/HSA)の発光スペクトルをpHの関数として示す(ニトロセルロース)。
【図15】図15は、代表的な基板固定フルオロフォア−タンパク質複合体(EBIO−3/HSA)の発光スペクトルをpHの関数として示す(ニトロセルロース)。
【図16】図16は、pHを測定するために本発明の方法で使われたデータを示す。
【図17】図17は、血小板リッチの血漿に関する本発明の方法の結果を示す。
【図18】図18は、本発明の方法およびシステムにより得られた血小板リッチの血漿に関するpHの相関関係を示す。
【図19】図19は、本発明の代表的な基板固定フルオロフォア複合体の安定性を示す。
【図20】図20は、密封容器内の二酸化炭素を測定する本発明の代表的装置を示す。
【図21】図21は、本発明によるpH測定における蛍光強度に対するプローブの位置の効果を示す。
【図22】図22は、本発明によるpH測定における蛍光強度に対する膜の気孔サイズの効果を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料のpHを測定する方法であって、
(a)基板上に固定された蛍光種から物理的に隔離されたプローブから生じる励起光を、前記基板上に固定された前記蛍光種に照射する工程であって、
前記基板上に固定された前記蛍光種が試料と液体連通し、
励起光が前記蛍光種から蛍光発光を生じるのに十分な波長を有し、
前記蛍光種が、第1発光波長で第1発光強度を、第2発光波長で第2発光強度を示し、前記第1および第2の発光強度の比がpHに依存する、工程と、
(b)前記試料の前記pHを求めるために前記第1および第2の発光強度を測定する工程と、
を包含する、方法。
【請求項2】
前記プローブが、前記励起光および前記蛍光発光に対して透明な窓により、前記基板上に固定された前記蛍光種から物理的に隔離される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記プローブが1つ以上の光ファイバを具備する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記蛍光種が、ナフトフルオレセイン化合物およびセミナフトローダミン化合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ナフトフルオレセイン化合物が、セミナフトフルオレセイン化合物およびカルボキシナフトフルオレセイン化合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記蛍光種が、5’(および6’)−カルボキシ−3,10−ジヒドロキシ−スピロ[7H−ベンゾ[c]キサンテン−7,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−3’−オンおよび2−(2−クロロ−3−ヒドロキシ−9−カルボキシエチル−10−オキソ−10H−ベンゾ[c]キサンテン−7−イル)安息香酸からなる群から選択されるセミナフトフルオレセイン化合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
基板上に固定された前記蛍光種が、蛍光種と巨大分子との複合体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記巨大分子がアルブミンである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
基板上に固定された前記蛍光種が、セミナフトフルオレセイン/ヒト血清アルブミン複合体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記試料が血液または血液製品を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記試料が密封容器内に収納されている、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
pHを測定するシステムであって、
(a)第1発光波長において第1発光強度を、そして、第2発光波長において第2発光強度を有する蛍光種を励起する光源と、
(b)前記第1発光強度を測定する第1発光検出器と、
(c)前記第2発光強度を測定する第2発光検出器と、
(d)前記光源から前記蛍光種へ励起光を送る励起光ライトガイドであって、前記光源に近い第1末端部および前記光源から遠い第2末端部を含む、ライトガイドと、
(e)前記蛍光種から前記第1発光検出器へ発光を送る第1発光ライトガイドであって、前記検出器に近い第1末端部および検出器から遠い第2末端部を含む、ライトガイドと、
(f)前記蛍光種から前記第2発光検出器へ発光を送る第2発光ライトガイドであって、前記検出器に近い第1末端部および前記検出器から遠い第2末端部を含む、ライトガイドと、
(g)前記励起光ライトガイド、第1発光ライトガイドおよび第2発光ライトガイドの遠位末端部を格納するプローブと、
(h)前記プローブを受け入れるアセンブリであって、
(i)前記プローブを受け入れるハウジングであって、前記ハウジングは第1端部において前記プローブを受け入れ、前記第2端部において窓で終わるようになっており、前記窓は前記励起光および前記発光に対して透明である、ハウジングと、
(ii)測定すべき試料から液体を受け入れるようになっており、前記ハウジングの第2端部に可逆的に接続可能なチップ部材と、
(iii)前記チップ部材と前記窓との間に介在する基板上に固定された蛍光種であって、前記基板上に固定された前記蛍光種は、測定中、前記試料と液体連通し、前記窓は前記基板上に固定された前記蛍光種から前記プローブ部材を物理的に隔離している、蛍光種と、
を含む、アセンブリと、
を含む、システム。
【請求項13】
前記光源が発光ダイオードである、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1および第2の検出器が、フォトダイオードである、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記励起光ライトガイド、前記第1発光ライトガイド、および第2発光ライトガイドが、光ファイバである、請求項12に記載のシステム。
【請求項16】
前記ハウジングが、前記窓で終わる先細りのチューブを具備する、請求項12に記載のシステム。
【請求項17】
前記蛍光種が、セミナフトフルオレセイン/ヒト血清アルブミン複合体を含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項18】
前記チップ部材が、密封容器に穴を開けるためのスパイクを具備する、請求項12に記載のシステム。
【請求項19】
(a)第1開放端部および第2閉鎖端部を有するハウジングであって、前記閉鎖端部が、可視光に対して透明な窓を具備する、ハウジングと、
(b)前記ハウジングの窓に露出するようになっており、前記ハウジングの閉鎖端部に可逆的に接続可能なチップ部材と、
(c)前記ハウジングの窓とチップ部材との間に介在する基板上に固定された蛍光種と、
を含む、アセンブリ。
【請求項20】
前記ハウジングが先細りになっている、請求項19に記載のアセンブリ。
【請求項21】
前記チップ部材が密封容器に穴を開けるためのスパイクを具備する、請求項19に記載のアセンブリ。
【請求項22】
前記蛍光種がセミナフトフルオレセイン/ヒト血清アルブミン複合体を含む、請求項19に記載のアセンブリ。
【請求項23】
請求項19〜22のいずれか1項に記載のアセンブリを具備する、血液バッグまたは血液製品バッグ。
【請求項24】
アルブミンに共有結合した環境感受性フルオロフォアを含む、複合体。
【請求項25】
前記環境感受性フルオロフォアが、pH感受性フルオロフォア、酸素感受性フルオロフォア、核酸感受性フルオロフォア、イオン感受性フルオロフォア、グルコース感受性フルオロフォア、脂質感受性フルオロフォアおよび酵素感受性フルオロフォアからなる群から選択される、請求項24に記載の複合体。
【請求項26】
前記環境感受性フルオロフォアが、ナフトフルオレセイン化合物およびセミナフトローダミン化合物からなる群から選択される、請求項24に記載の複合体。
【請求項27】
前記環境感受性フルオロフォアが、セミナフトフルオレセイン化合物およびカルボキシナフトフルオレセイン化合物からなる群から選択される、請求項24に記載の複合体。
【請求項28】
前記環境感受性フルオロフォアが、5’(および6’)−カルボキシ−3,10−ジヒドロキシ−スピロ[7H−ベンゾ[c]キサンテン−7,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−3’−オンおよび2−(2−クロロ−3−ヒドロキシ−9−カルボキシエチル−10−オキソ−10H−ベンゾ[c]キサンテン−7−イル)安息香酸からなる群から選択される、請求項24に記載の複合体。
【請求項29】
前記アルブミンが血清アルブミンである、請求項24に記載の複合体。
【請求項30】
前記アルブミンがヒト血清アルブミンである、請求項24に記載の複合体。
【請求項31】
前記アルブミンが組み換えヒト血清アルブミンである、請求項24に記載の複合体。
【請求項32】
前記環境感受性フルオロフォアが、2−(2−クロロ−3−ヒドロキシ−9−カルボキシエチル−10−オキソ−10H−ベンゾ[c]キサンテン−7−イル)安息香酸であり、前記アルブミンがヒト血清アルブミンである、請求項24に記載の複合体。
【請求項33】
ナフトフルオレセイン化合物および膜に付着したアルブミンの複合体を含む、膜固定蛍光種。
【請求項34】
前記膜が微孔膜である、請求項33に記載の膜固定蛍光種。
【請求項35】
前記膜が、ニトロセルロース、ニトロセルロースと酢酸セルロースとの混合エステル類、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、およびポリイミドからなる群から選択される、請求項33に記載の膜固定蛍光種。
【請求項36】
前記ナフトフルオレセイン化合物が、セミナフトフルオレセイン化合物およびカルボキシナフトフルオレセイン化合物からなる群から選択される、請求項33に記載の膜固定蛍光種。
【請求項37】
前記ナフトフルオレセイン化合物が、5’(および6’)−カルボキシ−3,10−ジヒドロキシ−スピロ[7H−ベンゾ[c]キサンテン−7,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−3’−オンおよび2−(2−クロロ−3−ヒドロキシ−9−カルボキシエチル−10−オキソ−10H−ベンゾ[c]キサンテン−7−イル)安息香酸からなる群から選択される、請求項33に記載の膜固定蛍光種。
【請求項38】
前記アルブミンが血清アルブミンである、請求項33に記載の膜固定蛍光種。
【請求項39】
前記アルブミンがヒト血清アルブミンである、請求項33に記載の膜固定蛍光種。
【請求項40】
前記アルブミンが組み換えヒト血清アルブミンである、請求項33に記載の膜固定蛍光種。
【請求項41】
液体試料中の二酸化炭素濃度を測定する方法であって
(a)基板上に固定された蛍光種から物理的に隔離されたプローブから発する励起光を前記基板上に固定された前記蛍光種に照射する工程であって、
前記基板上に固定された前記蛍光種は、液体試料中に存在する二酸化炭素に応じたpHを有する溶液と液体連通し、
二酸化炭素に応じたpHを有する前記溶液は、選択的透過膜を通して前記液体試料と連通し、
前記励起光が前記蛍光種から蛍光発光するのに十分な波長を有し、
前記蛍光種は、第1発光波長において第1発光強度を、第2発光波長において第2発光強度を示し、第1発光強度と第2発光強度との比はpHに依存する、工程と、
(b)pH応答性を有する前記溶液の前記pHを決めるために前記第1および第2の発光強度を測定する工程と、
(c)前記試料中の前記二酸化炭素濃度へのpH応答性を有する前記溶液の前記pHを相関づける工程と、
を包含する、方法。
【請求項42】
前記プローブが、前記励起光および前記蛍光発光に対して透明な窓により前記基板上に固定された前記蛍光種から物理的に隔離されている、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記プローブが1つ以上の光ファイバを具備する、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
前記蛍光種が、セミナフトフルオレセイン/ヒト血清アルブミン複合体を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項45】
前記セミナフトフルオレセインが、5’(および6’)−カルボキシ−3,10−ジヒドロキシ−スピロ[7H−ベンゾ[c]キサンテン−7,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−3’−オンおよび2−(2−クロロ−3−ヒドロキシ−9−カルボキシエチル−10−オキソ−10H−ベンゾ[c]キサンテン−7−イル)安息香酸からなる群から選択される、請求項41に記載の方法。
【請求項46】
前記試料が血液または血液製品を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項47】
前記試料が密封容器内に収納されている、請求項41に記載の方法。
【請求項48】
液体試料中の二酸化炭素濃度を測定するシステムであって、
(a)第1発光波長において第1発光強度を、そして、第2発光波長において第2発光強度を有する蛍光種を励起する光源と、
(b)前記第1発光強度を測定する第1発光検出器と、
(c)前記第2発光強度を測定する第2発光検出器と、
(d)前記光源から前記蛍光種へ励起光を送る励起光ライトガイドであって、前記光源に近い第1末端部および前記光源から遠い第2末端部を含む、ライトガイドと、
(e)前記蛍光種から前記第1発光検出器へ発光を送る第1発光ライトガイドであって、前記検出器に近い第1末端部および検出器から遠い第2末端部を含む、ライトガイドと、
(f)前記蛍光種から前記第2発光検出器へ発光を送る第2発光ライトガイドであって、前記検出器に近い第1末端部および前記検出器から遠い第2末端部を含む、ライトガイドと、
(g)前記励起光ライトガイド、第1発光ライトガイドおよび第2発光ライトガイドの遠位末端部を格納するプローブと、
(h)前記プローブを受け入れるアセンブリであって、
(i)前記プローブを受け入れるハウジングであって、前記ハウジングは第1端部において前記プローブを受け入れ、前記第2端部において窓で終わるようになっており、前記窓は前記励起光および前記発光に対して透明である前記ハウジングと、
(ii)前記ハウジングの第2端部に可逆的に接続可能なチップ部材であって、前記チップ部材が、液体試料中に存在する二酸化炭素に対してpH応答性を有する溶液を受け入れるチェンバを具備し、
二酸化炭素に対してpH応答性を有する前記溶液が選択的透過膜を介して前記液体試料と液体連通する、前記チップ部材と、
(iii)前記チップ部材と前記窓との間に介在する基板上に固定された蛍光種であって、前記基板上に固定された前記蛍光種は、測定中、二酸化炭素に対してpH応答性を有する前記溶液と液体連通し、
前記窓は、前記基板上に固定された前記蛍光種から前記プローブ部材を物理的に隔離している蛍光種と、
を含む、アセンブリと、
を含む、システム。
【請求項49】
前記光源が発光ダイオードである、請求項48に記載のシステム。
【請求項50】
前記第1および第2の検出器がフォトダイオードである、請求項48に記載のシステム。
【請求項51】
前記励起光ライトガイド、前記第1発光ライトガイド、および第2発光ライトガイドが光ファイバである、請求項48に記載のシステム。
【請求項52】
前記ハウジングが前記窓で終わる先細りのチューブを具備する、請求項48に記載のシステム。
【請求項53】
前記選択的透過膜が二酸化炭素を通す、請求項48のシステム。
【請求項54】
前記蛍光種がセミナフトフルオレセイン/ヒト血清アルブミン複合体を含む、請求項48のシステム。
【請求項55】
前記チップ部材が、密封容器に穴を開けるためのスパイクを具備する、請求項48に記載のシステム。
【請求項1】
試料のpHを測定する方法であって、
(a)基板上に固定された蛍光種から物理的に隔離されたプローブから生じる励起光を、前記基板上に固定された前記蛍光種に照射する工程であって、
前記基板上に固定された前記蛍光種が試料と液体連通し、
励起光が前記蛍光種から蛍光発光を生じるのに十分な波長を有し、
前記蛍光種が、第1発光波長で第1発光強度を、第2発光波長で第2発光強度を示し、前記第1および第2の発光強度の比がpHに依存する、工程と、
(b)前記試料の前記pHを求めるために前記第1および第2の発光強度を測定する工程と、
を包含する、方法。
【請求項2】
前記プローブが、前記励起光および前記蛍光発光に対して透明な窓により、前記基板上に固定された前記蛍光種から物理的に隔離される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記プローブが1つ以上の光ファイバを具備する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記蛍光種が、ナフトフルオレセイン化合物およびセミナフトローダミン化合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ナフトフルオレセイン化合物が、セミナフトフルオレセイン化合物およびカルボキシナフトフルオレセイン化合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記蛍光種が、5’(および6’)−カルボキシ−3,10−ジヒドロキシ−スピロ[7H−ベンゾ[c]キサンテン−7,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−3’−オンおよび2−(2−クロロ−3−ヒドロキシ−9−カルボキシエチル−10−オキソ−10H−ベンゾ[c]キサンテン−7−イル)安息香酸からなる群から選択されるセミナフトフルオレセイン化合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
基板上に固定された前記蛍光種が、蛍光種と巨大分子との複合体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記巨大分子がアルブミンである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
基板上に固定された前記蛍光種が、セミナフトフルオレセイン/ヒト血清アルブミン複合体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記試料が血液または血液製品を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記試料が密封容器内に収納されている、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
pHを測定するシステムであって、
(a)第1発光波長において第1発光強度を、そして、第2発光波長において第2発光強度を有する蛍光種を励起する光源と、
(b)前記第1発光強度を測定する第1発光検出器と、
(c)前記第2発光強度を測定する第2発光検出器と、
(d)前記光源から前記蛍光種へ励起光を送る励起光ライトガイドであって、前記光源に近い第1末端部および前記光源から遠い第2末端部を含む、ライトガイドと、
(e)前記蛍光種から前記第1発光検出器へ発光を送る第1発光ライトガイドであって、前記検出器に近い第1末端部および検出器から遠い第2末端部を含む、ライトガイドと、
(f)前記蛍光種から前記第2発光検出器へ発光を送る第2発光ライトガイドであって、前記検出器に近い第1末端部および前記検出器から遠い第2末端部を含む、ライトガイドと、
(g)前記励起光ライトガイド、第1発光ライトガイドおよび第2発光ライトガイドの遠位末端部を格納するプローブと、
(h)前記プローブを受け入れるアセンブリであって、
(i)前記プローブを受け入れるハウジングであって、前記ハウジングは第1端部において前記プローブを受け入れ、前記第2端部において窓で終わるようになっており、前記窓は前記励起光および前記発光に対して透明である、ハウジングと、
(ii)測定すべき試料から液体を受け入れるようになっており、前記ハウジングの第2端部に可逆的に接続可能なチップ部材と、
(iii)前記チップ部材と前記窓との間に介在する基板上に固定された蛍光種であって、前記基板上に固定された前記蛍光種は、測定中、前記試料と液体連通し、前記窓は前記基板上に固定された前記蛍光種から前記プローブ部材を物理的に隔離している、蛍光種と、
を含む、アセンブリと、
を含む、システム。
【請求項13】
前記光源が発光ダイオードである、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1および第2の検出器が、フォトダイオードである、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記励起光ライトガイド、前記第1発光ライトガイド、および第2発光ライトガイドが、光ファイバである、請求項12に記載のシステム。
【請求項16】
前記ハウジングが、前記窓で終わる先細りのチューブを具備する、請求項12に記載のシステム。
【請求項17】
前記蛍光種が、セミナフトフルオレセイン/ヒト血清アルブミン複合体を含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項18】
前記チップ部材が、密封容器に穴を開けるためのスパイクを具備する、請求項12に記載のシステム。
【請求項19】
(a)第1開放端部および第2閉鎖端部を有するハウジングであって、前記閉鎖端部が、可視光に対して透明な窓を具備する、ハウジングと、
(b)前記ハウジングの窓に露出するようになっており、前記ハウジングの閉鎖端部に可逆的に接続可能なチップ部材と、
(c)前記ハウジングの窓とチップ部材との間に介在する基板上に固定された蛍光種と、
を含む、アセンブリ。
【請求項20】
前記ハウジングが先細りになっている、請求項19に記載のアセンブリ。
【請求項21】
前記チップ部材が密封容器に穴を開けるためのスパイクを具備する、請求項19に記載のアセンブリ。
【請求項22】
前記蛍光種がセミナフトフルオレセイン/ヒト血清アルブミン複合体を含む、請求項19に記載のアセンブリ。
【請求項23】
請求項19〜22のいずれか1項に記載のアセンブリを具備する、血液バッグまたは血液製品バッグ。
【請求項24】
アルブミンに共有結合した環境感受性フルオロフォアを含む、複合体。
【請求項25】
前記環境感受性フルオロフォアが、pH感受性フルオロフォア、酸素感受性フルオロフォア、核酸感受性フルオロフォア、イオン感受性フルオロフォア、グルコース感受性フルオロフォア、脂質感受性フルオロフォアおよび酵素感受性フルオロフォアからなる群から選択される、請求項24に記載の複合体。
【請求項26】
前記環境感受性フルオロフォアが、ナフトフルオレセイン化合物およびセミナフトローダミン化合物からなる群から選択される、請求項24に記載の複合体。
【請求項27】
前記環境感受性フルオロフォアが、セミナフトフルオレセイン化合物およびカルボキシナフトフルオレセイン化合物からなる群から選択される、請求項24に記載の複合体。
【請求項28】
前記環境感受性フルオロフォアが、5’(および6’)−カルボキシ−3,10−ジヒドロキシ−スピロ[7H−ベンゾ[c]キサンテン−7,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−3’−オンおよび2−(2−クロロ−3−ヒドロキシ−9−カルボキシエチル−10−オキソ−10H−ベンゾ[c]キサンテン−7−イル)安息香酸からなる群から選択される、請求項24に記載の複合体。
【請求項29】
前記アルブミンが血清アルブミンである、請求項24に記載の複合体。
【請求項30】
前記アルブミンがヒト血清アルブミンである、請求項24に記載の複合体。
【請求項31】
前記アルブミンが組み換えヒト血清アルブミンである、請求項24に記載の複合体。
【請求項32】
前記環境感受性フルオロフォアが、2−(2−クロロ−3−ヒドロキシ−9−カルボキシエチル−10−オキソ−10H−ベンゾ[c]キサンテン−7−イル)安息香酸であり、前記アルブミンがヒト血清アルブミンである、請求項24に記載の複合体。
【請求項33】
ナフトフルオレセイン化合物および膜に付着したアルブミンの複合体を含む、膜固定蛍光種。
【請求項34】
前記膜が微孔膜である、請求項33に記載の膜固定蛍光種。
【請求項35】
前記膜が、ニトロセルロース、ニトロセルロースと酢酸セルロースとの混合エステル類、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、およびポリイミドからなる群から選択される、請求項33に記載の膜固定蛍光種。
【請求項36】
前記ナフトフルオレセイン化合物が、セミナフトフルオレセイン化合物およびカルボキシナフトフルオレセイン化合物からなる群から選択される、請求項33に記載の膜固定蛍光種。
【請求項37】
前記ナフトフルオレセイン化合物が、5’(および6’)−カルボキシ−3,10−ジヒドロキシ−スピロ[7H−ベンゾ[c]キサンテン−7,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−3’−オンおよび2−(2−クロロ−3−ヒドロキシ−9−カルボキシエチル−10−オキソ−10H−ベンゾ[c]キサンテン−7−イル)安息香酸からなる群から選択される、請求項33に記載の膜固定蛍光種。
【請求項38】
前記アルブミンが血清アルブミンである、請求項33に記載の膜固定蛍光種。
【請求項39】
前記アルブミンがヒト血清アルブミンである、請求項33に記載の膜固定蛍光種。
【請求項40】
前記アルブミンが組み換えヒト血清アルブミンである、請求項33に記載の膜固定蛍光種。
【請求項41】
液体試料中の二酸化炭素濃度を測定する方法であって
(a)基板上に固定された蛍光種から物理的に隔離されたプローブから発する励起光を前記基板上に固定された前記蛍光種に照射する工程であって、
前記基板上に固定された前記蛍光種は、液体試料中に存在する二酸化炭素に応じたpHを有する溶液と液体連通し、
二酸化炭素に応じたpHを有する前記溶液は、選択的透過膜を通して前記液体試料と連通し、
前記励起光が前記蛍光種から蛍光発光するのに十分な波長を有し、
前記蛍光種は、第1発光波長において第1発光強度を、第2発光波長において第2発光強度を示し、第1発光強度と第2発光強度との比はpHに依存する、工程と、
(b)pH応答性を有する前記溶液の前記pHを決めるために前記第1および第2の発光強度を測定する工程と、
(c)前記試料中の前記二酸化炭素濃度へのpH応答性を有する前記溶液の前記pHを相関づける工程と、
を包含する、方法。
【請求項42】
前記プローブが、前記励起光および前記蛍光発光に対して透明な窓により前記基板上に固定された前記蛍光種から物理的に隔離されている、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記プローブが1つ以上の光ファイバを具備する、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
前記蛍光種が、セミナフトフルオレセイン/ヒト血清アルブミン複合体を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項45】
前記セミナフトフルオレセインが、5’(および6’)−カルボキシ−3,10−ジヒドロキシ−スピロ[7H−ベンゾ[c]キサンテン−7,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−3’−オンおよび2−(2−クロロ−3−ヒドロキシ−9−カルボキシエチル−10−オキソ−10H−ベンゾ[c]キサンテン−7−イル)安息香酸からなる群から選択される、請求項41に記載の方法。
【請求項46】
前記試料が血液または血液製品を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項47】
前記試料が密封容器内に収納されている、請求項41に記載の方法。
【請求項48】
液体試料中の二酸化炭素濃度を測定するシステムであって、
(a)第1発光波長において第1発光強度を、そして、第2発光波長において第2発光強度を有する蛍光種を励起する光源と、
(b)前記第1発光強度を測定する第1発光検出器と、
(c)前記第2発光強度を測定する第2発光検出器と、
(d)前記光源から前記蛍光種へ励起光を送る励起光ライトガイドであって、前記光源に近い第1末端部および前記光源から遠い第2末端部を含む、ライトガイドと、
(e)前記蛍光種から前記第1発光検出器へ発光を送る第1発光ライトガイドであって、前記検出器に近い第1末端部および検出器から遠い第2末端部を含む、ライトガイドと、
(f)前記蛍光種から前記第2発光検出器へ発光を送る第2発光ライトガイドであって、前記検出器に近い第1末端部および前記検出器から遠い第2末端部を含む、ライトガイドと、
(g)前記励起光ライトガイド、第1発光ライトガイドおよび第2発光ライトガイドの遠位末端部を格納するプローブと、
(h)前記プローブを受け入れるアセンブリであって、
(i)前記プローブを受け入れるハウジングであって、前記ハウジングは第1端部において前記プローブを受け入れ、前記第2端部において窓で終わるようになっており、前記窓は前記励起光および前記発光に対して透明である前記ハウジングと、
(ii)前記ハウジングの第2端部に可逆的に接続可能なチップ部材であって、前記チップ部材が、液体試料中に存在する二酸化炭素に対してpH応答性を有する溶液を受け入れるチェンバを具備し、
二酸化炭素に対してpH応答性を有する前記溶液が選択的透過膜を介して前記液体試料と液体連通する、前記チップ部材と、
(iii)前記チップ部材と前記窓との間に介在する基板上に固定された蛍光種であって、前記基板上に固定された前記蛍光種は、測定中、二酸化炭素に対してpH応答性を有する前記溶液と液体連通し、
前記窓は、前記基板上に固定された前記蛍光種から前記プローブ部材を物理的に隔離している蛍光種と、
を含む、アセンブリと、
を含む、システム。
【請求項49】
前記光源が発光ダイオードである、請求項48に記載のシステム。
【請求項50】
前記第1および第2の検出器がフォトダイオードである、請求項48に記載のシステム。
【請求項51】
前記励起光ライトガイド、前記第1発光ライトガイド、および第2発光ライトガイドが光ファイバである、請求項48に記載のシステム。
【請求項52】
前記ハウジングが前記窓で終わる先細りのチューブを具備する、請求項48に記載のシステム。
【請求項53】
前記選択的透過膜が二酸化炭素を通す、請求項48のシステム。
【請求項54】
前記蛍光種がセミナフトフルオレセイン/ヒト血清アルブミン複合体を含む、請求項48のシステム。
【請求項55】
前記チップ部材が、密封容器に穴を開けるためのスパイクを具備する、請求項48に記載のシステム。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公表番号】特表2008−510965(P2008−510965A)
【公表日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−528042(P2007−528042)
【出願日】平成17年8月19日(2005.8.19)
【国際出願番号】PCT/US2005/029559
【国際公開番号】WO2006/023725
【国際公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(507049681)ブラッド セル ストレージ, インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月19日(2005.8.19)
【国際出願番号】PCT/US2005/029559
【国際公開番号】WO2006/023725
【国際公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(507049681)ブラッド セル ストレージ, インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】
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