説明

蠕動カセットのチューブ固定装置

本発明は、円弧を形成するチューブハウジングを有する蠕動カセットケースに関し、ハウジングに配置されたチューブの長手方向の動きを防ぐ、ハウジングに沿って配置されたチューブ固定手段を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、医療用蠕動システムに関する。
【0002】
本発明は、より詳細には、蠕動カセットに関する。
【背景技術】
【0003】
蠕動カセットシステムは、ローラーと、長いチューブを収容するよう設計されたハウジングを含むケースを有する。
【0004】
蠕動カセットの作動は、2つのローラー間の流体の体積を密閉するチューブ上のローラーによる、十分な圧縮力を必要とする。この力は、駆動シャフト周りのローラーの回転と組み合わされて、ケース内側のハウジングに沿うチューブに長手方向のずれを生じる。
【0005】
このずれは、ローラーとチューブ間、および、チューブとケース間の摩擦係数に大きく依存するので、制御するのが難しい。
【0006】
このカセットケース内のチューブの長手方向のずれは、チューブ上流、及び、カセットの作動中の部品の伸長を引き起こし、蠕動カセットの作動に以下のような結果をもたらす。
【0007】
・ローラーの圧力減により早期に漏れが生じる(チューブの壁の厚さ減少による)
【0008】
・流量の低下(入口チャンバーの幅の減少とローラーによる早期閉鎖の結果生じた入口チャンバーの体積の減少による)
【0009】
駆動トルクの増大、チューブの早期磨耗、ノイズ、及び、持続性などのカセットの作動において、望ましくない影響も生じる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上述の問題を大幅に減少、または除去するものである。
【0011】
本発明は、ハウジング内に配置されたチューブの長手方向の動きを防ぐための、チューブハウジングにそったチューブ固定手段を有するケースに特徴がある。チューブ固定手段は、2000hPa(2bar)より大きな圧力に耐え得ることも特徴的である。そのような圧力に耐え得ることにより、留め金具などの蠕動カセットの部品にチューブが及ぼす引張力を相当制限できる。
【0012】
蠕動チューブを固定する他の手段も考えられる。用いられることができる、非制限的な例は、接着、射出成形されたプロファイルドチューブの使用、溶接、加硫、または、材料の融合(例えば、超音波による)である。
【0013】
接着と、プロファイルドチューブの使用については後述の図面により詳細に解説されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1より明らかなように、カセットケースは、チューブがケースに接着される5つの位置を形成する経路周囲に、5つのセルを有する。接着剤導入用の対応する5つの開口部がある。
【0015】
接着は、ローラーと駆動シャフトがチューブを定位置に維持されながらケースが閉じられ、ケースに対してしっかりと保持される、という2段階で実施される(図2参照のこと)。
【0016】
この接着は、カセットのケースの2つの部分をしっかり閉じる効果を合わせ持つ。
【0017】
カセットケースにチューブを固定するもうひとつの方法は、切断によるものでも、そうでなくともいいが、チューブ側面に縦長の断面を有し、カセットのケースの2つの部分の間でしっかりと把持されるようにすることである(図3参照のこと)。
【0018】
本発明は、接着チューブを使用したカセットにて試験をしている。初期の予備試験においては、グラフ1〜4の流量と圧力カーブにおいて示されるように性能が著しく改善された。
【0019】
本発明は、上述のチューブ固定手段に限定するものでなく、望む効果をもたらす、いかなる固定手段をも含むものであることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】接着前の開いた状態のカセットケースを示す図である。
【0021】
【図2】種々の接着位置の図である。
【0022】
【図3】プロファイルドチューブを示す図である。
【0023】
【図4】作動時における従来型カセットの流量精度を示す図である。
【0024】
【図5】作動時における従来型カセットの精度を示す図である。
【0025】
【図6】接着チューブを用いたカセットの作動時における流量精度を示す図である。
【0026】
【図7】接着チューブを用いたカセットの作動時における圧力を示す図である。
【図1a】

【図1b】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
円弧を形成するチューブハウジングを有する蠕動カセットケースにおいて、
前記ケースは、前記ハウジングに配置されたチューブの長手方向の動きを防ぐ、前記ハウジングに沿ったチューブ固定手段を有することを特徴とし、
前記チューブ固定手段は、2000hPa(2bar)より大きな圧力にも耐えることが可能な、蠕動カセットケース。
【請求項2】
それぞれの前記固定手段が、多量の接着剤を保持することができる空洞部を有することを特徴とする、請求項1に記載のケース。
【請求項3】
前記空洞部は、凹部を形成することを特徴とする、請求項2に記載のケース。
【請求項4】
前記空洞部は、前記ハウジングの内側と外側を接続する通路を形成することを特徴とする、請求項2に記載のケース。
【請求項5】
前記ケースは2つの部分を有し、前記ケースの2つの部分の接触領域の1部分が少なくとも前記ハウジングの周りに在り、前記固定手段は、前記ケースの2つの部分間の前記チューブの一部をはさんで締め付けて形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のケース。
【請求項6】
前記ケースの2つの部分により、はさんで締め付けられるよう設計された縦長の突起を有する、請求項5に記載のケース用チューブ。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−513684(P2008−513684A)
【公表日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−533039(P2007−533039)
【出願日】平成17年9月20日(2005.9.20)
【国際出願番号】PCT/IB2005/053093
【国際公開番号】WO2006/033076
【国際公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(504288421)デビオテック ソシエテ アノニム (10)
【Fターム(参考)】