説明

血小板に富んだ血漿の濃縮装置および濃縮方法

【課題】筺体、PRP分離アセンブリー、およびPRP濃縮アセンブリーを備えるPRP分離濃縮装置を提供する。
【解決手段】濃縮アセンブリーは、濃縮槽を備えている。上記筺体2には、排出チューブが固定されている。分離アセンブリーは、排出チューブの周りを回転することができる一体化した分離濃縮装置複合体11を形成する。分離アセンブリーは分離チェンバーを備え、当該分離チェンバーは、孔および通路を有するデプス型フィルターに裏打ちされている。そして、孔および通路は、遠心分離の間に赤血球を受け止めて捕捉できるように大きさが規定されている。濃縮チェンバーは、乾燥ビーズを支持するための床と、網目によって閉じられた少なくとも1つの開口を有する壁とを有している。PRP濃縮物は、固定された熊手によってビーズが攪拌される間にPRPと乾燥ビーズとを接触させ、遠心速度にて濃縮チェンバーを回転させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔35USC120の下での、より早い出願日の利益〕
本出願は、2005年2月7日に出願された仮出願No.60/651,050、2005年2月17日に出願された仮出願No.60/654,718、および2005年10月4日に出願された仮出願No.60/723,312の出願日に関して、35USC120の下での利益を主張する。
【0002】
〔発明の分野〕
本発明は、組織封止剤(tissue sealant)および組織接着剤(tissue adhesive)として使用できる、改良された創傷治癒特性を有する血小板−血漿濃縮物を作製するための装置および方法に関するものである。上記濃縮物には、十分に活性な(変性していない)フィブリノーゲンが濃縮されており、当該フィブリノーゲンの濃度は、血液中および血小板中のフィブリノーゲン濃度よりも数倍高いとともに、血液中の血小板の濃度よりも高い。
【背景技術】
【0003】
〔発明の背景〕
血液は分画(fractionated)され得、血液の異なる画分(fraction)は、異なる医学上の目的に利用され得る。引力または遠心力が作用している状況下では、血液は、3つの層に自然に分離する。平衡状態では、最上部の低密度層は淡黄色の透明な液体であって、当該液体は、血漿(plasma)と呼ばれる。血漿は、塩、代謝産物、ペプチド、および低分子(インスリン)から巨大分子(補体成分)に至るまで多岐にわたる多くのタンパク質の水溶液である。
【0004】
底部の高密度層は、深紅色(deep red)の粘性液体であって、酸素運搬を専門に行う無核の赤血球(erythrocytes)を含む。赤い色は、高濃度のキレートイオンまたはヘム(heme)に由来し、当該ヘムは、赤血球特有の高い比重の原因となっている。赤血球から構成されている全血における相対容積は、ヘマトクリット(hematocrit)と呼ばれ、正常な人では、全血の略37%〜略52%である。
【0005】
中間層は最も小さく、上記赤血球層の上であってかつ上記血漿層の下に、薄い白色のバンドとして観察される。上記中間層は、軟膜(buffy coat)と呼ばれる。上記軟膜は、有核の白血球(white blood cells)および血小板(thrombocytes)と呼ばれる無核のより小さな物質の、2つの主要成分を有している。白血球は、免疫性を付与するとともに、残骸除去(debris scavenging)に貢献している。血小板は、血管の裂け目を塞いで出血を止めるとともに、傷の場所に増殖因子および創傷治癒因子(wound healing factors)を運ぶ。より低速の遠心分離、または、より短い時間の遠心分離は、血漿から赤血球および白血球を分離させることができる。ところが一方、より小さな血小板は血漿中に浮遊したままで残り、血小板に富んだ血漿(platelet rich plasma:PRP)となる。
【0006】
米国特許出願番号5,585,007には、創傷治癒に用いたり、組織封止剤として用いたりするために、全血(whole blood)から血漿濃縮物を作製する方法が記載されている。上記特許文献の全体が、本明細書内に参考として援用される。この装置は、医学的な研究室内または手術室(surgical amphitheatre)内に配置されることを考慮して設計されており、組織封止剤を調製するための使い捨てのカートリッジを利用する。上記装置は、特に、自系(autologous)の組織封止剤を直ちに調製するために用いられていた。手術室内で50mLの患者の血液から5mLの封止剤を調製しようとすれば、15分未満の時間と、たった1つの簡単な操作工程とを必要とする。調製は外科手術中に手術室内にて行われ得たので、追従誤差(tracking error)の危険はなかった。添加される薬品は、抗凝固剤(例えば、クエン酸塩)および塩化カルシウムに限定された。上記使い捨てのカートリッジは、手のひら中に適合され得た。そして、上記使い捨てのカートリッジには密閉するように封が施されて、患者の血液に曝される可能性を排除するとともに、無菌性を確実なものにした。上記生産物の接着強度および伸張強度(tensile strengths)は、沈殿法(precipitation methods)によって作製されたプールされた血液フィブリン封止剤(pooled blood fibrin sealants)に匹敵するか、あるいはそれよりも優れていた。上記組織封止剤は、患者の血液由来の、繊維素溶解(fibrinolysis)に対する天然の阻害物質の濃度が高かったので、抗繊維素溶解試薬(例えば、アプロチニン)を使用する必要はなかった。
【0007】
この装置は、運転ごとに、分離チェンバーと一体となった新しい無菌の使い捨てカートリッジを用いていた。上記装置は、通常の医療環境下において十分な電力とともに使用されるように設計されていたので、常設の構成部品は、長期にわたる耐久性、安全性および信頼性を考慮して設計されていたとともに、従来の遠心分離モーターおよび付属品を用いていたので比較的重かった。
【0008】
血液から血小板の濃縮物を得るための、小さな内蔵型の遠心分離装置は、2003年3月21日に出願された同時係属(copending)の出願番号10/394,828に記載されており、出願番号10/394,828の全内容は、本明細書内に参考として援用される。この装置は、血液を、赤血球層、血漿層および血小板層に分離し、上記血小板層を血小板濃縮物として選択的に取り除く。なお、上記血小板濃縮物は、最小限の血漿中に溶解した血小板である。上記血漿画分(fraction)は濃縮されていない形態であって、当該血漿画分は、止血剤または組織接着剤としての効果を有さない。
【0009】
血小板に富んだ血漿は濃縮された血小板産物であって、当該血小板に富んだ血漿は、商業上入手可能なシステムによって血小板の濃縮度合いを変えることによって、全血から製造され得る。血小板は、通常の創傷治癒におけるシグナル伝達系において、重要な役割を果たす。活性化された血小板は、その内部に含まれるα顆粒を放出し、その結果、強力な増殖因子(例えば、血小板由来増殖因子(PDGF)、トランスフォーミング増殖因子β(TGF−β)、血管内皮増殖因子(VEGF)および上皮細胞増殖因子(EGF))が堆積(deposition)する。PRPは多くの様々な臨床応用に用いられており、医療処置の多様性にとって、上記生産物が有効性および重要性を有することが示されている。例えば、深刻な側方上顆炎(lateral epicondylitis)またはテニス肘の患者に経皮的にPRPを投与すれば、肘の機能が改善するとともに、痛みが減少する。血小板の濃縮物が腰椎融合(lumbar spinal fusion)の間に用いられた場合には、骨融合(bony fusion)の早い成熟が観察された。PRPによって処置した慢性の足の糖尿病性壊疽は、標準的な処置を受けた対照グループと比較して、回復の度合いが増加していた。Bhanot等の研究は、血腫(hematoma)および血清腫(seroma)の形成の減少、手術後の腫れの減少、およびPRP処置を含む美容整形手術における回復時間の改善を示した。さらに、口腔外科手術の間にPRPを用いれば、移植物(implants)周辺での骨の再生が改善される。
【0010】
PRPは、患者に対して多数の臨床上の効果を示してきた。血小板を異なるレベルに濃縮する多くの装置が売り出されている。現時点では、各手術に適用する場合に、最も効果がある血小板の量は不明である。少なくとも、1000×10個/μLの血小板濃度が推奨される。同時係属の出願番号10/394,828中に記載されているシステムは、ベースライン濃度(baseline concentration)の最大8倍の濃度の血小板を調製することが可能である。なお、通常のヒト血小板の濃度範囲は、200×10個/μL〜400×10個/μLである。このことは、1600×10個/μL〜3200×10個/μLである血小板濃度範囲に、非常に効果的に濃縮することを意味している。
【0011】
しかしながら、先行発明における上記PRP産物は、非常に高い血小板濃度を実現するが、その一方で、多くの手術に必要とされる組織封止特性および止血特性を有していなかった。血小板非含有性の血漿濃縮物は、優れた封止剤であるとともに止血剤でもあるが、血小板の治療特性を有していなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
〔発明の要旨〕
それ故に、本発明の目的は、新規のPRP濃縮物を調製するための装置および方法を提供することにある。なお、当該新規のPRP濃縮物では、濃縮された血漿中において血小板濃度が増加されており、当該濃縮された血漿中では、フィブリノーゲンは大して変性していない。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の装置はPRP分離濃縮装置であって、筺体、PRP分離アセンブリー、およびPRP濃縮アセンブリーを備えている。上記筺体には、軸方向に同心円状である形状を有する静止した排出チューブが固定されているとともに、当該排出チューブは、上記PRP分離アセンブリーを通って上記PRP濃縮槽にまで伸びている。上記PRP分離アセンブリーは、上記PRP濃縮アセンブリーに取り付けられるとともに上記PRP濃縮アセンブリーの上側に配置されて、上記排出チューブの周りを回転することができる一体化した分離濃縮装置複合体を形成する。
【0014】
上記PRP分離アセンブリーは分離チェンバーを備え、当該分離チェンバーは、内壁面を有する外壁と、当該外壁に固定されている傾斜した床とを有している。上記内壁面は、孔および通路を有するデプス型フィルター(depth filter)に裏打ちされ、上記孔および通路は、遠心分離の間に赤血球を受け止めて捕捉できるように大きさが規定されている。上記PRP分離アセンブリーは、血液注入口を有している。
【0015】
上記分離チェンバーは、上端プレートと、上記分離チェンバーの外壁および床に取り付けられた、平衡を保つように配置された分離プレートとを有し得る。上記分離プレートは、中心軸と平行な平面中に配置されている。上記分離プレートは、上記外壁から、上記デプス型フィルターの表面を越えて内側に向かって放射状に伸びるとともに、上記床から、上記上端プレートとは離れた位置にまで伸びる。前記分離チェンバーは、前記中心軸に対して実質的に振動せずに回転するために平衡がとられている。
【0016】
上記PRP濃縮装置は、乾燥ビーズを支持するための床と、網目によって閉じられる少なくとも1つの開口を有する壁と、を有する濃縮チェンバーを含み得る。上記網目は、上記濃縮チェンバー中に乾燥ビーズを保持し得るように大きさが規定された開口を有している。上記濃縮チェンバーは、傾斜した床が固定されている外壁によって囲まれ得、上記傾斜した床には、当該床の中央にPRP濃縮槽が設けられている。上記濃縮装置には、垂直網目支持体が配置され得る。上記垂直網目支持体は、内表面と外表面とを有し、上記円筒形状の網目は、上記垂直網目支持体の外表面上に支持される。
【0017】
上記固定されているチューブには、ビーズ用の静止した熊手が固定され得、上記熊手は、上記固定されているチューブから外側に向かって伸びる。上記熊手は、上記垂直網目支持体から距離をおいて配置される遠位末端を有している。
【0018】
上記熊手は、縦の主要部を備え、上記縦の主要部の中央は、上記固定された排出チューブに固定されている。上記縦の主要部は、任意で、上記固定されたチューブに隣接する、弱い折れ曲がり点を有し、上記縦の主要部は、高速遠心分離の間に、膨らんだビーズと接触することに由来する過剰な負荷に晒されたときに、前記折れ曲がり点のために折れ曲がる。
【0019】
上記濃縮アセンブリーは、当該濃縮アセンブリーの底に固定された、軸方向に同心円状である形状を有する濃縮ドライブ連結部を備え、上記PRP分離濃縮装置は、上記濃縮ドライブ連結部と噛み合うモーター連結部を有するモーターアセンブリーを含み得る。上記モーターアセンブリーは、加速工程、素早い遠心分離による赤血球分離工程、減速工程、遅くかき回す濃縮工程、加速工程、および素早い遠心分離によるPRP濃縮物分離工程の間の、前記ドライブ連結部の回転のタイミングを調節するためのモーター制御システムを含み得る。
【0020】
本発明のPRP分離濃縮装置は、バルブアセンブリー、および上記濃縮チェンバーと分離チェンバーとを接続する中央通路を含み得、上記中央通路の上表面は、バルブ面を含むバルブシートを含む。上記バルブ面は、閉位置にあるときには上記バルブシートと一体化して密閉栓を形成し、開位置にあるときには上記密閉栓を解放するために離れている。
【0021】
上記バルブアセンブリーは、1対の向かい合った、通常は垂直に立っているバルブ操作アームを含み得、当該操作アームの各々は、加重された末端を有する柔軟性のない主要部と、柔軟性のある隣接末端とを有する。上記柔軟性のある隣接末端の各々は、上記分離濃縮装置が自身の中央軸に対して高速回転する間に、遠心力によって上記操作アームが外側に回転するときに、上記バルブ面を前記開位置に移動させるために、上記バルブ面を軸方向に持ち上げるように、上記バルブ面に固定されている。上記柔軟性のある隣接末端は、上記分離アセンブリーの床から上に向かって伸びる、対向するプレートの間に配置され得、上記プレートの各々は、プレート横端を有し、上記プレート横端は、上記操作アームと接触するように配置され、上記配置によって、上記アームが垂直な位置にあるときには、上記隣接末端が中央軸の周りを回転することが防止され、上記柔軟性のある隣接末端が前記プレート横端の上に持ち上げられて上記バルブが開放されたときには、上記操作アームが自由に回転できる。上記プレートは、軸回転後の上記操作アームを支持するために配置されている上端を有し、上記上端によって、遠心回転が終了したときに上記操作アームが垂直位置に戻ることを防ぐとともに、前記バルブアセンブリーが閉じることを防ぐ。
【0022】
本発明のPRP濃縮物の調製方法は、デプス型フィルター中に患者の血液中の赤血球を捕捉することによって患者の血液からPRPを調製する工程と、上記PRP中の水を吸収ビーズに吸収することによってPRP濃縮物を調製する工程と、を含む。上記方法は、上記デプス型フィルターによって裏打ちされる平衡が保たれた円筒状の分離チェンバー内において、遠心分離の速度にて血液を回転させることによって、上記赤血球が捕捉される工程を含み、上記分離チェンバーおよびデプス型フィルターは、放射状に伸びるプレートによって分離領域に区分され、上記プレートは、上記分離チェンバーが回転している間、上記分離領域内の血液の分布が実質的に平衡となるように保ち、上記プレートによって、振動を減少させるとともに、デプス型フィルターからの赤血球の移動を減少させる。
【0023】
この方法では、上記分離チェンバーの回転速度は、上記分離領域内の血液の分布が平衡となる割合で加速され、上記遠心分離が終了した後、上記分離チェンバーの回転速度は、上記分離領域内のPRPの分布が平衡となる割合で減速され、前記割合にて加速および減速することによって、振動を減少させるとともに、前記デプス型フィルターからの赤血球の移動を減少させる。上記ビーズが固定された熊手によって撹拌されている間に、PRP濃縮物を製造するために、回転している濃縮チェンバー内において前記PRPと乾燥ビーズとを接触させ得る。上記PRP濃縮物は、上記濃縮チェンバーを遠心分離の速度にて回転させて、上記ビーズからPRP濃縮物を分離することによって回収され得る。
【0024】
上記PRP濃縮物の調製方法は、デプス型フィルター中に患者の血液中の赤血球を捕捉することによって患者の血液からPRPを調製する工程と、上記PRP中の水を吸収ビーズに吸収することによってPRP濃縮物を調製する工程と、を含み得る。上記ビーズが固定された熊手によって撹拌されている間に、回転している濃縮チェンバー内において、上記PRPと乾燥ビーズとを接触させることによってPRP濃縮物が製造され得る。前記PRP濃縮物は、前記濃縮チェンバーを遠心分離の速度にて回転させて、前記ビーズからPRP濃縮物を分離することによって回収され得る。
【発明の効果】
【0025】
新規のPRP濃縮物を調製するための装置および方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】濃縮サブアセンブリーの半分中にのみ乾燥ビーズが存在している、使い捨ての分離アセンブリーおよび濃縮アセンブリー、並びに常設の駆動アセンブリーを示す断面図である。
【図2】本発明の分離濃縮アセンブリーにおける外側筺体を示す正面図である。
【図3】図2の外側筺体の斜視図であって、モーターアセンブリー接続部の詳細を示す斜視図である。
【図4】図1の分離濃縮サブアセンブリーを示す断面図である。
【図5】図4の分離濃縮サブアセンブリーの外側キャップサブアセンブリーを示す平面図である。
【図6】図5の外側キャップサブアセンブリーの断面図であって、線6−6に沿った断面図である。
【図7】図5の外側キャップサブアセンブリーの組立分解等角図である。
【図8】図4の分離濃縮アセンブリーの上端バケットキャップサブアセンブリーを示す平面図である。
【図9】図8の上端バケットキャップサブアセンブリーを示す断面図であって、線9−9に沿った断面図である。
【図10】試料注入口サブアセンブリーを示す分解組立図である。
【図11】図4の分離濃縮アセンブリーの上端バケットサブアセンブリーを示す平面図である。
【図12】図11の上端バケットサブアセンブリーを示す断面図であって、線12−12に沿った断面図である。
【図13】図4の分離濃縮アセンブリーのバルブアセンブリーを示す正面図である。
【図14】図13のバルブアセンブリーを示す組立分解等角図である。
【図15】図4の底部バケットサブアセンブリーを示す断面図であって、中央軸に沿った断面図である。
【図16】図15のモーター駆動接続部を示す拡大断面図である。
【図17】図4の分離濃縮アセンブリーのバスケットサブアセンブリーを示す正面図である。
【図18】図16のバスケットサブアセンブリーを示す断面図であって、線18−18に沿った断面図である。
【図19】図4の分離濃縮アセンブリーの混合アセンブリーを示す平面図である。
【図20】図19の混合アセンブリーを示す断面図であって、線20−20に沿った断面図である。
【図21】図19および図20の混合アセンブリーを示す等角図である。
【図22】本発明のモーター駆動アセンブリーを示す斜視図である。
【図23】図22のモーター駆動アセンブリーを示す断面図であって、線23−23に沿った断面図である。
【図24】図22のモーター駆動アセンブリーを示す断面図であって、線24−24に沿った断面図である。
【図25】図4の上部バケットサブアセンブリーおよびバルブアセンブリーを示す断面図であって、中央軸に沿った断面図である。
【図26】図21の上部バケットサブアセンブリーおよびバルブアセンブリーを示す断面図であって、線26−26に沿った断面図である。
【図27】図4の上部バケットアセンブリーおよびバルブアセンブリーを示す断面図であって、回転している上部バケットの遠心動作後に、バルブアセンブリーのアームが伸びるとともにバルブが開いている状態を示す断面図である。
【図28】図27の上部バケットアセンブリーおよびバルブアセンブリーを示す断面図であって、線28−28に沿った断面図である。
【図29】図27の上部バケットアセンブリーおよびバルブアセンブリーを示す断面図であって、バルブアセンブリーのアームが回転によって位置が変化した後の状態を示す断面図である。
【図30】図29の上部バケットアセンブリーおよびバルブアセンブリーを示す断面図であって、線30−30に沿った断面図である。
【図31】図29の上部バケットアセンブリーおよびバルブアセンブリーを示す断面図であって、遠心分離が完了した後の状態を示す断面図である。
【図32】図1の分離アセンブリーおよび濃縮アセンブリーを示す断面図であって、分離チェンバー内に血液が導入された後の状態を示す断面図である。
【図33】図32の分離アセンブリーおよび濃縮アセンブリーを示す断面図であって、高速遠心分離の間に血漿−血小板混合物から赤血球が分離される様子を示す断面図である。
【図34】図33の分離アセンブリーおよび濃縮アセンブリーを示す断面図であって、濃縮チェンバー内に血小板−血漿画分が移行された後の状態を示す断面図である。
【図35】図34の分離アセンブリーおよび濃縮アセンブリーを示す断面図であって、ヒドロゲルビーズから血小板−血漿濃縮物を分離するために、高速遠心分離を開始したときの様子を示す断面図である。
【図36】図35の分離アセンブリーおよび濃縮アセンブリーを示す断面図であって、血小板−血漿濃縮物用槽内に血小板−血漿濃縮物が回収された後の様子を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
〔発明の詳細な説明〕
本発明の装置および方法は新規のPRP濃縮物を調製し、当該新規のPRP濃縮物では、濃縮された血漿中において血小板濃度が増加されており、当該濃縮された血漿中では、フィブリノーゲンは大して変性していない。上記新規の生産物は、ある種の手術において高く評価されている血漿濃縮物が有する封止特性および止血特性と、血小板濃度が上昇することによって付与される増強された治療特性とを併せ持っている。
【0028】
図1は、使い捨ての分離アセンブリーおよび濃縮アセンブリー、並びに常設の駆動アセンブリーを示す断面図であって、濃縮サブアセンブリーの半分内に乾燥ビーズが示されている。このアセンブリーの小区分(subsections)に関する詳細は、更に詳細な図面とともに、後述する。
【0029】
上部筺体2は、図2および図3を用いて、更に詳細に後述する。
【0030】
モーター駆動サブシステム4は、図22〜図24を用いて、モーター駆動システムと共に説明する。
【0031】
上記上部筺体2に囲まれている分離システム3は、図4により詳細に説明されている。上記分離システムは一連のサブシステムを含んでおり、当該一連のサブシステムには、図5〜図7に更に詳細に説明されている外側キャップサブアセンブリー6、図8および図9に更に詳細に説明されている上端バケット8(top bucket 8)、図10に示されている試料注入口サブアセンブリー、図11および図12に更に詳細に説明されている上端バケットキャップサブアセンブリー10(top bucket cap subassembly 10)、並びに、図13および図14に更に詳細に説明されているバルブサブアセンブリー12が含まれる。
【0032】
濃縮システム11は、図15および図26に更に詳細に説明されている下端バケット14および駆動接続部16(drive connector 16)、図17および図18に更に詳細が説明されているバスケットサブアセンブリー18(basket subassembly 18)、並びに、図19〜図21に更に詳細が説明されている混合アセンブリーを含む。
【0033】
図2は、本発明の分離濃縮アセンブリーにおける外側筺体を示す正面図である。また、図3は、図2の外側筺体を示す斜視図であって、モーターアセンブリー接続部の詳細を示す斜視図である。
【0034】
上記上部筺体2は、図1に示す無菌の分離システムおよび濃縮システムを隔離する。上記上部筺体2の上部は、外側キャップサブアセンブリー34によって密閉されており、当該外側キャップサブアセンブリー34は、血液注入チューブ86、PRP濃縮物排出口62、およびキャップ66を有している。図3に示すように、上記下端のアセンブリー接続部は、上記モーターサブアセンブリーと係合するような形を有する駆動凹部42(drive recess 42)を有しているとともに、スペーサ46を支えるためのスペーサ受容部44を有している。上記上部筺体2および当該上部筺体2に囲まれて隔離されている構成は、使い捨ての構成であって、図1および図22〜図24に示す常設の駆動アセンブリーと共に用いられる。上記下端のアセンブリーは、軸方向に同心円状であるモーター駆動受容部48(motor drive receptor 48)、および、次第に細くなる形状を有する複数の係合固定溝50(engagement and locking slots 50)を含んでいる。そして、上記係合固定溝50は、モーター駆動アセンブリー(図示せず)に設けられた、対応する突起と噛み合う。
【0035】
図4は、図1の分離濃縮サブアセンブリーを示す断面図である。上記外側筺体2は、上部分離サブアセンブリー3および下部濃縮サブアセンブリー11を取り囲んでいる。
【0036】
上記外側筺体2の上端は、図5〜図7に更に詳細に説明されている外側キャップサブアセンブリー6によって閉じられている。上記外側キャップサブアセンブリー6は環状フランジ58を有する円形キャップ56を含み、上記環状フランジ58は、上部筺体2の上端に固定できるように、下に向かって伸びている。濃縮物排出管60は、プレート56の中央に位置する排出管用の孔62を通り抜ける。そして上記濃縮物排出管60は、上記プレート56まで伸びて上記分離チェンバー64(図4)に通じている。円形キャップ66は中央受容部68を有し、当該中央受容部68は、上記排出管60の上端部にあるルアーフィッティング70(Lure fitting70)と係合する。そして、これによって、分離工程の間、無菌的な閉鎖状態を維持することができる。
【0037】
注入口用の孔72は、中央軸から距離をおくように、上記円形キャップ56内に配置されている。上記注入口用の孔72は、図4に示す外部注入管74(exterior inlet conduit 74)をはめ込むことができるように大きさが規定されている。
【0038】
ルアーフィッティング70は、本願発明の血小板に富んだ血漿濃縮産物を取り除くための空のアプリケーターシリンジ(applicator syringe)をはめ込むために設けられている。上記濃縮物排出管60の下端部は、固定されたチューブ74(図4)の上端部を受けるための受容部を構成している。
【0039】
図4に示される上記バケットキャップ10は、図8および図9に更に詳細が記載されている。図8は、図4に示される分離濃縮アセンブリーにおける上端バケットキャップサブアセンブリー10の平面図であり、図9は、図10に示される上端バケットキャップサブアセンブリーにおける、線9−9に沿った断面図である。上記キャップサブアセンブリーは、図11および図12に更に詳細が記載されている上端分離バケット8を閉じる。上記上端バケットキャップ10は、接続フランジ78を有する円形プレート76を含み、当該接続フランジ78は、円形プレート76の下端から下に向かって伸びている。上記上部プレート6は、外側筺体2に固定されているとともに(図4)、分離工程および濃縮工程の間は静止している。ところが一方、上端バケットキャップ10は、分離工程および濃縮工程の間に上端バケット8とともに回転するために、上端バケット8に固定されている。
【0040】
上記円形キャップ10は軸方向に同心円状である孔を有しており、当該孔は、上記円形キャップ10から下に伸びるバルブアセンブリーガイドチューブ80を有している。上記ガイドチューブ80の下端には、バルブアセンブリー停止フランジ82が固定されている。ガイドチューブの上端は、スリーブ軸受84(sleeve bearing 84)を支持している。
【0041】
上記円形キャップ10は試料注入口サブアセンブリー86を有し、当該試料注入口サブアセンブリー86は、円形キャップ56内の孔72に対して位置が合わされる(図5)。
【0042】
図10は、試料注入口サブアセンブリー86の分解組立図である。上記試料注入口サブアセンブリー86は、上記プレート内に備え付けられた注入チューブ92を含み、当該注入チューブ92の上端部は、溝を有する受容部94を含む。無菌フィルター96が、チューブ92における通路97の下端に配置されている。
【0043】
上記サブアセンブリー86は、取り外し可能な注入チューブ98を含む。注入チューブ98は中央チューブ100を含み、当該中央チューブ100の上端には、不可欠であるルアーフィッティング102が備えられている。上記チューブ100の中間では、当該チューブから外に向かって環状プレート103が伸びている。必須である円筒形のフランジ104が、プレート103の外縁から下に向かって伸びている。上記フランジ104は、上記受容部94にはまり込むように大きさが規定されている。上記チューブ100の下端105は、上記通路97の上端にはまり込むように大きさが規定されている。
【0044】
上記注入チューブにはキャップ106が設けられており、当該キャップ106がルアーフィッティング102と係合することによって、使用に先立って積み込み(shipment)および操作(handling)する間に、取り外し可能な注入チューブ98を無菌的に密閉することができる。
【0045】
固定された円形キャップ56内の孔72を通過する上記注入チューブ98は、積み込みおよび格納(storage)する間に、上記分離サブアセンブリーと濃縮サブアセンブリーとを、回転しないように固定(lock)する。患者の血液が、注入口サブアセンブリー86を介して上記上端バケット8(図4)内に導入された後、上記注入チューブ98は取り除かれる。その結果、上記分離サブアセンブリー3および濃縮サブアセンブリー11は、上記固定された円形キャップ6から解除(unlocking)されて、中央チューブ74に対して自由に回転することができる。
【0046】
以下に詳細に説明するように、血液が導入された時の分離チェンバー64からの通気を可能にするとともに、上記濃縮システム11から血小板に富んだ濃縮物を取り除く時に上記システム内に空気が入ることを可能にするために、無菌の通気チューブ108(sterile breathing tube 108)が上記円形プレート76に固定されている。上記通気チューブ108内の無菌の空気フィルター110が、上記分離チェンバーの内部に微生物が入ることを防ぎ、これによって無菌性が維持されている。
【0047】
図4の上端バケットサブアセンブリーは、図11および図12内に、更に詳細に記載されている。図11は、図4に示される分離濃縮アセンブリーにおける上端バケットアセンブリー10を示す平面図であり、図12は、図11の上端バケットサブアセンブリーを示す断面図であって、線12−12に沿った断面図である。上記上端バケットサブアセンブリー10は、上端114を有する円筒形の外壁112を含み、上記上端114は、上端バケットキャップ10のフランジ58の内部表面に固定されている。上記円筒形の外壁112の下端は、中央通路118を有する不可欠な傾斜した床プレート116によって閉じられており、上記中央通路118は、分離された血小板−血漿のための、中央部の流体用通路を構成する。上記中央通路118の内壁表面は、バルブアセンブリーのためのバルブシート119を構成しており、上記バルブアセンブリーに関しては、後述するように図13および図14にその詳細が記載されている。その底部にフィルター122を備える通気カラム120が、中央通路118から距離をあけて配置されるとともに、上記床プレート116に固定される。後述するように、上記カラム120は、上記中央通路118を介して下向きに液体が流れる時に、上記濃縮サブアセンブリーから分離チェンバー中に空気が移動することを可能にする通路として機能する。フィルター122は、本願発明の装置を輸送(transport)および操作(handling)する間に、上記通気カラム120を介して、上記バスケットサブアセンブリー18からヒドロゲルビーズ(hydrogel bead)が抜けることを防ぐ。中央通路118を取り囲むように、先細りする形状を有する床プレート116の上表面に隣接プレート124が固定されており、当該隣接プレート124は、上に向かって伸びている。そして、隣接プレート124の各々は、上部バルブアーム隣接表面128(upper valve arm abutment surface 128)を有している。
【0048】
放射状に内部に向かって伸びている複数の分離プレート130が、円筒形の外壁112および傾斜した床プレート116の内部表面に固定されている。隣接するこれらのプレートの各対(pair)は、分離領域132を規定する。上記プレート130は、サブアセンブリーの平衡をとるために、上記円筒型の外壁の周りに均等に間隔をあけて配置される必要がある。図11に示すように、上記プレート130は、均整のとれた、向かい合った対であり得る(例えば、3つの均整のとれた対)。各分離プレート130の上端134は、血液があふれることを許すために、上端114の下側に距離をおいて配置されている。その結果、回転加速過程および回転減速過程の間に各分離領域132の間に血液を均一に分布させることができ、それ故に、回転しているアセンブリーの平衡を保つとともに、振動が最小限に抑えられる。
【0049】
各分離領域内における円筒型の外壁部分の内表面136は、開放気泡発泡体領域(open-cell foam segment)またはデプス型フィルター領域138に裏打ちされている。上記発泡体領域(foam segment)は、孔および通路を有しており、分離工程における高速遠心分離の間に赤血球が上記発泡体(foam)の中に進入して、その結果、赤血球を捕捉できるように、上記孔および通路の大きさが規定されている。上記孔および通路は、捕捉された赤血球を保持するように大きさが規定されており、それ故に、回転が遅くなるか又は止まった時に、赤血球を含まない血小板−血漿懸濁液が、開口118を介して下方に流れる。
【0050】
図13は、図4に示す分離濃縮アセンブリーのバルブアセンブリー12を示す正面図であり、図14は、図13のバルブアセンブリーを示す組立分解等角図である。上記バルブアセンブリー12は中央チューブ140を含み、下端はバルブ面142を構成している。上記バルブ面142は、溝を有する受容部144を含み、当該受容部144は、O−リング146を受けるとともに当該O−リング146を留める。上記O−リング146の最も外側の表面は、バルブシート119を有する密封領域(sealing segment)を形成するように大きさが規定されている(図11および図12参照)。
【0051】
上記バルブアセンブリー12は、向かい合った2つの遠心アーム148(centrifugal arms 148)を含み、当該遠心アーム148は、上記バルブ面142よりも上で、チューブ140に固定されている。遠心アーム148の各々は、上記チューブ140に隣接した柔軟性のある領域140と、柔軟性のないアーム領域152とを有している。上記柔軟性のないアーム領域152の先端は、ウエイト受容部154を含み、当該ウエイト受容部154内に錘156が固定されることによって、柔軟性のないアーム領域の先端に更なる重量が付加される。上記バルブアセンブリーの操作については、図25〜図31を用いて後述する。
【0052】
図4に示す下端バケット14は、図15および図16に、その詳細が示されている。図15を参照すれば、下端バケット14は、円筒形の側壁158および傾斜したバケット底部160を有しており、当該バケット底部160の低くなった領域は、血小板−血漿濃縮物用槽162を形成している。そして、当該血小板−血漿濃縮物用槽162中に、濃縮された血小板と血漿との濃縮物が集まる。複数のバスケット支持部164が、上記傾斜したバケット底部160の上面から上に向かって伸びており、当該バスケット支持部164の上面166は、後述する図17および図18に記載されている濃縮バスケットサブアセンブリー18を支持する。
【0053】
図16に詳細が記載されている軸方向に同心円状である駆動受容部168は、上記傾斜したバケット底部160の底面に固定されている。上記駆動接続受容部168は、開放可能なように(releasably)、適切に構成されたモーター駆動接続部とつながっているものであればよい。図15および図16に示す形態では、上記駆動受容部168は、外側円筒170および複数の棟172(ridges 172)を含み、上記棟172の各々は、先細りした形状を有する係合誘導面174、迫出し面176および上部プレート178を有している。上記上部プレート178は、駆動モーター(図22〜図24にて後述される)から、下部のバケット底部160に回転力(torque)を伝えるとともに、当該バケット底部160から、濃縮サブアセンブリーおよび分離サブアセンブリーに回転力を伝える。なお、これらは、一体化された状態で回転可能なアセンブリーを形成するように、互いに固定されている。
【0054】
図17は、図4に示す分離濃縮アセンブリーのバスケットサブアセンブリー18の正面図であり、図18は、図17のバスケットサブアセンブリーを示す断面図であって、線18−18に沿った断面図である。上記バスケットサブアセンブリー18は、円形の床プレート182に固定されたシリンダー180を含む。滑る軸受184(slip bearing 184)が、固定されたチューブ74をはめ込むために、上記円形のプレート182の軸方向に対する中心に配置されている(図4)。上記シリンダー180には、その円周を取り囲むように窓186が配列されており、当該窓186の各々は、回転中に上記バスケットからヒドロゲルビーズ19(hydrogel bead 19)(図1および図4)が抜け出ることを防ぐために、十分に小さなメッシュサイズを有する細かい網目188によって閉じられている。
【0055】
図19は、図4に示す分離濃縮アセンブリーの混合アセンブリーを示す平面図であり、図20は、図18の混合アセンブリーを示す断面図であって、線20−20に沿った断面図であり、図21は、図19および図20の混合アセンブリーを示す等角図である。上記混合アセンブリー20は、固定されたチューブ74に固定された熊手190(rake 190)を含む。上記固定されたチューブ74の上端192は、上部キャップサブアセンブリー34に固定され、その結果、回転に対して上端192が守られる。上記固定されたチューブ74の下端194は、槽162(図15)から血小板−血漿濃縮物を取り除くための注入口である。上記熊手190は、放射状に伸びた背骨196(spine 196)を有している。そして、図4、17および18に示すように、上記背骨196から、バスケットサブアセンブリー18の底部プレート182に達する手前の高さまで、不可欠な熊手部198が下向きに伸びている。任意で、上記背骨196は、当該背骨196の中央に隣接するように、分離した切れ込み200を有し得る。もしも、最後の遠心分離回転の間に、ビーズ190と熊手部198との接触によって生み出される圧力が過剰になれば、上記切れ込み200は、当該切れ込み200の位置において、上記背骨196を弱くしたり上記背骨196を折ったりする。
【0056】
上記固定されたチューブ74は、バスケットサブアセンブリー18のスリーブ軸受184、および上記上端バケットキャップのスリーブ軸受84を通り抜けて伸び、これによって、上記分離アセンブリーおよび濃縮アセンブリーが、上記固定されたチューブの周りを自由に回転することができる。上記固定されたチューブ74は、上記外側キャップサブアセンブリー6および上記固定された外側筺体2に固定されている。
【0057】
図4は、図5〜図20に示された構成の包括的な集合体を示している。
乾燥したヒドロゲルビーズ19は濃縮されて、バスケット18の下半分を満たす。それ故、一方の側のみが空であって、窓186および網目188(図17および図18)の遮蔽されない視界を可能にする。
【0058】
上記濃縮された乾燥ヒドロゲルビーズ19は、高分子量の溶質と微粒子とを排除する一方で多量の水と低分子量の溶質とを吸収するとともに、血漿中に好ましくない汚染物質を混入させない、不溶性のビーズまたはディスク(disk)であり得る。上記ヒドロゲルビーズ19は、市販の入手可能なデキストラノマービーズ(dextranomer beads)またはアクリルアミドビーズ(それぞれ、Pharmacia社製のDebrisan、Bio−Rad Laboratories社製のBIO−GEL PTM)であり得る。別の濃縮材も用いられ得る(例えば、Pharmacia社製の吸湿または吸水剤であるSEPHADEXTM、シリカゲル、ゼオライト、クロスリンクされたアガロース等が、不溶性の不活性ビーズの形態にされたもの)。
【0059】
図4は、サブアセンブリーに関する図5〜図21と併せて、積み込みのためにスリーブ80によって固定されたバルブアセンブリー12と一体化された使用前のアセンブリーを示している。なお、上記スリーブ80内には、バルブアセンブリーチューブ140が伸びるとともに、当該スリーブ80の底に、迫出したフランジ82が固定されている。上記バルブ面142は、上記シート119と接触する位置に示されている。これによって、上記ビーズをバスケット18に閉じ込めるとともに、たとえ輸送または操作する間に装置が転倒または振動したとしても、上部の分離チェンバー64中にビーズが抜け出ることを防ぐ。
【0060】
上記アセンブリーは、固定された外側キャップサブアセンブリー6の孔72中の取り外し可能な注入チューブ98の位置によって、固定されたチューブ74の周りを回転しないように固定されている。
【0061】
上記バスケットアセンブリー18におけるシリンダー180の上端は、先細りする形状を有する床116の下表面に対して固定されており、上記プレート182の下表面は、支持部164の上面166(図15)に対して固定されている。
【0062】
それ故に、組み立てられた上部の分離サブアセンブリー3および下部の濃縮サブアセンブリー11は、1つの構成として、固定されたチューブ74の周りを回転する。上記上部のサブアセンブリーは、滑る軸受84によって上記中央チューブ74上に配置される。なお、上記固定されたチューブ74は、上記軸受84を通り抜けて伸びている。上記下部の分離サブアセンブリーは、滑る軸受184によって上記中央チューブ74上に配置される。なお、上記固定されたチューブは、上記軸受184を通り抜けて伸びている。上記チューブ74を含む熊手アセンブリー20は、分離工程および濃縮工程において上記分離サブアセンブリー3および濃縮サブアセンブリー11が回転している間は、静止した状態を保つ。これについては、詳細に後述されている。
【0063】
図22は、本発明のモーター駆動アセンブリーを示す斜視図である。図23は、上記モーター駆動アセンブリーを示す断面図であって、線23−23に沿った断面図である。図24は、上記モーター駆動アセンブリーを示す断面図であって、線24−24に沿った断面図である。
【0064】
上記モーター筺体4の外郭構造202は、モーター218を取り囲むとともに、制御インターフェース204および電源コネクタ206を支持する。上記分離濃縮アセンブリーは、モーター接続部210を取り囲む、高くなった環状の支持部表面208上に支持される。上記モーター接続部210は、上記駆動受容部168(図16)と開放可能なように噛み合う。上記筺体22の底は、支持プレート212によって閉じられている。上記システムの制御および電源プレート214は、4つの支持柱216によって支持されており、当該支持柱216は、上記外郭構造202の内面に取り付けられている。上記プレート214は、従来のプリント回路、または装置にとっての制御システムおよび電源システムである電子部品を備えたプリント回路と等価なボードであって、その中央部には、モーター218のための支持部217が備えられている。上記電子部品は、従来のワイヤー回路(wiring circuit)(図示せず)によって、上記制御インターフェース204および電源コネクタ206に接続されている。4つの支持脚220は、上記支持プレート212の底に固定されているとともに、研究室内に装置を固定するための、摩擦抵抗のある脚222を提供する。
【0065】
図25〜図31は、初めの分離工程の間、および直後の上記バルブサブアセンブリーの操作を示している。血液および血液産物は、これら断面図から省略されているので、各工程における上記バルブアセンブリーの構成要素の、遮蔽されることのない様子を見ることができる。
【0066】
図25は、図4の上部バケットサブアセンブリーおよびバルブサブアセンブリーを示す断面図であって、中央軸に沿った断面図である。図26は、図25の上部バケットアセンブリーおよびバルブアセンブリーを示す断面図であって、線26−26に沿った断面図である。これは、上端バケット8中に、初めに血液が導入されたときの様子である。上記バルブサブアセンブリーのアーム148は、上記ガイドチューブ80中に配置される中央チューブ140と一体化された状態にて、自身にとっての初期の垂直位置にあり、各アームの上端は、フランジ82に接触している。上記バルブ面142は、中央通路118の上端にて上記バルブシート119(図12)内に配置されて、その結果、上記通路を閉じるとともに血液が抜け出ることを防ぐ。上記アームの柔軟性のある領域150は、隣接プレート124および126の間の通路内に配置され、その結果、積み込みおよび操作する間に、チューブ74に対して上記アーム148が回転することを妨げる。
【0067】
図27は、上部バケットアセンブリーおよびバルブアセンブリーを示す断面図であって、回転している上部バケットの遠心動作後に、バルブアセンブリーのアームが伸びるとともにバルブが開いている状態を示す断面図である。図28は、図27の上部バケットアセンブリーおよびバルブアセンブリーを示す断面図であって、線28−28に沿った断面図である。上記上端バケット8内に所望の量の、患者の血液が導入された後、上記分離濃縮アセンブリーは、高速にてチューブ74の周りを回転する。そして、当該回転によって生じる遠心力によって、上記血液が外側に向かって流れるとともに、分離プレートによって、上記血液が分離領域132内に均等に分配される。上記遠心力は、発泡体領域138の外表面に向かって、上記血液をためる(pool)。そして、当該発泡体領域138では、より高濃度の赤血球が選択的に上記発泡体中に移動して、その結果、赤血球非含有性血漿を含む低密度の血小板(less dense platelets)が後に残る。
【0068】
遠心力がかかっている状況下では、上記バルブアーム148は、当該バルブアーム148が傾斜した床116に接触するまで、外側に回転する。この動作は、上記バルブ中央チューブ140を、ガイドシリンダー180の上部に向かってスライドさせる。その結果、上記バルブ面142は、中央通路118から引き抜かれてバルブシート119と接触していない状態となり、上記通路118が開かれる。上記アーム148が外側に回転して上記バルブ面142が持ち上げられた時、アーム148の下部にある柔軟性のある領域150はまた、隣接プレート124と隣接プレート126との間から上に向かって旋回(pivoted)され、上記アームがチューブ74に対して自由に回転できるようになる。遠心力によって液体は発泡体領域138に接触するように保持されるので、上記液体は、開かれた通路118を通って流れることはない。
【0069】
図29は、図27および図28の上部バケットアセンブリーおよびバルブアセンブリーを示す断面図であって、バルブアセンブリーのアームが回転によって位置が変化した後の状態を示す断面図である。図30は、図29のバルブ構造を示す断面図であって、線30−30に沿った断面図である。上記アーム148が上記隣接プレートの間から持ち上げられて、隣接プレート124による制約から解放された時、回転動作によって、アーム148は固定されたチューブ74に対して回転する。上記回転は、アーム148の1つが回転経路内の隣接した分離プレート130に接触するまで続く。この回転による位置の変化は、アーム148の下部にある柔軟性のある領域150を、隣接プレート124の隣接表面128部分の上に整列させる。
【0070】
図31は、図29および図30の上部バケットアセンブリーおよびバルブアセンブリーを示す断面図であって、遠心分離が完了して、上記分離サブアセンブリーおよび濃縮サブアセンブリーの回転が遅くなるか、または停止したときの断面図である。重力の下では、血小板−血漿混合物は、先細りした形状を有する床116へ流れ、当該床の傾斜した表面を中央通路118に向かって下る。そして、血小板−血漿混合物は、上記中央通路118を通って、濃縮のためのバスケットサブアセンブリー18へと向かう。強力な遠心動作を止めれば、上記アーム148は跳ね起きる(spring upward)ことができ、これによって、上記バルブ面142は中央通路118に向かって下に移動する。当該移動は、柔軟性のあるアーム150の片方または両方が、向かい合った隣接表面128に接触したときに止まる。なお、このとき上記中央通路は、血小板−血漿混合物が流れることができるように開いたままである。
【0071】
分離工程と濃縮工程とを含む本発明の装置の操作は、後述するように、図32〜図36に記載されている。
【0072】
図32は、図4の図4の分離アセンブリーおよび濃縮アセンブリーを示す断面図であって、チューブ110を介して、ルアーフィッティング102に固定されたシリンジから分離アセンブリー3内に血液202が導入された後の、分離アセンブリーおよび濃縮アセンブリーを示す断面図である。ルアーフィッティングを有する上部のチューブ100が取り除かれれば、分離アセンブリー3および濃縮アセンブリー11が回転できるようになる。血液が、上端バケット8の底に流れる。流れ込んでくる液体に置換される空気は、通気チューブ108を通って抜け出す。上記バルブ面142は閉じられた位置にあり、これによって、バケット8から血液が抜け出すことを防いでいる。次いで上記システムの操作が開始され、上記モーター218が、分離アセンブリーと濃縮アセンブリーとを一緒に、固定されたチューブ74の周りを回転させる。
【0073】
図33は、図32の分離アセンブリーおよび濃縮アセンブリーを示す断面図であって、高速遠心分離の間に血漿−血小板混合物から赤血球が分離される様子を示す断面図である。上記分離アセンブリーおよび濃縮アセンブリーが高速にて回転するとき、血液には、発泡体138に向かって力がかかる。赤血球は、上記発泡体の孔内および通路内に優先的に移動して、他の血液成分よりも濃縮される。遠心力によって、上記アーム148の外側末端(outer end)が中央部から旋回(pivot)されたとき、上記バルブサブアセンブリーは、バルブ142を開ける。このとき、中央通路118内のバルブシート119から、バルブ面142が上昇する。しかしながら、高速にて遠心分離が続く限り、全ての液体は、上記発泡体に接触するように保持される。上記遠心力はまた、バスケットサブアセンブリーの外側網目188に向かって、ヒドロゲルビーズ19に放射状に外側へ向かって力を加える。これによって、熊手190の構成要素との接触がなくなる。遠心分離は、赤血球の大半が完全に発泡体の中に捕捉されるまで続けられる。どの赤血球も、本発明の産物が利用されるときに形成されるゲル産物を弱体化させるので、上記赤血球の大半を除去することが好ましい。遠心分離の速度は、血小板から赤血球を分離する傾向にあり、血漿中の大半の血小板が後に残り、その一方で、赤血球の大半が発泡体中に捕捉される。
【0074】
図34は、図33の分離アセンブリーおよび濃縮アセンブリーを示す断面図である。上記回転が減速または停止された後、血小板−血漿画分204は、上部のバケット8の底に向かって流れ、そして、中央通路118を通ってバスケットサブアセンブリー18内に下る。上記バスケットサブアセンブリー18において、血小板−血漿画分204は、乾燥されたヒドロゲルビーズ19と接触する。これらのビーズは、液体から水を吸収することによって、血漿を濃縮する。次いで、上記分離アセンブリーおよび濃縮アセンブリーは、モーター218によって低速にて回転させられる。そして、ビーズが熊手190の固定された背骨196の中を移動することによって、当該ビーズから取り除く。上記ビーズをかき混ぜることによって、当該ビーズ表面と血漿とが最大限に接触することを確実にするとともに、隣接するビーズ表面を血漿が密集させた時に生じるゲルの分極(gel polarization)を減少させる。この工程は、所望の量の水が除去されて所望の濃度の血漿が得られるまで続けられる。
【0075】
図35は、図34の分離アセンブリーおよび濃縮アセンブリーを示す断面図であって、ヒドロゲルビーズから血小板−血漿濃縮物を分離するために、高速遠心分離を開始したときの様子を示す断面図である。この工程では、ビーズ19から血小板に富んだ血漿濃縮物206が除去されるとともに、最大限に回収される。上記分離アセンブリーおよび濃縮アセンブリーは、モーター218によって、固定されたチューブ74の周りを素早く(rapidly)回転させられ、これによって、血小板に富んだ血漿濃縮物とビーズ19とに対して、バスケット18の網目188に向かう遠心力が加えられる。絶え間ない遠心力によって上記血小板に富んだ血漿がビーズから離れて、網目118を通って流れるときに、上記網目188は、ビーズ19が抜け出すことを防ぐ。この高速の遠心分離は、血小板に富んだ血漿が最大限に回収されるまで続けられる。
【0076】
上記ヒドロゲルビーズによる水の吸収はビーズの直径の増加を伴い、その結果、ビーズの体積が増加する。もしも、増加したビーズの体積によって、熊手190の末端に上記網目上に密集されたビーズが巻き込まれれば、上記熊手190は、分離した切れ込み200(図19)に沿って折れるとともに、当該熊手の断片が、上記ビーズに混入する。
【0077】
図36は、 図35の分離アセンブリーおよび濃縮アセンブリーを示す断面図であって、高速遠心分離が終了するとともに、血小板−血漿濃縮物用槽162内に血小板−血漿濃縮物が回収された様子を示す断面図である。上記キャップ66が取り除かれて、チューブ60の上端に位置するルアーフィッティング70が露出されている。アプリケーターシリンジ(applicator syringe)(図示せず)が、上記ルアーフィッティング70に固定されている。血小板に富んだ血漿は、上記アプリケーターシリンジの外筒(barrel)を引っ込めることによって槽162から除去さる。つまり、血小板に富んだ血漿濃縮物は、チューブ74および60中を引き上げられて上記シリンジ内に入る。通気チューブ108は、空気が上記システム内に流れ込んで、シリンジによって取り除かれる液体の体積と置き換わることを可能にし、その結果、上記システム内に部分的に真空(vacuum)が発生することを防ぐ。なお、上記真空が発生すれば、液体の除去が妨げられることになる。
【0078】
最大の創傷治癒効果を得るための濃縮係数(concentration factor)に関しては、血小板濃度は最大であるとともに、イオン因子(ion factors)が高濃度であることが求められる。恒常性(homeostasis)のためには、血小板の濃度が、抗凝固血漿濃度よりも3〜4倍高ければ、最も効果的である。濃度が3倍よりも低ければ、フィブリノーゲンの濃縮が不十分である。濃縮が4倍よりも高ければ、フィブリンゲル(fibrin gel)構造を妨げる過剰な全タンパク質(主として、アルブミン)を有する。恒常性に対する最大限の効果を有するとともに創傷治癒に対する改善された効果(最大限よりは低いとしても)をも有する産物を得るためには、抗凝固血漿濃度よりも3〜4倍高い濃度を選択することが最も良い。封止剤活性が要求されない用途においては、高濃度であることが好ましい。
【0079】
赤血球の濃度に関しては、非常な高速回転後に測定すると、全血における通常のヒトのヘマトクリットは、37%以下から略52%に変化する。3倍以上の濃度を達成しようとすれば、いくつかの赤血球の除去が必要である。しかしながら、濃縮された血漿ゲルの引っ張り強度は、赤血球の混入濃度が増加するにしたがって、減少する。効果的な血液特性(haemostatic properties)を付与するためには、最終濃縮物中の赤血球濃度は、3%〜5%よりも低い必要がある。本発明の装置は、当該装置を用いて技術的に実現可能な量の赤血球を除去することを目的としている。なお、本発明において、微量な混入は許容する。封止活性が要求されない用途においては、高濃度の赤血球は許容される。
【0080】
体積に関しては、上記デプス型フィルターとビーズとの両方が、処理される液体の体積を減少させる。効果的な創傷治癒用産物の14%〜17%の体積の生産物のみが、本願発明の装置を用いて、標準的な患者の血液から一般的に得られる・効果的な産物を作製するためには、上記デプス型フィルターの体積は、抗凝固血液(抗凝固剤を含む血液)の略50%と、PRPの生産物の略50%とを保持するように選択される。上記ビーズの量は、水吸収ユニット中にて、PRP体積の略67%に等しい水を保持するように選択される。
【0081】
精度(accuracy)に関しては、各システム内における上記デプス型フィルターおよびビーズの量は、最適な産物が得られるように注意深く選択される。しかしながら、患者集団内でヘマトクリットレベルが広い範囲に分布するので、構成要素がおおよそのバランスをとることが要求される。
【0082】
もしも過剰量の血液が上記装置に供給されれば、生産物が多くの赤血球の混入を有している可能性が大きくなり、その結果、最終産物は要求されている程には濃縮されない。というのも、供給される血液量が、デプス型フィルターの実容量を超えるからである。上記デプス型フィルターによって保持される体積は、処理される全血液量のおおよそ半分であるので、上記装置内に導入される血液量が非常に少ない場合には、相当少ない量のPRPが、ビーズに供給される。例えば、血液量が25%少ない場合には、ビーズに供給されるべき好ましい体積の単に50%にしかならない。もしも、ビーズに接触するPRPの体積が33%以上少ない場合には、産物は回収されない。というのも、上記ビーズは、目標とされるPRP体積の67%を吸収するからである。もしも、上記ビーズに接触する体積が単に17%不足しているのであれば、所望の体積の半分量の最終産物を生産し、当該最終産物は所望の濃度の2倍の濃度を有する(それゆえに、止血剤としての価値は少ない)。換言すれば、上記装置内に導入する血液量が少し異なれば、当該差異は増幅されて、最終産物量および濃縮係数中の大きな差異となる。
【0083】
上記装置は、処理される患者の血液に特有のヘマトクリットレベルに特に適合するように設計され得る。単一の最適化された包括的な装置では、当該装置は標準的な患者の血液にあわせて最適化されており、固定化された容量のデプス型フィルターおよび血液を使用するとともに、上記ビーズの水を吸収する容量も固定化されている。
【0084】
導入される血液の量の不正確さを許容することが好ましければ、上記装置は、オーバーフローチェンバーを組み込むことが可能である。なお、当該オーバーフローチェンバーは、2005年2月17日に出願された仮出願No.60/654,718内、および最近出願された代理人明細書No.426.P009B内に記載されている。また、当該引用文献の内容は、本明細書内に参考として援用される。
【0085】
〔実施例〕
〔標準的なシステムの操作〕
本明細書に示されるとともに説明されている装置を用いて、血液が処理された。
1)最初の回転は、250rpmにて10秒間、行われた。当該回転によって、十分に低い回転(rpm)条件下で、ビーズがケージ(cage)内に投げ出される。なお、当該回転条件下では、初期の不均衡によって、過剰な振動が発生することはない。熊手の外側末端(最も外側の枝)は、ビーズのバランスをとるために、バスケットの周囲の近辺のビーズを平らにする。
2)赤血球は、3200rpmにて90秒間の赤血球分離用の回転によって分離された。これによって、赤血球は、デプス型フィルター内に詰め込まれた。
3)PRPは、50rpmにて45秒間の低速回転によって濃縮された。そして、PRPは濃縮チェンバー内に引き抜かれるとともに、上記PRPとビーズとが混ぜ合わされた。
4)次いで、PRP濃縮物は、3200rpmにて45秒間の最後の高速回転によって、上記ビーズから除去された。
【0086】
工程間の加速および減速は、振動を防ぐために緩やかにされた。
【0087】
上記工程におけるパラメーターを以下に示す。
【0088】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明は、改良された創傷治癒特性を有する血小板−血漿濃縮物を作製するための装置および方法に関するものであり、組織封止剤(tissue sealant)および組織接着剤(tissue adhesive)として使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筺体と、前記筐体内の中心軸の周囲に配置されたPRP分離アセンブリーおよびPRP濃縮アセンブリーとを備えるPRP分離濃縮装置であって、
前記PRP濃縮アセンブリーは、
床に支持された乾燥ビーズと、網目によって閉じられる少なくとも1つの開口を有する壁と、を有する濃縮チェンバーを備え、
前記網目は、前記濃縮チェンバー中に前記乾燥ビーズを保持し得るように大きさが規定された開口を有し、
前記濃縮チェンバーは、PRP濃縮槽を備え、
静止した排出チューブは、前記筺体に固定されているとともに、前記PRP濃縮槽にまで伸びており、
前記PRP分離アセンブリーは、分離チェンバーを備え、前記PRP濃縮アセンブリーに取り付けられるとともに前記PRP濃縮アセンブリーの上側に配置されて、前記静止した排出チューブの周りを回転することができる一体化した分離濃縮装置複合体を形成し、
前記濃縮チェンバーと分離チェンバーとを接続する中央通路をさらに備えることを特徴とするPRP(血小板に富んだ血漿(platelet rich plasma))分離濃縮装置。
【請求項2】
前記PRP濃縮槽は、PRP濃縮槽を形成する濃縮チェンバーの中心軸に対する外壁によって囲まれた床によって規定されていることを特徴とする請求項1に記載のPRP分離濃縮装置。
【請求項3】
前記分離チェンバーから濃縮チェンバーへのPRPの流れを制御するバルブアセンブリーをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のPRP分離濃縮装置。
【請求項4】
前記濃縮チェンバー内に、乾燥ビーズとPRPとを撹拌する静止した熊手をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のPRP分離濃縮装置。
【請求項5】
前記熊手が排出チューブに固定されていることを特徴とする請求項4に記載のPRP分離濃縮装置。
【請求項6】
前記PRP分離アセンブリー内にデプス型フィルターをさらに備え、PRP分離アセンブリー内のデプス型フィルター中に血液中の赤血球を捕捉することによって血液からPRPが調製され、前記PRP中の水を、PRP濃縮アセンブリー内に保持された乾燥ビーズで吸収することによってPRP濃縮物が調製されることを特徴とする請求項4に記載のPRP分離濃縮装置。
【請求項7】
PRP分離アセンブリー内のデプス型フィルター中に血液中の赤血球を捕捉することによって血液からPRPを調製し、前記PRP中の水を、PRP分離アセンブリーの下側に配置され、PRP濃縮アセンブリー内のPRP濃縮槽にまで伸びている静止した排出チューブを備えたPRP濃縮アセンブリー内に保持された乾燥ビーズに吸収させることによってPRP濃縮物を調製する、PRP濃縮物の調製方法において、
PRP濃縮アセンブリー内の回転している濃縮チェンバー内において、乾燥ビーズを静止した熊手で撹拌しながら、前記PRPと乾燥ビーズとを接触させることによってPRP濃縮物を調製することを特徴とするPRP濃縮物の調製方法。
【請求項8】
前記PRP濃縮物は、前記濃縮チェンバーを遠心分離の速度にて回転させて、前記ビーズからPRP濃縮物を分離することによって回収されることを特徴とする請求項7に記載のPRP濃縮物の調製方法。
【請求項9】
筺体と、前記筐体内の中心軸の周囲に配置されたPRP分離アセンブリーおよびPRP濃縮アセンブリーとを備えるPRP分離濃縮装置であって、
前記PRP分離アセンブリーは、デプス型フィルターによって裏打ちされる平衡が保たれた円筒状の分離チェンバーを備え、前記分離チェンバーは放射状に伸びるプレートによって分離領域に区分され、前記分離チェンバーが回転している間、前記分離領域は分離動作を通じて振動を減少させ、
前記PRP分離アセンブリーは、前記PRP濃縮アセンブリーに取り付けられるとともに前記PRP濃縮アセンブリーの上側に配置されて、前記静止した排出チューブの周りを回転することができる一体化した分離濃縮装置複合体を形成していることを特徴とするPRP(血小板に富んだ血漿(platelet rich plasma))分離濃縮装置。
【請求項10】
前記PRP濃縮アセンブリーは、
床に支持された乾燥ビーズと、網目によって閉じられる少なくとも1つの開口を有する壁と、を有する濃縮チェンバーを備え、
前記網目は、前記濃縮チェンバー中に前記乾燥ビーズを保持し得るように大きさが規定された開口を有し、
前記濃縮チェンバーは、PRP濃縮槽を備え、
静止した排出チューブは、前記筺体に固定されているとともに、前記PRP濃縮槽にまで伸びており、
前記濃縮チェンバーと分離チェンバーとを接続する中央通路をさらに備えることを特徴とする請求項9に記載のPRP分離濃縮装置。
【請求項11】
前記プレートは、前記分離チェンバーの外壁から、前記分離チェンバーの中心に向かって放射状に伸びていることを特徴とする請求項9に記載のPRP分離濃縮装置。
【請求項12】
前記分離チェンバーから濃縮チェンバーへのPRPの流れを制御するバルブアセンブリーをさらに備えることを特徴とする請求項9に記載のPRP分離濃縮装置。
【請求項13】
前記濃縮チェンバー内に、乾燥ビーズとPRPとを撹拌する静止した熊手をさらに備えることを特徴とする請求項9に記載のPRP分離濃縮装置。
【請求項14】
PRP分離アセンブリー内のデプス型フィルター中に血液中の赤血球を捕捉することによって血液からPRPが調製され、前記PRP中の水を、PRP濃縮アセンブリー内に保持された乾燥ビーズに吸収させることによってPRP濃縮物が調製され、
前記プレートは、前記分離チェンバーが回転している間、前記分離領域内の血液の分布が実質的に平衡となるように保ち、前記プレートによって、振動を減少させるとともに、デプス型フィルターからの赤血球の移動を減少させることを特徴とする請求項9に記載のPRP分離濃縮装置。
【請求項15】
PRP分離アセンブリー内のデプス型フィルター中に血液中の赤血球を捕捉することによって血液からPRPを調製する工程と、前記PRP中の水を、PRP分離アセンブリーに隣接されたPRP濃縮アセンブリー内に保持された乾燥ビーズに吸収することによってPRP濃縮物を調製する工程と、を含むPRP濃縮物の調製方法において、
前記デプス型フィルターによって裏打ちされた分離チェンバー内において、遠心分離の速度にて血液を回転させることによって、前記赤血球が捕捉され、
前記分離チェンバーおよびデプス型フィルターは、放射状に伸びるプレートによって分離領域に区分され、
前記プレートは、前記分離チェンバーが回転している間、前記分離領域内の血液の分布が実質的に平衡となるように保ち、前記プレートによって、振動を減少させるとともに、デプス型フィルターからの赤血球の移動を減少させることを特徴とするPRP濃縮物の調製方法。
【請求項16】
前記分離チェンバーの回転速度は、前記分離領域内の血液の分布が平衡となる割合で加速され、
前記遠心分離が終了した後、前記分離チェンバーの回転速度は、前記分離領域内のPRPの分布が平衡となる割合で減速され、
前記割合にて加速および減速することによって、振動を減少させるとともに、前記デプス型フィルターからの赤血球の移動を減少させることを特徴とする請求項15に記載のPRP濃縮物の調製方法。
【請求項17】
前記ビーズが固定された熊手によって撹拌されている間に、PRP濃縮物を製造するために、PRP濃縮アセンブリーが備える回転している濃縮チェンバー内において、前記PRPと乾燥ビーズとを接触させることを特徴とする請求項15に記載のPRP濃縮物の調製方法。
【請求項18】
前記PRP濃縮物は、前記濃縮チェンバーを遠心分離の速度にて回転させて、前記ビーズからPRP濃縮物を分離することによって回収されることを特徴とする請求項17に記載のPRP濃縮物の調製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【公開番号】特開2012−30085(P2012−30085A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−203275(P2011−203275)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【分割の表示】特願2007−554191(P2007−554191)の分割
【原出願日】平成18年1月30日(2006.1.30)
【出願人】(507266369)ハヌマン リミテッド ライアビリティ カンパニー (7)
【出願人】(507266370)バイオメット バイオロジックス,インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】