説明

血栓性疾患の予防あるいは治療を行う一種の抽出物

本発明は一種の血栓疾患予防と治療の抽出物を提供する、具体的に一種の水蛭と/或はミミズによる分子量が5800ドールトン以下の抽出物の抽出、及び生成方法、製薬、用途の提供である。本発明の抽出品は現行の類似商品に比べ、薬物活性或は治療効果は劣らない上、薬物の安全性は明らかに向上した。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は血栓性疾患の予防或いは治療を行う一種の抽出物に関連し、具体的に説明すると、水蛭と/或いはミミズの5800ドールトン以下の分子量の抽出物、及びこれらの薬物調合物、精製方法と血栓性疾患の予防或いは治療薬物の用途に関連している。
【0002】
〔背景技術〕
水蛭は典型的な血行促進薬物であり、中国薬典に記載されている。中国薬典に記載されている水蛭の薬剤品種は三つで、ヒルド科ウマビルWhitmania pigra Whitman、チスイビルHirudo nipponica Whitman 或いはチャイロビルWhitmania ac-ranulata Whitmanで、その中でも主な薬用品種はヒルド科のウマビルである(Whitmania pigra Whitman)。水蛭の主な成分はタンパク質、ペプチド、アミノ酸、核酸、酵素、糖類及び微量元素等である。水蛭のタンパク質、アミノ酸、糖類及び微量元素等の成分の性質、定量研究に関してはすでに数多く報告されており、おもな方法としてフィルムクロマトグラフ法、高速液体クロマトグラフ法、ゲル電気泳動法等がある。小分子成分として、主にヒポキサンチン、キサンチン、ウラシル、ピリミジンとプリンで、どれもN元素と不飽和のヘテロ環化合物が含まれている。
【0003】
ミミズは伝統的中医薬として、退熱鎮静、血脈通理、咳止め、利尿の効果があり、中国薬典に記載されている。中国薬典に記載されているミミズ薬剤は四つあり、ジンカンモウインPheretima aspergillum(E.Perrier)、ツウゾクカンモウインPheretima vulgaris Chen、ウィリアムカンモウインPheretima guillelmi(Michaelsen)そしてセツモウカンモウインPheretima pectinifera Michaelsenがある。この中で薬用品種としてジンカンモウインPheretima aspergillum(E.Perrier)が主であり、広地龍と呼ばれている。ミミズの主な成分はタンパク質、アミノ酸、核酸、酵素、糖類である。ミミズのタンパク質、アミノ酸等の成分の成分、定量研究もすでに報告がある。小分子の主な成分はヒポキサンチンとアンモニア化合物である。
【0004】
臨床で使用している疏血通注射液は水蛭、ミミズの二種類の薬剤の抽出物を薬物活性成分とする中医薬注射薬剤で、一種の即効性の心脳血管疾患治療用の注射薬である。中国特許申請03148281.3、200410101538.8及び200510000266.7で、それぞれ疏血通注射液及び生成過程を公開しており、前述の全ての申請内容を本申請にて参考にしている。
【0005】
抗原性を持つ物質は通常大分子物質で、相対分子量が大きくなるほど、抗原性は強くなる。小分子ペプチドは抗原性が比較的弱い或いは抗原性がない。抗原が大分子物質である可能性の原因として:(1)抗原相対分子量が大きければ大きいほど、表面特殊化学因子(抗原決定物)が多く、免疫細胞を刺激しすく、免疫反応が強くなる;(2)大分子抗原物質の化学結合が複雑で、構造が安定しており、破壊と除去されにくく、体内で停留する時間が伸び、持続的に免疫反応を発生させる。医薬学上、通常51個のアミノ酸でヒトインシュリンが形成されており(ヒトインシュリンの基準分子量は5800ドールトン)、一つの境界線である。分子量が5800ドールトンを上回った物質を高分子量物質と呼び、注射薬剤では厳格なコントロールが行われている。
【0006】
〔発明の内容〕
本発明の目的は血栓性疾患に対する予防と治療を行える抽出物の提供であり、具体的には、ヒルと/或いはミミズより抽出された5800ドールトン以下の抽出物、その精製方法と用途を提供することにある。現行の技術に比べ、本発明の抽出物は臨床上安全でローリスクである。
【0007】
上記の発明目的を実現するために本発明の技術プランを以下に記す:
血栓性疾患の予防或いは治療の抽出物はヒルと/或いはミミズを原材料として生成し、特徴は抽出物の分子量は5800ドールトン以下である。
【0008】
上記の抽出物は、水蛭、ミミズの抽出物或いは水蛭とミミズの混合物の抽出物であり、その中で、水蛭とミミズの混合物の抽出物とは、水蛭とミミズそれぞれの抽出物を混合した後の抽出物でもあり、また水蛭とミミズを混合した後に抽出した抽出物でもある。
【0009】
また、水蛭とは、ヒルド科ウマヒルWhitmania pigra Whitman、チスイヒルHirudo nipponica Whitman 或はチャイロヒルWhitmania ac-ranulata Whitmanであり、ミミズとはサンカンモウインPheretima aspergillum (E.Perrier)、ツウゾクカンモウイン Pheretima vulgaris Chen、ウィリアムカンモウインPheretima guillelmi(Michaelsen)或いはセツモウカンモウインPheretima pectinifera Michaelsen である。優先的に水蛭はヒルド科ウマヒル(Whitmania pigra Whitman)の干し物或いは新鮮品、ミミズはサンカンモウイン(Pheretima aspergillum (E. Perrier))の干し物或いは新鮮品を使用する。
【0010】
本発明の指す抽出物とは、分子量6000ドールトン以下の物質を6000ドールトンのUF膜或はUF柱を透過させる濾過法を使った。たとえば、本発明の原材料を現行技術の通常の方法で生成して抽出した物(半製品或は中間産物)を6000ドールトン以上の物質をUF膜或はUF柱によって濾過することで、5800ドールトン以下の水蛭と/或はミミズの抽出物を得ることができる。
【0011】
また、優先的に本発明で述べる抽出物は以下の方法を使用して精製する:
(1)原料を注射用水或は生食によって洗浄、低温浸漬、濾過し、濾液と薬カスを得る。
(2)薬カス粉砕後、(1)の濾液と混合し、薬シロップを生成し、冷凍と融解を反復し、遠心機にかけ、上澄液を取る。
(3)(2)で取得した上澄液を10000〜100000ドールトンのUF膜或はUF柱によって濾過し、濾過液を得る。
(4)(3)で得た濾過液を6000ドールトン以下のUF膜或はUF柱にて濾過する。
必要であれば、6000ドールトン以下のUF膜或はUF柱にて反復して濾過する。また、必要であれば、濾過前に熱圧縮処理をする。たとえば濾過液を105〜136℃で熱圧縮し、10〜45分処理する。
【0012】
また、優先的に、本発明で述べている抽出物は以下の方法を含むステップによって生成される。
(1)原材料を注射用水或は生理食塩水で洗浄し、粉砕後シロップにし、冷凍と融解を反復して、遠心機にかけ上澄液を取る;
(2)(1)で得た上澄液を10000〜100000ドールトンのUF膜或はUF柱にて濾過を行い、濾過液を得る;
(3)(2)で得た濾過液をイオンクロマトグラフィ処理を行う;
(4)(3)で得た洗脱液を脱塩処理し、6000ドールトン以下のUF膜或はUF柱で濾過する、或いは(3)で得た洗脱液を6000ドールトン以下のUF膜或はUF柱で濾過し、脱塩処理を行う。
【0013】
必要であれば、6000ドールトン以下のUF膜或はUF柱で反復して濾過を行う。
【0014】
UF膜あるいはUF柱は本技術領域でよくつかわれるUF膜或はUF柱を選択する。例えばPSUは真空繊維超濾過柱を使用し、分解分子量は6000ドールトン以下或は同等、優先的な分割分子量は6000ドールトンである;また粗濾時の分割分子量は10000〜100000ドールトンの真空繊維超濾過柱を使用し、優先的に10000ドールトン或は50000ドールトンを使用する。
【0015】
上記のイオンクロマトグラフィは、プラスイオンクロマトグラフィでも、マイナスイオンクロマトグラフィでもよい。またプラスイオンクロマトグラフィはCM-sephadex、CM-Agarose、CM-cellulose、SP-Sephadex、SP-Agarose、SP-Cellulose等を使用する;マイナスイオンクロマトグラフィはDEAE-Sephadex、DEAE-Agarose、DEAE-Cellulose、Q-Sephadex、Q-Agarose、Q-Cellulose等を使用する。
【0016】
本発明の抽出物はペプチド、アミノ酸とヒポキサンチンを含む。
【0017】
本発明の水蛭と/或はミミズの抽出物は、原材料の水蛭と/或はミミズは干物でも新鮮物でもよい。水蛭、ミミズは別個に抽出することができる。また水蛭とミミズを混合し同時に抽出することもでき、抽出した抽出物の混合物でもよい。
【0018】
本発明の抽出物は抽出液でも、脱水乾燥させた固形物でもよい。
本発明は他にもう一種抽出物の精製方法を提示しる。方法として、濾過分子量6000ダールトン以下或は同等で、優先的に6000ドールトンのUF膜或はUF柱で濾過を行う。たとえば、原料である水蛭と/或はミミズは現行技術で抽出、分離し、抽出された抽出物(半製品)を最終的に分子量が6000ドールトン以下或は同等のUF膜或はUF柱で濾過し、5800ドールトン以下の水蛭と/或はミミズの抽出物を得る。
【0019】
本発明の抽出物精製法として優先的に以下を行う。
(1)原料を注射用水或は生食によって洗浄、低温浸漬、濾過し、濾液と薬カスを得る。
(2)薬カス粉砕後、(1)の濾液と混合し、薬シロップを生成し、冷凍と融解を反復し、遠心機にかけ、上澄液を取る。
(3)(2)で取得した上澄液を10000〜100000ドールトンのUF膜或はUF柱によって濾過し、濾過液を得る。
(4)(3)で得た濾過液を6000ドールトン以下のUF膜或はUF柱にて濾過する。
【0020】
必要であれば、6000ドールトン以下のUF膜或はUF柱にて反復して濾過する。また、必要であれば、濾過前に熱圧縮処理をする。たとえば濾過液を105〜136℃で熱圧縮し、10〜45分処理する。
【0021】
本発明の抽出物の物質分子量の測定に、ヒトインシュリン(分子量5800)を参照物とし、測定された分子量がヒトインシュリンの物質量以上だった場合、高分子量物質とする。
【0022】
例として、本発明では高速液体クロマトグラフィーを採用し、測定を行っている。具体的な方法は下記の通り:
一、試験材料と機器
1、標準タンパク質分子量物質:ヒトインシュリン(Insulin),分子量5800,規格1 mg/本,中国薬品生物製品検定所より購入。
2、機器
分光光度機(日立U-3210)
高速液体クロマトグラフィーWaters 600システム
高速液体クロマトグラフィーAgilent Hp1100
3、試薬
トリフルオロ酢酸(理工大学化学工業材料学院)
アセトニトリル(Dikma社)
二、クロマトグラフィー条件
クロマトグラフィー: (TSK GEL 2000 SW×l 7.8 mm×300 mm);
流動相:トリフルオロ酢酸-アセトニトリル-水、体積比は0.025:30:70;
紫外線測定器、測定波長は214±1 nm
流速は0.7 ml/min
三、測定
試薬を適量精密に採取し、流動相により試薬溶液を製作する;ヒトインシュリンを精密に定量採取し、流動相の対照溶液とする。精密に採取した試薬溶液と対照溶液を高速液体クロマトグラフィーに注入し、高速液体クロマトグラフィー法によって測定し、記録し、分子量がヒトインシュリンより大きい物質の量を測定する。即ちヒトインシュリンより人体停留時間が短いグラフを示す物質の量を計算し、試薬の中高分子量(分子量が5800ドールトン以上)の物質の量とする。
【0023】
本発明の抽出物の物質分子量分布も、クロマトグラフィー法で測定する。以下の方法で抽出物の分子量分布状況を知ることができる。
【0024】
本発明の抽出サンプルを適量(必要に応じて脱塩処理を行う)、0.5%のTFA(トリフルオロ酢酸)水溶液で溶解する。サンプルと溶媒は1:1で混合し、室温で乾燥させる。上記の溶媒は:DHB (2,5-dihydroxybenzoic acid)、CCA(a-CHCA)。
【0025】
Autoflex(Bruker社)を用いて測定する。クロマトグラフィー条件:(MALDI-TOF-MS);N2光源,波長337 nm;線状スキャン(飛行管1.6 m,加速電圧20 kv);イオン:プラス(或はマイナス)。
【0026】
測定の結果、本発明の抽出物中の分子量は5800ドールトン以下であった。
【0027】
本発明の抽出物とは、上記の方法で測定し、5800ドールトンを上回る分子を発見できなかった物質で、よって本発明の血栓性疾患を予防、治療する抽出物の分子量は5800ドールトン以下である。
【0028】
本発明の抽出物には、ペプチド、アミノ酸、ヒポキサンチン等が含まれている。その中でペプチド、アミノ酸は、アミノ酸分析器或は高速液体クロマトグラフィーによって分析できる。たとえば中国薬典2005年版附録VI D高速液体クロマトグラフィー法に基づいてアミノ酸を測定する:
クロマトグラフィー条件とシステム適用性試験:ODSを充填剤とする;A、B液を流動相とし、洗浄、測定波長は338 nmと262 nm、柱温30℃〜40℃。
【0029】
A液:酢酸ナトリウムを適量注射用水に溶解後、トリエチルアミンを適量加え、混合、pH値を中性に調整し、テトラヒドロフランを更に適量加え混合する。
【0030】
B液:酢酸ナトリウムを適量注射用水に溶解後、酢酸を適量加えpHを中性に調節し、アセトニトリル-メタノール(1:1)の混合液を加え、混合する。
【0031】
アミノ酸対照物にpH10.4のホウ酸バッファーを適量加え、o-フタルアルデヒドと炭酸9-フルオレニルメチル試薬を加え、混ぜ合わせ、十分に反応させてo-フタルアルデヒド酸-炭酸9-フルオレニルメチルアミノ酸を生成し、対照溶液とする。本発明の抽出物を試験品とし、操作に従い高速液体クロマトグラフィーにてアミノ酸を測定する。
【0032】
抽出物中のヒポキサンチンの測定も中国薬典2005年版附録VID高速液体クロマトグラフィー法にて測定をおこなえる。ODSを固定相とし、0.1%リン酸水素二ナトリウム12水水溶液を流動相とし、検出波長を254 nmとする。理論版数はヒポキサンチンに基づいて計算し3000以上とする。
【0033】
本発明の示す血栓性疾患を予防と治療する抽出物は、ウサギの局部刺激性試験を通過し、抽出物を、生薬を含む0.5 g/mlの薬液に精製、ウサギの左右の大腿四頭筋に各1 ml注射し注射48時間後、解剖し両側の大腿四頭筋を取り出し、注射局部の重井反応を観察、10%のホルマリンで固定、病理組織検査を行った。結果:肉眼ではウサギ大腿四頭筋に充血、壊疽は見られず、刺激反応分類は0点、いわゆる顕著な変化は見られず、病理によって炎症反応は認められなかった。結果として本発明の抽出物の局部刺激性反応は認められなかった。
【0034】
本発明の血栓性疾患を予防、治療する抽出物はウサギの血管刺激性試験を通過した。本抽出物を生薬0.5 g/ml含む薬液に精製し、1 g/Kgの量(臨床使用量の25倍相当)に基づき、耳静脈注射を一回/日行い、三日連続で行った。注射部位の耳組織を固定し、病理検査を行い、注射部位の静脈の炎症反応を観察した。結果:病理検査ではウサギ耳静脈には組織変性や壊疽の刺激反応は見られず、数回にわたる静脈注射による本発明品の局部血管炎症は認められなかった。
【0035】
本発明の血栓性疾患を予防、治療する抽出物は、モルモットによるアレルギー試験を通過した。抽出物を、生薬を含む0.5g/mlの薬液に精製、健康なモルモット6匹を使い、第一グループと第二グループに分け、毎グループ3匹に分けた。本実験の第一、第二グループのモルモットを実験一日目、三日目と五日目にそれぞれ本発明の抽出物注射液を0.5ml腹腔に注射した。第一グループには第一回目の注射後14日目に本発明品の抽出物1mlを静脈注射した。第二組では一回目の注射後21日目に本発明品の抽出物1mlを静脈注射した。静脈注射後15分以内に、モルモットに逆毛、呼吸困難、くしゃみ、咳、ラ音、痙攣、虚脱或は死亡等の反応がないか観察した。結果:第一グループの第14日目と第二グループの第21日目のモルモットに本発明の抽出物を注射した後15分以内には逆毛、呼吸困難、くしゃみ、咳、ラ音、痙攣、虚脱或は死亡等の症状は見られなかった。実験観察を最終投薬2日目まで行ったが、モルモットにアレルギー反応は見られず、本発明の抽出物のモルモットのアレルギー試験は陰性だった。
【0036】
また、本発明の血栓性疾患を予防、治療する抽出物はウサギの溶血試験を通過した。本試験では溶血症状は見られず、また赤血球の異常も見られなかった。よって、本発明の抽出物の溶血試験は陰性であった。
【0037】
よって、本発明の血栓性疾患を予防、治療する抽出物は様々な薬剤の原料となりうる。本発明には上記の抽出物を活性成分とする薬剤形式も含まれている。錠剤、カプセル、顆粒剤、シップ剤、膜剤、座薬、丸薬、粉末剤、軟膏剤、溶剤、シロップ剤、点鼻、点眼剤、注射液、注射用無菌粉末、注射用濃縮液或は希釈剤などがある。これらの製薬は常軌の薬物製薬であり、本正規製薬技術を通して、上気の薬剤を生成できる。
【0038】
上記の抽出物或いは薬剤は、血栓疾患の予防、治療作用があり、血栓疾患の予防、治療薬物として製薬できる。例えば、高血脂症、動脈粥状硬化、心筋梗塞、狭心症、動脈硬化性脳梗塞、脳うっ血、静脈血栓、肺梗塞、血栓閉塞性血管炎、動脈硬化性閉塞症、(DIC)、外科手術併発血栓と血栓梗塞、肝梗塞、腎臓梗塞、胆のう梗塞、腸間膜血管梗塞、四肢壊疽、糖尿病外周神経病変、網膜血管梗塞或は突発性難聴などの予防と治療に使用できる。
【0039】
本発明の血栓性疾患を予防、治療する抽出物の突出したメリットは:分子量分布が5800ドールトン以下であり、相対分子質量(分子量)が比較的小さく、免疫抗原性が低い或いは皆無である。また、不溶性微粒の数量、粒径も現行の水蛭と/或はミミズ抽出物に比べ、本発明の水蛭と/或はミミズの抽出物の不溶性微粒の数量は大幅に少なく、粒径もはるかに小さい、よって安全性が顕著に向上した。また現行の水蛭と/或はミミズの抽出物に比べ、薬物活性或は治療効果はさらに向上し、薬物の安全性も顕著に向上しており、本発明の抽出物で生成された注射液は皮下試験を行う必要性がなく、救急患者の時間と患者の苦痛を抑えることができる。
【0040】
〔具体的な実施方法〕
<実施例1>
同等量の水蛭(乾物)、ミミズ(乾物)を生理食塩水或は注射用水で浸し、表面を十分に展開し、生理食塩水或は注射水で反復洗浄し、2-4倍の生理食塩水或は注射用水中に0-4℃以下で24時間漬け、濾過する。濾過液と薬カスを分けて保存する。
【0041】
薬カスを粉砕機で細かく砕き、コロイド擦りと上記濾過液を混ぜ合わせ、直径0.5ナノまで擦り、液体を零下15℃以下で15-30時間冷凍した後、0-4℃以下で融解させ、上記の条件で冷凍溶解を少なくとも2回繰り返す。
【0042】
上記の融解液を遠心機にて分離し、上澄液を得る。5万ドールトンのUF柱にて、濾過し、濾液を再度1万ドールトンのUF柱にて濾過し純化する。
【0043】
1万ドールトンのUF柱で濾過した濾液を、再度分子量6000ドールトンのUF柱にてさらに純化し、濾液を105-136℃で10-45分間熱圧処理をし、再度分子量6000ドールトンのUF柱にて濾過し、液体を得る。
【0044】
必要とあれば、上記で得た液体を脱水乾燥させ、個体を得る。
【0045】
上記の方法にて測定し、液中のペプチド、アミノ酸、ヒポキサンチンを含む成分を抽出する。前述の高速液体クロマトグラフィーを使ったが、抽出物中には分子量が5800ドールトン以上の物質は発見できず、よって得た抽出物の分子量分布は5800ドールトン以下であることが認められた。クロマトグラフィー結果は図1と図2に記す。
【0046】
図1と2それぞれのピーク値は表1と2参照。
【0047】
【表1】

【0048】
【表2】

【0049】
<実施例2>
同等量の水蛭(乾物或は新鮮物)、ミミズ(乾物或は新鮮物)を生理食塩水或は注射用水で浸し、表面を十分に展開し、生理食塩水或は注射水で反復洗浄し、2-4倍の生理食塩水或は注射用水中に0-4℃以下で24時間漬け、濾過する。濾過液と薬カスを分けて保存する。
【0050】
薬カスを粉砕機で細かく砕き、コロイド擦りと上記濾過液を混ぜ合わせ、直径0.5ナノまで擦り、液体を零下15℃以下で15-30時間冷凍した後、0-4℃以下で融解させ、上記の条件で冷凍溶解を少なくとも2回繰り返す。
【0051】
上記の融解液を遠心機にて分離し、上澄液を得る。5万ドールトンのUF柱にて、濾過し、濾液を再度1万ドールトンのUF柱にて濾過し純化する。
【0052】
リン酸塩バッファー液でPH6.0-7.0に調整し、CM-sephadexプラスイオン交換柱を通し、5倍の柱体積のバッファーで洗浄し、洗浄液を収集し、再度バッファーでPH6.0-7.0に調整する。DEAE- sephadexマイナスイオン交換柱を通し、バッファーで洗浄し、洗浄液を破棄、最後にPH6.0-7.0のバッファー液を加え0.2-0.5Mol/Lの塩化ナトリウムで脱塩処理を行い、抽出液を得る。それぞれ水蛭とミミズの抽出液を取り、生成した2種の抽出液を混合し、水蛭ミミズ抽出物を得る。
【0053】
必要に応じて、上記の抽出物を脱水乾燥し個体を得る。
【0054】
上記の方法で測定した場合、抽出液にはペプチド、アミノ酸、ヒポキサンチンが含まれている。前述の高速液体クロマトグラフィー法で測定すると、上記の抽出物中には5800ドールトン以上の物質は発見できず、よって得た抽出物の分子量分布は5800ドールトン以下となる。
【0055】
<実施例3>
同等量の水蛭(乾物或は新鮮物)、ミミズ(乾物或は新鮮物)を生理食塩水或は注射用水で浸し、表面を十分に展開し、生理食塩水或は注射水で反復洗浄し、2-4倍の生理食塩水或は注射用水中に0-4℃以下で24時間漬け、濾過する。濾過液と薬カスを分けて保存する。
【0056】
薬カスを粉砕機で細かく砕き、コロイド擦りと上記濾過液を混ぜ合わせ、直径0.5ナノまで擦り、液体を零下15℃以下で15-30時間冷凍した後、0-4℃以下で融解させ、上記の条件で冷凍溶解を少なくとも2回繰り返す。
【0057】
上記の融解液を遠心機にて分離し、上澄液を得る。5万ドールトンのUF柱にて、濾過し、濾液を再度1万ドールトンのUF柱にて濾過し純化する。
【0058】
1万ドールトンのUF柱で濾過した濾液を、再度分子量6000ドールトンのUF柱にてさらに純化し、濾液を105-136℃で10-45分間熱圧処理をし、再度分子量6000ドールトンのUF柱にて濾過し、液体を得る。それぞれ水蛭とミミズの抽出液を取り、生成した2種の抽出液を混合し、水蛭ミミズ抽出物を得る。
【0059】
上記の方法でクロマトグラフィーを行い、結果、水蛭、ミミズ抽出液中の分子量分布は5800ドールトン以下である。結果は図3と図4参照。
【0060】
生成した2種の溶液を混合し、水蛭ミミズ抽出液を得る。4%の薬用シップマンニトールと0.5-1%の活性炭除熱源、微孔ろ過膜で濾過し、シリンダーに分け、冷凍乾燥、舗装、検査を経て、冷凍乾燥粉針を得る。
【0061】
<実施例4>
同等量の水蛭(乾物或は新鮮物)、ミミズ(乾物或は新鮮物)を生理食塩水或は注射用水で浸し、表面を十分に展開し、生理食塩水或は注射水で反復洗浄し、2-4倍の生理食塩水或は注射用水中に0-4℃以下で24時間漬け、濾過する。濾過液と薬カスを分けて保存する。
【0062】
薬カスを粉砕機で細かく砕き、コロイド擦りと上記濾過液を混ぜ合わせ、直径0.5ナノまで擦り、液体を零下15℃以下で15-30時間冷凍した後、0-4℃以下で融解させ、上記の条件で冷凍溶解を少なくとも2回繰り返す。
【0063】
上記の融解液を遠心機にて分離し、上澄液を得る。5万ドールトンのUF柱にて、濾過し、濾液を再度1万ドールトンのUF柱にて濾過し純化する。
【0064】
1万ドールトンのUF柱で濾過した濾液を、105-136℃で10-45分間熱圧処理をし、再度分子量6000ドールトンのUF柱にてさらに2-3度濾過し、抽出液を得る。
【0065】
抽出液に5.4%のβ-CDを加え、45℃の条件下30分浸し、十分に吸い取らせ、粉末を得る;粉末を計算し、石英1.5%、PVP 0.3%、carboxymethyl澱粉1%を加え十分にかき混ぜ、顆粒剤を生成し、カプセルに詰め、1g/カプセルとする。
【0066】
<実施例5>
実施例1の方法に基づき抽出液を得る。
【0067】
抽出液に6.4%の澱粉粉を混ぜ、乾燥させ、薬用粉末を得る。
【0068】
乾燥粉末に0.1%の微粒石英、0.1%のステアリン酸マグネシウムをまぜ、カプセルに流しこむ。
【0069】
<実施例6>:ラット凝血時間への影響
オスの20±2gの昆明種ラットを選び、体重毎にランダムに3グループに分ける。毎グループ16匹に分け、毎グループにそれぞれ生理食塩水10 ml/kg、ZL03148281.3抽出物を2.5 g/kg、本発明の抽出物(実施例1)を2.5 g/kgを尾静脈に注射し、15分後眼底採血を行い、毛細血管の凝血時間を測った。結果は表3に示す。
【0070】
【表3】

【0071】
結果は表3の通り:ZL 03148281.3抽出物は明らかにラットの凝血時間を遅延させている(生理食塩水と比較、Q値は5.9637,P<0.01)、本発明の抽出物も同様にラットの凝血時間を遅延させている(生理食塩水と比較、Q値は6.4456,P<0.01),よって2種の抽出物はどれも凝血時間を遅延させることが認められる。2種の抽出物間では顕著な差は認められない(Q値は0.4819,P>0.05)。
【0072】
<実施例7>:ラット血小板と血小板粘附率の影響
1. 血小板への影響
220-270 gのオスのラット30匹を選び、ランダムで3グループに分ける。毎グループにそれぞれ生理食塩水5.0 ml/Kg、ZL03148281.3抽出物を1.0 g/kg、本発明の抽出物(実施例1)を1.0 g/kgを尾静脈に注射し、15分後眼底採血し、8項目の血球計数を測定した、結果は表4参照
2. 血小板粘附率への影響
220-270gのオスのラット30匹を選び、ランダムで3グループに分ける。毎グループにそれぞれ生理食塩水5.0 ml/Kg、ZL03148281.3抽出物を1.0g/kg、本発明の抽出物(実施例1)を1.0 g/kgを尾静脈に注射し、15分後眼底採血し、8項目の血球計数にて血小板を測定し、粘附前血小板数とした。採血1.5 mlを0.3 ml 3.8%のSodium Citratefor溶液を入れた試験管にまぜ、試験管より1 mlを取り、体外血栓-血小板粘附機器に入れ、37℃以下で17回転/分の速度で5分間回し、血小板を測定して粘附後の血小板とする。血小板粘附率を計算、結果は表4に記す。血小板の計算方法は以下の通り:
粘附率(%)=粘附前血小板数-粘附後血小板数/粘附前血中血小板数x100%
【0073】
【表4】

【0074】
結果は表4:ZL 03148281.3抽出物は明らかに正常ラットの血小板数を低下させた(生理食塩水と比較、Q値は2.9260、P<0.05)、本発明の抽出物も明らかに正常ラットの血小板数を低下させた(生理食塩水と比較、Q値は5.1399、P<0.01)。よって2種類の抽出物はともに正常ラットの血小板を低下させることを認める。しかし、2種の抽出物を比較すると、血小板数と血小板粘附率上、明らかな差は認められなかった(Q値は2.2139,P>0.05;t=1.6066,P=0.1186,P>0.05)。よって本発明の抽出物とZL03148281.3抽出物は投薬後、血小板数、血小板粘附率を低下させる作用があり、血栓形成を抑える作用がある。
【0075】
<実施例8>:肉眼異物と不溶性微粒検査
水蛭(乾物)、ミミズ(乾物)を同等量準備し、文献ZL 03148281.3が示す方法にて、水蛭ミミズ抽出物を作成する(以下ZL 03148281.3抽出物)
1.肉眼異物検査:中国薬典(2005年版)に基づき、注射薬剤の生成規定の元、本発明の抽出物とZL 03148281.3抽出物の肉眼異物に対して検査を行った。結果は表5に示す。
【0076】
【表5】

【0077】
検査結果より、本発明の抽出物とZL 03148281.3抽出物は肉眼異物に於いて顕著な差を認めた。本発明の抽出物の灯検合格率と短小繊維は顕著にZL 03148281.3抽出物より秀でており、本発明の抽出物の方が安全性に優れている。
【0078】
2、不溶性微粒検査:中国薬典(2005年版)に基づき、注射薬剤の生成規定の元、本発明の抽出物とZL 03148281.3抽出物の不溶性微粒に対して検査を行った。結果は表6に示す。
【0079】
【表6】

【0080】
検査結果より、本発明の抽出物とZL 03148281.3抽出物の不溶性微粒に於いて、明確な差異がみられた。本発明抽出物の不溶性微粒はZL 03148281.3抽出物より明確に少なく、本発明抽出物の安全性の方が優れている。
【0081】
上記の結果により、本発明の抽出物とZL03148281.3抽出物は、薬剤効果試験の結果、本発明とZL 03148281.3抽出物の間には、明確な差は見られなかったが、一部の指標では本発明抽出物の方が、ZL 03148281.3抽出物より優れていることが結果に表れた。本発明の抽出物は現行の水蛭ミミズ抽出物より、薬物活性は劣らず、薬物安全性は顕著に向上したことが認められる。
【0082】
以上、具体的な実施例を基に本発明について描写した。上記の描写と実施例はただ本発明を説明するためだけにあることを理解していただきたい。本発明の目的と精神の前提の下、本領域技術者は本発明に対して改革案や代用案を提示し、これらは本発明の保護範囲内にあると理解するべきである。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】ヒトインシュリン(分子量5800ドールトン)の高速クロマトグラフィー。
【図2】本発明抽出物(水蛭ミミズ抽出物)の高速クロマトグラフィー。
【図3】本発明抽出物(水蛭抽出物)のクロマトグラフィー図。図中:溶基はCCA,測定はプラスイオン。
【図4】本発明抽出物(ミミズ抽出物)のクロマトグラフィー図。図中:溶基はDHB、測定はマイナスイオン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水蛭と/或はミミズを原料に抽出し、精製されたものであって、特徴として抽出物の分子量が5800ドールトン以下である血栓性疾患の予防と治療の抽出物。
【請求項2】
上記抽出物は分子量が6000ドールトンのUF膜或はUF柱にて濾過し生成されている請求項1に記載の抽出物。
【請求項3】
上記抽出物は、以下の方法で生成されている請求項1又は2に記載の抽出物。
(1)原料を注射用水或は生理食塩水にて洗浄し、低温で漬け、濾過し濾液と薬カスを得る;
(2)薬カスを粉砕機で細かく砕き、ステップ(1)の濾液と混ぜる。そして冷凍と融解を反復し遠心機にかけ、上澄液を得る;
(3) (2)で得た上澄液を分子量10000〜100000ドールトンのUF膜或はUF柱にて濾過し、濾過液を得る;
(4) (3)で得た濾過液を分子量6000ドールトン以下或は同等のUF膜或はUF柱で濾過する。また必要に応じて、反復濾過を行う。また、必要であれば濾過の前に加熱圧縮処理行う、たとえば濾液を105〜136℃で10〜45分熱圧処理を行う。
【請求項4】
上記抽出物は以下の方法を経て生成される請求項1又は2に記載の抽出物。
(1)原材料を注射用水或は生理食塩水で洗浄し粉砕機で細かく砕き、冷凍と融解を反復し遠心機にかけ、上澄液を得る;
(2) (1)で得た上澄液を10000〜100000ドールトンのUF膜或はUF柱にて濾過し、濾過液を得る;
(3) (2)で得た濾過液を濾過液用イオン交換柱にて処理する;
(4) (3)で得た洗浄液を脱塩処理し、6000ドールトン以下あるいは同等のUF膜或はUF柱で濾過する;或は(3)で得た洗浄液を6000ドールトン以下あるいは同等のUF膜或はUF柱で濾過後、脱塩処理する;必要に応じて6000ドールトン以下あるいは同等のUF膜或はUF柱で濾過を反復する。
【請求項5】
上記抽出物にはペプチド、アミノ酸、ヒポキサンチンが含まれており、原料は水蛭と/或はミミズの乾物或は新鮮物であり、水蛭、ミミズは個別に抽出或は混合して抽出され、また抽出物は抽出液か脱水乾燥した個体である請求項1〜4のいずれか1項に記載の抽出物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の抽出物の精製方法であって、6000ドールトン以下或は同等のUF膜或はUF柱による濾過を含んでいる方法。
【請求項7】
上記方法は下記を含む請求項6に記載の方法。
(1)原料を注射用水或は生理食塩水にて洗浄し、低温で漬け、濾過し濾液と薬カスを得る;
(2)粉砕後、(1)の濾過液と混ぜ、冷凍と融解を反復し遠心機にかけ、上澄液を得る;
(3)(2)で得た上澄液を10000〜100000ドールトンのUF膜或はUF柱にて濾過し、濾過液を得る;
(4)(3)で得た濾過液を6000ドールトン以下あるいは同等のUF膜或はUF柱で濾過する。必要に応じて濾液を105〜136℃で10〜45分熱圧処理を行う。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の抽出物は活性成分の製薬物を含む。
【請求項9】
請求項8に記載の製薬物は、錠剤、カプセル、顆粒剤、シップ剤、膜剤、座薬、丸薬、粉末剤、軟膏剤、溶剤、シロップ剤、点鼻、点眼剤、注射液、注射用無菌粉末、注射用濃縮液或は希釈剤を含む。
【請求項10】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の抽出物或いは請求項8又は9に記載の製薬物は高血脂症、動脈粥状硬化、心筋梗塞、狭心症、動脈硬化性脳梗塞、脳うっ血、静脈血栓、肺梗塞、血栓閉塞性血管炎、動脈硬化性閉塞症、DIC、外科手術併発血栓と血栓梗塞、肝梗塞、腎臓梗塞、胆のう梗塞、腸間膜血管梗塞、四肢壊疽、糖尿病外周神経病変、網膜血管梗塞或は突発性難聴の予防と治療の為に精製される。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2009−508821(P2009−508821A)
【公表日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−530307(P2008−530307)
【出願日】平成19年6月26日(2007.6.26)
【国際出願番号】PCT/CN2007/070190
【国際公開番号】WO2008/003259
【国際公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願人】(508083781)
【氏名又は名称原語表記】LI,Zhenguo
【Fターム(参考)】