説明

血管内の血流を定量的に判定する設備及び方法

【課題】表面を有する組織の体積において血液が流れる血管内の血流を定量的に判定する。
【解決手段】体積における第1体積部分の3次元第1画像データを取り込む第1取込装置101と、第1体積部分内の血管を流れる血液の流速及び/又は体積流量の絶対値を、第1取込装置101が取り込んだ3次元第1画像データから空間分解計算する第1計算装置102と、表面における第1表面部分の光学第2画像データを時間的に連続して取り込む光学第2取込装置111と、第1表面部分の直下に配置されている血管を流れる血液の流速及び/又は体積流量の相対値を、光学第2取込装置111が取り込んだ光学第2画像データから空間分解計算する第2計算装置112と、第1表面部分の直下に配置されている血管を流れる血液の流量及び/又は体積流量の絶対値を出力する出力装置115とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載の血管内の血流を定量的に判定する設備、及び請求項8のプリアンブルに記載の血管内の血流を定量的に判定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医学分野では、画像診断法を用いた脈管、通常は血管の表示を血管造影と称する。この目的で、造影剤、すなわち画像コントラストを高めるか又は選択した検査法で特に見やすくする物質を脈管に注入することが多い。すると、造影剤が充填された脈管内部は、記録した身体領域の画像においてはっきりと見える。得られる画像を血管造影図と称する。
【0003】
基本となる医用画像法に応じて、血管造影間の区別がなされる。
【0004】
光学血管造影の場合、概して、検査対象の脈管にボーラス形態で注入した光学的に検出可能な造影剤の光学色素フロント(front:前端)が通過しているところをビデオ記録する。これは、表面に近い血流の変化しか測定することができない。特殊な場合の光学血管造影は、いわゆる蛍光眼底血管造影であり、蛍光色素を用いて血管の写真表示を得る。特許文献1は、このようなビデオ蛍光眼底血管造影法と、この方法を実行する顕微鏡システムとを記載している。対応のシステムは、IR800という名称で出願人から市販されている。
【0005】
光学血管造影は、さほど労力を伴わずにほぼ回数制限無しで手術中に実行することができる。これは、観察領域における浅い脈管の画像を、必要であればリアルタイムでも供給し、血流変化の推定を可能にする。灌流は、単独では、すなわちさらに他のパラメータの知識無しでは絶対的に定量することができない。これは、(比較的大きな)脈管における流速及び/又は体積流量、すなわち単位時間内に断面を通過する血液体積(blood volume:血液量)の絶対値又は差分絶対値を求めることが不可能であると分かることを意味する。しかしながら、血流は、例えば血管神経外科、すなわち血管に関連する神経外科において非常に重要なパラメータである。
【0006】
コンピュータ断層撮影血管造影(CTA)は、最新の多列コンピュータ断層撮影を用いている。コンピュータ断層撮影は、種々の方向から記録した対象物の多数のX線記録をコンピュータベースで評価するものであり、3次元画像を生成するために、取り込まれていない(non-captured:撮影されていない)体積構造をその後再構築する。診断目的では、2次元スライス画像を3次元画像から生成してモニタに表示する。造影剤の投与後に血管を表示することが可能である。コンピュータ断層撮影の機能性は、特許文献2に最初に記載された。
【0007】
医用画像法CTAは、検査した脈管構造の全体を3次元で表示する可能性を与えるだけでなく、脈管系の至る所での容積流量(volume flow)の絶対値すなわち体積流量の絶対値を計算することも可能にする。ヨウ素を概して含有する少量の造影剤を患者の脈管系に注入した後、組織中の上記造影剤の分布を、約40秒の全期間での反復走査を用いて記録する。ここで、X線コンピュータ断層撮影スキャナは、X線照射を用いて時間的に連続した組織のスライス画像を多数生成する。ここから、コンピュータは、造影剤の分布に要する時間を計算することができる。血流すなわち検査脈管を通る血液の流速及び/又は体積流量の絶対値を空間分解計算する方法及び設備は、例えば特許文献3に記載されている。画像評価の機能性に関する情報は、非特許文献1からも得られる。
【0008】
磁気共鳴血管造影、又は同じく磁気共鳴イメージング(MRI)は、無線周波数帯域での非常に強力な磁場及び向流電磁場に基づき、これを用いて特定の原子核を体内で共鳴により励起することで、続いて検出器における電気信号を誘発する。各原子核の場所を求めるために、空間依存電磁場(傾斜磁場)を印加するため、正確な3次元イメージングが可能となる。組織タイプごとに異なる緩和時間が、画像コントラストにとって重要な基礎となる。さらに、組織タイプ(例えば、筋肉、骨)ごとに異なる水素原子の含有量も、画像コントラストに寄与する。造影剤の投与は、特に、血管を表示することも可能にする。評定及び診断のために、3次元データ記録として記録したデータ記録を2次元画像としてモニタに表示する必要がある。核磁気共鳴は、磁気共鳴イメージングと同義に用いられる。同じく見られ得る略称MRIは、英語の磁気共鳴イメージングに由来する。MIRを実行するデバイス及び方法は、特許文献4に記載されている。
【0009】
医用画像法MIRは、脈管系の至る所での体積流量の絶対値を計算することも可能にする。灌流を定量的に測定する方法及び設備は、例えば、特許文献5に記載されている。VasSolは、アドレスhttp://www.vasolinc.com/product.cfmで、血流を定量するためのNOVA(非侵襲的最適血管解析)と称するソフトウェアを提供しており、このソフトウェアは、MRAデータを計算に用いる。
【0010】
3次元画像法CTA及びMRIを実行する設備又はデバイスは、比較的大型の設計を有する。従来のCアーム設計のコンピュータ断層撮影スキャナは、2つの巨大なアームを備え、X線源及びCT検出器が対向して位置し、患者の身体の周りを旋回する。このタイプの機器は、例えば特許文献6に記載されている。さらに、環状のコンピュータ断層撮影スキャナが知られており、この場合、患者を寝台に寝かせてスキャナ内に移動させる。X線源は、リング内で患者の周りを旋回する。例として、このタイプの設備は特許文献7に記載されている。磁気共鳴イメージングスキャナも、通常は環状の設計を有する。例として、このタイプの設備は特許文献8に図示及び記載されている。
【0011】
大きな空間要件、長い測定期間、及び外科医又は技師及び医療助手が手術中に検査組織にアクセス不可能であるか又はアクセスを制限されることの結果として、このような機器又は方法は概して、手術前にしか用いることができないか、又は手術室内で用いることができたとしても多大な労力を伴い且つ/又は長い間隔を開けて間欠的にしか行うことができない。
【0012】
絶対値測定流量プローブ、例えば超音波ドップラー流速計、レーザドップラー流速計(LDA)、及び誘導型又は容量型の流量センサ等が、流速又は粒子速度の非接触測定に、すなわち血流の判定に適しており、較正が適切な場合には絶対値も供給するが、このようなプローブは点状に用いることしかできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】DE103 39 784 A1
【特許文献2】GB1283915 A
【特許文献3】US6373920 B1
【特許文献4】DE3504734 A1
【特許文献5】US2008119720 A1
【特許文献6】EP0244596 A1
【特許文献7】US6373920 B1
【特許文献8】US2008119720 A1
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】http://www.innovations-report.de/html/berichte/medizin_gesundheit/bericht-25207.html
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
ここで、本発明の目的は、血管内の血流を定量的に判定する設備及び方法であって、手術中に用いることができ、血液の現流速及び/又は現体積流量に関するリアルタイム情報を提供することを場合によっては可能にする、設備及び方法を提供することからなる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的は、特許請求項1に記載の特徴を有する設備及び特許請求項8に記載の特徴を有する方法により達成される。本発明の有利な実施形態及び発展形態は、従属請求項に明記する。
【0017】
表面を有する組織の体積において血液が流れる血管内の血流を定量的に判定する汎用(generic)設備は、体積における第1体積部分の3次元第1画像データを取り込む第1取込装置と、第1体積部分内の血管を流れる血液の流速及び/又は体積流量の絶対値を、取込装置が取り込んだ3次元第1画像データから空間分解計算する第1計算装置とを備える。具体的には、第1取込装置は、従来のX線コンピュータ断層撮影スキャナ又は磁気共鳴イメージングスキャナとすることができ、そのコンピュータにソフトウェアが計算装置として記録されており、これが、血管を流れる血液の流速及び/又は体積流量の絶対値を、断層撮影スキャナが記録した又は取り込んだ(体積)画像データに基づき計算することを可能にし、また随意にそれを表示機器、例えば画面、モニタ、又はプリンタ等で出力することを可能にする。これらの絶対値は、数値として表示機器で出力することができるが、概してグラフ表示、より詳細には偽色(false-color)表示である可能性が高い。
【0018】
本発明は、第1取込装置に加えて、より詳細には断層撮影スキャナに加えて、(体積)画像データ用の第2取込装置も設けることを特徴とし、この第2取込装置は、血管を有する体積を包囲する表面における第1表面部分の第2画像データすなわち光学画像データを時間的に連続して取り込むよう設けられ設計される。光学第2取込装置は、ビデオカメラであってもよく、又はビデオカメラを備えていてもよい。このビデオカメラは、可視光用に設けられた従来のカメラであり得るが、カメラは、代替的又は付加的に、赤外線及び/又は紫外線スペクトル域の光学的放射を感知することも可能である。
【0019】
ビデオカメラが1つだけでなく複数あることも可能である。例として、特に記録画像をその観察者に合わせて適宜処理すれば、2つのビデオカメラの場合に立体視的印象を与えることができる。
【0020】
この光学血管造影の血管造影図又はこの血管造影図の生成のベースとなる光学画像データは、記録した又は取り込んだ血管内の血液の流速及び/又は体積流量の絶対値を示すことは可能にしないが、相対値を示すことは可能である。したがって、例えば、流速及び/又は体積流量が取り込んだ血管領域内の別の点の2倍になる点を判定することが可能である。さらに、例えば前/後比較により、例えば、術前状態と比較した外科的介入後の流速及び/又は体積流量の相対変化を判定することが可能となる。このような相対値を求めるために、第2計算装置を設ける。換言すると、本発明によれば、第1表面部分の直下に配置されている血管を流れる血液の流速及び/又は流量の相対値を、光学第2取込装置が取り込んだ光学第2画像データから空間分解計算する第2計算装置を設ける。具体的には、ビデオデータを供給され、且つ血管内の血液の流速及び/又は体積流量の相対値を、取り込んだ光学第2画像データから計算するためのソフトウェア又はコンピュータプログラムをインストールした、コンピュータを設けることができる。
【0021】
ここで、本発明の概念は、第1血管造影から、より詳細にはCT血管造影又はMR血管造影から得た血管内の血液の流速及び/又は体積流量の絶対値を用いて、光学血管造影から得た血管内の血液の流速及び/又は体積流量の相対値から血管内の血液の流速及び/又は体積流量の絶対値を得ること、すなわち、絶対値を用いて相対値を較正することからなる。
【0022】
しかしながら、前提条件として、較正に必要な相対値及び絶対値の正確な空間割り当てを行った。例として、3次元第1血管造影からの絶対値及び光学第2血管造影からの相対値の両方がある少なくとも1つの点を特定することが可能となる。残りの相対値は、例えば、残りの相対値それぞれと既知の絶対値点における相対値との比に既知の絶対値を乗じることにより得られるため、光学第2血管造影から抽出した全相対値を絶対値に変換することができる。しかしながら、1つの点における絶対値及び相対値による較正は非常に不正確であるため、較正中に異なる点における複数の絶対値及び/又は相対値の平均を求める。さらに、灌流の絶対値を入手可能な3D血管造影からの点は、灌流の相対値を入手可能な光学血管造影からの点と同一でない可能性がある。この場合も、較正中に複数の相互に異なる点における絶対値及び/又は相対値の平均を求める。
【0023】
これによれば、本発明の本質的構成要素は、第1画像データ及び第2画像データを、例えば解剖学的構造に基づき且つ/又は検査の場合にはニューロナビゲーションを介して相互に空間的に割り当てる割当装置である。解剖学的構造に基づく割り当ては、非常に精密であり、リアルタイムで実行することができるため、精密な現在のデータ材料が得られる。より詳細には、解剖学的構造を用いる場合、又はニューロナビゲーションと組み合わせる場合、いわゆる「脳偏位(brain shift)」を取り込むことさえ可能である。
【0024】
さらに、第1表面部分の直下に配置されている血管を流れる血液の流速及び/又は流量の相対値を、第1体積部分内の血管を流れる血液の流量及び/又は体積流量の絶対値に基づき、第1時点に関して相互に空間的に割り当てた第1画像データ及び第2画像データを用いて較正するために、較正装置を設ける。
【0025】
ここで、第1表面部分の直下に配置されている血管を流れる血液の時間的に連続した流速及び/又は流量の絶対値を、光学第2取込装置が時間的に連続して取り込んだ光学第2画像データからの較正相対値に基づき計算するために、第3計算装置を設ける。この第3計算装置は、例えばビデオカメラに関連するコンピュータにインストールしたソフトウェアであり得る。原理上、これは、第1取込装置すなわち特にコンピュータ断層造影スキャナに関連する上述のコンピュータでの実行用にインストールしたコンピュータプログラムとすることも可能であろう。1つ又は複数の、又は全部の計算装置を、中央サーバにコンピュータプログラムの形態で記憶させることができ、このサーバを、取込装置の近傍に、又はデータ転送装置を介して離れた場所に空間的に配置する。
【0026】
最後に、本発明によれば、時間的に連続して光学第2画像データから計算した第1表面部分の直下に配置されている血管を流れる血液の流速及び/又は流量の絶対値を出力する出力装置を設ける。出力装置は、モニタ又はプリンタとすることができる。絶対値は、空間的に割り当てた数値として、又はグラフィカル偽色表示等の形態で出力することができる。
【0027】
本発明による方法、より詳細には、表面を有する組織の体積において血液が流れる血管内の血流を定量的に判定するコンピュータ等の操作方法であって、例えば上述の設備を用いて実行することができる方法は、以下の方法ステップ:
体積における第1体積部分の3次元第1画像データを取り込むステップと、
第1体積部分内の血管を流れる血液の流速及び/又は体積流量の絶対値を、取り込んだ3次元第1画像データから空間分解計算するステップと、
表面における第1表面部分の光学第2画像データを取り込むステップと、
第1表面部分の直下に配置されている血管を流れる血流の流速及び/又は体積流量の相対値を、取り込んだ光学第2画像データから空間分解計算するステップと、
対応する3次元第1画像データ及び光学第2画像データを空間的に関連付けるステップと、
第1表面部分の直下に配置されている血管を流れる血液の、取り込んだ光学第2画像データから計算した流速及び/又は体積流量の相対値を、第1体積部分内の血管を流れる血液の流量及び/又は体積流量の絶対値に基づき、第1時点に関して相互に空間的に関連付けた第1画像データ及び第2画像データを用いて較正するステップと、
第1表面部分の直下に配置されている血管を流れる血液の時間的に連続する流速及び/又は流量の絶対値を、第2取込装置が時間的に連続して取り込んだ光学第2画像データから、較正相対値を用いて計算するステップと、
第1表面部分の直下に配置されている血管を流れる血液の、光学第2画像データから時間的に連続して計算した流速及び/又は流量の絶対値を出力するステップと、
を含む。
【0028】
特に光学的/血管造影手段が取り込んだ組織に外科手術を施す場合に、新たな較正を実行することが望ましいか又は必要であり得るが、その理由は、造影剤の温度及び/又は濃度、及び/又は画像取り込みに変化を与える、より詳細には悪影響を及ぼす他のパラメータが、変わる可能性があるか又は変わった可能性があるからである。画像データのタイプ又は品質に変化がある場合、元の状態に対する相対値の確定に変化がある可能性があるか又はすでに変化があった可能性がある。したがって、この場合は3D画像データ又は新たに取り込んだ3D画像を用いた再較正に依存する必要がないように、本発明は、血液の流速の絶対値を局所的に測定する及び/又は血液中に含まれる粒子の速度の絶対値を局所的に測定する流速及び/又は粒子速度測定装置を提供する。割当装置は、この場合さらに、流速の絶対値及び/又は粒子速度の絶対値が測定される点を対応点の光学第2画像データに割り当てるよう設計することができる。最後に、較正装置はさらに、第2時点に関して、第1表面の直下に配置されている血管を流れる血液の流速及び/又は体積流量の相対値を、流速及び/又は粒子速度測定装置が測定した流速及び/又は粒子速度の絶対値に基づき、光学第2画像データに対応する点に関連する流速の絶対値及び/又は粒子速度の絶対値に対して較正するよう具現することができる。
【0029】
したがって、本発明による方法は、以下の方法ステップ:
血液の流速及び/又は血液中に含まれる粒子の速度の絶対値を局所的に測定するステップと、
流速及び/又は粒子速度の絶対値の測定値を光学第2画像データに空間的に割り当てるステップと、
第1表面部分の直下に配置されている血管を流れる血液の流速及び/又は体積流量の相対値を、第2時点に関する流速及び/又は粒子速度の局所的に測定した絶対値に基づき較正するステップと、
も含み得る。
【0030】
したがって、較正は、例えば、光学第2画像データを取り込みながら、又は光学第2画像データを取り込むために間欠的に(while capturing the optical second image data or intermittently for capturing the optical second image data)、3次元第1画像データを用いて且つ/又は流速及び/又は粒子速度の局所的に測定した絶対値に基づき、繰り返すことができる。
【0031】
流速及び/又は粒子速度測定装置は、超音波ドップラー流速計、又はレーザドップラー流速計、又は誘導型流量センサ若しくは容量型流量センサとすることができ、又は超音波ドップラー流速計、又はレーザドップラー流速計、又は誘導型流量センサ若しくは容量型流量センサを備えることができる。これらの装置は全て、操作が比較的簡単であり、比較的少ない空間要件を特徴とする。
【0032】
多くの場合、検査対象の組織の領域を迅速に発見することが好都合である。例として、灌流の絶対値を確定するために3D血管造影(例えば、CTA又はMRA)を最初に実行する場合、3D灌流値を入手可能な表面領域で光学血管造影も実行することが重要である。これに対して、光学血管造影を最初に行う場合、この光学血管造影で検査した表面領域を3D血管造影でも再度発見することが重要である。第1の場合、本発明による設備は、第2取込装置用の位置合わせ装置を備えることができ、この位置合わせ装置は、第1取込装置が取り込んだ3次元第1画像データに基づく表面における第1表面部分の光学第2画像データの時間的に連続した取り込みを可能にするために、光学第2取込装置を位置合わせするよう設計及びインストールされる。第2の場合、設備は、第1取込装置用の位置合わせ装置を備えることができ、この位置合わせ装置は、第2取込装置が取り込んだ光学第2画像データに基づく体積における第1体積部分の3次元第1画像データの取り込みを可能にするために、第1取込装置を位置合わせするよう設計及びインストールされる。
【0033】
次に、本発明を図面に基づきより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】血管内の血流を定量的に判定する本発明による設備の例示的な第1実施形態を示す。
【図2】図1に示す本発明による設備を用いて検査される、表面を有する組織の体積における血液が流れる血管を示す。
【図3−1】血管内の血流を定量的に判定する本発明による方法の例示的な第1実施形態を示す。
【図3−2】血管内の血流を定量的に判定する本発明による方法の例示的な第1実施形態を示す。
【図4−1】血管内の血流を定量的に判定する本発明による方法の例示的な第2実施形態を示す。
【図4−2】血管内の血流を定量的に判定する本発明による方法の例示的な第2実施形態を示す。
【図5−1】血管内の血流を定量的に判定する本発明による方法の例示的な第3実施形態を示す。
【図5−2】血管内の血流を定量的に判定する本発明による方法の例示的な第3実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、血管内の血流を定量的に判定する本発明による設備100の例示的な第1実施形態を示す。設備100は、Cアームの形態のX線コンピュータ断層撮影スキャナ101と、ビデオカメラ111を結合した外科用顕微鏡110とを備える。
【0036】
Cアーム101自体は、通常の様式で具現する。これは、2つの巨大なアームを備え、その外端にはX線源101a及びX線検出器101bが相互に直径方向に対向して位置する。X線源101a及びX線検出器101bを有する2つのアームは、寝台160に寝た患者161の身体、より詳細には例えば頭部200の周りを旋回することができる。この場合、X線源101a及びX線検出器101bを互いに対向して配置することで、X線検出器101bに指向させたX線源101aのX線ビームが患者161の頭部200を通過して、例えば図2に示すような血管164を有する脳162の組織163のCT血管造影記録を可能にする。
【0037】
X線コンピュータ断層撮影スキャナ101は、データ線101cを介してコンピュータ140に接続する。このコンピュータ140は、第1にコンピュータ断層撮影スキャナ11の機能を制御するよう設計され、第2に本明細書の冒頭に記載したタイプの3次元画像データのデータ取り込み及び評価を可能にする。より詳細には、コンピュータ140は、検査組織163内の血管を流れる血液の流速及び/又は体積流量の絶対値をコンピュータ断層撮影スキャナ101が取り込んだ3次元画像データから空間分解計算することを可能にするプログラムコードを含むコンピュータプログラムを有する、計算モジュール102を備える。例示的な本実施形態では、これらの絶対値を偽色表示の形態で、コンピュータ断層撮影スキャナ101が取り込んだ血管構造164と共にモニタ106に表示することができ、このモニタは、データ線106aを介してコンピュータ140に接続する。任意に、データ線107aを介してコンピュータ140に同じく接続したプリンタ107を用いた表示も可能である。
【0038】
さらに、コンピュータ断層撮影スキャナ101又は他の接続機器の各種機能を設定するオプションをユーザに与えるために、データ線108aを介してコンピュータ140に接続したキーボード108を設ける。
【0039】
最後に、コンピュータ140を、制御線109aを介して1つ又は複数のサーボモータ109にも接続し、このサーボモータは、Cアーム101を患者161の身体に対して任意の位置に移動させることを可能にする。この目的で、コンピュータ140は、プログラムコードを含むコンピュータプログラムを有する計算モジュール103を備える。一方では、サーボモータ制御計算モジュール103は、ユーザがキーボード108を介してサーボモータ109の起動を要求した場合にこれを行うよう設計及びインストールされる。他方では、Cアーム101の位置を、所定の走査プログラム(これに関しては、本明細書の冒頭の引用文献を参照)に従って、又はより詳細に後述するようにデータ線140aを介して得た情報に基づき、設定するようになっている。
【0040】
コンピュータ140は概して、プログラムコードを含むコンピュータプログラムの形態の付加的な計算モジュール104、105を備え、これらのプログラムは、システムの機能に必要又は好都合である。これに相当する計算モジュール104、105を図面に破線で示す。
【0041】
外科用顕微鏡110は、それ自体が既知の様式で具現される。これは、主対物レンズ110bを有する顕微鏡光学系110aを備え、主対物レンズ110bは、その中心を通る光軸(ここでは図示せず)を有する。検査対象物、この場合は寝台160に寝た患者161の脳162を、主対物レンズ110bの対象物平面に配置する。脳162から出る光学的放射(例えば、可視光、赤外光、及び/又は紫外光)を、主対物レンズ110bにより平行光線束に変換する。平行光線束内に、2つのズーム系110cを光軸から離して配置する。これらのズーム系は、それぞれが平行光線束から部分光線束110dを得て偏向プリズム(図示せず)を介してそれらを接眼レンズ110eに送り、接眼レンズを観察者が左眼及び右眼110fで覗き込むことで、対象物すなわち脳162の拡大表示を像として認識するようにする。ここで、左眼で認識した像は、光軸に対して角度αで見たときの像に相当し、右眼で見た像は、光軸に対して角度−αで対象物を見たときの像に相当するため、観察者には、両眼110fを用いた場合に対象物162の立体像が全体的に見える。
【0042】
光学的放射の一部をビームとして分離するために、部分透過ミラー110gを部分光線束110dの一方に配置する。このビームを、カメラアダプタ光学系111aを介してビデオカメラ111の感光領域に伝送すると、ビデオカメラ111は、光軸に対して角度−αで観察したように対象物162の画像を記録するようになる。カメラ111が記録した画像は、データ線111bを介してコンピュータ150に画像データとして伝送される。この場合、カメラ111の感光領域は赤外光を感知する。したがって、カメラ111は、蛍光色素インドシアニングリーン(ICG)の放出を検出することを可能にし、この蛍光色素は、対応のボーラスの投与後に患者161の血液中で富化し(enriched)、第1に検査組織163の血管構造164の可視性を確保し、第2に進行する色素フロントとして血管164を流れる血液の移動の取り込みを可能にする。
【0043】
コンピュータ150は、プログラムコードを含むコンピュータプログラムの形態の複数の計算モジュール112、113、114、115、120、122を備える。計算モジュール112は、表面の直下に配置されている血管164を流れる血液の流速及び/又は体積流量の相対値をカメラ111が取り込んだ光学画像データから空間分解計算する計算装置を構成する。計算モジュール113は、割当装置として設計して、コンピュータ140によりデータ線140aを介してコンピュータ150に供給されるX線コンピュータ断層撮影スキャナ101からの画像データを、ビデオカメラ111が時間的に連続して取り込んだ光学画像データに空間的に割り当てるようにする。当該技術分野の言葉では、この手順に「マッチング」という用語を用いることも多い。換言すれば、ビデオカメラ111が観察した血管164を、コンピュータ断層撮影スキャナ101を用いて記録した血管164の画像にマッチングする。これは、ニューロナビゲーションにより、又は特徴的な解剖学的構造自体を比較することにより、特に血管164のプロファイル又は向きを比較することにより行うことができる。
【0044】
コンピュータ150は、以下で較正モジュール114と称する計算モジュール114をさらに備える。この較正モジュール114は、表面の直下に配置されている血管164を流れる血液の流速及び/又は体積流量の相対値を、X線コンピュータ断層撮影スキャナ101が実行したCT血管造影により取り込んだ体積の血管164を流れる血液の流速及び/又は体積流量の絶対値に基づき、第1時点に関する空間的にマッチングしたCT画像データ及びビデオ画像データを用いて較正する較正装置として働く。計算モジュール115は、ビデオカメラ111が取り込んだ表面の直下に配置されている血管を流れる血液の時間的に連続した流速及び/又は体積流量の絶対値を、ビデオカメラ11が時間的に連続して取り込んだ光学画像データからの較正相対値に基づき計算するよう設けられインストールされる。したがって、下記において、この計算モジュール115は絶対値計算器とも称する。
【0045】
モニタ116も、データ線116aを介してコンピュータ150に接続する。さらに、プリンタ117を、データ線117aを介してコンピュータ150に接続する。両方の装置、すなわちモニタ116及びプリンタ117は、ビデオカメラ111からの光学画像データから時間的に連続して計算された、ビデオカメラが取り込んだ表面の直下に配置されている血管164を流れる血液の流速及び/又は体積流量の絶対値を出力する出力装置としての役割を果たす。
【0046】
最後に、外科用顕微鏡110、ビデオカメラ111、及び出力装置116、117を操作するために、データ線118aを介してキーボード118をコンピュータ150に接続する。
【0047】
さらに別の特定の機能として、外科用顕微鏡110に1つ又は複数のサーボモータ119を設け、これは、検査対象の組織に対して外科用顕微鏡を位置合わせすることを可能にする。サーボモータ119は、1つしか図1には明示していないが、サーボモータ119をコンピュータ150に接続する制御線119aを介して作動される。以下でサーボモータ制御部120とも称する計算モジュール120は、外科用顕微鏡110を、例えばキーボード118を介して入力した手動入力コマンド;自動実行されたアルゴリズム;又はデータ線140aを介してコンピュータ140からコンピュータ150に供給することができる情報に基づき、確実に位置合わせする。本発明の特定の実施形態では、計算モジュール120は、外科用顕微鏡110、及びより詳細にはビデオカメラ111が、CTアーム101が取り込んだ3次元画像データに基づき所望の表面の光学画像データの時間的に連続した取り込みを可能にするよう位置合わせされるように、インストール及び具現される。したがって、例示的な本実施形態の計算モジュール103は、Cアーム101用のサーボモータ109が、ビデオカメラ111が取り込んだ光学画像データに基づき表面にマッチングした体積の3次元画像データの取り込みを可能にするよう位置合わせされるように、インストール及び具現される。
【0048】
コンピュータ140と同様に、コンピュータ150にさらに他の機能を設けることができる。例示的な実施形態では、これは、破線を用いて示す計算モジュール122を用いて識別される。
【0049】
血管造影取込装置、コンピュータ断層撮影スキャナ101、及びビデオカメラ11に加えて、設備100は誘導型流量センサ121を備える。この誘導型流量センサ121は、データ線121aを介してコンピュータ150に接続する。誘導型流量センサ121は、検査組織163を流れる血液の流速の絶対値を局所的に測定するのに適している。
【0050】
マッチングモジュール113はさらに、流速の絶対値の測定点をビデオカメラ111が取り込んだ光学画像データに空間的にマッチングするよう設計する。
【0051】
較正モジュール114は、第2時点に関して、ビデオカメラ111が取り込んだ表面の直下に配置されている血管164を流れる血液の流速の相対値を、誘導型流量センサ121が測定した流速の絶対値に基づき、ビデオカメラ111からの空間的にマッチングした光学画像データにマッチングした流速の絶対値に対して較正するよう設計する。
【0052】
完全を期すために、任意の他の流速及び/又は粒子速度センサ、例えば超音波ドップラー流速計若しくはレーザドップラー流速計、又は容量型流量センサ等を、誘導型流量センサ121の代わりに用いてもよいことに言及しておく。
【0053】
本発明による方法を、3つの例示的な実施形態に基づき以下で説明する。図3〜図5は、例示的に説明する3つの方法の個々の方法ステップを、フローチャート300、400、500の形態で明記している。原理上、3つの方法は全て、全自動で、すなわち特にコンピュータを用いて実行することができ、コンピュータには対応のコンピュータプログラムを記憶させておく。
【0054】
図3に示す、血管内の血流を定量的に判定する本発明による方法の例示的な第1実施形態は、原理上、定量測定術前血管造影、例えばCTA又はMR血管造影等を、手術中に用いることができるとともに検査血管の灌流に関する相対値を求めるのに用いることができる光学血管造影と組み合わせることに基づく。
【0055】
第1開始ステップ301における方法の開始後、術前血管造影を最初に記録する(方法ステップ302)。例として、これは、図1に描いたCアーム101を用いて、又は代替的に磁気共鳴イメージングスキャナを用いて実行することができる。この目的で、患者を寝台上に位置決めし、検査対象の身体領域をコンピュータ断層撮影スキャナにより走査する。
【0056】
次のステップ303において、術前血管造影を用いて取り込んだ又は登録した血管内の血流体積(blood flow volumes:血流量)の定量的評価を行う。血流体積の定量的評価は、検査血管を流れる血液の流速の絶対値の空間分解計算又は体積流量の絶対値の空間分解計算を意味すると理解すべきである。
【0057】
次に、患者をコンピュータ断層撮影スキャナの走査空間から出し、必要であれば手術室に移動させる。次に、例えばIR800機能を有する外科用顕微鏡を検査対象の身体領域に向け、医療助手が外科手術の準備をする。さらに次のステップ304において、光学血管造影を手術中に実行する。図3に示す例示的な実施形態は、蛍光眼底血管造影である。蛍光色素、好ましくはインドシアニングリーン(ICG)のボーラスを、患者の血管に注入することにより投与することで、赤外線感知ビデオカメラを用いて患者の検査対象の血管を高コントラストで取り込むことが可能となる。
【0058】
さらに次の方法ステップ305において、血流体積の定量的評価を行う。すなわち、血管を流れる血液の流速及び/又は体積流量の相対値を、手術中に登録した血管において計算する。
【0059】
後続のステップ306において、IR800血管造影で観察した血管とCTAを用いて手術前に記録した画像との関連付け、すなわちいわゆる「マッチング」を行う。
【0060】
さらに次のステップ307において、術前血流体積を手術中に登録した血管にマッチングし、続いてステップ308において、術前血流体積に対して術中半定量血流体積の較正を行う。
【0061】
後続の術中IR800測定は全て、この較正に基づき絶対的に定量する。図3に示すフローチャート300では、この絶対定量は、方法ステップ309〜312を繰り返し適用することにより表される。したがって、最初に、術中IR800血管造影を再度行う(方法ステップ309)。その後、手術中に登録した血管内の血流体積の半定量的評価を行い(方法ステップ310)、続いて、手術中に登録した血管内の血流体積の絶対定量を、方法ステップ308による較正に基づき行う。最後に、手術中に登録した血管における絶対的に定量した血流体積を、モニタ又はプリンタに出力する(方法ステップ312)。さらなる解析を続けるべきである限り(質問313)、ユーザが方法を終了する(方法314)まで方法ステップ309〜312を繰り返す。
【0062】
図4に示す、血管内の血流を定量的に判定する本発明による方法の例示的な第2実施形態は、原理上、図3に示す方法のように、定量測定血管造影を光学血管造影と組み合わせることに基づく。しかしながら、図3に示す方法から逸脱して、再較正を間欠的に実行するようになっている。第1開始ステップ401における方法の開始後、方法ステップ402において、術前血管造影を最初に記録する。次のステップ403において、術前血管造影を用いて取り込んだ又は登録した血管内の血流体積の定量的評価を行う。さらに次のステップ404において、光学血管造影を手術中に実行する。さらに次の方法ステップ405において、血流体積の半定量的評価を行う。すなわち、血管を流れる血液の流速及び/又は体積流量の相対値を、手術中に登録した血管において計算する。後続のステップ406において、IR800血管造影で観察した血管と手術前に記録した3次元画像とのマッチングを行う。さらに次のステップ407において、術前血流体積を手術中に登録した血管にマッチングし、続いてステップ408において、術前血流体積に対して術中半定量血流体積の較正を行う。ステップ409において、術中IR800血管造影を再度実行する。次に、方法ステップ410は、手術中に登録した血管内の血流体積の半定量的評価を行うようになっている。続いて、手術中に登録した血管内の血流体積の絶対定量を、方法ステップ408による較正に基づき行う。最後に、手術中に登録した血管内の絶対的に定量した血流体積を、モニタ又はプリンタで出力する(方法ステップ412)。さらなる解析を続けるべきである限り(質問413)、再較正を実行すべきか否かに関する質問414を行う。この質問414の答が否定である場合は方法ステップ409〜412を繰り返し、答が肯定である場合は方法ステップ402〜412を実行し、ユーザが方法を終了するまでこれを続ける(方法ステップ413、415)。
【0063】
フローチャートの形態で図5に略述した、血管内の血流を定量的に判定する本発明による方法の例示的な第3実施形態は、原理上、図4に示す方法のように、定量測定血管造影を光学血管造影と組み合わせることに基づき、間欠的に再較正のオプションを有する。3D血管造影に基づく再較正の代わりに、図5に示す方法は、流量センサによる点測定を用いた再較正のオプションを提供する。
【0064】
第1開始ステップ501における方法の開始後、方法ステップ502において、術前3D血管造影を記録する。次のステップ503において、術前血管造影を用いて取り込んだ又は登録した血管内の血流体積の定量的評価を行う。ステップ504において、光学血管造影を手術中に実行する。次に、方法ステップ505において、血流体積の半定量的評価を行う。すなわち、血管を流れる血液の流速及び/又は体積流量の相対値を、手術中に登録した血管において計算する。後続のステップ506において、光学血管造影を用いて観察した血管と手術前に記録した3次元画像とのマッチングを行う。ステップ507において、術前血流体積を手術中に登録した血管にマッチングし、ステップ508において、術前血流体積に対して手術中に判定した半定量血流体積の較正を行う。ステップ509において、術中光学血管造影を再度実行する。次に、方法ステップ510は、手術中に登録した血管内の血流体積の半定量的評価を行うようになっている。続いて、手術中に登録した血管内の血流体積の絶対定量を、方法ステップ508による較正に基づき行う。最後に、手術中に登録した血管内の絶対的に定量した血流体積を、モニタ又はプリンタで出力する(方法ステップ512)。質問513で判定するように、さらなる解析を実行すべきである限り、再較正を望むか否かに関する質問514を行う。この質問514の答が否定である場合は方法ステップ509〜512を繰り返す。質問514の答が肯定である場合、ユーザが方法を終了するまで(方法513、521)、方法ステップ515〜520を最初に実行してから、方法ステップ509〜512を実行する。
【0065】
再較正は、以下の方法ステップを用いて行う。最初に、上記流量センサを用いて血管内の血流体積の点測定を行う(ステップ515)。概して、この測定は手術中に実行することができる。すなわち、患者を手術領域から移動させる必要がなく、外科手術の実行を妨げる機器が検査対象の組織の周りを旋回する必要がない。
【0066】
次に、ステップ516において、同様に手術中にIR800血管造影を行い、ステップ517において、IR800機能を用いて手術中に得たデータにおいて血流体積の半定量評価を行う。ステップ518において、ステップ515からの流速の点測定の点を、IR800血管造影を用いて観察した血管における点にマッチングする。その後、ステップ519において、複数点で測定した血流体積を手術中に登録した血管にマッチングし、最後にステップ520において、流量センサにより複数点で測定した血流体積に対応する半定量血流体積の較正を行う。
【符号の説明】
【0067】
100 血流を定量的に判定する設備
101 Cアームの形態のX線コンピュータ断層撮影スキャナ
101a X線源
101b X線検出器
101c データ線
102 プログラムコードを含むコンピュータプログラムを備える計算モジュール(絶対値コンピュータ)
103 プログラムコードを含むコンピュータプログラムを備える計算モジュール(サーボモータ制御部)
104 プログラムコードを含むコンピュータプログラムを備える計算モジュール
105 プログラムコードを含むコンピュータプログラムを備える計算モジュール
106 モニタ
106a データ線
107 プリンタ
107a データ線
108 キーボード
108a データ線
109 サーボモータ(単数又は複数)
109a 制御線
110 外科用顕微鏡
110a 顕微鏡光学系
110b 主対物レンズ
110c ズーム系
110d 部分光線束
110e 接眼レンズ
110f 眼
110g 部分透過ミラー
111 カメラ
111a カメラアダプタ光学系
111b データ線
112 プログラムコードを含むコンピュータプログラムを備える計算モジュール(相対値コンピュータ)
113 プログラムコードを含むコンピュータプログラムを備える計算モジュール(マッチングモジュール)
114 プログラムコードを含むコンピュータプログラムを備える計算モジュール(較正モジュール)
115 プログラムコードを含むコンピュータプログラムを備える計算モジュール(絶対値コンピュータ)
116 モニタ
116a データ線
117 プリンタ
117a データ線
118 キーボード
118a データ線
119 サーボモータ(単数又は複数)
119a 制御線
120 プログラムコードを含むコンピュータプログラムを備える計算モジュール(サーボモータ制御部)
121 誘導型流量センサ
121a データ線
112 プログラムコードを含むコンピュータプログラムを備える計算モジュール
140 コンピュータ
140a データ線
150 コンピュータ
160 寝台
161 患者
162 脳
163 組織
164 血管
200 頭部
300 フローチャート
301 外科的ステップ
312 外科的ステップ
313 外科的ステップ
314 外科的ステップ
401 外科的ステップ
412 外科的ステップ
413 外科的ステップ
414 外科的ステップ
415 外科的ステップ
501 外科的ステップ
512 外科的ステップ
513 外科的ステップ
514 外科的ステップ
515 外科的ステップ
521 外科的ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面を画定する組織の体積において血液が流れる血管内の血流を定量的に判定する設備であって、
前記体積の第1体積部分の3次元第1画像データを取り込む第1検出ユニットと、
前記第1体積部分内の血管における流速及び/又は体積流量の絶対値を、前記3次元第1画像データから空間分解計算する第1計算ユニットと、
前記表面における第1表面部分の時間的に連続した光学第2画像データを取り込む光学第2検出ユニットと、
前記第1表面部分の直下に配置されている血管を流れる血液の前記流速及び/又は前記体積流量の相対値を、前記光学第2画像データから空間分解計算する第2計算ユニットと、
前記第1画像データ及び前記第2画像データを空間的に割り当てる割当ユニットと、
前記第1表面部分の直下に配置されている前記血管を流れる血液の前記流速及び/又は前記体積流量の前記相対値を、前記第1体積部分内で前記血管を流れる血液の前記流速及び/又は前記体積流量の前記絶対値に基づき、第1時点に関して前記第1画像データ及び前記第2画像データを用いて較正する較正ユニットであり、前記第1画像データ及び前記第2画像データは、相互に空間的に割り当てられる、較正ユニットと、
前記第1表面部分の直下に配置されている前記血管を流れる血液の時間的に連続した前記流速及び/又は前記流量の前記絶対値を、前記光学第2検出ユニットが時間的に連続して取り込んだ前記光学第2画像データからの較正相対値に基づき計算する第3計算ユニットと、
時間的に連続して前記光学第2画像データから計算した前記第1表面部分の直下に配置されている前記血管を流れる血液の前記流速及び/又は前記体積流量の前記絶対値を出力する出力ユニットと、
を備える、設備。
【請求項2】
請求項1に記載の設備において、前記第1検出ユニットは、X線コンピュータ断層撮影スキャナ又は磁気共鳴断層撮影スキャナである、設備。
【請求項3】
請求項2に記載の設備において、前記光学第2検出ユニットはビデオカメラを含む、設備。
【請求項4】
請求項1に記載の設備において、
血液の流速の絶対値の局所測定及び/又は血液中に含まれる粒子の速度の絶対値の局所測定を行う流速及び/又は粒子速度測定ユニットをさらに備え、
前記割当ユニットを、前記流速の前記絶対値及び/又は前記粒子速度の前記絶対値の測定場所を一致する場所の前記光学第2画像データに割り当てるようさらに構成し、
前記較正ユニットを、前記第1表面部部分の直下に配置されている前記血管を流れる血液の前記流速及び/又は前記体積流量の前記相対値を、前記流速及び/又は粒子速度の前記絶対値に基づき、第2時点に関する前記流速の前記絶対値又は前記粒子速度の前記絶対値に対して較正するようさらに構成し、前記流速及び/又は前記粒子速度の前記絶対値を前記流速及び/又は粒子速度測定ユニットにより測定し、前記流速の前記絶対値を前記光学第2画像データに割り当てる、設備。
【請求項5】
請求項4に記載の設備において、前記流速及び/又は粒子速度測定ユニットは、超音波ドップラー流速計若しくはレーザドップラー流速計、又は誘導型流量センサ若しくは容量型流量センサを含む、設備。
【請求項6】
請求項5に記載の設備において、前記第2検出ユニット用の位置合わせユニットをさらに備え、該位置合わせユニットを、前記第1検出ユニットが取り込んだ前記3次元第1画像データに基づく前記表面における前記第1表面部分の前記光学第2画像データの時間的に連続した取り込みを可能にするために、前記光学第2取込ユニットを位置合わせするよう構成した、設備。
【請求項7】
請求項5に記載の設備において、前記第1検出ユニット用の位置合わせユニットをさらに備え、該位置合わせユニットを、前記第2検出ユニットが検出した前記光学第2画像データに基づく前記体積における前記第1体積部分の前記3次元第1画像データの検出を可能にするために、前記第1検出ユニットを位置合わせするよう構成した、設備。
【請求項8】
表面を画定する組織の体積において血液が流れる血管内の血流を定量的に判定する方法であって、
前記体積における第1体積部分の3次元第1画像データを取り込むステップと、
前記第1体積部分内の血管を流れる血液の流速及び/又は体積流量の絶対値を、取り込んだ前記3次元第1画像データから空間分解計算するステップと、
前記表面における第1表面部分の光学第2画像データを取り込むステップと、
前記第1表面部分の直下に配置されている血管を流れる血流の前記流速及び/又は前記体積流量の相対値を、取り込んだ前記光学第2画像データから空間分解計算するステップと、
対応する3次元第1画像データ及び光学第2画像データを空間的に関連付けるステップと、
前記第1表面部分の直下に配置されている前記血管を流れる血液の、取り込んだ前記光学第2画像データから計算した前記流速及び/又は前記体積流量の前記相対値を、前記第1体積部分内の前記血管を流れる血液の前記流量及び/又は前記体積流量の前記絶対値に基づき、第1時点に関する相互に空間的に関連付けた前記第1画像データ及び前記第2画像データを用いて較正するステップと、
前記第1表面部分の直下に配置されている前記血管を流れる血液の時間的に連続する前記流速及び/又は前記流量の絶対値を、前記第2取込装置が時間的に連続して取り込んだ前記光学第2画像データから、較正相対値を用いて計算するステップと、
前記第1表面部分の直下に配置されている前記血管を流れる血液の、前記光学第2画像データから時間的に連続して計算した前記流速及び/又は前記流量の前記絶対値を出力するステップと、
を含む、方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法において、前記3次元第1画像データを、X線コンピュータ断層撮影スキャナ又は磁気共鳴断層撮影スキャナを用いて求める、方法。
【請求項10】
請求項8に記載の方法において、前記第2光学画像データはビデオ画像データである、方法。
【請求項11】
請求項8に記載の方法において、前記3次元第1画像データ及び前記光学第2データの割り当てを、ニューロナビゲーション及び/又は解剖学的構造の比較により実行する、方法。
【請求項12】
請求項8に記載の方法において、
血液の流速及び/又は血液中に含まれる粒子の速度の絶対値を局所的に測定するステップと、
前記流速及び/又は前記粒子速度の前記絶対値の測定値を前記光学第2画像データに空間的に割り当てるステップと、
前記第1表面部分の直下に配置されている前記血管を流れる、対応の場所における血液の前記流速及び/又は前記体積流量の相対値を、第2時点に関する前記流速及び/又は前記粒子速度の局所的に測定した前記絶対値に基づき較正するステップと、
をさらに含む、方法。
【請求項13】
請求項8に記載の方法において、前記較正を、前記光学第2画像データを取り込みながら、又は該光学第2画像データを取り込むために間欠的に、前記3次元第1画像データを用いて且つ/又は流速及び/又は粒子速度の局所的に測定した絶対値に基づき、繰り返すことができる、方法。
【請求項14】
コンピュータでの実行時に請求項8に記載の方法を実行するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラム。
【請求項15】
請求項8に記載の方法を実行するよう構成したコンピュータ。

【図1】
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【図2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【公開番号】特開2012−161593(P2012−161593A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−284263(P2011−284263)
【出願日】平成23年12月26日(2011.12.26)
【出願人】(503078265)カール ツァイス メディテック アクチエンゲゼルシャフト (51)
【氏名又は名称原語表記】Carl Zeiss Meditec AG
【住所又は居所原語表記】Goeschwitzer Strasse 51−52, D−07745 Jena, Germany
【Fターム(参考)】