説明

血管透過性に関連する疾患または病気のための製剤および方法

本明細書には、血管透過性に関連する疾患あるいは病気を治療、阻害もしくは予防するか、それらの発症を遅らせるか、またはそれらの回復を引き起こすための、製剤および方法が記載されている。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔発明の分野〕
本明細書に記載の製剤および方法は、血管透過性に関連する疾患あるいは病気が治療、阻害もしくは予防されるか、それらの発症が遅らせられるか、またはそれらの回復が引き起こされることを必要とする被検体(特に限定されないがヒトを含む)に、治療剤を含んでいる製剤を送達することによって、上記疾患あるいは病気を治療、阻害もしくは予防するか、それらの発症を遅らせるか、またはそれらの回復を引き起こすための製剤および方法である。ある実施形態では、上記治療剤は、リムス化合物、およびイムノフィリン結合化合物(ラパマイシン(シロリムス(sirolimus))が含まれるが、これに限定されない)を含んでいる。
【0002】
〔関連出願の相互参照〕
本出願は、参照によって、全てのことを目的として完全に組み込まれる「Formulations And Methods For Vascular Permeability-Related Diseases Or Conditions,」と題された米国仮特許出願第60/785,814号明細書(2006年3月23日出願)に関連するものであり、その優先権を主張するものである。
【0003】
〔発明の背景〕
正および負の血管新生調節因子が複雑な相互作用をすることによって、血管が発達および成熟する。これら因子間の調節が異常になると、血管透過性が増加した血管などの病的な血管が形成されることになると考えられている(Bergers & Benjamin, Nat. Rev. Cancer 3:401-410 (2003))。増加した血管透過性は、幾多の病状と関連している。例えば、特に限定されないが、眼の疾患または疾病、糖尿病、癌、肺高血圧症、および浮腫が挙げられる。
【0004】
非限定的な1例として眼について考える。眼には、高度に血管が形成された組織と、完全に無血管の組織とが隣接して含まれている。この特殊化した生体構造には、血管の活動休止と、血管成長とのバランスの制御を必要とされるが(Schlingemannら, Br. J. Ophthalmol. 81:501-51 (1991))、この繊細なバランスが、血管新生や血管透過性に関連する眼の疾患では崩されている。深刻な視力喪失や失明の主要事例のいくつかには、眼の血管がダメージを受けるか、または満足に調節されないという、眼に関連する疾患がある。血管透過性の要素を有する眼に関連する疾患には、例えば、滲出型加齢性黄斑変性症、糖尿病性網膜症、角膜血管新生、脈絡膜血管新生、血管新生緑内障、毛様体炎、ヒッペル−リンダウ病、未熟児網膜症、翼状片、ヒストプラズマ症、虹彩血管新生、黄斑浮腫、および緑内障関連血管新生などが含まれる。視力喪失は、増加した血管透過性によって引き起こされるとされている。あるいは、増加した血管透過性は、眼の機能を損なうか、または眼に問題を引き起こすか、あるいは患者を不快にさせる1つ以上の症状と関連するとされている。特に限定されないが、一例を挙げると、眼の中およびガラス体腔(vitreal cavity)の中へ流動体が蓄積することによって、網膜剥離、眼の感覚細胞の変性、上昇した眼圧、および炎症が引き起こされ得る。これらの全ては、視力や一般的な眼の健康に悪影響を与えるものである。
【0005】
もう1つ別の例としては、2種類の糖尿病性網膜症が挙げられるがこれに限定されない。第1の糖尿病性網膜症は非増殖性網膜症である。この網膜症は、増加した毛細血管透過性、微細動脈瘤、出血、浸出、および浮腫を特徴とする病気の初期段階である。この段階の間では、ほとんどの視力喪失は、血管からの漏れ出しが原因である、黄斑における流動体の蓄積によるものである。流動体のこの蓄積は、黄斑浮腫と呼ばれており、一時的な視力低下、または永久的な視力低下を引き起こすことがある。血管からの漏れ出しの期間が長くなることによって、最終的には、基底膜の薄膜化が引き起こされ、さらには軟性白斑および硬性白斑の形成が引き起こされることがある。第2の糖尿病性網膜症は、増殖性網膜症と呼ばれており、ガラス体表面において成長するか、またはガラス体腔へ伸長する異常な新規血管の形成を特徴としている。網膜または脈絡膜の新しく形成されたこれら血管は、透過性であることが多くあり、そのため血管の流動体が周辺の組織へ漏れ出して、繊維化した組織が形成されたり、組織を傷つけたりすることがある。血管系から物質が眼の組織へ漏れ出すことや、この物質が傷つけることにより、視力喪失が引き起こされることがある。
【0006】
網膜浮腫、脈絡膜浮腫、および黄斑浮腫を含めた眼に関連する疾患の多くに対しては、現在のところ利用可能であり有効な治療法の選択肢は存在しない。レーザー光凝固術は、レーザーによる火傷を負を実施するものである。例えば、黄斑光焦点凝固術(focal macular photocoagulation)は、黄斑の外側にある血管が漏れ出した領域を治療するために用いられている(Murphy, Amer. Family Physician 51(4):785-796 (1995))。さらに進んだ増殖性網膜症は、一般的には、散乱光凝固術(scatter photocoagulation)または広範囲網膜光凝固術(panretinal photocoagulation)によって治療される。レーザー治療は、治療領域に対応する永久的な盲点を引き起こす可能性がある。また、レーザー治療は、持続性の出血または再発性の出血を引き起こしたり、血管新生もしくは繊維形成を誘導したり、あるいは網膜剥離の危険性を増加させたりする可能性がある。さらに、患者の中には、レーザー治療に反応しないものもいる。
【0007】
眼の疾患または病気、および他の種類の透過性関連疾患または病気を、危険な副作用を軽減して治療することは有益なことである。
【0008】
増加した血管透過性を特徴とするさらに別の疾患または疾病は、肺高血圧症である。肺高血圧症は、肺の稀な血管疾病であり、肺動脈(心臓から肺に至る血管)の血圧が、正常値を超えて上昇し、やがて命に関わるほどの値になる疾病である。肺高血圧症の原因の1つは肺胞低酸素症であり、肺胞低酸素症は、十分にかん流された肺胞の局所的な換気量が不十分であること、または肺胞換気量が一般的に減少していることによって引き起こされる。また、肺胞高血圧症は、血管透過性関連疾患でもある。肺高血圧症は、歴史的に見れば、慢性で生存率の低い不治の病であった。肺高血圧症の治療は、通常、酸素の連続使用を含んでいる。肺動脈血管拡張剤(例えば、ヒドララジン、カルシウム拮抗薬、亜酸化窒素、プロスタサイクリン)は、有効であると証明されておらず、さらに肺移植の際には、治療に反応しない患者を必要とすることもしばしばある。
【0009】
説明のための眼の疾病および肺高血圧症を上に記載したが、それらは増加した血管透過性によって引き起こされることができる、数種の問題の単なる非限定的な例である。眼の疾患および疾病、ならびに肺高血圧症に加えて、増加した血管透過性は、様々な他の疾患および疾病の病態生理学に関与していることが発見された。
【0010】
血管透過性関連疾病の流行に関わらず、該血管透過性関連疾病をより良好に治療することが依然として必要とされている。
【0011】
〔要旨〕
本明細書には、血管透過性に関連する疾患あるいは病気を治療、阻害もしくは予防するか、それらの発症を遅らせるか、またはそれらの回復を引き起こすための方法であって、上記疾患または病気が治療、予防もしくは阻害されるか、それらの発症が遅らせられるか、またはそれらの回復が引き起こされることが必要な被検体に、治療剤を含んでいる有効な量の製剤を投与する工程を含んでおり、当該治療剤は、リムス化合物、またはその薬学的に許容可能なプロドラッグ、類似体、塩、エステル、もしくは誘導体である方法が記載されている。
【0012】
本明細書には、血管透過性に関連する疾患または病気を治療、阻害もしくは予防するか、それらの発症を遅らせるか、またはそれらの回復を引き起こすための方法であって、上記疾患または病気が治療、予防もしくは阻害されるか、それらの発症が遅らせられるか、またはそれらの回復が引き起こされることが必要な被検体に、治療剤を含んでいる有効な量の製剤を投与する工程を含んでおり、当該治療剤は、イムノフィリン結合化合物、またはその薬学的に許容可能なプロドラッグ、類似体、塩、エステル、もしくは誘導体である方法が記載されている。
【0013】
ある実施形態では、上記治療剤は、リムス化合物、またはその薬学的に許容可能な塩もしくはエステルである。
【0014】
ある実施形態では、上記治療剤は、イムノフィリン結合化合物、またはその薬学的に許容可能な塩もしくはエステルである。
【0015】
本明細書には、血管透過性に関連する疾患または病気を治療、阻害もしくは予防するか、それらの発症を遅らせるか、またはそれらの回復を引き起こすための方法であって、上記疾患または病気が治療、予防もしくは阻害されるか、それらの発症が遅らせられるか、またはそれらの回復が引き起こされることが必要な被検体に、治療剤を含んでいる有効な量の製剤を投与する工程を含んでおり、当該治療剤は、ラパマイシン、SDZ−RAD、タクロリムス、エベロリムス(everolimus)、ピメクロリムス(pimecrolimus)、CCI−779、AP23841、ABT−578、TAFA−93、RAD−001、テンシロリムス、AP23573、7−エピ−ラパマイシン、7−チオメチル−ラパマイシン、7−エピ−トリメトキシフェニル−ラパマイシン、7−エピ−チオメチル−ラパマイシン、7−デメトキシ−ラパマイシン、32−デメトキシ−ラパマイシン、2−デスメチル−ラパマイシン、ラパマイシンのモノエステル誘導体、ラパマイシンのジエステル誘導体、ラパマイシンの27−オキシム;ラパマイシンの42−オキソ類似体;二環式ラパマイシン;ラパマイシンダイマー;ラパマイシンのシリルエーテル;ラパマイシンのアリールスルホン酸塩、ラパマイシンのスルファミン酸塩、31位および42位におけるモノエステル、31位および42位におけるジエステル、30−デメトキシラパマイシン、ならびにそれらの薬学的に許容可能な塩およびエステルから成る群からものである、方法が記載されている。
【0016】
ある実施形態では、上記治療剤は、ラパマイシン、SDZ−RAD、タクロリムス、エベロリムス、ピメクロリムス、CCI−779、AP23841、ABT−578、ならびにそれらの薬学的に許容可能な塩およびエステルから成る群から選択される。
【0017】
ある実施形態では、製剤中の治療剤の量は、20μgから4mgの間のラパマイシンの量に等しい。
【0018】
ある実施形態では、上記血管透過性に関連する疾患または病気は、毛細血管漏出と関係する浮腫;毛細血管透過性と関係する浮腫;合併症としての浮腫を有する疾患(diseaseswith edema as a complication);静脈閉塞症と関係する浮腫;リンパ管閉塞症と関係する浮腫;肺疾患と関係する浮腫;感染病と関係する浮腫;炎症性疾患、非炎症性疾患もしくは自己免疫疾患と関係する浮腫;神経系疾患と関係する浮腫;新生物もしくは腫瘍と関係する浮腫;皮膚病もしくは皮膚疾患と関係する疾患;遺伝的異常、先天性異常、もしくは嚢胞異常と関係する浮腫;環境に起因する浮腫もしくは他のものに曝されることによって生じた浮腫;急性外傷もしくは負傷によって引き起こされた浮腫;梗塞および虚血再かん流と関係する浮腫;種々の原因の浮腫;または全身性疾患と関係する浮腫から成る群から選択される。
【0019】
ある実施形態では、上記血管透過性に関連する疾患あるいは病気は、心筋症;拡張型心筋症;肥大型心筋症;拘束型心筋症;うっ血性心不全;フィラリア症;腎不全;リンパ浮腫;子癇前症;子癇;甲状腺疾患;静脈瘤症;拡張蛇行静脈;大動脈縮窄;肺性心;滲出性皮膚炎;ホジキン病;心膜炎;腎性肺浮腫(nephrogenic pulmonary edema);血栓静脈炎;血栓症;新生物;静脈瘤症;動静脈瘻;リンパ節腫脹;動脈瘤;フィラリア症;蜂巣炎;新生物;外科的切除;肺浮腫;慢性閉塞性肺疾患;胸水;嚥下性肺炎;喘息によって引き起こされた浮腫;羊水塞栓症;はれもの;癰;膿瘍;丹毒;骨髄炎;ガス壊疽;丹毒;炭疽病;ルードウィッヒアンギナ;寄生虫による感染症;旋毛虫病;ウイルス性脳炎;AIDS;単純ヘルペスウイルス感染症;帯状疱疹ウイルス感染症;結核(播種性結核;軍事用結核など);神経梅毒;プリオン病;髄膜炎;肺炎球菌髄膜炎;狂犬病;視神経網膜炎;炭疽菌汚染;エンドトキシンによって引き起こされた浮腫;ウェゲナー肉芽腫症;シェーグレン症候群;強皮症;全身性エリテマトーデス;サルコイドーシス;多発性硬化症;ライター症候群;化膿性肉芽腫;血管炎;脱髄疾患;良性頭蓋内圧亢進症;乳頭浮腫;視神経炎;多発脳梗塞性認知症;アルツハイマー病;アミロイド沈着病;有毒な代謝性の脳浮腫;脳のアミロイドアンギオパチー;発作後の状態;血液脳関門の機能不全;ボーグト・コヤナギ・ハラダ症候群;頚動脈内膜切除における予防的使用;血管原性脳浮腫;脈絡膜メラノーマ;脈絡膜母斑;メラノーマ;神経腫;上皮腫;リンパ管腫;粘液腫;線維腫;線維筋腫;骨腫;軟骨腫;脈管腫;血管肉腫;腫瘍周辺の脳浮腫;血管腫;カルチノイド;多発性内分泌腺腫;遅発性皮膚ポルフィリン症;類天疱瘡;疱疹状皮膚炎;天疱瘡;とびひ(empitigo);多形性紅斑;滲出性皮膚炎;表皮水疱症;接触皮膚炎;光線性皮膚炎;中毒疹;皮膚筋炎;湿疹;中毒性表皮壊死症;色素性乾皮症(xeroderma pigmentosa);水腔;皮様嚢腫;卵巣嚢腫;羊膜帯;動静脈瘻;髄膜組織球;水頭症;遺伝性血管神経性浮腫;神経線維腫症;フォンヒッペルリンドウ病;結節硬化症;急性腎炎;血管神経性浮腫;強皮症;超過敏反応;輸血反応;山酔い;高地肺浮腫(HAPE);高地脳浮腫(HACE);熱帯浮腫;凍瘡;薬物中毒;中毒;煙の吸引、一酸化炭素中毒または溺水による無酸素症;毒ガス、ツタウルシ、有毒オーク、毒ウルシ、ネトゥルへの暴露;コリン作動薬性中毒;全身性ステロイド療法による浮腫;エタノールによって引き起こされた脳損傷;ナトリウム欠乏性脳浮腫;骨損傷、関節損傷、軟組織損傷、もしくは臓器損傷による急性外傷;運動競技もしくはスポーツ活動における腫れを予防するための予防的治療;打撲;挫傷;靭帯のねんざもしくは腱の筋違い(tendonous strain);滑液包炎;関節損傷;骨折;虫刺され;毒蛇咬傷;虫刺され;海綿動物、サンゴ、イソギンチャク、ウニ、アカエイ、カサゴまたはクラゲに刺されたことによる、海洋関係の中毒もしくは毒物注入;刺激物または腐食物への暴露;凍傷;火傷;日焼;電気的損傷;外傷性脳損傷;脊髄損傷;外傷性視神経症;硬膜下血腫;くも膜下血腫;頚動脈海綿静脈洞痩;脳梗塞;心筋梗塞;動脈閉塞症;動脈裂傷;再移植を必要とする四肢切断;網膜中心動脈閉塞症;網膜動脈分枝閉塞症;前方または後方虚血性視神経障害;虚血によって引き起こされた浮腫;痛風;血管神経性浮腫;ミルロイ病;角膜浮腫;上強膜炎(episceritis);強膜炎;脈絡膜滲出;結膜浮腫;滲出性網膜剥離;脳室腹腔短絡術の機能不良;脳脊髄液ドレイナージの閉塞(CSF drainage obstruction);アフター性潰瘍;白斑症;喉頭蓋炎(epiglotitis);細胞毒性浮腫;喉頭浮腫;慢性咳;扁平苔癬;膵炎;眼瞼炎;眼瞼腫脹;多発性筋炎;アナフィラキシーショック;ショック;敗血症;急性呼吸窮迫症候群(ARDS);集中治療の患者;心肺バイパスによって引き起こされた脳浮腫;低温によって引き起こされた脳浮腫;肝不全によって引き起こされた脳浮腫;交感性眼炎;肉腫;高地網膜出血;眼ならびに眼窩の鈍性外傷および穿通性外傷;高血圧性網膜症;星芒状黄斑;眼窩蜂巣炎;脈絡膜梗塞;霜状分子血管炎(frosted branch angiitis);鎌状赤血球病;乳頭腫;角膜炎;涙腺炎;涙管炎;涙嚢炎;コンタクトレンズによって引き起こされた結膜炎;間質性炎症;木質性結膜炎;瞼裂斑;翼状片;滴状角膜;アデノーマ;毛細血管腫;海綿状血管腫;血管内皮腫;血管周囲細胞腫;カポジ肉腫;分離腫;良性反応リンパ過形成;リンパ系新生物;麦粒腫;霰粒腫;黄色腫;角膜移植浮腫;および屈折手法と関係する角膜浮腫;ならびに下垂症、から成る群から選択される。
【0020】
ある実施形態では、上記疾患または病気は、蜂巣炎、眼瞼の浮腫、新生物、単純ヘルペスウイルス感染症、帯状疱疹ウイルス感染症、結核、神経梅毒、ウェゲナー肉芽腫症、シェーグレン症候群、強皮症、全身性エリテマトーデス、サルコイドーシス、多発性硬化症、ライター症候群、化膿性肉芽腫、血管炎、または脱髄疾患、乳頭浮腫、視神経炎、アミロイド沈着病、ボーグト・コヤナギ・ハラダ症候群、脈絡膜メラノーマ、脈絡膜母斑、メラノーマ、神経腫、上皮腫、リンパ管腫、粘液腫、線維腫、線維筋腫、骨腫、軟骨腫、血管腫、酒さ、皮膚炎、類天疱瘡、多形性紅斑、神経線維腫症、フォンヒッペルリンドウ病、または結節硬化症、超過敏反応、薬物中毒、急性外傷、虫刺され、火傷、外傷性視神経症、頚動脈海綿静脈洞痩、網膜中心動脈閉塞症、網膜動脈分枝閉塞症、前方または後方虚血性視神経障害、または虚血によって引き起こされた浮腫、角膜浮腫、上強膜炎、強膜炎、脈絡膜滲出、結膜浮腫、滲出性網膜剥離、脳室腹腔短絡術の機能不良、脳脊髄液ドレイナージの閉塞症、眼瞼炎、眼瞼腫脹から成る群からのメンバーである。
【0021】
本明細書には、本明細書に記載の上記疾患または病気を治療するための方法が記載されている。
【0022】
また、本明細書には、上記疾患または病気を予防するための方法が記載されている。
【0023】
さらに、ある実施形態では、上記治療剤を含んでいる上記製剤は、経直腸的に配置されるか、経膣的に配置されるか、注入によって配置されるか、筋肉内に配置されるか、腹腔内に配置されるか、動脈内に配置されるか、くも膜下腔内に配置されるか、気管支内に配置されるか、嚢内に配置されるか、皮膚に配置されるか、皮下に配置されるか、皮内に配置されるか、経皮的に配置されるか、経静脈的に配置されるか、頸管内に配置されるか、腹内に配置されるか、頭蓋内に配置されるか、眼内に配置されるか、眼周囲に配置されるか、肺内に配置されるか、胸空内に配置されるか、気管内に配置されるか、鼻腔に配置されるか、口腔に配置されるか、舌下に配置されるか、経口的に配置されるか、非経口的に配置されるか、局所的に配置されるか、皮下植え込みによって配置されるか、塞栓術の一部として配置されるか、皮膚を通して配置されるか、直接神経に配置されるか、直接視神経に配置されるか、視神経頭への直接注入によって配置されるか、網膜を通して配置されるか、流出(effusion)または滲出の領域に経強膜的に配置されるか、あるいは噴霧化またはエアロゾル化されたあとに吸入される。
【0024】
本明細書に記載の治療方法は、下記の疾患または病気の何れか1つ以上を治療、予防もしくは阻害するか、それらの発症を遅らせるか、またはそれらの回復を引き起こすための、有効な量のリムス化合物を含んでいる製剤を投与する工程を含んでいる。ここで、上記疾患または病気は、心筋症;拡張型心筋症;肥大型心筋症;拘束型心筋症;うっ血性心不全;フィラリア症;腎不全;リンパ浮腫;子癇前症;子癇;甲状腺疾患;静脈瘤症;拡張蛇行静脈;大動脈縮窄;肺性心;滲出性皮膚炎;ホジキン病;心膜炎;腎性肺浮腫;静脈瘤症;動静脈瘻;リンパ節腫脹;動脈瘤;フィラリア症;新生物;外科的切除;肺浮腫;慢性閉塞性肺疾患;胸水;嚥下性肺炎;喘息によって引き起こされた浮腫;羊水塞栓症;はれもの;癰;膿瘍;丹毒;骨髄炎;ガス壊疽;丹毒;炭疽病;ルードウィッヒアンギナ;寄生虫による感染症;旋毛虫病;ウイルス性脳炎;AIDS;単純ヘルペスウイルス感染症;プリオン病;狂犬病;視神経網膜炎;炭疽菌汚染;エンドトキシンによって引き起こされた浮腫;ウェゲナー肉芽腫症;シェーグレン症候群;強皮症;全身性エリテマトーデス;多発性硬化症;化膿性肉芽腫;血管炎;脱髄疾患;良性頭蓋内圧亢進症;多発脳梗塞性認知症;アルツハイマー病;アミロイド沈着病;有毒な代謝性の脳浮腫;脳のアミロイドアンギオパチー;発作後の状態;血液脳関門の機能不全;頚動脈内膜切除における予防的使用;血管原性脳浮腫;脈絡膜母斑;神経腫;上皮腫;リンパ管腫;粘液腫;線維腫;線維筋腫;骨腫;軟骨腫;脈管腫;血管肉腫;腫瘍周辺の脳浮腫;血管腫;カルチノイド;多発性内分泌腺腫;遅発性皮膚ポルフィリン症;類天疱瘡;疱疹状皮膚炎;天疱瘡;とびひ;多形性紅斑;滲出性皮膚炎;表皮水疱症;接触皮膚炎;光線性皮膚炎;中毒疹;皮膚筋炎;湿疹;中毒性表皮壊死症;色素性乾皮症;水腔;皮様嚢腫;卵巣嚢腫;羊膜帯;動静脈瘻;髄膜組織球;水頭症;遺伝性血管神経性浮腫;神経線維腫症;フォンヒッペルリンドウ病;結節硬化症;急性腎炎;血管神経性浮腫;強皮症;超過敏反応;輸血反応;山酔い;高地肺浮腫(HAPE);高地脳浮腫(HACE);熱帯浮腫;凍瘡;薬物中毒;中毒;煙の吸引、一酸化炭素中毒または溺水による無酸素症;毒ガス、ツタウルシ、有毒オーク、毒ウルシ、ネトゥルへの暴露;コリン作動薬性中毒;全身性ステロイド療法による浮腫;エタノールによって引き起こされた脳損傷;ナトリウム欠乏性脳浮腫;骨損傷、関節損傷、軟組織損傷、もしくは臓器損傷による急性外傷;運動競技もしくはスポーツ活動における腫れを予防するための予防的治療;靭帯のねんざもしくは腱の筋違い;滑液包炎;関節損傷;骨折;虫刺され;毒蛇咬傷;虫刺され;海綿動物、サンゴ、イソギンチャク、ウニ、アカエイ、カサゴまたはクラゲに刺されたことによる、海洋関係の中毒もしくは毒物注入;凍傷;電気的損傷;外傷性脳損傷;脊髄損傷;外傷性視神経症;硬膜下血腫;くも膜下血腫;頚動脈海綿静脈洞痩;脳梗塞;心筋梗塞;動脈閉塞症;動脈裂傷;再移植を必要とする四肢切断;痛風;血管神経性浮腫;ミルロイ病;角膜浮腫;脈絡膜滲出;結膜浮腫;脳室腹腔短絡術の機能不良;脳脊髄液ドレイナージの閉塞;アフター性潰瘍;白斑症;喉頭蓋炎;細胞毒性浮腫;喉頭浮腫;慢性咳;扁平苔癬;膵炎;多発性筋炎;アナフィラキシーショック;ショック;敗血症;急性呼吸窮迫症候群(ARDS);集中治療の患者;心肺バイパスによって引き起こされた脳浮腫;低温によって引き起こされた脳浮腫;肝不全によって引き起こされた脳浮腫;高地網膜出血;星芒状黄斑;脈絡膜梗塞;霜状分子血管炎;乳頭腫;涙腺炎;涙管炎;滴状角膜;アデノーマ;毛細血管腫;海綿状血管腫;血管内皮腫;血管周囲細胞腫;分離腫;良性反応リンパ過形成;リンパ系新生物;角膜移植浮腫;ならびに屈折手法と関係する角膜浮腫である。
【0025】
本明細書に記載の治療方法は、下記の疾患または病気の何れか1つ以上を治療、予防もしくは阻害するか、それらの発症を遅らせるか、またはそれらの回復を引き起こすための、有効な量のイムノフィリン結合化合物を含んでいる製剤を投与する工程を含んでいる。ここで、上記疾患または病気は、心筋症;拡張型心筋症;肥大型心筋症;拘束型心筋症;うっ血性心不全;フィラリア症;腎不全;リンパ浮腫;子癇前症;子癇;甲状腺疾患;静脈瘤症;拡張蛇行静脈;大動脈縮窄;肺性心;滲出性皮膚炎;ホジキン病;心膜炎;腎性肺浮腫;静脈瘤症;動静脈瘻;リンパ節腫脹;動脈瘤;フィラリア症;新生物;外科的切除;肺浮腫;慢性閉塞性肺疾患;胸水;嚥下性肺炎;喘息によって引き起こされた浮腫;羊水塞栓症;はれもの;癰;膿瘍;丹毒;骨髄炎;ガス壊疽;丹毒;炭疽病;ルードウィッヒアンギナ;寄生虫による感染症;旋毛虫病;ウイルス性脳炎;AIDS;単純ヘルペスウイルス感染症;プリオン病;狂犬病;視神経網膜炎;炭疽菌汚染;エンドトキシンによって引き起こされた浮腫;ウェゲナー肉芽腫症;シェーグレン症候群;強皮症;全身性エリテマトーデス;多発性硬化症;化膿性肉芽腫;血管炎;脱髄疾患;良性頭蓋内圧亢進症;多発脳梗塞性認知症;アルツハイマー病;アミロイド沈着病;有毒な代謝性の脳浮腫;脳のアミロイドアンギオパチー;発作後の状態;血液脳関門の機能不全;頚動脈内膜切除における予防的使用;血管原性脳浮腫;脈絡膜母斑;神経腫;上皮腫;リンパ管腫;粘液腫;線維腫;線維筋腫;骨腫;軟骨腫;脈管腫;血管肉腫;腫瘍周辺の脳浮腫;血管腫;カルチノイド;多発性内分泌腺腫;遅発性皮膚ポルフィリン症;類天疱瘡;疱疹状皮膚炎;天疱瘡;とびひ;多形性紅斑;滲出性皮膚炎;表皮水疱症;接触皮膚炎;光線性皮膚炎;中毒疹;皮膚筋炎;湿疹;中毒性表皮壊死症;色素性乾皮症;水腔;皮様嚢腫;卵巣嚢腫;羊膜帯;動静脈瘻;髄膜組織球;水頭症;遺伝性血管神経性浮腫;神経線維腫症;フォンヒッペルリンドウ病;結節硬化症;急性腎炎;血管神経性浮腫;強皮症;超過敏反応;輸血反応;山酔い;高地肺浮腫(HAPE);高地脳浮腫(HACE);熱帯浮腫;凍瘡;薬物中毒;中毒;煙の吸引、一酸化炭素中毒または溺水による無酸素症;毒ガス、ツタウルシ、有毒オーク、毒ウルシ、ネトゥルへの暴露;コリン作動薬性中毒;全身性ステロイド療法による浮腫;エタノールによって引き起こされた脳損傷;ナトリウム欠乏性脳浮腫;骨損傷、関節損傷、軟組織損傷、もしくは臓器損傷による急性外傷;運動競技もしくはスポーツ活動における腫れを予防するための予防的治療;靭帯のねんざもしくは腱の筋違い;滑液包炎;関節損傷;骨折;虫刺され;毒蛇咬傷;虫刺され;海綿動物、サンゴ、イソギンチャク、ウニ、アカエイ、カサゴまたはクラゲに刺されたことによる、海洋関係の中毒もしくは毒物注入;凍傷;電気的損傷;外傷性脳損傷;脊髄損傷;外傷性視神経症;硬膜下血腫;くも膜下血腫;頚動脈海綿静脈洞痩;脳梗塞;心筋梗塞;動脈閉塞症;動脈裂傷;再移植を必要とする四肢切断;痛風;血管神経性浮腫;ミルロイ病;角膜浮腫;脈絡膜滲出;結膜浮腫;脳室腹腔短絡術の機能不良;脳脊髄液ドレイナージの閉塞;アフター性潰瘍;白斑症;喉頭蓋炎;細胞毒性浮腫;喉頭浮腫;慢性咳;扁平苔癬;膵炎;多発性筋炎;アナフィラキシーショック;ショック;敗血症;急性呼吸窮迫症候群(ARDS);集中治療の患者;心肺バイパスによって引き起こされた脳浮腫;低温によって引き起こされた脳浮腫;肝不全によって引き起こされた脳浮腫;高地網膜出血;星芒状黄斑;脈絡膜梗塞;霜状分子血管炎;乳頭腫;涙腺炎;涙管炎;滴状角膜;アデノーマ;毛細血管腫;海綿状血管腫;血管内皮腫;血管周囲細胞腫;分離腫;良性反応リンパ過形成;リンパ系新生物;角膜移植浮腫;ならびに屈折手法と関係する角膜浮腫である。
【0026】
本明細書に記載の治療方法は、下記の疾患または病気の何れか1つ以上を治療、予防もしくは阻害するか、それらの発症を遅らせるか、またはそれらの回復を引き起こすための、有効な量の治療剤を含んでいる製剤を投与する工程を含んでおり、上記治療剤が、ラパマイシン、SDZ−RAD、タクロリムス、エベロリムス、ピメクロリムス、CCI−779、AP23841、ABT−578、TAFA−93、RAD−001、テンシロリムス、AP23573、7−エピ−ラパマイシン、7−チオメチル−ラパマイシン、7−エピ−トリメトキシフェニル−ラパマイシン、7−エピ−チオメチル−ラパマイシン、7−デメトキシ−ラパマイシン、32−デメトキシ−ラパマイシン、2−デスメチル−ラパマイシン、ラパマイシンのモノエステル誘導体、ラパマイシンのジエステル誘導体、ラパマイシンの27−オキシム;ラパマイシンの42−オキソ類似体;二環式ラパマイシン;ラパマイシンのダイマー;ラパマイシンのシリルエーテル;ラパマイシンアリールスルホン酸塩、ラパマイシンスルファミン酸塩、31位および42位におけるモノエステル、31位および42位におけるジエステル、30−デメトキシラパマイシン、ならびにそれらの薬学的に許容可能な塩およびエステルから成る群から選択される、治療方法である。ここで、上記疾患または病気は、心筋症;拡張型心筋症;肥大型心筋症;拘束型心筋症;うっ血性心不全;フィラリア症;腎不全;リンパ浮腫;子癇前症;子癇;甲状腺疾患;静脈瘤症;拡張蛇行静脈;大動脈縮窄;肺性心;滲出性皮膚炎;ホジキン病;心膜炎;腎性肺浮腫;静脈瘤症;動静脈瘻;リンパ節腫脹;動脈瘤;フィラリア症;新生物;外科的切除;肺浮腫;慢性閉塞性肺疾患;胸水;嚥下性肺炎;喘息によって引き起こされた浮腫;羊水塞栓症;はれもの;癰;膿瘍;丹毒;骨髄炎;ガス壊疽;丹毒;炭疽病;ルードウィッヒアンギナ;寄生虫による感染症;旋毛虫病;ウイルス性脳炎;AIDS;単純ヘルペスウイルス感染症;プリオン病;狂犬病;視神経網膜炎;炭疽菌汚染;エンドトキシンによって引き起こされた浮腫;ウェゲナー肉芽腫症;シェーグレン症候群;強皮症;全身性エリテマトーデス;多発性硬化症;化膿性肉芽腫;血管炎;脱髄疾患;良性頭蓋内圧亢進症;多発脳梗塞性認知症;アルツハイマー病;アミロイド沈着病;有毒な代謝性の脳浮腫;脳のアミロイドアンギオパチー;発作後の状態;血液脳関門の機能不全;頚動脈内膜切除における予防的使用;血管原性脳浮腫;脈絡膜母斑;神経腫;上皮腫;リンパ管腫;粘液腫;線維腫;線維筋腫;骨腫;軟骨腫;脈管腫;血管肉腫;腫瘍周辺の脳浮腫;血管腫;カルチノイド;多発性内分泌腺腫;遅発性皮膚ポルフィリン症;類天疱瘡;疱疹状皮膚炎;天疱瘡;とびひ;多形性紅斑;滲出性皮膚炎;表皮水疱症;接触皮膚炎;光線性皮膚炎;中毒疹;皮膚筋炎;湿疹;中毒性表皮壊死症;色素性乾皮症;水腔;皮様嚢腫;卵巣嚢腫;羊膜帯;動静脈瘻;髄膜組織球;水頭症;遺伝性血管神経性浮腫;神経線維腫症;フォンヒッペルリンドウ病;結節硬化症;急性腎炎;血管神経性浮腫;強皮症;超過敏反応;輸血反応;山酔い;高地肺浮腫(HAPE);高地脳浮腫(HACE);熱帯浮腫;凍瘡;薬物中毒;中毒;煙の吸引、一酸化炭素中毒または溺水による無酸素症;毒ガス、ツタウルシ、有毒オーク、毒ウルシ、ネトゥルへの暴露;コリン作動薬性中毒;全身性ステロイド療法による浮腫;エタノールによって引き起こされた脳損傷;ナトリウム欠乏性脳浮腫;骨損傷、関節損傷、軟組織損傷、もしくは臓器損傷による急性外傷;運動競技もしくはスポーツ活動における腫れを予防するための予防的治療;靭帯のねんざもしくは腱の筋違い;滑液包炎;関節損傷;骨折;虫刺され;毒蛇咬傷;虫刺され;海綿動物、サンゴ、イソギンチャク、ウニ、アカエイ、カサゴまたはクラゲに刺されたことによる、海洋関係の中毒もしくは毒物注入;凍傷;電気的損傷;外傷性脳損傷;脊髄損傷;外傷性視神経症;硬膜下血腫;くも膜下血腫;頚動脈海綿静脈洞痩;脳梗塞;心筋梗塞;動脈閉塞症;動脈裂傷;再移植を必要とする四肢切断;痛風;血管神経性浮腫;ミルロイ病;角膜浮腫;脈絡膜滲出;結膜浮腫;脳室腹腔短絡術の機能不良;脳脊髄液ドレイナージの閉塞;アフター性潰瘍;白斑症;喉頭蓋炎;細胞毒性浮腫;喉頭浮腫;慢性咳;扁平苔癬;膵炎;多発性筋炎;アナフィラキシーショック;ショック;敗血症;急性呼吸窮迫症候群(ARDS);集中治療の患者;心肺バイパスによって引き起こされた脳浮腫;低温によって引き起こされた脳浮腫;肝不全によって引き起こされた脳浮腫;高地網膜出血;星芒状黄斑;脈絡膜梗塞;霜状分子血管炎;乳頭腫;涙腺炎;涙管炎;滴状角膜;アデノーマ;毛細血管腫;海綿状血管腫;血管内皮腫;血管周囲細胞腫;分離腫;良性反応リンパ過形成;リンパ系新生物;角膜移植浮腫;ならびに屈折手法と関係する角膜浮腫である。
【0027】
本明細書には、疾患または病気を治療、予防もしくは阻害するか、それらの発症を遅らせるか、またはそれらの回復を引き起こすための方法であって、上記疾患または病気が治療、予防もしくは阻害されるか、それらの発症が遅らせられるか、またはそれらの回復が引き起こされることが必要な被検体に、抗透過性に関して有効な量の治療剤を投与する工程を含んでおり、上記疾患または病気は、網膜浮腫、インフルエンザ、ウイルス性脳炎、視神経網膜炎、エンドトキシンによって引き起こされた浮腫、血管炎、有毒な代謝性の脳浮腫、血管腫、フォンヒッペルリンドウ病、血管神経性浮腫、毒蛇咬傷、高地脳浮腫(HACE)、高地肺浮腫(HAPE)、煙の吸引と関係する肺浮腫、無酸素症と関係する肺浮腫、ナトリウム欠乏性脳浮腫、鈍的外傷と関係する浮腫、脳梗塞後または閉鎖性頭部外傷後の脳浮腫、ならびに角膜浮腫から成る群から選択される、方法が記載されている。
【0028】
本明細書には、疾患または病気を治療、予防もしくは阻害するか、それらの発症を遅らせるか、またはそれらの回復を引き起こすための方法であって、上記疾患または病気が治療、予防もしくは阻害されるか、それらの発症が遅らせられるか、またはそれらの回復が引き起こされることが必要な被検体に、抗透過性に関して有効な量の治療剤を投与する工程を含んでおり、上記治療剤は、上記疾患または病気が治療、予防もしくは阻害されるか、それらの発症が遅らせられるか、またはそれらの回復が引き起こされることが必要な被検体に、2mg/kgのラパマイシンと等しい量以下の用量で投与され、上記疾患または病気は、糖尿病黄斑浮腫、類嚢胞黄斑浮腫、静脈閉塞症による黄斑浮腫、うっ血性心不全、肺浮腫、ARDS、喘息によって引き起こされた肺浮腫、血管芽細胞腫、天疱瘡、結節硬化症、咬傷または刺傷の後に2次的に引き起こされた浮腫、フォークト・コヤナギ・ハラダ病、強膜炎、ならびに滲出性網膜剥離から成る群から選択される、方法が記載されている。
【0029】
ある実施形態では、上記治療剤は、リムス化合物、あるいはその類似体、誘導体、塩、またはエステルである。ある実施形態では、上記治療剤は、イムノフィリン結合化合物、あるいはその類似体、誘導体、塩、またはエステルである。ある実施形態では、上記治療剤は、ラパマイシン、SDZ−RAD、タクロリムス、エベロリムス、ピメクロリムス、CCI−779、AP23841、ABT−578、TAFA−93、RAD−001、テンシロリムス、AP23573、7−エピ−ラパマイシン、7−チオメチル−ラパマイシン、7−エピ−トリメトキシフェニル−ラパマイシン、7−エピ−チオメチル−ラパマイシン、7−デメトキシ−ラパマイシン、32−デメトキシ−ラパマイシン、2−デスメチル−ラパマイシン、ラパマイシンのモノエステル誘導体、ラパマイシンのジエステル誘導体、ラパマイシンの27−オキシム;ラパマイシンの42−オキソ類似体;二環式ラパマイシン;ラパマイシンのダイマー;ラパマイシンのシリルエーテル;ラパマイシンアリールスルホン酸塩、ラパマイシンスルファミン酸塩、31位および42位におけるモノエステル、31位および42位におけるジエステル、30−デメトキシラパマイシン、ならびにそれらの薬学的に許容可能な塩およびエステルから成る群から選択される。ある実施形態では、上記治療剤は、ラパマイシン、SDZ−RAD、タクロリムス、エベロリムス、ピメクロリムス、CCI−779、AP23841、ABT−578、ならびにそれらの薬学的に許容可能な塩およびエステルから成る群から選択される。ある実施形態では、上記治療剤は、ラパマイシン、またはその薬学的に許容可能な塩もしくはエステルである。ある実施形態では、上記治療剤は、ラパマイシンである。
【0030】
本明細書に記載の方法では、上記投与される治療剤の量は、上記疾患または病気と関係する組織における治療剤の濃度が、41ng/gのラパマイシンと等しい量以下、11ng/gのラパマイシンと等しい量以下、または7ng/gのラパマイシンと等しい量以下になる量である。
【0031】
本明細書に記載の方法では、上記治療剤は、該治療剤の投与が必要な被検体に、2mg/kg、0.5mg/kg、0.27mg/kg、0.07mg/kg、または0.014mg/kgのラパマイシンと等しい量以下の用量で投与される。
【0032】
本明細書には、疾患または病気を治療する方法が記載されている。本明細書には、疾患または病気を予防する方法が記載されている。
【0033】
本明細書に記載の方法では、上記治療剤はラパマイシンであり、当該ラパマイシンは、約2%w/wのラパマイシン、約4%w/wのエタノール、および約94%w/wのPEG400を含んでいる製剤の形で投与される。
【0034】
〔図面の簡単な説明〕
図1は、ハムスターの頬袋モデルにおける、VEGFに対するラパマイシンの血管抗透過性効果、および様々な対照処置の血管抗透過性効果を示す図である。
【0035】
図2は、ハムスターの頬袋モデルにおける、PAFに対するラパマイシンの血管抗透過性効果、および様々な対照処置の血管抗透過性効果を示す図である。
【0036】
図3は、ハムスターの頬袋モデルにおける、ラパマイシンの動脈拡張効果を示す図である。
【0037】
図4は、ハムスターの頬袋モデルにおける、ラパマイシンの動脈拡張効果を示す図である。
【0038】
〔発明の詳細な説明〕
本明細書に記載の製剤および方法は、被検体への治療剤の送達に関するものである。当該被検体には、ヒト被検体が含まれるが、これに限定されない。また、当該治療剤には、リムス化合物、またはその薬学的に許容可能なプロドラッグ、類似体、塩、エステルもしくは誘導体が含まれるが、これらに限定されない。本明細書に記載の製剤は、血管透過性に関係する疾患または病気を治療、予防もしくは阻害するか、それらの発症を遅らせるか、またはそれらの回復を引き起こすために使用されてもよい。上記疾患または病気には、本明細書に記載の浮腫に関係する疾患もしくは病気、または透過性に関係する疾患もしくは病気が含まれるが、これらに限定されない。ある実施形態では、上記製剤および方法は、上記疾患または病気を治療するために使用される。
【0039】
本明細書には、次の(1)〜(8)が記載されている。(1)被検体(ヒトを含むが、これに限定されない)に送達され得る治療剤、(2)当該治療剤の送達によって、治療、予防もしくは阻害されてもよいし、発症を遅らせられてもよいし、または回復を引き起こされてもよい、疾患および病気、(3)治療剤を送達するために使用されてもよい製剤、(4)治療方法、(5)用量および組織レベル、(6)投与経路、(7)調製方法、ならびに(8)治療剤(ラパマイシンを含むが、これに限定されない)の長期にわたる送達。
【0040】
<治療剤>
使用されてもよい治療剤には、細胞内タンパク質であるイムノフィリンファミリーのメンバーに結合することによって作用する化合物が含まれるが、これに限定されない。そのような化合物は、「イムノフィリン結合化合物」として知られている。イムノフィリン結合化合物には、「リムス」化合物のファミリーが含まれるが、これに限定されない。使用されてもよいリムス化合物の例には、シロリムス(ラパマイシン)、ならびにその水溶性類似体であるSDZ−RAD(ノバルティス(Novartis))、TAFA−93(イソテクニカ(Isotechnika))、タクロリムス、エベロリムス、RAD−001(ノバルティス)、ピメクロリムス、テンシロリムス、CCI−779(ワイエス(Wyeth))、AP23841(アリアド(Ariad))、AP23573(アリアド)、およびABT−578(アボットラボラトリーズ(Abbott Laboratories))が含まれるが、これらに限定されない。リムス化合物の使用されてもよい類似体および誘導体には、米国特許第5,527,907号明細書、米国特許第6,376,517号明細書、および米国特許第6,329,386号明細書、ならびに米国特許出願公開第09/950,307号明細書に記載の化合物が含まれるが、これらに限定されない(なお、上記文献は、参照によって本明細書に完全に組み込まれる)。また、治療剤には、リムス化合物の類似体、プロドラッグ、塩、誘導体、およびエステルも含まれる。
【0041】
ある実施形態では、上記治療剤はリムス化合物である。またある実施形態では、上記治療剤はイムノフィリン結合化合物である。またある実施形態では、上記治療剤は、mTOR阻害剤、またはその類似体、誘導体、塩、エステル、もしくはプロドラッグである(例えば、TAFA93)。
【0042】
ある実施形態では、上記治療剤は、サイクロフィン、もしくはFK−506結合タンパク質(FKBP)である。
【0043】
用語「ラパマイシン」、「ラパ」および「シロリムス」は、本明細書では同義で用いられる。
【0044】
使用されてもよいラパマイシンの他の誘導体には、特に限定されないが、7−エピ−ラパマイシン、7−チオメチル−ラパマイシン、7−エピ−トリメトキシフェニル−ラパマイシン、7−エピ−チオメチル−ラパマイシン、7−デメトキシ−ラパマイシン、32−デメトキシ−ラパマイシン、2−デスメチル−ラパマイシン、ラパマイシンのモノエステル誘導体、ラマパイシンのジエステル誘導体、ラパマイシンの27−オキシム;ラパマイシンの42−オキソ類似体;二環式ラパマイシン;ラパマイシンのダイマー;ラパマイシンのシリルエーテル;ラパマイシンのアリールスルホン酸塩およびスルファミン酸塩、31位ならびに42位におけるモノエステルおよびジエステル、30−デメトキシラパマイシン、ならびに、以下の文献に記載の他の誘導体が含まれる。「Vezinaら, "Rapamycin (AY-22,989), A New Antifungal Antibiotic. I. Taxonomy Of The Producing Streptomycete And Isolation Of The Active Principle" J. Antibiot. (Tokyo) 28:721-726 (1975)」、「Sehgalら, "Rapamycin (AY-22,989), A New Antifungal Antibiotic. II. Fermentation, Isolation And Characterization" J. Antibiot. (Tokyo) 28:727-732 (1975)」、「Sehgalら, "Demethoxyrapamycin (AY-24,668), A New Antifungal Antibiotic" J. Antibiot. (Tokyo) 36:351-354 (1983)」、および「Paivaら, "Incorporation Of Acetate, Propionate, And Methionine Into Rapamycin By Streptomycetes hygroscopicus" J Nat Prod 54:167-177 (1991)」、国際公開第92/05179号パンフレット、欧州特許公開第467606号明細書、「Caufieldら, "Hydrogenated Rapamycin Derivatives"米国特許第5,023,262号明細書」、「Kaoら, "Bicyclic Rapamycins" 米国特許第5,120,725号明細書」、「Kaoら, "Rapamycin Dimers" 米国特許第5,120,727号明細書」、「Failliら, “Silyl Ethers Of Rapamycin” 米国特許第5,120,842号明細書」、「Failliら, "Rapamycin 42- Sulfonates And 42-(N-carboalkoxy) Sulfamates Useful As Immunosuppressive Agents"米国特許第5,177,203号明細書」、「Nicolaouら, "Total Synthesis Of Rapamycin" J. Am. Chem. Soc. 115: 4419-4420 (1993)」、「Romoら, "Total Synthesis Of (-) Rapamycin Using An Evans-Tishchenko Fragment Coupling" J. Am. Chem. Soc. 115:7906-7907 (1993)」、および「Haywardら, "Total Synthesis Of Rapamycin Via A Novel Titanium-Mediated Aldol Macrocyclization Reaction" J. Am. Chem. Soc, 115:9345-9346 (1993)」(なお、これら文献のそれぞれは、参照によって本明細書に完全に組み込まれる)。
【0045】
リムス化合物のファミリーは、本明細書に記載の疾患および病気を治療、阻害もしくは予防するか、それらの発症を遅らせるか、またはそれらの回復を引き起こすための製剤および方法に用いられてもよい。
【0046】
使用されてもよい他の治療剤には、以下の特許公報および公開公報に開示の治療剤が含まれる(なお、それら各文献の内容は、参照によって本明細書に完全に組み込まれる)。国際公開第2004/027027号パンフレット(2004年4月1日公開、発明の名称「Method of inhibiting choroidal neovascularization」、譲渡先「ペンシルバニア大学(University of Pennsylvania)の理事(Trustee)」)、米国特許第5,387,589号明細書(1995年2月7日発行、発明の名称「Method of Treating Ocular Inflammation」、発明者「プラサド クルカミ(Prassad Kulkami)」、譲渡先「ルイビル大学研究財団(University of Louisville Research Foundation)」)、米国特許第6,376,517号明細書(2003年4月23日発行、発明の名称「Pipecolic acid derivatives for vision and memory disorders」、譲渡先「GPI NIL ホールディングス INc(GPI NIL Holdings, Inc)」)、米国特許第5,100,899号明細書、米国特許第4,316,885号明細書、米国特許第4,650,803号明細書、米国特許出願公開第2005/0032826号明細書、米国特許第6,890,546号明細書、国際公開第99/22722号パンフレット。
【0047】
ある実施形態では、上記製剤は、1つ以上の治療剤の組み合わせを含んでいる。また、上記治療剤は、他の治療剤および治療法と組み合わされて使用されてもよい。そのような治療剤および治療法には、特に限定されないが、本明細書に記載の疾患または病気を治療、予防もしくは阻害するか、それらの発症を遅らせるか、またはそれらの回復を引き起こすのに有用な治療剤および治療法が含まれる。
【0048】
<治療、予防もしくは阻害されてもよいし、発症が遅らせられてもよいし、または回復が引き起こされてもよい病気もしくは疾患>
本明細書に記載の疾患および病気としては、例えば特に限定されないが、本明細書に記載の製剤および方法を用いて、治療、予防もしくは阻害されてもよいし、発症が遅らせられてもよいし、または回復が引き起こされてもよい疾患および病気が挙げられる。ある実施形態では、上記疾患または病気は、本明細書に記載の製剤または方法の1つ以上を用いて治療される。ある実施形態では、上記疾患または病気は、本明細書に記載の製剤または方法の1つ以上を用いて予防される。ある実施形態では、上記疾患または病気は、本明細書に記載の製剤または方法の1つ以上を用いて阻害される。ある実施形態では、上記疾患または病気の発症は、本明細書に記載の製剤または方法の1つ以上を用いて遅らせられる。ある実施形態では、上記疾患または病気の回復は、本明細書に記載の製剤または方法の1つ以上を用いて引き起こされる。ある実施形態では、被検体の疾患または病気を治療、予防もしくは阻害するか、それらの発症を遅らせるか、またはそれらの回復を引き起こすために、上記疾患または病気が治療、予防もしくは阻害されるか、それらの発症が遅らせられるか、またはそれらの回復が引き起こされることが必要な被検体に、治療上有効な量の本明細書に記載の治療剤を1つ以上含んでいる製剤が投与される。特に断りの無い限り、上記治療方法の全てが実施され得る被検体には、ヒト被検体が含まれるが、これに限定されない。
【0049】
一般的に、本明細書に記載の製剤および方法を用いて、治療、予防もしくは阻害されてもよいし、発症が遅らせられてもよいし、または回復が引き起こされてもよい疾患または病気は、本明細書に記載の製剤および方法を用いて、治療、予防もしくは阻害されるか、発症が遅らせられるか、または回復する、余地のある血管透過性に関連する疾患または病気である。ある実施形態では、血管透過性に関連する疾患または病気は、眼の疾患または病気である。
【0050】
一般的に、本明細書に記載の製剤および方法を用いて、治療、予防もしくは阻害されてもよいし、発症が遅らせられてもよいし、または回復が引き起こされてもよい疾患または病気は、本明細書に記載の製剤および方法を用いて、治療、予防もしくは阻害されるか、発症が遅らせられるか、または回復する、余地のある血管拡張に関連する任意の疾患または病気である。ある実施形態では、血管拡張に関連する疾患または病気は、透過性に関連する疾患または病気である。ある実施形態では、血管透過性に関連する疾患または病気は、眼の疾患または病気である。
【0051】
ある実施形態では、上記血管透過性に関連する疾患または病気は、浮腫に関連する疾患または病気である。ある実施形態では、上記浮腫に関連する疾患または病気は、眼の疾患または病気である。
【0052】
ある実施形態では、本明細書に記載の製剤は、血管透過性に関連する疾患または疾病の1つ以上を治療、予防もしくは阻害するか、それらの発症を遅らせるか、またはそれらの回復を引き起こすために使用される。ある実施形態では、本明細書に記載の製剤は、毛細血管漏出と関係する浮腫;合併症としての浮腫を有する疾患;内皮細胞の機能不全と関係する浮腫;静脈閉塞症と関係する浮腫;リンパ管閉塞症と関係する浮腫;肺疾患と関係する浮腫;感染病と関係する浮腫;炎症性疾患、非感染症、または自己免疫疾患と関係する浮腫;神経系疾患と関係する浮腫;新生物もしくは腫瘍と関係する浮腫(良性または悪性、固形または非固形);皮膚に関連する病気、または皮膚科学的な知見を有する疾患;遺伝的異常、先天性異常、もしくは嚢胞異常と関係する浮腫;環境に起因する浮腫;負傷によって引き起こされた浮腫;梗塞および虚血再かん流と関係する浮腫;種々の原因の浮腫;あるいは全身性疾患と関係する浮腫、の1つ以上を治療するために使用される。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、新生物と関係する浮腫を治療するために使用される。
【0053】
ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、毛細血管漏出と相関する浮腫と関係する1つ以上の疾患または病気を治療、予防もしくは阻害するか、それらの発症を遅らせるか、またはそれらの回復を引き起こすために使用される。ある実施形態では、毛細血管漏出と関係する浮腫と関係する上記疾患または病気は、心筋症、拡張型心筋症、肥大型心筋症、拘束型心筋症、うっ血性心不全、フィラリア症、腎不全、リンパ浮腫、子癇前症、子癇、甲状腺疾患、静脈瘤症、または拡張蛇行静脈の何れか1つ以上である。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、うっ血性心不全を治療するために使用される。
【0054】
ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、合併症としての浮腫と関係する1つ以上の疾患または病気を治療、予防もしくは阻害するか、それらの発症を遅らせるか、またはそれらの回復を引き起こすために使用される。ある実施形態では、合併症としての浮腫と関係する疾患または病気は、大動脈縮窄、肺性心、滲出性皮膚炎、ホジキン病、心膜炎、または腎性肺浮腫の何れか1つ以上である。
【0055】
ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、静脈閉塞症と相関する浮腫と関係する1つ以上の疾患または病気を治療、予防もしくは阻害するか、それらの発症を遅らせるか、またはそれらの回復を引き起こすために使用される。ある実施形態では、静脈閉塞症と相関する浮腫と関係する疾患または病気は、血栓静脈炎、血栓症、新生物、静脈瘤症、拡張蛇行静脈、動静脈瘻、リンパ節腫脹、または動脈瘤の何れか1つ以上である。
【0056】
ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、リンパ管閉塞症と相関する浮腫と関係する1つ以上の疾患または病気を治療、予防もしくは阻害するか、それらの発症を遅らせるか、またはそれらの回復を引き起こすために使用される。ある実施形態では、リンパ管閉塞症と相関する浮腫と関係する疾患または病気は、フィラリア症、蜂巣炎、新生物、または外科的切除である。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、蜂巣炎を治療するために使用される。
【0057】
ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、肺疾患と相関する浮腫と関係する1つ以上の疾患または病気を治療、予防もしくは阻害するか、それらの発症を遅らせるか、またはそれらの回復を引き起こすために使用される。ある実施形態では、肺疾患と相関する浮腫と関係する疾患または病気は、肺浮腫、慢性閉塞性肺疾患、胸水、嚥下性肺炎、喘息によって引き起こされた浮腫、または羊水塞栓症である。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、肺浮腫を治療するために使用される。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、喘息によって引き起こされた肺浮腫を治療するために使用される。
【0058】
ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、感染病もしくは感染疾患と相関する浮腫と関係する1つ以上の疾患または病気を治療、予防もしくは阻害するか、それらの発症を遅らせるか、またはそれらの回復を引き起こすために使用される。ある実施形態では、感染病もしくは感染疾患と相関する浮腫と関係する疾患または病気は、はれもの、癰、膿瘍、丹毒、骨髄炎、ガス壊疽、丹毒、炭疽病、ルードウィッヒアンギナ、寄生虫による感染症、旋毛虫病、ウイルス性脳炎、AIDS、単純ヘルペスウイルス感染症、帯状疱疹ウイルス感染症、結核(播種性結核、軍事用結核など)、神経梅毒、プリオン病、髄膜炎、肺炎球菌髄膜炎、狂犬病、視神経網膜炎、炭疽菌汚染、またはエンドトキシンによって引き起こされた浮腫である。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、ウイルス性脳炎を治療するために使用される。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、単純ヘルペスウイルス感染症を治療するために使用される。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、帯状疱疹ウイルス感染症を治療するために使用される。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、結核を治療するために使用される。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、神経梅毒を治療するために使用される。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、視神経網膜炎を治療するために使用される。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、エンドトキシンによって引き起こされた浮腫を治療するために使用される。
【0059】
ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、(i)炎症性疾患もしくは炎症性の病気、(ii)非感染性疾患もしくは非感染性の病気、または(iii)自己免疫疾患もしくは自己免疫病、と相関する浮腫と関係する1つ以上の疾患または病気を治療、予防もしくは阻害するか、それらの発症を遅らせるか、またはそれらの回復を引き起こすために使用される。ある実施形態では、(i)炎症性疾患もしくは炎症性の病気、(ii)非感染性疾患もしくは非感染性の病気、または(iii)自己免疫疾患もしくは自己免疫病、と相関する浮腫と関係する疾患または病気は、ウェゲナー肉芽腫症、シェーグレン症候群、強皮症、全身性エリテマトーデス、サルコイドーシス、多発性硬化症、ライター症候群、化膿性肉芽腫、血管炎、または脱髄疾患である。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、ライター症候群を治療するために使用される。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、化膿性肉芽腫を治療するために使用される。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、全身性エリテマトーデスを治療するために使用される。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、強皮症を治療するために使用される。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、サルコイドーシスを治療するために使用される。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、ウェゲナー肉芽腫症を治療するために使用される。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、シェーグレン症候群を治療するために使用される。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、多発性硬化症を治療するために使用される。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、血管炎を治療するために使用される。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、脱髄疾患を治療するために使用される。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、有毒な代謝性の脳浮腫を治療するために使用される。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、関節炎を治療するために使用される。ある実施形態では、関節炎はリウマチ性関節炎である。ある実施形態では、関節炎は骨関節炎である。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、心皮トンネル症候群を治療するために使用される。
【0060】
ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、神経系疾患もしくは神経系の病気と相関する浮腫と関係する1つ以上の疾患または病気を治療、予防もしくは阻害するか、それらの発症を遅らせるか、またはそれらの回復を引き起こすために使用される。ある実施形態では、神経系疾患もしくは神経系の病気と相関する浮腫と関係する疾患または病気は、良性頭蓋内圧亢進症、乳頭浮腫、視神経炎、多発脳梗塞性認知症、アルツハイマー病、アミロイド沈着病、有毒な代謝性の脳浮腫、脳のアミロイドアンギオパチー(またコンゴレッド親和性血管障害もしくは脳血管アミロイド血管症としても知られる)、発作後の状態、血液脳関門の機能不全、ボーグト・コヤナギ・ハラダ症候群、頚動脈内膜切除における予防的使用、または血管原性脳浮腫である。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、乳頭浮腫を治療するために使用される。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、視神経炎を治療するために使用される。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、アミロイド沈着病を治療するために使用される。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、ボーグト・コヤナギ・ハラダ症候群を治療するために使用される。
【0061】
ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、良性または悪性の、固形または非固形の新生物もしくは腫瘍と相関する浮腫と関係する1つ以上の疾患または病気を治療、予防もしくは阻害するか、それらの発症を遅らせるか、またはそれらの回復を引き起こすために使用される。ある実施形態では、良性または悪性の、固形または非固形の新生物もしくは腫瘍と相関する浮腫と関係する疾患または病気は、脈絡膜メラノーマ、脈絡膜母斑、メラノーマ、神経腫、上皮腫、リンパ管腫、粘液腫、線維腫、線維筋腫、骨腫、軟骨腫、脈管腫、血管肉腫、腫瘍周辺の脳浮腫、血管腫、カルチノイド、または多発性内分泌腺腫である。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、脈絡膜メラノーマを治療するために使用される。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、脈絡膜母斑を治療するために使用される。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、メラノーマを治療するために使用される。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、神経腫を治療するために使用される。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、上皮腫を治療するために使用される。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、リンパ管腫を治療するために使用される。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、粘液腫を治療するために使用される。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、線維腫を治療するために使用される。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、線維筋腫を治療するために使用される。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、骨腫を治療するために使用される。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、軟骨腫を治療するために使用される。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、血管腫を治療するために使用される。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、血管芽細胞種を治療するために使用される。
【0062】
ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、皮膚疾患あるいは皮膚病と関係する1つ以上の疾患または病気を治療、予防もしくは阻害するか、それらの発症を遅らせるか、またはそれらの回復を引き起こすために使用される。ある実施形態では、皮膚疾患あるいは皮膚病と相関する浮腫と関係する疾患または病気は、遅発性皮膚ポルフィリン症、類天疱瘡、疱疹状皮膚炎、天疱瘡、とびひ、多形性紅斑、滲出性皮膚炎、表皮水疱症、接触皮膚炎、光線性皮膚炎、中毒疹、皮膚筋炎、湿疹、または中毒性表皮壊死症である。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、皮膚炎を治療するために使用される。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、天疱瘡を治療するために使用される。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、多形成紅斑を治療するために使用される。
【0063】
ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、遺伝的異常、先天性異常、あるいは嚢胞異常と関係する1つ以上の疾患または病気を治療、予防もしくは阻害するか、それらの発症を遅らせるか、またはそれらの回復を引き起こすために使用される。ある実施形態では、遺伝的異常、先天性異常、あるいは嚢胞異常と相関する浮腫と関係する疾患または病気は、色素性乾皮症、水腔、皮様嚢腫、卵巣嚢腫、羊膜帯、動静脈瘻、髄膜組織球、水頭症、遺伝性血管神経性浮腫、神経線維腫症、フォンヒッペルリンドウ病、または結節硬化症である。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、神経線維腫症を治療するために使用される。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、フォンヒッペルリンドウ病を治療するために使用される。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、結節硬化症を治療するために使用される。
【0064】
ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、増加した毛細血管透過性と関係する1つ以上の疾患または病気を治療、予防もしくは阻害するか、それらの発症を遅らせるか、またはそれらの回復を引き起こすために使用される。ある実施形態では、増加した毛細血管透過性と相関する浮腫と関係する疾患または病気は、急性腎炎、血管神経性浮腫、強皮症、超過敏反応、または輸血反応である。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、超過敏反応を治療するために使用される。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、血管神経性浮腫を治療するために使用される。
【0065】
ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、環境に起因する浮腫あるいはその他のものへの暴露と相関する浮腫と関係する1つ以上の疾患または病気を治療、予防もしくは阻害するか、それらの発症を遅らせるか、またはそれらの回復を引き起こすために使用される。ある実施形態では、環境に起因する浮腫あるいはその他のものへの暴露と相関する浮腫と関係する疾患または病気は、山酔い;高地肺浮腫(HAPE);高地脳浮腫(HACE);熱帯浮腫;凍瘡;薬物中毒;中毒;無酸素症(煙の吸引、一酸化炭素中毒、溺水などが非限定的な例として挙げられる);毒ガス、ツタウルシ、有毒オーク、毒ウルシ、またはネトゥルへの暴露;コリン作動薬性中毒;全身性ステロイド療法による浮腫;エタノールによって引き起こされた脳損傷;またはナトリウム欠乏性脳浮腫である。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、薬物中毒を治療するために使用される。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、高地肺浮腫(HAPE)を治療するために使用される。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、高地脳浮腫(HACE)を治療するために使用される。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、無酸素症と関係する肺浮腫を治療するために使用される。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、煙の吸引と関係する肺浮腫を治療するために使用される。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、ナトリウム欠乏性脳浮腫を治療するために使用される。
【0066】
ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、外傷あるいは損傷と相関する浮腫と関係する1つ以上の疾患または病気を治療、予防もしくは阻害するか、それらの発症を遅らせるか、またはそれらの回復を引き起こすために使用される。ある実施形態では、外傷あるいは損傷と相関する浮腫と関係する疾患または病気は、急性外傷(例えば特に限定されないが、骨、関節、軟組織、または臓器の損傷による急性外傷が挙げられる)、運動競技もしくはスポーツ活動における腫れを予防するための予防的治療、打撲、挫傷、靭帯のねんざもしくは腱の筋違い、滑液包炎、関節損傷、骨折、虫刺され、毒蛇咬傷、海洋関係の中毒もしくは毒物注入(例えば特に限定されないが、海綿動物、サンゴ、イソギンチャク、ウニ、アカエイ、カサゴ、クラゲに刺されたことによる、海洋関係の中毒もしくは毒物注入が挙げられる)、刺激物もしくは腐食物への暴露、凍傷、火傷、日焼、電気的損傷、外傷性脳損傷、脊髄損傷、外傷性視神経症、硬膜下血腫、くも膜下血腫、または頚動脈海綿静脈洞痩である。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、急性外傷を治療するために使用される。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、咬傷または刺傷の後に2次的に引き起こされた浮腫を治療するために使用される。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、鈍的外傷と関係する浮腫を治療するために使用される。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、虫刺されを治療するために使用される。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、毒蛇咬傷を治療するために使用されることができる。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、火傷を治療するために使用される。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、外傷性視神経症を治療するために使用される。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、頚動脈海綿静脈洞痩を治療するために使用される。
【0067】
ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、梗塞あるいは虚血再かん流と相関する浮腫と関係する1つ以上の疾患または病気を治療、予防もしくは阻害するか、それらの発症を遅らせるか、またはそれらの回復を引き起こすために使用される。ある実施形態では、梗塞あるいは虚血再かん流と相関する浮腫と関係する疾患または病気は、脳梗塞、心筋梗塞、動脈閉塞症、動脈裂傷、再移植を必要とする四肢切断、網膜中心動脈閉塞症、網膜動脈分枝閉塞症、前方または後方虚血性視神経障害、あるいは虚血によって引き起こされた浮腫である。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、網膜中心動脈閉塞症を治療するために使用される。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、網膜動脈分枝閉塞症を治療するために使用される。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、前方または後方虚血性視神経障害を治療するために使用される。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、虚血によって引き起こされた浮腫を治療するために使用される。
【0068】
ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、1つ以上の種々の原因から生じた浮腫と関係する1つ以上の疾患または病気を治療、予防もしくは阻害するか、それらの発症を遅らせるか、またはそれらの回復を引き起こすために使用される。ある実施形態では、1つ以上の種々の原因から生じた浮腫と関係する疾患または病気は、痛風、血管神経性浮腫、ミルロイ病、角膜浮腫、上強膜炎、強膜炎、脈絡膜滲出、結膜浮腫、滲出性網膜剥離、脳室腹腔短絡術の機能不良、脳脊髄液ドレイナージの閉塞、アフター性潰瘍、白斑症、喉頭蓋炎、細胞毒性浮腫、喉頭浮腫、慢性咳、扁平苔癬、膵炎、眼瞼炎、眼瞼腫脹、または多発性筋炎である。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、眼瞼の浮腫を治療するために使用される。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、角膜浮腫を治療するために使用される。ある実施形態では、角膜浮腫は慢性角膜浮腫である。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、上強膜炎を治療するために使用される。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、強膜炎を治療するために使用される。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、脈絡膜滲出を治療するために使用される。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、結膜浮腫を治療するために使用される。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、滲出性網膜剥離を治療するために使用される。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、脳室腹腔短絡術の機能不良を治療するために使用される。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、眼瞼炎を治療するために使用される。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、眼瞼腫脹を治療するために使用される。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、脳脊髄液ドレイナージの閉塞を治療するために使用される。
【0069】
ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、1つ以上の全身性疾患あるいは全身病によって生じた浮腫と関係する1つ以上の疾患または病気を治療、予防もしくは阻害するか、それらの発症を遅らせるか、またはそれらの回復を引き起こすために使用される。ある実施形態では、1つ以上の全身性疾患あるいは全身病によって生じた浮腫と関係する疾患または病気は、アナフィラキシーショック、ショック、敗血症、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、集中治療の患者、心肺バイパスによって引き起こされた脳浮腫、低温によって引き起こされた脳浮腫、または肝不全によって引き起こされた脳浮腫である。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を治療するために使用される。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、脳梗塞後の脳浮腫を治療するために使用される。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、閉鎖性頭部外傷後の脳浮腫を治療するために使用される。
【0070】
ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、インフルエンザを治療、予防もしくは阻害するか、その発症を遅らせるか、またはその回復を引き起こすために使用される。ある実施形態では、インフルエンザは鳥インフルエンザである。ある実施形態では、インフルエンザは、インフルエンザA、インフルエンザB、またはインフルエンザCである。ある実施形態では、インフルエンザは、インフルエンザA(H3)、インフルエンザA(Hl)、インフルエンザA(H1N2)、インフルエンザA(H3N2)、インフルエンザA/パナマ(Panama)/2007/99(H3N2)、インフルエンザA/フジアン(Fujian)/411/2002(H3N2)、またはインフルエンザA(H5N1)である。
【0071】
ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、黄斑浮腫を治療、予防もしくは阻害するか、その発症を遅らせるか、またはその回復を引き起こすために使用される。ある実施形態では、黄斑浮腫は糖尿病黄斑浮腫である。ある実施形態では、黄斑浮腫は静脈閉塞症による黄斑浮腫である。
【0072】
ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、類嚢胞黄斑浮腫を治療、予防もしくは阻害するか、その発症を遅らせるか、またはその回復を引き起こすために使用される。
【0073】
ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、網膜動脈閉塞症を治療、予防もしくは阻害するか、その発症を遅らせるか、またはその回復を引き起こすために使用される。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、網膜静脈閉塞症を治療、予防もしくは阻害するか、その発症を遅らせるか、またはその回復を引き起こすために使用される。
【0074】
ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、網膜中心動脈閉塞症を治療、予防もしくは阻害するか、その発症を遅らせるか、またはその回復を引き起こすために使用される。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は網膜中心静脈閉塞症を治療、予防もしくは阻害するか、その発症を遅らせるか、またはその回復を引き起こすために使用される。
【0075】
ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、網膜動脈分枝閉塞症を治療、予防もしくは阻害するか、その発症を遅らせるか、またはその回復を引き起こすために使用される。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、網膜上脈分枝閉塞症を治療、予防もしくは阻害するか、その発症を遅らせるか、またはその回復を引き起こすために使用される。
【0076】
ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、滲出性網膜剥離を治療、予防もしくは阻害するか、その発症を遅らせるか、またはその回復を引き起こすために使用される。
【0077】
ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、脈絡膜血管新生と関係する網膜浮腫を治療、予防もしくは阻害するか、その発症を遅らせるか、またはその回復を引き起こすために使用される。
【0078】
ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、脈絡膜滲出を治療、予防もしくは阻害するか、その発症を遅らせるか、またはその回復を引き起こすために使用される。
【0079】
ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、交感性眼炎、肉腫、高地網膜出血、眼ならびに眼窩の鈍性外傷および穿通性外傷、高血圧性網膜症、星芒状黄斑、眼窩蜂巣炎、脈絡膜梗塞、霜状分枝血管炎、鎌状赤血球病、乳頭腫、角膜炎、腺炎、涙管炎、涙嚢炎、コンタクトレンズによって引き起こされた結膜炎、間質性炎症、木質性結膜炎、瞼裂斑、翼状片、滴状角膜、アデノーマ、毛細血管腫、海綿状血管腫、血管内皮腫、血管周囲細胞腫、カポジ肉腫、分離腫、良性反応リンパ過形成、リンパ系新生物、麦粒腫、霰粒腫、黄色腫、角膜移植浮腫、屈折手法と関係する角膜浮腫、および下垂症を治療、予防もしくは阻害するか、それらの発症を遅らせるか、またはそれらの回復を引き起こすために使用される。
【0080】
ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、加齢性黄斑変性症(例えば、滲出型加齢性黄斑変性症、または非滲出型から滲出型になった加齢性黄斑変性症など)、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、網膜中心静脈閉塞症、網膜分枝状脈閉塞症、またはブドウ膜炎を治療、予防もしくは阻害するか、それらの発症を遅らせるか、またはそれらの回復を引き起こすために使用される。
【0081】
ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、黄斑浮腫(例えば、糖尿病黄斑浮腫、類嚢胞黄斑浮腫、または静脈閉塞症による黄斑浮腫)、網膜浮腫(例えば、脈絡膜血管新生と関係する網膜浮腫)、鳥インフルエンザを含むインフルエンザ、うっ血性心不全、肺浮腫、ARDS、喘息によって引き起こされた肺浮腫、ウイルス性脳炎、視神経網膜炎、エンドトキシンによって引き起こされた浮腫、血管炎、有毒な代謝性の脳浮腫、フォークト・コヤナギ・ハラダ病、血管腫、血管芽細胞腫、天疱瘡、フォンヒッペルリンドウ病、結節硬化症、血管神経性浮腫、毒蛇咬傷、高地脳浮腫(HACE)、高地肺浮腫(HAPE)、煙の吸引と関係する肺浮腫、無酸素症と関係する肺浮腫、ナトリウム欠乏性脳浮腫、鈍的外傷と関係する浮腫、咬傷または刺傷の後に2次的に引き起こされた浮腫、脳梗塞後または閉鎖性頭部外傷後の脳浮腫、滲出性網膜剥離、角膜浮腫(例えば、慢性角膜浮腫)、または強膜炎を治療、予防もしくは阻害するか、それらの発症を遅らせるか、またはそれらの回復を引き起こすために使用される。
【0082】
ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、類嚢胞黄斑浮腫、網膜浮腫(例えば脈絡膜血管新生と関係する網膜浮腫)、鳥インフルエンザを含むインフルエンザ、ウイルス性脳炎、視神経網膜炎、エンドトキシンによって引き起こされた浮腫、血管炎、有毒な代謝性の脳浮腫、血管腫、血管神経性浮腫、毒蛇咬傷、高地脳浮腫(HACE)、高地肺浮腫(HAPE)、ナトリウム欠乏性脳浮腫、鈍的外傷と関係する浮腫、脳梗塞後または閉鎖性頭部外傷後の脳浮腫、または角膜浮腫(例えば慢性角膜浮腫)を治療、予防もしくは阻害するか、それらの発症を遅らせるか、またはそれらの回復を引き起こすために使用される。
【0083】
ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、黄斑浮腫、網膜浮腫、フォークト・コヤナギ・ハラダ病、フォンヒッペルリンドウ病、網膜剥離(例えば滲出性網膜剥離)、角膜浮腫(例えば慢性角膜浮腫)を治療、予防もしくは阻害するか、それらの発症を遅らせるか、またはそれらの回復を引き起こすために使用される。
【0084】
ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、末梢血管拡張による低血圧症を治療、予防もしくは阻害するか、その発症を遅らせるか、またはその回復を引き起こすために使用される。本明細書に記載の方法または製剤は、大動脈弁狭窄症を治療、予防もしくは阻害するか、その発症を遅らせるか、またはその回復を引き起こすために使用される。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は大動脈弁狭窄症を有する被検体に有害な疾病または病気を治療するために使用される。ある実施形態では、本明細書に記載の方法または製剤は、大動脈弁狭窄症を有する被検体に有毒な透過性に関連した疾患または病気を治療するために使用される。
【0085】
ある実施形態では、本明細書に記載の治療剤の何れか1つ以上を含んでいる、本明細書に記載の製剤の何れか1つ以上は、任意の血管透過性に関連する疾患または疾病(特に限定されないが、本明細書に記載の血管透過性に関連する疾患または疾病が含まれる)を治療、予防もしくは阻害するか、それらの発症を遅らせるか、またはそれらの回復を引き起こすために使用される。
【0086】
ある実施形態では、本明細書に記載の治療剤の何れか1つ以上を含んでいる、本明細書に記載の製剤の何れか1つ以上は、任意の血管拡張に関連する疾患または疾病(特に限定されないが、本明細書に記載の血管透過性に関連する疾患または疾病が含まれる)を治療、予防もしくは阻害するか、それらの発症を遅らせるか、またはそれらの回復を引き起こすために使用される。
【0087】
ある実施形態では、次の文献に記載の製剤の何れか1つ以上が、任意の血管透過性に関連する疾患または疾病(特に限定されないが、本明細書に記載の血管透過性に関連する疾患または疾病が含まれる)を治療、予防もしくは阻害するか、それらの発症を遅らせるか、またはそれらの回復を引き起こすために使用される;米国仮特許出願第60/772,018号明細書(2006年2月9日出願、発明の名称「STABLE FORMULATIONS AND METHODS OF THEIR PREPARATION AND USE」)、米国特許第11/386,290号明細書(2006年3月21日出願、代理人識別番号「57796−20005.00」、発明の名称「DRUG DELIVERY SYSTEMS FOR TREATMENT OF DISEASES OR CONDITIONS」)、米国特許第11/351,844号明細書(2006年2月9日出願、発明の名称「FORMULATIONS FOR OCULAR TREATMENT」、代理人識別番号「57796−20002.00」)、米国特許第11/351,761号明細書(2006年2月9日出願、代理人識別番号「57796−20004.00」、発明の名称「LIQUID FORMULATIONS FOR TREATMENT OF DISEASES OR CONDITIONS」)、米国特許第11/386,290号明細書(2006年3月21日出願、代理人識別番号「57796−20005.00」、発明の名称「DRUG DELIVERY SYSTEMS FOR TREATMENT OF DISEASES OR CONDITIONS」、および米国特許出願公開第2005/0064010号明細書。
【0088】
ある実施形態では、本明細書に記載の治療剤の何れか1つ以上は、国際公開第04/027027号パンフレット、米国特許第6,376,517号明細書、米国特許出願公開第2005/0064010号明細書、あるいは米国特許第5,387,589号明細書に記載の血管透過性に関連する疾患または疾病以外の、あらゆる血管透過性に関連する疾患または疾病を治療、予防もしくは阻害するか、それらの発症を遅らせるか、またはそれらの回復を引き起こすために使用される(なお、上記文献は、参照することによって本明細書に完全に組み込まれる)。
【0089】
ある実施形態では、本明細書に記載の治療剤の何れかは、国際公開第04/027027号パンフレット、米国特許第6,376,517号明細書、あるいは米国特許第5,387,589号明細書に記載の血管透過性に関連する疾患または疾病以外の、任意の血管透過性に関連する疾患または疾病を治療、予防もしくは阻害するか、それらの発症を遅らせるか、またはそれらの回復を引き起こすために使用される。
【0090】
ある実施形態では、本明細書に記載の治療剤または製剤の何れか1つ以上は、心筋症;拡張型心筋症;肥大型心筋症;拘束型心筋症;うっ血性心不全;フィラリア症;腎不全;リンパ浮腫;子癇前症;子癇;甲状腺疾患;静脈瘤症;拡張蛇行静脈;大動脈縮窄;肺性心;滲出性皮膚炎;ホジキン病;心膜炎;腎性肺浮腫;静脈瘤症;動静脈瘻;リンパ節腫脹;動脈瘤;フィラリア症;新生物;外科的切除;肺浮腫;慢性閉塞性肺疾患;胸水;嚥下性肺炎;喘息によって引き起こされた浮腫;羊水塞栓症;はれもの;癰;膿瘍;丹毒;骨髄炎;ガス壊疽;丹毒;炭疽病;ルードウィッヒアンギナ;寄生虫による感染症;旋毛虫病;ウイルス性脳炎;AIDS;単純ヘルペスウイルス感染症;プリオン病;狂犬病;視神経網膜炎;炭疽菌汚染;エンドトキシンによって引き起こされた浮腫;ウェゲナー肉芽腫症;シェーグレン症候群;強皮症;全身性エリテマトーデス;多発性硬化症;化膿性肉芽腫;血管炎;脱髄疾患;良性頭蓋内圧亢進症;多発脳梗塞性認知症;アルツハイマー病;アミロイド沈着病;有毒な代謝性の脳浮腫;脳のアミロイドアンギオパチー;発作後の状態;血液脳関門の機能不全;頚動脈内膜切除における予防的使用;血管原性脳浮腫;脈絡膜母斑;神経腫;上皮腫;リンパ管腫;粘液腫;線維腫;線維筋腫;骨腫;軟骨腫;脈管腫;血管肉腫;腫瘍周辺の脳浮腫;血管腫;カルチノイド;多発性内分泌腺腫;遅発性皮膚ポルフィリン症;類天疱瘡;疱疹状皮膚炎;天疱瘡;とびひ;多形性紅斑;滲出性皮膚炎;表皮水疱症;接触皮膚炎;光線性皮膚炎;中毒疹;皮膚筋炎;湿疹;中毒性表皮壊死症;色素性乾皮症;水腔;皮様嚢腫;卵巣嚢腫;羊膜帯;動静脈瘻;髄膜組織球;水頭症;遺伝性血管神経性浮腫;神経線維腫症;フォンヒッペルリンドウ病;結節硬化症;急性腎炎;血管神経性浮腫;強皮症;超過敏反応;輸血反応;山酔い;高地肺浮腫(HAPE);高地脳浮腫(HACE);熱帯浮腫;凍瘡;薬物中毒;中毒;煙の吸引、一酸化炭素中毒または溺水による無酸素症;毒ガスへ、ツタウルシ、有毒オーク、毒ウルシ、またはネトゥルへの暴露;コリン作動薬性中毒;全身性ステロイド療法による浮腫;エタノールによって引き起こされた脳損傷;ナトリウム欠乏性脳浮腫;骨損傷、関節損傷、軟組織損傷、または臓器損傷に由来する急性外傷;運動競技またはスポーツ活動における腫れを予防するための予防的治療;靭帯のねんざまたは腱の筋違い;滑液包炎;関節損傷;骨折;虫刺され;毒蛇咬傷;海綿動物、サンゴ、イソギンチャク、ウニ、アカエイ、カサゴまたはクラゲに刺されたことによる、海洋関係の中毒もしくは毒物注入;凍傷;電気的損傷;外傷性脳損傷;脊髄損傷;外傷性視神経症;硬膜下血腫;くも膜下血腫;頚動脈海綿静脈洞痩;脳梗塞;心筋梗塞;動脈閉塞;動脈裂傷;再移植を必要とする四肢切断;痛風;血管神経性浮腫;ミルロイ病;角膜浮腫;脈絡膜滲出;結膜浮腫;脳室腹腔短絡術の機能不良;脳脊髄液ドレイナージの閉塞;アフター性潰瘍;白斑症;喉頭蓋炎;細胞毒性浮腫;喉頭浮腫;慢性咳;扁平苔癬;膵炎;多発性筋炎;アナフィラキシーショック;ショック;敗血症;急性呼吸窮迫症候群(ARDS);集中治療の患者;心肺バイパスによって引き起こされた脳浮腫;低温によって引き起こされた脳浮腫;肝不全によって引き起こされた脳浮腫;高地網膜出血;星芒状黄斑;脈絡膜梗塞;霜状分子血管炎;乳頭腫;涙腺炎;涙管炎;滴状角膜;アデノーマ;毛細血管腫;海綿状血管腫;血管内皮腫;血管周囲細胞腫;分離腫;良性反応リンパ過形成;リンパ系新生物;角膜移植浮腫;屈折手法と関係する角膜浮腫;関節炎(例えばリウマチ性関節炎または骨関節炎);ならびに手根管症候群(carpel tunnel syndrome)、の何れか1つ以上を治療、予防もしくは阻害するか、それらの発症を遅らせるか、またはそれらの回復を引き起こすために使用される。
【0091】
<製剤>
最も一般的には、本明細書に記載の製剤は、本明細書に記載の治療剤の何れか1つ以上を含んでいる。また、一般的には、本明細書に記載の製剤は、本明細書に記載の疾患または病気の1つ以上を治療、予防もしくは阻害するか、それらの発症を遅らせるか、またはそれらの回復を引き起こすための治療剤を送達することができる任意の形式であってもよい。ある実施形態では、上記治療剤は、リムス化合物、またはその薬学的に許容可能なプロドラッグ、類似体、塩、エステルもしくは誘導体である。
【0092】
ある実施形態では、本明細書に記載の製剤の何れかは、互いに所定の期間、複数の部位に投与される。なお、所定の期間としては、1時間が挙げられるが、これに限定されない。理論にとらわれずに、そのような複数の投与(特に限定されないが、複数の注入など)をした場合は、一回の投与をするよりも、組織に投与される総用量を多くすることができると考えられる。というもの、一回の投与では、局部組織の吸収できる容量または量が、限られる可能性があるからである。ある実施形態では、本明細書に記載の製剤の何れかは一回以上投与される。
【0093】
ある実施形態では、上記製剤は、固体製剤、液体製剤、もしくは薬物送達システムであるか、または装置と結合した製剤、装置によって送達される製剤、もしくは装置の近傍に投与される製剤である。
【0094】
ある実施形態では、上記製剤はナノ粒子製剤である。ある実施形態では、ナノ粒子製剤は製粉によって作製される。
【0095】
ある実施形態では、上記製剤は、米国仮特許出願第60/772,018号明細書(2006年2月9日出願、発明の名称「STABLE FORMULATIONS AND METHODS OF THEIR PREPARATION AND USE」に記載の方法によって、調製される、または調製されることができるラパマイシンの安定な製剤である。
【0096】
<固体製剤>
ある実施形態では、本明細書に記載の製剤は固体製剤である。固体製剤は、種々の投与経路用に製剤化されてもよく、例えば特に限定されないが、皮下植え込みによる送達、または経口送達などを含めた本明細書に記載のあらゆる投与経路から送達されるように製剤化されてもよい。固体剤形の非限定的な例には、放出制御製剤または徐放性製剤、コーティングされた固体製剤またはコーティングされていない固体製剤、オブラート、フィルム、粒子、マイクロ粒子、ナノ粒子、ビーズ、拡散を基本とする製剤、分解を基本とする製剤、容器を有する製剤、チュアブル製剤、急速崩壊製剤、バッカル剤、およびポリマーベースの製剤が含まれる。
【0097】
ある実施形態では、上記治療剤は、固体製剤として投与される。そのような固体製剤には、純粋な薬物(例えば約99%w/w)から本質的に成る固体製剤が含まれるが、これに限定されない。
【0098】
本明細書に記載の方法に使用されてもよい固形薬物送達システムの非限定的な例は、米国仮特許出願第60/664,119号明細書(2005年3月21日出願、代理人識別番号「57796−30005.00」、発明の名称「DRUG DELIVERY SYSTEMS FOR TREATMENT OF DISEASES OR CONDITIONS」)、および米国特許出願第11/386,290号明細書(2006年3月21日出願、代理人識別番号「57796−20005.00」、発明の名称「DRUG DELIVERY SYSTEMS FOR TREATMENT OF DISEASES OR CONDITIONS」)に見られる(なお上記文献は参照することによって本明細書に完全に組み込まれる)。
【0099】
<液体製剤>
ある実施形態では、本明細書に記載の製剤は液体製剤である。本明細書に記載の液体製剤は、治療剤を含んでいる。また、一般的に、液体製剤は、任意の液体製剤であってもよい。そのような液体製剤には、特に限定されないが、溶液、懸濁液、および乳濁液が含まれる。
【0100】
本明細書に記載のある液体製剤は、インサイチューでゲル化する製剤(インサイチューゲル化製剤)である。本明細書に記載されている、インサイチューゲル化製剤は、水性媒体に置いたときにゲルまたはゲル様の物質を形成する製剤を生じさせる複数のポリマーと、治療剤とを含んでいる。水性媒体には、特に限定されないが、眼の水性媒体が含まれる。
【0101】
本明細書に記載の液体製剤のある実施形態では、上記治療剤は、ラパマイシンの液体媒体の、溶液または懸濁液である。液体媒体には、特に限定されないが溶媒が含まれる。なお、溶媒には「治療剤の可溶化」の項目に記載の溶媒が含まれるが、これに限定されない。
【0102】
本明細書に記載の液体製剤は、可溶化剤成分を含んでいてもよい。ある実施形態では、可溶化剤成分は界面活性剤である。なお、各成分の間には、溶媒であってもよいし可溶化剤であってもよいという重複が存在する。それ故、同じ成分を、いくつかのシステムにおいて、溶媒または可溶化剤のどちらかとして使用してもよい。治療剤と、溶媒、可溶化剤もしくは界面活性剤の何れかであると見なされてもよい成分とを含んでいる液体製剤において、該成分は、溶媒の役割を果たす場合は、溶媒であると見なされ、溶媒の役割を果たさないと場合は、可溶化剤または界面活性剤と見なされてもよい。
【0103】
液体製剤は、場合によって、安定化剤、賦形剤、ゲル化剤、アジュバント、酸化防止剤、および/または本明細書に記載の他の成分をさらに含んでいてもよい。
【0104】
ある実施形態では、液体製剤中の、治療剤以外の全ての成分は、室温において液体である。
【0105】
ある実施形態では、液体製剤はナノ粒子を含んでいる。ある実施形態では、ナノ粒子は製粉によって作製される。
【0106】
ある実施形態では、液体製剤は、放出変更剤(release modifying agent)を含んでいる。ある実施形態では、放出変更剤は、フィルム形成ポリマー(film-forming polymer)成分である。フィルム形成ポリマー成分は、1つ以上のフィルム形成ポリマーを含んでいてもよい。任意のフィルム形成ポリマーを、賦形剤成分に使用してもよい。ある実施形態では、フィルム形成ポリマー成分は、水に不溶性のフィルム形成ポリマーを含んでいる。ある実施形態では、放出変更剤は、アクリルポリマーである。当該アクリルポリマーには、特に限定されないが、ポリメタクリレートが含まれる。また、ポリメタクリレートには、特に限定されないが、ユーラジットRL(Eudragit RL)が含まれる。
【0107】
本明細書には、<治療剤>の項目に記載の治療剤を送達するための組成物および液体製剤が記載されている。本明細書に記載の組成物および液体製剤を使用した、治療剤の送達は、<疾患および病気>の項目に記載された疾患および病気を治療、予防もしくは阻害するために、それらの発症を遅らせるために、またはそれらの回復を引き起こすために使用されてもよい。本明細書に記載の組成物および液体製剤は、<治療剤>の項目に記載の治療剤の何れかを含んでいてもよい。そのような治療剤には、ラパマイシンが含まれるが、これに限定されない。本明細書に記載の組成物および液体製剤は、1つ以上の治療剤を含んでいてもよい。また、本明細書に明記された組成物および液体製剤に加えて、他の組成物および液体製剤が使用されてもよい。
【0108】
治療剤がラパマイシンである場合、製剤は、本明細書に記載の疾患または病気の1つ以上を治療するのに有効な、本明細書に記載の治療剤の量を維持するために使用されてもよい。そのような治療剤には、特に限定されないが、ラパマイシンなどのリムス化合物が含まれる。
【0109】
ある実施形態では、上記製剤に含まれる治療剤の割合は、組成物の総重量の0.01〜80%w/wの間、0.05〜15%w/wの間、0.1〜10%w/wの間、1〜5%w/wの間、または5〜15%w/wの間、8〜10w/w%の間、約0.01〜約1%w/wの間、0.05〜5%w/wの間、0.1〜0.2%w/wの間、0.2〜0.3%w/wの間、0.3〜0.4%w/wの間、0.4〜0.5%w/wの間、0.5〜0.6%w/wの間、0.6〜0.7%w/wの間、0.7〜1%w/wの間、1〜5%w/wの間、5〜10%w/wの間、5〜30%w/wの間、15〜55%w/wの間、20〜30%w/wの間、25〜30%w/wの間、35〜55%w/wの間、約10%w/w、約20%w/w、約30%w/w、約35%w/w、約40%w/w、約45%w/w、約50%w/w、約55%w/w、約60%w/w、約65%w/w、約70%w/w、約75%w/w、または約80%w/wである。
【0110】
また、上記製剤に含まれる溶媒成分の割合は、例えば、組成物の総重量の約0.01〜約99.9%の間、約0.1〜約99%の間、約25〜約55%の間、約30〜約50%の間、約35〜約45%の間、約0.1〜約10%の間、約10〜約20%の間、約20〜約30%の間、約30〜約40%の間、約40〜約45%の間、約40〜約45%の間、約45〜約50%の間、約50〜約60%の間、約50〜約70%の間、約70〜約80%の間、約80〜約90%、または、約90〜約100%の間であってもよい。
【0111】
また、上記製剤に含まれる可溶化剤成分の割合は、例えば、組成物の総重量の約0.01〜約30%の間、約0.1〜約20%の間、約2.5〜約15%の間、約10〜約15%の間、約5〜約10%の間、約8〜約12%の間、約10〜約20%の間、約20〜約30%の間であってもよい。
【0112】
ある実施形態では、本明細書に記載の液体製剤は、40%センチポイズ〜120%センチポイズの粘性を有している。ある実施形態では、本明細書に記載の液体製剤は、60%センチポイズ〜80%センチポイズの粘性を有している。
【0113】
ある実施形態では、本明細書に記載の液体製剤は、治療剤と溶媒成分とを含んでいる。溶媒成分は、1つの溶媒を含んでいていてもよいし、あるいは、複数の溶媒の組み合わせを含んでいてもよい。また、治療剤成分は、1つの治療剤を含んでいてもよいし、あるいは複数の治療剤の組み合わせを含んでいてもよい。ある実施形態では、溶媒は、グリセリン、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド(DMA)、ジメチルホルムアミド、グリセロールホルマール、エトキシジグリコール、トリエチレングリコール、ジメチルエーテル、トリアセチン、ジアセチン、コーンオイル、クエン酸アセチルトリエチル(ATC)、乳酸エチル、ポリグリコール化カプリルグリセリド、γブチロラクトン、ジメチルイソソルビド、ベンジルアルコール、エタノール、イソプロピルアルコール、様々な分子量のポリエチレングリコール、またはプロピレングリコール、あるいは1つ以上のそれらの混合物である。なお、ポリエチレングリコールには、特に限定されないが、PEG300およびPEG400が含まれる。
【0114】
ある実施形態では、本明細書に記載の液体製剤は溶液であり、治療剤と溶媒成分とを含んでいる。ある実施形態では、溶媒成分はエタノールを含んでいる。ある実施形態では、溶媒成分は、エタノールとポリエチレングリコールとを含んでいる。ここで、当該ポリエチレングリコールには、特に限定されないが液体ポリエチレングリコールが含まれ、当該液体ポリエチレングリコールには特に限定されないが、PEG300およびPEG400の1つ以上が含まれる。
【0115】
ある実施形態では、本明細書に記載の液体製剤は懸濁液であり、治療剤と希釈剤成分とを含んでいる。ある実施形態では、希釈剤成分は、溶媒または可溶化剤として本明細書に挙げられ、生じた混合物が懸濁液になる1つ以上の成分を含んでいる。
【0116】
ある実施形態では、液体製剤は、部分的に溶液であり、部分的に懸濁液である。
【0117】
ある実施形態では、液体製剤は、インサイチューゲル化製剤であり、治療剤とポリマー成分とを含んでいる。当該ポリマー成分は、複数のポリマー成分を含んでいてもよい。ある実施形態では、液体製剤はポリメタクリレートポリマーを含んでいる。ある実施形態では、液体製剤はポリビニルピロリドンポリマーを含んでいる。
【0118】
ある実施形態の液体製剤は、総重量に対して約0.01%〜約20%の間である1つ以上の治療剤、総重量に対して約5%〜約15%の間である溶媒、および総重量に対して約5%〜約15%の間である可溶化剤を含んでおり、さらに残りの主な成分として水を含んでいる。なお、上記治療剤は、特に限定されないがラパマイシンなどであり、上記可溶化剤は、特に限定されないが界面活性剤などである。また、ある実施形態では、上記製剤は、総重量に対して約0〜約40%の間である、安定化剤、賦形剤、アジュバント、または酸化防止剤をさらに含んでいる。
【0119】
ある実施形態では、液体製剤は、総重量に対して約5%以下である治療剤、および総重量に対して約99.9%以下である溶媒成分を含んでいる(なお、上記治療剤には、特に限定されないが、ラパマイシンが含まれる)。ある実施形態では、液体製剤は、総重量に対して約5%以下である治療剤、および約99.9%以下である希釈剤成分を含んでいる(なお、上記治療剤には、特に限定されないが、ラパマイシンが含まれる)。
【0120】
ある実施形態では、液体製剤は、総重量に対して約5%以下である治療剤、総重量に対して約10%以下である溶媒、および総重量に対して約85%以下である可溶化成分を含んでいてもよい(なお、上記治療剤には、特に限定されないが、ラパマイシンが含まれる)。ある実施形態では、可溶化成分は界面活性剤の水溶液である。
【0121】
上記液体製剤に含まれる複数のポリマー成分の割合は、例えば、組成物の総重量に対して約0.01〜約30%の間、約0.1〜約20%の間、約2.5〜約15%の間、約10〜約15%の間、約3〜約5%の間、約5〜約10%の間、約8〜約12%の間、約10〜約20%の間、または約20〜約30%の間であってもよい。
【0122】
ある実施形態の液体製剤は、総重量に対して約0.01%〜約20%の間である治療剤、総重量に対して約60%〜約98%の間である溶媒成分、および合計の割合が総重量に対して約0.1%〜約15%の間である複数のポリマーを含んでいる(なお、上記治療剤は、特に限定されないが、ラパマイシンなどである)。ある実施形態では、上記製剤は、総重量に対して約0〜約40%の間である、安定化剤、賦形剤、アジュバントまたは酸化防止剤をさらに含んでいる。
【0123】
ある実施形態では、液体製剤は、総重量に対して約4%である治療剤、総重量に対して約91%である溶媒、および総重量に対して約5%であるポリマー成分を含んでいてもよい(なお、上記治療剤は、特に限定されないが、ラパマイシンなどである)。
【0124】
下記の文献では、1つ以上の製剤(特に限定されないが、ラパマイシン製剤を含む)が示されており、また様々な用量でのラパマイシンの使用や、様々な疾患または病気を治療するための他の治療剤が記載されている。なお、それら文献は、参照することによって、本明細書に完全に組み込まれる。米国仮特許出願第60/651,790号明細書(2005年2月9日出願、発明の名称「FORMULATIONS FOR OCULAR TREATMENT」、代理人識別番号「57796−30002.00」)、米国仮特許出願第60/664,040号明細書(2005年2月9日出願、代理人識別番号「57796-30004.00」、発明の名称「LIQUID FORMULATIONS FOR TREATMENT OF DISEASES OR CONDITIONS」)、米国仮特許出願第60/664,119号明細書(2005年3月21日出願、代理人識別番号「57796−30005.00」、発明の名称「DRUG DELIVERY SYSTEMS FOR TREATMENT OF DISEASES OR CONDITIONS」)、米国仮特許出願第60/664,306号明細書(2005年3月21日出願、代理人識別番号「57796−30006.00」、発明の名称「IN SITU GELLING FORMULATIONS AND LIQUID FORMULATIONS FOR TREATMENT OF DISEASES OR CONDITIONS」)、米国特許出願第11/351,844号明細書(2006年2月9日出願、発明の名称「FORMULATIONS FOR OCULAR TREATMENT」、代理人識別番号「57796−20002.00」)、米国特許出願第11/351,761号明細書(2006年2月9日出願、代理人識別番号「57796−20004.00」、発明の名称「LIQUID FORMULATIONS FOR TREATMENT OF DISEASES OR CONDITIONS」)、米国特許出願第11/386,290号明細書(2006年3月21出願、代理人識別番号「57796-20005.00」、発明の名称「DRUG DELIVERY SYSTEMS FOR TREATMENT OF DISEASES OR CONDITIONS」)、米国仮特許出願第60/772,018号明細書(2006年2月9日出願、発明の名称「STABLE FORMULATIONS, AND METHODS OF THEIR PREPARATION AND USE」)、米国特許出願公開第2005/0187241号明細書、および米国特許出願公開第2005/0064010号明細書。
【0125】
ある実施形態では、上記液体製剤は、総重量に対して約0.01%〜約10%の間の濃度である治療剤、および総重量に対して約10%〜約99%の間である溶媒を含んでいる。ある実施形態では、上記製剤は、可溶化剤をさらに含んでいる。当該可溶化剤には、特に限定されないが、界面活性剤が含まれる。ある実施形態では、上記液体製剤は、総重量に対して約0〜約40%の間である、安定化剤、賦形剤、アジュバント、または酸化防止剤などをさらに含んでいる。ある実施形態では、上記治療剤は、総重量に対して約5%であり、上記溶媒成分は、総重量に対して約95%である。
【0126】
ある実施形態では、上記液体製剤に含まれるラパマイシンの割合は、組成物の総重量の約0.01〜約10%の間、約0.05〜約10%の間、約0.1〜約5%の間、約1〜約5%の間、約5〜約15%の間、約8〜約10%の間、約0.01〜約1%の間、約0.05〜約5%の間、約0.1〜約0.2%の間、約0.2〜約0.3%の間、約0.3〜約0.4%の間、約0.4〜約0.5%の間、約0.5〜約0.6%の間、約0.6〜約0.7%の間、約0.7〜約1%の間、約1〜約3%の間、または約1.5〜約2.5%の間である。ある実施形態では、本明細書に記載の液体製剤は、約0.1〜約5w/wの間のラパマイシンを含んでいる。
【0127】
ある実施形態では、上記液体製剤に含まれる非水性液体成分の割合は、例えば特に限定されないが、、組成物の総重量の約0.01〜約99.9%w/wの間、約0.1〜約99%w/wの間、約75〜約99.99%w/wの間、約85〜約99.99%w/wの間、約55〜約95%w/wの間である。ある実施形態では、非水性液体成分は、約85〜約99.99%w/wの間である。
【0128】
ある実施形態では、水成分が場合よっては存在する。ある実施形態では、当該水成分は、約30%未満、約25%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約7.5%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、約1%未満、または約.5%未満である。ある実施形態では、上記水成分は、約5%w/w未満である。
【0129】
ある実施形態の液体製剤は、総重量に対して約0.01〜約5%であるラパマイシン、および総重量に対して約95%〜約99.99%である非水性液体成分を含んでいる。ある実施形態では、上記製剤は、総重量に対して約0〜約5%の間である安定化剤、賦形剤、アジュバント、または酸化防止剤をさらに含んでいる。
【0130】
ある実施形態では、液体製剤は、約2%w/wのラパマイシンと、約98%w/wの非水性液体成分とを含んでいる。ある実施形態では、非水性液体成分は、エタノールを含んでいる。ある実施形態では、非水性液体成分は、液体のポリエチレングリコールを含んでいる。なお、当該ポリエチレングリコールは、特に限定されないが、PEG400を含んでいる。
【0131】
ある実施形態では、上記製剤は、2%w/wのラパマイシン、4%w/wのエタノール、および94%w/wのPEG400を含んでいる。
【0132】
ある実施形態では、上記製剤は、該製剤の投与が必要な被検体に投与される前に、媒体で希釈される。
【0133】
上記液体製剤は、様々な投与経路用に製剤化されてもよく、例えば特に限定されないが、注入による送達の経口投与などを含めた、本明細書に記載のあらゆる投与経路から送達されるように製剤化されてもよい。
【0134】
<インサイチューゲル化製剤>
ある実施形態では、本明細書に記載の製剤は、インサイチューゲル化製剤である。
【0135】
本明細書で使用される「インサイチューゲル化製剤」は、液体製剤が水性媒体に配置されると、ゲル様の非分散性の塊を形成する液体製剤のことをいう。なお、当該水性媒体には、特に限定されないが、水、および被検体の眼のガラス体、ならびに被検体の眼の強膜と結膜との間にある水性媒体が含まれる。ある実施形態では、インサイチューゲル化製剤は、生水に配置されると、ゲル様の非分散性の塊を形成する。
【0136】
ある実施形態では、インサイチューゲル化製剤は、水性媒体に配置される前は懸濁液であり、水性媒体に配置されるとインサイチューでゲルを形成する。ある実施形態では、インサイチューゲル化製剤は、水性媒体に配置される前は溶液であり、水性媒体に配置されるとインサイチューでゲルを形成する。ある実施形態では、インサイチューゲル化製剤は、水性媒体に配置される前は乳濁液であり、水性媒体に配置されるとインサイチューでゲルを形成する。ある実施形態では、ゲル様の非分散性の塊は、インサイチューゲル化製剤が水性媒体中に配置された後に形成する。当該水性媒体には、特に限定されないが、水、被検体の水性媒体、眼のガラス体、または眼の強膜と結膜との間の水性媒体の何れかもしくは全てが含まれる。ある実施形態では、インサイチューゲル化製剤は、ポリマーマトリックスから形成される。ある実施形態では、治療剤は、ポリマーマトリックス中に分散される。
【0137】
本明細書に記載のインサイチューゲル化製剤は、被検体の疾患および病気を治療、予防もしくは阻害するためか、それらの発症を遅らせるためか、またはそれらの回復を引き起こすために使用されてもよい。なお、上記被検体には、特に限定されないが、ヒト被検体が含まれる。被検体の疾患または病気を治療、予防もしくは阻害するためか、それらの発症を遅らせるためか、またはそれらの回復を引き起こすために使用されるときに、インサイチューゲル化製剤は、被検体に投与される。
【0138】
ある実施形態では、インサイチューゲル化製剤は1つ以上のポリマーを含んでいる。本明細書には、様々な種類のポリマーが記載されており、該ポリマーには、溶媒であるポリマー、可溶化剤であるポリマー、放出変更剤であるポリマー、安定化剤であるポリマーなどが含まれる。ある実施形態では、治療剤と組み合わされて水性媒体に配置されたときに、非分散性の塊、ゲル、ヒドロゲル、またはポリマーマトリックスの何れかもしくは全てを形成するポリマーの任意の組み合わせが使用される。なお、水性媒体には、特に限定されないが、水、ガラス体、または強膜と結膜との間の水性媒体が含まれる。
【0139】
ある実施形態では、インサイチューゲル化製剤は、被検体に投与されたときに、徐放性の治療剤を被検体に送達する。
【0140】
ある実施形態では、インサイチューゲル化製剤はナノ粒子を含んでいる。ある実施形態では、ナノ粒子は製粉(milling)によって作製される。
【0141】
ある実施形態では、上記製剤は、治療財と複数のポリマーとを含んでおり、当該ポリマーの1つは、ポリメタクリレートである。ポリメタクリレートには、様々な名称があり、また種々の調製方法が利用可能である。そのようなポリメタクリレートの名称には、特に限定されないが、ポリマーメタクリレート、メタクリル酸−エチルアクリレート共重合体(1:1)、メタクリル酸−エチルアクリレート共重合体(1:1)の30%分散液、メタクリル酸−メチルメタクリレート共重合体(1:1)、メタクリル酸−メチルメタクリレート共重合体(1:2)、メタクリル酸−エチルアクリレート共重合体(1:1)、メタクリル酸−エチルアクリレート共重合体(1:1)の30%分散液、メタクリル酸−メチルメタクリレート共重合体(1:1)、メタクリル酸−メチルメタクリレート(1:2)、USPNF、アンモニオメタクリレート共重合体、メタクリル酸共重合体、メタクリル酸共重合体の分散液が包含される。
【0142】
ある実施形態では、上記ポリマーの1つは、ポリビニルピロリドンである。ポリビニルピロリドンには、様々な名称があり、また種々の利用可能な調製方法が存在する。そのようなポリビニルピロリドンの名称には、特に限定されないが、ポビドン、ポビドナム、コリドン、プラスドン、ポリ[1−(2−オキソ−1−ピロリジニル)エチレン]、ポリビドン、PVP、1−ビニル−2−ピロリジオンポリマー、および1−エテニル−2−ピロリジノンホモポリマーが含まれる。
【0143】
本明細書に記載の一液体製剤は、治療剤と溶媒成分とを含んでいる。当該溶媒成分は、1つの溶媒を含んでいてもよいし、または複数の溶媒の組み合わせを含んでいてもよい。
【0144】
ある実施形態では、上記溶媒は、グリセリン、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、エタノール、イソプロピルアルコール、様々な分子量のポリエチレングリコール、またはプロピレングリコール、あるいはそれらの1つ以上の混合物。なお、様々な分子量のポリエチレングリコールには、特に限定されないが、PEG300およびPEG400が含まれる。
【0145】
ある実施形態では、上記溶媒は、ポリエチレングリコールである。ポリエチレングリコールには、様々な名称があり、また種々の利用可能な調製方法が存在する。そのようなポリエチレングリコールの名称には、特に限定されないが、マクロゲル、マクロゲル400、マクロゲル1500、マクロゲル4000、マクロゲル6000、マクロゲル20000、マクロゴラ(macrogola)、ブレオクスPEG(breox PEG)、カルボワックス(carbowax)、カルボワックスセントリ(carbowax sentry)、ホダッグPEG(Hodag PEG)、リポ(Lipo)、リポキソール(Lipoxol)、ルトロールE(Lutrol E)、PEG、プルリオールE(Pluriol E)、ポリオキシエチレングリコール、およびα−ヒドロ−ω−ヒドロキシ−ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)が含まれる。
【0146】
<治療剤の可溶化>
使用されてもよい一組成物または液体製剤は、治療剤が溶媒成分に溶解している、組成物または液体製剤である。一般的に、所望の効果を有する任意の溶媒を、治療剤が溶解する溶媒として使用してもよい。ある実施形態では溶媒は水性であり、またある実施形態では溶媒は非水性である。ここで、「水性溶媒」は少なくとも約50%の水を含んでいる溶媒である。
【0147】
一般的に、所望の効果を有する可溶化された治療剤の濃度としては、任意のものを使用することができる。溶媒成分は、1つの溶媒であってもよいし、または複数の溶媒の混合物であってもよい。溶液の種類および溶媒は、薬物送達技術に精通した者に十分知られている。例えば、「Remington: The Science and Practice of Pharmacy, Twentieth Edition, Lippincott Williams & Wilkins; 20th edition (December 15, 2000)」、「Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, Eighth Edition,Lippincott Williams & Wilkins (August 2004)」、「Handbook Of Pharmaceutical Excipients 2003, American Pharmaceutical Association, Washington, DC, USA and Pharmaceutical Press, London, UK」、および「Strickley, solubilizing Excipients in Oral and Injectable Formulations, Pharmaceutical Research, Vol. 21, No. 2, February 2004」を参照のこと。
【0148】
上記のように、いくつかの溶媒は可溶化剤としても機能し得る。
【0149】
使用されてもよい溶媒には、特に限定されないが、DMSO、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、ヒマシ油、プロピレングリコール、グリセリン、ポリソルベート80、ベンジルアルコール、ジメチルアセトアミド(DMA)、ジメチルホルムアミド(DMF)、トリアセチン、ジアセチン、コーン油、クエン酸アセチルトリエチル(ATC)、乳酸エチル、グリセロールホルマール、エトキシジグリコール(トランスクトール ガッテフォセ(Transcutol, Gattefosse))、トリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグリム(Triglyme))、ジメチルイソソルビド(DMI)、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、様々な分子量のポリエチレングリコール、およびポリグリコール化カプリルグリセリド(ラブラソル ガッテフォセ(Labrasol, Gattefosse))、ならびにそれらの任意の1つ以上の組み合わせ、またはそれらの任意の1つ以上の類似体、もしくは誘導体が含まれる。なお、様々な分子量のポリエチレングリコールには、特に限定されないが、PEG300およびPEG400が含まれる。
【0150】
ある実施形態では、上記溶媒はポリエチレングリコールである。ポリエチレングリコールには、様々な名称があり、また種々の利用可能な調製方法が存在する。そのような名称には、特に限定されないが、マクロゲル、マクロゲル400、マクロゲル1500、マクロゲル4000、マクロゲル6000、マクロゲル20000、マクロゴラ、ブレオクスPEG、カルボワックス、カルボワックスセントリ、ホダッグPEG、リポ、リポキソール、ルトロールE、PEG、プルリオールE、ポリオキシエチレングリコール、およびα−ヒドロ−ω−ヒドロキシ−ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)が含まれる。
【0151】
ある実施形態では、上記ポリエチレングリコールは、液体のPEGであり、かつPEG300またはPEG400の1つ以上である。
【0152】
他の溶媒には、治療剤を可溶化するのに十分である、C〜C24の脂肪酸が含まれる。
【0153】
また、リン脂質溶媒が使用されてもよい。リン脂質溶媒としては、例えば、(i)レシチン、(ii)ホスファチジルコリン、または(iii)リン酸のコリンエステルに連結しているステアリン酸、パリミチン酸、およびオレイン酸の様々なジグリセリドの混合物、(iv)水素化した大豆のホスファチリジルコリン(HSPC)、(v)ジステアロイルホスファチリルグリセロール(DSPG)、(vi)L−α−ジミリストイルホスファチジルグリセロール(DMPG)が挙げられる。
【0154】
さらに、溶媒の例には、アルコール;プロピレングリコール;様々な分子量のポリエチレングリコール;プロピレングリコールエステル;オレイン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、カプリン酸、リノール酸などの脂肪酸とエステル化したプロピレングリコール;中鎖のモノグリセリド、ジグリセリド、またはトリグリセリド;長鎖脂肪酸;天然に生じる油;およびそれらの混合物などが含まれる。溶媒系用の油成分には、市販の油、および天然に生じる油が含まれる。また上記油は、植物性油であってもよいし、または鉱油であってもよい。当該油は、通常は、親水性−親油性バランス値を有さないという、非表面活性油であることを特徴としてもよい。中鎖トリグリセリドを含んでいる市販の物質には、特に限定されないが、カプテックス(Captex)100、カプテックス300、カプテックス355、ミグリオール(Miglyo)810、ミグリオール812、ミグリオール818、ミグリオール829、およびダイナセリン(Dynacerin)660が包含される。市販のプロピレングリコールエステル組成物には、カプテックス200およびミグリオール840などが包含される。市販製品であるカプムル(Capmul)MCMは、モノグリセリドおよびジグリセリドを含んでいる多くの使用可能な中鎖混合物のうちの1つを含んでいる。
【0155】
他の溶媒には、ペパーミント油や種油などの天然に生じる油が含まれる。典型的な天然油には、オレイン酸、ヒマシ油、紅花の種油、大豆油、オリーブ油、ヒマワリ種子油、ゴマ油、およびピーナッツ油が含まれる。また、大豆脂肪酸を使用してもよい。完全に飽和した非水性溶媒には、例えば特に限定されないが、中鎖〜長鎖の脂肪酸のエステル(鎖長が約C〜約C24である脂肪酸トリグリセリドなど)が含まれる。また、水素化された大豆油、および他の植物性油を使用してもよい。脂肪酸の混合物を天然油(例えば、ココナッツ油、パーム核油、またはババス油など)から分割し、精製してもよい。ある実施形態では、ココナッツ油もしくはヤシの種油に由来するカプリリック/カプリックトリグリセリドなどの、(約C〜約C12)中鎖トリグリセリドを使用してもよい。また、中鎖のモノグリセリドおよびジグリセリドを使用してもよい。他の完全に飽和した非水性溶媒は、特に限定されないが、飽和ココナッツ油(通常は、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、カプリン酸、およびカプロン酸を含んでいる)を包含しており、さらにフルス(Huls)からミグリオール(Miglyol(登録商標))として販売されており、810、812、829、および840の商品名を有するものも包含している。また、ドルーケミカルズ(Drew Chemicals)から販売されているネオビー(NeoBee(登録商標))製品も留意されたい。非水性溶媒は、ミリスチン酸イソプロピルを含んでいる。合成油の例には、6〜24の炭素原子を有する、飽和もしくは不飽和の脂肪酸の、トリグリセリドおよびプロピレングリコールジエステルが含まれる。なお、当該飽和不飽和の脂肪酸としては、例えば、ヘキサン酸、オクタン酸(カプリリック酸)、ノナン酸(ペラルゴン酸)、デカン酸(カプリル酸)、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸(ミリスチン酸)、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸(ステアリン酸)、ノナデカン酸、ヘプタデカン酸、エイコサン酸、ヘネイコサン酸(heneicosanoic acid)、ドコサン酸、およびリグノセリン酸などが挙げられる。不飽和カルボン酸の例には、オレイン酸、リノール酸、およびリノレン酸などが含まれる。非水性溶媒は、脂肪酸のモノグリセリルエステル、ジグリセリルエステルおよびトリグリセリルエステル、または混合グリセリド、ならびに/あるいはプロピレングリコールモノエステルまたはプロピレングリコールジエステルを含んでいてもよい。なお、それらのグリセロールの少なくとも1つの分子は、炭素原子の長さが様々である脂肪酸によりエステル化されている。溶媒として有用な「油以外の溶媒」は、例えば特に限定されないがポリエチレングリコールである。
【0156】
典型的な植物性油には、綿実油、コーン油、ゴマ油、大豆油、オリーブ油、ヤシ油、ピーナッツ油、ヒマワリ油、紅花油、アーモンド油、アボガド油、パーム油、パーム核油、ババス油、ブナの実の油、アマニ油、および菜種油などが含まれる。また、コーン油などの植物性油のモノグリセリド、ジグリセリド、およびトリグリセリドが使用されてもよい。
【0157】
また、交差連結型のまたは非交差連結型のポリビニルピロリドン(PVP)が、溶媒として使用されてもよい。さらに、溶媒には、特に限定されないが、C〜C24の脂肪酸、オレイン酸、インウィター(Imwitor)742、カプムル、F68、F68(ルトロール)、プルロニクス(PLURONlCS)(特に限定されないが、プルロニクスF108、F127、およびF68、ポリオキサマーを含む、ジェファミンズ(Jeffamines))、テトロニクス(Tetronics)、F127;シクロデキストリン(α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、スルホブチルエーテル−β−シクロデキストリンなど)(カプチソル(Captisol);CMC、ポリソルビタン20、カビトロン(Cavitron)、様々な分子量のポリエチレングリコール(特に限定されないが、PEG300およびPEG400を含む)が包含される。
【0158】
また蜜ろうおよびd−α−トコフェロール(ビタミンE)が、溶媒として使用されてもよい。
【0159】
液体製剤に使用するための溶媒は、技術的に知られている種々の方法によって決定することができる。そのような方法としては、特に限定されないが、(1)その技術分野における一般的な方程式を使用して、溶媒の溶解パラメーター値を理論的に評価し、治療剤と適合する溶媒を選択する方法や、(2)溶媒中の治療剤の飽和溶解度を実験的に決定し、所望の溶解度を示す溶媒を選択する方法などが挙げられる。
【0160】
<ラパマイシンの可溶化>
治療剤がラパマイシンである場合、ラパマイシンの溶液または懸濁液を作製するために使用されてもよい溶媒には、特に限定されないが、本明細書に記載の任意の溶媒が含まれる。そのような溶媒には、特に限定されないが、DMSO、グリセリン、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール;ヒマシ油、プロピレングリコール、ポリビニルプロピレン、グリセリン、ポリソルベート80、ベンジルアルコール、ジメチルアセトアミド(DMA)、ジメチルホルムアミド(DMF)、グリセロールホルマール、エトキシジグリコール(トランスクトール ガッテフォセ)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグリム)、ジメチルイソソルビド(DMI)、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、様々な分子量のポリエチレングリコール(特に限定されないが、PEG300およびPEG400を含む)、およびポリグリコール化カプリルグリセリド(ラブラソル ガッテフォセ)のいずれか1つ以上が含まれる。
【0161】
また、溶媒には、特に限定されないが、C〜C24の脂肪酸、オレイン酸、インウィター742、カプムル、F68、F68(ルトロール)、プルロニクス(特に限定されないが、プルロニクスF108、F127、およびF68、ポリオキサマーを含む、ジェファミンズ)、テトロニクス、F127、ベータ−シクロデキストリン、CMC、ポリソルビタン20、カビトロン、ソフチゲン(Softigen)767、カプチソル、およびゴマ油が含まれる。
【0162】
ラパマイシンを溶解するのに使用されてもよい他の方法は、「Solubilization of Rapamycin, P. Simamoraら, Int'l J. Pharma 213 (2001) 25-29」に記載されている(なお、本文献の内容は、完全に本明細書に組み込まれる)。
【0163】
例えば特に限定されないが、ラパマイシンは、5%DMSOまたはメタノールの平衡塩溶液に溶解されてもよい。ラパマイシンの溶液は、ラパマイシンの不飽和溶液であってもよいし、飽和溶液であってもよいし、あるいは過飽和溶液であってもよい。ラパマイシンの溶液は、固体のラパマイシンと接触していてもよい。例えば特に限定されないが、ラパマイシンは、約400mg/ml以下の濃度に溶解されてもよい。また、ラパマイシンは、例えば、オレイン酸、ステアリン酸、パルミチン酸(palmic)、カプリン酸、リノール酸などの脂肪酸とエステル化した、プロピレングリコールに溶解されてもよい。
【0164】
他の多くの溶媒を使用することができる。当業者は、本明細書における教示を考慮すると、ラパマイシン用の溶媒を同定するルーチンを発見するだろう。
【0165】
<可溶化剤>
一般的に、任意の可溶化剤、または複数の可溶化剤の組み合わせを、本明細書に記載の液体製剤に使用してもよい。
【0166】
ある実施形態では、可溶化剤は、界面活性剤、または複数の界面活性剤の組み合わせである。多くの界面活性剤を使用することができる。また、様々な種類の界面活性剤の組み合わせを含む、複数の界面活性剤の組み合わせが使用されてもよい。例えば、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤(つまり、石鹸、スルホン酸塩)、陽イオン性界面活性剤(つまり、CTAB)、両イオン性界面活性剤、高分子界面活性剤、または両性界面活性剤が使用されてもよい。
【0167】
使用されることができる界面活性剤は、興味のある治療剤を想定される溶媒および想定される界面活性剤と混合し、媒体に供した後の製剤の特性を観察することによって決定されてもよい。
【0168】
界面活性剤の例には、特に限定されないが、次の(1)〜(8)が含まれる。(1)脂肪酸のエステルもしくはアミドもしくはエーテル類似体、あるいはそれらの親水性誘導体、(2)モノエステルもしくはジエステル、またはそれらの親水性誘導体、あるいはそれらの混合物、(3)モノグリセリドもしくはジグリセリド、またはそれらの親水性誘導体、あるいはそれらの混合物、(4)濃縮されたモノおよび/もしくはジグリセリドを有する混合物、またはそれらの親水性誘導体、(5)親水性部分により部分的に誘導体化された界面活性剤、(6)次の物質のモノエステルもしくはジエステルもしくは多価エステル、あるいはそれらの親水性誘導体、またはそれらのアミド類似体;すなわち、他のアルコール、ポリオール、サッカライドもしくはオリゴサッカライドもしくはポリサッカライド、オキシアルキレンのオリゴマーもしくはポリマーもしくはブロックポリマー、(7)次の物質の脂肪酸誘導体、またはそれらのエーテル類似体;すなわちアミン、ポリアミン、ポリイミン、アミノアルコール、アミノ糖類、ヒドロキシアルキルアミン、ヒドロキシポリイミン、ペプチド、もしくはポリペプチド。
【0169】
親水性−親油性バランス(「HLB」)は、界面活性剤が水と油とを(あるいは、検討されている懸濁系の2相に対して)、同時に引きつける相対的な力を表するものである。
【0170】
界面活性剤は、界面活性剤分子の親水性部分と親油性部分との間のバランスに従って特徴付けられる。親水性−親油性バランス(HLB)の数は、分子の極性を1〜40の任意の範囲で示しており、最も一般的に使用される乳化剤の値は、1〜20である。HLBが増加すれば、親水性が増加する。
【0171】
使用されてもよい界面活性剤には、特に限定されないが、HLBが、10よりも大きい、11よりも大きい、12よりも大きい、13よりも大きい、または14よりも大きい界面活性剤が含まれる。界面活性剤の例には、ポリオキシエチレン;水素化植物性油、ポリエトキシ化されたヒマシ油、またはポリエトキシ化された水素化ヒマシ油の製品;ポリオキシエチレン−ソルビタン−脂肪酸エステル;およびポリオキシエチレンヒマシ油の誘導体などが含まれ、さらに例えば、ニッコール(Nikkol)HCO−50、ニッコールHCO−35、ニッコールHCO−40、ニッコールHCO−60(ニッコーケミカルズ(Nikko Chemicals Co. Ltd.)製);クレモフォール(Cremophor)(BASF製)(クレモフォールRH40、クレモフォールRH60、クレモフォールELなど);トウィーン(TWEEN)(ICIケミカルズ製)(トウィーン20、トウィーン21、トウィーン40、トウィーン60、トウィーン80、トウィーン81、クレモフォールRH410、およびクレモフォールRH455など)が含まれる。
【0172】
界面活性剤成分は、(i)少なくとも約12から22までの炭素原子を有する少なくとも1つの脂肪アルコールと、少なくとも約1から100までのエチレンオキシドユニットとから形成された少なくとも1つのエーテルを有する化合物、(ii)少なくとも約12から22までの炭素原子を有する少なくとも1つの脂肪酸鎖と、少なくとも約1から100までのエチレンオキシドユニットとから形成された少なくとも1つのエステルを有する化合物、(iii)少なくとも1つのビタミンまたはビタミン誘導体と、少なくとも約1から100までのエチレンオキシドユニットとをから形成された少なくとも1つのエーテル、エステルまたはアミドを有する化合物、および(iv)2つ以下の界面活性剤から成るそれらの組み合わせ、から選択されてもよい。
【0173】
界面活性剤の他の例には、ルムルセ(Lumlse)、GRH−40、TGPS、ポリソルベート−80(トウィーン−80)、ポリソルベート−20(トウィーン−20)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノ−オレイン酸塩)、グリセリルグリコールエステル、ポリエチレングリコールエステル、およびポリグリコール化グリセリドなど、またはそれらの混合物;ポリエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセロールエステル(タガト(Tagat)TO、タガトL、タガトI、タガトI2、およびタガト0など(ゴールドシュミットケミカル(Goldschmidt Chemical Co.)(エッセン、ドイツ)から市販されている));エチレングリコールエステル(グリコールステアリン酸塩、およびジステアリン酸塩など);プロピレングリコールエステル(プロピレングリコールミリスチン酸塩など);脂肪酸のグリセリルエステル(グリセリルステアリン酸、およびモノステアリン酸塩);ソルビタンエステル(スパン(span)およびトウィーンなど);ポリグリセリルエステル(ポリグリセリル4−オレイン酸塩など);脂肪アルコールエトキシラート(ブリジ(Brij)型の乳化剤など);エトキシル化プロポキシル化ブロック共重合体(ポリオキサマーなど);脂肪酸のポリエチレングリコールエステル(PEG300のリノール酸グリセリド、すなわちラブラフィル(Labrafil)2125CS、PEG300のオレイン酸グリセリド、すなわちラブラフィルM1944CS、PEG400のカプリリック/カプリックグリセリド、すなわちラブラソール(Labrasol)、およびPEG300のカプリリック/カプリックグリセリド、すなわちソフチゲン767など);クレモフォール(クレモフォールE、ポリオキシル35ヒマシ油、またはクレムフォールEL、クレムフォールEL-P、クレモフォールRH4OP、ポリオキシル40水素化ヒマシ油、クレモフォールRH40、ポリオキシル60水素化ヒマシ油、またはクレモフォールRH60);グリセロールモノカプリレート/カプラレート(カンプムルCM10など);ポリオキシエチル化脂肪酸(PEG−ステアリン酸塩、PED−ラウリレート、ブリジ(Brij(登録商標)))、脂肪酸のポリオキシル化グリセリド、ポリオキシル化グリセロール脂肪酸エステル、すなわちソルトール(Solutol)HS-15;PEG−エーテル(ミルジ(Mirj(登録商標)))、ソルビタン誘導体(トウィーン)、ソルビタンモノオレエート、すなわちスパン20、芳香族化合物(トリトン(Triton)(登録商標))、PEG−グリセリド(ペセオール(PECEOL(登録商標)))、PEG−PPG(ポリプロピレングリコール)共重合体(プルオニクス(特に限定されないが、プルオニクスF108、F127、およびF68のポリオキサマーを含む、ジェファミンズ)、テトロニクス、ポリグリセリン、PEG−トコフェロール、PEG−リコール(LICOL)−オレイン酸塩;プロピレングリコール誘導体、糖およびポリサッカライドのアルキル誘導体およびアシル誘導体(オクチルスクロース、スクロースステアリン酸塩、ラウロイルデキストラン(laurolydextran)など)、および/またはそれらの混合物;エチレンオキシドと共重合されたポリリアルコールのオレイン酸エステルもしくはラウリン酸エステルを基礎とする、界面活性剤;ラブラソールゲルシレ(Labrasol Gelucire)44/14;ポリオキシエチレンステアリン酸塩;飽和ポリグリコール化グリセリド;あるいは、ポリオキサマーが含まれる(なお、これら界面活性剤は、全て市販されている)。ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルには、ポリソルベート、例えばポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、およびポリソルベート80が含まれていてもよい。ポリオキシエチレンステアリン酸塩は、ポリオキシル6ステアリン酸塩、ポリオキシル8ステアリン酸塩、ポリオキシル12ステアリン酸塩、およびポリオキシル20ステアリン酸塩が含まれていてもよい。飽和ポリグリコール化グリセリドは、例えばゲルシレ44/14、またはゲルシレ(GELUCIRE(登録商標))50/13(ガッテフォセ、ウエストウッド、ニュージャージー州、米国(Gattefosse, Westwood))である。本明細書で使用されるポリオキサマーには、ポリオキサマー124およびポリオキサマー188が含まれる。
【0174】
界面活性剤には、d−α−ポリエチレングリコール1000コハク酸トコフェロール(TPGS)、ポリオキシル8ステアリン酸塩(PEG400モノステアリン酸塩)、ポリオキシル40ステアリン酸塩(PEG1750モノステアリン酸塩モノステアリン酸塩)、およびペパーミント油が含まれる。
【0175】
ある実施形態では、HLBが10未満である界面活性剤が使用される。そのような界面活性剤は、場合によっては、共界面活性剤(co-surfactant)としての他の界面活性剤と組み合わせられて使用されてもよい。HLBが10以下である界面活性剤、混合物および他の同等な組成物のいくつかの例として、プロピレングリコール、グリセリル脂肪酸、グリセリル脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールエステル、グリセリルグリコールエステル、ポリグリコール化グリセリド、およびポリオキシエチルステリルエーテルが挙げられる。プロピレングリコールエステルもしくは部分エステルから、プロピレングリコールのラウリン酸塩を含む市販品の組成物(ラウログリコール(Lauroglycol)FCCなど)が形成される。市販品の賦形剤であるマイシネ(Maisine)35−1は、グリセリルリノール酸塩などの長鎖脂肪酸を含んでいる。また、ポリオキシエチレンステアリルエーテルを含んでいる、アコノンE(Acconon E)などの製品が使用されてもよい。ラブラフィルM1944CSは、組成物がグリセリルグリコールエステルおよびポリエチレングリコールエステルの混合物を含んでいる、界面活性剤の一例である。
【0176】
<ラパマイシン用の可溶化剤>
多くの可溶化剤を、ラパマイシン用に使用してもよい。そのような可溶化剤には、特に限定されないが、上記<可溶化剤>の項目に記載の可溶化剤が含まれる。
【0177】
ある実施形態では、可溶化剤は界面活性剤である。ラパマイシン用に使用されてもよい界面活性剤は、例えば特に限定されないが、HLBが、10よりも大きい、11よりも大きい、12よりも大きい、13よりも大きい、または14よりも大きい界面活性剤が含まれる。非限定的な一例を挙げると、クレムフォールELである。ある実施形態では、上記界面活性剤は、高分子界面活性剤であってもよい。当該高分子界面活性剤には、プルロニクスF108、F127、およびF68、ならびにテトロニクスが含まれるが、これらに限定されない。本明細書に記載されているように、いくつかの溶媒は、界面活性剤としても機能し得る。本明細書の教示を考慮すれば、当業者は、どの可溶化剤および界面活性剤をラパマイシン用に使用してもよいか同定するルーチンを発見するだろう。
【0178】
<粘性変更剤>
本明細書に記載の液体製剤は、粘性変更剤と一緒に投与されてもよいし、または粘性変更剤をさらに含んでいてもよい。
【0179】
使用されてもよい粘性変更剤の一例として、ヒアルロン酸が挙げられる。ヒアルロン酸は、グリコサミノグリカンであり、グルコサミンおよびグルクロン酸の繰り返し配列から作製されている。ヒアルロン酸は、体の多くの組織および臓器に存在し、当該組織および臓器に粘度や粘性をもたらしている。またヒアルロン酸は、眼のガラス体を含む眼に存在し、コラーゲンと共に眼に粘性をもたらしている。本明細書に記載の液体製剤は、ヒアルロン酸をさらに含んでいてもよいし、またはヒアルロン酸と一緒に投与されてもよい。
【0180】
粘性変更剤の他の非限定的な例には、ポリアルキレンキシド、グリセロール、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、キトサン、デキストラン、硫酸デキストラン、およびコラーゲンが含まれる。これらの粘性変更剤は化学的に修飾されてもよい。
【0181】
使用されてもよい他の粘性変更剤には、特に限定されないが、カラギーナン、セルロースゲル、コロイド状二酸化ケイ素、ゼラチン、プロピレンカーボネート、炭酸、アルギン酸、寒天、カルボキシビニルポリマー、またはカルボマー、およびポリアクリルアミド、アカシア、エステルガム、グァーガム、アラビアゴム、ガッチ(ghatti)、カラヤゴム、トラガカント、テラ(terra)、ペクチン、タマリンドの種子、カラマツのアラビノガラクタン、アルギン酸塩、イナゴマメ、キサンタンガム、デンプン、ベーガム(veegum)、トラガカント、ポリビニルアルコール、ジェランガム(gellan gum)、親水コロイドの混合物、およびポビドンが含まれる。また、特に限定されないが、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、アルギン、カラゲナン、ガラクトマンナン、ヒドロプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルキチンナトリウム、カルボキシメチルデキストランナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、キサンタンガム、およびゼインなどの、技術的に知られている他の粘性変更剤が使用されてもよい。
【0182】
<製剤の他の成分>
本明細書に記載の製剤は、例えば安定化剤などの他の様々な成分をさらに含んでいてもよい。本明細書に記載の製剤に使用されてもよい安定化剤には、特に限定されないが、(1)ゼラチンなどの封入物質との賦形剤の適合性を改善する剤、(2)ラパマイシンおよび/またはラパマイシン誘導体などの治療剤の安定性を改善する剤、および/または(3)製剤の安定性を改善する剤が含まれる。また、上記(2)における治療剤の安定性を改善するということは、例えば、ラパマイシンなどの治療剤の結晶の成長を防止することである。なお、安定化剤である成分と、溶媒、可溶化剤または界面活性剤である成分との間には、重複が存在し、同じ成分に2つ以上の役割を実行させることができる。
【0183】
安定化剤は、脂肪酸、脂肪アルコール、アルコール、長鎖脂肪酸エステル、長鎖エーテル、脂肪酸の親水性誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルエーテル、ポリビニルアルコール、炭化水素、疎水性ポリマー、および吸湿性ポリマー、ならびにそれらの組み合わせから選択されてもよい。また、上記安定化剤のアミド類似体を使用することもできる。選択された安定化剤は、上記製剤の疎水性を変更し得るか(オレイン酸、ワックスなど)、もしくは製剤中の様々な成分の混和を改善し得るか(エタノールなど)、製剤中の水分量を制御し得るか(PVPなど)、相の移動度を制御し得るか(融点が室温よりも高い物質(長鎖脂肪酸、アルコール、エステル、エーテル、アミドなど、またはそれらの混合物、ワックス))、および/または製剤と封入物質との適合性を改善し得る(オレイン酸またはワックスなど)。これら安定化剤のいくつかは、溶媒/共溶媒として使用されてもよい(エタノールなど)。安定化剤は、治療剤(ラパマイシンなど)の結晶化を防止するのに十分な量で存在してもよい。
【0184】
安定化剤の例には、特に限定されないが、飽和脂肪酸、モノエン脂肪酸、ポリエン脂肪酸、分枝状脂肪酸、環含有脂肪酸、アセチレン型脂肪酸、ジカルボン酸の脂肪酸、および官能基含有脂肪酸(脂肪酸としては、オレイン酸、カプリル酸、カプリン酸、カプロン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、リノール酸、リノレン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、DHAなどが挙げられる);脂肪アルコール(ステアリルアルコール、セチルアルコール、セテリル(ceteryl)アルコールなど);他のアルコール(エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノールなど);長鎖脂肪酸のエステル、エーテル、またはアミド(グリセリルステアリン酸塩、セチルステアリン酸塩、オレイルエーテル、ステアリルエーテル、セチルエーテル、オレイルアミド、ステアリルアミドなど);脂肪酸の親水性誘導体(ポリグリセリル脂肪酸、ポリエチレングリコール脂肪酸のエステルなど);ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール(PVA)、ワックス、ドコサヘキサエン酸、およびデヒドロアビエチン酸などが含まれる。
【0185】
また、本明細書に記載の製剤は、ゲルを形成することによって、最終製剤の構造を変化させるゲル化剤をさらに含んでいてもよい。
【0186】
本明細書に記載されているような使用のための治療剤(ラパマイシンなど)は、滅菌などの従来の製薬工程に供されてもよい。また、当該治療剤を含んでいる組成物は、従来のアジュバント(防腐剤、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、バッファなど)を含んでいてもよい。また、治療剤は、臨床的に使用するための薬学的に許容可能な賦形剤と一緒に製剤化されて、薬学的組成物が製造されてもよい。製剤は、溶液、懸濁液、固形物質の粒子、固形物質の分離した塊、ナノ粒子として存在してもよいし、ポリマーマトリックス内に組み込まれていてもよいし、液体製剤であってもよいし、あるいは選択された投与経路に適切な他の任意の形態であってもよい。上記治療剤は、本明細書に記載の病気の何れかを治療、予防もしくは阻害するか、それらの発症を遅らせるか、またはそれらの回復を引きこすための薬物を調製するために使用されてもよい。ある実施形態では、上記治療剤は、本明細書に記載の病気の何れかを治療するための薬物を調製するために使用されてもよい。
【0187】
ラパマイシンなどの治療剤を含んでいる組成物は、示された投与経路に適切な1つ以上のアジュバントを含んでいてもよい。治療剤が一緒に混合されてもよいアジュバントには、特に限定されないが、ラクトース、スクロース、デンプン散剤、アルカン酸のセルロールエステル、ステアリン酸、タルク、ステアリン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、リン酸ならびに硫酸のナトリウム塩およびカルシウム塩、アカシア、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、ならびに/またはポリビニルアルコールを含んでいる。可溶化された製剤が必要とされるときは、治療剤は溶媒に溶解されてもよい。そのような溶媒には、特に限定されないが、様々な分子量のポリエチレングリコール、プロピレングリコール、カルボキシメチルセルロースのコロイド溶液、メタノール、エタノール、DMSO、コーン油、ピーナッツ油、綿実油、ゴマ油、トラガカントゴム、および/または種々のバッファが含まれる。他のアジュバントおよび投与様式は、薬学の技術分野において公知であり、本明細書に記載の方法、組成物、および液体製剤を実施する際に使用されてもよい。担体または希釈剤には、時間遅延物質(単独でまたはワックスと一緒に使用されるグリセリルモノステアリン酸塩もしくはグリセリルジステアリン酸塩など)、あるいは技術的に公知の他の物質が含まれていてもよい。また、本明細書に記載されているような使用のための製剤は、ゲル製剤、浸食ポリマー(erodible polymer)、非浸食ポリマー(non-erodible polymer)、マイクロスフフィア、およびリポソームを含んでいてもよい。
【0188】
使用してもよい他のアジュバントおよび賦形剤には、特に限定されないが、C〜C10の脂肪酸エステル(ソフチゲン767、ポリソルベート80、プルロニクス、テトロニクス、ミグリオール、およびトランスクトールなど)が含まれる。
【0189】
薬学技術分野において、一般的に利用される添加剤および希釈剤が、場合によっては、薬学的組成物および液体製剤に添加されることができる。これらには、造粘剤、造粒剤、分散剤、香味剤、甘味剤、着色剤、および、安定化剤(pH安定化剤など)、他の賦形剤、酸化防止剤(例えば、トコフェロール、BHA、BHT、TBHQ、酢酸トコフェロール、アスコルビン酸パルミテート、およびアスコルビン酸、没食子酸プロピルなど)、および防腐剤(例えばパラベン)などが含まれる。典型的な防腐剤には、特に限定されないが、ベンジルアルコール、エチルアルコール、塩化ベンザルコニウム、フェノール、およびクロロブタノールなどが含まれる。有用な酸化防止剤のいくつかは、上記製剤に、酸素阻害剤または過酸化水素阻害剤を提供するものである。そのような酸化防止剤には、特に限定されないが、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸プロピル、アスコルビン酸パリミテート、およびα−トコフェロールなどが含まれる。レシチン、ヒドロキシプロピルセルロース、およびステアリン酸アルミニウムなどの造粘剤によって、上記製剤の構造は改善され得る。
【0190】
ある実施形態では、上記治療剤は、ラパマイシンであり、当該ラパマイシンは、ラパミューン(RAPAMUNE)として固体または液体の形態で製剤化される。ある実施形態では、上記ラパミューンは、経口製剤として製剤化される。
【0191】
さらに、粘性の高いポリマーが懸濁液に添加されてもよい。これにより、懸濁液の局在化が促進されたり、配置や取扱が容易になったりする。また液体製剤のある使用では、液体製剤が注入されるためのポケットが強膜に、外科的に形成されてもよい。強膜のヒドロゲル構造は、速度を制御する膜として作用し得る。懸濁液を形成するための治療剤物質の粒子は、公知の方法によって製造することができる。そのような方法には、特に限定されないが、例えば、セラミックビーズを使用した、ボールミル粉砕による方法が含まれる。例えば、ラブミル(Labmill)8000などのコールパーマーボールミル(Cole Parmer ball mill)が使用されてもよい。このコールパーマーボールミルは、0.8mmのYTZセラミックビーズを備えており、トーソ(Tosoh)またはノーストーン(Norstone Inc.)から入手可能である。
【0192】
上記製剤は、適宜、単位用量形態で存在してもよい。さらに、上記製剤は従来の薬学的技術によって調製されてもよい。そのような技術は、上記治療剤を、薬学的担体または賦形剤と会合させる工程を含んでいる。また、活性成分を、液体担体もしくは細かく分割された固体担体、あるいはそれらの両方と均一かつ念入りに会合し、必要に応じて、製品を成形することによって、上記製剤が調製されてもよい。
【0193】
ある実施形態では、本明細書に記載の製剤は、1つ以上の単位用量形態で提供され、当該単位用量形態は、本明細書に記載の液体製剤が投与される疾患または病気を治療または予防するのに有効な量の上記液体製剤を含んでいる。ある実施形態では、単位用量形態は、それが投与されるであろう濃度で調製される。ある実施形態では、単位用量形態は被検体に投与される前に希釈される。ある実施形態では、本明細書に記載の液体製剤は、被検体に投与される前に水性媒体で希釈される。ある実施形態では、上記水性媒体は等張性媒体である。ある実施形態では、本明細書に記載の液体製剤は、被検体に投与される前に非水性媒体で希釈される。
【0194】
さらに別の態様では、本明細書において、本明細書に記載の1つ以上の単位用量形態を含んでいるキットが提供される。ある実施形態では、上記キットは、1つ以上の疾患または病気の治療に使用するための取扱説明書および包装(packaging)の1つ以上を含んでいる。ある実施形態では、上記キットは、製剤または薬学的製剤と物理的に接触していない希釈剤を含んでいる。ある実施形態では、上記キットは、1つ以上の密封容器に入った、本明細書に記載の1つ以上の単位用量形態の何れかを含んでいる。ある実施形態では、上記キットは、1つ以上の滅菌された単位用量形態の何れかを含んでいる。
【0195】
ある実施形態では、上記単位用量形態は、容器に入っている。当該容器には、特に限定されないが、滅菌された密封容器が含まれる。またある実施形態では、上記容器は、バイアル、アンプル、または低容量アプリケーターである。低容量アプリケーターには、特に限定されないが、注射器が含まれる。また、ある実施形態では、低容量アプリケーターは、眼の疾患または病気を治療するためのラパマイシンで予め満たされている。眼の疾患または病気を治療するためのラパマイシンには、特に限定されないが、加齢性黄斑変性症を治療するためのリムス化合物が含まれる。本明細書には、治療剤(ラパマイシンを含むがこれに限定されない)を含んでいる製剤で予め満たされた、充満済低容量アプリケーターが記載されている。ある実施形態では、低容量アプリケーターは、治療剤(ラパマイシンを含むがこれに限定されない)と、ポリエチレングリコールとを含んでいる溶液で予め満たされており、場合によっては、1つ以上の追加成分をさらに含んでいる。そのような追加成分には、特に限定されないが、エタノールが含まれる。ある実施形態では、充満済低容量アプリケーターは、約2%のラパマイシン、約94%のPEG−400、約4%のエタノールを含んでいる溶液で予め満たされている。
【0196】
本明細書には、1つ以上の容器を含んでいるキットが記載されている。ある実施形態では、キットは、本明細書に記載の製剤で予め満たされた1つ以上の低容量アプリケーターを含んでいる。該製剤には、特に限定されないが、(1)ラパマイシンを含んでいる製剤、(2)ラパマイシンおよびポリエチレングリコールを含んでおり、場合によっては1つ以上の追加成分をさらに含んでいる製剤、ならびに(3)約2%のラパマイシン、約94%のPEG−400、および約4%のエタノールを含んでいる液体形態の製剤が包含される。なお、上記追加成分には、特に限定されないが、エタノールが包含される。ある実施形態では、上記キットは、1つ以上の容器を含んでおり、当該1つ以上の容器には、それを使用するための取扱説明書が添付されている。そのような容器には、特に限定されないが、充満済低容量アプリケーターが包含される。さらに別の実施形態では、キットは、ラパマイシンで予め満たされた1つ以上の低容量アプリケーターと、本明細書に記載の疾患または病気にの治療に該低容量アプリケーターを使用するための取扱説明書とを含んでいる。ある実施形態では、本明細書に記載の容器は、二次包装されている。
【0197】
<治療方法>
特に断りの無い限り、本明細書に記載の治療剤の何れかは、本明細書に記載の疾患および病気の何れかを治療、予防もしくは阻害するか、それらの発症を遅らせるか、またはそれらの回復を引き起こすための本明細書に記載の方法に使用されてもよい。
【0198】
ある実施形態では、本明細書に記載の製剤の何れか1つ以上は、本明細書に記載の方法によって、本明細書に記載の1つ以上の治療剤を送達するために使用される。一般的に、上記治療剤は、治療上有効な量の治療剤を、被検体にまたは必要な治療期間中に被検体に、送達することができる任意の製剤に製剤化されてもよい。ある実施形態では、必要な治療期間は、疾患または病気の予測された持続期間中に有効な量の治療剤を送達すると予測される徐放性製剤が、一回投与される期間である。またある実施形態では、必要な治療期間は、複数回投与される期間である。
【0199】
ある実施形態では、必要な治療期間は、製剤(特に限定されないが、徐放性製剤など)が複数回投与される期間である。
【0200】
本明細書で使用されている、治療剤の投与による疾患または病気の「阻害」は、疾患または病気の少なくとも1つの検出可能な物理学的特性もしくは症状の発達が、治療剤を投与した後に、該治療剤を投与しないときの疾患または病気の少なくとも1つの検出可能な物理学的特性もしくは症状の発達と比べて、遅くなるかまたは停止することを意味する。
【0201】
本明細書で使用されている、治療剤の投与による疾患または病気の「予防」は、疾患または病気の検出可能な物理学的特性もしくは症状が、治療剤を投与した後に、発現しないことを意味する。
【0202】
本明細書で使用されている、治療剤の投与によって病気または疾患の「発症を遅らせること」は、疾患または病気の少なくとも1つの検出可能な物理学的特性もしくは症状の発達が、治療剤を投与した後に、該治療剤を投与しないときの疾患または病気の少なくとも1つの検出可能な物理学的特性もしくは症状の発達と比べて、時間的により遅くなることを意味する。
【0203】
本明細書で使用されている、治療剤の投与による疾患または病気の「治療」は、疾患または病気の少なくとも1つの検出可能な物理学的特性もしくは症状の発達が、治療剤を投与した後に、該治療剤を投与しないときの疾患または病気の少なくとも1つの検出可能な物理学的特性もしくは症状の発達と比べて、遅くなるか、停止するか、または反転することを意味する。
【0204】
本明細書で使用されている、治療剤の投与によって、疾患または病気の「回復が引き起こされること」は、疾患または病気の少なくとも1つの検出可能な物理学的特性もしくは症状の発達が、治療剤を投与した後に、ある程度反転することを意味する。
【0205】
本明細書の教示を考慮すれば、予防を必要とするか、もしくは予防したほうがよい傾向にある被検体は、その分野において確立された方法および基準から、熟練の開業医によって特定され得る(なお、被検体には、ヒト被検体が含まれるが、これに限定されない)。また本明細書の教示を考慮すれば、熟練の開業医は、血管形成および/または親血管形成を特定する分野において確立された基準に基づいて、個体にとって阻害もしくは治療が必要であるかどうかを容易に診断し得る。
【0206】
本明細書で使用されている「被検体」は、一般的に、本明細書に記載の製剤が投与されることによって恩恵を享受し得る任意の動物である。ある実施形態では、上記治療剤は、哺乳類被検体に投与される。ある実施形態では、上記製剤は、ヒト被検体に投与される。ある実施形態では、上記製剤は、家畜動物(veterinary animal)被検体に投与される。ある実施形態では、上記製剤は、実験モデル動物に投与される。ある実施形態では、上記製剤は、ペットである家畜動物に投与される。ある実施形態では、上記製剤は、農学に関連する家畜動物に投与される。
【0207】
本明細書に記載されている、投与に関する治療剤の「有効な量」(本明細書では「治療上有効な量」とも称される)は、被検体に投与されたときに、要求された治療効果をもたらす治療剤の量である(なお、被検体には、特に限定されないが、ヒト被検体が包含される)。種々の治療効果を得るためには、治療剤の有効な量が異なっていることが必要とされ得る。例えば、疾患または病気を予防するために使用される治療剤の治療上有効な量は、疾患または病気を治療もしくは阻害するか、それらの発症を遅らせるか、またはそれらの回復を引き起こすために使用される治療上有効な量と異なっていてもよい。さらに、治療上有効な量は、年齢および体重、ならびに対処される疾患または病気に精通している者に公知の、被検体の他の健康状態に依存してもよい。したがって、治療上有効な量は、治療剤が投与される全ての被検体において、同一でなくてもよい。
【0208】
また、本明細書では、特定の疾患または病気を治療、予防もしくは阻害するか、それらの発症を遅らせるか、またはそれらの回復を引き起こすための治療剤の有効な量は、疾患または病気を治療、予防もしくは阻害するか、それらの発症を遅らせるか、またはそれらの回復を引き起こすのに有効な治療剤の量とも称される。
【0209】
当業者は、本明細書および図面に提供された教示に基づけば、本明細書に記載の疾患または病気を治療するための本明細書に記載の治療剤の適切な量を決定する方法を、理解するだろう。一例を挙げると、治療剤の有効な量が、<疾患および病気>の項目に記載の疾患および病気を治療、予防もしくは阻害するか、それらの発症を遅らせるか、またはそれらの回復を引き起こすような「治療上有効な量」であるかどうかを決定するために、治療剤をインビトロまたは興味のある疾患または病気に関する動物モデルに投与してもよく、さらに、効果を観察してもよい。ラパマイシンの組織内蓄積および薬物動態についての科学参考書としては、例えば特に限定されないが、「Napoli & Taylor, From Beach to Bedside: History of the Development of Sirolimus, 23:559-586 (2001)」が挙げられる。また、ヒトに対して用量設定臨床試験(dose ranging human clinical trial)を実施して、治療剤の治療上有効な量を決定してもよい。
【0210】
本明細書に記載されている、治療剤の「抗透過性に関して有効な量」(本明細書では「抗透過性に関して治療的上有効な量」とも称される)は、被検体に投与されたときに、抗透過性効果をもたらす治療剤の量である(なお、被検体には、特に限定されないが、ヒト被検体が包含される)。抗透過性効果を得るには、治療、予防もしくは阻害されるか、発症が遅らせられるか、または回復が引き起こされる疾患に依存して、治療剤の有効な量が異なることが必要とされてもよい。抗透過性効果を得るには、治療される組織に依存して、治療剤の有効な量が異なることが必要とされ得る。また、抗透過性に関して有効な量は、年齢および体重、ならびに対処される疾患または病気に精通した者に公知の被検体の他の健康状態に依存してもよい。したがって、抗透過性に関して有効な量は、治療剤が投与される全ての被検体において同一ではなくてもよい。当業者は、これらのパラメーターおよび本明細書の教示を考慮すれば、所定の被検体のための有効な量を決定することに精通する。
【0211】
<用量および組織レベル>
特に明確に断らない限り、本明細書に記載の製剤の何れかは、本明細書に記載の治療剤の何れかを組織レベルで被検体に送達するか、または本明細書に記載の治療剤の何れかを投与量で被検体に投与するために使用されてもよい。当該被検体は、そのような送達や投与を必要とする被検体である。特に明確に断ら無い限り、上記被検体は、家畜(veterinary)被検体、哺乳類被検体、またはヒト被検体である。ある実施形態では、被検体はヒト被検体である。
【0212】
ある実施形態では、治療剤は、ラパマイシンの量または濃度と等しい量または濃度で投与される。本明細書の教示基づけば、当業者は、例えば、様々な量または濃度の治療剤を、インビボまたはインビボのモデル系などの疾患モデル系に投与し、当該モデル系の結果を、様々な量または濃度のラパマイシンを用いたときの結果と比べることによって、所定の治療剤のどの程度の量または濃度が、ラパマイシンの量または濃度と等しいかを決定することができる。また、本明細書の教示に基づけば、当業者は、ラパマイシンを他の治療剤と比較している実験に関する科学文献を検討することによって、所定の治療剤のどの程度の量または濃度が、ラパマイシンの量または濃度と等しいかを決定することができる。なお、例えば、評価された疾患または疾病が違ったり、または使用された製剤の形式が異なる場合には、同じ治療剤であってもラパマイシンと等しい量は、異なることがあることが理解される。眼の疾患に対するラパマイシンと他の治療剤との比較研究が記された科学文献としては、例えば特に限定されないが、「Ohiaら, Effects of steroids and immunosuppressive drugs on endotoxin-uveitis in rabbits, J. Ocul. Pharmacol. 8(4):295-307 (1992)」、「Kulkarni, Steroidal and nonsteroidal drugs in endotoxin-induced uveitis, J. Ocul. Pharmacol. 10(l):329-34 (1994)」、「Hafiziら, Differential effects of rapamycin, cyclosporine A, and FK506 on human coronary artery smooth muscle cell proliferation and signaling, Vascul Pharmacol. 41(4-5): 167-76 (2004)」、および米国特許出願公開第2005/0187241号明細書が挙げられる。
【0213】
例えば特に限定されないが、網膜浮腫のモデルでは、網膜浮腫の治療において、治療剤の効力または有効性が、ラパマイシンの効力または有効性の約10倍未満であることが判明すれば、該治療剤の10倍の用量が、ラパマイシンの1倍の用量と等しい。あるいは、網膜浮腫の治療において、治療剤の効力または有効性が、ラパマイシンの効力または有効性よりも約10倍よりも大きいことが判明すれば、ラパマイシンの1倍の用量に対して0.1倍の用量の治療剤が投与される。また、本明細書に記載の疾患または病気の他のモデルを使用して、上記疾患または疾病を治療もしくは予防することなどの、求められる治療効果のあるラパマイシンの所定量と等しい、治療剤の適切な量を決定してもよい。
【0214】
特に明確に断らない限り、本明細書に記載の治療剤の何れかを、ラパマイシンの量と等しい量で送達してもよい。また、特に明確に断らない限り、本明細書に記載の治療剤の任意の類似体、誘導体、プロドラッグ、塩、またはエステルを、ラパマイシンの量と等しい量で送達してもよい。特に明確に断らない限り、本明細書に記載のラパマイシンの任意の類似体、誘導体、プロドラッグ、塩、またはエステルを、ラパマイシンの量と等しい量で送達してもよい。
【0215】
ある実施形態では、上記治療剤は、イムノフィリン結合化合物、またはその類似体、誘導体、プロドラッグ、塩、もしくはエステルである。ある実施形態では、上記治療剤は、リムス化合物、またはその類似体、誘導体、プロドラッグ、塩、もしくはエステルである。ある実施形態では、上記治療剤は、ラパマイシン、またはその類似体、誘導体、プロドラッグ、塩、もしくはエステルである。ある実施形態では、上記治療剤は、SDZ−RAD、タクロリムス、エベロリムス、ピメクロリムス、CCI−779、AP23841、ABT−578、TAFA−93、RAD−001、テンシロリムス、AP23573、7−エピ−ラパマイシン、7−チオメチル−ラパマイシン、7−エピ−トリメトキシフェニル−ラパマイシン、7−エピ−チオメチル−ラパマイシン、7−デメトキシ−ラパマイシン、32−デメトキシ−ラパマイシン、2−デスメチル−ラパマイシン、ラパマイシンのモノエステル誘導体、ラパマイシンのジエステル誘導体、ラパマイシンの27−オキシム;ラパマイシンの42−オキソ類似体;二環式ラパマイシン;ラパマイシンのダイマー;ラパマイシンのシリルエーテル;ラパマイシンのアリールスルホン酸塩、ラパマイシンのスルファミン酸塩、31位および42位におけるモノエステル、31位および42位におけるジエステル、30−デメトキシラパマイシン、ならびにそれらの薬学的に許容可能な塩およびエステルである。ある実施形態では、上記治療剤は、ラパマイシン、SDZ−RAD、タクロリムス、エベロリムス、ピメクロリムス、CCI−779、AP23841、ABT−578、ならびにそれらの薬学的に許容可能な塩およびエステルである。ある実施形態では、上記治療剤は、ラパマイシンである。
【0216】
ある非限定的な実施形態では、本明細書に記載の疾患または病気と関係する組織における治療剤の組織レベル濃度が、約0.001pg/mg〜約20μg/mgの間のラパマイシンの濃度と等しくなる量の治療剤が投与されることによって、上記疾患または病気が治療、予防もしくは阻害されるか、それらの発症が遅らせられるか、またはそれらの回復が引き起こされる。ある非限定的な実施形態では、本明細書に記載の疾患または病気と関係する組織における治療剤の組織レベル濃度が、0.001ng/mg〜10mg/mgの間のラパマイシンの濃度と等しくなる量の治療剤が提供されることによって、上記疾患または病気が治療、予防もしくは阻害されるか、それらの発症が遅らせられるか、またはそれらの回復が引き起こされる。
【0217】
ある非限定的な実施形態では、本明細書に記載の疾患または病気と関係する組織における治療剤の組織レベル濃度が、0.001pg/mg〜20μg/mgの間、0.001pg/mg〜1ng/mgの間、0.001pg/mg〜10ng/mgの間、0.01pg/mg〜100ng/mgの間、0.01pg/mg〜10ng/mgの間、0.1pg/mg〜100ng/mgの間、1ng/mg〜1μg/mgの間、1ng/mg〜500ng/mgの間、10n/mg〜400μg/mgの間、1ng/mg〜300ng/mgの間、200ng/mg〜700ng/mgの間、500ng/mg〜1μg/mgの間、800ng/mg〜1.2μg/mgの間、または1μg/mg〜5μg/mgの間のラパマイシンの濃度と等しくなる量の治療剤が提供されることによって、上記疾患または病気が治療、予防もしくは阻害されるか、それらの発症が遅らせられるか、またはそれらの回復が引き起こされる。
【0218】
ある非限定的な実施形態では、本明細書に記載の疾患または病気と関係する組織における治療剤の組織レベル濃度が、約0.001ng/ml〜約10mg/mlの間、0.01ng/ml〜1μg/mlの間、1ng/ml〜1μg/mlの間、0.01ng/ml〜100μg/mlの間、0.01ng/ml〜10ng/mlの間、0.1ng/ml〜100μg/mlの間、100ng/ml〜1μg/mlの間、1μg/ml〜500μg/mlの間、10mg/ml〜400mg/mlの間、1μg/ml〜300μg/mlの間、200ng/mg〜700μg/mlの間、500ng/mg〜5mg/mlの間、500μg/ml〜1mg/mlの間、または1mg/ml〜5mg/mlの間のラパマイシンの濃度と等しくなる量の治療剤が提供されることによって、上記疾患または病気が治療、予防もしくは阻害されるか、それらの発症が遅らせられるか、またはそれらの回復が引き起こされる。ある実施形態では、上記治療剤はラパマイシンである。
【0219】
当業者は、用量および投与経路が、治療、予防もしくは阻害されるか、回復が引き起こされるか、または発症が遅らせられる疾患または疾病によって決定されることを理解する。
【0220】
ある実施形態では、有効な量のラパマイシンが被検体に送達される。ある実施形態では、抗透過性に関して有効な量のラパマイシンが被検体に送達される。ある実施形態では、製剤中の投与されるラパマイシンの量は、治療、予防もしくは阻害されるか、回復が引き起こされるか、または発症が遅らせられる疾患または疾病と関係する組織におけるラパマイシンの濃度が0.001pg/mg〜20μg/mgの間になる量である。ある実施形態では、製剤中の投与されるラパマイシンの量は、治療、予防もしくは阻害されるか、回復が引き起こされるか、または発症が遅らせられる疾患または疾病と関係する組織におけるラパマイシンの濃度が0.001ng/ml〜10mg/mlになる量である。
【0221】
本明細書の教示に基いたり、科学文献を検討したりすれば、当業者は、動物(すなわちハムスター)に示されたラパマイシンの量または濃度に基づいて、所定の治療剤のヒトに相当する用量を決定することができる。ヒトに相当する用量を計算する1つの方法は、産業界および評論家向けのFDAガイダンス(健康な成人のボランティアに対する治療のための臨床試験の安全な発症用量の評価、http://www.fda.gov/cber/gdlns/dose.htm)に提供されている。例えば、ハムスターの用量(mg/kg)からヒトに相当する用量(mg/kg)へ換算する場合、ハムスターの用量(mg/kg)を、7.4で割って、ヒトに相当する用量(mg/kg)と等しいとしてもよい。当業者は、本明細書に記載の教示や、ある動物被検体とヒト被検体などとの相対的な投薬に関する知識に照らせば、治療剤の適切な量を決定することができるであろう。
【0222】
ある非限定的な実施形態では、本明細書に記載の疾患または病気を治療、予防もしくは阻害するか、それらの発症を遅らせるか、またはそれらの回復を引き起こすために、約2mg/kg以下、約0.5mg/kg以下、または約0.1mg/kg以下のラパマイシンの用量と等しい用量の治療剤が、被検体に投与される。ある非限定的な実施形態では、本明細書に記載の疾患または病気を治療、予防もしくは阻害するか、それらの発症を遅らせるか、またはそれらの回復を引き起こすために、約0.1mg/kg〜約0.5mg/kgの間、または約0.1mg/kg〜約2.0mg/kgの間の何れかのラパマイシンの用量と等しい用量の治療剤が、被検体に投与される。ある非限定的な実施形態では、本明細書に記載の疾患または病気を治療、予防もしくは阻害するか、それらの発症を遅らせるか、またはそれらの回復を引き起こすために、約0.1mg/kg、0.5mg/kg、または2.0mg/kgの何れかのラパマイシンの用量と等しい用量の治療剤が、被検体に投与される。
【0223】
ある非限定的な実施形態では、本明細書に記載の疾患または病気を治療、予防もしくは阻害するか、それらの発症を遅らせるか、またはそれらの回復を引き起こすために、約0.27mg/kg以下、約0.067mg/kg以下、または約0.0135mg/kg以下のラパマイシンの用量と等しい用量の治療剤が、被検体に投与される。ある非限定的な実施形態では、本明細書に記載の疾患または病気を治療、予防もしくは阻害するか、それらの発症を遅らせるか、またはそれらの回復を引き起こすために、0.0135mg/kg〜0.067mg/kgの間、または0.0135mg/kg〜0.27mg/kgのどちらかのラパマイシンの用量と等しい用量の治療剤が、被検体に投与される。ある非限定的な実施形態では、本明細書に記載の疾患または病気を治療、予防もしくは阻害するか、それらの発症を遅らせるか、またはそれらの回復を引き起こすために、約0.0135mg/kg、0.067mg/kg、または0.27mg/kgの何れかのラパマイシンの用量と等しい用量の治療剤が、被検体に投与される。
【0224】
ある非限定的な実施形態では、本明細書に記載の疾患または病気を治療、予防もしくは阻害するか、それらの発症を遅らせるか、またはそれらの回復を引き起こすために、上記疾患または病気が治療、予防もしくは阻害されるか、それらの発症が遅らせられるか、またはそれらの回復が引き起こされることが必要な被検体に、有効な量もしくは抗透過性に関して有効な量の製剤が投与され、該製剤は、ハムスターの腹腔内に注入されたときに、ハムスターの頬組織における治療剤の平均濃度が、約7ng/g以下、約11ng/g以下、または約40ng/g以下の何れかのラパマイシンの濃度と等しくなるのに十分な量の治療剤を送達するものである。ある実施形態では、本明細書に記載の疾患または病気を治療、予防もしくは阻害するか、それらの発症を遅らせるか、またはそれらの回復を引き起こすために、上記疾患または病気が治療、予防もしくは阻害されるか、それらの発症が遅らせられるか、またはそれらの回復が引き起こされることが必要な被検体に、有効な量もしくは抗透過性に関して有効な量の製剤が投与され、該製剤は、ハムスターの腹腔内に注入されたときに、ハムスターの頬組織における治療剤の平均濃度が、約7ng/g〜約11ng/g、または約11ng/g〜約40ng/gの何れかのラパマイシンの濃度と等しくなるのに十分な量の治療剤を送達するものである。ある実施形態では、本明細書に記載の疾患または病気を治療、予防もしくは阻害するか、それらの発症を遅らせるか、またはそれらの回復を引き起こすために、上記疾患または病気が治療、予防もしくは阻害されるか、それらの発症が遅らせられるか、またはそれらの回復が引き起こされることが必要な被検体に、有効な量もしくは抗透過性に関して有効な量の製剤が投与され、該製剤は、ハムスターの腹腔内に注入されたときに、ハムスターの頬組織における治療剤の平均濃度が、約7ng/g、11ng/g、または40ng/gの何れかのラパマイシンの濃度と等しくなるのに十分な量の治療剤を送達するものである。ある実施形態では、本明細書に記載の疾患または病気を治療、予防もしくは阻害するか、それらの発症を遅らせるか、またはそれらの回復を引き起こすために、上記疾患または病気が治療、予防もしくは阻害されるか、それらの発症が遅らせられるか、またはそれらの回復が引き起こされることが必要な被検体に、有効な量もしくは抗透過性に関して有効な量の製剤が投与され、該製剤は、ハムスターの腹腔内に注入されたときに、ハムスターの頬組織における治療剤の平均濃度が、0.01pg/g〜7ng/gの間、0.1pg/g〜7ng/gの間、0.1pg/g〜1ng/gの間、0.01ng/g〜1ng/gの間、0.1pg/g〜5ng/gの間、5ng/g〜15ng/gの間、1ng/g〜11ng/gの間、1ng/g〜20ng/gの間、10ng/g〜40ng/gの間、20ng/g〜45ng/gの間の何れかのラパマイシンの濃度と等しくなるのに十分な量の治療剤を送達するものである。
【0225】
ある実施形態では、本明細書に記載の疾患または病気が治療、予防もしくは阻害されるか、それらの発症が遅らせられるか、またはそれらの回復が引き起こされるために、上記疾患または病気が治療、予防もしくは阻害されるか、それらの発症が遅らせられるか、またはそれらの回復が引き起こされることが必要な被検体に、有効な量もしくは抗透過性に関して有効な量の製剤が投与され、該製剤は、上記疾患または病気と関係する組織におけるラパマイシンの量と等しい濃度になるのに十分な量の治療剤を送達するものであり、該疾患または病気と関係する組織におけるラパマイシンの量は、0.01pg/g〜7ng/gの間、0.1pg/g〜7ng/gの間、0.1pg/g〜1ng/gの間、0.01ng/g〜1ng/gの間、0.1pg/g〜5ng/gの間、5ng/g〜15ng/gの間、1ng/g〜11ng/gの間、1ng/g〜20ng/gの間、10ng/g〜40ng/gの間、20ng/g〜45ng/gの間の何れかである。
【0226】
ある実施形態では、本明細書に記載の疾患または病気を治療、予防もしくは阻害するか、それらの発症を遅らせるか、またはそれらの回復を引き起こすために、上記疾患または病気が治療、予防もしくは阻害されるか、それらの発症が遅らせられるか、またはそれらの回復が引き起こされることが必要な被検体に、有効な量もしくは抗透過性に関して有効な量の製剤が投与され、該製剤は、上記疾患または病気と関係する組織におけるラパマイシンの量と等しい濃度になるのに十分な量の治療剤を送達するものであり、該疾患または病気と関係する組織におけるラパマイシンの量は、約7ng/g以下、約11ng/g以下、または約40ng/g以下の何れかである。ある実施形態では、本明細書に記載の疾患または病気を治療、予防もしくは阻害するか、それらの発症を遅らせるか、またはそれらの回復を引き起こすために、上記疾患または病気が治療、予防もしくは阻害されるか、それらの発症が遅らせられるか、またはそれらの回復が引き起こされることが必要な被検体に、有効な量もしくは抗透過性に関して有効な量の製剤が投与され、該製剤は、上記疾患または病気と関係する組織におけるラパマイシンの量と等しい濃度になるのに十分な量の治療剤を送達するものであり、該疾患または病気と関係する組織におけるラパマイシンの量は、約7ng/g〜約11ng/gの間、または約11ng/g〜約40ng/gの間の何れかである。ある実施形態では、本明細書に記載の疾患または病気を治療、予防もしくは阻害するか、それらの発症を遅らせるか、またはそれらの回復を引き起こすために、上記疾患または病気が治療、予防もしくは阻害されるか、それらの発症が遅らせられるか、またはそれらの回復が引き起こされることが必要な被検体に、有効な量もしくは抗透過性に関して有効な量の製剤が投与され、該製剤は、上記疾患または病気と関係する組織におけるラパマイシンの量と等しい濃度になるのに十分な量の治療剤を送達するものであり、該疾患または病気と関係する組織におけるラパマイシンの量は、約7ng/g、11.01ng/g、または40ng/gの何れかである。
【0227】
ある実施形態では、本明細書に記載の疾患または病気を治療、予防もしくは阻害するか、それらの発症を遅らせるか、またはそれらの回復を引き起こすために、上記疾患または病気が治療、予防もしくは阻害されるか、それらの発症が遅らせられるか、またはそれらの回復が引き起こされることが必要な被検体に、有効な量もしくは抗透過性に関して有効な量の製剤が投与され、該製剤は、上記疾患または病気と関係する組織におけるラパマイシンの量と等しい濃度になるのに十分な量の治療剤を送達するものであり、該疾患または病気と関係する組織におけるラパマイシンの量は、0.01pg/g〜7ng/gの間、0.1pg/g〜7ng/gの間、0.1pg/g〜1ng/gの間、0.01ng/g〜1ng/gの間、0.1pg/g〜5ng/gの間、5ng/g〜15ng/gの間、1ng/g〜11ng/gの間、1ng/g〜20ng/gの間、10ng/g〜40ng/gの間、20ng/g〜45ng/gの間の何れかである。
【0228】
ある実施形態では、本明細書に記載の疾患または病気を治療、予防もしくは阻害するか、それらの発症を遅らせるか、またはそれらの回復を引き起こすために、上記疾患または病気が治療、予防もしくは阻害されるか、それらの発症が遅らせられるか、またはそれらの回復が引き起こされることが必要な被検体に、有効な量もしくは抗透過性に関して有効な量の製剤が投与され、該製剤は、上記疾患または病気と関係する組織におけるラパマイシンの量と等しい濃度になるのに十分な量のラパマイシンを送達するものであり、該疾患または病気と関係する組織におけるラパマイシンの量は、約7ng/g以下、約11ng/g以下、または約40ng/g以下の何れかである。ある実施形態では、本明細書に記載の疾患または病気を治療、予防もしくは阻害するか、それらの発症を遅らせるか、またはそれらの回復を引き起こすために、上記疾患または病気が治療、予防もしくは阻害されるか、それらの発症が遅らせられるか、またはそれらの回復が引き起こされることが必要な被検体に、有効な量もしくは抗透過性に関して有効な量の製剤が投与され、該製剤は、上記疾患または病気と関係する組織におけるラパマイシンの量と等しい濃度になるのに十分な量のラパマイシンを送達するものであり、該疾患または病気と関係する組織におけるラパマイシンの量は、約7ng/g〜約11ng/gの間、または約11ng/g〜約40ng/gの間の何れかである。ある実施形態では、本明細書に記載の疾患または病気を治療、予防もしくは阻害するか、それらの発症を遅らせるか、またはそれらの回復を引き起こすために、上記疾患または病気が治療、予防もしくは阻害されるか、それらの発症が遅らせられるか、またはそれらの回復が引き起こされることが必要な被検体に、有効な量もしくは抗透過性に関して有効な量の製剤が投与され、該製剤は、上記疾患または病気と関係する組織におけるラパマイシンの量と等しい濃度になるのに十分な量のラパマイシンを送達するものであり、該疾患または病気と関係する組織におけるラパマイシンの量は、約7ng/g、11ng/g、または40ng/gの何れかである。
【0229】
<投与経路>
本明細書に記載の方法および製剤は、1つ以上の治療剤を被検体(ヒト被検体を含むが、これに限定されない)に送達する。
【0230】
ある実施形態では、本明細書に記載の方法および製剤は、1つ以上の治療剤をヒト被検体の水性媒体に送達する。
【0231】
ある実施形態では、本明細書に記載の方法および製剤は、疾患または病気が治療、予防もしくは阻害されるか、それらの発症が遅らせられるか、またはそれらの回復が引き起こされる領域の水性媒体、もしくは該領域の近傍の水性媒体に、1つ以上の治療剤を送達する。ある実施形態では、本明細書に記載の方法および製剤は、本明細書に記載の疾患または病気を治療、予防もしくは阻害するか、それらの発症を遅らせるか、またはそれらの回復を引き起すために、1つ以上の治療剤をヒト被検体に全身的に送達する。
【0232】
ある実施形態では、本明細書に記載の方法および製剤は、<疾患および病気>の項目に記載の疾患および病気を治療、予防もしくは阻害するか、それらの発症を遅らせるか、またはそれらの回復を引き起すのに有効な量で、かつこの有効な期間中、被検体の黄斑組織および網膜脈絡膜組織を含む眼に1つ以上の治療剤を送達する。
【0233】
本明細書で使用されている「網膜脈絡膜」および「網膜脈絡膜組織」は、同義であり、眼の網膜と脈絡膜とを組み合わせた組織のことをいう。
【0234】
本明細書で使用されている「結膜下」配置または「結膜下」注入は、強膜と結膜との間に配置または注入することをいう。また、本明細書では、結膜下投与を、「sub-conj」投与と称することがある。
【0235】
製剤を投与するための本明細書に記載の方法に、使用されてもよい投与経路は、注入などによる被検体への製剤の配置が含まれるが、これに限定されない。また、ここでいう被検体には、特に限定されないが、被検体の水性媒体が包含される。ある実施形態では、製剤は以下の送達経路を通して全身的に投与される。すなわち、上記送達経路としては、特に限定されないが、直腸投与、膣投与、注入による投与、筋肉内投与、腹腔内投与、動脈内投与、くも膜下腔内投与、気管支内投与、嚢内投与、皮膚投与、皮下投与、皮内投与、経皮投与、静脈内投与、頸管内投与、腹内投与、頭蓋内投与、眼内投与、眼周囲投与、肺内投与、胸空内投与、気管内投与、鼻腔投与、口腔投与,舌下投与、経口投与、非経口投与、局所投与、皮下植え込みによる投与、塞栓術の一部としての投与、皮膚を介した投与、神経への直接投与、視神経への直接投与、視神経頭への直接注入による投与、網膜を介した投与、流出または滲出の領域への強膜を介した投与、あるいは噴霧化またはエアロゾル化された後の吸入が挙げられる。
【0236】
ある実施形態では、治療剤を含んでいる製剤は、特に限定されない次の(1)〜(3)の手法を含む様々な手法の1つ以上を使用して眼に直接投与される;
(1)上記治療剤が、注射器および皮下注射針を用いた注入によって、投与される手法、
(2)特別に設計された装置を用いて、治療剤が投入される手法、
(3)治療剤の注入前に、治療剤または治療剤組成物の容器として機能するポケットが、外科手術によって強膜内に形成される手法。例えば、ある投与手法では、外科医によって眼の強膜内にポケットが形成され、その後、該ポケットに、上記治療剤を含んでいる製剤、または溶液が注入される。
【0237】
他の投与手法には、次の(1)〜(6)の手法が含まれるがこれらに限定されない;
(1)上記治療剤の製剤が、特別製の湾曲したカニューレを通って注入されることにより、治療剤が眼の部位に直接配置される手法、
(2)圧縮型の上記治療剤が、眼の部位に直接配置される手法、
(3)上記治療剤が、特別製の注入機または挿入機によって強膜へ挿入される手法、
(4)上記治療剤を含んでいる製剤が、ポリマーに組み込まれる手法、
(5)外科医によって、縫合糸と任意の治療剤送達物とを通す小さな切込みが結膜に形成され、強膜の近傍に上記治療剤送達物が固定される手法、
(6)眼のガラス体、または記載された他の任意の部位に直接注入するための針が使用される手法。
【0238】
ある実施形態では、ラパマイシンは、縫合糸に組み込まれるか、または縫合糸を被覆している。
【0239】
本明細書に記載の製剤は、例えば局所投与するために、エリキシル剤として注入されることによって直接的に使用されてもよい。例えば、該製剤は、特に限定されないが、点眼液を介して注入されるか、あるいはハードカプセル内もしくはソフトゼラチンカプセル内、またはデンプンカプセル内に入れられて注入される。上記カプセルは、漏出を防ぐために縛られてもよい。
【0240】
投与経路が経口投与である場合、製剤には、例えば特に限定されないが、固体製剤、液体製剤、制御放出製剤、被覆ビーズの製剤、拡散を基本とする製剤、容器含有製剤、タブレット製剤、急速崩壊製剤、チュアブル製剤、バッカル剤、発泡製剤、およびポリマーベースの製剤が含まれる。
【0241】
ある実施形態では、投与経路は注入を介した経路である。ある実施形態では、本明細書に記載の製剤を送達するために使用されてもよい方法には、例えば特に限定されないが、注入デバイス、IV投与セット、IVポンプおよび/またはコントローラー、IVカテーテル、プレミックスIV溶液、皮下注射用製品、充填済注射器、皮下注射器、皮下注射針、遺伝子/タンパク質ターゲッティングシステム、または遺伝子/タンパク質送達システム、血液透析、腹膜透析、および腸へ直接注入する製品が含まれる。
【0242】
ある実施形態では、投与経路は、吸入を介した経路である。ある実施形態では、本明細書に記載の製剤を送達するために使用されてもよい方法には、例えば特に限定されないが、計量吸入器、乾燥粉末吸入器、ならびに、鼻腔用スプレーのディスペンサー、ベンチレーターおよびネブライザーが含まれる。
【0243】
ある実施形態では、投与経路は、経皮システムまたは移植可能なシステムを介した経路である。本明細書に記載の製剤を送達するために使用されてもよい方法には、例えば特に限定されないが、経皮薬物送達システム、埋込型薬物送達システム、パルス発生器、薬物挿入デバイス、薬物含有デバイス、薬物で被覆されたデバイス、薬物溶出デバイス、および薬物溶出ステントが含まれる。
【0244】
本明細書に記載の製剤を送達するために使用されてもよい1つの方法は、被検体への注入を介した送達である。なお該被検体にはヒト被検体が含まれるが、これに限定されない。
【0245】
ある実施形態では、本明細書に記載の製剤は被検体の眼の近傍に配置される。例えば、該製剤は、特に限定されないが、眼内および眼球周辺へ配置または注入される。被検体の眼の中または近傍への配置には、例えば特に限定されないが、前房内への送達、前眼房への送達、眼周辺への送達、結膜下への送達、テノン嚢への送達、眼球後への送達、眼球周囲への送達、および後強膜近傍(posterior juxtascleral)への送達が含まれる。「眼球周辺」への投与の経路は、眼の近くまたは周囲へ配置することを意味する。網膜へ薬物を送達するための典型的な眼球周辺経路を記述したものとしては、「Periocular routes for retinal drug delivery, Raghavaら, (2004), Expert Opin. Drug Deliv. 1(1):99-114」を参照のこと(なお当該文献は参照によって完全に本明細書に組み込まれる)。
【0246】
ある実施形態では、本明細書に記載の製剤は、眼内に投与される。眼内投与には、ガラス質内を含む、眼内への配置もしくは注入が含まれる。
【0247】
上記製剤が投与されてもよい眼の部位には、特に限定されないが、ガラス質、眼房水、強膜、結膜、強膜と結膜との間、網膜脈絡膜組織、斑、または被検体の眼の中もしくは近傍の他の領域が含まれる。製剤を配置するために使用されてもよい方法は、特に限定されないが、注入を含んでいる。
【0248】
<製剤の調製方法>
本明細書に記載の製剤(特に限定されないが、ラパマイシンを含んでいる液体製剤が包含される)を調製するために使用されてもよい1つの方法は、特に限定されないが、溶媒と治療剤とを一緒に室温またはそれよりも少々高い温度において、溶液または懸濁液が得られるまで混合し、それから製剤を冷却することによって実施される。上記混合の際には、場合によってはソニケーターが使用される。その後、上記成分などの他の成分を、製剤と一緒に混合してもよい。使用されてもよい他の調製方法として、本明細書の実施例などに記載されているものが挙げられる。また当業者は、本明細書の教示に基づいたり、以下の関連する参考文献を閲覧したりすれば、他の調製方法を選択することができる(Remington: The Science and Practice of Pharmacy, Twentieth Edition, Lippincott Williams & Wilkins; 20th edition (December 15, 2000)など)。
【0249】
ある実施形態では、本明細書に記載の製剤は、ラパマイシンを含んでいる。ある実施形態では、本明細書に記載のラパマイシン含有製剤は、所定の期間安定である。ある実施形態では、本明細書に記載のラパマイシン含有製剤は、所定の期間安定であり、同時係属中の米国仮特許出願第60/772,018号明細書(2006年2月9日出願)に記載の方法によって調製される。ある実施形態では、本明細書に記載のラパマイシン含有製剤は、所定の期間安定であり、同時係属中の米国仮特許出願第60/772,018号明細書(2006年2月9日出願)に記載の方法によって調製されることができる。
【0250】
〔治療剤の長期にわたる送達〕
ある種の疾患または病気を治療、予防、阻害するか、それらの発症を遅らせるか、もしくはそれらの回復を引きこすためには、長期間にわたって、治療上有効な量の治療剤を送達し続けることが望ましい場合がある。この長期間は、治療、予防もしくは阻害されるか、発症が遅らせられか、もしくは回復が引き起こされる疾患または病気に依存するが、少なくとも約1週、少なくとも約2週、少なくとも約3週、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約9ヶ月、または少なくとも約1年であってもよい。しかしながら、一般的には、送達に関する期間としては、あらゆる期間を採用することができる。治療上有効な量の治療剤を長時間にわたって送達するのに十分であり、かつ被検体または被検体の組織における治療剤の濃度を長期にわたって維持する製剤によって、治療上有効な量の治療剤は長期間にわたって送達されてもよい。
【0251】
ある実施形態では、本明細書に記載の製剤は、本明細書に記載の長期間の1つ以上にわたって、ほぼ一定量の治療剤を送達する。本明細書で使用されている「ほぼ一定」は、平均量が、長期間を通して1桁以上に変化しないこと、すなわち、平均濃度の測定値の最大値と最小値との差が、該当する期間の各時点において、10倍未満であることをいう。
【0252】
治療上有効な量の治療剤を、長期間にわたって送達することは、製剤を1つ配置することによって達成されてもよいし、または製剤を2つ以上配置することによって達成されてもよい。最適な投与計画は、送達されるのに必要な治療剤の治療量と、送達されるのに必要な期間とに依存する。治療剤をこのような長期間にわたって送達する投与方法に精通した者は、本明細書に示された教示に基づけば、使用されてもよい投与計画の特定方法を理解するだろう。
【0253】
ある種の疾患を治療、予防もしくは阻害するか、その発症を遅らせるか、またはその回復を引き起こすためのある治療剤を使用する場合、該治療剤の送達は、被検体に治療剤を配置してからすぐに開始しないことが望ましいことがあり、ある程度遅らせてから開始することが望ましいことがある。例えば特に限定されないが、そのような遅延放出は、治療剤が創傷治癒を阻害するか、または遅らせる場合に有効であり得る。また遅延放出によって、製剤を配置するときに生じる任意の創傷が治癒させられることが望ましい。送達される治療剤、および/あるいは治療、阻害もしくは予防されるか、発症が遅らせられるか、または回復が引き起こされる疾患または病気に依存して、治療剤の送達を開始する前のこの遅延期間は、約1時間、約6時間、約12時間、約18時間、約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約7日、約8日、約9日、約10日、約11日、約12日、約13日、約14日、約21日、約28日、約35日、または約42日でありえる。また、他の遅延期間も可能である場合がある。使用されてもよい遅延放出製剤は、この技術に精通した者に知られている。
【0254】
ある実施形態では、本明細書に記載の製剤は、ラパマイシンの量と等しい量の治療剤を含んでいる。
【0255】
ある実施形態では、本明細書に記載の製剤の何れか1つ以上は、本明細書に記載の疾患または病気の1つ以上を治療するために、3ヶ月以上ごと、6ヶ月以上ごと、9ヶ月以上ごと、または12ヶ月以上ごと、あるいはそれよりも長く、全身的に(systemically)投与される。ある実施形態では、本明細書に記載の製剤の何れか1つ以上は、本明細書に記載の疾患または病気の1つ以上を治療するために、3ヶ月以上ごと、6ヶ月以上ごと、9ヶ月以上ごと、または12ヶ月以上ごと、あるいはそれよりも長く、非経口で投与される。
【0256】
ある実施形態では、本明細書に記載の製剤の何れか1つ以上は、本明細書に記載の疾患または病気の1つ以上を治療するために、3ヶ月以上ごと、6ヶ月以上ごと、9ヶ月以上ごと、または12ヶ月以上ごと、あるいはそれよりも長く、局部的に投与される。ある実施形態では、本明細書に記載の製剤の何れか1つ以上は、本明細書に記載の疾患または病気の1つ以上を治療するために、3ヶ月以上ごと、6ヶ月以上ごと、9ヶ月以上ごと、または12ヶ月以上ごと、あるいはそれよりも長く、皮下植え込みによって投与される。
【0257】
ある実施形態では、本明細書に記載の製剤の何れか1つ以上は、本明細書に記載の疾患または病気の1つ以上を治療するために、3ヶ月以上ごと、6ヶ月以上ごと、9ヶ月以上ごと、または12ヶ月以上ごと、あるいはそれよりも長く、ガラス体内に投与される。ある実施形態では、本明細書に記載の製剤の何れか1つ以上は、本明細書に記載の疾患または病気の1つ以上を治療するために、3ヶ月以上ごと、6ヶ月以上ごと、9ヶ月以上ごと、または12ヶ月以上ごと、あるいはそれよりも長く、結膜下に投与される。
【0258】
本明細書に記載の様々な疾患および病気を治療、予防もしくは阻害するか、それらの発症を遅らせるか、またはそれらの回復を引き起こすための、様々な治療剤の用量は臨床試験を利用することによって改良されてもよい。
【0259】
〔実施例〕
<実施例1:VEGFを用いた、ハムスターの頬袋モデルにおけるラパマイシンの抗透過性効果>
ハムスターの頬袋モデルを用いて、ラパマイシンの抗透過性効果を研究した。このモデルにおいては、トレーサー分子をハムスターの静脈内に注入し、VEGF、ラパマイシン(試験化合物)および種々の対照の様々な組み合わせをハムスターに投与して、VEGF誘導性の透過性に対するそれらの効果を決定した。VEGFは、ハムスターの頬袋の微小循環における透過性のエンハンサーである。トレーサーの量を、コンピューター援用デジタル画像解析を用いた、イメージングによって測定した。集積光強度が高くなるほど、透過性の程度が高いことが示された。
【0260】
このプロトコールは、以下の特徴を有する「Aramotoら, Vascular endothelial growth factor stimulates differential signaling pathways in the in vivo microcirculation, Am J Physiol:Heart & Circ Physiol. 287:H1590-H1598, (2004) (“Aramoto 2004.”)」の「材料および方法「Materials and Methods」をそのまま手本にしている。
【0261】
全部で42匹のオスのゴールデンシリアンハムスター(golden Syrian hamster)(体重80〜120g)を用いた。ペントバルビタールナトリウム(50mg/kg、ip)を用いて、該ハムスターを麻酔した。呼吸を容易にするために気管切開術を施し、さらに蛍光色素と追加の麻酔剤とを投与するために左の頚静脈にカニューレを挿入した。血液の回収および血圧の観察をするために、左の頚動脈にカニューレを挿入した。「Mayhan and Joyner, The Effect Of Altering The External Calcium Concentration And A Calcium Channel Blocker, Verapamil, On Microvascular Leaky Sites And Dextran Clearance In The Hamster Cheek Pouch, Microvasc. Res. 28(2): 159-79 (1984)」の方法を使って、ハムスターの右の頬袋に対して、直接可視化して、診察するための処置を施した。なお、「Aramoto 2004」も参照のこと。除去可能なプラスチック製のリューサイトチャンバー(Lucite chamber、1mlの貯水容量)を2つ、頬袋に配置して、微小血管系からのスフサーテ(suffusate)の観察および回収を行った。
【0262】
131.9mMのNaCl、4.7mMのKCl、2.0mMのCaCl2、1.2mMのMgSO4、18.0mMのNaHCO3、pH7.35の重炭酸イオンバッファに対して、約10mmHgの酸素圧およびpH7.4を維持するために、95%N2および5%CO2のガス混合物で泡立てた。この重炭酸イオンバッファで、チャンバー容器を満たし、漏出に関する試験を実施した。
【0263】
VEGFを局所適用する前に、1ml/分のスフサーテで1時間にわたって、ハムスターの血液漏出をニコン・オプチフォト(Optiphot)またはオリンパスBH顕微鏡で観察した。
【0264】
安定期を迎えた45分の時点に、トレーサーを投与した。フルオレセインイソチオシアネート−デキストラン150(FITC−Dx150;MW=150kDa;シグマケミカルズ(Sigma Chemicals Co.)、セントルイス、ミズーリ州)を、巨大分子の微小血管透過性用のトレーサーとして使用した。100mg/kgのFITC−Dx150を、静脈内にボーラス投与した。その後、本研究期間を通して、FITC−Dx150の血しょう濃度を一定に保つためにFITC−Dx150を持続注入した(0.15mg/kg/分)。コンピューター援用デジタル画像解析を用いて、集積光強度(IOI)を測定することにより、微小血管の輸送を評価した。2または3の領域を、頬袋から無作為に選択して、VEGFを適用する前またはその後に、イメージ1コンピューターシステム(ユニバーサルイメージングコーポレーション)(Image-1 computer system (Universal Imaging Corporation))に記録した。各領域には、直径15から30μmまでの範囲の後毛細血管細静脈が、4〜6含まれていたが、毛細血管は比較的含まれていなかった。最大IOIを、VEGFの局所適用から10分後、20分後、30分後、33分後、35分後、40分後、50分後、60分後、70分後、80分後、および90分後に測定した。IOIが高ければ、透過性は高かった。
【0265】
ラパミューン(経口ラパマイシン懸濁液)を、次のような腹腔内投与に用いた。なお、ラパミューンの経口懸濁液は、1mg/ml溶液として製剤化されたものや、Wyethによって作製されているものや、薬局から入手できたものである。ラパミューン経口溶液のボトルは、遮光し、かつ2℃〜8℃(36(°F)〜46°F)で冷蔵保存した。上記ボトルを開封した場合は、中身を1ヶ月以内に使用した。あらゆる必要な希釈を行った後では、調製物を素早く使用した。
【0266】
投与されたラパミューンの4種類の用量に対応するように、ラパミューン治療グループを4つ設けた(10mg/kg(6匹)、2mg/kg(5匹)、0.5mg/kg(5匹)、および0.1mg/kg(5匹))。ハムスターの体重を測定し、体重に応じて投薬した。例えば、2mg/kgの投薬グループにおけるハムスター(100g)に対しては、0.2ccのラパミューン懸濁液を腹腔内に投薬した。各処置グループに対して、適切な量のラパミューンを、−1日目に腹腔内に投与し、VEGFの局所適用を開始する1時間前に再び腹腔内に投与した。
【0267】
0.5mLのラパミューン溶剤(vehicle)を、3匹それぞれに腹腔内投与した。ラパミューン溶剤は、アメリカンレシチン(オクスフォード、コネティカット州)(American Lecithin Co.)から入手された99%のフォーサル(Phosal)50PG(ホスファチジルコリン、プロピレングリコール、モノグリセリド、ジグリセリド、エタノール、大豆脂肪酸、およびアスコルビン酸パルミテート)と、シグマ−アルドリッチ(セントルイス、ミズーリ州)から入手された1%のトウィーン80である。
【0268】
陽性対照グループとして、4匹のハムスターに対して、1mg/kgのカベオリン−1(「Cav−1」)スカフォールドを、頬袋透過性研究の1日前に腹腔内に投与した。Cav−1は、内皮一酸化窒素合成酵素(eNOS)の強力な阻害剤である。Bucciらは、Cav−1スカフォールドドメインペプチドの腹腔内投与によって、血管漏出が弱まり、さらに間質浮腫も全面的に弱まることを示した(Nature Medicine 6: 1362-1367 (2000))。また、Bucciらは、Cav−1スカフォールドドメインペプチドは、カラギーナンによって引き起こされる浮腫形成を抑制することや、その抗炎症性は、デキサメタゾンを適用したときと同程度の効果であることも示した。また近年では、カベオリン−1が、Akt−eNOS経路を介して微小血管透過性および血管形成を弱めることが示されている(PNAS 102: 204-209 (2005))。
【0269】
VEGFは、R&Dシステムズ(ミネアポリス、ミネソタ州)から入手された組み換えヒトVEGF165であった。「Aramoto 2004」に詳しく記載されているように、VEGFを、ハムスターの頬袋のチャンバーにおける濃度が10−8Mになるように、側面の開口部を介して局所的に適用した。VEGFを与えられないラパミューン溶剤グループ以外の、各処置グループの各動物ごとに、1用量のVEGFを適用した。紅潮は回復され、流出物を90分間回収した。VEGF投与から、10分後、20分後、30分後、33分後、35分後、40分後、50分後、60分後、70分後、80分後、および90分後に画像を入手した。また、ユニバーサルイメージングのイメージ1プログラム(Image-1 program)または、ユニバーサルイメージングのメタモルフプログラム(MetaMorph program)を使って、コンピューターへ画像を直接保存した。
【0270】
透過性のデータを図1および表1に示す。図1の凡例における「R」は、ラパマイシンによる処置を示している。90分の時点では、0.1mg/kgによる処置は、溶剤とVEGFとによる処置と比べて、平均透過性が約85%よりも大きく減少している。90分の時点において、0.5mg/kgによる処置では、溶剤とVEGFとによる処置と比べて、平均透過性が約90%よりも大きく減少している。90分の時点において、2mg/kgのラパミューンとVEGFとによる処置では、溶剤とVEGFとによる処置と比べて、平均透過性が30%よりも大きく減少している。90分の時点において、10mg/kgのラパミューンとVEGFとによる処置では、VEGFのみによる処置よりも透過性が大きくなっている。
【0271】
このように、上記データは、VEGFが、ハムスターの頬袋における微小血管系の透過性を増加させたことを示している。ラパマイシンは、極低用量において透過性を拮抗する。2mg/kgの用量では、ラパマイシンは、VEGFによって誘導される透過性を拮抗することに寄与していたが、0.1mg/kgおよび0.5mg/kgの用量の場合と比べると、その程度はより少ないものであった。10mg/kgのラパマイシンでは、ラパマイシンの抗透過性効果は、阻害されていた。
【0272】
<統計的解析>
基準値は、実験を通して、3から5までの範囲のIOIユニットの値で一定であったので、この基準値を引いて、輸送データを正味のIOI値として示した。全てのデータを、平均値±標準偏差として示した。統計解析は、一元配置分散分析を用いて実施した。有意な値が得られた場合、スチューデント−ニューマン−クールズテストを適用して、どの測定値が別の測定値と有意に異なっているかを決定した。P<0.05という値であれば、有意差があると見なした。
【0273】
ラパマイシンの抗透過性効果の開始は、Cav−1の抗透過性の開始と比べて遅く、また遅くなる時期は、投与されたラパミューンの量に依存していた。
【0274】
アッセイの後のほうの時点では、ラパマイシンは、Cav−1よりもより強力な抗透過性剤であるといえた。理論にとられることなく、後のほうの時点が、臨床の現場において特に重要であると信じられる。
【0275】
【表1】

動物を犠牲にして、ハムスターの両頬袋のサンプルを入手し、−80℃で冷凍した。そして、当該サンプルに、受容された腹腔内投与の量、および当該サンプルが右であるか(チャンバーを使用して研究されたか)、または左であるかというラベルを付けた。全ての組織サンプルをホモジェナイズし、ラパマイシン量をLC/MSによって解析した。その結果を表2に示す。
【0276】
【表2】

BQL=定量下限(0.03ng/mL)。ng/gの単位で本データを作成するために、希釈係数には10を採用した。
【0277】
0.1mg/kgの処置グループでは、ハムスターの頬袋におけるラパマイシンの平均組織レベルは、7.37ng/gになっている。0.5mg/kgの処置グループでは、ハムスターの頬袋におけるラパマイシンの平均組織レベルは、11.01ng/gになっている。2.0mg/kgの処置グループでは、ハムスターの頬袋におけるラパマイシンの平均組織レベルは、40.83ng/gになっている。10mg/kgの処置グループでは、ハムスターの頬袋におけるラパマイシンの平均組織レベルは、55.15ng/gになっている。対照である溶剤による処置グループでは、ハムスターの頬袋におけるラパマイシンの平均組織レベルは、1.28ng/gになっている。このように、投与量が増加するにつれて、ハムスターの頬袋におけるラパマイシンの組織レベルは増加した。また、対照である溶剤から、ラパマイシン濃度アッセイにおけるバックグラウンドが明らかになった。
【0278】
<実施例2:PAFを用いたハムスターの頬袋モデルにおける、ラパマイシンの抗透過性効果>
血小板活性化因子(PAF)に対する、ラパマイシンの抗透過性効果を解析した。VEGFの代わりにPAF(l-o-アルキル-2-アセチル-sn-3-グリセロ-ホスホリル-コリン;シグマケミカル(セントルイス、ミズーリ州)(Sigma Chemical Co.)を使用し、実施例1のプロトコールを実施した(ただし、ハムスターの頬袋のチャンバーにおける濃度が10−7Mになるように、PAFを側面の開口部を介して局所的に適用したことは除く)。0.5mg/kgのラパミューンを、−1日に投与し、さらにPAFの局所適用を開始する1時間前にも再び投与した。また、溶剤のみの陰性対照と、溶剤+PAFの陽性対照も使用した。1つ処理グループにつき、3匹の動物を使用した。
【0279】
透過性のデータを図2に示す。図の凡例における「R」は、ラパマイシンによる処置を示している。PAFによる処置は、溶剤を用いた対照よりも、透過性のレベルが顕著に高くなっていた。0.5mg/kgのラパマイシン+PAFによる処置では、PAFのみの処置と比べて透過性が減少していた。20分の時点において、例えば、0.5mg/kgによる処置では、溶剤+PAFによる処置と比べて、平均透過性が65%も減少していた。ラパマイシン+PAFによる処置は、実験を通して、PAFにより処置された動物と比べて、透過性を減少させることになった。
【0280】
VEGFは、血管拡張と関係する透過性変更剤であるのに対して、PAFは、血管収縮と関係する透過性変更剤である。PAFによる結果によれば、VEGFを使用したときに観察されたラパマイシンの抗血管透過性の結果が確かなものとなった。
【0281】
<実施例3:ラパマイシンの細動脈の直径に対する効果>
細動脈の直径は、メタモルフ(MetaMorph)画像システムを用いて、落射照明型血液カラムの幅として測定した。1匹の動物につき、直径が20〜30μmの2つまたは3つの細動脈を研究した。基準となる直径(基準直径)を1の数値に正規化した。各血管については、実験から得た直径を、基準直径の比で表した(管腔の相対直径)。アゴニストの適用の前後の直径を比較するために、興味のある細動脈の同じ場所の直径を測定した。
【0282】
動脈血管拡張のデータを図3および図4に示す。図3では、処置グループにつき、3匹の動物を使用した。図の凡例に示されている、「R溶剤」は、ラパマイシン溶剤を示している。VEGFによる処置では、溶剤による処置と比べて、管腔の相対直径が有意に増加するという結果になった。ラパマイシン溶剤により予め処置すると、細動脈の直径がそれほど大幅に変化しなかった。10−8MのVEGFを、3分間局所的に適用したことによって、大幅な血管拡張が引き起こされた。基準直径に対する実験から得た細動脈の直径の比は、徐々に増加し、VEGFの適用から30分後にピークを迎えた。すなわち、細動脈の直径の比は、1.0から1.46±0.09に増加した(P<0.05)。ピークを迎えた後、細動脈の直径の比は、徐々に減少し、VEGFの適用から50分後に基準値のほぼ80%に達した。VEGFの適用から30分後の時点において、500μg/kgのラパマイシンにより処置されたグループでは、10−8MのVEGFによって引き起こされる管腔の相対直径の増加が、1.46±から1.09±0.04に減少した(P=0.02、図3)。
【0283】
図4は、PAFにより刺激された血管収縮に対する500μg/kgのラパマイシンの効果を示す図である。図4では、処置グループにつき3匹の動物を使用した。細動脈の直径の基準値は、30分間にわたって、それほど変化しなかった。10−7MのPAFを3分間に渡って局所的に適用した場合、強い血管収縮が引き起こされた。基準直径に対する実験から得られた細動脈の直径の比は、PAFの局所的適用から5分後以内に、1.0から0.32±0.02に減少した。PAFを除去し、スフサーテを再開すると、上記細動脈の直径の比は、徐々に増加し、15分以内に基準値の90%に達した。500μg/kgのラパマイシンにより予め処理しても、PAFの血管収縮作用は弱まらなかった。
【0284】
特許、特許出願、および刊行物を含む、本明細書において引用された文献の全ては、組み込まれることが予め明記されていても、いなくても、参照することによって、完全に本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0285】
【図1】ハムスターの頬袋モデルにおける、VEGFに対するラパマイシンの血管抗透過性効果、および様々な対照処置の血管抗透過性効果を示す図である。
【図2】ハムスターの頬袋モデルにおける、PAFに対するラパマイシンの血管抗透過性効果、および様々な対照処置の血管抗透過性効果を示す図である。
【図3】ハムスターの頬袋モデルにおける、ラパマイシンの動脈拡張効果を示す図である。
【図4】ハムスターの頬袋モデルにおける、ラパマイシンの動脈拡張効果を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
疾患または病気を治療、予防もしくは阻害するか、それらの発症を遅らせるか、またはそれらの回復を引き起こすための方法であって、
上記疾患または病気が治療、予防もしくは阻害されるか、それらの発症が遅らせられるか、またはそれらの回復が引き起こされることが必要な被検体に、抗透過性に関して有効な量の治療剤を投与する工程を含んでおり、
上記治療剤は、リムス化合物、あるいはその類似体、誘導体、塩、またはエステルであり、
上記疾患または病気は、網膜浮腫、インフルエンザ、ウイルス性脳炎、視神経網膜炎、エンドトキシンによって引き起こされた浮腫、血管炎、有毒な代謝性の脳浮腫、血管腫、フォンヒッペルリンドウ病、血管神経性浮腫、毒蛇咬傷、高地脳浮腫(HACE)、高地肺浮腫(HAPE)、煙の吸引と関係する肺浮腫、無酸素症と関係する肺浮腫、ナトリウム欠乏性脳浮腫、鈍的外傷と関係する浮腫、脳梗塞後または閉鎖性頭部外傷後の脳浮腫、および角膜浮腫から成る群から選択される、方法。
【請求項2】
疾患または病気を治療、予防もしくは阻害するか、それらの発症を遅らせるか、またはそれらの回復を引き起こすための方法であって、
上記疾患または病気が治療、予防もしくは阻害されるか、それらの発症が遅らせられるか、またはそれらの回復が引き起こされることが必要な被検体に、抗透過性に関して有効な量の治療剤を投与する工程を含んでおり、
治療剤は、イムノフィリン結合化合物、あるいはその類似体、誘導体、塩、またはエステルであり、
上記疾患または病気は、網膜浮腫、インフルエンザ、ウイルス性脳炎、視神経網膜炎、エンドトキシンによって引き起こされた浮腫、血管炎、有毒な代謝性の脳浮腫、血管腫、フォンヒッペルリンドウ病、血管神経性浮腫、毒蛇咬傷、高地脳浮腫(HACE)、高地肺浮腫(HAPE)、煙の吸引と関係する肺浮腫、無酸素症と関係する肺浮腫、ナトリウム欠乏性脳浮腫、鈍的外傷と関係する浮腫、脳梗塞後または閉鎖性頭部外傷後の脳浮腫、および角膜浮腫から成る群から選択される、方法。
【請求項3】
疾患または病気を治療、予防もしくは阻害するか、それらの発症を遅らせるか、またはそれらの回復を引き起こすための方法であって、
上記疾患または病気が治療、予防もしくは阻害されるか、それらの発症が遅らせられるか、またはそれらの回復が引き起こされることが必要な被検体に、抗透過性に関して有効な量の治療剤を投与する工程を含んでおり、
上記疾患または病気は、網膜浮腫、インフルエンザ、ウイルス性脳炎、視神経網膜炎、エンドトキシンによって引き起こされた浮腫、血管炎、有毒な代謝性の脳浮腫、血管腫、フォンヒッペルリンドウ病、血管神経性浮腫、毒蛇咬傷、高地脳浮腫(HACE)、高地肺浮腫(HAPE)、煙の吸引と関係する肺浮腫、無酸素症と関係する肺浮腫、ナトリウム欠乏性脳浮腫、鈍的外傷と関係する浮腫、脳梗塞後または閉鎖性頭部外傷後の脳浮腫、および角膜浮腫から成る群から選択され、
上記治療剤は、ラパマイシン、SDZ−RAD、タクロリムス、エベロリムス、ピメクロリムス、CCI−779、AP23841、ABT−578、TAFA−93、RAD−001、テンシロリムス、AP23573、7−エピ−ラパマイシン、7−チオメチル−ラパマイシン、7−エピ−トリメトキシフェニル−ラパマイシン、7−エピ−チオメチル−ラパマイシン、7−デメトキシ−ラパマイシン、32−デメトキシ−ラパマイシン、2−デスメチル−ラパマイシン、ラパマイシンのモノエステル誘導体、ラパマイシンのジエステル誘導体、ラパマイシンの27−オキシム;ラパマイシンの42−オキソ類似体;二環式ラパマイシン;ラパマイシンのダイマー;ラパマイシンのシリルエーテル;ラパマイシンアリールスルホン酸塩、ラパマイシンスルファミン酸塩、31位および42位におけるモノエステル、31位および42位におけるジエステル、30−デメトキシラパマイシン、ならびにそれらの薬学的に許容可能な塩およびエステルから成る群から選択される、方法。
【請求項4】
投与される上記治療剤の量は、上記疾患または病気と関係する組織における治療剤の濃度が、41ng/gのラパマイシンと等しい量以下になる量である、請求項1〜3の何れかに記載の方法。
【請求項5】
上記疾患または病気が治療、予防もしくは阻害されるか、それらの発症が遅らせられるか、またはそれらの回復が引き起こされることが必要な被検体に、上記治療剤が、2mg/kgのラパマイシンと等しい量以下の用量で投与される、請求項1〜3の何れかに記載の方法。
【請求項6】
上記被検体がヒトである、請求項1〜3の何れかに記載の方法。
【請求項7】
上記疾患または病気が、網膜浮腫、フォンヒッペルリンドウ病、および角膜浮腫の何れか1つ以上である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
上記治療剤が、リムス化合物、またはその薬学的に許容可能な塩もしくはエステルである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
上記治療剤が、イムノフィリン結合化合物、またはその薬学的に許容可能な塩もしくはエステルである、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
上記治療剤が、ラパマイシン、またはその薬学的に許容可能な塩もしくはエステルである、請求項3に記載の方法。
【請求項11】
上記疾患または病気が、黄斑浮腫、網膜浮腫、フォンヒッペルリンドウ病、角膜浮腫、フォークト・コヤナギ・ハラダ病、および滲出性網膜剥離から成る群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
投与される上記治療剤の量は、上記疾患または病気と関係する組織における治療剤の濃度が、11ng/gのラパマイシンと等しい量以下になる量である、請求項4に記載の方法。
【請求項13】
投与される上記治療剤の量は、上記疾患または病気と関係する組織における治療剤の濃度が、7ng/gのラパマイシンと等しい量以下になる量である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
上記治療剤がラパマイシンである、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
上記治療剤が、ラパマイシン、SDZ−RAD、タクロリムス、エベロリムス、ピメクロリムス、CCI−779、AP23841、ABT−578、およびそれらの薬学的に許容可能な塩およびエステルから成る群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項16】
上記被検体がヒトの被検体である、請求項5に記載の方法。
【請求項17】
上記疾患または病気が治療、予防もしくは阻害されるか、それらの発症が遅らせられるか、またはそれらの回復が引き起こされることが必要な被検体に、上記治療剤が、0.5mg/kgのラパマイシンと等しい量以下の用量で投与される、請求項5に記載の方法。
【請求項18】
上記疾患または病気が治療、予防もしくは阻害されるか、それらの発症が遅らせられるか、またはそれらの回復が引き起こされることが必要な被検体に、上記治療剤が、0.27mg/kgのラパマイシンと等しい量以下の用量で投与される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
上記疾患または病気が治療、予防もしくは阻害されるか、それらの発症が遅らせられるか、またはそれらの回復が引き起こされることが必要な被検体に、上記治療剤が、0.07mg/kgのラパマイシンと等しい量以下の用量で投与される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
上記疾患または病気が治療、予防もしくは阻害されるか、それらの発症が遅らせられるか、またはそれらの回復が引き起こされることが必要な被検体に、上記治療剤が、0.014mg/kgのラパマイシンと等しい量以下の用量で投与される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
上記方法が、上記疾患または病気を治療する方法である、請求項6に記載の方法。
【請求項22】
上記方法が、上記疾患または病気を治療する方法である、請求項14に記載の方法。
【請求項23】
上記方法が、上記疾患または病気を予防する方法である、請求項6に記載の方法。
【請求項24】
上記方法が、上記疾患または病気を予防する方法である、請求項14に記載の方法。
【請求項25】
上記治療剤がラパマイシンであり、当該ラパマイシンは、約2%w/wのラパマイシン、約4%w/wのエタノール、および約94%のPEG400を含んでいる製剤の形で投与される、請求項1〜3の何れかに記載の方法。
【請求項26】
疾患または病気を治療、予防もしくは阻害するか、それらの発症を遅らせるか、またはそれらの回復を引き起こすための方法であって、
上記疾患または病気が治療、予防もしくは阻害されるか、それらの発症が遅らせられるか、またはそれらの回復が引き起こされることが必要な被検体に、抗透過性に関して有効な量の治療剤を投与する工程を含んでおり、
上記治療剤は、リムス化合物、あるいはその類似体、誘導体、塩、またはエステルであり、
上記治療剤は、2mg/kgのラパマイシンと等しい量以下の用量で、上記疾患または病気が治療、予防もしくは阻害されるか、それらの発症が遅らせられるか、またはそれらの回復が引き起こされることが必要な被検体に投与され、
上記疾患または病気は、糖尿病黄斑浮腫、類嚢胞黄斑浮腫、静脈閉塞症による黄斑浮腫、うっ血性心不全、肺浮腫、ARDS、喘息によって引き起こされた肺浮腫、血管芽細胞腫、天疱瘡、結節硬化症、咬傷または刺傷の後に2次的に引き起こされた浮腫、フォークト・コヤナギ・ハラダ病、強膜炎、および滲出性網膜剥離から成る群から選択される、方法。
【請求項27】
上記被検体がヒト被検体である、請求項1〜3または26の何れかに記載の方法。
【請求項28】
上記治療剤がラパマイシンであり、上記被検体がヒト被検体である、請求項4に記載の方法。
【請求項29】
上記治療剤がラパマイシンであり、上記被検体がヒト被検体である、請求項5に記載の方法。
【請求項30】
上記治療剤がラパマイシンであり、上記被検体がヒト被検体である、請求項18に記載の方法。
【請求項31】
上記治療剤がラパマイシンであり、上記被検体がヒト被検体である、請求項25に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−530406(P2009−530406A)
【公表日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−501599(P2009−501599)
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【国際出願番号】PCT/US2007/007353
【国際公開番号】WO2007/112052
【国際公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【出願人】(308042182)マキュサイト,インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】