説明

血糖降下剤の投与方法

本発明は、血糖降下剤および/またはGLP−1アゴニストを投与する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は血糖降下剤の投与方法に関する。
【背景技術】
【0002】
血糖降下剤は、血糖濃度を低下するために、I型およびII型糖尿病両方の治療に使用することができる。インスリン分泌促進ペプチドは、糖尿病の治療に使用可能な治療剤に関与しているとされてきた。インスリン分泌促進ペプチドには、それに限定されるものではないが、胃抑制ペプチド(GIP)およびグルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)、ならびにそれらの断片、変異体、およびコンジュゲートなどのインクレチンホルモンが含まれる。インスリン分泌促進ペプチドには、エキセンディン3およびエキセンディン4も含まれる。GLP−1は、腸のL細胞によって分泌される30アミノ酸長のインクレチンホルモンである。GLP−1は、生理学的およびグルコース依存的にインスリン分泌を刺激し、グルカゴン分泌を低減し、胃内容排出を抑制し、食欲を低下させ、β細胞の増殖を刺激することが示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
インスリンおよびインスリン分泌促進ペプチドは、針を備える装置、例えばペン型注入器および/または注射器などを用いて、皮下注入によって投与することができる。患者は、血糖を制御するために1日に何回も注入する必要があるが、これは負担であると同時に苦痛となり得る。したがって、投与回数を減らし、このようなレジメンの負担および注入部位の痛みを最小限に抑える方法によって血糖降下剤を投与する方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一実施形態では、少なくとも1つのポリペプチドを含むGLP−1アゴニスト組成物を、それを必要としている患者に投与する方法であって、約28以上のゲージを有する管を含む注入装置によってGLP−1アゴニスト組成物を注入する工程を含み、前記ポリペプチドが1日1回以下投与される方法が提供される。ポリペプチドは、それに限定されるものではないが、GLP−1あるいはその断片、変異体および/またはコンジュゲートであり得る。GLP−1またはその断片、変異体もしくはコンジュゲートの幾つかの実施形態は、ヒト血清アルブミンを含む。ヒト血清アルブミン、その変異体および/または断片は、GLP−1またはその断片もしくは変異体とコンジュゲートすることができる。ヒト血清アルブミンは、それに限定されるものではないが、天然に存在するジスルフィド結合または合成ジスルフィド結合を含む化学結合によって、あるいはGLP−1またはその断片もしくは変異体との遺伝子融合によってコンジュゲートすることができる。
【0005】
本発明の別の態様では、少なくとも1つのポリペプチドを含む血糖降下剤を、それを必要としている患者に投与する方法であって、約28以上のゲージを有する管を含む注入装置によって血糖降下剤を注入する工程を含み、前記ポリペプチドが1日1回以下投与される方法が提供される。
【0006】
本発明の別の態様では、治療または予防を必要としている哺乳類の疾患を治療または予防する方法であって、GLP−1アゴニスト活性を有する少なくとも1つのポリペプチドを含む組成物を週1回投与する工程を含み、前記組成物が、GLP−1活性を有する少なくとも1つのポリペプチドを約0.25mg〜約104mg含む方法が提供される。哺乳類は、以下の疾患、I型糖尿病、II型糖尿病、肥満、および高血糖の1つまたは複数に罹患している可能性がある。
【0007】
定義
本発明で使用される「GLP−1アゴニスト組成物」は、それに限定されるものではないが、インクレチンホルモンを含むインスリンの分泌を刺激することができる任意の組成物を意味する。
【0008】
本発明で使用される「インクレチンホルモン」は、インスリン分泌を増強する任意のホルモンを意味する。インクレチンホルモンの一例がGLP−1である。GLP−1は、食物の摂取に応答して腸のL細胞によって分泌されるインクレチンである。健康な個体では、GLP−1は、末梢へのグルコース吸収量を増大させる、膵臓によるグルコース依存性インスリン分泌を刺激することによって、食後の血糖値を制御する重要な役割を担っている。GLP−1はまた、グルカゴン分泌を抑制し、それにより肝臓でのグルコース産生量が低下する。さらにGLP−1は、胃内容排出時間を遅延し、小腸の運動を緩慢にして、食物の吸収を遅延する。GLP−1は、グルコース依存性インスリン分泌に関与する遺伝子の転写を刺激し、β細胞の新生を促進することによって、β細胞の反応能が続くよう促進する(Meierら、「Glucagon−Like Peptide 1 and Gastric Inhibitory Polypeptide Potential Applications in Type 2 Diabetes Mellitus」Biodrugs 2003年、17(2):93〜102頁)。
【0009】
本明細書で使用される「GLP−1活性」は、それに限定されるものではないが、グルコース依存性インスリン分泌の刺激、グルカゴン分泌の抑制、胃内容排出の遅延、β細胞の反応能および新生の促進を含む、天然に存在するヒトGLP−1の活性の1つまたは複数を意味する。
【0010】
本明細書で使用される「インクレチン模倣薬」は、インスリン分泌を増強することができる化合物である。インクレチン模倣薬は、インスリン分泌を刺激し、β細胞新生を増大し、β細胞アポトーシスを阻害し、グルカゴン分泌を阻害し、胃内容排出を遅延し、哺乳類の満腹感を促すことができる。インクレチン模倣薬には、それに限定されるものではないが、GLP−1活性を有する任意のポリペプチド、例えばそれに限定されるものではないが、エキセンディン3およびエキセンディン4など、ならびにそれらの任意の断片および/または変異体および/またはコンジュゲートが含まれ得る。
【0011】
本明細書で使用される「血糖降下剤」は、血糖を低減できる任意の化合物または化合物を含む組成物を意味する。血糖降下剤には、それに限定されるものではないが、インクレチンホルモンまたはインクレチン模倣薬を含む任意のGLP−1アゴニスト、GLP−1、あるいはその断片、変異体、および/またはコンジュゲートが含まれ得る。他の血糖降下剤には、それに限定されるものではないが、インスリン分泌を増大する薬物(例えば、スルホニル尿素(SU)およびメグリチニド)、グルコース利用を増大する薬物(例えば、グリタゾン)、肝臓でのグルコース産生を低減する薬物(例えば、メトホルミン)、およびグルコース吸収を遅延する薬物(例えば、α−グルコシダーゼ阻害剤)が含まれる。
【0012】
「ポリペプチド」は、ペプチド結合または修飾ペプチド結合、即ちペプチド同配体によって互いに結合した2つ以上のアミノ酸を含む任意のペプチドまたはタンパク質を指す。「ポリペプチド」は、一般にペプチド、オリゴペプチド、またはオリゴマーと呼ばれる短鎖と、一般にタンパク質と呼ばれる長鎖の両方を指す。ポリペプチドは、20個の遺伝子でコードされたアミノ酸以外のアミノ酸を含有し得る。「ポリペプチド」は、翻訳後プロセシングなどの自然のプロセスによって、または当技術分野で周知の化学修飾技術によって修飾されたアミノ酸配列を含む。このような修飾は、基本的なテキストおよびより詳細なモノグラフ、ならびに多数の研究文献に詳しく記載されている。修飾は、ペプチド骨格、アミノ酸側鎖、およびアミノまたはカルボキシル末端を含むポリペプチドのいかなる場所でも起こり得る。同じタイプの修飾が、所与のポリペプチドの幾つかの部位で、同じまたは異なる度合いで存在し得ることを理解されよう。また所与のポリペプチドは、多くのタイプの修飾を含有し得る。ポリペプチドは、ユビキチン化の結果として分岐することができ、分岐の環式であるか、または非分岐の環式であり得る。環式、分岐、および分岐環式ポリペプチドは、翻訳後の自然のプロセスから生じ得るか、または合成方法によって生成し得る。修飾には、アセチル化、アシル化、ADPリボシル化、アミド化、フラビンの共有結合、ヘム部分の共有結合、ヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質または脂質誘導体の共有結合、ホスファチジルイノシトールの共有結合、架橋、環化、ジスルフィド結合形成、脱メチル反応、共有結合架橋形成、システイン形成、ピログルタミン酸形成、ホルミル化、γカルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、ヒドロキシル化、ヨウ素化、メチル化、ミリストイル化、酸化、タンパク質分解プロセス、リン酸化反応、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化、硫酸化、アルギニン化などのタンパク質へのアミノ酸の転移RNA媒介性付加、およびユビキチン化が含まれる。例えば、PROTEINS−STRUCTURE AND MOLECULAR PROPERTIES、2nd Ed.、T.E.Creighton、W.H.Freeman and Company、New York、1993年およびWold,F.、Posttranslational Protein Modifications:Perspectives and Prospects、1〜12頁 in POSTTRANSLATIONAL COVALENT MODIFICATION OF PROTEINS、B.C.Johnson,Ed.、Academic Press、New York、1983年;Seifterら、「Analysis for protein modifications and nonprotein cofactors」Meth.Enzymol.(1990年)182:626〜646頁、およびRattanら、「Protein Synthesis:Posttranslational Modifications and Aging」、Ann NY Acad Sci(1992年)663:48〜62頁参照。
【0013】
本明細書で使用される「変異体」という用語は、それぞれ参照ポリヌクレオチドまたはポリペプチドとは異なるが、本質的特性を維持しているポリヌクレオチドまたはポリペプチドである。ポリヌクレオチドの典型的な変異体は、もう1つの参照ポリヌクレオチドとはヌクレオチド配列が異なっている。変異体のヌクレオチド配列の変化は、参照ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドのアミノ酸配列を変えることもあり、または変えないこともある。ヌクレオチドの変化は、以下に述べるように、参照配列によりコードされるポリペプチドのアミノ酸置換、付加、欠失、融合、および切断を生じ得る。ポリペプチドの典型的変異体は、別の参照ポリペプチドとはアミノ酸配列が異なっている。一般にそれらの違いは、参照ポリペプチドおよび変異体の配列が、全体的に極めて類似しており、多くの領域が同じになるように制限される。変異体および参照ポリペプチドは、1つまたは複数の置換、付加、欠失の任意の組合せによって、アミノ酸配列が異なっていることがある。置換または挿入アミノ酸残基は、遺伝子コードによってコードされたものであり、またはそうでないこともある。ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの変異体は、対立遺伝子変異体などの天然に存在するものであってよく、または天然に存在することが知られていない変異体であってもよい。ポリヌクレオチドおよびポリペプチドの天然には存在しない変異体は、突然変異誘発技術または直接合成によって生成し得る。
【0014】
本明細書で使用される「コンジュゲート」または「コンジュゲートしている」は、互いに結合している2つの分子を指す。例えば、第1のポリペプチドは第2のポリペプチドと共有結合してもよく、または非共有結合してもよい。第1のポリペプチドは、第2のポリペプチドと化学結合によって共有結合してもよく、または遺伝子融合してもよいが、第1および第2のポリペプチドは、通常のポリペプチド骨格を共有している。
【0015】
本明細書では「直列に配列している」は、同じ分子の一部として互いに隣接している2つ以上のポリペプチドを指す。それらは共有結合してもよく、または非共有結合してもよい。2つ以上の直列配列ポリペプチドは、同じポリペプチド骨格の一部を形成し得る。直列配列ポリペプチドは、順配列もしくは逆配列を有することができ、および/または他のアミノ酸配列によって分離することもできる。
【0016】
本明細書で使用される「断片」は、ポリペプチドの参照に使用される場合、天然に存在するポリペプチド全体のアミノ酸配列の全てとは限らないがその一部と同じものであるアミノ酸配列を有するポリペプチドである。断片は「独立」であってよく、または断片が、単一の大ポリペプチドの単一連続領域としての一部または一領域を形成する大ポリペプチド内に含まれてもよい。例えば、天然に存在するGLP−1の断片は、天然に存在するアミノ酸1〜36のアミノ酸7〜36を含むと思われる。さらに、ポリペプチドの断片は、天然に存在する部分配列の変異体であってもよい。例えば、天然に存在するGLP−1のアミノ酸7〜30を含むGLP−1の断片は、その部分配列内にアミノ酸置換を有する変異体であってもよい。
【0017】
本明細書で使用される、血糖の「降下」または血糖を「降下する」は、血糖降下剤の投与後、患者の血液に血糖量の減少が観測されることを指す。
【0018】
本明細書で使用される「高血糖に関連する疾患」には、それに限定されるものではないが、I型およびII型糖尿病、ならびに高血糖が含まれる。
【0019】
本明細書で使用される「一緒に投与すること」または「一緒に投与する」は、同じ患者に2種類以上の化合物を投与することを指す。かかる化合物の一緒に投与することは、およそ同時に(例えば同時間内)に行うことができ、または互いの数時間内もしくは数日内に行うことができる。例えば、第1の化合物は週1回投与できると同時に、第2の化合物は毎日一緒に投与される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の一実施形態では、少なくとも1つのポリペプチドを含むGLP−1アゴニスト組成物を、それを必要としている患者に投与する方法であって、約28以上のゲージを有する管を含む注入装置によってGLP−1アゴニスト組成物を注入する工程を含み、前記ポリペプチドが1日1回以下投与される方法が提供される。当技術分野で理解されているように、28以上のゲージを有する針の具体例には、それに限定されるものではないが、28、29、および30ゲージ針が含まれる。当技術分野でやはり理解されているように、針のゲージが大きいほど針の開口部が小さくなる。本発明の一実施形態は、それに限定されるものではないが、GLP−1、またはその断片、変異体、もしくはコンジュゲートであり得るポリペプチドを含む。GLP−1、またはその断片、変異体、もしくはコンジュゲートは、ヒト血清アルブミンを含むことができる。ヒト血清アルブミンは、GLP−1、またはその断片もしくは変異体とコンジュゲートすることができる。ヒト血清アルブミンは、GLP−1断片または変異体と化学結合によってコンジュゲートすることができ、または遺伝子融合することができる。ヒト血清アルブミンと融合したGLP−1、断片、または変異体の具体例は、以下のPCT出願、WO2003/060071、WO2003/59934、WO2005/003296、WO2005/077042で提供されている。
【0021】
本発明のさらなる実施形態は、ヒト血清アルブミンのNもしくはC末端と融合しているGLP−1、またはその変異体の、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上の直列配列分子を含む。GLP−1断片には、それに限定されるものではないが、GLP−1のアミノ酸7〜36(以下「GLP−1(7−36)」と表す)を含むあるいはそれからなるGLP−1の分子が含まれ得る。GLP−1の変異体またはGLP−1の断片には、それに限定されるものではないが、野生型GLP−1のアラニン8に類似するアラニン残基の置換部が含まれ得、かかるアラニンはグリシンに突然変異する(以下「A8G」と表す)(例えば、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第5,545,618号に開示の突然変異体を参照)。別の実施形態は、アルブミンのNもしくはC末端と融合しているかかるA8Gポリペプチド、またはその変異体を有する。ヒト血清アルブミンのN末端と融合している2つの直列配列GLP−1(7−36)(A8G)断片/変異体の一例は、図2に提示される配列番号1を含む。
【0022】
本発明の別の態様では、GLP−1アゴニスト組成物はさらに、ペルオキシゾーム増殖活性化受容体(PPAR)リガンド、チアゾリジンジオン、メトホルミン、インスリン、およびスルホニル尿素の群から選択される1つまたは複数の化合物を含む。別の態様では、少なくとも1つのGLP−1アゴニストを、ペルオキシゾーム増殖活性化受容体(PPAR)リガンド、チアゾリジンジオン、メトホルミン、インスリン、およびスルホニル尿素の群から選択される1つまたは複数の化合物と一緒に投与する工程を含む方法が提供される。GLP−1アゴニスト組成物は、少なくとも1つのポリペプチドに加えて、これらの化合物の1つまたは複数を有することができる。
【0023】
別の実施形態では、GLP−1アゴニスト組成物は凍結乾燥されている。本発明の別の態様では、前記GLP−1アゴニスト組成物を投与する前に、前記GLP−1アゴニスト組成物を液体と混合する工程をさらに含む方法が提供される。さらに別の態様では、GLP−1アゴニスト組成物は溶液の形態であり、水溶液であってもよい。
【0024】
本発明のさらに別の態様では、GLP−1アゴニスト組成物の少なくとも1つのポリペプチドは、週1回、週2回、隔週1回、および/または月1回、前記患者に投与することができる。別の態様では、患者はII型糖尿病に罹患している。本発明の注入装置は、再利用可能および/または使い捨てであってよい。一態様では、注入装置は針を含む。注入の別の態様では、本発明のデリバリー装置はカテーテルを含む。
【0025】
さらに別の態様では、GLP−1アゴニスト組成物は、皮下注入によって投与される。別の態様では、注入は、筋肉内または静脈内、腹腔内、鼻腔内、経粘膜、または局所であってよい。別の態様では、GLP−1アゴニスト組成物は自己投与され、それは、注入を受ける患者が患者自身でGLP−1アゴニスト組成物を投与することを意味する。皮下注入は、例えば腹部、上腕部、および/または大腿部に投与することができる。
【0026】
本発明の別の態様では、少なくとも1つのポリペプチドを含む血糖降下剤を、それを必要としている患者に投与する方法であって、約28以上のゲージを有する管を含む注入装置によって血糖降下剤を注入する工程を含み、前記ポリペプチドが1日1回以下投与される方法が提供される。針は、29または30ゲージであってよい。別の態様では、本発明のポリペプチドはインスリンではない。
【0027】
本発明の別の態様では、治療または予防を必要としている哺乳類の疾患を治療または予防する方法であって、GLP−1アゴニスト活性を有する少なくとも1つのポリペプチドを含む組成物を週1回投与する工程を含み、前記組成物が、GLP−1活性を有する少なくとも1つのポリペプチドを約0.010mg〜約104mg含む方法が提供される。該疾患は、1型糖尿病、II型糖尿病、肥満、および高血糖からなる群から選択され得る。一態様では、該疾患はII型糖尿病である。
【0028】
本発明の別の態様では、GLP−1活性を有するポリペプチドは、ヒト血清アルブミンと遺伝子融合しているヒトGLP−1の少なくとも1つの断片または変異体を含む。GLP−1のこの断片または変異体は、GLP−1(7−36(A8G))を含むことができる。GLP−1の少なくとも1つの断片または変異体は、ヒト血清アルブミンと遺伝子融合することができる。別の態様では、GLP−1活性を有するポリペプチドは、ヒト血清アルブミンと直列に遺伝子的に融合している少なくとも2つのGLP−1(7−36(A8G))を含む。別の態様では、2つのGLP−1(7−36(A8G))は、ヒト血清アルブミンのN末端で遺伝子融合している。別の態様では、GLP−1活性を有する少なくとも1つのポリペプチドは、配列番号1を含む。GLP−1活性を有する少なくとも1つのポリペプチドは、週1回約0.25mg〜約32mgの用量で投与することができる。GLP−1活性を有するポリペプチドの週1回の投与に対する用量の幾つかの例には、それに限定されるものではないが、0.010mg/週、0.25mg/週、0.5mg/週、0.8mg/週、1.0mg/週、2mg/週、3.2mg/週、8mg/週、12.8mg/週、32mg/週、51.2mg/週、および/または104mg/週が含まれる。
【実施例】
【0029】
以下の実施例は、本発明の様々な態様を例示するものである。これらの実施例は、添付の請求の範囲によって定義される本発明の範囲を制限するものではない。
【0030】
実施例1
以下の装置を使用して、血糖降下剤および/またはGLP−1アゴニスト組成物をデリバリーすることができる。
1.STATdose(登録商標)、GSK、再利用可能な液体製剤用自動注入器、
2.Autoject mini(登録商標)、Owen Mumford、再利用可能な液体製剤用自動注入器、
3.Penlet(登録商標)、Becton Dickinson、使い捨て液体製剤用自動注入器、
4.Tigerlily/Snapdragon(登録商標)、Owen Mumford、使い捨て液体製剤用自動注入器、
5.AutoSafety Injector(登録商標)、The Medical House、使い捨て液体製剤用自動注入器、
6.Liquid Dry Injector(登録商標)Becton Dickinson、使い捨て凍結乾燥製剤用ペン型注入器、および/または
7.薬剤充填済み注射器。
【0031】
実施例2
凍結乾燥した血糖降下剤および/またはGLP−1アゴニスト組成物は、図1に示す装置によってデリバリーすることができる。この装置系には、凍結乾燥した血糖降下剤および/またはGLP−1アゴニストを含む粉末と液体を入れることができる。この装置系は、入れた粉末と液体とを混合するために、直立状態に保持することができる。注入ペンの2つの部分をしっかり押し付け合い、該粉末を完全に溶解することができる。溶解したら、血糖降下剤および/またはGLP−1アゴニスト組成物を患者に投与することができる。
【0032】
実施例3
血糖降下剤および/またはGLP−1アゴニスト組成物は、GLP−1活性を有するポリペプチドを含むことができる。GLP−1活性を有するポリペプチドを含む血糖降下剤および/またはGLP−1アゴニスト組成物は、皮下注入によってそれを必要としているヒトにデリバリーすることができ、その薬剤および/または組成物は、週1回約0.010mg〜約104mgの範囲の用量のGLP−1活性を有するポリペプチドを含む。GLP−1活性を有するポリペプチドを含むGLP−1アゴニスト組成物を週1回投与するための用量の幾つかの例には、それに限定されるものではないが、0.10mg/週、0.25mg/週、0.5mg/週、0.8mg/週、1.0mg/週、2mg/週、3.2mg/週、8mg/週、12.8mg/週、32mg/週、51.2mg/週、および/または104mg/週が含まれる。
【0033】
実施例4
凍結乾燥した血糖降下剤および/またはGLP−1アゴニスト組成物は、注入用の水で再構成することができる。組成物に含まれ得る賦形剤の具体例には、それに限定されるものではないが、無水トレハロース、マンニトール、リン酸ナトリウム(二塩基性、無水性、および一塩基性一水和物など)、ポリソルベート80、水酸化ナトリウム、リン酸、および注入用の水が含まれる。
【0034】
本出願が優先権を主張する全ての特許出願文書は、各出願文書が具体的および個々にあたかも完全に記載されるように、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】凍結乾燥した血糖降下剤および/またはGLP−1アゴニストをデリバリーするための装置を示す図である。
【図2】ヒト血清アルブミンのN末端と融合している2つの直列配列GLP−1(7−36)(A8G)を含む配列番号1を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのポリペプチドを含むGLP−1アゴニスト組成物を、それを必要としている患者に投与する方法であって、約28以上のゲージを有する管を含む注入装置によってGLP−1アゴニスト組成物を注入する工程を含み、前記ポリペプチドが1日1回以下投与される方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つのポリペプチドがGLP−1またはその断片、変異体もしくはコンジュゲートを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
GLP−1またはその断片、変異体もしくはコンジュゲートがヒト血清アルブミンをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ヒト血清アルブミンがGLP−1またはその断片もしくは変異体とコンジュゲートしている、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
GLP−1アゴニスト組成物が、ペルオキシゾーム増殖活性化受容体リガンド、チアゾリジンジオン、メトホルミン、インスリン、およびスルホニル尿素からなる群から選択される化合物をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
GLP−1アゴニスト組成物が凍結乾燥されている、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記GLP−1アゴニスト組成物を投与する前に、前記GLP−1アゴニスト組成物を液体と混合する工程をさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
GLP−1アゴニスト組成物が液状である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つのポリペプチドが、前記患者に週1回投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つのポリペプチドが、前記患者に週2回投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つのポリペプチドが、前記患者に月1回投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
患者がII型糖尿病に罹患している、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
注入装置が再利用可能である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
注入装置が使い捨てである、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
注入装置が針を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
注入装置がカテーテルを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記GLP−1アゴニスト組成物が皮下注入によって投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記GLP−1アゴニスト組成物が自己投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
ペルオキシゾーム増殖活性化受容体リガンド、チアゾリジンジオン、メトホルミン、インスリン、およびスルホニル尿素からなる群から選択される化合物を一緒に投与する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
インスリンではない少なくとも1つのポリペプチドを含む血糖降下剤を、それを必要としている患者に投与する方法であって、約28以上のゲージを有する管を含む注入装置によって血糖降下剤を注入する工程を含み、前記ポリペプチドが1日1回以下投与される方法。
【請求項21】
治療または予防を必要としている哺乳類の疾患を治療または予防する方法であって、GLP−1活性を有する少なくとも1つのポリペプチドを含む組成物を週1回投与する工程を含み、前記組成物が、GLP−1活性を有する少なくとも1つのポリペプチドを約0.01mg〜約104mg含む方法。
【請求項22】
疾患が、I型糖尿病、II型糖尿病、肥満、および高血糖からなる群から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
疾患がII型糖尿病である、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
GLP−1活性を有するポリペプチドが、ヒト血清アルブミンと遺伝子融合しているヒトGLP−1の少なくとも1つの断片または変異体を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
GLP−1の少なくとも1つの断片または変異体がGLP−1(7−36(A8G))を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
GLP−1の少なくとも1つの断片または変異体がヒト血清アルブミンと遺伝子融合している、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
GLP−1の少なくとも1つの断片または変異体が、ヒト血清アルブミンと直列に遺伝子的に融合している少なくとも2つのGLP−1(7−36(A8G))を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
少なくとも2つのGLP−1(7−36(A8G))がヒト血清アルブミンのN末端で遺伝子融合している、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
GLP−1活性を有する少なくとも1つのポリペプチドが配列番号1を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項30】
GLP−1活性を有する少なくとも1つのポリペプチドが、週1回約0.25mg〜約32mgの用量で投与される、請求項29に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−514900(P2009−514900A)
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−539163(P2008−539163)
【出願日】平成18年11月3日(2006.11.3)
【国際出願番号】PCT/US2006/060508
【国際公開番号】WO2007/056681
【国際公開日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(591002957)スミスクライン・ビーチャム・コーポレイション (341)
【氏名又は名称原語表記】SMITHKLINE BEECHAM CORPORATION
【Fターム(参考)】