衛星通信装置、衛星通信システムおよび衛星通信方法
【課題】大容量通信を行なう場合にも、大容量の記憶装置を必要とせずに、衛星から地上への伝送データの欠落を低減することができる衛星通信装置を得ること。
【解決手段】地上局へ伝送データを送信する衛星通信装置1であって、伝送データを地上局へ送信する地上局送信部14と、自装置と地上局との間の伝搬路における気象状態を示す伝搬路状態情報を取得する大気状態監視センサ16と、伝搬路状態情報に基づいて前記伝搬路における伝搬損失を求め、伝搬損失に基づいて伝送データの誤り率を求め、求めた誤り率が前記伝送データの要求誤り率を超えるか否かを判断する伝送制御部11と、求めた誤り率が要求誤り率を超えると判断された場合に、他の衛星に対して伝送データを送信する衛星送信部15と、を備える。
【解決手段】地上局へ伝送データを送信する衛星通信装置1であって、伝送データを地上局へ送信する地上局送信部14と、自装置と地上局との間の伝搬路における気象状態を示す伝搬路状態情報を取得する大気状態監視センサ16と、伝搬路状態情報に基づいて前記伝搬路における伝搬損失を求め、伝搬損失に基づいて伝送データの誤り率を求め、求めた誤り率が前記伝送データの要求誤り率を超えるか否かを判断する伝送制御部11と、求めた誤り率が要求誤り率を超えると判断された場合に、他の衛星に対して伝送データを送信する衛星送信部15と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛星通信装置、衛星通信システムおよび衛星通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
衛星(人工衛星:例えば、観測衛星)と地上局間を衛星から地上への片方向の光空間通信により接続し、光空間通信を使用して情報(例えば、観測データ)を伝送する場合、光空間通信では気象条件により通信品質が大きく劣化するという特徴がある。
【0003】
光空間通信による大容量の通信において気象条件による突然の通信品質の劣化により通信の瞬断が発生した場合、データ欠落量が大きくなる。従って、通信品質に影響するような気象条件下では、安定したデータ伝送が困難である。
【0004】
衛星から地上へ安定したデータ伝送を行なうための従来の伝送制御方法として、下記特許文献1では、衛星と地上局との間の伝搬路が雲により遮られた場合に、衛星が送信先を別の地上局に変更してデータ送信を再開する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−065620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の伝送制御方法では、衛星と地上局間の伝搬路が雲により遮られた場合に、別の地上局にてデータ送信を再開し、地上へのデータ伝送を可能としている。このため、伝搬路が雲に遮られてから別の地上局に通信路を切替えるまでの間(切り替え時間)はデータ伝送ができないため、データを記憶装置に蓄積する必要がある。従って、衛星がデータを随時生成し地上へ伝送する場合は、通信路切替え時間が記憶装置の容量と伝送レートによって制限され、制限された時間内に通信路の切り替えが終了しない場合いはデータの欠落が生じる、という問題がある。
【0007】
また、大容量の通信を行う場合に、データの欠落を生じないようにするには、上述の記憶装置を大きな容量とする必要がある、という問題がある。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、大容量通信を行なう場合にも、大容量の記憶装置を必要とせずに、衛星から地上への伝送データの欠落を低減することができる衛星通信装置、衛星通信システムおよび衛星通信方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、衛星に搭載され地上局へ伝送データを送信する衛星通信装置であって、前記伝送データを地上局へ送信する地上局送信部と、自装置と地上局との間の伝搬路における気象状態を示す伝搬路状態情報を取得する伝搬路状態情報取得部と、前記伝搬路状態情報に基づいて前記伝搬路における伝搬損失を求め、前記伝搬損失に基づいて前記伝送データの誤り率を求め、求めた誤り率が前記伝送データに要求される誤り率である要求誤り率を超えるか否かを判断する伝送制御部と、前記伝送制御部により前記求めた誤り率が前記要求誤り率を超えると判断された場合に、他の衛星に対して前記伝送データを送信し、当該衛星に前記伝送データの地上局への送信を指示する衛星送信部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、大容量通信を行なう場合にも、大容量の記憶装置を必要とせずに、衛星から地上への伝送データの欠落を低減することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、実施の形態1の衛星通信装置の機能構成例を示す図である。
【図2】図2は、大気状態監視センサにより伝搬損失の計測の概念を示す図である。
【図3】図3は、実施の形態1の衛星通信システムの構成例とデータ伝送方法の一例を示す概念図である。
【図4】図4は、実施の形態1の伝送データの送信元衛星のデータ伝送処理手順の一例を示す図である。
【図5】図5は、実施の形態1の中継衛星のデータ伝送処理手順の一例を示す図である。
【図6】図6は、実施の形態2の衛星通信装置の機能構成例を示す図である。
【図7】図7は、実施の形態2の伝送データの送信元衛星のデータ伝送処理手順の一例を示す図である。
【図8】図8は、実施の形態2の中継衛星のデータ伝送処理手順の一例を示す図である。
【図9】図9は、衛星と地上局間の伝搬路における雲量を求める方法の一例を示す図である。
【図10】図10は、実施の形態3の衛星通信システムのデータ伝送の一例を示す図である。
【図11】図11は、実施の形態3の衛星通信装置の機能構成例を示す図である。
【図12】図12は、実施の形態3の伝送制御部が保持するルーティングテーブルの一例を示す図である。
【図13】図13は、実施の形態3の衛星がルーティングテーブルを受信した場合の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明にかかる衛星通信装置、衛星通信システムおよび衛星通信方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0013】
実施の形態1.
図1は、本発明にかかる衛星通信装置の実施の形態1の機能構成例を示す図である。図1に示すように、本実施の形態の衛星通信装置1は、伝送制御部11と、伝送データ生成部12と、衛星受信部13と、地上局送信部14と、衛星送信部15と、大気状態監視センサ16と、を備える。
【0014】
本実施の形態の衛星通信装置1は、衛星(人工衛星)等に搭載され、地上局へ観測データ等の伝送データを送信する。また、本実施の形態の衛星通信装置1は、他の衛星との間で通信を行う機能を有しており、これにより、他の衛星を中継衛星として用い、中継衛星経由で地上局へ伝送データを送信することもできる。
【0015】
なお、衛星通信装置1は、伝送データの送信元となる衛星に搭載される場合も中継衛星となる衛星に搭載される場合も同様の構成とする。ただし、送信元の衛星としてしか機能せず中継衛星としては機能しない衛星に搭載される場合は、衛星通信装置1は衛星受信部14を備えなくてもよい。また、中継衛星として機能しデータの送信元の衛星としては機能しない衛星に搭載される場合、衛星通信装置1は伝送データ生成部12を備えなくてもよい。
【0016】
伝送データ生成部12は、観測データ等の地上へ伝送する伝送データを生成し、伝送制御部11へ出力する。伝送制御部11は、伝送データ生成部12が生成した伝送データおよび/または衛星受信部13から出力された伝送データの伝送先の管理を行い、伝送データ(伝送データ生成部12が生成した伝送データおよび/または衛星受信部13から出力された伝送データ)を地上局送信部14へ出力し、必要があれば伝送データと制御情報(制御情報については後述する)を衛星送信部15に出力する。
【0017】
衛星受信部13は、隣接衛星から伝送データと制御情報を受信し、受信した伝送データと制御情報を伝送制御部11へ通知する。以下、隣接衛星から受信した伝送データを中継伝送データといい、自衛星内の伝送データ生成部12が生成した伝送データを生成伝送データといい、単に伝送データという場合は中継伝送データと生成伝送データの両方またはいずれか一方であるとする。地上局送信部14は、伝送制御部11から出力された伝送データを光空間通信により地上局へ送信する。なお本実施の形態では、衛星通信装置1は光空間通信により地上局へ伝送データを送信する例を説明するが、光空間通信以外の無線通信により地上局へ伝送データを送信する場合にも本実施の形態の動作を適用することができる。
【0018】
衛星送信部15は、伝送制御部11から出力された伝送データおよび制御情報を隣接衛星へ送信する。大気状態監視センサ16は、自装置と地上局との間の伝搬路(通信路)における気象状態を示す物理量(伝搬路状態情報)を検出し、検出した物理量を伝送制御部11へ通知する。すなわち、大気状態監視センサ16は、自装置と地上局との間の伝搬路(通信路)における大気状態を示す伝搬路状態情報を取得する伝搬路状態情報取得部としての機能を有する。伝送制御部11は、大気状態監視センサ16が検出した物理量に基づいて伝搬路における伝搬損失を求める。
【0019】
図2は、大気状態監視センサ16により伝搬損失の計測の概念を示す図である。図2に示した、衛星2は本実施の形態の衛星通信装置1を搭載する人工衛星であり、地上局3は、衛星2が生成した伝送データを受信する地上局である。
【0020】
大気状態監視センサ16は、地上局送信部14から送信される通信光21と、同一波長(同一周波数)および同一光軸(送信方向が通信光21の送信方向と同一)の大気状態監視センサ光22を射出する。射出された大気状態監視センサ光22は、地表面や雲等により散乱される。大気状態監視センサ16は、大地や雲等により散乱された散乱光の強度(散乱光強度)と、散乱点までの距離と、を検出する。なお、散乱点までの距離は、例えば大気状態監視センサ光22を射出してから散乱光を受信するまでの時間により検出する。なお、ここでは、散乱光の強度(散乱光強度)と、散乱点までの距離と、を求めているが、検出するパラメータはこれに限らず伝搬損失を算出するために必要なパラメータを算出すればよい。そして、伝送制御部11が、大気状態監視センサ16が検出した散乱強度と散乱点までの距離に基づいて、通信光21における衛星2と地上局3間の伝搬損失を計測する。なお、検出結果に基づいて波長の差を補正できる範囲であれば大気状態監視センサ光22は通信光21と同一でなくてもよい。大気状態監視センサ光22を通信光21と異なる波長とする場合は、伝搬損失を算出する際に波長の差の分を補正する。
【0021】
次に、本実施の形態の動作を説明する。図3は、本実施の形態の衛星通信システムの構成例とデータ伝送方法(衛星通信方法)の一例を示す概念図である。図3に示した衛星通信システムは、上述の衛星通信装置1を搭載した衛星2−1〜2−3と、地上局3−1〜3−3と、受信終端局4と、で構成される。衛星2−1は、伝送データを生成し、伝送データの送信元となる衛星である。図3では、衛星2−2,2−3が、衛星2−1が生成した伝送データを中継する中継衛星となる場合の例を示している。地上局3−1〜3−3は、衛星2−1〜2−3から受信した伝送データを受信終端局4へ送信し、受信終端局4は、地上局3−1〜3−3から受信した伝送データを集中して処理する。なお、図3では、太線の矢印は伝送データを示し、点線矢印は光空間通信リンクを示し、細実線は地上回線を示している。
【0022】
図3に示すように、本実施の形態では、伝送データを生成する衛星2−1が、地上局3−1へ生成伝送データを送信し、送信時の誤り率(例えば、ビット誤り率、パケット誤り率等)を求める。そして、衛星2−1は、求めた誤り率が所望の誤り率以上である場合、隣接衛星に生成した伝送データを送信(転送)する。衛星2−1から伝送データ(中継伝送データ)を受信した衛星2−2は、地上局3−2へ中継伝送データを送信し、送信時の誤り率を求める。そして、衛星2−2は、求めた誤り率が所望の誤り率を超える場合、隣接衛星に生成した伝送データを送信(転送)する。衛星2−2から伝送データ(中継伝送データ)を受信した衛星2−3は、地上局3−3へ中継伝送データを送信し、送信時の誤り率を求める。図3の場合、衛星2−3が求めた誤り率が所望の誤り率以下となった(所望の誤り率を満たした)とし、衛星2−3は隣接衛星への転送は行なわない。
【0023】
なお、図3では、衛星2−1〜2−3がそれぞれ異なる地上局3−1〜3−3へ伝送データを送信しているが、地上局3−1が複数の衛星2−1〜2−3のデータを同時に受信できるような機能を備えていれば、複数の衛星2−1〜2−3が同一の地上局3−1〜3−3へ伝送データを送信してもよい。
【0024】
次に、衛星通信装置1を搭載した伝送データの送信元衛星の動作を説明する。図4は、衛星通信装置1を搭載した伝送データの送信元衛星(図3の構成例では衛星2−1)のデータ伝送処理手順の一例を示す図である。まず、送信元衛星では、衛星通信装置1の伝送データ生成部12が、伝送データを生成し(ステップS1)、生成した伝送データを伝送制御部11へ出力する(ステップS2)。
【0025】
伝送制御部11は、伝送データ生成部12から出力された伝送データ(生成伝送データ)に対する所望の誤り率Pdを決定し(ステップS3)、生成伝送データを地上局送信部14へ出力する(ステップS4)。地上局送信部14は、生成伝送データを地上局(図3の例では、地上局3−1)へ送信する(ステップS5)。
【0026】
なお、所望の誤り率Pdの決定方法はどのような方法を用いてもよいが、例えば予め一定値を定めておいてもよいし、伝送データの種別ごとに所望の誤り率を定めておき、種別ごとに所望の誤り率を決定してもよい。また、必要に応じて予め定めておいた一定値を変更するようにしてもよい。
【0027】
ステップS5の開始後、大気状態監視センサ16は、地上局へ伝送データを送信した時点での散乱強度と散乱点までの距離とを検出し、検出した散乱強度と散乱点までの距離とをセンサ情報として伝送制御部11へ出力する(ステップS6)。伝送制御部11は、センサ情報に基づいて地上局3−1へのデータ送信における伝搬損失L1を求める(ステップS7)。次に、伝送制御部11は、事前に測定しておいた自装置の地上局送信部14の伝搬特性(伝搬損失と伝送誤り率の対応表など)に基づいて、伝搬損失L1に対応する誤り率P1を求める(ステップS8)。
【0028】
そして、伝送制御部11は、現在までの地上へのデータ伝送全体の誤り率(総合誤り率)Ptotalを以下の式(1)により設定する(ステップS9)。
Ptotal=P1 …(1)
【0029】
次に、伝送制御部11は、全体の誤り率Ptotalが所望の誤り率Pd以下であるか否かを判断する(ステップS10)。全体の誤り率Ptotalが所望の誤り率Pd以下であると判断した場合(ステップS10 Yes)は、処理を終了する。
【0030】
全体の誤り率Ptotalが所望の誤り率Pd以下でないと判断した場合(ステップS10 No)、全体の誤り率Ptotalと所望の誤り率Pdとを制御情報とし、制御情報と生成伝送データとを衛星送信部15へ出力する(ステップS11)。衛星送信部15は、制御情報と生成伝送データとを隣接衛星(中継衛星:図3の例では衛星2−2)へ送信する(ステップS12)。なお、ここでは、伝送データと制御情報を受信した隣接衛星では、生成伝送データを地上局へ送信するよう指示されたと認識するよう予め決めておくこととするが、衛星送信部15が生成伝送データを隣接衛星へ送信する際に、当該生成伝送データを地上局へ送信するように明示的に指示してもよい。
【0031】
次に、衛星通信装置1を搭載した伝送データを中継する中継衛星の動作を説明する。図5は、衛星通信装置1を搭載した伝送データを中継する中継衛星(図3の構成例では衛星2−2,2−3)のデータ伝送処理手順の一例を示す図である。中継衛星では、まず、衛星通信装置の衛星受信部13が、送信元衛星(または他の中継衛星)から制御情報(全体の誤り率Ptotalと所望の誤り率Pd)と送信元衛星で生成された伝送データとを受信し(ステップS21)、受信した制御情報と伝送データ(中継伝送データ)を伝送制御部11へ出力する(ステップS22)。
【0032】
伝送制御部11は、中継伝送データを地上局送信部14へ通知する(ステップS23)。地上局送信部14は、伝送データを地上局(図3の例では地上局3−2,3−3)へ送信する(ステップS24)。
【0033】
ステップS24の開始後、大気状態監視センサ16は、地上局へ伝送データを送信した時点での散乱強度と散乱点までの距離とを検出し、検出した散乱強度と散乱点までの距離とをセンサ情報として伝送制御部11へ出力する(ステップS25)。ここで、送信元衛星で生成された伝送データが、送信元衛星または中継衛星から地上局へ伝送された回数をnとする。すなわち送信元衛星からの地上局への伝送データが送信された時点ではn=1であり、以降中継衛星から地上局へ送信されるたびにnの値は1ずつ加算される。
【0034】
伝送制御部11は、センサ情報に基づいてn回目の地上局へのデータ送信における伝搬損失Lnを求める(ステップS26)。次に、伝送制御部11は、事前に測定しておいた自装置の地上局送信部14の伝搬特性(伝搬損失と伝送誤り率の対応表など)に基づいて、伝搬損失Lnに対応する誤り率Pnを求める(ステップS27)。
【0035】
そして、現在までの地上へのデータ伝送全体の誤り率Ptotal(n回の伝送のトータルの誤り率)を次の式(2)に基づいて更新する(ステップS28)。
Ptotal=Ptotal×Pn …(2)
【0036】
次に、ステップS28で更新した全体の誤り率Ptotalが送信元衛星または他の中継衛星から受信した伝送データの所望の誤り率Pd(受信した制御情報に含まれる)以下であるか否かを判断する(ステップS29)。
【0037】
ステップS29で、全体の誤り率Ptotalが所望の誤り率Pd以下である場合(ステップS29 Yes)は、処理を終了する(図3の例では、中継衛星2−3では、これにより処理を終了)。ステップS29で、全体の誤り率Ptotalが所望の誤り率Pd以下でない場合(ステップS29 No)は、制御情報(全体の誤り率Ptotalと所望の誤り率Pd)と中継伝送データとを衛星送信部15へ出力する(ステップS30)。衛星送信部15は、制御情報と中継伝送データとを隣接する衛星へ送信する(ステップS31:図3の例では、中継衛星2−2は中継衛星2−3へ送信)。
【0038】
以上の送信元衛星と中継衛星の動作により、送信元衛星が生成した伝送データは、直接または1つ以上の中継衛星から地上局へ送信される。すなわち、送信元衛星が生成した伝送データは、Nlink(Nlinkは1以上の整数、図3の例ではNlink=3)本の光空間通信リンクにより地上局へ送信される。そして、受信終端局4では、各地上局から地上回線経由で伝送データを受信し、Nlink本の光空間通信リンクで送信された伝送データを用いることにより、所望の誤り率を満たす通信を実現する。
【0039】
なお、送信元衛星が生成する伝送データに対して消失訂正符号を適用することで、複数衛星と地上局間でそれぞれ異なる箇所に誤りが発生した場合の受信終端局4での伝送データの復元性能を向上させることが可能である。
【0040】
なお、本実施の形態では、中継衛星が、全体の誤り率を求め、全体の誤り率が所望の誤り率を超える場合には、さらに他の隣接衛星に転送するにすることにより他段階の中継ができるようにしたが、本実施の形態の無線通信装置1を備える衛星が隣接していない場合等には、送信元衛星のみが本実施の形態の動作を行なうようにしてもよい。この場合、伝送データの転送は1回だけとなり地上局へ伝送データは最大2つのリンクを用いて地上局へ送信されることになるが、送信元衛星だけが伝送データを地上局に送信する場合に比べて伝送データの誤り率の向上が期待できる。
【0041】
このように、本実施の形態では、送信元衛星の大気状態監視センサ16が、伝送データを地上局へ送信する通信光21と同一波長および同一光軸の大気状態監視センサ光22を射出して散乱光強度と散乱点までの距離とを検出する。そして、伝送制御部11が、大気状態監視センサ光22が検出した情報を用いて、伝送データ送信時の通信光21の伝搬損失を求め、求めた伝搬損失に基づいて誤り率を求める。さらに、伝送制御部11は、求めた誤り率が所望の誤り率(要求誤り率)を超える場合には、隣接衛星へ伝送データと制御情報(求めた誤り率および所望の誤り率)を転送する。伝送データと制御情報を受信した衛星(中継衛星)は、伝送データを地上局へ送信し、送信元衛星と同様に通信光21の伝搬損失を求め、求めた伝搬損失に基づいて誤り率を求める。
【0042】
そして、中継衛星は、求めた誤り率と受信した制御情報に含まれる誤り率とに基づいて、全体の誤り率Ptotalを求め、Ptotalが制御情報に含まれる所望の誤り率を超える場合には、隣接衛星へ伝送データと制御情報(全体の誤り率Ptotalおよび所望の誤り率)を転送する。以降、Ptotalが所望の誤り率以下となるまで隣接衛星への伝送データの転送を繰り返すようにした。そのため、大容量通信を行なう場合にも、大容量の記憶装置を必要とせずに、衛星から地上への伝送データの欠落を低減することができる。
【0043】
実施の形態2.
図6は、本発明にかかる衛星通信装置の実施の形態2の機能構成例を示す図である。図6に示すように、本実施の形態の衛星通信装置1aの構成は、実施の形態1の大気状態監視センサ16の替わりに気象情報取得部17を備える以外は実施の形態1の衛星通信装置1aと同様である。実施の形態1と同様の機能を有する構成要素は、実施の形態1と同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0044】
気象情報取得部17は、雲量と雲の位置(緯度、経度、高度)とを含む気象情報を取得して保持する。気象情報は、少なくとも衛星通信装置1aを搭載する衛星と、当該衛星が通信する地上局との間の領域の雲量と雲の位置(緯度、経度、高度)を含む。気象情報は、当該衛星が気象レーダを有している場合は気象レーダの測定結果を用いる。または、気象衛星または地上の管制局などから気象データを受信し、受信した気象データから必要な情報を抽出して気象情報として保持してもよい。気象衛星または地上の管制局から気象データを受信する場合、気象情報取得部17が、気象データを受信して必要な情報を抽出して気象情報として保持する。
【0045】
実施の形態1では、大気状態監視センサ16が、自装置と地上局との間の伝搬路における大気状態を示す伝搬路状態情報を取得する伝搬路状態情報取得部としての機能を有したが、本実施の形態では、気象情報を伝搬路状態情報として用い、気象情報取得部が伝搬路状態情報取得部としての機能を有する。
【0046】
図7は、衛星通信装置1aを搭載した伝送データの送信元衛星のデータ伝送処理手順の一例を示す図である。ステップS1〜ステップS5までは実施の形態1と同様である。ステップS5の後、送信元衛星の衛星通信装置1aの伝送制御部11は、気象情報取得部17に格納されている気象情報に基づいて、自衛星と地上局(ステップS5で伝送データを送信した地上局)と間の伝搬路に存在する雲量を求め、事前に作成した雲量伝搬損失対応表に基づいて、求めた雲量に対応する伝搬損失L1を求める(ステップS7a)。以降、実施の形態1と同様にステップS8〜ステップS12を実施する。
【0047】
図8は、衛星通信装置1aを搭載した中継衛星のデータ伝送処理手順の一例を示す図である。ステップS21〜ステップS24までは実施の形態1の中継衛星の動作と同様である。ステップS24の後、中継衛星の衛星通信装置1aの伝送制御部11は、気象情報取得部17に格納されている気象情報に基づいて、自衛星と地上局(ステップS5で伝送データを送信した地上局)と間の伝搬路に存在する雲量(伝搬路上の雲量)を求め、事前に作成した雲量伝搬損失対応表に基づいて、求めた雲量に対応する伝搬損失Lnを求める(ステップS26a)。なお、nは実施の形態1と同様に、伝送データが送信元衛星または中継衛星から地上局へ伝送された回数である。以降、実施の形態1と同様にステップS27〜ステップS31を実施する。
【0048】
図9は、衛星と地上局間の伝搬路における雲量を求める方法の一例を示す図である。図9では、本実施の形態の衛星通信装置1aを搭載する衛星2aが地上局3へ伝送データを送信する例を示している。本実施の形態では、気象情報(単位面積当たりの雲量の情報)に基づいて衛星2aと地上局3の伝搬路上の雲量を求める。図9では簡単のため雲量を平面で表しているが、伝搬路に存在する雲量は雲の高度にも依存する。このため、実際には伝搬路上の雲量は雲の高度情報も用いて求める。伝搬路上の雲量の求め方に限定は無いが、例えば、図9の例の場合、まず、衛星2aと地上局3を結ぶ通信光が通過する直線を求める。気象情報は、例えば図9に示すように緯度経度の所定の領域ごとの雲量と高度が含まれているとし、上述の求めた直線が通過する領域の雲量を気象情報から抽出する。なお、ここでは簡単のため、衛星2aと地上局3を結ぶ通信光が通過する範囲を直線として説明したが、通信光の広がりを考慮して算出してもよい。以上述べた以外の本実施の形態の動作は、実施の形態1と同様である。
【0049】
このように、本実施の形態では、実施の形態1の大気状態監視センサ16の替わりに気象情報取得部17を備え、送信元衛星および中継衛星は、気象情報取得部17が保持する気象情報に基づいて雲量を求め、求めた雲量と事前に作成した雲量伝搬損失対応表とに基づいて伝搬損失を求めるようにした。このため、大気状態監視センサ16を備えることなく、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0050】
実施の形態3.
図10は、本発明にかかる衛星通信システムの実施の形態3のデータ伝送の一例を示す図である。また、図11は、本実施の形態の衛星通信装置1bの機能構成例を示す図である。図10に示した衛星2b−1〜2b−5は、それぞれ衛星通信装置1bを備える。なお、図10では衛星通信システムを構成する衛星が5機の例を示しているが、衛星の数は5機に限定されない。
【0051】
本実施の形態の衛星通信装置1bは、図11に示すように、実施の形態1の衛星受信部13と同様の機能を有する衛星受信部13−1〜13−K(Kは1以上の整数)と、実施の形態1の衛星送信部15と同様の機能を有する衛星送信部15−1〜15−M(Mは1以上の整数)と、伝送制御部11aと、伝送データ生成部12と、地上局送信部14と、大気状態監視センサ16と、を備える。実施の形態1と同様の機能を有する構成要素は、実施の形態1と同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0052】
なお、本実施の形態では、衛星通信装置1bが、実施の形態1と同様に大気情報監視センサ16を備える場合について説明するが、実施の形態2と同様に気象情報取得部17を備える場合にも、本実施の形態の動作を適用できる。
【0053】
本実施の形態の衛星通信装置1bは、隣接する衛星との間の光空間リンクの数分の衛星受信部および衛星送信部を備えている。従って、上述のKは受信側の光空間リンクの数であり、Mは送信側の光空間リンクの数である。図10では、点線は光空間通信リンクを示しており、太線は伝送データを示している。図10の例では、衛星2b−1は、衛星2b−2および衛星2b−4との間に送受信方法に光空間通信リンクを有しているため、衛星2b−1では、衛星受信部および衛星送信部をそれぞれ2つずつ備える(M=K=2)。なお、図10では、各衛星間は送受両方向の光空間通信リンクを有している例を示しているが、片方向のリンクであっても良い。
【0054】
衛星通信装置1bの伝送制御部11aは、衛星通信システム内の(自衛星からの送信データを中継することが可能な)各衛星(図10の例では、例えば衛星2b−1の場合は衛星2b−2〜2b−4)へのルーティング情報を格納したルーティングテーブルを持つ。
【0055】
図12は、本実施の形態の伝送制御部11aが保持するルーティングテーブルの一例を示す図である。図12に示すように、ルーティングテーブルは、レコード番号と、宛先衛星(宛先衛星の識別情報)と、ホップ数と、伝送遅延時間と、次ホップ先と、地上局との誤り率(各衛星と地上局との間の伝搬路における誤り率)と、更新時刻(ルーティングテーブルの各レコードの更新時刻)と、で構成される。図12では、図11の構成例を前提としており、送信元衛星(衛星2b−1)を送信元衛星#1とし、衛星2b−2〜2b−5を中継衛星#2〜#5として記載している。なお、図12は一例であり、各項目の順序等はこれに限定されない。
【0056】
衛星2b−1〜2b−5の伝送制御部11aは、周期的に自衛星と自衛星がデータを送信する地上局との間の伝搬路における誤り率を実施の形態1(または実施の形態2)と同様の方法(実施の形態1のステップS6〜S8,実施の形態2のステップS7a、S8)で求める。衛星2b−1〜2b−5の伝送制御部11aは、求めた誤り率を用いてルーティングテーブルの自衛星のレコード(図12の例ではレコード番号“1”のレコード)の地上局との誤り率を更新する。
【0057】
また、伝送制御部11aは、ルーティングテーブルの自衛星のレコードを更新すると、更新後のルーティングテーブルの内容を隣接する衛星に対して通知する。なお、この通知の際には、自衛星以外のレコード(図12の例ではレコード番号“2”〜“5”のレコード)の地上局との誤り率については、ルーティングテーブルの各々の衛星について地上局との誤り率として格納されている値に自衛星のレコードの地上局との誤り率(図12の例ではP1)をかけた値を通知する。図12の例では、例えば、レコード番号2の地上局との誤り率については、ルーティングテーブルに格納されているP2にP1をかけた値を通知する。
【0058】
また、各衛星は、ルーティングテーブルを通知する際に自衛星の位置情報も同時に通知する。なお、通常衛星は、各種制御のために自衛星の位置情報を取得または算出しているため、この位置情報を用いればよい。
【0059】
各衛星は、他の衛星からルーティングテーブルを受信すると、受信したルーティングテーブルに基づいて、保持しているルーティングテーブルを更新する。なお、各衛星は、各レコードを更新した場合、更新時刻をルーティングテーブルの該当箇所に格納する。各衛星では、現在時刻と各レコードの更新時刻の差が規定時間以上となった場合は当該レコードを保持しているルーティングテーブルから削除する。
【0060】
図13は、本実施の形態の衛星がルーティングテーブルを受信した場合の処理手順の一例を示すフローチャートである。本実施の形態の衛星通信装置1bの伝送制御部11aは、まず、受信したルーティングテーブルのうちの1つのレコードを処理対象のレコードとする。そして、受信したルーティングテーブルの処理対象レコードのホップ数に1を加算し、処理対象レコードのホップ数を加算後のホップ数に更新する(ステップS41)。
【0061】
次に、伝送制御部11aは、処理対象レコードの伝送遅延時間Di(iはレコード番号)と、自衛星およびルーティングテーブルの送信元の衛星の位置情報と、に基づいて新たな伝送遅延時間Di´を以下の式(3)に従って計算し、処理対象レコードの伝送遅延時間を計算したDi´で更新する(ステップS42)。
Di´=Di+自衛星とルーティングテーブル送信元の距離/光速 …(3)
【0062】
次に、伝送制御部11aは、処理対象レコードの次ホップを送信元の衛星として更新する(ステップS43)。そして、伝送制御部は、当該レコードの宛先衛星が自衛星であるか否かを判定する(ステップS44)。
【0063】
当該レコードが自衛星を宛先とするレコードでない場合(ステップS44 No)、伝送制御部11aは、処理対象レコードの宛先衛星が、自身が保持しているルーティングテーブルに存在しないかどうか判定する(ステップS45)。処理対象レコードの宛先衛星が、保持しているルーティングテーブルに存在しない場合(ステップS45 Yes)は、保持しているルーティングテーブルにレコードを追加し、追加したレコードに処理対象レコードの各値を格納する(ステップS46)。次に、受信したルーティングテーブルの全てのレコードを処理したか(全てのレコードを処理対象レコードとしたか)否かを判断し(ステップS51)、全てのレコードを処理した場合(ステップS51 Yes)、処理を終了する。
【0064】
全てのレコードを処理していない場合(ステップS51 No)、処理対象レコードを受信したルーティングテーブルのうちの未処理のレコードのうちの1つに設定し、ステップS41に戻る。
【0065】
また、自衛星を宛先とするレコードである場合(ステップS44 Yes)は、当該レコードの処理を終了し自身が保持しているルーティングテーブルは更新せずに、ステップS51へ進む。
【0066】
また、ステップS47処理対象レコードの宛先衛星が、自身が保持しているルーティングテーブルに存在する場合(ステップS45 No)、処理対象レコードの更新時刻が、保持しているルーティングテーブルの当該宛先衛星に対応するレコードの更新時刻より新しいか否かを判断する(ステップS47)。処理対象レコードの更新時刻が、保持しているルーティングテーブルの当該宛先衛星に対応するレコードの更新時刻より新しい場合(ステップS47 Yes)、更新時刻の差(処理対象レコードの更新時刻とルーティングテーブルの当該宛先衛星に対応するレコードの更新時刻との差)が規定時間以上かどうか判断する(ステップS48)。更新時刻の差が規定時間以上である場合(ステップS48 Yes)は、ルーティングテーブルの当該宛先衛星に対応するレコードを処理対象レコードの各値に更新し(ステップS49)、ステップS51へ進む。
【0067】
更新時刻の差が規定時間未満である場合(ステップS48 No)、処理対象レコードのホップ数がルーティングテーブルの当該宛先衛星に対応するレコードのホップ数以下であるか否かを判断する(ステップS50)。処理対象レコードのホップ数がルーティングテーブルのホップ数以下である場合(ステップS50 Yes)、ステップS49へ進む。処理対象レコードのホップ数がルーティングテーブルのホップ数以下でない場合(ステップS50 No)、ルーティングテーブルを更新せずに、ステップS51へ進む。
【0068】
以上の処理により、各衛星は宛先衛星までの経路の全体の誤り率(地上局との誤り率の項目)を含むルーティングテーブルを持つことができる。このルーティングテーブルに基づいて、地上局との誤り率が伝送データの所望の誤り率Pd以下となる宛先衛星のうち、最短のホップ数または最短の伝送遅延時間となる宛先衛星を選択することにより転送ルートを決定することができる。なお、所望の誤り率を満たしているかどうか判定する際には、自衛星のレコード以外の誤り率には、自衛星の誤り率をかけた値を用いて判定する。
【0069】
例えば、図10の例では、送信元衛星である衛星2b−1の伝送制御部11aは、伝送データを送信する際に、保持しているルーティングテーブルを参照して、地上局との誤り率が伝送データの所望の誤り率Pd以下となる宛先衛星のうち最短のホップ数または最短の伝送遅延時間となる宛先衛星として衛星2b−5を選択する。そして、実施の形態1(または実施の形態2)と同様に、図4(または図7)に示した手順により地上局へ伝送データを送信するとともに、伝送データと制御情報を衛星2b−5への次ホップである衛星2b−2へ送信する。なお、本実施の形態では、制御情報として、所望の誤り率Pdと、情全体の誤り率Ptotalに加えて宛先衛星の識別子(この場合は衛星2b−5の識別子)を含めて送信することとする。
【0070】
なお、最短のホップ数となる宛先衛星を選択する場合にはルーティングテーブルに伝送遅延時間を含まなくてもよく、最短の伝送遅延時間となる宛先衛星を選択する場合にはルーティングテーブルにホップ数を含まなくてもよい。
【0071】
伝送データと制御情報を受信した衛星2b−2では、実施の形態1(または実施の形態2)と同様に、図5(または図8)に示した手順により地上局へ伝送データを送信するとともに、伝送データと制御情報を宛先衛星である衛星2b−5へ送信する。そして、伝送データと制御情報を受信した衛星2b−5では、実施の形態1(または実施の形態2)と同様に、図5(または図8)に示した手順により地上局へ伝送データを送信し、全体の誤り率Ptotalが伝送データの所望の誤り率Pd以下となるため、2b−5からは伝送データの転送は行わない。
【0072】
ただし、中継衛星が、伝送データを受信した場合に、ルーティングテーブルの更新により、指定された宛先衛星へのルートで所望の誤り率Pdが達成できないと判断した場合は、保持しているルーティングテーブルを参照し、次ホップ先が前衛星(受信した伝送データの直前の送信元)以外のレコードの中で誤り率が最小となるルートとなるよう宛先衛星を変更する。そして、次の衛星へ伝送データを送信する際に送信する制御情報には変更した宛先衛星の識別子を格納する。
【0073】
このように、本実施の形態では、各衛星が、宛先衛星までのルート情報(次ホップ)と宛先衛星までの全体の誤り率と、を格納したルーティングテーブルを保持し、地上局との誤り率が伝送データの所望の誤り率Pd以下となる宛先衛星のうち最短のホップ数または最短の伝送遅延時間となる宛先衛星として伝送データの転送ルートを決定するようにした。そのため、実施の形態1と同様の効果が得られるとともに、所望の誤り率を満たした最短ルートで地上へのデータ伝送を実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
以上のように、本発明にかかる衛星通信装置、衛星通信システムおよび衛星通信方法は、地上局へ光空間通信により伝送データを送信する衛星通信装置に有用であり、特に、大容量の伝送を行なう衛星通信装置に適している。
【符号の説明】
【0075】
1,1a,1b 衛星通信装置
2,2a、2−1〜2−3,2b−1〜2b−5 衛星
3,3−1〜3−3 地上局
4 受信終端局
11,11a 伝送制御部
12 伝送データ生成部
13,13−1〜13−K 衛星受信部
14 地上局送信部
15,15−1〜15−M 衛星送信部
16 大気状態監視センサ
17 気象情報取得部
21 通信光
22 大気状態監視センサ光
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛星通信装置、衛星通信システムおよび衛星通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
衛星(人工衛星:例えば、観測衛星)と地上局間を衛星から地上への片方向の光空間通信により接続し、光空間通信を使用して情報(例えば、観測データ)を伝送する場合、光空間通信では気象条件により通信品質が大きく劣化するという特徴がある。
【0003】
光空間通信による大容量の通信において気象条件による突然の通信品質の劣化により通信の瞬断が発生した場合、データ欠落量が大きくなる。従って、通信品質に影響するような気象条件下では、安定したデータ伝送が困難である。
【0004】
衛星から地上へ安定したデータ伝送を行なうための従来の伝送制御方法として、下記特許文献1では、衛星と地上局との間の伝搬路が雲により遮られた場合に、衛星が送信先を別の地上局に変更してデータ送信を再開する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−065620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の伝送制御方法では、衛星と地上局間の伝搬路が雲により遮られた場合に、別の地上局にてデータ送信を再開し、地上へのデータ伝送を可能としている。このため、伝搬路が雲に遮られてから別の地上局に通信路を切替えるまでの間(切り替え時間)はデータ伝送ができないため、データを記憶装置に蓄積する必要がある。従って、衛星がデータを随時生成し地上へ伝送する場合は、通信路切替え時間が記憶装置の容量と伝送レートによって制限され、制限された時間内に通信路の切り替えが終了しない場合いはデータの欠落が生じる、という問題がある。
【0007】
また、大容量の通信を行う場合に、データの欠落を生じないようにするには、上述の記憶装置を大きな容量とする必要がある、という問題がある。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、大容量通信を行なう場合にも、大容量の記憶装置を必要とせずに、衛星から地上への伝送データの欠落を低減することができる衛星通信装置、衛星通信システムおよび衛星通信方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、衛星に搭載され地上局へ伝送データを送信する衛星通信装置であって、前記伝送データを地上局へ送信する地上局送信部と、自装置と地上局との間の伝搬路における気象状態を示す伝搬路状態情報を取得する伝搬路状態情報取得部と、前記伝搬路状態情報に基づいて前記伝搬路における伝搬損失を求め、前記伝搬損失に基づいて前記伝送データの誤り率を求め、求めた誤り率が前記伝送データに要求される誤り率である要求誤り率を超えるか否かを判断する伝送制御部と、前記伝送制御部により前記求めた誤り率が前記要求誤り率を超えると判断された場合に、他の衛星に対して前記伝送データを送信し、当該衛星に前記伝送データの地上局への送信を指示する衛星送信部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、大容量通信を行なう場合にも、大容量の記憶装置を必要とせずに、衛星から地上への伝送データの欠落を低減することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、実施の形態1の衛星通信装置の機能構成例を示す図である。
【図2】図2は、大気状態監視センサにより伝搬損失の計測の概念を示す図である。
【図3】図3は、実施の形態1の衛星通信システムの構成例とデータ伝送方法の一例を示す概念図である。
【図4】図4は、実施の形態1の伝送データの送信元衛星のデータ伝送処理手順の一例を示す図である。
【図5】図5は、実施の形態1の中継衛星のデータ伝送処理手順の一例を示す図である。
【図6】図6は、実施の形態2の衛星通信装置の機能構成例を示す図である。
【図7】図7は、実施の形態2の伝送データの送信元衛星のデータ伝送処理手順の一例を示す図である。
【図8】図8は、実施の形態2の中継衛星のデータ伝送処理手順の一例を示す図である。
【図9】図9は、衛星と地上局間の伝搬路における雲量を求める方法の一例を示す図である。
【図10】図10は、実施の形態3の衛星通信システムのデータ伝送の一例を示す図である。
【図11】図11は、実施の形態3の衛星通信装置の機能構成例を示す図である。
【図12】図12は、実施の形態3の伝送制御部が保持するルーティングテーブルの一例を示す図である。
【図13】図13は、実施の形態3の衛星がルーティングテーブルを受信した場合の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明にかかる衛星通信装置、衛星通信システムおよび衛星通信方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0013】
実施の形態1.
図1は、本発明にかかる衛星通信装置の実施の形態1の機能構成例を示す図である。図1に示すように、本実施の形態の衛星通信装置1は、伝送制御部11と、伝送データ生成部12と、衛星受信部13と、地上局送信部14と、衛星送信部15と、大気状態監視センサ16と、を備える。
【0014】
本実施の形態の衛星通信装置1は、衛星(人工衛星)等に搭載され、地上局へ観測データ等の伝送データを送信する。また、本実施の形態の衛星通信装置1は、他の衛星との間で通信を行う機能を有しており、これにより、他の衛星を中継衛星として用い、中継衛星経由で地上局へ伝送データを送信することもできる。
【0015】
なお、衛星通信装置1は、伝送データの送信元となる衛星に搭載される場合も中継衛星となる衛星に搭載される場合も同様の構成とする。ただし、送信元の衛星としてしか機能せず中継衛星としては機能しない衛星に搭載される場合は、衛星通信装置1は衛星受信部14を備えなくてもよい。また、中継衛星として機能しデータの送信元の衛星としては機能しない衛星に搭載される場合、衛星通信装置1は伝送データ生成部12を備えなくてもよい。
【0016】
伝送データ生成部12は、観測データ等の地上へ伝送する伝送データを生成し、伝送制御部11へ出力する。伝送制御部11は、伝送データ生成部12が生成した伝送データおよび/または衛星受信部13から出力された伝送データの伝送先の管理を行い、伝送データ(伝送データ生成部12が生成した伝送データおよび/または衛星受信部13から出力された伝送データ)を地上局送信部14へ出力し、必要があれば伝送データと制御情報(制御情報については後述する)を衛星送信部15に出力する。
【0017】
衛星受信部13は、隣接衛星から伝送データと制御情報を受信し、受信した伝送データと制御情報を伝送制御部11へ通知する。以下、隣接衛星から受信した伝送データを中継伝送データといい、自衛星内の伝送データ生成部12が生成した伝送データを生成伝送データといい、単に伝送データという場合は中継伝送データと生成伝送データの両方またはいずれか一方であるとする。地上局送信部14は、伝送制御部11から出力された伝送データを光空間通信により地上局へ送信する。なお本実施の形態では、衛星通信装置1は光空間通信により地上局へ伝送データを送信する例を説明するが、光空間通信以外の無線通信により地上局へ伝送データを送信する場合にも本実施の形態の動作を適用することができる。
【0018】
衛星送信部15は、伝送制御部11から出力された伝送データおよび制御情報を隣接衛星へ送信する。大気状態監視センサ16は、自装置と地上局との間の伝搬路(通信路)における気象状態を示す物理量(伝搬路状態情報)を検出し、検出した物理量を伝送制御部11へ通知する。すなわち、大気状態監視センサ16は、自装置と地上局との間の伝搬路(通信路)における大気状態を示す伝搬路状態情報を取得する伝搬路状態情報取得部としての機能を有する。伝送制御部11は、大気状態監視センサ16が検出した物理量に基づいて伝搬路における伝搬損失を求める。
【0019】
図2は、大気状態監視センサ16により伝搬損失の計測の概念を示す図である。図2に示した、衛星2は本実施の形態の衛星通信装置1を搭載する人工衛星であり、地上局3は、衛星2が生成した伝送データを受信する地上局である。
【0020】
大気状態監視センサ16は、地上局送信部14から送信される通信光21と、同一波長(同一周波数)および同一光軸(送信方向が通信光21の送信方向と同一)の大気状態監視センサ光22を射出する。射出された大気状態監視センサ光22は、地表面や雲等により散乱される。大気状態監視センサ16は、大地や雲等により散乱された散乱光の強度(散乱光強度)と、散乱点までの距離と、を検出する。なお、散乱点までの距離は、例えば大気状態監視センサ光22を射出してから散乱光を受信するまでの時間により検出する。なお、ここでは、散乱光の強度(散乱光強度)と、散乱点までの距離と、を求めているが、検出するパラメータはこれに限らず伝搬損失を算出するために必要なパラメータを算出すればよい。そして、伝送制御部11が、大気状態監視センサ16が検出した散乱強度と散乱点までの距離に基づいて、通信光21における衛星2と地上局3間の伝搬損失を計測する。なお、検出結果に基づいて波長の差を補正できる範囲であれば大気状態監視センサ光22は通信光21と同一でなくてもよい。大気状態監視センサ光22を通信光21と異なる波長とする場合は、伝搬損失を算出する際に波長の差の分を補正する。
【0021】
次に、本実施の形態の動作を説明する。図3は、本実施の形態の衛星通信システムの構成例とデータ伝送方法(衛星通信方法)の一例を示す概念図である。図3に示した衛星通信システムは、上述の衛星通信装置1を搭載した衛星2−1〜2−3と、地上局3−1〜3−3と、受信終端局4と、で構成される。衛星2−1は、伝送データを生成し、伝送データの送信元となる衛星である。図3では、衛星2−2,2−3が、衛星2−1が生成した伝送データを中継する中継衛星となる場合の例を示している。地上局3−1〜3−3は、衛星2−1〜2−3から受信した伝送データを受信終端局4へ送信し、受信終端局4は、地上局3−1〜3−3から受信した伝送データを集中して処理する。なお、図3では、太線の矢印は伝送データを示し、点線矢印は光空間通信リンクを示し、細実線は地上回線を示している。
【0022】
図3に示すように、本実施の形態では、伝送データを生成する衛星2−1が、地上局3−1へ生成伝送データを送信し、送信時の誤り率(例えば、ビット誤り率、パケット誤り率等)を求める。そして、衛星2−1は、求めた誤り率が所望の誤り率以上である場合、隣接衛星に生成した伝送データを送信(転送)する。衛星2−1から伝送データ(中継伝送データ)を受信した衛星2−2は、地上局3−2へ中継伝送データを送信し、送信時の誤り率を求める。そして、衛星2−2は、求めた誤り率が所望の誤り率を超える場合、隣接衛星に生成した伝送データを送信(転送)する。衛星2−2から伝送データ(中継伝送データ)を受信した衛星2−3は、地上局3−3へ中継伝送データを送信し、送信時の誤り率を求める。図3の場合、衛星2−3が求めた誤り率が所望の誤り率以下となった(所望の誤り率を満たした)とし、衛星2−3は隣接衛星への転送は行なわない。
【0023】
なお、図3では、衛星2−1〜2−3がそれぞれ異なる地上局3−1〜3−3へ伝送データを送信しているが、地上局3−1が複数の衛星2−1〜2−3のデータを同時に受信できるような機能を備えていれば、複数の衛星2−1〜2−3が同一の地上局3−1〜3−3へ伝送データを送信してもよい。
【0024】
次に、衛星通信装置1を搭載した伝送データの送信元衛星の動作を説明する。図4は、衛星通信装置1を搭載した伝送データの送信元衛星(図3の構成例では衛星2−1)のデータ伝送処理手順の一例を示す図である。まず、送信元衛星では、衛星通信装置1の伝送データ生成部12が、伝送データを生成し(ステップS1)、生成した伝送データを伝送制御部11へ出力する(ステップS2)。
【0025】
伝送制御部11は、伝送データ生成部12から出力された伝送データ(生成伝送データ)に対する所望の誤り率Pdを決定し(ステップS3)、生成伝送データを地上局送信部14へ出力する(ステップS4)。地上局送信部14は、生成伝送データを地上局(図3の例では、地上局3−1)へ送信する(ステップS5)。
【0026】
なお、所望の誤り率Pdの決定方法はどのような方法を用いてもよいが、例えば予め一定値を定めておいてもよいし、伝送データの種別ごとに所望の誤り率を定めておき、種別ごとに所望の誤り率を決定してもよい。また、必要に応じて予め定めておいた一定値を変更するようにしてもよい。
【0027】
ステップS5の開始後、大気状態監視センサ16は、地上局へ伝送データを送信した時点での散乱強度と散乱点までの距離とを検出し、検出した散乱強度と散乱点までの距離とをセンサ情報として伝送制御部11へ出力する(ステップS6)。伝送制御部11は、センサ情報に基づいて地上局3−1へのデータ送信における伝搬損失L1を求める(ステップS7)。次に、伝送制御部11は、事前に測定しておいた自装置の地上局送信部14の伝搬特性(伝搬損失と伝送誤り率の対応表など)に基づいて、伝搬損失L1に対応する誤り率P1を求める(ステップS8)。
【0028】
そして、伝送制御部11は、現在までの地上へのデータ伝送全体の誤り率(総合誤り率)Ptotalを以下の式(1)により設定する(ステップS9)。
Ptotal=P1 …(1)
【0029】
次に、伝送制御部11は、全体の誤り率Ptotalが所望の誤り率Pd以下であるか否かを判断する(ステップS10)。全体の誤り率Ptotalが所望の誤り率Pd以下であると判断した場合(ステップS10 Yes)は、処理を終了する。
【0030】
全体の誤り率Ptotalが所望の誤り率Pd以下でないと判断した場合(ステップS10 No)、全体の誤り率Ptotalと所望の誤り率Pdとを制御情報とし、制御情報と生成伝送データとを衛星送信部15へ出力する(ステップS11)。衛星送信部15は、制御情報と生成伝送データとを隣接衛星(中継衛星:図3の例では衛星2−2)へ送信する(ステップS12)。なお、ここでは、伝送データと制御情報を受信した隣接衛星では、生成伝送データを地上局へ送信するよう指示されたと認識するよう予め決めておくこととするが、衛星送信部15が生成伝送データを隣接衛星へ送信する際に、当該生成伝送データを地上局へ送信するように明示的に指示してもよい。
【0031】
次に、衛星通信装置1を搭載した伝送データを中継する中継衛星の動作を説明する。図5は、衛星通信装置1を搭載した伝送データを中継する中継衛星(図3の構成例では衛星2−2,2−3)のデータ伝送処理手順の一例を示す図である。中継衛星では、まず、衛星通信装置の衛星受信部13が、送信元衛星(または他の中継衛星)から制御情報(全体の誤り率Ptotalと所望の誤り率Pd)と送信元衛星で生成された伝送データとを受信し(ステップS21)、受信した制御情報と伝送データ(中継伝送データ)を伝送制御部11へ出力する(ステップS22)。
【0032】
伝送制御部11は、中継伝送データを地上局送信部14へ通知する(ステップS23)。地上局送信部14は、伝送データを地上局(図3の例では地上局3−2,3−3)へ送信する(ステップS24)。
【0033】
ステップS24の開始後、大気状態監視センサ16は、地上局へ伝送データを送信した時点での散乱強度と散乱点までの距離とを検出し、検出した散乱強度と散乱点までの距離とをセンサ情報として伝送制御部11へ出力する(ステップS25)。ここで、送信元衛星で生成された伝送データが、送信元衛星または中継衛星から地上局へ伝送された回数をnとする。すなわち送信元衛星からの地上局への伝送データが送信された時点ではn=1であり、以降中継衛星から地上局へ送信されるたびにnの値は1ずつ加算される。
【0034】
伝送制御部11は、センサ情報に基づいてn回目の地上局へのデータ送信における伝搬損失Lnを求める(ステップS26)。次に、伝送制御部11は、事前に測定しておいた自装置の地上局送信部14の伝搬特性(伝搬損失と伝送誤り率の対応表など)に基づいて、伝搬損失Lnに対応する誤り率Pnを求める(ステップS27)。
【0035】
そして、現在までの地上へのデータ伝送全体の誤り率Ptotal(n回の伝送のトータルの誤り率)を次の式(2)に基づいて更新する(ステップS28)。
Ptotal=Ptotal×Pn …(2)
【0036】
次に、ステップS28で更新した全体の誤り率Ptotalが送信元衛星または他の中継衛星から受信した伝送データの所望の誤り率Pd(受信した制御情報に含まれる)以下であるか否かを判断する(ステップS29)。
【0037】
ステップS29で、全体の誤り率Ptotalが所望の誤り率Pd以下である場合(ステップS29 Yes)は、処理を終了する(図3の例では、中継衛星2−3では、これにより処理を終了)。ステップS29で、全体の誤り率Ptotalが所望の誤り率Pd以下でない場合(ステップS29 No)は、制御情報(全体の誤り率Ptotalと所望の誤り率Pd)と中継伝送データとを衛星送信部15へ出力する(ステップS30)。衛星送信部15は、制御情報と中継伝送データとを隣接する衛星へ送信する(ステップS31:図3の例では、中継衛星2−2は中継衛星2−3へ送信)。
【0038】
以上の送信元衛星と中継衛星の動作により、送信元衛星が生成した伝送データは、直接または1つ以上の中継衛星から地上局へ送信される。すなわち、送信元衛星が生成した伝送データは、Nlink(Nlinkは1以上の整数、図3の例ではNlink=3)本の光空間通信リンクにより地上局へ送信される。そして、受信終端局4では、各地上局から地上回線経由で伝送データを受信し、Nlink本の光空間通信リンクで送信された伝送データを用いることにより、所望の誤り率を満たす通信を実現する。
【0039】
なお、送信元衛星が生成する伝送データに対して消失訂正符号を適用することで、複数衛星と地上局間でそれぞれ異なる箇所に誤りが発生した場合の受信終端局4での伝送データの復元性能を向上させることが可能である。
【0040】
なお、本実施の形態では、中継衛星が、全体の誤り率を求め、全体の誤り率が所望の誤り率を超える場合には、さらに他の隣接衛星に転送するにすることにより他段階の中継ができるようにしたが、本実施の形態の無線通信装置1を備える衛星が隣接していない場合等には、送信元衛星のみが本実施の形態の動作を行なうようにしてもよい。この場合、伝送データの転送は1回だけとなり地上局へ伝送データは最大2つのリンクを用いて地上局へ送信されることになるが、送信元衛星だけが伝送データを地上局に送信する場合に比べて伝送データの誤り率の向上が期待できる。
【0041】
このように、本実施の形態では、送信元衛星の大気状態監視センサ16が、伝送データを地上局へ送信する通信光21と同一波長および同一光軸の大気状態監視センサ光22を射出して散乱光強度と散乱点までの距離とを検出する。そして、伝送制御部11が、大気状態監視センサ光22が検出した情報を用いて、伝送データ送信時の通信光21の伝搬損失を求め、求めた伝搬損失に基づいて誤り率を求める。さらに、伝送制御部11は、求めた誤り率が所望の誤り率(要求誤り率)を超える場合には、隣接衛星へ伝送データと制御情報(求めた誤り率および所望の誤り率)を転送する。伝送データと制御情報を受信した衛星(中継衛星)は、伝送データを地上局へ送信し、送信元衛星と同様に通信光21の伝搬損失を求め、求めた伝搬損失に基づいて誤り率を求める。
【0042】
そして、中継衛星は、求めた誤り率と受信した制御情報に含まれる誤り率とに基づいて、全体の誤り率Ptotalを求め、Ptotalが制御情報に含まれる所望の誤り率を超える場合には、隣接衛星へ伝送データと制御情報(全体の誤り率Ptotalおよび所望の誤り率)を転送する。以降、Ptotalが所望の誤り率以下となるまで隣接衛星への伝送データの転送を繰り返すようにした。そのため、大容量通信を行なう場合にも、大容量の記憶装置を必要とせずに、衛星から地上への伝送データの欠落を低減することができる。
【0043】
実施の形態2.
図6は、本発明にかかる衛星通信装置の実施の形態2の機能構成例を示す図である。図6に示すように、本実施の形態の衛星通信装置1aの構成は、実施の形態1の大気状態監視センサ16の替わりに気象情報取得部17を備える以外は実施の形態1の衛星通信装置1aと同様である。実施の形態1と同様の機能を有する構成要素は、実施の形態1と同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0044】
気象情報取得部17は、雲量と雲の位置(緯度、経度、高度)とを含む気象情報を取得して保持する。気象情報は、少なくとも衛星通信装置1aを搭載する衛星と、当該衛星が通信する地上局との間の領域の雲量と雲の位置(緯度、経度、高度)を含む。気象情報は、当該衛星が気象レーダを有している場合は気象レーダの測定結果を用いる。または、気象衛星または地上の管制局などから気象データを受信し、受信した気象データから必要な情報を抽出して気象情報として保持してもよい。気象衛星または地上の管制局から気象データを受信する場合、気象情報取得部17が、気象データを受信して必要な情報を抽出して気象情報として保持する。
【0045】
実施の形態1では、大気状態監視センサ16が、自装置と地上局との間の伝搬路における大気状態を示す伝搬路状態情報を取得する伝搬路状態情報取得部としての機能を有したが、本実施の形態では、気象情報を伝搬路状態情報として用い、気象情報取得部が伝搬路状態情報取得部としての機能を有する。
【0046】
図7は、衛星通信装置1aを搭載した伝送データの送信元衛星のデータ伝送処理手順の一例を示す図である。ステップS1〜ステップS5までは実施の形態1と同様である。ステップS5の後、送信元衛星の衛星通信装置1aの伝送制御部11は、気象情報取得部17に格納されている気象情報に基づいて、自衛星と地上局(ステップS5で伝送データを送信した地上局)と間の伝搬路に存在する雲量を求め、事前に作成した雲量伝搬損失対応表に基づいて、求めた雲量に対応する伝搬損失L1を求める(ステップS7a)。以降、実施の形態1と同様にステップS8〜ステップS12を実施する。
【0047】
図8は、衛星通信装置1aを搭載した中継衛星のデータ伝送処理手順の一例を示す図である。ステップS21〜ステップS24までは実施の形態1の中継衛星の動作と同様である。ステップS24の後、中継衛星の衛星通信装置1aの伝送制御部11は、気象情報取得部17に格納されている気象情報に基づいて、自衛星と地上局(ステップS5で伝送データを送信した地上局)と間の伝搬路に存在する雲量(伝搬路上の雲量)を求め、事前に作成した雲量伝搬損失対応表に基づいて、求めた雲量に対応する伝搬損失Lnを求める(ステップS26a)。なお、nは実施の形態1と同様に、伝送データが送信元衛星または中継衛星から地上局へ伝送された回数である。以降、実施の形態1と同様にステップS27〜ステップS31を実施する。
【0048】
図9は、衛星と地上局間の伝搬路における雲量を求める方法の一例を示す図である。図9では、本実施の形態の衛星通信装置1aを搭載する衛星2aが地上局3へ伝送データを送信する例を示している。本実施の形態では、気象情報(単位面積当たりの雲量の情報)に基づいて衛星2aと地上局3の伝搬路上の雲量を求める。図9では簡単のため雲量を平面で表しているが、伝搬路に存在する雲量は雲の高度にも依存する。このため、実際には伝搬路上の雲量は雲の高度情報も用いて求める。伝搬路上の雲量の求め方に限定は無いが、例えば、図9の例の場合、まず、衛星2aと地上局3を結ぶ通信光が通過する直線を求める。気象情報は、例えば図9に示すように緯度経度の所定の領域ごとの雲量と高度が含まれているとし、上述の求めた直線が通過する領域の雲量を気象情報から抽出する。なお、ここでは簡単のため、衛星2aと地上局3を結ぶ通信光が通過する範囲を直線として説明したが、通信光の広がりを考慮して算出してもよい。以上述べた以外の本実施の形態の動作は、実施の形態1と同様である。
【0049】
このように、本実施の形態では、実施の形態1の大気状態監視センサ16の替わりに気象情報取得部17を備え、送信元衛星および中継衛星は、気象情報取得部17が保持する気象情報に基づいて雲量を求め、求めた雲量と事前に作成した雲量伝搬損失対応表とに基づいて伝搬損失を求めるようにした。このため、大気状態監視センサ16を備えることなく、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0050】
実施の形態3.
図10は、本発明にかかる衛星通信システムの実施の形態3のデータ伝送の一例を示す図である。また、図11は、本実施の形態の衛星通信装置1bの機能構成例を示す図である。図10に示した衛星2b−1〜2b−5は、それぞれ衛星通信装置1bを備える。なお、図10では衛星通信システムを構成する衛星が5機の例を示しているが、衛星の数は5機に限定されない。
【0051】
本実施の形態の衛星通信装置1bは、図11に示すように、実施の形態1の衛星受信部13と同様の機能を有する衛星受信部13−1〜13−K(Kは1以上の整数)と、実施の形態1の衛星送信部15と同様の機能を有する衛星送信部15−1〜15−M(Mは1以上の整数)と、伝送制御部11aと、伝送データ生成部12と、地上局送信部14と、大気状態監視センサ16と、を備える。実施の形態1と同様の機能を有する構成要素は、実施の形態1と同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0052】
なお、本実施の形態では、衛星通信装置1bが、実施の形態1と同様に大気情報監視センサ16を備える場合について説明するが、実施の形態2と同様に気象情報取得部17を備える場合にも、本実施の形態の動作を適用できる。
【0053】
本実施の形態の衛星通信装置1bは、隣接する衛星との間の光空間リンクの数分の衛星受信部および衛星送信部を備えている。従って、上述のKは受信側の光空間リンクの数であり、Mは送信側の光空間リンクの数である。図10では、点線は光空間通信リンクを示しており、太線は伝送データを示している。図10の例では、衛星2b−1は、衛星2b−2および衛星2b−4との間に送受信方法に光空間通信リンクを有しているため、衛星2b−1では、衛星受信部および衛星送信部をそれぞれ2つずつ備える(M=K=2)。なお、図10では、各衛星間は送受両方向の光空間通信リンクを有している例を示しているが、片方向のリンクであっても良い。
【0054】
衛星通信装置1bの伝送制御部11aは、衛星通信システム内の(自衛星からの送信データを中継することが可能な)各衛星(図10の例では、例えば衛星2b−1の場合は衛星2b−2〜2b−4)へのルーティング情報を格納したルーティングテーブルを持つ。
【0055】
図12は、本実施の形態の伝送制御部11aが保持するルーティングテーブルの一例を示す図である。図12に示すように、ルーティングテーブルは、レコード番号と、宛先衛星(宛先衛星の識別情報)と、ホップ数と、伝送遅延時間と、次ホップ先と、地上局との誤り率(各衛星と地上局との間の伝搬路における誤り率)と、更新時刻(ルーティングテーブルの各レコードの更新時刻)と、で構成される。図12では、図11の構成例を前提としており、送信元衛星(衛星2b−1)を送信元衛星#1とし、衛星2b−2〜2b−5を中継衛星#2〜#5として記載している。なお、図12は一例であり、各項目の順序等はこれに限定されない。
【0056】
衛星2b−1〜2b−5の伝送制御部11aは、周期的に自衛星と自衛星がデータを送信する地上局との間の伝搬路における誤り率を実施の形態1(または実施の形態2)と同様の方法(実施の形態1のステップS6〜S8,実施の形態2のステップS7a、S8)で求める。衛星2b−1〜2b−5の伝送制御部11aは、求めた誤り率を用いてルーティングテーブルの自衛星のレコード(図12の例ではレコード番号“1”のレコード)の地上局との誤り率を更新する。
【0057】
また、伝送制御部11aは、ルーティングテーブルの自衛星のレコードを更新すると、更新後のルーティングテーブルの内容を隣接する衛星に対して通知する。なお、この通知の際には、自衛星以外のレコード(図12の例ではレコード番号“2”〜“5”のレコード)の地上局との誤り率については、ルーティングテーブルの各々の衛星について地上局との誤り率として格納されている値に自衛星のレコードの地上局との誤り率(図12の例ではP1)をかけた値を通知する。図12の例では、例えば、レコード番号2の地上局との誤り率については、ルーティングテーブルに格納されているP2にP1をかけた値を通知する。
【0058】
また、各衛星は、ルーティングテーブルを通知する際に自衛星の位置情報も同時に通知する。なお、通常衛星は、各種制御のために自衛星の位置情報を取得または算出しているため、この位置情報を用いればよい。
【0059】
各衛星は、他の衛星からルーティングテーブルを受信すると、受信したルーティングテーブルに基づいて、保持しているルーティングテーブルを更新する。なお、各衛星は、各レコードを更新した場合、更新時刻をルーティングテーブルの該当箇所に格納する。各衛星では、現在時刻と各レコードの更新時刻の差が規定時間以上となった場合は当該レコードを保持しているルーティングテーブルから削除する。
【0060】
図13は、本実施の形態の衛星がルーティングテーブルを受信した場合の処理手順の一例を示すフローチャートである。本実施の形態の衛星通信装置1bの伝送制御部11aは、まず、受信したルーティングテーブルのうちの1つのレコードを処理対象のレコードとする。そして、受信したルーティングテーブルの処理対象レコードのホップ数に1を加算し、処理対象レコードのホップ数を加算後のホップ数に更新する(ステップS41)。
【0061】
次に、伝送制御部11aは、処理対象レコードの伝送遅延時間Di(iはレコード番号)と、自衛星およびルーティングテーブルの送信元の衛星の位置情報と、に基づいて新たな伝送遅延時間Di´を以下の式(3)に従って計算し、処理対象レコードの伝送遅延時間を計算したDi´で更新する(ステップS42)。
Di´=Di+自衛星とルーティングテーブル送信元の距離/光速 …(3)
【0062】
次に、伝送制御部11aは、処理対象レコードの次ホップを送信元の衛星として更新する(ステップS43)。そして、伝送制御部は、当該レコードの宛先衛星が自衛星であるか否かを判定する(ステップS44)。
【0063】
当該レコードが自衛星を宛先とするレコードでない場合(ステップS44 No)、伝送制御部11aは、処理対象レコードの宛先衛星が、自身が保持しているルーティングテーブルに存在しないかどうか判定する(ステップS45)。処理対象レコードの宛先衛星が、保持しているルーティングテーブルに存在しない場合(ステップS45 Yes)は、保持しているルーティングテーブルにレコードを追加し、追加したレコードに処理対象レコードの各値を格納する(ステップS46)。次に、受信したルーティングテーブルの全てのレコードを処理したか(全てのレコードを処理対象レコードとしたか)否かを判断し(ステップS51)、全てのレコードを処理した場合(ステップS51 Yes)、処理を終了する。
【0064】
全てのレコードを処理していない場合(ステップS51 No)、処理対象レコードを受信したルーティングテーブルのうちの未処理のレコードのうちの1つに設定し、ステップS41に戻る。
【0065】
また、自衛星を宛先とするレコードである場合(ステップS44 Yes)は、当該レコードの処理を終了し自身が保持しているルーティングテーブルは更新せずに、ステップS51へ進む。
【0066】
また、ステップS47処理対象レコードの宛先衛星が、自身が保持しているルーティングテーブルに存在する場合(ステップS45 No)、処理対象レコードの更新時刻が、保持しているルーティングテーブルの当該宛先衛星に対応するレコードの更新時刻より新しいか否かを判断する(ステップS47)。処理対象レコードの更新時刻が、保持しているルーティングテーブルの当該宛先衛星に対応するレコードの更新時刻より新しい場合(ステップS47 Yes)、更新時刻の差(処理対象レコードの更新時刻とルーティングテーブルの当該宛先衛星に対応するレコードの更新時刻との差)が規定時間以上かどうか判断する(ステップS48)。更新時刻の差が規定時間以上である場合(ステップS48 Yes)は、ルーティングテーブルの当該宛先衛星に対応するレコードを処理対象レコードの各値に更新し(ステップS49)、ステップS51へ進む。
【0067】
更新時刻の差が規定時間未満である場合(ステップS48 No)、処理対象レコードのホップ数がルーティングテーブルの当該宛先衛星に対応するレコードのホップ数以下であるか否かを判断する(ステップS50)。処理対象レコードのホップ数がルーティングテーブルのホップ数以下である場合(ステップS50 Yes)、ステップS49へ進む。処理対象レコードのホップ数がルーティングテーブルのホップ数以下でない場合(ステップS50 No)、ルーティングテーブルを更新せずに、ステップS51へ進む。
【0068】
以上の処理により、各衛星は宛先衛星までの経路の全体の誤り率(地上局との誤り率の項目)を含むルーティングテーブルを持つことができる。このルーティングテーブルに基づいて、地上局との誤り率が伝送データの所望の誤り率Pd以下となる宛先衛星のうち、最短のホップ数または最短の伝送遅延時間となる宛先衛星を選択することにより転送ルートを決定することができる。なお、所望の誤り率を満たしているかどうか判定する際には、自衛星のレコード以外の誤り率には、自衛星の誤り率をかけた値を用いて判定する。
【0069】
例えば、図10の例では、送信元衛星である衛星2b−1の伝送制御部11aは、伝送データを送信する際に、保持しているルーティングテーブルを参照して、地上局との誤り率が伝送データの所望の誤り率Pd以下となる宛先衛星のうち最短のホップ数または最短の伝送遅延時間となる宛先衛星として衛星2b−5を選択する。そして、実施の形態1(または実施の形態2)と同様に、図4(または図7)に示した手順により地上局へ伝送データを送信するとともに、伝送データと制御情報を衛星2b−5への次ホップである衛星2b−2へ送信する。なお、本実施の形態では、制御情報として、所望の誤り率Pdと、情全体の誤り率Ptotalに加えて宛先衛星の識別子(この場合は衛星2b−5の識別子)を含めて送信することとする。
【0070】
なお、最短のホップ数となる宛先衛星を選択する場合にはルーティングテーブルに伝送遅延時間を含まなくてもよく、最短の伝送遅延時間となる宛先衛星を選択する場合にはルーティングテーブルにホップ数を含まなくてもよい。
【0071】
伝送データと制御情報を受信した衛星2b−2では、実施の形態1(または実施の形態2)と同様に、図5(または図8)に示した手順により地上局へ伝送データを送信するとともに、伝送データと制御情報を宛先衛星である衛星2b−5へ送信する。そして、伝送データと制御情報を受信した衛星2b−5では、実施の形態1(または実施の形態2)と同様に、図5(または図8)に示した手順により地上局へ伝送データを送信し、全体の誤り率Ptotalが伝送データの所望の誤り率Pd以下となるため、2b−5からは伝送データの転送は行わない。
【0072】
ただし、中継衛星が、伝送データを受信した場合に、ルーティングテーブルの更新により、指定された宛先衛星へのルートで所望の誤り率Pdが達成できないと判断した場合は、保持しているルーティングテーブルを参照し、次ホップ先が前衛星(受信した伝送データの直前の送信元)以外のレコードの中で誤り率が最小となるルートとなるよう宛先衛星を変更する。そして、次の衛星へ伝送データを送信する際に送信する制御情報には変更した宛先衛星の識別子を格納する。
【0073】
このように、本実施の形態では、各衛星が、宛先衛星までのルート情報(次ホップ)と宛先衛星までの全体の誤り率と、を格納したルーティングテーブルを保持し、地上局との誤り率が伝送データの所望の誤り率Pd以下となる宛先衛星のうち最短のホップ数または最短の伝送遅延時間となる宛先衛星として伝送データの転送ルートを決定するようにした。そのため、実施の形態1と同様の効果が得られるとともに、所望の誤り率を満たした最短ルートで地上へのデータ伝送を実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
以上のように、本発明にかかる衛星通信装置、衛星通信システムおよび衛星通信方法は、地上局へ光空間通信により伝送データを送信する衛星通信装置に有用であり、特に、大容量の伝送を行なう衛星通信装置に適している。
【符号の説明】
【0075】
1,1a,1b 衛星通信装置
2,2a、2−1〜2−3,2b−1〜2b−5 衛星
3,3−1〜3−3 地上局
4 受信終端局
11,11a 伝送制御部
12 伝送データ生成部
13,13−1〜13−K 衛星受信部
14 地上局送信部
15,15−1〜15−M 衛星送信部
16 大気状態監視センサ
17 気象情報取得部
21 通信光
22 大気状態監視センサ光
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛星に搭載され地上局へ伝送データを送信する衛星通信装置であって、
前記伝送データを地上局へ送信する地上局送信部と、
自装置と地上局との間の伝搬路における気象状態を示す伝搬路状態情報を取得する伝搬路状態情報取得部と、
前記伝搬路状態情報に基づいて前記伝搬路における伝搬損失を求め、前記伝搬損失に基づいて前記伝送データの誤り率を求め、求めた誤り率が前記伝送データに要求される誤り率である要求誤り率を超えるか否かを判断する伝送制御部と、
前記伝送制御部により前記求めた誤り率が前記要求誤り率を超えると判断された場合に、他の衛星に対して前記伝送データを送信し、当該衛星に前記伝送データの地上局への送信を指示する衛星送信部と、
を備えることを特徴する衛星通信装置。
【請求項2】
他の衛星からデータを受信する衛星受信部、
をさらに備え、
前記伝送制御部は、宛先衛星ごとの、前記宛先衛星までの経路上の衛星が前記伝送データを地上局へ送信する場合に前記伝送データが地上局へ送信される1つ以上の伝搬路における前記伝送データの総合の誤り率である総合誤り率と、前記宛先衛星までのホップ数、または前記伝送データを自衛星が送信してから前記宛先衛星が地上局へ送信するまでの伝送遅延時間と、前記宛先衛星までの経路上の次ホップ衛星と、を含むルーティング情報を保持し、保持しているルーティング情報に基づいて、前記総合誤り率が前記要求誤り率以下となる宛先衛星のうち最短のホップ数または最短の伝送遅延時間となる宛先衛星を選択し、選択した宛先の次ホップ衛星へ前記伝送データと前記宛先衛星の識別情報とを送信し、
前記衛星送信部は、保持しているルーティング情報を他の衛星へ送信し、
前記衛星受信部は、他の衛星から当該衛星が保持するルーティング情報を受信し、受信したルーティング情報に基づいて保持しているルーティング情報を更新する、ことを特徴とする請求項1に記載の衛星通信装置。
【請求項3】
他の衛星から伝送データと前記伝送データに対する要求誤り率と前記伝送データが地上局へ送信された1つ以上の伝搬路における前記伝送データの総合の誤り率である総合誤り率とを受信する衛星受信部と、
前記伝送データを地上局へ送信する地上局送信部と、
自装置と地上局との間の伝搬路における気象状態を示す伝搬路状態情報を取得する伝搬路状態情報取得部と、
前記伝搬路状態情報に基づいて前記伝搬路における伝搬損失を求め、前記伝搬損失に基づいて前記伝送データの誤り率を求め、求めた誤り率と前記総合誤り率とに基づいて総合誤り率を更新し、更新後の前記総合誤り率が前記要求誤り率を超えるか否かを判断する伝送制御部と、
前記伝送制御部により前記総合誤り率が前記要求誤り率を超えると判断された場合に、前記伝送データの送信元以外の他の衛星に前記伝送データと更新後の前記総合誤り率と前記要求誤り率とを送信し、当該衛星に対して前記伝送データの地上局への送信を指示する衛星送信部と、
を備えることを特徴する衛星通信装置。
【請求項4】
前記衛星受信部は、前記伝送データとともに前記伝送データの宛先衛星の識別情報を受信し、
前記伝送制御部は、宛先衛星ごとの、前記宛先衛星までの経路上の衛星が前記伝送データを地上局へ送信する場合に前記伝送データが地上局へ送信される1つ以上の伝搬路における前記伝送データの総合の誤り率である総合誤り率と、前記宛先衛星までホップ数、または前記伝送データを自衛星が送信してから前記宛先衛星が地上局へ送信するまでの伝送遅延時間と、前記宛先衛星までの経路上の次ホップ衛星と、を含むルーティング情報を保持し、保持しているルーティング情報に格納されている受信した前記識別情報に対応する宛先衛星の前記総合誤り率が、前記要求誤り率を超えると判断した場合は、前記宛先衛星のうち前記伝送データの送信元以外の前記ルーティング情報に格納されている前記総合の誤り率が最小となる宛先衛星を選択し、選択した宛先の次ホップ衛星へ前記伝送データと選択した前記宛先衛星の識別情報とを送信し、
前記衛星送信部は、保持しているルーティング情報を他の衛星へ送信し、
前記衛星受信部は、他の衛星から当該衛星が保持するルーティング情報を受信し、受信したルーティング情報に基づいて保持しているルーティング情報を更新する、ことを特徴とする請求項3に記載の衛星通信装置。
【請求項5】
前記伝搬路状態情報取得部は、前記地上局送信部が前記伝送データを送信する送信方向と同一方向へ電磁波を送信し、前記電磁波の散乱波を検出する大気状態監視センサ、
を備え、
前記大気状態監視センサは、前記散乱波に基づいて伝搬路状態情報を取得する、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の衛星通信装置。
【請求項6】
前記伝搬路状態情報を雲の位置と雲量とを含む気象情報とし、
前記伝搬路状態情報取得部は、自装置が搭載される衛星が備える気象レーダの測定結果を前記気象情報として取得する、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の衛星通信装置。
【請求項7】
前記伝搬路状態情報を雲の位置と雲量とを含む気象情報とし、
前記伝搬路状態情報取得部は、気象衛星または地上局から前記気象情報を受信する、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の衛星通信装置。
【請求項8】
請求項1に記載の無線通信装置を搭載し、伝送データの送信元となる送信元衛星と、
請求項3に記載の無線通信装置を搭載し、前記伝送データを前記送信元衛星からまたは前記伝送データを中継する衛星から受信し、受信した前記伝送データを地上局へ送信する中継衛星と、
を備えることを特徴とする衛星通信システム。
【請求項9】
衛星に搭載され地上局へ伝送データを送信する衛星通信装置における衛星通信方法であって、
前記伝送データを地上局へ送信する地上局送信ステップと、
自装置と地上局との間の伝搬路における気象状態を示す伝搬路状態情報を取得する伝搬路状態情報取得ステップと、
前記伝搬路状態情報に基づいて前記伝搬路における伝搬損失を求め、前記伝搬損失に基づいて前記伝送データの誤り率を求め、求めた誤り率が前記伝送データに要求される要求誤り率を超えるか否かを判断する伝送制御ステップと、
前記伝送制御ステップで前記求めた誤り率が前記要求誤り率を超えると判断された場合に、他の衛星に前記伝送データを送信し、当該衛星に対して前記伝送データの地上局への送信を指示する衛星送信ステップと、
を含むことを特徴する衛星通信方法。
【請求項10】
2以上の衛星を備える衛星通信システムにおける衛星通信方法であって、
地上局へ送信する伝送データを生成する前記衛星である送信元衛星が、前記伝送データを地上局へ送信する第1の地上局送信ステップと、
前記送信元衛星が、自衛星と地上局との間の伝搬路における気象状態を示す第1の伝搬路状態情報を取得する第1の伝搬路状態情報取得ステップと、
前記送信元衛星が、前記伝搬路状態情報に基づいて前記伝搬路における伝搬損失を求め、前記伝搬損失に基づいて前記伝送データの誤り率を求め、求めた誤り率を総合誤り率とし、前記総合誤り率が前記伝送データに要求される要求誤り率を超えるか否かを判断する第1の伝送制御ステップと、
前記送信元衛星が、前記伝送制御ステップで前記求めた誤り率が前記要求誤り率を超えると判断された場合に、他の前記衛星に前記伝送データと前記総合誤り率と前記要求誤り率とを送信し、当該衛星に対して前記伝送データの地上局への送信を指示する第1の衛星送信ステップと、
前記第1の衛星送信ステップで送信された前記伝送データと前記総合誤り率と前記要求誤り率とを受信した前記衛星である中継衛星が、前記伝送データを地上局へ送信する第2の地上局送信ステップと、
前記中継衛星が、自衛星と地上局との間の伝搬路における気象状態を示す伝搬路状態情報を取得する第2の伝搬路状態情報取得ステップと、
前記第2の伝搬路状態情報取得ステップで取得した前記伝搬路状態情報に基づいて自衛星と地上局との間の伝搬路における伝搬損失を求め、前記伝搬損失に基づいて前記伝送データの誤り率を求め、求めた誤り率と前記総合誤り率とに基づいて総合誤り率を更新し、更新後の前記総合誤り率が前記要求誤り率を超えるか否かを判断する第2の伝送制御ステップと、
前記第2の伝送制御ステップで前記総合誤り率が前記要求誤り率を超えると判断された場合に、前記伝送データの送信元以外の他の前記衛星に前記伝送データと更新後の前記総合誤り率と前記要求誤り率とを送信し、当該衛星に対して前記伝送データの地上局への送信を指示する第2の衛星送信ステップと、
を含み、
前記第2の衛星送信ステップで送信された前記伝送データと前記総合誤り率と前記要求誤り率と受信した前記衛星である前記衛星が、前記第2の地上局送信ステップ、前記第2の伝搬路状態情報取得ステップ、前記第2の伝送制御ステップおよび前記第2の衛星送信ステップを実施する、ことを特徴する衛星通信方法。
【請求項1】
衛星に搭載され地上局へ伝送データを送信する衛星通信装置であって、
前記伝送データを地上局へ送信する地上局送信部と、
自装置と地上局との間の伝搬路における気象状態を示す伝搬路状態情報を取得する伝搬路状態情報取得部と、
前記伝搬路状態情報に基づいて前記伝搬路における伝搬損失を求め、前記伝搬損失に基づいて前記伝送データの誤り率を求め、求めた誤り率が前記伝送データに要求される誤り率である要求誤り率を超えるか否かを判断する伝送制御部と、
前記伝送制御部により前記求めた誤り率が前記要求誤り率を超えると判断された場合に、他の衛星に対して前記伝送データを送信し、当該衛星に前記伝送データの地上局への送信を指示する衛星送信部と、
を備えることを特徴する衛星通信装置。
【請求項2】
他の衛星からデータを受信する衛星受信部、
をさらに備え、
前記伝送制御部は、宛先衛星ごとの、前記宛先衛星までの経路上の衛星が前記伝送データを地上局へ送信する場合に前記伝送データが地上局へ送信される1つ以上の伝搬路における前記伝送データの総合の誤り率である総合誤り率と、前記宛先衛星までのホップ数、または前記伝送データを自衛星が送信してから前記宛先衛星が地上局へ送信するまでの伝送遅延時間と、前記宛先衛星までの経路上の次ホップ衛星と、を含むルーティング情報を保持し、保持しているルーティング情報に基づいて、前記総合誤り率が前記要求誤り率以下となる宛先衛星のうち最短のホップ数または最短の伝送遅延時間となる宛先衛星を選択し、選択した宛先の次ホップ衛星へ前記伝送データと前記宛先衛星の識別情報とを送信し、
前記衛星送信部は、保持しているルーティング情報を他の衛星へ送信し、
前記衛星受信部は、他の衛星から当該衛星が保持するルーティング情報を受信し、受信したルーティング情報に基づいて保持しているルーティング情報を更新する、ことを特徴とする請求項1に記載の衛星通信装置。
【請求項3】
他の衛星から伝送データと前記伝送データに対する要求誤り率と前記伝送データが地上局へ送信された1つ以上の伝搬路における前記伝送データの総合の誤り率である総合誤り率とを受信する衛星受信部と、
前記伝送データを地上局へ送信する地上局送信部と、
自装置と地上局との間の伝搬路における気象状態を示す伝搬路状態情報を取得する伝搬路状態情報取得部と、
前記伝搬路状態情報に基づいて前記伝搬路における伝搬損失を求め、前記伝搬損失に基づいて前記伝送データの誤り率を求め、求めた誤り率と前記総合誤り率とに基づいて総合誤り率を更新し、更新後の前記総合誤り率が前記要求誤り率を超えるか否かを判断する伝送制御部と、
前記伝送制御部により前記総合誤り率が前記要求誤り率を超えると判断された場合に、前記伝送データの送信元以外の他の衛星に前記伝送データと更新後の前記総合誤り率と前記要求誤り率とを送信し、当該衛星に対して前記伝送データの地上局への送信を指示する衛星送信部と、
を備えることを特徴する衛星通信装置。
【請求項4】
前記衛星受信部は、前記伝送データとともに前記伝送データの宛先衛星の識別情報を受信し、
前記伝送制御部は、宛先衛星ごとの、前記宛先衛星までの経路上の衛星が前記伝送データを地上局へ送信する場合に前記伝送データが地上局へ送信される1つ以上の伝搬路における前記伝送データの総合の誤り率である総合誤り率と、前記宛先衛星までホップ数、または前記伝送データを自衛星が送信してから前記宛先衛星が地上局へ送信するまでの伝送遅延時間と、前記宛先衛星までの経路上の次ホップ衛星と、を含むルーティング情報を保持し、保持しているルーティング情報に格納されている受信した前記識別情報に対応する宛先衛星の前記総合誤り率が、前記要求誤り率を超えると判断した場合は、前記宛先衛星のうち前記伝送データの送信元以外の前記ルーティング情報に格納されている前記総合の誤り率が最小となる宛先衛星を選択し、選択した宛先の次ホップ衛星へ前記伝送データと選択した前記宛先衛星の識別情報とを送信し、
前記衛星送信部は、保持しているルーティング情報を他の衛星へ送信し、
前記衛星受信部は、他の衛星から当該衛星が保持するルーティング情報を受信し、受信したルーティング情報に基づいて保持しているルーティング情報を更新する、ことを特徴とする請求項3に記載の衛星通信装置。
【請求項5】
前記伝搬路状態情報取得部は、前記地上局送信部が前記伝送データを送信する送信方向と同一方向へ電磁波を送信し、前記電磁波の散乱波を検出する大気状態監視センサ、
を備え、
前記大気状態監視センサは、前記散乱波に基づいて伝搬路状態情報を取得する、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の衛星通信装置。
【請求項6】
前記伝搬路状態情報を雲の位置と雲量とを含む気象情報とし、
前記伝搬路状態情報取得部は、自装置が搭載される衛星が備える気象レーダの測定結果を前記気象情報として取得する、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の衛星通信装置。
【請求項7】
前記伝搬路状態情報を雲の位置と雲量とを含む気象情報とし、
前記伝搬路状態情報取得部は、気象衛星または地上局から前記気象情報を受信する、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の衛星通信装置。
【請求項8】
請求項1に記載の無線通信装置を搭載し、伝送データの送信元となる送信元衛星と、
請求項3に記載の無線通信装置を搭載し、前記伝送データを前記送信元衛星からまたは前記伝送データを中継する衛星から受信し、受信した前記伝送データを地上局へ送信する中継衛星と、
を備えることを特徴とする衛星通信システム。
【請求項9】
衛星に搭載され地上局へ伝送データを送信する衛星通信装置における衛星通信方法であって、
前記伝送データを地上局へ送信する地上局送信ステップと、
自装置と地上局との間の伝搬路における気象状態を示す伝搬路状態情報を取得する伝搬路状態情報取得ステップと、
前記伝搬路状態情報に基づいて前記伝搬路における伝搬損失を求め、前記伝搬損失に基づいて前記伝送データの誤り率を求め、求めた誤り率が前記伝送データに要求される要求誤り率を超えるか否かを判断する伝送制御ステップと、
前記伝送制御ステップで前記求めた誤り率が前記要求誤り率を超えると判断された場合に、他の衛星に前記伝送データを送信し、当該衛星に対して前記伝送データの地上局への送信を指示する衛星送信ステップと、
を含むことを特徴する衛星通信方法。
【請求項10】
2以上の衛星を備える衛星通信システムにおける衛星通信方法であって、
地上局へ送信する伝送データを生成する前記衛星である送信元衛星が、前記伝送データを地上局へ送信する第1の地上局送信ステップと、
前記送信元衛星が、自衛星と地上局との間の伝搬路における気象状態を示す第1の伝搬路状態情報を取得する第1の伝搬路状態情報取得ステップと、
前記送信元衛星が、前記伝搬路状態情報に基づいて前記伝搬路における伝搬損失を求め、前記伝搬損失に基づいて前記伝送データの誤り率を求め、求めた誤り率を総合誤り率とし、前記総合誤り率が前記伝送データに要求される要求誤り率を超えるか否かを判断する第1の伝送制御ステップと、
前記送信元衛星が、前記伝送制御ステップで前記求めた誤り率が前記要求誤り率を超えると判断された場合に、他の前記衛星に前記伝送データと前記総合誤り率と前記要求誤り率とを送信し、当該衛星に対して前記伝送データの地上局への送信を指示する第1の衛星送信ステップと、
前記第1の衛星送信ステップで送信された前記伝送データと前記総合誤り率と前記要求誤り率とを受信した前記衛星である中継衛星が、前記伝送データを地上局へ送信する第2の地上局送信ステップと、
前記中継衛星が、自衛星と地上局との間の伝搬路における気象状態を示す伝搬路状態情報を取得する第2の伝搬路状態情報取得ステップと、
前記第2の伝搬路状態情報取得ステップで取得した前記伝搬路状態情報に基づいて自衛星と地上局との間の伝搬路における伝搬損失を求め、前記伝搬損失に基づいて前記伝送データの誤り率を求め、求めた誤り率と前記総合誤り率とに基づいて総合誤り率を更新し、更新後の前記総合誤り率が前記要求誤り率を超えるか否かを判断する第2の伝送制御ステップと、
前記第2の伝送制御ステップで前記総合誤り率が前記要求誤り率を超えると判断された場合に、前記伝送データの送信元以外の他の前記衛星に前記伝送データと更新後の前記総合誤り率と前記要求誤り率とを送信し、当該衛星に対して前記伝送データの地上局への送信を指示する第2の衛星送信ステップと、
を含み、
前記第2の衛星送信ステップで送信された前記伝送データと前記総合誤り率と前記要求誤り率と受信した前記衛星である前記衛星が、前記第2の地上局送信ステップ、前記第2の伝搬路状態情報取得ステップ、前記第2の伝送制御ステップおよび前記第2の衛星送信ステップを実施する、ことを特徴する衛星通信方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−114801(P2012−114801A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−263639(P2010−263639)
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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