説明

衛生洗浄便座

【課題】 便座を使用しない時の待機電力を削減する事を目的とするものである。
【解決手段】 本体ケースに、便座とこの便座を被覆する便蓋とを開閉自在に枢支すると共に、本体ケースに、人体の局部に向けて洗浄水を噴射する洗浄ノズルと、この洗浄ノズルへ洗浄水を供給する給水手段と、洗浄水を加熱する温水ヒータと、この温水ヒータや給水手段等を制御する制御手段を設けたものにおいて、この制御手段への電源回路に便蓋の開閉に連動する便蓋スイッチを直列接続すると共に、この便蓋スイッチに自己保持用のリレー接点を並列接続し、かつ制御手段を、便蓋スイッチが開いてから所定時間後にリレー接点を開く様に構成して成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に洋式便器に装着して使用され、便座に着座した人体の肛門等の局部に向けて洗浄水を噴出する洗浄ノズルを備えた衛生洗浄便座に関する。
【背景技術】
【0002】
肛門等の局部に向けて洗浄水を噴出する洗浄ノズルを備えた衛生洗浄便座では、不使用時の待機電力の消費が問題となり、例えば特許文献1に示される様に、過去の使用状態を記憶し、記憶した使用状況に応じて使用頻度の少ない時間帯は通電を停止する様に構成したものがある。
【特許文献1】特開2002−294813号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
然しながら、過去の使用状況の記憶に際しては、その記憶期間に応じてメモリ等の記憶素子の容量が多くなり、コストアップを招くという問題がある。又、使用状況に応じて通電を停止する時間帯を設定する算出に際しても、不規則に使用されるケースもあり、算出基準の設定が複雑となり、場合によっては効果が得られない場合も考えられる。
【0004】
そこで本発明は、比較的簡単な構成にて、より確実に不使用時の消費電力を低減する事を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1の構成は、本体ケースに、便座とこの便座を被覆する便蓋とを開閉自在に枢支すると共に、本体ケースに、人体の局部に向けて洗浄水を噴射する洗浄ノズルと、この洗浄ノズルへ洗浄水を供給する給水手段と、洗浄水を加熱する温水ヒータと、この温水ヒータや給水手段等を制御する制御手段を設けたものにおいて、この制御手段への電源回路に便蓋の開閉に連動する便蓋スイッチを直列接続すると共に、この便蓋スイッチに自己保持用のリレー接点を並列接続し、かつ制御手段を、便蓋スイッチが開いてから所定時間後にリレー接点を開く様に構成したものである。
【0006】
本発明の請求項2の構成は、請求項1の構成において、便座内に便座ヒータを内蔵すると共に、この便座ヒータを面状ヒータで構成して成るものである。
【0007】
本発明の請求項3の構成は、請求項1〜請求項2の構成において、本体ケース内に脱臭機構を配設すると共に、この脱臭機構の脱臭ファンをリレー接点に直列接続したものである。
【0008】
本発明の請求項4の構成は、請求項1〜請求項3の構成において、洗浄水を加熱する温水ヒータ部分を瞬間式の熱交換器により構成したものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の請求項1に記載の構成により、不使用時には便蓋を閉じることで、これを便蓋スイッチにて検出し、便蓋が閉じられると、閉じられてから所定時間後にリレー接点を開いて制御手段等への通電を停止する様に構成したことで、便蓋が閉じられて使用しない場合には、制御回路等への通電を停止して節電を行う事が出来るものである。
【0010】
本発明の請求項2に記載の構成により、請求項1の構成において、便座に内蔵した便座用ヒータを面状ヒータで構成することで、便蓋を開いて便座用ヒータに通電を開始してから便座の表面が加熱される迄の時間を短縮し、着座する人の使用感を向上する事が出来るものである。
【0011】
本発明の請求項3に記載の構成により、脱臭機構の脱臭ファンをリレー接点に直列接続したことで、脱臭ファン制御用のスイッチング素子が不要となり、部品点数の削減によるコストダウンを図る事が出来るものである。
【0012】
本発明の請求項4に記載の構成により、洗浄水を加熱するヒータ部分を瞬間式の熱交換器にて構成したことで、長時間便座を使用しない場合でも、温水にておしりを洗浄する事が出来るものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の実施例を先ず図1及び図2に基づき説明すると、1は洋式便器2の上に着脱自在或いは着脱可能に載置された衛生洗浄便座で、本体ケース3に便座4と便蓋5とを上下方向に開閉自在に枢支している。
【0014】
又、上記本体ケース3内には、上記便座4に着座した人体の局部に向けて洗浄水を噴出する洗浄ノズル6を伸縮自在に収納配置していると共に、この洗浄ノズルに洗浄用の温水を供給する温水タンク7や、洗浄ノズル6からの温水の噴出を制御するバルブ8、このバルブを制御する制御手段9、脱臭機構10等を内蔵している。
【0015】
更に上記本体ケース3の一方の側面には給水管11を突設し、この給水管にフレキシブルな配管ホース12を接続していると共に、この配管ホースは、分岐水栓13を介して市水等の水道管14に接続している。
【0016】
又、上記本体ケース3の一方の側面には、前方が上記便座4の側面に沿って延設された操作部15を一体的に形成し、この操作部の上面には操作パネル16を配置している。
【0017】
図3は上記制御手段9を構成する回路図を示すもので、商用電源20に上記便蓋5の開閉に連動し、便蓋が開くと切片21を閉じ便蓋が閉じると切片21を開く便蓋スイッチ22を介して制御回路23を接続していると共に、上記便蓋スイッチ22には制御回路23の出力により開閉する自己保持用のリレー接点24を並列接続している。
【0018】
又、上記制御回路23は、例えばマイクロコンピュータにて構成し、その入力回路に上記便座4への人体の着座を検出する着座スイッチ25と各種データを記憶するメモリ26を接続し、このメモリは電源を供給しなくてもデータを記憶する不揮発性メモリにて構成している。
【0019】
更に上記商用電源20には、上記制御回路23の出力により各々制御されるスイッチング素子27,28,29,30を介して便座ヒータ31、温水ヒータ32、脱臭ファン33、給水手段となる上記洗浄バルブ8を接続している。
【0020】
尚、上記便座ヒータ31は便座4内に内蔵されて便座の表面を設定温度(例えば30℃〜41℃)に加熱し、温水ヒータ32は上記温水タンク7内に内蔵されてこの温水タンク内に貯水された水を設定温度(例えば35℃〜41℃)に加熱し、脱臭ファン33は上記脱臭機構10に内蔵され上記洋式便器2内の空気を脱臭剤に循環して脱臭し、洗浄バルブ8は上記洗浄ノズル6からの洗浄水の噴出を制御するものである。
【0021】
而して、便蓋5が閉じた状態では、上記の図3にて示す様に便蓋スイッチ22が開いている為制御回路23に通電されず、全てのヒータや回路部品には通電されない。
【0022】
そこで、例えば図4のT1にて便蓋5が開かれると、図5にても示す様に便蓋スイッチ22が閉じて制御回路23に通電され、これにより制御回路の出力にてリレー接点24が閉じると共に、スイッチング素子27,28,29,30をオンして便座ヒータ31、温水ヒータ32、脱臭ファン33に通電する。
【0023】
この時制御回路23は、通電開始と同時にメモリ26から各種データを取り込み、予め設定された便座温度や温水温度に応じて便座ヒータ31や温水ヒータ32への電力を制御し、これらを設定温度に調整する。
【0024】
又、図4中のT2にて着座スイッチ25がオンして便座4への着座を検出した後、T3にて操作パネル16の例えばおしりスイッチ35がオン操作されると、洗浄バルブ8を制御して洗浄ノズル6から洗浄水を噴射し、T4にて停止スイッチ36がオン操作されると洗浄ノズル6からの噴射を停止する。
【0025】
次いで、T5にて人体が便座4から立ち上がって着座スイッチ25がオフすると、スイッチング素子27,28をオフして便座ヒータ31や温水ヒータ32への通電を停止し、その後T6にて便蓋5が閉じられて図6に示す様に便蓋スイッチ22がオフすると、リレー接点24を通じて制御回路23に通電し、この制御回路は、便蓋スイッチ22が閉じてから所定時間(例えば1分)の間スイッチング素子29をオンして脱臭ファン33のみに通電して脱臭した後、T7にてリレー接点24への通電を停止して全ての回路への通電を停止する。
【0026】
これらの構成により、便蓋5が閉じている場合には全ての回路部品への通電を停止することで、衛生洗浄便座1を使用しない場合の消費電力を削減し、大幅に所謂待機時の消費電力を低減する事が出来るものである。
【0027】
尚、上記実施例では、着座スイッチ25がオフすると便座ヒータ31や温水ヒータ32への通電を停止する様に構成しているが、これに限定されることなく、着座スイッチ25がオフした後所定時間はこれらヒータへの通電を継続したり、便蓋スイッチ22がオフすると通電を停止する様に構成しても良く、これにより一度立ち上がった後、再度着座した場合の便座4温度や温水温度の低下による不快感を防止できるものである。
【0028】
更に上記実施例では、便蓋スイッチ22がオフすると脱臭ファン33のみ所定時間運転を継続する様に構成しているが、これに限定されることなく、便蓋スイッチ22がオフした後所定時間は便座ヒータ31や温水ヒータ32への通電を継続したり、気温を検出し、気温が低い場合のみこれらヒータへの通電を継続する様に構成しても良く、これにより、前の人が使用した短時間後に次の人が使用した場合には、便座4温度や温水温度を設定温度に維持し、快適に使用する事ができるものである。
【0029】
図7は本発明の他の実施例を示すもので、上記リレー接点24に脱臭ファン33を直列接続しており、これにより、脱臭ファン33制御用のスイッチング素子29が不要になるものである。
【0030】
又、上記便座ヒータ31に、通電から短時間に温度が上昇する半導体ヒータ等の面状ヒータを使用することで、便蓋スイッチ22がオンしてから便座4に着座する迄の短時間の間に便座4を加熱し、使用感を向上する事が出来る。尚、上記便蓋スイッチ22は、便蓋5の開き始めにオンする様に構成、或いは衛生洗浄便座1に人体が接近するとオンする様に構成することで、便座4表面や洗浄用の温水温度の上昇を早め、使用感を向上できるものである。
【0031】
更に、上記実施例では温水タンク7内に温水ヒータ32を内蔵した貯湯式を用いているが、例えば銅や真鍮等の熱伝導率金属で構成した通水管の周囲に電気ヒータを巻いて構成した所謂瞬間加熱式の熱交換器により構成しても良く、これにより、便座4に着座してから短時間後に洗浄操作が行われて洗浄ノズル6から洗浄水を噴射しても、冷水の噴出を極力防止して使用感を向上する事が出来るものである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施例を示す斜視図である。
【図2】同じく要部の側面縦断面図である。
【図3】同じく制御手段の実施例を示す回路図である。
【図4】同じく制御手段の動作を示すタイムチャートである。
【図5】同じく制御手段の動作を示す回路図である。
【図6】同じく制御手段の動作を示す回路図である。
【図7】同じく制御手段の他の実施例を示す回路図である。
【符号の説明】
【0033】
3 本体ケース
4 便座
5 便蓋
6 洗浄ノズル
8 洗浄バルブ(給水手段)
9 制御手段
10 脱臭機構
22 便蓋スイッチ
24 リレー接点
31 便座ヒータ
32 温水ヒータ
33 脱臭ファン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケースに、便座とこの便座を被覆する便蓋とを開閉自在に枢支すると共に、上記本体ケースに、人体の局部に向けて洗浄水を噴射する洗浄ノズルと、この洗浄ノズルへ洗浄水を供給する給水手段と、上記洗浄水を加熱する温水ヒータと、この温水ヒータや給水手段等を制御する制御手段を設けたものにおいて、この制御手段への電源回路に上記便蓋の開閉に連動する便蓋スイッチを直列接続すると共に、この便蓋スイッチに自己保持用のリレー接点を並列接続し、かつ上記制御手段を、便蓋スイッチが開いてから所定時間後に上記リレー接点を開く様に構成した事を特徴とする衛生洗浄便座。
【請求項2】
上記便座内に便座ヒータを内蔵すると共に、この便座ヒータを面状ヒータで構成した事を特徴とする、上記請求項1に記載の衛生洗浄便座。
【請求項3】
上記本体ケース内に脱臭機構を配設すると共に、この脱臭機構の脱臭ファンを上記リレー接点に直列接続した事を特徴とする、上記請求項1〜2に記載の衛生洗浄便座。
【請求項4】
上記洗浄水を加熱する温水ヒータ部分を瞬間式の熱交換器により構成した事を特徴とする、上記請求項1〜3に記載の衛生洗浄便座。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−274568(P2006−274568A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−91805(P2005−91805)
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(302071092)テガ三洋工業株式会社 (244)
【Fターム(参考)】