説明

衝撃吸収シート

【課題】 高速度の衝撃に対しても低速度の衝撃に対しても優れた衝撃吸収性を発揮することができ、画像表示装置等への装着が容易である衝撃吸収シートを提供すること。また、上記衝撃吸収シートを用いた画像表示装置を提供すること。
【解決手段】 ゴム系発泡体の単層又は積層体からなる衝撃吸収体のすくなくとも一面に、厚さが0.3mm以上の粘着層を積層した衝撃吸収シート。上記ゴム系発泡体の気泡構造は、超臨界状態の不活性流体の気化により形成されており、粘着層は気泡を含有する気泡含有粘着層であることが望ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衝撃吸収シートと、これを装着した画像表示装置とに係わるものである。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯用画像表示装置は、例えば図2に示すように、ケース21内に画像表示パネル22を配置し、その視認側には画像表示パネル22を保護するために透明前面板23を設けている。透明前面板23を配置する際には、画像表示パネル22と透明前面板23との間に空隙20を設け、この空隙20に衝撃吸収シート1を配置し、外部衝撃力が画像表示パネル22に直接作用するのを防ぐと共に、塵が外部環境や内部部材から進入又は発生し、これにより視認性が低下するのを防いでいる。
【0003】
しかし、従来の衝撃吸収シートは、圧縮反発力が高いためにケースや画像表示パネルに歪みを生じさせたり、衝撃吸収性が低いために外部からの衝撃により画像表示パネルが破壊するなどの問題がある。例えば、衝撃吸収体として連続気泡発泡体を用いた場合は、衝撃に対して厚さ変化が大きいため、高速の衝撃が与えられたときには発泡体が底付きする。また、独立気泡発泡体を用いた場合は、発泡体にソフト感が無く、特に低速の衝撃が与えられたときは衝撃を充分に吸収せず、画像表示パネルを破壊する問題が生じやすい。
【0004】
このような欠点を解消し、衝撃吸収性が高く、反発性の低い衝撃吸収シートとして、独立気泡を有する発泡体層と、連続気泡を有する発泡体層とを積層した衝撃吸収シートが開示されている(特許文献1、2参照)。しかし、これらの衝撃吸収シートは、十分な衝撃吸収性を発現せず、特に押圧等による衝撃(低速度変形)が加えられた場合には、ケースの凹凸などが原因となって画像表示パネルに破損が生じたり、塵の進入又は発生により外観不良を起こすなどの問題がある。
また、衝撃吸収シートの中には有害なガスを発生するものもあり、環境汚染を引き起こすことなく製造、使用できる高性能な衝撃吸収シートの開発が望まれている。
【0005】
【特許文献1】特開平7−241951号公報
【特許文献2】実開平6−46941号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上記問題に鑑み、高速度の外部衝撃に対しても低速度の外部衝撃に対しても優れた衝撃吸収性を発揮し、しかも画像表示装置の内部等に装着が容易である衝撃吸収シートを提供することである。本発明の目的は又、上記衝撃吸収シートを装着した、衝撃によって画像表示パネルやケース等に破壊や歪みを生じにくい画像表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達するために鋭意検討した結果、ゴム系発泡体と粘着層を組み合わせることにより、衝撃による厚み変化によって引き起こされる底付きの問題や、反発力の問題を解消でき、高速度の外部衝撃に対しても低速度の外部衝撃に対しても高い衝撃吸収効果を発揮できる衝撃吸収シートが得られることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち本発明は、ゴム系発泡体の単層または積層体からなる衝撃吸収体のすくなくとも一面に厚さが300μm以上の粘着層を有した衝撃吸収シートを提供する。
【0009】
本発明の衝撃吸収シートのゴム系発泡体の密度は、0.01〜0.5g/cm3であることが好ましい。
【0010】
ゴム系発泡体は、ゴム弾性を示すポリマーに超臨界状態の不活性流体を高圧下で含浸させた後、減圧する工程を経て形成された発泡体であることが望ましい。
【0011】
粘着層としては、気泡を含有する発泡粘着層が好適である。粘着層の20℃での動的せん断弾性率は1×107Pa以下であることが望ましい。
【0012】
本発明は又、画像表示パネルの視認側に、画像表示パネルを保護するための透明前面板を配置し、これらをケースに収納してなる画像表示装置であって、画像表示パネルと透明前面板の間に設けた空隙に上記衝撃吸収シートを粘着面を介して装着した画像表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の衝撃吸収シートは、低速度の衝撃に対しても高速度の衝撃に対しても優れた衝撃吸収性を発揮する。画像表示パネルの視認側に、画像表示パネルを保護するための透明前面板を配置し、これらをケースに納めてなる画像表示装置において、本発明の衝撃吸収シートを画像表示パネルと透明前面板の間に設けた空隙に粘着面を介して装着した場合は、外部からの衝撃による画像表示パネルの割れを防止する効果が高く、画像表示パネルの画像の歪みやケースの歪みを生じさせにくい設計をすることが可能である。又、本発明の衝撃吸収シートは、粘着面を有するため携帯用画像表示装置等への取り付けに際して、接着剤を別に必要とせず、取り付け作業が簡単である。そのため、低コスト化にも貢献できる。さらに又、装置内外からの塵の進入又は発生を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面を参考にして説明する。
図1は、本発明の衝撃吸収シートの一例を示した断面図である。図1において衝撃吸収シート1は、衝撃吸収体11と粘着層12から構成されている。粘着層12の一面側12aは、感圧接着性を有する接着面である。衝撃吸収シート1において衝撃吸収体11を有していると、外部衝撃を良好に吸収し、画像表示パネルの画像の歪みやケースの歪みも効果的に防止する。衝撃吸収シート1において粘着層12を有していることにより、高速の衝撃に対しても、低速の衝撃に対しても衝撃緩和性を発現できるようになり、画像表示パネルの破損を効果的に防止する。衝撃吸収シート1の厚さは通常0.7〜5.0mm、好ましくは1.0〜2.5mmである。衝撃吸収シート1の厚さが0.7mmに満たない場合は、十分な衝撃吸収効果が得られにくい。厚さが5mmを超えると、衝撃吸収シートを携帯用画像表示装置等の内部に装着した場合、衝撃吸収シートの反発力等によりケースや画像表示パネルに歪みが生じやすい。
【0015】
[衝撃吸収体]
衝撃吸収体11は、気泡構造を有し、ゴム弾性を示すポリマーにより構成されるゴム系発泡体の単層又は積層体からなる層である。ゴム系発泡体はクッション性に優れており、外部衝撃を良好に吸収する。衝撃吸収体の厚さは特に制限されないが、通常0.3〜2.0mm程度、好ましくは0.8〜2.0mm程度であるのがよい。
【0016】
ゴム系発泡体を構成するポリマーとしては、ゴム弾性を示すポリマーであれば特に限定されず、例えば、天然ゴムや、各種合成ゴム(イソプレンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム)などを使用できる。特に、常温ではゴムとしての性質を示し、高温では熱可塑性を示す熱可塑性エラストマーは、成形作業や気泡構造の制御等が容易であるため、本発明において特に好適に用いられる。このような熱可塑性エラストマーとしては、例えば、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのオレフィン系エラストマー;スチレン−イソプレン−スチレン共重合体、スチレン−イソプレン−ブタジエン−スチレン共重合体などのスチレン系エラストマー;ポリエステル系エラストマー;ポリウレタン系エラストマーなどが挙げられる。これらのポリマーは単独で使用してもよく、2種以上混合して使用してもよい。
【0017】
本発明のゴム系発泡体を構成するポリマーとして、上記ゴム弾性を示すポリマーとゴム弾性を示さないポリマーとの混合物を使用することもできる。このような混合物として、例えば、エチレン−プロピレン共重合体等のオレフィン系エラストマーとポリプロピレン等のオレフィン系重合体との混合物などが挙げられる。ゴム弾性を示すポリマーとゴム弾性を示さないポリマーとの混合物を用いる場合、その混合比率は特に制限されず、例えば、前者/後者=1/99〜99/1、好ましくは前者/後者=30/70〜90/10程度である。
【0018】
ゴム系発泡体の気泡構造は、連続気泡構造であっても独立気泡構造であってもよく、また両者が混在していてもよく、特に制限されない。しかし、独立気泡構造のみからなるゴム系発泡体は反発弾性が高くなりやすく、このようなゴム系発泡体を有する衝撃吸収シートを携帯用画像表示装置等に装着した場合、衝撃吸収シートの反発弾性により画像表示パネルやケースに歪み等を生じる問題が起こりやすくなる。このため、ゴム系発泡体は連続気泡構造を有しているのが好ましい。
【0019】
ゴム系発泡体の密度(見掛け密度)は0.01〜0.50g/cm3(より好ましくは0.3〜0.5g/cm3)であるのが望ましい。密度をこの範囲内とすることにより、柔軟性と反発弾性のバランスのよいゴム系発泡体となり、特に押圧等による衝撃(低速度変形)を効果的に緩衝できる。密度が0.01g/cm3未満であるとゴム系発泡体が柔らかくなりすぎてクッション性や防塵性に劣ることとなり、密度が0.50g/cm3より大きいと柔軟性に欠き、曲面等への追従性に欠けることとなり、それによってクッション性や防塵性に劣ることとなる。
【0020】
ゴム系発泡体の気泡径(平均気泡径)は特に制限されず、通常0.1〜1000μm(好ましくは50〜500μm)程度である。
【0021】
ゴム系発泡体に気泡構造を形成する方法としては、物理的方法、化学的方法等、発泡形成に通常用いられる方法が採用できる。一般的な物理的方法は、クロロフルオロカーボン類、又は炭化水素類などの低沸点液体(発泡剤)をポリマーに分散させ、次に加熱して発泡剤を揮発させることにより気泡を形成させるものである。また化学的方法は、ベースポリマーに添加された化合物(発泡剤)の熱分解により生じたガスにより気泡を形成し、発泡体を得る方法である。
【0022】
本発明においては、高圧の不活性流体を発泡剤として用いる方法、例えば、熱可塑性エラストマーに、高圧の不活性流体を含浸させた後、減圧する工程を経て、発泡体を形成する方法により気泡構造を形成するのが好ましい。前述のような一般的な物理的方法による発泡方法では、発泡剤として用いられる物質の可燃性や毒性、及びオゾン層破壊などの環境への影響が懸念される。また、化学的方法による発泡方法では、発泡ガスの残渣が発泡ガス中に残存するため、腐食性ガスやガス中の不純物による汚染が問題となる。高圧の不活性流体を発泡剤として用いる方法によれば、このような汚染の問題が無くなる上、気泡構造の制御が容易であり、微細な気泡を形成することも可能である。
【0023】
このように、本発明では、ゴム系発泡体の製造方法としては、高圧の不活性流体を発泡剤として用いる方法を利用した製造方法が好適であり、ゴム弾性を示すポリマー、例えば熱可塑性エラストマーに、高圧の不活性流体を含浸させた後、減圧する工程を経て、発泡体を形成する方法を好適に採用することができる。なお、不活性流体を含浸させる際には、予めシート状に成形した未発泡成形物に不活性流体を含浸させてもよく、また、溶融したポリマーに不活性流体を加圧状態下で含浸させてもよい。
【0024】
上記不活性流体としては、使用するポリマーに対して不活性で且つ含浸可能なものであれば特に制限されず、例えば、ヘリウム、アルゴン等の希ガス類、窒素、二酸化炭素等の無機性ガス類などが挙げられる。これらの中でも二酸化炭素は、高分子材料に対する親和性が比較的高く、且つ環境への影響が少なく、コスト的にも有利であることから、もっとも好適に使用できる。
【0025】
ポリマーに含浸させる際の不活性流体は超臨界状態であるのが好ましい。超臨界状態ではポリマーへの不活性流体の溶解度が増大し、高濃度の混入が可能である。なお、二酸化炭素の臨界温度は31℃、臨界圧力は7.4MPaである。
【0026】
ゴム系発泡体を形成する際、必要に応じて添加剤を添加してもよい。添加剤の種類は特に限定されず、発泡成形に通常使用される各種添加剤を用いることができる。このような添加剤として、例えば、気泡核剤、結晶核剤、可塑剤、着色剤(顔料、染料等)、紫外線吸収剤、酸化防止剤、老化防止剤、充填剤、補強剤、難燃剤、加硫剤、表面処理剤などが挙げられる。添加剤の添加量は、気泡の形成等を損なわない範囲で適宜選択でき、通常のゴム系発泡体に用いられる添加量を採用できる。
【0027】
高圧の不活性流体を含浸させることによりポリマーを発泡させる場合、具体的には、ポリマーに不活性流体を高圧下で含浸させる不活性流体含浸工程、該工程後に圧力を低下させてポリマーを発泡させる減圧工程、及び必要に応じて加熱により気泡を成長させる加熱工程により気泡を形成する。この場合、前述のように、予め成形した未発泡成形物に不活性流体を含浸させてもよく、また、溶融したポリマーに不活性流体を加圧下で含浸させた後、減圧と同時に成形に付してもよい。これらの工程は、バッチ方式、連続方式のいずれの方式で行ってもよい。
【0028】
バッチ方式による場合は、例えば以下のようにして発泡体を形成できる。まず、単軸押出機、二軸押出機等の押出機を使用して、熱可塑性エラストマー等のポリマーを押し出すことにより未発泡成形物(発泡体成形用ゴムシート等)を形成する。あるいは、ローラ、カム、ニーダ、バンバリ形の羽尾を設けた混練機を使用してポリマーを均一に混練しておき、これを熱板のプレス機を用いてプレス成形し、未発泡成形物(発泡体成形用ゴムシート等)を形成する。そして、得られた未発泡成形物を耐圧容器中に入れ、高圧の不活性流体を導入し、該不活性流体を未発泡成形物中に含浸させる。この場合、未発泡成形物の形状は特に限定されず、ロール状、板状等のいずれであってもよい。また、高圧の不活性流体の導入は連続的に行ってもよく不連続的に行ってもよい。十分に高圧の不活性流体を含浸させた時点で圧力を解放し(通常、大気圧まで)、ポリマー中に気泡核を発生させる。気泡核はそのまま室温で成長させてもよく、必要に応じて加熱することによって成長させてもよい。加熱の方法としては、例えば、ウォーターバス、オイルバス、熱ロール、熱風オーブン、遠赤外線、近赤外線、マイクロ波などが挙げられる。このようにして気泡を成長させた後、冷水などにより急激に冷却し、形状を固定化する。
【0029】
一方、連続方式によれば、例えば、以下のようにして発泡体を形成できる。ポリマーを耐圧単軸押出機、耐圧二軸押出機等の耐圧押出機を使用して混練しながら高圧の不活性ガスを注入し、ガスを十分にポリマー中に含浸させた後、必要に応じて発泡に適した温度まで冷却し、ダイス等から押し出してシート状に成形すると同時に圧力を解放し(通常、大気圧まで)、発泡と成形とを同時に行い、場合によっては加熱することにより気泡を成長させる。気泡を成長させた後、冷水などにより急激に冷却し、形状を固定化する。
【0030】
前記不活性流体含浸工程における圧力は、通常6MPa以上(例えば6〜100MPa程度)である。圧力が6MPaより低い圧力領域では、含浸圧力を少し変化させるだけで気泡径、気泡密度が大きく変わるため、気泡径、気泡密度の制御が困難になりやすい。
【0031】
不活性流体の混合量は特に制限されないが、通常ゴム系発泡体を構成するポリマー全重量に対して2〜10重量%程度である。ゴム系発泡体の密度や、反発弾性などの特性が所望の値となるように調節して混合することができる。
【0032】
不活性流体含浸工程における温度は、用いる不活性流体やポリマーの種類等によって異なり、広い範囲で選択できるが、操作性等を考慮した場合、例えば、10〜350℃程度である。例えば、上記バッチ方式により、シート状などの未発泡成形物に不活性流体を含浸させる場合の含浸温度は、通常10〜200℃好ましくは40〜200℃程度である。また、上記連続方式により、溶融ポリマーに不活性流体を含浸させる場合の含浸温度は、60〜350℃が一般的である。なお、不活性流体として二酸化炭素を用いる場合には、超臨界状態を維持するため、含浸時の温度は32℃以上、特に40℃以上であるのが好ましい。
【0033】
前記減圧工程において、減圧速度は特に限定されないが、通常5〜300MPa/秒程度である。また、前記加熱工程における加熱温度は、通常40〜250℃程度、好ましくは60〜250℃程度である。
【0034】
上記ゴム系発泡体の密度(見掛け密度)は、用いる不活性流体やポリマーの種類などに応じて、例えば不活性流体含浸工程における温度、圧力、時間などの操作条件、減圧工程における減圧速度、温度、圧力などの操作条件、減圧後の加熱温度などを適宜選択設定することにより調整することができる。
【0035】
尚、ゴム系発泡体は2枚以上の発泡体を重ね合わせた積層体であってもよい。ゴム系発泡体の積層数や各々のゴム系発泡体の厚みは、総厚が5.0mmを超えない範囲であるのが好ましく、通常0.4〜5.0mm、より好ましくは0.6〜2.0mmとするのがよい。積層数が増えるとコストが高くなるため、通常10層以下とするのがよい。ゴム系発泡体を積層体とする場合は、シート状に成形したゴム系発泡体を適宜な接着剤等を用いて貼り合わせればよい。
【0036】
[粘着層]
本発明の衝撃吸収シート1は、上記衝撃吸収体11の少なくとも一面に粘着層12を有する。この粘着層12は、特に高速度の衝撃を吸収する効果が高い。これにより、高速度の衝撃も低速度の衝撃も良好に緩和することができる衝撃吸収シートが得られる。
【0037】
粘着層12の厚さは0.3mm以上(例えば0.3〜3.0mm)、好ましくは0.4mm以上(例えば0.4〜3.0mm)である。粘着層12の厚さが0.3mm未満であると、特に高速度の衝撃に対する吸収力が劣る。
【0038】
粘着層12としては、粘着性を有し、フィルム形成加工が可能なポリマーを何れも用いることができるが、粘着層の20℃での動的せん断弾性率が1×107Pa以下(例えば1×103〜1×107Pa)、より好ましくは1×105Pa以下(例えば1×103〜1×105MPa)となるようなポリマーを用いることが好ましい。粘着層の20℃での動的せん断弾性率が1×107Paより大きいと、高速度の衝撃に対する吸収力が劣る場合がある。また、感圧接着性を有するポリマーを用いると、衝撃吸収シートを携帯用画像表示装置等に装着する際、接着剤を別に必要としないため作業性もよく、内外部からの塵の進入又は発生を防止する効果等も得られるため、さらに好適である。このようなポリマーとしては、例えばシリコーン系、ポリエステル系、ウレタン系、アクリル系、ゴム系(天然ゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、スチレンブタジエンゴム、ブチルゴム、スチレンイソプレンブロックポリマー、シリコンゴムなどの各種合成ゴム)など種々の材料が挙げられるが、中でもアクリル系ポリマーは、被着体等への汚染や環境面での問題が少なく、分子量を調整したり架橋構造を設けたりすることにより容易に物性を調整できるため、特に好ましい。
【0039】
上記アクリル系ポリマーとしては、公知のアクリル系感圧性接着剤におけるベースポリマーを好適に用いることができる。アクリル系感圧性接着剤は、通常、ベースポリマーとして(メタ)アクリル酸エステルを単量体主成分とするアクリル系ポリマーを含有している。該アクリル系ポリマーにおいて(メタ)アクリル酸エステルは、1種のみが用いられていてもよく、2種以上が組み合わせられて用いられていてもよい。このような(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを好適に用いることができる。前記アクリル系ポリマーにおける(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリルなどの(メタ)アクリル酸C1-18アルキルエステル[好ましくは(メタ)アクリル酸C4-12アルキルエステル]などが挙げられる。これらのアクリル酸アルキルエステルにおいてアルキル基は、直鎖状のものでもよく、分岐構造を持つものでもよい。
【0040】
また、上記(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸イソプロペニルなどの(メタ)アクリル酸アルケニルエステルなどであってもよい。
【0041】
前記アクリル系ポリマーには、モノマー成分として、(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な各種の共重合性単量体が用いられていてもよい。モノマー成分として、共重合性単量体を用いることにより、例えば、光学特性や耐熱性などの物性を改善することができる。共重合性単量体は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0042】
上記共重合性単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸などのカルボキシル基含有単量体;(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピルなどの水酸基含有単量体;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドなどアミド基含有単量体;(メタ)アクリル酸アミノエチル、N,N−ジメチル(メタ)アクリル酸アミノエチルなどのアミノ基含有単量体;(メタ)アクリル酸グリシジルなどのグリシジル基含有単量体;アクリロニトリルなどのシアノ基含有単量体;N−ビニルイミダゾール、N−ビニルオキサゾール等の複素環含有ビニル系単量体;ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼンなどの多官能性単量体などが挙げられる。また、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;スチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル化合物;エチレン、ブタジエンなどのオレフィン又はジエン類なども使用することができる。
【0043】
これらの単量体は適宜な重合開始剤を用いて、溶液重合法、乳化重合法、塊状重合法など、公知の方法で重合を行うことができ、その方法は特に限定されない。本発明で用いられる比較的厚手(300μm以上)の粘着層を単層で形成するためには、例えば、以下のような方法により形成するのがよい。すなわち、単量体混合物に光重合開始剤を加え、これに紫外線などの放射線を照射して部分的に重合させ、得られた部分重合物を例えば剥離紙等の基材上に塗布するなどしてシート状に成形した後、さらに紫外線などの放射線を照射して重合を完了する。前記重合方法において、部分重合物に必要に応じてさらに光重合開始剤を加えたり、架橋剤を加えたりしてもよい。また、紫外線の代わりに、例えばα線、β線、γ線、電子線などの電離性放射線を照射してもよい。放射線の照射エネルギーや、その照射時間などは特に制限されず、光重合開始剤を活性化させて、モノマー成分の反応を生じさせることができればよい。
【0044】
上記光重合開始剤としては、例えば4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、α−ヒドロキシ−α,α′−ジメチルアセトフェノン、メトキシアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オンなどのアセトフェノン系化合物、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、アニゾインメチルエーテルなどのベンゾインエーテル化合物、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノンなどのα−ケトール系化合物、ベンジルジメチルケタールなどのケタール化合物、2−ナフタレンスルホニルクロリドなどの芳香族スルホニルクロリド化合物、1−フェノン−1,1−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシムなどの光活性オキシム系化合物、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3′−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系化合物などが挙げられる。これらの光重合開始剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0045】
上記光重合開始剤の使用量としては、特に制限されないが、例えば、粘着層中のベースポリマーを形成するための全モノマー成分100重量部に対して0.01〜5重量部(好ましくは0.05〜3重量部)の範囲から選択することができる。
【0046】
また、上記架橋剤としては、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0047】
本発明の粘着層は、気泡構造を有した気泡含有粘着層であってもよい。気泡含有粘着層は、上述した粘着層を形成するポリマーを公知の方法によって発泡させればよく特に限定されないが、気泡を混合する際の助剤として平均分子量20000以上のフッ素系ポリマーを含有するフッ素系界面活性剤を用いたものが、気泡安定性等の点から好適である。
【0048】
気泡含有粘着層に混合可能な気泡量としては、特に制限されないが、発泡倍率が2倍以上(例えば2〜2.5倍)であることが好ましい。混合される気泡は、独立気泡構造でも連続気泡構造でもよく、また、両者が混在していてもよい。また、気泡は通常、球状の形状を有しているが、いびつな形状の球状を有していてもよい。前記気泡においてその平均気泡径(直径)としては特に制限されず、例えば1〜1000μm(好ましくは10〜500μm、さらに好ましくは30〜300μm)の範囲から選択することができる。なお、気泡中に含まれる気体成分は特に制限されず、窒素、二酸化炭素、アルゴンなどの不活性ガスのほか、空気などの各種気体成分を用いることができる。
【0049】
上記フッ素系界面活性剤を構成するフッ素系ポリマーの重量平均分子量としては、20000以上であれば特に制限されないが、例えば、20000〜100000(好ましくは22000〜80000、さらに好ましくは24000〜60000)の範囲から選択することができる。フッ素系界面活性剤のフッ素系ポリマーの重量平均分子量が20000未満であると、気泡の混合性や、混合された気泡の安定性が低下する。このようなフッ素系ポリマーは、モノマー成分としてフッ素原子含有基を有するモノマーを少なくとも含有している。フッ素系モノマーは、一種のみが用いられていてもよく、2種以上が組み合わせられて用いられていてもよい。
【0050】
前記フッ素系モノマーとしては、例えばフッ素原子含有基を有するビニル系単量体を好適に用いることができる。このようなフッ素原子含有基を有するビニル系単量体において、フッ素原子含有基としては、パーフルオロ基が好適であり、該パーフルオロ基は、1価であってもよく、2価以上の多価であってもよい。これらのパーフルオロ基は他の基(例えば−O−基、−OCO−基、アルキレン基など)を介してビニル系単量体に結合していていてもよい。また、このようなパーフルオロ基等のフッ素原子含有基において、パーフルオロ基部位の炭素数としては特に制限されず、例えば1又は2以上(好ましくは3〜30、さらに好ましくは4〜20である)。
【0051】
フッ素原子含有基を有するビニル系単量体としては、例えば、パーフルオロC1-20アルキル(メタ)アクリレートなどのフッ素原子含有基を有する(メタ)アクリル酸エステルが好適である。上記パーフルオロC1-20アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシルなどが挙げられる。
【0052】
フッ素系ポリマーは、モノマー成分として、フッ素系モノマーとともに、該フッ素系モノマーと共重合可能なモノマー成分がを含んでいてもよい。例えば、フッ素系モノマーがフッ素原子含有基を有する(メタ)アクリル酸エステルである場合、共重合可能なモノマーとしては、(メタ)アクリル酸エステルを好適に用いることができ、なかでも、(メタ)アクリル酸C1-20アルキルエステルが好ましい。また、イソボルニル(メタ)アクリレートなどの脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸や、フェニル(メタ)アクリレートなどの芳香族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸なども挙げられる。さらに又、(メタ)アクリル酸、イタコン酸などのカルボキシル基含有単量体又はその無水物;ビニルスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸基含有単量体;スチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル化合物;アクリロニトリルやメタクリロニトリルなどのシアノ基含有単量体;エチレン、ブタジエン、イソプレンなどのオレフィン又はジエン類;アクリルアミドなどのアミド基含有単量体;(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルなどの水酸基含有単量体などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの単量体から1又は2種以上を選択して用いることができる。
【0053】
フッ素系界面活性剤の使用量(固形分)としては特に制限されないが、例えば、気泡含有粘着層中のベースポリマーを形成するための全モノマー成分100重量部に対して0.01〜2重量部(好ましくは0.03〜1.5重量部、さらに好ましくは0.05〜1重量部)の範囲から選択することができる。フッ素系界面活性剤の使用量がベースポリマー100重量部に対して0.01重量部未満であると、気泡の混合性が低下して充分な量の気泡を粘着層中に混合することが困難になる。
【0054】
気泡を混合する方法としては、特に制限されず、公知の気泡混合方法を利用することができる。例えば、装置の例としては、中央部に貫通孔を持った円盤上に、細かい歯が多数ついたステータと、歯のついているステータとを対向しており、円盤上にステータと同様の細かい歯がついているロータとを備えた装置などが挙げられる。この装置におけるステータ上の歯と、ロータ上の歯との間にモノマー混合物又はその部分重合物を導入し、ロータを高速回転させながら、貫通孔を通して気泡を形成させるためのガス成分をモノマー混合物又はその部分重合物に導入させることができる。
【0055】
粘着層に気泡を含有させる方法として、中空微小球状体などを粘着層に含ませる方法も好ましい。中空微小球状体としては、例えば、中空ガラスバルーンなどのガラス製の中空バルーン;中空アルミナバルーン等の金属化合物製の中空バルーン;中空セラミックバルーン等の磁器製中空バルーン;中空アクリルバルーン、中空塩化ビニリデンバルーンなどの樹脂製の中空バルーンなどが挙げられる。
【0056】
中空微小球状体の粒径(平均粒子径)としては特に制限されないが、例えば1〜500μm(好ましくは5〜200μm)の範囲から選択することができる。
【0057】
中空微小球状体の比重は特に制限されないが、例えば、0.1〜0.8g/cm3(好ましくは0.12〜0.5g/cm3)の範囲から選択することができる。
【0058】
中空微小球状体の使用量は特に限定されず、例えば粘着層中のベースポリマーを形成するための全モノマー成分に対して3〜50重量%(好ましくは5〜15重量%)の範囲から選択することができる。好ましくは発泡倍率が2倍以上(例えば2〜2.5倍)となるように調製して使用することができる。
【0059】
本発明の粘着層には、粘弾性や透明性等の特性を損なわない範囲で充填剤、老化防止剤、着色剤等の添加剤が必要に応じて含まれていてもよい。
【0060】
粘着層を成形する際には、上述のように剥離紙等の基材上にモノマー混合物又はその部分重合物を塗布した後、紫外線等の放射線を照射して重合を完了するのがよい。剥離紙は慣用のものを使用でき、特に制限されないが、例えば、剥離処理剤による剥離処理層を少なくとも一方の表面に有する基材のほか、フッ素系ポリマーからなる低接着性基材や、無極性ポリマー(例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂など)からなる低接着性基材などが挙げられる。
【0061】
尚、粘着層は単層でも、2枚以上の粘着層を重ね合わせた積層体でもよい。粘着層の積層数や、積層体を構成する各々の粘着層の厚みは特に制限されないが、積層体の総厚が0.3mm以上となるのが好ましい。通常0.3〜3.0mm、より好ましくは0.4〜3.0mmの範囲とするのがよい。
【0062】
[衝撃吸収シート]
上述の方法により作製したゴム系発泡体と粘着層とを貼り合わせて、本発明の衝撃吸収シートを製造することができる。貼り合わせに際しては、粘着層の接着性を利用して貼り合わせてもよく、必要に応じて適宜な接着剤等を用いて貼り合わせてもよい。
【0063】
本発明の衝撃吸収シートは、低速度の衝撃に対しても高速度の衝撃に対しても優れた衝撃吸収性を発揮する。本発明の衝撃吸収シートを携帯用画像表示装置等において、画像表示パネルの視認側に設けられた透明前面板との空隙に装着した場合は、外部からの衝撃による画像表示パネルの割れを防止する効果が高く、画像表示パネルの画像の歪みやケースの歪みを生じさせにくい設計をすることが可能である。又、本発明の衝撃吸収シートは、粘着面を有するため携帯用画像表示装置等への取り付けに際して、接着剤を別に必要とせず、取り付け作業が簡単となる。そのため、低コスト化にも貢献できる。さらに又、装置内外からの塵の進入又は発生を防ぐことができる。
【0064】
本発明の衝撃吸収シートは、携帯用画像表示装置等の衝撃吸収シートとして特に好適に用いることができるが、その用途は特に限定されるものではなく、広範囲の用途に用いることができる。例えば、各種部材又は部品を所定の部位に取り付ける(装着する)際に用いられる防塵材としても有用である。本発明の衝撃吸収シートを利用して取り付け(装着)可能な部材としては、例えば、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、プラズマディスプレイ等の画像表示装置に装着される画像表示部材や、いわゆる「携帯電話」や「携帯情報端末」等の移動体通信の装置に装着されるカメラやレンズなどが挙げられる。また、本発明の衝撃吸収シートは、複写機やプリンターなどの画像形成装置に使用されるトナーカートリッジからトナーが漏れることを防ぐためのシール材としても用いることができる。本発明の衝撃吸収シートの形状は特に制限されず、使用目的に応じて適宜裁断や打ち抜き等の加工が施されていてもよい。
【0065】
[画像表示装置]
本発明の画像表示装置は例えば、図2に示すように、ケース21内に画像表示パネルを配置し、その視認側に画像表示パネルを保護するための透明前面板23を設けている。透明前面板23を配置する際には、画像表示パネル22と透明前面板23との間に空隙20を設け、この空隙20に衝撃吸収シート1を、該シートの粘着面を介して装着する。空隙20は、衝撃吸収シート1の厚さよりも小さくし(例えば衝撃吸収シートの厚さの50〜80%程度)、衝撃吸収シートを圧縮した状態で挿入する。これにより外部衝撃力が画像表示パネル22に直接作用するのを防ぐと共に、塵が外部環境や内部部材から進入又は発生し、視認性が低下するのを防いでいる。衝撃吸収シート1を配置したことにより、高速度の衝撃に対しても低速度の衝撃に対しても耐性があり、ケースや画像パネルの破壊、画像やケースなどの歪みを生じにくい。また、装置内外から塵が進入又は発生し難い設計であるため、携帯用の画像表示装置としても好適である。なお、上記画像表示装置としては、例えば、液晶表示装置、エレクトロルミネッセンス表示装置、プラズマ表示装置などが挙げられる。
【実施例】
【0066】
次に、本発明の実施例を記載してより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0067】
(実施例1)
〈ゴム系発泡体の作製〉
ポリプロピレン(MFR0.35g/10min)45重量部、ポリオレフィン系エラストマー(MFR6g/10min、JISA硬度79°)45重量部、水酸化マグネシウム10重量部、カーボン10重量部を、日本製鋼所(JSW)社製の二軸混練機にて、200℃で混練した後、ストランド状に押し出し、水冷後ペレット状に形成した。このペレットを、日本製鋼所社製短軸押出機に投入し、220℃の雰囲気下、13MPaの圧力で、二酸化炭素ガスを注入した。二酸化炭素ガスは、ポリマー全量に対して5重量%の割合で注入した。二酸化炭素ガス注入後の圧力は12MPaとした。二酸化炭素ガスを充分に飽和させた後、発泡に適した温度まで冷却後、ダイから押し出して厚さ1.0mmのシート状に形成して、密度0.04g/cm3、平均気泡径60μmの連続気泡からなる発泡体を得た。
〈粘着層の作製〉
アクリル酸2−エチルヘキシル90重量部、アクリル酸10重量部、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(光重合開始剤)0.1重量部の混合物に紫外線を照射して部分重合し、重合率10重量%の重合体・単量体混合物からなる粘稠液体を得た。この粘稠液体にトリメチロールプロパンアクリレート(内部架橋剤)0.2重量部と、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(光重合開始剤)0.1重量部とを配合して光重合性組成物を調製した。
この光重合性組成物を、シリコーン離型処理をした厚さが50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムからなる離型処理フィルム上に塗布した後、2000mJ/cm2の紫外線を照射して光重合させ、アクリル系の粘着性材料からなる厚さが1.0mmの粘着層を形成した。
〈衝撃吸収シートの作製〉
上記連続気泡からなるゴム系発泡体に、上記粘着層を貼り合わせて、衝撃吸収シートを作製した。
【0068】
(実施例2)
粘着層の厚みを0.6mmとした以外は、実施例1と同様の操作を行い、衝撃吸収シートを作製した。
【0069】
(実施例3)
ゴム系発泡体の厚みを1.5mmとし、粘着層の厚みを0.4mmとした以外は実施例1と同様の操作を行い、衝撃吸収シートを作製した。
【0070】
(実施例4)
〈ゴム系発泡体の作製〉
実施例1の〈ゴム系発泡体の作製〉と同様の操作を行い、ゴム系発泡体を得た。
〈粘着層の作製〉
アクリル酸2−エチルヘキシル90重量部、アクリル酸10重量部、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(光重合開始剤)0.1重量部の混合物に紫外線を照射して部分重合し、重合率10重量%の重合体・単量体混合物からなる粘稠液体を得た。この重合体・単量体混合物にガラスバルーン(東海工業社製、商品名「セルスターZ27」)を重合体・単量体混合物に対して8.6重量%添加し、トリメチロールプロパンアクリレート(内部架橋剤)、2,2−ジメトキシ2−フェニルアセトフェノン(光重合開始剤)、フッ素系界面活性剤(セイケミカル社製、商品名「サーフロンS−393」)を全モノマー成分100重量部に対してそれぞれ0.2重量部、0.1重量、1重量部配合して、光重合性組成物を調製した。この光重合組成物に、窒素を導入しながら機械的に撹拌して気泡を混合し、シリコーン離型処理した厚さが50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムからなる離型処理フィルム上に塗布した後、2000mJ/cm2の紫外線を照射し光重合させ、厚さ1.0mm、発泡倍率2.0倍の粘着層を作製した。
〈衝撃吸収シートの作製〉
上記連続気泡からなるゴム系発泡体に、ガラスバルーンを含有する気泡含有粘着層を貼り合わせて衝撃吸収シートを作製した。
【0071】
(実施例5)
〈ゴム系発泡体〉
ゴム系発泡体として厚み1.0mmのエチレン−プロピレン−ジエン系ゴム[EPDMを主成分とする独立気泡からなる発泡体(日東電工社製、商品名「エプトシーラーNo6800」)]を使用した。
〈粘着層の作製〉
窒素の導入量を調節し、発泡倍率1.1倍とした以外は、実施例4の〈粘着層の作製〉と同様の操作を行い、粘着層を得た。
〈衝撃吸収シートの作製〉
上記独立気泡からなるゴム系発泡体に、ガラスバルーンを含有する気泡含有粘着層を貼り合わせて衝撃吸収シートを作製した。
【0072】
(比較例1)
厚さを2.0mmとした以外は、実施例1〈ゴム系発泡体の作製〉と同様の操作を行いゴム系発泡体を作製した。この厚さ2.0mmのゴム系発泡体に、厚さが0.08mmのNo.532両面粘着テープ(日東電工社製)を貼り合わせて、衝撃吸収シートを作製した。
【0073】
(比較例2)
独立気泡からなり、厚さが1.0mmのゴム系発泡体(日東電工社製、商品名「エプトシーラーNo6800」)2枚を、厚さ0.025mmの粘着剤で貼り合わせて総厚2.0mmのゴム系発泡積層体を作製した。このゴム系発泡積層体に、厚さが0.08mmのNo.532両面粘着テープ(日東電工社製)を貼り合わせて、衝撃吸収シートを作製した。
【0074】
(比較例3)
粘着層の厚さを0.2mmとした以外は、実施例1と同様の操作を行い、衝撃吸収シートを作製した。
【0075】
(試験評価)
実施例及び比較例で得た衝撃吸収シートについて、以下の試験を行った。結果を表1に示す。
(動的せん断弾性率)
粘弾性スペクトロメータ(レオメトリック・サイエンティフィック社製、商品名「ARES」)を用いて、周波数1Hzにて温度分散測定を行い、20℃での動的せん断弾性率を求めた。
(衝撃力)
図3に示すような振り子試験機を用いて衝撃力を測定した。振り子試験機30は、直径19mm、重量28g重(0.27N)の鋼球からなる衝撃子31に長さ350mmの支持棒32を設けて作製した。34、35、36、37はそれぞれ、力センサー(東陽テクニカ社製)、アルミニウム板、電源、Multi−Purpose FTT Analyzer((株)小野測器製)である。実施例及び比較例で作製した衝撃吸収シートを20mm角に切り取り試験片33とし、これを粘着面を用いてアルミニウム板35に貼り合わせ、鋼球31が衝突した際の衝撃力を力センサー34で感知して、Multi−Purpose FTT Analyzer((株)小野測器製)37にて測定した。
尚、衝撃子31が衝撃吸収シート33に衝突する直前の速度をリニアモーションスピードメーターST−1210((株)小野測器製)、センサーFU−77G((株)キーエンス製)を用いて測定した。
【0076】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の衝撃吸収シートの一例を示す断面図である。
【図2】本発明の衝撃吸収シートを装着した携帯用画像表示装置の一例を示す断面図である。
【図3】本発明の実施例において、衝撃力の測定に用いた装置を示す概略図である。
【符号の説明】
【0078】
1 衝撃吸収シート
11 衝撃吸収体
12 粘着層
12a 接着面
20 画像表示パネルと透明前面板の間に設けた空隙
21 ケース
22 画像表示パネル
23 透明前面板
30 振り子試験機
31 衝撃子
32 支持棒
33 試験片
34 力センサー
35 アルミニウム板
36 電源
37 FTT Analyzer

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム系発泡体の単層または積層体からなる衝撃吸収体の少なくとも一面に厚さが300μm以上の粘着層を有した衝撃吸収シート。
【請求項2】
ゴム系発泡体が、ゴム弾性を示すポリマーに超臨界状態の不活性流体を高圧下で含浸させた後、減圧する工程を経て形成された発泡体である請求項1記載の衝撃吸収シート。
【請求項3】
粘着層が気泡を含有する気泡含有粘着層である請求項1記載の衝撃吸収シート。
【請求項4】
ゴム系発泡体の密度が0.01〜0.5g/cm3である請求項1記載の衝撃吸収シート。
【請求項5】
粘着層の20℃での動的せん断弾性率が1×107Pa以下である請求項1記載の衝撃吸収シート。
【請求項6】
画像表示パネルの視認側に、画像表示パネルを保護するための透明前面板を配置し、これらをケースに収納してなる画像表示装置であって、画像表示パネルと透明前面板の間に設けた空隙に、請求項1〜5の何れかの項に記載の衝撃吸収シートを粘着面を介して装着した画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−110773(P2006−110773A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−298350(P2004−298350)
【出願日】平成16年10月13日(2004.10.13)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】