説明

衣料用液体洗浄剤組成物

【課題】脂肪酸アルキレンオキシド付加型界面活性剤を高濃度に含有する洗浄剤において、皮脂などの親油性の汚れに対する洗浄力を向上させ且つ自動投入口におけるゲル化の問題を引き起こさない液体洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】(a)特定の脂肪酸アルキレンオキシド付加型化合物を30〜70質量%、(b)特定のグリコールエーテル系溶剤を3〜20質量%、(c)炭素数1〜3の1価アルコール、及び/又は炭素数2もしくは3のアルキレングリコールを1〜10質量%、並びに水を含有する衣料用液体洗浄剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は衣料用液体洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
アルキレンオキシド付加モル数の多い非イオン界面活性剤を主洗浄成分とした衣料用洗浄剤の技術は、例えば特許文献1〜3を参考にすることができる。また、衣料用洗浄剤にグリコールエーテル系溶剤を用いる技術は、例えば特許文献4を参考にすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−192099号公報
【特許文献2】特開2003−238999号公報
【特許文献3】特開2009−155594号公報
【特許文献4】特開平08−231997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、環境に対する意識が高まってきており、環境に対し負荷の少ない洗浄剤の登場が渇望されている。従来の洗浄剤より洗浄成分濃度が高い、いわゆる濃縮タイプの洗浄剤は、洗浄剤自身のサイズを小さくし、容器樹脂量の削減、輸送費の削減、使用後のゴミの削減等、環境に対する負荷を低減させるのに非常に有効であると考えられる。
【0005】
しかしながら、通常の液体洗浄剤において、洗浄成分である界面活性剤濃度を増加させると増粘やゲル化が起こり、著しく使用性を損ねてしまうという課題があり、特にポリオキシアルキレンアルキルエーテル型非イオン界面活性剤を主成分として含有する洗浄剤には顕著に起こる。
【0006】
ゲル化を抑制する技術としては、特許文献1、2には特定の脂肪酸低級アルコールエステルにポリアルキレンオキシド付加した界面活性剤が有効であることが示されているが、これらの技術ではゲル化を抑制する効果がまだ不十分であり、特に洗濯機の洗剤自動投入口に注ぎ入れ洗濯をすると自動投入口に注入される水と接触した時点で急激にゲル化が起こり、洗濯槽に所定量の洗剤が入らないばかりか、自動投入口にゲル状の残留物を生じる課題がある。さらには、皮脂などの親油性の汚れに対する洗浄力が低く、特に汚れに直接塗布して洗浄する塗布洗浄時の洗浄力については改善が求められる。これはアルキレンオキシド付加モル数が比較的高いためであると考えられる。従って、皮脂などの親油性の汚れに対する洗浄力、特に塗布洗浄力に優れ、しかも洗剤自動投入口におけるゲル化を引き起こさない技術が求められる。特許文献1〜4は、このような課題に対する解決手段としては十分ではない。
【0007】
従って、本発明の課題は、脂肪酸アルキレンオキシド付加型界面活性剤を高濃度に含有する洗浄剤組成物において、皮脂などの親油性の汚れに対する洗浄力を向上させ且つ自動投入口におけるゲル化の問題を引き起こさない液体洗浄剤組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、(a)下記一般式(1)の化合物〔以下、(a)成分という〕を30〜70質量%、(b)下記一般式(2)のグリコールエーテル系溶剤〔以下、(b)成分という〕を3〜20質量%、(c)炭素数1〜3の1価アルコール、及び/又は炭素数2もしくは3のアルキレングリコール〔以下、(c)成分という〕を1〜10質量%、並びに水を含有する衣料用液体洗浄剤組成物に関する。
1−COO−(AO)m−R2 (1)
〔式中;R1は炭素数7〜21の炭化水素基であり、R2は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基である。Aは炭素数2のアルキレン基及び/又は炭素数3のアルキレン基であり、mはAOの平均付加モル数であり、10〜30の数である。〕
3−O−(BO)n−R4 (2)
〔式中;R3は炭素数1〜5のアルキル基、フェニル基、ベンジル基から選ばれる基であり、R4は水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、フェニル基、ベンジル基から選ばれる基である。BOは炭素数2のアルキレン基及び/又は炭素数3のアルキレン基であり、nはBOの平均付加モル数であり、1〜15の数である。〕
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、脂肪酸アルキレンオキシド付加型界面活性剤を比較的高濃度に含有し、皮脂などの親油性の汚れに対する洗浄力が向上し、且つ自動投入口におけるゲル化の問題を引き起こさない液体洗浄剤組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<(a)成分>
本発明の(a)成分は下記一般式(1)の化合物である。
1−COO−(AO)m−R2 (1)
〔式中;R1は炭素数7〜21の炭化水素基であり、R2は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基である。Aは炭素数2のアルキレン基及び/又は炭素数3のアルキレン基であり、mはAOの平均付加モル数であり、10〜30の数である。〕
【0011】
式中、R1は炭素数9〜17が好ましく、炭素数10〜15がより好ましく、11〜13が最も好ましい。R2は水素原子、メチル基、エチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。AOはエチレンオキシ基及び/又はプロピレンオキシ基であり、エチレンオキシ基とプロピレンオキシ基が混合した混合アルキレンオキシキ基であってもよい良い。混合アルキレンオキシキ基の場合、ゲル化防止の観点からそれぞれブロック付加されることが好ましく、プロピレンオキシ基はエステル基側に付加される付加形態が好ましい。mは好ましくは13〜25、より好ましくは16〜20の数が好適である。
【0012】
本発明では特に下記一般式(1−1)の化合物が好ましい。
1COO−[(PO)m1/(EO)m2]−R2 (1−1)
〔式中;R1は炭素数7〜21の炭化水素基であり、R2は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基である。Pはプロピレン基、Eはエチレン基、m1はPOの平均付加モル数、m2はEOの平均付加モル数を表し、m1は0〜5、m2は10〜25であり、m1及びm2の合計は10〜30である。/はPO及びEOがランダム又はブロックであってもよいことを示す。〕
【0013】
一般式(1−1)中、R1は、好ましくは炭素数9〜17、より好ましくは炭素数10〜15、更に好ましくは炭素数11〜13の炭化水素基である。R2は、水素原子、メチル基、エチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。m1は、好ましくは0.3〜5、より好ましくは1〜3であり、m2は、好ましくは13〜20であり、m1及びm2の合計は、mであり、前記したように10〜30、好ましくは13〜25、より好ましくは16〜20である。
【0014】
一般式(1−1)で表される化合物は、ゲル化防止の観点からPO及びEOはブロック付加体が好適であり、特にEO(1〜9モル)付加させた後、PO(0.3〜5モル)付加させ、最後にEO(1〜16モル)付加させた化合物が好ましい。
【0015】
本発明の(a)成分は、例えば、アルコール(R2−OH)にプロピレンオキシド及び/又はエチレンオキシド(以下プロピレンオキシオド及びエチレンオキシドをまとめてアルキレンオキシドという場合もある)を順序付けて、或いは同時に付加反応させて付加物とし、次にこれと脂肪酸または脂肪酸エステルとをそれぞれエステル化反応あるいはエステル交換反応させて製造する方法や、脂肪酸にアルキレンオキシドを順序付けて、或いは同時に付加させて付加物とし、つぎにこれとハロゲン化アルキルを反応させることにより、得ることができる。また、脂肪酸とアルコールとのエステル化物(R1COOR2)に、特定の触媒を用いてアルキレンオキシドをエステルの間に付加反応させる方法(特開平4−279552号公報参照)によっても製造することができる。
【0016】
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、(a)成分を30〜70質量%、好ましくは35〜65質量%、より好ましくは40〜60質量%含有する。
【0017】
<(b)成分>
本発明の(b)成分は下記一般式(2)の化合物である。
3−O−(BO)n−R4 (2)
〔式中;R3は炭素数1〜5のアルキル基、フェニル基、ベンジル基から選ばれる基であり、R4は水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、フェニル基、ベンジル基から選ばれる基である。BOは炭素数2のアルキレン基及び/又は炭素数3のアルキレン基であり、nはBOの平均付加モル数であり、1〜15の数である。〕
【0018】
式中、R3はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、ベンジル基が好ましく、より好ましくはブチル基、フェニル基又はベンジル基、特に好ましくはフェニル基である。R4は水素原子が好ましい。BOはエチレンオキシ基及び/又はプロピレンオキシ基であり、好ましくはエチレンオキシ基であり、nは1〜10、好ましくは1〜5、より好ましくは、2〜3の数である。
【0019】
具体的には、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテルが挙げられる。
【0020】
本発明の(b)成分は一般式(2)を構成している化合物として、下記一般式(2’)で示される化合物を挙げる事ができる。
3−O−(BO)n'−R4 (2’)
〔式中;R3は炭素数1〜5のアルキル基、フェニル基、ベンジル基から選ばれる基であり、R4は水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、フェニル基、ベンジル基から選ばれる基である。BOは炭素数2のアルキレン基及び/又は炭素数3のアルキレン基であり、n’は、BOの付加モル数であり、1〜10の整数である。〕
【0021】
本発明では、一般式(2’)において、R3がブチル基、フェニル基又はベンジル基であって、n’が1〜5の整数であり、そしてBOがオキシエチレン基であり、R4が水素原子である化合物が、(b)成分のうち80質量%以上、更には90質量%以上、特には実質100質量%を占める化合物が好ましい。例えばエチレングリコールモノフェニルエーテル1モルに対してエチレンオキシドを2モル付加させた場合、n’が1〜5である化合物群が(b)成分中の80質量%以上含まれる。なおこれら化合物として、エチレンオキシ基やプロピレンオキシ基の分布を持たない単一の化合物が市販されており、それを用いてもよい。
【0022】
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、(b)成分を3〜20質量%、好ましくは5〜15質量%、より好ましくは5〜10質量%含有する。
【0023】
<(c)成分>
本発明の(c)成分は、炭素数1〜3の1価アルコール及び炭素数2又は3のアルキレングリコールから選ばれる化合物であり、具体的にはエタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロキレングリコールが挙げられる。本発明では、(c)成分として、上記1価アルコールと上記アルキレングリコールを併用することがゲル化防止に効果的であり、1価アルコール/アルキレングリコールの質量比は、好ましくは1/10〜10/1、より好ましくは1/3〜5/1、最も好ましくは1/1〜3/1である。
【0024】
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、(c)成分を1〜10質量%、好ましくは2〜8質量%含有する。また、本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、(b)成分と(c)成分を合計で、好ましくは6質量%〜25質量%、より好ましくは10〜20質量%含有する。また、(b)成分/(c)成分の質量比は、0.5/1〜10/1、更に1/1〜5/1が好ましい。
【0025】
<その他成分>
本発明では任意ではあるがゲル化抑制効果をより向上させる目的から(d)成分として、炭素数1〜3のアルキル基が1〜3個置換していても良いアルキルベンゼンスルホン酸及び/又はその塩を含有することが好ましい。これらの化合物はハイドロトロープ剤として公知であり、主に陰イオン界面活性剤を多く含む洗浄剤に応用されているが、本発明の非イオン界面活性剤が主洗浄成分である洗浄剤においてはゲル化に対する効果が見られる。具体的な化合物としてはトルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、クメンスルホン酸及びこれらのナトリウム塩、カリウム塩あるいはマグネシウム塩等の塩から選ばれる化合物が良好であり、特にp−トルエンスルホン酸及びその塩が良好である。
【0026】
(d)成分の含有量は、本発明の組成物中、酸構造とみなして好ましくは1〜10質量%、より好ましくは1.5〜7質量%、更に好ましくは2〜4質量%である。また、(b)成分、(c)成分、及び(d)成分の含有量の合計は、組成物中、好ましくは7〜25質量%、より好ましくは7〜20質量%であり、(d)成分/〔(b)成分+(c)成分〕の質量比は、好ましくは0.01〜0.6、より好ましくは0.1〜0.4である。この質量比も(d)成分は酸構造とみなした量により計算される。
【0027】
本発明では(a)成分が主洗浄成分であり、他の界面活性剤は本発明の効果を減じる恐れがあるため用いる場合には注意を要する。使用できる(a)成分以外の界面活性剤〔以下(e)成分という〕としては、
炭素数10〜15のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸(塩)、炭素数10〜16のアルキル硫酸エステル塩、炭素数10〜16のアルキル基と平均付加モル数1〜4のポリオキシエチレン基を有するポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、炭素数10〜18の飽和もしくは不飽和脂肪酸又はその塩から選ばれる陰イオン界面活性剤〔以下(e−1)成分という〕、
アルキル基の炭素数が8〜16でありグルコースの平均縮合度が1〜2であるアルキルグリコシド、炭素数10〜16の脂肪酸とモノエタノールアミンあるいはジエタノールアミンとのアミド化物もしくはこれらのエチレンオキシド付加物、アルキル基の炭素数が8〜16のN−アルキル−N,N−ジメチルアミンオキシド、アルカノイル基の炭素数が8〜16のN−アルカノイルアミノプロピル−N,N−ジメチルアミンオキシドから選ばれる非イオン界面活性剤〔以下(e−2)成分という〕、
ジアルキル(それぞれ炭素数8〜14)ジメチルアンモニウム塩、モノアルキル(炭素数8〜14)ジメチルベンジルアンモニウム塩、アルカノイル基の炭素数が8〜18のN−アルカノイルアミノプロピル−N,N−ジメチルアミン、あるいはその酸塩、もしくはその4級化物から選ばれる陽イオン界面活性剤〔以下(e−3)成分という〕、
N−アルキル(炭素数8〜16)−N、N−ジメチル−N−カルボキシメチルアンモニウムベタイン、N−アルキル(炭素数8〜16)−N、N−ジメチル−N−(2−ヒドロキシスルホプロピル)アンモニウムベタイン、アルカノイル基の炭素数が8〜16であるN−アルカノイルアミノプロピル−N、N−ジメチル−N−カルボキシメチルアンモニウムベタイン、アルカノイル基の炭素数が8〜16であるN−アルカノイルアミノプロピル−N、N−ジメチル−N−(2−ヒドロキシスルホプロピル)アンモニウムベタインから選ばれる両性界面活性剤〔以下(e−4)成分という〕
を挙げることができる。
【0028】
(e−1)成分の塩としてはナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、アルカノールアミン塩が挙げられる。また、(e−3)成分の塩としては塩酸塩、硫酸塩、炭素数1又は2のアルキル硫酸エステル塩、炭素数1〜3のアルキル基で置換していてもよいベンゼンスルホン酸塩が挙げられる。
【0029】
本発明では洗浄力の点から(e−1)成分が好ましく、特に炭素数10〜14の脂肪酸又はその塩が好ましい。しかしながら(e)成分は全般的に多量に組成物に含有するとゲル化する傾向が大きくなるため、用いる場合には、組成物中に酸構造とみなして20質量%以下、好ましくは10質量%以下、特に好ましくは5質量%以下が好適である。また、用いる場合の下限値は、酸構造とみなして2質量%以上、更に1質量%以上が好ましい。
【0030】
本発明では任意ではあるが洗浄効果をより向上させる目的からキレート剤〔以下、(f)成分という〕を含有することができる。(f)成分のキレート剤としては、ニトリロ三酢酸、イミノ二酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、トリエチレンテトラアミン六酢酸、ジエンコル酸等のアミノポリ酢酸又はこれらの塩、ジグリコール酸、オキシジコハク酸、カルボキシメチルオキシコハク酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、シュウ酸、リンゴ酸、オキシジコハク酸、グルコン酸、カルボキシメチルコハク酸、カルボキシメチル酒石酸等の有機酸又はこれらの塩、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、これらのアルカリ金属または低級アミン塩等が挙げられる。
【0031】
(f)成分の組成物中の含有量は、酸型とみなした場合に0.1〜5質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜4質量%、更に好ましくは0.1〜3質量%である。
【0032】
更に本発明の液体洗浄剤組成物には、任意ではあるが次の(i)〜(x)に示す成分を本発明の効果を損なわない程度で配合することができる。
(i)ポリアクリル酸、ポリマレイン酸、カルボキシメチルセルロース、重量平均分子量5000以上のポリエチレングリコール、無水マレイン酸−ジイソブチレン共重合体、無水マレイン酸−メチルビニルエーテル共重合体、無水マレイン酸−酢酸ビニル共重合体、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物、及び特開昭59−62614号公報の請求項1〜21(1頁3欄5行〜3頁4欄14行)記載のポリマーなどの再汚染防止剤及び分散剤
(ii)ポリビニルピロリドン等の色移り防止剤
(iii)過酸化水素、過炭酸ナトリウムまたは過硼酸ナトリウム等の漂白剤
(iv)テトラアセチルエチレンジアミン、特開平6−316700号の一般式(I−2)〜(I−7)で表される漂白活性化剤等の漂白活性化剤
(v)セルラーゼ、アミラーゼ、ペクチナーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ等の酵素
(vi)ホウ素化合物、カルシウムイオン源(カルシウムイオン供給化合物)、ビヒドロキシ化合物、蟻酸等の酵素安定化剤
(vii)蛍光染料、例えばチノパールCBS(商品名、チバスペシャリティケミカルズ製)やホワイテックスSA(商品名、住友化学社製)として市販されている蛍光染料
(viii)ブチルヒドロキシトルエン、ジスチレン化クレゾール、亜硫酸ナトリウム及び亜硫酸水素ナトリウム等の酸化防止剤
(ix)オクタン、デカン、ドデカン、トリデカンなどのパラフィン類、デセン、ドデセンなどのオレフィン類、塩化メチレン、1,1,1−トリクロロエタンなどのハロゲン化アルキル類、D−リモネンなどのテルペン類などの水非混和性有機溶剤。
(x)その他、色素、香料、抗菌防腐剤、シリコーン等の消泡剤
【0033】
以下に本発明の液体洗浄剤組成物中、前記任意成分を配合する場合の指標としての濃度を示すが、本効果を損なわない程度に適宜調整され、配合に適さない場合は除外される。(i)の再汚染防止剤及び分散剤の含有量は0.01〜10質量%が好ましい。(ii)の色移り防止剤の含有量は0.01〜10質量%が好ましい。(iii)の漂白剤の含有量は0.01〜10質量%が好ましい。(vi)の漂白活性化剤の含有量は0.01〜10質量%が好ましい。(v)の酵素の含有量は0.001〜2質量%が好ましい。(vi)の酵素安定化剤の含有量は0.001〜2質量%が好ましい。(vii)の蛍光染料の含有量は0.001〜1質量%が好ましい。(viii)の酸化防止剤の含有量は0.01〜2質量%が好ましい。(≡)の水非混和性有機溶剤は0.001〜2質量%が好ましい。(≡)のその他の成分は例えば公知の濃度で配合することができる。なお、上記任意成分のうち(ix)は安定性に影響を及ぼすのでその配合には特に注意を要する。
【0034】
本発明の液体洗浄剤組成物のJIS K3362:1998の8.3記載の20℃で測定する。組成物のpHは、安定性の上で5〜9が好ましく、5.5〜8がより好ましい。また0.05質量%の水溶液のpHは、洗浄性能、安定性の点から5〜11が好ましく、5〜10がより好ましく、6〜9が更に好ましい。pH調整剤として塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸;多価カルボン酸類、ヒドロキシカルボン酸類等の有機酸;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等が挙げられ、なかでもpH緩衝の効果の点から、有機酸が好ましい。有機酸として具体的には、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、またはそれらの塩などの多価カルボン酸類;クエン酸、リンゴ酸、グリコール酸、p−ヒドロキシ安息香酸、またはそれらの塩などのヒドロキシカルボン酸類が挙げられ、なかでもクエン酸またはその塩が特に好ましい。pH調整剤は、1種または2種以上混合して用いることができる。pH調整剤の含有量として具体的には、たとえば、液体洗浄剤組成物中、0.05〜3質量%であることが好ましく、0.1〜1.5質量%であることがより好ましい。該範囲の下限値以上であることによりpHを一定に保つことが容易となる。一方、上限値以下であることにより、pHを5〜11に調整するpH調整効果が充分に得られ、経済的にも有利となる。
【0035】
本発明の液体洗浄剤組成物の20℃における粘度は、取り扱いの容易さの点で10〜500mPa・sが好ましく、50〜400mPa・sがより好ましく、100〜300mPa・sが更に好ましい。(b)成分、(c)成分、並びに(d)成分によりこのような範囲になるように調整することが好ましい。本発明において粘度はB型粘度計により測定する。ローターは粘度に合ったものを選択する。回転数60r/minで回転し、回転開始から60秒後の粘度を液体洗浄剤組成物又は希釈液の粘度とする。
【0036】
本発明の液体洗浄剤組成物は、水を含有するものであり、上述の成分を水に溶解/乳化/分散させた液体組成物の形態であり、特には均一に溶解した水溶液が好ましい。水は、微量に溶解している金属成分を除去したイオン交換水や蒸留水、或いは塩素を0.1〜10ppm含有する次亜滅菌水を好適に用いることができる。水による希釈の際の溶解性の観点から、水の含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、特に好ましくは20質量%以上であり、保存安定性の観点から好ましくは30質量%以下、より好ましくは28質量%以下である。
【0037】
本発明の液体洗浄剤組成物は、衣料用であり、衣類の他、寝具用等、各種繊維製品を包含して対象とすることができる。
【実施例】
【0038】
表1に示す下記の配合成分を混合して、実施例及び比較例の液体洗浄剤組成物を調製する。各組成物を用い、下記の各評価を行い結果を表1に示す。
【0039】
<配合成分>
・a−1;一般式(1−1)において、R1が炭素数11のアルキル基であり、m1が2、m2が18であり、R2がメチル基であり、R1COOにEO、PO、EOの順でブロック結合した化合物(R1COOCH31モルに、エチレンオキシドを9モル付加させてから、プロピレンオキシドを2モル付加させ、再度エチレンオキシドを9モル付加させて得られる化合物)
・a−2;一般式(1−1)において、R1が炭素数11のアルキル基であり、m1が3、m2が17であり、R2がメチル基である化合物(POとEOの付加の順序はランダム)
・b−1;ジエチレングリコールモノブチルエーテル
・b−2;ポリエチレングリコールモノフェニルエーテル(エチレングリコールモノフェニルエーテルにエチレングリコールを2モル付加させたもの、エチレンオキシ基の平均付加モル数は3、一般式(2’)における、n’が1〜5の化合物が90質量%以上を占める化合物)
・b−3;ジエチレングリコールモノベンジルエーテル
・c−1;エタノール
・c−2;プロピレングリコール
・d−1;p−トルエンスルホン酸ナトリウム(ただし、表1の数値は酸形態の濃度である。)
・e−1;ラウリン酸ナトリウム(ただし、表1の数値は酸形態の濃度である。)
・f−1;クエン酸3ナトリウム(ただし、表1の数値は酸形態の濃度である。)
・pH調整剤:モノエタノールアミン及び0.1規定硫酸水溶液(組成物が表中のpHとなるような量(表中、「調整量」と表示)で使用)
【0040】
<洗浄性能>
(襟汚れ試験片)
3日間着用した綿/ポリエステル混紡ワイシャツの襟部分を裁断し収集、汚れの程度で襟片を5つのグループに分け、汚れがひどい方から2番目のグループの襟片を用い、洗浄評価に供する。
【0041】
(洗浄条件)
2槽式洗濯機(東芝銀河3.6)の洗濯槽に40Lの水道水を入れ、これに1.4kgの綿製の未着用肌着及び0.6kgの綿/ポリエステル混紡の未着用ワイシャツを入れる。表1の液体洗浄剤組成物10g投入する。30cm×30cmの綿布に洗浄評価用襟片を5枚縫い付けたものを1枚用意し、表中の液体洗浄剤組成物(洗濯機に投入した組成物と同一)を襟片1枚に対し3mL塗布する。こうして得た襟片5枚を洗濯槽に入れ、10分間普通洗浄する。その後1分間脱水し、8分間15L/minの水量で流水すすぎする。その後5分間脱水し、室内で自然乾燥させる。乾燥後、以下の基準で洗浄性能を判定する。襟片5枚の平均値を表1に示す。
判定基準;
1:汚れが落ちており白布と同等と認められるレベル
2:白布と比較すると汚れがわずかに残っているが目立たないレベル
3:白布と比較すると汚れが明確に残っており気になるレベル
4:汚れが残っており、未洗浄の襟片と比較するとやや汚れが落ちているものの不満足なレベル
5:汚れがほとんど落ちておらず、未洗浄の襟片と同等と認められるレベル
【0042】
<自動投入口におけるゲル化防止能>
全自動洗濯機(松下電器産業(株)製NA−F60K2型)の洗剤投入口に表1の液体洗浄剤組成物を投入し、5℃の水(硬度4°DH)30Lを、洗剤投入口を通して洗濯槽に注ぐ。その後、投入口の状態を観察し、下記のように判定する。この操作を5回繰り返し5回の評価点の合計を求め、ゲル化防止能を評価する。結果を表1に示す。
判定基準
0:洗剤投入口に洗剤が残っていない
1:洗剤投入口にわずかに洗剤が残っていない
2:洗剤投入口に洗剤が残っている
【0043】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)下記一般式(1)の化合物を30〜70質量%、(b)下記一般式(2)のグリコールエーテル系溶剤を3〜20質量%、(c)炭素数1〜3の1価アルコール、及び/又は炭素数2もしくは3のアルキレングリコールを1〜10質量%、並びに水を含有する衣料用液体洗浄剤組成物。
1−COO−(AO)m−R2 (1)
〔式中;R1は炭素数7〜21の炭化水素基であり、R2は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基である。Aは炭素数2のアルキレン基及び/又は炭素数3のアルキレン基であり、mはAOの平均付加モル数であり、10〜30の数である。〕
3−O−(BO)n−R4 (2)
〔式中;R3は炭素数1〜5のアルキル基、フェニル基、ベンジル基から選ばれる基であり、R4は水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、フェニル基、ベンジル基から選ばれる基である。BOは炭素数2のアルキレン基及び/又は炭素数3のアルキレン基であり、nはBOの平均付加モル数であり、1〜15の数である。〕
【請求項2】
(d)炭素数1〜3のアルキル基が1〜3個置換していても良いアルキルベンゼンスルホン酸及び/又はその塩を1〜10質量%含有する請求項1記載の衣料用液体洗浄剤組成物。

【公開番号】特開2011−132301(P2011−132301A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−290857(P2009−290857)
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】