衣類
【課題】履き口部を有する衣類において、前記履き口部の窮屈感を低減することができると共に、外観にひびかないようにでき、かつ、前記衣類の着用時におけるずり下がりも効果的に防止して心地よい着用感を得る。
【解決手段】シングルニットからなる端末編組織を有する履き口部と、前記履き口部に連続するずり下がり防止部を備え、前記ずり下がり防止部は、弾性糸を用いて編成された(A)コース群と、前記弾性糸に非弾性糸を添えた編み糸で編成された(B)コース群を交互に設けている。
【解決手段】シングルニットからなる端末編組織を有する履き口部と、前記履き口部に連続するずり下がり防止部を備え、前記ずり下がり防止部は、弾性糸を用いて編成された(A)コース群と、前記弾性糸に非弾性糸を添えた編み糸で編成された(B)コース群を交互に設けている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は衣類に関するものであり、特に、履き口部を有するボトム下着等の衣類において、履き口部を、薄地でかつ締め付け力が低い端末編組織で編成することにより、履き口部の窮屈感を低減すると共に、外観にひびかないようにでき、前記衣類着用時におけるずり下がりも効果的に防止して心地よい着用感を得ることができるものである。
【背景技術】
【0002】
パンティストッキングやパンツ等の履き口端末のウエルト部分は、その圧迫感や厚さ、硬さによって窮屈感を感じる場合が多い。また、その厚さが大で身頃地との間に段差が発生するとアウターを通して外観上現出する、いわゆる“ひびく”現象も発生しやすい。
そこで、本出願人は、特開2004−124291号公報において、シングルニットからなるシングルウエルトの端末編組織を備えた衣類を提案している。
【0003】
前記端末編組織は、履き口部の窮屈感やひびくといった問題は解消することができるが、前記端末編組織を履き口部としたボトム下着等の衣類の場合、前記履き口部の締め付け力がソフトであるがゆえに、該衣類着用時にずり下がりが生じてしまうという問題があり、この点についてはさらに改良の余地が残されている。
【0004】
【特許文献1】特開2004−124291号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は前記問題に鑑みてなされたものであり、履き口部を有する衣類において、前記履き口部の窮屈感を低減することができると共に、外観にひびかないようにでき、かつ、前記衣類の着用時におけるずり下がりも効果的に防止して心地よい着用感を得ることができる衣類を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明は、シングルニットからなる端末編組織を有する履き口部と、
前記履き口部に連続するずり下がり防止部を備え、
前記ずり下がり防止部は、弾性糸を用いて編成された(A)コース群と、前記弾性糸に非弾性糸を添えた編み糸で編成された(B)コース群を交互に設けていることを特徴とする衣類を提供している。
【0007】
前記のように、本発明の衣類は、シングルニットからなる端末編組織を有する履き口部を備えているので、履き口部を薄地かつ低い締め付け力としやすく、窮屈感を低減し外観にひびかないようにすることができる。
また、前記のように、弾性糸を用いて編成された(A)コース群と、前記弾性糸に非弾性糸を添えた編み糸で編成された(B)コース群を交互に設けたずり下がり防止部を前記履き口部に連続して設ける構成としている。よって、弾性糸を用いて編成することによりずり下がり防止部全体のフィット性を向上させることができると共に、非弾性糸を弾性糸に添えた編み糸で編成された(B)コース群を、弾性糸を用いて編成された(A)コース群との間に介在させることにより、ずり下がり要因となる上下縦方向の伸縮性を、添え糸である非弾性糸によって適度に抑制して、衣類のずり下がりを効果的に防止することができる。
【0008】
なお、ずり下がり防止機能を有したパンティ部の締め付け力を前記履き口部のウエルト編み領域の締め付け力より大としていることが好ましい。これにより、端末部分の肌触りをよりソフトにでき、端末部分が身体に食い込んで着用感を悪化させることもない。
【0009】
また、前記履き口部は、編み始めの止め編み領域と該止め編み領域に連続するウエルト編み領域とを備えるシングルウエルトとしてもよいし、ウエルト部分の編地を折り返して袋状としたダブルウエルトとしてもよい。
履き口部を前記ダブルウエルトとする場合には、履き口部の非伸長時における上下縦方向の長さを0.5〜1.0cm程度の細幅として、締め付け力を弱めたものであることがより好ましい。
【0010】
また、前記ずり下がり防止部は、前記(A)コース群と前記(B)コース群を交互に設けてボーダー柄としていることが好ましい。即ち、前記(A)コース群、(B)コース群のどちらかを濃染しボーダー柄を明確にすることにより、ずり下がり防止効果に加えてデザイン性も同時に付与することができる。
【0011】
ウエール方向に連続するコース数を前記(A)コース群および(B)コース群とで同一として均一幅を有するボーダー柄としてもよく、また、ウエール方向に連続するコース数を(A)コース群と(B)コース群とで相違させて不均一幅を有するボーダー柄としてもよい。
ウエール方向に連続するコース数を前記(A)コース群と(B)コース群とで同一とした場合、伸縮性が高くフィット性に優れた領域[(A)コース群]と、上下縦方向の伸縮性を抑制して締め付け力をさらに高め、ずり下がり防止効果を高めた領域[(B)コース群]を均等に持ち合わせたずり下がり防止部とすることができる。よって、ずり下がり防止部のいずれの位置においても身体の動きに合わせた適度なフィット性とずり下がり防止効果を持たせることができ、また、ボーダー柄の幅を均等にすることで規則的なデザイン性を付与することもできる。
この場合、ウエール方向に連続するコース数を前記(A)コース群と(B)コース群とで同一とし、前記連続するコース数を4〜64コースとすることが好ましい。さらに、好ましくは、4〜16コースである。
【0012】
一方、前記のように、ウエール方向に連続するコース数を(A)コース群と(B)コース群とで相違させることも可能であり、例えば、ヒップ周囲等、身体の動作に合わせて高い伸縮性が要求される部分には(A)コース群のコース数を(B)コース群のコース数より多くしてフィット性を高める一方、ウエスト周りやレッグ部近傍では(B)コース群のコース数を(A)コース群のコース数より多くし、上下縦方向および横方向の伸びを抑えてフィット性の向上と、ずり下がり防止に重点を置くようにすることも、快適な着用感を得るうえで好ましい態様である。
【0013】
前記のように、ウエール方向に連続するコース数は前記(A)コース群と(B)コース群とで相違させる場合には、前記(A)コース群の連続コース数を1〜500コースとし、(B)コース群の連続コース数を1〜64コースとしていることが好ましい。さらに、(A)コース群の連続コース数を4〜400コースとし、(B)コース群の連続コース数を4 〜60コースとしていることが好ましい。
【0014】
前記弾性糸としてシングルカバリングヤーンまたはシングルカバリングヤーンとダブルカバリングヤーンを交編で用いると共に、前記非弾性糸としてウーリーナイロンを用い、前記ずり下がり防止部の各コースはプレーン編みで編成されていることが好ましい。
前記のように、(A)コース群や(B)コース群において、弾性糸として弾性芯糸を備えたシングルカバリングヤーンを用いることにより伸縮性を高め、フィット性や締め付け力を高めることができると共に肌触りを良くすることができる。また、前記(B)コース群でモーレ糸として挿入する前記非弾性糸にウーリーナイロンを用いることにより、上下縦方向の伸びの抑制を容易に行うことができる。
また、前記のように、ずり下がり防止部の各コースをプレーン編みで編成することにより、フィット性や締め付け力を高めることができる。
【0015】
前記弾性糸としては、15デシテックス〜80デシテックスのポリウレタン弾性芯糸に、ナイロン糸を巻き付けたシングルカバリングヤーンを用いることが好ましい。
ポリウレタン弾性芯糸の太さが15デシテックス未満であると、伸縮力が弱くなり、フィット性や締め付け力が十分でなくなる場合がある一方、ポリウレタン弾性糸の太さが80デシテックスを越えると、締め付け力が強すぎて着用感を損ねる場合がある。特に好ましくは、ポリウレタン弾性芯糸の太さが20デシテックス〜50デシテックスである。
また、(B)コース群においてモーレ糸として挿入する前記非弾性糸としては、15デシテックス〜60デシテックスのウーリーナイロンを用いることが好ましい。
ウーリーナイロンの太さが15デシテックス未満であると、(B)コース群において適度に上下縦方向の伸びを抑制できず、ずり下がり防止効果を高めることができなくなる場合がある一方、ウーリーナイロンの太さが60デシテックスを超えると、(B)コース群における上下縦方向および横方向の伸びが過剰に抑制され、フィット感がなくなり着用感が悪化する場合がある。
【0016】
前記履き口部の編組織は、使用する編機の種類によっても異なるが、例えば、履き口部をシングルウエルトとした場合において、編み始めの止め編み領域は、弾性糸に添え糸を添えた編み糸から編成するコースと、非弾性糸に前記添え糸を添えた編み糸から編成するコースを交互に設けた複数のコースとし、前記非弾性糸に前記添え糸を添えた編み糸から編成する2コース目以降の1コース以上をニットのみで編成し、他のコースは1ウエールニットと1ウエールミスを繰り返して編成する一方、
前記止め編み領域に連続するウエルト編み領域では、前記弾性糸を用いて1ウエールニットと1ウエールミスまたは1ウエールニットと1ウエールタックを繰り返して編成するコースと、前記非弾性糸を用いてニットのみで編成するコースを交互に設けていることが好ましい。
しかし、前記履き口部の編組織は前記構成に限られず、例えば、前記止め編み領域において、弾性糸および非弾性糸に添える添え糸を必ずしも共通させなくてもよいし、また、前記ウエルト編み領域において添え糸を適宜使用することもできる。
【0017】
前記のように、編み始めの止め編み領域において、弾性糸および非弾性糸に添え糸を添えた編み糸を用いて編成することにより、編み糸の繊度を増やし伸縮性を高めることができ、外側へ捲くれ上がるカールの発生を抑制できる。
また、非弾性糸に添え糸を添えた編み糸から編成する2コース目以降の1コース以上をニットのみからなるプレーン編組織で編成することで、編立やすく、強度を持たせることができる。
さらに、前記ニットのみからなるコース以外のコースを、1ウエールニットと1ウエールミスを繰り返して編成することにより、適度な伸縮性を保持させることができる。
【0018】
前記1ウエールニットと1ウエールミスを繰り返して編成することにより、ニット、ミスの組織がストライプ状であっても、メッシュ状であってもどちらでもよいが、編立のしやすさから、ストライプ状となっていることが好ましい。
また、前記止め編み領域のコース数としては、4コース程度とすることが好ましい。
【0019】
さらに、前記のように、前記止め編み領域に連続するウエルト編み領域では、前記止め編み領域より伸縮性が低い編み糸を用いているため、前記止め編み領域より締め付け力を低減でき、圧迫感を減少させて着用感を高めることができる。
また、前記弾性糸を用いて1ウエールニットと1ウエールミスまたは1ウエールニットと1ウエールタックを繰り返して編成するコースを設けることにより、表目の張力が高くなりすぎないようしてカールの発生を抑制しながら、適度な締め付け力を保持することができる。
さらに、前記非弾性糸を用いてニットのみからなるプレーン編組織で編成するコースを設けることにより、表目の張力が高まっても、前記ニットのみからなるコースは伸縮力の弱い編み糸で編成されるため、外側へのカールの発生を抑制しながら、適度な締め付け力も保持することができる。
【0020】
前記弾性糸を用いて1ウエールニットと1ウエールミスまたは1ウエールニットと1ウエールタックを繰り返して編成することにより、ニット、ミスまたはニット、タックの組織がストライプ状であっても、メッシュ状であってもどちらでもよいが、外観上、ストライプ状となっていることが好ましい。
なお、ウエルト編み領域のコース数は、前記止め編み領域のコース数より多くしていることが好ましく、衣類の機能やデザインに応じてコース数を適宜増減してウエルト編み領域の長さを調節することができるが、例えば、10コース以上、さらには20〜80コース程度が好ましい。
【0021】
前記弾性糸として弾性芯糸を備えたシングルカバリングヤーンを用いると共に、前記非弾性糸としてウーリーナイロンを用い、さらに前記添え糸として前記弾性糸の弾性芯糸より細い弾性芯糸を備えたシングルカバリングヤーンを用いていることが好ましい。
【0022】
特に、前記弾性糸として、30デシテックス〜80デシテックスのポリウレタン弾性芯糸に、ナイロン糸を巻き付けたシングルカバリングヤーンを用いると共に、前記非弾性糸として、30デシテックス〜80デシテックスのウーリーナイロンを用い、さらに前記添え糸として20デシテックス〜40デシテックスのポリウレタン弾性芯糸にナイロン糸を巻き付けたシングルカバリングヤーンを用いていることが好ましい。
【0023】
また、前記履き口部の止め編み領域の編み組織として、各コースを、1ウエールタック、2ウエールミスまたは1ウエールタック、3ウエールミスを繰り返す編成としてもよい。
【0024】
一方、使用する編機の種類によっては、前記履き口部の編み組織を以下のようにすることもできる。
即ち、編み始めの止め編み領域の複数コースは全てのウエールをタックあるいはミスでニットさせずに編成し、かつ、該止め編み領域では太い弾性芯糸を備えたシングルカバリングヤーンからなる第1種編み糸を用いて編成し、該第1種編み糸で止め編み領域に外側へのカールを発生させない編成としている一方、前記止め編み領域に連続するウエルト編み領域では、前記第1種編み糸で編成したコースと、前記第1種編み糸より伸縮力がない編み糸を用いて編成したコースを組み合わせた編組織としている。
【0025】
前記のように、編み始めの止め編み領域では、どのウエールもニットすることなく複数コースを1つの編み糸で連続して編成しているため、編み糸として太い弾性芯糸を備えた伸縮力の強い第1種編み糸を用いても厚くならずに薄さを保持でき、カール発生を抑制しながら、適度な締め付け力を付与することができる。
【0026】
一方、前記止め編み領域に連続するウエルト編み領域では、前記第1種編み糸で編成したコースを設けていることで、適度な締め付け力の付与が可能となり、さらに、第1種編み糸のみでなく、該第1種編み糸よりも伸縮力が弱い編み糸で編成したコースと併設することで、止め編み領域よりは低い締め付け力として、身体への圧迫感を減少することができ、より着心地の良いものとしている。
前記ウエルト編み領域のコース数は前記止め編み領域のコース数より多くしていることが好ましい。
【0027】
具体的には、前記止め編み領域は、5〜9コースとし、各コースは1ウエールタック、2ウエールミスまたは1ウエールタック、3ウエールミスを繰り返して編成している。
前記構成によれば、選針を2本もしくは3本置きとすることで適度な締め付け力を付与できる。
【0028】
前記ウエルト編み領域は、1ウエールタックと1〜3ウエールミスを繰り返すコースと、ニットのみからなるコースとからなり、該ニットのみからなるコースを2〜3コース連続した後に前記タックとミスとのコースを1コース介在させて編成し、前記タックとミスのコースは前記第1種編み糸を用い、ニットのみからなるコースは、前記第1種編み糸の弾性芯糸より細い弾性芯糸を備えたシングルカバリングヤーンあるいは/およびそれより伸縮力の低い編み糸からなる、第2種編み糸を用いて編成していることが望ましい。
【0029】
前記のように、ウエルト編み領域は、伸縮力の弱い編み糸で編成したニットのみからなるコースを2〜3コース連続して設けることにより、止め編み領域よりも締め付け力を低減でき、圧迫感を減少させて着心地を高めることができる。また、シングルカバリングヤーンからなる第2種編み糸を用いて編成すると、肌触りを良くすることもできる。
この際、ニットのみからなるプレーン編組織によって表目の張力が高まっても、該ニットのみからなるコースは伸縮力が弱い編み糸で編成するため、外側へのカール発生を効果的に抑制することができると共に適度な締め付け力も保持できる。
なお、ウエルト編み領域のコース数は限定されず、衣類の機能やデザインに応じてコース数を増減してウエルト編み領域の長さを調整しているが、前記止め編み領域のコース数を多くし、例えば、20コース以上、さらに50コース以上、100コース〜300コースとしてもよい。
【0030】
前記止め編み領域およびウエルト編み領域に用いる伸縮力の強い第1種編み糸のシングルカバリングヤーンとして、70デシテックス〜200デシテックスのポリウレタン弾性芯糸にナイロン糸を巻き付けた糸を用いていることが好ましい。
ポリウレタン弾性芯糸の太さが70デシテックス未満であると、締め付け力が弱すぎてウエルト部分のカールしようとする力に負けてしまう場合がある。また、200デシテックスを越えると、止め編み領域とウエルト編み領域とのバランスがとれず、締め付け力が強すぎ、着用感を損ねる場合がある。特に好ましくは、ポリウレタン弾性芯糸の太さが100デシテックス〜160デシテックスである。
【0031】
前記ウエルト編み領域のニットのみからなるプレーン編み組織で用いる第2種編み糸として、下記の(1)〜(3)の編み糸を1種あるいは複数種類を用いている。
(1)10デシテックス〜40デシテックスのポリウレタン弾性芯糸にナイロン糸を巻き付けたシングルカバリングヤーン
(2)ウーリーナイロン
(3)その他の複合糸
外観や機能の点から、(1)の編み糸のみ用いる場合、(1)の編み糸に代えて、(2)のウーリーナイロンや(3)を用いる場合がある。
【0032】
前記(1)の第2種編み糸のシングルカバリングヤーンにおいて、ポリウレタン弾性芯糸の太さが10デシテックス未満であると、ニットのみからなるプレーン編み組織を形成しても締め付け力が弱すぎて心地よい着用感が得られなくなる場合がある一方、ポリウレタン弾性芯糸の太さが40デシテックスを越えるともはやパワーの弱い編み糸ではなくなり、締め付け力が強すぎて着用感が悪くなったり、表目の張力が大幅に増大して外側へのカールが発生してしまったりする場合がある。特に好ましくは、ポリウレタン弾性芯糸の太さが15デシテックス〜25デシテックスである。
前記(2)のウーリーナイロンを用いると伸びの調整ができると共に、外観と肌触りを向上させることができる。他の糸とのバランス上で10〜80デシテックスの太さのものを用いるのが好適である。
前記(3)の複合糸として、キュプラと66ナイロンとの混紡糸を用いると、キュプラを混紡することで吸・放湿性を高めることができる。該混紡糸の混合割合はキュプラの吸・放湿性を損なわない40〜90デシテックスが好適に用いられる。
【0033】
また、前記履き口部の止め編み領域の編み組織として、前記したような、弾性糸に添え糸を添えた編み糸から編成するコースと、非弾性糸に前記添え糸を添えた編み糸から編成するコースを交互に設けた複数のコースとし、前記非弾性糸に前記添え糸を添えた編み糸から編成する2コース目以降の1コース以上をニットのみで編成し、他のコースは1ウエールニットと1ウエールミスを繰り返して編成してもよい。
【0034】
本発明は、シングルウエルトまたはダブルウエルトの端末編組織を有する履き口部と、ずり下がり防止部を備えた衣類を提供しており、特に、パンティストッキング、ショーツ、パンツ、ガードル、タイツ、ストッキング、スパッツ、ソックス等が好適であり、前記履き口部が着用時にウエスト位置にくるものだけでなく、着用時に腰骨位置にくるもの(ローライズタイプ)にも適用することができる。
【発明の効果】
【0035】
前述したように、本発明によれば、シングルニットからなる端末編組織を有する履き口部を備えているので、履き口部を薄地かつ低い締め付け力としやすく、窮屈感を低減し外観にひびかないようにすることができる。
また、前記のように、弾性糸を用いて編成された(A)コース群と、前記弾性糸に非弾性糸を添えた編み糸で編成された(B)コース群を交互に設けたずり下がり防止部を前記履き口部に連続して設ける構成とすることによって、ずり下がり防止部全体のフィット性を前記弾性糸によって向上させることができると共に、非弾性糸を前記弾性糸に添えた編み糸で編成された(B)コース群を、前記弾性糸を用いて編成された(A)コース群との間に介在させることにより、ずり下がり要因となる上下縦方向の伸縮性を、添え糸である非弾性糸によって適度に抑制して、衣類のずり下がりを効果的に防止することができる。
【0036】
さらに、前記(A)コース群と前記(B)コース群を交互に設けて、前記ずり下がり防止部をボーダー柄としていることにより、ずり下がり防止効果に加えてデザイン性も同時に付与することができる。
【0037】
また、履き口部をシングルウエルトとした場合に、前記のように、編み始めの止め編み領域において、弾性糸および非弾性糸に添え糸を添えた編み糸を用いて編成することにより、編み糸の繊度を増やし伸縮力を高めることができ、外側へ捲くれ上がるカールの発生を抑制できる。
また、非弾性糸に添え糸を添えた編み糸から編成する2コース目以降の1コース以上をニットのみからなるプレーン編組織で編成することで、編立やすく、強度を持たせることができる。さらに、前記ニットのみからなるコース以外のコースを、1ウエールニットと1ウエールミスを繰り返して編成することにより、適度な伸縮性を保持させることができる。
【0038】
また、前記のように、前記止め編み領域に連続するウエルト編み領域では、前記止め編み領域より伸縮性が低い編み糸を用いているため、前記止め編み領域より締め付け力を低減でき、圧迫感を減少させて着用感を高めることができる。さらに、前記弾性糸を用いて1ウエールニットと1ウエールミスまたは1ウエールニットと1ウエールタックを繰り返して編成するコースを設けることにより、表目の張力が高くなりすぎないようしてカールの発生を抑制しながら、適度な締め付け力を保持することができ、また、前記非弾性糸を用いてニットのみからなるプレーン編組織で編成するコースを設けることにより、表目の張力が高まっても、前記ニットのみからなるコースは伸縮力の弱い編み糸で編成されるため、外側へのカールの発生を抑制しながら、適度な締め付け力も保持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1(A)、(B)は、第1実施形態において、シングルシリンダの4インチの4口丸編機で編成したパンティストッキング10を示す。図中、上端が編み始め端となり、上端から履き口部11を構成する止め編み領域11aとウエルト編み領域11bを設け、さらにその下側に本体部であるパンティ部12およびレッグ部13を連続させている。本実施形態においては、パンティ部12全体をずり下がり防止部12としている。
なお、本実施形態のパンティストッキング10は、履き口部11が着用時にウエスト位置にくるようにしている。
【0040】
図2および図3は、履き口部11の止め編み領域11aおよびウエルト編み領域11bの編み組織を示し、第1列目の針20−1から第N列目の針20−nの下に示す。(○)は針20に給糸してニットしている場合、(×)は針20に給糸せずに飛ばしてミスしている場合、(◎)は添え糸を添えた編み糸を針20に給糸してニットしている場合を示す。
【0041】
編み始めの止め編み領域11aにおいては、弾性糸として78デシテックスのポリウレタン弾性芯糸に33デシテックスのナイロン糸を巻き付けたシングルカバリングヤーンを用い、非弾性糸として56デシテックスのウーリーナイロン、添え糸として33デシテックスのポリウレタン弾性芯糸に33デシテックスのナイロン糸を巻き付けたシングルカバリングヤーン23を用いている。
シングルカバリングヤーンに添え糸のシングルカバリングヤーン23を添えた編み糸21aを給糸口から連続供給して止め編み領域11aの第1コースC1と第3コースC3の2コースを編成している。また、ウーリーナイロンに添え糸のシングルカバリングヤーン23を添えた編み糸22aを他の給糸口から連続供給して止め編み領域11aの第2コースC2と第4コースC4の2コースを編成している。本実施形態では、C1、C3、C4の3コースは、1ウエールニット→1ウエールミス→1ウエールニット→1ウエールミスを繰り返し、C2の1コースだけすべてのウエールでニットしている。
【0042】
詳細には、第1コースC1は、図2および図3に示すように、第1列目の針20−1にニット◎、第2列目の針20−2はミス×、第3列目の針20−3にニット◎、第4列目の針20−4はミス×というように、1ウエールニット、1ウエールミスをシングルカバリングヤーンに添え糸のシングルカバリングヤーン23を添えた編み糸21aで繰り返している。第3コースC3もC1と同様に1ウエール1ニット、1ウエール1ミスを前記編み糸21aで繰り返している。
一方、第2コースC2は、ウーリーナイロンに添え糸のシングルカバリングヤーン23を添えた編み糸22aを用いてすべての針20−1〜20−nにニット◎とし、第4コースC4は、前記編み糸22aを用いて1ウエールニット、1ウエールミスを繰り返している。
図2、図3に示すように、C1、C3、C4の3コースは1ニット、1ミスを繰り返すことにより、ニット、ミスの組織がストライプ状となっている。
【0043】
止め編み領域11aに連続するウエルト編み領域11bのコースC5、C7、C9、C11、C13、C15では、前記78デシテックスのポリウレタン弾性芯糸に33デシテックスのナイロン糸を巻き付けたシングルカバリングヤーン21を給糸口から供給して1ウエールニット→1ウエールミス→1ウエールニット→1ウエールミスを繰り返している。
また、ウエルト編み領域11bの他のコースC6、C8、C10、C12、C14、C16では、前記56デシテックスのウーリーナイロン22を他の給糸口から供給してすべてのウエールでニットしている。
【0044】
詳細には、図2、図3に示すように、第5コースC5では第1列目の針20−1にニット○、第2列目の針20−2はミス×、第3列目の針20−3にニット○、第4列目の針20−4はミス×というように、1ウエールニット、1ウエールミスをシングルカバリングヤーン21で繰り返している。
次に、第6コースC6では、ウーリーナイロン22を用いてすべての針20−1〜20−nにニット○としている。
この後、1ウエールニットと1ウエールミスの第7コースC7、ニットのみからなる第8コースC8というように、シングルカバリングヤーン21によるコースとウーリーナイロン22によるコースを交互に繰り返している。
なお、ウエルト編み領域11bの長さは所要長さとすることができるが、本実施形態においては30コースとし、上下幅を1.7cmとしている。
【0045】
図4および図5は、ずり下がり防止部12の編組織を示し、第1列目の針20−1から第N列目の針20−nの下に示す。前記したように、パンティ部12全体(上下幅18cm)をずり下がり防止部12としている。(○)は針20に給糸してニットしている場合、(◎)は添え糸(モーレ糸)を添えた編み糸を針20に給糸してニットしている場合を示す。
【0046】
前記履き口部11の下側に連続させるずり下がり防止部12は、弾性糸として33デシテックスのポリウレタン弾性芯糸に33デシテックスのナイロン糸を巻きつけたシングルカバリングヤーン23を用いてプレーン編みで編成された(A)コース群と、前記シングルカバリングヤーン23に非弾性糸として33デシテックスのウーリーナイロン24を添えた編み糸23aを用いてプレーン編みで編成された(B)コース群を交互に設けた構成としている。
【0047】
即ち、図4、5に示すように、ずり下がり防止部12の第1コースC1から第8コースC8までの8コースでは、前記シングルカバリングヤーン23を給糸口から連続供給してすべてのウエールでニットして、(A)コース群を形成している。
続いて、第9コースC9から第16コースC16までの8コースでは、前記シングルカバリングヤーン23にウーリーナイロン24を添えた編み糸23aを給糸口から連続供給し、すべてのウエールでニットして(B)コース群を形成している。
【0048】
詳細には、図4、図5に示すように、第1コースC1から第8コースC8までの8コースでは、シングルカバリングヤーン23を用いてすべての針20−1〜20−nにニット○としている。
次に、第9コースC9から第16コースC16までの8コースでは、シングルカバリングヤーン23にウーリーナイロン24を添えた編み糸23aを用いてすべての針20−1〜20−nにニット◎としている。
続いて、第17コースC17から第24コースC24までの8コースを、前記C1〜C8の8コースと同様の(A)コース群、第25コースC25から第32コースC32までの8コースを、前記C9〜C16の8コースと同様の(B)コース群というパターンを繰り返し、パンティ部12全体を(A)コース群と(B)コース群の繰り返しで編成している。
【0049】
前記のように、ずり下がり防止部12には均等幅のボーダー柄が形成される。
また、ずり下がり防止部12の締め付け力を履き口部11の締め付け力より大としている。
続いて、ずり下がり防止部であるパンティ部12の下側に、通常のレッグ部13を連続させ、本実施形態のパンティストッキング10を得ている。
【0050】
前記のように、シングルニットからなるシングルウエルトの端末編組織を有する履き口部11を備えているので、履き口部11をソフトで薄くすることができ、窮屈感を低減し外観にひびかないようにすることができる。
また、前記のように、弾性糸(シングルカバリングヤーン23)を用いて編成された(A)コース群と、前記弾性糸(シングルカバリングヤーン23)に非弾性糸(ウーリーナイロン24)を添えた編み糸23aで編成された(B)コース群を交互に設けたずり下がり防止部12を履き口部11に連続して設ける構成とすることによって、ずり下がり防止部12全体のフィット性を前記弾性糸(シングルカバリングヤーン23)によって向上させることができると共に、ずり下がり要因となる上下縦方向の伸縮性を、添え糸である非弾性糸(ウーリーナイロン24)によって適度に抑制して、衣類のずり下がりを効果的に防止することができる。
【0051】
また、ずり下がり防止部12の締め付け力を履き口部11のウエルト編み領域11bの締め付け力より大とすることにより、端末部分の肌触りをよりソフトにでき、端末部分が身体に食い込んで着用感を悪化させることもない。
【0052】
さらに、前記(A)コース群と前記(B)コース群を交互に設けて、前記ずり下がり防止部12をボーダー柄としていることにより、ずり下がり防止効果に加えてデザイン性も同時に付与している。
【0053】
また、前記のように、編み始めの止め編み領域11aにおいて、弾性糸(シングルカバリングヤーン21)および非弾性糸(ウーリーナイロン22)に添え糸(シングルカバリングヤーン23)を添えた編み糸21a、22aを用いて編成することにより、編み糸の繊度を増やし伸縮力を高めることができ、カールの発生を抑制できる。
また、非弾性糸(ウーリーナイロン22)に添え糸(シングルカバリングヤーン23)を添えた編み糸22aから編成する第2コースC2の1コースをニットのみからなるプレーン編組織で編成することで、編立やすく、強度を持たせることができる。さらに、前記ニットのみからなる1コース以外のコースC1、C3、C4を、1ウエールニットと1ウエールミスを繰り返して編成することにより、適度な伸縮性を保持させることができる。
【0054】
また、前記のように、止め編み領域11aに連続するウエルト編み領域11bでは、止め編み領域11aより伸縮性が低い編み糸を用いているため、止め編み領域11aより締め付け力を低減でき、圧迫感を減少させて着用感を高めることができる。
また、弾性糸(シングルカバリングヤーン21)を用いて1ウエールニットと1ウエールミスを繰り返して編成するコースを設けることにより、表目の張力が高くなりすぎないようしてカールの発生を抑制しながら、適度な締め付け力を保持することができ、さらに、非弾性糸(ウーリーナイロン22)を用いてニットのみからなるプレーン編組織で編成するコースを設けることにより、表目の張力が高まっても、前記ニットのみからなるコースは伸縮力の弱い編み糸22で編成されるため、外側へのカールの発生を抑制しながら、適度な締め付け力も保持することができる。
【0055】
図6(A)、(B)は第2実施形態を示す。
第1実施形態との相違点は、履き口部11が着用時に腰骨位置にくるローライズタイプとした点と、ずり下がり防止部12のボーダー柄の幅を不均一とした点である。第2実施形態においても、第1実施形態と同様にパンティ部12全体をずり下がり防止部12としている。
【0056】
ずり下がり防止部12は、第1実施形態と同様に、弾性糸として33デシテックスのポリウレタン弾性芯糸に33デシテックスのナイロン糸を巻きつけたシングルカバリングヤーン23を用いてプレーン編みで編成された(A)コース群と、前記シングルカバリングヤーン23に非弾性糸として33デシテックスのウーリーナイロン24を添えた編み糸23aを用いてプレーン編みで編成された(B)コース群を交互に設けた構成としているが、本実施形態においては、パンティ部12のうち、身体の動作に合わせて特に高い伸縮性が要求される臀部周囲には(A)コース群のコース数を(B)コース群のコース数より多くしてフィット性を高める一方、腰骨周りやレッグ部近傍では(B)コース群のコース数を(A)コース群のコース数より多くして、締め付け力をさらに高めてずり下がり防止に重点を置く構成としている。
【0057】
即ち、図6に示すように、パンティ部12全体をずり下がり防止部とし、パンティ部12上端より、(A)コース群(1)→(B)コース群(1)→(A)コース群(2)→(B)コース群(2)→(A)コース群(3)→(B)コース群(3)→(A)コース群(4)→(B)コース群(4)→(A)コース群(5)→(B)コース群(5)→(A)コース群(6)→(B)コース群(6)→(A)コース群(7)→(B)コース群(7)→(A)コース群(8)→(B)コース群(8)→(A)コース群(9)→(B)コース群(9)→(A)コース群(10)→(B)コース群(10)→(A)コース群(11)→(B)コース群(11)→(A)コース群(12)→(B)コース群(12)→(A)コース群(13)→(B)コース群(13)→(A)コース群(14)→(B)コース群(14)→(A)コース群(15)→(B)コース群(15)→(A)コース群(16)→(B)コース群(16)→(A)コース群(17)→(B)コース群(17)→(A)コース群(18)→(B)コース群(18)→(A)コース群(19)→(B)コース群(19)→(A)コース群(20)→(B)コース群(20)を設け、表1に示すように、(A)、(B)各コース群のコース数を相違させている。
【0058】
【表1】
【0059】
前記のように、ずり下がり防止部12に不均一幅のボーダー柄を形成している。
また、第1実施形態同様、ずり下がり防止部12の締め付け力を履き口部11の締め付け力より大としている。
続いて、ずり下がり防止部であるパンティ部12の下側に、通常のレッグ部13を連続させ、本実施形態のパンティストッキング30を得ている。
【0060】
前記のように、臀部周囲[(A)コース群(8)〜(B)コース群(15)]では(A)コース群のコース数を(B)コース群のコース数より多くしているため、身体の動作に合わせた優れたフィット感が得られる一方、腰骨周り[(A)コース群(1)〜(B)コース群(5)]やレッグ部近傍[(A)コース群(18)〜(B)コース群(20)]では(B)コース群のコース数を(A)コース群のコース数より多くしているため、これらの部分で締め付け力がさらに高められ、フィット性が向上すると共にずり下がり防止効果も高めることができる。
【0061】
図7は第3実施形態を示す。
第1実施形態との相違点は、履き口部11の編組織を変えた点である。
編み始めの止め編み領域11aは、133デシテックスのポリウレタン弾性芯糸に33デシテックスのナイロン糸を巻きつけたシングルカバリングヤーン25からなる第1種編み糸を用いている。該シングルカバリングヤーン25を給糸口から連続供給して第1コースC1から第8コースC8までの8コースを編成している。
止め編み領域11aの各コースは、1ウエールタック→3ウエールミス→1ウエールタック→3ウエールミスを繰り返している。
【0062】
詳細には、第1コースC1は図6に示すように、第1列目の針20−1にタック△、第2、第3、第4列目の針20−2、20−3、20−4はミス×、第5列目の針20−5にタック△、第6、第7、第8列目の針20−6、20−7、20−8はミス×というように1ウエールタック、3ウエールミスを繰り返し、第2コースC2〜第8コースC8もC3と同様に1ウエールタック、3ウエールミスを繰り返している。
【0063】
止め編み領域11aに連続するウエルト編み領域11bのコースC9、C13では、133デシテックスのポリウレタン弾性芯糸に33デシテックスのナイロン糸を巻きつけたシングルカバリングヤーン25からなる伸縮力の強い第1種編み糸を1つの給糸口から供給して1ウエールタック→3ウエールミス→1ウエールタック→3ウエールミスを繰り返している。
【0064】
ウエルト編み領域11bの他のコースC10、C11、C12、C14、C15、C16では20デシテックスのポリウレタン弾性芯糸に33デシテックスのナイロン糸を巻き付けたシングルカバリングヤーン26からなる伸縮力の弱い第2種編み糸を他の給糸口から供給して全ての針でニットするコースを編成している。
【0065】
詳細には、図7に示すように、第9コースC9では第1列目の針20−1はタック△、第2、第3、第4列目の針20−2、20−3、20−4はミス×、第5列目の針20−5はタック△、第6、第7、第8列目の針20−6、20−7、20−8はミス×というように、1ウエールタック、3ウエールミスをシングルカバリングヤーン25で繰り返している。
次に、第10コースC10、第11コースC11および第12コースC12ではすべての針20−1〜20−nにニット○とし、前記伸縮力の弱いシングルカバリングヤーン26で編成している。この連続した3コースの後に、C9と同一の1ウエールタックと3ウエールミスを繰り返す第13コースC13を介在させている。この後さらに、ニットのみからなる3コース、1ウエールタックと3ウエールミスを繰り返す1コースというパターンを繰り返している。
なお、ウエルト編み領域11bの長さは所要長さとすることができるが、本実施形態においても第1実施形態と同様、30コースとしている。
【0066】
第3実施形態においても、シングルニットからなるシングルウエルトの端末編組織を有する履き口部11を備えているので、履き口部11をソフトで薄くすることができ、窮屈感を低減し外観にひびかないようにすることができる。
さらに、第1実施形態同様に、履き口部11の下側に、ずり下がり防止部12を設けることにより、締め付け力がソフトな前記端末編組織を有する履き口部11を備えたパンティストッキング10のずり下がりを効果的に防止することができる。
【0067】
また、前記のように、止め編み部分11aにおいて、1つのコースで1ウエールタック、3ウエールミスを繰り返して編成し、太いポリウレタン弾性芯糸を備えたシングルカバリングヤーンからなる伸縮力の強い第1種編み糸25で編成することにより、外側へのカール発生を抑制することができ、また、適度な締め付け力を付与することもできる。
【0068】
さらに、前記のように、ウエルト編み領域11bでは、伸縮力の弱い第2種編み糸26でニットのみからなるコースC10、C11、C12の3コース連続して設けた後に、伸縮力の強い第1種編み糸25で編成した1ウエールタック、3ウエールミスを繰り返すコースC13を1コース設け、続いて、前記第2種編み糸26でニットのみからなるコースを3コースC14、C15、C16連続させ、以下、これを繰り返すことで、止め編み領域11aよりは低い締め付け力として身体への圧迫感を減少して着用感を向上させることができると共に、外側へのカール発生を効果的に抑制することができる。かつ、ウエルト編み領域11bも止め編み領域11aと同様にシングルカバリングヤーンからなる第1種編み糸25、第2種編み糸26のみで編成しているため肌触りも良くすることができる。
【0069】
第4実施形態では、シングルニットからなるウエルト部分の編地を折り返してダブルウエルトの履き口部とした点以外は第1実施形態と同様の構成としている。ダブルウエルトの履き口部の非伸長時における上下縦方向の長さは0.5〜3cm(本実施形態においては0.5cm)とし、前記シングルニットからなるウエルト部分の編地の糸使いとしては、20〜50デシテックスのポリウレタン弾性芯糸に10〜40デシテックスのナイロン糸を巻き付けたシングルカバリングヤーン(本実施形態においては33デシテックスのポリウレタン弾性芯糸に33デシテックスのナイロン糸を巻き付けたシングルカバリングヤーン)と10〜60デシテックスのナイロン糸(本実施形態においては33デシテックスのウーリーナイロン)の交編としている。しかし、前記のようなシングルカバリングヤーンとナイロン糸との交編のみならず、シングルカバリングヤーン同士の交編としてもよい。
【0070】
前記のように、ダブルウエルトの履き口部とした場合でも、折り返すウエルト部分の編地をシングルニットとして薄地で締め付け力を弱めているため、窮屈感を低減し外観にひびかないようにすることができる。また、第1実施形態同様に、弾性糸を用いて編成された(A)コース群と、前記弾性糸に非弾性糸を添えた編み糸で編成された(B)コース群を交互に設けたずり下がり防止部を履き口部に連続して設ける構成とすることによって、ずり下がり防止部全体のフィット性を前記弾性糸によって向上させることができると共に、ずり下がり要因となる上下縦方向の伸縮性を、添え糸である非弾性糸によって適度に抑制して、衣類のずり下がりを効果的に防止することができる。
【0071】
図8は第5実施形態を示す。
図8は、シングルニットからなるシングルウエルトの端末編組織を有する履き口部41と、均一幅のボーダー柄を設けたずり下がり防止部42を備えたタイツ40を示している。
【0072】
図9は第6実施形態を示す。
図9は、シングルニットからなるシングルウエルトの端末編組織を有する履き口部51と、均一幅のボーダー柄を設けたずり下がり防止部52を備えたショーツ50を示している。
【0073】
図10は第7実施形態を示す。
図10は、シングルニットからなるシングルウエルトの端末編組織を有する履き口部61と、均一幅のボーダー柄を設けたずり下がり防止部62を備えたパンツ60を示している。
【0074】
図11は第8実施形態を示す。
図11は、シングルニットからなるシングルウエルトの端末編組織を有する履き口部71と、均一幅のボーダー柄を設けたずり下がり防止部72を備えたガードル70を示している。
【0075】
図12は第9実施形態を示す。
図12は、シングルニットからなるシングルウエルトの端末編組織を有する履き口部81と、均一幅のボーダー柄を設けたずり下がり防止部82を備えたストッキング80を示している。
【0076】
図13は第10実施形態を示す。
図13は、シングルニットからなるシングルウエルトの端末編組織を有する履き口部91と、均一幅のボーダー柄を設けたずり下がり防止部92を備えたスパッツ90を示している。
【0077】
図14は第11実施形態を示す。
図14は、シングルニットからなるシングルウエルトの端末編組織を有する履き口部101と、均一幅のボーダー柄を設けたずり下がり防止部102を備えたソックス100を示している。
【0078】
前記構成のタイツ40、ショーツ50、パンツ60、ガードル70、ストッキング80、スパッツ90、ソックス100においても、シングルニットからなるシングルウエルトの端末編組織を有する履き口部41、51、61、71、81、91、101を備えているので、履き口部をソフトで薄くすることができ、窮屈感を低減し外観にひびかないようにすることができる。また、ボーダー柄のずり下がり防止部42、52、62、72、82、92、102を備えているため、ずり下がりも効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】(A)は第1実施形態におけるパンティストッキングの概略図であり、(B)は要部拡大図である。
【図2】第1実施形態における履き口部の編組織の説明図である。
【図3】第1実施形態における履き口部の編組織を示す図面である。
【図4】第1実施形態におけるずり下がり防止部の編組織の説明図である。
【図5】第1実施形態におけるずり下がり防止部の編組織を示す図面である。
【図6】(A)は第2実施形態におけるパンティストッキングの概略図であり、(B)は要部拡大図である。
【図7】第3実施形態における履き口部の編組織の説明図である。
【図8】第5実施形態におけるタイツの概略図である。
【図9】第6実施形態におけるショーツの概略図である。
【図10】第7実施形態におけるパンツの概略図である。
【図11】第8実施形態におけるガードルの概略図である。
【図12】第9実施形態におけるストッキングの概略図である。
【図13】第10実施形態におけるスパッツの概略図である。
【図14】第11実施形態におけるソックスの概略図である。
【符号の説明】
【0080】
10、30 パンティストッキング
11、41、51、61、71、81、91、101 履き口部
11a 止め編み領域
11b ウエルト編み領域
12、42、52、62、72、82、92、102 ずり下がり防止部
13 レッグ部
20−1〜20−n 針
21、23、25、26 シングルカバリングヤーン
22、24 ウーリーナイロン
40 タイツ
50 ショーツ
60 パンツ
70 ガードル
80 ストッキング
90 スパッツ
100 ソックス
【技術分野】
【0001】
本発明は衣類に関するものであり、特に、履き口部を有するボトム下着等の衣類において、履き口部を、薄地でかつ締め付け力が低い端末編組織で編成することにより、履き口部の窮屈感を低減すると共に、外観にひびかないようにでき、前記衣類着用時におけるずり下がりも効果的に防止して心地よい着用感を得ることができるものである。
【背景技術】
【0002】
パンティストッキングやパンツ等の履き口端末のウエルト部分は、その圧迫感や厚さ、硬さによって窮屈感を感じる場合が多い。また、その厚さが大で身頃地との間に段差が発生するとアウターを通して外観上現出する、いわゆる“ひびく”現象も発生しやすい。
そこで、本出願人は、特開2004−124291号公報において、シングルニットからなるシングルウエルトの端末編組織を備えた衣類を提案している。
【0003】
前記端末編組織は、履き口部の窮屈感やひびくといった問題は解消することができるが、前記端末編組織を履き口部としたボトム下着等の衣類の場合、前記履き口部の締め付け力がソフトであるがゆえに、該衣類着用時にずり下がりが生じてしまうという問題があり、この点についてはさらに改良の余地が残されている。
【0004】
【特許文献1】特開2004−124291号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は前記問題に鑑みてなされたものであり、履き口部を有する衣類において、前記履き口部の窮屈感を低減することができると共に、外観にひびかないようにでき、かつ、前記衣類の着用時におけるずり下がりも効果的に防止して心地よい着用感を得ることができる衣類を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明は、シングルニットからなる端末編組織を有する履き口部と、
前記履き口部に連続するずり下がり防止部を備え、
前記ずり下がり防止部は、弾性糸を用いて編成された(A)コース群と、前記弾性糸に非弾性糸を添えた編み糸で編成された(B)コース群を交互に設けていることを特徴とする衣類を提供している。
【0007】
前記のように、本発明の衣類は、シングルニットからなる端末編組織を有する履き口部を備えているので、履き口部を薄地かつ低い締め付け力としやすく、窮屈感を低減し外観にひびかないようにすることができる。
また、前記のように、弾性糸を用いて編成された(A)コース群と、前記弾性糸に非弾性糸を添えた編み糸で編成された(B)コース群を交互に設けたずり下がり防止部を前記履き口部に連続して設ける構成としている。よって、弾性糸を用いて編成することによりずり下がり防止部全体のフィット性を向上させることができると共に、非弾性糸を弾性糸に添えた編み糸で編成された(B)コース群を、弾性糸を用いて編成された(A)コース群との間に介在させることにより、ずり下がり要因となる上下縦方向の伸縮性を、添え糸である非弾性糸によって適度に抑制して、衣類のずり下がりを効果的に防止することができる。
【0008】
なお、ずり下がり防止機能を有したパンティ部の締め付け力を前記履き口部のウエルト編み領域の締め付け力より大としていることが好ましい。これにより、端末部分の肌触りをよりソフトにでき、端末部分が身体に食い込んで着用感を悪化させることもない。
【0009】
また、前記履き口部は、編み始めの止め編み領域と該止め編み領域に連続するウエルト編み領域とを備えるシングルウエルトとしてもよいし、ウエルト部分の編地を折り返して袋状としたダブルウエルトとしてもよい。
履き口部を前記ダブルウエルトとする場合には、履き口部の非伸長時における上下縦方向の長さを0.5〜1.0cm程度の細幅として、締め付け力を弱めたものであることがより好ましい。
【0010】
また、前記ずり下がり防止部は、前記(A)コース群と前記(B)コース群を交互に設けてボーダー柄としていることが好ましい。即ち、前記(A)コース群、(B)コース群のどちらかを濃染しボーダー柄を明確にすることにより、ずり下がり防止効果に加えてデザイン性も同時に付与することができる。
【0011】
ウエール方向に連続するコース数を前記(A)コース群および(B)コース群とで同一として均一幅を有するボーダー柄としてもよく、また、ウエール方向に連続するコース数を(A)コース群と(B)コース群とで相違させて不均一幅を有するボーダー柄としてもよい。
ウエール方向に連続するコース数を前記(A)コース群と(B)コース群とで同一とした場合、伸縮性が高くフィット性に優れた領域[(A)コース群]と、上下縦方向の伸縮性を抑制して締め付け力をさらに高め、ずり下がり防止効果を高めた領域[(B)コース群]を均等に持ち合わせたずり下がり防止部とすることができる。よって、ずり下がり防止部のいずれの位置においても身体の動きに合わせた適度なフィット性とずり下がり防止効果を持たせることができ、また、ボーダー柄の幅を均等にすることで規則的なデザイン性を付与することもできる。
この場合、ウエール方向に連続するコース数を前記(A)コース群と(B)コース群とで同一とし、前記連続するコース数を4〜64コースとすることが好ましい。さらに、好ましくは、4〜16コースである。
【0012】
一方、前記のように、ウエール方向に連続するコース数を(A)コース群と(B)コース群とで相違させることも可能であり、例えば、ヒップ周囲等、身体の動作に合わせて高い伸縮性が要求される部分には(A)コース群のコース数を(B)コース群のコース数より多くしてフィット性を高める一方、ウエスト周りやレッグ部近傍では(B)コース群のコース数を(A)コース群のコース数より多くし、上下縦方向および横方向の伸びを抑えてフィット性の向上と、ずり下がり防止に重点を置くようにすることも、快適な着用感を得るうえで好ましい態様である。
【0013】
前記のように、ウエール方向に連続するコース数は前記(A)コース群と(B)コース群とで相違させる場合には、前記(A)コース群の連続コース数を1〜500コースとし、(B)コース群の連続コース数を1〜64コースとしていることが好ましい。さらに、(A)コース群の連続コース数を4〜400コースとし、(B)コース群の連続コース数を4 〜60コースとしていることが好ましい。
【0014】
前記弾性糸としてシングルカバリングヤーンまたはシングルカバリングヤーンとダブルカバリングヤーンを交編で用いると共に、前記非弾性糸としてウーリーナイロンを用い、前記ずり下がり防止部の各コースはプレーン編みで編成されていることが好ましい。
前記のように、(A)コース群や(B)コース群において、弾性糸として弾性芯糸を備えたシングルカバリングヤーンを用いることにより伸縮性を高め、フィット性や締め付け力を高めることができると共に肌触りを良くすることができる。また、前記(B)コース群でモーレ糸として挿入する前記非弾性糸にウーリーナイロンを用いることにより、上下縦方向の伸びの抑制を容易に行うことができる。
また、前記のように、ずり下がり防止部の各コースをプレーン編みで編成することにより、フィット性や締め付け力を高めることができる。
【0015】
前記弾性糸としては、15デシテックス〜80デシテックスのポリウレタン弾性芯糸に、ナイロン糸を巻き付けたシングルカバリングヤーンを用いることが好ましい。
ポリウレタン弾性芯糸の太さが15デシテックス未満であると、伸縮力が弱くなり、フィット性や締め付け力が十分でなくなる場合がある一方、ポリウレタン弾性糸の太さが80デシテックスを越えると、締め付け力が強すぎて着用感を損ねる場合がある。特に好ましくは、ポリウレタン弾性芯糸の太さが20デシテックス〜50デシテックスである。
また、(B)コース群においてモーレ糸として挿入する前記非弾性糸としては、15デシテックス〜60デシテックスのウーリーナイロンを用いることが好ましい。
ウーリーナイロンの太さが15デシテックス未満であると、(B)コース群において適度に上下縦方向の伸びを抑制できず、ずり下がり防止効果を高めることができなくなる場合がある一方、ウーリーナイロンの太さが60デシテックスを超えると、(B)コース群における上下縦方向および横方向の伸びが過剰に抑制され、フィット感がなくなり着用感が悪化する場合がある。
【0016】
前記履き口部の編組織は、使用する編機の種類によっても異なるが、例えば、履き口部をシングルウエルトとした場合において、編み始めの止め編み領域は、弾性糸に添え糸を添えた編み糸から編成するコースと、非弾性糸に前記添え糸を添えた編み糸から編成するコースを交互に設けた複数のコースとし、前記非弾性糸に前記添え糸を添えた編み糸から編成する2コース目以降の1コース以上をニットのみで編成し、他のコースは1ウエールニットと1ウエールミスを繰り返して編成する一方、
前記止め編み領域に連続するウエルト編み領域では、前記弾性糸を用いて1ウエールニットと1ウエールミスまたは1ウエールニットと1ウエールタックを繰り返して編成するコースと、前記非弾性糸を用いてニットのみで編成するコースを交互に設けていることが好ましい。
しかし、前記履き口部の編組織は前記構成に限られず、例えば、前記止め編み領域において、弾性糸および非弾性糸に添える添え糸を必ずしも共通させなくてもよいし、また、前記ウエルト編み領域において添え糸を適宜使用することもできる。
【0017】
前記のように、編み始めの止め編み領域において、弾性糸および非弾性糸に添え糸を添えた編み糸を用いて編成することにより、編み糸の繊度を増やし伸縮性を高めることができ、外側へ捲くれ上がるカールの発生を抑制できる。
また、非弾性糸に添え糸を添えた編み糸から編成する2コース目以降の1コース以上をニットのみからなるプレーン編組織で編成することで、編立やすく、強度を持たせることができる。
さらに、前記ニットのみからなるコース以外のコースを、1ウエールニットと1ウエールミスを繰り返して編成することにより、適度な伸縮性を保持させることができる。
【0018】
前記1ウエールニットと1ウエールミスを繰り返して編成することにより、ニット、ミスの組織がストライプ状であっても、メッシュ状であってもどちらでもよいが、編立のしやすさから、ストライプ状となっていることが好ましい。
また、前記止め編み領域のコース数としては、4コース程度とすることが好ましい。
【0019】
さらに、前記のように、前記止め編み領域に連続するウエルト編み領域では、前記止め編み領域より伸縮性が低い編み糸を用いているため、前記止め編み領域より締め付け力を低減でき、圧迫感を減少させて着用感を高めることができる。
また、前記弾性糸を用いて1ウエールニットと1ウエールミスまたは1ウエールニットと1ウエールタックを繰り返して編成するコースを設けることにより、表目の張力が高くなりすぎないようしてカールの発生を抑制しながら、適度な締め付け力を保持することができる。
さらに、前記非弾性糸を用いてニットのみからなるプレーン編組織で編成するコースを設けることにより、表目の張力が高まっても、前記ニットのみからなるコースは伸縮力の弱い編み糸で編成されるため、外側へのカールの発生を抑制しながら、適度な締め付け力も保持することができる。
【0020】
前記弾性糸を用いて1ウエールニットと1ウエールミスまたは1ウエールニットと1ウエールタックを繰り返して編成することにより、ニット、ミスまたはニット、タックの組織がストライプ状であっても、メッシュ状であってもどちらでもよいが、外観上、ストライプ状となっていることが好ましい。
なお、ウエルト編み領域のコース数は、前記止め編み領域のコース数より多くしていることが好ましく、衣類の機能やデザインに応じてコース数を適宜増減してウエルト編み領域の長さを調節することができるが、例えば、10コース以上、さらには20〜80コース程度が好ましい。
【0021】
前記弾性糸として弾性芯糸を備えたシングルカバリングヤーンを用いると共に、前記非弾性糸としてウーリーナイロンを用い、さらに前記添え糸として前記弾性糸の弾性芯糸より細い弾性芯糸を備えたシングルカバリングヤーンを用いていることが好ましい。
【0022】
特に、前記弾性糸として、30デシテックス〜80デシテックスのポリウレタン弾性芯糸に、ナイロン糸を巻き付けたシングルカバリングヤーンを用いると共に、前記非弾性糸として、30デシテックス〜80デシテックスのウーリーナイロンを用い、さらに前記添え糸として20デシテックス〜40デシテックスのポリウレタン弾性芯糸にナイロン糸を巻き付けたシングルカバリングヤーンを用いていることが好ましい。
【0023】
また、前記履き口部の止め編み領域の編み組織として、各コースを、1ウエールタック、2ウエールミスまたは1ウエールタック、3ウエールミスを繰り返す編成としてもよい。
【0024】
一方、使用する編機の種類によっては、前記履き口部の編み組織を以下のようにすることもできる。
即ち、編み始めの止め編み領域の複数コースは全てのウエールをタックあるいはミスでニットさせずに編成し、かつ、該止め編み領域では太い弾性芯糸を備えたシングルカバリングヤーンからなる第1種編み糸を用いて編成し、該第1種編み糸で止め編み領域に外側へのカールを発生させない編成としている一方、前記止め編み領域に連続するウエルト編み領域では、前記第1種編み糸で編成したコースと、前記第1種編み糸より伸縮力がない編み糸を用いて編成したコースを組み合わせた編組織としている。
【0025】
前記のように、編み始めの止め編み領域では、どのウエールもニットすることなく複数コースを1つの編み糸で連続して編成しているため、編み糸として太い弾性芯糸を備えた伸縮力の強い第1種編み糸を用いても厚くならずに薄さを保持でき、カール発生を抑制しながら、適度な締め付け力を付与することができる。
【0026】
一方、前記止め編み領域に連続するウエルト編み領域では、前記第1種編み糸で編成したコースを設けていることで、適度な締め付け力の付与が可能となり、さらに、第1種編み糸のみでなく、該第1種編み糸よりも伸縮力が弱い編み糸で編成したコースと併設することで、止め編み領域よりは低い締め付け力として、身体への圧迫感を減少することができ、より着心地の良いものとしている。
前記ウエルト編み領域のコース数は前記止め編み領域のコース数より多くしていることが好ましい。
【0027】
具体的には、前記止め編み領域は、5〜9コースとし、各コースは1ウエールタック、2ウエールミスまたは1ウエールタック、3ウエールミスを繰り返して編成している。
前記構成によれば、選針を2本もしくは3本置きとすることで適度な締め付け力を付与できる。
【0028】
前記ウエルト編み領域は、1ウエールタックと1〜3ウエールミスを繰り返すコースと、ニットのみからなるコースとからなり、該ニットのみからなるコースを2〜3コース連続した後に前記タックとミスとのコースを1コース介在させて編成し、前記タックとミスのコースは前記第1種編み糸を用い、ニットのみからなるコースは、前記第1種編み糸の弾性芯糸より細い弾性芯糸を備えたシングルカバリングヤーンあるいは/およびそれより伸縮力の低い編み糸からなる、第2種編み糸を用いて編成していることが望ましい。
【0029】
前記のように、ウエルト編み領域は、伸縮力の弱い編み糸で編成したニットのみからなるコースを2〜3コース連続して設けることにより、止め編み領域よりも締め付け力を低減でき、圧迫感を減少させて着心地を高めることができる。また、シングルカバリングヤーンからなる第2種編み糸を用いて編成すると、肌触りを良くすることもできる。
この際、ニットのみからなるプレーン編組織によって表目の張力が高まっても、該ニットのみからなるコースは伸縮力が弱い編み糸で編成するため、外側へのカール発生を効果的に抑制することができると共に適度な締め付け力も保持できる。
なお、ウエルト編み領域のコース数は限定されず、衣類の機能やデザインに応じてコース数を増減してウエルト編み領域の長さを調整しているが、前記止め編み領域のコース数を多くし、例えば、20コース以上、さらに50コース以上、100コース〜300コースとしてもよい。
【0030】
前記止め編み領域およびウエルト編み領域に用いる伸縮力の強い第1種編み糸のシングルカバリングヤーンとして、70デシテックス〜200デシテックスのポリウレタン弾性芯糸にナイロン糸を巻き付けた糸を用いていることが好ましい。
ポリウレタン弾性芯糸の太さが70デシテックス未満であると、締め付け力が弱すぎてウエルト部分のカールしようとする力に負けてしまう場合がある。また、200デシテックスを越えると、止め編み領域とウエルト編み領域とのバランスがとれず、締め付け力が強すぎ、着用感を損ねる場合がある。特に好ましくは、ポリウレタン弾性芯糸の太さが100デシテックス〜160デシテックスである。
【0031】
前記ウエルト編み領域のニットのみからなるプレーン編み組織で用いる第2種編み糸として、下記の(1)〜(3)の編み糸を1種あるいは複数種類を用いている。
(1)10デシテックス〜40デシテックスのポリウレタン弾性芯糸にナイロン糸を巻き付けたシングルカバリングヤーン
(2)ウーリーナイロン
(3)その他の複合糸
外観や機能の点から、(1)の編み糸のみ用いる場合、(1)の編み糸に代えて、(2)のウーリーナイロンや(3)を用いる場合がある。
【0032】
前記(1)の第2種編み糸のシングルカバリングヤーンにおいて、ポリウレタン弾性芯糸の太さが10デシテックス未満であると、ニットのみからなるプレーン編み組織を形成しても締め付け力が弱すぎて心地よい着用感が得られなくなる場合がある一方、ポリウレタン弾性芯糸の太さが40デシテックスを越えるともはやパワーの弱い編み糸ではなくなり、締め付け力が強すぎて着用感が悪くなったり、表目の張力が大幅に増大して外側へのカールが発生してしまったりする場合がある。特に好ましくは、ポリウレタン弾性芯糸の太さが15デシテックス〜25デシテックスである。
前記(2)のウーリーナイロンを用いると伸びの調整ができると共に、外観と肌触りを向上させることができる。他の糸とのバランス上で10〜80デシテックスの太さのものを用いるのが好適である。
前記(3)の複合糸として、キュプラと66ナイロンとの混紡糸を用いると、キュプラを混紡することで吸・放湿性を高めることができる。該混紡糸の混合割合はキュプラの吸・放湿性を損なわない40〜90デシテックスが好適に用いられる。
【0033】
また、前記履き口部の止め編み領域の編み組織として、前記したような、弾性糸に添え糸を添えた編み糸から編成するコースと、非弾性糸に前記添え糸を添えた編み糸から編成するコースを交互に設けた複数のコースとし、前記非弾性糸に前記添え糸を添えた編み糸から編成する2コース目以降の1コース以上をニットのみで編成し、他のコースは1ウエールニットと1ウエールミスを繰り返して編成してもよい。
【0034】
本発明は、シングルウエルトまたはダブルウエルトの端末編組織を有する履き口部と、ずり下がり防止部を備えた衣類を提供しており、特に、パンティストッキング、ショーツ、パンツ、ガードル、タイツ、ストッキング、スパッツ、ソックス等が好適であり、前記履き口部が着用時にウエスト位置にくるものだけでなく、着用時に腰骨位置にくるもの(ローライズタイプ)にも適用することができる。
【発明の効果】
【0035】
前述したように、本発明によれば、シングルニットからなる端末編組織を有する履き口部を備えているので、履き口部を薄地かつ低い締め付け力としやすく、窮屈感を低減し外観にひびかないようにすることができる。
また、前記のように、弾性糸を用いて編成された(A)コース群と、前記弾性糸に非弾性糸を添えた編み糸で編成された(B)コース群を交互に設けたずり下がり防止部を前記履き口部に連続して設ける構成とすることによって、ずり下がり防止部全体のフィット性を前記弾性糸によって向上させることができると共に、非弾性糸を前記弾性糸に添えた編み糸で編成された(B)コース群を、前記弾性糸を用いて編成された(A)コース群との間に介在させることにより、ずり下がり要因となる上下縦方向の伸縮性を、添え糸である非弾性糸によって適度に抑制して、衣類のずり下がりを効果的に防止することができる。
【0036】
さらに、前記(A)コース群と前記(B)コース群を交互に設けて、前記ずり下がり防止部をボーダー柄としていることにより、ずり下がり防止効果に加えてデザイン性も同時に付与することができる。
【0037】
また、履き口部をシングルウエルトとした場合に、前記のように、編み始めの止め編み領域において、弾性糸および非弾性糸に添え糸を添えた編み糸を用いて編成することにより、編み糸の繊度を増やし伸縮力を高めることができ、外側へ捲くれ上がるカールの発生を抑制できる。
また、非弾性糸に添え糸を添えた編み糸から編成する2コース目以降の1コース以上をニットのみからなるプレーン編組織で編成することで、編立やすく、強度を持たせることができる。さらに、前記ニットのみからなるコース以外のコースを、1ウエールニットと1ウエールミスを繰り返して編成することにより、適度な伸縮性を保持させることができる。
【0038】
また、前記のように、前記止め編み領域に連続するウエルト編み領域では、前記止め編み領域より伸縮性が低い編み糸を用いているため、前記止め編み領域より締め付け力を低減でき、圧迫感を減少させて着用感を高めることができる。さらに、前記弾性糸を用いて1ウエールニットと1ウエールミスまたは1ウエールニットと1ウエールタックを繰り返して編成するコースを設けることにより、表目の張力が高くなりすぎないようしてカールの発生を抑制しながら、適度な締め付け力を保持することができ、また、前記非弾性糸を用いてニットのみからなるプレーン編組織で編成するコースを設けることにより、表目の張力が高まっても、前記ニットのみからなるコースは伸縮力の弱い編み糸で編成されるため、外側へのカールの発生を抑制しながら、適度な締め付け力も保持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1(A)、(B)は、第1実施形態において、シングルシリンダの4インチの4口丸編機で編成したパンティストッキング10を示す。図中、上端が編み始め端となり、上端から履き口部11を構成する止め編み領域11aとウエルト編み領域11bを設け、さらにその下側に本体部であるパンティ部12およびレッグ部13を連続させている。本実施形態においては、パンティ部12全体をずり下がり防止部12としている。
なお、本実施形態のパンティストッキング10は、履き口部11が着用時にウエスト位置にくるようにしている。
【0040】
図2および図3は、履き口部11の止め編み領域11aおよびウエルト編み領域11bの編み組織を示し、第1列目の針20−1から第N列目の針20−nの下に示す。(○)は針20に給糸してニットしている場合、(×)は針20に給糸せずに飛ばしてミスしている場合、(◎)は添え糸を添えた編み糸を針20に給糸してニットしている場合を示す。
【0041】
編み始めの止め編み領域11aにおいては、弾性糸として78デシテックスのポリウレタン弾性芯糸に33デシテックスのナイロン糸を巻き付けたシングルカバリングヤーンを用い、非弾性糸として56デシテックスのウーリーナイロン、添え糸として33デシテックスのポリウレタン弾性芯糸に33デシテックスのナイロン糸を巻き付けたシングルカバリングヤーン23を用いている。
シングルカバリングヤーンに添え糸のシングルカバリングヤーン23を添えた編み糸21aを給糸口から連続供給して止め編み領域11aの第1コースC1と第3コースC3の2コースを編成している。また、ウーリーナイロンに添え糸のシングルカバリングヤーン23を添えた編み糸22aを他の給糸口から連続供給して止め編み領域11aの第2コースC2と第4コースC4の2コースを編成している。本実施形態では、C1、C3、C4の3コースは、1ウエールニット→1ウエールミス→1ウエールニット→1ウエールミスを繰り返し、C2の1コースだけすべてのウエールでニットしている。
【0042】
詳細には、第1コースC1は、図2および図3に示すように、第1列目の針20−1にニット◎、第2列目の針20−2はミス×、第3列目の針20−3にニット◎、第4列目の針20−4はミス×というように、1ウエールニット、1ウエールミスをシングルカバリングヤーンに添え糸のシングルカバリングヤーン23を添えた編み糸21aで繰り返している。第3コースC3もC1と同様に1ウエール1ニット、1ウエール1ミスを前記編み糸21aで繰り返している。
一方、第2コースC2は、ウーリーナイロンに添え糸のシングルカバリングヤーン23を添えた編み糸22aを用いてすべての針20−1〜20−nにニット◎とし、第4コースC4は、前記編み糸22aを用いて1ウエールニット、1ウエールミスを繰り返している。
図2、図3に示すように、C1、C3、C4の3コースは1ニット、1ミスを繰り返すことにより、ニット、ミスの組織がストライプ状となっている。
【0043】
止め編み領域11aに連続するウエルト編み領域11bのコースC5、C7、C9、C11、C13、C15では、前記78デシテックスのポリウレタン弾性芯糸に33デシテックスのナイロン糸を巻き付けたシングルカバリングヤーン21を給糸口から供給して1ウエールニット→1ウエールミス→1ウエールニット→1ウエールミスを繰り返している。
また、ウエルト編み領域11bの他のコースC6、C8、C10、C12、C14、C16では、前記56デシテックスのウーリーナイロン22を他の給糸口から供給してすべてのウエールでニットしている。
【0044】
詳細には、図2、図3に示すように、第5コースC5では第1列目の針20−1にニット○、第2列目の針20−2はミス×、第3列目の針20−3にニット○、第4列目の針20−4はミス×というように、1ウエールニット、1ウエールミスをシングルカバリングヤーン21で繰り返している。
次に、第6コースC6では、ウーリーナイロン22を用いてすべての針20−1〜20−nにニット○としている。
この後、1ウエールニットと1ウエールミスの第7コースC7、ニットのみからなる第8コースC8というように、シングルカバリングヤーン21によるコースとウーリーナイロン22によるコースを交互に繰り返している。
なお、ウエルト編み領域11bの長さは所要長さとすることができるが、本実施形態においては30コースとし、上下幅を1.7cmとしている。
【0045】
図4および図5は、ずり下がり防止部12の編組織を示し、第1列目の針20−1から第N列目の針20−nの下に示す。前記したように、パンティ部12全体(上下幅18cm)をずり下がり防止部12としている。(○)は針20に給糸してニットしている場合、(◎)は添え糸(モーレ糸)を添えた編み糸を針20に給糸してニットしている場合を示す。
【0046】
前記履き口部11の下側に連続させるずり下がり防止部12は、弾性糸として33デシテックスのポリウレタン弾性芯糸に33デシテックスのナイロン糸を巻きつけたシングルカバリングヤーン23を用いてプレーン編みで編成された(A)コース群と、前記シングルカバリングヤーン23に非弾性糸として33デシテックスのウーリーナイロン24を添えた編み糸23aを用いてプレーン編みで編成された(B)コース群を交互に設けた構成としている。
【0047】
即ち、図4、5に示すように、ずり下がり防止部12の第1コースC1から第8コースC8までの8コースでは、前記シングルカバリングヤーン23を給糸口から連続供給してすべてのウエールでニットして、(A)コース群を形成している。
続いて、第9コースC9から第16コースC16までの8コースでは、前記シングルカバリングヤーン23にウーリーナイロン24を添えた編み糸23aを給糸口から連続供給し、すべてのウエールでニットして(B)コース群を形成している。
【0048】
詳細には、図4、図5に示すように、第1コースC1から第8コースC8までの8コースでは、シングルカバリングヤーン23を用いてすべての針20−1〜20−nにニット○としている。
次に、第9コースC9から第16コースC16までの8コースでは、シングルカバリングヤーン23にウーリーナイロン24を添えた編み糸23aを用いてすべての針20−1〜20−nにニット◎としている。
続いて、第17コースC17から第24コースC24までの8コースを、前記C1〜C8の8コースと同様の(A)コース群、第25コースC25から第32コースC32までの8コースを、前記C9〜C16の8コースと同様の(B)コース群というパターンを繰り返し、パンティ部12全体を(A)コース群と(B)コース群の繰り返しで編成している。
【0049】
前記のように、ずり下がり防止部12には均等幅のボーダー柄が形成される。
また、ずり下がり防止部12の締め付け力を履き口部11の締め付け力より大としている。
続いて、ずり下がり防止部であるパンティ部12の下側に、通常のレッグ部13を連続させ、本実施形態のパンティストッキング10を得ている。
【0050】
前記のように、シングルニットからなるシングルウエルトの端末編組織を有する履き口部11を備えているので、履き口部11をソフトで薄くすることができ、窮屈感を低減し外観にひびかないようにすることができる。
また、前記のように、弾性糸(シングルカバリングヤーン23)を用いて編成された(A)コース群と、前記弾性糸(シングルカバリングヤーン23)に非弾性糸(ウーリーナイロン24)を添えた編み糸23aで編成された(B)コース群を交互に設けたずり下がり防止部12を履き口部11に連続して設ける構成とすることによって、ずり下がり防止部12全体のフィット性を前記弾性糸(シングルカバリングヤーン23)によって向上させることができると共に、ずり下がり要因となる上下縦方向の伸縮性を、添え糸である非弾性糸(ウーリーナイロン24)によって適度に抑制して、衣類のずり下がりを効果的に防止することができる。
【0051】
また、ずり下がり防止部12の締め付け力を履き口部11のウエルト編み領域11bの締め付け力より大とすることにより、端末部分の肌触りをよりソフトにでき、端末部分が身体に食い込んで着用感を悪化させることもない。
【0052】
さらに、前記(A)コース群と前記(B)コース群を交互に設けて、前記ずり下がり防止部12をボーダー柄としていることにより、ずり下がり防止効果に加えてデザイン性も同時に付与している。
【0053】
また、前記のように、編み始めの止め編み領域11aにおいて、弾性糸(シングルカバリングヤーン21)および非弾性糸(ウーリーナイロン22)に添え糸(シングルカバリングヤーン23)を添えた編み糸21a、22aを用いて編成することにより、編み糸の繊度を増やし伸縮力を高めることができ、カールの発生を抑制できる。
また、非弾性糸(ウーリーナイロン22)に添え糸(シングルカバリングヤーン23)を添えた編み糸22aから編成する第2コースC2の1コースをニットのみからなるプレーン編組織で編成することで、編立やすく、強度を持たせることができる。さらに、前記ニットのみからなる1コース以外のコースC1、C3、C4を、1ウエールニットと1ウエールミスを繰り返して編成することにより、適度な伸縮性を保持させることができる。
【0054】
また、前記のように、止め編み領域11aに連続するウエルト編み領域11bでは、止め編み領域11aより伸縮性が低い編み糸を用いているため、止め編み領域11aより締め付け力を低減でき、圧迫感を減少させて着用感を高めることができる。
また、弾性糸(シングルカバリングヤーン21)を用いて1ウエールニットと1ウエールミスを繰り返して編成するコースを設けることにより、表目の張力が高くなりすぎないようしてカールの発生を抑制しながら、適度な締め付け力を保持することができ、さらに、非弾性糸(ウーリーナイロン22)を用いてニットのみからなるプレーン編組織で編成するコースを設けることにより、表目の張力が高まっても、前記ニットのみからなるコースは伸縮力の弱い編み糸22で編成されるため、外側へのカールの発生を抑制しながら、適度な締め付け力も保持することができる。
【0055】
図6(A)、(B)は第2実施形態を示す。
第1実施形態との相違点は、履き口部11が着用時に腰骨位置にくるローライズタイプとした点と、ずり下がり防止部12のボーダー柄の幅を不均一とした点である。第2実施形態においても、第1実施形態と同様にパンティ部12全体をずり下がり防止部12としている。
【0056】
ずり下がり防止部12は、第1実施形態と同様に、弾性糸として33デシテックスのポリウレタン弾性芯糸に33デシテックスのナイロン糸を巻きつけたシングルカバリングヤーン23を用いてプレーン編みで編成された(A)コース群と、前記シングルカバリングヤーン23に非弾性糸として33デシテックスのウーリーナイロン24を添えた編み糸23aを用いてプレーン編みで編成された(B)コース群を交互に設けた構成としているが、本実施形態においては、パンティ部12のうち、身体の動作に合わせて特に高い伸縮性が要求される臀部周囲には(A)コース群のコース数を(B)コース群のコース数より多くしてフィット性を高める一方、腰骨周りやレッグ部近傍では(B)コース群のコース数を(A)コース群のコース数より多くして、締め付け力をさらに高めてずり下がり防止に重点を置く構成としている。
【0057】
即ち、図6に示すように、パンティ部12全体をずり下がり防止部とし、パンティ部12上端より、(A)コース群(1)→(B)コース群(1)→(A)コース群(2)→(B)コース群(2)→(A)コース群(3)→(B)コース群(3)→(A)コース群(4)→(B)コース群(4)→(A)コース群(5)→(B)コース群(5)→(A)コース群(6)→(B)コース群(6)→(A)コース群(7)→(B)コース群(7)→(A)コース群(8)→(B)コース群(8)→(A)コース群(9)→(B)コース群(9)→(A)コース群(10)→(B)コース群(10)→(A)コース群(11)→(B)コース群(11)→(A)コース群(12)→(B)コース群(12)→(A)コース群(13)→(B)コース群(13)→(A)コース群(14)→(B)コース群(14)→(A)コース群(15)→(B)コース群(15)→(A)コース群(16)→(B)コース群(16)→(A)コース群(17)→(B)コース群(17)→(A)コース群(18)→(B)コース群(18)→(A)コース群(19)→(B)コース群(19)→(A)コース群(20)→(B)コース群(20)を設け、表1に示すように、(A)、(B)各コース群のコース数を相違させている。
【0058】
【表1】
【0059】
前記のように、ずり下がり防止部12に不均一幅のボーダー柄を形成している。
また、第1実施形態同様、ずり下がり防止部12の締め付け力を履き口部11の締め付け力より大としている。
続いて、ずり下がり防止部であるパンティ部12の下側に、通常のレッグ部13を連続させ、本実施形態のパンティストッキング30を得ている。
【0060】
前記のように、臀部周囲[(A)コース群(8)〜(B)コース群(15)]では(A)コース群のコース数を(B)コース群のコース数より多くしているため、身体の動作に合わせた優れたフィット感が得られる一方、腰骨周り[(A)コース群(1)〜(B)コース群(5)]やレッグ部近傍[(A)コース群(18)〜(B)コース群(20)]では(B)コース群のコース数を(A)コース群のコース数より多くしているため、これらの部分で締め付け力がさらに高められ、フィット性が向上すると共にずり下がり防止効果も高めることができる。
【0061】
図7は第3実施形態を示す。
第1実施形態との相違点は、履き口部11の編組織を変えた点である。
編み始めの止め編み領域11aは、133デシテックスのポリウレタン弾性芯糸に33デシテックスのナイロン糸を巻きつけたシングルカバリングヤーン25からなる第1種編み糸を用いている。該シングルカバリングヤーン25を給糸口から連続供給して第1コースC1から第8コースC8までの8コースを編成している。
止め編み領域11aの各コースは、1ウエールタック→3ウエールミス→1ウエールタック→3ウエールミスを繰り返している。
【0062】
詳細には、第1コースC1は図6に示すように、第1列目の針20−1にタック△、第2、第3、第4列目の針20−2、20−3、20−4はミス×、第5列目の針20−5にタック△、第6、第7、第8列目の針20−6、20−7、20−8はミス×というように1ウエールタック、3ウエールミスを繰り返し、第2コースC2〜第8コースC8もC3と同様に1ウエールタック、3ウエールミスを繰り返している。
【0063】
止め編み領域11aに連続するウエルト編み領域11bのコースC9、C13では、133デシテックスのポリウレタン弾性芯糸に33デシテックスのナイロン糸を巻きつけたシングルカバリングヤーン25からなる伸縮力の強い第1種編み糸を1つの給糸口から供給して1ウエールタック→3ウエールミス→1ウエールタック→3ウエールミスを繰り返している。
【0064】
ウエルト編み領域11bの他のコースC10、C11、C12、C14、C15、C16では20デシテックスのポリウレタン弾性芯糸に33デシテックスのナイロン糸を巻き付けたシングルカバリングヤーン26からなる伸縮力の弱い第2種編み糸を他の給糸口から供給して全ての針でニットするコースを編成している。
【0065】
詳細には、図7に示すように、第9コースC9では第1列目の針20−1はタック△、第2、第3、第4列目の針20−2、20−3、20−4はミス×、第5列目の針20−5はタック△、第6、第7、第8列目の針20−6、20−7、20−8はミス×というように、1ウエールタック、3ウエールミスをシングルカバリングヤーン25で繰り返している。
次に、第10コースC10、第11コースC11および第12コースC12ではすべての針20−1〜20−nにニット○とし、前記伸縮力の弱いシングルカバリングヤーン26で編成している。この連続した3コースの後に、C9と同一の1ウエールタックと3ウエールミスを繰り返す第13コースC13を介在させている。この後さらに、ニットのみからなる3コース、1ウエールタックと3ウエールミスを繰り返す1コースというパターンを繰り返している。
なお、ウエルト編み領域11bの長さは所要長さとすることができるが、本実施形態においても第1実施形態と同様、30コースとしている。
【0066】
第3実施形態においても、シングルニットからなるシングルウエルトの端末編組織を有する履き口部11を備えているので、履き口部11をソフトで薄くすることができ、窮屈感を低減し外観にひびかないようにすることができる。
さらに、第1実施形態同様に、履き口部11の下側に、ずり下がり防止部12を設けることにより、締め付け力がソフトな前記端末編組織を有する履き口部11を備えたパンティストッキング10のずり下がりを効果的に防止することができる。
【0067】
また、前記のように、止め編み部分11aにおいて、1つのコースで1ウエールタック、3ウエールミスを繰り返して編成し、太いポリウレタン弾性芯糸を備えたシングルカバリングヤーンからなる伸縮力の強い第1種編み糸25で編成することにより、外側へのカール発生を抑制することができ、また、適度な締め付け力を付与することもできる。
【0068】
さらに、前記のように、ウエルト編み領域11bでは、伸縮力の弱い第2種編み糸26でニットのみからなるコースC10、C11、C12の3コース連続して設けた後に、伸縮力の強い第1種編み糸25で編成した1ウエールタック、3ウエールミスを繰り返すコースC13を1コース設け、続いて、前記第2種編み糸26でニットのみからなるコースを3コースC14、C15、C16連続させ、以下、これを繰り返すことで、止め編み領域11aよりは低い締め付け力として身体への圧迫感を減少して着用感を向上させることができると共に、外側へのカール発生を効果的に抑制することができる。かつ、ウエルト編み領域11bも止め編み領域11aと同様にシングルカバリングヤーンからなる第1種編み糸25、第2種編み糸26のみで編成しているため肌触りも良くすることができる。
【0069】
第4実施形態では、シングルニットからなるウエルト部分の編地を折り返してダブルウエルトの履き口部とした点以外は第1実施形態と同様の構成としている。ダブルウエルトの履き口部の非伸長時における上下縦方向の長さは0.5〜3cm(本実施形態においては0.5cm)とし、前記シングルニットからなるウエルト部分の編地の糸使いとしては、20〜50デシテックスのポリウレタン弾性芯糸に10〜40デシテックスのナイロン糸を巻き付けたシングルカバリングヤーン(本実施形態においては33デシテックスのポリウレタン弾性芯糸に33デシテックスのナイロン糸を巻き付けたシングルカバリングヤーン)と10〜60デシテックスのナイロン糸(本実施形態においては33デシテックスのウーリーナイロン)の交編としている。しかし、前記のようなシングルカバリングヤーンとナイロン糸との交編のみならず、シングルカバリングヤーン同士の交編としてもよい。
【0070】
前記のように、ダブルウエルトの履き口部とした場合でも、折り返すウエルト部分の編地をシングルニットとして薄地で締め付け力を弱めているため、窮屈感を低減し外観にひびかないようにすることができる。また、第1実施形態同様に、弾性糸を用いて編成された(A)コース群と、前記弾性糸に非弾性糸を添えた編み糸で編成された(B)コース群を交互に設けたずり下がり防止部を履き口部に連続して設ける構成とすることによって、ずり下がり防止部全体のフィット性を前記弾性糸によって向上させることができると共に、ずり下がり要因となる上下縦方向の伸縮性を、添え糸である非弾性糸によって適度に抑制して、衣類のずり下がりを効果的に防止することができる。
【0071】
図8は第5実施形態を示す。
図8は、シングルニットからなるシングルウエルトの端末編組織を有する履き口部41と、均一幅のボーダー柄を設けたずり下がり防止部42を備えたタイツ40を示している。
【0072】
図9は第6実施形態を示す。
図9は、シングルニットからなるシングルウエルトの端末編組織を有する履き口部51と、均一幅のボーダー柄を設けたずり下がり防止部52を備えたショーツ50を示している。
【0073】
図10は第7実施形態を示す。
図10は、シングルニットからなるシングルウエルトの端末編組織を有する履き口部61と、均一幅のボーダー柄を設けたずり下がり防止部62を備えたパンツ60を示している。
【0074】
図11は第8実施形態を示す。
図11は、シングルニットからなるシングルウエルトの端末編組織を有する履き口部71と、均一幅のボーダー柄を設けたずり下がり防止部72を備えたガードル70を示している。
【0075】
図12は第9実施形態を示す。
図12は、シングルニットからなるシングルウエルトの端末編組織を有する履き口部81と、均一幅のボーダー柄を設けたずり下がり防止部82を備えたストッキング80を示している。
【0076】
図13は第10実施形態を示す。
図13は、シングルニットからなるシングルウエルトの端末編組織を有する履き口部91と、均一幅のボーダー柄を設けたずり下がり防止部92を備えたスパッツ90を示している。
【0077】
図14は第11実施形態を示す。
図14は、シングルニットからなるシングルウエルトの端末編組織を有する履き口部101と、均一幅のボーダー柄を設けたずり下がり防止部102を備えたソックス100を示している。
【0078】
前記構成のタイツ40、ショーツ50、パンツ60、ガードル70、ストッキング80、スパッツ90、ソックス100においても、シングルニットからなるシングルウエルトの端末編組織を有する履き口部41、51、61、71、81、91、101を備えているので、履き口部をソフトで薄くすることができ、窮屈感を低減し外観にひびかないようにすることができる。また、ボーダー柄のずり下がり防止部42、52、62、72、82、92、102を備えているため、ずり下がりも効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】(A)は第1実施形態におけるパンティストッキングの概略図であり、(B)は要部拡大図である。
【図2】第1実施形態における履き口部の編組織の説明図である。
【図3】第1実施形態における履き口部の編組織を示す図面である。
【図4】第1実施形態におけるずり下がり防止部の編組織の説明図である。
【図5】第1実施形態におけるずり下がり防止部の編組織を示す図面である。
【図6】(A)は第2実施形態におけるパンティストッキングの概略図であり、(B)は要部拡大図である。
【図7】第3実施形態における履き口部の編組織の説明図である。
【図8】第5実施形態におけるタイツの概略図である。
【図9】第6実施形態におけるショーツの概略図である。
【図10】第7実施形態におけるパンツの概略図である。
【図11】第8実施形態におけるガードルの概略図である。
【図12】第9実施形態におけるストッキングの概略図である。
【図13】第10実施形態におけるスパッツの概略図である。
【図14】第11実施形態におけるソックスの概略図である。
【符号の説明】
【0080】
10、30 パンティストッキング
11、41、51、61、71、81、91、101 履き口部
11a 止め編み領域
11b ウエルト編み領域
12、42、52、62、72、82、92、102 ずり下がり防止部
13 レッグ部
20−1〜20−n 針
21、23、25、26 シングルカバリングヤーン
22、24 ウーリーナイロン
40 タイツ
50 ショーツ
60 パンツ
70 ガードル
80 ストッキング
90 スパッツ
100 ソックス
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シングルニットからなる端末編組織を有する履き口部と、
前記履き口部に連続するずり下がり防止部を備え、
前記ずり下がり防止部は、弾性糸を用いて編成された(A)コース群と、前記弾性糸に非弾性糸を添えた編み糸で編成された(B)コース群を交互に設けていることを特徴とする衣類。
【請求項2】
前記履き口部が、編み始めの止め編み領域と該止め編み領域に連続するウエルト編み領域とを備えるシングルウエルト、あるいはダブルウエルトである請求項1に記載の衣類。
【請求項3】
前記ずり下がり防止部は、前記(A)コース群と前記(B)コース群を交互に設けてボーダー柄としている請求項1または請求項2に記載の衣類。
【請求項4】
ウエール方向に連続するコース数は前記(A)コース群および(B)コース群とを同一として、前記連続するコース数は4〜64コースとしている請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の衣類。
【請求項5】
ウエール方向に連続するコース数は前記(A)コース群と(B)コース群とで相違させ、前記(A)コース群の連続コース数は1〜500コースとし、(B)コース群の連続コース数は1〜64コースとしている請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の衣類。
【請求項6】
前記弾性糸としてシングルカバリングヤーンまたはシングルカバリングヤーンとダブルカバリングヤーンを交編で用いると共に、前記非弾性糸としてウーリーナイロンを用い、前記ずり下がり防止部の各コースはプレーン編みで編成されている請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の衣類。
【請求項7】
前記履き口部の止め編み領域は、弾性糸に添え糸を添えた編み糸から編成するコースと、非弾性糸に前記添え糸を添えた編み糸から編成するコースを交互に設けた複数のコースとし、前記非弾性糸に前記添え糸を添えた編み糸から編成する2コース目以降の1コース以上をニットのみで編成し、他のコースは1ウエールニットと1ウエールミスを繰り返して編成する一方、
前記止め編み領域に連続するウエルト編み領域では、前記弾性糸を用いて1ウエールニットと1ウエールミスまたは1ウエールニットと1ウエールタックを繰り返して編成するコースと、前記非弾性糸を用いてニットのみで編成するコースを交互に設けている請求項2乃至請求項6のいずれか1項に記載の衣類。
【請求項8】
前記履き口部の止め編み領域の複数のコースは全てのウエールをタックあるいはミスでニットさせずに編成し、かつ、該止め編み領域では太い弾性芯糸を備えたシングルカバリングヤーンからなる第1種編み糸を用いて編成し、該第1種編み糸で止め編み領域に外側へのカールを発生させない編成としている一方、
前記止め編み領域に連続するウエルト編み領域では、前記第1種編み糸で編成したコースと、前記第1種編み糸より伸縮力がない編み糸を用いて編成したコースを組み合わせた編組織としている請求項2乃至請求項6のいずれか1項に記載の衣類。
【請求項9】
前記止め編み領域は5〜9コースとし、各コースは1ウエールタック、2ウエールミスまたは1ウエールタック、3ウエールミスを繰り返して編成する一方、
前記ウエルト編み領域は、1ウエールタックと1〜3ウエールミスを繰り返すコースと、ニットのみからなるコースとからなり、該ニットのみからなるコースを2〜3コース連続した後に前記タックとミスとのコースを1コース介在させて編成し、前記ニットのみからなるコースは、前記第1種編み糸の弾性芯糸より細い弾性芯糸を備えたシングルカバリングヤーンあるいは/およびそれより伸縮力の低い編み糸からなる、第2種編み糸を用いて編成している請求項8に記載の衣類。
【請求項10】
パンティストッキング、タイツ、ショーツ、パンツ、ガードル、ストッキング、スパッツ、ソックスである請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の衣類。
【請求項1】
シングルニットからなる端末編組織を有する履き口部と、
前記履き口部に連続するずり下がり防止部を備え、
前記ずり下がり防止部は、弾性糸を用いて編成された(A)コース群と、前記弾性糸に非弾性糸を添えた編み糸で編成された(B)コース群を交互に設けていることを特徴とする衣類。
【請求項2】
前記履き口部が、編み始めの止め編み領域と該止め編み領域に連続するウエルト編み領域とを備えるシングルウエルト、あるいはダブルウエルトである請求項1に記載の衣類。
【請求項3】
前記ずり下がり防止部は、前記(A)コース群と前記(B)コース群を交互に設けてボーダー柄としている請求項1または請求項2に記載の衣類。
【請求項4】
ウエール方向に連続するコース数は前記(A)コース群および(B)コース群とを同一として、前記連続するコース数は4〜64コースとしている請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の衣類。
【請求項5】
ウエール方向に連続するコース数は前記(A)コース群と(B)コース群とで相違させ、前記(A)コース群の連続コース数は1〜500コースとし、(B)コース群の連続コース数は1〜64コースとしている請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の衣類。
【請求項6】
前記弾性糸としてシングルカバリングヤーンまたはシングルカバリングヤーンとダブルカバリングヤーンを交編で用いると共に、前記非弾性糸としてウーリーナイロンを用い、前記ずり下がり防止部の各コースはプレーン編みで編成されている請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の衣類。
【請求項7】
前記履き口部の止め編み領域は、弾性糸に添え糸を添えた編み糸から編成するコースと、非弾性糸に前記添え糸を添えた編み糸から編成するコースを交互に設けた複数のコースとし、前記非弾性糸に前記添え糸を添えた編み糸から編成する2コース目以降の1コース以上をニットのみで編成し、他のコースは1ウエールニットと1ウエールミスを繰り返して編成する一方、
前記止め編み領域に連続するウエルト編み領域では、前記弾性糸を用いて1ウエールニットと1ウエールミスまたは1ウエールニットと1ウエールタックを繰り返して編成するコースと、前記非弾性糸を用いてニットのみで編成するコースを交互に設けている請求項2乃至請求項6のいずれか1項に記載の衣類。
【請求項8】
前記履き口部の止め編み領域の複数のコースは全てのウエールをタックあるいはミスでニットさせずに編成し、かつ、該止め編み領域では太い弾性芯糸を備えたシングルカバリングヤーンからなる第1種編み糸を用いて編成し、該第1種編み糸で止め編み領域に外側へのカールを発生させない編成としている一方、
前記止め編み領域に連続するウエルト編み領域では、前記第1種編み糸で編成したコースと、前記第1種編み糸より伸縮力がない編み糸を用いて編成したコースを組み合わせた編組織としている請求項2乃至請求項6のいずれか1項に記載の衣類。
【請求項9】
前記止め編み領域は5〜9コースとし、各コースは1ウエールタック、2ウエールミスまたは1ウエールタック、3ウエールミスを繰り返して編成する一方、
前記ウエルト編み領域は、1ウエールタックと1〜3ウエールミスを繰り返すコースと、ニットのみからなるコースとからなり、該ニットのみからなるコースを2〜3コース連続した後に前記タックとミスとのコースを1コース介在させて編成し、前記ニットのみからなるコースは、前記第1種編み糸の弾性芯糸より細い弾性芯糸を備えたシングルカバリングヤーンあるいは/およびそれより伸縮力の低い編み糸からなる、第2種編み糸を用いて編成している請求項8に記載の衣類。
【請求項10】
パンティストッキング、タイツ、ショーツ、パンツ、ガードル、ストッキング、スパッツ、ソックスである請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の衣類。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2008−38262(P2008−38262A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−210404(P2006−210404)
【出願日】平成18年8月1日(2006.8.1)
【出願人】(000001339)グンゼ株式会社 (919)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月1日(2006.8.1)
【出願人】(000001339)グンゼ株式会社 (919)
【Fターム(参考)】
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