説明

表示システムおよびデバイス用のリン光体組成物およびその他の蛍光材料

【課題】 表示システムおよびデバイス用のリン光体組成物およびその他の蛍光材料を提供する。
【解決手段】 走査ビームディスプレイの蛍光層にはさまざまなリン光体組成物および有機化合物を利用し得る。本明細書において説明される主題の一側面は概して、単一の波長で励起光を吸収して可視光を放出する蛍光層を備える表示デバイスにおいて実施され得る。蛍光層は複数の平行な蛍光ストライプを有する。少なくとも3つの隣接する蛍光ストライプは3つの異なる蛍光材料から構成されている。当該3つの異なる蛍光材料は、励起光を吸収して第1の色の光を放出する第1の蛍光材料と、励起光を吸収して第2の色の光を放出する第2の蛍光材料と、励起光を吸収して第3の色の光を放出する第3の蛍光材料とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は以下に述べる先行する特許出願の恩恵を主張する。
【0002】
1.米国特許出願第11/116,998号(発明の名称:色付き可視光を発するUV励起可能リン光体を用いたレーザディスプレイ、出願日:2005年4月27日)の一部継続出願としての恩恵を主張する。
【0003】
2.米国特許出願第11/335,813号(発明の名称:光学蛍光材料を含むスクリーンを有する表示システム、出願日:2006年1月18日)の一部継続出願としての恩恵を主張する。
【0004】
3.米国特許出願第11/337,170号(発明の名称:光学蛍光材料を有する表示スクリーン、出願日:2006年1月19日)の一部継続出願としての恩恵を主張する。
【0005】
4.PCT出願第PCT/US2006/11757号(発明の名称:光学蛍光材料を含むスクリーンを有する表示システム、出願日:2006年3月31日)の恩恵を主張する。
【0006】
5.米国仮特許出願第60/798,415号(発明の名称:表示システムおよびデバイス用のリン光体組成物およびその他の蛍光材料、出願日:2006年5月5日)の恩恵を主張する。
【0007】
6.米国仮特許出願第60/799,316号(発明の名称:表示システムおよびデバイス用のリン光体組成物およびその他の蛍光材料、出願日:2006年5月9日)の恩恵を主張する。
【0008】
7.米国特許出願第11/510,495号(発明の名称:蛍光スクリーンを用いた走査ビーム表示システム用の光学設計、出願日:2006年8月24日)の一部継続出願としての恩恵を主張する。
【0009】
8.米国特許出願第11/514,720号(発明の名称:走査ビーム表示システムの多層蛍光スクリーン、出願日:2006年8月31日)の一部継続出願としての恩恵を主張する。
【0010】
9.米国特許出願第11/553,971号(発明の名称:走査ビーム表示用のリン光体組成物、出願日:2006年10月27日)の一部継続出願としての恩恵を主張する。
【0011】
10.米国仮特許出願第60/869,713号(発明の名称:走査ビーム表示用のリン光体組成物、出願日:2006年12月12日)の恩恵を主張する。
【0012】
11.米国仮特許出願第60/890,174号(発明の名称:リン光体の色度を調整するための有機化合物、出願日:2007年2月15日)の恩恵を主張する。
【0013】
本願は、参照により上記の出願の開示内容を全て組み込み、本願明細書の一部とする。
【背景技術】
【0014】
本願は、レーザによる画像および映像ディスプレイまたはそのようなディスプレイ用のスクリーン設計等、光学励起によって着色光を発する蛍光材料を含むスクリーンを利用する表示システムに関する。
【0015】
多くの画像および映像ディスプレイは、赤、緑および青といった複数の異なる色でカラー画像を直接生成して、該カラー画像をスクリーンに投影する。こういったシステムは通常「投影型ディスプレイ」と呼ばれ、スクリーンは単に視聴者がカラー画像を見ることができるようにするための面に過ぎない。このような投影型ディスプレイは白色光源を利用する場合があり、白色光は赤色、緑色および青色で画像を生成するべくフィルタリング且つ変調される。これに代えて、赤色、緑色および青色の3つのビームを直接生成するべく、赤色、緑色および青色の3つの光源が利用されるとしてもよく、これら3つのビームは赤色、緑色および青色の画像を生成するべく変調される。このような投影型ディスプレイの例を挙げると、DLP(Digital Light Processing)ディスプレイ、LCoS(Liquid Cristal on Silion)ディスプレイ、およびGLV(Grating Light Valve)ディスプレイなどがある。尚、GLVディスプレイは赤色レーザビーム、緑色レーザビームおよび青色レーザビームそれぞれを変調するべく3つのグレーティングライトバルブを利用しており、スクリーン上にカラー画像を生成するべくビームスキャナーを利用する。レーザを利用する投影型ディスプレイとして別の例を挙げると、米国特許第5,920,361号(発明の名称:画像投影用の方法および装置)に記載されているものがある。投影型ディスプレイは、スクリーン上にカラー画像を結像および投影させるべく光学レンズ系を利用する。
【0016】
上記以外の一部の画像および映像ディスプレイは、スクリーン内においてカラー画像を直接形成するべく発光カラー画素がスクリーン自体に含まれている「直接」構成を利用している。このような直接型ディスプレイは、画像を投影するための光学レンズ系を持たないので、スクリーンサイズが同じであるとすると、投影型ディスプレイよりも小型化することができる。直接型表示システムの例を挙げると、プラズマディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオード(LED)ディスプレイ(例えば、有機LEDディスプレイ)、電界放出ディスプレイ(FED)等がある。このような直接型ディスプレイの色画素はそれぞれ、赤色光、緑色光および青色光を生成する3つの隣接する色画素を有する。赤色光、緑色光および青色光の生成は、LEDディスプレイおよびFEDでは着色光を直接発光することによって実現され、LCD等では白色光をフィルタリングすることによって実現される。
【0017】
上記およびそれ以外のディスプレイが、当初から何十年にもわたってディスプレイ市場を独占してきた陰極線管(CRT)ディスプレイに代わって用いられるようになっている。CRTディスプレイでは、真空管内で走査電子ビームを利用して、スクリーン上の赤色、緑色および青色のカラーリン光体を励起して、カラー画像を生成するための着色光を発光させる。CRTディスプレイは、鮮明な色および明るい画像を高解像度で生成することができるが、陰極線管を利用しているために技術的に深刻な限界があり、近年では需要に大きな翳りが見られている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0018】
本明細書では、走査ビームディスプレイ用の蛍光層で利用されるリン光体組成物および非リン光体の有機材料について説明する。本明細書で説明される主題の一つの側面は概して、単一の波長の励起光を吸収して可視光を放出する蛍光層を備える表示デバイスにおいて実施され得る。蛍光層は、複数の平行な蛍光ストライプを有する。少なくとも3つの隣接する蛍光ストライプは3つの異なる蛍光材料から構成されており、3つの異なる蛍光材料は、励起光を吸収して第1の色の光を放出する第1の蛍光材料と、励起光を吸収して第2の色の光を放出する第2の蛍光材料と、励起光を吸収して第3の色の光を放出する第3の蛍光材料とを含む。
【0019】
本明細書で説明される主題の別の側面は、単一の波長の励起光を吸収して白色光を放出する蛍光層を備える表示デバイスにおいて実施され得る。複数の光学フィルタは、蛍光層と相対的に配置され、白色光を受光して複数の異なる色の光をそれぞれが透過させる。
【0020】
本明細書で説明される主題のさらに別の側面は、色度とリン光体材料の発光スペクトルとを調整する方法において実施され得る。当該方法は、バインダ材料および1以上の有機化合物を準備する段階を備える。当該方法はさらに、バインダ材料および1以上の有機化合物に基づいて、励起光をほぼ全て透過させてリン光体材料の発光スペクトルの一部をほぼ全て吸収するバインダ混合物を生成する段階を備える。当該方法はさらに、バインダ混合物とリン光体材料とを組み合わせる段階を備える。
【0021】
本明細書で説明される主題のさらに別の側面は、色度とリン光体材料の発光スペクトルとを調整する別の方法において実施され得る。当該方法は、バインダ材料および1以上の有機化合物を準備する段階を備える。当該方法はさらに、1以上の有機化合物と溶液とを組み合わせて第1の混合物を生成する段階を備える。当該方法はさらに、リン光体材料と第1の混合物とを組み合わせて第2の混合物を生成する段階を備える。当該方法はまた、第2の混合物およびバインダ材料に基づいて、励起光をほぼ全て透過させてリン光体材料の発光スペクトルの一部をほぼ全て吸収するバインダ混合物を生成する段階を備える。
【0022】
上記およびその他の実施形態は任意で、以下の特徴のうち1以上を含むとしてもよい。蛍光体材料は、リン光体材料と有機材料等の非リン光体材料とを含み得る。リン光体材料は、酸化物ベースのリン光体、ケイ酸塩ベースのリン光体、リン酸塩ベースのリン光体、ホウ酸塩ベースのリン光体、アルミン酸塩ベースのリン光体、没食子酸塩ベースのリン光体、モリブデン酸塩ベースのリン光体、タングステン酸塩ベースのリン光体、フッ化物ベースのリン光体、硫化物ベースのリン光体、窒化物および酸窒化物ベースのリン光体、ならびに硫セレン化物ベースのリン光体を含み得る。非リン光体の有機材料は、例えば、フルオレセインベースのエタノール、ローダミン123(Rhodamine 123)、ローダミン6G(Rhodamine 6G)、ローダミンB(Rhodamine B)、ローズベンガル、ブリリアント・スルフォフラビンFF(Brilliantsulfoflavine FF)、ベーシック・イエローHG(Basic yellow HG)、およびその他の有機染料を含み得る。
【0023】
酸化物ベースのリン光体は、「(Y,Gd,La):(Eu,Sm,Ce,Bi)」、「(Y,Gd,La)OS:(Eu,Sm,Ce,Bi)」、「(Y,Gd,La)VO(Eu,Sm,Ce,Bi)」、「2SrO・0.84P・0.16B:Eu」、「SrLaBeO:Ce」、「0.82BaO・6Al:Eu」、「1.29BaO・6Al:Eu」、「(Ca,Zn)GeO:Mn」、および「(Tb(1−X−Y)(Y,La,Gd,Sm)(Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu)(Al,Ga,In)12」を含み得る。ケイ酸塩リン光体は、「(Mg,Ba,Sr,Ca,Zn)SiO:(Eu,Ce,Mn,Ti,Pb,Sn,Li,Pr)」、「(Mg,Ba,Sr,Ca)SiO:Eu,Ce,Mn,Ti,Pb,Sn,Li,Pr」、「(Mg,Ba,Sr,Ca)SiO:Eu,Ce,Mn,Ti,Pb,Sn,Li,Pr」、「ZrSiO:Pr」、「CaScSi12:Ce」、「YSiO:Tb」、「YSi:Tb」、「CaMgSiO:Ce」、「CaMgSi:Ce」、「(Ca,Sr)AlSiO:Ce」、「SrAlSi:Eu」、「CaMgSi:Eu」、「SrAl10SiO20:Eu」、「SrMgSi:Eu」、「Sr1..3Mg0.7SiO:Eu」、「(Ba,Sr,Ca)MgSi:Eu」、「YSiO:Ce」、「SrSi・2SrCl:Eu」、「BaSi:Eu」、および「SrMgSi:Eu」を含み得る。
【0024】
リン酸塩ベースのリン光体は、「Zn(PO:Mn」、「(Mg,Ba,Ca,Sr)(POCl:(Eu,Sm,Ce)」、および「(Sr,Ca,Eu)10(POCl・0.24Bを含み得る。ホウ酸塩ベースのリン光体は、「(Y,Gd,La,Lu)BO:Eu,Sm,Ce,Bi」、「Y(Mg,Ba,Ca,Sr)(Al,Ga,In)15:Eu、および「YCaGa15:Eu」を含み得る。アルミン酸塩ベースのリン光体は、「(Y,Gd)Al12:(Eu,Ce,Pr)」、「(Mg,Ba,Ca,Sr)MgAl1017:(Eu,Mn)」、(Ca,Mg,Ba,Zn)Al:(Mn,Eu,Dy)」、「(Ba,Mg,Ca,Sr)MgAl1423:Mn,Eu」、「(Mg,Ba,Ca,Sr)Al1219:Mn」、および「BaMgAl1627:Eu,Mn」を含み得る。没食子酸塩ベースのリン光体は、「(Y,Gd)Ga12:(Eu,Ce,Pr)」、「(Ca,Mg,Ba,Zn)Ga:(Mn,Eu,Dy)」、「ZnGa:Mn」、および「(Li0.5Ga0.50.5Zn0.5Ga」を含み得る。
【0025】
モリブデン酸塩ベースのリン光体は、「(Li,K,Na,Ag)Eu(1−X)(Y,La,Gd)Mo」、および「(Li,K,Na,Ag)Eu(1−X)(Y,La,Gd)Mo:Sm」を含み得る。タングステン酸塩ベースのリン光体は、「(Li,K,Na,Ag)Eu(1−X)(Y,La,Gd)」、「(Li,K,Na,Ag)Eu(1−X)(Y,La,Gd):Sm)、およびCaWO:Tb,Pb」を含み得る。フッ化物ベースのリン光体は、「(KF,MgF):Mn,MgF:Mn,(Zn,Mg)F:Mn」、「3.5MgO・0.5MgF・GeO:Mn」、および「Mg(F)(Ge,Sn)O:Mn」を含み得る。硫化物ベースのリン光体は、「(Be,Mg,Ca,Sr,Ba,Zn)S:(Eu,Ce,Cu,Ag,Al,Au,Tb,Cl,Pr,Mn,Bi)」、(Be,Mg,Ca,Sr,Ba,Zn)(Al,Ga,In,Y,La,Gd):(Eu,Ce,Cu,Ag,Al,Tb,Cl,Pr,Mn)」、「(Mg,Ca,Sr,Ba)(Zn,Si,Ge,Sn)S:Eu」、および(Mg,Ca,Sr,Ba)(Al,Ga,In,Y,La,Ga):Eu」を含み得る。
【0026】
窒化物および酸窒化物ベースのリン光体は、「CaSi:Eu」、「SrSi:Eu」、「CaAlSiN:Eu」、「SiAlON」、「Si-M-CaO-AlN-Al」、「LaSi:Ce」、および「(Li,Ca,Mg,Y)Si12AlON16:(Ce,P,Eu,Tb,Yb,Er,Dy)を含み得る。硫セレン化物ベースのリン光体は、「(Be,Mg,Ca,Sr,Ba,Zn)Se1−X:(Eu,Ce,Cu,Ag,Al,Tb,Cl,Pr,Mn)」、および「(Be,Mg,Ca,Sr,Ba,Zn)(Al,Ga,In,Y,La,Gd)(Se1−X:(Eu,Ce,Cu,Ag,Al,Tb,Cl,Pr,Mn)」を含み得る。
【0027】
蛍光材料は、(Mg,Ca,Sr,Ba)S:(Eu,Mn),(Mg,Ca,Sr,Ba)Se1−X:(Eu,Mn),(Zn,Cd)S:Ag,Cl,(Zn,Cd)S:Cu,Al,(KF,MgF):Mn,MgF:Mn,(Zn,Mg)F:Mn,3.5MgO・0.5MgF・GeO:Mn,(K,Li,Na)EuW,(Y,Gd,La):(Eu,Sm,Bi),(Y,Gd,La)OS:Eu,Sm,Bi,(Y,Gd,La)BO(Eu,Sm,Bi),(Y,Gd,La)VO4:(Eu,Sm,Bi),およびCaAlSiN:Euを含み得る。蛍光材料はまた、(Mg,Ca,Sr,Ba)(Al,Ga,In,Y,La,Gd):(Eu,Mn),(Mg,Ca,Sr,Ba)(Al,Ga,In,Y,La,Gd)(Se1−X:(Eu,Mn)および(Ba,Sr,Ca)SiO:(Eu,Mn)を含み得る。蛍光材料はさらに、(Ba,Mg,Sr)Al1017:(Eu,Mn)および(Sr,Ca,Ba,Mg)10(POl2:Euを含み得る。
【0028】
蛍光層は、第2の色および第3の色の光を吸収して第1の色の光を透過させる、第1の蛍光材料に混合されている第1の光学吸収材料と、第1の色および第3の色の光を吸収して第2の色の光を透過させる、第2の蛍光材料に混合されている第2の光学吸収材料と、第1の色および第2の色の光を吸収して第3の色の光を透過させる、第3の蛍光材料に混合されている第3の光学吸収材料とを有するとしてもよい。第1の光学吸収材料、第2の光学吸収材料、および第3の光学吸収材料は、励起光をほぼ全て透過させるとしてもよい。励起光の波長は紫外波長であってよい。励起光の波長はまた、紫色波長であってもよい。励起光の波長はまた、約420ナノメートル未満であってもよい。
【0029】
蛍光層は、8SrCO・4CaCO・11Al・0.18Eu;3Ca(PO・Ca(F,Cl):Sb;3Ca(PO・Ca(F,Cl):Sb,Mn;3Ca(PO・Ca(F,Cl):Sb;BaO・TiOO5;およびMgWO4を含み得る。蛍光層はさらに、ZnS:Agと(Zn,Cd)S:Cu,Al;ZnS:Cu,Alの混合体、またはZnS:AgとZnSiO:Mnおよび(Zn,Mg)(PO:Mnの組み合わせとの混合体を含み得る。
【0030】
上記およびこれ以外の例および実施形態を、図面、詳細な説明および請求項において詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】表示されるべき画像情報を搬送する走査レーザビームによって励起されると着色光を放出するレーザ励起可能なリン光体から構成される蛍光体スクリーンを備える走査レーザ表示システムの一例を示す図である。
【0032】
【図2A】スクリーン構造の一例を示す図である。
【図2B】図1に示すスクリーン上のカラー画素の構造を示す図である。
【0033】
【図3】複数のレーザビームをスクリーン上に方向付ける複数のレーザを有する図1のレーザモジュールの実施例を示す図である。
【0034】
【図4A】励起ビームの伝播方向に沿ってガルボミラーの上流にポリゴンスキャナが配置されている蛍光体スクリーンを用いる走査ビームディスプレイを示す図である。
【図4B】励起ビームの伝播方向に沿ってガルボミラーの上流にポリゴンスキャナが配置されている蛍光スクリーンを用いる走査ビームディスプレイを示す図である。
【0035】
【図5】コントラスト改善層を有する蛍光体スクリーン設計を示す図である。
【0036】
【図6A】各蛍光ストライプの組成物にコントラスト改善材料が含まれる蛍光体スクリーン設計を示す図である。
【0037】
【図6B】図6Aに示すコントラスト改善材料として用いられる赤色顔料の透過特性を示す図である。
【図6C】図6Aに示すコントラスト改善材料として用いられる緑色顔料の透過特性を示す図である。
【図6D】図6Aに示すコントラスト改善材料として用いられる青色顔料の透過特性を示す図である。
【0038】
【図7】白色光を放出する、リン光体を混ぜ合わせた材料から構成される連続した一様な層を有する蛍光体スクリーン設計の一例を示す図である。
【0039】
【図8】蛍光材料として利用され得る有機材料を示す表である。
【0040】
【図9】蛍光材料として利用可能な、またはリン光体の発光スペクトルを調整するためにリン光体材料に加えられる有機染料を示す表である。
【0041】
【図10】図9に示した有機染料の発光スペクトルを示す図である。
【0042】
【図11】有機材料であるフルオレセイン、基本エタノール(basic ethanol)、およびエオシンYの吸収スペクトルおよび蛍光スペクトルを示す図である。
【0043】
【図12】有機材料であるローダミン123およびローダミン6Gの吸収スペクトルおよび蛍光スペクトルを示す図である。
【0044】
【図13】有機材料であるローダミンBおよびローズベンガルの吸収スペクトルおよび蛍光スペクトルを示す図である。
【0045】
【図14】有機材料(例えばローダミンB)を橙色のリン光体に加えて、リン光体の発光スペクトルを調整する様子を示す図である。
【0046】
【図15】ローダミンBの濃度をさまざまな値に設定した場合の橙色のリン光体の発光スペクトルのシフトを示す図である。
【0047】
【図16】橙色のリン光体の発光スペクトルと橙色のリン光体および有機化合物であるローダミンBの混合物の発光スペクトルとを比較する図である。
【0048】
【図17A】ローダミンBの濃度の関数として、調整後の橙色のリン光体のx色度性能を示す図である。
【0049】
【図17B】ローダミンBの濃度の関数として、調整後の橙色のリン光体のy色度性能を示す図である。
【0050】
【図18】対物後走査ビーム表示システムの実施形態例を示す図である。
【0051】
複数の図面にわたって使用される同様の参照符号は同様の構成要素を示すものとする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0052】
本願では、蛍光材料を含むスクリーンを用いて光励起によって発光させ画像を生成する走査ビーム表示システムが説明される。該走査ビーム表示システムの例としては、レーザビデオ表示システムが挙げられる。蛍光材料を含むスクリーン設計のさまざまな例を説明する。1以上の走査励起レーザビームによって励起されるリン光体材料を含むスクリーンを詳細に説明すると共に、本願に係るさまざまなシステムおよびデバイスの例が含む光学励起される蛍光材料の具体的な実施形態として利用される。
【0053】
例えば一実施形態によると、レーザビームによって光学励起されるとカラー画像を形成するのに適している、赤色光、緑色光および青色光をそれぞれ生成する3つの異なる色のリン光体が、画素ドットまたは周期的に平行に設けられる赤色、緑色および青色のリン光体ストライプとしてスクリーン上に形成されているとしてもよい。本願で説明されるさまざまな例は、平行な各色リン光体ストライプで赤色光、緑色光および青色光を発光させるスクリーンを利用しており、レーザを用いるディスプレイのさまざまな特徴について説明する。
【0054】
リン光体材料は、蛍光材料のうちの1種類である。リン光体を蛍光材料として用いる例に係るさまざまなシステム、デバイスおよび特徴は、ほかの光学励起可能な、光を放出する、非リン光有機蛍光材料から構成されるスクリーンを有するディスプレイにも応用できる。
【0055】
本明細書で説明される走査ビーム表示システムの例では、少なくとも1つの走査レーザビームを用いてスクリーン上に堆積されている着色光発光材料を励起して、カラー画像を生成する。走査レーザビームは、赤色、緑色および青色、またはほかの複数の可視色で表現される画像を搬送するように変調されて、それぞれ赤色、緑色および青色の画像で赤色、緑色および青色の着色光放出材料を励起するように制御される。このため、走査レーザビームは、画像を搬送するが、視聴者が見る可視光を直接生成するわけではない。スクリーン上の着色光放出蛍光材料が、走査レーザビームのエネルギーを吸収して、赤色、緑色および青色、またはほかの複数の色の可視光を発して、視聴者が実際に見るカラー画像を生成する。
【0056】
蛍光材料に発光またはルミネッセンス発光させるために十分なエネルギーを持つ1以上のレーザビームを用いた蛍光材料のレーザ励起は、光学励起のさまざまな方法のうちの1つである。ほかの実施形態によると、光学励起はスクリーンに用いられる蛍光材料を励起させるのに十分なエネルギーを持つ非レーザ光源によって行われるとしてもよい。非レーザ励起光源の例を挙げると、さまざまな発光ダイオード(LED)、光ランプ、および高エネルギーの光を可視光領域の低エネルギーの光に変換する蛍光材料を励起する波長または分光帯域の光を発生させるその他の光源がある。スクリーン上の蛍光材料を励起する励起光ビームの周波数または分光帯域は、該蛍光材料が発する可視光の周波数よりも高周波数であってもよい。従って励起光ビームは、紫色分光領域および紫外(UV)分光領域(例えば、波長が420nm未満)であってもよい。以下に説明する例では、UV光またはUVレーザビームが、リン光材料またはその他の蛍光材料に対する励起光の例として挙げられ、ほかの波長の光であってもよい。
【0057】
図1は、カラーリン光体のストライプを有するスクリーンを用いているレーザ表示システムの一例を示す図である。これに代えて、カラーリン光体ドットを用いてスクリーン上の画像画素を定めるとしてもよい。当該システムは、少なくとも1つの走査レーザビーム120をスクリーン101に対して生成および投影させるレーザモジュール110を備える。スクリーン101は、平行に設けられている垂直方向に延伸するカラーリン光体ストライプを有する。赤色リン光体はレーザ光を吸収して赤色光を発光し、緑色リン光体はレーザ光を吸収して緑色光を発光し、青色リン光体はレーザ光を吸収して青色光を発光する。互いに隣接する3つのカラーリン光体ストライプは、3つの異なる色に対応している。このようなストライプの空間的な色順の具体的な一例を、赤、緑および青として図1に示している。ほかの色順を用いるとしてもよい。レーザビーム120の波長は、カラーリン光体の光学吸収帯域内にあり、通常は、可視であるカラー画像用の青色、緑色および赤色よりも短い波長である。一例を挙げると、カラーリン光体は、約380nmから約420nmの分光領域のUV光を吸収して所望の赤色光、緑色光および青色光を生成するリン光体であってもよい。レーザモジュール110は、レーザビーム120を生成するUVダイオードレーザ等のレーザを1以上有すると共に、水平方向および垂直方向にレーザビーム120を走査してスクリーン101上に一度に一枚ずつ画像フレームを描画するビーム走査機構を有し、さらにレーザビーム120を変調して赤色、緑色および青色の画像チャネル用の情報を搬送させる信号変調機構を有するとしてもよい。このような表示システムは、視聴者とレーザモジュール110とがスクリーン101を挟んで互いに反対側に位置するリアプロジェクションシステムとして構成されるとしてもよい。これに代えて、このような表示システムは、視聴者とレーザモジュール110とがスクリーン101に対して同じ側にあるフロントプロジェクションシステムとして構成されるとしてもよい。
【0058】
図2Aは、図1に示すスクリーン101の設計の一例を示す図である。スクリーン101は、走査レーザビーム120に対して透明で、走査レーザビーム120を受け取るべくレーザモジュール110と向かい合っている後方基板201を有するとしてもよい。第2の前方基板202は、後方基板201と相対的に固定されており、リアプロジェクション構成では視聴者と向かい合っている。カラーリン光体ストライプ層203は、基板201と202との間に設けられ、リン光体ストライプを含む。赤色、緑色および青色を発光するカラーリン光体ストライプはそれぞれ、「R」「G」「B」と示す。前方基板202は、リン光体ストライプが発光する赤色、緑色および青色に対して透明である。基板201および202は、ガラスパネルまたはプラスチックパネルなど、さまざまな材料から構成されるとしてもよい。カラー画素はそれぞれ、互いに水平方向に隣接している3つのカラーリン光体ストライプの一部分を含み、垂直方向の寸法はレーザビーム120の垂直方向のビーム広がりによって定義される。このため、カラー画素はそれぞれ、3つの異なる色(例えば、赤色、緑色および青色)の3つのサブ画素を含む。レーザモジュール110は、レーザビーム120を一度に1つの水平ラインに対して例えば左から右に走査し、この動きを上から下へと続けてスクリーン101全体を走査する。レーザモジュール110は、スクリーン101と相対的な位置に固定されているので、ビーム120の走査は所定の方法で制御することができ、レーザビーム120とスクリーン101上の各画素の位置との間で適切に位置合わせを行うことが保証される。
【0059】
図2Aでは、走査レーザビーム120が、1ピクセル内の緑色リン光体ストライプに対して方向付けられており、そのピクセルについて緑色光を生成している。図2Bはさらに、スクリーン101の表面に対して垂直な方向B−Bに沿ってスクリーン101の動作を示す図である。カラーストライプはそれぞれ形状が縦長なので、1ピクセルの各カラーストライプ内におけるビームの充てん率を最大化するべくビーム120の断面形状はストライプの延伸方向に伸びているとしてもよい。このような形状は、レーザモジュール110内のビーム成形光学素子を用いることによって実現し得る。スクリーン上のリン光体材料を励起する走査レーザビームを生成するために用いられるレーザ源は、シングルモードレーザであってもよいしマルチモードレーザであってもよい。このレーザはまた、リン光体ストライプの延伸方向に対して垂直な方向に沿ってシングルモードであって、各リン光体ストライプの幅によって限定されるビーム広がりが小さいとしてもよい。リン光体ストライプの延伸方向に沿って、このレーザビームはマルチモードであってもよく、リン光体ストライプの横方向のビーム広がりよりも大きい広がりを持つとしてもよい。このように、一方向においてスクリーン上のビームのフットプリントが小さくなるようにシングルモードで、これに垂直な方向でスクリーン上のフットプリントがより大きくなるようにマルチモードであるレーザビームを利用することによって、スクリーン上の縦長のカラーサブ画素に適合し、スクリーンの明るさを十分なものとするべく十分なレーザパワーをビームのマルチモードで供給させるようにビームを成形することができるようになる。
【0060】
本願に関して説明されるさまざまな例によると、蛍光スクリーン101が有する蛍光ストライプはそれぞれ、光学励起されると指定色を発光する蛍光ストライプで、図2Aの例に示す指定色を発光する特定の蛍光材料から形成される蛍光ストライプであってもよい。これに代えて、蛍光ストライプは、励起光120による光学励起によって白色光を発光し且つ混合リン光体から形成される、連続且つ一様な白色蛍光層の上に設けられるストライプカラーフィルタの組み合わせから構成されるとしてもよい。このため、赤色透過フィルタ、緑色透過フィルタおよび青色透過フィルタのストライプ等の複数のカラーフィルタから成るフィルタ層は、混合リン光体層の視聴者側に載置されて、白色光をフィルタリングして着色された出力光を生成する。蛍光ストライプの詳細な構造は、図7を参照しつつ本明細書において後述する。ここでは、蛍光層は、フィルタ層と、白色光を発する連続した蛍光層とを含む混合構造を持つとする。
【0061】
図3は、図1のレーザモジュール110の実施例を示す図である。複数のレーザを含むレーザアレイ310を用いて、ディスプレイをより明るくすることを目的としてスクリーン101を同時に走査するために複数のレーザビーム312を生成する。信号変調コントローラ320が、レーザアレイ310のレーザを制御および変調するので、レーザビーム312はスクリーン101上で表示されるべき画像を搬送するように変調される。信号変調コントローラ320は、3つの異なる色のチャネルについてデジタル画像信号を生成するデジタル画像プロセッサと、該デジタル画像信号を搬送するレーザ制御信号を生成する複数のレーザドライバ回路とを有するとしてもよい。レーザ制御信号は続いて、レーザアレイ310のレーザを、例えばレーザダイオードの電流を変調するべく適用される。
【0062】
ビーム走査は、垂直走査についてはガルボミラーのような走査ミラー340を用いて、水平走査については多面ポリゴンスキャナー350を用いて、実施することができる。走査レンズ360は、ポリゴンスキャナー350からスクリーン101へと走査ビームを投影するべく用いられ得る。走査レンズ360は、レーザアレイ310の各レーザをスクリーン101に描画する。ポリゴンスキャナー350の複数の異なる反射面のそれぞれは同時に、N個の水平ラインを走査する。ここで、Nはレーザの数である。図示した例によると、レーザビームはまずガルボミラー340に方向付けられて、続いてガルボミラー340からポリゴンスキャナー350へと方向付けられる。出力走査ビーム120は続いてスクリーン101上に投影される。リレー光学モジュール330は、レーザビーム312の光路に設けられ、レーザビーム312の空間特性を変更して、ガルボミラー340およびポリゴンスキャナー350による走査用に密集ビーム束332を生成して、走査ビーム120がスクリーン101に投影され、リン光体を励起してリン光体が発する着色光によって画像が生成される。
【0063】
レーザビーム120は、スクリーン101の空間全体に対して走査され、カラー画素によって当たる回数が異なる。従って、変調ビーム120はそれぞれ、赤色、緑色および青色の画像信号を、各画素について異なる回数だけ搬送し、異なる画素について異なる回数だけ搬送する。このため、ビーム120は信号変調コントローラ320によって、画素によって異なる回数だけ画像情報によって符号化される。このためビーム走査では、ビーム120内の時間領域で符号化された画像信号を、スクリーン101上の空間領域の画素に対してマッピングする。例えば、変調レーザビーム120では、各カラー画素の時間を等分割して、3色のチャネルの3色のサブ画素に対応する3つの連続するタイムスロットを得ることができる。ビーム120の変調にはパルス変調技術を用いてもよく、各色の所望のグレースケール、各画素の適切な色の組み合わせ、および画像の所望の明るさを実現する。
【0064】
一実施形態によると、複数のビーム120は、2つの隣接するビームがスクリーン101上において、垂直方向に沿ってスクリーン101の1つの水平ラインによって、お互いから離間されるように、スクリーン101上の垂直方向に異なると同時に隣接する位置に方向付けられる。ガルボミラー340の位置およびポリゴンスキャナー350の位置を所与とすると、ビーム120はスクリーン101上において垂直方向に沿って互いに対して位置合わせされていないとしてもよく、水平方向に沿ってスクリーン101上において異なる位置にあってもよい。ビーム120が被覆できるのはスクリーン101の一部のみである。ガルボミラー340の角度位置を固定とすると、ポリゴンスキャナー350をスピンさせることによって、レーザアレイ310のN個のレーザからのビーム120によって、スクリーン101上のN個の隣接する水平ラインの1スクリーンセグメントをスキャンする。1スクリーンセグメントの水平走査が終了する毎に、ガルボミラー340を調整して別の固定角度位置とすることによって、N個のビーム120全ての垂直位置を、N個の水平ラインの次に隣接するスクリーンセグメントを走査するように調整する。この処理は、スクリーン101全体を走査してスクリーン全体の表示を生成するまで繰り返される。
【0065】
図1および図3の蛍光スクリーン101用の図2Bに示したストライプ設計は、さまざまな構成で実施することができる。図2Aは、カラーリン光体ストライプ層のような蛍光層203を2つの基板201および202の間に設ける一例を示す。リアプロジェクションシステムでは、入射する走査励起ビーム120のうちできる限り多くの光をスクリーン101が蛍光層に結びつけつつ、視聴者側に向けて蛍光層が発光する光の量を最大化することが望ましい。励起光を効率良く集光すること、視聴者側に向かう蛍光を最大化すること、およびスクリーンのコントラストを向上させてスクリーングレアを抑制すること等、スクリーン性能を高めるべく、数多くのスクリーン機構を、個別または組み合わせて、スクリーン101内で実施することが可能である。スクリーン101の構造および材料は、コスト上の制約および特定用途向けのその他の要件を満たすべく設計および選択されるとしてもよい。
【0066】
図3では、垂直走査用にガルボミラー340を用いて励起ビームをポリゴンスキャナー350に方向付け、ポリゴンスキャナー350が励起ビームをスクリーン101に方向付けることによって、ビーム走査を行っている。これに代えて、ポリゴンスキャナー350が励起ビームをガルボミラー350に対して走査して、ガルボミラー350がさらに当該ビームをスクリーン101に方向付けるとしてもよい。図4Aおよび図4Bに、そのような走査ビーム表示システムの例を2つ示す。図4Aおよび図4Bに図示するシステムによると、ポリゴンスキャナー350およびガルボミラー340の順序が図3に示されているものとは逆になっている。図4Bに示すディスプレイは、N個の音響光学変調器410を用いてレーザアレイ310からのN個の連続波(CW)励起レーザビーム312をそれぞれ変調して、画像データを搬送する変調レーザビーム332を生成する。音響光学変調器410に代えて、ほかの光学変調器を利用することもできる。
【0067】
図5は、蛍光層520の視聴者側にコントラスト改善層510を利用するスクリーン500の一例を示す図である。蛍光層520は、平行なリン光ストライプを含む。従って、コントラスト改善層510もまた、別の材料から構成される、対応する平行なストライプを含む。励起光(例えば、UV光または紫色光)による励起によって赤色光を発光する赤色リン光ストライプ521について、コントラスト改善層510内の対応するストライプ511は、赤色リン光体ストライプ521が発光する赤色光を含む赤色分光帯域を透過させて、緑色光および青色光を含む他の可視光を吸収または遮断する「赤色」材料によって構成される。同様に、UV光による励起によって緑色光を発光する緑色リン光ストライプについて、コントラスト改善層510内の対応するストライプは、緑色リン光体が発光する緑色光を含む緑色分光帯域を透過させて、赤色光および青色光を含む他の可視光を吸収または遮断する「緑色」材料によって構成される。UV光による励起によって青色光を発光する青色リン光ストライプについて、コントラスト改善層510内の対応するストライプは、青色リン光体が発光する青色光を含む青色分光帯域を透過させて、緑色光および赤色光を含む他の可視光を吸収または遮断する「青色」材料によって構成される。コントラスト改善層510内の対応する平行なストライプはそれぞれ、「R」「G」「B」と示す。
【0068】
この例によると、コントラスト改善層510は、スクリーンに対して垂直な方向に沿って各蛍光領域と空間的に位置合わせされ対応している複数の異なるストライプフィルタ領域を含む。各フィルタ領域は、対応する蛍光領域が発する色の光を透過させて他の色の光を遮蔽する。コントラスト改善層510に含まれる複数の異なるフィルタ領域は、それぞれ対応する蛍光領域が発する色とは異なる色の光を吸収する材料で構成されるとしてもよい。適切な材料として使用できる例を挙げると、染料ベースの着色剤および顔料ベースの着色剤がある。またコントラスト改善層510に含まれる各フィルタ領域は、所望の透過帯域を持つバンドパス干渉フィルタを実現する多層構造であってもよい。さまざまな設計および技術を用いて、このようなフィルタを設計および形成してもよい。米国特許第5,587,818号(発明の名称:一方の基板にブラックマトリクスならびに赤色フィルタおよび/または青色フィルタを備え、他方の基板に緑色フィルタならびに赤色フィルタおよび/または青色フィルタを備える3色LCD)および米国特許第5,684,552号(発明の名称:多層薄膜によって構成されるカラーフィルタを備えるカラー液晶ディスプレイ)では、図5に示すスクリーン500のコントラスト改善層510で利用され得る赤色フィルタ、緑色フィルタおよび青色フィルタの例が説明されている。
【0069】
動作について説明すると、励起光120(例えばUV光)が蛍光層520に入射すると複数の異なるリン光体を励起して複数の異なる色の可視光を発光させる。発光された可視光はコントラスト改善層510を通過して視聴者に届く。スクリーン800に入射する周囲光501はコントラスト改善層510に入り、再度コントラスト改善層510を通過することで入射周囲光501の一部は視聴者に対して反射される。このため、視聴者に向けられる総光学出力502には、画像を搬送するためのリン光体層520から発光される着色可視光と反射された周囲光が含まれる。このように反射された周囲光は画像を搬送していないので、リン光体層520で生成される画像をかき消してしまいがちである。視聴者に対して方向付けられたこの反射された周囲光はコントラスト改善層510を2回通過しており、フィルタリングおよび減衰が2回行われているので、反射された周囲光の強度は、受光した周囲光の強度の約3分の2だけ低減されている。例を挙げると、入射する周囲光501の緑部分および青部分は、赤サブ画素に入る周囲光501の光束の約3分の2を占める。入射する周囲光501の緑部分および青部分は、コントラスト改善層510によって遮蔽される。周囲光のうち、コントラスト改善層510の赤色フィルタ材料の透過帯域内に含まれる赤色部分のみがコントラスト改善層510を通過して、透過された赤色周囲光の一部が視聴者に向けて反射される。この反射される周囲光の一部分の色は、対応するカラーリン光体ストライプが生成するサブ画素用の色と本質的に同じであるので、コントラストに悪影響を及ぼさない。
【0070】
以上で説明したように、ディスプレイのコントラストを改善するために各サブ画素用のコントラスト改善層510に色選択吸収材料を利用する構成は、別個のコントラスト改善層を設けることなく各サブ画素の発光蛍光材料に上述したような材料を混合させることで実現することもできる。一実施形態によると、蛍光層の各リン光領域は、蛍光材料と該蛍光材料が発光する光を透過して他の色の光を吸収する色選択吸収材料との混合体によって形成することができる。このため、コントラスト改善特性は各サブ画素に組み込まれ、視聴者に対して反射される周囲光を抑制することができる。
【0071】
図6Aは、平行な複数の蛍光体ストライプから成る共通蛍光層610において、それぞれ赤色光、緑色光および青色光を発光する、コントラスト改善機能が組み込まれた、赤色リン光体材料、緑色リン光体材料および青色リン光体材料を利用する別の実施形態を示す図である。3つの連続する赤色リン光体ストライプ611、緑色リン光体ストライプ612および青色リン光体ストライプ613を考える。赤色リン光体ストライプ611の材料は、赤色光を発光できる赤色リン光体と、赤色光を透過して緑色光および青色光を含むほかの光を吸収する赤色インクまたは顔料との混合体である。また、赤色インクまたは顔料は、図6Bに示す透過特性630を有し得る。赤色インクまたは顔料は赤色リン光体と混合されているので、注目すべき特性の一つに、赤色インクまたは顔料は約420nmの波長未満の光は略全て(約100%)透過して、励起光が吸収されないようにする点がある。さらに、赤色インクまたは顔料は約580nmを越える波長の光をほぼ全て透過することができ、赤色リン光体が発光する赤色光を透過する。
【0072】
緑色リン光体ストライプ612の材料は、緑色光を発光する緑色リン光体と、緑色光を透過して赤色光および青色光を含むほかの光を吸収する緑色インクまたは顔料との混合体である。また、緑色インクまたは顔料は、図6Cに示す透過特性640を有し得る。緑色インクまたは顔料は緑色リン光体と混合されているので、注目すべき特性の一つに、緑色インクまたは顔料は約420nmの波長未満の光は略全て(約100%)透過して、励起光が吸収されないようにする点がある。さらに、緑色インクまたは顔料は約480nmから約580nm未満の波長帯域の光をほぼ全て透過することができ、緑色リン光体が発光する緑色光を透過する。
【0073】
青色リン光体ストライプ613の材料は、青色光を発光する青色リン光体と、青色光を透過して赤色光および緑色光を含むほかの光を吸収する青色インクまたは顔料との混合体である。また、青色インクまたは顔料は、図6Dに示す透過特性650を有し得る。青色インクまたは顔料は青色リン光体と混合されているので、注目すべき特性の一つに、青色インクまたは顔料は約480nmの波長未満の光は略全て(約100%)透過して、励起光(約420nm未満)が吸収されないようにして、青色リン光体が発光する青色光を透過する。
【0074】
コントラスト改善用蛍光層610は、本願において説明されるさまざまなスクリーン設計および構成と組み合わせることが可能である。
【0075】
上述した蛍光スクリーンでは、異なる蛍光ストライプには異なるリン光材料が使用されて、励起光によって励起されると異なる色を生成する。これに代えて、異なる蛍光ストライプを、白色光を発光する同一の蛍光材料で形成することもできる。この場合は、さらにカラーフィルタを備えることで蛍光から所望の異なる色を生成することができる。図5に示すコントラスト改善層510を用いてそのようなカラーフィルタを実施することもでき、この場合は、各カラーフィルタがコントラストを改善するとともに特定サブ画素の色を生成する。
【0076】
図7は、連続した一様な混合リン光体層700を有する蛍光スクリーン設計の一例を示す図である。この混合リン光体層700は、励起光によって光学励起されると白色光を発光する。混合リン光体層700が有する混合リン光体は、さまざまな構成をとることができ、白色光を発光する混合リン光体については数多くの組成が既知であり記録されている。ほかにも白色光を発光する非リン光体の蛍光材料を用いて層700を形成することもできる。図示されているように、赤色透過フィルタ、緑色透過フィルタおよび青色透過フィルタのストライプのように、カラーフィルタから成る層510が、混合リン光体層700の視聴者側に配置されており、白色光をフィルタリングして視聴者に向けて着色出力光を生成する。本例によると、層700および層510は基板701と702の間に設けられている。層510のカラーフィルタはさまざまな構造で実施することができ、カラーLCDパネルで利用されるカラーフィルタと同様の設計などが利用され得る。各カラーフィルタ領域、例えば赤色透過フィルタでは、赤色光を透過して緑色光および青色光を含むほかの色の光を吸収する。
【0077】
図7に示すスクリーン構造は、異なる蛍光ストライプを有するほかのスクリーン設計よりも単純である。図7に示す混合リン光体層700は連続した層で空間的にストライプ状の構造ではないからである。このような構成とすることによって、図5に示す層520の各蛍光ストライプと層510のフィルタとの位置合わせに関連して問題が発生しない。基板701は、励起光を受光するので、励起光、例えば紫色光またはUV光に対して透明な材料から構成され得る。基板702は、視聴者と対向しており、層510のフィルタがフィルタリングする着色光に対して透明な材料から構成され得る。製造に関して説明すると、層510は基板702上に製造することができ、層700は基板701上に製造することができる。これら2つの基板701および702は、互いに係合されることでスクリーンが形成され得る。第2基板702の出射面には、反射防止(AR)コーティングが設けられるとしてもよく、該ARコーティングは視聴者に向かう光の透過を改善する。さらに、第2の基板702上には硬い保護層を設けるとしてもよく、該保護層はスクリーン表面を保護する。
【0078】
本願で説明されるカラースクリーンまたは白黒スクリーンに適しているUV励起リン光体は、さまざまな材料組成で実施され得る。こういったリン光体は通常、UV光のような励起光を吸収して励起光波長よりも高い波長の可視範囲の光子を発する。例えば、赤色蛍光材料、緑色蛍光材料および青色蛍光材料はそれぞれ、ZnCdS:Ag、ZnS:Cu、およびZnS:Agであってもよい。
【表1】

【0079】
表1には、さまざまな公開特許文献に記載されている、380nmから415nmの波長範囲の励起光によって励起されると着色可視光を発光するリン光体の例がいくつか挙げられている。表1に記載されているさまざまなリン光体はまた、450nmから470nmの光によっても励起され得る。上述およびその他のリン光体を用いることによって、本願で説明されているリン光レーザディスプレイを実施することができる。
【0080】
公開PCT出願第WO02/11173A1号に記載されているリン光体の例は、MS:Euと表現される(ここで、MはCa、Sr、Ba、MgおよびZnのうち少なくとも1つ)、Euがドープされた光ルミネッセンス金属硫化物の組成を持つ「タイプI」のリン光体と、M:Eu,Ceと表現される(ここで、MはCa、Sr、Ba、MgおよびZnのうち少なくとも1つで、NはAl、Ga、In、Y、LaおよびGdのうち少なくとも1つ)、金属チオメタレート(metal thiometallate)光ルミネッセンス材料の組成を持つ「タイプII」のリン光体とである。光ルミネッセンス金属硫化物MS(タイプIリン光体)はBa、MgおよびZnのうち少なくとも1つをそれのみで含むとしてもよいし、SrおよびCaのうち少なくとも1つと組み合わせて含むとしてもよい。金属チオメタレート光ルミネッセンス材料M(タイプIIリン光体)は、MについてはMgおよびZnから成る群から選択される少なくとも1つの元素をそれのみで含むとしてもよいし、Ba、SrおよびCaのうち少なくとも1つと組み合わせて含むとしてもよく、NについてはAlまたはGaのみであってもよいし、さらにIn、Y、La、Gdと組み合わせるとしてもよい。金属チオメタレート光ルミネッセンス材料は、ユウロピウム(Eu)およびセリウム(Ce)のうち少なくとも1つで活性化されるとしてもよい。タイプIおよびタイプIIのリン光体のうち2つ以上を組み合わせてもよい。また、タイプIおよびタイプIIのリン光体のうち1つ以上のリン光体を、タイプIおよびタイプIIのリン光体とは異なるほかのリン光体と組み合わせて、リン光体混合物を形成して、タイプIおよびタイプIIのリン光体を個別に使う場合には実現でき得ない色を実現するとしてもよい。
【0081】
赤色を発するタイプIのリン光体のリン光体組成の具体的な例を挙げると、MがBa、Mg、Znのうち少なくとも1つそれだけ、またはCaとの組み合わせで0<x≦0.5で0<y≦0.10の(Sr1−x−yEu)S、x≦0.25の(Sr1−x−yBaEu)S、x+y+z≦0.35の(Sr1−x−y−zCaBaEu)Sで、これらは量子効率が65〜80%と高く、370nm〜470nmの範囲において60%〜80%と吸収率が高く、温度クエンチングによる室温から100℃までにおけるルミネッセンス出力(ルーメン)の損失が10%未満と低い。タイプIIのリン光体組成の具体的な例を挙げると、M:Eu,Ce(タイプIIのリン光体)で、MはMg、Znのうち少なくとも1つそれだけ、またはBa、SrおよびCaのうち少なくとも1つと組み合わせられ、NはAl、Gaのうち少なくとも1つをそれだけ、または少量(20%未満)のIn、Y、La、Gdと組み合わせられる。このようなタイプIIのリン光体は、可視スペクトルのうち青色、緑色または緑黄色のスペクトル領域の光を発光する。タイプIIのリン光体の具体的な組成には、u≦0.75、v≦0.10でM**がBa、Sr、Ca、Zrのうち少なくとも1つである、(M**1−uMg)(Ga1−v:Ceと、M**がMg、Znのうち少なくとも1つをそれだけ、またはSr、Ba、Caと組み合わせられており、NがAl、In、Y、La、Gdで、0<s≦0.10で0≦t:s<0.2でv≦0.10である(M**1−s−tEuCe)(Ga1−vと、u≦0.75、v≦0.10、0<s≦0.10および0s≦t:s<0.2である((Ba1−uMg1−s−tEuCe)(Ga1−vと、u<0.75、w≧0.10、v<0.10、0<s≦0.10および0≦t:s<0.2である(((Ba1−wCa1−uMg1−s−tEuCe)(Ga1−vと、u<0.75、r≧0.10、v≦0.10、0<s≦0.10および0≦t:s<0.2である(((Ba1−rSr1−uMg1−s−tEuCe)(Ga1−vと、u≦0.75、w≧0.10、v≦0.10、0<s≦0.10およびt:s<0.2である(((Sr1−wCa1−uMg1−s−tEuCe)(Ga1−vと、u<0.75、p≦0.35、v≦0.10、0<s≦0.10および0≦t:s<0.2である(((Sr1−pZn1−uMg1−s−tEuCe)(Ga1−vとが挙げられる。
【0082】
米国特許第6,417,019号に記載されているリン光体の例を挙げると、(Sr1−u−v−xMgCaBa)(Ga2−y−zAlIn):Eu2+と、(Sr1−u−v−xMgCaBa)(Ga.sub.2−y−zAlIn):Eu2+とがある。リン光体粒子は、例えば、これらに限定されないが、エポキシ、アクリルポリマー、ポリカーボネート、シリコーンポリマー、光学ガラス、およびカルコゲニドガラスなどの材料から選択されるホスト材料内で分散させられるとしてもよい。これに代えて、このようなリン光体は、リン光体膜として基板表面に堆積されるとしてもよい。
【0083】
米国特許出願公開広報第2002/0185965号に記載されているリン光体の例を挙げると、従来の硬化性シリコーン組成物と混合されるリン光体粉末があり、Phosphor Technology Ltd.,社(英国、エセックス、ナザイング(Nazeing))の製品番号QUMK58/Fの製品である、(Y,Gd)Al12:Ce(ガドリニウムおよびセリウムがドープされたイットリウム・アルミニウム・ガーネット)粒子の粉末である。このリン光体材料の粒子は、通常の直径が約5ミクロン(μm)で、1μmから10μmの範囲内にあり、約430nmから約490nmの波長の光を吸収して、約510nmから約610nmの広帯域の光を発光する。ステンシルが設けられたリン光体層を有するLEDが発する光の色は部分的に、ルミネッセンス性ステンシル組成物内のリン光体粒子の濃度によって決まる。
【0084】
リン光体粒子と硬化性シリコーンポリマー組成物とを混合する際のリン光体粒子の濃度は、100グラムのシリコーンポリマー組成物に対して約20グラムのリン光体粒子から、100グラムのシリコーンポリマー組成物に対して約120グラムのリン光体粒子の範囲内であってよい。一部の実施形態によると、二酸化チタン粒子が添加物として利用され、100グラムのシリコーンポリマー組成物に対して約1.5グラムの二酸化チタン粒子から、100グラムのシリコーンポリマー組成物に対して約5.0グラムの二酸化チタン粒子の範囲内の濃度で、シリコーンポリマー組成物内に分散させられるとしてもよい。二酸化チタン粒子は、リン光体粒子とほぼ同じサイズであり、励起光の分散を大きくするので、リン光体粒子による励起光の吸収を高める。
【0085】
リン光体粒子および任意で二酸化チタン粒子が硬化性シリコーン組成物と混合された後、当該混合物内で、微粉化されたシリカ粒子を分散させて、チキソトロピックゲルを形成する。チキソトロピックゲルはチキソトロピー性を有する。つまり、ずれが加えられると粘度が大きく低下して、ずれがなくなると元の粘度レベルに戻る性質を有する。このため、チキソトロピックゲルは、振動が加えられている間、かき回されている間または何らかの力が加えられている間は流体として振る舞い、落ち着くと固まってゲルになる。シリカ粒子は、例えば、ヒュームドシリカの粒子、酸水素炉でクロロシランを燃焼させることで得られるシリカのコロイド形態であってもよい。ヒュームドシリカは、120℃を超える温度で化学的および物理的に安定し、可視光に対して透明で、比較的低濃度でルミネッセンス性ステンシル組成物に対して十分なチキソトロピック特性を与える。使用されるヒュームドシリカのグレードは、非極性材料と混合可能であるように選択される。
【0086】
一実施形態によると、使用されるヒュームドシリカは、キャボット・コーポレーション(ボストン、マサチューセッツ州)社製のM−5PグレードCAB−O−SIL(r)未処理アモルファスヒュームドシリカであってよい。このグレードのヒュームドシリカは、疎水性で、単位質量当たりの平均表面積が200±15m/gである。M−5Pグレードのヒュームドシリカの粒子は、リン光体粒子とシリコーンポリマー組成物とを含む混合物内で、従来の3ロールミルを用いて、濃度が100グラムのシリコーンポリマー組成物に対して約1.5グラムのヒュームドシリカから、100グラムのシリコーンポリマー組成物に対して約4.5グラムのヒュームドシリカの範囲内となるように分散させられる。ヒュームドシリカの濃度が大きくなると、ステンシル組成物のチキソトロピック性が強くなり、つまり、何の力も加えられていないゲルの状態ではより固体状になる。
【0087】
ほかの実施形態では、単位質量当たりの表面積が200±15m/gより大きいまたは小さいヒュームドシリカが利用される。ヒュームドシリカの濃度を一定とすると、ヒュームドシリカの単位質量当たりの表面積が大きくなるほど、ステンシル組成物のチキソトロピック性は強くなる。このため、単位質量当たりの表面積が小さいヒュームドシリカを利用する場合は濃度を高くしなければならない。単位質量当たりの表面積が小さいヒュームドシリカについて高い濃度が必要となると、ステンシル組成物の粘度が高くなりすぎてしまう可能性があり、簡単にステンシルとして設けられなくなってしまう。このため、ヒュームドシリカの単位質量当たりの表面積は約90m/gよりも大きいことが望ましい。逆に、ヒュームドシリカの単位質量当たりの表面積が大きくなると、ヒュームドシリカに必要な濃度は小さくなるが、ヒュームドシリカをシリコーンポリマー組成物内で分散するのがより難しくなる。
【0088】
PCT特許出願広報第WO01/24229号に記載されているリン光体の例を挙げると、ホスト材料およびドーパントイオンがある。ホスト材料は、ドーパントイオンが格子イオンを置換している無機のイオン格子構造(「ホスト格子」)を持つとしてもよい。ドーパントは、励起放射を吸収すると光を発光することができる。適切なドーパントは、励起放射を大きく吸収して、このエネルギーを出射放射に効率良く変換する。一例を挙げると、ドーパントは、4f−4f遷移、つまりf軌道エネルギーレベルに関連する電子遷移、に基づいて放射を吸収して出射する希土類イオンであってもよい。f−f遷移は量子工学的に禁止されており出射強度が弱いので、Eu2+またはCe3+のような特定の希土類イオンは許可されている4f−5df遷移(d軌道/f軌道の混合)に基づいて放射を大きく吸収して、高い出射強度を実現することが知られている。ドーパントの出射は、ドーパントイオンが存在するホスト格子に応じてエネルギーシフトすることができる。ある希土類ドーパントは、適切なホスト材料に組み込まれると、青色光を可視光に効率良く変換する。
【0089】
一部の実施形態によると、第1および第2のリン光体はホスト硫化物材料、つまり、硫化物イオンを含む格子を有する。適切なホスト硫化物材料の例には、CaS、SrSおよびSrGa2S4のようなチオ没食子酸塩(thiogallate)などがある。リン光体混合物は、比較的狭い線幅の1つの共通の青色エネルギー源によって励起可能で2つの異なるエネルギー範囲(例えば赤および緑)で光を出射する、複数の異なる希土類イオンによって形成されるとしてもよい。このようなリン光体混合物の一例として挙げられるのは、ホスト材料が異なる第1のリン光体および第2のリン光体でドーパントを同じにする。これら2つのリン光体の赤色発光と緑色発光は、適切なホスト材料を選択することによって調整され得る。一実施形態によると、緑色リン光体はSrGa:Euである。別の実施形態によると、赤色リン光体はSrS:EuおよびCaS:Euから成る群から選択される。
【0090】
米国特許出願公開広報第2004/0263074号に記載されているリン光体の例には、下方変換が可能な粒子、つまり比較的短波長の光で刺激(励起)されるとより長い波長の光(放射)を生成するものが含まれる。リン光体組成は、少なくとも1種類の、通常は少なくとも2種類(または3種類、または4種類)のリン光体粒子を含む。粒子各種はそれぞれ独自の発光特性を持つ。少なくとも2種類の異なるリン光体粒子を持つ実施形態によると、第1の種類のリン光体粒子は励起されると赤色光を出射して、第2の種類のリン光体粒子は励起されると緑色光を出射する。赤色光を出射させる目的でリン光体組成物内での使用に適切なリン光体粒子は通常、「SrS:Eu2+」、「CaS:Eu2+」、「CaS:Eu2+、Mn2+」、「(Zn,Cd)S:Ag」、「MgGeO5.5F:Mn4+」、「YS:Eu2+」、「ZnS:Mn2+」および励起されると可視スペクトルの赤色領域の発光スペクトルを持つこれら以外のリン光体材料から選択される材料を含むとしてもよい。緑色光を出射させる目的でリン光体組成物内での使用に適切なリン光体粒子は通常、「SrGa:Eu2+」、「ZnS:Cu,Al」および励起されると可視スペクトルの緑色領域の発光スペクトルを持つこれら以外のリン光体材料から選択される材料を含むとしてもよい。
【0091】
一部の実施形態によると、赤色発光リン光体および緑色発光リン光体に加えて、青色発光リン光体粒子をリン光体組成物に含むとしてもよい。適切な青色発光リン光体粒子は、例えば、BaMgAl1627:Eu2+,Mgまたは励起されると可視スペクトルの青色領域の発光スペクトルを持つこれら以外のリン光体材料を含むとしてもよい。ほかの実施形態によると、リン光体組成物は、励起されると黄色光を生成するように選択される種類のリン光体粒子を含むとしてもよい。黄色光を出射させる目的でリン光体組成物内での使用に適切なリン光体粒子は、(Y,Gd)Al12:Ce,Prおよび励起されると可視スペクトルの黄色領域の発光スペクトルを持つこれら以外のリン光体材料から選択される材料を含むとしてもよい。
【0092】
一部の適切な赤色発光リン光体粒子は、約590nmから約650nmの範囲内にピーク発光波長を持つとしてもよい。具体的な実施形態によると、該リン光体粒子は、約620nmから約650nmの範囲内に、通常は約625nmから約645nmの範囲内に、さらに具体的には、約630nmから約640nmの範囲内に、ピーク発光波長を持つ。ほかの実施形態によると、該リン光体粒子は、約590nmから約625nmの範囲内に、通常は約600nmから約620nmの範囲内に、ピーク発光波長を持つ。さらに別の実施形態によると、該リン光体粒子が発光する光の波長は、約600nmから約650nmの範囲内に、通常は約610nmから約640nmの範囲内に、さらに具体的には、約610nmから約630nmの範囲内にある。
【0093】
一部の適切な緑色発光リン光体粒子は、約520nmから約550nmの範囲内にピーク発光波長を持つとしてもよい。具体的な実施形態によると、該リン光体粒子は、約530nmから約550nmの範囲内に、通常は約535nmから約545nmの範囲内にピーク発光波長を持つ。他の実施形態では、該リン光体粒子は、約520nmから約535nmの範囲内にピーク発光波長を持つ。さらに別の実施形態によると、該リン光体粒子が発光する光の波長は、約520nmから約550nmの範囲内に、通常は約535nmから約550nmの範囲内に、または、約520nmから約535nmの範囲内にある。
【0094】
一部の適切な青色発光リン光体粒子は通常、約440nmから約490nmの範囲内にピーク発光波長を持つ。具体的な実施形態によると、該リン光体粒子は、約450nmから約470nmの範囲内に、通常は約455nmから約465nmの範囲内にピーク発光波長を持つ。他の実施形態では、該リン光体粒子は、約440nmから約450nmの範囲内に、通常は約435nmから約445nmの範囲内に、ピーク発光波長を持つ。さらに別の実施形態によると、該リン光体粒子が発光する光の波長は、約440nmから約480nmの範囲内に、通常は約450nmから約470nmの範囲内にある。
【0095】
一部の適切な黄色発光リン光体粒子は通常、約560nmから約580nmの範囲内にピーク発光波長を持つ。具体的な実施形態によると、該リン光体粒子は、約565nmから約575nmの範囲内にピーク発光波長を持つ。他の実施形態では、該リン光体粒子は、約575nmから約585nmの範囲内にピーク発光波長を持つ。さらに別の実施形態によると、該リン光体粒子が発光する光の波長は、約560nmから約580nmの範囲内に、通常は約565nmから約575nmの範囲内にある。
【0096】
上述した複数種類のリン光体粒子それぞれの正確な波長範囲は、リン光体の入手先、発光デバイスの所望のカラー属性(例えば、出射される白色光の「相関色温度」)、励起波長など励起光の選択等の要因のうち選択されるものによって決まり得る。利用可能なリン光体材料およびその他の情報については、「ミューラー・マック他(Mueller−Mach et al)、第III族窒化物を用いた、高電力リン光体変換発光ダイオード(High Power Phosphor−Converted Light Emitting Diodes Based on III−Nitrides)、IEEE J.Sel.Top.Quant.Elec.8(2):339(2002)」を参照されたい。
【0097】
PCT出願公開広報第PCT/US99/28279号に記載されているリン光体の例には、「BaMgSi:Eu2+」、「Ba2SiO:Eu2+」、および「(Sr,Ca,Ba)(Al,Ga):Eu2+」が含まれる。ここで、コロンの次の元素は活性剤を表す。(A,B,C)は、(A,B,C)で0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1でx+y+z=1を意味する。例えば、(Sr,Ca,Ba)は、(Sr,Ca,Ba)で0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1でx+y+z=1を意味する。通常、x、yおよびzはすべて、ゼロではない。(A,B)は、(A,B)で0≦x≦1、0≦y≦1でx+y=1を意味する。通常、xおよびyはどちらも、ゼロではない。緑色発光リン光体の一例は、ピーク発光が約500nmから約555nmの範囲内にあるとしてもよい。例えば、BaMgSi:Eu2+はピーク発光が約495nmから505nm、通常は約500nmにあり、BaSiO:Eu2+はピーク発光が約500nmから510nm、通常は約505nmにあり、(Sr,Ca,Ba)(Al,Ga):Eu2+はピーク発光が約535nmから545nm、通常は約540nmにある。
【0098】
米国特許出願公開広報第2001/0050371号に記載されているリン光体の例には、Euによって活性化されるCaSリン光体、AEu(1−x)Lnとして表されるリン光体を含む蛍光材料がある。ここで、AはLi、K、NaおよびAgから成る群から選択される元素であって、LnはY、LaおよびGdから成る群から選択される元素であって、BはWまたはMoであって、xは0以上1未満の数である。Euによって活性化されるCaSリン光体またはAEu(1−x)Lnとして表されるリン光体は、母材となるポリマーと混合されて、透明樹脂を形成するとしてもよい。
【0099】
一例を挙げると、赤色光を出射する赤色リン光体は、Euによって活性化されるCaSまたは一般的にAEu(1−x)Lnという化学式で表される化合物であってもよい。Euによって活性化されるCaSは、420nmから600nmの光によって励起され、630nmをピーク波長とする570nmから690nmの光を発する。AEu(1−x)Lnは、Eu3+イオンの遷移によって614nm付近の光を発するリン光体である。励起波長および発光波長は該リン光体が含む元素AおよびBの種類に応じて変化するが、該赤色リン光体は470nm付近(青色)および/または540nm(緑色)の光によって励起され、620nm付近(赤色)の光を発する。xが0の場合、AEuBというリン光体が形成され、615nm付近(赤色)で発光強度が最も高くなる。AEu(1−x)Ln(A=Li,K,Na,Ag、Ln=Y,La,Gd、B=W,Mo)は、所望の量論混合比でリン光体を構成する、酸化物、炭酸塩等の元素を混合させて得られるとしてもよい。上述した赤色リン光体以外にも、イットリウムアルミン酸塩リン光体(いわゆるYAG)は、YAl12のY原子が一部の位置でGdで置換されているガーネット構造を有する安定した酸化物である。特に、青色光(400nmから530nm)によって励起されて中心波長が550nmの黄色−緑色領域の光を発光するリン光体がある。イットリウムアルミン酸塩リン光体に追加され得る活性化用元素には、例えば、セリウム、ユウロピウム、マンガン、サマリウム、テルビウム、スズ、クロム等がある。例えば、Ceによって活性化されるYGd3−xAl12が利用されるとしてもよい。実施形態によると、1種類、2種類またはそれ以上の種類のこういったYAGリン光体が混合されて所望のリン光体材料を形成する。
【0100】
米国特許第6,252,254号に記載されているリン光体の例には、「YBO:Ce3+,Tb3+」、「BaMgAl1017:Eu2+,Mn2+」、「(Sr,Ca,Ba)(Al,Ga):Eu2+」、および「YAl12:Ce3+」、ならびに「YS:Eu3+,Bi3+」と「YVO:Eu3+,Bi3+」と「SrS:Eu2+」と「SrY:Eu2+」と「SrS:Eu2+,Ce3+,K」と「(Ca,Sr)S:Eu2+」と「CaLa:Ce3+」とのうち少なくとも1つがある。ここで、コロンの後の元素は活性剤を意味する。一例として、SrS:Eu2+,Ce3+,Kリン光体は、青色光で励起されると、赤色光と緑色光とを含む広帯域のスペクトルを出射する。これらのリン光体組成は、良好な特性を持つ白色光を生成するべく利用され得る。良好な特性とは、例えば、色温度が3000から4100°Kで、演色評価指数が70よりも高く、通常は80よりも高く、例えば約83〜87もあり、励起源として青色LEDが利用される場合の入力電力についてデバイス視感度効率が約10〜20ルーメン/ワットである。
【0101】
米国特許出願公開広報第2002/0003233に記載されるリン光体の例は、黄色に近い色の光を発光するリン光体で、単結晶セリウムがドープされたイットリウムアルミニウムガーネット(YAl12:Ce3+)化合物である。ガーネット構造を持っていないイットリウムアルミニウム酸化物、例えばモノクリニックなYalOおよびYalOペロブスカイトも、リン光体のホスト材料として利用され得る。幾つかのランタニド(Ln)は部分的にイットリウムを置換するとしてもよい。例えば、(Y,Ln)AlO、(Y,Ln)(Al,Ga)Oのようにである。ランタニドは、例えば、ルテチウム(Lu)であってもよい。これらのホスト材料は、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ホルミウム(Ho)、イッテルビウム(Yb)、およびユウロピウム(Eu)などの1つのドーパントによってドープされているとしてもよいし、または、(Ce,Pr)、(Ce,Ho)および(Eu,Pr)などの2つのドーパントによってドープされてもよく、ドーピングによってさまざまなリン光体を形成する。YAl12:Ho3+およびYAl12:Pr3+は、単結晶リン光体材料の例である。一実施形態によると、上に挙げたリン光体は、約460nm以下の波長の青色光に近い光または紫外光を吸収して黄色光に近い光を出射する。一例を挙げると、4モル%のセリウム(Ce3+)でドープされたYAG基板は、約410〜460nmの波長の光を吸収して、約550〜570μmのピーク波長を持つ黄色光に近い光を出射する。YAGに含まれるイットリウムの一部は、ガドリニウム(Gd)のようなランタニド元素によって置換されるとしてもよい。例えば、リン光体は(Y0.75Gd0.25)AG:Ceであってもよい。
【0102】
欧州特許出願第1,150,361号に記載されているリン光体の例には、化学的に(Sr,Ca,Ba)S:Eu2+と特定されるリン光体群から選択されるリン光体を含む樹脂がある。この群から選択されるリン光体の1つに、化学的にSrS:Eu2+と定義されてピーク発光波長は610nmである、ユウロピウムでドープされた硫化ストロンチウムがある。リン光体変換樹脂、染料またはエポキシを利用せずに、他の種類のリン光体変換部材を利用するとしてもよい。例えば、リン光体変換薄膜、リン光体変換基板、またはこういった部材のさまざまな組み合わせがある。
【0103】
米国特許出願公開広報第2002/0145685号に記載されているリン光体の例には、SrS:Eu2+赤色リン光体およびSrGa:Eu2+緑色リン光体がある。これらのリン光体は460nmの青色光で励起可能である。
【0104】
米国特許出願公開広報第2005/0001225号に記載されているリン光体の例には、希土類元素がドープされた酸化窒化物リン光体またはセリウムイオンがドープされた窒化ランタンシリコンリン光体がある。以下に例示する希土類元素がドープされた酸化窒化物は、結晶材料であって酸窒化ガラスのようなガラス材料は含まない。しかし、少量の(例えば、5%未満)ガラス相を含むとしてもよい。以下に例示するセリウムイオンがドープされた窒化ランタンシリコンは、結晶材料であってガラス材料は含まない。
【0105】
第1のリン光体の一例を挙げると、MeSi12−(m+n)Al(m+n)OnN16−n:Re1Re2zで表される単相α−サイアロンリン光体がある。α−サイアロンに溶解された金属(Me)(MeはLi、Ca、Mg、Y、ならびにLaおよびCe以外のランタナイド金属のうち1以上)の一部またはすべてが、発光中心として、ランタナイド金属(Re1)(Re1は、Ce、Pr、Eu、Tb、YbおよびErのうち1以上)、またはランタナイド金属(Re1)およびランタナイド金属(Re2)(Re2はDy)の共同活性剤によって、置換されている。この場合、MeはCa、YならびにLaおよびCe以外のランタナイド金属のうち1以上であってもよい。一部の実施形態によると、MeはCaまたはNdであってよい。置換に用いられるランタナイド金属(Re1)はCe、EuまたはYbであってよい。置換に2種類の金属を用いる場合には、例えば、EuおよびErの組み合わせを用いるとしてもよい。置換に3種類の金属を用いる場合には、例えば、Eu、ErおよびYbの組み合わせを用いるとしてもよい。
【0106】
また、金属(Me)は、ランタナイド金属Re1とランタナイド金属Re2とによって、共同活性剤として置換されるとしてもよい。ランタナイド金属Re2はジスプロシウム(Dy)である。この場合、ランタナイド金属Re1はEuであってもよい。一方、金属(Me)の一部または全てが、Ce、Pr、Eu、Tb、YbおよびErのうち1以上(ランタナイド金属(Re1))によって置換される場合、または、Ce、Pr、Eu、Tb、YbおよびErのうち1以上(ランタナイド金属(Me)(Re1))およびDy(ランタナイド金属(Re2))によって置換される場合、金属は必ずしも追加されるわけではなく、別の金属を代わりに用いるとしてもよい。
【0107】
A−サイアロン(α−サイアロン)は、酸窒化ガラスよりも窒素の含有量が多く、NSi12−(m−n)Al(m+n− )16−Nで表される。ここで、xは(m)を金属(M)の価数で割った値である。一方、酸窒化ガラスは、先行技術3に記載されている通り、発光中心として窒素原子によって希金属元素の周囲の酸素原子を置換して、周囲の元素が希金属元素の電子に与える影響を緩和することによって、従来の酸化物系リン光体の励起/発光ピークの位置を長波長側へとシフトさせ、可視領域まで延びる励起スペクトル(≦500μm)を持つリン光体である。
【0108】
また、単相α−サイアロンリン光体において、金属(Me)は、最低で(Si,Al)(N,O)の4つの質量重量(mass weights)を含むα−サイアロンの単位セル3つにつき1つから最高で単位セル1つにつき1つという範囲内で溶解される。固体溶解度の限界は一般的に、二価金属(Me)の場合、上記の式について0.6<m<3.0且つ0≦n<1.5となり、三価金属(Me)の場合には、0.9<m<4.5且つ0≦n<1.5である。これらの領域以外では、単相α−サイアロンリン光体が得られないと考えられる。
【0109】
金属(Me)の一部または全てを置換して活性剤として機能する、発光中心である、ランタナイド金属Re1のイオン間距離は、最小で約5オングストロームである。これは、今までに知られているリン光体の3〜4オングストロームに比べるとはるかに大きい。このため、発光中心としてランタナイド金属がマトリクス材料に高濃度で含まれる場合に生じる濃度クエンチングに起因して発光強度が大きく減少しないようにすることができる。
【0110】
さらに単相α−サイアロンリン光体では、金属(Me)が、α−活性剤として機能するランタナイド金属(Re2)によって置換されると共に、発光中心として機能するランタナイド金属(Re1)によって置換される。ランタナイド金属(Re2)は、2つの共同活性化効果を持つと仮定される。第1に増感剤としての機能があり、第2には新たにキャリア捕獲準位を生成して、長残光性を付与または改善したり、熱ルミネッセンスを改善する効果がある。ランタナイド金属(Re2)は共同活性剤なので、置換量は一般的に上述の式について0.0≦z<0.1内であるのが適切である。
【0111】
単相α−サイアロンリン光体は、マトリクス材料としてα−サイアロンを有し、マトリクス材料としてβ−サイアロンを持つリン光体とは、組成および結晶構造が本質的に異なる。
【0112】
β−サイアロンはSi6−zAl8−z(0<z<0.2)と表され、βタイプの窒化シリコンの固溶体である。Siの位置の一部はAlによって置換されて、Nの位置の一部はOによって置換される。逆に、α−サイアロンは、MeSi12−(M+N)Al (m+n)16−Nと表され、αタイプの窒化シリコンの固溶体である。Si−N結合の一部はAl−N結合によって置換され、ある金属(Me)(MeはLi、Ca、Mg、Y、ならびにLaおよびCe以外のランタナイド金属のうち1以上)が格子間に入りこんでそこで溶解される。このように、両者は固溶体の状態において互いに異なるので、β−サイアロンは酸素含有量が高く、α−サイアロンは窒素含有量が高い。このため、マトリクス材料としてβ−サイアロンを利用すると共に発光中心としてCe、Pr、Eu、Tb、YbおよびErの希土類酸化物のうち1以上を加えてリン光体を合成すると、β−サイアロンは金属を溶解しないので、得られる混合材料はβ−サイアロン粒子の間に希土類金属を有する化合物を含む。
【0113】
逆に、α−サイアロンをマトリクス材料として利用する場合には、金属(Me)(MeはLi、Ca、Mg、Y、ならびにLaおよびCe以外のランタナイド金属のうち1以上)が受け入れられて結晶構造で溶解され、金属(Me)は発光中心として希土類金属Ce、Pr、Eu、Tb、YbおよびErによって置換される。このようにして、単相α−サイアロン構造から成る酸化物窒化物リン光体を得ることができる。
【0114】
従って、リン光体の組成および結晶構造は、マトリクス材料としてα−サイアロンおよびβ−サイアロンのうちどちらを利用するかによって大きく変わる。この差異はリン光体の発光特性に影響を与える。
【0115】
マトリクス材料としてβ−サイアロンを利用する場合、例えば、β−サイアロンに酸化Erを加えることによって合成されるリン光体は青色のルミネッセンス光(410〜440nm)を出射する。α−サイアロンでは、後述するが、希土類元素でドープされる酸化物窒化物リン光体は、Erの活性化によって、橙色から赤色の光(570〜590nm)を出射する。こういったことから判断すると、Erがα−サイアロンの結晶構造に取り込まれるので、Erは結晶を構成している窒素原子から影響を受ける結果、光源波長を簡単に延伸することができると仮定される。尚、光源波長の伸長は、マトリクス材料として酸化物を含むリン光体では実現させるのが非常に難しい。
【0116】
マトリクス材料としてα−サイアロンを利用する場合、希土類元素でドープされる酸化物窒化物リン光体もまた、マトリクス材料であるα−サイアロンによる利点を有する。つまり、α−サイアロンは、熱特性および機械特性が良好で、励起エネルギーの損失を引き起こす熱緩和現象を避けることができる。このため、希土類元素でドープされる酸化物窒化物リン光体において、温度上昇に従う発光強度の減少の比は小さくなる。このため、利用可能な温度範囲を従来のリン光体に比べると広くすることができる。
【0117】
さらに、α−サイアロンは化学的安定性に優れている。このため、リン光体は耐熱性が高くなる。希土類元素でドープされる酸化物窒化物リン光体は、組成におけるO/N比、金属(Me)を置換するランタナイド金属Re1の選択、およびα−活性剤であるランタナイド金属Re2の有無に応じて、紫外線からX線、さらに電子ビームによって励起することができる。
【0118】
特に、希土類元素でドープされる酸化物窒化物リン光体のうち、MeSi9.75Al2.250.7515.25:Re1Re2(m=1.5、n=0.75)において、0.3<x+y<0.75および0.01<y+z<0.7(ここで、y>0.01、0.0≦z<0.1)または0.3<x+y+z<1.5、0.01<y<0.7および0.0≦z<0.1を満足させるもので、金属(Me)がCaであるものは、発光特性が優れており、紫外光−可視光励起リン光体としての用途だけでなく電子ビーム励起リン光体としての用途についても大きな可能性を持っている。
【0119】
上述した第1のリン光体とは異なり、第2のリン光体の一例には、主成分としてα−サイアロンを含む希土類元素でドープされる酸化物窒化物リン光体(以下では、混合α−サイアロンリン光体と呼ぶ)がある。この第2のリン光体は、α−サイアロンと、β−サイアロンと、未反応窒化シリコンとを含む。ここで、α−サイアロンは希土類元素を溶解して、光源として青色LEDチップを利用する白色LEDの明るさを高めることができる。発光効率が高い組成を求めた結果、単相α−サイアロンリン光体に等しい特性の混合材料が得られている。該混合材料は、α−サイアロンにおいてCaによって安定化されているCaの位置の一部を希土類金属(M)(MはCe、Pr、Eu、Tb、YbまたはEr)の1以上によって置換したα−サイアロンと、β−サイアロンと、未反応の窒化シリコンとによって構成されている。一部の実施形態によると、Mは、Ce、EuまたはYbであるのが好ましく、CeまたはEuであるのがさらに好ましい。
【0120】
混合α−サイアロンリン光体は、単相α−サイアロンリン光体に比べると、それより少量の希土類元素を加えることによって生成され得る。このため、材料コストを低減することができる。さらに、混合α−サイアロンリン光体もまた、単相α−サイアロンリン光体と同様にマトリクス材料としてα−サイアロンを含むので、マトリクス材料であるα−サイアロンの利点を享受できる。つまり、化学特性、機械特性および熱特性が良好となる。従って、混合α−サイアロンリン光体は、安定した長寿命のリン光体材料を提供する。これらの特性によって、混合α−サイアロンリン光体は、励起エネルギーの損失を引き起こす熱緩和減少を抑制することができる。このため、本実施形態に係るCaと同様に希土類元素を溶解したα−サイアロンにおいて、温度上昇に伴う発光強度の減少の比は小さくなる。よって、利用可能な温度範囲を従来のリン光体に比べると広くすることができる。
【0121】
さらに、混合α−サイアロンリン光体は、組成中のO/N比および金属(M)の選択に応じて、紫外線からX線、さらに電子ビームによって励起され得る。
【0122】
混合α−サイアロンリン光体は、加える希土類金属の量を減らしたとしても、単相α−サイアロンリン光体に等しい発光特性の材料を実現する。α−サイアロン構造を安定化させるためには、溶解する元素の量をある量よりも大きくする必要がある。溶解されるCaおよび三価金属の量がそれぞれ任意のxおよびyであるとすると、x+yの値は熱力学的平衡において0.3よりも大きくなる必要がある。
【0123】
混合α−サイアロンリン光体は、追加する量がより少なかったためおよび熱力学的平衡に達しないために、単相α−サイアロンリン光体以外に残ったβ−サイアロンと未反応の窒化シリコンを持つ器官(organ)を含む。
【0124】
混合α−サイアロンリン光体に加えられる金属の量は、粉末の化学組成について、0.05<(x+y)<0.3、0.02<x<0.27、0.03<y<0.3の範囲内である。加えられる金属の量が下限値未満の場合、α−サイアロンの量が少なくなり発光強度が低減する。加えられる金属の量が上限値を超える場合、α−サイアロンのみが残る。このため、高輝度という目的を達成することができる。先に定義した範囲内であれば、得られる混合α−サイアロンリン光体の組成は、α−サイアロンが40重量パーセント以上90重量パーセント以下、β−サイアロンが5重量パーセント以上40重量パーセント以下、未反応の窒化シリコンが5重量パーセント以上30重量パーセント以下である。未反応の窒化シリコンが含まれていながらも発光強度が高い理由は、α−サイアロンが未反応の窒化シリコン上にエピタキシャル成長して、その表面部分が主に励起光に応答して、α−サイアロンのみの場合に略等しい発光特性を実現するためである。
【0125】
範囲は、0.15<(x+y)<0.3、0.10<x<0.25、0.05<y<0.15であってもよい。この範囲内であれば、得られる混合α−サイアロンリン光体の組成は、α−サイアロンが50重量パーセント以上90重量パーセント以下、β−サイアロンが5重量パーセント以上30重量パーセント以下、未反応の窒化シリコンが5重量パーセント以上20重量パーセント以下である。
【0126】
混合α−サイアロンリン光体は、例えば、Si―M――CaO――ALN-Al系混合粉末を不活性ガス雰囲気で1650℃から1900℃で加熱して、焼結体を得て、粉末に加工することによって得ることができる。CaOは、非常に不安定で空気中の水蒸気と簡単に反応するので、一般的には、炭酸カルシウムまたは水酸化カルシウムの状態で加えて、高温で加熱する処理でCaOを生成することで得られる。
【0127】
混合α−サイアロンリン光体の化学組成は、M−α−サイアロン、Ca−α−サイアロン、およびβ−サイアロンの組成範囲を用いて定義され得る。つまり、Si−a(M.9AlN)、Si−b(CaO.3AlN)およびSi−c(AlN.Al)の3つの組成ラインの範囲内において、4×103<a<4×10−2, 8×10−3<b<8×10−2および10−2<c<8×10−1と定義される。
【0128】
第3のリン光体の例を挙げると、セリウムイオンがドープされた窒化ランタンシリコンリン光体、La1―XSi:xCe(ドープ量xは0<x<1)がある。ここで、ランタンの位置は固溶体においてセリウムイオン活性剤によって置換されている。ドープ量が0.1<x<0.5の場合、紫外光励起リン光体になり、ドープ量が0.0<x<0.2の場合、電子ビーム励起リン光体である。
【0129】
窒化ランタンシリコン(LaSi)は、熱安定性に優れており、リン光出射プロセスにおいて熱緩和現象を抑制する役割を果たす。このため、励起エネルギーの損失を低減することができると共に、温度上昇に従う発光強度の低減の比が小さくなる。よって、セリウムイオンがドープされた窒化ランタンシリコンリン光体において、利用可能な温度範囲を従来のリン光体に比べて広くすることができる。また、窒化ランタンシリコン(LaSi)は、化学的安定性に優れ、耐光性である。
【0130】
セリウムイオンがドープされた窒化ランタンシリコンリン光体は、青色色度値を満足させて、熱安定性と、機械特性と、化学的安定性とが良好である。このため、蛍光文字表示管(VFD)、電界放出ディスプレイ(FED)等の厳しい環境下で利用され得る分野での非常に広い用途を得る。
【0131】
米国特許第5,998,925号に記載するリン光体の例には、ガーネット蛍光材料がある。該ガーネット蛍光材料は、(1)Y、Lu、Sc、La、GdおよびSmから成る群から選択される少なくとも1つの元素、および(2)Al、GaおよびIから成る群から選択される少なくとも1つの元素を含み、セリウムで活性化される。2つの例を挙げると、YAl12:CeおよびGdIn12:Ceがある。YおよびAlが含まれているので、リン光体は輝度を大きくすることができる。例えば、イットリウム−アルミニウム−ガーネット蛍光材料では、Ga:Alの比率が1:1から4:6の範囲内に納まるようにAlの一部がGaによって置換されるとしてもよい。またY:Gdの比率が4:1から2:3の範囲内に納まるようにYの一部をGdで置換するとしてもよい。
【0132】
リン光体の他の例を挙げると、0≦r<1、0≦s≦1でReがYおよびGdから選択される少なくとも1つである(Re1−rSm(Al1−sGa12:Ce、0≦p≦0.8、0.003≦q≦0.2、0.0003≦r≦0.08、0≦s≦1である(Y1−p−q−rGdCeSm(Al1−sGa12というリン光体がある。一部の実施形態によると、リン光体は、発光スペクトルを制御するべくYおよびAlを含む、組成が互いに異なる、セリウムによって活性化されている、2つ以上のイットリウム−アルミニウム−ガーネット蛍光材料を有するとしてもよい。他の実施形態によると、リン光体は、一般的に式Y(Al1−sGa12:Ceで表される第1の蛍光材料と、式ReAl12:Ceによって表される第2の蛍光材料とを含むとしてもよい。ここで、0≦s≦1でReはY、GaおよびLaから選択される少なくとも1つである。また、一般的に式(Re1−RSm(Al1−sGa12:Ceで表される、組成が互いに異なる2つ以上の蛍光材料が、リン光体として利用されて、発光された光を所望の波長に制御するとしてもよい。ここで、0≦r<1、0≦s≦1でReはYおよびGdから選択される少なくとも1つである。
【0133】
米国特許第6,765,237号に記載されているリン光体の例には、約380nmから約420nmのUV光を吸収して複数の異なる色の可視光を発光するリン光体がある。例えば、混合リン光体は、BaMgAl1627:Eu2+(BAM)を有する第1のリン光体と、(Tb.1−x−yRE12(TAG)を有する第2のリン光体とを含むとしてもよい。ここで、AはY、La、GdおよびSmから成る群から選択される元素で、REはCe、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、およびLuから成る群から選択される元素で、DはAl、Ga、およびInから成る群から選択される元素で、xは0から約0.5の範囲内にあり、yは約0から約0.2の範囲内にあり、zは約4から約5の範囲内ある。別の例として、混合リン光体は、Tb3Al4.912:Ceを有する第1のリン光体と、BaMgAl1627:Eu2+(BAM)および(Sr,Ba,Ca,Mg)(POCl:Eu2+から成る群から選択される第2のリン光体とを含むとしてもよい。
【0134】
米国特許出願公開広報第2004/0227465号に記載されているリン光体は、さまざまなリン光体組成を持つ。以下に列挙する。
【0135】
1.式BaF.aBaX.bMgF.cBeF.dMeII:eLnによって表される希土類元素で活性化されているハロゲン化物錯体のリン光体である。ここで、Xは、塩素、臭素、およびヨウ素から成る群から選択される少なくとも1つのハロゲンで、MeIIは、カルシウムおよびストロンチウムから成る群から選択される少なくとも1つの二価金属で、Lnは二価のユウロピウム(Eu2+)、セリウム(Ce3+)およびテルビウム(Tb3+)から成る群から選択される少なくとも1つの希土類元素であって、aは0.90から1.05の範囲内にあり、bは0から1.2の範囲内にあり、cは0から1.2の範囲内にあり、dはc+dの和が0から1.2の範囲内に納まるように定義され、BeFの量は、X線を照射された後で450nmから800nmの範囲内の波長の光を与えられると、BeFを含まないリン光体よりも輝度が高くなるリン光体を実現できるのに十分な量である。さらなる詳細については米国特許第4,512,911号を参照されたい。
【0136】
2.式LnPO.aLnX:xCe3+によって表される、セリウムによって活性化される希土類ハロリン酸塩リン光体である。ここで、LnはY、La、Gd、およびLuから成る群から選択される少なくとも1つの希土類元素であって、XはF、Cl、BrおよびIから成る群から選択される少なくとも1つのハロゲンであって、aおよびxはそれぞれ0.1<a<10.0および0<x<0.2の条件を満たす数であって、aが0.1未満であるリン光体に比べて、80KVpでX線を照射された後で波長が632.8nmのHe−Neレーザによって励起された場合に、より大きい発光を実現する。さらなる詳細については米国特許第4,661,419号を参照されたい。
【0137】
式(I):SrLn1y1Ln2y2Ln3y319−k(I)で表されるマグネトリード(magnetolead)型の結晶構造を持つ混合単相ストロンチウム・ランタナイド酸化物である。ここで、Ln1はランタン、ガドリニウム、およびイットリウムから選択される少なくとも1つの三価元素を表し、Ln2はネオジム、プラセオジム、エルビウム、ホルミウム、ツリウムから選択される少なくとも1つの三価元素を表し、Ln3は酸素正孔によって電気的中性を保つ二価のユウロピウムまたは三価のセリウムから選択される元素を表し、Mはマグネシウム、マンガン、および亜鉛から選択される少なくとも1つの二価の金属を表し、Aはアルミニウムおよびガリウムから選択される少なくとも1つの三価の金属を表し、Bはクロムおよびチタンから選択される少なくとも1つの三価の遷移金属を表し、x、y1、y2、y3、z、a、bおよびkはそれぞれ、0<x+y1+y2+y3<1且つ11<z+a+b<12である場合に、0<x<1、0<y1<1、0<y2<1、0<y3<1、0<z<1、10.5<a<12、0<b<0.5および0<k<1となる数を表わす。さらなる詳細については米国特許第5,140,604号を参照されたい。
【0138】
4.式MII.aMIIX'.bSiO:xEu2+で表される二価ユウロピウムによって活性化されるアルカリ土類金属ハロゲン化物リン光体である。MIIはBa、SrおよびCaから成る群から選択される少なくとも1つのアルカリ土類金属であって、XおよびX'はそれぞれCl、Br、およびIから成る群から選択される少なくとも1つのハロゲン化物であって、XとX'は互いに異なり、aおよびxはそれぞれ0.1<a<10.0および0<x<0.2という条件を満たす数であって、bは0<b<3×10−2を満たす数である。さらなる詳細については米国特許第5,198,679号を参照されたい。
【0139】
5.エレクトロルミネッセンスディスプレイ用の明るく短波長の青紫リン光体であって、ホスト材料としてアルカリベースのハロゲン化物を含みドーパントとして希土類を含むものである。米国特許第5,602,445号を参照されたい。ホスト材料である塩化アルカリは第II族のアルカリ元素から選択され得る。特に、ユウロピウムまたはセリウムといった希土類をドーパントとして利用する場合にはピーク波長が404nmおよび367nmのエレクトロルミネッセンスをそれぞれ発する、SrClおよびCaClから選択され得る。結果として得られる発光のCIE色度座標は、人間の目の可視領域の境目に位置するので、フルカラーのフラットパネルエレクトロルミネッセンスディスプレイ用により広い色領域を実現する。
【0140】
6.無機薄膜エレクトロルミネッセンスデバイスは、無機発光層と、1組の電極と、1組の絶縁層とを備え、電極のうち少なくとも1つが光学的に透明であり、発光層は1組の絶縁層の間に設けられ、各絶縁層は互いに発光層の反対側に形成され、1組の絶縁層は別の発光層と1組の電極との間に設けられ、発光層は主に、希土類元素の金属および化合物から成る群から選択される少なくとも1つの元素でドープされたフッ化ランタンのマトリクスを含む無機材料から構成される。さらなる詳細については米国特許第5,648,181号を参照されたい。
【0141】
7.レントゲン写真用リン光体スクリーンは、支持部と、該支持部の上にコーティングされている、ルミネッセンス部および被覆層を形成する少なくとも1つの層とを備える。ルミネッセンス部および被覆層は、X線および発光する光に対して透明なバインダーを含み、ルミネッセンス部はリン光体粒子を含み、リン光体粒子対バインダーの重量比が7:1から25:1である。リン光体は、酸素と関係式(Ba1−q)(Hf1−z−eZrMg):yTで特徴付けられる複数の種類の組み合わせとを含む。ここで、MはCa,Srおよびその組み合わせから成る群から選択され、TはCuで、qは0から0.15で、zは0から1で、eは0から0.10で、z+eは0から1で、yは1×10−6から0.02である。さらなる詳細については米国特許第5,698,857号を参照されたい。
【0142】
8.ガーネット蛍光材料は、(1)Y、Lu、Se、La、GdおよびSmから成る群から選択される少なくとも1つの元素と、(2)Al、GaおよびInから成る群から選択される少なくとも1つの元素とを含み、セリウムで活性化されている。セリウムがドープされたイットリウムアルミニウムガーネットの一例を挙げると、YAl12:Ce (YAG:Ce)およびそれから派生するリン光体がある。さらなる詳細については米国特許第5,998,925号を参照されたい。
【0143】
9.エレクトロルミネッセンス素子が発光する紫外光、青色光または緑色光の波長を変換する鋳造用波長変換組成物は、(a)鋳造用透明エポキシ樹脂と、(b)透明エポキシ樹脂内に分散される無機発光性物質の顔料粉末とを含む。顔料粉末は、一般的には式A12:Mで表されるリン光体群から選択される発光性物質顔料を含む。ここで、AはY、Ca、Srから成る群から選択される元素で、BはAl、Ga、Siから成る群から選択される元素で、XはOおよびSから成る群から選択される元素で、MはCeおよびTbから成る群から選択される元素である。発光性物質顔料は粒子サイズが20μm未満で平均粒径はd50<5μmである。さらなる詳細については米国特許第6,066,861号を参照されたい。
【0144】
10.リン光体Ba(Mg,Zn)Si:Eu2+および(Ba1−X−Y−Z,Ca,Sr,Eu(Mg1−W,Zn)Siであって、一部の実施形態によると、X+Y+Z=1で、Z>0で、0.05<W<0.50である。他の実施形態によると、X+Y+Z=1で、0.01≦Z≦0.1で、0.1≦W<0.50である。XおよびYはゼロとしてもよいし、ゼロでない数であってもよい。緑色、赤色および青色を発光するUV励起可能リン光体の例を挙げるとそれぞれ、「CaMg(SiOCl:Eu2+,Mn2+」、「Y:Eu3+,Bi3+」、および「Ba(Sr,Ba,Ca)(POCl:Eu2+」(またはBaMgAl1627:Eu2+)である。さらなる詳細については米国特許第6,255,670号を参照されたい。
【0145】
米国特許出願公開広報第2004/0227465号もまた、SrBaCaSiO:Eu2+で表されるリン光体を開示している。ここで、x、yおよびzはそれぞれ独立して定められ、0以上2以下の任意の値を取る。一部の実施形態によると、二価のEuは、活性剤として機能し、含有量は、上述の組成物の総モル重量に基づいて決まるモルパーセントで0.0001%から約5%の範囲内の任意の値である。このように、活性剤であるEuの含有量は、組成物の総モル重量によって決まるモルパーセントで0.0001%から5.00%の範囲内の、1000分の1%毎の任意の値であるとしてもよい。他の実施形態によると、上記の式のパラメータx、yおよびzは0.5≦x≦1.5、0≦y≦0.5、0.5≦z≦1.5である。さらに別の実施形態によると、上記の式のパラメータx、yおよびzは1.5≦x≦2.5、0≦y≦0.5、0≦z≦0.5である。上記の式のパラメータx、yおよびzは1.0≦x≦2.0、0≦y≦1.0、0≦z≦0.5であってもよい。
【0146】
上述したリン光体SrBaCaSiO:Eu2+はさらに、Ce、Mn、Ti、Pb、およびSnから成る群から選択される少なくとも1つの元素を追加で含むとしてもよい。一部の実施形態によると、そのような追加元素の該リン光体における含有量は、該リン光体の総モル重量に基づいて決まるモルパーセントで0.0001%から5.00%の範囲内の任意の値である。
【0147】
米国特許出願公開広報第2005/0023962号に記載されているリン光体の例には、ZnSSe:Cu,Aがあり、ここでxおよびyはそれぞれ独立して決まる0と1との間の任意の値であり、AはAg、Al、Ce、Tb,Cl、I、Mg、Mnのうち少なくとも1つである。一価のCuは、主な活性剤として機能し、含有量は、上述の組成物の総モル重量に基づいて決まるモルパーセントで0.0001%から約5%の範囲内の任意の値であってよい。このように、活性剤であるCuの含有量は、組成物の総モル重量によって決まるモルパーセントで0.0001%から5.00%の範囲内の、1000分の1%毎の任意の値であるとしてもよい。一部の実施形態によると、上記の式のパラメータx、yおよびzは0.5≦x≦1および0≦y≦0.5である。別の実施形態によると、上記の式のパラメータx、yおよびzは0≦x≦0.5および0≦y≦0.5である。上記の式のパラメータx、yおよびzは0≦x≦0.5および0.5≦y≦1.0であってもよい。
【0148】
米国特許出願公開広報第2005/023963号に記載されているリン光体の例には、高効率で青色光、紫色光または紫外(UV)光を吸収して吸収した光の波長より長波長の光を光源から発光させる、チオセレン化物および/またはセレン化物ベースの蛍光材料がある。このようなリン光体材料は、青から緑から黄色および赤色の発光に調整可能な広帯域の色スペクトルの光を発するとしてもよい。2つ以上のリン光体を混合させて、特定の所望の白色発光を実現するとしてもよい。一例を挙げると、MA(SSe:Bであって、xおよびyはそれぞれ独立に決まる約0.01と約1との間の任意の値であり、MはBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Znのうち少なくとも1つで、AはAl、Ga、In、Y、LaおよびGdのうち少なくとも1つで、活性剤BはEu、Ce、Cu、Ag、Al、Tb、Cl、F、Br、I、Pr、Na、K、MgおよびMnのうち少なくとも1つである。二価のEuは、主な活性剤として機能し、含有量は、上述の組成物の総モル重量に基づいて決まるモルパーセントで0.0001%から約10%の範囲内の任意の値であってよい。
【0149】
このように、活性剤であるEuの含有量は、組成物の総モル重量によって決まるモルパーセントで0.0001%から10.00%の範囲内の、1000分の1%毎の任意の値であるとしてもよい。一部の実施形態によると、上記の式のパラメータx、yおよびzは0.5≦x≦1および0≦y≦0.5である。別の実施形態によると、上記の式のパラメータx、yおよびzは0≦x≦0.5および0.5≦y≦1.0である。さらに別の実施形態によると、上記の式のxは約0でyは約1であるか、または上記の式のxは約1でyは約0である。
【0150】
別の例を挙げると、M(SSe:Bであって、xおよびyはそれぞれ独立に決まる約0.01と約1との間の任意の値であって、MはBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Znのうち少なくとも1つで、AはAl、Ga、In、Y、LaおよびGdのうち少なくとも1つで、BはEu、Ce、Cu、Ag、Al、Tb、Cl、Br、F、I、Pr、K、Na、MgおよびMnのうち少なくとも1つである。二価のEuは、主な活性剤として機能し、含有量は、上述の組成物の総モル重量に基づいて決まるモルパーセントで0.0001%から約10%の範囲内の任意の値であってよい。このように、活性剤であるEuの含有量は、組成物の総モル重量によって決まるモルパーセントで0.0001%から10.00%の範囲内の、1000分の1%毎の任意の値であるとしてもよい。一部の実施形態によると、上記の式のパラメータxおよびyは0.5≦x≦1および0≦y≦0.5である。別の実施形態によると、上記の式のパラメータxおよびyは0≦x≦0.5および0≦y≦0.5である。さらに別の実施形態によると、上記の式のxは約1でyは約0であるか、または上記の式のxは約0でyは1であるか、または上記の式で0≦x≦0.5および0.5≦y≦1.0であるか、または上記の式のxが約0.75でyが約0.25である。
【0151】
米国特許出願公開広報第2005/023963号に記載されているさらに別の例には、(M1)(M2)(SSe:Bがあり、ここで、M1はBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Znから成る群から選択される元素を含み、M2はBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Znから成る群から選択される元素を含み、AはAl、Ga、In、Y、LaおよびGdから成る群から選択される1以上の元素を含み、BはEu、Ce、Cu、Ag、Al、Tb、Cl、Br、F、I、Mg、Pr、K、NaおよびMnから成る群から選択される1以上の元素を含む。Bの含有量は、上述の組成物の総モル重量に基づいて決まるモルパーセントで0.0001%から約10%の範囲内の任意の値であってよく、xおよびyはそれぞれ独立して決まる0と1との間の任意の値で、xおよびyの和が約0.75と約1.25との間の範囲内の任意の数になるという条件を満たすように定められ、mおよびnの和は約1で、M1とM2は異なる。一部の実施形態によると、上記の式のパラメータxおよびyは0.5≦x≦1および0≦y≦0.5である。別の実施形態によると、上記の式のパラメータxおよびyは0≦x≦0.5および0≦y≦0.5であるか、または0≦x≦0.5および0.5≦y≦1.0であるか、または上記の式のxが約0.75でyが約0.25であるか、または上記の式のxは約0でyは約1であるか、または上記の式のxは約1でyは約0であるかである。
【0152】
米国特許出願公開広報第2005/023963号に記載されているさらに別の例には、(M1)(M2)(SSe:Bがあり、ここで、M1はBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Znから成る群から選択される元素を含み、M2はBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Znから成る群から選択される元素を含み、AはAl、Ga、In、Y、LaおよびGdから成る群から選択される1以上の元素を含み、BはEu、Ce、Cu、Ag、Al、Th、Cl、Br、F、I、Mg、Pr、K、NaおよびMnから成る群から選択される1以上の元素を含む。Bの含有量は、上述の組成物の総モル重量に基づいて決まるモルパーセントで0.0001%から約10%の範囲内の任意の値であってよく、xおよびyはそれぞれ独立して決まる0と1との間の任意の値で、xおよびyの和が約0.75と約1.25との間の範囲内の任意の数になるという条件を満たすように定められ、mおよびnの和は約2で、M1とM2は異なる。一部の実施形態によると、上記の式のパラメータxおよびyは0.5≦x≦1および0≦y≦0.5である。別の実施形態によると、上記の式のパラメータは0≦x≦0.5および0≦y≦0.5であるか、または0≦x≦0.5および0.5≦y≦1.0であるか、または上記の式のxが約0.75でyが約0.25であるか、または上記の式のxは約0でyは約1であるか、または上記の式のxは約1でyは約0であるかである。
【0153】
上記の例によると、赤、緑および青の3原色を混合することによって色を生成する。しかし、上述したデバイス、システムおよび技術では、4つ以上の色を混合して所望の色を得る方法を用いるとしてもよい。例えば、4つの異なる色を利用するとしてもよい。従って、図1、図2Aおよび図2Bに示すスクリーンでは、4つの異なる色のリン光体ストライプが用いられると共に、カラー画素はそれぞれ4つのカラーサブ画素を含む。図23乃至25に示すこのような4色型表示システムは、4つの異なる色の4つの単色レーザ表示モジュールを利用して、共通の表示スクリーンに最終的なカラー画像を生成する。
【0154】
リン光体スクリーンは、投影スクリーンとして利用されてもよいし、最終視聴スクリーンとして利用されるとしてもよいが、その製造方法にはさまざまなものがあり得る。製造方法の例を挙げると、特に以下の方法が挙げられる。インクジェット印刷、ペインティング(塗装)、重力沈降、加圧式沈降、スラリー、偏析(segregation)型スラリー、ダスチング、光粘着性(photo−tacky)ダスチング、薄型スクリーン蒸着およびスパッタリング、スクリーン印刷、加圧印刷、パルスレーザ堆積、遠心堆積、電気泳動堆積、スプレー、静電ダスチング、テープ転写、反応性堆積、反応性蒸着、活性剤イオン注入を含むRFスパッタリング、有機金属化学気相堆積方法(MOCVD)および原子層エピタキシー法などがある。
【0155】
1.ペインティング(塗装)法
ペインティング法では、蛍光ペインティング材料、リン光発光ペインティング材料および自己発光ペインティング材料等のルミネッセンスペイントを基板に塗布する。ペイントは、本質的に有機材料でも無機材料でもよく、ラッカーまたはオイルなどの溶剤と共に用いられる。ペイントは、ブラシ、ローラまたはスプレーデバイスによって塗布され得る。ステンシルを用いて細かい空間パターンを実現するとしてもよい。ペイントはまた、オフセット印刷方法によって塗布され得る。これらの蛍光ペイントおよびリン光ペイントは、IR光、可視光またはUV光によって励起され得る。自己発光ペイントの場合の励起源は、ペイントに混合された放射性材料(例えばラジウム)である。
【0156】
2.重力沈降法
沈降法は、公知の方法であり、文献にまとめられている。例えば、「プリングシャイム・アンド・ボーゲル(Pringsheim & Vogel)、流体および固体のルミネッセンス(Luminescence of Liquids and Solids)、インターサイエンス・パブリッシャーズ(Interscience Publishers)、1946年、NY、pp144& 145」、「ホプキンソン・アール・ジー(Hopkinson R. G.)、陰極線管特性の考察(An Examination of Cathode Ray tube characteristics)、ジャーナル・オブ・ザ・インスティテュート・オブ・エレクトリカル・エンジニアーズ(Journal of the Institute of Electrical Engineers)、Vol.13、Part IIIa、No.5 1946年、pp. 779−794」、「ドノフリオ・アンド・レーコフ(Donofrio & Rehkopf)、スクリーン重量の最適化(Screen Weight Optimization)、ジャーナル・オブ・ザ・エレクトロケミカル・ソサエティ(Journal of the Electrochemical Society)、Vol.126、No.9、1979年9月、pp.1563−1567」および「テクニカル・インフォメーション・ブックレット・シーエム・9045(Technical Information Booklet CM−9045)、リン光体スライドの沈降方法(Method of Settling Phosphor Slides)、GTE Sylvania、3/82」を参照されたい。例えば、リン光体スライドの沈降は、リン光体、1%のバリウムアセテート溶液(水)、PS−6ケイ酸カリウム、および脱イオン化した水を含む混合物を沈降チャンバに設けることによって実現され得る。1つの作り方として、1%のバリウムアセテートを34mlだけ沈降チャンバに加える。N.Yocomは1996年のリン光体スクリーンに関するSIDセミナーで、リン光体スクリーンを沈降且つアルミナ化するための9つのステップについて述べている。これら9つのステップは、面板の上にリン光体を沈降させ(ステップ1)、流体クッションをデカントして吸い上げ(ステップ2)、沈降処理されたスクリーンを乾燥させ(ステップ3)、スクリーンを焼き(ステップ4)、再度スクリーンをぬらして(ステップ5)、水の上にフィルム材料を塗布し(ステップ6)、水を除去し(ステップ7)、アルミニウム層を抜いて蒸着させ(ステップ8)、スクリーンを焼く(ステップ9)。
【0157】
3.スラリー法
スラリー法では、リン光体含有スラリーを用いてスクリーン表面にリン光層を形成する。例えば、欧州特許出願第86302192.9号(出願日:1986年3月25日、出願人:ソニー、発明者:タタヤマ、ヤマザキ、カトおよびタシマ(Tatayama、Yamazaki、KatoおよびTashima)を参照されたい。作り方の1つとして挙げられるのが、5gのPVAと、0.5gのADC(二クロム酸アンモニウム)と、100gの水と共に100gのリン光体と、0.6gのAerosilとを用いたスラリーの形成方法である。このスラリーをCRTスクリーンパネルの面中心の近くに堆積し、該パネルを回転させながら傾けて、スラリーを面板の内部に広げる。カスケード式スラリーシステムをエージング(aging)効果のために用いて、ケイ酸塩濃度が電子銃側よりもガラス基板側において高くなるように設定するとしてもよい。
【0158】
4.ダスチング法
リン光体スクリーンを形成するためのさまざまな公知のダスチング法がある。ホプキンソン・アール・ジー(Hopkinson R.G.)、陰極線管の特性の考察(An Examination of Cathode Ray tube characteristics)」、ジャーナル・オブ・ザ・インスティテュート・オブ・エレクトリカル・エンジニアーズ(Journal of the Institute of Electrical Engineers)、Vol.13、Part IIIa、No.5、1946、pp779−794では、ウェットバインダまたはドライバインダ内にリン光体を噴射させるダスチング法が説明されている。別の実施形態によると、リン光体を被処理面に対して落とすまたは投射させることによってダスチングを実行し得る。さらに別の実施形態に係るダスチング法によると、ケイ酸ナトリウムなどの適切なバインダによってコーティングされているスクリーンプレート上で網目状ガーゼまたはモスリンガーゼを解してリン光体材料を攪拌するとしてもよい。米国特許第3,025,161号(発明の名称:パターン形成方法、発行日:1962年3月13日)では、露光前のウェットフォトレジストに対してドライ粉末噴射システムを介してより強力にリン光体がダスチングされるダスチング法が開示されている。そして、リン光体は、光粘着性でコーティング済みの乾燥した被処理面に対してダスチングされて、UV照射されることによって、コーティングが粘着性を有するようになる。被処理面のコーティングのこのような粘着性によって、露出領域のリン光体が被処理面に接着されることになる。ノノガキ、トミタ、ニシザワ、アカギ、およびコハシ(Nonogaki、Tomita、Nishizawa、AkagiおよびKohasji)の「多色陰極線管のリン光体スクリーン製造の乾燥プロセス(Dry Process for Phosphor Screen Fabrication of Multicolored Cathode Ray Tubes)」、日本における研究開発(Research & Development in Japan)、1984,pp.50−55を参照されたい。
【0159】
5.加圧沈降
リン光体スクリーンはまた、加圧しながらリン光体を沈降させることによって形成され得る。例えば、オキ・ケイ・アンド・オザワ・エル(Oki K. & Ozawa L.)、「高解像度CRT用のリン光体スクリーン(A Phosphor screen for high−resolution CRTs)」、ジャーナル・オブ・ザ・エスアイディー(Journal of the SID)、Vol.3、No.2、1995年9月、pp51−57を参照すると、通常の堆積(sedimentation)方法での沈降と高解像度用スクリーン内の空隙を減らすことを目的として機械的プレス機械を利用することとが説明されている。
【0160】
6.薄膜スクリーン蒸着法またはスパッタリング法
高解像度スクリーンは、リン光体を基板に対して蒸着またはスパッタリングすることによって作製され得る。例えば、ZnGaをBaTiOのセラミックシートに対してマグネトロンスパッタリングする方法が薄膜エレクトロルミネッセンスデバイスにおいて利用されてきた。真空蒸着法は、SrS:Ce、Cl、Ag、Mnの層のような基板に対してリン光体から成る薄い層を堆積させるために利用されてきた。
【0161】
7.スクリーン印刷法
リン光体スクリーンはまた、スクリーン印刷法によっても作製され得る。一部の実施形態によると、強固だがバネ状の布または金属製のメッシュを、ラッカーによって遮蔽された領域に対して用いて、コーティングが施される基板の上方で位置合わせする。続いて、スラリーミックスがメッシュの選択領域を介して基板に対して機械的にプレスされると、リン光体ペーストが塗布された後でメッシュが元の位置に戻る。メッシュによってパターンを写真印刷することによって、非常に細かいパターンをスクリーン印刷することが可能となる。1992年に、モリカワ他(Morikawa et al.)では、印刷方法とスクリーンの加圧を用いてより滑らかでより良質なエージング(aging)スクリーンを実現する方法について述べている。この加圧方法によると、メーカーはパッキング密度を高くすることができる。モリカワ、セコ、カモガワ、アンド、シモジョ(Morikawa、Seko、Kamogawa & Shimojo)、「大型スクリーン表示用のフラッドビームCRTを改良するための研究(Study to Improve Flood Beam CRT for Giant Screen Display)」、ジャパン・ディスプレイ'92(Japan、Display '92)、pp385−388を参照されたい。
【0162】
8.パルスレーザ堆積法
レーザパルスを対象材料に対して方向付けて対象材料をスクリーン上に堆積させることができる。グリア他(Greer et al.)では1994年に、ヘルメットマウントディスプレイ(HMD)で用いられるリン光体スクリーンのパルスレーザ堆積(PLD)について報告している。グリア・ジェイ・エー他(Greer,J.A. et al.)、「パルスレーザ堆積によって得られるP−53薄膜用リン光体(P−53 Thin Film Phosphors Prepared by Pulsed−Laser Deposition)、エスアイディー94ダイジェスト(SID 94 Digest)、pp827−830を参照されたい。波長が248nmのラスタ化レーザを用いて、対象であるイットリウム・アルミニウム・ガリウム・ガーネットリン光体を走査して、溶発(アブレーション)によってサファイア基板に上記の金属を堆積させた。報告されたスクリーン成長速度は1時間につき1ミクロンで、スクリーンの厚みは最大8ミクロンであった。
【0163】
9.遠心堆積法
溶液内のリン光体の懸濁を、遠心力を利用してスクリーン上に堆積させることができる。例えば、メツナー・エル・ゼット、ツマー・エム、ネマニック・ヴィー(Mezner,L.Z.、Zumer,M.、Nemanic,V.)、「高解像度1インチCRTスクリーンの遠心沈降(Centrifugal Setting of highResolution 1−in Crt Screens)」、エス・アイ・ディー・ダイジェスト(SID Digest) 1994、pp520−522を参照されたい。CRTスクリーンは、微粒子(粒子サイズが5ミクロン未満)リン光体と、バインダと、電解質と、場合によっては分散剤とから構成される安定したリン光体懸濁を用いるこの方法によって作製されてきた。一部の実施形態によると、遠心分離機における沈降は3000rpmで2分間から4000rpmで3分間の間に設定されるとしてもよい。平均粒子サイズが1.9ミクロンのP20リン光体を用いて5KVの電子について最適スクリーン重量が約0.6mg/cm2であるスクリーンが実現された。「P43懸濁の生成とCRTに関するスクリーン品質の評価(Preparation of P43 Suspension AND Screen−Quality Evaluation in CRTs)」、エスアイディー(SID) ´97 Vol 28、pp440−443と題された出版物によると、P43リン光体(1.8ミクロン)と、酢酸バリウムと、ケイ酸カリウムと、界面活性剤とを含む懸濁を遠心堆積プロセスで用いると、良好な電子エージング特性を達成し、スクリーン重量は1.0mg/cmで、スクリーンの厚みは粒径の約5個分で、アノード電圧は5KVとなったことが報告されている。
【0164】
10.電気泳動(electrophoreticまたはcataphoretic)コーティング法
電気泳動によるリン光体のコーティングは、高解像度リン光体スクリーンを作製するために用いられ得る。セシンガー(Schesinger)では、伝導体がコーティングされたガラスフェースプレートをリン光体と、電解質と、金属アノード(フェースプレートから約2インチ離れた位置に設けられる)を含む溶液に入れる、電気泳動コーティングプロセスが説明されている。セシンガー他(Sclesinger et al.)「超高解像度の陰極線管の設計開発および製造(Design Development and Fabrication of Ultra High−Resoluation Cathode Ray tube)」、テクニカル・レポート(Technical Report)ECOM−00476−2月 1969年、pp64−72を参照されたい。20maのDC電流が溶液内を通過すると、リン光体スクリーンが陰極上に堆積される。1997年5月に、エレクトロ・プラズマ(Electro Plasma)のシェルマーホーン、スウィーニーおよびワン(Schermerhorn、Sweeney、Wang)と、サムスン(Samsung)のパーク、パークおよびキム(Park、ParkおよびKim)は、金属化されたリセス領域または空洞部を用いたプラズマディスプレイスクリーン用のカラーリン光体の電気泳動堆積の利用について開示した。ジェイ・エム・キム他(J.M.Kim et al.)「4インチフルカラーFEDの開発(Development of 4−in.Full Color FED)」、デバイシーズ・エス・アイ・ディー97ダイジェスト(Devices SID 97 Digest)、pp56−59、およびジェイ・ディー・シェルマーホーン他(J.D.Schemerhorn et al.)「大型高解像度カラーACPDP用の溝構造(A Groved Structure for a Large High, Resolution Color ACPDP)」、エス・アイ・ディー97ダイジェスト(SID97 Digest)、 pp229−232を参照されたい。
【0165】
11.スプレー法
ウェットリン光体またはドライリン光体を基板にスプレーしてリン光体スクリーンを形成するとしてもよい。スプレーガンのノズルは、基板からの距離等の制約に応じたさまざまなスプレー角度でスプレーできるように、変更できる。さまざまなスプレーシステムでそうされているように、圧力ポットを用いてスプレーガンに対する圧力を一定に保つ。ドライシステムにおいては、表面が粘着性のバインダでコーティングされているスクリーン面に対してドライリン光体をスプレーする。ウェットバインダを用いてもよいし、ドライバインダを用いてもよい。ウェットスプレー法では、ニトロセルロースまたはPVAのような有機バインダを利用するとしてもよい。UVが照射されると粘着性を有するバインダを用いるとしてもよい。
【0166】
11.静電スプレー/ダスト法
リン光体スクリーンはまた、リン光体を帯電させて帯電スクリーン面に対して吹きつけるリン光体スプレーまたはダスチングプロセスによって作製することもできる。そして、リン光体を固定して更なる処理を可能とする。米国特許第5,477,285号(発明の名称:「CRT開発装置」、発行日:1995年12月19日)では、摩擦電気銃を用いてリン光体を帯電させて、ホッパーからベンチュリチャンバへと材料を運搬するオーガーを利用しつつ、ホッパーを用いて該リン光体をパネルに与えるプロセスが説明されている。ベンチュリチャンバは、帯電したリン光体をパネル上の潜像に対して与える。
【0167】
12.転写テープ法
転写テープ法では、リン光体を含む層で、テープ基材上にリン光体をコーティングする。該リン光体層の下には開放層が設けられ、リン光体とバインダとが基板上に押し付けられる。テープ基材を除去すると、リン光体とバインダとが残る。エヌ・ヨコム(N.Yocom)、1996年、エス・アイ・ディー・リン光体スクリーニングに関するセミナー(SID Seminar on Phosphor Screening)を参照されたい。
【0168】
13.反応性堆積法
気相反応プロセスを用いてZnSリン光体層のようなリン光体層を製造することもできる。例えば、ディー・エー・クサノ(D.A.Cusano)、「硫化亜鉛層における陰極ルミネッセンス、フォトルミネッセンス、D.Cルミネッセンス、エレクトロルミネッセンス(Cathodo−、Photo−およびD.C.−Electro−luminescence in Zinc Sulfide Layers)」、有機および無機材料のルミネッセンス(Luminescence of Organic and Inorganic Materials)、コールマン・アンド・スプラック・ワイリー・アンド・サンズ(Kallman & Spruch Wiley & Sons)編、1962年、pp494−522を参照されたい。コーティングが施される基板は、400℃から700℃の温度まで加熱され得る。例えば、ZnS:Mnをベースとするリン光体スクリーンを作製する場合は、材料はZn、ZnCl、MnClSで、これらの材料はリン光体層の形成中は常に存在する。このプロセスはまた、エレクトロルミネッセンススクリーンを製造するためにも利用され得る。
【0169】
14.反応性蒸着法
スクリーン作製法として反応性蒸着法がある。YS:Euの透明薄膜を、電子ビーム銃を用いてイットリウム金属を基板上に蒸着させて、同時にEuCl粉末のるつぼを加熱しつつ励起SOを導入する反応性蒸着プロセスによって形成する。ドード、フタキ、オーミ、タナキ、コバヤシ(Daud、Futaki、Ohmi、Tanaki、Kobayashi)、「反応性蒸着によって成長させる透明Y2020S:Eu3+リン光体薄膜およびそのルミネッセンス特性(Transparent Y2020S:Eu3+phosphor thin films grown by reactive evaporation and their luminescent properties)」、ジャーナル・オブ・ザ・ソサエティ・フォー・インフォメーション・ディスプレイ(Journal of the Society for Information Display) (SID)、Vol.4、No.3、1996年、pp193−196を参照されたい。
【0170】
15.RFスパッタリングおよびイオン注入法
リン光体スクリーンを形成するべくRFスパッタリングおよびイオン注入を利用する場合には、活性剤イオンを注入する。エヌ・エム・カルコラン他(N.M.Kalkhoran et al.)、「可塑性有機基板上に設けられるイオン注入されたZnGa薄膜のルミネッセンス特性について(Luminescence Study of Ion−Implanted ZnGa Thin Films on Flexible Organic Substrates)」、エスアイディー'97ダイジェスト(SID '97 Digest)、pp623−626によると、RFスパッタリングを用いて薄膜エレクトロルミネッセンススクリーンを形成した。ここで、ZnGa薄膜は、可塑性のポリイミド基板上においてMn、Euでイオン注入されて、緑色および赤色のリン光体スクリーンを得た。ドープされないホスト材料は青色スクリーンに用いられた。
【0171】
16.有機金属化学気相堆積法
有機金属化学気相堆積法(MOCVD)法を用いてリン光体スクリーンを製造することができる。一例を挙げると、CaGa:Ceリン光体でスクリーンを製造するためのMOCVDプロセスが、スミス他(Smith et. Al.)、「低温有機金属化学気相堆積法で結晶として堆積されたCaGa:Ce(Crystalline−As−Deposited CaGa:Ce via Low Temperature Metal Organic Chemical Vapor Deposition)」エスアイディー・ダイジェスト(SID Digest)、1995年、Vol.XXVI、pp728−731で報告された。カルシウム金属有機物が、Ca(thd)と呼ばれるCa(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート)の形態で利用された。CaSの堆積は、反応装置の圧力を1−10Torrに設定してアルゴンキャリアガスとHS内においてCa(thd)を用いて行われた。基板は、ガラスやシリコン製のもので、400℃から600℃の温度でコーティングEL基板である。GaおよびCaSの形成は、CaGa:Cリン光体を得るべくCe(thd)の利用と組み合わせられた。
【0172】
17.原子層エピタキシー法
原子層エピタキシー法は、交流薄膜エレクトロルミネッセンスディスプレイ用のルミネッセンススクリーンを形成するべく利用されてきた。リンジー・マクドナルド・アンド・アンソニー・ロウ(Lindsay McDonald and Anthony Lowe)、表示システム(Display Systems)、パブリッシャー・ジョン・ワイリー・アンド・サンズ(Publisher JohnWiley&Sons)、1997年、pp195−196を参照されたい。基板を、高温(500℃)に加熱して、低圧化学先駆体に対して露出させてスクリーン層を形成する。一例を挙げると、ZnおよびMnを先駆体の一部として利用して、ZnS:Mn層を形成することができる。反応装置を空にして硫黄を導入する。エピタキシーサイクルを開始させて層を形成する。
【0173】
本願に記載するスクリーン用のリン光体材料は、リン光体ナノスケール粉末として準備されるとしてもよい。尚、光学変換効率を改善するべくリン光体材料のナノスケール粒子は500nm未満となっている。このようなリン光体ナノスケール粉末は、リン光体先駆体を含む溶液またはスラリーを形成してから、該リン光体先駆体を含む溶液またはスラリーの固体残留物を焼成することによって得るとしてもよい。ナノサイズの粒子の状態で用意されるリン光体先駆体は寸法が500nm未満で、200nm未満であるのが好ましく、さらに100nm未満であるのが好ましく、さらには50nm未満であるのが好ましく、最も好ましいのは10nm未満である。このように、ナノサイズの粒子は平均粒子サイズが1nmから500nmの範囲内にあってよく、2nmから200nmの範囲内にあるのが好ましく、さらに2nmから100nmであるのが好ましく、さらには2nmから50nmの範囲内であるのが好ましく、最も好ましいのは3nmから10nmの範囲内である。先駆体のナノサイズ粒子はまた、サイズ分布が均一でバラツキは例えば10%未満の範囲内であるのが好ましい。米国特許第6,576,156号は、参照により本願の一部としてその内容をすべて組み込むが、リン光体のナノスケール粉末および製造方法の例を記載している。一実施形態によると、リン光体のナノスケール粉末は、(1)リン光体先駆体のナノサイズ粒子を含む溶液またはスラリーを形成して、(2)該溶液またはスラリーを乾燥させて残留物を得て、(3)該残留物を焼成してリン光体ナノスケール粉末を得ることによって作製されるとしてもよい。
【0174】
表2は、上述したリン光体スクリーンの蛍光材料として適切なリン光体組成物の例を示す。
【表2】

【0175】
表2はさらに、リン光体組成物をさまざまなグループに分類している。例えば、そういったグループには、酸化物ベースリン光体、ケイ酸塩ベースリン光体、リン酸塩ベースリン光体、ホウ酸塩ベースリン光体、アルミン酸塩ベースリン光体、没食子酸塩ベースリン光体、モリブデン酸塩ベースリン光体、タングステン酸塩ベースリン光体、フッ化物ベースリン光体、硫化物ベースリン光体、窒化物および酸窒化物ベースリン光体、硫セレン化物ベースリン光体がある。
【0176】
本願に記載するカラーまたは白黒スクリーンに適しているUV励起可能な非リン光体の有機材料は、さまざまな組成の材料によって実施され得る。図8は、有機材料の例を示す表であって、化学構造、色および蛍光色も示す。例示している有機材料は、ブリリアント・スルフォフラビンFF(Brilliantsulfoflavine FF)、ベーシック・イエローHG(Basic yellow HG)、エオシン(Eosine)、ローダミン6G(ローダミン 6G)、およびローダミンB(ローダミン B)である。さらに、これらの有機材料は有機染料を含み得る。
【0177】
図9は、表示スクリーンに蛍光材料として利用可能な有機染料を示す表である。図9に示すように、多くの異なる種類の有機染料を利用することができる。一般的には、UV光等の励起光を吸収することができて、励起光の波長よりも長い波長を持つ可視領域の光子を発することができる有機材料または有機染料であればどのようなものでも利用可能である。図10は、図9に示した有機染料のルミネッセンススペクトルを示す図である。図10に示すように、さまざまな有機染料の発光スペクトルは紫外領域から赤外領域まで広がっている。
【0178】
表示スクリーン用の蛍光材料としての利用に加えて、図5を参照しつつ詳細に上述したように、有機化合物はまたコントラストを改善するためにも利用できる。また、リン光体および/または上述した有機材料の混合物を用いて、発光のCIE座標(発光スペクトル)を調整することができる。例えば、有機材料の吸収スペクトルおよび蛍光スペクトルを得ることができる。図11乃至図13は、一部の有機化合物の吸収スペクトルおよび蛍光スペクトルを示す図である。図11は、有機材料であるフルオレセイン(基本はエタノール)およびエオシンYの吸収スペクトルおよび蛍光スペクトルを示す図である。図12は、有機材料であるローダミン 123およびローダミン 6Gの吸収スペクトルおよび蛍光スペクトルを示す図である。図13は、有機材料であるローダミン Bおよびローズベンガルの吸収スペクトルおよび蛍光スペクトルを示す図である。
【0179】
有機材料の吸収スペクトルおよび蛍光スペクトルに基づいて、特定の色調整プロセス用の有機化合物の候補を選択することができる。例えば、図14はどのように有機化合物(例えばローダミン B)を加えて橙色のリン光体のリン光発光を調整するかを示す図である。図14に示すように、有機化合物(例えばローダミン B)は橙色のリン光体の発光スペクトルのうち560nmから570nmの波長の光を吸収する。また、ローダミン Bの蛍光スペクトルは、ピーク波長が約590〜620nmの範囲内である。このため、ローダミン Bを橙色のリン光体に加えることによって、該有機化合物は、橙色のリン光体の発光のうち約560nmから570nmの波長の光を抑制することができると同時に、約590nmから620nmの波長(つまり、赤色)において発光を強化させることができる。このように、有機化合物はリン光体の発光スペクトルを橙色から赤色にシフトさせることができる。
【0180】
一実施形態に係る橙色のリン光体の発光を赤色にシフトさせることを、図15乃至図17Bに示す例を参照しつつ説明する。図15は、ローダミンBの濃度をさまざまな値に設定した場合の橙色のリン光体の発光スペクトルのシフトを示す図である。濃度1はローダミンBの量が約0.25重量%であることを示し、濃度2はローダミン Bの量が約0.5重量%であることを示し、濃度3はローダミン Bの量が約1重量%であることを示す。図15に示すように、有機化合物であるローダミン Bの濃度が大きくなるに従って橙色のリン光体の発光スペクトルは長波長側にシフトしている。
【0181】
図16は、橙色のリン光体の発光スペクトルと橙色のリン光体および有機化合物であるローダミンBの混合物の発光スペクトルとを比較する図である。この実施形態によると、加えられたローダミン Bの量は約1重量%であった。図16に示されているように、有機化合物ローダミン Bを加えることによって、橙色のリン光体の色度を調整することができる。例えば、橙色のリン光体の発光スペクトルの短波長(600nm未満)部分を除去することができる。
【0182】
図17Aおよび図17Bは、ローダミンBの濃度の関数として、調整後の橙色のリン光体(例えば、ケイ酸塩)の色度性能を示す図である。図17Aに示すように、橙色のリン光体のx CIE座標は、ローダミンBの濃度(例えば、単位はmg/mL)が大きくなるにつれて、大きくなる。同様に、図17Bに示すように、橙色のリン光体のy CIE座標は、ローダミンBの濃度(例えば、単位はmg/mL)が大きくなるにつれて、小さくなる。また、橙色のリン光体以外のリン光体の色度も図9に示した適切な有機染料を用いて調整することができる。さらに、こういった有機化合物はリン光体の色度を調整して、リン光体の発光スペクトルを狭帯域にすることによってR、GおよびBについてより純粋な色を実現することができる。このため、例えば、色度を調整したリン光体は、ディスプレイおよび照明分野において利用することができる。
【0183】
また、これらの有機化合物には、いくつかの材料特性が与えられ得る。例えば、上述したような有機化合物は、励起波長(例えば、約405nm)の光は吸収しないが、リン光体の発光スペクトルのうち一部の光を吸収する。多くのリン光体は、発光帯域が広くて、その広いスペクトルを調整して必要な色度を実現することができる。追加される有機化合物はリン光体の発光スペクトルのうち一部の光を吸収する。例えば、リン光体の発光をより赤くする(より長波長の光にする)必要がある場合、有機化合物は、スペクトルのうち青色部分(より短波長側)の発光をある程度吸収して、吸収した光を赤色スペクトル領域に移す必要がある。
【0184】
さらに、上述したような有機材料は、アルコール、アセトンまたはそれ以外の有機溶媒に溶解可能な有機化合物であってよい。上述したような有機材料はまた、リン光体組成物と混ぜることもできる。有機材料およびRGBリン光体の混合物を準備する方法には、例えば、以下のものがある。
【0185】
<方法1>
1つの有機化合物または複数の有機化合物の混合物をバインダに加える。該バインダは通常、リン光体をスクリーンへと接着するための透明な材料であってよい。このようにして、1つの有機化合物または複数の有機化合物の混合物を含むバインダは、無機のリン光体の発光スペクトルを調整することができる。
【0186】
一実施形態によると、約0.25グラムのローダミン Bと約10mlの水とをビーカーで混ぜ合わせて、ローダミン B−水の混合物を得るとしてもよい。そして、ローダミン B−水の混合物を、別のビーカーで約20グラムの橙色のリン光体に加えて、リン光体混合物を得る。リン光体混合物は続いて、手でかき混ぜて、空気中において例えば60℃で乾燥させる。リン光体混合物が乾燥すると、エポキシまたはシリコン樹脂から成るバインダと混ぜ合わせる。
【0187】
別の実施形態によると、約0.25グラムのローダミン Bと約10mlのアセトンまたはイソプロパノールアルコールとをビーカーで混ぜ合わせて、ローダミン B−溶剤混合体を得る。そして、ローダミン B−溶剤混合体を約20グラムのバインダに加える。バインダは、例えば、エポキシまたはシリコン樹脂から成るとしてもよい。ローダミン B−溶剤−バインダ混合体は続いて、室温でかき混ぜられる。ローダミン B−溶剤−バインダ混合体には約20グラムの橙色のリン光体を加えて、バインダ−リン光体混合物を得るとしてもよい。バインダ−リン光体の混合物は続いて室温でかき混ぜられる。
【0188】
<方法2>
1つの有機化合物または複数の有機化合物の混合物から成る薄い層(例えば、2−5ミクロン)でRGBリン光体を直接コーティングするとしてもよい。そして、コーティングされたリン光体を透明なバインダに加える。このようにして、リン光体上の薄いコーティング層は発光スペクトルを調整することができる。
【0189】
発光のCIE座標を調整するために用いられ得る混合物のほかの例を挙げると、以下のようなものがある。
1.スクリーンの赤色成分のCIE座標を調整するべく、既存の赤色リン光体とは異なる組成の複数の赤色リン光体から成る混合物。
2.スクリーンの緑色成分のCIE座標を調整するべく、既存の緑色リン光体とは異なる組成の複数の緑色リン光体から成る混合物を利用することができる。
3.スクリーンの青色成分のCIE座標を調整するべく、既存の青色リン光体とは異なる組成の複数の青色リン光体から成る混合物を利用することができる。
4.上述した混合物1、2および3の量を含み、各混合物の量をさまざまに変更する混合物
5.緑色リン光体および青色リン光体と赤色リン光体とを含む混合体であって、スクリーンの赤色成分のCIE座標を調整するもの。
6.赤色リン光体および青色リン光体と緑色リン光体とを含む混合体であって、スクリーンの緑色成分のCIE座標を調整するもの。
7.緑色リン光体および赤色リン光体と青色リン光体とを含む混合体であって、スクリーンの青色成分のCIE座標を調整するもの。
9.上述した混合物1−8のうち任意の混合物に有機材料を加えた混合物であって、カラースクリーンのCIE座標を調整するもの。
【0190】
赤色リン光体、緑色リン光体および青色リン光体をそれぞれの量をさまざまに変更しつつ組み合わせることによって白色を実現することができる。各色成分の正確な量は、光源の励起波長、励起強度(例えば、励起源の電力)、成分色のCIE色度、「白」色の所望の明度などの要因に応じて変化し得る。このように、励起光源の波長が約420nm未満の分野においては、白色リン光体の組成を調整して、励起波長が異なることによるリン光体の吸収特性の変化に対応する。白色リン光体混合体を得る方法の一例を挙げると、ZnS:Agと(Zn,Cd)S:Cu,Alとを組み合わせることを含む。別の例では、ZnS:AgとZnSiO:Mnおよび(Zn,Mg)(PO:Mnとを組み合わせて白色リン光体を実現することを含む。
【0191】
白色リン光体組成のほかの例を挙げると、8SrCO・4CaCO・11Al・0.18Eu(ほとんど白色)、3Ca(PO・Ca(F,Cl):Sb(青っぽい白色)、3Ca(PO・Ca(F,Cl):Sb,Mn(ほとんど白色)、3Ca(PO・Ca(F,Cl):Sb(温かい白色)、Bao・TiOO5(青っぽい白色)、およびMgWO4(青っぽい白色)がある。これら以外の白色リン光体組成は、GELCORE、LEUCHTSTOFFWERK、およびPHILIPSなどのメーカーから手に入れることができる。例えば、GELCOREからはCaNaVMg12:Eu3+という白色リン光体組成物を手に入れることができる。また、PHILIPSによると、青色LED(発光波長は約460nm〜470nm)を用いてSrGa:EuおよびAESi:Euの組み合わせまたはSrGa:Eu およびAES:Euの組み合わせを励起することによって白色光が実現できる。
【0192】
図1の走査ビームディスプレイを実現するための図3、4Aおよび4Bに示した走査ビームディスプレイの上記の例では、走査レンズ360は、ビーム走査デバイス340および350よりも下流に設けられており、1以上の走査励起ビーム120の焦点をスクリーン101に当てている。このような光学構造は"対物前"走査システムと呼ばれる。このような対物前設計によると、走査レンズ360に向けられた走査ビームは2つの直交する方向に沿って走査される。このため、走査レンズ360は、2つの直交する方向に沿ってスクリーン101上に走査ビームの焦点を当てるように設計されている。互いに直交する方向の両方において適切に焦点を合わせるべく、走査レンズ360は複合レンズを持ち、多くの場合は複数のレンズ素子を備える。例えば、一実施形態によると、走査レンズ360は2次元のfθレンズであってもよい。該fθレンズは、走査レンズの光軸に対して垂直な2つの直交する軸のそれぞれについて入力ビームを走査する場合、スクリーン上の焦点の位置と入力走査角度(θ)との間の関係が線形となるように設計されている。このようなfθレンズによると、スクリーン上の焦点の位置は入力走査角度(θ)に比例する。
【0193】
対物前構造における、fθレンズのような2次元走査レンズ360は、2つの互いに直交する走査方向に沿って光学ひずみを生じさせる可能性がある。この結果、スクリーン上101のビーム位置が曲線軌跡を描いてしまう。このため、スクリーン上101ではまっすぐな水平走査ラインを描くつもりであったにもかかわらず、曲線になってしまう。2次元走査レンズ360が原因で生じるひずみはスクリーン101上で見えてしまうので、表示画質が下がってしまう。このような曲がりひずみ(bow distortion)の問題を改善する方法の1つに、曲がりひずみを抑制するべく複数のレンズ素子を有する複合レンズ構造で走査レンズ360を設計する方法がある。複合レンズ構造の複数のレンズ素子によると、最終レンズアセンブリは所望のfθ条件から離れることができるので、光学走査性能を落とすことができる。アセンブリが含むレンズ素子の数は通常、ひずみに対する許容度が下がると、増える。しかし、このように複合構造の複数のレンズ素子から成る走査レンズは、製造コストが高くなり得る。
【0194】
対物前走査ビームシステムにおいて2次元走査レンズによって生じる上記のひずみの問題を避けるべく、以下の部分では、対物後走査ビーム表示システムの例を説明する。対物後走査ビーム表示システムは、2次元走査レンズ360に代えて、より簡単な構成で低コストの1次源走査レンズを利用することによって実現され得る。米国特許出願第11/742,014号(発明の名称:「対物後走査ビームシステム」、出願日:2007年4月30日)(米国特許公開広報第______号)では、本願に記載されているリン光スクリーンでの利用に適した対物後走査ビームシステムの例が説明されている。当該出願は、参照により本願明細書の一部として組み込まれる。本願に記載されているリン光体組成は、対物後走査ビーム表示システムでも対物前走査ビーム表示システムでも利用され得る。
【0195】
図18は、図1のシステム設計に基づいた対物後走査ビーム表示システムの実施形態例を示す図である。複数のレーザを含むレーザアレイ1810を用いて、複数のレーザビーム1812を生成して、表示明度を改善するため同時にスクリーン101を走査する。信号変調コントローラ320は、レーザアレイ310のレーザを制御および変調するので、レーザビーム312はスクリーン101上に表示される画像を搬送するように変調される。ビーム走査は、ポリゴンスキャナ350のような水平スキャナとガルバノメータスキャナ340のような垂直スキャナとを備えるダブルスキャナ設計に基づいて行われる。ポリゴンスキャナ350の複数の異なる反射面はそれぞれ、N個の水平ラインを同時に走査する。ここで、Nはレーザの数である。リレー光学モジュール330は、レーザビーム312間の間隙を狭くしてコンパクトなレーザビーム332のセットを形成し、レーザビーム332はポリゴンスキャナ350の面寸法内で広がって水平走査を実行する。ポリゴンスキャナ350の下流には、1次元の水平走査レンズ1810が設けられており、続いて垂直スキャナ340(例えば、ガルボミラー)が設けられている。垂直スキャナ340は、1次元の水平走査レンズ1810を介してポリゴンスキャナ350から水平走査ビーム332をそれぞれ受け取り、各水平走査が終了すると、ポリゴンスキャナ350の次の面によって次の水平走査が実行される前に、各水平走査ビーム332について垂直走査を実行する。
【0196】
このような光学設計で水平走査および垂直走査を行うと、1次元走査レンズ1810は、スクリーン101上に各水平走査ビームの焦点を合わせるように、ポリゴンスキャナ140よりも下流に配置され、垂直スキャナ340よりも上流に配置されて、スクリーン101上に表示される画像の水平曲がりひずみを最低限に抑えて許容可能な範囲内に留める。このため、スクリーン101上に視覚的に「まっすぐな」水平走査ラインを得ることができる。このように、真っ直ぐな水平走査ラインを得ることができる1次元の走査レンズ1810は、比較的構造が単純で、性能が同様であれば2次元走査レンズよりもコストが低い。走査レンズ1810よりも下流に設けられている、垂直スキャナ340は平坦な反射体であって、単にビームをスクリーン101に反射して、垂直方向に走査して、各水平走査ビームのスクリーン101上の垂直方向の位置を変化させて、異なる水平ラインを走査する。垂直スキャナ340の反射体の水平方向の寸法は、ポリゴンスキャナ350および走査レンズ1810からの各走査ビームの空間範囲にカバーするのに十分な大きさである。図18に示すシステムは、1次元走査レンズ1810が垂直スキャナ340よりも上流であるので、対物後設計である。この具体的な例によると、垂直スキャナ340よりも下流にレンズまたはその他の集束素子はない。
【0197】
尚、図18の対物後システムでは、特定のビームの走査レンズからスクリーン101上の位置までの距離は、垂直スキャナ340の垂直走査位置に応じて変わる。このため、1次元走査レンズ1810が、細長い1次元走査レンズの中心を通る真っ直ぐな水平ラインに沿って焦点距離が固定されている場合、各ビームの焦点特性は、垂直スキャナ1810の垂直走査位置に応じて変化して、スクリーン101上では一貫してビームが集束するようにしなければならない。この点に関して、動的集束機構を導入して、垂直スキャナ340の垂直走査位置に基づいて、1次元走査レンズ1810に入るビームの集束(convergence)を調整するとしてもよい。
【0198】
例えば、レーザからの1以上のレーザビームのポリゴンスキャナ350までの光路において、静止レンズと動的再集束レンズとを、動的集束機構として利用するとしてもよい。各ビームは、静止レンズよりも上流に位置する動的集束レンズによって集束する。レンズの焦点がレンズの焦点と一致すれば、レンズからの出力光はコリメートされる。レンズの焦点間のずれの方向および量に応じて、コリメータレンズからポリゴンスキャナ350への出力光は発散状態または集束状態にある。このため、2つのレンズの相対的な位置を該レンズの光軸に沿って調整すると、スクリーン101上で走査される光の焦点を調整することができる。再集束レンズアクチュエータを用いて、制御信号に応じてレンズ間の相対位置を調整するとしてもよい。この具体例によると、再集束レンズアクチュエータは、垂直スキャナ340の垂直走査と同期して、ポリゴンスキャナ350から光路に沿って1次元走査レンズ1810に方向付けられるビームの集束を調整するべく用いられている。図18に示す垂直スキャナ340は、第1水平スキャナ350の走査レートよりも非常に遅いレートで走査を行うので、スクリーン101上での垂直走査によって生じる集束変化は、より遅い垂直走査レートに応じた時間で変化する。このため、図1に示すシステムにおいて集束調整機構を実施する場合に、より高い水平方向の走査レートではなくより遅い垂直方向の走査レートにおいて、応答速度の限界をより低くすることができる。
【0199】
本明細書においては具体的な説明を数多く記載したが、そのような記載は発明の範囲または請求の範囲を限定するものと解釈されるべきではなく、本発明の具体的な実施形態を特定する特徴を説明するものと解釈されたい。別々の実施形態に関連付けて本明細書内で説明した特徴は、組み合わせて1つの実施形態として実施するとしてもよい。逆に、1つの実施形態に関連付けて説明したさまざまな特徴は、複数の実施形態において別々に実施されるとしてもよいし、そのうち任意の一部の特徴を適切に組み合わせるとしてもよい。さらに、複数の特徴が特定の組み合わせで機能するように上記では記載され請求項でもそのように述べられているとしても、請求の対象となる特徴の組み合わせのうち1以上の特徴は、該組み合わせから切り離される場合もあり、請求の対象は一部の特徴の組み合わせまたは一部の特徴の組み合わせの変形となるとしてもよい。
【0200】
開示されているのはいくつかの実施形態に過ぎない。これらの実施形態を変更および改善するとしてもよいことを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一の波長の励起光を吸収して可視光を放出する蛍光層を備える表示デバイスであって、
前記蛍光層は、
複数の平行な蛍光ストライプを有し、少なくとも3つの隣接する蛍光ストライプは3つの異なる蛍光材料から構成されており、
前記3つの異なる蛍光材料は、
前記励起光を吸収して第1の色の光を放出する第1の蛍光材料と、前記励起光を吸収して第2の色の光を放出する第2の蛍光材料と、前記励起光を吸収して第3の色の光を放出する第3の蛍光材料とを含む
デバイス。
【請求項2】
前記複数の蛍光ストライプの前記3つの異なる蛍光材料のうちの1つは、酸化物ベースリン光体、ケイ酸塩ベースリン光体、リン酸塩ベースリン光体、ホウ酸塩ベースリン光体、アルミン酸塩ベースリン光体、没食子酸塩ベースリン光体、モリブデン酸塩ベースリン光体、タングステン酸塩ベースリン光体、フッ化物ベースリン光体、硫化物ベースリン光体、窒化物ベースおよび酸窒化物ベースリン光体、硫セレン化物ベースリン光体のうち少なくとも1つを含む
請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記複数の蛍光ストライプの前記3つの異なる蛍光材料のうちの1つは、非リン光体の有機材料を含む
請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記有機材料は、フルオレセイン、ローダミン123、ローダミン6G、ローダミンB、ローズベンガル、ブリリアント・スルフォフラビンFF、ベーシック・イエローHG、およびその他の有機染料のうち1以上を含む
請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記酸化物ベースのリン光体は、「(Y,Gd,La):(Eu,Sm,Ce,Bi)」、「(Y,Gd,La)OS:(Eu,Sm,Ce,Bi)」、「(Y,Gd,La)VO(Eu,Sm,Ce,Bi)」、「2SrO・0.84P・0.16B:Eu」、「SrLaBeO:Ce」、「0.82BaO・6Al:Eu」、「1.29BaO・6Al:Eu」、「(Ca,Zn)GeO:Mn」、および「(Tb(1−X−Y)(Y,La,Gd,Sm)(Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu)(Al,Ga,In)12」のうち少なくとも1つを含む
請求項2に記載のデバイス。
【請求項6】
前記ケイ酸塩ベースのリン光体は、「(Mg,Ba,Sr,Ca,Zn)SiO:(Eu,Ce,Mn,Ti,Pb,Sn,Li,Pr)」、「(Mg,Ba,Sr,Ca)SiO:Eu,Ce,Mn,Ti,Pb,Sn,Li,Pr」、「(Mg,Ba,Sr,Ca)SiO:Eu,Ce,Mn,Ti,Pb,Sn,Li,Pr」、「ZrSiO:Pr」、「CaScSi12:Ce」、「YSiO:Tb」、「YSi:Tb」、「CaMgSiO:Ce」、「CaMgSi:Ce」、「(Ca,Sr)AlSiO:Ce」、「SrAlSi:Eu」、「CaMgSi:Eu」、「SrAl10SiO20:Eu」、「SrMgSi:Eu」、「Sr1..3Mg0.7SiO:Eu」、「(Ba,Sr,Ca)MgSi:Eu」、「YSiO:Ce」、「SrSi・2SrCl:Eu」、「BaSi:Eu」、およびSrMgSi:Eu」のうち少なくとも1つを含む
請求項2に記載のデバイス。
【請求項7】
前記リン酸塩ベースのリン光体は、「Zn(PO:Mn」、「(Mg,Ba,Ca,Sr)(POCl:(Eu,Sm,Ce)」、および「(Sr,Ca,Eu)10(POCl・0.24B」のうち少なくとも1つを含む
請求項2に記載のデバイス。
【請求項8】
前記ホウ酸塩ベースのリン光体は、「(Y,Gd,La,Lu)BO:Eu,Sm,Ce,Bi」、「Y(Mg,Ba,Ca,Sr)(Al,Ga,In)15:Eu、および「YCaGa15:Eu」のうち少なくとも1つを含む
請求項2に記載のデバイス。
【請求項9】
前記アルミン酸塩ベースのリン光体は、「(Y,Gd)Al12:(Eu,Ce,Pr)」、「(Mg,Ba,Ca,Sr)MgAl1017:(Eu,Mn)」、(Ca,Mg,Ba,Zn)Al:(Mn,Eu,Dy)」、「(Ba,Mg,Ca,Sr)MgAl1423:Mn,Eu」、「(Mg,Ba,Ca,Sr)Al1219:Mn」、および「BaMgAl1627:Eu,Mn」のうち少なくとも1つを含む
請求項2に記載のデバイス。
【請求項10】
前記没食子酸塩ベースのリン光体は、「(Y,Gd)Ga12:(Eu,Ce,Pr)」、「(Ca,Mg,Ba,Zn)Ga:(Mn,Eu,Dy)」、「ZnGa:Mn」、および「(Li0.5Ga0.50.5Zn0.5Ga」のうち少なくとも1つを含む
請求項2に記載のデバイス。
【請求項11】
前記モリブデン酸塩ベースのリン光体は、「(Li,K,Na,Ag)Eu(1−X)(Y,La,Gd)Mo」、および「(Li,K,Na,Ag)Eu(1−X)(Y,La,Gd)Mo:Sm」のうち少なくとも1つを含む
請求項2に記載のデバイス。
【請求項12】
前記タングステン酸塩ベースのリン光体は、「(Li,K,Na,Ag)Eu(1−X)(Y,La,Gd)」、「(Li,K,Na,Ag)Eu(1−X)(Y,La,Gd):Sm)」、および「CaWO:Tb,Pb」のうち少なくとも1つを含む
請求項2に記載のデバイス。
【請求項13】
前記フッ化物ベースのリン光体は、「(KF,MgF):Mn,MgF:Mn,(Zn,Mg)F:Mn」、「3.5MgO・0.5MgF・GeO:Mn」、および「Mg(F)(Ge,Sn)O:Mn」のうち少なくとも1つを含む
請求項2に記載のデバイス。
【請求項14】
前記硫化物ベースのリン光体は、「(Be,Mg,Ca,Sr,Ba,Zn)S:(Eu,Ce,Cu,Ag,Al,Au,Tb,Cl,Pr,Mn,Bi)」、「(Be,Mg,Ca,Sr,Ba,Zn)(Al,Ga,In,Y,La,Gd):(Eu,Ce,Cu,Ag,Al,Tb,Cl,Pr,Mn)」、「(Mg,Ca,Sr,Ba)(Zn,Si,Ge,Sn)S:Eu」、および「(Mg,Ca,Sr,Ba)(Al,Ga,In,Y,La,Ga):Eu」のうち少なくとも1つを含む
請求項2に記載のデバイス。
【請求項15】
前記窒化物ベースおよび前記酸窒化物ベースのリン光体は、「CaSi:Eu」、「SrSi:Eu」、「CaAlSiN:Eu」、「SiAlON」、「Si-M-CaO-AlN-Al」、「LaSi:Ce」、および「(Li,Ca,Mg,Y)Si12AlON16:(Ce,P,Eu,Tb,Yb,Er,Dy)」のうち少なくとも1つを含む
請求項2に記載のデバイス。
【請求項16】
前記硫セレン化物ベースのリン光体は、「(Be,Mg,Ca,Sr,Ba,Zn)Se1−X:(Eu,Ce,Cu,Ag,Al,Tb,Cl,Pr,Mn)」、および「(Be,Mg,Ca,Sr,Ba,Zn)(Al,Ga,In,Y,La,Gd)(Se1−X:(Eu,Ce,Cu,Ag,Al,Tb,Cl,Pr,Mn)」のうち少なくとも1つを含む
請求項2に記載のデバイス。
【請求項17】
前記3つの異なる蛍光材料のうち1つは、(Mg,Ca,Sr,Ba)S:(Eu,Mn),(Mg,Ca,Sr,Ba)Se1−X:(Eu,Mn),(Zn,Cd)S:Ag,Cl,(Zn,Cd)S:Cu,Al,(KF,MgF):Mn,MgF:Mn,(Zn,Mg)F:Mn,3.5MgO・0.5MgF・GeO:Mn,(K,Li,Na)EuW,(Y,Gd,La):(Eu,Sm,Bi),(Y,Gd,La)OS:Eu,Sm,Bi,(Y,Gd,La)BO(Eu,Sm,Bi),(Y,Gd,La)VO4:(Eu,Sm,Bi),およびCaAlSiN:Euのうち少なくとも1つを含む
請求項1に記載のデバイス。
【請求項18】
前記3つの異なる蛍光材料のうち1つは、(Mg,Ca,Sr,Ba)(Al,Ga,In,Y,La,Gd):(Eu,Mn),(Mg,Ca,Sr,Ba)(Al,Ga,In,Y,La,Gd)(Se1−X:(Eu,Mn),および(Ba,Sr,Ca)SiO:(Eu,Mn)のうち少なくとも1つを含む
請求項1に記載のデバイス。
【請求項19】
前記3つの異なる蛍光材料のうち1つは、(Ba,Mg,Sr)Al1017:(Eu,Mn)および(Sr,Ca,Ba,Mg)10(POl2:Euのうち少なくとも1つを含む
請求項1に記載のデバイス。
【請求項20】
前記励起光の波長は紫外波長である
請求項1に記載のデバイス。
【請求項21】
前記励起光の波長は紫色波長である
請求項1に記載のデバイス。
【請求項22】
前記励起光の波長は約450ナノメートル未満である
請求項1に記載のデバイス。
【請求項23】
前記蛍光層はさらに、
前記第2の色および前記第3の色の光を吸収して前記第1の色の光を透過させる、前記第1の蛍光材料に混合されている第1の光学吸収材料と、
前記第1の色および前記第3の色の光を吸収して前記第2の色の光を透過させる、前記第2の蛍光材料に混合されている第2の光学吸収材料と、
前記第1の色および前記第2の色の光を吸収して前記第3の色の光を透過させる、前記第3の蛍光材料に混合されている第3の光学吸収材料と
を有する
請求項1に記載のデバイス。
【請求項24】
前記第1の光学吸収材料、前記第2の光学吸収材料、および前記第3の光学吸収材料は、前記励起光をほぼ全て透過させる
請求項23に記載のデバイス。
【請求項25】
前記励起光の波長は、約450ナノメートル未満である
請求項24に記載のデバイス。
【請求項26】
単一の波長の励起光を吸収して白色光を放出する蛍光層と、
前記蛍光層と相対的に配置され、前記白色光を受光して複数の異なる色の光をそれぞれが透過させる複数の光学フィルタと
を備える表示デバイス。
【請求項27】
前記蛍光層は、非リン光体の有機材料を含む
請求項26に記載のデバイス。
【請求項28】
前記有機材料は、フルオレセイン、ローダミン123、ローダミン6G、ローダミンB、ローズベンガル、ブリリアント・スルフォフラビンFF、ベーシック・イエローHG、およびその他の有機染料のうち1以上を含む
請求項27に記載のデバイス。
【請求項29】
前記蛍光層は、前記励起光を吸収して可視色の光を放出するリン光体を少なくとも1つ含み、
前記少なくとも1つのリン光体は、酸化物ベースリン光体、ケイ酸塩ベースリン光体、リン酸塩ベースリン光体、ホウ酸塩ベースリン光体、アルミン酸塩ベースリン光体、没食子酸塩ベースリン光体、モリブデン酸塩ベースリン光体、タングステン酸塩ベースリン光体、フッ化物ベースリン光体、硫化物ベースリン光体、窒化物ベースおよび酸窒化物ベースリン光体、硫セレン化物ベースリン光体のうち少なくとも1つを含む
請求項26に記載のデバイス。
【請求項30】
前記酸化物ベースのリン光体は、「(Y,Gd,La):(Eu,Sm,Ce,Bi)」、「(Y,Gd,La)OS:(Eu,Sm,Ce,Bi)」、「(Y,Gd,La)VO(Eu,Sm,Ce,Bi)」、「2SrO・0.84P・0.16B:Eu」、「SrLaBeO:Ce」、「0.82BaO・6Al:Eu」、「1.29BaO・6Al:Eu」、「(Ca,Zn)GeO:Mn」、および「(Tb(1−X−Y)(Y,La,Gd,Sm)(Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu)(Al,Ga,In)12」のうち少なくとも1つを含む
請求項29に記載のデバイス。
【請求項31】
前記ケイ酸塩ベースのリン光体は、「(Mg,Ba,Sr,Ca,Zn)SiO:(Eu,Ce,Mn,Ti,Pb,Sn,Li,Pr)」、「(Mg,Ba,Sr,Ca)SiO:Eu,Ce,Mn,Ti,Pb,Sn,Li,Pr」、「(Mg,Ba,Sr,Ca)SiO:Eu,Ce,Mn,Ti,Pb,Sn,Li,Pr」、「ZrSiO:Pr」、「CaScSi12:Ce」、「YSiO:Tb」、「YSi:Tb」、「CaMgSiO:Ce」、「CaMgSi:Ce」、「(Ca,Sr)AlSiO:Ce」、「SrAlSi:Eu」、「CaMgSi:Eu」、「SrAl10SiO20:Eu」、「SrMgSi:Eu」、「Sr1..3Mg0.7SiO:Eu」、「(Ba,Sr,Ca)MgSi:Eu」、「YSiO:Ce」、「SrSi・2SrCl:Eu」、「BaSi:Eu」、および「SrMgSi:Eu」のうち少なくとも1つを含む
請求項29に記載のデバイス。
【請求項32】
前記リン酸塩ベースのリン光体は、「Zn(PO:Mn」、「(Mg,Ba,Ca,Sr)(POCl:(Eu,Sm,Ce)」、および「(Sr,Ca,Eu)10(POCl・0.24B」のうち少なくとも1つを含む
請求項29に記載のデバイス。
【請求項33】
前記ホウ酸塩ベースのリン光体は、「(Y,Gd,La,Lu)BO:Eu,Sm,Ce,Bi」、「Y(Mg,Ba,Ca,Sr)(Al,Ga,In)15:Eu、および「YCaGa15:Eu」のうち少なくとも1つを含む
請求項29に記載のデバイス。
【請求項34】
前記アルミン酸塩ベースのリン光体は、「(Y,Gd)Al12:(Eu,Ce,Pr)」、「(Mg,Ba,Ca,Sr)MgAl1017:(Eu,Mn)」、(Ca,Mg,Ba,Zn)Al:(Mn,Eu,Dy)」、「(Ba,Mg,Ca,Sr)MgAl1423:Mn,Eu」、「(Mg,Ba,Ca,Sr)Al1219:Mn」、および「BaMgAl1627:Eu,Mn」のうち少なくとも1つを含む
請求項29に記載のデバイス。
【請求項35】
前記没食子酸塩ベースのリン光体は、「(Y,Gd)Ga12:(Eu,Ce,Pr)」、「(Ca,Mg,Ba,Zn)Ga:(Mn,Eu,Dy)」、「ZnGa:Mn」、および「(Li0.5Ga0.50.5Zn0.5Ga」のうち少なくとも1つを含む
請求項29に記載のデバイス。
【請求項36】
前記モリブデン酸塩ベースのリン光体は、「(Li,K,Na,Ag)Eu(1−X)(Y,La,Gd)Mo」、および「(Li,K,Na,Ag)Eu(1−X)(Y,La,Gd)Mo:Sm」のうち少なくとも1つを含む
請求項29に記載のデバイス。
【請求項37】
前記タングステン酸塩ベースのリン光体は、(Li,K,Na,Ag)Eu(1−X)(Y,La,Gd)」、「(Li,K,Na,Ag)Eu(1−X)(Y,La,Gd):Sm)」、および「CaWO:Tb,Pb」のうち少なくとも1つを含む
請求項29に記載のデバイス。
【請求項38】
前記フッ化物ベースのリン光体は、「(KF,MgF):Mn,MgF:Mn,(Zn,Mg)F:Mn」、「3.5MgO・0.5MgF・GeO:Mn」、および「Mg(F)(Ge,Sn)O:Mn」のうち少なくとも1つを含む
請求項29に記載のデバイス。
【請求項39】
前記硫化物ベースのリン光体は、「(Be,Mg,Ca,Sr,Ba,Zn)S:(Eu,Ce,Cu,Ag,Al,Au,Tb,Cl,Pr,Mn,Bi)」、「(Be,Mg,Ca,Sr,Ba,Zn)(Al,Ga,In,Y,La,Gd):(Eu,Ce,Cu,Ag,Al,Tb,Cl,Pr,Mn)」、「(Mg,Ca,Sr,Ba)(Zn,Si,Ge,Sn)S:Eu」、および「(Mg,Ca,Sr,Ba)(Al,Ga,In,Y,La,Ga):Eu」のうち少なくとも1つを含む
請求項29に記載のデバイス。
【請求項40】
前記窒化物ベースおよび前記酸窒化物ベースのリン光体は、「CaSi:Eu」、「SrSi:Eu」、「CaAlSiN:Eu」、「SiAlON」、「Si-M-CaO-AlN-Al」、「LaSi:Ce」、および「(Li,Ca,Mg,Y)Si12AlON16:(Ce,P,Eu,Tb,Yb,Er,Dy)」のうち少なくとも1つを含む
請求項29に記載のデバイス。
【請求項41】
前記硫セレン化物ベースのリン光体は、「(Be,Mg,Ca,Sr,Ba,Zn)Se1−X:(Eu,Ce,Cu,Ag,Al,Tb,Cl,Pr,Mn)」、および「(Be,Mg,Ca,Sr,Ba,Zn)(Al,Ga,In,Y,La,Gd)(Se1−X:(Eu,Ce,Cu,Ag,Al,Tb,Cl,Pr,Mn)」のうち少なくとも1つを含む
請求項29に記載のデバイス。
【請求項42】
前記蛍光層は、
赤色リン光体材料および赤色有機材料のうち少なくとも1つと、
緑色リン光体材料および緑色有機材料のうち少なくとも1つと、
青色リン光体材料および青色有機材料のうち少なくとも1つと
から本質的に成り、
前記赤色リン光体材料は、前記励起光を吸収して赤色光を放出し、(Mg,Ca,Sr,Ba)S:(Eu,Mn),(Mg,Ca,Sr,Ba)Se1−X:(Eu,Mn),(Zn,Cd)S:Ag,Cl,(Zn,Cd)S:Cu,Al,(KF,MgF):Mn,MgF:Mn,(Zn,Mg)F:Mn,3.5MgO・0.5MgF・GeO:Mn,(K,Li,Na)EuW,(Y,Gd,La):(Eu,Sm,Bi),(Y,Gd,La)OS:Eu,Sm,Bi,(Y,Gd,La)BO(Eu,Sm,Bi),(Y,Gd,La)VO4:(Eu,Sm,Bi),およびCaAlSiN:Euのうち少なくとも1つを含み、前記赤色有機材料は、前記励起光を吸収して赤色光を放出し、
前記緑色リン光体材料は、前記励起光を吸収して緑色光を放出し、(Mg,Ca,Sr,Ba)(Al,Ga,In,Y,La,Gd):(Eu,Mn),(Mg,Ca,Sr,Ba)(Al,Ga,In,Y,La,Gd)(Se1−X:(Eu,Mn),および(Ba,Sr,Ca)SiO:(Eu,Mn)のうち少なくとも1つを含み、前記緑色有機材料は、前記励起光を吸収して緑色光を放出し、
前記青色リン光体材料は、前記励起光を吸収して青色光を放出し、(Ba,Mg,Sr)Al1017:(Eu,Mn)および(Sr,Ca,Ba,Mg)10(POl2:Euのうち少なくとも1つを含み、前記青色有機材料は、前記励起光を吸収して青色光を放出する
請求項26に記載のデバイス。
【請求項43】
前記励起光の波長は紫外波長である
請求項26に記載のデバイス。
【請求項44】
前記励起光の波長は紫色波長である
請求項26に記載のデバイス。
【請求項45】
前記励起光の波長は約450ナノメートル未満である
請求項26に記載のデバイス。
【請求項46】
前記蛍光層は、「8SrCO・4CaCO・11Al・0.18Eu」、「3Ca(PO・Ca(F,Cl):Sb」、「3Ca(PO・Ca(F,Cl):Sb,Mn」、3Ca(PO・Ca(F,Cl):Sb」、「BaO・TiOO5」、および「MgWO4」のうち少なくとも1つから本質的に成る
請求項26に記載のデバイス。
【請求項47】
前記蛍光層は、ZnS:Agと、「(Zn,Cd)S:Cu,Al」、「ZnS:Cu,Al」、「ZnSiO:Mn」、および「(Zn,Mg)(PO:Mn」のうち少なくとも1つとから本質的に成る
請求項26に記載のデバイス。
【請求項48】
リン光体材料の発光スペクトルを調整する方法であって、
バインダ材料および1以上の有機化合物を準備する段階と、
前記バインダ材料および前記1以上の有機化合物に基づいて、励起光をほぼ全て透過させて前記リン光体材料の発光スペクトルの一部をほぼ全て吸収するバインダ混合物を生成する段階と、
前記バインダ混合物と前記リン光体材料とを組み合わせる段階と
を備える方法。
【請求項49】
前記1以上の有機化合物は、フルオレセイン、ローダミン123、ローダミン6G、ローダミンB、ローズベンガル、ブリリアント・スルフォフラビンFF、ベーシック・イエローHG、およびその他の有機染料のうち1以上を含む
請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記バインダ材料はエポキシまたはシリコン樹脂を含む
請求項48に記載の方法。
【請求項51】
前記励起光の波長は約450ナノメートル未満である
請求項48に記載の方法。
【請求項52】
リン光体材料の発光スペクトルを調整する方法であって、
バインダ材料および1以上の有機化合物を準備する段階と、
前記1以上の有機化合物と溶液とを組み合わせて第1の混合物を生成する段階と、
前記リン光体材料と前記第1の混合物とを組み合わせて第2の混合物を生成する段階と、
前記第2の混合物および前記バインダ材料に基づいて、励起光をほぼ全て透過させて前記リン光体材料の発光スペクトルの一部をほぼ全て吸収するバインダ混合物を生成する段階と
を備える方法。
【請求項53】
前記溶液は、水をベースとする溶液または溶媒をベースとする溶液を含む
請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記溶媒をベースとする溶液は、アセトンまたはイソプロパノールアルコールを含む
請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記1以上の有機化合物は、フルオレセイン、ローダミン123、ローダミン6G、ローダミンB、ローズベンガル、ブリリアント・スルフォフラビンFF、ベーシック・イエローHG、およびその他の有機染料のうち1以上を含む
請求項52に記載の方法。
【請求項56】
前記バインダ材料はエポキシまたはシリコン樹脂を含む
請求項52に記載の方法。
【請求項57】
前記励起光の波長は約450ナノメートル未満である
請求項52に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17A】
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【図17B】
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【図18】
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【公表番号】特表2009−536374(P2009−536374A)
【公表日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−510110(P2009−510110)
【出願日】平成19年5月4日(2007.5.4)
【国際出願番号】PCT/US2007/068286
【国際公開番号】WO2007/131195
【国際公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(508126365)スプドニック インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】