表示システム
【課題】表示内容の点滅表示または明暗表示のタイミングが同期する複数の表示装置を有する表示システムを提供する。
【解決手段】表示システム１は、所定情報を表示する表示部５と、表示データを記憶している記憶部６と、所定情報の表示制御信号を受信する受信部７と、記憶部６から表示制御信号に応じた表示データを読み出し、当該表示データに応じた駆動信号を発光ダイオードが点滅または明暗点灯するように出力するとともに、当該出力のタイミング信号を生成する制御部８と、外部からタイミング信号を取得するように通信を行う通信部１０とを具備するＬＥＤ表示装置２が複数配設されており、複数のＬＥＤ表示装置２，２間には伝送線３が接続されていて、通信部１０，１０同士が通信可能となっており、制御部８は、通信部１０が取得したタイミング信号に同期するように駆動信号を出力する。
【解決手段】表示システム１は、所定情報を表示する表示部５と、表示データを記憶している記憶部６と、所定情報の表示制御信号を受信する受信部７と、記憶部６から表示制御信号に応じた表示データを読み出し、当該表示データに応じた駆動信号を発光ダイオードが点滅または明暗点灯するように出力するとともに、当該出力のタイミング信号を生成する制御部８と、外部からタイミング信号を取得するように通信を行う通信部１０とを具備するＬＥＤ表示装置２が複数配設されており、複数のＬＥＤ表示装置２，２間には伝送線３が接続されていて、通信部１０，１０同士が通信可能となっており、制御部８は、通信部１０が取得したタイミング信号に同期するように駆動信号を出力する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、発光ダイオード（ＬＥＤ）等の発光素子により表示部を構成する表示装置を複数有する表示システムに関する。
【背景技術】
【０００２】
複数の発光素子を面状配列した表示部を有する表示装置は、例えば駅などでの案内表示器、道路用の信号灯器や空港用の誘導案内灯など、多岐に亘って使用されており、その設置された複数個が同一の表示内容を同一のタイミングで表示することが行われている。例えば、駅などで旅客に対して列車ダイヤを日本語と英語で交互に表示するＬＥＤ表示装置が提案されている（特許文献１参照。）。
【０００３】
このＬＥＤ表示装置は、表示内容が複数画面分あり、かつ、複数のＬＥＤ表示器に対して同じ情報を表示するＬＥＤ表示装置において、各ＬＥＤ表示器に対し表示内容を与え、また表示内容の切り替え指示をＬＥＤ表示器の一つに与える表示制御装置と、この表示制御装置からの表示内容を各ＬＥＤ表示器に対して伝送するための伝送線と、ＬＥＤ表示器の一つに対して表示制御装置から表示内容の切り替え指示が伝送されたとき、ＬＥＤ表示器の残りに対して表示内容の切り替えを指示するための同期信号線とを備え、複数のＬＥＤ表示器の表示内容を常に同じ画面とするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】特開平４−２９６８９６号公報（第３頁、第３図）
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
特許文献１のＬＥＤ表示装置は、各ＬＥＤ表示器が同期して日本語と英語を交互に表示するものであり、表示内容を例えば点滅表示させることについては言及されていない。表示装置は、表示内容を点滅または明暗させて表示させると、人に対して注目や注意等を喚起させることができる。ここで、例えば道路や滑走路等の両側に設置された信号灯器のように、各信号灯器のそれぞれのタイミングで表示内容を点滅表示または明暗表示すると、人に対して、表示内容の視認の混乱や不快感などを生じさせることがある。
【０００６】
また、上記ＬＥＤ表示装置は、表示制御装置から表示内容の切り替え指示が伝送された一つのＬＥＤ表示器が親機として機能するものであり、この親機に故障などの不具合が発生すると、残りのＬＥＤ表示器に対する表示内容の切り替え指示ができないという欠点を有する。また、同期信号線の断線や接続不良が発生すると、同様に、残りのＬＥＤ表示器に対する表示内容の切り替え指示ができないという欠点を有する。
【０００７】
本発明は、表示内容の点滅表示または明暗表示のタイミングが同期する複数の表示装置を有する表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
請求項１に記載の表示システムの発明は、面状配列された複数の発光素子を点灯させることによって所定情報を表示する表示部と；この表示部に表示される所定情報の表示データを記憶している記憶部と；外部の表示制御装置から送信された表示制御信号を受信する受信部と；この受信部が前記表示制御信号を受信したときに、前記記憶部から前記表示制御信号に応じた表示データを読み出し、当該表示データに応じて前記表示部の発光素子を点灯させる駆動信号を前記発光素子が点滅または明暗点灯するように出力するとともに、当該出力のタイミング信号を生成する制御部と；外部から前記タイミング信号を取得するように通信を行う通信部と；を具備する表示装置が複数配設されており、この複数の表示装置間には伝送線が接続されていて、前記通信部同士が通信可能となっており、前記制御部は、前記通信部が取得した前記タイミング信号に同期するように前記駆動信号を出力することを特徴とする。
【０００９】
本発明において、特に言及しない限り、各構成は以下による。
【００１０】
表示部は、例えばフルカラーで文字等を可変表示するＶＭＳ（バリアブル・メッセージ・サイン）として構成されてもよい。
【００１１】
表示データは、例えば車両や人を停止させるときの「ＳＴＯＰ」、進行させるときの「ＳＴＡＲＴ」またはこれらの指示内容を図案化した標識、記号などである。
【００１２】
駆動信号は、表示データに応じて制御部で演算生成してもよく、表示データとテーブルにして例えば記憶部に記憶させていてもよい。
【００１３】
発光素子の点滅は、表示部での所定情報の表示、消去を意味する。また、発光素子の明暗点灯は、表示部で所定情報が明るく表示され、暗く表示されることを意味する。
【００１４】
制御部は、通信部が取得したタイミング信号に応じて、都度タイミング信号に同期して駆動信号を出力するようにしてもよく、所定時間例えば１分毎にタイミング信号に同期する駆動信号を出力するようにしてもよい。
【００１５】
通信部は、タイミング信号を送受信するように通信してもよく、他方の通信部のメモリに記憶されているタイミング信号の状態を監視するように通信を行うものであってもよい。
【００１６】
外部の表示制御装置は、通信部同士が伝送線により接続されている各表示装置の受信部に、同一の表示制御信号を送信するものである。すなわち、当該表示装置の表示部には、同一の所定情報が表示されるようにするものである。
【００１７】
本発明によれば、制御部は、通信部を介して、伝送線により互いに接続された他の表示装置からタイミング信号を取得し、そのタイミング信号と同期するようにして、表示データに応じた駆動信号を発光素子が点滅または明暗点灯するように出力するので、伝送線により互いに接続された各表示装置の表示部には、同一の所定情報が同一のタイミングで点滅表示または明暗表示される。
【発明の効果】
【００１８】
請求項１の発明によれば、伝送線により接続された表示装置は、発光素子を点滅または明暗点灯させる駆動信号の出力のタイミング信号を取得し、タイミング信号に同期するように駆動信号を出力することにより、表示部において所定情報の点滅表示または明暗表示のタイミングが同期するので、各表示装置の表示部に整然とした所定情報の表示を行うことができて、人に表示内容を注目や注意して認識させやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【００１９】
【図１】本発明の実施例１を示す表示システムの概略ブロック図。
【図２】同じく、ＬＥＤ表示装置の正面図。
【図３】同じく、ＬＥＤ表示装置の開放状態の背面図。
【発明を実施するための形態】
【００２０】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照して説明する。
【００２１】
本発明において、複数の表示装置は、その通信部が伝送線により接続され、発光素子を点滅または明暗点灯させる駆動信号の出力のタイミング信号を他の表示装置から取得可能となっている。制御部は、通信部が取得したタイミング信号に同期するように表示データに応じた駆動信号を発光素子が点滅または明暗点灯するように出力する。これにより、伝送線により接続された各表示装置は、その表示部に同期した所定情報が点滅表示または明暗表示されるようになる。
【実施例１】
【００２２】
図１ないし図３は、本発明の実施例１を示し、図１は表示システムの概略ブロック図、図２はＬＥＤ表示装置の概略正面図、図３はＬＥＤ表示装置の開放状態の概略背面図である。
【００２３】
図１において、表示システム１は、複数の表示装置としてのＬＥＤ表示装置２を有している。各ＬＥＤ表示装置２は、互いに伝送線３により接続されて、外部の表示制御装置４から所定情報の表示制御信号が入力される。ＬＥＤ表示装置２は、例えば空港の航空機を滑走路に誘導する誘導路の両側に配設される誘導案内灯（信号灯器）である。
【００２４】
ＬＥＤ表示装置２は、表示部５、記憶部６、受信部７、制御部８、駆動部９および通信部１０を有して構成され、これらを本体ケース１１に収容している。本体ケース１１は、例えばステンレス（ＳＵＳ）により、正面形状が横方向に長い長方形で奥行きが浅い扁平角筒状に形成されている。ケース本体１１は、図３に示すように、その背面側に制御部ラック１２や電源部ラック１３などが設けられ、これらに各構成要素を収容している。
【００２５】
表示部５は、図２に示すように、ケース本体１１の前面側に設けられ、例えば３個のＬＥＤユニット１２および１個のＬＥＤユニット１３を図中横方向に配設し、複数個のＬＥＤモジュール１４を５行１１列のマトリクスに配列することにより構成されている。ＬＥＤユニット１２は、ＬＥＤモジュール１４を５行３列のマトリクスに配列し、ＬＥＤユニット１３は、ＬＥＤモジュール１４を５行２列のマトリクスに配列している。
【００２６】
ＬＥＤモジュール１４は、例えば矩形であって銅箔パターン等により回路を形成したプリント基板上に、複数個の発光素子としての発光ダイオード（ＬＥＤ）１５を所要大のマトリクス状に配列し実装することにより形成されている。発光ダイオード１５は、例えば、赤、緑、青の３色の各ＬＥＤチップを例えば約２ｍｍ角の平面実装型パッケージに一体的に内蔵している。こうして、表示部５は、複数個の発光ダイオード１５を面状配列している。そして、発光ダイオード１５が点灯されることによって所定情報を表示する。
【００２７】
図１において、記憶部６は、不揮発性メモリであり、表示部５に表示される所定情報の表示データを記憶している。表示データは、外部の表示制御装置４から送信される所定情報の表示制御信号に対応している。例えば、停止命令の表示制御信号に対する「ＳＴＯＰ」、移動許可の表示制御信号に対する「ＳＴＡＲＴ」、右方向への移動指示の表示制御信号に対する「ＲＩＧＨＴ」などである。また、記憶部６は、表示データと駆動信号のテーブルなどを記憶している。
【００２８】
受信部７は、外部の表示制御装置４から送信された所定情報の表示制御信号を受信し、この表示制御信号を制御部８に送信するように形成されている。表示制御信号は、表示部５に所定情報を表示させるために送信される。
【００２９】
制御部８は、ＣＰＵ等を有して形成されている。そして、受信部７から送信された前記表示制御信号を入力すると、記憶部６から当該表示制御信号に応じた所定情報の表示データを読み出すとともに、当該表示データに応じた駆動信号を記憶部６に記憶させているテーブルから読み出し、当該駆動信号を発光ダイオード１５が点滅するように所定間隔例えば１秒間隔で出力するように形成されている。例えば、表示制御信号が停止命令であると、記憶部６から当該停止命令に対応する「ＳＴＯＰ」の表示データを読み出す。そして、記憶部６に記憶しているテーブルから「ＳＴＯＰ」の表示データに対する駆動信号を読み出し、「ＳＴＯＰ」の駆動信号を所定間隔で出力する。以降、表示制御装置４から別の所定情報の表示制御信号または停止の表示制御信号が送信されるまで上記を繰り返す。
【００３０】
なお、制御部８は、発光ダイオード１５を明暗点灯させる駆動信号を出力してもよい。すなわち、発光ダイオード１５を明点灯させる駆動信号および発光ダイオード１５を暗点灯させる駆動信号を所定間隔例えば１秒間隔で出力するようにしてもよい。ここで、発光ダイオード１５の明点灯とは、発光ダイオード１５が例えば全光点灯や定格点灯されることであり、暗点灯とは、発光ダイオード１５が深く調光点灯されることである。
【００３１】
そして、制御部８は、駆動信号を出力したときに、当該出力タイミングのタイミング信号を生成するように形成されているとともに、後述の制御を行うように形成されている。当該タイミング信号は、通信部１０のメモリに記憶される。また、制御部８は、発光ダイオード１５を明暗点灯させるときには、明点灯の駆動信号および暗点灯の駆動信号を出力したときの出力タイミング信号を生成して、通信部１０から送信させる。
【００３２】
駆動部９は、制御部８から出力された駆動信号に応じて発光ダイオード１５を点灯（駆動）する。駆動部８は、図２に示すように、監視部１６とともに表示ユニット１２，１３の背面側に配設されている。駆動部８は、行方向に配列されたＬＥＤモジュール１４にそれぞれ表示信号を送信して、発光ダイオード１５を点灯する。監視部１６は、画像信号がＬＥＤモジュール１４に送信されたか否かを確認する。
【００３３】
図１において、対をなすＬＥＤ表示装置２，２は、その通信部１０，１０同士が伝送線３により接続されている。通信部１０は、外部である他のＬＥＤ表示装置２の制御部８で生成されたタイミング信号を伝送線３により通信して取得するように形成されている。そして、制御部８は、通信部１０が取得したタイミング信号に同期するように前記駆動信号を出力するように形成されている。
【００３４】
次に、本発明の実施例１の作用について述べる。
【００３５】
例えば空港において、誘導路を移動している航空機が滑走路に進入しないように、表示制御装置４から表示装置２，２に滑走路の手前で移動停止させる所定情報の表示制御信号を送信する。当該制御信号は、受信部７で受信され、制御部８に送信される。
【００３６】
一方のＬＥＤ表示装置２において、制御部８は、記憶部６から前記表示制御信号に応じた所定情報の表示データ、例えば「ＳＴＯＰ」の表示データを読み出して、記憶部６に記憶しているテーブルから「ＳＴＯＰ」の表示データに対する駆動信号を読み出す。そして、制御部８は、「ＳＴＯＰ」の駆動信号を所定間隔例えば１秒間隔で駆動部９に出力するとともに、当該駆動信号が出力されたタイミングのタイミング信号を生成して通信部１０のメモリに記憶させる。
【００３７】
駆動部９は、「ＳＴＯＰ」の駆動信号に応じてＬＥＤモジュール１４に表示信号を送信し、発光ダイオード１５を点消灯させる。これにより、面状配列している発光ダイオード１５が点消灯して、表示部５に「ＳＴＯＰ」の所定情報が点滅表示される。
【００３８】
通信部１０のメモリに記憶されたタイミング信号は、他方のＬＥＤ表示装置２の通信部１０の通信により、他方のＬＥＤ表示装置２の制御部８で取得される。当該制御部８は、当該タイミング信号に同期するようにして、「ＳＴＯＰ」の駆動信号を所定間隔例えば１秒間隔で駆動部９に出力する。表示部５には、「ＳＴＯＰ」の所定情報が点滅表示される。以下、表示制御装置４から移動許可の表示制御信号が送信されるまで、上述を繰り返す。これにより、ＬＥＤ表示装置２，２の表示部５，５に、「ＳＴＯＰ」の所定情報がほぼ同時に点滅表示される。
【００３９】
なお、制御部８は、記憶部６から読み出した「ＳＴＯＰ」の表示データに対して、発光ダイオード１５を明暗点灯させるそれぞれの駆動信号を所定間隔例えば１秒間隔で出力してもよい。これにより、発光ダイオード１５は、所定間隔で明点灯および暗点灯を繰り返し、表示部５に所定情報の「ＳＴＯＰ」が所定間隔で交互に明暗表示される。そして、一方および他方のＬＥＤ表示装置２，２の表示部５，５における「ＳＴＯＰ」の所定情報が同期して明暗表示される。
【００４０】
上述したように、表示システム１は、ＬＥＤ表示装置２，２の表示部５，５で所定情報を点滅表示または明暗表示させるタイミングを同期させることにより、表示部５，５に整然とした所定情報の表示を行うことができる。これにより、航空機のパイロットに、表示部５，５に表示された所定情報の表示内容を容易に認識させることができて、安全性を向上させることができる。すなわち、パイロットは、誘導路の両側に設置されているＬＥＤ表示装置２，２の表示部５，５の所定情報の点滅表示または明暗表示がばらついているよりも同期して表示される方が表示内容を視認しやすく、認識しやすいものである。
【００４１】
そして、ＬＥＤ表示装置２，２は、それぞれ表示制御装置４から所定情報の表示制御信号を受信し、独立して所定情報の表示をしているので、ＬＥＤ表示装置２，２のいずれかに故障や不具合が発生し、通信部１０，１０同士でのタイミング信号の取得ができなくなっても、残余のＬＥＤ表示装置２の表示部５に前記表示制御信号に応じた所定情報が点滅表示または明暗表示される。したがって、パイロットは、当該所定情報の表示で例えば滑走路への侵入の停止や許可を認識することができ、誤って滑走路に進入してしまうという危険性を防止することができる。
【００４２】
なお、一方および他方のＬＥＤ表示装置２，２の通信部１０，１０は、伝送線３により互いに送受信してタイミング信号を取得するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【００４３】
本発明の表示システムは、道路、空港および広場などで表示装置に文字や画像などの所定情報を表示することにより、信号装置、案内装置、看板・広告装置や映像装置として利用可能である。
【符号の説明】
【００４４】
１…表示システム、 ２…表示装置としてのＬＥＤ表示装置、 ３…伝送線、 ４…表示制御装置、 ５…表示部、 ６…記憶部、 ７…受信部、 ８…制御部、 １０…通信部、 １５…発光素子としての発光ダイオード
【技術分野】
【０００１】
本発明は、発光ダイオード（ＬＥＤ）等の発光素子により表示部を構成する表示装置を複数有する表示システムに関する。
【背景技術】
【０００２】
複数の発光素子を面状配列した表示部を有する表示装置は、例えば駅などでの案内表示器、道路用の信号灯器や空港用の誘導案内灯など、多岐に亘って使用されており、その設置された複数個が同一の表示内容を同一のタイミングで表示することが行われている。例えば、駅などで旅客に対して列車ダイヤを日本語と英語で交互に表示するＬＥＤ表示装置が提案されている（特許文献１参照。）。
【０００３】
このＬＥＤ表示装置は、表示内容が複数画面分あり、かつ、複数のＬＥＤ表示器に対して同じ情報を表示するＬＥＤ表示装置において、各ＬＥＤ表示器に対し表示内容を与え、また表示内容の切り替え指示をＬＥＤ表示器の一つに与える表示制御装置と、この表示制御装置からの表示内容を各ＬＥＤ表示器に対して伝送するための伝送線と、ＬＥＤ表示器の一つに対して表示制御装置から表示内容の切り替え指示が伝送されたとき、ＬＥＤ表示器の残りに対して表示内容の切り替えを指示するための同期信号線とを備え、複数のＬＥＤ表示器の表示内容を常に同じ画面とするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】特開平４−２９６８９６号公報（第３頁、第３図）
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
特許文献１のＬＥＤ表示装置は、各ＬＥＤ表示器が同期して日本語と英語を交互に表示するものであり、表示内容を例えば点滅表示させることについては言及されていない。表示装置は、表示内容を点滅または明暗させて表示させると、人に対して注目や注意等を喚起させることができる。ここで、例えば道路や滑走路等の両側に設置された信号灯器のように、各信号灯器のそれぞれのタイミングで表示内容を点滅表示または明暗表示すると、人に対して、表示内容の視認の混乱や不快感などを生じさせることがある。
【０００６】
また、上記ＬＥＤ表示装置は、表示制御装置から表示内容の切り替え指示が伝送された一つのＬＥＤ表示器が親機として機能するものであり、この親機に故障などの不具合が発生すると、残りのＬＥＤ表示器に対する表示内容の切り替え指示ができないという欠点を有する。また、同期信号線の断線や接続不良が発生すると、同様に、残りのＬＥＤ表示器に対する表示内容の切り替え指示ができないという欠点を有する。
【０００７】
本発明は、表示内容の点滅表示または明暗表示のタイミングが同期する複数の表示装置を有する表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
請求項１に記載の表示システムの発明は、面状配列された複数の発光素子を点灯させることによって所定情報を表示する表示部と；この表示部に表示される所定情報の表示データを記憶している記憶部と；外部の表示制御装置から送信された表示制御信号を受信する受信部と；この受信部が前記表示制御信号を受信したときに、前記記憶部から前記表示制御信号に応じた表示データを読み出し、当該表示データに応じて前記表示部の発光素子を点灯させる駆動信号を前記発光素子が点滅または明暗点灯するように出力するとともに、当該出力のタイミング信号を生成する制御部と；外部から前記タイミング信号を取得するように通信を行う通信部と；を具備する表示装置が複数配設されており、この複数の表示装置間には伝送線が接続されていて、前記通信部同士が通信可能となっており、前記制御部は、前記通信部が取得した前記タイミング信号に同期するように前記駆動信号を出力することを特徴とする。
【０００９】
本発明において、特に言及しない限り、各構成は以下による。
【００１０】
表示部は、例えばフルカラーで文字等を可変表示するＶＭＳ（バリアブル・メッセージ・サイン）として構成されてもよい。
【００１１】
表示データは、例えば車両や人を停止させるときの「ＳＴＯＰ」、進行させるときの「ＳＴＡＲＴ」またはこれらの指示内容を図案化した標識、記号などである。
【００１２】
駆動信号は、表示データに応じて制御部で演算生成してもよく、表示データとテーブルにして例えば記憶部に記憶させていてもよい。
【００１３】
発光素子の点滅は、表示部での所定情報の表示、消去を意味する。また、発光素子の明暗点灯は、表示部で所定情報が明るく表示され、暗く表示されることを意味する。
【００１４】
制御部は、通信部が取得したタイミング信号に応じて、都度タイミング信号に同期して駆動信号を出力するようにしてもよく、所定時間例えば１分毎にタイミング信号に同期する駆動信号を出力するようにしてもよい。
【００１５】
通信部は、タイミング信号を送受信するように通信してもよく、他方の通信部のメモリに記憶されているタイミング信号の状態を監視するように通信を行うものであってもよい。
【００１６】
外部の表示制御装置は、通信部同士が伝送線により接続されている各表示装置の受信部に、同一の表示制御信号を送信するものである。すなわち、当該表示装置の表示部には、同一の所定情報が表示されるようにするものである。
【００１７】
本発明によれば、制御部は、通信部を介して、伝送線により互いに接続された他の表示装置からタイミング信号を取得し、そのタイミング信号と同期するようにして、表示データに応じた駆動信号を発光素子が点滅または明暗点灯するように出力するので、伝送線により互いに接続された各表示装置の表示部には、同一の所定情報が同一のタイミングで点滅表示または明暗表示される。
【発明の効果】
【００１８】
請求項１の発明によれば、伝送線により接続された表示装置は、発光素子を点滅または明暗点灯させる駆動信号の出力のタイミング信号を取得し、タイミング信号に同期するように駆動信号を出力することにより、表示部において所定情報の点滅表示または明暗表示のタイミングが同期するので、各表示装置の表示部に整然とした所定情報の表示を行うことができて、人に表示内容を注目や注意して認識させやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【００１９】
【図１】本発明の実施例１を示す表示システムの概略ブロック図。
【図２】同じく、ＬＥＤ表示装置の正面図。
【図３】同じく、ＬＥＤ表示装置の開放状態の背面図。
【発明を実施するための形態】
【００２０】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照して説明する。
【００２１】
本発明において、複数の表示装置は、その通信部が伝送線により接続され、発光素子を点滅または明暗点灯させる駆動信号の出力のタイミング信号を他の表示装置から取得可能となっている。制御部は、通信部が取得したタイミング信号に同期するように表示データに応じた駆動信号を発光素子が点滅または明暗点灯するように出力する。これにより、伝送線により接続された各表示装置は、その表示部に同期した所定情報が点滅表示または明暗表示されるようになる。
【実施例１】
【００２２】
図１ないし図３は、本発明の実施例１を示し、図１は表示システムの概略ブロック図、図２はＬＥＤ表示装置の概略正面図、図３はＬＥＤ表示装置の開放状態の概略背面図である。
【００２３】
図１において、表示システム１は、複数の表示装置としてのＬＥＤ表示装置２を有している。各ＬＥＤ表示装置２は、互いに伝送線３により接続されて、外部の表示制御装置４から所定情報の表示制御信号が入力される。ＬＥＤ表示装置２は、例えば空港の航空機を滑走路に誘導する誘導路の両側に配設される誘導案内灯（信号灯器）である。
【００２４】
ＬＥＤ表示装置２は、表示部５、記憶部６、受信部７、制御部８、駆動部９および通信部１０を有して構成され、これらを本体ケース１１に収容している。本体ケース１１は、例えばステンレス（ＳＵＳ）により、正面形状が横方向に長い長方形で奥行きが浅い扁平角筒状に形成されている。ケース本体１１は、図３に示すように、その背面側に制御部ラック１２や電源部ラック１３などが設けられ、これらに各構成要素を収容している。
【００２５】
表示部５は、図２に示すように、ケース本体１１の前面側に設けられ、例えば３個のＬＥＤユニット１２および１個のＬＥＤユニット１３を図中横方向に配設し、複数個のＬＥＤモジュール１４を５行１１列のマトリクスに配列することにより構成されている。ＬＥＤユニット１２は、ＬＥＤモジュール１４を５行３列のマトリクスに配列し、ＬＥＤユニット１３は、ＬＥＤモジュール１４を５行２列のマトリクスに配列している。
【００２６】
ＬＥＤモジュール１４は、例えば矩形であって銅箔パターン等により回路を形成したプリント基板上に、複数個の発光素子としての発光ダイオード（ＬＥＤ）１５を所要大のマトリクス状に配列し実装することにより形成されている。発光ダイオード１５は、例えば、赤、緑、青の３色の各ＬＥＤチップを例えば約２ｍｍ角の平面実装型パッケージに一体的に内蔵している。こうして、表示部５は、複数個の発光ダイオード１５を面状配列している。そして、発光ダイオード１５が点灯されることによって所定情報を表示する。
【００２７】
図１において、記憶部６は、不揮発性メモリであり、表示部５に表示される所定情報の表示データを記憶している。表示データは、外部の表示制御装置４から送信される所定情報の表示制御信号に対応している。例えば、停止命令の表示制御信号に対する「ＳＴＯＰ」、移動許可の表示制御信号に対する「ＳＴＡＲＴ」、右方向への移動指示の表示制御信号に対する「ＲＩＧＨＴ」などである。また、記憶部６は、表示データと駆動信号のテーブルなどを記憶している。
【００２８】
受信部７は、外部の表示制御装置４から送信された所定情報の表示制御信号を受信し、この表示制御信号を制御部８に送信するように形成されている。表示制御信号は、表示部５に所定情報を表示させるために送信される。
【００２９】
制御部８は、ＣＰＵ等を有して形成されている。そして、受信部７から送信された前記表示制御信号を入力すると、記憶部６から当該表示制御信号に応じた所定情報の表示データを読み出すとともに、当該表示データに応じた駆動信号を記憶部６に記憶させているテーブルから読み出し、当該駆動信号を発光ダイオード１５が点滅するように所定間隔例えば１秒間隔で出力するように形成されている。例えば、表示制御信号が停止命令であると、記憶部６から当該停止命令に対応する「ＳＴＯＰ」の表示データを読み出す。そして、記憶部６に記憶しているテーブルから「ＳＴＯＰ」の表示データに対する駆動信号を読み出し、「ＳＴＯＰ」の駆動信号を所定間隔で出力する。以降、表示制御装置４から別の所定情報の表示制御信号または停止の表示制御信号が送信されるまで上記を繰り返す。
【００３０】
なお、制御部８は、発光ダイオード１５を明暗点灯させる駆動信号を出力してもよい。すなわち、発光ダイオード１５を明点灯させる駆動信号および発光ダイオード１５を暗点灯させる駆動信号を所定間隔例えば１秒間隔で出力するようにしてもよい。ここで、発光ダイオード１５の明点灯とは、発光ダイオード１５が例えば全光点灯や定格点灯されることであり、暗点灯とは、発光ダイオード１５が深く調光点灯されることである。
【００３１】
そして、制御部８は、駆動信号を出力したときに、当該出力タイミングのタイミング信号を生成するように形成されているとともに、後述の制御を行うように形成されている。当該タイミング信号は、通信部１０のメモリに記憶される。また、制御部８は、発光ダイオード１５を明暗点灯させるときには、明点灯の駆動信号および暗点灯の駆動信号を出力したときの出力タイミング信号を生成して、通信部１０から送信させる。
【００３２】
駆動部９は、制御部８から出力された駆動信号に応じて発光ダイオード１５を点灯（駆動）する。駆動部８は、図２に示すように、監視部１６とともに表示ユニット１２，１３の背面側に配設されている。駆動部８は、行方向に配列されたＬＥＤモジュール１４にそれぞれ表示信号を送信して、発光ダイオード１５を点灯する。監視部１６は、画像信号がＬＥＤモジュール１４に送信されたか否かを確認する。
【００３３】
図１において、対をなすＬＥＤ表示装置２，２は、その通信部１０，１０同士が伝送線３により接続されている。通信部１０は、外部である他のＬＥＤ表示装置２の制御部８で生成されたタイミング信号を伝送線３により通信して取得するように形成されている。そして、制御部８は、通信部１０が取得したタイミング信号に同期するように前記駆動信号を出力するように形成されている。
【００３４】
次に、本発明の実施例１の作用について述べる。
【００３５】
例えば空港において、誘導路を移動している航空機が滑走路に進入しないように、表示制御装置４から表示装置２，２に滑走路の手前で移動停止させる所定情報の表示制御信号を送信する。当該制御信号は、受信部７で受信され、制御部８に送信される。
【００３６】
一方のＬＥＤ表示装置２において、制御部８は、記憶部６から前記表示制御信号に応じた所定情報の表示データ、例えば「ＳＴＯＰ」の表示データを読み出して、記憶部６に記憶しているテーブルから「ＳＴＯＰ」の表示データに対する駆動信号を読み出す。そして、制御部８は、「ＳＴＯＰ」の駆動信号を所定間隔例えば１秒間隔で駆動部９に出力するとともに、当該駆動信号が出力されたタイミングのタイミング信号を生成して通信部１０のメモリに記憶させる。
【００３７】
駆動部９は、「ＳＴＯＰ」の駆動信号に応じてＬＥＤモジュール１４に表示信号を送信し、発光ダイオード１５を点消灯させる。これにより、面状配列している発光ダイオード１５が点消灯して、表示部５に「ＳＴＯＰ」の所定情報が点滅表示される。
【００３８】
通信部１０のメモリに記憶されたタイミング信号は、他方のＬＥＤ表示装置２の通信部１０の通信により、他方のＬＥＤ表示装置２の制御部８で取得される。当該制御部８は、当該タイミング信号に同期するようにして、「ＳＴＯＰ」の駆動信号を所定間隔例えば１秒間隔で駆動部９に出力する。表示部５には、「ＳＴＯＰ」の所定情報が点滅表示される。以下、表示制御装置４から移動許可の表示制御信号が送信されるまで、上述を繰り返す。これにより、ＬＥＤ表示装置２，２の表示部５，５に、「ＳＴＯＰ」の所定情報がほぼ同時に点滅表示される。
【００３９】
なお、制御部８は、記憶部６から読み出した「ＳＴＯＰ」の表示データに対して、発光ダイオード１５を明暗点灯させるそれぞれの駆動信号を所定間隔例えば１秒間隔で出力してもよい。これにより、発光ダイオード１５は、所定間隔で明点灯および暗点灯を繰り返し、表示部５に所定情報の「ＳＴＯＰ」が所定間隔で交互に明暗表示される。そして、一方および他方のＬＥＤ表示装置２，２の表示部５，５における「ＳＴＯＰ」の所定情報が同期して明暗表示される。
【００４０】
上述したように、表示システム１は、ＬＥＤ表示装置２，２の表示部５，５で所定情報を点滅表示または明暗表示させるタイミングを同期させることにより、表示部５，５に整然とした所定情報の表示を行うことができる。これにより、航空機のパイロットに、表示部５，５に表示された所定情報の表示内容を容易に認識させることができて、安全性を向上させることができる。すなわち、パイロットは、誘導路の両側に設置されているＬＥＤ表示装置２，２の表示部５，５の所定情報の点滅表示または明暗表示がばらついているよりも同期して表示される方が表示内容を視認しやすく、認識しやすいものである。
【００４１】
そして、ＬＥＤ表示装置２，２は、それぞれ表示制御装置４から所定情報の表示制御信号を受信し、独立して所定情報の表示をしているので、ＬＥＤ表示装置２，２のいずれかに故障や不具合が発生し、通信部１０，１０同士でのタイミング信号の取得ができなくなっても、残余のＬＥＤ表示装置２の表示部５に前記表示制御信号に応じた所定情報が点滅表示または明暗表示される。したがって、パイロットは、当該所定情報の表示で例えば滑走路への侵入の停止や許可を認識することができ、誤って滑走路に進入してしまうという危険性を防止することができる。
【００４２】
なお、一方および他方のＬＥＤ表示装置２，２の通信部１０，１０は、伝送線３により互いに送受信してタイミング信号を取得するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【００４３】
本発明の表示システムは、道路、空港および広場などで表示装置に文字や画像などの所定情報を表示することにより、信号装置、案内装置、看板・広告装置や映像装置として利用可能である。
【符号の説明】
【００４４】
１…表示システム、 ２…表示装置としてのＬＥＤ表示装置、 ３…伝送線、 ４…表示制御装置、 ５…表示部、 ６…記憶部、 ７…受信部、 ８…制御部、 １０…通信部、 １５…発光素子としての発光ダイオード
【特許請求の範囲】
【請求項１】
面状配列された複数の発光素子を点灯させることによって所定情報を表示する表示部と；
この表示部に表示される所定情報の表示データを記憶している記憶部と；
外部の表示制御装置から送信された表示制御信号を受信する受信部と；
この受信部が前記表示制御信号を受信したときに、前記記憶部から前記表示制御信号に応じた表示データを読み出し、当該表示データに応じて前記表示部の発光素子を点灯させる駆動信号を前記発光素子が点滅または明暗点灯するように出力するとともに、当該出力のタイミング信号を生成する制御部と；
外部から前記タイミング信号を取得するように通信を行う通信部と；
を具備する表示装置が複数配設されており、
この複数の表示装置間には伝送線が接続されていて、前記通信部同士が通信可能となっており、前記制御部は、前記通信部が取得した前記タイミング信号に同期するように前記駆動信号を出力することを特徴とする表示システム。
【請求項１】
面状配列された複数の発光素子を点灯させることによって所定情報を表示する表示部と；
この表示部に表示される所定情報の表示データを記憶している記憶部と；
外部の表示制御装置から送信された表示制御信号を受信する受信部と；
この受信部が前記表示制御信号を受信したときに、前記記憶部から前記表示制御信号に応じた表示データを読み出し、当該表示データに応じて前記表示部の発光素子を点灯させる駆動信号を前記発光素子が点滅または明暗点灯するように出力するとともに、当該出力のタイミング信号を生成する制御部と；
外部から前記タイミング信号を取得するように通信を行う通信部と；
を具備する表示装置が複数配設されており、
この複数の表示装置間には伝送線が接続されていて、前記通信部同士が通信可能となっており、前記制御部は、前記通信部が取得した前記タイミング信号に同期するように前記駆動信号を出力することを特徴とする表示システム。
【図１】
【図２】
【図３】
【図２】
【図３】
【公開番号】特開２０１１−７５８４９（Ｐ２０１１−７５８４９Ａ）
【公開日】平成２３年４月１４日（２０１１．４．１４）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００９−２２７４８１（Ｐ２００９−２２７４８１）
【出願日】平成２１年９月３０日（２００９．９．３０）
【出願人】（０００００３７５７）東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２３年４月１４日（２０１１．４．１４）
【国際特許分類】
【出願日】平成２１年９月３０日（２００９．９．３０）
【出願人】（０００００３７５７）東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Ｆターム（参考）】
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