説明

表示入力装置および表示入力方法

【課題】外光の影響を受けることなく正確な入力処理を行う表示入力装置を提供する。
【解決手段】画像を表示する表示部の一辺または二辺に設けられ、光を照射する発光素子列L…Lと、発光素子列の反対側の辺に設けられ、発光素子列からの光を受光する受光素子列T…Tと、受光素子列が検出した外光に応じた測定値に対応させて受光素子列が受光した光量に応じた測定値または閾値の内の一方を補正する制御部21と、補正された受光素子列が受光した光量に応じた測定値と閾値とを比較し、比較結果に応じて発光素子列からの光が妨げられたことによる入力を検出する検出部23をもつ表示入力装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明に係る実施形態は、画像を表示する表示機能とタッチパネルで操作情報を入力する入力機能を備えた表示入力装置に関し、特に、外光量に応じて検出値等を補正する表示入力装置および表示入力方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、タッチPOS(Point Of Sales)端末等に用いられる表示画面は、画像を表示するだけではなく画面に直接触れることで操作が可能なタッチパネル式が広範囲に普及してきている。このような赤外方式のタッチパネルにおいて、強い外光がタッチパネルに差し込むと、タッチされた位置の検出に赤外線を使用するため、AD変換する回路に適正値を超える入力がはいることもあり、正確な位置検出ができないことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−85754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のタッチパネルにおいて、強い外光等がタッチパネルに差し込むと、適正値を超える光量がフォトトランジスタ等の受光素子に入り込み、この結果、AD変換する回路に適正値を超える信号が入力されることがある。このようになると、オペレータが指でパネルをタッチしても入力が正しく検出されない等の不具合が生じる場合がある。
【0005】
本発明に係る実施形態は、外光量の影響を受けずに正確に入力を認識する表示入力装置および表示入力方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
課題を解決する一実施形態は、
画像を表示する表示部の一辺または二辺に設けられ、光を照射する発光素子列と、
前記発光素子列が設けられた表示部の辺の反対側の辺に設けられ、前記発光素子列からの光を受光する受光素子列と、
前記受光素子列が検出した外光に応じた測定値を求め、前記外光に応じた測定値に対応させて前記受光素子列が受光した光量に応じた測定値または閾値の内の少なくとも一方を補正する制御部と、
前記制御部により補正された前記受光素子列が受光した光量に応じた測定値と前記閾値とを比較し、比較結果に応じて前記発光素子列からの光が妨げられたことによる入力を検出する検出部と、を具備することを特徴とする表示入力装置である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施形態に係る表示装置の外観の一例を示す外観図。
【図2】同じく表示入力装置の電気的な構成の一例を示すブロック図。
【図3】同じく表示入力装置のタッチ検出部の構成の一例を示すブロック図。
【図4】同じく表示入力装置のタッチ検出部の動作の概念を示す説明図。
【図5】同じく表示入力装置のタッチ検出部の検出信号の一例を示す説明図。
【図6】同じく表示入力装置のタッチ検出部の検出信号の一例を示す説明図。
【図7】同じく表示入力装置のタッチ検出部の補正処理の一例を示すフローチャート。
【図8】同じく表示入力装置のタッチ検出部の補正処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
本発明に係る一実施形態である表示入力装置1は、例えばタッチPOS端末に使用されるものであり、図1に示すように画像生成部14を搭載する表示ユニット2と、表示ユニット2が傾斜角度を調整可能に保持する本体ユニット3を有している。また、表示入力装置1は、図2に示すように、全体の動作を制御する制御部11と、例えば、外光に応じた検出値の補正量や閾値の補正量等を記憶する記憶部12と、タッチパネルでオペレータの操作情報を検出するタッチ検出部13と、ディスプレイに表示される画像情報を生成する画像生成部14と、画像生成部14で生成した画像を液晶画面等に表示する表示部15と、表示部15の液晶画面等を背後から照射するバックライト部17と、バックライト部17に駆動電流を供給するインバータ部16と、操作に関するオーディオ信号等を増幅するアンプ部18と、アンプ部18からのオーディオ信号等を出力するスピーカ19を有している。
【0009】
次に、本発明に係る一実施形態である表示入力装置1のタッチ検出部13の構成および動作を、図3乃至図5を用いて詳細に説明する。タッチ検出部13は、タッチ検出部13の動作を制御する制御部21と、制御部21において発光素子列であるLED群L〜L、L’〜L’を駆動するLED駆動回路22と、受光素子列であるフォトトランジスタT〜T、T’〜T’を駆動しフォトトランジスタが検出した波形処理を行うフォトトランジスタ駆動/波形処理回路23と、フォトトランジスタ駆動/波形処理回路23が検出した検出信号のA/D変換を行うA/Dコンバータ回路24と、後述する外光補正処理のための補正データを格納する補正値メモリ25を有している。
【0010】
このパネルの4辺に設けられたLED群L〜L、L’〜L’とフォトトランジスタT〜T、T’〜T’は、図4に示すように配置されている。いま、オペレータの指がパネルの接触点Pを押下すると、特定の縦方向のLEDと横方向のLEDが放射する光を遮り、特定の縦方向のフォトトランジスタと横方向のフォトトランジスタがこの押下した接触点Pを検知することになる。図5に示すように、検知信号D1、D2において、指がタッチした接触点Pに対応する箇所で信号の落ち込みが発生し、それぞれが閾値Th、Thの値よりも低くなることで、制御部21は、この指の押下した接触点Pを検知することができる。
【0011】
(外光補正処理)
次に、上述したタッチ検出部13の外光に応じた補正処理の一例を以下に詳細に説明する。すなわち、本発明の一実施形態である表示入力装置のタッチ検出部は、外光の光量変化に応じて、検出信号(閾値も可能)を補正することにより、例えば、西日等が強く部屋に入ることで、タッチ検出部13のフォトトランジスタT〜T、T’〜T’の検出信号が異常に高くなった場合による読取不具合等を回避するものである。なお、室内が明るすぎるだけでなく暗くなりすぎた場合も、同様に以下にしめすように補正が可能である。
【0012】
この読取不具合と補正処理は、図6の説明図において具体的に説明され、(a)通常時(理想時)においては、指の押下による接触点Pは、正常な外光における検知信号Dが適正値であれば、閾値Th以下となり、制御部21は、これを容易に検知することができる。しかし、(b)西日等で測定値が異常に高まった場合は、検知信号D’は、接触点Pにおいても検知できないくらいに高くなってしまい、読取不能となる。
【0013】
そこで、制御部21およびA/Dコンバータ回路24により補正値メモリ25の補正値を用いて、(c)異常に高まった検知信号D”を適正に補正することで、通常時(理想時)の値に近づけることにより、指の押下による接触点Pの検出が可能となるものである。
【0014】
次に、図7のフローチャートを用いて、詳細に補正処理の一例を説明する。制御部21は、タッチ検出部13のフォトトランジスタT〜T、T’〜T’の検出信号を常にモニターしており、一定時間(例えば15秒)以上、正常値よりも上限値以上(下限値以下)であれば、これを補正すべき状態であると判断する(ステップS1)。ここで、一定時間(例えば15秒)以上、連続してこの値となることを条件としているのは、オペレータ等の指等が原因で一時的に測定値が変化しているのではなく、室内の明るさが原因で測定値が変化していることを識別するためである。
【0015】
次に、制御部21は、この現在のフォトトランジスタT〜T、T’〜T’の検出信号を補正値メモリ25等の記憶領域に格納し、一例として、測定値と上限値(下限値)との差分を求め(S2)、この差分に対応した補正値を、補正値メモリ25の予め記憶された補正値から選択して読み出す。そして、制御部21は、この補正値をA/Dコンバータ回路24に供給し、この補正値に基づく測定値Dの補正を行う(例えば、測定値Dを減少させる)(ステップS3)。その後、制御部21は、補正された測定値Dと閾値Thとを比較して、指の押下による接触点Pの検出を可能とするものである(ステップS4)。
【0016】
なお、制御部21は、測定値と上限値(下限値)との差分を求めるとするのではなく、予め外光の値に対応した補正値を全て補正値メモリ25に格納しておき、その時々の外光の値に応じて、リアルタイムに測定値Dを補正していくという動作を行うものであってもよい。
【0017】
また、上述した補正処理は、一例として、各縦方向・横方向のLEDとフォトトランジスタの組のそれぞれの検出結果について全て独立して補正処理を行い、検出処理を行うものである。すなわち、パネルのサイズが12インチであり、約50組のLEDとフォトトランジスタの組が設けられている場合、制御部21は、常時、50個の補正処理と検出処理を平行して行うものである。
【0018】
一例として、補正値メモリ25は、リングバッファ形式にしておき、随時新しい基準となる明るさとする。また、製品製造時の各LEDとフォトトランジスタの組み合わせによるセンサのバラツキを含んだタッチパネルの基準の出力を補正値メモリ25や記憶部12等に記録しておく。これにより、例えば、閾値Thは、図5に示すようにバラツキを含んだぎざぎざの波のような形をとる。
【0019】
また、図8のフローチャートに示すように、外光に応じて補正する対象は、フォトトランジスタの測定値だけではなく、閾値Thを補正することであっても、実質的に外光に対する補正処理を行うことができる。
【0020】
すなわち、制御部21は、この現在のフォトトランジスタT〜T、T’〜T’の検出信号を補正値メモリ25等の記憶領域に格納し、一例として、測定値と上限値(下限値)との差分を求め(S2)、この差分に対応した補正値を、補正値メモリ25の予め記憶された補正値から選択して読み出す。制御部21は、この補正値をA/Dコンバータ回路24に供給し、この補正値に基づく閾値Thの補正を行う(例えば、閾値Thを増加させる)(ステップS3’)。その後、制御部21は、測定値Dと補正された閾値Thとを比較して、指の押下による接触点Pの検出を可能とするものである(ステップS4’)。このように、制御部21は、閾値Thを外光に応じて補正することによっても、実質的に外光の影響を排除してパネルの接触点Pを確実に検出することができる。
【0021】
以上記載した様々な実施形態は複数同時に実施することが可能であり、これらの記載により、当業者は本発明を実現することができるが、更にこれらの実施形態の様々な変形例を思いつくことが当業者によって容易であり、発明的な能力をもたなくとも様々な実施形態へと適用することが可能である。従って、本発明は、開示された原理と新規な特徴に矛盾しない広範な範囲に及ぶものであり、上述した実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0022】
1…表示入力装置、2…表示ユニット、3…本体ユニット、11…制御部、12…記憶部、13…タッチ検出部、14…画像形成部、15…画像表示部、16…インバータ部、17…バックライト部、18…アンプ部、19…スピーカ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示部の一辺または二辺に設けられ、光を照射する発光素子列と、
前記発光素子列が設けられた表示部の辺の反対側の辺に設けられ、前記発光素子列からの光を受光する受光素子列と、
前記受光素子列が検出した外光に応じた測定値を求め、前記外光に応じた測定値に対応させて前記受光素子列が受光した光量に応じた測定値または閾値の内の少なくとも一方を補正する制御部と、
前記制御部により補正された前記受光素子列が受光した光量に応じた測定値と前記閾値とを比較し、比較結果に応じて前記発光素子列からの光が妨げられたことによる入力を検出する検出部と、を具備することを特徴とする表示入力装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記外光に応じた測定値とこれに対応する補正量を予め記憶した記憶領域を有しており、前記受光素子列が受光した光量に応じた前記記憶領域に格納した補正量に従って測定値または閾値の内の少なくとも一方を補正することを特徴とする請求項1記載の表示入力装置。
【請求項3】
前記制御部は、所定時間以上、前記受光素子列が検出した外光に応じた測定値が上限値以上または下限値以下であるとき、前記測定値または前記閾値の内の少なくとも一方を補正することを特徴とする請求項1記載の表示入力装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記受光素子列の一つ一つの受光素子が測定した前記外光に応じた測定値の大きさに応じて、その受光素子の前記測定値または前記閾値の内の少なくとも一方を補正することを特徴とする請求項3記載の表示入力装置。
【請求項5】
画像を表示する表示部の一辺または二辺に設けた発光素子列から光を照射し、
前記発光素子列が設けられた表示部の辺の反対側の辺に設けた受光素子列を用いて前記発光素子列からの光を受光し、
前記受光素子列が検出した外光に応じた測定値に対応させて、前記受光素子列が受光した光量に応じた測定値または閾値の内の少なくとも一方を補正し、
前記補正された前記受光素子列が受光した光量に応じた測定値と前記閾値とを比較し、
前記比較結果に応じて前記発光素子列からの光が妨げられたことによる入力を検出することを特徴とする表示入力方法。
【請求項6】
前記外光に応じた測定値とこれに対応する補正量を予め記憶した記憶領域を有しており、前記受光素子列が受光した光量に応じた前記記憶領域に格納した補正量に従って測定値または閾値の内の少なくとも一方を補正することを特徴とする請求項5記載の表示入力方法。
【請求項7】
前記受光素子列が検出した外光に応じた測定値が所定時間以上、上限値以上または下限値以下であるとき、前記測定値または前記閾値の内の少なくとも一方を補正することを特徴とする請求項5記載の表示入力方法。
【請求項8】
前記受光素子列の一つ一つの受光素子が測定した前記外光に応じた測定値の大きさに応じて、その受光素子の前記測定値または前記閾値の内の少なくとも一方を補正することを特徴とする請求項7記載の表示入力方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−53684(P2012−53684A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−196026(P2010−196026)
【出願日】平成22年9月1日(2010.9.1)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】