説明

表示制御装置及びプログラム

【課題】SBCシステムにおいて、クライアント装置の表示画面が小さい場合でも、表示領域の変更操作を頻繁に行う必要なく、ユーザが見たい情報の領域を容易に表示させる。
【解決手段】クライアント装置に表示されている描画データG上で特定のオブジェクト(リストボックスLBやテキストボックス)が操作対象として選択されると、サーバ装置において描画更新されるオブジェクトが前記クライアント装置における現在の表示画面領域Eに収まるか否か判断される。そして前記描画更新されるオブジェクトが前記クライアント装置における現在の表示画面領域Eに収まらないと判断された場合には、前記描画データ上に描画更新されるオブジェクトが前記クライアント装置の表示画面領域Eに収まるように、その描画データに対する表示画面領域Eの始点座標(DX′,DY′)と縦横幅(DH′×DW′)の変更情報が生成されて前記クライアント装置へ送信(通知)される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LAN(Local Area Network)等のネットワークを介して接続されたサーバ・クライアント・システムにおいて、クライアント装置にて入出力・表示される全てのアプリケーションをサーバ装置上で動作させるようにしたサーバベース・コンピューティング・システム(SBC)のサーバ装置及びサーバ制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、社内LANなどのネットワークに接続された各端末装置(PC端末)では、その個々の端末装置が独立して文書作成や表作成などのアプリケーションを起動実行し、またこれに伴い生成された種々のファイルも当該端末装置において自身の記憶装置に保存、あるいは磁気ディスク,光ディスク,小型半導体メモリ等の外部記憶媒体に保存するか、ネットワーク上のサーバ装置が管理する記憶装置に転送して保存している。
【0003】
このような従来のサーバ・クライアント・システムでは、各端末装置自身において生成ファイルが管理されるため、当該端末装置を紛失したり不正に持ち出したりして第3者の手に渡った場合、保存ファイルが読み出されて重要情報や機密情報が漏洩する恐れがある。
【0004】
しかも、各端末装置が独立してアプリケーションを起動実行していたのでは、当該アプリケーションの更新,変更,追加の作業を個々の端末装置毎に行う必要があり、管理が面倒でコストも掛かってしまう。
【0005】
このため近年のサーバ・クライアント・システムでは、各端末装置にて入出力・表示される全てのアプリケーションをサーバ装置上で起動実行させ、これに伴う全ての生成ファイルもサーバ装置側で管理するようにしたSBC(Server Based Computing)システムが導入されるようになっている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0006】
このようなサーバベース・コンピューティング・システムでは、サーバ装置側で実行されるアプリケーションソフトの描画データが端末装置(クライアント装置)に転送されて該クライアント装置にてこの描画データを表示するものである(例えば、特許文献3参照)。
【0007】
そして、最近このサーバベース・コンピューティング・システムでも、携帯電話機のように表示画面の小さな携帯端末をクライアント装置として使用することが考えられている(例えば、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−171063号公報
【特許文献2】特開2003−158534号公報
【特許文献3】特表2004−503862号公報
【特許文献4】特開2004−348380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記従来のサーバベース・コンピューティング・システムにおいて、クライアント装置として表示画面の小さな携帯端末を使用した場合、サーバ装置から取得される表示画面データ(描画データ)は通常PC端末の画面サイズに対応させて生成されているために、当該携帯端末の表示画面にて表示される描画データの領域はその一部の領域となる。このため、描画データのユーザが見たい情報の領域が表示されていない場合、その都度ユーザは表示領域を変更する画面スクロールなどの操作を行う必要がある。
【0010】
特に、描画データ上に存在するリストボックスやテストボックスを頻繁に操作対象とする場合など、そのオブジェクト領域を表示領域に合わせて上手く表示させるのは非常に面倒な問題がある。
【0011】
本発明は、このような課題に鑑みなされたもので、クライアント装置の表示画面が小さい場合でも、表示領域の変更操作を頻繁に行う必要なく、ユーザが見たい情報の領域を容易に表示させることが可能になるサーバベース・コンピューティング・システムのサーバ装置及びサーバ制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に記載のサーバ装置は、クライアント装置からの入力イベントに応じて描画データを生成する描画データ生成手段と、この描画データ生成手段により生成された描画データを前記クライアント装置へ送信する描画データ送信手段とを有するサーバベース・コンピューティング・システムのサーバ装置であって、前記クライアント装置からの入力イベントが前記描画データに含まれるオブジェクトの選択であるか否かを判断するオブジェクト選択判断手段と、このオブジェクト選択判断手段により前記クライアント装置からの入力イベントがオブジェクトの選択であると判断された場合に、当該クライアント装置に対して前記描画データ上での表示画面領域を設定している表示領域情報の送信を要求する送信要求手段と、この送信要求手段による表示領域情報の送信要求に応答して前記クライアント装置から送信された表示領域情報を取得する表示領域情報取得手段と、この表示領域情報取得手段により取得された表示領域情報に応じた表示画面領域に前記描画データ上で選択されたオブジェクトの領域が収まるか否かを判断するオブジェクト収まり判断手段と、このオブジェクト収まり判断手段により前記表示領域情報に応じた表示画面領域に前記描画データ上で選択されたオブジェクトの領域が収まらないと判断された場合に、当該オブジェクトの領域が表示画面領域に収まり、且つ、当該オブジェクトの領域が表示画面の中央になるようにその表示領域情報を変更する表示領域情報変更手段と、この表示領域情報変更手段により変更された表示領域情報を前記クライアント装置へ送信する表示領域情報送信手段と、を備えたことを特徴としている。
【0013】
請求項2に記載のサーバ装置は、前記請求項1に記載のサーバ装置において、前記表示領域情報取得手段により取得された表示領域情報に応じた表示画面領域よりも前記描画データ上で選択されたオブジェクトの領域が大きいか否かを判断する領域サイズ判断手段と、この領域サイズ判断手段により前記表示画面領域よりも前記描画データ上で選択されたオブジェクトの領域が大きいと判断された場合に、当該描画データ上のオブジェクトの領域を前記表示画面領域に合わせて縮小するオブジェクト領域縮小手段と、をさらに備えたことを特徴としている。
【0014】
請求項3に記載のサーバ装置は、前記請求項1または請求項2に記載のサーバ装置において、前記表示領域情報変更手段は、前記表示領域情報の縦横を回転して変更する表示領域情報回転変更手段を有することを特徴としている。
【0015】
請求項4に記載のサーバ装置は、前記請求項3に記載のサーバ装置において、前記オブジェクト領域縮小手段により前記描画データ上のオブジェクトの領域が前記表示画面領域に合わせて縮小された場合に、当該オブジェクトの領域に記述されている文字のフォントサイズをその縮小されたオブジェクトの領域に合わせて変更するフォントサイズ変更手段をさらに備えたことを特徴としている。
【0016】
請求項5に記載のクライアント装置は、請求項1に記載のサーバ装置に接続されるクライアント装置であって、前記サーバ装置により生成され転送された描画データを受信する描画データ受信手段と、この描画データ受信手段により受信された描画データをクライアント装置の表示画面領域に切り出して表示する表示制御手段と、前記サーバ装置の表示領域情報送信手段より変更された表示領域情報を受信する変更情報受信手段と、この変更情報受信手段により前記変更された表示領域情報が受信された場合に、当該変更後の表示領域情報に対応させて前記表示制御手段で切り出す表示画面領域を変更する表示画面領域変更手段と、を備えたことを特徴としている。
【0017】
請求項6に記載のサーバ制御プログラムは、クライアント装置からの入力イベントに応じて描画データを生成する描画データ生成手段と、この描画データ生成手段により生成された描画データを前記クライアント装置へ送信する描画データ送信手段とを有するサーバ装置のコンピュータを制御するためのプログラムであって、前記コンピュータを、前記クライアント装置からの入力イベントが前記描画データに含まれるオブジェクトの選択であるか否かを判断するオブジェクト選択判断手段、このオブジェクト選択判断手段により前記クライアント装置からの入力イベントがオブジェクトの選択であると判断された場合に、当該クライアント装置に対して前記描画データ上での表示画面領域を設定している表示領域情報の送信を要求する送信要求手段、この送信要求手段による表示領域情報の送信要求に応答して前記クライアント装置から送信された表示領域情報を取得する表示領域情報取得手段、この表示領域情報取得手段により取得された表示領域情報に応じた表示画面領域に前記描画データ上で選択されたオブジェクトの領域が収まるか否かを判断するオブジェクト収まり判断手段、このオブジェクト収まり判断手段により前記表示領域情報に応じた表示画面領域に前記描画データ上で選択されたオブジェクトの領域が収まらないと判断された場合に、当該オブジェクトの領域が表示画面領域に収まり、且つ、当該オブジェクトの領域が表示画面の中央になるようにその表示領域情報を変更する表示領域情報変更手段、この表示領域情報変更手段により変更された表示領域情報を前記クライアント装置へ送信する表示領域情報送信手段、として機能させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、オブジェクトの領域が表示画面領域に収まり、且つ、当該オブジェクトの領域が表示画面の中央になるようにその表示領域情報を変更するので、クライアント装置の表示画面と合致しない種々のオブジェクトを常に表示画面の中央に表示でき、そのため見やすいだけでなく、オブジェクトの操作も表示画面の中央になるので操作しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係るサーバ装置10およびそのクライアント装置20(20P,20M),…を備えたサーバベース・コンピューティング・システムの構成を示すブロック図。
【図2】前記サーバベース・コンピューティング・システムにおけるサーバ装置10の回路構成を示すブロック図。
【図3】前記サーバ装置10の記憶部13に確保された表示管理領域13Aにおける管理データの内容を示す図。
【図4】前記サーバベース・コンピューティング・システムにおけるクライアント装置20(20P,20M)の回路構成を示すブロック図。
【図5】前記サーバベース・コンピューティング・システムにおいて、クライアント装置20の表示画面(25)にてリストボックスLBを選択指示して開いた場合の表示制御動作(その1)を示す図。
【図6】前記サーバベース・コンピューティング・システムにおいて、クライアント装置20の表示画面(25)にてリストボックスLBを選択指示して開いた場合の表示制御動作(その2)を示す図。
【図7】前記サーバベース・コンピューティング・システムにおいて、クライアント装置20の表示画面(25)にてテキストボックスTBを選択指示した場合の表示制御動作を示す図。
【図8】前記サーバベース・コンピューティング・システムのサーバ装置10によるサーバ制御処理を示すフローチャート。
【図9】前記サーバ装置10のサーバ制御処理に伴うオブジェクト選択処理を示すフローチャート。
【図10】前記サーバベース・コンピューティング・システムのクライアント装置20によるクライアント制御処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下図面により本発明の実施の形態について説明する。
【0021】
図1は、本発明の実施形態に係るサーバ装置10およびそのクライアント装置20(20P,20M),…を備えたサーバベース・コンピューティング・システムの構成を示すブロック図である。
【0022】
このサーバベース・コンピューティング・システムは、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)からなるネットワークN上に接続されたサーバ装置10および複数のクライアント装置20(20P,20M),…を備える。
【0023】
サーバ装置10は、例えばネットワークN上に有線接続されたパーソナルコンピュータである。クライアント装置20として、20PはネットワークN上のアクセスポイントAPを介して無線接続された携帯型パーソナルコンピュータ、20Mは同アクセスポイントAPを介して無線接続された携帯電話である。
【0024】
サーバ装置10は、文書作成処理プログラム,表計算処理プログラム,住所録プログラム,メモ帳プログラム,プレゼン資料作成プログラム,メール処理プログラム,インターネット接続処理プログラム、Web表示プログラムなど、種々のアプリケーション・プログラムを有し、当該サーバ装置10に接続されたクライアント装置20(20P,20M),…からの操作入力(入力イベント)信号に応じて起動しその処理を実行する。
【0025】
このサーバ装置10において、クライアント装置20,…からの操作入力信号に応じたアプリケーション・プログラムの実行に伴い生成された表示出力用の描画データは、転送用の描画データに変換されると共に圧縮・暗号化され、アクセス元のクライアント装置20,…へ送信(転送)される。
【0026】
そして、クライアント装置20(20P,20M),…では、前記サーバ装置10から転送された描画データが解凍・復号化され、その表示部25に表示される。
【0027】
この際、サーバ装置10では、クライアント装置20からの操作入力信号が、描画データに存在する予め特定されたオブジェクト領域(リストボックスやテキストボックスなど)を操作対象として指示する入力信号であった場合に、当該描画データ上のオブジェクト領域をクライアント装置20の表示画面(25)に合わせて表示させるべく、その描画データ上の表示位置と領域を示す情報を生成してクライアント装置20へ送信(通知)する機能を有する。
【0028】
そして、クライアント装置20は、前記サーバ装置10から通知された描画データ上の表示位置と領域を示す情報に応じて当該描画データを切り出し、表示画面(25)に表示する機能を有する。
【0029】
図2は、前記サーバベース・コンピューティング・システムにおけるサーバ装置10の回路構成を示すブロック図である。
【0030】
サーバ装置10は、コンピュータとしてのCPU11を備え、このCPU11には、バス17を介してハードディスクやフラッシュROMからなるメモリ12、RAMからなる記憶部13、クライアント装置20との送受信制御部14、表示部15、入力部16、そして光ディスクや磁気ディスクなどの外部記憶媒体18aにデータを読み書きする記憶媒体読み書き部18が接続される。
【0031】
CPU11は、メモリ12に予め記憶されている、あるいは外部記憶媒体18aからメモリ12に読み込まれて記憶されている、あるいはネットワークN上のプログラムサーバからメモリ12に読み込まれて記憶されているシステムプログラムや種々のアプリケーション・プログラムに従って記憶部13を作業用メモリとし回路各部の動作を制御するもので、入力部16からのキー入力信号や送受信制御部14を介して受信されるクライアント装置20(20P,20M),…からのユーザ操作(入力イベント)に応じた処理指令信号などに応じて前記種々のプログラムを起動・実行する。
【0032】
このサーバ装置10において、クライアント装置20からの入力イベント信号に応じて起動・実行されるアプリケーション・プログラムに従い生成された種々のデータは、例えばそのユーザIDに対応付けられてメモリ12に記憶される。また表示用の描画データは、メモリ12内に各クライアント装置20…に対応させて用意された仮想フレームバッファ(FB)12a,12b,…に書き込まれる。そして、前回描画データと今回描画データとの画像変化部分(差分)を抽出した転送用描画データに変換され、送受信制御部14からクライアント装置20へ転送されて表示出力される。
【0033】
また、サーバ装置10の記憶装置13には、表示管理領域13Aが確保される。
【0034】
図3は、前記サーバ装置10の記憶部13に確保された表示管理領域13Aにおける管理データの内容を示す図である。
【0035】
この表示管理領域13Aには、前記クライアント装置20…毎にユーザ設定されて通知されている表示モードの管理データ(“1”または“0”)が当該クライアント装置20…毎の識別子(A,B,…)に対応付けられて記憶されるもので、管理データ“1”“0”は中央表示モードの設定“有り”“無し”を示す。
【0036】
サーバ装置10は、中央表示モードに設定されているクライアント装置20から描画データ上の特定のオブジェクト領域(リストボックスやテキストボックスなど)を操作対象とする指示信号が受信された場合には、当該描画データ上のオブジェクト領域をクライアント装置20の表示画面(25)の中央に合わせて表示させるべく、その描画データ上の表示位置と領域を示す情報を生成してクライアント装置20へ送信(通知)する。一方、中央表示モードに設定されてないクライアント装置20から描画データ上の特定のオブジェクト領域(リストボックスやテキストボックスなど)を操作対象とする指示信号が受信された場合には、当該描画データ上のオブジェクト領域をクライアント装置20の表示画面(25)の左上に合わせて表示させるべく、その描画データ上の表示位置と領域を示す情報を生成してクライアント装置20へ送信(通知)する。
【0037】
図4は、前記サーバベース・コンピューティング・システムにおけるクライアント装置20(20P,20M)の回路構成を示すブロック図である。
【0038】
クライアント装置20は、コンピュータとしてのCPU21を備え、このCPU21には、バス27を介してフラッシュROMからなるメモリ22、RAMからなる記憶部23、サーバ装置10との送受信制御部24、表示コントローラ25aを介した表示部25、入力部26、そしてメモリカードなどの外部記憶媒体28aにデータを読み書きする記憶媒体読み書き部28が接続される。
【0039】
前記表示コントローラ25aは、フレームバッファ(FB)25bを備え、このフレームバッファ(FB)25bには、前記サーバ装置10により生成転送され、その圧縮が解凍された例えばVGA(Video Graphics Array)サイズの描画データが記憶される。前記表示コントローラ25aは、前記フレームバッファ(FB)25bに記憶された描画データを、ユーザ操作に応じた表示位置で且つ表示部25の表示画面サイズに応じた領域で切り出し、当該表示部25に表示させる。
【0040】
この際、前記サーバ装置10から前記描画データを表示部25に表示するその表示位置および領域について通知されている場合には、当該表示位置および領域に応じた描画データを切り出して表示部25に表示する。
【0041】
CPU21は、メモリ22に予め記憶されている、あるいは外部記憶媒体28aからメモリ22に読み込まれた、あるいはネットワークN上のプログラムサーバからメモリ22に読み込まれたシステムプログラム(クライアント制御プログラム)に従って記憶部23を作業用メモリとし回路各部の動作を制御するもので、入力部26からのキー入力信号や送受信制御部24を介して受信されるサーバ装置10からのアプリケーション応答信号,転送描画データ,表示位置・領域情報などに応じて前記クライアント制御プログラムが起動され実行される。
【0042】
このサーバベース・コンピューティング・システムでは、クライアント装置20からのキー入力などのイベントに応じてサーバ装置10にて生成された描画データは、当該描画データが生成更新される毎にその描画更新後に画像変化のあった領域が差分抽出され、転送用描画データとしてクライアント装置20へ転送される。そして、当該クライアント装置20にて既にフレームバッファ(FB)25bに記憶され表示されていた描画データに対しその画像変化の領域のみ順次書き替えられて表示更新されるものである。これにより、前記サーバ装置10からクライアント装置20へのデータ転送量を大幅に削減している。
【0043】
次に、前記構成のサーバベース・コンピューティング・システムにおいて、クライアント装置20の表示画面(25)に表示された特定のオブジェクト領域(リストボックスLBやテスキストボックスTB)を操作対象として選択指示した場合に、サーバ装置10での制御に基づき当該特定のオブジェクト領域を前記表示画面(25)に合わせて表示させるための選択オブジェクト対応表示機能について説明する。
【0044】
図5は、前記サーバベース・コンピューティング・システムにおいて、クライアント装置20の表示画面(25)にてリストボックスLBを選択指示して開いた場合の表示制御動作(その1)を示す図である。
【0045】
図6は、前記サーバベース・コンピューティング・システムにおいて、クライアント装置20の表示画面(25)にてリストボックスLBを選択指示して開いた場合の表示制御動作(その2)を示す図である。
【0046】
図7は、前記サーバベース・コンピューティング・システムにおいて、クライアント装置20の表示画面(25)にてテキストボックスTBを選択指示した場合の表示制御動作を示す図である。
【0047】
前記図5〜図7において、“G”はクライアント装置20のフレームバッファ(FB)25bに記憶された例えばVGAサイズの描画データ、“E”は当該描画データGの中で表示部25に表示すべき表示画面領域、“LB”は描画データG上に存在展開されるリストボックス、“M”は当該リストボックスLBを選択指示する際にユーザによりタップ操作されるタップマーク、“TB”は描画データG上に存在するテキストボックス、“F”は当該テキストボックスTBを選択指示する際にユーザにより指定操作されるフォーカスマークである。
【0048】
そして、前記描画データG(FB)に対する表示画面領域E(25)は、当該表示画面領域Eの左上に対応する始点座標(DX,DY)、およびその始点座標(DX,DY)を基準とする縦の長さDHと横の長さDWにより管理される。
【0049】
なお、描画データG上に存在する操作対象オブジェクト領域であるリストボックスLBやテキストボックスTBの領域サイズは、縦の長さLHと横の長さLWにより管理される。
【0050】
すなわち、例えば図5(A)に示すように、描画データG上に存在するリストボックスLBのタップマークMがタップ操作された場合には、展開後のリストボックスLBが表示画面領域Eに収まるように、図5(B)に示すように当該表示画面領域Eの描画データに対する切り出し位置および領域を変更制御する。
【0051】
また、例えば図6(A)に示すように、描画データG上に存在するリストボックスLBのタップマークMがタップ操作された場合に、その展開後のリストボックスLBの横の長さLWが前記表示画面領域Eの横の長さDWに収まらない場合には、当該表示画面領域Eを横長に回転させてそのリストボックスLBが収まるように、図6(B)に示すように当該表示画面領域Eの描画データに対する切り出し位置および領域を変更制御する。
【0052】
同様に、例えば図7(A)に示すように、描画データG上に存在するテキストボックスTBにフォーカスマークFが指定操作された場合に、そのテキストボックスTBの横の長さLWが前記表示画面領域Eの横の長さDWに収まらない場合には、当該表示画面領域Eを横長に回転させてそのテキストボックスTBが収まるように、図7(B)に示すように当該表示画面領域Eの描画データに対する切り出し位置および領域を変更制御する。
【0053】
図8は、前記サーバベース・コンピューティング・システムのサーバ装置10によるサーバ制御処理を示すフローチャートである。
【0054】
図9は、前記サーバ装置10のサーバ制御処理に伴うオブジェクト選択処理を示すフローチャートである。
【0055】
図10は、前記サーバベース・コンピューティング・システムのクライアント装置20によるクライアント制御処理を示すフローチャートである。
【0056】
まず、クライアント装置20において、入力部26のユーザ操作によりサーバ装置10への接続要求を指示すると、送受信制御部24からサーバ装置10に対して接続確立の処理要求が送信され(図10のステップB1)、当該サーバ装置10との間での認証処理などに基づいた接続確立処理が実行される(ステップB2)。
【0057】
サーバ装置10において、前記クライアント装置20から送信された接続確立の処理要求が受信されると(図8のステップS1)、当該接続要求元のクライアント装置20との間での認証処理などに基づいた接続確立処理が実行される(ステップS2)。
【0058】
これにより、サーバ装置10とクライアント装置20との接続が確立した状態で、当該クライアント装置20でのユーザ入力に応じて(図10のステップB3(YES))、任意のWebページを開くなどの入力イベントが受け付けられると(ステップB4(YES))、当該入力イベントがサーバ装置10へ送信される(ステップB5)。
【0059】
サーバ装置10において、前記クライアント装置20から送信された例えばWebページを開く入力イベントが受信されると(図8のステップS3(YES))、これに対応したWebブラウザなどのアプリケーション・プログラムに対して前記入力イベントに応じた操作信号が送信され(ステップS4)、当該アプリケーション・プログラムによって前記入力イベントに応じた処理、この場合にはユーザ指定のWebページを開いて、その描画データをイベント入力元のクライアント装置20に対応するメモリ12内のフレームバッファ(FB)12aに書き込み、転送用描画データに変換して当該クライアント装置20へ送信する処理が実行される(ステップS5(NO)→S6)。
【0060】
クライアント装置20において、前記サーバ装置10から送信された例えばWebページの描画データが受信されると(図10のステップB9(YES))、既にフレームバッファ(FB)25bに記憶されている描画データGとの差分画像として判断され(ステップB12(YES))、この差分画像として判断された描画データが当該フレームバッファ(FB)25bに書き込まれる(ステップB15)。
【0061】
例えば、Webページを開いた初期には、そのページ全体の描画データが差分画像として受信され、前記フレームバッファ(FB)25bに書き込まれ、この後、当該Webページの描画内容が更新された場合には、当該描画更新された部分の差分画像だけがその位置情報と共に受信され、前記フレームバッファ(FB)25bに記憶されている描画データGが更新される(ステップB9(YES)→B12(YES)→B15)。
【0062】
前記フレームバッファ(FB)25bに記憶された描画データGは、例えば図5(A)に示すように、ユーザ操作に応じた表示の始点座標(DX,DY)と表示部25の表示画面サイズに応じた縦横長さ(DH×DW)に対応した表示画面領域Eとして表示コントローラ25aにより切り出され(ステップB16)、表示部25に出力されて表示される(ステップB17)。
【0063】
これにより、クライアント装置20におけるユーザ入力イベントに応じて、サーバ装置10により生成されて転送された描画データGがフレームバッファ(FB)25bに逐次更新されながら記憶され、ユーザ操作に応じた表示画面領域Eとして表示部25に表示される。
【0064】
クライアント装置20において、前記表示部25に表示される描画データGに存在する特定のオブジェクト領域(リストボックスLBやテキストボックスTB)を操作対象として指示した際に、当該オブジェクト領域を表示画面領域Eの中央に位置させて表示させたい場合には、入力部26のユーザ操作に応じて中央表示モードを設定する(ステップB3(YES))→B6)。
【0065】
前記中央表示モードの設定入力が行われると(ステップB6(YES))、当該中央表示モードの設定データ“1”がサーバ装置10へ送信され(ステップB7)、また、前記中央表示モードの設定解除の入力が行われると(ステップB6(NO))、当該中央表示モードの設定解除データ“0”がサーバ装置10へ送信される(ステップB8)。
【0066】
サーバ装置10において、前記クライアント装置20から送信された中央表示モードの設定データ“1”または設定解除データ“0”が受信されると、記憶部13内の表示管理領域13A(図3参照)に記憶管理されている当該クライアント装置20に対応するところの中央表示モードの管理データが、設定有りを示す“1”または設定無しを示す“0”にセットされる(図8のステップS3(YES)→S4,S5(NO)→S6)。
【0067】
(オブジェクト選択に伴う表示画面領域Eの変更処理)
前記サーバ装置10とクライアント装置20との制御処理に従い、当該クライアント装置20において、例えば図5(A)に示すようにリストボックスLBのタップマークMを含む描画データGの表示画面領域Eが切り出されて表示部25に表示された状態で(図10のステップB9(YES)→B12(YES)→B15〜B17)、当該リストボックスLBを開くべくユーザ操作によりタップマークMが指定入力されると、当該リストボックスLBの選択を示す入力イベント信号がサーバ装置10へ送信される(ステップB3(YES)→B4(YES)→B5)。
【0068】
サーバ装置10において、前記クライアント装置20から送信されたリストボックスLBの選択を示す入力イベント信号が受信されると(図8のステップS3(YES))、当該リストボックスLB(オブジェクト)の選択ありと判断され(ステップS4,S5(YES))、図9におけるオブジェクト選択処理へ移行される(ステップSA)。
【0069】
このオブジェクト選択処理が起動されると、当該オブジェクト選択のイベント入力が行われたクライアント装置20に対して、現在の表示画面領域Eに対応する表示領域情報(DX,DY,DW,DH)の送信を要求する信号が送信される(ステップA1)。
【0070】
クライアント装置20において、前記サーバ装置10から送信された現在の表示領域情報(DX,DY,DW,DH)の送信要求が受信されると(図10のステップB9(YES)→B10(YES))、図5(A)に示すように、現在の表示部25に表示された描画データGの表示画面領域Eを設定している表示領域情報(DX,DY,DW,DH)がサーバ装置10へ送信される(ステップB13)。
【0071】
サーバ装置10において、前記クライアント装置20から送信された表示領域情報(DX,DY,DW,DH)が受信されると(図9のステップA2(YES))、当該表示領域情報(DX,DY,DW,DH)により設定された表示画面領域E内に、今回ユーザ選択されたオブジェクト領域(この場合は、リストボックスLB(LX,LY,LW,LH))が収まるか否か判断される(ステップA3)。
【0072】
ここで、前記クライアント装置20の表示領域情報(DX,DY,DW,DH)により設定された表示画面領域E内に、今回ユーザ選択されたオブジェクト領域(LX,LY,LW,LH)が収まると判断された場合には(ステップA3(YES))、現在フレームバッファ(FB)12aに記憶されている描画データGに対して前記選択されたオブジェクトが展開描画され(図8のステップS8)、その差分画像データからなる転送用描画データがクライアント装置20へ送信される(ステップS9)。
【0073】
これにより、クライアント装置20では、前記選択されたオブジェクトの差分画像データが受信されてフレームバッファ(FB)25bに記憶されている描画データGが更新され(図10のステップB9(YES)→B12(YES)→B15)、当該描画データGが、その選択されたオブジェクト領域が表示画面領域Eに収まる状態で切り出され、表示部25に表示される(ステップB16,B17)。
【0074】
一方、前記サーバ装置10のオブジェクト選択処理におけるステップA3において、前記図5(A)で示したように、前記クライアント装置20の表示領域情報(DX,DY,DW,DH)により設定された表示画面領域E内に、今回ユーザ選択されたリストボックスLBの領域(LX,LY,LW,LH)が収まらないと判断された場合には(図9のステップA3(NO))、前記表示領域情報の横幅DWよりもリストボックスLBの横幅LWが大きいか否かにより、当該リストボックスLBのX方向の補正が必要であるか否か判断される(ステップA4)。
【0075】
ここで、前記図5(A)で示したように、リストボックスLBの横幅LWが表示領域情報の横幅DWより小さいことで、当該リストボックスLBのX方向の補正は必要ないと判断されると(ステップA4(NO))、変更後の表示領域を設定する縦横幅がそのまま変化なく(DH→DH′)(DW→DW′)として管理される(ステップA6)。
【0076】
すると続いて、表示領域情報の縦幅DH′よりもリストボックスLBの縦幅LHが大きいか否かにより、当該リストボックスLBのY方向の補正が必要であるか否か判断される(ステップA12)。
【0077】
ここで、前記図5(A)で示したように、リストボックスLBの縦幅LHが表示領域情報の縦幅DH′より小さいことで、当該リストボックスLBのY方向の補正は必要ないと判断されると(ステップA12(NO))、記憶部13の表示管理領域13Aに記憶されている管理データに基づき前記クライアント装置20が中央表示モード“1”に設定されているか否か判断される(ステップA14)。
【0078】
そして、中央表示モード“1”に設定されていると判断された場合には(ステップA14(YES))、次式(1)に従って、表示領域の横幅DWからリストボックスLBの横幅LWを引いた余りの半分を、当該リストボックスLBのX方向の始点座標LXから引いて表示画面領域EのX方向始点座標(DX′)が設定される。また次式(2)に従って、表示領域の縦幅DHからリストボックスLBの縦幅LHを引いた余りの半分を、当該リストボックスLBのY方向の始点座標LYから引いて表示画面領域EのY方向始点座標(DY′)が設定される(ステップA15)。
【0079】
DX′←LX−(DW−LW)/2 …式(1)
DY′←LY−(DH−LH)/2 …式(2)
するとこの場合、前記ステップA6およびA15において設定された変更後の表示領域情報(DX′,DY′,DW′,DH′)がクライアント装置20へ送信される(ステップA17)。
【0080】
そして、現在フレームバッファ(FB)12aに記憶されている描画データGに対して前記選択されたリストボックスLBが展開描画され(図8のステップS8)、その差分画像データからなる転送用描画データがクライアント装置20へ送信される(ステップS9)。
【0081】
これにより、クライアント装置20では、前記サーバ装置10から受信された表示領域情報(DX′,DY′,DW′,DH′)に応じて描画データGに対する表示画面領域Eが変更される(図10のステップB9(YES)→B11(YES)→B14)。そして、前記サーバ装置10から送信されたリストボックスLBの差分画像データが受信され、フレームバッファ(FB)25bに記憶されている描画データGが更新され(ステップB9(YES)→B12(YES)→B15)、当該描画データGが前記変更された表示画面領域E(DX′,DY′,DW′,DH′)に従い切り出され、図5(B)に示すように、リストボックスLBを当該表示画面領域Eの中央に位置させて表示部25に表示される(ステップB16,B17)。
【0082】
一方、前記ステップA4において、例えば図6(A)(あるいは図7(A))に示すように、リストボックスLB(テキストボックスTB)の横幅LWが表示領域情報の横幅DWより大きいことで、当該リストボックスLB(テキストボックスTB)のX方向の補正が必要であると判断された場合には(図9のステップA4(YES))、そのリストボックスLB(テキストボックスTB)の横幅LWは表示領域情報の横幅DWの3分4倍よりもさらに大きいか否か判断される(ステップA5)。
【0083】
ここで、前記リストボックスLB(テキストボックスTB)の横幅LWは、表示領域情報の横幅DWよりも大きいものの、その3分4倍を超えてはいないと判断された場合には(ステップA5(NO))、変更後の表示領域を設定する縦横幅はそのまま変化なく(DH→DH′)(DW→DW′)として管理され(ステップA7)、前記リストボックスLB(テキストボックスTB)の横幅LWが表示領域の横幅DW′に合わせて縮小補正される(ステップA9)。
【0084】
一方、前記ステップA5において、例えば図6(A)(あるいは図7(A))で示したように、リストボックスLB(テキストボックスTB)の横幅LWが、表示領域の横幅DWの3分4倍よりもさらに大きいと判断された場合には(ステップA5(YES))、図6(B)(図7(B))に示すように、現在の表示領域の横幅DWを変更後の表示領域の縦幅DH′として設定すると共に、現在の表示領域の縦幅DHを変更後の表示領域の横幅DW′として設定することで、描画データGに対する表示画面領域Eの縦横方向を回転させる(ステップA8)。そして、前記リストボックスLB(テキストボックスTB)の横幅LWが前記回転された表示領域の横幅DW′に合わせて縮小補正される(ステップA9)。
【0085】
すると、当該オブジェクト選択処理は、前記リストボックスLBを操作対象とするためのタップマークMの指定操作に応じた入力イベントにより実行されているのか否か、つまり当該リストボックスLBの選択処理であるのか前記テキストボックスTBの選択処理であるのかが判断される(ステップA10)。
【0086】
ここで、前記タップマークMの指定操作に応じたリストボックスLBの選択処理であると判断された場合には(ステップA10(YES))、当該リストボックスLB内に記述されている各テキストデータのフォントサイズが、当該リストボックスLBの横幅DW′をそのリスト中の各項目のうちの最大文字数で割ったフォントサイズに変更される(ステップA11)。これにより、前記ステップA9において縮小補正されたリストボックスLBの横幅LWに合わせて、各リスト内のテキストデータが適切に収まるように調整される。
【0087】
この後、ステップA12において、前記リストボックスLB(あるいはテキストボックスTB)の縦幅LHが表示領域情報の縦幅DH′より大きいことで、当該リストボックスLB(テキストボックスTB)はY方向の補正も必要であると判断された場合には(ステップA12(YES))、そのリストボックスLB(テキストボックスTB)の縦幅LHが前記表示領域の縦幅DH′に合わせて縮小補正される(ステップA13)。
【0088】
そして、中央表示モード“1”に設定されていないと判断された場合には(ステップA14(NO))、例えば図6(B)に示すように、前記リストボックスLB(テキストボックスTB)の描画始点座標(LX,LY)が、そのまま変更後の表示画面領域Eの表示始点座標(DX′,DY′)として設定される(ステップA16)。
【0089】
すると、前記図6で示したリストボックスLB、あるいは前記図7で示したテキストボックスTBの場合には、前記ステップA8〜A14→A16において設定された変更後の表示領域情報(DX′,DY′,DW′,DH′)がクライアント装置20へ送信される(ステップA17)。
【0090】
そして、現在フレームバッファ(FB)12aに記憶されている描画データGに対して前記選択されたリストボックスLB(テキストボックスTB)が展開描画され(図8のステップS8)、その差分画像データからなる転送用描画データがクライアント装置20へ送信される(ステップS9)。
【0091】
これにより、クライアント装置20では、前記サーバ装置10から受信された表示領域情報(DX′,DY′,DW′,DH′)に応じて描画データGに対する表示画面領域Eが変更される(図10のステップB9(YES)→B11(YES)→B14)。そして、前記サーバ装置10から送信されたリストボックスLB(テキストボックスTB)の差分画像データが受信され、フレームバッファ(FB)25bに記憶されている描画データGが更新される(ステップB9(YES)→B12(YES)→B15)。そして、当該描画データGが前記回転・変更された表示画面領域E(DX′,DY′,DW′,DH′)に従い切り出され、図6(B)(あるいは図7(B))に示すように、リストボックスLB(テキストボックスTB)を当該回転された表示画面領域Eの始点位置を合わせて(DX′,DY′=LX,LY)表示部25に表示される(ステップB16,B17)。
【0092】
この後、クライアント装置20において、前記サーバ装置10との接続を終了する操作が行われると(ステップB18(YES))、当該サーバ装置10に対して接続終了処理信号が送信される(ステップB19)。そして、サーバ装置10において、前記クライアント装置20から送信された接続終了処理信号が受信されると(図8のステップS7(YES))、当該クライアント装置20との接続が終了される(ステップS10)。
【0093】
したがって、前記構成のサーバベース・コンピューティング・システムにおける選択オブジェクト対応表示機能によれば、クライアント装置20に表示されている描画データ上で特定のオブジェクト(リストボックスLBやテキストボックスTB)が操作対象として選択されると、サーバ装置10において描画更新されるオブジェクトが前記クライアント装置20における現在の表示画面領域Eに収まるか否か判断される。そして前記描画更新されるオブジェクトが前記クライアント装置20における現在の表示画面領域Eに収まらないと判断された場合には、前記描画データ上に描画更新されるオブジェクトが前記クライアント装置20の表示画面領域Eに収まるように、その描画データに対する表示画面領域Eの始点座標(DX′,DY′)と縦横幅(DH′×DW′)の変更情報が生成されて前記クライアント装置20へ送信(通知)される。
【0094】
これにより、クライアント装置20では、サーバ装置10により描画更新されて転送された描画データ上のオブジェクトに合わせて表示画面領域Eが変更され表示部25に表示されるので、当該クライアント装置20が携帯端末(20M,20P)などであってその表示画面が小さい場合でも、表示画面領域Eの変更操作を行う必要なく、ユーザが操作対象としたオブジェクトの領域を容易に表示させることができる。
【0095】
また、前記構成のサーバベース・コンピューティング・システムにおける選択オブジェクト対応表示機能によれば、サーバ装置10において描画更新されるオブジェクトの横幅LWがクライアント装置20の表示画面領域Eの横幅DWよりも大きい場合には、当該オブジェクトの横幅LWが表示画面領域Eの横幅DWに合わせて縮小補正され、さらに、同オブジェクトの縦幅LHがクライアント装置20の表示画面領域Eの縦幅DHよりも大きい場合には、当該オブジェクトの縦幅LHが表示画面領域Eの縦幅DHに合わせて縮小補正される。
【0096】
また、前記構成のサーバベース・コンピューティング・システムにおける選択オブジェクト対応表示機能によれば、縦長の表示画面領域Eを有するクライアント装置20であって、サーバ装置10において描画更新されるオブジェクトの横幅LWが前記クライアント装置20の表示画面領域Eの横幅DWよりも大きい場合には、描画データに対する表示画面領域Eを90度回転させた始点座標(DX′,DY′)と縦横幅(DH′×DW′)の変更情報が生成されて前記クライアント装置20へ送信(通知)される。
【0097】
これにより、クライアント装置20が携帯端末(20M,20P)などであってその表示画面が小さい場合でも、表示画面領域Eの変更操作を行う必要なく、ユーザが操作対象としたオブジェクトの領域を当該表示画面領域E内に確実に収めて表示させることができる。
【0098】
さらに、前記構成のサーバベース・コンピューティング・システムにおける選択オブジェクト対応表示機能によれば、前記サーバ装置10において描画更新されるオブジェクトがリストボックスLBであって、当該リストボックスLBの横幅LWが表示画面領域Eの横幅DWに合わせて縮小補正された場合には、当該縮小補正されたリストボックスLBの横幅LW(=DW)に合わせて該リスト中に記述された文字データのフォントサイズが変更されるので、ユーザが操作対象としたリストボックスLBを当該表示画面領域E内に確実に収めて表示させることができる。
【0099】
(他の実施形態)
前記実施形態のサーバベース・コンピューティング・システムでは、クライアント装置20からの入力イベントに応じてサーバ装置10により生成した描画データGを、当該サーバ装置10からイベント入力元のクライアント装置20へ転送し、該クライアント装置20において、その表示部25に対応した表示画面領域Eに切り出して表示する構成となっている。このため、前記サーバ装置10は、前記クライアント装置20に表示されている描画データ上で特定のオブジェクトが操作対象として選択された場合(ステップS5(YES))、当該サーバ装置10において描画更新されるオブジェクトが前記クライアント装置20における表示画面領域Eに収まるように、その描画データに対する表示画面領域Eの始点座標(DX′,DY′)と縦横幅(DH′×DW′)の変更情報を生成して前記クライアント装置20へ送信(通知)した(ステップSA)。
【0100】
これに対し、他の実施形態のサーバベース・コンピューティング・システムとして、クライアント装置20は、その入力イベントのサーバ装置10への送信毎に、当該サーバ装置10により生成される描画データG上での現在の表示画面領域Eの位置およびサイズの情報(DX,DY,DW,DH)を送信し、前記サーバ装置10は、前記入力イベントに応じて生成した描画データGから前記現在の表示画面領域Eの位置およびサイズの情報(DX,DY,DW,DH)に対応した部分の描画データを切り出し、前記イベント入力元のクライアント装置20へ転送してその表示部25に表示させるものがある。
【0101】
なお、クライアント装置20で表示される表示画面領域Eの位置およびサイズの情報は、その初期情報を予めサーバ装置10に記憶しておき、サーバ装置10は、前記クライアント装置20から送信された入力イベントを受信する毎に前記初期情報に基づき該クライアント装置20の表示画面領域Eの位置およびサイズの情報(DX,DY,DW,DH)を算出してもよい。
【0102】
このような他の実施形態のサーバベース・コンピューティング・システムにおいて、クライアント装置20により描画データ上の特定のオブジェクトが操作対象として選択された場合、サーバ装置10は、当該サーバ装置10により描画更新される前記特定のオブジェクトが前記クライアント装置20の表示画面領域Eに収まるように、その描画データに対する表示画面領域Eの始点座標(DX′,DY′)と縦横幅(DH′×DW′)の変更情報を生成し(図9のステップA2〜A16)、この変更後の表示画面領域Eに対応する部分の描画データを切り出して前記クライアント装置20へ転送する構成にする。これにより、この他の実施形態のサーバベース・コンピューティング・システムにあっても、前記実施形態と同様に、クライアント装置20が携帯端末(20M,20P)などであってその表示画面が小さい場合でも、表示画面領域Eの変更操作を行う必要なく、ユーザが操作対象としたオブジェクトの領域を容易に表示させることができる。
【0103】
なお、前記各実施形態において記載したサーバベース・コンピューティング・システムによる各処理の手法、すなわち、図8のフローチャートに示すサーバ装置10の制御処理、図9のフローチャートに示す前記サーバ装置10の制御処理に伴うオブジェクト選択処理、図10のフローチャートに示すクライアント装置20の制御処理等の各手法は、何れもコンピュータに実行させることができるプログラムとして、メモリカード(ROMカード、RAMカード等)、磁気ディスク(フロッピディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM、DVD等)、半導体メモリ等の外部記録媒体18a,28aに格納して配布することができる。そして、サーバ装置10やクライアント装置20のコンピュータ(CPU11,21)は、この外部記録媒体18a,28aに記憶されたプログラムを記憶装置(メモリ12,22や記憶部13,23)に読み込み、この読み込んだプログラムによって動作が制御されることにより、前記各実施形態において説明した選択オブジェクト対応表示機能を実現し、前述した手法による同様の処理を実行することができる。
【0104】
また、前記各手法を実現するためのプログラムのデータは、プログラムコードの形態として通信ネットワーク(N)上を伝送させることができ、この通信ネットワーク(N)に接続されたコンピュータ装置(プログラムサーバ)から前記のプログラムデータを取り込んで記憶装置(メモリ12,22や記憶部13,23)に記憶させ、前述した選択オブジェクト対応表示機能を実現することもできる。
【0105】
なお、本願発明は、前記各実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。さらに、前記各実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、各実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されたり、幾つかの構成要件が異なる形態にして組み合わされても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除されたり組み合わされた構成が発明として抽出され得るものである。
【符号の説明】
【0106】
10 …サーバ装置
20 …クライアント装置(携帯端末)
11,21…CPU
12,22…メモリ
12a,12b,…仮想フレームバッファ(FB)
13,23…記憶部
13A…表示管理領域
14,24…送受信制御部
15,25…表示部
25a…表示コントローラ
25b…フレームバッファ(FB)
16,26…入力部
17,27…バス
18,28…記憶媒体読み書き部
18a,28a…外部記憶媒体
N …ネットワーク
AP …アクセスポイント
G …描画データ
E …表示画面領域
LB …リストボックス
M …タップマーク
TB …テキストボックス
F …フォーカスマーク



【特許請求の範囲】
【請求項1】
クライアント装置からの入力イベントに応じて描画データを生成する描画データ生成手段と、この描画データ生成手段により生成された描画データを前記クライアント装置へ送信する描画データ送信手段とを有するサーバベース・コンピューティング・システムのサーバ装置であって、
前記クライアント装置からの入力イベントが前記描画データに含まれるオブジェクトの選択であるか否かを判断するオブジェクト選択判断手段と、
このオブジェクト選択判断手段により前記クライアント装置からの入力イベントがオブジェクトの選択であると判断された場合に、当該クライアント装置に対して前記描画データ上での表示画面領域を設定している表示領域情報の送信を要求する送信要求手段と、
この送信要求手段による表示領域情報の送信要求に応答して前記クライアント装置から送信された表示領域情報を取得する表示領域情報取得手段と、
この表示領域情報取得手段により取得された表示領域情報に応じた表示画面領域に前記描画データ上で選択されたオブジェクトの領域が収まるか否かを判断するオブジェクト収まり判断手段と、
このオブジェクト収まり判断手段により前記表示領域情報に応じた表示画面領域に前記描画データ上で選択されたオブジェクトの領域が収まらないと判断された場合に、当該オブジェクトの領域が表示画面領域に収まり、且つ、当該オブジェクトの領域が表示画面の中央になるようにその表示領域情報を変更する表示領域情報変更手段と、
この表示領域情報変更手段により変更された表示領域情報を前記クライアント装置へ送信する表示領域情報送信手段と、
を備えたことを特徴とするサーバ装置。
【請求項2】
前記表示領域情報取得手段により取得された表示領域情報に応じた表示画面領域よりも前記描画データ上で選択されたオブジェクトの領域が大きいか否かを判断する領域サイズ判断手段と、
この領域サイズ判断手段により前記表示画面領域よりも前記描画データ上で選択されたオブジェクトの領域が大きいと判断された場合に、当該描画データ上のオブジェクトの領域を前記表示画面領域に合わせて縮小するオブジェクト領域縮小手段と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載のサーバ装置。
【請求項3】
前記表示領域情報変更手段は、前記表示領域情報の縦横を回転して変更する表示領域情報回転変更手段を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のサーバ装置。
【請求項4】
前記オブジェクト領域縮小手段により前記描画データ上のオブジェクトの領域が前記表示画面領域に合わせて縮小された場合に、当該オブジェクトの領域に記述されている文字のフォントサイズをその縮小されたオブジェクトの領域に合わせて変更するフォントサイズ変更手段をさらに備えたことを特徴とする請求項2に記載のサーバ装置。
【請求項5】
クライアント装置は、
前記サーバ装置により生成され転送された描画データを受信する描画データ受信手段と、
この描画データ受信手段により受信された描画データをクライアント装置の表示画面領域に切り出して表示する表示制御手段と、
前記サーバ装置の表示領域情報送信手段より変更された表示領域情報を受信する変更情報受信手段と、
この変更情報受信手段により前記変更された表示領域情報が受信された場合に、当該変更後の表示領域情報に対応させて前記表示制御手段で切り出す表示画面領域を変更する表示画面領域変更手段と、
を備え、請求項1に記載のサーバ装置に接続されることを特徴とする。
【請求項6】
クライアント装置からの入力イベントに応じて描画データを生成する描画データ生成手段と、この描画データ生成手段により生成された描画データを前記クライアント装置へ送信する描画データ送信手段とを有するサーバ装置のコンピュータを制御するためのプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記クライアント装置からの入力イベントが前記描画データに含まれるオブジェクトの選択であるか否かを判断するオブジェクト選択判断手段、
このオブジェクト選択判断手段により前記クライアント装置からの入力イベントがオブジェクトの選択であると判断された場合に、当該クライアント装置に対して前記描画データ上での表示画面領域を設定している表示領域情報の送信を要求する送信要求手段、
この送信要求手段による表示領域情報の送信要求に応答して前記クライアント装置から送信された表示領域情報を取得する表示領域情報取得手段、
この表示領域情報取得手段により取得された表示領域情報に応じた表示画面領域に前記描画データ上で選択されたオブジェクトの領域が収まるか否かを判断するオブジェクト収まり判断手段、
このオブジェクト収まり判断手段により前記表示領域情報に応じた表示画面領域に前記描画データ上で選択されたオブジェクトの領域が収まらないと判断された場合に、当該オブジェクトの領域が表示画面領域に収まり、且つ、当該オブジェクトの領域が表示画面の中央になるようにその表示領域情報を変更する表示領域情報変更手段、
この表示領域情報変更手段により変更された表示領域情報を前記クライアント装置へ送信する表示領域情報送信手段、
として機能させるようにしたコンピュータ読み込み可能なサーバ制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−192286(P2011−192286A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83406(P2011−83406)
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【分割の表示】特願2008−70365(P2008−70365)の分割
【原出願日】平成20年3月18日(2008.3.18)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】