説明

表示基板モジュール組立装置及びその方法

【課題】 アライメントマークに類似した形状が現れた場合にも、確実に、アライメントマークだけを選択可能な表示基板モジュール組立装置及びその方法を提供する。
【解決手段】 表示基板を搬送する搬送手段と、表示基板に付されたアライメントマークを撮像する撮像手段と、撮像手段の画像からアライメントマークをテンプレートマークとして保管し、かつ前記撮像手段の画像とテンプレートマークとの相関演算によりアライメントマークを認識する画像処理手段と、画像処理手段の出力情報に基づいて搬送手段を制御する制御手段と、画像処理手段の処理内容を表示する表示手段とを少なくとも備える表示基板モジュール組立装置は、更に、テンプレートマークとの相関値が予め設定された閾値より高いマーク候補が複数検出された場合に分別設定画面を表示手段に表示し、かつ、分別設定画面で設定された比較項目に基づいて、テンプレートマークと前記マーク候補とを比較する画像処理手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイなどのFPD (Flat Panel Display)を構成する液晶パネルの組み立て時の位置合わせに使用して好適な表示基板モジュール組立装置、及び、そのための方法に関し、特に、液晶パネルに付された位置決めマークの候補から適切なマークのみを取得処理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイなどのFPDを構成する表示パネルには、表示基板モジュール組立装置によって、その表示パネルの周囲に、例えば、ACF(異方性導電フィルム.Anisotropic Conductive Film)を始めとした様々な電子部品等が、貼付、又は、実装される。なお、かかる電子部品としては、例えば、COF(Chip On Film)やCOG(Chip On Glass)があり、電気的な接続のために、液晶パネルに対して、数μm単位の、高精度な位置決めを行う必要がある。そこで、液晶パネルや電子部品には、アライメントマークと呼ばれる位置決め用の基準点が設けられている。一方、表示基板モジュール組立装置は、このアライメントマークをカメラで撮像して、画像処理により位置を算出し、そして、液晶パネルの載置位置や電子部品の搬送位置の補正制御を行う。ここで、画像処理の範囲に、正当なアライメントマーク以外のマークや配線パターンが含まれることがあり、そのため、正当なアライメントマークのみを認識する必要がある。
【0003】
なお、以下の特許文献1には、複数の候補が認識されたときに、候補ごとの重心と主方向とから、候補が同一あるいは別体であることを認識する方法が開示されている。
【0004】
また、以下の特許文献2には、パターンマッチングと重心検出の2つの方法でそれぞれマーク位置を検出し、両者の組み合わせによって、最終的なマーク位置を決定する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−118030号公報
【特許文献2】特開2002−243412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、カメラの撮像範囲あるいは画像処理でのマーク認識範囲は、液晶パネルや電子部品のマーク出現位置のばらつきを考慮して、十分に広く設定される。そのため、撮像範囲や認識範囲には、正当なアライメントマーク以外にも、マークや液晶パネルの配線パターンなどが含まれることがある。通常、正当なアライメントマークをテンプレートマークとして登録しており、正規化相関などによるパターンマッチング等の画像処理手法により、撮像範囲又は認識範囲にある形状との相関値を演算し、その結果、相関値の高いものをアライメントマークであるとして、その位置座標が制御に使用される。ところが、正当なアライメントマーク以外のマークや配線パターンにも、当該アライメントマークに類似した形状が存在すると、複数の候補が挙げられることとなる。そして、候補の相関値に大きな違いが無い場合や、正当なアライメントマークに汚れ等が付着している場合には、誤って、類似するマークあるいは配線パターンが選択されてしまう。
【0007】
そこで、本発明は、上述した従来技術における課題に鑑みて達成されたものであり、特に、撮像範囲や認識範囲を広く設定した場合、正当なアライメントマーク以外にこれに類似するマークや配線パターンが存在しても(正当なマークであるテンプレートマークと類似したマーク候補が複数認識された場合にも)、確実に、当該アライメントマークだけを選択することが可能となる表示基板モジュール組立装置及びその方法を提供することを、その目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明によれば、表示基板を搬送する搬送手段と、前記表示基板に付されたアライメントマークを撮像する撮像手段と、前記撮像手段の画像から前記アライメントマークをテンプレートマークとして保管し、かつ前記撮像手段の画像と前記テンプレートマークとの相関演算により前記アライメントマークを認識する画像処理手段と、前記画像処理手段の出力情報に基づいて前記搬送手段を制御する制御手段と、前記画像処理手段の処理内容を表示する表示手段とを少なくとも備える表示基板モジュール組立装置において、前記画像処理手段は、更に、前記テンプレートマークとの相関値が予め設定された閾値より高いマーク候補が複数検出された場合に分別設定画面を前記表示手段に表示し、かつ、前記分別設定画面で設定された比較項目に基づいて、前記テンプレートマークと前記マーク候補とを比較する手段を備えた表示基板モジュール組立装置が提供される。
【0009】
また、本発明によれば、やはり上記の目的を達成するため、表示基板を搬送する搬送ステップと、前記表示基板に付されたアライメントマークを撮像する撮像ステップと、前記撮像手段の画像から前記アライメントマークをテンプレートマークとして保管し、かつ前記撮像手段の画像と前記テンプレートマークとの相関演算により前記アライメントマークを認識する画像処理ステップと、前記画像処理手段の処理内容を表示する表示ステップとを備える表示基板モジュール組立方法において、更に、前記テンプレートマークとの相関値が予め設定された閾値より高いマーク候補が複数検出された場合に分別設定画面を前記表示手段に表示し、かつ、前記分別設定画面で設定された比較項目に基づいて、前記テンプレートマークと前記マーク候補とを比較する画像処理ステップを備えた表示基板モジュール組立方法が提供される。
【0010】
また、本発明によれば、上述した表示基板モジュール組立装置及びその方法において、前記テンプレートマークと前記マーク候補とを、少なくとも前記分別設定画面に示された比較項目により比較判定する画像処理手段とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
上述した本発明になる表示基板モジュール組立装置及びその方法によれば、正当なマークであるテンプレートマークと類似したマーク候補が複数認識された場合においても、分別項目を設定し、その項目ごとにテンプレートマークとマーク候補を比較することによって、正当なマーク候補のみを選択することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態になる表示基板モジュール組立装置の全体構成を示す模式図である。
【図2】上記表示基板モジュール組立装置において、本発明の関わる表示基板のアライメントを行うための基本構成を示す図である。
【図3】上記表示基板モジュール組立装置において、アライメントマークおよび類似マークの一例を示す模式図である。
【図4】上記表示基板モジュール組立装置において、テンプレートマークの登録手順を示すフローチャート図である。
【図5】上記表示基板モジュール組立装置において、アライメントマークの認識手順を示すフローチャート図である。
【図6】上記表示基板モジュール組立装置において、分別設定の登録画面の一例を示す概念図である。
【図7】上記表示基板モジュール組立装置において、分別処理の手順を示すフローチャート図である。
【図8】上記表示基板モジュール組立装置において、マーク形状と比較項目との関係例を示すデータベースを示す図である。
【図9】上記表示基板モジュール組立装置における類似アライメントマークの分別手段を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態について、図1〜図9を用いて詳細に説明する。
【0014】
まず、図1は、本発明の一実施形態になる表示基板モジュール組立装置1の全体構成を示した図である。
【0015】
図1において、表示基板モジュール組立装置1は、互いに隣接する複数の処理装置101〜105により構成されており、そして、この装置では、図中の左から右に向かって、表示基板Pを、図に一点鎖線により示す搬送装置11により、順次搬送しながら、当該表示基板Pの外縁部に各種処理作業を行い、もって、電子部品(COF (Chip On Film)やCOG(Chip On Glass)等)の実装組立を行う。より具体的には、当該表示基板モジュール組立装置1は、例えば、端子クリーニング処理装置101と、ACF(Anisotropic Conductive Film)貼付処理装置102と、搭載処理装置103と、本圧着処理装置104と、そして、PCB(Printed Circuit Board)基板処理装置105を少なくとも備えている。
【0016】
端子クリーニング処理装置101は、表示基板Pの外縁部にある電子部品接続端子部を清掃する装置であり、例えば、アルコールを含浸した布テープで端子部を拭くことにより清掃する装置である。その際、搬送装置11により、表示基板Pを清掃位置に対してアライメント(位置合わせ)する。なお、以下の処理装置でも同様に、各々の処理位置へのアライメントを行う。
【0017】
ACF貼付処理装置102は、表示基板PにACFを貼付ける装置であり、例えば、端子清掃後の表示基板Pを圧着位置へアライメントし、ACFを表示基板Pに熱圧着する装置である。
【0018】
搭載処理装置103は、ACF貼付け済の表示基板Pに電子部品を搭載する装置であり、例えば、搭載処理装置103に隣接した金型部106にてCOF(Chip On Film)リールからCOFを打ち抜き、表示基板Pの搭載位置に搭載した後、ACFに仮圧着する。
【0019】
本圧着処理装置104は、表示基板Pに搭載した電子部品を加熱圧着し、ACFを熱硬化することにより電子部品を表示基板Pに固定すると共に、ACF中の導電粒子により表示基板Pと電子部品との電気的な接続を可能にする装置である。
【0020】
PCB基板処理装置105は、表示基板PにCOFを介して周辺基板であるPCB基板を実装する装置であり、例えば、PCBへACFを熱圧着した後、表示基板Pに本圧着済であるCOFの他端をPCBへ接続する。そして、搬送装置11は、以上に述べた処理装置101〜105の間で表示基板Pを搬送する装置である。
【0021】
なお、上記の図1においては、表示基板モジュール組立装置1は、その一例として、その各々の処理装置が、それぞれ、1個の装置から構成されているものと説明したが、本発明は、かかる構成にのみ限定されるものではばく、例えば、表示基板Pにおける処理すべき辺の数、処理時間等により、複数個を組み合わせて配置されてもよい。また、処理後の検査を行うため等、更に、本実施形態では図示しない処理装置を加えることも可能である。
【0022】
次に、図2には、各処理装置内において、表示基板Pのアライメントを行うための構成を示す。なお、アライメントは、各処理装置で行われるが、ここでは、その一例として、ACF貼付処理装置102において表示基板PにACFを圧着する場合について以下に説明する。
【0023】
搬送装置11は、基板搬送部材21と、アライメントカメラ22a及び22bと、画像処理機24と、画像モニタ25と、制御部26を備えている。なお、基板搬送部材21は、表示基板PをXYZθ方向に搬送する装置である。例えば、この基板搬送部材21は、表示基板Pを負圧により吸着し、そして、図示しないモータにより、X、Y、Z、θの夫々の方向に搬送する。また、図中では、基板搬送部材の待機位置が符号21Tにより、そして、基板搬送部材の圧着位置が符号21Aにより、それぞれ示されている。
【0024】
アライメントカメラ22a及び22bは、表示基板Pのアライメントマーク23a、23bを撮像するための装置であり、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)を用いたカメラにより構成されている。
【0025】
画像処理機24は、上記アライメントカメラ22により撮像された画像から表示基板Pの位置を演算する装置である。ここでは、例えば、実際の運用前に表示基板Pを撮像して得られたアライメントマーク23を、テンプレートマーク24Tとして保存する。そして、この保存されたテンプレートマーク24Tの画像と、各表示基板Pを撮像して得られたアライメントマーク23a、23bの画像とを、例えば正規化相関などの手法を用いたマッチング処理により位置を算出する装置である。
【0026】
画像モニタ25は、画像処理機24より送信された画像や演算結果を表示するための装置である。また、制御部26は、上記画像処理機24より送信される演算結果に基づき、上記基板搬送部材21の動作を制御する装置であり、例えば、PLC(Programmable Logic Controller)などを用いて構成されている。
【0027】
以上に詳述した構成によれば、まず、搬送装置11では、待機位置21Tにおいて、表示基板Pを基板搬送部材21に吸着し、そして、ACF圧着ヘッド210の圧着位置21Aの近傍へ基板Pを搬送する。アライメントカメラ22a、22bは、基板P上のアライメントマーク23a、23bを含む範囲を撮像して、その撮像データを画像処理機24へ送信する。画像処理機24は、画像からアライメントマーク23の位置を算出し、2つのアライメントマーク23の位置から表示基板Pの位置を算出する。そして、表示基板Pの外縁部にあるACF貼付位置にACF圧着ヘッド210が来るように、制御部26は基板搬送部材21を制御する。即ち、各電子部品の搭載位置へACF圧着ヘッド210を移動しながら、ACFを貼り付ける処理を行う。なお、ここでは、特に、ACF貼付処理装置102に関して説明したが、他の処理装置101〜105においても、上記と同様のアライメント動作が行われるが、ここでは、その説明は省略する。
【0028】
なお、ここでは、画像処理機24は、アライメントマーク23を用いて、表示基板Pの位置を演算するものとしてとして説明したが、上記の[発明が解決しようとする課題]でも既に述べたように、例えば、図3にも示すように、アライメントマーク23の近傍に類似マーク32が存在する場合があり、かかる場合、その位置をアライメントマークと誤認識する怖れがある。
【0029】
なお、この図3は、アライメントカメラ22の撮像エリア31内に、表示基板Pの正当なアライメントマーク23と共に、類似のマーク32a及び32bが含まれる場合を示している。ここでは、テンプレートマーク24Tと一致する正当なアライメントマーク23として十字マークを、他方、類似マーク32としては、凸字状のマークを示している。
【0030】
この凸字マークは、十字マークの一部が欠けただけであるため、相関値が高く、正規化相関の手法のみでは分離できないことがある。特に、正当なアライメントマークにも生じる汚れや欠け等を考慮して許容範囲を設定した場合には、正当なアライメントマークと認めるための相関値の閾値も低く設定されることから、これらを正確に分離し難くなるという現象が起こる。なお、ここでは、その一例として、十字マークと凸字マークを示したが、しかしながら、この例に限定されるものではない。
【0031】
そして、本発明では、このような類似マークを正確かつ確実に分別するために、図4及び図5に示すフローチャートの処理を実行する。
【0032】
図4は、例えば、装置の実際の運用前の時点等において、テンプレートマークを登録設定するときの手順である。
【0033】
まず、上記の図3に示した撮像エリア31のように、アライメントカメラ22で表示基板Pを撮像し、正当なアライメントマーク23を指定して、テンプレートマーク24Tを設定する(S401)。次に、撮像エリア31からテンプレートマーク24Tと相関値が高いマーク候補を探索するため、マークサーチを実行する(S402)。
【0034】
ここで、マーク候補が1個であるか否かを判定し(S403)、その結果、1個であると判定されれば(S403で「Y」)、誤認識される可能性が無いため、そのままテンプレートマーク24Tとして登録される。
【0035】
一方、マーク候補が複数の場合には(S403で「N」)、分別するための条件を設定する分別設定へ移行する(S404)。そして、再度、上述したマークサーチを実行し(S402)、マーク候補が1個に絞れるまで、上述した分別設定を繰り返す。なお、この分別設定を繰り返しても、マーク候補が1個にならない場合は、上記のテンプレートマーク設定から、再度、やり直す。このような手順により、誤認識し難いテンプレートマーク24Tが設定されることとなる。
【0036】
次に、実際の運用時におけるアライメント手順を、図5を参照しながら、以下に説明すると共に、上述の分別設定の詳細についても説明する。
【0037】
まず、マークサーチを行う(S411)。ここでは、正規化相関などの手法により、テンプレートマーク24Tと撮像エリア31との相関値を算出し、その結果、予め設定した閾値Aよりも高い相関値を有するマークを候補とする。その後、マーク候補の有無を判定する(S412)。
【0038】
上記の判定の結果、マーク候補が無いと判定された場合(S412で「N」)、再サーチ実施の有無を判断する(S413)。なお、ここで、再びサーチを実施する場合には(S413で「Y」)、表示基板Pの位置を移動する等の処理を行った後、再び、上記マークサーチ(S411)を実行する。他方、再サーチを実施しない場合には(S413で「N」)、マークサーチエラーとして処理を終了する。
【0039】
次に、上記の判定の結果、マーク候補がある場合には(S412で「Y」)、マーク候補が1個であるか否かを判定し(S414)、その結果、マーク候補が1個であれば(S414で「Y」)、正当なマークが確定したものとして、当該マークの位置情報を取得して(S415)、処理を終了する。
【0040】
一方、ここで、マーク候補が複数個ある場合には(S414で「N」)、最も高い相関値と第2位の相関値との比率である以下の相関比率を計算する(S416)。
相関比率 = (第2位の相関値 ÷ 第1位の相関値)・・・<式1>
【0041】
この相関比率が予め設定した閾値Bよりも高いか否かを判定し(S417)、その結果、閾値Bよりも低ければ(S417で「N」)、マーク形状が有意な差をもって分別できたとみなして、第1位の相関値のマーク位置情報を取得して処理を終了する(S415)。他方、この相関比率が閾値Bより大きければ(S417で「Y」)、マーク形状が類似しているものとみなし、類似マーク処理に入る。
【0042】
なお、この類似マーク処理では、まず、マーク分別の設定の有無を確認する(S418)。この分別設定については、以下に図6を用いながら詳述するが、取得すべきマークの形態と一致レベルとを設定するものである。
【0043】
この分別設定がされていない場合には(S418で「N」)、分別設定を依頼する旨のメッセージを、例えば、上記の画像モニタ25上に表示して、分別設定を再設定(以下、単に「分別再設定」)するか否かを判定する(S422)。その結果、分別再設定を行う場合には(S422で「Y」)、分別設定を実施(S423)した後に、分別処理を行う(S419)。あるいは、分別設定を実施しない場合には(S422で「N」)、撮像エリア31の中でマーク探索を行うサーチエリアの見直しを依頼するメッセージを表示した後、再サーチの有無を判断する(S413)。
【0044】
続いて、上記の分別設定がされている場合には(S418で「Y」)、分別処理を実施する(S419)。なお、この分別処理の具体例については、以下において、図6〜図9を用いて後述する。
【0045】
そして、この分別処理(S419)を実施した後、分別処理がマーク候補の全てに対して実施されたか否かを判定し(S420)、その結果、マーク候補の全てに対して実施されたと判定された場合には(S420で「Y」)、更に、残ったマーク候補の数を確認する。即ち、マーク候補が1個であるか否かを確認し(S421)、その結果、残ったマーク候補が1個であれば(S421で「Y」)、正当なマークが確定したので、該当するマークの位置情報を取得して(S415)、処理を終了する。一方、残ったマーク候補が複数であれば、類似マークが分別できていないので、条件を見直すため、再度、分別設定のための上記の処理(S422)に移行する。
【0046】
ここで、本発明の特徴を構成する分別処理の具体例について、図6〜図9を用いて説明する。なお、図6は、分別設定画面の一例であり、図7は、上述した分別処理(図5のS419)の詳細を示すフロー図であり、図8は、比較項目対応データベース、そして、図9は、類似マークの具体例を、それぞれ、示している。
【0047】
まず、図6に示される分別設定画面5は、例えば、上記図2の画像モニタ25上に表示される画面であり、少なくとも、辞書登録したテンプレートマーク24Tのマーク形態51と、分別の際に着目する項目について、許容する分別レベルの範囲を設定する分別レベル設定52と、上記設定を画像処理機24に当該のテンプレートマーク24Tと組合せて登録する登録ボタン53aと、上記設定を破棄する取消ボタン53bとを備えている。
【0048】
マーク形態51は辞書登録したテンプレートマーク24Tに対して、当該マーク形態を選択する設定であって、マーク形状とマーク色とを設定する。例えば、マーク形状について述べると、十字マークを取得したい場合は十字マークの項目51cを選択する。また、辞書登録したテンプレートマーク24Tに近いマーク形状が設定に無かった場合には、指定無の項目51eを選択する。
【0049】
同様に、マーク色について述べると、辞書登録したテンプレートマーク色を選択する設定であって、例えば、十字マークの背景が黒、マークパターンが白の十字であった場合、マーク色が白の項目51fを選択する。十字マークの背景が白、マークパターンが黒の十字であった場合、マーク色が黒の項目51gを選択する。また、辞書登録したテンプレートマークのマーク色が判別しがたい場合、指定無の項目51hを選択する。
【0050】
分別レベル設定52は、辞書登録したテンプレートマーク24Tにて、分別の際に着目する項目パラメータと許容する分別レベルの範囲設定であって、サイズ52b、アスペクト比(マークの縦と横の長さの比)52c、面積52dに対し、一括設定52a、及び、各々に個別設定である高/中/低/無/を設定する。例えば、アスペクト比52cを「低」と限定した場合、テンプレートマーク24Tに対して撮像したアライメントマーク23のアスペクト比が±15%の範囲を許容する。
【0051】
登録ボタン53aは上記51〜52の設定を画像処理機24に当該のテンプレートマーク24Tと組合せて登録するボタンである。取消ボタン53bは上記51〜52の設定を破棄し、テンプレートマークに対して最後に登録されていた分別設定画面5の状態に戻すボタンである。また、上述した分別処理(図5のS419)は、以上のマーク形態51から分別レベル設定52の設定を基に実行されるアルゴリズムである。
【0052】
なお、ここでは、上記の図6において、マーク形態51、分別レベル設定52を示したが、本発明は、この具体例に限定されるものではなく、取扱うアライメントマークの形態や、運用環境からの外乱により追加および削除、変更されることは、当業者であれば明らかであろう。
【0053】
次に、図7により、上述した分別処理(図5のS419)の詳細について説明する。
【0054】
まず、マーク形態51の設定に従い、比較項目を選択する(S601)。ここで、比較項目の選択には、図8に示すような、対応データベース7を使用する。
【0055】
対応データベース7は、取得すべきマーク形状に対して、マッチング手法の性質に依存して誤認識しやすい形状を事前に評価した結果から、それらを分別するための比較項目を対応づけたデータが記録されている。図8において、Yと記載された箇所が分別に使用する比較項目であり、例えば十字マークの場合、アスペクト比のみを比較項目とする設定である。このように効果的な比較項目のみを実行することにより、処理時間を短縮できる。
【0056】
ここで選択された全ての項目に関して、以下の手順で比較する。まず、全ての項目についての比較が終了したか否かを判定し(S602)、その結果、全ての項目についての比較が終了していれば(S602で「Y」)、正当マークとして設定し(S603)、テンプレートマーク24Tについて比較項目のパラメータ値を計算する。
【0057】
これに対し、全ての項目についての比較が終了していない場合には(S602で「N」)、マーク候補について、同様に、比較項目のパラメータ値を計算する(S604)。そして、両者の差異を計算し、分別レベル設定52で指定された範囲と比較する(S605)。次に、分別レベル設定52に従って項目パラメータを比較し、範囲内であるか否かを判定する(S606)。その結果、範囲外であれば(S606で「N」)、当該のマーク候補はNGとして処理を終了する。他方、範囲内であれば(S606で「Y」)、上記の処理S602に戻り、即ち、当該のマーク候補について、1つの比較項目はOKとして、すべての項目を比較するまで処理を繰り返す。即ち、この処理では、すべての項目を比較してOKであれば、正当なマークと設定する(S603)こととなる。
【0058】
ここで一例として、図9(a)、(b)に示すような、テンプレートマーク24Tが十字マークであり、類似マークが凸字マークである場合を用いて、具体的な処理の流れを説明する。
【0059】
まず、上記の図3に示すように正当マーク23と類似マーク32の2つのマークが撮像エリア31に入った場合、マークサーチ(図5のS411)の結果として、マーク候補あり(S412)、マーク候補が複数個あり(S414)、相関比率と閾値Bとの比較(S417)の分岐を経て、分別設定の有無判定(S418)に進む。分別設定画面5により、マーク形態51と分別レベル設定52が設定されていると(S418で「Y」)、分別処理(S419)に進む。
【0060】
そして、図7に示した分別処理においては、比較項目の選択(S601)では、対応データベース7を参照する。この対応データベース7には、十字マークの場合、凸字マークと誤認識し易いことが事前評価により分かっており、分別のためには、アスペクト比を比較することが定められている。
【0061】
そこで、アスペクト比を比較する(S602)。
【0062】
テンプレートマーク24Tのアスペクト比を求めるため、図9(a)に示すように、十字マークを縦横方向に投影し、横長さa1と縦長さb1を求め、アスペクト比を(b1÷a1)で計算する(S604)。正当マーク23は、テンプレートマーク24Tと同形状なので省略する。同様に、類似マーク32のアスペクト比を求めるため、図9(b)に示すように、凸字マークを縦横方向に投影し、横長さa2と縦長さb2とを求め、アスペクト比を(b2÷a2)で計算する。以下の表1に、アスペクト比計算と、分別レベル設定52のアスペクト比52cのレベル「低」を反映させた値の一例を示す。なお、レベル「低」とは仮に±15%を許容するものとした。
【0063】
【表1】

【0064】
まず、マーク候補1(正当なアライメントマーク23)はアスペクト比が1.00であり、アライメントマーク24Tの項目パラメータ範囲0.85〜1.15に含まれるためOKと判断する(S606)。本例では、アスペクト比のみで項目比較が全てなので(S602)、正当マークであると設定して(S603)、処理を終了する。
【0065】
次にマーク候補2(類似マーク32)があるので(S420)再度分別処理(S409)を実施する。マーク候補2(類似マーク32)は、上記の表1に示すように、アスペクト比が1.50であり、アライメントマーク24Tの項目パラメータ範囲0.85から1.15に含まれないためNGと判断して(S606)、処理を終了する。
【0066】
以上の分別処理において、正当マークは1個であったため(S421)、マーク候補1(正当マーク23)の位置情報を取得して(S415)、処理を終了する。
【0067】
このように、マーク形態51と分別レベル設定52とを設けることにより、処理時間が早く、かつ誤認識の少ないマーク認識を実現できる。
【0068】
なお、マーク形態51の指定画面においては、取扱得る全てのマーク形状をあげておき、選択しうることが望ましいが、実用においては、新規のマーク形状が出現することが考えられる。そのため、指定無51eなどのマーク形状に依存しない選択肢を設ける。この指定無51eが選択された場合、対応データベース7の設定としては全ての項目について比較を行うものとする。本発明では、処理機能を開発した後に登録されたテンプレートマーク24Tと、アライメントマーク23や類似マーク32を比較するため、指定無であっても処理が可能である。
【符号の説明】
【0069】
1…表示基板モジュール組立装置、5…分別設定画面、7…対応データベース、11…搬送装置、21…基板搬送部材、22…アライメントカメラ、23…アライメントマーク、24…画像処理機、25…画像モニタ、26…制御部、31…撮像エリア、32…類似マーク、51…マーク形態、52…分別レベル設定、53…ボタン、101…端子クリーニング処理装置、102…ACF貼付処理装置、103…搭載処理装置、104…本圧着処理装置、105…PCB基板処理装置、106…金型部、210…ACF圧着ヘッド。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示基板を搬送する搬送手段と、
前記表示基板に付されたアライメントマークを撮像する撮像手段と、
前記撮像手段の画像から前記アライメントマークをテンプレートマークとして保管し、かつ前記撮像手段の画像と前記テンプレートマークとの相関演算により前記アライメントマークを認識する画像処理手段と、
前記画像処理手段の出力情報に基づいて前記搬送手段を制御する制御手段と、
前記画像処理手段の処理内容を表示する表示手段とを少なくとも備える表示基板モジュール組立装置において、
前記画像処理手段は、更に、前記テンプレートマークとの相関値が予め設定された閾値より高いマーク候補が複数検出された場合に分別設定画面を前記表示手段に表示し、かつ、前記分別設定画面で設定された比較項目に基づいて、前記テンプレートマークと前記マーク候補とを比較する手段を備えたことを特徴とする表示基板モジュール組立装置。
【請求項2】
前記請求項1に記載の表示基板モジュール組立装置において、
前記画像処理手段は、前記テンプレートマークとの相関値が予め設定された閾値より高いマーク候補が複数検出され、かつ前記マーク候補で第2位の相関値を最も高い相関値で除算した値が予め設定された閾値より高い場合に、前記分別設定画面を前記表示手段に表示し、かつ、前記分別設定画面で設定された比較項目に基づいて前記テンプレートマークと前記マーク候補とを比較する前記画像処理手段を備えていることを特徴とする表示基板モジュール組立装置。
【請求項3】
前記請求項1又は2に記載の表示基板モジュール組立装置において、
前記画像処理手段の前記分別設定画面において、前記比較項目は、前記テンプレートマークと前記マーク候補との一致度を選択できるように構成したことを特徴とする表示基板モジュール組立装置。
【請求項4】
前記請求項1〜3のうちの一の請求項に記載の表示基板モジュール組立装置において、
前記画像処理手段は、更に、比較項目対応データベースを備えており、
前記分別設定画面で設定されたマーク形態に従って、前記比較項目が選択的に比較される画像処理手段であることを特徴とする表示基板モジュール組立装置。
【請求項5】
前記請求項3又は4に記載の表示基板モジュール組立装置において、
前記画像処理手段の前記分別設定画面において、前記分別設定画面にマーク形態を指定しない選択肢が設けられており、前記テンプレートマークと前記マーク候補とを全ての比較項目で比較する画像処理手段を構成していることを特徴とする表示基板モジュール組立装置。
【請求項6】
表示基板を搬送する搬送ステップと、
前記表示基板に付されたアライメントマークを撮像する撮像ステップと、
前記撮像手段の画像から前記アライメントマークをテンプレートマークとして保管し、かつ前記撮像手段の画像と前記テンプレートマークとの相関演算により前記アライメントマークを認識する画像処理ステップと、
前記画像処理手段の処理内容を表示する表示ステップとを備える表示基板モジュール組立方法において、
更に、前記テンプレートマークとの相関値が予め設定された閾値より高いマーク候補が複数検出された場合に分別設定画面を前記表示手段に表示し、かつ、前記分別設定画面で設定された比較項目に基づいて、前記テンプレートマークと前記マーク候補とを比較する画像処理ステップを備えたことを特徴とする表示基板モジュール組立方法。
【請求項7】
前記請求項6に記載の表示基板モジュール組立方法において、
前記分別設定画面において、前記分別設定画面にマーク形態を指定しない選択肢が設けられており、前記テンプレートマークと前記マーク候補とを全ての比較項目で比較する画像処理ステップを構成していることを特徴とする表示基板モジュール組立方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−185361(P2012−185361A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−48863(P2011−48863)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】