説明

表示用パネル

【課題】 耐風圧強度、外観及び加工適正の改善された表示用パネル、中でも、表面に再帰反射シートが設置されており昼間および夜間において均一な外観の表示用パネルを供給をすることを特徴とする。
【解決手段】 少なくとも2枚以上の平行な表面を有する矩形パネルが端部を嵌合されてなる嵌合パネル表面にグラフィック情報を有するプラスチック製シートが設置されてなる表示用金属パネルにおいて、該矩形パネルの端部にパネル表面に垂直で端部に平行な2組み以上の凹形状の溝構造と凸形状の突起構造を有しており、該溝構造と該突起構造が互に組み合わされた嵌合構造を形成し、該嵌合構造が結合手段によりパネル表面に垂直な方向に押し拡げられ、連接する矩形パネルの表面が実質的に同一平面に強固に固定されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも2枚以上の平行な表面を有する矩形パネルが端部を嵌合されてなる嵌合パネル表面にグラフィック情報を有するプラスチック製シートが設置されてなり、商業標識や交通標識などに好ましく用いることのできる表示用パネルに関する。
【0002】
詳しくは、少なくとも2枚以上の平行な表面を有する矩形パネルが端部を嵌合されてなる嵌合パネル表面にグラフィック情報を有するプラスチック製シートが設置されてなる表示用パネルにおいて、該矩形パネルの端部にパネル表面に垂直で端部に平行な2組み以上の凹形状の溝構造と凸形状の突起構造を有しており、該溝構造と該突起構造が互に組み合わされた嵌合構造を形成し、該嵌合構造が結合手段によりパネル表面に垂直な方向に押し拡げられ、連接する矩形パネルの表面が実質的に同一平面に強固に固定されることを特徴とする表示用パネルに関する。
【0003】
さらに詳しくは、改善された耐風圧強度、優れた表示用パネルの平面性と均一な外観、容易な表示用パネル組立て加工適正を有する表示用パネルに関する。
【0004】
さらに詳しくは、表示用パネル表面に再帰反射シートが設置されており昼間および夜間において均一な外観を有し、特に夜間において自動車のヘッドライトの光を表示用パネルの全域にわたって均一に再帰反射するために夜間における均一な外観を有する表示用パネルに関する。
【背景技術】
【0005】
少なくとも2枚以上の平行な表面を有する矩形パネルが端部を嵌合されてなる嵌合パネル表面にグラフィック情報を有するプラスチック製シートが設置されてなり、商業標識や交通標識などに好ましく用いることのできる表示用パネルに関しては従来からいくつかの提案がなされている。
【0006】
このような表示用パネルは特に交通標識においては押出型材パネル(Extruded panel)としてよく知られ知られている。
【0007】
例えば、アイケーシーの特開2006−52627(特許文献1)には、複数枚の小パネル(10a〜10j)を上下又は左右の一方向に組み合わせて構成する標識用パネルであって、前記小パネルは上下又は左右端部に一対の接続部(12,13)を有し、前記各接続部は突起部(121〜123;131〜134)または溝部(129,138,139)を有し、これら突起部または溝部を嵌合させることにより、前記各小パネルを連結させたことを特徴とする標識用パネル(10)が記載されている。
【0008】
さらに、特許文献1には、パネルの裏面から断面T字型部材、L字型部材及びH字型部材のいずれかを取り付けた補強材についても記載されている。
【0009】
さらにまた、特許文献1には、前記の小パネルが長手方向に伸びる断面C字型の溝を有することや、該小パネルを少なくとも2つ使用して全体パネルを構成し、補強部材の下部と全体パネルとを押さえ金具で押さえる方法についても記載されており、押さえ金具はボルト孔を有し、この孔にボルトを挿通させ、前記小パネルのC字型溝の上壁をボルト頭部とボルトナットにより締め付けることも記載されている。
【0010】
さらにまた、特許文献1の段落[0011]には、『前記小パネルは上下又は左右端部に一対の接続部を有する。各接続部は突起部又は溝部を有する。強度を高めるため、各接続部にはそれぞれ突起部又は溝部を2〜4個設け、嵌合箇所を複数個(たとえば2〜3個)とするのが好ましい。』と記載され、矩形パネルの端部にパネル表面に垂直で端部に平行な2組み以上の凹形状の溝構造と凸形状の突起構造を有していることも記載されている。
【0011】
また、積水樹脂の特開2001−3320(特許文献2)には、開口縁が内方に突出され、ボルトの頭部やナットが摺動可能に挿入されるレール溝が上面両側に長手方向に沿って設けられた長方形状のパネルの高架構造物の桁裏面への取付構造であって、各パネルは、一方のレール溝の両端部は、梁材のフランジに戴置された取付部材によって梁材に支持されると共に、他方のレール溝の両端部は、レール溝に頭部を挿入した取付ボルトが梁材に穿設された取付孔に挿入されて梁材に固定され、前記取付部材は、取着孔が穿設され、この取着孔及びレール溝を利用してボルト、ナットによりパネルに摺動可能に取着される基板部と、その基板部の先端より下方に垂下され、先に梁材に固定された連接する他のパネルのレール溝に挿入されて、パネルを連接する他のパネルに連結支持させる挿入片部と、一側部より立ち上げられて側方に突出され、梁材のフランジに戴置させる突出片部とを有することを特徴とするパネルの取付構造が記載されている。
【0012】
また、松下電工の特開2006−6367(特許文献3)には、キャビネットの前面パネルの横方向に凹設され、前面に開口する側断面視略コ字型の溝部に嵌合されるハンギング構造であって、該ハンギング構造は側面視L字型の圧接面と、この圧接面に連接する保持片とを備えた保持部と、上記溝部に遊嵌合するとともに上記保持部を係止する係止部とから構成され、該係止部は、固定用ネジが螺入するネジ孔を備えた前面板とこの前面板の上下に各々付設された上部嵌合片と下部嵌合片とからなり、上部嵌合片はその下面に固定用ネジの進退に従って弾性変位するように、テーパ面が設けられたハンギング構造が記載され、嵌合部にテーパを設けることが記載されている。
【0013】
しかしながら,これら特許文献に記載されているパネルは強度が不十分であり、改善された耐風圧強度、特に表示用パネルの両面において均一な耐風圧強度を有し、優れた平面性と均一な外観、容易な表示用パネル組立て加工適正を兼備する表示用パネルは知られていない。
【特許文献1】特開2006−52627
【特許文献2】特開2001−3320
【特許文献3】特開2006−6367
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明が解決しようとしている課題は、表示用パネルにおいて耐風圧強度、外観及び加工適正の改善にある。
【0015】
特に、優れた表面及び裏面からの両方の風圧に対して改善された強度を有する物品であって、併せて、優れた外観、特に、パネル表面が実質的に同一な表面を有する表示用パネルを提供することである。
【0016】
具体的な用途としては、表面に再帰反射シートが設置されており昼間および夜間において均一な外観の表示用パネルを供給することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明では、少なくとも2枚以上の平行な表面を有する矩形パネルが端部を嵌合されてなる嵌合パネル表面にグラフィック情報を有するプラスチック製シートが設置されてなる表示用パネルにおいて、該矩形パネルの端部にパネル表面に垂直で端部に平行な2組み以上の凹形状の溝構造と凸形状の突起構造を有しており、該溝構造と該突起構造が互に組み合わされた嵌合構造を形成し、該嵌合構造が結合手段によりパネル表面に垂直な方向に押し拡げられ、連接する矩形パネルの表面が実質的に同一平面に強固に固定されることを特徴とする表示用パネルに関する。
【0018】
本発明における2枚以上の平行な表面を有する矩形パネルとは、個別の矩形パネルの各々が正方形、又は長方形であり、該個別の矩形パネルの表面が平行になっており、そのような矩形パネルが複数枚あるものをいう。
【0019】
本発明における端部を嵌合されてなる嵌合パネルとは、該複数枚の矩形パネルを上下又は左右の一方向に組み合わせる表示用パネルであって、前記矩形パネルは上下又は左右端部に一対の接続部を有し、前記各接続部は突起部又は溝部を有し、これら突起部または溝部を嵌合させたパネルのことをいう。
【0020】
本発明におけるグラフィック情報とは、例えば、地名等の情報を印刷や切文字の貼り付けや切り抜き等の手段で視認できるようにしたものをいう。
【0021】
本発明におけるプラスチック製シートとは、少なくとも表面がプラスチックであるシート状のものであり、従来からマーキングフィルムや再帰反射シートが良く知られており、本発明でもこれらプラスチックシートを好適に用いることができる。
【0022】
本発明における該矩形パネルの端部にパネル表面に垂直で端部に平行な2組以上の凹形状の溝構造と凸形状の突起構造とは、前述のように本発明の小パネルは、上下または左右端部に一対の接続部を有し、該接続部は、突起部または溝部を有するものであるが、強度を高めるため、各接続部に、それぞれ溝構造および突起構造を2組以上設けたものである。
【0023】
本発明の該溝構造と該突起構造が互いに組み合わされた嵌合構造とは、接続部に設けた溝構造と突起構造を嵌合させることにより連結した構造をいう。
【0024】
本発明の結合手段とは、上記嵌合構造の嵌合部を結合する手段であり、ねじ、ピン、リベット、ボルトなどで固定するものであるが、中でも結合手段としては、ボルトを使用して締め付けることにより強度が得られるので好ましい。
【0025】
本発明の結合手段によりパネル表面に垂直な方向に押し拡げられるとは、結合部に結合手段を挿入して、パネルに垂直な方向に力をかけて結合力を高めるものである。嵌合部に力を加えて結合力を高める方法としては、従来より嵌合部にテーパを設けることが知られているが、結合力の強化と結合力を長期にわたって維持できるという点で、ボルトで締め付ける方法が好ましい。
【0026】
本発明の連接する矩形パネルの表面が実質的に同一平面に強固に固定されるとは、複数枚の矩形パネルを連結した際に、矩形パネルの両面が一枚パネルのように実質的に同一平面になるように強固に固定されることをいう。さらに、本発明による表示用パネルは表裏とも同一の嵌合形状を有しているために、両面における強度は実質的に同じにすることができる。
【0027】
本発明に記載する「連接する一方の矩形パネルと他方の矩形パネルとの当接する側の各端面には、当該各端面と平行する方向に凹凸に嵌合する突起構造と溝構造とを有しており・・・」とは、一方の矩形パネルと他方の矩形パネルとの当接する側の端面とは相反する方向に離れなくする手段、例えば、それぞれの端面から突出した鉤状の係止部同士を係止するものや、一方をT字型の係止部とし、他方をT字型の両側の張り出し片に係止する略C字型の係合部とするものでもよい。また棒状結合部材は、結合手段の押し込みにより弾性変形したときに、棒状結合部材が挿入孔の孔内周面に対して長手方向に沿って断続的に当接し、孔内から外方に向けて挿入孔を拡げる方向に押圧力を付与するものであればよい。
【0028】
本発明に記載する「記矩形パネルの表裏両パネル表面のうちの少なくともグラフィック情報表示側を表面側とする裏面側がフラットに形成してあると共に、連接する一方の矩形パネルと他方の矩形パネルの嵌合構造が前記表裏両パネル表面間の範囲内に形成してあり、各矩形パネルが嵌合したときに各々の裏面側が略面一となる」ことにより、表示用パネルの裏面側の略全体にわたって耐久面で深刻な影響を及ぼすような着雪や冠雪を防ぐことができ、また前述したように、まとまった量の雪がパネル表面に着雪・冠雪しないことから、落雪による通行者に対する危険を回避できる。
ここで「連接する一方の矩形パネルと他方の矩形パネルの嵌合構造が前記表裏両パネル表面間の範囲内に形成してある」とは、嵌合構造を構成している突起構造と溝構造が矩形パネルの表面側より前方および裏面側より後方に突出しない状態をいい、表示用パネルのパネル表面に凹凸を極力なくすることにより、突出箇所に対する着雪や冠雪を防ぐものである。
【0029】
本発明の該凸形状の突起構造の突起の長さと突起の厚みの比率は、0.5〜5であり、さらに請求項5に記載する発明のように、1〜3である事が好ましい。前記範囲内であれば、突起構造の強度と連結後の強度双方を強化できるので好ましい。
【0030】
本発明の該凹形状の溝構造の深さと該凸構造の長さの比率(凹形状の溝構造の深さ/凸構造の長さ)は、0.7〜1.3であり、さらには、1.05〜1.25であることが好ましい。前記範囲内であれば、嵌合部の強度が得られやすく、さらに嵌合部に結合手段を挿入した際にも垂直方向に押し拡げる力がかかり易く、高い強度が得られるので好ましい。
【0031】
本発明では、該矩形パネルの厚さが10〜500mmであることが好ましい。前記範囲内で有れば、強度が弱すぎることも無く、重量が重過ぎることもないので好ましい。また、矩形パネルの縦方向の幅は、100〜1000mmとすることができる。さらに、本発明における表示用パネルの寸法は、縦方向は0.3〜6m、また横方向は1〜15mであるが特に限定されるものではない。
【0032】
本発明では、該矩形パネルの材質は、アルミニウム、アルミニウム合金、鋼であることが好ましい。これらの材質のものは、強度に優れ、且つ、錆びにくいなど耐食性に優れているために好ましい。
【0033】
本発明では、アルミニウム合金がマンガン、マグネシウムおよび銅系のアルミニウム合金であることがさらに好ましい。これらの合金は、アルミニウム合金の中でも強度、押出性や表面処理性が一層優れているために好ましい。
【0034】
本発明では、該矩形パネルをそれ自体公知の様々な金属加工法で形成することができるが、アルミニウム合金製の押出型材パネルであることが好ましい。
【0035】
このような押出形材による矩形パネルは、複雑な断面形状を寸法精度よく形成することができ、押出形材同士を嵌合した際の組合せ精度に優れているために、表示用パネル表面の平坦性に優れているために好ましい。また、非常に長い寸法の矩形パネルを精度よく効率的に製造することができるために好ましい。さらに、パネル製造の組み立てが容易であるために好ましい。
【0036】
本発明の表示用パネルの表面には、各種のプラスチックシートを貼付し、各種の文字、記号、模様を設置できる。本発明にて適用可能なプラスチックシートとしては、塩化ビニール樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等を採用することができる。
【0037】
本発明では、表示用パネルを例えば道路標識、商業標識等に用いる際には、プラスチックシートとして、再帰反射シートを用いることが夜間における表示用パネルの視認性に優れているため、特に好ましい。このような再帰反射シートとしては、例えば封入型レンズ型再帰反射シート、カプセルレンズ型再帰反射シートまたはプリズム型再帰反射シートなどが好適に用いることができる。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、結合強度、耐風圧強度、パネル表面の同一平面性に優れた外観および加工適正の改善された表示用パネル、その中でも、表面に再帰反射シートが設置されて昼間および夜間において均一な外観の表示用パネルの供給をすることができる。
【0039】
また矩形パネルの少なくとも裏面側がフラットに形成してあると共に、嵌合構造が表裏両パネル表面から突出しないものであるから、各々の矩形パネルを嵌合して本表示用パネルを組み立てたときに裏面側全体が略面一状に形成される。これにより本表示用パネルを現場に設置したときには、降りかかった雪の多くが略面一状をなす裏面側に沿って滑落していくので、表示用パネルに対する雪の荷重を許容の耐久範囲内に抑えることができると共に、パネル表面に付着した雪がまとまって落下しないことから、人あるいは車などの通行者の頭上安全が確保され、落雪による不測の事故を防ぐことができる。しかも、従来あるような大型の屋根材(特開2003−41530参照)などを表示用パネルの上部に設ける必要がないので、表示用パネルの製造あるいは施工、搬送に至る各コストを大幅に省くこともできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
本発明による表示用パネルの好ましい形態について、図を引用しつつ以下に説明を行う。
【0041】
図1は、従来技術による表示用パネルの結合部を示すものである。パネル表面から裏面方向に突出したフランジ部分に一定の間隔でボルトナットによって接合された構造をもつ。このような構造を持つ交通標識は米国において広く用いられている。
【0042】
しかしながら、このような構造を持つ表示用パネルにおいては、風等の外力に対してボルトナットの無い非接合部分の強度が不足しやすい構造である。さらに、標識裏面からの風圧に対しては表方向の風圧よりも強度が低下する問題が有った。また、ボルト穴とボルトの径の違いから生じる結合位置の誤差により平坦なパネル表面を得ることは非常に困難であった。
【0043】
図2は、従来技術による他の態様による表示用パネルの嵌合部の拡大図を示す。この嵌合部には、上下方向に2組の凸状突起形状と凹状溝形状が設置されており、該突起部と溝部が組み合わされる構造を有している。しかしながら、該突起部と溝部が組み合わせは、金属材料の弾性復元力によってのみ固定されており、機械的に強固に固定されることは無い。従って、このような構造を持つ表示用パネルにおいても、標識裏面からの風圧に対しては、表方向の風圧よりも強度が低下する問題があった。
【0044】
図3は、本発明による表示用パネルに好ましく用いることのできる矩形パネル1,2端部の断面図を示す。
【0045】
図3(A)においては、2枚の矩形パネル1,2の端部に設置された凸状突起構造3と凹状溝構造4とを組み合わせる前の状態を示している。
【0046】
図3(B)においては、突起構造3を図面右方向にスライドさせることによって、溝構造部分4に嵌合させた状態を示す。尚、この状態においては、2組の矩形パネル1,2は固定されておらず、結合強度やパネル表面7a,7bの平坦性は得られていない。
【0047】
図3(C)においては、嵌合部をスクリュー螺子5(結合手段)で固定した状態を示す。嵌合部は、スクリュー螺子(結合手段)5により、上下左右方向に押し拡げられて強固に結合されると共に上下の矩形パネル1,2の表裏面のパネル表面7a,7bが平坦な状態に自動的に固定される。
【0048】
図4は、図3に示された本発明による表示用パネルに好ましく用いることのできる嵌合部の斜視図である。図4において、矩形パネル1,2は互いに突起構造3と溝構造4が組み合わされた嵌合構造を有している。この嵌合構造の中央部にある穴に結合手段5a,5bを挿入することにより、突起構造3と溝構造4は互いにスクリュー螺子(結合手段)5により押し拡げられて強固な結合を生じる。また、パネル表面7a,7bは、表示用パネルの表裏とも自動的に、実質的な同一表面の平坦で且つ均一な外観を得ることができる。
【0049】
本発明において用いることのできる結合手段5としては、本実施にあるスクリュー螺子5aや、またはスプリングピン5bなどを例示できるが、突起構造3と溝構造4とは互いに押し拡げることのできる作用があれば、特に構造や材質に限定されるものではない。
【0050】
さらに結合手段として、棒状結合部材6を用いて突起構造3と溝構造4を互いに押し拡げることもできる。棒状結合部材6は、嵌合部の穴に挿入された後に、スクリュー螺子(結合手段)5aにより両端部から押し付けられて結合力を生じる。このような棒状結合部材6の使用は、押し拡げる力を表示用パネルの幅方向全域にわたって加えることができるために好ましい。ここで用いることのできる棒状結合部材6は、例えばポリエチレン、ABS樹脂、ナイロン、ガラス繊維強化不飽和ポリエステル樹脂、各種の硬質ゴム等の樹脂、またはアルミニウム、銅、真鍮などの金属を用いることができる。
【0051】
即ち、棒状結合部材6を挿入し、両端小口方向よりスプリングピン5b、六角穴付き止め螺子などによって両端方向から押し付けることにより、棒状結合部材6を上下左右方向に変形を生じさせることにより、嵌合をより強固にすることができる。
【0052】
図4では、スプリングピン5bまたはスクリュー螺子5aを結合手段として用いるものであるが、解体する必要が無い時はスプリングピン5bを用いるのが、加工が容易であるので好ましい。解体する必要性が有る場合には、六角穴付き止めねじは、ねじの頭部分が損傷することが無いので、螺子をはずす必要性が生じた場合には螺子をはずし易いという利点があるので好ましい。
【0053】
図5は、本発明による結合された矩形パネル1,2によって構成されている表示用パネルの断面構造を示す。矩形パネル1,2は、表面、裏面とも平坦な面を有しているパネルであり、その内部には、パネル強度を増すための補強構造を有していることが好ましい。また、矩形パネル2には結合した矩形パネルを表示用パネルとして取り付け部材に結合するためのボルト取付け溝構造8が設置されている。
【0054】
図6は、本発明の表示用パネルが傾斜された表示面をもって設置されていることを示す。本発明では、表示用パネルの視認性を改善するため表示面を傾斜させるのが好ましい。本発明では、表示用パネルの取り付け高さにもよるが、垂直方向に対して±2〜5度傾斜させることが視認性改善のために好ましい。
【0055】
図6において一体化された矩形パネル1,2は、補強材9によって、矩形パネル1,2の突起構造3と溝構造4が設置されたのとは直角な方向に補強され、板取付金具10に取り付けられている。さらに図6および図7に示すように、各矩形パネル1,2の表裏面の各々(パネル表面7a,7b)がフラットに形成してあり、しかも、前述したように各矩形パネル1,2が当接する側の端部において、突起構造3と溝構造4とが表裏両パネル表面の間の範囲内で凹凸に嵌合するものであるから、各矩形パネル1,2を嵌合したときにはパネル裏面側の略全体が面一状となる。そして、本実施による表示用パネルは、支柱(図示省略)から板取付金具10により前傾して取り付けてあることから、例えば冬季などでは表示用パネルの裏面側に雪が降りかかることが想定されるが、降りかかる雪のほとんどは面一状の裏面側に沿って滑落して着雪や冠雪を極力抑えることができるため、パネル表面7a,7bにおいて耐久面に深刻な問題をきたすような雪の荷重を受けない構造となる。しかも、まとまった雪が例えば塊状となって地上に落下しないことから、表示パネルの下方を通行する人や車などの通行者の頭上安全が確保される。
【0056】
図7は、本発明による表示用パネルの補強構造を示す。棒状結合部材6は、結合手段5によって左右から押し付けることにより、上下左右方向に変形を生じさせて、結果、嵌合状態をより強度にすることができる。
【0057】
棒状結合部材6により強固に結合された矩形パネルは、ボルト取付け溝構造8により固定された補強材9により、さらに強固に固定することが好ましい。通常好ましく用いることのできる補強材9としては、例えば、H型金具、T型金具またはL字型金具を適宜選択することができる。補強材9は、取付け爪11を介して六角ボルト12および六角ナット13で固定される。また、角座金14、バネ座金15、平座金16を用いることが、ボルトナットで締め付ける際に締め付けを強固にすることができて好ましい。
【0058】
図8は、本発明の表示用パネルを裏面から見た図を示す。ボルト取付け溝の設置された矩形パネル2と設置されていない矩形パネル1とが、補強材9を用いて交互に結合されている。本発明の表示用パネルの好ましい構造は、全ての矩形パネルをボルト取付け溝の設置された矩形パネル2として補強材9で補強した構造であり、強度をより増すことができて好ましい。
【0059】
図9は、本発明における他の嵌合の態様を示す。矩形パネルの突起構造3と溝構造4が2つ横方向に連なり、それぞれが結合手段5で結合されている。
【0060】
図10は、本発明におけるさらなる他の嵌合の態様を示す。矩形パネルの突起構造3と溝構造4が2つ縦方向に連なり、それぞれが結合手段5で結合されている。
【0061】
図9および図10に示される嵌合構造は、それぞれのパネルの端部に2個の突起構造と2個の溝構造を有しているために、嵌合部の強度を増すことができる。特に、肉厚の表示用パネルや強度の必要とされる場所に設置される表示用パネルに用いることが好ましい。
【0062】
本発明の表示用パネルの他の実施形態として、中空押出形材による断面矩形状をなすパネル構成部材(矩形パネルとも言う。)17,18を略垂直方向に複数連接・係止したものについて説明する。
上下に連接する一方のパネル構成部材17と他方のパネル構成部材18とは、互いが当接する側の端面に略鉤状をなす係止部(突起構造とも言う。)19をそれぞれ有しており、この係止部19は、当接する側の端面から直交方向に突出する垂直片19aと、この垂直片19aの突出先端側から端面と平行して突出する水平片19bとから略L字型をなすものである。そして、当接する側の端面と係止部19とによって略コ字形に囲まれた受入溝(溝構造とも言う。)19cには、一方または他方のパネル構成部材17、18の係止部19の水平片19bが、当接する側の端面と平行する方向に差し込まれて凹凸に嵌り込み、一方のパネル構成部材17と他方のパネル構成部材18とを係止・嵌合する。また、一方および他方のパネル構成部材17,18の互いの係止部19,19の水平片19b,19b同士の当接面Q,Qには、半円状をなす一対の孔形成溝20a,20bを有しており、各孔形成溝20a,20bが合わさって孔開口21a,21bが略円形状をなす挿入孔20を形成している。この挿入孔20には、一方あるいは他方のパネル構成部材17,18の幅長(一方および他方のパネル構成部材の水平方向の長さ)と略同一の長さの弾性ピン(棒状結合部材とも言う。)22を挿入してあり、さらに挿入孔20の両方の孔開口21a,21bには、押圧ネジ(結合手段とも言う。)23a,23bをそれぞれ螺合してある。
【0063】
以上のように表示用パネルを形成すると、挿入孔20の両側の孔開口21a,21bにそれぞれネジ込まれた押圧ネジ23a,23bの先端部は、弾性ピン22の長手側の端部J,Jに当接し、さらに押圧ネジ23a,23bからの押圧力が加わることにより、弾性ピン22が押圧の程度にもよるが、ゆるやかな波形に湾曲変形する。これにより、挿入孔20内にて湾曲変形した弾性ピン22は、図11のように、挿入孔20の内周面24に対してこの挿入孔20の長手方向に沿って断続的に当接することになり、挿入孔20の孔内から孔外に押圧力が加わることで、連接する一方のパネル構成部材17と他方のパネル構成部材18とが係止した状態で、且つ上下に離れる方向に常時応力が加わる状態に保たれる。結果、一方のパネル構成部材17と他方のパネル構成部材18との係止部19,19同士は、係止した箇所の幅方向の全体に渡って応力が加わることになる。従って、連接する各パネル構成部材17,18の係止状態の強固な表示用パネルを形成できる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明における表示用パネルは、商業標識や交通標識などに好ましく用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】従来技術によるパネルの連結部の側面図。
【図2】従来技術によるパネルの嵌合部の側面図。
【図3】本発明の嵌合部の拡大図。
【図4】本発明の矩形パネルの結合方法の斜視図。
【図5】本発明の連結された矩形パネルの側面図。
【図6】本発明の表示用パネルの側面図。
【図7】本発明の補強構造の断面図。
【図8】本発明の表示用パネルの裏面図。
【図9】本発明の嵌合部の拡大図。
【図10】本発明の嵌合部の拡大図。
【図11】(a)(b)は、本発明の他の実施形態の表示用パネルの要部を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0066】
1 矩形パネル
2 矩形パネル
3 突起構造
4 溝構造
5、5a スクリュー螺子(結合手段)
5b スプリングピン (結合手段)
6 棒状結合部材
7a パネル表面(グラフィック情報の表示側)
7b パネル表面(裏面側)
8 ボルト取付け溝構造
9 補強材
10 板取付金具
11 取付け爪
12 六角ボルト
13 六角ナット
14 角座金
15 バネ座金
16 平座金
17 一方のパネル構成部材(矩形パネル)
18 他方のパネル構成部材(矩形パネル)
19 係止部
19a 垂直片
19b 水平片(突起構造)
19c 受入溝(溝構造)
20 挿入孔
20a,20b 孔形成溝
21a,21b 孔開口
22 弾性ピン(棒状結合部材)
23a,23b 押圧ネジ(結合手段)
Q 水平片同士の当接面
J 長手側の端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2枚以上の平行な表面を有する矩形パネルが端部を嵌合されてなる嵌合パネル表面にグラフィック情報を有するプラスチック製シートが設置されてなる表示用パネルにおいて、
矩形パネルの端部にパネル表面に垂直で端部に平行な2組み以上の凹形状の溝構造と凸形状の突起構造を有しており、該溝構造と該突起構造が互に組み合わされた嵌合構造を形成し、該嵌合構造が結合手段によりパネル表面に垂直な方向に押し拡げられ、連接する矩形パネルの表面が実質的に同一平面に強固に固定されることを特徴とする表示用パネル。
【請求項2】
連接する一方の矩形パネルと他方の矩形パネルとの当接する側の各端面には、当該各端面と平行する方向に凹凸に嵌合する突起構造と溝構造とを有しており、
嵌合した突起構造と溝構造との当接部の対峙する箇所のそれぞれには、孔形成溝を設けてあるとともに、各孔形成溝が対面して挿入孔を形成しており、
挿入孔には、この挿入孔の孔の長さと略同一の長さを有しており、且つ弾性を有する棒状結合部材を挿入しており、
挿入孔の一方側の孔開口と他方側の孔開口には、棒状結合部材の長手側の両端部をそれぞれ押圧して棒状結合部材を湾曲変形する結合手段を取り付けていることを特徴とする請求項1記載の表示用パネル。
【請求項3】
前記矩形パネルの表裏両パネル表面のうちの少なくともグラフィック情報の表示側を表面側とする裏面側がフラットに形成してあると共に、連接する一方の矩形パネルと他方の矩形パネルとの嵌合構造が前記表裏両パネル表面間の範囲内に形成してあり、
各矩形パネルが嵌合したときに各々の裏面側が略面一状となることを特徴とする請求項1または2記載の表示用パネル。
【請求項4】
該矩形パネルの端部にパネル表面に垂直で端部に平行な2組み以上の凹形状の溝構造と凸形状の突起構造を有しており、該凹形状の溝構造と凸形状の突起構造の組み合わせそれぞれに結合手段を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の表示用パネル。
【請求項5】
該凸形状の突起構造の突起の長さと突起の厚みの比率が0.5〜5である事を特徴とする請求項1、2又は3に記載の表示用パネル。
【請求項6】
該凸形状の突起構造の突起の長さと突起の厚みの比率が1〜3である事を特徴とする請求項1〜4に記載の表示用パネル。
【請求項7】
該凹形状の溝構造の深さと該凸構造の長さの比率が0.7〜1.3であることを特徴とする請求項1〜5に記載の表示用パネル。
【請求項8】
該凹形状の溝構造の深さと該凸構造の長さの比率が1.05〜1.25であることを特徴とする請求項1〜6に記載の表示用パネル。
【請求項9】
該矩形パネルの厚さが10〜500mmであることを特徴とする請求項1〜7に記載の表示用パネル。
【請求項10】
該矩形パネルの材質がアルミニウム、アルミニウム合金、鋼であることを特徴とする請求項1〜8に記載の表示用パネル。
【請求項11】
アルミニウム合金がマンガン、マグネシウムおよび銅合金であることを特徴とする請求項1〜9に記載の表示用パネル。
【請求項12】
該矩形パネルが合金アルミニウム製の押出型材パネルであることを特徴とする請求項1〜10に記載の表示用パネル。
【請求項13】
該プラスチックシートが封入式レンズ型再帰反射シート、カプセルレンズ型再帰反射シートまたはプリズム型再帰反射シートであることを特徴とする請求項1〜11に記載の表示用パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−268835(P2008−268835A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−182490(P2007−182490)
【出願日】平成19年7月11日(2007.7.11)
【出願人】(000004592)日本カーバイド工業株式会社 (165)
【出願人】(000112185)ビニフレーム工業株式会社 (53)
【Fターム(参考)】