説明

表示装置、データ変換方法およびデータ変換プログラム

【課題】内部電池の電力残量に応じて、電子ファイルを適切に特定のデータ形式に変換することができる表示装置、データ変換方法およびデータ変換プログラムを提供する。
【解決手段】携帯端末では、メモリカードに記憶されている他のデータ形式の電子ファイルが取得されると、バッテリにデータ変換に必要な電力残量があるか否かが判断される(S11)。バッテリにデータ変換に必要な電力残量がある場合(S11:YES)、電子ファイルが特定のデータ形式に変換されて、その変換済ファイルがメモリカードに記憶される(S15)。一方、バッテリにデータ変換に必要な電力残量がない場合は(S11:NO)、電子ファイルは特定のデータ形式に変換されない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定のデータ形式の電子ファイルを表示する表示装置、ならびに、その表示装置に用いられるデータ変換方法およびデータ変換プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特定のデータ形式の電子ファイルを表示する表示装置が知られている。このような表示装置に対して、特定のデータ形式とは異なる他のデータ形式で表された電子ファイルも表示させたいというユーザの要望がある。そこで、パーソナルコンピュータ等の機器で、電子ファイルを特定のデータ形式に変換し、変換済みの電子ファイルを表示装置に処理させることが行われている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−65204号公報
【特許文献2】特開2009−31878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来の方法によると、表示装置にて他のデータ形式の電子ファイルを表示させたい場合には、その電子ファイルを特定のデータ形式に変換可能な機器を使用しなければならず、面倒であった。また、内部電池からの電源供給を受ける表示装置を使用して電子ファイルを特定のデータ形式に変換する場合に、その内部電池に変換処理を実行するのに必要な電力が不足していると、電子ファイルの変換処理中に動作終了してしまい不完全な変換ファイルが保存されるおそれがあった。特に、内部電池からの電源供給を受ける表示装置は、外部電源から電力供給を受けるパーソナルコンピュータ等と比べて、使用可能な電力量のみならずCPUやメモリ等のハードウエア資源の制約が大きい。そのため、このような表示装置にてデータ量の大きい電子ファイルを変換すると、上記のような不具合が発生するおそれが高いという問題があった。
【0005】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、使用可能な電力量やハードウエア資源に制約がある場合でも、内部電池の電力残量に応じて、データ量の大きい電子ファイルを適切に特定のデータ形式に変換することができる表示装置、データ変換方法およびデータ変換プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明の表示装置は、特定のデータ形式の電子ファイルを表示する表示装置であって、前記表示装置に電力を供給する内部電池と、前記特定のデータ形式とは異なるデータ形式の未対応データを記憶する第一記憶装置から、前記未対応データを所定数取得する未対応データ取得手段と、前記内部電池の電力残量が所定の閾値以上であるか否かを判断する電力残量判断手段と、前記未対応データ取得手段によって取得された前記所定数の未対応データを、前記電力残量判断手段によって前記内部電池の電力残量が所定の閾値以上であると判断された場合に前記特定のデータ形式の電子ファイルに変換する一方、前記電力残量判断手段によって前記所定の閾値以上でないと判断された場合は前記特定のデータ形式の電子ファイルに変換しない変換手段と、前記変換手段によって変換された前記特定のデータ形式の電子ファイルを、第二記憶装置に記憶させる変換データ記憶制御手段とを備え、前記未対応データ取得手段は、前記特定のデータ形式の電子ファイルが前記第二記憶装置に記憶された場合に、前記第一記憶装置に記憶されている前記未対応データのうち、前記未対応データ取得手段によってまだ取得されていない前記未対応データを所定数取得し、前記電力残量判断手段は、前記未対応データ取得手段によって前記所定数の未対応データが取得されるごとに、前記内部電池の電力残量が所定の閾値以上であるか否かを判断することを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明の表示装置は、請求項1に記載の発明の構成に加えて、前記第一記憶装置および前記第二記憶装置は、一の共通記憶装置であって、前記変換手段による変換が完了したか否かを判断する完了判断手段と、前記完了判断手段によって前記変換手段による変換が完了したと判断された場合に、その変換が完了した前記所定数の未対応データを前記共通記憶装置から削除する削除手段とを備え、前記未対応データ取得手段は、前記削除手段によって前記所定数の未対応データが削除された場合に、前記共通記憶装置からの次の前記未対応データの取得を行うことを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明の表示装置は、請求項1または2に記載の発明の構成に加えて、外部電源と接続して、前記外部電源からの電源供給を受け付ける外部電源接続手段を備え、前記変換手段は、前記外部電源接続手段に前記外部電源が接続されている場合、前記電力残量判断手段によって前記内部電池の電力残量が前記所定の閾値以上であると判断されたか否かに拘らず、前記未対応データ取得手段によって取得された前記所定数の未対応データを前記特定のデータ形式の電子ファイルに変換することを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明の表示装置は、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明の構成に加えて、前記未対応データ取得手段は、前記第一記憶装置からデータサイズが小さい順に前記所定数の未対応データを取得することを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明の表示装置は、請求項4に記載の発明の構成に加えて、前記未対応データ取得手段は、前記外部電源接続手段に前記外部電源が接続されているか否かに応じて、前記第一記憶装置から前記未対応データを取得する優先順序を切り替えることを特徴とする。
【0011】
請求項6に係る発明の表示装置は、請求項5に記載の発明の構成に加えて、前記未対応データ取得手段は、前記外部電源接続手段に前記外部電源が接続されていない場合、前記第一記憶装置からデータサイズが小さい順に前記所定数の未対応データを取得する一方、前記外部電源接続手段に前記外部電源が接続されている場合、前記外部電源が接続されていない場合とは異なる優先順序に従って、前記第一記憶装置から前記所定数の未対応データを取得することを特徴とする。
【0012】
請求項7に係る発明の表示装置は、請求項2に記載の発明の構成に加えて、前記共通記憶装置は、複数の機器に着脱自在な外部記憶装置であり、前記表示装置は、さらに前記外部記憶装置を着脱可能な装着手段を備えている。
【0013】
請求項8に係る発明の表示装置は、請求項2または7に記載の発明の構成に加えて、前記完了判断手段によって前記変換手段による変換が完了したと判断された場合、前記第二記憶装置に記憶された前記電子ファイルを選択可能に表示する変換済ファイル表示制御手段を備えている。
【0014】
請求項9に係る発明の表示装置は、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明の構成に加えて、前記未対応データ取得手段は、所定の優先順序に従って、前記第一記憶装置から前記所定数の未対応データを取得するとともに、前記外部電源接続手段に前記外部電源が接続されているか否かに応じて、前記所定の優先順序を切り替えることを特徴とする。
【0015】
請求項10に係る発明のデータ変換方法は、特定のデータ形式の電子ファイルを表示する表示装置において、前記特定のデータ形式とは異なるデータ形式の未対応データを、前記特定のデータ形式の電子ファイルに変換するデータ変換方法であって、前記未対応データを記憶する第一記憶装置から、前記未対応データを所定数取得する未対応データ取得ステップと、前記内部電池の電力残量が所定の閾値以上であるか否かを判断する電力残量判断ステップと、前記未対応データ取得ステップによって取得された前記所定数の未対応データを、前記電力残量判断ステップによって前記内部電池の電力残量が所定の閾値以上であると判断された場合に前記特定のデータ形式の電子ファイルに変換する一方、前記電力残量判断ステップによって前記所定の閾値以上でないと判断された場合は前記特定のデータ形式の電子ファイルに変換しない変換ステップと、前記変換ステップによって変換された前記特定のデータ形式の電子ファイルを、第二記憶装置に記憶させる変換データ記憶制御ステップとを備え、前記未対応データ取得ステップは、前記特定のデータ形式の電子ファイルが前記第二記憶装置に記憶された場合に、前記第一記憶装置に記憶されている前記未対応データのうち、前記未対応データ取得ステップによってまだ取得されていない前記未対応データを所定数取得し、前記電力残量判断ステップは、前記未対応データ取得ステップによって前記所定数の未対応データが取得されるごとに、前記内部電池の電力残量が所定の閾値以上であるか否かを判断することを特徴とする。
【0016】
請求項11に係る発明のデータ変換プログラムは、特定のデータ形式の電子ファイルを表示する表示装置に用いられ、前記特定のデータ形式とは異なるデータ形式の未対応データを、前記特定のデータ形式の電子ファイルに変換するデータ変換プログラムであって、コンピュータに、前記未対応データを記憶する第一記憶装置から、前記未対応データを所定数取得する未対応データ取得ステップと、前記内部電池の電力残量が所定の閾値以上であるか否かを判断する電力残量判断ステップと、前記未対応データ取得ステップによって取得された前記所定数の未対応データを、前記電力残量判断ステップによって前記内部電池の電力残量が所定の閾値以上であると判断された場合に前記特定のデータ形式の電子ファイルに変換する一方、前記電力残量判断ステップによって前記所定の閾値以上でないと判断された場合は前記特定のデータ形式の電子ファイルに変換しない変換ステップと、前記変換ステップによって変換された前記特定のデータ形式の電子ファイルを、第二記憶装置に記憶させる変換データ記憶制御ステップとを実行させ、前記未対応データ取得ステップは、前記特定のデータ形式の電子ファイルが前記第二記憶装置に記憶された場合に、前記第一記憶装置に記憶されている前記未対応データのうち、前記未対応データ取得ステップによってまだ取得されていない前記未対応データを所定数取得し、前記電力残量判断ステップは、前記未対応データ取得ステップによって前記所定数の未対応データが取得されるごとに、前記内部電池の電力残量が所定の閾値以上であるか否かを判断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に係る発明の表示装置では、第一記憶装置から所定数の未対応データが取得されると、内部電池の電力残量が所定の閾値以上であるか否かが判断される。内部電池の電力残量が所定の閾値以上である場合には、所定数の未対応データが特定のデータ形式の電子ファイルに変換されて、その電子ファイルが第二記憶装置に記憶される。一方、内部電池の電力残量が所定の閾値以上でない場合は、所定数の未対応データが特定のデータ形式の電子ファイルに変換されない。これによれば、未対応データを特定のデータ形式の電子ファイルに変換しているときに、内部電池の電力残量が不足して動作終了してしまい、不完全な変換ファイルが保存される不具合の発生を抑制することができる。さらに、第一記憶装置から所定数の未対応データが取得されるごとに、その未対応データをデータ変換するのに必要な電力残量があるか否かが判断されるので、表示装置にて使用可能な電力量やハードウエア資源に制約がある場合でも、内部電池の電力残量を最大限に活用してより多数の未対応データを変換することができる。
【0018】
請求項2に係る発明の表示装置では、第一記憶装置および第二記憶装置は一の共通記憶装置であって、特定のデータ形式への変換が完了した未対応データは共通記憶装置から削除される。そして、共通記憶装置から変換済みの未対応データが削除されると、共通記憶装置から次の未対応データの取得が行われる。これによれば、請求項1に係る発明の効果に加えて、変換済みの未対応データを共通記憶装置から削除することで、共通記憶装置において特定のデータ形式の電子ファイルが記憶される空き容量を確保することができる。
【0019】
請求項3に係る発明の表示装置では、外部電源に接続して電源供給を受け付ける外部電源接続手段を備える。表示装置が外部電源に接続されている場合、内部電池の電力残量が所定の閾値以上であると判断されたか否かに拘らず、未対応データが特定のデータ形式の電子ファイルに変換される。これによれば、請求項1または2に係る発明の効果に加えて、内部電池の電力残量が不足している場合でも、外部電源から電力供給を受けてデータ変換を行うことで、より多数の未対応データを変換することができる。
【0020】
請求項4に係る発明の表示装置では、第一記憶装置からデータサイズが小さい順に所定数の未対応データが取得される。これによれば、請求項1乃至3のいずれかに係る発明の効果に加えて、データ変換に使用される電力が小さい順に所定数の未対応データが優先的に変換されるので、その未対応データの変換中に内部電池の電力残量が不足する不具合の発生を抑制することができる。
【0021】
請求項5に係る発明の表示装置では、外部電源接続手段に外部電源が接続されているか否かに応じて、未対応データを取得する優先順序が切り替えられる。これによれば、請求項4に係る発明の効果に加えて、表示装置における電力供給の態様に応じて最適な優先順序で未対応データを取得することができる。
【0022】
請求項6に係る発明の表示装置では、表示装置が外部電源に接続されていない場合、特定の優先順序に従ってデータサイズが小さい順に所定数の未対応データが取得される一方、表示装置が外部電源に接続されている場合、外部電源に接続されていない場合とは異なる優先順序に従って所定数の未対応データが取得される。これによれば、請求項5に係る発明の効果に加えて、外部電源からの電力供給がないときはデータ変換に使用される電力が小さい順に所定数の未対応データが優先的に変換されるので、その未対応データの変換中に内部電池の電力残量が不足する不具合の発生を抑制することができる。
【0023】
請求項7に係る発明の表示装置では、共通記憶装置は複数の機器に着脱自在な外部記憶装置であり、表示装置はその外部記憶装置を着脱可能である。これによれば、請求項2に係る発明の効果に加えて、外部記憶装置に変換前の未対応データおよび変換後の電子ファイルが記憶されるので、表示装置自体にこれらを記憶するための記憶装置を備える必要がなく、表示装置の構成を簡易にして薄型・軽量化を実現することができる。
【0024】
請求項8に係る発明の表示装置では、特定のデータ形式の電子ファイルへの変換が完了した場合、第二記憶装置に記憶された電子ファイルを選択可能に表示される。これによれば、請求項2または7に係る発明の効果に加えて、ユーザは変換が完了した電子ファイルを把握できるとともに、任意の電子ファイルを選択して表示や編集等を行うことができる。
【0025】
請求項9に係る発明の表示装置では、所定の優先順序に従って所定数の未対応データが取得されるとともに、外部電源接続手段に外部電源が接続されているか否かに応じて、未対応データを取得する優先順序が切り替えられる。これによれば、請求項1乃至3のいずれかに係る発明の効果に加えて、表示装置における電力供給の態様に応じて最適な優先順序で未対応データを取得することができる。
【0026】
請求項10に係る発明のデータ変換方法では、第一記憶装置から所定数の未対応データが取得されると、内部電池の電力残量が所定の閾値以上であるか否かが判断される。内部電池の電力残量が所定の閾値以上である場合には、所定数の未対応データが特定のデータ形式の電子ファイルに変換されて、その電子ファイルが第二記憶装置に記憶される。一方、内部電池の電力残量が所定の閾値以上でない場合は、所定数の未対応データが特定のデータ形式の電子ファイルに変換されない。これによれば、未対応データを特定のデータ形式の電子ファイルに変換しているときに、内部電池の電力残量が不足して動作終了してしまい、不完全な変換ファイルが保存される不具合の発生を抑制することができる。さらに、第一記憶装置から所定数の未対応データが取得されるごとに、その未対応データをデータ変換するのに必要な電力残量があるか否かが判断されるので、表示装置にて使用可能な電力量やハードウエア資源に制約がある場合でも、内部電池の電力残量を最大限に活用してより多数の未対応データを変換することができる。
【0027】
請求項11に係る発明のデータ変換プログラムでは、第一記憶装置から所定数の未対応データが取得されると、内部電池の電力残量が所定の閾値以上であるか否かが判断される。内部電池の電力残量が所定の閾値以上である場合には、所定数の未対応データが特定のデータ形式の電子ファイルに変換されて、その電子ファイルが第二記憶装置に記憶される。一方、内部電池の電力残量が所定の閾値以上でない場合は、所定数の未対応データが特定のデータ形式の電子ファイルに変換されない。これによれば、未対応データを特定のデータ形式の電子ファイルに変換しているときに、内部電池の電力残量が不足して動作終了してしまい、不完全な変換ファイルが保存される不具合の発生を抑制することができる。さらに、第一記憶装置から所定数の未対応データが取得されるごとに、その未対応データをデータ変換するのに必要な電力残量があるか否かが判断されるので、表示装置にて使用可能な電力量やハードウエア資源に制約がある場合でも、内部電池の電力残量を最大限に活用してより多数の未対応データを変換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】携帯端末1および複合機2が接続されたシステム構成図である。
【図2】携帯端末1の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】メイン処理を示すフローチャートである。
【図4】変換中画面31が表示された携帯端末1の正面図である。
【図5】データ変換処理を示すフローチャートである。
【図6】変換対象選択処理を示すフローチャートである。
【図7】バッテリ不足画面32が表示された携帯端末1の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を具体化した実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、参照する図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものであり、記載されている装置の構成、各種処理のフローチャートなどは、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
【0030】
本発明の一実施形態に係る携帯端末1について、図1〜図7を参照して説明する。本実施形態の携帯端末1は、USB(Universal Serial Bus)ケーブル9を介して、印刷装置、通信装置、電話機、ファクシミリ、スキャナおよびコピー機としての機能を有する複合機2に接続される。そして、複合機2から出力される電子ファイルに基づいて、携帯端末1にて画像表示が行われる場合を例示する。なお、本実施形態の電子ファイルは、複数ページで構成されるドキュメントを示すファイルデータであり、そのドキュメントを構成するページ数分の画像データ(つまり、ページ単位の画像を示す画像データ)によって構成されるものとする。
【0031】
まず、図1を参照して、携帯端末1の物理的構成について説明する。携帯端末1は、電気泳動方式の表示パネル3を備えた軽量・薄型の携帯表示端末である。表示パネル3としては、電気泳動方式の表示パネルの他、軽量・薄型の反射型液晶などを適用可能である。電気泳動方式の表示パネルの基本原理は、プラスに帯電した白の電気泳動粒子とマイナスに帯電した黒の電気泳動粒子を、電気泳動によって表示液中を移動させて画像を白黒で形成する。
【0032】
携帯端末1は、所定厚を有する平面視長方形状の板状に形成され、その上面に平面視長方形状の表示パネル3が形成されている。表示パネル3には、テキストや図表等から構成される種々のコンテンツが表示される。これらのコンテンツは、表示パネル3の表示面からユーザが視認可能となる。また図示しないが、携帯端末1の側面には、メモリカード30(図2参照)を挿入するためのカードスロットや、USBケーブル9が有するUSBコネクタが着脱されるUSBポートや、電源ケーブル82(図2参照)が有する端子が着脱される電源コネクタなどが設けられている。
【0033】
表示パネル3の右側には、携帯端末1を操作するための操作部6が設けられている。操作部6は、電源キー61、メニューキー62、ドキュメント閉キー63、拡大キー64、ページ戻しキー65、ページ送りキー66、キャラクタキー67を有している(図4および図7参照)。電源キー61は、携帯端末1の電源をオン・オフするためのキーである。メニューキー62は、携帯端末1の電子ファイル選択や機能設定などを行うためのメニュー画面を表示させるためのキーである。ドキュメント閉キー63は、表示中の電子ファイルを閉じるためのキーである。拡大キー64は、表示中の電子ファイルを拡大するためのキーである。ページ戻しキー65およびページ送りキー66は、それぞれ表示中の電子ファイルをページ戻しおよびページ送りするためのキーである。キャラクタキー67は、各種情報の選択や入力を行うためのキーである。なお、電源キー61の上側には、携帯端末1の作動状態をLEDの発光パターン(発光色、点灯、点滅など)で示すLED表示部7(図4および図7参照)が設けられている。
【0034】
次に、図2を参照して、携帯端末1の電気的構成について説明する。携帯端末1の制御基板10は、CPU11、ROM12、RAM13、EEPROM14、表示コントローラ15、キーコントローラ16、メモリカードI/F17、USBインタフェース(I/F)18、電源コントローラ19を有しており、これらの構成がバス8を介して接続されている。CPU11は、携帯端末1の制御を司る。ROM12は、携帯端末1を動作させる制御プログラムや、携帯端末1の動作に関わる設定情報を記憶する。RAM13は、各種データを一時的に記憶するメモリである。EEPROM14は、各種データを記憶する不揮発性メモリである。
【0035】
表示コントローラ15は、表示パネル3での画像表示を制御する。キーコントローラ16は、操作部6でのキー操作を受け付ける。メモリカードI/F17は、カードスロットに挿入されたメモリカード30が接続されるとともに、そのメモリカード30に対するデータの読出・書込を行う。USBI/F18は、先述のUSBポートを有するとともに、USBケーブル9を介して外部機器(ここでは、複合機2)との間でデータ送受を行う。
【0036】
電源コントローラ19は、携帯端末1に内蔵されて電力を供給するバッテリ80の充放電を制御したり、バッテリ80の電池残量や電圧低下を検知したり、携帯端末1に供給する電圧を制御したりする。また、図示外の電源コネクタに電源ケーブル82が接続されている場合は、ACアダプタ81を介して図示外の外部電源から電力供給を受けて、バッテリ80の充電や携帯端末1の駆動を行う。なお、携帯端末1にACアダプタ81が接続されていない場合は(つまり、図示外の外部電源から電力供給を受けていない場合は)、携帯端末1はバッテリ80からの供給電力で駆動される。
【0037】
本実施形態の携帯端末1では、携帯端末1自体に電子ファイルを保存することなく、メモリカード30に記憶されている電子ファイル(詳細には、電子ファイルに含まれるページ単位の画像データ)に基づいて、表示パネル3に画像表示が行われる。そして、メモリカード30には、以下に例示するような態様で複合機2から出力された電子ファイルが記憶されればよい。
【0038】
例えば、複合機2のカードスロット(図示外)にメモリカード30を挿入させておき、複合機2で紙媒体の画像読取等によって電子ファイルが取得された場合に、その電子ファイルをメモリカード30に書き込ませる。そして、電子ファイルが記憶されたメモリカード30を、複合機2から取り外して携帯端末1のカードスロットに挿入すればよい。これにより携帯端末1では、メモリカード30に書き込まれた電子ファイルを読み出して画像表示を行うことができる。
【0039】
また、複合機2で紙媒体の画像読取等によって電子ファイルが取得された場合に、その電子ファイルをUSBケーブル9経由で複合機2から携帯端末1に転送させ、携帯端末1に挿入されているメモリカード30に書き込ませてもよい。このような電子ファイルの転送・書込みは、複合機2が備える公知のスキャントゥメモリとよばれる機能(例えば、特開2008−187495号公報を参照)などによって実現されればよい。この場合も、携帯端末1では、メモリカード30に書き込まれた電子ファイルを読み出して画像表示を行うことができる。
【0040】
なお、メモリカード30は、携帯端末1での画像表示に用いられる電子ファイルのみならず、各種データを携行可能な汎用的な記憶媒体である。そのため、複合機2からメモリカード30に電子ファイルが出力される場合、その電子ファイルはメモリカード30の特定フォルダ内に記憶されるものとする。これにより、メモリカード30に記憶されているデータのうちで、携帯端末1での画像表示に用いられる電子ファイルを、他のデータと明確に区別することが可能となる。
【0041】
ただし、複合機2で取得される電子ファイルは、通常は多くの電子機器で閲覧表示できるような汎用的なデータ形式(例えば、PDFやJPEGなど)で作成される。一方、本実施形態の携帯端末1では、電気泳動方式での表示制御等が行われる携帯端末1に好適なデータ形式(以下、特定のデータ形式)の電子ファイルに基づいて画像表示が行われる。そのため、携帯端末1では、メモリカード30に記憶されている電子ファイルが特定のデータ形式と異なる他のデータ形式の未対応データである場合は、その電子ファイルが画像表示する前に特定のデータ形式に変換されるが、詳細は後述する。
【0042】
なお、本実施形態では、メモリカード30に複数の電子ファイルが記憶されている場合、それらの電子ファイルが一つずつ選択されて特定のデータ形式に順次変換される。そのため、EEPROM14には、複数の電子ファイルのうちで変換対象を選択する優先順序を示す情報(以下、変換対象ファイル設定)が記憶されている。本実施形態では、変換対象ファイル設定として「メモリ優先」、「バッテリ優先」、「日時優先」、「進捗優先」が予め用意されているが、これらの詳細は別途後述する。そして、ユーザは任意のタイミングでメニューキー62を押圧してメニュー画面を表示させて、このメニュー画面から変換対象ファイル設定として任意のものを指定可能である。なお、ユーザによって指定された変換対象ファイル設定はEEPROM14に記憶される。ただし、以下では、ユーザが変換対象ファイル設定を任意に指定していない場合に、変換対象ファイル設定として「メモリ優先」および「バッテリ優先」のいずれかが自動設定される場合を説明する。
【0043】
以下では、図3〜図7を参照して、携帯端末1にて実行される各種処理について説明する。まず、図3を参照して、携帯端末1にて実行されるメイン処理について説明する。なお、図3に示すメイン処理は、電源キー61がオンされると、ROM12に記憶されている制御プログラムに基づいて、CPU11によって実行される。
【0044】
図3に示すように、メイン処理では、まず携帯端末1からUSBケーブル9が抜かれたか否かが判断される(S1)。S1では、USBI/F18にUSBケーブル9が接続されている場合に、そのUSBケーブル9が接続されていない状態に変化したことが検出されると、携帯端末1からUSBケーブル9が抜かれたと判断される(S1:YES)。一方、USBI/F18にUSBケーブル9が接続されていない場合、または、USBケーブル9が接続されている状態に変化がない場合は、携帯端末1からUSBケーブル9が抜かれなかったと判断される(S1:NO)。
【0045】
携帯端末1からUSBケーブル9が抜かれなかった場合(S1:NO)、携帯端末1にメモリカード30が新たに挿入されたか否かが判断される(S3)。S3では、メモリカードI/F17にメモリカード30が接続されていない場合に、メモリカード30が接続された状態に変化したことが検出されると、携帯端末1にメモリカード30が挿入されたと判断される(S3:YES)。一方、メモリカードI/F17にメモリカード30が接続されている場合、または、メモリカード30が接続されていない状態に変化がない場合は、携帯端末1にメモリカード30が挿入されなかったと判断される(S3:NO)。
【0046】
携帯端末1からUSBケーブル9が抜かれた場合は(S1:YES)、USBケーブル9を介した電子ファイルの転送・書込みが行われた可能性がある。また、携帯端末1にメモリカード30が挿入された場合は(S3:YES)、そのメモリカードにあらかじめ電子ファイルが書込まれている可能性がある。先述したように、携帯端末1での画像表示に用いられる電子ファイルは、メモリカード30の特定フォルダ内に格納される。そこで、メモリカードI/F17に接続されているメモリカード30に特定フォルダがあるか否かが判断される(S5)。メモリカード30に特定フォルダがある場合は(S5:YES)、特定フォルダ内に電子ファイルが格納されているか否かが判断される(S7)。
【0047】
そして、特定フォルダ内に電子ファイルが格納されている場合は(S7:YES)、図4に例示するような変換中画面31が表示パネル3に表示される(S9)。図4に示すように、変換中画面31では、電子ファイルのデータ形式が変換中(以下、データ変換中)である旨が明示される。また、LED表示部7がデータ変換中に対応する特定パターンに発光制御され、操作部6でのキー操作が無効化される。
【0048】
本実施形態では、所定の実行タイミング(ここでは、USBケーブル9の抜脱あり、または、メモリカード30の挿入あり)が検出されると、ユーザによる入力指示を要することなく、後述のように電子ファイルのデータ変換が内部的に実行される。そのため、データ変換の実行中にユーザが各種操作を行うと、電子ファイルの破損や携帯端末1の不具合等を生じるおそれがある。その点、データ変換の実行に際して変換中画面31を表示したり、LED表示部7を特定パターンで発光させたりすることで、データ変換中である旨をユーザに認識させることができる。また、操作部6でのキー操作を無効化することで、データ変換中におけるユーザの誤操作を防止できる。
【0049】
なお、携帯端末1にメモリカード30が挿入されなかった場合は(S3:NO)、S1に戻って、USBケーブル9の抜脱またはメモリカード30の挿入が待ち受けられる(S1〜S3)。また、メモリカード30に特定フォルダがない場合や(S5:NO)、特定フォルダに電子ファイルが格納されていない場合も(S7:NO)、同様にS1に戻る。
【0050】
S9にて変換中画面が表示されたのち、バッテリ80にデータ変換に必要な電力残量があるか否かが判断される(S11)。S11では、バッテリ80のセル電圧が、EEPROM14の所定記憶エリアに予め設定されている電圧閾値以上であるか否かが判断される。本実施形態では「電圧閾値」として、携帯端末1が表示パネル3にて200ページ分の画像データを書換表示することが可能なバッテリ容量(例えば、3.7V)が設定されているが、「電圧閾値」は任意に変更可能である。
【0051】
バッテリ80のセル電圧が電圧閾値以上である場合は、電子ファイルのデータ変換を行ったとしても、そのデータ変換中に電力不足が発生するおそれがないとみなされるため、バッテリ80にデータ変換に必要な電力残量があると判断される(S11:YES)。そして、特定フォルダ内に変換可能な電子ファイル(以下、変換可能ファイル)があるか否かが判断される(S13)。S13では、特定フォルダ内に記憶されている電子ファイルのうちで、特定のデータ形式に変換可能な汎用的なデータ形式(ここでは、PDFまたはJPEG)の電子ファイルがあれば、変換可能ファイルありと判断される(S13:YES)。特定フォルダ内に変換可能ファイルがある場合(S13:YES)、その変換可能ファイルを特定のデータ形式に変換するデータ変換処理が実行される(S15)。
【0052】
図5に示すように、データ変換処理(S15)では、まず特定フォルダ内に記憶されている変換可能ファイルのうちで、データ変換の対象となるファイル(以下、変換対象ファイル)を選択する変換対象選択処理が実行される(S51)。
【0053】
図6に示すように、変換対象選択処理(S51)では、まずEEPROM14の変換対象ファイル設定に「バッテリ優先」が設定されているか否かが判断される(S101)。変換対象ファイル設定に「バッテリ優先」が設定されている場合は(S101:YES)、携帯端末1にACアダプタ81が挿入されているか否かが判断される(S103)。先述したように、電源ケーブル82を介して外部電源から電力供給を受けている場合は、携帯端末1にACアダプタ81が挿入されていると判断されて(S103:YES)、EEPROM14の変換対象ファイル設定が「バッテリ優先」に代えて「メモリ優先」に設定される(S105)。そして、変換対象ファイル設定「メモリ優先」に対応する優先順序で変換対象ファイルが選択される。すなわち、未選択の変換可能ファイルのうちでファイルサイズが大きいものが変換対象ファイルに選択される(S107)。「未選択の変換可能ファイル」は、特定フォルダ内に変換可能ファイルが複数格納されている場合に、変換対象選択処理(S51)にて未だ変換対象ファイルとして選択されていない変換可能ファイルをいう。
【0054】
一方、外部電源から電力供給を受けていない場合は、携帯端末1にACアダプタ81が挿入されていないと判断されて(S103:NO)、EEPROM14の変換対象ファイル設定が「バッテリ優先」のままに設定される(S109)。そして、変換対象ファイル設定「バッテリ優先」に対応する優先順序で変換対象ファイルが選択される。すなわち、未選択の変換可能ファイルのうちでファイルサイズが小さいものが変換対象ファイルに選択される(S111)。
【0055】
変換対象ファイル設定に「バッテリ優先」が設定されていない場合は(S101:NO)、変換対象ファイル設定に「バッテリ優先」以外のものが設定されているため、その変換対象ファイル設定に対応する優先順序で変換対象ファイルが選択される(S113)。具体的には、変換対象ファイル設定に「メモリ優先」が指定されている場合は、S107と同様に変換対象ファイルが選択される。変換対象ファイル設定に「日時優先」が指定されている場合は、未選択の変換可能ファイルのうちで登録日時が新しいものが変換対象ファイルに選択される。変換対象ファイル設定に「進捗優先」が指定されている場合は、未選択の変換可能ファイルのうちで登録日時が古いものが変換対象ファイルに選択される。
【0056】
なお、S107、S111、S113のいずれかで選択された変換対象ファイルは、その変換対象ファイルがメモリカード30からRAM13に読み込まれる。そして、データ変換処理(図5)に戻る。
【0057】
図5に戻り、変換対象選択処理(S51)にて変換対象ファイルに選択されると、RAM13に記憶されている変換対象ファイルに含まれる1ページ分の画像データが、RAM13上で特定のデータ形式に変換される(S53)。S53にて変換された画像データは、メモリカード30の空き領域に書き込まれて保存用フォルダに格納される。そして、変換対象ファイルに含まれる全ページの画像データを変換したか否かが判断される(S55)。変換対象ファイルに含まれる画像データのうちで未変換のものがある場合は(S55:NO)、S53に戻って次ページに相当する画像データが、上記と同様に他のデータ形式に変換される。これにより、変換対象ファイルに含まれる画像データのうちで未変換のものがなくなるまで、S53〜S55が繰り返し実行されて、変換対象ファイルに含まれる画像データが順次変換される。
【0058】
変換対象ファイルに含まれる全ページの画像データが変換された場合は(S55:YES)、これら変換済みの画像データによって構成される変換済ファイルが、メモリカード30の保存用フォルダに格納された状態となる。そして、メモリカード30の特定フォルダに格納されている変換元の電子ファイル(つまり、変換対象ファイル)が削除されて(S57)、メイン処理(図3)に戻る。これにより、メモリカード30内にデータ形式が異なる同一の電子ファイルが重複記憶されないようにして、メモリカード30の空き容量を確保することができるとともに、特定フォルダ内の電子ファイルが何度も変換される不具合を防止できる。
【0059】
図3に戻り、データ変換処理(S15)が行われたのち、メモリカード30の特定フォルダ内に電子ファイルが格納されていないか否かが判断される(S17)。特定フォルダ内に電子ファイルが格納されていない場合(S17:YES)、特定フォルダ内に格納されていた電子ファイルが全て特定のデータ形式に変換された(つまり、全ての電子ファイルのそれぞれについて変換済ファイルが作成された)と判断される。そこで、メモリカード30の保存用フォルダに格納されている変換済ファイルを選択可能に一覧表示するフォルダ表示画面が、表示パネル3に表示される(S19)。ユーザは、このフォルダ表示画面において、例えばキャラクタキー67を操作して任意の変換済ファイルを選択することで、その変換済ファイルに基づくドキュメントを閲覧することができる。
【0060】
一方、特定フォルダ内に電子ファイルが格納されている場合(S17:NO)、S11に戻って、バッテリ80にデータ変換に必要な電力残量があり、且つ、特定フォルダ内に変換可能ファイルがあれば、先述と同様にデータ変換処理が実行される(S11:YES、S13:YES、S15)。このように、本実施形態では、バッテリ80にデータ変換に必要な電力残量がなくなるまで、特定フォルダ内に格納されている電子ファイルが特定のデータ形式に順次変換される。そして、メモリカード30の保存用フォルダ内に変換済ファイルが格納されるとともに、特定フォルダから変換元の電子ファイルが削除される。よって、バッテリ80の電池残量を最大限に活用して、より多数の電子ファイルをデータ変換することができる。
【0061】
ここで、S15のデータ変換処理(図5)では、先述のように、外部電源から電力供給を受けている場合は電子ファイルのデータ変換中に電力不足となるおそれがないため、よりファイルサイズの大きい電子ファイルから順にデータ変換される(S103:YES、S105〜S107)。つまり、データ変換後のファイルサイズが最も大きくなる可能性が高い電子ファイルが優先的に変換されるので、その変換済ファイルの書き込み時にメモリカード30に空き容量がなくなる不具合の発生を抑制することができる。
【0062】
一方、外部電源から電力供給を受けていない場合は電子ファイルのデータ変換中に電力不足となる(つまり、バッテリ80の電力残量がなくなる)おそれがあるため、よりファイルサイズの小さい電子ファイルから順にデータ変換される(S103:NO、S109〜S111)。つまり、データ変換に使用する電力量が小さい電子ファイルが優先的に変換されるので、バッテリ80の電力残量がなくなるまでにより多くの電子ファイルをデータ変換することができる。
【0063】
なお、S11において、バッテリ80のセル電圧が電圧閾値未満である場合は、電子ファイルのデータ変換を行ったとしても、そのデータ変換中に電力不足が発生するおそれがあるとみなされるため、バッテリ80にデータ変換に必要な電力残量がないと判断される(S11:NO)。この場合、S103と同様にして、携帯端末1にACアダプタ81の挿入ありか否かが判断される(S21)。携帯端末1にACアダプタ81が挿入ある場合は(S21:YES)、バッテリ80に電力残量がなくても外部電源からの電力供給によってデータ変換が可能であるため、S13に進む。
【0064】
一方、携帯端末1にACアダプタ81の挿入がない場合は(S21:NO)、図8に例示するようなバッテリ不足画面32が表示パネル3に表示されたのち(S23)、先述のフォルダ表示画面が表示される(S19)。図8に示すように、バッテリ不足画面32では、バッテリ80にデータ変換に必要な電力残量がない旨が明示される。これにより、バッテリ80にデータ変換に必要な電力残量がなくなるまで電子ファイルが特定のデータ形式に変換されて、S19のフォルダ表示画面には、その電力残量がなくなるまでに作成された変換済ファイルが一覧表示される。
【0065】
また、特定フォルダ内に変換可能ファイルがない場合は(S13:NO)、データ変換を実行できない旨を示す変換不可画面が表示パネル3に表示されたのち(S25)、先述のフォルダ表示画面が表示される(S19)。これにより、特定フォルダ内に格納された電子ファイルのうちで変換可能ファイルのみが特定のデータ形式に変換されて、S19のフォルダ表示画面には、その変換可能ファイルがなくなるまでに作成された変換済ファイルが一覧表示される。
【0066】
S19にてフォルダ表示画面が表示されると、LED表示部7が通常パターン(ここでは、非点灯状態)に表示制御されるとともに、操作部6でのキー操作が有効化されて、S1に戻る。そして、携帯端末1の電源がオフとされるまで、所定の実行タイミング(つまり、USBケーブル9の抜脱あり、または、メモリカード30の挿入あり)が検出されるごとに(S1、S3)、上記と同様にデータ変換が実行される(S5〜S19)。
【0067】
以上説明したように、本実施形態の携帯端末1では、メモリカード30から他のデータ形式の電子ファイルが取得されると、バッテリ80の電力残量が電力閾値以上であるか否かが判断される。内部電池の電力残量が電力閾値以上である場合には、取得された電子ファイルが特定のデータ形式に変換されて、その変換済ファイルがメモリカード30に記憶される。一方、バッテリ80の電力残量が電力閾値以上でない場合は、取得された電子ファイルは特定のデータ形式に変換されない。よって、他のデータ形式の電子ファイルを特定のデータ形式に変換しているときに、バッテリ80の電力残量が不足して動作終了してしまい、不完全な変換済ファイルが保存される不具合の発生を抑制することができる。さらに、メモリカード30から他のデータ形式の電子ファイルが取得されるごとに、その電子ファイルを特定のデータ形式に変換するのに必要な電力残量があるか否かが判断されるので、携帯端末1にて使用可能な電力量やハードウエア資源に制約がある場合でも、バッテリ80の電力残量を最大限に活用してより多数の電子ファイルをデータ変換することができる。
【0068】
ところで、上記実施形態において、携帯端末1が本発明の「表示装置」に相当する。メモリカード30が、本発明の「第一記憶装置」、「第二記憶装置」、「共通記憶装置」にそれぞれ相当する。S51の変換対象選択処理(図6)を実行するCPU11が、本発明の「未対応データ取得手段」に相当する。S21、S103を実行するCPU11が、本発明の「電力残量判断手段」にそれぞれ相当する。S15のデータ変換処理(図5)を実行するCPU11が、本発明の「変換手段」および「変換データ記憶制御手段」にそれぞれ相当する。電源コントローラ19が本発明の「外部電源接続手段」に相当する。S55を実行するCPU11が、本発明の「完了判断手段」に相当する。S57を実行するCPU11が、本発明の「削除手段」に相当する。メモリカードI/F17が、本発明の「装着手段」に相当する。S19を実行するCPU11が、本発明の「変換済ファイル表示制御手段」に相当する。
【0069】
また、S51の変換対象選択処理(図6)が、本発明の「未対応データ取得ステップ」に相当する。S21、S103が、本発明の「電力残量判断ステップ」にそれぞれ相当する。S15のデータ変換処理(図5)が、本発明の「変換ステップ」および「変換データ記憶制御ステップ」にそれぞれ相当する。CPU11にメイン処理(図3)を実行させる制御プログラムが、本発明の「データ変換プログラム」に相当する。
【0070】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲での変更が可能である。例えば、上記実施形態では、電気泳動方式の表示パネル3で画像表示が行われる携帯端末1を例示したが、公知の液晶ディスプレイ等で画像表示が行われる表示装置であってもよいし、デジタルフォトフレーム等の据え置き型の表示装置であってもよい。
【0071】
また、上記実施形態では、メモリカード30に変換前の電子ファイルおよび変換済ファイルをともに記憶させることで、携帯端末1自体に各種ファイルを保存するための記憶装置を設ける必要がなく、携帯端末1の薄型・軽量化や製造コストの抑制等が図られているが、これに限定されない。例えば、携帯端末1に各種ファイルを保存するための内蔵メモリを設けておき、この内蔵メモリに変換前の電子ファイルおよび変換済ファイルがともに記憶されるようにしてもよい。さらに、変換前の電子ファイルが記憶される記憶装置と、変換済ファイルが記憶される記憶装置とが異なっていてもよい。例えば、変換前の電子ファイルがメモリカード30に記憶されており、その電子ファイルが変換された変換済ファイルが内蔵メモリに保存されるようにしてもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、メモリカード30の保存用フォルダに変換済ファイルが格納されているが、変換済ファイルの格納位置は任意とすることができる。また、S19のフォルダ表示画面では、変換済ファイルを選択可能に保存用フォルダが表示されるが、変換済ファイルが選択可能に表示されればよい。例えば、変換済ファイルがメモリカード30のルートディレクトリに直接格納され、S19のフォルダ表示画面では変換済ファイルを選択可能にルートディレクトリが表示されてもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、未選択の変換可能ファイルを変換対象ファイルとして1つずつ選択し(図6参照)、選択した1つの変換対象ファイルの変換が終了してから次の変換対象ファイルがまた1つ選択される。しかし、図6に示す変換対象選択処理では、変換対象ファイルが所定数取得されればよく、その所定数は1つに限られない。例えば、所定数の変換対象ファイルとして1度に複数の変換対象ファイルを選択してもよいし、選択される変換対象ファイルの所定数を変更できるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0074】
1 携帯端末
2 複合機
3 表示パネル
6 操作部
10 制御基板
11 CPU
12 ROM
13 RAM
14 EEPROM
15 表示コントローラ
16 キーコントローラ
17 メモリカードI/F
18 USBI/F
19 電源コントローラ
30 メモリカード
31 変換中画面
32 バッテリ不足画面
80 バッテリ
81 ACアダプタ
82 電源ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定のデータ形式の電子ファイルを表示する表示装置であって、
前記表示装置に電力を供給する内部電池と、
前記特定のデータ形式とは異なるデータ形式の未対応データを記憶する第一記憶装置から、前記未対応データを所定数取得する未対応データ取得手段と、
前記内部電池の電力残量が所定の閾値以上であるか否かを判断する電力残量判断手段と、
前記未対応データ取得手段によって取得された前記所定数の未対応データを、前記電力残量判断手段によって前記内部電池の電力残量が所定の閾値以上であると判断された場合に前記特定のデータ形式の電子ファイルに変換する一方、前記電力残量判断手段によって前記所定の閾値以上でないと判断された場合は前記特定のデータ形式の電子ファイルに変換しない変換手段と、
前記変換手段によって変換された前記特定のデータ形式の電子ファイルを、第二記憶装置に記憶させる変換データ記憶制御手段とを備え、
前記未対応データ取得手段は、前記特定のデータ形式の電子ファイルが前記第二記憶装置に記憶された場合に、前記第一記憶装置に記憶されている前記未対応データのうち、前記未対応データ取得手段によってまだ取得されていない前記未対応データを所定数取得し、
前記電力残量判断手段は、前記未対応データ取得手段によって前記所定数の未対応データが取得されるごとに、前記内部電池の電力残量が所定の閾値以上であるか否かを判断することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記第一記憶装置および前記第二記憶装置は、一の共通記憶装置であって、
前記変換手段による変換が完了したか否かを判断する完了判断手段と、
前記完了判断手段によって前記変換手段による変換が完了したと判断された場合に、その変換が完了した前記所定数の未対応データを前記共通記憶装置から削除する削除手段とを備え、
前記未対応データ取得手段は、前記削除手段によって前記所定数の未対応データが削除された場合に、前記共通記憶装置からの次の前記未対応データの取得を行うことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
外部電源と接続して、前記外部電源からの電源供給を受け付ける外部電源接続手段を備え、
前記変換手段は、前記外部電源接続手段に前記外部電源が接続されている場合、前記電力残量判断手段によって前記内部電池の電力残量が前記所定の閾値以上であると判断されたか否かに拘らず、前記未対応データ取得手段によって取得された前記所定数の未対応データを前記特定のデータ形式の電子ファイルに変換することを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記未対応データ取得手段は、前記第一記憶装置からデータサイズが小さい順に前記所定数の未対応データを取得することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の表示装置。
【請求項5】
前記未対応データ取得手段は、前記外部電源接続手段に前記外部電源が接続されているか否かに応じて、前記第一記憶装置から前記未対応データを取得する優先順序を切り替えることを特徴とする請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記未対応データ取得手段は、前記外部電源接続手段に前記外部電源が接続されていない場合、前記第一記憶装置からデータサイズが小さい順に前記所定数の未対応データを取得する一方、前記外部電源接続手段に前記外部電源が接続されている場合、前記外部電源が接続されていない場合とは異なる優先順序に従って、前記第一記憶装置から前記所定数の未対応データを取得することを特徴とする請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記共通記憶装置は、複数の機器に着脱自在な外部記憶装置であり、
前記表示装置は、さらに前記外部記憶装置を着脱可能な装着手段を備えたことを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項8】
前記完了判断手段によって前記変換手段による変換が完了したと判断された場合、前記第二記憶装置に記憶された前記電子ファイルを選択可能に表示する変換済ファイル表示制御手段を備えたことを特徴とする請求項2または7に記載の表示装置。
【請求項9】
前記未対応データ取得手段は、所定の優先順序に従って、前記第一記憶装置から前記所定数の未対応データを取得するとともに、前記外部電源接続手段に前記外部電源が接続されているか否かに応じて、前記所定の優先順序を切り替えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の表示装置。
【請求項10】
特定のデータ形式の電子ファイルを表示する表示装置において、前記特定のデータ形式とは異なるデータ形式の未対応データを、前記特定のデータ形式の電子ファイルに変換するデータ変換方法であって、
前記未対応データを記憶する第一記憶装置から、前記未対応データを所定数取得する未対応データ取得ステップと、
前記内部電池の電力残量が所定の閾値以上であるか否かを判断する電力残量判断ステップと、
前記未対応データ取得ステップによって取得された前記所定数の未対応データを、前記電力残量判断ステップによって前記内部電池の電力残量が所定の閾値以上であると判断された場合に前記特定のデータ形式の電子ファイルに変換する一方、前記電力残量判断ステップによって前記所定の閾値以上でないと判断された場合は前記特定のデータ形式の電子ファイルに変換しない変換ステップと、
前記変換ステップによって変換された前記特定のデータ形式の電子ファイルを、第二記憶装置に記憶させる変換データ記憶制御ステップとを備え、
前記未対応データ取得ステップは、前記特定のデータ形式の電子ファイルが前記第二記憶装置に記憶された場合に、前記第一記憶装置に記憶されている前記未対応データのうち、前記未対応データ取得ステップによってまだ取得されていない前記未対応データを所定数取得し、
前記電力残量判断ステップは、前記未対応データ取得ステップによって前記所定数の未対応データが取得されるごとに、前記内部電池の電力残量が所定の閾値以上であるか否かを判断することを特徴とするデータ変換方法。
【請求項11】
特定のデータ形式の電子ファイルを表示する表示装置に用いられ、前記特定のデータ形式とは異なるデータ形式の未対応データを、前記特定のデータ形式の電子ファイルに変換するデータ変換プログラムであって、
コンピュータに、
前記未対応データを記憶する第一記憶装置から、前記未対応データを所定数取得する未対応データ取得ステップと、
前記内部電池の電力残量が所定の閾値以上であるか否かを判断する電力残量判断ステップと、
前記未対応データ取得ステップによって取得された前記所定数の未対応データを、前記電力残量判断ステップによって前記内部電池の電力残量が所定の閾値以上であると判断された場合に前記特定のデータ形式の電子ファイルに変換する一方、前記電力残量判断ステップによって前記所定の閾値以上でないと判断された場合は前記特定のデータ形式の電子ファイルに変換しない変換ステップと、
前記変換ステップによって変換された前記特定のデータ形式の電子ファイルを、第二記憶装置に記憶させる変換データ記憶制御ステップとを実行させ、
前記未対応データ取得ステップは、前記特定のデータ形式の電子ファイルが前記第二記憶装置に記憶された場合に、前記第一記憶装置に記憶されている前記未対応データのうち、前記未対応データ取得ステップによってまだ取得されていない前記未対応データを所定数取得し、
前記電力残量判断ステップは、前記未対応データ取得ステップによって前記所定数の未対応データが取得されるごとに、前記内部電池の電力残量が所定の閾値以上であるか否かを判断することを特徴とするデータ変換プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−272019(P2010−272019A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−124577(P2009−124577)
【出願日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】