説明

表示装置、バリア装置、および表示装置の駆動方法

【課題】液晶バリアの応答速度を改善することができる表示装置を得る。
【解決手段】複数の液晶バリアを含む液晶バリア部と、複数のバリア駆動信号DRVA,DRVBを複数の液晶バリアに供給することにより、複数の液晶バリアを開閉動作させるバリア駆動部と、映像を表示する表示部とを備える。上記バリア駆動信号は、第1の波高値(開駆動電圧Vo)を有する第1の波形部分(開駆動波形部分Wo)と、第1の波形部分の直前に位置し、第1の波高値よりも小さい第2の波高値(プレ電圧Vpre)を有する第2の波形部分(準備駆動波形部分Wpre)と、基準電位に保たれた第3の波形部分(閉駆動波形部分Wc)とを含む信号である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体視表示が可能な、パララックスバリア方式の表示装置、バリア装置、および表示装置の駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、立体視表示を実現できる表示装置が注目を集めている。立体視表示は、互いに視差のある(視点の異なる)左眼映像と右眼映像を表示するものであり、観察者が左右の目でそれぞれを見ることにより奥行きのある立体的な映像として認識することができる。また、互いに視差がある3つ以上の映像を表示することにより、観察者に対してより自然な立体映像を提供することが可能な表示装置も開発されている。
【0003】
このような表示装置は、専用の眼鏡が必要なものと、不要なものとに大別されるが、観察者にとっては専用の眼鏡は煩わしく感じるものであり、専用の眼鏡が不要なものが望まれている。専用の眼鏡が不要な表示装置としては、例えば、レンチキュラーレンズ方式や、視差バリア(パララックスバリア)方式などがある。これらの方式では、互いに視差がある複数の映像(視点映像)を同時に表示し、表示装置と観察者の視点との相対的な位置関係(角度)によって見える映像が異なるようになっている。
【0004】
このような表示装置で複数の視点の映像を表示した場合には、映像の実質的な解像度が、CRT(Cathode Ray Tube)や液晶表示装置などの表示装置自体の解像度を視点の数で割ったものとなり、画質が低下してしまうという問題があった。この問題を解決するために、様々な検討がなされている。例えば、特許文献1には、表示面内に配置された複数の液晶バリアのそれぞれの透過状態(開状態)および遮断状態(閉状態)を時分割的に切り替えて表示することにより等価的に解像度を改善する、パララックスバリア方式の表示装置が提案されている。
【0005】
ところで、表示装置では、一般に、早い応答速度が望まれている。表示装置の応答速度が遅い場合には、例えば、動画を表示した場合において、各表示画像の残像が見えてしまい、表示品質が低下するおそれがある。この問題を改善するために、例えば、液晶表示装置において、所望の電圧よりも高い電圧を液晶素子に過渡的に印加する、いわゆるオーバードライブ技術により、液晶の応答速度を速くする表示装置が提案されている(例えば、特許文献2,3など)。このオーバードライブ技術は、中間調(グレー階調)の間で表示を切り換える場合において、液晶の応答速度の改善を図るものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−114793号公報
【特許文献2】特開2004−220022号公報
【特許文献3】特開2010−49014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、液晶バリアを用いたパララックスバリア方式の表示装置では、液晶バリアを素早く開閉動作することが望まれている。液晶バリアが素早く開閉動作しない場合には、例えば、表示輝度が低下し、あるいは、左目画像と右眼画像が混ざって観察される、いわゆるクロストークが生じるおそれがある。しかしながら、特許文献1には、液晶バリアを素早く開閉動作させる方法についての記載は一切ない。また、液晶バリアは、中間調(グレー階調)を主に表示する液晶表示装置とは異なり、開状態(透過状態)と閉状態(遮断状態)との間で切り換えて動作するため、特許文献2,3に開示された液晶表示装置のオーバードライブ技術を適用しても、液晶の応答速度を速くできないおそれがある。
【0008】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、液晶バリアの応答速度を速くすることができる表示装置、バリア装置、および表示装置の駆動方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の表示装置は、液晶バリア部と、バリア駆動部と、表示部とを備えている。液晶バリア部は、複数の液晶バリアを含むものである。バリア駆動部は、複数のバリア駆動信号を複数の液晶バリアに供給することにより、複数の液晶バリアを開閉動作させるものである。表示部は、映像を表示するものである。上記複数のバリア駆動信号は、それぞれ、第1の波高値を有する第1の波形部分と、第1の波形部分の直前に位置し、第1の波高値よりも小さい第2の波高値を有する第2の波形部分と、基準電位に保たれた第3の波形部分とを含む信号である。
【0010】
本発明のバリア装置は、液晶バリア部と、バリア駆動部とを備えている。液晶バリア部は、複数の液晶バリアを含むものである。バリア駆動部は、複数のバリア駆動信号を複数の液晶バリアに供給することにより、複数の液晶バリアを開閉動作させるものである。上記複数のバリア駆動信号は、それぞれ、第1の波高値を有する第1の波形部分と、第1の波形部分の直前に位置し、第1の波高値よりも小さい第2の波高値を有する第2の波形部分と、基準電位に保たれた第3の波形部分とを含む信号である。
【0011】
本発明の表示装置の駆動方法は、第1の波高値を有する第1の波形部分と、第1の波形部分の直前に位置し、第1の波高値よりも小さい第2の波高値を有する第2の波形部分と、基準電位に保たれた第3の波形部分とを含む、互いに異なる複数のバリア駆動信号を、複数の液晶バリアに供給することにより、その複数の液晶バリアを開閉動作させるように複数の液晶バリアを駆動し、表示部に映像を表示するものである。
【0012】
本発明の表示装置、バリア装置、および表示装置の駆動方法では、複数の液晶バリアが開閉動作することにより、表示部に表示された映像が立体的に視認されるように表示される。その際、液晶バリアは、第2の波形部分と、第1の波形部分と、第3の波形部分とを含むバリア駆動信号により駆動される。これにより、液晶バリアは、第3の波形部分が印加され遮断状態となった後、第2の波形部分が印加されることにより、開放状態への準備状態となり、続いて第1の波形部分が印加された時に開放状態となる。
【0013】
本発明の表示装置では、例えば、複数の液晶バリアは、複数のバリアグループにグループ分けされており、バリア駆動部は、互いに異なる複数のバリア駆動信号を、それぞれ、対応するバリアグループに属する液晶バリアに供給することにより、複数の液晶バリアを、バリアグループ間で異なるタイミングで開閉動作させ、表示部は、各バリアグループに属する液晶バリアの開閉動作に同期して映像を表示するのが望ましい。また、例えば、バリア駆動部は、バリアグループ間で巡回するように開動作期間を設定し、各開動作期間において、開動作を行うべきバリアグループに属する液晶バリアに対して第1の波形部分を供給し、閉状態にあるバリアグループのうち次の開動作期間に開動作を行うべきバリアグループに属する液晶バリアに対して第2の波形部分を供給し、閉状態にあるバリアグループのうち次の開動作期間に閉動作を行うべきバリアグループに属する液晶バリアに対して第3の波形部分を供給するのが望ましい。
【0014】
また、例えば、温度センサと、第2の波高値を指示するための波高データを複数保持する波高データ保持部とをさらに備え、バリア駆動部は、温度センサの検出結果に基づいて、複数の波高データのうちの一つを選択し、その波高データに基づいてバリア駆動信号を生成するようにしてもよい。
【0015】
また、例えば、バリア駆動信号は、第2の波形部分、第1の波形部分、および第3の波形部分を含む第1の基本波形ユニットを繰り返す周期的な信号であってもよいし、この第1の基本波形ユニットと、その第1の基本波形ユニットを反転した波形を有する第2の基本波形ユニットとを交互に配置したものであってもよい。また、例えば、バリア駆動信号は、正電圧となる時間と負電圧となる時間とが互いに等しいことが望ましい。
【0016】
また、例えば、第2の波形部分は直流波形であってもよいし、極性が交番する波形であってもよい。また、例えば、第2の波高値は、第2の波形部分が液晶バリアを遮断状態にするためのレベルであることが望ましい。
【0017】
また、例えば、複数の液晶バリアは、それぞれが所定の方向に延在するように設けられると共に、所定の方向と交差する方向にバリアグループが巡回するように並設されるのが望ましい。
【0018】
また、例えば、本発明の表示装置は、3次元映像表示モードおよび2次元映像表示モードを含む複数の表示モードを有し、液晶バリア部は、さらに複数のサブ液晶バリアを有し、3次元映像表示モードにおいて、表示部が複数の異なる視点映像を表示し、複数の液晶バリアが透過状態になるとともに、複数のサブ液晶バリアが遮断状態になることにより、3次元映像を表示し、2次元映像表示モードにおいて、表示部が1つの視点映像を表示し、複数の液晶バリアおよび複数のサブ液晶バリアが透過状態になることにより、2次元映像を表示するようにしてもよい。
【0019】
また、例えば、表示部は液晶表示部であり、バックライトをさらに備え、液晶表示部は、バックライトと液晶バリア部との間に配置されるようにしてもよい。また、例えば、表示部は液晶表示部であり、バックライトをさらに備え、液晶バリア部は、バックライトと液晶表示部との間に配置されるようにしてもよい。
【0020】
また、例えば、本発明の表示装置の駆動方法では、複数の液晶バリアは、複数のバリアグループにグループ分けされており、複数の液晶バリアを駆動する際、互いに異なる複数のバリア駆動信号を、対応する複数のバリアグループにグループ分けされた複数の液晶バリアに供給することにより、バリアグループ間で異なるタイミングで開閉動作させるように駆動し、表示部に映像を表示する際、各バリアグループに属する液晶バリアの開閉動作に同期して映像を表示するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明の表示装置、バリア装置、および表示装置の駆動方法によれば、液晶バリアに対して、第1の波高値を有する第1の波形部分の前に、第1の波高値よりも小さい第2の波高値を有する第2の波形部分を印加するようにしたので、液晶バリアの応答速度を速くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る立体表示装置の一構成例を表すブロック図である。
【図2】図1に示した立体表示装置の一構成例を表す説明図である。
【図3】図1に示した表示駆動部および表示部の一構成例を表すブロック図である。
【図4】図3に示した画素の一構成例を表す回路図である。
【図5】図1に示した液晶バリアの一構成例を表す説明図である。
【図6】図1に示した液晶バリアのグループ構成例を表す説明図である。
【図7】図1に示したバリア駆動信号の一波形例を表すタイミング波形図である。
【図8】図1に示した表示部および液晶バリアの一動作例を表す模式図である。
【図9】図1に示した表示部および液晶バリアの一動作例を表す他の模式図である。
【図10】図1に示した立体表示装置の一動作例を表すタイミング図である。
【図11】図1に示した液晶バリアの一動作例を表すタイミング図である。
【図12】第1の実施の形態の変形例に係るバリア駆動信号の一波形例を表すタイミング波形図である。
【図13】第1の実施の形態の他の変形例に係るバリア駆動信号の一波形例を表すタイミング波形図である。
【図14】第1の実施の形態の他の変形例に係る立体表示装置の一動作例を表すタイミング図である。
【図15】第1の実施の形態の他の変形例に係るバリア駆動信号の一波形例を表すタイミング波形図である。
【図16】本発明の第2の実施の形態に係る立体表示装置の一構成例を表すブロック図である。
【図17】図1に示したバリア駆動信号の一波形例を表すタイミング波形図である。
【図18】変形例に係る立体表示装置の一構成例を表す説明図である。
【図19】変形例に係る立体表示装置の一動作例を表す模式図である。
【図20】他の変形例に係る液晶バリアの一構成例を表す平面図である。
【図21】他の変形例に係る表示部および液晶バリアの一動作例を表す模式図である。
【図22】他の変形例に係る立体表示装置の一動作例を表すタイミング図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態
2.第2の実施の形態
【0024】
<1.第1の実施の形態>
[構成例]
(全体構成例)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る立体表示装置の一構成例を表すものである。なお、本発明の実施の形態に係るバリア装置、および表示装置の駆動方法は、本実施の形態により具現化されるので、併せて説明する。立体表示装置1は、制御部40と、表示駆動部50と、表示部20と、バックライト駆動部42と、バックライト30と、バリア駆動部41と、液晶バリア部10とを備えている。
【0025】
制御部40は、外部より供給される映像信号Sdispに基づいて、表示駆動部50、バックライト駆動部42、およびバリア駆動部41に対してそれぞれ制御信号を供給し、これらがお互いに同期して動作するように制御する回路である。具体的には、制御部40は、表示駆動部50に対して映像信号Sdispに基づく映像信号Sを供給し、バックライト駆動部42に対してバックライト制御信号CBLを供給し、バリア駆動部41に対してバリア制御信号CBRを供給するようになっている。ここで、映像信号Sは、立体表示装置1が立体視表示を行う場合に、後述するように、それぞれが複数(この例では6つ)の視点映像を含む映像信号SA,SBから構成されるものである。
【0026】
表示駆動部50は、制御部40から供給される映像信号Sに基づいて表示部20を駆動するものである。表示部20は、この例では液晶表示部であり、液晶表示素子を駆動して、バックライト30から射出した光を変調することにより表示を行うようになっている。
【0027】
バックライト駆動部42は、制御部40から供給されるバックライト制御信号CBLに基づいてバックライト30を駆動するものである。バックライト30は、表示部20に対して面発光した光を射出する機能を有している。バックライト30は、例えば、LED(Light Emitting Diode)や、CCFL(Cold Cathode Fluorescent Lamp)などを用いて構成されるものである。
【0028】
バリア駆動部41は、制御部40から供給されるバリア制御信号CBRに基づいて周期的なバリア駆動信号DRVを生成し、液晶バリア部10に供給するものである。液晶バリア部10は、バックライト30から射出し表示部20を透過した光を透過(開動作)または遮断(閉動作)するものであり、液晶を用いて構成された複数の開閉部11,12(後述)を有している。ここで、バリア駆動信号DRVは、後述するように、開閉部12A(後述)を駆動する為のバリア駆動信号DRVAと、開閉部12B(後述)を駆動するためのバリア駆動信号DRVBを含むものである。
【0029】
図2は、立体表示装置1の要部の一構成例を表すものであり、(A)は立体表示装置1の分解斜視構成を示し、(B)は立体表示装置1の側面図を示す。図2に示したように、立体表示装置1では、これらの各部品は、バックライト30、表示部20、および液晶バリア部10の順に配置されている。つまり、バックライト30から射出した光は、表示部20および液晶バリア部10を介して、観察者に届くようになっている。
【0030】
(表示駆動部50および表示部20)
図3は、表示駆動部50および表示部20のブロック図の一例を表すものである。表示駆動部50は、タイミング制御部51と、ゲートドライバ52と、データドライバ53とを備えている。タイミング制御部51は、ゲートドライバ52およびデータドライバ53の駆動タイミングを制御するとともに、制御部40から供給された映像信号Sを映像信号S1としてデータドライバ53へ供給するものである。ゲートドライバ52は、タイミング制御部51によるタイミング制御に従って、表示部20内の画素Pixを行ごとに順次選択して、線順次走査するものである。データドライバ53は、表示部20の各画素Pixへ、映像信号S1に基づく画素信号を供給するものである。具体的には、データドライバ53は、映像信号S1に基づいてD/A(デジタル/アナログ)変換を行うことにより、アナログ信号である画素信号を生成し、各画素Pixへ供給するようになっている。
【0031】
表示部20は、例えばガラスなどから構成される2枚の透明基板の間に液晶材料を封入したものである。これらの透明基板の液晶材料に面した部分には、例えばITO(Indium Tin Oxide)などから構成される透明電極が形成され、液晶材料とともに画素Pixを構成している。表示部20には、図3に示したように、画素Pixがマトリックス状に配置されている。
【0032】
図4は、画素Pixの回路図の一例を表すものである。画素Pixは、TFT(Thin Film Transistor)素子Trと、液晶素子LCと、保持容量素子Cとを備えている。TFT素子Trは、例えばMOS−FET(Metal Oxide Semiconductor-Field Effect Transistor)により構成されるものであり、ゲートがゲート線Gに接続され、ソースがデータ線Dに接続され、ドレインが液晶素子LCの一端と保持容量素子Cの一端に接続されている。液晶素子LCは、一端がTFT素子Trのドレインに接続され、他端は接地されている。保持容量素子Cは、一端がTFT素子Trのドレインに接続され、他端は保持容量線Csに接続されている。ゲート線Gはゲートドライバ52に接続され、データ線Dはデータドライバ53に接続されている。
【0033】
この構成により、バックライト30から射出した光は、表示部20の入射側に配置された偏光板(図示せず)によって定められる方向の直線偏光となり、液晶素子LCに入射する。液晶素子LCでは、データ線Dを介して供給された画素信号に応じて、液晶分子の向きがある応答時間で変化する。このような液晶素子LCに入射した光は、その偏光方向が変化する。そして、液晶素子LCを透過した光は、表示部20の出射側に配置された偏光板(図示せず)に入射し、特定の偏光方向の光のみが通過する。このようにして、液晶素子LCでは光の強度変調が行われるようになっている。
【0034】
(液晶バリア部10およびバリア駆動部41)
図5は、液晶バリア部10の一構成例を表すものであり、(A)は液晶バリア部10の平面図を示し、(B)は側面図を示す。
【0035】
液晶バリア部10は、図5(A)に示したように、光を透過または遮断する複数の開閉部(液晶バリア)11,12を有している。開閉部11および開閉部12は、x軸方向に交互に並設され、y軸方向(順次走査方向)に延在するように形成されている。開閉部11,12は、立体表示装置1が通常表示(2次元表示)および立体視表示のどちらを行うかにより、異なる動作を行う。具体的には、開閉部11は、後述するように、立体表示装置1が通常表示を行う際に開状態(透過状態)になり、立体視表示を行う際には、閉状態(遮断状態)となるものである。開閉部12は、後述するように、立体表示装置1が通常表示を行う際に開状態(透過状態)になり、立体視表示を行う際には、時分割的に開閉動作を行うものである。
【0036】
液晶バリア部10は、図5(B)に示したように、透明基板13と、透明基板13に対向して配置された透明基板16と、透明基板13と透明基板16との間に挿設された液晶層19とを備えている。透明基板13,16は、例えばガラスなどから構成されるものである。透明基板13の液晶層19側の面、および透明基板16の液晶層19側の面には、例えばITOなどから構成される複数の透明電極15,17がそれぞれ形成されている。この例では、透明電極15には0Vが印加されており、バリア駆動部41は透明電極17に対してバリア駆動信号DRVを印加する。なお、液晶バリア部10の駆動は、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、透明電極17に0Vが印加され、バリア駆動部41は透明電極15に対してバリア駆動信号DRVを印加するようにしてもよい。このバリア駆動部41は、後述するように、開閉部11および開閉部12(12A,12B)のそれぞれに対して別々にバリア駆動信号DRVを印加することにより、これらの開閉部を独立して開閉動作させるようになっている。透明基板13上に形成された透明電極15と、透明基板16上に形成された透明電極17とは、互いに対応する位置に配置されており、液晶層19とともに開閉部11,12を構成している。液晶層19は、電界の状態に応じてそこを通過する光を変調するものであり、例えば、VA(垂直配向)モードの液晶が用いられる。透明基板13の液晶層19とは反対側の面、および透明基板16の液晶層19とは反対側の面には、偏光板14,18がそれぞれ形成されている。なお、図示していないが、図5(B)において、液晶バリア部10の右側(偏光板18の右側)には、表示部20およびバックライト30が図2(B)に示した順に配置されている。
【0037】
液晶バリア部10の開閉部11,12の開閉動作は、表示部20における表示動作と同様である。すなわち、バックライト30から射出し表示部20を透過した光は、偏光板18によって定められる方向の直線偏光となり、液晶層19に入射する。液晶層19では、透明電極15,17に供給された電位差に応じて、液晶分子の向きがある応答時間で変化する。このような液晶層19に入射した光は、その偏光方向が変化する。そして、液晶層19を透過した光は、偏光板14に入射し、特定の偏光方向の光のみが通過する。このようにして、液晶層19では光の強度変調が行われるようになっている。
【0038】
この構成により、透明電極15,17に電圧を印加してその電位差を大きくなると、液晶層19における光の透過率が増大し、開閉部11,12は透過状態になる。一方、透明電極15,17間の電位差が小さくなると、液晶層19における光の透過率が減少し、開閉部11,12は遮断状態となる。
【0039】
液晶バリア部10において、複数の開閉部12はグループを構成する。そして、同じグループに属する複数の開閉部12は、立体視表示を行う際、同じタイミングで開動作および閉動作を行うようになっている。以下に、開閉部12のグループについて説明する。
【0040】
図6は、開閉部12のグループ構成例を表すものである。開閉部12は、この例では2つのグループを構成している。具体的には、1つおきに配置された複数の開閉部12が、グループAおよびグループBをそれぞれ構成している。なお、以下では、グループAに属する開閉部12の総称として開閉部12Aを適宜用い、同様に、グループBに属する開閉部12の総称として開閉部12Bを適宜用いるものとする。
【0041】
バリア駆動部41は、立体視表示を行う際、同じグループに属する複数の開閉部12が同じタイミングで開閉動作を行うように駆動するとともに、クループ間では異なるタイミングで開閉動作を行うように駆動する。具体的には、バリア駆動部41は、後述するように、グループAに属する複数の開閉部12Aに対してバリア駆動信号DRVAを供給し、グループBに属する複数の開閉部12Bに対して、バリア駆動信号DRVBを供給する。この例では、バリア駆動信号DRVA,DRVBは、同じ波形形状を有するとともに、互いに位相がずれたものである。そして、複数の開閉部12Aおよび複数の開閉部12Bは、時分割的に交互に開閉動作するようになっている。
【0042】
図7は、バリア駆動部41が生成するバリア駆動信号DRVA,DRVBの一波形例を表すものである。バリア駆動部41は、交流駆動により、液晶バリア部10を駆動する。バリア駆動信号DRVA,DRVBは、それぞれ、閉駆動波形部分Wcと、開駆動波形部分Woと、準備駆動波形Wpreとを有する、周期的な信号である。
【0043】
閉駆動波形部分Wcは、開閉部12A,12Bを閉状態(遮断状態)にするための波形部分であり、この例では、0Vの直流信号である。この閉駆動波形部分Wcが印加された開閉部12A,12Bでは、液晶層19の両側の透明電極15,17(図5(B))の電位差は0Vとなり、その光の透過率Tが十分に低くなり、開閉部12A,12Bが閉状態になる。
【0044】
開駆動波形部分Woは、開閉部12A,12Bを開状態(透過状態)にするための波形部分であり、この例では、−VoとVo(Voは開駆動電圧)との間で遷移する矩形波形のパルス信号である。開駆動電圧Voは、開閉部12A,12Bが透過状態になるために必要な電圧であり、例えば8Vである。この開駆動波形部分Woが印加された開閉部12A,12Bでは、透明電極15,17(図5(B))の電位差の絶対値はVoとなる。開閉部12A,12Bでは、その絶対値Voに基づいて液晶分子の向きが変化し、光の透過率Tが十分に高くなり、開閉部12A,12Bが開状態になる。
【0045】
準備駆動波形部分Wpreは、開閉部12A,12Bを開状態にする前段階として、その準備をするための波形部分であり、この例では、プレ電圧Vpreを有する直流波形である。ここで、プレ電圧Vpreは、開駆動波形部分Woの電圧の絶対値である開駆動電圧Voよりも低い電圧であり、例えば5Vである。この準備駆動波形部分Wpreが印加された開閉部12A,12Bでは、液晶層19の両側の透明電極15,17(図5(B))の電位差の絶対値はVpreとなる。このとき、開閉部12A,12Bにおける光の透過率Tは、後述するように、十分に低いことが望ましい。
【0046】
図7に示したように、バリア駆動部41は、準備駆動波形部分Wpre、開駆動波形部分Wo、および閉駆動波形部分Wcからなる単位信号Uを繰り返し生成し、開閉部12A,12Bに対してそれぞれ供給するようになっている。
【0047】
図8は、立体視表示および通常表示(2次元表示)を行う場合の液晶バリア部10の状態を、断面構造を用いて模式的に表すものであり、(A)は立体視表示を行う一状態を示し、(B)は立体視表示を行う他の状態を示し、(C)は通常表示を行う状態を示す。液晶バリア部10には、開閉部11および開閉部12(開閉部12A,12B)が交互に配置されている。この例では、開閉部12Aは、表示部20の6つの画素Pixに1つの割合で設けられている。同様に、開閉部12Bは、表示部20の6つの画素Pixに1つの割合で設けられている。以下の説明では、画素Pixは、3つのサブピクセル(RGB)から構成されたピクセルとするが、これに限定されるものではなく、例えば、画素Pixがサブピクセルであってもよい。また、液晶バリア部10において、光が遮断される部分は斜線で示している。
【0048】
立体視表示を行う場合には、表示駆動部50に映像信号SA,SBが交互に供給され、表示部20はそれらに基づいて表示を行う。そして、液晶バリア部10では、開閉部12(開閉部12A,12B)が時分割的に開閉動作を行い、開閉部11が閉状態(遮断状態)を維持する。具体的には、映像信号SAが供給された場合には、図8(A)に示したように、開閉部12Aが開状態になるとともに、開閉部12Bが閉状態になる。表示部20では、後述するように、この開閉部12Aに対応した位置に配置された互いに隣接する6つの画素Pixが、映像信号SAに含まれる6つの視点映像に対応する表示を行う。これにより、観察者は、後述するように、例えば左眼と右眼とで異なる視点映像を見ることにより、表示された映像を立体的な映像として感じるようになっている。同様に、映像信号SBが供給された場合には、図8(B)に示したように、開閉部12Bが開状態になるとともに、開閉部12Aが閉状態になる。表示部20では、後述するように、この開閉部12Bに対応した位置に配置された互いに隣接する6つの画素Pixが、映像信号SBに含まれる6つの視点映像に対応する表示を行う。これにより、観察者は、後述するように、例えば左眼と右眼とで異なる視点映像を見ることにより、表示された映像を立体的な映像として感じるようになっている。立体表示装置1では、このように、開閉部12Aと開閉部12Bを交互に開放して映像を表示することにより、後述するように、表示装置の解像度を高めることができるようになっている。
【0049】
通常表示(2次元表示)を行う場合には、液晶バリア部10では、図8(C)に示したように、開閉部11および開閉部12(開閉部12A,12B)はともに開状態(透過状態)を維持するようになっている。これにより、観察者は、映像信号Sに基づいて表示部20に表示された通常の2次元映像をそのまま見ることができる。
【0050】
ここで、立体表示装置1は、本発明における「表示装置」の一具体例に対応する。グループA,Bは、本発明における「バリアグループ」の一具体例に対応する。開閉部12A,12Bは、本発明における「液晶バリア」の一具体例に対応する。開閉部11は、本発明における「サブ液晶バリア」の一具体例に対応する。開駆動電圧Voは、本発明における「第1の波高値」の一具体例に対応する。開駆動波形部分Woは、本発明における「第1の波形部分」の一具体例に対応する。プレ電圧Vpreは、本発明における「第2の波高値」の一具体例に対応する。準備駆動波形部分Wpreは、本発明における「第2の波形部分」の一具体例に対応する。閉駆動波形部分Wcは、本発明における「第3の波形部分」の一具体例に対応する。
【0051】
[動作および作用]
続いて、本実施の形態の立体表示装置1の動作および作用について説明する。
【0052】
(全体動作概要)
まず、図1を参照して、立体表示装置1の全体動作概要を説明する。制御部40は、外部より供給される映像信号Sdispに基づいて、表示駆動部50、バックライト駆動部42、およびバリア駆動部41に対してそれぞれ制御信号を供給し、これらがお互いに同期して動作するように制御する。バックライト駆動部42は、制御部40から供給されるバックライト制御信号CBLに基づいてバックライト30を駆動する。バックライト30は、面発光した光を表示部20に対して射出する。表示駆動部50は、制御部40から供給される映像信号Sに基づいて表示部20を駆動する。表示部20は、バックライト30から射出した光を変調することにより表示を行う。バリア駆動部41は、制御部40から供給されるバリア制御命令CBRに基づいてバリア駆動信号DRVを生成し、液晶バリア部10に供給する。液晶バリア部10の開閉部11,12(12A,12B)は、バリア制御命令CBRに基づいて開閉動作を行い、バックライト30から射出し表示部20を透過した光を透過または遮断する。
【0053】
(立体視表示の詳細動作)
次に、いくつかの図を参照して、立体視表示を行う場合の詳細動作を説明する。
【0054】
図9は、表示部20および液晶バリア部10の動作例を表すものであり、(A)は、映像信号SAが供給された場合を示し、(B)は映像信号SBが供給された場合を示す。
【0055】
映像信号SAが供給された場合には、図9(A)に示したように、表示部20の画素Pixのそれぞれは、映像信号SAに含まれる6つの視点映像のそれぞれに対応する画素情報P1〜P6を表示する。このとき、画素情報P1〜P6は、開閉部12A付近に配置された画素Pixにそれぞれ表示される。映像信号SAが供給された場合には、液晶バリア部10では、開放部12Aが開状態(透過状態)になるとともに、開放部12Bが閉状態になるように制御されている。表示部20の各画素Pixから出た光は、開閉部12Aによりそれぞれ角度が制限されて出力される。観察者は、例えば左眼で画素情報P3を、右眼で画素情報P4を見ることにより、立体的な映像を見ることができる。
【0056】
映像信号SBが供給された場合には、図9(B)に示したように、表示部20の画素Pixのそれぞれは、映像信号SBに含まれる6つの視点映像のそれぞれに対応する画素情報P1〜P6を表示する。このとき、画素情報P1〜P6は、開閉部12B付近に配置された画素Pixにそれぞれ表示される。映像信号SBが供給された場合には、液晶バリア部10では、開放部12Bが開状態(透過状態)になるとともに、開放部12Aが閉状態になるように制御されている。表示部20の各画素Pixから出た光は、開閉部12Bによりそれぞれ角度が制限されて出力される。観察者は、例えば左眼で画素情報P3を、右眼で画素情報P4を見ることにより、立体的な映像を見ることができる。
【0057】
このように、観察者は、左眼と右眼とで、画素情報P1〜P6のうちの異なる画素情報を見ることとなり、観察者は立体的な映像として感じることができる。また、開閉部12Aと開閉部12Bを時分割的に交互に開放して映像を表示することにより、観察者は、互いにずれた位置に表示される映像を平均化して見ることとなる。よって、立体表示装置1は、開閉部12Aのみをもつ場合に比べ、2倍の解像度を実現することが可能となる。言い換えれば、立体表示装置1の解像度は、2次元表示の場合に比べ1/3(=1/6×2)で済むこととなる。
【0058】
図10は、立体表示装置1における表示動作のタイミング図を表すものであり、(A)は表示部20の動作を示し、(B)はバックライト30の動作を示し、(C)はバリア駆動信号DRVAの波形を示し、(D)は開閉部12Aにおける光の透過率Tを示し、(E)はバリア駆動信号DRVBの波形を示し、(F)は開閉部12Bにおける光の透過率Tを示す。
【0059】
図10(A)の縦軸は、表示部20の線順次走査方向(y軸方向)の位置を示している。つまり、図10(A)は、ある時刻の、あるy軸方向の位置における表示部20の動作状態を示している。図10(A)において、“SA”は表示部20が映像信号SAに基づく表示を行っている状態を示し、“SB”は表示部20が映像信号SBに基づく表示を行っている状態を示している。
【0060】
立体表示装置1では、走査周期T1で行われる線順次走査により、開閉部12Aにおける表示(映像信号SAに基づく表示)と開閉部12Bにおける表示(映像信号SBに基づく表示)とを時分割的に行う。そして、表示周期T0ごとにこれらの表示を繰り返す。ここで、表示周期T0は、例えば、16.7[msec](60[Hz]の一周期分)にすることが可能である。この場合、走査周期T1は、4.2[msec](表示周期T0の4分の1)である。
【0061】
立体表示装置1は、タイミングt3〜t4の期間において、映像信号SAに基づく表示を行い、タイミングt5〜t6の期間において、映像信号SBに基づく表示を行う。
【0062】
まず、タイミングt1〜t2の期間において、バリア駆動部41は、バリア駆動信号DRVAの準備駆動波形部分Wpreを生成し、開閉部12Aに対して供給する(図10(C))。このとき、液晶バリア部10では、開閉部12Aにおける光の透過率Tが、十分に低いレベルを維持する(図10(D))。
【0063】
次に、タイミングt2〜t3の期間において、表示部20では、表示駆動部50から供給される駆動信号に基づき、最上部から最下部に向かって線順次走査が行われ、映像信号SAに基づく表示が行われる(図10(A))。バリア駆動部41は、バリア駆動信号DRVAの開駆動波形部分Woを生成し、開閉部12Aに対して供給する(図10(C))。これにより、液晶バリア部10では、開閉部12Aの光の透過率Tが上昇する(図10(D))。そして、バックライト30は、このタイミングt2〜t3の期間において消灯する(図10(B))。これにより、観察者は、表示部20における、映像信号SBに基づく表示から映像信号SAに基づく表示への過渡的な変化、および開閉部12における光の透過率Tの過渡的な変化を見ることがないので、画質劣化を低減することができる。
【0064】
そして、タイミングt3〜t4の期間において、表示部20では、表示駆動部50から供給される駆動信号に基づき、最上部から最下部に向かって線順次走査が行われ、映像信号SAに基づく表示が再度行われる(図10(A))。バリア駆動部41は、引き続きバリア駆動信号DRVAの開駆動波形部分Woを生成し、開閉部12Aに対して供給するとともに(図10(C))、バリア駆動信号DRVBの準備駆動波形部分Wpreを生成し、開閉部12Bに対して供給する(図10(E))。これにより、液晶バリア部10では、開閉部12Aは、その光の透過率Tが十分に高くなって開状態となるとともに(図10(D))、開閉部12Bは、光の透過率Tが十分に低くなり閉状態となる(図10(F))。そして、バックライト30は、このタイミングt3〜t4の期間において点灯する(図10(B))。これにより、観察者は、タイミングt3〜t4の期間において、表示部20の映像信号SAに基づく表示を見ることができる。また、開閉部12Bにおける光の透過率Tが十分に低いため、映像信号SA,SBに基づく表示が混ざりにくくなり、いわゆるクロストークによる画質劣化を低減することができる。
【0065】
次に、タイミングt4〜t5の期間において、表示部20では、表示駆動部50から供給される駆動信号に基づき、最上部から最下部に向かって線順次走査が行われ、映像信号SBに基づく表示が行われる(図10(A))。バリア駆動部41は、バリア駆動信号DRVAの閉駆動波形部分Wcを生成し、開閉部12Aに対して供給するとともに(図10(C))、バリア駆動信号DRVBの開駆動波形部分Woを生成し、開閉部12Bに対して供給する(図10(E))。これにより、液晶バリア部10では、開閉部12Aの光の透過率Tが低下するとともに(図10(D))、開閉部12Bの光の透過率Tが上昇する(図10(F))。そして、バックライト30は、このタイミングt4〜t5の期間において消灯する(図10(B))。これにより、観察者は、表示部20における、映像信号SAに基づく表示から映像信号SBに基づく表示への過渡的な変化、および開閉部12における光の透過率Tの過渡的な変化を見ることがないので、画質劣化を低減することができる。
【0066】
そして、タイミングt5〜t6の期間において、表示部20では、表示駆動部50から供給される駆動信号に基づき、最上部から最下部に向かって線順次走査が行われ、映像信号SBに基づく表示が再度行われる(図10(A))。バリア駆動部41は、バリア駆動信号DRVAの準備駆動波形部分Wpreを生成し、開閉部12Aに対して供給するとともに(図10(C))、引き続きバリア駆動信号DRVBの開駆動波形部分Woを生成し、開閉部12Bに対して供給する(図10(E))。これにより、液晶バリア部10では、開閉部12Aは、光の透過率Tが十分に低くなり閉状態となるとともに(図10(D))、開閉部12Bは、その光の透過率Tが十分に高くなって開状態となる(図10(F))。そして、バックライト30は、このタイミングt5〜t6の期間において点灯する(図10(B))。これにより、観察者は、タイミングt5〜t6の期間において、表示部20の映像信号SBに基づく表示を見ることができる。また、開閉部12Aにおける光の透過率Tが十分に低いため、映像信号SA,SBに基づく表示が混ざりにくくなり、いわゆるクロストークによる画質劣化を低減することができる。
【0067】
以上の動作を繰り返すことにより、立体表示装置1は、映像信号SAに基づく表示(開閉部12Aにおける表示)と、映像信号SBに基づく表示(開閉部12Bにおける表示)とを交互に繰り返して行う。
【0068】
このように、立体表示装置1では、開閉部12A,12Bにおける光の透過率Tは、開駆動波形部分Woが印加されてから、短い時間で開状態に遷移することが望ましい。また、開閉部12A,12Bの光の透過率Tは、準備駆動波形部分Wpreが印加された期間では十分に低いことが望ましい。
【0069】
次に、バリア駆動部41および液晶バリア部10の動作について説明する。
【0070】
図11は、液晶バリア部10の開閉部12A,12Bが閉状態から開状態に変化する場合におけるバリア駆動部41および液晶バリア部10の動作例を表すものであり、(A)は、バリア駆動部41が生成するバリア駆動信号DRVA,DRVBの波形例を示し、(B)は、開閉部12A,12Bにおける光の透過率Tを示す。図11(B)において、光の透過率Tは、バリア駆動部41が、バリア駆動信号DRVの開駆動波形部分Woを開閉部12A,12Bに印加したときの最終的な光の透過率を100[%]として規格化したものである。
【0071】
バリア駆動部41がバリア駆動信号DRVA,DRVBの準備駆動波形部分Wpreおよび開駆動波形部分Woを開閉部12A,12Bに対して印加することにより(図11(A))、開閉部12A,12Bにおける光の透過率は、図11(B)に示したように、その準備駆動波形部分Wpreにおけるプレ電圧Vpreに応じて変化する。
【0072】
例えば、プレ電圧Vpreが3Vの場合は、光の透過率Tは、準備駆動波形部分Wpreが印加されているときは十分に低く、開駆動波形部分Woが印加された後にゆっくりと上昇し、100[%]に近づいていく。この場合の光の透過率Tの立ち上がり時間Trは、約10.0[msec]である。ここで、立ち上がり時間Trは、開閉部12A,12Bが閉状態から開状態に変化する時間であり、具体的には、光の透過率T(相対値)が5%から90%になるまでの時間として定義したものである。また、例えば、プレ電圧Vpreが8Vの場合は、光の透過率Tは、準備駆動波形部分Wpreが印加されているときに上昇し始め、開駆動波形部分Woが印加された後にさらに上昇を続け、100[%]に近づいていく。この場合の立ち上がり時間Trは、約12.4[msec]である。
【0073】
一方、例えば、プレ電圧Vpreが5Vの場合は、光の透過率Tは、準備駆動波形部分Wpreが印加されているときは十分に低く、開駆動波形部分Woが印加されてから素早く上昇し、100[%]に近づく。この場合の立ち上がり時間Trは約3.9[msec]であり、光の透過率Tは、上述した2条件よりも速く上昇している。
【0074】
図11(B)に示したように、開閉部12A,12Bは、適切なプレ電圧Vpreを印加することにより、立ち上がり時間Trを短くすることができる。これは、以下の理由による。VAモードの液晶素子は、閉状態(遮断状態)では透明基板13,16に垂直に配向しており、開状態(透過状態)にすべく透明電極17にバリア駆動信号DRV(閉駆動波形部分Wc)が印加されると、透明電極15,17間の電位差に基づいて透明基板13,16に平行な面に向かって倒れるように動作する。このとき、液晶分子の倒れる方向を決めるため、しばしば、閉状態における液晶分子を、垂直方向から若干ずれた所定の方位に配向させる、いわゆるプレチルトを付ける方法が用いられる。しかしながら、この所定の方位に配向している液晶分子を倒す際、透明電極17に対して閉駆動波形部分Wcの直後に開駆動波形部分Wが印加された場合には、液晶分子は、過渡的にその配向方位が乱れて倒れてしまい、その後所定の安定した方位に戻るのに時間がかかり、応答が遅くなる。本実施の形態では、バリア駆動部41が、透明電極17に対して、開動作波形部分Woを印加する前に準備駆動波形部分Wpre(プレ電圧Vpre)を印加することにより、この配向方位の乱れを低減し、液晶分子をそのプレチルトで定めた最終的に安定する方向に若干倒すことができる。これにより、液晶分子の倒れる方向が定まるため、液晶分子は、透明電極17に開動作波形部分Woが印加されたときには、その方向に向かってすぐに倒れることができる。
【0075】
なお、上述したプレチルトにおいて、基板面に対してその液晶分子を倒す角度(プレチルト角度)を大きくすることにより、液晶分子は、より速く応答できるようになる。しかしながら、この場合には、このプレチルトにより、閉状態にもかかわらず若干光を透過させることとなる。すなわち、コントラスト(開状態と閉状態における光の透過率の比)と液晶分子の応答速度との間にはトレードオフの関係がある。つまり、高速に応答させるためには、プレチルト量を大きくする必要があるが、この場合には、コントラストが低下してしまう。一方、コントラストを高めるためには、プレチルト量を小さくする必要があるため、液晶分子の応答が遅くなってしまう。
【0076】
本実施の形態では、例えばプレチルト量を必要最低限に設定し、閉状態から開状態に変化させる時のみ、バリア駆動部41がプレ電圧Vpreを印加して、液晶分子を若干傾けている。このように、液晶にプレ電圧Vpreを印加することにより、プレチルトと同等の効果を得ることができ、その後の液晶分子の応答を速くすることができる。また、閉状態では、バリア駆動部41が閉駆動波形部分Wcを印加することにより、液晶の両端の電位差を0Vにして、光の透過率を低減することができ、コントラストを高めることができる。
【0077】
また、図11(B)に示したように、開閉部12A,12Bの光の透過率Tは、適切なプレ電圧Vpreを印加することにより、準備駆動波形部分Wpreが印加された期間において、十分に低くすることができる。すなわち、プレ電圧Vpreを印加することにより液晶分子を若干傾けるが、この際、光の透過率Tに影響がでないようなプレ電圧Vpreを選択すればよい。
【0078】
[効果]
以上のように本実施の形態では、バリア駆動信号に、プレ電圧を有する準備駆動波形部分を設けるようにしたので、開閉部における光の透過率の時間変化を調整することができる。
【0079】
また、本実施の形態では、そのプレ電圧を、開駆動波形部分の電圧の絶対値よりも低い所定の値に設定したので、開駆動波形部分が印加されている期間において、開閉部が閉状態から開状態に変化する時間を短くすることができる。
【0080】
また、本実施の形態では、そのプレ電圧を低く設定したので、準備駆動波形部分が印加されている期間における開閉部の光の透過率を十分に低くすることができ、クロストークによる画質の劣化を低減することができる。
【0081】
[変形例1−1]
上記実施の形態では、準備駆動波形部分Wpreは、プレ電圧Vpreを有する直流波形としたが、これに限定されるものではない。図12(A)〜(E)は、本変形例に係るバリア駆動信号DRVA,DRVBの単位信号Uを表すものである。例えば、図12(A)に示したように、0Vからプレ電圧VpreAに向かってサインカーブのように上昇する波形であっても良いし、図12(B)に示したように、0Vからプレ電圧VpreBに向かって一次関数のように上昇する波形であってもよいし、図12(C)に示したように、0Vからプレ電圧VpreCに向かって指数関数のように上昇する波形であってもよい。また、図12(D)に示したように、0Vからプレ電圧VpreDに向かって、複数回にわたって段階的に上昇するパルス波形であってもよい。また、準備駆動波形部分Wpreは、これらのように0Vとプレ電圧Vpreとの間で変化するものに限定されるものではなく、例えば、図12(E)に示したように、負のプレ電圧VpreEを有する直流波形であってもよい。なお、これらの場合において、プレ電圧VpreA〜VpreEは、必ずしも同じ電圧ではない。このプレ電圧VpreA〜VpreEは、図12(A)〜(E)の波形のそれぞれに対して図11(B)に示したような特性を評価した後に決定される。
【0082】
[変形例1−2]
上記実施の形態では、バリア駆動信号DRVA,DRVBは、走査周期T1で電圧が遷移するようにしたが、これに限定されるものではない。図13(A),(B)は、本変形例に係るバリア駆動信号DRVA,DRVBの単位信号Uを表すものである。例えば、図13(A)に示したように、準備駆動波形部分Wpreを走査周期T1の半分の期間ごとに反転するとともに、上記実施の形態の場合(例えば図7)に比べて、開駆動波形部分を2倍の周波数にしてもよい。また、図13(B)に示したように、準備駆動波形部分Wpreを走査周期T1の1/4の期間ごとに反転するとともに、開駆動波形部分を4倍の周波数にしてもよい。なお、液晶分子の向きは、バリア駆動信号DRVA,DRVBの電圧の絶対値により制御されるため、このような信号の反転等により影響を受けることはない。これらのバリア駆動信号DRVA,DRVBは、単位信号Uにおいて、電圧が正の時間と負の時間が等しくなるため、液晶バリア部10における、液晶のいわゆる焼きつきの影響を低減することができる。
【0083】
[変形例1−3]
上記実施の形態では、バリア駆動信号DRVA,DRVBの単位信号Uの時間は、表示周期T0と等しいものとしたが、これに限定されるものではない。以下に、この変形例について詳細に説明する。
【0084】
図14は、本変形例に係る立体表示装置における表示動作のタイミング図を表すものであり、(A)は表示部20の動作を示し、(B)はバックライト30の動作を示し、(C)はバリア駆動信号DRVAの波形を示し、(D)は開閉部12Aにおける光の透過率Tを示し、(E)はバリア駆動信号DRVBの波形を示し、(F)は開閉部12Bにおける光の透過率Tを示す。本変形例に係る立体表示装置では、バリア駆動部は、表示周期T0の2倍の長さの単位信号Uを有するバリア駆動信号DRVA,DRVBを生成し、開閉部12A,12Bにそれぞれ供給する。
【0085】
単位信号Uは、準備駆動波形部分Wpre1、開駆動波形部分Wo1、閉駆動波形部分Wc1、準備駆動波形部分Wpre2、開駆動波形部分Wo2、および閉駆動波形部分Wc2の6つの波形部分から構成されている。ここで、準備駆動波形部分Wpre1,Wpre2は、互いに反転した波形であり、開駆動波形部分Wo1,Wo2は、互いに反転した波形であり、閉駆動波形部分Wc1,Wc2は、互いに反転した波形である。これらのバリア駆動信号DRVA,DRVBは、単位信号Uにおいて、電圧が正の時間と負の時間が等しくなるため、液晶バリア部10における、液晶のいわゆる焼きつきの影響を低減することができる。また、本変形例に係るバリア駆動信号DRVA,DRVBは、上記実施の形態の場合(例えば図7)と同じ周波数であるため、消費電流を増加させることなく、この焼きつきの影響を低減することができる。
【0086】
また、例えば、図15(A),(B)に示したように、開駆動波形部分Wo1,Wo2のそれぞれにおいて、その電圧が変化しないようにしてもよい。すなわち、開駆動波形部分Wo1は、走査周期T1の2倍の長さの時間において電圧(−Vo)を維持する波形であり、開駆動波形部分Wo2は、走査周期T1の2倍の長さの時間において電圧Voを維持する波形であってもよい。この場合でも、単位信号Uにおいて、電圧が正の時間と負の時間が等しくなるため、液晶バリア部10における、液晶のいわゆる焼きつきの影響を低減することができる。また、バリア駆動信号DRVA,DRVBが遷移する頻度が少なくなるため、例えば、消費電流を低減することができる。
【0087】
また、本変形例では、図14、15に示したように、単位信号Uは、準備駆動波形部分Wpre1、開駆動波形部分Wo1、閉駆動波形部分Wc1、準備駆動波形部分Wpre2、開駆動波形部分Wo2、および閉駆動波形部分Wc2の6つの波形部分から構成されるものとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、準備駆動波形部分Wpre1、開駆動波形部分Wo1、および閉駆動波形部分Wc1からなる波形部分を複数回(例えば10回)繰り返した後に、準備駆動波形部分Wpre2、開駆動波形部分Wo2、および閉駆動波形部分Wc2からなる波形部分を複数回(例えば10回)繰り返すことにより構成されていてもよい。
【0088】
<2.第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態に係る立体表示装置2について説明する。本実施の形態は、温度センサを有し、温度によってプレ電圧Vpreを変更するものである。なお、上記第1の実施の形態に係る立体表示装置1と実質的に同一の構成部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0089】
図16は、立体表示装置2の一構成例を表すものである。立体表示装置2は、温度センサ63と、制御部60と、プレ電圧データ保持部64と、バリア駆動部61とを備えている。温度センサ63は、温度を検出するものである。制御部60は、表示駆動部50およびバックライト駆動部42を制御するとともに、温度センサ63から供給された温度情報に基づいて、バリア駆動部61を制御するものである。プレ電圧データ保持部64は、プレ電圧Vpreを示すプレ電圧データを複数保持するLUT(Look Up Table)65を有している。複数のプレ電圧データは、例えば10℃ごとに設定された複数の温度範囲のそれぞれにおけるプレ電圧Vpreを示すものである。バリア駆動部61は、制御部60から供給された温度情報に基づいて、LUT65からその温度に対応するプレ電圧データを選択し、そのプレ電圧データに基づいて、プレ電圧Vpreを含むバリア駆動信号DRVA,DRVBを生成し、液晶バリア部10の開閉部12A,12Bにそれぞれ供給する機能を有している。
【0090】
ここで、プレ電圧データ保持部64は、本発明における「波高データ保持部」の一具体例に対応する。
【0091】
図17は、バリア駆動部61が生成するバリア駆動信号DRVA,DRVBの単位信号Uの波形を表すものであり、(A)は低温時の場合を示し、(B)は高温時の場合を示す。図17に示したように、準備駆動波形部分Wpreのプレ電圧Vpreは、低温時には高くしており(図17(A))、一方、高温時には低くしている(図17(B))。
【0092】
液晶の粘性は、一般に、温度とともに変化する。すなわち、低温時には粘性が高くなり、高温時には粘性が低くなる。これにより、開閉部12A,12Bの液晶分子の、透明電極15,17間の電位差に対する応答特性は、低温時には遅くなり、一方、高温時には速くなる。よって、立体表示装置2では、図17に示したように、低温時にはプレ電圧Vpreを高くし、高温時にはプレ電圧Vpreを低くすることにより、応答特性の温度による変化を低減している。
【0093】
以上のように本実施の形態では、温度によってプレ電圧を変えるようにしたので、温度が変化したときの応答特性の変化を低減することができる。その他の効果は、上記第1の実施の形態の場合と同様である。
【0094】
以上、いくつかの実施の形態および変形例を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態等には限定されず、種々の変形が可能である。
【0095】
例えば、上記実施の形態等では、立体表示装置1のバックライト30、表示部20、液晶バリア部10は、この順に配置したが、これに限定されるものではなく、これに代えて、図18に示したように、バックライト30、液晶バリア部10、表示部20の順に配置してもよい。
【0096】
図19は、本変形例に係る表示部20および液晶バリア部10の動作例を表すものであり、(A)は、映像信号SAが供給された場合を示し、(B)は映像信号SBが供給された場合を示す。本変形例では、バックライト30から射出した光は、まず液晶バリア部10に入射する。そして、その光のうち、開閉部12A,12Bを透過した光が表示部20において変調されるとともに、6つの視点映像を出力するようになっている。
【0097】
また、例えば、上記実施の形態等では、液晶バリアの開閉部はy軸方向に延伸するものとしたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、図20(A)に示したステップバリア形式や、図20(B)に示した斜めバリア形式であってもよい。ステップバリア形式については、例えば、特開2004−264762に記載がある。また、斜めバリア形式については、例えば、特開2005−86506に記載がある。
【0098】
また、例えば、上記実施の形態等では、開閉部12は2つのグループを構成したが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば3つ以上のグループを構成するようにしてもよい。これにより、表示の分解能をさらに改善することができる。以下に、その詳細を説明する。
【0099】
図21は、開閉部12が3つのグループA,B,Cを構成する場合の例を表すものである。上記実施の形態と同様に、開閉部12AはグループAに属する開閉部12を示し、開閉部12BはグループBに属する開閉部12を示し、開閉部12CはグループCに属する開閉部12を示す。
【0100】
図22は、本変形例に係る立体表示装置における表示動作のタイミング図を表すものであり、(A)は表示部20の動作を示し、(B)はバックライト30の動作を示し、(C)はバリア駆動信号DRVAの波形を示し、(D)は開閉部12Aにおける光の透過率Tを示し、(E)はバリア駆動信号DRVBの波形を示し、(F)は開閉部12Bにおける光の透過率Tを示し、(G)はバリア駆動信号DRVCの波形を示し、(H)は開閉部12Cにおける光の透過率Tを示す。本変形例に係るバリア駆動部は、バリア駆動信号DRVA〜DRVCを生成し、開閉部12A〜12Cに対してそれぞれ供給する。これにより、開閉部12A,12B,12Cは、時分割的に、巡回するように開閉動作を行う。
【0101】
このように、開閉部12A,12B,12Cを時分割的に交互に開放して映像を表示することにより、この変形例に係る立体表示装置は、開口部12Aのみをもつ場合に比べ、3倍の解像度を実現することが可能となる。言い換えれば、この立体表示装置の解像度は、2次元表示の場合に比べ1/2(=1/6×3)で済むこととなる。
【0102】
また、例えば、上記実施の形態等では、映像信号SA,SBが6つの視点映像を含むようにしたが、これに限定されるものではなく、5つ以下の視点映像や、7つ以上の視点映像を含むようにしてもよい。この場合、図8に示した液晶バリア部10の開閉部12A,12Bと、画素Pixとの関係も変化する。すなわち、例えば、映像信号SA,SBが5つの視点映像を含む場合には、開閉部12Aは、表示部20の5つの画素Pixに1つの割合で設けることが望ましく、同様に、開閉部12Bは、表示部20の5つの画素Pixに1つの割合で設けることが望ましい。
【0103】
また、例えば、上記実施の形態等では、表示部20は液晶表示部としたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば有機EL(Electro Luminescence)などを用いたEL表示部であってもよい。この場合、図1に示したバックライト駆動部42およびバックライト30は不要となる。
【符号の説明】
【0104】
1,1B,2…立体表示装置、10…液晶バリア、11,12,12A,12B,12C,61A,61B,62A,62B…開閉部、13,16…透明基板、14,18…偏光板、15,17…透明電極、19…液晶層、20…表示部、30…バックライト、40,60…制御部、41,61…バリア駆動部、42…バックライト駆動部、50…表示駆動部、51…タイミング制御部、52…ゲートドライバ、53…データドライバ、63…温度センサ、64…プレ電圧データ保持部、A,B…グループ、C…保持容量素子、CBL…バックライト制御信号、CBR,CBR2…バリア制御信号、D…データ線、DRV,DRVA,DRVB,DRVC…バリア駆動信号、G…ゲート線、LC…液晶素子、Pix…画素、P1〜P6…画素情報、S,S1,SA,SB,SC,Sdisp…映像信号、T…光の透過率、T0…周期、T1…走査周期、Tr…TFT素子、U…単位信号、Vo…開駆動電圧、Vpre,VpreA〜VpreE…プレ電圧、Wc,Wc1,Wc2…閉駆動波形部分、Wo,Wo1,Wo2…開駆動波形部分、Wpre,Wpre1,Wpre2…準備駆動波形部分。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の液晶バリアを含む液晶バリア部と、
複数のバリア駆動信号を前記複数の液晶バリアに供給することにより、前記複数の液晶バリアを開閉動作させるバリア駆動部と、
映像を表示する表示部と
を備え、
前記バリア駆動信号は、
第1の波高値を有する第1の波形部分と、
前記第1の波形部分の直前に位置し、前記第1の波高値よりも小さい第2の波高値を有する第2の波形部分と、
基準電位に保たれた第3の波形部分と
を含む信号である
表示装置。
【請求項2】
前記複数の液晶バリアは、複数のバリアグループにグループ分けされており、
前記バリア駆動部は、互いに異なる複数の前記バリア駆動信号を、それぞれ、対応するバリアグループに属する液晶バリアに供給することにより、前記複数の液晶バリアを、バリアグループ間で異なるタイミングで開閉動作させ、
前記表示部は、各バリアグループに属する液晶バリアの開閉動作に同期して映像を表示する
前記請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記バリア駆動部は、バリアグループ間で巡回するように開動作期間を設定し、
各開動作期間において、
開動作を行うべきバリアグループに属する液晶バリアに対して前記第1の波形部分を供給し、
閉状態にあるバリアグループのうち次の開動作期間に開動作を行うべきバリアグループに属する液晶バリアに対して前記第2の波形部分を供給し、
閉状態にあるバリアグループのうち次の開動作期間に閉動作を行うべきバリアグループに属する液晶バリアに対して前記第3の波形部分を供給する
請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
温度センサと、
前記第2の波高値を指示するための波高データを複数保持する波高データ保持部と
をさらに備え、
前記バリア駆動部は、前記温度センサの検出結果に基づいて、前記複数の波高データのうちの一つを選択し、その波高データに基づいて前記バリア駆動信号を生成する
請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記バリア駆動信号は、前記第2の波形部分、前記第1の波形部分、および前記第3の波形部分を含む第1の基本波形ユニットを繰り返す周期的な信号である
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記バリア駆動信号は、
前記第2の波形部分、前記第1の波形部分、および前記第3の波形部分を含む第1の基本波形ユニットと、
前記第1の基本波形ユニットを反転した波形を有する第2の基本波形ユニットと
を交互に配置したものである
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記バリア駆動信号は、正電圧となる時間と負電圧となる時間とが互いに等しい
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記第2の波形部分は直流波形である
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記第2の波形部分は極性が交番する波形である
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項10】
前記第2の波高値は、前記第2の波形部分が前記液晶バリアを遮断状態にするためのレベルである
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項11】
前記複数の液晶バリアは、それぞれが所定の方向に延在するように設けられると共に、前記所定の方向と交差する方向に前記バリアグループが巡回するように並設されている
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項12】
3次元映像表示モードおよび2次元映像表示モードを含む複数の表示モードを有し、
液晶バリア部は、さらに複数のサブ液晶バリアを有し、
前記3次元映像表示モードにおいて、前記表示部が複数の異なる視点映像を表示し、前記複数の液晶バリアが透過状態になるとともに、前記複数のサブ液晶バリアが遮断状態になることにより、3次元映像を表示し、
前記2次元映像表示モードにおいて、前記表示部が1つの視点映像を表示し、前記複数の液晶バリアおよび前記複数のサブ液晶バリアが透過状態になることにより、2次元映像を表示する
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項13】
前記表示部は液晶表示部であり、
バックライトをさらに備え、
前記液晶表示部は、前記バックライトと前記液晶バリア部との間に配置されている
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項14】
前記表示部は液晶表示部であり、
バックライトをさらに備え、
前記液晶バリア部は、前記バックライトと前記液晶表示部との間に配置されている
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項15】
複数の液晶バリアを含む液晶バリア部と、
複数のバリア駆動信号を前記複数の液晶バリアに供給することにより、前記複数の液晶バリアを開閉動作させるバリア駆動部と
を備え、
前記バリア駆動信号は、
第1の波高値を有する第1の波形部分と、
前記第1の波形部分の直前に位置し、前記第1の波高値よりも小さい第2の波高値を有する第2の波形部分と、
基準電位に保たれた第3の波形部分と
を含む信号である
バリア装置。
【請求項16】
第1の波高値を有する第1の波形部分と、前記第1の波形部分の直前に位置し、前記第1の波高値よりも小さい第2の波高値を有する第2の波形部分と、基準電位に保たれた第3の波形部分とを含む、互いに異なる複数のバリア駆動信号を、複数の液晶バリアに供給することにより、その複数の液晶バリアを開閉動作させるように前記複数の液晶バリアを駆動し、表示部に映像を表示する
表示装置の駆動方法。
【請求項17】
前記複数の液晶バリアは、複数のバリアグループにグループ分けされており、
前記複数の液晶バリアを駆動する際、互いに異なる複数の前記バリア駆動信号を、対応する複数のバリアグループにグループ分けされた複数の液晶バリアに供給することにより、バリアグループ間で異なるタイミングで開閉動作させるように駆動し、
前記表示部に映像を表示する際、各バリアグループに属する液晶バリアの開閉動作に同期して映像を表示する
請求項16に記載の表示装置の駆動方法。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate


【公開番号】特開2012−155021(P2012−155021A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−12179(P2011−12179)
【出願日】平成23年1月24日(2011.1.24)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】