説明

表示装置、及び電子機器

【課題】 有機EL素子からの表示のみならず、その他の光源からの表示も行うことができ、当該表示装置の寿命特性又は輝度特性を向上させることが可能な構成を提供する。
【解決手段】 表示装置1は、有機EL表示体100と、該有機EL表示体100の表示面とは反対の背面側に配設された光変調体250とを備え、前記有機EL表示体100は、その平面内に、有機EL素子110を有する発光部21と、前記背面側からの光を透過可能な光透過部22とを含む画素部20を複数有してなり、前記光変調体250は、光源70と、該光源70からの光を複数の画素部50毎に変調して前記有機EL表示体100側に射出する光変調部200とを有し、前記有機EL表示体100の画素部20と前記光変調体250の画素部50とが、平面視重畳配置されてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置、並びにこの表示装置を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL素子(有機エレクトロルミネッセンス素子)を用いた表示装置として、その画素領域に、赤色を発光する有機EL素子を備える赤色画素部、緑色を発光する有機EL素子を備える緑色画素部、青色を発光する有機EL素子を備える青色画素部が、所定のパターンで配列されたフルカラー表示装置が知られている。このような有機EL素子を用いたフルカラー表示装置では、同一の表示を長時間継続すると、発光素子の劣化に起因する焼き付きが生じる場合がある。
【0003】
そこで、特許文献1では、フルカラーの有機EL表示体と、フルカラーの液晶表示体を重ねて設置した表示装置が開示されている。
【特許文献1】特開2003−289006号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された表示装置では、有機EL表示体の有機EL素子を透明に構成しなければならないが、該透明タイプの有機EL素子は表示面に射出される輝度が半減してしまうため、より高輝度で信頼性を確保できる赤色、緑色、青色の各有機EL素子が必要となる。しかしながら、有機EL素子は無機LED素子に比して寿命は短く、輝度も劣るのが現状である。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、有機EL素子を用いた有機EL表示体を備える表示装置において、有機EL素子からの表示のみならず、その他の光源からの表示も行うことができ、当該表示装置の寿命特性又は輝度特性を向上させることが可能な構成を提供することを目的としている。具体的には、常時点灯(表示固定)を行う場合にも、焼き付き等の不具合発生を好適に防止ないし抑制することが可能な表示装置を提供することを目的としている。更に、本発明は、このような表示装置を備えた電子機器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明の表示装置は、有機EL表示体(有機エレクトロルミネッセンス表示体)と、該有機EL表示体の表示面とは反対の背面側に配設された光変調体とを備え、前記有機EL表示体は、その平面内に、有機EL素子を有する発光部と、前記背面側からの光を透過可能な光透過部とを含む画素部を複数有してなり、前記光変調体は、光源と、該光源からの光を複数の画素部毎に変調して前記有機EL表示体側に射出する光変調部とを有し、前記有機EL表示体の画素部と前記光変調体の画素部とが、平面視重畳配置されてなることを特徴とする。
【0007】
このような表示装置によると、発光部からは有機EL素子に由来する表示を実現でき、光透過部からは光源に由来する表示を実現できる。従って、表示環境に応じて光源を適宜選択すれば有機EL素子にはない表示特性、又は有機EL素子では劣る表示特性を、当該表示装置に付与することが可能となる。
特に光源として有機EL素子よりも長寿命及び/又は高輝度のもの(例えば無機材料を用いた無機LED体からなるもの)を用いれば、発光部からの表示と光透過部からの表示をそれぞれ適宜切り替えることで、当該表示装置の長寿命化及び/又は高輝度化を図ることが可能となる。また、静止画等の固定表示を行う場合には、光源として長寿命及び/又は高輝度の無機LED体を用い、光源からの光により光透過部において固定表示を行うことで、当該表示装置の寿命特性及び/又は輝度特性を向上させることが可能となる。
【0008】
本発明の表示装置において、前記有機EL表示体の画素部は、それぞれ前記発光部を構成する赤色に相当する光を発光する第1サブ画素部と、緑色に相当する光を発光する第2サブ画素部と、青色に相当する光を発光する第3サブ画素部と、前記光透過部を構成するサブ領域とを有し、前記各サブ画素部及びサブ領域はそれぞれ区画部により所定パターンに区画されてなるものとすることができる。このように各サブ画素部とサブ領域を形成し、これらを区画部により区画する構成とすれば、サブ画素部とサブ領域を画素部内に簡便且つ確実に形成することができるようになる。特に上記のようなフルカラー用の各サブ画素部と同一のパターンでサブ領域を構成すれば、該サブ領域において光源からの光により確実に表示を行うことができるようになる。
【0009】
一方、前記有機EL表示体の画素部は、それぞれ前記発光部を構成する赤色に相当する光を発光する第1サブ画素部と、緑色に相当する光を発光する第2サブ画素部と、青色に相当する光を発光する第3サブ画素部とを有し、前記各サブ画素部はそれぞれ区画部により区画されてなり、前記区画部には前記光透過部が形成されてなることを特徴とする。このようにサブ画素部を区画する区画部にサブ領域を形成すれば、別途サブ領域を構成するスペースを設ける必要がなくなり、有機EL表示体において表示に寄与しない区画部を有効に活用することができるようになる。
【0010】
前記有機EL表示体は、基板上であって前記各サブ画素部内にパターン形成された光反射性電極と、該光反射性電極上に形成された有機EL層と、少なくとも前記有機EL層上に形成された光透過性電極とを有してなるとともに、前記基板を前記光変調体側に配設してなるものとすることができる。このように基板とは反対側から有機EL層からの光が射出される構成(トップエミッション)の場合、該基板を光変調体側に配設すれば有機EL表示体からの表示に加え、光変調体からの表示も実現することができるようになる。そして、この場合、特に光透過性電極についてはパターニングの必要がなくなるため、工程の簡略化を図ることが可能となる。
【0011】
前記有機EL表示体は、基板上であって少なくとも前記各サブ画素部内に形成された光透過性電極と、該光透過性電極上であって前記各サブ画素部内にパターン形成された有機EL層と、前記有機EL層上に形成された光反射性電極とを有してなるとともに、前記基板を表示面側に配設してなるものとすることができる。このように基板側から有機EL層からの光が射出される構成(トップエミッション)の場合、該基板を光変調体とは反対側(表示面側)に配設すれば有機EL表示体からの表示に加え、光変調体からの表示も実現することができるようになる。
【0012】
前記光変調体は液晶装置により構成されてなるものとすることができ、液晶装置によれば好適に光源光を変調することが可能となる。また、前記光源は無機材料からなる無機LED体により構成されてなるものとすることができ、無機LED体によれば有機EL素子よりも長寿命及び高輝度の表示を実現することが可能となる。さらに、前記光源は、赤色に相当する光を発光する第1発光部と、緑色に相当する光を発光する第2発光部と、青色に相当する光を発光する第3発光部とからなるものとすることができ、この場合、光変調体からフルカラーの表示を実現することができるようになる。
【0013】
また、本発明の電子機器は、上述の表示装置を備えたことを特徴とする。これにより、長寿命で且つ明るい表示が可能な電子機器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、本発明の表示装置の一実施の形態について説明する。
図1は本実施の形態の表示装置について1画素の断面構成を示す概念図で、図7は該1画素の平面構成を示す概念図である。なお、本実施の形態の表示装置は、各図に示した構成の画素を平面内にストライプ状等の配列で複数有して表示領域を構成している。
【0015】
図1に示すように、本実施の形態の表示装置1は、有機EL表示体100と液晶表示体(光変調体)250とを重ね合わせた構成を有してなり、液晶表示体250が有機EL表示体100の表示面(光が射出される面)とは反対の背面側に配設されてなるものである。表示に際しては、有機EL表示体100に基づく表示と、液晶表示体(液晶装置)250に基づく表示とを適宜選択して、一方若しくは両方の表示が可能とされている。
【0016】
有機EL表示体100は、基材(基板)4上に所定領域を区画するバンク(区画部)112を有してなり、図7にも示すように、画素(画素部)20の平面内に発光部21と光透過部22とを有している。発光部21には、陽極11R(11G、11B)と陰極12との間に有機EL層110R(110G、110B)を具備してなる有機EL素子110が形成されている。そして、該発光部21には、有機EL層110R(110G、110B)の発光色に応じて赤色サブ画素部R、緑色サブ画素部G、青色サブ画素部Bが構成されている。
【0017】
また、有機EL表示体100の光透過部22には、有機EL素子110は形成されておらず、本実施の形態では無色の光透過性の陰極12のみが形成されており、該光透過部22にはサブ領域Nが構成されている。なお、本実施の形態では、光透過部22に陰極12を形成するものとしているが、光透過部22には何も形成しないか、若しくはその他の無色光透過性部材を形成する構成であっても良い。
【0018】
以上のような画素20内に構成された各サブ画素部R,G,B及びサブ領域Nは、それぞれ上述したバンク112により取り囲まれて区画されており、それぞれ同一のパターンで構成されている。
【0019】
一方、液晶表示体250は、光源70と、該光源70からの光を導光する導光板300と、液晶パネル(光変調部)200とを有している。光源70は、無機材料のEL発光体からなり、フルカラーの光を発すべく、赤色発光部70Rと緑色発光部70Gと青色発光部70Bとを有して構成されている。また、液晶パネル200は光源70から導出された光を変調して有機EL表示体100側に射出するもので、アクティブマトリクスタイプの透過型液晶装置を採用しており、カラーフィルタは形成されていない。
【0020】
図1にも示す通り、表示装置1は画素20のうち、赤色サブ画素部Rからは有機EL表示体100に基づいて赤色(R)の光を射出し、緑色サブ画素部Gからは有機EL表示体100に基づいて緑色(G)の光を、青色サブ画素部Bからは有機EL表示体100に基づいて青色(B)の光を、サブ領域Nからは液晶表示体250に基づいて赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各色若しくは混色の光を射出するものとされている。そして、これら各色光に基づいて、単色若しくは混色による画素表示が可能とされている。
【0021】
続いて、図2を参照して、有機EL表示体100及び液晶表示体250の詳細な構成について説明する。
有機EL表示体100は、透光性の基材4と、この基材4上にマトリックス状に形成配置された多数の有機EL素子110とを主として具備するものである。有機EL素子110は、アルミニウム等からなる光反射性の陽極(画素電極)11R、11G、11Bと、有機EL層(発光層)110R、110G、110Bと、ITO(インジウム錫酸化物)等からなる光透過性の陰極12とによって構成されてなるものである。このような有機EL表示体100は、有機EL層110R、110G、110Bから放たれた光が、陰極12側から射出される所謂トップエミッション型の表示体である。
【0022】
基材4は、透光性のガラス基板等からなる基板2上に、TFTなどの回路等が形成された回路素子部14を有して構成されている。回路素子部14には、基板2上にシリコン酸化膜からなる下地保護膜2cが形成され、この下地保護膜2c上には多結晶シリコンからなる島状の半導体膜141が形成されている。なお、半導体膜141には、ソース領域及びドレイン領域が高濃度Pイオン打ち込みによって形成されており、また、Pが導入されなかった部分はチャネル領域となっている。さらに、回路素子部14には、下地保護膜2c及び半導体膜141を覆う透明なゲート絶縁膜142が形成され、ゲート絶縁膜142上にはAl、Mo、Ta、Ti、W等からなるゲート電極143が形成され、ゲート電極143及びゲート絶縁膜142上には透明な第1層間絶縁膜144aと第2層間絶縁膜144bとが形成されている。ゲート電極143は、半導体膜141のチャネル領域に対応する位置に設けられている。
【0023】
また、第1及び第2層間絶縁膜144a、144bには、半導体膜141のソース・ドレイン領域にそれぞれ接続されるコンタクトホール145、146が形成されており、これらコンタクトホール145、146内にはそれぞれ導電材料が埋め込まれている。そして、第2層間絶縁膜144b上には、光反射性の陽極11R,11G,11B(以下、これらを画素電極11とも言う)が所定の形状にパターニングされて形成され、一方のコンタクトホール145が画素電極11に接続されている。他方、もう一方のコンタクトホール146は電源線(図示略)に接続されている。このようにして、回路素子部14には、各画素電極11に接続された第2の薄膜トランジスタ123が各サブ画素部R,G,B毎に形成されている。
【0024】
基材4上には、バンク112と、該バンク112にて区画された有機EL素子110とが形成されている。
バンク部112は、基材4側にSiO等からなる無機バンク層112aと、この無機バンク層112a上に形成された有機バンク層112bとから構成されたものである。無機バンク層112aは、画素電極11の周縁部上に乗上げるように形成されたもので、平面視した状態で画素電極11の周囲と無機バンク層112aとが平面的に重なるように配置された構造となっている。また、有機バンク層112bも、平面視した状態で画素電極11の一部と重なるように配置されている。なお、有機バンク層112bは、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂等の耐熱性、溶媒に対する耐久性(非溶性若しくは難溶性)のある材料によって形成されている。
【0025】
一方、有機EL素子110は、複数の画素電極11と、該画素電極11上の各々に積層された有機EL層110R,110G,110Bと、陰極(以下、対向電極とも言う)12とを有して構成されている。ここで、画素電極11は光反射性導電材料(例えばアルミニウム)によって形成されたもので、平面視略矩形にパターニングされたものである。また、陰極12は光透過性導電材料(例えばインジウム錫酸化物)によって形成されたもので、表示領域の全面にベタ状に形成されたものである。
【0026】
有機EL層110R,110G,110Bは、基材4側から有機EL材料からなる発光層150(150R、150G、150B)と、正孔注入/輸送層151(151R、151G、151B)とを有している。なお、正孔注入/輸送層151は、画素電極11の正孔を発光層150に注入する機能を有し、または正孔をその内部において輸送する機能を有したものである。このような正孔注入/輸送層を画素電極11と発光層150との間に設けることにより、発光層150の発光効率、寿命等の特性を向上させることができる。また、発光層150では、正孔注入/輸送層151から注入された正孔と、対向電極(陰極)12から注入される電子とが再結合し、発光がなされるようになっている。
【0027】
本例において正孔注入/輸送層151は、例えば3,4−ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)とポリスチレンスルフォン酸(PSS)との混合物によって形成されている。
【0028】
また、赤色のサブ画素部Rにおける発光層150Rは、その形成材料として、以下の化合物1として示すCN−PPVが用いられている。
【0029】
【化1】

【0030】
緑色のサブ画素部Gにおける発光層150Gは、その形成材料として、以下の化合物2として示すF8BTと化合物3として示すTFBとを、1:1に混合したものが用いられている。
【0031】
【化2】

【0032】
【化3】

【0033】
青色のサブ画素部Bにおける発光層150Bは、その形成材料として、以下の化合物4として示すF8(ポリジオクチルフルオレン)が用いられている。
【0034】
【化4】

【0035】
このような構成の有機EL層110R,110G,110B上には、対向電極(陰極)12が画素20全面に形成されている。この対向電極(陰極)12は、画素電極11と対になって有機EL層110R,110G,110B上に電流を流すよう機能するもので、ITOによって形成されている。
【0036】
一方、液晶表示体250は、図1に示した光源70と、該光源70からの光を変調する液晶パネル200とを主体として構成されている。液晶パネル200は、一対の基板20,30間に液晶層40が挟持されてなり、光源側の基板30側に画素電極31が、これとは反対の基板20側に対向電極21が形成されている。
【0037】
光源側の基板30は透光性のガラス基板により構成されており、画素駆動用の薄膜トランジスタ(TFT、図示略)を有して構成されている。画素部50毎に形成されたTFTは、同じく画素毎にマトリクス状に形成された画素電極31に電気的に接続されてなり、当該画素電極31に対する通電制御に基づいて画素表示が可能となっている。ここで、液晶表示体250の画素部50と有機EL表示体100の画素部20とは平面視重畳配置され、少なくとも光透過部22からは液晶表示体250からの光を透過できる構成となっている。なお、画素電極31はITO等の透光性導電膜からなり、また画素電極31の液晶層40側には図示しない液晶配向用の配向膜が形成されている。
【0038】
また、有機EL表示体側の基板20も透光性のガラス基板により構成されており、該基板20の液晶層側に、当該基板全面にベタ状に配された対向電極21が形成されている。なお、対向電極21はITO等の透光性導電膜からなり、また対向電極21の液晶層40側には図示しない液晶配向用の配向膜が形成されている。さらに、各基板20,30の液晶層40と異なる側、つまり有機EL表示体100及び導光板300(図1参照)側には図示しない偏光板が配設されている。
【0039】
このような構成の液晶表示体250においては、画素部50毎に階調表示が可能で、該表示は有機EL表示体100のサブ領域Nを通過して表示に供される。つまり、本実施形態の表示装置1では、有機EL表示体100及び液晶表示体250の一方若しくは双方に基づいて表示が可能で、発光部21からは有機EL素子110に由来する表示を実現でき、光透過部22からは光源70に由来する表示を実現できる。従って、表示環境に応じて光源70を適宜選択すれば有機EL素子にはない表示特性、又は有機EL体では劣る表示特性を発現できるものとなる。特に本実施形態では光源70として無機LED体からなるものを用いているため、当該表示装置1の長寿命化及び/又は高輝度化が図られており、例えば光源70からの光により固定表示を行うことで、当該表示装置1の寿命特性及び/又は輝度特性を向上させることが可能となる。
【0040】
次に、図3〜図5を参照しつつ、表示装置の変形例について説明する。
なお、以下の各表示装置について、図1及び図2に示した表示装置1と同一の構成部材及び構成要素に関しては、各図において図1及び図2と同一の符号を付し、説明を省略する場合もある。
【0041】
図3に示した表示装置1aは、表示装置1とは異なり、ボトムエミッション型の有機EL表示体100aを有して構成されている。つまり、有機EL表示体100aが、基材4側から光が射出される構成を有しており、具体的には透光性の基材4と、基材4上に形成された透光性の陽極(画素電極)11R,11G,11B(以下、画素電極11とも言う)と、有機EL層110R,110G,110Bと、発光部21に選択的に形成された光反射性の陰極12とを有している。
【0042】
なお、光透過部22には基材4上に電極及び有機EL層のいずれもが形成されていない。このようなボトムエミッション型の有機EL表示体100aであっても、トップエミッション型の有機EL表示体100に比して陰極12をパターニングする必要はあるものの、本発明の効果を十分に発現することが可能である。
【0043】
また、図4に示した表示装置1bは、表示装置1と同様、トップエミッション型の有機EL表示体100bを有しているものの、光透過部22がバンク112の形成領域に設けられていることが特徴である。つまり、光反射性の画素電極11R,11G,11Bにおいて、バンク112と平面視重畳する位置に開口部11aを形成し、液晶表示体200からの光を該開口部11aから透過させ、これを表示に供させる構成となっている。
【0044】
この場合、図8にも示すように、図7の表示装置1の構成に比して光透過部22を構成するためのサブ領域Nを別途設ける必要がないため、有機EL表示体100bのサブ画素部R,G,Bの面積を大きくとることができるようになる。なお、図5に示した表示装置1cも、表示装置1bと同様にバンク112の形成領域に光透過部22が設けられ、且つボトムエミッション型の有機EL表示体100cを有して構成されている。この場合、陰極12R,12G,12Bが、それぞれバンク112の形成領域に開口部12aを有するようにパターニングされ、該開口部12aから光が透過するものとされている。
【0045】
以上のような表示装置1a、1b、1cは、発光部21から有機EL表示体100a、100b、100cに基づく表示を、光透過部22から液晶表示体250に基づく表示を行うことが可能である。そして、各表示体からの表示を適宜切り換えることで、例えば固定表示を光透過部22から行えば、有機EL表示体100a、100b、100cにおける焼き付き等の不具合発生を好適に防止ないし抑制することができ、該表示体の寿命を向上させることが可能となる。
【0046】
次に、以上のような構成の表示装置1、1a〜1cを備えた電子機器の具体例について説明する。
図6は、携帯電話の一例を示した斜視図である。図6において、符号600は携帯電話本体を示し、符号601は前記の表示装置1、1a〜1cのいずれかを用いた表示部を示している。この電子機器にあっては、前記の表示特性の向上が図られた表示装置1、1a〜1cを表示部として備えているので、表示部の表示特性が十分良好なものとなる。なお、本発明の表示装置は、その他にも例えばワープロ、パソコン等の携帯型情報処理装置や、腕時計型電子機器など、各種の電子機器における表示部として好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施形態に係る表示装置の画素部の断面構成を示す図。
【図2】同、表示装置の断面構成を詳細に示す図。
【図3】表示装置の一変形例について画素部の断面構成を模式的に示す図。
【図4】表示装置の他の変形例について画素部の断面構成を模式的に示す図。
【図5】表示装置の他の変形例について画素部の断面構成を模式的に示す図。
【図6】本発明の電子機器の一例を示す斜視図。
【図7】図1の表示装置について画素部の平面構成を模式的に示す図。
【図8】図4の表示装置について画素部の平面構成を模式的に示す図。
【符号の説明】
【0048】
1…表示装置、20…画素部(有機EL表示体側画素部)、21…発光部、22…光透過部、50…画素部(光変調体側画素部)、70…光源、100…有機EL表示体、110…有機EL素子、200…光変調部(液晶パネル)、250…光変調体(液晶表示体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機EL表示体と、該有機EL表示体の表示面とは反対の背面側に配設された光変調体とを備え、
前記有機EL表示体は、その平面内に、有機EL素子を有する発光部と、前記背面側からの光を透過可能な光透過部とを含む画素部を複数有してなり、
前記光変調体は、光源と、該光源からの光を複数の画素部毎に変調して前記有機EL表示体側に射出する光変調部とを有し、
前記有機EL表示体の画素部と前記光変調体の画素部とが、平面視重畳配置されてなることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記有機EL表示体の画素部は、それぞれ前記発光部を構成する赤色に相当する光を発光する第1サブ画素部と、緑色に相当する光を発光する第2サブ画素部と、青色に相当する光を発光する第3サブ画素部と、前記光透過部を構成するサブ領域とを有し、
前記各サブ画素部及びサブ領域はそれぞれ区画部により区画されてなることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記各サブ画素部及びサブ領域は、それぞれ同一のパターンで形成されてなることを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記有機EL表示体の画素部は、それぞれ前記発光部を構成する赤色に相当する光を発光する第1サブ画素部と、緑色に相当する光を発光する第2サブ画素部と、青色に相当する光を発光する第3サブ画素部とを有し、
前記各サブ画素部はそれぞれ区画部により区画されてなり、前記区画部には前記光透過部を構成するサブ領域が形成されてなることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記有機EL表示体は、基板上であって前記各サブ画素部内にパターン形成された光反射性電極と、該光反射性電極上に形成された有機EL層と、少なくとも前記有機EL層上に形成された光透過性電極とを有してなるとともに、前記基板を前記光変調体側に配設してなることを特徴とする請求項2ないし4のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記有機EL表示体は、基板上であって少なくとも前記各サブ画素部内に形成された光透過性電極と、該光透過性電極上であって前記各サブ画素部内にパターン形成された有機EL層と、前記有機EL層上に形成された光反射性電極とを有してなるとともに、前記基板を表示面側に配設してなることを特徴とする請求項2ないし4のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記光変調体は液晶装置により構成されてなることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記光源は無機材料からなる無機LEDにより構成されてなることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記光源は、赤色に相当する光を発光する第1発光部と、緑色に相当する光を発光する第2発光部と、青色に相当する光を発光する第3発光部とからなることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか1項に記載の表示装置を備えたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−128241(P2006−128241A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−311856(P2004−311856)
【出願日】平成16年10月27日(2004.10.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】