説明

表示装置、表示システム、及び表示方法

【課題】僅かな輝度ムラが残存する表示パネルを用いてより良い品質の立体画像を視聴者に提示する。
【解決手段】第1画像と第2画像とで構成される立体視のための画像を表示する表示装置1は、複数の発光画素部を配列してなる表示パネル15と、表示パネル15を一様な条件で駆動した場合に周辺領域と異なる輝度で発光する輝度ムラ領域の位置と、当該輝度ムラ領域の発光輝度の前記周辺領域の発光輝度からの差分であるムラ量とを表す輝度ムラ情報を格納している輝度ムラ情報格納部40と、前記第1画像の一部分が前記輝度ムラ領域に表示される場合、前記輝度ムラ領域から第1距離だけ離れた位置に表示される前記第2画像の対応部分を、前記ムラ量の輝度ムラが生じるように修正するムラ立体処理部20と、前記第1画像の前記一部分と、前記第2画像の修正後の前記対応部分とを、表示パネル15に表示させる表示制御部12とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示装置、表示システム、及び表示方法に関し、特に、立体画像を表示するために好適な表示装置、表示システム、及び表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フレーム内の表示オブジェクトごとに適切な視差を持たせた左目用の画像及び右目用の画像を視聴者に提示することによって当該視聴者に立体感のある画像を知覚させる立体画像表示装置が知られている(例えば、特許文献1、2を参照)。視聴者は、このような立体画像表示装置を用いて、立体画像の視聴を楽しむことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−224129号公報
【特許文献2】特開2011−002815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明者らは、立体画像の表示品質に関する研究を重ねる中で、視聴者が表示パネルに表示された左目用の画像及び右目用の画像から立体画像を知覚する場合には、視聴者が表示パネルに表示された1つの画像を平面的に見る場合に比べて、表示パネルに残存する輝度ムラに気付き易くなるという問題があることを見出した。
【0005】
有機EL(Electro Luminescence)表示パネルなどの表示パネルは、例えば、画素ごとの駆動トランジスタの特性差などに起因する輝度ムラを、本来有している。このような輝度ムラは、製造工程において測定され、当該輝度ムラの大きさを示すパラメータがメモリに記録される。そして、実際に画像を表示する際には、駆動回路が、当該パラメータに基づいて輝度ムラをキャンセルする補正処理を行う結果、表示パネルの輝度ムラは、通常、視聴者が気付かない程度に抑制されている。または、画素内の回路構成などで、輝度ムラをキャンセルする方法などもある。
【0006】
ところが、発明者らが行った実験において、そのような僅かな輝度ムラが残存する表示パネルに視差を持たせた左目用の画像及び右目用の画像を表示して被験者に観察させたところ、多くの被験者は、輝度ムラが本来の表示オブジェクトの手前に浮かんでいるように見えて気になると回答した。すなわち、輝度ムラは、平面視の際には気にならない程度の僅かなものであっても、立体視の際には知覚され、立体画像の表示品質を損なうことになる。
【0007】
この問題を回避するために、例えば、立体表示に用いる表示パネルは、立体表示に用いない表示パネルと比べて、輝度ムラに関してより厳しい基準で選別することが考えられるが、その場合、立体表示に用いる表示パネルの歩留まりの低下やコストの増大が避けられない。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、僅かな輝度ムラが残存する表示パネルを用いてより良い品質の立体画像を視聴者に提示できる表示装置、表示システム、及び表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明に係る表示装置の1つの態様は、第1眼用の第1画像と第2眼用の第2画像とで構成される立体視のための画像を表示する表示装置であって、複数の発光画素部を配列してなる表示パネルと、前記表示パネルを一様な条件で駆動した場合に周辺領域と異なる輝度で発光する前記表示パネル面内の領域である輝度ムラ領域の位置と、当該輝度ムラ領域の発光輝度の前記周辺領域の発光輝度からの差分であるムラ量とを表す輝度ムラ情報を格納している輝度ムラ情報格納部と、前記第1画像の一部分が前記輝度ムラ領域に表示される場合、前記表示パネルの前記輝度ムラ領域から第1距離だけ離れた位置に表示される前記第2画像の対応部分を、前記ムラ量の輝度ムラが生じるように修正するムラ立体処理部と、前記第1画像の前記一部分と、前記第2画像の修正後の前記対応部分とを、前記表示パネルに表示させる表示制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
例えば、有機EL表示パネルなど表示パネルでは、例えば、有機発光素子などの発光素子の発光を駆動するTFT(Thin Film Transistor)の特性ばらつきが、表示パネル面上に反映されやすい。これが、表示ムラとなって表示パネルの面上に現れる。2次元(2D)の映像を表示する場合にはこの表示ムラがあまり気にならない程度である場合であっても、3次元(3D)の映像を表示するとそのムラが目立つ傾向となる。
【0011】
即ち、表示パネルの面上より奥の空間で、右目用の画像と左目用の画像とが結像するように処理されている場合、例えば、右目用の画像とだけ前記輝度ムラ領域が重なる場合、対応する左目用の画像にはその輝度ムラ領域は重ならないので、右目用の画像と左目用の画像とが表示パネルの面上より奥の空間で結像しているように見えつつも、右目用の画像とだけ表示パネルの面上で前記輝度ムラ領域が重なっているように見える。そのため、表示パネルの面上より奥の空間で結像しているように見える画像の手前に、輝度ムラ領域が浮かんでいるように見え、表示画像の品質が低下する。
【0012】
本発明の1つの態様によると、例えば、右目用の画像と前記輝度ムラ領域が重なる場合、左目用の画像に前記輝度ムラ領域に対応する擬似ムラ領域を意図的に付加する。そのため、表示パネルの面上より奥の空間で結像しているように見える画像と同じように、輝度ムラ領域も、表示パネルの面上より奥の空間で結像して見えるようになる。
【0013】
従って、輝度ムラ領域が画像の手前に浮かんで見える違和感が軽減され、立体画像の表示品質を担保できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の基本的概念を説明する図である。
【図2】図2は、本発明の基本的概念を説明する図である。
【図3】図3は、本発明の基本的概念を説明する図である。
【図4】図4は、本発明の基本的概念を説明する図である。
【図5】図5は、本発明の基本的概念を説明する図である。
【図6】図6は、本発明の第1の実施の形態に係る表示装置の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【図7】図7は、本発明の第1の実施の形態に係る表示装置において行われる左目用画像および右目用画像のフレームシーケンシャル表示を説明する図である。
【図8】図8は、本発明の第1の実施の形態に係るムラ立体処理部の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【図9】図9は、本発明の第1の実施の形態に係る輝度ムラ情報の一例を示す図である。
【図10】図10は、本発明の第1の実施の形態に係るムラ立体処理の一例を示すフローチャートである。
【図11】図11は、本発明の第1の実施の形態に係る視差特定処理の内容を説明する図である。
【図12】図12は、本発明の第1の実施の形態に係るムラ立体処理の内容を説明する図である。
【図13】図13は、本発明の第1の実施の形態に係るムラ立体処理の内容を説明する図である。
【図14】図14は、本発明の比較例において知覚される立体画像の一例を示す図である。
【図15】図15は、本発明の第1の実施の形態において知覚される立体画像の一例を示す図である。
【図16】図16は、本発明の第1の実施の形態の変形例に係るムラ立体処理部の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【図17】図17は、本発明の第2の実施の形態に係る表示装置の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【図18】図18は、本発明の第2の実施の形態に係る表示装置において行われる左目用画像及び右目用画像のインターリーブ表示を説明する図である。
【図19】図19は、本発明の第2の実施の形態に係るムラ立体処理部の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【図20】図20は、本発明の第2の実施の形態に係るL輝度ムラ情報の一例を示す図である。
【図21】図21は、本発明の第2の実施の形態に係るR輝度ムラ情報の一例を示す図である。
【図22】図22は、本発明の第2の実施の形態に係るムラ立体処理の一例を示すフローチャートである。
【図23】図23は、本発明の第21の実施の形態に係るムラ立体処理の内容を説明する図である。
【図24】図24は、本発明の第2の実施の形態に係るムラ立体処理の内容を説明する図である。
【図25】図25は、従来の表示装置の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る表示装置の1つの態様は、第1眼用の第1画像と第2眼用の第2画像とで構成される立体視のための画像を表示する表示装置であって、複数の発光画素部を配列してなる表示パネルと、前記表示パネルを一様な条件で駆動した場合に周辺領域と異なる輝度で発光する前記表示パネル面内の領域である輝度ムラ領域の位置と、当該輝度ムラ領域の発光輝度の前記周辺領域の発光輝度からの差分であるムラ量とを表す輝度ムラ情報を格納している輝度ムラ情報格納部と、前記第1画像の一部分が前記輝度ムラ領域に表示される場合、前記表示パネルの前記輝度ムラ領域から第1距離だけ離れた位置に表示される前記第2画像の対応部分を、前記ムラ量の輝度ムラが生じるように修正するムラ立体処理部と、前記第1画像の前記一部分と、前記第2画像の修正後の前記対応部分とを、前記表示パネルに表示させる表示制御部と、を備える。
【0016】
一般に、例えば有機EL表示パネルなど表示パネルでは、例えば有機発光素子などの発光素子の発光を駆動するTFTの特性ばらつきが、表示パネル面上に反映されやすい。これが、表示ムラとなって表示パネルの面上に現れる。2Dの映像を表示する場合にはこの表示ムラがあまり気にならない程度である場合であっても、3Dの映像を表示するとそのムラが目立つ傾向となる。
【0017】
すなわち、立体視のための前記第1画像及び前記第2画像には、前記第1画像と前記第2画像とが表示パネルの面上より奥の空間で結像するように、所定量の視差が設けられているので、前記第1画像(例えば、右目用の画像)の一部が前記輝度ムラ領域に重なる場合、前記第2画像(例えば、左目用の画像)の前記立体視における対応部分は、その輝度ムラ領域には重ならない。そのため、視聴者は、片眼(例えば右目)のみで前記輝度ムラ領域を見ることになり、表示パネルの面上より奥の空間で結像しているように見える画像の手前に、輝度ムラ領域が浮かんでいるように見え、表示画像の品質が低下する。
【0018】
本態様によると、前記第1画像の一部分が前記輝度ムラ領域に表示される場合、前記第2画像の対応部分を、前記輝度ムラ領域に対応する擬似ムラ領域が生じるように修正して表示する。そのため、立体視において前記輝度ムラ領域が結像する位置の、奥行き方向の深さが制御可能になり、前記輝度ムラ領域は表示パネルの面上より奥の空間で結像しているように表示される。
【0019】
従って、輝度ムラ領域が画像の手前に浮かんで見える違和感が軽減され、立体画像の表示品質を担保できる。
【0020】
また、前記ムラ立体処理部は、前記輝度ムラ領域の発光輝度が前記周辺領域の発光輝度よりも高い場合は、前記第2画像の前記対応部分の輝度値を前記ムラ量分増加させ、前記輝度ムラ領域の発光輝度が前記周辺領域の発光輝度よりも低い場合は、前記第2画像の前記対応部分の輝度値を前記ムラ量分減少させてもよい。
【0021】
本態様によると、前記輝度ムラ領域と等量の輝度ムラを、前記第2画像の対応部分に、擬似ムラとして付加するので、輝度ムラと擬似ムラとの輝度差によって前記輝度ムラの結像位置が不明瞭になるといった不都合が生じにくく、その結果、輝度ムラを奥行き方向の安定した深さに結像させることができる。
【0022】
また、前記ムラ立体処理部は、前記第1画像の前記一部分に表される表示オブジェクトの、前記立体視における視差量を特定し、前記輝度ムラ領域から前記特定された視差量だけ離れた位置に表示される前記第2画像の部分を、前記対応部分として、修正してもよい。
【0023】
本態様によると、前記輝度ムラは、前記第1画像の前記一部分に表される表示オブジェクトと同じ深さに結像するので、視聴者は、3Dの映像を、前記輝度ムラ領域に表示された2Dの映像を視聴する場合と同等の表示品質で視聴することができる。
【0024】
また、前記ムラ立体処理部は、前記輝度ムラ領域から、前記立体視において奥行きが最も深い位置に表示オブジェクトを結像させるための視差量だけ離れた位置に表示される前記第2画像の部分を、前記対応部分として、修正してもよい。
【0025】
本態様によると、輝度ムラは、立体視される画像の最も奥に結像するので、視聴者は、前記輝度ムラが表示オブジェクトよりも手前に浮かんでいるように視認することがなくなり、その結果、前記輝度ムラによる違和感が軽減される。
【0026】
また、前記第1距離は、前記立体視において前記第1画像の前記一部分と前記第2画像の前記対応部分とが結像する位置の、前記表示パネルの面からの奥行き量に対応していてもよい。
【0027】
本態様によると、輝度ムラを、前記表示パネルの面から前記奥行き量だけ奥の位置に結像させることができる。
【0028】
また、前記複数の発光画素部は、前記第1画像及び前記第2画像のうち、前記第1画像のみを表示するための発光画素部と、前記第2画像のみを表示するための発光画素部とからなり、前記表示制御部は、前記第1画像と前記第2画像とを1つのフレームにインターリーブして前記表示パネルに表示させ、前記第1画像の前記一部分と前記第2画像の前記対応部分とが前記1つのフレーム内に表示されてもよい。
【0029】
本態様によると、インターリーブ方式によって立体画像を表示する場合に適した輝度ムラ処理が行われる。
【0030】
また、前記ムラ立体処理部は、さらに、前記第2画像の一部分が前記輝度ムラ領域に表示される場合、前記表示パネルの前記輝度ムラ領域から第2距離だけ離れた位置に表示される前記第1画像の対応部分を、前記輝度ムラ情報が示す前記ムラ量の輝度ムラが生じるように修正し、前記表示制御部は、さらに、前記第2画像の前記一部分と、前記第1画像の修正後の前記対応部分とを、前記表示パネルに表示させてもよい。
【0031】
本態様によると、さらに、前記第2画像の一部分が前記輝度ムラ領域に表示される場合、前記第1画像の対応部分を、前記輝度ムラ領域に対応する擬似ムラ領域が生じるように修正して表示する。そのため、右目及び左目のうちの一方の目で見られる前記輝度ムラ領域に対応して、それぞれ左目用の画像及び右目用の画像に擬似ムラ領域が表示される。
【0032】
従って、視聴者は、前記輝度ムラ領域を、左目用の画像及び右目用の画像のそれぞれに表示される擬似ムラ領域と共に、必ず両眼で見ることになるので、輝度ムラ領域が画像の手前に浮かんで見える違和感がなくなり、立体画像の表示品質を担保できる。
【0033】
また、前記ムラ立体処理部は、前記輝度ムラ領域の発光輝度が前記周辺領域の発光輝度よりも高い場合は、前記第1画像の前記対応部分の輝度値を前記ムラ量分増加させ、前記輝度ムラ領域の発光輝度が前記周辺領域の発光輝度よりも低い場合は、前記第1画像の前記対応部分の輝度値を前記ムラ量分減少させてもよい。
【0034】
本態様によると、前記輝度ムラ領域と等量の輝度ムラを、前記第2画像の対応部分に、擬似ムラとして付加するので、輝度ムラと擬似ムラとの輝度差によって前記輝度ムラの結像位置が不明瞭になるといった不都合が生じにくく、その結果、輝度ムラを奥行き方向の安定した深さに結像させることができる。
【0035】
また、前記ムラ立体処理部は、前記第2画像の前記一部分に表される表示オブジェクトの、前記立体視における視差量を特定し、前記輝度ムラ領域から前記特定された視差量だけ離れた位置に表示される前記第1画像の部分を、前記対応部分として、修正してもよい。
【0036】
本態様によると、前記輝度ムラは、前記第2画像の前記一部分に表される表示オブジェクトと同じ深さに結像するので、視聴者は、3Dの映像を、前記輝度ムラ領域に表示された2Dの映像を視聴する場合と同等の表示品質で視聴することができる。
【0037】
また、前記ムラ立体処理部は、前記輝度ムラ領域から、前記立体視において奥行きが最も深い位置に表示オブジェクトを結像させるための視差量だけ離れた位置に表示される前記第1画像の部分を、前記対応部分として、修正してもよい。
【0038】
本態様によると、輝度ムラは、立体視される画像の最も奥に結像するので、視聴者は、前記輝度ムラが表示オブジェクトよりも手前に浮かんでいるように視認することがなくなり、その結果、前記輝度ムラによる違和感が軽減される。
【0039】
また、前記第2距離は、前記立体視において前記第2画像の前記一部分と前記第1画像の前記対応部分とが結像する位置の、前記表示パネルの面からの奥行き量に対応していてもよい。
【0040】
本態様によると、輝度ムラを、前記表示パネルの面から前記奥行き量だけ奥の位置に結像させることができる。
【0041】
また、前記表示制御部は、前記第1画像と前記第2画像とを、隣接するフレームとして、前記表示パネルに順次表示させ、前記第1画像の前記一部分と前記第2画像の前記対応部分とが前記隣接するフレームにおいて順次表示され前記第2画像の前記一部分と前記第1画像の前記対応部分とが前記隣接するフレームにおいて順次表示されてもよい。
【0042】
本態様によると、フレームシーケンシャル方式によって立体画像を表示する場合に適した輝度ムラ処理が行われる。
【0043】
また、前記ムラ量は、前記周辺領域の輝度を基準とした前記輝度ムラ領域の輝度の比率であってもよい。
【0044】
本態様によると、前記輝度ムラ領域に対応する擬似ムラ領域を、前記周辺領域と前記輝度ムラ領域とにおける輝度の比率に従って付加することができる。
【0045】
また、前記表示装置は、さらに、前記第1眼用の画像を表す第1画像信号と前記第2眼用の画像を表す第2画像信号とを前記表示装置の外部から受信し、前記第1画像信号と前記第2画像信号とを前記ムラ立体処理部に送信する信号前処理部を備えてもよい。
【0046】
本態様によると、前記表示装置は、前記表示装置の外部から受信した前記第1画像信号と前記第2画像信号とを用いて、輝度ムラ処理を行うことができる。
【0047】
また、前記表示装置は、さらに、前記立体視のための画像を表す立体画像信号を前記表示装置の外部から受信し、前記立体画像信号から前記第1眼用の画像を表す第1画像信号と前記第2眼用の画像を表す第2画像信号とを生成し、生成された前記第1画像信号と前記第2画像信号とを前記ムラ立体処理部に送信する信号前処理部を備えてもよい。
【0048】
本態様によると、前記表示装置は、前記表示装置の外部から受信した前記立体画像信号を用いて、輝度ムラ処理を行うことができる。
【0049】
また、前記発光画素部は、有機EL発光素子を含んでいてもよい。
【0050】
本態様によると、有機EL表示パネルに立体画像を表示する場合に適した輝度ムラ処理が行われる。
【0051】
また、本発明は、このような表示装置として実現できるだけでなく、このような表示装置とメガネとを含む表示システムとして実現することも、またこのような表示装置によって実行される表示方法として実現することもできる。
【0052】
ここで、図1〜図5を参照し、本発明の基本的概念について説明する。
【0053】
図1に示すように、輝度ムラ(ハッチングを施した円で示す)が表示されるパネルPがある。このパネルPを用いて2D表示を行うとき、2D表示画像は奥行きを持たず、パネル面と同じ奥行きで表示される。ここで図2に示すように、このパネルPを用いて3D表示を行うとき、パネルPのパネル面に輝度ムラが残ったまま、右目用画像と左目用画像とをそれぞれ右目と左目に視認させると、輝度ムラがパネルPのパネル面に残ったまま3D画像が表示されてしまう。
【0054】
図2では、3D表示画像は、複数の領域(領域ごとの表示オブジェクト)がそれぞれ固有の奥行きを持って表示されている。奥行きを持った3D表示画像とパネル面に奥行きを持たず表示されてしまう輝度ムラとを視認することで、輝度ムラが3D表示画像の中に浮いて見えてしまう。
【0055】
そこで、図3及び図4に示すように、右目用画像を表示するときに、左目用画像における輝度ムラが表示される領域の奥行き量に合わせて、輝度ムラに対応する右目用輝度ムラである擬似ムラを右目用画像に意図的に表示させる。同様に、左目用画像を表示するときに、右目用画像における輝度ムラが表示される領域の奥行き量に合わせて、輝度ムラに対応する左目用輝度ムラである擬似ムラを左目用画像に意図的に表示させる。これにより、右目用画像と左目用画像とをそれぞれの目で視認することにより、輝度ムラが3D画像の奥行きに対応した輝度ムラとして認識される。
【0056】
従って、図5に示すように、輝度ムラは奥行きをもって視認され、輝度ムラによる違和感を低減し、3D表示を行うことができる。
【0057】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態に係る表示装置及び表示システムについて、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0058】
図6は、本発明の第1の実施の形態に係る表示装置1の機能的な構成の一例を示すブロック図である。表示装置1は、左目用画像(L画像)と右目用画像(R画像)とで構成される立体画像(3D画像)を表示可能な表示装置である。表示装置1は、メガネ8と共に、表示システムを構成している。表示装置1とメガネ8とは、例えば赤外線信号を用いて、L、R画像の切り替えタイミングを同期させる。
【0059】
図7は、表示装置1において行われるR画像及びL画像のフレームシーケンシャル表示を説明する図である。図7に示されるように、表示装置1は、3D画像を構成するR画像とL画像とを、輝度ムラがある1つの表示パネルにフレームシーケンシャルに表示する。1つの3D画像は、例えば、連続して表示される一対のR画像及びL画像から構成される。
【0060】
ここで、輝度ムラとは、表示パネルを一様な条件で駆動した場合に周辺領域と異なる輝度で発光する現象またはそのような領域を言う。輝度ムラ領域は、一例として、画素単位で管理される。図7の例では、表示装置1の表示パネルには、画素位置pに輝度ムラがあり、R画像の一部分及びL画像の一部分が画素位置pにある発光画素部に交互に表示される。つまり、図7の例では、どのR画像及びどのL画像も、その一部分が輝度ムラ領域に表示される。
【0061】
視聴者は、このようにフレームシーケンシャルに表示されるL画像、R画像を、メガネ8をかけて視聴する。
【0062】
メガネ8は、右目用の第1シャッター部及び左目用の第2シャッター部を有し、視聴者がR画像を右目のみで目視し、かつL画像を左目のみで目視するように、表示装置1から供給されるメガネ用同期信号に従って、第1シャッター部及び第2シャッター部を開閉する。
【0063】
図6において、表示装置1は、信号前処理部10、信号送信部11、表示制御部12、データ線駆動回路13、走査線駆動回路14、表示パネル15、ムラ立体処理部20、及び輝度ムラ情報格納部40から構成される。
【0064】
表示パネル15は、複数の発光画素部がマトリクス状に設けられてなり、データ線駆動回路13及び走査線駆動回路14によって駆動されることによって所望の画像を表示する表示パネルである。表示パネル15は、前記発光画素部が有機EL発光素子を含む有機EL表示パネルであってもよい。
【0065】
信号前処理部10は、表示装置1の外部から、L画像とR画像とで構成される3D画像を表す立体画像信号(3D画像信号)を受信し、受信した3D画像信号からL画像を表すL画像信号とR画像を表すR画像信号とを生成して、ムラ立体処理部20へ送信する。また、L、R画像の切り替えタイミングを示すメガネ用同期信号を信号送信部11へ送信する。
【0066】
本発明は、信号前処理部10によって受信される3D画像信号の具体的な形式を限定しないが、一例として、3D画像信号は、前記L画像信号と前記R画像信号とが、単純に多重された信号であってもよい。その場合、信号前処理部10は、前記3D画像信号を多重分離することにより、前記L画像信号と前記R画像信号とを生成する。また、一例として、3D画像信号は、L画像信号及びR画像信号のいずれか一方と、L画像とR画像との差分を表す差分信号とが多重された信号であってもよい。その場合、信号前処理部10は、前記3D画像信号から前記L画像信号及び前記R画像信号の前記一方と前記差分信号とを分離するとともに、分離された各信号を加算することによって、前記L画像信号及び前記R画像信号の他方を生成する。また、信号前処理部10は、表示装置1の外部から、多重されていないL画像信号とR画像信号とを独立して受信し、ムラ立体処理部20へ転送してもよい。
【0067】
信号送信部11は、信号前処理部10から受信したメガネ用同期信号を、例えば赤外線を用いてメガネ8へ送信する。
【0068】
輝度ムラ情報格納部40は、表示パネル15を一様な条件で駆動した場合に周辺領域と異なる輝度で発光する前記表示パネル面内の領域である輝度ムラ領域の位置と、当該輝度ムラ領域の発光輝度の前記周辺領域の発光輝度からの差分であるムラ量とを表す輝度ムラ情報41を格納している。
【0069】
ムラ立体処理部20は、1つの3D画像を表す一対のR画像及びL画像に対して、次のような処理を行う。当該R画像及び当該L画像は、それぞれ、信号前処理部10から供給されるR画像信号及びL画像信号によって表される。
【0070】
ムラ立体処理部20は、L画像の一部分である参照部分が、輝度ムラ情報41が示す表示パネル15の輝度ムラ領域に表示される場合、表示パネル15の前記輝度ムラ領域から第1距離だけ離れた位置に表示されるR画像の対応部分に、輝度ムラ情報41が示す前記ムラ量の輝度ムラが生じるように、R画像データを修正する。言い換えれば、ムラ立体処理部20は、前記R画像の前記対応部分に意図的に擬似ムラを付加する。前記R画像の前記対応部分は、一例として、前記立体視において前記L画像の参照部分と同一位置に視認される前記R画像の一部分であってもよい。
【0071】
ムラ立体処理部20は、また、R画像の一部分である参照部分が、輝度ムラ情報41が示す表示パネル15の輝度ムラ領域に表示される場合、表示パネル15の前記輝度ムラ領域から第2距離だけ離れた位置に表示されるL画像の対応部分に、輝度ムラ情報41が示す前記ムラ量の輝度ムラが生じるように、L画像データを修正する。言い換えれば、ムラ立体処理部20は、前記L画像の前記対応部分に意図的に擬似ムラを付加する。前記L画像の前記対応部分は、一例として、前記立体視において前記R画像の参照部分と同一位置に視認される前記L画像の一部分であってもよい。
【0072】
そして、ムラ立体処理部20は、擬似ムラが付加されたR画像を表すムラ付きR画像信号及び擬似ムラが付加されたL画像を表すムラ付きL画像信号を表示制御部12に送信する。
【0073】
表示制御部12は、データ線駆動回路13及び走査線駆動回路14を介して表示パネル15を駆動し、表示パネル15にムラ付きR画像信号で表される擬似ムラ付きR画像及びムラ付きL画像信号で表される擬似ムラ付きL画像を順次表示させる。
【0074】
本発明は、信号前処理部10、表示制御部12、ムラ立体処理部20、及び輝度ムラ情報格納部40の具体的な実現態様を限定しないが、一例を挙げれば、CPU(Central Processing Unit)がROM(Read Only Memory)に予め格納されているプログラムを作業用のRAM(Ramdom Access Memory)を用いて実行する情報処理装置によって実現してもよい。また、DSP(Digital Signal Processor)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)などを用いてハードウェア回路によって実現してもよい。
【0075】
続いて、ムラ立体処理部20の詳細について説明する。
【0076】
図8は、ムラ立体処理部20の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【0077】
ムラ立体処理部20は、フレームバッファ21、視差特定部22、及びムラ付加部23から構成される。
【0078】
フレームバッファ21は、信号前処理部10から1つの3D画像を構成するL画像及びR画像をそれぞれ表すL画像信号、R画像信号を受信し、当該L画像信号で表されるL画像及び当該R画像信号で表されるR画像を保持する。
【0079】
視差特定部22は、L画像の前記参照部分に表される表示オブジェクトの立体視における第1の視差量と、R画像の前記参照部分に表される表示オブジェクトの立体視における第2の視差量とを特定する。これらの表示オブジェクトは、一般には異なるので、当該第1の視差量と当該第2の視差量も、一般には異なる(図5を参照)。
【0080】
ムラ付加部23は、表示パネル15の輝度ムラ領域から前記第1の視差量だけ離れた位置に表示されるR画像の対応部分に擬似ムラを付与するように、R画像を修正する。また、表示パネル15の輝度ムラ領域から前記第2の視差量だけ離れた位置に表示されるL画像の対応部分に擬似ムラを付与するように、L画像を修正する。
【0081】
上記の説明では、前記L画像、前記R画像がそれぞれ本発明の第1画像、第2画像の一例であり、前記第1の視差量及び前記第2の視差量がそれぞれ本発明の第1距離、第2距離の一例である。ただし、このような例示に含まれる対応付けは、説明を具体的にするための便宜に過ぎず、本発明を限定するものではない。
【0082】
図9は、輝度ムラ情報格納部40に格納されている輝度ムラ情報41の一例を示す図である。
【0083】
輝度ムラ情報格納部40は、表示パネル15における輝度ムラ領域の位置及び当該輝度ムラ領域に生じるムラ量を対応付けて表す輝度ムラ情報を、輝度ムラ領域の数と同数格納している。図9の例では、1つの行が1つの輝度ムラ情報に対応する。
【0084】
ここで、輝度ムラ領域とは、前述したように、表示パネル15を一様な条件で駆動した場合に周辺領域と異なる輝度で発光する表示パネル15の面内の領域であり、輝度ムラ領域の位置は、例えば、画素位置(表示パネルの左上隅の発光画素部から画素数で数えた距離)で表される。
【0085】
ムラ量は、当該輝度ムラ領域の発光輝度の周辺領域の発光輝度からの差分を表す。ムラ量は、具体的に、周辺の発光画素部の発光輝度を基準とした、輝度ムラがある発光画素部の発光輝度の比率で表されてもよい。
【0086】
輝度ムラ情報は、例えば、表示装置1の製造時に、表示パネル15を一様な条件で発光させ、表示パネル15の面内の部分ごと(例えば発光画素部ごと)の発光輝度を測定することにより生成され、輝度ムラ情報格納部40に記録される。
【0087】
次に、表示装置1にて実行されるムラ立体処理について、図10から図13を参照して詳細に説明する。
【0088】
図10は、ムラ立体処理の一例を示すフローチャートである。
【0089】
図11は、ムラ立体処理に含まれる視差量特定処理の内容を説明する図である。
【0090】
図12及び図13は、ムラ立体処理に含まれるムラ付加処理の内容を説明する図である。
【0091】
図10のフローチャートに示されるように、まず、信号前処理部10は、3D画像信号を受信し(S10)、受信した3D画像信号からL、R画像信号を生成する(S11)。ムラ立体処理部20のフレームバッファ21は、L画像信号、R画像信号によって表されるL画像及びR画像を保持する(S12)。
【0092】
この後、輝度ムラ情報格納部40に格納されている各輝度ムラ情報について、ステップS21からステップS24までが繰り返される(S20)。
【0093】
視差特定部22は、L画像の画素位置piに表される表示オブジェクトの視差量aを、特定する(S21)。この処理は、例えば図11に示されるように、同じ表示オブジェクトが表されるR画像の位置を探索することによって行うことができる。具体的には、
評価関数D(d)=Σ(|vl(x,y)−vr(x+d,y)|)
vl(x,y)はL画像の参照エリア内の画素値
vr(x+d,y)はR画像の評価エリア内の画素値
を設定し、評価関数D(d)を最小にするdを求めることにより、求まったdが視差量aとして特定される。なお、評価関数D(d)には、上記に限らず、画素値の差の二乗和など、画像の相違の度合いを表すどのような関数を用いてもよい。この処理は、画像の類似部分を探索するためのよく知られた手法であるため、詳細な説明を省略する。
【0094】
ムラ付加部23は、図12に示されるように、表示パネル15の画素位置piから視差量a離れた位置に表示されるR画像の対応部分にムラ量upiの擬似ムラが付加されるように、フレームバッファ21内のR画像を修正する(S22)。
【0095】
視差特定部22は、同様にして、R画像の画素位置piにおける視差量bを特定する(S23)。ムラ付加部23は、図13に示されるように、表示パネル15の画素位置piから視差量b離れた位置に表示されるL画像の対応部分にムラ量upiの擬似ムラが付加されるように、フレームバッファ21内のL画像を修正する(S24)。
【0096】
全ての輝度ムラ情報について上記の処理を実行し終えると(S25)、ムラ立体処理部20は、修正後の擬似ムラ付きR画像を表すムラ付きR画像信号、及び修正後の擬似ムラ付きL画像を表すムラ付きL画像信号を表示制御部12へ送信し、表示制御部12は、当該R画像信号によって表される擬似ムラ付きR画像及び当該ムラ付きL画像信号によって表される擬似ムラ付きL画像を、表示パネル15に表示する(S30、S31)。
【0097】
このような処理が、3D画像のフレームごとに、例えば、映像データが終了するか、表示装置1の電源が切られるまで実行される(S70)。
【0098】
次に、上述したムラ立体処理によって得られる効果について、図14、図15を参照して説明する。
【0099】
図14は、ムラ立体処理を行わない比較例において視聴者に知覚される立体画像を示す図である。
【0100】
図15は、ムラ立体処理を行う実施例において視聴者に知覚される立体画像を示す図である。
【0101】
図14に示されるように、ムラ立体処理を行わない場合は、輝度ムラ領域が左右それぞれの片眼のみで別々の位置に知覚されるため、視聴者には、輝度ムラ領域が表示オブジェクトの手前に浮かんでいるように見え、視聴者は輝度ムラ領域に気付いてしまう。
【0102】
これに対し、ムラ立体処理を行う場合は、図15に示されるように、輝度ムラ領域が、表示オブジェクトと同じ奥行き位置に知覚されることになる。そのため、表示オブジェクトを平面的に見る場合に気にならない程度の輝度ムラであれば、視聴者は、ムラ立体処理を行った立体画像においてもその輝度ムラは気にならない。その結果、視聴者は、3Dの映像を、2Dの映像の表示品質と同程度の表示品質で視聴できる。
【0103】
なお、上記では、表示装置の1つの態様として、立体視において輝度ムラ領域を表示オブジェクトと同じ奥行き方向の位置に結像させる具体例について詳細に説明した。しかしながら、輝度ムラ領域を結像させる奥行き方向の位置は、表示オブジェクトと同じ深さには限られない。
【0104】
例えば、輝度ムラ領域を立体視される画像の最も奥に結像させてもよい。この場合、視差特定部22は、前述したような視差量の代わりに、前記立体視において表示オブジェクトを奥行きが最も深い位置に結像させるための視差量を特定する。視差特定部22は、そのような視差量として、例えば、単純に、所定の定数値を指定してもよく、また3D画像の解像度に応じた定数値を指定してもよい。ムラ付加部23は、当該特定される視差量に応じて、画像の最も奥において輝度ムラ領域と結像する擬似ムラを生成する。
【0105】
このような構成によれば、輝度ムラは、立体視される画像の最も奥に結像するので、視聴者は、前記輝度ムラが表示オブジェクトよりも手前に浮かんでいるように視認することがなくなり、その結果、前記輝度ムラによる違和感が軽減される。
【0106】
(第1の実施の形態の変形例)
図16は、第1の実施の形態の変形例に係るムラ立体処理部28の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【0107】
ムラ立体処理部28では、ムラ立体処理部20から視差特定部22を省略して構成される。このような構成は、視差(奥行き)信号が外部から与えられる場合に適する。視差信号は、画像の各画素位置に表示される表示オブジェクトの奥行き方向の位置を特定するための信号である。視差信号は、一例として、周知のzバッファ法などによる立体描画で用いられるz座標値を示す信号であってもよい。
【0108】
本変形例では、輝度ムラを付加すべき位置を決めるための視差量は、視差信号から特定できるので、第1の実施の形態で説明した、画像の類似部分を探索する視差特定処理は不要となる。
【0109】
(第2の実施の形態)
以下、本発明の第2の実施の形態に係る表示装置及び表示システムについて、図面を参照しながら詳細に説明する。本発明の第2の実施の形態は多くの点で、前述した第1の実施の形態と共通するため、以下では、先に説明した構成要素には同一の符合を付して説明を省略し、相違点について主に説明する。
【0110】
図17は、本発明の第2の実施の形態に係る表示装置2の機能的な構成の一例を示すブロック図である。表示装置2は、図6に示される表示装置1と比べて、メガネ用同期信号を処理する信号送信部11が省略され、ムラ立体処理部30及び表示パネル25が変更される。表示パネル25には、R画像及びL画像をそれぞれ専用の発光画素部に表示する表示パネルが用いられる。例えば、視聴者が裸眼で立体視を得ることができる、視差バリアを備えた表示パネルや、視聴者がシャッターのないパッシブな偏光メガネをかけて立体視を得ることができる偏光表示パネルは、このような表示パネルの一例である。
【0111】
図18は、表示装置2において行われるR画像及びL画像のインターリーブ表示を説明する図である。図18に示されるように、表示装置2は、3D画像を構成するR画像とL画像とを、1つのフレーム内で、R画像の表示専用の画素位置及びL画像の表示専用の画素位置にインターリーブして表示パネル25に表示する。なお、図18では、R画像とL画像とを垂直ストライプ状にインターリーブする例を示しているが、R画像とL画像とを水平ストライプ状や市松状にインターリーブする例においても、以下の説明は同様に成り立つ。
【0112】
図18の例では、表示装置2の表示パネル25には、画素位置sにL輝度ムラがあり、画素位置tにR輝度ムラがある。画素位置sにある発光画素部はL画像のみを表示し、画素位置tにある発光画素部はR画像のみを表示する。表示パネル25では、1つの発光画素部に生じる輝度ムラが、R画像及びL画像のいずれか一方のみに重なる点が、第1の実施の形態における表示パネル15と異なる。
【0113】
表示装置2では、この違いに着目して、図17に示されるように、輝度ムラ情報格納部42に、L輝度ムラ情報43とR輝度ムラ情報44とを別々に格納している。
【0114】
続いて、ムラ立体処理部30の詳細について説明する。
【0115】
図19は、ムラ立体処理部30の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【0116】
ムラ立体処理部30は、ムラ立体処理部20と比べて、ムラ付加部31が変更され、インターリーブ画像生成部32が追加される。
【0117】
図20は、輝度ムラ情報格納部42に格納されているL輝度ムラ情報43の一例を示す図である。
【0118】
図21は、輝度ムラ情報格納部42に格納されているR輝度ムラ情報44の一例を示す図である。
【0119】
L輝度ムラ情報43は、L輝度ムラに対応する擬似ムラをR画像に付加するために参照され、R輝度ムラ情報44は、R輝度ムラに対応する擬似ムラをL画像に付加するために参照される。
【0120】
次に、表示装置2にて実行されるムラ立体処理について、図22から図24を参照して詳細に説明する。
【0121】
図22は、ムラ立体処理の一例を示すフローチャートである。
【0122】
図23及び図24は、ムラ立体処理に含まれるムラ付加処理の内容を説明する図である。
【0123】
図22のフローチャートに示されるように、フレームバッファ21に、L画像信号、R画像信号によって表されるL画像及びR画像が保持されるまでは、前述と同様である(S10〜S12)。
【0124】
この後、輝度ムラ情報格納部42に格納されている各L輝度ムラ情報について、ステップS41からステップS42までが繰り返される(S40)。
【0125】
視差特定部22は、L画像の画素位置siに表される表示オブジェクトの視差量aを特定する。これには、例えば前述した、画像の類似部分を探索する手法を用いることができる(S41)。
【0126】
ムラ付加部23は、図23に示されるように、表示パネル25の画素位置siから視差量a離れた位置に表示されるR画像の対応部分にムラ量usiの擬似ムラが付加されるように、フレームバッファ21内のR画像データを修正する(S42)。
【0127】
全てのL輝度ムラ情報について上記の処理を実行し終えると(S43)、続いて、輝度ムラ情報格納部42に格納されている各R輝度ムラ情報について、ステップS51からステップS52までが繰り返される(S50)。
【0128】
視差特定部22は、R画像の画素位置tjに表される表示オブジェクトの視差量bを特定する(S51)。そして、ムラ付加部23は、図24に示されるように、表示パネル25の画素位置tjから視差量b離れた位置に表示されるL画像の対応部分にムラ量utjの擬似ムラが付加されるように、フレームバッファ21内のL画像データを修正する(S52)。
【0129】
全てのR輝度ムラ情報について上記の処理を実行し終えると(S53)、インターリーブ画像生成部32は、修正後の擬似ムラ付きR画像及び修正後の擬似ムラ付きL画像からムラ付きインターリーブ画像を生成し、ムラ付きインターリーブ画像を表すムラ付きインターリーブ信号を表示制御部12に送信する(S60)。
【0130】
表示制御部12は、ムラ付きインターリーブ画像信号によって表されるムラ付きインターリーブ画像を、表示パネル25に表示する(S61)。
【0131】
このような処理が、3D画像のフレームごとに、例えば、信号が終了するか、表示装置2の電源が切られるまで実行される(S70)。
【0132】
以上、本発明の表示装置及び表示システムについて実施の形態に基づいて説明した。本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を各実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて得られる形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0133】
本発明は、有機EL表示装置などの表示装置に適用でき、特には立体画像を視聴するための表示システムに好適に利用できる。
【符号の説明】
【0134】
1、2 表示装置
8 メガネ
10 信号前処理部
11 信号送信部
12 表示制御部
13 データ線駆動回路
14 走査線駆動回路
15、25 表示パネル
20、28、30 ムラ立体処理部
21 フレームバッファ
22 視差特定部
23 ムラ付加部
31 ムラ付加部
32 インターリーブ画像生成部
40、42 輝度ムラ情報格納部
41 輝度ムラ情報
43 L輝度ムラ情報
44 R輝度ムラ情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1眼用の第1画像と第2眼用の第2画像とで構成される立体視のための画像を表示する表示装置であって、
複数の発光画素部を配列してなる表示パネルと、
前記表示パネルを一様な条件で駆動した場合に周辺領域と異なる輝度で発光する前記表示パネル面内の領域である輝度ムラ領域の位置と、当該輝度ムラ領域の発光輝度の前記周辺領域の発光輝度からの差分であるムラ量とを表す輝度ムラ情報を格納している輝度ムラ情報格納部と、
前記第1画像の一部分が前記輝度ムラ領域に表示される場合、前記表示パネルの前記輝度ムラ領域から第1距離だけ離れた位置に表示される前記第2画像の対応部分を、前記ムラ量の輝度ムラが生じるように修正するムラ立体処理部と、
前記第1画像の前記一部分と、前記第2画像の修正後の前記対応部分とを、前記表示パネルに表示させる表示制御部と、
を備える表示装置。
【請求項2】
前記ムラ立体処理部は、
前記輝度ムラ領域の発光輝度が前記周辺領域の発光輝度よりも高い場合は、前記第2画像の前記対応部分の輝度値を前記ムラ量分増加させ、
前記輝度ムラ領域の発光輝度が前記周辺領域の発光輝度よりも低い場合は、前記第2画像の前記対応部分の輝度値を前記ムラ量分減少させる、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記ムラ立体処理部は、前記第1画像の前記一部分に表される表示オブジェクトの、前記立体視における視差量を特定し、
前記輝度ムラ領域から前記特定された視差量だけ離れた位置に表示される前記第2画像の部分を、前記対応部分として、修正する、
請求項1または請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記ムラ立体処理部は、前記輝度ムラ領域から、前記立体視において奥行きが最も深い位置に表示オブジェクトを結像させるための視差量だけ離れた位置に表示される前記第2画像の部分を、前記対応部分として、修正する、
請求項1または請求項2に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第1距離は、前記立体視において前記第1画像の前記一部分と前記第2画像の前記対応部分とが結像する位置の、前記表示パネルの面からの奥行き量に対応している、
請求項1または請求項2に記載の表示装置。
【請求項6】
前記複数の発光画素部は、前記第1画像及び前記第2画像のうち、前記第1画像のみを表示するための発光画素部と、前記第2画像のみを表示するための発光画素部とからなり、
前記表示制御部は、前記第1画像と前記第2画像とを1つのフレームにインターリーブして前記表示パネルに表示させ、
前記第1画像の前記一部分と前記第2画像の前記対応部分とが前記1つのフレーム内に表示される、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記ムラ立体処理部は、さらに、前記第2画像の一部分が前記輝度ムラ領域に表示される場合、前記表示パネルの前記輝度ムラ領域から第2距離だけ離れた位置に表示される前記第1画像の対応部分を、前記輝度ムラ情報が示す前記ムラ量の輝度ムラが生じるように修正し、
前記表示制御部は、さらに、前記第2画像の前記一部分と、前記第1画像の修正後の前記対応部分とを、前記表示パネルに表示させる、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記ムラ立体処理部は、
前記輝度ムラ領域の発光輝度が前記周辺領域の発光輝度よりも高い場合は、前記第1画像の前記対応部分の輝度値を前記ムラ量分増加させ、
前記輝度ムラ領域の発光輝度が前記周辺領域の発光輝度よりも低い場合は、前記第1画像の前記対応部分の輝度値を前記ムラ量分減少させる、
請求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
前記ムラ立体処理部は、前記第2画像の前記一部分に表される表示オブジェクトの、前記立体視における視差量を特定し、
前記輝度ムラ領域から前記特定された視差量だけ離れた位置に表示される前記第1画像の部分を、前記対応部分として、修正する、
請求項7または請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
前記ムラ立体処理部は、前記輝度ムラ領域から、前記立体視において奥行きが最も深い位置に表示オブジェクトを結像させるための視差量だけ離れた位置に表示される前記第1画像の部分を、前記対応部分として、修正する、
請求項7または請求項8に記載の表示装置。
【請求項11】
前記第2距離は、前記立体視において前記第2画像の前記一部分と前記第1画像の前記対応部分とが結像する位置の、前記表示パネルの面からの奥行き量に対応している、
請求項7または請求項8に記載の表示装置。
【請求項12】
前記表示制御部は、前記第1画像と前記第2画像とを、隣接するフレームとして、前記表示パネルに順次表示させ、
前記第1画像の前記一部分と前記第2画像の前記対応部分とが前記隣接するフレームにおいて順次表示され、
前記第2画像の前記一部分と前記第1画像の前記対応部分とが前記隣接するフレームにおいて順次表示される、
請求項7から請求項11のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項13】
前記ムラ量は、前記周辺領域の輝度を基準とした前記輝度ムラ領域の輝度の比率である、
請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項14】
さらに、
前記第1眼用の画像を表す第1画像信号と前記第2眼用の画像を表す第2画像信号とを前記表示装置の外部から受信し、前記第1画像信号と前記第2画像信号とを前記ムラ立体処理部に送信する信号前処理部を備える、
請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項15】
さらに、
立体視のための画像を表す立体画像信号を前記表示装置の外部から受信し、前記立体画像信号から前記第1眼用の画像を表す第1画像信号と前記第2眼用の画像を表す第2画像信号とを生成し、生成された前記第1画像信号と前記第2画像信号とを前記ムラ立体処理部に送信する信号前処理部を備える、
請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項16】
前記発光画素部は、有機EL発光素子を含む、
請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項17】
請求項1から請求項16のいずれか1項に記載の表示装置と、
前記第1画像及び前記第2画像を、それぞれ左目及び右目の一方及び他方でのみ目視可能とするメガネと、
を備える表示システム。
【請求項18】
前記メガネは、右目用の第1シャッター部及び左目用の第2シャッター部を有している、
請求項17に記載の表示システム。
【請求項19】
第1眼用の第1画像と第2眼用の第2画像とで構成される立体視のための画像を表示する表示方法であって、
複数の発光画素部を配列してなる表示パネルと、
前記表示パネルを一様な条件で駆動した場合に周辺領域と異なる輝度で発光する前記表示パネル面内の領域である輝度ムラ領域の位置と、当該輝度ムラ領域の発光輝度の前記周辺領域の発光輝度からの差分であるムラ量とを表す輝度ムラ情報を格納している輝度ムラ情報格納部と、
を備える表示装置によって実行され、
前記第1画像の一部分が前記輝度ムラ領域に表示される場合、前記表示パネルの前記輝度ムラ領域から第1距離だけ離れた位置に表示される前記第2画像の対応部分を、前記ムラ量の輝度ムラが生じるように修正するムラ立体処理ステップと、
前記第1画像の前記一部分と、前記第2画像の修正後の前記対応部分とを、前記表示パネルに表示させる表示制御ステップと、
を含む表示方法。
【請求項20】
前記ムラ立体処理ステップで、さらに、前記第2画像の一部分が前記輝度ムラ領域に表示される場合、前記表示パネルの前記輝度ムラ領域から第2距離だけ離れた位置に表示される前記第1画像の対応部分を、前記輝度ムラ情報が示す前記ムラ量の輝度ムラが生じるように修正し、
前記表示制御ステップで、さらに、前記第2画像の前記一部分と、前記第1画像の修正後の前記対応部分とを、前記表示パネルに表示させる、
請求項19に記載の表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2013−62625(P2013−62625A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−198867(P2011−198867)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】