説明

表示装置および電子機器

【課題】表示画質の劣化を抑えつつ、赤外光に起因した光検出精度の低下を低減することが可能な表示装置を提供する。
【解決手段】TFT基板10とCF基板20との間に、赤外光LIRを遮光する赤外遮光スペーサ50Gを設ける。フォトセンサ12Bによる赤外光LIRの検出が、低減または回避される。これにより、外光L0または表示光に赤外光LIRが多量に含まれている場合であっても、赤外光LIRに起因した光検出精度の低下が低減される。また、このような赤外遮光スペーサ50Gを、少なくとも1つのフォトセンサ12Bに対応する領域に、選択的に設ける。仮に赤外遮光スペーサ50Gが可視光の一部をも遮光するような場合であっても、表示光への悪影響が低減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光検出素子(フォトセンサ)を有する表示装置、およびそのような表示装置を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話や携帯情報端末(PDA;Personal Digital Assistant)、デジタルスチルカメラ、PC(Personal Computer)モニタおよびテレビなどに使用される表示装置では、液晶素子や有機電界発光(EL:Electro Luminescence)素子などが用いられている。このような表示素子を含む表示画素は、基板上に、TFT(Thin Film Transistor;薄膜トランジスタ)などの駆動用のトランジスタと共にマトリクス状に配置されている。
【0003】
他方、上記TFTと同層にフォトセンサを形成することにより、フォトセンサを利用した様々な表示装置が開発されている。このようなフォトセンサの用途としては、外光照度センサ(例えば、特許文献1)、バックライト色センサ(例えば、特許文献2,3)、タッチパネル(例えば、特許文献4,5)、カラー画像センサおよびスキャナ機能(例えば、非特許文献1)などが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−64828号公報
【特許文献2】特開2007−304520号公報
【特許文献3】特開2006−251806号公報
【特許文献4】特開2006−301864号公報
【特許文献5】特開2006−276223号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】シャープ技報、第96号、2007年11月、p.40−41
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記TFTおよびフォトセンサは、いずれも、シリコン技術をベースとして形成されている。ここで、例えば結晶性シリコンを用いてフォトセンサを形成した場合、可視光のみならず、近赤外領域の光(780nm〜1100nm)にも受光感度を有することが知られている。したがって、表示装置において光センシングデバイス機能を併せ持つようになるのに伴い、可視光の情報を抽出する目的で使用するときに、赤外光による誤反応(赤外光に起因した検出精度の低下)が問題となる。
【0007】
例えば、シリコンベースの外光照度センサに、赤外光成分の多い白熱灯や夕日の光が入射すると、実際の照度より高い値を示す。また、そのような外光照度センサでは、赤外線リモコン等の非可視光にも反応してしまうことになる。
【0008】
そこで、赤外線を遮光する遮光部材を、表示画面上に設けることが考えられる。ところが、赤外光の遮光部材は可視光の一部をも遮光する特性を有するため、そのような遮光部材を設けた場合、輝度低下や色シフト等の表示画質の劣化が生じてしまうことになる。
【0009】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、表示画質の劣化を抑えつつ、赤外光に起因した光検出精度の低下を低減することが可能な表示装置、およびそのような表示装置を備えた電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の表示装置は、基板面上に、表示素子を構成する複数の画素電極と、光検出素子とを有する第1基板と、この第1基板における上記基板面と対向して配置された第2基板と、赤外光を遮光する材料により構成され、第1基板と第2基板との間において光検出素子のうちの少なくとも1つに対応する領域に選択的に配設されたスペーサとを備えたものである。
【0011】
本発明の電気機器は、上記表示装置を備えたものである。
【0012】
本発明の表示装置および電子機器では、赤外光を遮光するスペーサが第1基板と第2基板との間に配設されていることにより、光検出素子による赤外光の検出が低減または回避される。また、このスペーサは、光検出素子のうちの少なくとも1つに対応する領域に選択的に配設されているため、仮にそのスペーサが可視光の一部をも遮光するような場合であっても、表示画面の全体に遮光層が設けられている場合と比べ、表示光への悪影響が低減する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の表示装置および電子機器によれば、第1基板と第2基板との間に、赤外光を遮光するスペーサを設けるようにしたので、光検出素子による赤外光の検出を低減または回避することができ、外光または表示素子からの表示光に赤外光が多量に含まれている場合であっても、そのような赤外光に起因した光検出精度の低下を低減することができる。また、このようなスペーサを、光検出素子のうちの少なくとも1つに対応する領域に選択的に設けるようにしたので、仮にこのスペーサが可視光の一部をも遮光するような場合であっても、表示光への悪影響を抑えることができる。よって、輝度低下や色シフト等の表示画質の劣化を抑えつつ、赤外光に起因した光検出精度の低下を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態に係る表示装置の平面構成を表す模式図である。
【図2】図1に示した表示装置における本発明の第1の実施の形態に係る額縁領域と有効表示領域との境界付近の概略構成を表す断面図およびブロック図である。
【図3】図2に示した赤外遮光スペーサに用いられる赤外遮光材料の吸光度の一例を表す特性図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る画素駆動用のTFTとフォトセンサとの境界付近における拡大断面図である。
【図5】シリコン半導体の光感度を説明するための特性図である。
【図6】図2に示した表示装置における可視光による画像表示動作および外光検出動作について説明するための断面模式図である。
【図7】FFSモードの表示動作原理について説明するための模式図である。
【図8】液晶素子の要部断面を拡大して表したものである。
【図9】比較例に係る表示装置の表示パネルにおける額縁領域と有効表示領域との境界付近の概略構成を表す断面図である。
【図10】緑色のカラーフィルタの透過率の一例と視感度曲線とを表す特性図である。
【図11】変形例1に係る表示装置の表示パネルにおける額縁領域と有効表示領域との境界付近の概略構成を表す断面図である。
【図12】第2の実施の形態に係る表示装置における額縁領域と有効表示領域との境界付近の概略構成を表す断面図およびブロック図である。
【図13】赤色,緑色,青色に対応する各カラーフィルタの透過率の一例を表す特性図である。
【図14】第3の実施の形態に係る表示装置における額縁領域と有効表示領域との境界付近の概略構成を表す断面図およびブロック図である。
【図15】変形例2に係る表示装置における額縁領域と有効表示領域との境界付近の概略構成を表す断面図およびブロック図である。
【図16】変形例3に係る表示装置における額縁領域と有効表示領域との境界付近の概略構成を表す断面図およびブロック図である。
【図17】第4の実施の形態に係る表示装置における額縁領域と有効表示領域との境界付近の概略構成を表す断面図およびブロック図である。
【図18】図17に示したバックライトの概略構成を表す模式図である。
【図19】図17に示した有効表示領域内の画素配置例を表す平面模式図である。
【図20】図17に示した有効表示領域内のメインセンサおよび補助センサの配置例を表す平面模式図である。
【図21】図17に示した赤外光透過ブラックの透過率の一例を表す特性図である。
【図22】検出用光源の発光波長領域とメインセンサおよび補助センサの検出波長領域との関係の一例を表す特性図である。
【図23】検出用光源の発光波長領域とメインセンサおよび補助センサの検出波長領域との関係の他の例を表す特性図である。
【図24】差分画像位置判定処理の概要を表す流れ図である。
【図25】図24に示した差分画像位置判定処理について説明するためのタイミング図である。
【図26】物体情報演算部における重心座標算出について説明するための概念図である。
【図27】外光が明るい場合の差分画像位置判定処理について説明するための図である。
【図28】外光が暗い場合の差分画像位置判定処理について説明するための図である。
【図29】比較例に係る差分画像位置判定処理について説明するための特性図である。
【図30】比較例に係る差分画像位置判定処理について説明するための模式図である。
【図31】図17に示したメインセンサにより得られる差分画像について説明するための特性図である。
【図32】図17に示したメインセンサにより得られる差分画像について説明するための模式図である。
【図33】図17に示した補助センサにより得られる差分画像について説明するための特性図である。
【図34】図17に示した補助センサにより得られる差分画像について説明するための模式図である。
【図35】メインセンサにより得られる差分画像と補助センサにより得られる差分画像との合成処理の一例について説明するための模式図である。
【図36】メインセンサにより得られるオン画像と補助センサにより得られるオン画像との差分画像について説明するための特性図である。
【図37】メインセンサにより得られるオン画像と補助センサにより得られるオン画像との差分画像について説明するための模式図である。
【図38】第5の実施の形態に係る表示装置における額縁領域と有効表示領域との境界付近の概略構成を表す断面図およびブロック図である。
【図39】変形例4に係る表示装置における額縁領域と有効表示領域との境界付近の概略構成を表す断面図およびブロック図である。
【図40】上記各実施の形態の表示装置の適用例1における(A)表側から見た外観、(B)裏側から見た外観を表す斜視図である。
【図41】適用例2の外観を表す斜視図である。
【図42】適用例3の外観を表す斜視図である。
【図43】(A)は適用例4の開いた状態の正面図、(B)はその側面図、(C)は閉じた状態の正面図、(D)は左側面図、(E)は右側面図、(F)は上面図、(G)は下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(外光照度センサとしての構成例)
変形例1(横電界モード以外の駆動モードの液晶を用いた構成例)
2.第2の実施の形態(カラー画像センサまたはカラースキャナとしての構成例)
3.第3の実施の形態(表示色バランスセンサとしての構成例;額縁領域)
変形例2(表示色バランスセンサとしての構成例;有効表示領域)
変形例3(表示色バランスセンサおよび外光照度センサとしての構成例)
4.第4の実施の形態(赤外光を利用した光学式タッチパネルとしての構成例)
5.第5の実施の形態(有機EL素子の場合の表示色バランスセンサの例;額縁領域)
変形例4(有機EL素子の場合の表示色バランスセンサの例;有効表示領域)
6.電子機器への適用例
【0016】
<1.第1の実施の形態>
[表示装置の全体構成例]
図1は、本発明の実施の形態に係る表示装置1を上面(表示パネル1Aの側)からみた模式図である。図2は、図1のI−I線に沿った概略断面構成を表しており、額縁領域Aと有効表示領域Bとの境界付近の領域について示したものである。なお、図2および後述する同様の図面では、後述するバックライト駆動部71等のブロック構成も併せて示している。また、図2および後述する図6,図9,図12,図15,図17では、図示の簡略化のため、後述する画素電極16Aが各画素に1つずつ設けられているように図示しているが、この画素電極16Aの詳細構成については後述する(図4,図7,図8)。
【0017】
この表示装置1は、外光の照度を測定して表示輝度を制御することが可能な表示装置であり、表示パネル1Aと、バックライト40と、バックライト駆動部71(輝度制御部)とを含んで構成されている。
【0018】
表示パネル1Aでは、図1に示したように、表示画面に矩形状の有効表示領域Bが設けられ、この有効表示領域Bの周辺の領域が額縁領域Aとなっている。このよう表示パネル1Aの端部には、例えばTFT基板10上の配線が延長されて露出した外部接続領域210が設けられており、図示しない外部接続端子が形成されている。この外部接続端子には、信号の入出力のためのフレキシブルプリント配線基板(FPC;Flexible Printed Circuit)(図示せず)などが接続される。このFPC上には、バックライト駆動部71としての各種回路や記憶素子等が集積されたIC(Integrated Circuit:集積回路)チップが配設される。あるいは、TFT基板10の配線上にICチップが配設され、その外側にFPCが接続されていてもよい。
【0019】
額縁領域Aには、画像表示用のドライバとなる信号線駆動回路や走査線駆動回路などの周辺回路(図示せず)が形成されている。
【0020】
有効表示領域Bには、例えばR,G,Bの3原色の表示画素がマトリクス状に配設されている。本実施の形態では、この表示画素内に、表示素子としての液晶表示素子が設けられている。
【0021】
これらの額縁領域Aおよび有効表示領域Bは、TFT基板10(第1基板)とCF(Color Filter)基板20(第2基板)との間に液晶層30を封止して構成され、TFT基板10の下方にバックライト40を有している。また、TFT基板10の光入射側には偏光板17が、CF基板20の光出射側には偏光板25が、それぞれ貼り合わせられている。さらに、本実施の形態では、TFT基板10とCF基板20との間の所定の領域に、後述する赤外光を遮光する材料からなる赤外遮光スペーサ50が、選択的に配設されている。以下、TFT基板10、CF基板20、液晶層30、赤外遮光スペーサ50Gおよびバックライト40の具体的な構成について、領域(有効表示領域Bおよび額縁領域A)ごとに説明する。
【0022】
(有効表示領域B)
まず、有効表示領域Bにおける各構成要素について説明する。この有効表示領域Bでは、TFT基板10において、ガラスなどよりなる基板11上に、複数のTFT12Aが所定のピッチで配設されると共に、少なくとも1つ以上のフォトセンサ12B(光検出素子)が配設されている。
【0023】
TFT12Aは、上記複数の表示画素を、例えばアクティブマトリクス方式により駆動するためのものであり、後述の画素電極16Aに接続されている。フォトセンサ12Bは、半導体のPN接合部に光を照射したときに、電流や電圧を検出することが可能な光検出素子であり、例えばシリコン半導体を用いたPINフォトダイオードやPDN(Photo sensitive doped layer;P−doped−N)などから構成されている。このフォトセンサ12Bは、後述するカラーフィルタ22のうちの緑色のカラーフィルタ22Gの下方に設けられている。
【0024】
これらのTFT12Aおよびフォトセンサ12Bは、例えば基板11上の同層に、同一の薄膜プロセスにより形成することが可能である。なお、TFT12Aおよびフォトセンサ12Bの詳細な構成については、後述する。
【0025】
基板11上には、上記TFT12Aおよびフォトセンサ12Bの凹凸を平坦化させるための平坦化層13が形成されている。この平坦化層13上には、共通電極14と複数の画素電極16Aとが、絶縁層15を介して対向するように設けられている。このうち、共通電極14は、各表示画素に共通の電極として、画素電極16Aは表示画素ごとに分離して、それぞれ配設されている。本実施の形態では、各画素電極16Aは、例えば櫛歯状にパターニングされている。これにより、後述の液晶層30と共に、横電界モード、例えばFFS(フリンジフィールドスイッチング)モードや、IPS(インプレーンスイッチング)モード等の表示駆動がなされるようになっている。
【0026】
一方、CF基板20では、ガラスなどよりなる基板21の一面に、カラーフィルタ22が形成されている。このカラーフィルタ22は、例えば、赤色のカラーフィルタ22R、緑色のカラーフィルタ22Gおよび青色のカラーフィルタ22Bから構成され、これら3色のカラーフィルタ22R,22G,22Bは、各表示画素(画素電極16A)に対応して設けられている。
【0027】
2枚の偏光板17,25は、互いにクロスニコルの状態で配置される。偏光板17は、バックライト40の側から入射する可視光のうち、特定の偏光成分を選択的に透過させて液晶層30へ入射させる偏光子である。一方、偏光板25は、偏光板17を透過する光と直交する偏光成分を透過させて、表示光を上方へ出射させる検光子である。
【0028】
液晶層30は、電界の状態に応じてそこを通過する光を変調するものであり、例えばFFSモードやIPSモードなどの横電界モードの液晶を用いることができる。この液晶層30は、TFT基板10とCF基板20との間において、有効表示領域Bに対応する領域に形成されている。なお、液晶層30とTFT基板10との間、および液晶層30とCF基板20との間には、それぞれ図示しない配向膜が形成されている。また、額縁領域Aの周縁部には、図示しない封止層により液晶層30が封止されている。
【0029】
赤外遮光スペーサ50Gは、TFT基板10とCF基板20との間において、少なくとも1つのフォトセンサ12Bに対応する領域に、選択的に配設されている。具体的には、CF基板20上において、少なくとも1つのフォトセンサ12Bに対向して緑色のカラーフィルタ22Gが配設されると共に、これらのフォトセンサ12Bと緑色のカラーフィルタ22Gとの間に、赤外遮光スペーサ50が選択的に配設されている。
【0030】
この赤外遮光スペーサ50は、例えば図3に示したような、赤外光を選択的に遮光(吸収)する機能を有しつつ、スペーサとしての本来の機能も併せ持つようになっている。このような本来の機能とは、2つの基板10,20の間のギャップを保つための部材としての機能である。すなわち、液晶表示装置では液晶層の厚さを制御するため、有機EL表示装置では封止樹脂の厚みを制御するため、そして電気泳動ディスプレイでは着色液を閉じ込める箱の形成のために用いられるというものである。このようなスペーサの形成方法としては、ギャップに相当する直径の樹脂球を散布する方法や、レジストを最終的にギャップの厚さになるような厚みに塗布してパターニングする方法などが挙げられるが、ここでは、後者の方法を用いることができる。
【0031】
赤外遮光スペーサ50Gは、例えば感光性を有するレジスト材料に、特定の波長領域の光を選択的に透過、吸収する顔料を分散させた顔料分散レジストを用いることができる。レジスト材料としては、アクリル系、ポリイミド系、ノボラック系等が挙げられる。顔料としては、製造プロセスにおいて耐熱性および耐光性を有し、塗料等に使用される顔料で、赤外光を吸収する性質を有するものから選択することができる。赤外光吸収材料の具体例としては、固体撮像素子の赤外光遮断用材料として用いられている、日本感光色素のビス(ジチオベンジル)ニッケル錯体、ビス((4-ジメチルアミノ)ジチオベンジルニッケル錯体等が挙げられる。スペーサ柱材料としてのプロセス(露光、現像、ベーク)に耐え、デバイス信頼性に耐えるためには、固体撮像素子に比べ、耐熱性や耐光性が必要となるが、それらの特性を満たす、クアテレリン色素やシアニン色素顔料を微粒子化したものも挙げられる。また、このような顔料分散レジストは、基板21上に塗布したのち、露光、現像、ベーク等のプロセスを経ることにより形成することができる。
【0032】
バックライト40は、表示パネル1Aを照明する光源であり、その光出射面が、有効表示領域Bおよび額縁領域Aの全面に向かい合うように配置されている。このバックライト40は、光源として例えば発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)などを用いており、少なくとも可視光を出射させるようになっている。
【0033】
(額縁領域A)
続いて、額縁領域Aにおける各構成要素について説明する。
【0034】
この額縁領域Aでは、TFT基板10において、基板11上に、上記有効表示領域Bから延在する平坦化層13および絶縁層15が配設されている。
【0035】
CF基板20では、基板21上の額縁領域Aのほぼ全域にわたって、遮光ブラック24が形成されている。この遮光ブラック24は可視光を遮断するものであり、例えばカーボン微粒子をアクリル系レジストに分散させたレジストなどにより構成されている。
【0036】
液晶層30およびバックライト40は、上記有効表示領域Bと同様である。
【0037】
[TFT基板の構成例]
続いて、図4および図5を参照して、TFT基板10の詳細な構成について説明する。図4は、TFT基板10において、基板11(図4には図示せず)上に形成された画素駆動用のTFT12Aとフォトセンサ12Bとの境界付近の拡大断面図である。図5は、シリコン半導体の光感度を説明するための特性図である。以下、TFT12Aおよびフォトセンサ12Bのそれぞれの構成要素について説明する。
【0038】
(TFT12A)
図4に示したように、TFT12Aでは、基板11上に画素Tr.ゲート121が配設されており、この画素Tr.ゲート121を覆うようにゲート絶縁膜18が形成されている。ゲート絶縁膜18上には、駆動時にチャネルとなるP-ドープ層124、LDD層123A,123BおよびN+ドープ層122A,122Bが形成されている。これらのP-ドープ層124、LDD層123A,123BおよびN+ドープ層122A,122Bは共通の、例えばp−Si(ポリシリコン)により構成され、不純物ドープ量の制御により得られるものである。N+ドープ層122A,122Bはそれぞれ、層間膜19を介して配設されるソース電極125およびドレイン電極126に電気的に接続されている。層間膜19上には、更に、ソース電極125と電気的に接続された表示信号線127が設けられ、これらのソース電極125、ドレイン電極126および表示信号線127を覆うように平坦化層13が形成されている。
【0039】
平坦化層13上には、絶縁層15を介して共通電極14と画素電極16Aとが配置されている。画素電極16Aの平面形状は、繰り返し形成されているサブ画素電極160およびスリット161により櫛歯状となっており、この櫛歯状電極と共通電極14との間の電位差により液晶層30に横電界を印加することが可能となっている。
【0040】
(フォトセンサ12B)
図4に示したように、フォトセンサ12Bでは、基板11上にセンサゲート131が配設されており、このセンサゲート131を覆うようにゲート絶縁膜18が形成されている。ゲート絶縁膜18上には、駆動時に活性領域となる領域133およびP+ドープ層132A、N+ドープ層132Bが形成されている。これらの領域133およびP+ドープ層132A、N+ドープ層132Bは共通の、例えばp−Siにより構成され、不純物ドープ量の制御により得られるものである。N+ドープ層132Bは、層間膜19を介して配設されるセンサ電源配線135に電気的に接続されている。層間膜19上には、更にGND134およびセンサ信号線136が設けられ、これらのGND134、センサ電源配線135およびセンサ信号線136を覆うように平坦化層13が形成されている。これにより、P+ドープ層132A、領域133およびN+ドープ層132BからなるPN接合に逆電圧を印加した状態で、光が領域133に当たると、キャリアが分離して光電流を生じる。これが、P+ドープ層132Aにつながれた補助容量(図示せず)の電位を変化させ、補助容量に電気的に接続されたセンサ信号線136を通して、電位が読み出されるようになっている。
【0041】
このようなフォトセンサ12Bは、次のようなシリコン半導体により構成されている。例えば、ポリシリコン(p−Si;多結晶シリコン)、アモルファスシリコン(a−Si;非結晶シリコン)およびマイクロシリコン(μ−Si;微結晶シリコン)等である。ここで、各シリコン半導体の光子エネルギー(eV)に対する吸収係数(cm-1)は、例えば図5に示したような特性を示す。なお、図5に示したC−Siは、クリスタルシリコンを示す。
【0042】
[バックライト駆動部の構成例]
表示パネル1Aに接続されたFPC上あるいはTFT基板10の配線上のICチップには、上述したバックライト駆動部71(図2参照)が設けられている。このバックライト駆動部71は、フォトセンサ12Bからの出力に基づいて、バックライトの輝度(表示光の輝度)を制御するものである。
【0043】
[表示装置の作用・効果]
続いて、上記表示装置1の作用および効果について説明する。
【0044】
(表示動作)
まず、図6〜図8を参照して、表示装置1の表示動作について説明する。図6は、可視光L2による画像表示について説明するための模式図である。図7は、FFSモードの表示動作原理について説明するための模式図である。図8は、液晶素子の要部断面を拡大して表したものである。なお、図7および図8において、(A)は電界非印加時、(B)は電界印加時における液晶素子の状態を示す。
【0045】
この表示装置1では、図6に示したように、有効表示領域Bにおいて、画像信号に基づいて共通電極14と画素電極16Aとの間に所定の閾値電圧以上の駆動電圧が供給されると、液晶層30には、所定の電界が印加されて液晶状態の変調が行われる。これにより、バックライト40の側から偏光板17を介して液晶層30へ入射した可視光L2は、表示画素ごとに変調されたのち、対応するカラーフィルタ22R,22G,22Bを通過して、3色の表示光LR,LG,LBとして偏光板25の上方へ出射する。このようにして、有効表示領域Bの画像表示エリア30Aにおいて、画像表示が行われる。
【0046】
ここで、図7および図8を参照して、上述したFFSモードの表示動作原理について、詳細に説明する。なお、図7では、複数のサブ画素電極160からなる画素電極16Aを覆うように配向膜32が形成され、CF基板20の基板21(図7には図示せず)の側にも配向膜33が形成されている。また、2枚の配向膜32,33のラビング方向が、出射側の偏光板25の透過軸と一致している場合を示す。
【0047】
まず、共通電極14と画素電極16Aとの間に電圧を印加していない状態では(図7(A)、図8(A))、液晶層30を構成する液晶分子31の軸が入射側の偏光板17の透過軸と直交し、かつ、出射側の偏光板25の透過軸と平行な状態となる。このため、入射側の偏光板17を透過した入射光は、液晶層30内において位相差を生じることなく出射側の偏光板25に達し、ここで吸収されるため、黒表示となる。
【0048】
一方、共通電極14と画素電極16Aとの間に電圧を印加した状態では(図7(B)、図8(B))、液晶分子31の配向方向が、サブ画素電極160間に生じる横電界E1により、画素電極16Aの延設方向に対して斜め方向に回転する。この際、液晶層30の厚み方向の中央に位置する液晶分子31が約45度回転するように、白表示時の電界強度が最適化される。これにより、入射側の偏光板17を透過した入射光hには、液晶層30内を透過する間に位相差が生じて90度回転した直線偏光となり、この直線偏光が出射側の偏光板25を通過するため、白表示となる。
【0049】
(外光の検出動作・表示輝度の制御動作)
続いて、図2,図6に加えて図9および図10を参照して、表示装置1における外光の検出動作、およびその外光照度に応じた表示輝度の制御動作について、比較例と比較しつつ詳細に説明する。図9は、比較例に係る表示装置における表示パネル100Aの断面構成を模式的に表すものである。図10は、緑色のカラーフィルタ22Gの透過率の一例(図中に示した「Green CF」)と、人間の視感度曲線y(λ)とを表すものである。
【0050】
まず、本実施の形態の表示パネル1Aでは、図6に示したように、有効表示領域B内の緑色のカラーフィルタ22Gへ外光L0が入射すると、この緑色のカラーフィルタ22Gからの透過光は、(緑色光LG+赤外光LIR)となる。
【0051】
また、比較例の表示パネル100Aにおいても同様に、図9に示したように、有効表示領域B内の緑色のカラーフィルタ22Gへ外光L0が入射すると、この緑色のカラーフィルタ22Gからの透過光は、(緑色光LG+赤外光LIR)となる。ただし、本実施の形態とは異なり、この緑色のカラーフィルタ22Gとフォトセンサ12Bとの間に赤外遮光スペーサ50が設けられていないため、緑色のカラーフィルタ22Gからの透過光が、そのままフォトセンサ12Bへ入射する。
【0052】
ここで、図10に示したように、緑色のカラーフィルタ22Gの透過率は、可視光領域では視感度曲線y(λ)に近い形状を示しているが、近赤外領域では、視感度曲線y(λ)よりも透過率が高くなっている。したがって、この比較例の表示パネル100Aでは、近赤外光成分の多い夕日や白熱灯、赤外線リモコン等の光がフォトセンサ12Bへ入射すると、実際より高い照度値を示してしまう。すると、外光の照度を測定して表示輝度を制御する際に、必要以上に表示輝度を上げてしまうという問題が生じる。
【0053】
これに対し、本実施の形態の表示パネル1Aでは、図6に示したように、赤外光LIRを遮光する赤外遮光スペーサ50がTFT基板10とCF基板20との間に配設されている。これにより、図10中の矢印および曲線P2で示したように、赤外領域における透過率が低下し、フォトセンサ12Bによる赤外光LIRの検出が低減または回避される。
【0054】
また、この表示パネル1Aでは、このような赤外遮光スペーサ50が、少なくとも1つのフォトセンサ12Bに対応する領域に選択的に配設されている。これにより、仮に赤外遮光スペーサ50が可視光の一部をも遮光するような場合であっても、この赤外遮光スペーサ50の配置領域が非開口部であるため、表示画面の全体に遮光層が設けられている場合と比べ、表示光への悪影響が低減する。
【0055】
以上のように本実施の形態では、TFT基板10とCF基板20との間に、赤外光LIRを遮光する赤外遮光スペーサ50を設けるようにしたので、フォトセンサ12Bによる赤外光LIRの検出を低減または回避することができる。したがって、外光L0に赤外光LIRが多量に含まれている場合であっても、そのような赤外光LIRに起因した照度測定精度の低下(光検出精度の低下)を低減することができる。また、このような赤外遮光スペーサ50を、少なくとも1つのフォトセンサ12Bに対応する領域に選択的に設けるようにしたので、仮に赤外遮光スペーサ50が可視光の一部をも遮光するような場合であっても、表示光への悪影響を抑えることができる。よって、輝度低下や色シフト等の表示画質の劣化を抑えつつ、赤外光に起因した照度測定精度の低下(光検出精度の低下)を低減することが可能となる。
【0056】
また、バックライト駆動部71において、フォトセンサ12Bの出力に基づいてバックライト40の輝度(表示光の輝度)を制御するようにしたので、赤外光に起因した照度測定精度の低下(光検出精度の低下)を抑えつつ、外光の照度に応じた適切な表示輝度を設定することが可能となる。
【0057】
[変形例1]
次に、上記第1の実施の形態の表示装置1の表示パネルの変形例(変形例1)について説明する。なお、上記第1の実施の形態と同様の構成要素については、同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0058】
図11は、変形例1に係る表示パネル1Bにおける額縁領域Aと有効表示領域Bとの境界付近の概略断面構成を表すものである。本変形例では、共通電極34が、CF基板20Bにおけるカラーフィルタ22上に配設され、これにより液晶素子の駆動モードが異なること以外は、上記第1の実施の形態の表示装置1と同様の構成となっている。
【0059】
すなわち、本変形例では、TFT基板10Aにおいて、基板11上の平坦化層13上に画素電極16Bが配設され、この画素電極16Bが液晶層30−1を介して共通電極34と対向した構成となっている。なお、画素電極16Bは、上記第1の実施の形態で説明した画素電極16Aとは異なり、各画素に1つずつ設けられた単一の電極となっている。このような構成では、液晶層30−1として、例えばTN(ツイステッドネマティック)、VA(垂直配向)またはECB(電界制御複屈折)等の各種モードが用いられる。
【0060】
このように、表示用の液晶素子としては、上述したようなFFSモードなどの横電界モードに限られず、様々な駆動モードの液晶素子を用いることができる。このように構成した場合であっても、上記第1の実施の形態と同等の効果を得ることができる。
【0061】
<2.第2の実施の形態>
図12は、本発明の第2の実施の形態に係る表示装置3における額縁領域Aと有効表示領域Bとの境界付近の概略断面構成を表すものである。なお、上記第1の実施の形態の表示装置1と同様の構成要素については、同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0062】
本実施の形態の表示装置3における表示パネル3Aでは、有効表示領域Bにおいて、各色のカラーフィルタ22R,22G,22Bに対向して、フォトセンサ12B(第1〜第3の光検出素子)が配置されている。そして、これら各色のカラーフィルタ22R,22G,22Bと、それらに対向する各フォトセンサ12Bとの間にそれぞれ、第1の実施の形態説明した赤外遮光スペーサ50が選択的に配設されている。
【0063】
また、本実施の形態では、第1の実施の形態で説明したバックライト駆動部71の代わりに、画像生成部72が設けられている。この画像生成部72は、外光L0または表示光の反射光を検出することにより得られたフォトセンサ12Bの各出力に基づいて、カラー画像を生成するものである。なお、その他の構成については、第1の実施の形態の表示装置1と同様の構成となっている。
【0064】
このような構成により表示装置3は、カラー画像センサまたはカラースキャナとして機能するようになっている。
【0065】
ところで、例えば図13に示したように、カラーフィルタ22R,22G,22Bはそれぞれ、赤外光LIRを透過してしまっている。そこで、本実施の形態の表示装置3では、上記したように、各色のカラーフィルタ22R,22G,22Bと、それらに対向する各フォトセンサ12Bとの間にそれぞれ、赤外遮光スペーサ50が選択的に配設されている。したがって、第1の実施の形態と同様の作用により、表示光への悪影響が抑えられつつ、各フォトセンサ12Bによる赤外光LIRの検出が低減または回避される。
【0066】
以上のように本実施の形態では、このような赤外遮光スペーサ50を選択的に配設するようにしたので、カラー画像センサの光源として外光L0を用いた場合であっても、赤外光LIRの影響による色劣化を防ぐことが可能となる。
【0067】
また、カラースキャナとして利用する際には、バックライト40の光源として強度の強いXeフラッシュランプ等を用いた場合であっても、バックライト光の赤外光成分に起因した色劣化を防ぐことが可能となる。
【0068】
<3.第3の実施の形態>
図14は、本発明の第3の実施の形態に係る表示装置4における額縁領域Aと有効表示領域Bとの境界付近の概略断面構成を表すものである。なお、上記第1・第2の実施の形態の表示装置と同様の構成要素については、同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0069】
本実施の形態の表示装置4における表示パネル4Aは、TFT基板10Cと、CF基板20Cとを備えている。
【0070】
TFT基板10Cでは、額縁領域Aにおいて、各色のカラーフィルタ22R,22G,22Bに対向して、フォトセンサ12B(第1〜第3の光検出素子)が配置されている。そして、これら各色のカラーフィルタ22R,22G,22Bと、それらに対向する各フォトセンサ12Bとの間にそれぞれ、赤外遮光スペーサ50が選択的に配設されている。
【0071】
一方、CF基板20Cでは、額縁領域Aにおいて、外光L0および表示光をそれぞれ反射することが可能に構成されたメタルブラック24Cが一様に設けられている。このメタルブラック24Cは、例えば金属ブラックにより構成されており、観測側は(表示画面側)映りこみ防止のために低反射処理が施される一方、TFT基板10C側は金属をそのまま用いて高反射率を有するようになっている。
【0072】
また、本実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、バックライト駆動部71が設けられている。ただし、本実施の形態のバックライト駆動部71(表示制御部)では、図14に示したように、表示光のうちのカラーフィルタ22R,22G,22Bを介したメタルブラック24Cでの反射光を検出することにより得られたフォトセンサ12Bの各出力を入力する。そして、このような各出力に基づいて、表示光の色バランスを制御するようになっている。すなわち、本実施の形態の表示装置3は、表示色バランスセンサを有する表示装置として機能するようになっている。
【0073】
このような表示光の色バランス等を制御するのは、以下の理由によるものである。すなわち、液晶表示装置のバックライトとして、R,G,Bの各色のLEDを点灯するシステムを採用した場合、各色のLEDの発光効率の温度依存や寿命等により、経時的にホワイトバランスがずれてしまうことが問題となる。したがって、本実施の形態のように、R,G,Bの表示光の各色の輝度を測定し、その結果をバックライトのLEDの供給電流にフィードバックすることにより、そのような問題を低減または回避することができる。
【0074】
ここで、前述したように、カラーフィルタ22R,22G,22Bはそれぞれ、赤外光LIRを透過してしまう。そこで、本実施の形態の表示装置4では、上記したように、各色のカラーフィルタ22R,22G,22Bと、それらに対向する各フォトセンサ12Bとの間にそれぞれ、赤外遮光スペーサ50が選択的に配設されている。
【0075】
以上のように本実施の形態では、このような赤外遮光スペーサ50を選択的に配設するようにしたので、バックライト40が赤外領域の発光成分を持つ場合であっても、R,G,Bの各色の輝度を正しく測定することが可能となる。よって、表示光の色バランス等を正確に制御することが可能となる。
【0076】
次に、上記第3の実施の形態の表示装置4の変形例(変形例2,3)について説明する。なお、上記第1〜第3の実施の形態と同様の構成要素については、同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0077】
[変形例2]
図15は、変形例2に係る表示装置4Dにおける額縁領域Aと有効表示領域Bとの境界付近の概略断面構成を表すものである。本変形例の表示装置4Dにおける表示パネル4Bは、TFT基板10Dと、CF基板20Dと、バックライト駆動部71とを備えており、表示色バランスセンサを有する表示装置として機能するようになっている。上記第3の実施の形態と異なるのは、色バランスセンサとしての各フォトセンサ12Bおよびそれらに対応する赤外遮光スペーサ50がそれぞれ、額縁領域Aの代わりに有効表示領域B内に配置されている点である。また、これに伴い、メタルブラック24Cが、額縁領域Aに加え、有効表示領域B内のフォトセンサ12Bに対応する領域にも、選択的に設けられている。なお、その他の構成については、第3の実施の形態の表示装置4と同様の構成となっている。
【0078】
このような構成により本変形例では、色バランスセンサとしての各フォトセンサ12Bおよびそれらに対応する赤外遮光スペーサ50をそれぞれ、有効表示領域B内に配置するようにしたので、以下のような効果が得られる。すなわち、上記第3の実施の形態における効果に加え、モバイル用液晶表示装置のように、額縁領域が限られており、額縁下ではバックライト光の分布が問題となる場合においても、額縁を拡大することなく、各色の輝度を測定することが可能になる。
【0079】
[変形例3]
図16は、変形例3に係る表示装置4Eにおける額縁領域Aと有効表示領域Bとの境界付近の概略断面構成を表すものである。本変形例の表示装置4Eにおける表示パネル4Cは、TFT基板10Eと、CF基板20Eとを備えている。また、この表示装置4Eは、バックライト駆動部71を備えている。本実施の形態の表示装置4Eは、外光の照度を測定して表示輝度を制御すると共に、表示色バランスセンサを有する表示装置として機能するようになっている。具体的には、図14に示した第3の実施の形態の表示装置4において、額縁領域A内で、照度センサとして機能するフォトセンサ12Bに対向して、緑色のカラーフィルタ22Gおよび赤外遮光スペーサ50が設けられている。また、額縁領域A内のこの領域では、メタルブラック24Cが選択的に除去されている。なお、その他の構成については、第3の実施の形態の表示装置4と同様の構成となっている。
【0080】
このような構成により本変形例では、そのような赤外遮光スペーサ50を額縁領域A内に配置するようにしたので、外光の照度を測定して表示光の色バランスを制御する際に、照度測定精度を向上させることができる。
【0081】
なお、液晶表示装置に使用する3色LEDについては、赤外光成分を含まないことが多いため、外光照度センサ部分にのみ、赤外遮光スペーサを設置するようにしてもよい。
【0082】
<4.第4の実施の形態>
図17は、本発明の第4の実施の形態に係る表示装置5における額縁領域Aと有効表示領域Bとの境界付近の概略断面構成を表すものである。なお、上記第1〜第3の実施の形態の表示装置と同様の構成要素については、同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0083】
[表示装置の全体構成例]
本実施の形態の表示装置5は、TFT基板10Fと、CF基板20Fとを有する表示パネル5Aを備えている。また、この表示装置5では、これまで説明したバックライト40の代わりに、バックライト40Fが設けられている。さらに、表示装置5は、後述する受光駆動部73、画像処理部74および物体情報演算部75を備えている。このような構成により表示装置5は、表示パネル5Aに近接する物体の位置、形状または大きさの少なくとも1つを含む物体情報を取得する光学式のタッチパネルとして機能するようになっている。
【0084】
バックライト4Fは、表示パネル5Aを照明する光源であり、その光出射面が、有効表示領域Bおよび額縁領域Aの全面に向かい合うように配置されている。バックライト40Fは、可視光L2に加えて非可視光(赤外光LIR)を出射させるようになっている。すなわち、CF基板20Fの表示面側から、可視光L2からなる表示光と共に、赤外光LIRからなる物体検出用の検出光が出射されるように構成されている。
【0085】
なお、このような非可視光(赤外光LIR)は、可視光以外の光、すなわち人間の目に感度がある波長域(例えば380nm〜780nm)以外の波長の光であり、ここでは可視光より長波長側の赤外光を用いている。赤外光としては、Siフォトダイオードの感度とマッチングする近赤外領域(780nm〜1100nm)の光を用いることが望ましい。表示パネル5Aの両面に設けられた偏光板17,25は、可視および近紫外領域においては偏光特性を有する一方、近赤外領域においては偏光特性が失われるため、検出光量の低減を抑制することができ、また画像光にも依存しないからである。すなわち、本実施の形態のように、偏光板を必要とする液晶素子を用いた場合には、非可視光として近赤外光を用いることが望ましい。
【0086】
図18は、バックライト40Fの断面構成を模式的に表したものである。このように、バックライト40Fは、例えば、平板状の導光板41の両端位置に、赤外光LIRを発する赤外光源42Aと、可視光L2を発する可視光源42Bとを配設したものである。赤外光源42Aおよび可視光源42Bとしては、それぞれ例えばLEDなどを用いることができる。このような構成により、赤外光源42Aから発せられた赤外光LIRと、可視光源42Bから発せられた可視光L2は、それぞれ導光板41内を伝播したのち、TFT基板10側の一面から取り出されるようになっている。
【0087】
TFT基板10Fでは、有効表示領域Bにおいて、2種類のフォトセンサ12B1,12B2が設けられている。これらのフォトセンサのうち、フォトセンサ(メインセンサ;主検出素子)12B1は、後述する赤外透過ブラック23に対応する領域に配置されている。一方、フォトセンサ(補助センサ;補助検出素子)12B2は、青色のカラーフィルタ22Bに対応する領域の一部(ここでは、1つおき)、すなわち、後述する赤外遮光スペーサ50Bに対応する領域に配置されている。なお、本実施の形態では、フォトセンサ12B1,12B2としては、図5に示した赤外光に対応する領域S(1.0eV〜1.6eV)に感度を有するポリシリコン(粒径:数10μm以上)やマイクロシリコン(粒径:数10nm以上)を用いることが望ましい。
【0088】
(メインセンサ12B1,補助センサ12B2の配置構成例)
ここで、図19および図20を参照して、表示パネル5Aの有効表示領域Bにおける各画素の詳細構成例について説明する。図19は、表示パネル5Aの有効表示領域B内の画素配置例を平面図で模式的に表したものである。図20は、表示パネル5Aの有効表示領域B内のメインセンサ12B1および補助センサ12B2の配置例を平面図で模式的に表したものである。
【0089】
図19に示したように、有効表示領域B内の画素51は、表示画素51RGBと、2種類のフォトセンサ12B1,12B2が配置された撮像画素(受光部)とから構成されている。表示画素51RGBは、赤(R)用の表示画素51Rと、緑(G)用の表示画素51Gと、青(B)用の表示画素51Bとから構成されている。また、撮像画素は、メインセンサ配置領域521と、補助センサ配置領域522とから構成されている。なお、図19では、1つの表示画素51RGBに対して1つのセンサ配置領域が設けられているが、複数の表示画素51RGBに対して1つのセンサ配置領域が設けられているようにしてもよい。
【0090】
このようなメインセンサ12B1(メインセンサ配置領域521)および補助センサ12B2(補助センサ配置領域522)はそれぞれ、図20(A),(B)に示したように、有効表示領域B内において、1対1の割合で交互に配置されているのが好ましい。ただし、メインセンサ12B1の数よりも補助センサ12B2の数が少なくなるように配置してもよい。この場合、補助センサ12B2からの出力信号に対して補間処理を行う必要があるため、処理が複雑化すると共に、信号やアプリケーションの種類によっては検出漏れが問題にならないかを配慮する必要がある。なお、図20では、説明上の便宜のため、表示画素31RGBについては図示を省略している。
【0091】
CF基板20Fでは、有効表示領域Bにおいて、カラーフィルタ22と同層において、メインセンサ12B1に対応する領域に、赤外透過ブラック23が設けられている。この赤外透過ブラック23(赤外透過層)は、図17に示したように、可視光L2を遮断する一方、赤外光LIRを透過させるものである。但し、可視光L2を完全に遮断していなくとも、赤外光LIRを選択的に透過させるように構成されていればよい。
【0092】
(赤外光透過ブラック23)
この赤外光透過ブラック23は、例えば感光性を有するレジスト材料に、特定の波長領域の光を選択的に透過、遮断する顔料を分散させた顔料分散レジストを用いることができる。レジスト材料としては、アクリル系、ポリイミド系、ノボラック系等が挙げられる。顔料としては、製造プロセスにおいて耐熱性および耐光性を有し、カラーフィルタなどに使用される顔料分散レジストで、近赤外光を透過する性質を有するものが挙げられる。具体的には、赤色(Red)、黄色(Yellow)、橙色(Orange)を示すアゾ顔料、青色(Blue)、緑色(Green)を示すフタロシアニン顔料、および紫色(Violet)を示すジオキサジン顔料などのうち、少なくとも一種を含むものである。あるいは、カラーフィルタとして用いられているR,G,Bのカラーフィルタを2層以上重ねることにより実現することも可能である。このような顔料分散レジストは、基板21上に塗布したのち、露光、現像、ベーク等のプロセスを経ることにより形成することができる。
【0093】
図21は、赤外光透過ブラック23の透過特性の一例を表すものである。ここでは、赤外光LIRを発する光源として、発光中心波長850nmの近赤外LEDを用いている。また、この赤外光透過ブラック23では、アクリル系感光レジストに、銅フタロシアニン化合物(青、緑)およびアゾ顔料(赤)化合物有機顔料を分散させた顔料分散レジストを用いている。このようにして作製した赤外光透過ブラック23では、図21に示したように、わずかながらに可視光L2が透過しているものの、赤外光LIRが選択的に透過していることがわかる。
【0094】
(光源および受光センサにおける波長領域の構成例)
次に、図22および図23を参照して、光源およびフォトセンサにおける波長領域の構成例について説明する。図22は、検出用光源(バックライト40Fにおける赤外光源42A)の発光波長領域(図22(A))と、メインセンサ12B1および補助センサ12B2の検出波長領域(図22(B),(C))との関係の一例を表したものである。
【0095】
まず、図22(B)中の符号G21で示したように、メインセンサ12B1では、受光波長領域が、波長λ1以上の長波長側の波長領域となっている。これは、図17に示したように、メインセンサ12B1に対応する領域に、赤外光LIRを透過して可視光L2を遮断する赤外透過ブラック23が選択的に配設されているためである。したがって、このメインセンサ12B1は、図22(A)中の符号G1で示した、検出用の赤外光LIRの波長領域Δλ23(波長λ2〜波長λ3の波長領域)を受光波長領域として含んでおり、物体検出用のフォトセンサとして機能するようになっている。
【0096】
一方、図22(C)中に符号G31で示したように、補助センサ12B2では、受光波長領域が、波長λ2以下の短波長側の波長領域となっている。これは、図17に示したように、補助センサ12B2に対応する領域に、赤外遮光スペーサ50Bが選択的に配設されているためである。したがって、この補助センサ12B2では、検出用の赤外光LIRの波長領域Δλ23における受光感度が、メインセンサ12B1よりも低くなっている(ここでは、検出用の赤外光LIRの波長領域Δλ23における受光感度が0(ゼロ)となっている)。これにより、補助センサ12B2は、後述する偽信号の検出用のフォトセンサとして機能するようになっている。なお、ここでは、波長領域Δλ12(波長λ1〜波長λ2の波長領域)は、メインセンサ12B1および補助センサ12B2の両方による受光波長領域となっている。
【0097】
ここで、メインセンサ12B1は、検出用の赤外光LIRの波長領域を受光波長領域として含むようにすると共に、補助センサ12B2は、例えば可視光L2の波長領域を受光波長領域として含むようにすればよい。ただし、検出用の赤外光LIRの波長領域と、メインセンサ12B1および補助センサ12B2の受光波長領域との関係は、これには限られない。ただし、注意しなければならないのは、補助センサ12B2の受光波長領域としては、検出用の赤外光LIRの波長領域を含まないようにするのが好ましいが、メインセンサ12B1が受光可能な外光の波長に関しては、受光できるようにする。これは、後述するように、メインセンサ12B1に入射する外光L0に起因する偽信号を検出するのが、補助センサ12B2の役割だからである。
【0098】
なお、メインセンサ12B1の受光波長領域は、図22(B)中の符号G22で示したものであってもよく、同様に補助センサ12B2の受光波長領域は、図22(C)中の符号G32で示したものであってもよい。この場合、波長領域Δλ12(波長λ1〜波長λ2の波長領域)および波長領域Δλ34(波長λ3〜波長λ4の波長領域)が、メインセンサ12B1および補助センサ12B2の両方による受光波長領域となる。
【0099】
また、図22では、図23(A)に示したように、波長領域Δλ12(波長λ1〜波長λ2の波長領域)や波長領域Δλ34(波長λ3〜波長λ4の波長領域)が、メインセンサ12B1および補助センサ12B2の両方による受光波長領域となっている。しかしながら、例えば図23(B)に示したように、メインセンサ12B1の受光波長領域と、補助センサ12B2の受光波長領域とが、互いに分離しているようにしてもよく、このようにするのが好ましいといえる。
【0100】
(受光駆動部73,画像処理部74,物体情報演算部75)
図17に示した受光駆動部73は、表示パネル5Aの各フォトセンサ12B1,12B2から受光信号が得られるように(物体を撮像するように)、この表示パネル5Aの受光駆動を行うものである。
【0101】
画像処理部74は、受光駆動部73からの出力(受光信号)に対して所定の画像処理(画像生成処理)を行うことにより、後述する合成画像を生成するようになっている。また、生成された合成画像は、例えばフレーム単位でフレームメモリ(図示せず)に蓄積され、撮像画像として物体情報演算部75へ出力されるようになっている。なお、そのような画像生成処理の詳細については、後述する。
【0102】
物体情報演算部75は、画像処理部74から出力される撮像画像(合成画像)に基づいて所定の画像処理(演算処理)を行い、近接物体に関する物体情報(位置座標データ、物体の形状や大きさに関するデータなど)を検出し、取得するものである。なお、この検知する処理の詳細については後述する。
【0103】
[表示装置の作用・効果]
続いて、上記表示装置5の作用および効果について説明する。
【0104】
(物体情報取得の際の基本動作)
まず、図17を参照して、表示装置5における物体情報取得の際の基本動作について説明する。なお、表示装置5における表示動作については、これまで説明した表示装置と同様であるため、説明を省略する。
【0105】
この表示装置5では、バックライト40Fから出射された可視光L2に基づいて、有効表示領域Bにおいて画像が表示される。一方、バックライト40Fからの赤外光LIRは、偏光板17、TFT基板10F、液晶層30、CF基板20Fおよび偏光板25を順に透過する。なお、このとき、赤外光LIRは、液晶層30、カラーフィルタ22および赤外光透過ブラック23によって遮断されることなく、通過する。
【0106】
ここで、例えば指などの物体(図17中に図示せず)が、表示パネル5Aの上面(偏光板25の上面)に置かれる(接触する)と、偏光板25の上方へ出射された赤外光LIRは、この物体の表面において拡散反射される。この反射光(外光を含む)L3が、TFT基板10Fに配設されたフォトセンサ(メインセンサ,補助センサ)12B1,12B2によって受光されることにより、受光駆動部73は、この物体の光強度分布についての情報を取得する。具体的には、受光駆動部73は、1フレーム分の画素の受光信号を蓄積し、撮像画像として画像処理部74へ出力する。そして、画像処理部74において後述する所定の画像処理が行われたのち、物体情報演算部75では、そのような画像処理後の撮像画像に基づいて物体の重心座標を算出することにより、その物体の位置を判定する。これにより、画像処理後の撮像画像に基づいて、近接物体に関する情報(位置座標データ、物体の形状や大きさに関するデータなど)が取得される。
【0107】
(差分画像位置判定処理の際の基本動作)
次に、図24〜図28を参照して、受光駆動部73、画像処理部74および物体情報演算部75による、差分画像を利用した位置判定処理(差分画像位置判定処理)の際の基本動作について説明する。図24は、この差分画像位置判定処理を流れ図で表したものであり、図25は、この差分画像位置判定処理の一部をタイミング図で表したものである。図25において、(A)はバックライト40Fのオン・オフ状態を、(B)はセンサ出力信号の読み取り(スキャン)タイミングを、(C)はセンサ出力信号の波形を、(D)は画像処理の状態を、それぞれ示している。また、タイミングt0は、ONスキャン完了時かつOFF積算開始時を、タイミングt1は、OFF積算完了時かつOFFスキャン開始時を、タイミングt2は、OFFスキャン完了時かつON積算開始時を、それぞれ示している。また、タイミングt3は、ON積算完了時かつONスキャン開始時を、タイミングt4は、オンスキャン完了時かつ差分画像位置判定処理開始時を、タイミングt5は、差分画像位置判定処理完了時を、それぞれ示している。
【0108】
まず、差分画像位置判定処理の際には、図25に示したように、各表示1フレーム期間の前半期間において、バックライト40Fの赤外光源42Aが消灯(オフ)状態となり、検出用の赤外光LIRが出射されない。一方、各表示1フレーム期間の後半期間では、赤外光源42Bが点灯(オン)状態となり、検出用の赤外光LIRが出射される。すなわち、各表示1フレーム期間の前半期間は、表示装置5から検出用の赤外光LIRが出射されない無光期間(オフ期間)である一方、各表示1フレーム期間の後半期間は、表示装置5から検出用の赤外光LIRが出射される有光期間(オン期間)となっている。これらのタイミングは、受光駆動部73から出力される表示と同期した信号が、表示パネル5AにおけるTFT基板10F上に存在する、センサゲート131のゲート線およびセンサ信号線136(図4参照)へ供給されることにより、制御される。
【0109】
まず、表示1フレーム期間の前半期間であるオフ期間において、表示パネル5A内のフォトセンサ12B1,12B2に、物体の反射光L3(=可視光L2)および外光L0に基づく光が入射し、P+ドープ層132Aに接続された補助容量の電位変化として蓄積される(図25のタイミングt0〜t1の期間)。次に、この補助容量電位が、読み出し回路(図示せず)を介してセンサゲートラインごとに順次読み出され(図25のタイミングt1〜t2の期間)、オフ期間での物体の撮像画像であるオフ画像Aoff(影画像)が取得される(図24のステップS11)。
【0110】
次に、同様に、表示1フレーム期間の後半期間であるオン期間において、表示パネル5A内のフォトセンサ12B1,12B2に、物体の反射光L3(=可視光L2+赤外光LIR)および外光L0に基づく光が入射し、P+ドープ層132Aに接続された補助容量の電位変化として蓄積される(図25のタイミングt2〜t3の期間)。次に、この補助容量電位が、読み出し回路(図示せず)を介してセンサゲートラインごとに順次読み出され(図25のタイミングt3〜t4の期間)、オン期間での物体の撮像画像であるオン画像Bon(反射光利用画像)が取得される(図24のステップS12)。
【0111】
次に、画像処理部74は、このオン画像Bonとオフ画像Aoffとの差分画像Cを生成する(図24のステップS13)。
【0112】
次に、物体情報演算部75は、生成された差分画像Cに基づいて、重心を判定する演算処理を行い(ステップS14)、接触(近接)中心の特定を行う(ステップS15、図25タイミングt4〜t5の期間)。この際、物体情報演算部75では、差分画像Cに基づいて、物体の重心座標Gを算出する。
【0113】
具体的には、差分画像Cの画像信号(デジタル)において、図26に示すようにある閾値以上の値を持つ領域を2値化する。この2値化後の差分画像からノイズ除去を行った後、中心座標のx、y値のそれぞれの平均値を算出することにより、物体の重心座標Gを算出する。例えば、x座標群が(4,3,4,5,2,3,4,5,6,3,4,5,4)、y座標群が4,3,4,5,2,3,4,5,6,3,4,5,4)である場合には、これらの中心座標は(x,y)=(4,4)となり、これが重心座標Gとなる。このようにして、物体の位置が判定される。
【0114】
また、物体情報演算部75において、差分画像Cに基づいて、物体の接触面積を算出するようにしてもよい。例えば、差分画像Cにおける強度分布から、所定のスレッショルド以上の値を示すフォトセンサ12B1,12B2を特定することで、特定したフォトセンサ12B1,12B2の数や設置間隔等から、接触面積を求めることが可能である。このようにして算出された接触面積に関する情報は、接触している物体が指なのかペンなのかを判定することに利用することができる。また、接触面積が所定の基準値を大幅に上回る場合などに、指やペンなどによるタッチ入力ではないと判定するようなアプリケーションにも利用することができる。例えば、ポケットや鞄などに収納した場合や、表示装置5が携帯電話機として用いられる場合においてディスプレイ部分に耳を近づけた場合等の誤入力を防止することができる。
【0115】
このようにして、差分画像位置判定処理では、検出用の赤外光LIRを利用したオン画像Bonと、検出用の赤外光LIRを利用しないで外光L0を利用したオフ画像Aoffとの差分画像Cに基づいて、物体情報の取得処理(位置判定処理)がなされる。これにより、外光L0の影響が除去されたうえで、物体の検出がなされる。また、このような外光除去と同時に、フォトセンサ12B1,12B2の特性ばらつき等に起因した固定ノイズの除去も可能となる。
【0116】
具体的には、例えば図27(A)に断面図で示したように、入射する外光L0が強い場合には、オン期間での受光出力電圧Von1は、図27(B)に示したようになる。すなわち、物体(指)fで触れた個所以外では、外光L0の明るさに対応した電圧値Vaとなる一方、指fで触れた個所では、そのときに触れた指fの表面で、バックライト40Fからの光を反射させる反射率に対応した電圧値Vbに低下する。これに対して、オフ期間での受光出力電圧Voff1は、指fで触れた個所以外では、外光L0の明るさに対応した電圧値Vaとなる点は同じであるが、指fで触れた個所では、外光L0が遮断された状態であり、非常にレベルの低い電圧値Vcとなる。
【0117】
また、図28(A)に断面図で示したように、入射する外光L0が弱い(ほとんどない)状態では、オン期間での受光出力電圧Von2は、図28(B)に示したようになる。すなわち、指fで触れた個所以外では、外光L0がないために非常にレベルの低い電圧値Vcとなる一方、指fで触れた個所では、そのときに触れた指fの表面で、バックライト40Fからの光を反射させる反射率に対応した電圧値Vbに上昇する。これに対して、オフ期間での受光出力電圧Voff2は、指fで触れた個所とそれ以外の個所のいずれでも、非常にレベルの低い電圧値Vcのままで変化がない。
【0118】
このように、図27および図28を比較すると分かるように、指fが接触していない個所では、外光L0がある場合とない場合とで、受光出力電圧が大きく異なる。ところが、指fが接触している個所では、外光L0の有無に関係なく、オン期間での電圧値Vbとオフ期間での電圧値Vcとが、ほぼ同じような状態となる。
【0119】
(物体が移動している場合等における差分画像位置判定処理)
次に、図29〜図35を参照して、本発明の特徴的部分の1つである、物体が移動している場合等における差分画像位置判定処理について、比較例と比較しつつ説明する。
【0120】
まず、図29および図30に示した比較例では、図29中の矢印で示したように、表示パネル5Aの有効表示領域B上で物体が移動している状態のとき、ハロゲン光や太陽光のように、外光L0が赤外光成分を有する場合、以下の問題が生じる。すなわち、オフ画像Aoff101における受光出力信号Voff(A101)とオン画像Bon101における受光出力信号Von(B101)との間で、物体に対応する部分に位置ずれが生じている。これにより、2つの画像Aoff101,Bon101の差分画像C101(=Bon101−Aoff101)およびその受光出力信号V(C101)(=Von(B101)−Voff(A101))において、物体の位置に対応する本来の信号の他に、別の位置に偽信号F101が生じる。よって、このような偽信号F101の存在により、物体を安定して検出するのが困難となってしまう。
【0121】
これに対して本実施の形態では、物体情報演算部75は、メインセンサ12B1により得られる撮像画像と、補助センサ12B2により得られる撮像画像とに基づく合成画像を用いて、物体情報を取得する。具体的には、画像処理部74は、オン画像Bonとオフ画像Aoffとの差分画像C(=Bon−Aoff)を、メインセンサ12B1および補助センサ12B2のそれぞれに対応して生成する。すなわち、メインセンサ12B1でのオン画像MBonとオフ画像MAoffとの差分画像MC(=MBon−MAoff;第1の差分画像)と、補助センサ12B2でのオン画像HBonとオフ画像HAoffとの差分画像HC(=HBon−HAoff;第2の差分画像)とを、それぞれ生成する。そして、物体情報演算部75は、このメインセンサ12B1における差分画像MCと、補助センサ12B2における差分画像HCとに基づく合成画像Fを用いて、物体情報を取得する。
【0122】
より具体的には、メインセンサ12B1による撮像画像では、例えば図31および図32に示したようにして、差分画像MCが生成される。すなわち、外光L0が、メインセンサ12B1に感度がある波長領域の光を含んでいるとき(例えば、波長領域Δλ23を含む光、ハロゲンランプ、太陽光等が入射したとき)、物体が表示パネル5A上で動いている場合、差分画像MCでは、比較例と同様に、物体の検出信号の他に、影画像が動くことに由来する偽信号F101が発生する。言い換えると、画像MAoff,MBonの差分画像MCおよびその受光出力信号V(MC)(=Von(MB)−Voff(MA))において、物体の位置に対応する本来の信号の他に、別の位置に偽信号F101が生じる。
【0123】
一方、補助センサ12B2による撮像画像では、例えば図33および図34に示したようにして、差分画像HCが生成される。まず、補助センサ12B2では、検出用の赤外光LIRの波長領域における受光感度がメインセンサ12B1よりも低くなっている(ここでは、0となっている)。そのため、差分画像HCでは、メインセンサ12B1の場合と同様に偽信号F101が発生する一方、物体の検出信号の発生が抑えられる(ここでは、回避される)。言い換えると、画像HAoff,HBonの差分画像HCおよびその受光出力信号V(HC)(=Von(HB)−Voff(HA))において、偽信号F101が発生する一方、物体の位置に対応する本来の信号の発生が抑えられる(ここでは、回避される)。
【0124】
次に、画像処理部74は、例えば図35に示したように、補助センサ12B2により得られる差分画像HCに基づいて、所定のマスク画像Eを生成する。また、画像処理部74は、メインセンサ12B1により得られる差分画像MCと、生成されたマスク画像Eとの論理積を取ることにより、これらの合成画像Fを生成する。そして、物体情報演算部75は、この合成画像Fを用いて物体情報を取得する。この際、画像処理部74は、差分画像HCに対し、例えば2値化処理および画像反転処理を施すことにより、マスク画像Eを生成することができる。具体的には、2値化処理としては、差分画像HCの中で、ある値(閾値)以上の受光信号を偽信号とみなし、偽信号の部分をマスクする画像に変換するようにすればよい。
【0125】
ここで、閾値以上の信号を偽信号とするのは、パネルに乗ったノイズの影響を排除することと、補助センサ12B2の性能によっては、完全に分光特性が分離できず、わずかに検出信号が補助センサ12B2側の差分画像HCにも現れることがあるからである。この補助センサ12B2への検出信号の漏れこみを最小限にするのが、本方式の性能を向上することとなる。具体的には、検出用の赤外光LIRの波長領域Δλ23を限定すると共に、補助センサ12B2では、検出用の赤外光LIRの波長領域Δλ23に対する感度をできる限り低く設計する。また、補助センサ12B2は外光L0により発生する偽信号を検出するものであるため、外光L0に対する感度を、検出用の赤外光LIRの波長感度より相対的に高めることで、性能を上げることにつながる。このような性能を実現するうえで、本発明の赤外遮光スペーサは、有効な役割を果たす。
【0126】
なお、このようなマスク画像Eを用いて合成画像Fを生成する方法の他に、例えば、差分画像MCと差分画像HCとの差分画像(=MC−HC)を、合成画像Fとして用いるようにしてもよい。
【0127】
このようにして、メインセンサ12B1により得られる差分画像MCと、補助センサ12B2により得られる差分画像HCとに基づく合成画像Fを用いて、物体情報が取得される。これにより、例えば物体が表示パネル5Aの有効表示領域B上で動いているような場合であっても、合成画像Fにおける偽信号の発生が抑えられる(または回避される)。
【0128】
以上のように本実施の形態では、表示パネル5Aの有効表示領域B内に、近接物体を検出するための赤外光LIRの波長領域Δλ23を受光波長領域として含む複数のメインセンサ12B1を設けている。また、この検出用の赤外光LIRの波長領域における受光感度がメインセンサ12B1よりも低くなっている複数の補助センサ12B2を設けている。具体的には、本実施の形態では、このように、補助センサ12B2における赤外光LIRの波長領域Δλ23での受光感度を低くする手段として、補助センサ12B2上に、赤外遮光スペーサ50を選択的に配置している。このような構造により、赤外遮光材料の表示光への影響が回避されるため、赤外遮光顔料の選択肢が広がり、補助センサ12B2における波長領域Δλ23での感度をほぼゼロとすることができる。そして、本実施の形態では、メインセンサ12B1により得られる差分画像MCと、補助センサ12B2により得られる差分画像HCとに基づく合成画像Fを用いて、近接物体の物体情報を取得するようにしている。よって、例えば近接物体が表示パネル5Aの有効表示領域B上で動いているような場合であっても、合成画像Fにおける偽信号の発生を抑えることができ、使用状況によらずに物体を安定して検出することが可能となる。また、あらゆる偽信号発生パターンに対して原理的に対応することが可能であるため、全ての外光条件で良好に作動させることが可能である。
【0129】
また、本実施の形態において説明した光学式の位置検出では、物体の表面で反射した光を検出することによって行うため、抵抗式などの位置検出と異なり、表示画面やモジュール表面から物体が離れている場合でも位置検出が可能である。すなわち、物体がモジュール表面に接触している場合に限らず、近接している場合等にも、接触している場合と同様に位置検出が可能である。
【0130】
なお、本実施の形態では、メインセンサ12B1により得られる差分画像MCと、補助センサ12B2により得られる差分画像HCとに基づく合成画像Fを用いて、物体情報を取得する場合で説明したが、他の手法を用いて物体情報を取得するようにしてもよい。例えば、図36,図37に示したように、メインセンサ12B1におけるオン画像MBon(第1のオン画像)と、補助センサ12B2におけるオン画像HBon(第2のオン画像)との差分画像MHC(=MBon−HBon)に基づいて、物体情報を取得するようにしてもよい。
【0131】
<5.第5の実施の形態>
図38は、本発明の第5の実施の形態に係る表示装置6における額縁領域Aと有効表示領域Bとの境界付近の概略断面構成を表すものである。なお、上記第1〜第4の実施の形態の表示装置と同様の構成要素については、同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0132】
[表示装置の全体構成例]
本実施の形態の表示装置6では、有効表示領域Bにおける画像表示素子(表示画素)として、例えばR,G,Bの3原色の電界発光を生じる有機EL素子を用いている。この表示装置6は、TFT基板10G上に形成された各色の有機EL素子を、CF基板20Gにより封止層39を介して封止した構成となっている。なお、有機EL素子は自発光素子であるため、画像表示用の光源は特に設けていない。また、表示装置6は、第3の実施の形態で説明したバックライト駆動部71に対応する発光駆動部76を備えている。このような構成により表示装置6は、第3の実施の形態の表示装置4等と同様に、表示色バランスセンサを有する表示装置として機能するようになっている。これは、有機EL素子においては、RGBの発光効率の温度依存や寿命等により、経時的にホワイトバランスがずれることが問題になるためである。したがって、本実施の形態のように、R,G,Bの各色の輝度を測定し、その結果を供給電流にフィードバックすることにより、そのような問題を低減または回避することができる。
【0133】
TFT基板10Gでは、基板11上の額縁領域Aにおいて、TFT12Aおよびフォトセンサ12Bが配設されている。これらTFT12Aおよびフォトセンサ12Bは平坦化層38によって平坦化され、この平坦化層38の上層に、陽極としての画素電極35が画素ごとに設けられている。各画素電極35上には、赤色の光を発生する発光層36Rと、緑色の光を発生する発光層36Gと、青色の光を発生する発光層36Bとが、順に全体としてマトリクス状に設けられている。これらの発光層36R,36G,36B上には、各画素に共通して陰極としての共通電極37が形成されている。なお、画素電極35と発光層36R,36G,36Bとの間には、各画素に共通して正孔注入層や正孔輸送層が設けられていてもよい。また、共通電極37と発光層36R,36G,36Bとの間には、各画素に共通して電子注入層や電子輸送層が設けられていてもよい。更に、画素電極35を陰極、共通電極37を陽極として機能させるようにしてもよい。
【0134】
発光層36Rは、蛍光性または燐光性を有する発光材料を含んで構成され、電界をかけることにより、画素電極35から注入された正孔の一部と、共通電極37から注入された電子の一部とが再結合して、赤色の光を発生するものである。なお、発光層36G,36Bについても同様に、それぞれ電界をかけることにより、正孔と電子の再結合により、緑色または青色の光を発生するものである。
【0135】
発光層36Rとしては、例えば4,4−ビス(2,2−ジフェニルビニン)ビフェニル(DPVBi)に2,6−ビス[(4’−メトキシジフェニルアミノ)スチリル]−1,5−ジシアノナフタレン(BSN)などが用いられる。発光層36Gとしては、例えばDPVBiにクマリン6を混合したものなどが用いられる。発光層36Bとしては、例えばDPVBiに4,4’−ビス[2−{4−(N,N−ジフェニルアミノ)フェニル}ビニル]ビフェニル(DPAVBi)を混合したものなどが用いられる。
【0136】
一方、有効表示領域Bにおいては、上記第3の実施の形態と同様に、基板11上に所定のピッチでTFT12Aが配設されている。
【0137】
CF基板20Gは、基板21の一面において、上記第3の実施の形態と同様に、額縁領域Aにメタルブラック24およびカラーフィルタ22R,22G,22Bを有している。また、有効表示領域Bでは、上記第3の実施の形態と同様に、カラーフィルタ22R,22G,22Bを有している。なお、本実施の形態では、基板21上にカラーフィルタ22を形成しているが、各色の有機EL素子に対応させて、カラーフィルタ22を設けないようにしてもよい。
【0138】
発光駆動部76は、上記第3の実施の形態のバックライト駆動部71と同様に、表示光のうちのカラーフィルタ22R,22G,22Bを介したメタルブラック24Cでの反射光を検出することにより得られたフォトセンサ12Bの各出力を入力する。そして、このような各出力に基づいて、表示光の色バランスを制御するようになっている。
【0139】
[表示装置の作用・効果]
本実施の形態の表示装置6では、有効表示領域Bにおいて、画素電極35と共通電極37との間に所定の駆動電圧が印加されると、各発光層36R,36G,36Bにおいて、各色の発光が生じ、画像表示が行われる。一方、額縁領域Aにおいても、画素電極35と共通電極37との間に所定の駆動電圧が印加されると、各発光層36R,36G,36Bにおいて、各色の発光が生じる。
【0140】
この際、本実施の形態では、上記第3の実施の形態と同様に、各色のカラーフィルタ22R,22G,22Bと、それらに対向する各フォトセンサ12Bとの間にそれぞれ、赤外遮光スペーサ50R,50G,50Bが選択的に配設されている。したがって、第1〜3の実施の形態と同様の作用により、各フォトセンサ12Bによる赤外光LIRの検出が低減または回避される。したがって、発光層36が赤外領域の発光成分を持つ場合であっても、R,G,Bの各色の輝度を正しく測定することが可能となる。よって、表示光の色バランス等を正確に制御することが可能となる。
【0141】
[変形例4]
なお、例えば図39に示した表示装置6A(TFT基板10H,CF基板20Hを有する)のように、図15に示した変形例2に係る表示装置4Dと同様の構成としてもよい。すなわち、フォトセンサ12B、赤外遮光スペーサ50G,50B,50Rをそれぞれ、額縁領域Aの代わりに有効表示領域B内に設けると共に、メタルブラック24Cを、有効表示領域B内におけるフォトセンサ12Bに対応する領域に選択的に設けるようにしてもよい。
【0142】
<6.電子機器への適用例>
次に、図40〜図43を参照して、上記実施の形態および変形例で説明した表示装置の適用例について説明する。上記実施の形態等の表示装置は、テレビジョン装置,デジタルカメラ,ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話等の携帯端末装置あるいはビデオカメラなどのあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。言い換えると、上記実施の形態等の表示装置は、外部から入力された映像信号あるいは内部で生成した映像信号を、画像あるいは映像として表示するあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。なお、以下に示した電子機器の他にも、例えば、検出光による反射成分のみを取り出すという本発明の特徴を活かして、監視カメラのような応用も考えられる。
【0143】
(適用例1)
図40は、上記実施の形態等の表示装置が適用されるデジタルカメラの外観を表したものである。このデジタルカメラは、例えば、フラッシュ用の発光部410、表示部420、メニュースイッチ430およびシャッターボタン440を有しており、その表示部420は、上記実施の形態等に係る表示装置により構成されている。
【0144】
(適用例2)
図41は、上記実施の形態等の表示装置が適用されるノート型パーソナルコンピュータの外観を表したものである。このノート型パーソナルコンピュータは、例えば、本体510,文字等の入力操作のためのキーボード520および画像を表示する表示部530を有しており、その表示部530は、上記実施の形態等に係る表示装置により構成されている。
【0145】
(適用例3)
図42は、上記実施の形態等の表示装置が適用されるビデオカメラの外観を表したものである。このビデオカメラは、例えば、本体部610,この本体部610の前方側面に設けられた被写体撮影用のレンズ620,撮影時のスタート/ストップスイッチ630および表示部640を有している。そして、その表示部640は、上記実施の形態等に係る表示装置により構成されている。
【0146】
(適用例4)
図43は、上記実施の形態等の表示装置が適用される携帯電話機の外観を表したものである。この携帯電話機は、例えば、上側筐体710と下側筐体720とを連結部(ヒンジ部)730で連結したものであり、ディスプレイ740,サブディスプレイ750,ピクチャーライト760およびカメラ770を有している。そのディスプレイ740またはサブディスプレイ750は、上記実施の形態等に係る表示装置により構成されている。
【0147】
以上、いくつかの実施の形態、変形例および適用例を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態等に限定されず、種々の変形が可能である。
【0148】
例えば、上記実施の形態等では、表示パネルの表示側の偏光板がむき出しになっており、この偏光板の上面に指などの物体が接触する場合を例に挙げて説明したが、偏光板の上には更に他の部材、例えば保護板などが配設されていてもよい。
【0149】
また、上記実施の形態等では、表示装置として液晶素子を用いた液晶ディスプレイおよび有機EL素子を用いた有機ELディスプレイを例に挙げて説明したが、本発明は、それ以外の表示装置、例えば電気泳動等を用いたe-paperなどにも適用可能である。
【符号の説明】
【0150】
1,3,4,4D,4E,5,6,6A…表示装置、1A,1B,3A,4A,4B,4C,5A…表示パネル、10,10B,10C,10D,10E,10F,10G,10H…TFT基板、11,21…基板、12A…TFT、12B…フォトセンサ、12B1…フォトセンサ(メインセンサ)、12B2…フォトセンサ(補助センサ)、13,38…平坦化層、14,34,37…共通電極、15…絶縁層、16A,35…画素電極、160…サブ画素電極、17,25…偏光板、18…ゲート絶縁膜、19…層間膜、20,20B,20C,20D,20E,20F,20G,20H…CF基板、210…外部接続領域、22,22R,22G,22B…カラーフィルタ、23…赤外光透過ブラック、24…遮光ブラック、24C…メタルブラック、30,30−1…液晶層、30A…画像表示エリア、31…液晶分子、32,33…配向膜、36,36R,36G,36B…発光層、39…封止層、40,40F…バックライト、41…導光板、42A…赤外光源、42B…可視光源、50…赤外遮光スペーサ、51…画素、51RGB…表示画素、71…バックライト駆動部、72…画像生成部、73…受光駆動部、74…画像処理部、75…物体情報演算部、76…発光駆動部、A…額縁領域、B…有効表示領域、L0…外光、L2…(バックライト)可視光、L3…反射光、LR…赤色光、LG…緑色光、LB…青色光、LIR…赤外光、Von1,Von2,Voff1,Voff2…受光出力電圧、Aoff,MAoff,HAoff…オフ画像、Bon,MBon,HBon…オン画像、MC,HC,MHC…差分画像、E…マスク画像、F…合成画像、Voff(MA),Von(MB),V(MC)…受光出力信号(メインセンサ出力電圧,メインセンサ差分電圧)、Voff(HA),Von(HB),V(HC)…受光出力信号(補助センサ出力電圧,補助センサ差分電圧)、Von(MHC)…受光出力信号(差分電圧)、λ1〜λ4…波長、Δλ12,Δλ23,Δλ34…波長領域、f…物体(指)、t0〜t5…タイミング。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板面上に、表示素子を構成する複数の画素電極と、光検出素子とを有する第1基板と、
前記第1基板における前記基板面と対向して配置された第2基板と、
赤外光を遮光する材料により構成され、前記第1基板と前記第2基板との間において前記光検出素子のうちの少なくとも1つに対応する領域に選択的に配設されたスペーサと
を備えた表示装置。
【請求項2】
前記第2基板は、R(赤),G(緑),B(青)の各色に対応するカラーフィルタを有する
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第2基板上において、前記光検出素子のうちの少なくとも1つに対向して前記Gに対応するカラーフィルタが配設されると共に、
この光検出素子と前記Gに対応するカラーフィルタとの間に、前記スペーサが選択的に配設されている
請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記光検出素子の出力に基づいて、前記表示素子からの表示光の輝度を制御する輝度制御部を備えた
請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記光検出素子が、
前記Rに対応するカラーフィルタに対向して配置された第1の光検出素子と、
前記Gに対応するカラーフィルタに対向して配置された第2の光検出素子と、
前記Bに対応するカラーフィルタに対向して配置された第3の光検出素子と
を含んで構成され、
前記Rに対応するカラーフィルタと前記第1の光検出素子との間、前記Gに対応するカラーフィルタと前記第2の光検出素子との間、および前記Bに対応するカラーフィルタと前記第3の光検出素子との間、のうちの少なくとも1つに、前記スペーサが配設されている
請求項2ないし請求項4のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
外光または前記表示素子からの表示光の反射光を検出することにより得られた前記第1ないし第3の光検出素子の各出力に基づいて、カラー画像を生成する画像生成部を備えた
請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第2基板は、前記カラーフィルタの前記第1基板とは反対側における少なくとも前記スペーサに対応する領域に設けられると共に前記表示素子からの光を反射することが可能に構成された光反射層を有する
請求項5に記載の表示装置。
【請求項8】
前記表示素子からの光のうちの前記カラーフィルタを介した前記光反射層での反射光を検出することにより得られた前記第1ないし第3の光検出素子の各出力に基づいて、前記表示素子からの光の色バランスを制御する表示制御部を備えた
請求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
前記スペーサが、表示画面のうちの有効表示領域内に配置され、
前記光反射層が、前記有効表示領域内の前記光検出素子に対応する領域に選択的に設けられている
請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
前記第2基板の表示面側から、可視光からなる表示光と共に、赤外光からなる物体検出用の検出光が出射されるように構成され、
前記光検出素子が、主検出素子と補助検出素子とにより構成され、
前記補助検出素子に対応する領域に前記スペーサが選択的に配設されると共に、前記主検出素子に対応する領域に、赤外光を透過して可視光を遮断する赤外透過層が選択的に配設され、
前記主検出素子の出力により得られる物体の撮像画像と前記補助検出素子の出力により得られる物体の撮像画像とに基づく合成画像を用いて、その物体の位置、形状または大きさの少なくとも1つを含む物体情報を取得する物体情報演算部を備えた
請求項1に記載の表示装置。
【請求項11】
前記検出光が射出されるオン期間において得られる物体の撮像画像であるオン画像と、前記検出光が射出されないオフ期間において得られる物体の撮像画像であるオフ画像との差分画像を、前記主検出素子および補助検出素子のそれぞれに対応して生成する画像処理部を備え、
前記物体情報演算部は、前記主検出素子の出力により得られる前記オン画像と前記オフ画像との差分画像に対応する第1の差分画像と、前記補助検出素子の出力により得られる前記オン画像と前記オフ画像との差分画像に対応する第2の差分画像とに基づく合成画像を用いて、前記物体情報を取得する
請求項10に記載の表示装置。
【請求項12】
前記画像処理部は、前記第2の差分画像に対して2値化処理および画像反転処理を施すことによりマスク画像を生成し、
前記物体情報演算部は、前記第1の差分画像と前記マスク画像との合成画像を用いて、前記物体情報を取得する
請求項11に記載の表示装置。
【請求項13】
前記物体情報演算部は、前記検出光が射出されるオン期間において前記主検出素子の出力により得られる物体の撮像画像である第1のオン画像と、前記オン期間において前記補助検出素子により得られる物体の撮像画像である第2のオン画像との差分画像に基づいて、前記物体情報を取得する
請求項10に記載の表示装置。
【請求項14】
前記第1基板の基板面上において、前記主検出素子と前記補助検出素子とが、1対1の割合で交互に配置されている
請求項10に記載の表示装置。
【請求項15】
前記スペーサが、顔料を分散させた樹脂層により構成されている
請求項1に記載の表示装置。
【請求項16】
前記表示素子が、
前記画素電極と、
前記第1基板または前記第2基板上に設けられた共通電極と、
前記第1基板と前記第2基板との間に設けられた液晶層と
を有する液晶素子を用いて構成されている
請求項1に記載の表示装置。
【請求項17】
前記表示素子が、
前記画素電極と、
前記第1基板上に設けられた共通電極および発光層と
を有する有機EL素子を用いて構成されている
請求項1に記載の表示装置。
【請求項18】
表示装置を備え、
前記表示装置は、
基板面上に、表示素子を構成する複数の画素電極と、光検出素子とを有する第1基板と、
前記第1基板における前記基板面と対向して配置された第2基板と、
赤外光を遮光する材料により構成され、前記第1基板と前記第2基板との間において前記光検出素子のうちの少なくとも1つに対応する領域に選択的に配設されたスペーサと
を有する電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【公開番号】特開2011−28058(P2011−28058A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−174638(P2009−174638)
【出願日】平成21年7月27日(2009.7.27)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】