表示装置およびIC
【課題】 本発明の表示装置は、周辺領域に駆動用ICを配置させる際、周辺領域を狭く形成して、狭額縁化が可能となる表示装置を提供する。
【解決手段】 信号系のバンプ31をIC3の第1の絶縁性基板1端側の長辺3bに配置する際、長辺3bに沿って配置させた電源系バンプ6の位置より、FPC17から離れた位置に連続して配置する。また、信号系バンプ31から延びる引き出し配線32は、IC3が配置される領域であって、IC3が重なる位置に形成し、FPC17に向かわせるように配置する。
【解決手段】 信号系のバンプ31をIC3の第1の絶縁性基板1端側の長辺3bに配置する際、長辺3bに沿って配置させた電源系バンプ6の位置より、FPC17から離れた位置に連続して配置する。また、信号系バンプ31から延びる引き出し配線32は、IC3が配置される領域であって、IC3が重なる位置に形成し、FPC17に向かわせるように配置する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はICおよび表示装置に関するもので、特に表示装置の絶縁性基板上にマトリクス状に配置された複数の画素から構成される画像表示部の周辺部に、外部回路からの信号および電源を入力する駆動用ICおよびICを直接実装する表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の表示装置においては、複数の画素から構成される画像表示部に信号を供給する表示装置用のコンパクト化、信頼性、低価格化の要求により、表示パネルの駆動用ICを表示装置の絶縁性基板上の画像表示部の周辺部に異方性導電膜(ACF等)を介して直接搭載する、チップオングラス(以下COGと称する)方式が用いられている。外部回路との接続はフレキシブルプリント配線板(Flexible Printed Circuit 以下FPCと称する)を絶縁性基板の端部に接続している。
この表示装置の一例が特許文献1に記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−255381号公報(図1−4、第3−5頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載のTFTアレイ基板は、COG実装された駆動用ICへ信号および電源を入力する実装領域に形成された内部配線の少なくとも一部を異なる層の導電膜が電気的に並列関係になるように接続された多層構造を有するように構成することにより、内部配線の形成領域の拡大すなわち表示パネルの外形サイズを拡大することなく内部配線の抵抗値を低減することが可能であることが開示されている。しかしながら、特許文献1に記載された表示装置は、内部配線を2層化して、内部配線の形成領域を拡大および隣接する内部配線の短絡を抑制できるとしているが、内部配線は、出力バンプと絶縁性基板端との間に配置されており、ICから遠ざかるように形成されているため、表示装置の周辺領域を占める面積が大きくなってしまっていた。また、ドライバICのバンプ間の距離が狭く、隣接バンプ間の電界が大きい部分では、高温、高湿環境で動作させた場合、腐食が発生してしまうといった問題点があった。本発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、表示装置の周辺領域を狭く形成することができるため、狭額縁化が可能となることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る表示装置においては、絶縁性基板上にマトリクス状に配置された複数の画素から構成される画像表示部の周辺部に、外部回路より延在させた複数の引き出し配線と、複数の引き出し配線と接続され、外部回路からの信号を入力するための複数のバンプを有する矩形状のICと、を備えた表示装置において、複数のバンプには、少なくとも電源系バンプおよび信号系バンプが存在し、ICの絶縁性基板端側の長辺に配置された信号系バンプに接続される前記引き出し配線は、ICと重なる位置に形成されて外部回路まで延在しており、電源系バンプを配置する位置より外部回路から離れた位置に形成させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の表示装置によれば、表示装置の周辺領域を狭く形成することができるため、狭額縁化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施の形態における表示装置の概略構成図である。
【図2】本発明の実施の形態における表示装置の周辺領域の拡大図である。
【図3】本発明の実施の形態における表示装置の断面図である。
【図4】本発明の実施の形態における表示装置の断面図である。
【図5】本発明の実施の形態における表示装置の断面図である。
【図6】本発明の実施の形態における表示装置の断面図である。
【図7】本発明の実施の形態における表示装置の周辺領域の拡大図である。
【図8】本発明の実施の形態における表示装置の周辺領域の拡大図である。
【図9】図8の変換部の拡大図である。
【図10】図8の変換部の断面図である。
【図11】本発明の実施の形態における表示装置の周辺領域の拡大図である。
【図12】本発明の実施の形態における表示装置の周辺領域の拡大図である。
【図13】本発明の実施の形態における表示装置の周辺領域の拡大図である。
【図14】本発明の実施の形態における表示装置の周辺領域の拡大図である。
【図15】本発明の実施の形態における表示装置の周辺領域の拡大図である。
【図16】本発明の実施の形態における表示装置の周辺領域の拡大図である。
【図17】本発明の実施の形態における表示装置の周辺領域の拡大図である。
【図18】従来の表示装置の周辺領域の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の表示装置および表示装置の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお各図において、同一の符号を付したものは、実質的に同様の構成要素を示している。
【0009】
実施の形態1.
図1は本発明の表示装置18の概略構成を示した平面図、図2は本発明の表示装置18にIC3(20)を実装した周辺領域24の拡大図、図3〜図6は図2に示す表示装置18の矢視A−A方向から見た断面図である。
図1および図2において、表示装置18は第1の絶縁性基板1、第2の絶縁性基板2で構成され、マトリクス状に配置された複数の画素から構成される画像表示部19とその外側に周辺領域24を有している。表示装置18の第1の絶縁性基板1上には複数のゲート線およびソース線を有し、その交差部付近にスイッチング素子として、薄膜トランジスタ(以下TFTと称する)を備えており、この第1の絶縁性基板1と対向するよう配置した第2の絶縁性基板2との2枚の基板間に図示しない液晶を封入し、この液晶に信号を入力することで表示を行う。
【0010】
3および20は表示装置18に信号を入力するためのIC、14は表示装置18に制御信号を送る基板である制御基板、15および16はIC3、IC20と制御基板14を接続する配線であり、それぞれ表示装置18の周辺領域24に設けられる。図2において、表示装置18の画像表示部19と対向する側のIC3の長辺3aには画像表示部19と接続し、表示装置18に信号を出力する出力バンプ4が配置される。IC3の第1の絶縁性基板1の端部と対向する側の長辺3bおよび短辺3cには、制御基板14から送られた制御信号を入力する入力バンプが設けられる。本発明においては、入力バンプのうち、IC3の絶縁性基板1の基板端の長辺3b側に電源系バンプ6、短辺3c側に信号系バンプ8(または電源系バンプ6も短辺3cに配置してよい:図示せず)を設ける。
【0011】
10はIC3の傾きを防止するために設けられるダミーバンプであり、バンプ間に適宜配置される。電源系バンプ6および信号系バンプ8は、該電源系バンプ6および信号系バンプ8に接続して形成される引き出し配線7、9により、制御基板14からの信号を受け取る。同様に出力バンプ4は、該出力バンプ4に接続して形成される引き出し線5により、表示装置18に信号を送る。なお、図1に示すように、入力バンプからの配線15は、第1の絶縁性基板1端部に形成されるFPC17を介して、制御基板14とIC3の配線を接続する。図2に示すように、IC3の長辺3b側に配置した電源系バンプ6に接続される第1の絶縁性基板1上の引き出し配線7は、IC3が配置される領域であって、IC3が重なる位置に形成され、短辺3c側に配置されるバンプ間を通り、制御基板14に接続される。なお、周辺領域24が広くなるが、一部の電源系バンプ6からの引き出し配線7はIC3に重ならないように配置することも可能である。
【0012】
また、図3に示すように、第1の絶縁性基板1上にTFTに接続されるゲート線形成時と同時に、電源系バンプ6の引き出し配線7を形成する。例えば、AlNdN/AlNdで引き出し配線7を形成し、この引き出し配線7上に絶縁膜11、保護膜12を形成し、IC3に形成された電源系バンプ6と引き出し配線7とを接続させるために絶縁膜11、保護膜12にコンタクトホール21を形成する。図2に示すように、引き出し配線7は、電源系バンプ6の形成位置から、IC3の短辺3cとほぼ平行に延び、他の引き出し配線7と重なり部や交差部を形成しないよう方向を変更し、短辺3cに設けられた信号系バンプ8、ダミーバンプ10の間を通り、制御基板14側に向かうように形成する。なお、本実施の形態1では、引き出し配線7はAlNdN/AlNdで形成させたが、Cr、Mo等またはそれらの合金等で形成させてもよい。その場合、図4に示すように、電源系バンプ6と引き出し配線7とを接続させるためのコンタクトホール21は、ITOなどの透明導電膜22で覆うように形成してもよい。
【0013】
次に電源系バンプ6に接続される引き出し配線7の製造方法を簡単に説明する。図2乃至図4において、ガラスなどからなる第1の絶縁性基板1上にCr、Mo、Ta、Ti、W、Ag、Cr、Mo、Alなど、またはそれらを主成分とする合金で、TFTのゲート電極に接続されるゲート線(図示せず)および引き出し配線7を同一工程で形成する。次いでSiNなどからなるゲート絶縁膜11を積層後、TFTを構成する半導体層をパターニングして形成後、CrやMo、Al、またはそれらを主成分とする合金などでドレイン電極およびソース線を形成する(図示せず)。次にSiNなどからなる絶縁膜で保護膜12を形成後、引き出し配線7が電源系バンプ6を介して上部に形成されるIC3と接続するように、ドライエッチングによりコンタクトホール21を形成し、画素電極形成と同時にITOなどの透明導電膜22によりコンタクトホール21を覆うように形成する。なお、前述したとおり、コンタクトホール21は透明導電膜22で覆わなくてもよい。また、電源系バンプ6と引き出し配線7との接続はACFなどの導電材料23をIC3全体に貼付することで行う。
【0014】
また、図5に示すように引き出し配線7はソース線と同一の工程で形成してもよい。第1の絶縁性基板1上に設けた絶縁膜11上にソース線、保護膜12を形成し、この保護膜12上に電源系バンプ6と引き出し配線7とを接続するためのコンタクトホール21を形成する。なお、図6に示すように、コンタクトホール21をITOなどの透明導電膜22で覆うよう形成してもよい。
【0015】
ここで、本発明の動作について説明する。図18に従来の表示装置を示す。従来の表示装置では、図18に示すように、通常IC3の短辺3cに電源系バンプ6を設けていた。このため、バンプ間の距離が狭くなり、隣接する電源系バンプ6間での電界(電位差)が大きくなるため、それぞれのバンプ間で腐食がおこる場合がある。本発明においては、図2に示すように、IC3の長辺3bにも電源系バンプ6を設けることで、短辺3cに形成する電源系バンプ6の数を減らし、バンプ間の距離を広くすることができるため、電源系バンプ6間での腐食を防ぐことができる(耐食性を向上することができる)。また、図18に示すように、従来の表示装置においては、IC3のバンプから延びる配線をIC3から第1の絶縁性基板1の端部に向かって形成されるように引き回して形成していたために、配線7の周辺領域24を占める面積が大きくなってしまっていたが、本発明においては、IC3の長辺3bに電源系バンプ6を設ける場合、電源系バンプ6からの引き出し配線7をIC3が配置される領域であって、IC3が重なる位置に形成させる。よって、第1の絶縁性基板1の端部に向かって形成される配線の数を減少させることができるため、表示装置18の周辺領域24を狭く形成することができる。
【0016】
図7は本実施の形態1の変形例にかかわる表示装置の周辺領域24の拡大図である。ダミーバンプ10は、IC3の各バンプ間に適宜配置している構成としたが、電源系バンプ6の引き出し配線7を形成するバンプ間には、ダミーバンプ10を設けない構造としてもよい。ダミーバンプ10は、前述したとおり、IC3の傾きを防止する。しかしながら、電源系バンプ6間にダミーバンプ10を形成してしまうと、ダミーバンプを避けて、電源系バンプ6を配置(設計)しなければならない。そこで、図7に示すように、電源系バンプ6間にダミーバンプ101を形成しないようにすることで、電源系バンプ6を配置する位置の自由度が広がる。また、電源系バンプ6間の距離も広がるため、隣接する電源系バンプ6間の電界が小さくなることにより、耐食性も向上する。また、前述のほか、IC3が配置される領域であって、IC3が重なる位置に、引き出し配線7を配置した場合、IC3実装による圧力で引き出し配線7等が押しつぶされ、断線となることを防止するためにもダミーバンプ10は、形成されているが、短辺3cにダミーバンプ10を形成しないことで、引き出し配線7の配置の自由度が広がるため、短辺側3c側にも適宜形成しなくてもよい。
【0017】
実施の形態2.
図8は本実施の形態2にかかわる表示装置の周辺領域24の拡大図である。実施の形態1では、電源系バンプ6をIC3の長辺3b側に配置し、電源系バンプ6に接続される引き出し配線7をIC3が配置される領域であって、IC3が重なる位置に配置している構成としたが、電源系バンプ6の中でもスイッチング素子のオフ電位であるVglおよびGNDに使用するバンプからの引き出し配線7を導電材料23の形成領域の外部で2層に形成してもよい。図8に示すように引き出し配線7は、ITOなどの透明導電膜で形成した変換部25を介し、この変換部から2層で形成する。その他の構成は実施の形態1と同様である。
【0018】
次に図を用いて製造方法を説明する。図9は図8の変換部25の拡大図、図10は図8の変換部25の矢視B−B方向から見た断面図である。図8乃至図10において、第1の絶縁性基板1上にCr、Mo、Ta、Ti、W、Ag、Cr、Mo、Alなど、またはそれらを主成分とする合金で、TFTのゲート電極に接続されるゲート線(図示せず)を形成する。ゲート線と同一工程で、VglおよびGNDに使用する引き出し配線7を電源系バンプ6形成位置から、FPC17まで延在させて形成する。次いで、SiNなどからなるゲート絶縁膜11を積層後、TFTを構成する半導体層をパターニングして形成後、CrやMo、Al、またはそれらを主成分とする合金などでドレイン電極およびソース線を形成する(図示せず)。引き出し配線7上にゲート絶縁膜11を積層し、ソース線と同一工程で、変換部25からFPC17まで延在させた引き出し配線13を形成する。次に、SiNなどからなる絶縁膜で保護膜12を形成後、ドライエッチングによりゲート線と同レイヤで形成された引き出し配線7上にコンタクトホール26、ソース配線と同一工程で形成された引き出し配線13上にコンタクトホール27を形成し、画素電極形成と同一工程でITOなどの透明導電膜28をコンタクトホール26、27を覆うように形成し、引き出し配線7と13を接続して、2層配線を形成する。
【0019】
ここで、本実施の形態2の動作について説明する。従来の表示装置においては、電源系バンプ6に接続される引き出し配線7であるVglとGND用の配線の配線抵抗が高い場合、表示装置に入力する電位が所望の電位に到達しない。そうなるとTFTのリーク電流が発生し、所望の輝度が得られなくなってしまう。例えば、ノーマリーホワイト(電界の印加がないときに白表示となる表示モード)を採用した際は白っぽく表示され、ノーマリーブラック(電界の印加がないときに黒表示となる表示モード)を採用した際は黒っぽく表示されてしまう。さらに配線抵抗が高い場合には表示されなくなってしまう。よって、引き出し配線7の電気的抵抗を低くする必要がある。
【0020】
本実施の形態2においては、電源系バンプ6に接続される引き出し配線7であるVglとGNDの配線を、変換部25を介して、引き出し配線7、13との2層引き出し配線29としたので、引き出し配線29の厚みが全体で厚くなり、比抵抗が低くなるため、配線抵抗を低抵抗にすることができる。この構成により、表示装置に入力する電位を所望の電位とすることができるため、TFTのリーク電流を抑制し、所望の輝度を得ることができ、なお、この構成により、引き出し配線29(7、13)の線幅を全体的に縮小することができるため、パネルの狭額縁化がさらに可能となる。
【0021】
なお、単層の引き出し配線7の配線抵抗は、2層引き出し配線29に比べて高いため、単層の引き出し配線7の距離が短くなるように形成するのがよいが、変換部25を導電材料23の形成領域に形成してしまうと、導電材料23中に存在するイオン性不純物の材料と水とが電位のあるところで反応し、腐食してしまう。よって、変換部25は導電材料23の外部で、なるべくIC3の近傍に形成し、単層で形成された引き出し配線7の距離をなるべく短くなるようにする。なお、引き出し配線29は2層以上で形成してもよい。
【0022】
実施の形態3.
図11は本発明の実施の形態3にかかわる表示装置の周辺領域24の拡大図である。実施の形態2では、Vgl、GNDに使用する配線を2層引き出し配線29で形成させるよう構成したが、本実施の形態3では、2層引き出し配線29を隣接させないように配置する。図11に示すように、具体的には、単層の引き出し配線7から2層引き出し配線29に変換される変換部25を隣接させない。その他の構成は実施の形態2と同様の構成である。
【0023】
図8の変換部25の断面図に示すように、変換部25の2層引き出し配線29上に形成されるITOなどの透明導電膜28は、TFTを形成した第1の絶縁性基板1の最上層にあるので、その状況下でイオン性不純物の材料と水分が存在すると、隣接の電界の影響を受け腐食しやすい。よって、図11に示すように、2層引き出し配線29間に信号系バンプ8から延在させた引き出し配線9を配置させるなど、2層引き出し配線29の変換部25を隣接させないように配置し、距離を離す。よって、変換部25の透明導電膜28同士の距離が離れるため、電界の影響を受けにくくなり、耐食性が向上する。
【0024】
また、本実施の形態3では変換部25を隣接させないように配置したが、図4、図6に示すように、引き出し配線7上に形成したコンタクトホール21をITOなどの透明導電膜22で覆うよう構成した場合、透明導電膜22の形成領域を隣接させると、電源系バンプ6と引き出し配線7との接続に使用される導電材料23中のイオン性不純物を介して透明導電膜22が腐食しやすくなる。したがって、引き出し配線7を透明導電膜22で覆うよう形成したコンタクトホール21同士を隣接させない配置とする(図示せず)ことで、透明導電膜22の距離を離すことができるため、電界の影響を受けにくくし、耐食性を向上させることができる。
【0025】
実施の形態4.
図12は本発明の実施の形態4にかかわる表示装置の周辺領域24の拡大図である。実施の形態4においては、図12に示すように、電源系バンプ6をIC3の長辺3bに配置する際、隣接するバンプ間の電界(電位差)が小さくなるよう配置する。その他の構成は実施の形態1と同様である。
電源系バンプ6であるGNDのバンプ(0V)、VCCバンプ(3〜5V)、Vghのバンプ(18〜24V)・・というように隣接する電源系バンプ6間の電位差が小さくなるように配置した。このように配置することによって、隣接する電源系バンプ6間の電界(電位差)を小さくすることができるので、電界の影響を受けにくくなり、耐食性を向上させることができる。
【0026】
また、図13、図14は本実施の形態4の変形例にかかわる表示装置の周辺領域24の拡大図である。図13に示すように、配置するバンプ間の電界(電位差)が大きくなる場合、例えばVgl(−6V)のバンプと、Vghのバンプ(18〜24V)を隣接して配置してしまうと、電源系バンプ6間の電界(電位差)が大きくなってしまい、バンプ間で腐食がおこる場合がある。このため、図13に示すように中間的な電位(例えば9VやVCCなど)の配線30を配置し、隣接する電源系バンプ間の電界(電位差)が小さくなるように配置してもよい。このように配置することによって、隣接する電源系バンプ6間の電界(電位差)を小さくすることができるので、電界の影響を受けにくくなり、耐食性を向上させることができる。また、図14に示すように、Vgl(−6V)のバンプと、Vghのバンプ(18〜24V)の間に配置した配線30は、FPC17まで延在させてもよい。このような構成とするため、配線30に冗長性を持たせることができ、延在させた配線のどちらかの配線が断線した場合でも不具合を防ぐことができる。
【0027】
実施の形態5
図15は本発明の実施の形態5にかかわる表示装置の周辺領域24の拡大図である。実施の形態5においては、図15に示すように、信号系のバンプ31をIC3の第1の絶縁性基板1端側の長辺3bに配置する際、長辺3bに沿って配置させた電源系バンプ6の位置より、FPC17から離れた位置に連続して配置する。また、信号系バンプ31から延びる引き出し配線32は、IC3が配置される領域であって、IC3が重なる位置に形成し、FPC17に向かわせるように斜めに配置する。その他の構成は実施の形態1と同様である。
【0028】
信号系のバンプ31から延びる引き出し配線32は電源系の引き出し配線7と比べて流れる電流量が小さく、低抵抗で形成しなくてもよいため、高抵抗になるような配置にしてもよい。信号系バンプ31から延びる引き出し配線32は低抵抗にする必要がないので、引き出し配線32の幅は、狭く形成することができる。よって、図15に示すように、信号系バンプ31から延びる引き出し配線32は、IC3の長辺3b、短辺3cに配置したバンプ間の隙間の狭い領域に配置することができる。また、信号系バンプ31から延びる引き出し配線32は低抵抗で形成しなくてもよく、引き出し配線32が長くなってもよいため、電源系バンプ6の形成位置より、FPC17から離れた位置に信号系バンプ31を配置させる。なお、引き出し配線32は、引き出し配線7または他の引き出し配線32とは、互いに重ならないように配置すればよく、形状は斜めでなくともかまわない。
【0029】
なお、信号系バンプ31を長辺3bに配置した例を図15に示したが、図16に示すように、信号系バンプ31を短辺3cに配置してもよい。この場合、信号系バンプ31は、短辺3cに沿って配置した電源系バンプ6と連続して短辺3cから長辺3bにかけて配置させ、電源系バンプ6の位置より、FPC17から離れた位置に配置する。また、図17に示すように、短辺3cに電源系バンプ6を配置し、この電源系バンプ6に連続して長辺3bに信号系バンプ31を配置してもよい。
【0030】
上記説明したとおり、電源系バンプ6の形成位置より、FPC17から離れた位置に信号系バンプ31を配置させることにより、電源系バンプ6から延びる引き出し配線7を低抵抗で形成することができる。また、信号系の引き出し配線32は、配線幅を狭く、IC3に配置したバンプ間の隙間などの狭い領域に配置することにより、表示装置の周辺領域24を狭く形成することができるため、表示装置の狭額縁化がさらに可能となる。
【符号の説明】
【0031】
1 第1の絶縁性基板、 2 第2の絶縁性基板、 3、20 IC、
4 出力バンプ、5、7、9 引き出し線、 6 電源系バンプ、8 信号系バンプ、10 ダミーバンプ、11 絶縁膜、 12 保護膜、 13 引き出し配線、
14 制御基板、 17 FPC、 18 表示装置、 19 表示領域、
21 コンタクトホール、23 導電材料、24 周辺領域、25 変換部、
29 2層引き出し配線、 31 信号系バンプ。
【技術分野】
【0001】
本発明はICおよび表示装置に関するもので、特に表示装置の絶縁性基板上にマトリクス状に配置された複数の画素から構成される画像表示部の周辺部に、外部回路からの信号および電源を入力する駆動用ICおよびICを直接実装する表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の表示装置においては、複数の画素から構成される画像表示部に信号を供給する表示装置用のコンパクト化、信頼性、低価格化の要求により、表示パネルの駆動用ICを表示装置の絶縁性基板上の画像表示部の周辺部に異方性導電膜(ACF等)を介して直接搭載する、チップオングラス(以下COGと称する)方式が用いられている。外部回路との接続はフレキシブルプリント配線板(Flexible Printed Circuit 以下FPCと称する)を絶縁性基板の端部に接続している。
この表示装置の一例が特許文献1に記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−255381号公報(図1−4、第3−5頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載のTFTアレイ基板は、COG実装された駆動用ICへ信号および電源を入力する実装領域に形成された内部配線の少なくとも一部を異なる層の導電膜が電気的に並列関係になるように接続された多層構造を有するように構成することにより、内部配線の形成領域の拡大すなわち表示パネルの外形サイズを拡大することなく内部配線の抵抗値を低減することが可能であることが開示されている。しかしながら、特許文献1に記載された表示装置は、内部配線を2層化して、内部配線の形成領域を拡大および隣接する内部配線の短絡を抑制できるとしているが、内部配線は、出力バンプと絶縁性基板端との間に配置されており、ICから遠ざかるように形成されているため、表示装置の周辺領域を占める面積が大きくなってしまっていた。また、ドライバICのバンプ間の距離が狭く、隣接バンプ間の電界が大きい部分では、高温、高湿環境で動作させた場合、腐食が発生してしまうといった問題点があった。本発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、表示装置の周辺領域を狭く形成することができるため、狭額縁化が可能となることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る表示装置においては、絶縁性基板上にマトリクス状に配置された複数の画素から構成される画像表示部の周辺部に、外部回路より延在させた複数の引き出し配線と、複数の引き出し配線と接続され、外部回路からの信号を入力するための複数のバンプを有する矩形状のICと、を備えた表示装置において、複数のバンプには、少なくとも電源系バンプおよび信号系バンプが存在し、ICの絶縁性基板端側の長辺に配置された信号系バンプに接続される前記引き出し配線は、ICと重なる位置に形成されて外部回路まで延在しており、電源系バンプを配置する位置より外部回路から離れた位置に形成させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の表示装置によれば、表示装置の周辺領域を狭く形成することができるため、狭額縁化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施の形態における表示装置の概略構成図である。
【図2】本発明の実施の形態における表示装置の周辺領域の拡大図である。
【図3】本発明の実施の形態における表示装置の断面図である。
【図4】本発明の実施の形態における表示装置の断面図である。
【図5】本発明の実施の形態における表示装置の断面図である。
【図6】本発明の実施の形態における表示装置の断面図である。
【図7】本発明の実施の形態における表示装置の周辺領域の拡大図である。
【図8】本発明の実施の形態における表示装置の周辺領域の拡大図である。
【図9】図8の変換部の拡大図である。
【図10】図8の変換部の断面図である。
【図11】本発明の実施の形態における表示装置の周辺領域の拡大図である。
【図12】本発明の実施の形態における表示装置の周辺領域の拡大図である。
【図13】本発明の実施の形態における表示装置の周辺領域の拡大図である。
【図14】本発明の実施の形態における表示装置の周辺領域の拡大図である。
【図15】本発明の実施の形態における表示装置の周辺領域の拡大図である。
【図16】本発明の実施の形態における表示装置の周辺領域の拡大図である。
【図17】本発明の実施の形態における表示装置の周辺領域の拡大図である。
【図18】従来の表示装置の周辺領域の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の表示装置および表示装置の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお各図において、同一の符号を付したものは、実質的に同様の構成要素を示している。
【0009】
実施の形態1.
図1は本発明の表示装置18の概略構成を示した平面図、図2は本発明の表示装置18にIC3(20)を実装した周辺領域24の拡大図、図3〜図6は図2に示す表示装置18の矢視A−A方向から見た断面図である。
図1および図2において、表示装置18は第1の絶縁性基板1、第2の絶縁性基板2で構成され、マトリクス状に配置された複数の画素から構成される画像表示部19とその外側に周辺領域24を有している。表示装置18の第1の絶縁性基板1上には複数のゲート線およびソース線を有し、その交差部付近にスイッチング素子として、薄膜トランジスタ(以下TFTと称する)を備えており、この第1の絶縁性基板1と対向するよう配置した第2の絶縁性基板2との2枚の基板間に図示しない液晶を封入し、この液晶に信号を入力することで表示を行う。
【0010】
3および20は表示装置18に信号を入力するためのIC、14は表示装置18に制御信号を送る基板である制御基板、15および16はIC3、IC20と制御基板14を接続する配線であり、それぞれ表示装置18の周辺領域24に設けられる。図2において、表示装置18の画像表示部19と対向する側のIC3の長辺3aには画像表示部19と接続し、表示装置18に信号を出力する出力バンプ4が配置される。IC3の第1の絶縁性基板1の端部と対向する側の長辺3bおよび短辺3cには、制御基板14から送られた制御信号を入力する入力バンプが設けられる。本発明においては、入力バンプのうち、IC3の絶縁性基板1の基板端の長辺3b側に電源系バンプ6、短辺3c側に信号系バンプ8(または電源系バンプ6も短辺3cに配置してよい:図示せず)を設ける。
【0011】
10はIC3の傾きを防止するために設けられるダミーバンプであり、バンプ間に適宜配置される。電源系バンプ6および信号系バンプ8は、該電源系バンプ6および信号系バンプ8に接続して形成される引き出し配線7、9により、制御基板14からの信号を受け取る。同様に出力バンプ4は、該出力バンプ4に接続して形成される引き出し線5により、表示装置18に信号を送る。なお、図1に示すように、入力バンプからの配線15は、第1の絶縁性基板1端部に形成されるFPC17を介して、制御基板14とIC3の配線を接続する。図2に示すように、IC3の長辺3b側に配置した電源系バンプ6に接続される第1の絶縁性基板1上の引き出し配線7は、IC3が配置される領域であって、IC3が重なる位置に形成され、短辺3c側に配置されるバンプ間を通り、制御基板14に接続される。なお、周辺領域24が広くなるが、一部の電源系バンプ6からの引き出し配線7はIC3に重ならないように配置することも可能である。
【0012】
また、図3に示すように、第1の絶縁性基板1上にTFTに接続されるゲート線形成時と同時に、電源系バンプ6の引き出し配線7を形成する。例えば、AlNdN/AlNdで引き出し配線7を形成し、この引き出し配線7上に絶縁膜11、保護膜12を形成し、IC3に形成された電源系バンプ6と引き出し配線7とを接続させるために絶縁膜11、保護膜12にコンタクトホール21を形成する。図2に示すように、引き出し配線7は、電源系バンプ6の形成位置から、IC3の短辺3cとほぼ平行に延び、他の引き出し配線7と重なり部や交差部を形成しないよう方向を変更し、短辺3cに設けられた信号系バンプ8、ダミーバンプ10の間を通り、制御基板14側に向かうように形成する。なお、本実施の形態1では、引き出し配線7はAlNdN/AlNdで形成させたが、Cr、Mo等またはそれらの合金等で形成させてもよい。その場合、図4に示すように、電源系バンプ6と引き出し配線7とを接続させるためのコンタクトホール21は、ITOなどの透明導電膜22で覆うように形成してもよい。
【0013】
次に電源系バンプ6に接続される引き出し配線7の製造方法を簡単に説明する。図2乃至図4において、ガラスなどからなる第1の絶縁性基板1上にCr、Mo、Ta、Ti、W、Ag、Cr、Mo、Alなど、またはそれらを主成分とする合金で、TFTのゲート電極に接続されるゲート線(図示せず)および引き出し配線7を同一工程で形成する。次いでSiNなどからなるゲート絶縁膜11を積層後、TFTを構成する半導体層をパターニングして形成後、CrやMo、Al、またはそれらを主成分とする合金などでドレイン電極およびソース線を形成する(図示せず)。次にSiNなどからなる絶縁膜で保護膜12を形成後、引き出し配線7が電源系バンプ6を介して上部に形成されるIC3と接続するように、ドライエッチングによりコンタクトホール21を形成し、画素電極形成と同時にITOなどの透明導電膜22によりコンタクトホール21を覆うように形成する。なお、前述したとおり、コンタクトホール21は透明導電膜22で覆わなくてもよい。また、電源系バンプ6と引き出し配線7との接続はACFなどの導電材料23をIC3全体に貼付することで行う。
【0014】
また、図5に示すように引き出し配線7はソース線と同一の工程で形成してもよい。第1の絶縁性基板1上に設けた絶縁膜11上にソース線、保護膜12を形成し、この保護膜12上に電源系バンプ6と引き出し配線7とを接続するためのコンタクトホール21を形成する。なお、図6に示すように、コンタクトホール21をITOなどの透明導電膜22で覆うよう形成してもよい。
【0015】
ここで、本発明の動作について説明する。図18に従来の表示装置を示す。従来の表示装置では、図18に示すように、通常IC3の短辺3cに電源系バンプ6を設けていた。このため、バンプ間の距離が狭くなり、隣接する電源系バンプ6間での電界(電位差)が大きくなるため、それぞれのバンプ間で腐食がおこる場合がある。本発明においては、図2に示すように、IC3の長辺3bにも電源系バンプ6を設けることで、短辺3cに形成する電源系バンプ6の数を減らし、バンプ間の距離を広くすることができるため、電源系バンプ6間での腐食を防ぐことができる(耐食性を向上することができる)。また、図18に示すように、従来の表示装置においては、IC3のバンプから延びる配線をIC3から第1の絶縁性基板1の端部に向かって形成されるように引き回して形成していたために、配線7の周辺領域24を占める面積が大きくなってしまっていたが、本発明においては、IC3の長辺3bに電源系バンプ6を設ける場合、電源系バンプ6からの引き出し配線7をIC3が配置される領域であって、IC3が重なる位置に形成させる。よって、第1の絶縁性基板1の端部に向かって形成される配線の数を減少させることができるため、表示装置18の周辺領域24を狭く形成することができる。
【0016】
図7は本実施の形態1の変形例にかかわる表示装置の周辺領域24の拡大図である。ダミーバンプ10は、IC3の各バンプ間に適宜配置している構成としたが、電源系バンプ6の引き出し配線7を形成するバンプ間には、ダミーバンプ10を設けない構造としてもよい。ダミーバンプ10は、前述したとおり、IC3の傾きを防止する。しかしながら、電源系バンプ6間にダミーバンプ10を形成してしまうと、ダミーバンプを避けて、電源系バンプ6を配置(設計)しなければならない。そこで、図7に示すように、電源系バンプ6間にダミーバンプ101を形成しないようにすることで、電源系バンプ6を配置する位置の自由度が広がる。また、電源系バンプ6間の距離も広がるため、隣接する電源系バンプ6間の電界が小さくなることにより、耐食性も向上する。また、前述のほか、IC3が配置される領域であって、IC3が重なる位置に、引き出し配線7を配置した場合、IC3実装による圧力で引き出し配線7等が押しつぶされ、断線となることを防止するためにもダミーバンプ10は、形成されているが、短辺3cにダミーバンプ10を形成しないことで、引き出し配線7の配置の自由度が広がるため、短辺側3c側にも適宜形成しなくてもよい。
【0017】
実施の形態2.
図8は本実施の形態2にかかわる表示装置の周辺領域24の拡大図である。実施の形態1では、電源系バンプ6をIC3の長辺3b側に配置し、電源系バンプ6に接続される引き出し配線7をIC3が配置される領域であって、IC3が重なる位置に配置している構成としたが、電源系バンプ6の中でもスイッチング素子のオフ電位であるVglおよびGNDに使用するバンプからの引き出し配線7を導電材料23の形成領域の外部で2層に形成してもよい。図8に示すように引き出し配線7は、ITOなどの透明導電膜で形成した変換部25を介し、この変換部から2層で形成する。その他の構成は実施の形態1と同様である。
【0018】
次に図を用いて製造方法を説明する。図9は図8の変換部25の拡大図、図10は図8の変換部25の矢視B−B方向から見た断面図である。図8乃至図10において、第1の絶縁性基板1上にCr、Mo、Ta、Ti、W、Ag、Cr、Mo、Alなど、またはそれらを主成分とする合金で、TFTのゲート電極に接続されるゲート線(図示せず)を形成する。ゲート線と同一工程で、VglおよびGNDに使用する引き出し配線7を電源系バンプ6形成位置から、FPC17まで延在させて形成する。次いで、SiNなどからなるゲート絶縁膜11を積層後、TFTを構成する半導体層をパターニングして形成後、CrやMo、Al、またはそれらを主成分とする合金などでドレイン電極およびソース線を形成する(図示せず)。引き出し配線7上にゲート絶縁膜11を積層し、ソース線と同一工程で、変換部25からFPC17まで延在させた引き出し配線13を形成する。次に、SiNなどからなる絶縁膜で保護膜12を形成後、ドライエッチングによりゲート線と同レイヤで形成された引き出し配線7上にコンタクトホール26、ソース配線と同一工程で形成された引き出し配線13上にコンタクトホール27を形成し、画素電極形成と同一工程でITOなどの透明導電膜28をコンタクトホール26、27を覆うように形成し、引き出し配線7と13を接続して、2層配線を形成する。
【0019】
ここで、本実施の形態2の動作について説明する。従来の表示装置においては、電源系バンプ6に接続される引き出し配線7であるVglとGND用の配線の配線抵抗が高い場合、表示装置に入力する電位が所望の電位に到達しない。そうなるとTFTのリーク電流が発生し、所望の輝度が得られなくなってしまう。例えば、ノーマリーホワイト(電界の印加がないときに白表示となる表示モード)を採用した際は白っぽく表示され、ノーマリーブラック(電界の印加がないときに黒表示となる表示モード)を採用した際は黒っぽく表示されてしまう。さらに配線抵抗が高い場合には表示されなくなってしまう。よって、引き出し配線7の電気的抵抗を低くする必要がある。
【0020】
本実施の形態2においては、電源系バンプ6に接続される引き出し配線7であるVglとGNDの配線を、変換部25を介して、引き出し配線7、13との2層引き出し配線29としたので、引き出し配線29の厚みが全体で厚くなり、比抵抗が低くなるため、配線抵抗を低抵抗にすることができる。この構成により、表示装置に入力する電位を所望の電位とすることができるため、TFTのリーク電流を抑制し、所望の輝度を得ることができ、なお、この構成により、引き出し配線29(7、13)の線幅を全体的に縮小することができるため、パネルの狭額縁化がさらに可能となる。
【0021】
なお、単層の引き出し配線7の配線抵抗は、2層引き出し配線29に比べて高いため、単層の引き出し配線7の距離が短くなるように形成するのがよいが、変換部25を導電材料23の形成領域に形成してしまうと、導電材料23中に存在するイオン性不純物の材料と水とが電位のあるところで反応し、腐食してしまう。よって、変換部25は導電材料23の外部で、なるべくIC3の近傍に形成し、単層で形成された引き出し配線7の距離をなるべく短くなるようにする。なお、引き出し配線29は2層以上で形成してもよい。
【0022】
実施の形態3.
図11は本発明の実施の形態3にかかわる表示装置の周辺領域24の拡大図である。実施の形態2では、Vgl、GNDに使用する配線を2層引き出し配線29で形成させるよう構成したが、本実施の形態3では、2層引き出し配線29を隣接させないように配置する。図11に示すように、具体的には、単層の引き出し配線7から2層引き出し配線29に変換される変換部25を隣接させない。その他の構成は実施の形態2と同様の構成である。
【0023】
図8の変換部25の断面図に示すように、変換部25の2層引き出し配線29上に形成されるITOなどの透明導電膜28は、TFTを形成した第1の絶縁性基板1の最上層にあるので、その状況下でイオン性不純物の材料と水分が存在すると、隣接の電界の影響を受け腐食しやすい。よって、図11に示すように、2層引き出し配線29間に信号系バンプ8から延在させた引き出し配線9を配置させるなど、2層引き出し配線29の変換部25を隣接させないように配置し、距離を離す。よって、変換部25の透明導電膜28同士の距離が離れるため、電界の影響を受けにくくなり、耐食性が向上する。
【0024】
また、本実施の形態3では変換部25を隣接させないように配置したが、図4、図6に示すように、引き出し配線7上に形成したコンタクトホール21をITOなどの透明導電膜22で覆うよう構成した場合、透明導電膜22の形成領域を隣接させると、電源系バンプ6と引き出し配線7との接続に使用される導電材料23中のイオン性不純物を介して透明導電膜22が腐食しやすくなる。したがって、引き出し配線7を透明導電膜22で覆うよう形成したコンタクトホール21同士を隣接させない配置とする(図示せず)ことで、透明導電膜22の距離を離すことができるため、電界の影響を受けにくくし、耐食性を向上させることができる。
【0025】
実施の形態4.
図12は本発明の実施の形態4にかかわる表示装置の周辺領域24の拡大図である。実施の形態4においては、図12に示すように、電源系バンプ6をIC3の長辺3bに配置する際、隣接するバンプ間の電界(電位差)が小さくなるよう配置する。その他の構成は実施の形態1と同様である。
電源系バンプ6であるGNDのバンプ(0V)、VCCバンプ(3〜5V)、Vghのバンプ(18〜24V)・・というように隣接する電源系バンプ6間の電位差が小さくなるように配置した。このように配置することによって、隣接する電源系バンプ6間の電界(電位差)を小さくすることができるので、電界の影響を受けにくくなり、耐食性を向上させることができる。
【0026】
また、図13、図14は本実施の形態4の変形例にかかわる表示装置の周辺領域24の拡大図である。図13に示すように、配置するバンプ間の電界(電位差)が大きくなる場合、例えばVgl(−6V)のバンプと、Vghのバンプ(18〜24V)を隣接して配置してしまうと、電源系バンプ6間の電界(電位差)が大きくなってしまい、バンプ間で腐食がおこる場合がある。このため、図13に示すように中間的な電位(例えば9VやVCCなど)の配線30を配置し、隣接する電源系バンプ間の電界(電位差)が小さくなるように配置してもよい。このように配置することによって、隣接する電源系バンプ6間の電界(電位差)を小さくすることができるので、電界の影響を受けにくくなり、耐食性を向上させることができる。また、図14に示すように、Vgl(−6V)のバンプと、Vghのバンプ(18〜24V)の間に配置した配線30は、FPC17まで延在させてもよい。このような構成とするため、配線30に冗長性を持たせることができ、延在させた配線のどちらかの配線が断線した場合でも不具合を防ぐことができる。
【0027】
実施の形態5
図15は本発明の実施の形態5にかかわる表示装置の周辺領域24の拡大図である。実施の形態5においては、図15に示すように、信号系のバンプ31をIC3の第1の絶縁性基板1端側の長辺3bに配置する際、長辺3bに沿って配置させた電源系バンプ6の位置より、FPC17から離れた位置に連続して配置する。また、信号系バンプ31から延びる引き出し配線32は、IC3が配置される領域であって、IC3が重なる位置に形成し、FPC17に向かわせるように斜めに配置する。その他の構成は実施の形態1と同様である。
【0028】
信号系のバンプ31から延びる引き出し配線32は電源系の引き出し配線7と比べて流れる電流量が小さく、低抵抗で形成しなくてもよいため、高抵抗になるような配置にしてもよい。信号系バンプ31から延びる引き出し配線32は低抵抗にする必要がないので、引き出し配線32の幅は、狭く形成することができる。よって、図15に示すように、信号系バンプ31から延びる引き出し配線32は、IC3の長辺3b、短辺3cに配置したバンプ間の隙間の狭い領域に配置することができる。また、信号系バンプ31から延びる引き出し配線32は低抵抗で形成しなくてもよく、引き出し配線32が長くなってもよいため、電源系バンプ6の形成位置より、FPC17から離れた位置に信号系バンプ31を配置させる。なお、引き出し配線32は、引き出し配線7または他の引き出し配線32とは、互いに重ならないように配置すればよく、形状は斜めでなくともかまわない。
【0029】
なお、信号系バンプ31を長辺3bに配置した例を図15に示したが、図16に示すように、信号系バンプ31を短辺3cに配置してもよい。この場合、信号系バンプ31は、短辺3cに沿って配置した電源系バンプ6と連続して短辺3cから長辺3bにかけて配置させ、電源系バンプ6の位置より、FPC17から離れた位置に配置する。また、図17に示すように、短辺3cに電源系バンプ6を配置し、この電源系バンプ6に連続して長辺3bに信号系バンプ31を配置してもよい。
【0030】
上記説明したとおり、電源系バンプ6の形成位置より、FPC17から離れた位置に信号系バンプ31を配置させることにより、電源系バンプ6から延びる引き出し配線7を低抵抗で形成することができる。また、信号系の引き出し配線32は、配線幅を狭く、IC3に配置したバンプ間の隙間などの狭い領域に配置することにより、表示装置の周辺領域24を狭く形成することができるため、表示装置の狭額縁化がさらに可能となる。
【符号の説明】
【0031】
1 第1の絶縁性基板、 2 第2の絶縁性基板、 3、20 IC、
4 出力バンプ、5、7、9 引き出し線、 6 電源系バンプ、8 信号系バンプ、10 ダミーバンプ、11 絶縁膜、 12 保護膜、 13 引き出し配線、
14 制御基板、 17 FPC、 18 表示装置、 19 表示領域、
21 コンタクトホール、23 導電材料、24 周辺領域、25 変換部、
29 2層引き出し配線、 31 信号系バンプ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性基板上にマトリクス状に配置された複数の画素から構成される画像表示部の周辺部に、外部回路より延在させた複数の引き出し配線と、
前記複数の引き出し配線と接続され、前記外部回路からの信号を入力するための複数のバンプを有する矩形状のICと、を備えた表示装置において、
前記複数のバンプには、少なくとも電源系バンプおよび信号系バンプが存在し、
前記ICの絶縁性基板端側の長辺に配置された前記信号系バンプに接続される前記引き出し配線は、前記ICと重なる位置に形成されて前記外部回路まで延在しており、前記電源系バンプを配置する位置より外部回路から離れた位置に形成させることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
絶縁性基板上にマトリクス状に配置された複数の画素から構成される画像表示部の周辺部に搭載し、外部回路からの信号を入力するために使用される複数のバンプを有する矩形状のICにおいて、
前記複数のバンプには、少なくとも電源系バンプおよび信号系バンプが存在し、前記外部回路より延在させた複数の引き出し配線と接続される前記信号系バンプは、前記電源系バンプを配置する位置より外部回路から離れた位置に形成されることを特徴とするIC。
【請求項3】
前記ICは矩形状であって、短辺に前記電源系バンプを配置し、該電源系バンプに連続して前記信号系バンプを配置するように、前記信号系バンプを短辺および長辺に沿って連続して配置したことを特徴とする請求項2記載のIC。
【請求項4】
前記ICは矩形状であって、短辺および長辺に沿って連続して前記電源系バンプを配置し、該電源系バンプに連続して前記信号系バンプを配置するように、前記信号系バンプを長辺に配置したことを特徴とする請求項2記載のIC。
【請求項1】
絶縁性基板上にマトリクス状に配置された複数の画素から構成される画像表示部の周辺部に、外部回路より延在させた複数の引き出し配線と、
前記複数の引き出し配線と接続され、前記外部回路からの信号を入力するための複数のバンプを有する矩形状のICと、を備えた表示装置において、
前記複数のバンプには、少なくとも電源系バンプおよび信号系バンプが存在し、
前記ICの絶縁性基板端側の長辺に配置された前記信号系バンプに接続される前記引き出し配線は、前記ICと重なる位置に形成されて前記外部回路まで延在しており、前記電源系バンプを配置する位置より外部回路から離れた位置に形成させることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
絶縁性基板上にマトリクス状に配置された複数の画素から構成される画像表示部の周辺部に搭載し、外部回路からの信号を入力するために使用される複数のバンプを有する矩形状のICにおいて、
前記複数のバンプには、少なくとも電源系バンプおよび信号系バンプが存在し、前記外部回路より延在させた複数の引き出し配線と接続される前記信号系バンプは、前記電源系バンプを配置する位置より外部回路から離れた位置に形成されることを特徴とするIC。
【請求項3】
前記ICは矩形状であって、短辺に前記電源系バンプを配置し、該電源系バンプに連続して前記信号系バンプを配置するように、前記信号系バンプを短辺および長辺に沿って連続して配置したことを特徴とする請求項2記載のIC。
【請求項4】
前記ICは矩形状であって、短辺および長辺に沿って連続して前記電源系バンプを配置し、該電源系バンプに連続して前記信号系バンプを配置するように、前記信号系バンプを長辺に配置したことを特徴とする請求項2記載のIC。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2013−65031(P2013−65031A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−249473(P2012−249473)
【出願日】平成24年11月13日(2012.11.13)
【分割の表示】特願2011−110555(P2011−110555)の分割
【原出願日】平成17年5月10日(2005.5.10)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年11月13日(2012.11.13)
【分割の表示】特願2011−110555(P2011−110555)の分割
【原出願日】平成17年5月10日(2005.5.10)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]