説明

表示装置と携帯電話機、及びそれらにおける文字表示方法とプログラム

【課題】老視のユーザが文字情報を確認する場合の使い勝手を向上させることができる表示装置と携帯電話機、及びそれらにおける文字表示方法とプログラムを提供する。
【解決手段】
通常モードで表示部4に表示対象の文字列を表示しているとき(a)、使用者からの動作モードの老視モードへの切り替え指示に応答し、表示対象の文字列の表示形態を、各々の文字の向き及び配置を鏡に写った状態に反転させた鏡面反転形態に変更して表示手段4に表示させる(b)。表示部4を任意の鏡に写すことにより、鏡面反転形態で表示された文字列を文字及びレイアウトが正常な状態で視認することができ、同時に、その状態ではユーザの目から表示部4まで視認距離を、表示部4を直接見る場合よりも長くすることができる。したがって、老視のユーザは、老眼鏡を所持していなくとも、身近にある任意の鏡を用いることにより、表示部4に表示された文字列を楽に読むことが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文字表示が可能な携帯電話機等の表示装置、及びそれらにおける文字表示方法とプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話機においては、一般に液晶表示器やEL(Electronic Luminescence)等の表示デバイスからなる表示部を備えることにより、例えばアドレス帳に登録されている電話番号や氏名、メールアドレス等の種々のアドレス情報や送受信された電子メール、また、デジタルカメラが内蔵されているものでは撮影した画像といった種々の情報が表示可能である(例えば下記特許文献1参照)。係る携帯電話機の利用者層は広く、子供から高齢者まで多くの年代の者に使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−072788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、携帯電話機のユーザが高齢者である場合、そのユーザが老視であることが多いが、周知のように老視では、近接物に眼の焦点を合わせるのに必要な眼の調節機能の衰えにより、近くにあるのもをはっきり見ることができない。そのため、老視のユーザにあっては、前記表示部に表示された文字情報、例えば電子メールの文字をはっきり見るためには老視用のメガネやコンタクトレンズ(以下、老眼鏡等)の使用が不可欠となる。
【0005】
係ることから、上記ユーザが外出先等において老眼鏡等を使用していないとき、或いは老眼鏡を所持していない状況下で前記表示部に表示された電子メール等を読む場合には多大な苦労を強いられているという問題があった。
【0006】
本発明は、かかる従来の課題に鑑みてなされたものであり、老視のユーザが文字情報を確認する場合の使い勝手を向上させることができる表示装置と携帯電話機、及びそれらにおける文字表示方法とプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、請求項1記載の発明に係る表示装置にあっては、文字が表示可能な表示手段と、この表示手段に表示される文字の視認性補助機能である老視モードの使用を指示する指示手段と、この指示手段による老視モードの使用指示に応答し、表示対象の文字列を、各々の文字の向き及び配置を鏡に写った状態に反転させた鏡面反転形態で前記表示手段に表示させる表示制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
また、請求項2記載の発明に係る表示装置にあっては、前記表示制御手段は、前記指示手段による老視モードの使用指示に応答し、前記表示対象の文字列を、各々の文字の表示サイズを老視モードが非使用状態のときよりも大きな表示サイズに変更し前記鏡面反転形態で前記表示手段に表示させることを特徴とする。
【0009】
また、請求項3記載の発明に係る表示装置にあっては、前記表示制御手段は、前記老視モードが非使用状態のときの前記表示対象の文字列の各々の文字の表示サイズが変更可能な最大の表示サイズであった場合、前記指示手段による老視モードの使用指示に応答し、前記表示対象の文字列を、各々の文字の表示サイズを維持したまま前記鏡面反転形態で前記表示手段に表示させることを特徴とする。
【0010】
また、請求項4記載の発明に係る表示装置にあっては、使用者が装置を操作するための複数の操作手段を備え、この複数の操作手段のうちで操作部面積が最大の特定の操作手段に前記指示手段としての機能が割り当てられたことを特徴とする。
【0011】
また、請求項5記載の発明に係る表示装置にあっては、前記複数の操作手段は、装置本体に設けられた複数の操作ボタンであることを特徴とする。
【0012】
また、請求項6記載の発明に係る表示装置にあっては、前記特定の操作手段には、前記指示手段としての機能に加え、前記老視モードの非使用を指示する機能が割り当てられたことを特徴とする。
【0013】
また、請求項7記載の発明に係る表示装置にあっては、前記表示制御手段は、前記老視モードが非使用状態にある間に前記表示対象の文字列を非鏡面反転形態で前記表示手段に表示させるとともに、前記指示手段による老視モードの使用指示に応答し、前記表示手段に表示中の文字列の表示形態を前記鏡面反転形態に切り替えることを特徴とする。
【0014】
また、請求項8記載の発明に係る表示装置にあっては、前記表示手段とは異なる第2の表示手段を備え、前記表示制御手段は、前記老視モードが非使用状態にある間に前記表示対象の文字列を非鏡面反転形態で前記第2の表示手段に表示させることを特徴とする。
【0015】
また、請求項9記載の発明に係る表示装置にあっては、前記表示制御手段は、前記老視モードが非使用状態にある間に前記表示対象の文字列を非鏡面反転形態で前記第2の表示手段に表示させるとともに、前記指示手段による老視モードの使用指示に応答し、前記第2の表示手段における非鏡面反転形態による前記文字列の表示を維持したままで、前記表示対象の文字列を前記鏡面反転形態で前記表示手段に表示させることを特徴とする。
【0016】
また、請求項10記載の発明に係る携帯電話機にあっては、文字が表示可能な表示手段を備えた携帯電話機において、前記表示手段に表示される文字の視認性補助機能である老視モードの使用を指示する指示手段と、この指示手段による老視モードの使用指示に応答し、表示対象の文字列を各々の文字の向き及び配置を鏡に写った状態に反転させた鏡面反転形態で前記表示手段に表示させる表示制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0017】
また、請求項11記載の発明に係る文字表示方法にあっては、文字が表示可能な表示手段における文字の表示方法であって、前記表示手段に表示される文字の視認性補助機能である老視モードの使用指示に応答し、表示対象の文字列を、各々の文字の向き及び配置を鏡に写った状態に反転させた鏡面反転形態で前記表示手段に表示させることを特徴とする。
【0018】
また、請求項12記載の発明に係るプログラムにあっては、文字が表示可能な表示手段を備えた表示装置が有するコンピュータに、前記表示手段に表示される文字の視認性補助機能である老視モードの使用指示に応答し、表示対象の文字列を、各々の文字の向き及び配置を鏡に写った状態に反転させた鏡面反転形態で前記表示手段に表示させる処理を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、老視のユーザが文字情報を確認する場合の使い勝手を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る携帯電話機の外観図である。
【図2】同携帯電話機の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】同携帯電話機の本発明に係る動作を示したフローチャートである。
【図4】同携帯電話機の表示部における受信メールの表示例を示す図であって、(a)は通常モードにおける表示例、(b)は老視モードにおける表示例である。
【図5】同携帯電話機において老視モードを設定したときの使用形態を示す説明図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る携帯電話機の外観図である。
【図7】同携帯電話機の電気的構成を示すブロック図である。
【図8】同携帯電話機の本発明に係る動作を示したフローチャートである。
【図9】同携帯電話機における受信メールの表示例を示す図であって、(a)は通常モード及び老視モードでのメイン表示部における受信メールの表示例、(b)は老視モードでのサブ表示部における受信メールの表示例である。
【図10】同携帯電話機において老視モードを設定したときの使用形態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(実施形態1)
以下、本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の表示装置である第1の実施形態に係る携帯電話機1の外観図である。本実施形態の携帯電話機1は折り畳み型であり、必要に応じて開閉操作される蓋部2と本体部3とから構成されている。なお、図1は、蓋部2を開いた状態での正面図に相当する外観図である。
【0022】
図示したように蓋部2には、文字情報や画像情報等の種々の情報が表示される表示部4及びスピーカ5が設けられている。表示部4は透明カバーで覆われた2〜3インチサイズの表示画面を有する液晶表示器(LCD)により構成される。
【0023】
また、本体部3には音声入力用のマイク6と、以下の複数の操作キー(操作ボタン)が配置されている。すなわち蓋部2に近い領域には、表示部4に表示された種々の操作画面に対する操作を行うための4方向のカーソルキー11及びセットキー12と、その周囲に位置するアドレス帳キー13、メールキー14、他の機能キー15,16が配置されている。アドレス帳キー13は、電話番号や氏名、メールアドレス等の種々のアドレス情報の確認や編集を行うアドレス帳機能の起動等に使用され、メールキー14は、電子メールの受信、作成、編集、送信を行うメール機能の起動等に使用される。
【0024】
また、上記の操作キー群の下方にはオフフックキー17、クリアキー18、オンフックキー19が横並びで配置され、それらと前記マイク6との間には、数字・記号・アルファベット兼用の数字キー、及び特定の記号キーからなるテンキー20が配置されている。上記クリアキー18は、例えば文字入力作業時における文字の消去や変換中止、及び起動中の任意の機能の停止等に使用され、オンフックキー19は通話終了、及び電源のオンオフ等に使用される。
【0025】
さらに前記マイク6の近傍には老視モード・キー21が配置されている。老視モード・キー21は本発明における指示手段としての機能が割り当てられた特定の操作手段であって、上述した全ての操作キーの中で最大の操作部面積を有するとともに、後述するように動作モードを通常モードから老視モードに一時的に切り替える機能、すなわち前記表示部4に表示される文字の視認性補助機能である老視モードの使用を指示する機能と、老視モードを通常モードに戻す機能、すなわち老視モードの非使用を指示する機能とが割り当てられた専用の操作キーである。
【0026】
図2は、携帯電話機1の電気的構成の概略を示すブロック図である。図示したように携帯電話機1は、内蔵アンテナ31、無線部32、音声変換回路部33、前記スピーカ5、前記マイク6、制御部34、RAM35、ROM36、時計部37、キー入力部38、リンガ用スピーカ39、ドライバ40、LCD41、データメモリ42から構成されている。
【0027】
無線部32は、内蔵アンテナ31により基地局から受信した制御信号や音声信号を含む所定の周波数帯の受信信号を周波数変換して音声変換回路部33に出力し、また音声変換回路部33から出力された制御信号や音声信号を送信信号に変換し、内蔵アンテナ31を介して基地局へ送信する。
【0028】
音声変換回路部33は、図示しないモデム部等を有するとともに、モデム部を介して送受信する音声の処理や、ボリュウム、呼び出し音及びトーン信号等の制御を行うとともに基地局との間で無線通信プロトコルに基づく通信制御シーケンスを実行する。
【0029】
時計部37は、タイマー機能やカレンダー機能を有しており、現在の日付データ、曜日データ、時刻データを制御部34に出力する。キー入力部38は、前述した複数の操作キーを含み、使用者のキー操作に応じた各種操作信号を制御部34に出力する。
【0030】
リンガ用スピーカ39は着信音などを出力する。LCD41は本発明の表示手段であって、制御部34により点灯を制御されるバックライトを含み、ドライバ40は制御部34から送られる表示データに基づきLCD41を駆動し、携帯電話機1が有する各機能に応じたメニュー画面や等の各種情報を表示させる。
【0031】
データメモリ42は、アドレス帳を構成するアドレス情報や、メール機能により送受信された電子メール(送信済、送信待ち、受信済の電子メール)のデータや、携帯電話機1が有する各々の機能に関する設定情報を記憶するフラッシュメモリ等の不揮発性メモリである。なお、携帯電話機1においては表示部4に表示する文字のサイズ(表示文字サイズ)を複数段階に設定することができ、上記設定情報には上記表示文字サイズの設定情報も含まれる。
【0032】
制御部34は、CPUを含むマイクロコンピュータ、及びその周辺回路から構成され、
RAM35ワークメモリとしてROM36に格納されている所定のプログラムに従った通信制御、LCD41の画面表示制御、電子メールの送受信に要するデータ処理等を行う。さらに、制御部34は後述する処理を実行することにより本発明の表示制御手段として機能する。
【0033】
次に、以上の構成からなる携帯電話機1の本発明に係る動作について説明する。図3は、制御部34が電子メールの表示に際して実行する処理内容を示したフローチャートである。
【0034】
以下説明すると、例えばメールキー14の押下によるメール機能の起動後に、ユーザによってデータメモリ42に記憶されている任意の電子メールが選択されるか、あるいは電子メールを受信した際に、ユーザによってその電子メール(新着の電子メール)の表示を指示する所定のキー操作が行われると、制御部34は、直ちに表示対象のメール(以下、受信メールという)の文字データ(表示対象の文字列のデータ)をデータメモリ42から読み出した後(ステップSA1)、読み出したメールデータに基づいて受信メールを表示部4に通常表示する(ステップSA2)。すなわちメールデータに基づく文字列を、その時点で設定されている文字サイズで、各行に、その文字サイズに応じた文字数の文字列が並んだ通常の表示形態で表示する。
【0035】
図4(a)に、このときの表示部4における受信メールの表示例を示す。なお、図示しないが表示部4には、受信メール以外にも、その時点の受信感度や電池残量等を示すピクトグラフや、特定の操作キーに対応する機能を示す文字情報等が表示される。
【0036】
その後、制御部34は、ユーザによる前述した老視モード・キー21の押下の有無、及び受信メールの表示終了指示の有無を逐次確認する(ステップSA3,SA4)。なお、ステップSA4で確認する受信メールの表示終了指示は、具体的にはユーザのキー操作による新たな受信メールの選択指示や、メール機能以外の機能の起動指示や、電源のオフ操作等である。そして、老視モード・キー21の押下がなく、上記の表示終了指示があったときには(ステップSA4でYES)、その時点で直ちに処理を終了する。すなわち表示部4における受信メールの表示を終了する。
【0037】
一方、受信メールを表示部4に通常表示している間に、ユーザにより老視モード・キー21が押されたら(ステップSA3でYES)、制御部34は、現在の動作モードが老視モードであるか否かを確認する(ステップSA5)。なお、老視モードは、ユーザが必要に応じて一時的に設定可能となっている。また、上記の確認は、RAM35に記憶している所定のフラグデータを確認することにより行う。
【0038】
そして、処理開始当初、つまり老視モード・キー21が最初に押されたときには、動作モードは通常のモードであって老視モードが設定されていないため(ステップSA5でNO)、ここで動作モードを老視モードに設定する(ステップSA6)。より具体的には、前述したフラグデータの状態を老視モードの設定中であることを示す状態に変更する。
【0039】
引き続き、老視モードへの移行に伴い、制御部34は、まず、設定されている表示文字サイズを設定可能な最大の文字サイズに一時的に変更する(ステップSA7)。但し、係る処理は、直前の段階で設定されていた表示文字サイズが設定可能な最大の表示文字サイズであった場合にはスキップし、既に表示文字サイズの設定をそのまま維持する。
【0040】
しかる後、制御部34は、受信メールを、最大の文字サイズで、かつ各々の文字の向き、及び配置を鏡に写った状態に左右方向に反転させた状態で表示部4に表示させる(ステップSA8)。図4(b)に、このときの表示部4における受信メールの表示例を示す。以下の説明においては、係る表示形態を鏡面反転形態と呼び、ステップSA8の処理を鏡面反転表示処理と呼ぶ。また、係る鏡面反転表示処理が行われる直前まで表示された受信メールの表示形態、つまり通常の表示形態が本発明における非鏡面反転形態である。
【0041】
なお、上記の鏡面反転表示処理においては、例えば各行の行数を変更後の文字サイズに応じた文字数に設定して、通常の表示用のビックマップデータを作成した後、このビックマップデータを、縦軸を中心として反転したビックマップデータに座標変換し、変換後のビックマップデータに基づきLCD41を駆動するレンダリング処理を行うことによって鏡面反転形態での受信メールの表示を実現する。
【0042】
その後も、制御部34は、ユーザによる前述した老視モード・キー21の押下の有無、及び受信メールの表示を終了するか否かを逐次確認する(ステップSA3,SA4)。そして、その間に老視モード・キー21が再び押されたときには(ステップSA3でYES)、今度は老視モードで動作中であるため(ステップSA5でYES)、動作モードの設定を通常モードに戻し(ステップSA9)、さらに一時的に変更していた表示文字サイズを、設定されている表示文字サイズに戻す(ステップSA10)。しかる後、ステップSA2へ戻り、再び通常の表示形態で受信メールを表示部4に表示させる。
【0043】
これ以後は、前述した処理を繰り返し行うことによって、ユーザによって老視モード・キー21が押される毎に動作モードを変更することにより、表示部4における受信メールの表示形態を、図4(a)に示した通常の表示形態と同図(a)に示した鏡面反転形態とに随時切り替える。そして、いずれかの時点で表示終了指示があったときには(ステップSA4でYES)、前述したようにその時点で表示部4における受信メールの表示を終了する。
【0044】
以上のように本実施形態の携帯電話機1においては、受信メールを表示しているとき、老視モード・キー21を押して動作モードを老視モードに設定すれば、表示部4における受信メールの表示形態を鏡面反転形態に切り替えることができる。ここで、鏡面反転形態で表示された状態の受信メールは、図5に示したように携帯電話機1の表示部4を身近にある任意の鏡M、例えば化粧用等の手鏡や洗面所等に設置されている鏡に写せば、文字及びレイアウトが正常な状態で視認することができる。同時に、その状態ではユーザの目Eから表示部4(その表示画面)までの光路長(視認距離)が表示部4を直接見る場合よりも長くなることとなる。
【0045】
そのため、例えばユーザが老視であるとともに外出先等において老眼鏡等を使用していないとき、或いは老眼鏡等を所持していない状況下で受信メールを確認する際に受信メールの文字が見にくい場合には、ユーザは受信メールの表示形態を鏡面反転形態に切り替えるとともに、図5に示したように表示部4を任意の鏡Mに向け、その鏡Mに写った受信メールを読むようにすれば、老眼鏡等を使用しなくとも受信メールの文字を楽に読むことができる。したがって、老視のユーザが文字情報を確認する場合の使い勝手を向上させることができる。
【0046】
しかも、本実施形態の携帯電話機1においては、ユーザにより動作モードが老視モードに変更されたときには、そのとき設定されている表示文字サイズを設定可能な最大の文字サイズに自動的に変更して前述した鏡面反転表示を行うようにした。これにより、前述したように受信メールを任意の鏡Mに写して見る場合には、受信メールの文字をより一層楽に読むことができる。
【0047】
なお、本実施形態では、動作モードが老視モードに設定されたときには、そのとき設定されている表示文字サイズを設定可能な最大の文字サイズに変更するようにしたが、変更後の表示文字サイズは、必ずしも設定可能な最大の文字サイズでなくとも良い。すなわち、変更後の表示文字サイズは、老視モードが設定される直前に設定されていた表示文字サイズよりも大きいサイズであれば、例えば1段大きな表示文字サイズや2段大きな表示文字サイズであっても構わない。
【0048】
また、前記携帯電話機1が表示文字サイズを複数段階に設定することができる構成である場合について説明したが、本発明は表示文字サイズが変更できない構成のものにも適用することができる。その場合、動作モードが老視モードに設定されたときには、表示文字サイズを変更することなく、受信メールを単に前述した鏡面反転形態で表示させるだけでも、鏡面反転表示された受信メールを鏡Mに写して見ることにより、老眼鏡を使用しなくとも受信メールの文字を楽に読むことができる。
【0049】
さらに、表示文字サイズが変更できない構成においても、老視モードのみで使用する表示文字サイズであって、通常モード(老視モードの非使用状態)で使用する表示文字サイズよりも大きな所定の表示文字サイズを予め決めておき、老視モードでは、表示文字サイズを前記所定の表示文字サイズに変更するようにしても構わない。
【0050】
また、本実施形態の携帯電話機1においては、動作モードを老視モードに切り替えるための老視モード・キー21が全ての操作キーの中で最大の操作部面積を有する構成であるため、その操作を他の操作キーに比べて容易に行うことができる。これにより、例えばユーザが高齢者であってもキー操作に戸惑うことなく、必要な場合には動作モードを容易に老視モードに切り替えことができる。したがって良好な使い勝手を確保することができる。
【0051】
さらに、動作モードを通常モードから老視モードに切り替える操作と、逆に老視モードを通常モードに戻す操作との双方の操作、つまり老視モードの使用指示と非使用指示とを前記老視モード・キー21を押すだけで行うことができることから、高齢者であっても動作モードの切り替え操作を迷うようなことがない。これによっても良好な使い勝手を確保することができる。
【0052】
ここで、本実施形態においては、受信メールの表示中に老視モード・キー21が押されたら、その時点で動作モードを老視モードに切り替える構成としたが、本発明においては、メール機能以外の他の機能によって表示部4(LCD41)に任意の文字列を表示しているときであっても、ユーザにより老視モード・キー21が押された時点で動作モードを老視モードに切り替え、上記文字列を鏡面反転形態で表示部4に表示させる構成としてもよい。その場合であっても、前述したように任意の鏡Mを介して鏡面反転表示された文字列を見ることにより、老視のユーザは老眼鏡を使用しなくとも上記の文字列を楽に読むことができる。
【0053】
(実施形態2)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態は、第1の実施形態と同様に折り畳み型の携帯電話機に関するものである。
【0054】
図6は、本実施形態における携帯電話機101の外観図であって、同図(a)は正面図、同図(b)は背面図である。以下、図1に示したものと同様の部分については同一の符号を付し説明を省略する。図から明らかなように、本実施形態の携帯電話機101は、蓋部2の背面側に、蓋部2の正面側の表示部4と同様の表示面積を有するサブ表示部104が設けられた以外は、図1に示したものと同様である。以下の説明においては、蓋部2の正面側の表示部4を便宜的にメイン表示部と呼ぶことにより上記サブ表示部104と区別する。
【0055】
また、図7は、本実施形態における携帯電話機101の電気的構成の概略を示す図2に対応するブロック図である。携帯電話機101は、図2に示した各部に加え上記サブ表示部102を構成するバックライトを含むサブLCD141と、制御部34から送られる表示データに基づき必要に応じてサブLCD141を駆動し、携帯電話機101が有する各機能に応じたメニュー画面や等の各種情報を表示させるドライバ140とを有する構成である。なお、本実施形態においては、サブ表示部102を構成するサブLCD141が本発明の表示手段に相当し、かつメイン表示部4を構成するLCD41が本発明の第2の表示手段に相当する。そして、本実施形態においては、制御部34が後述する処理を実行することにより本発明の表示制御手段として機能する。
【0056】
以下、本実施形態の携帯電話機101における本発明に係る動作について説明する。図6は、制御部34が電子メールの表示に際して実行する処理内容を示したフローチャートである。
【0057】
本実施形態においても、例えばメールキー14の押下によるメール機能の起動後に、ユーザによってデータメモリ42に記憶されている任意の電子メールが選択されるか、あるいは電子メールを受信した際に、ユーザによってその電子メール(新着の電子メール)の表示を指示する所定のキー操作が行われると、制御部34は、直ちに受信メールのデータをデータメモリ42から読み出した後(ステップSB1)、読み出したメールデータに基づいて受信メールをメイン表示部4に通常表示する(ステップSB2)。
【0058】
図9(a)に、このときのメイン表示部4における受信メールの表示例を示す。なお、第1の実施形態と同様、図示しないがメイン表示部4には、受信メール以外にも、その時点の受信感度や電池残量等を示すピクトグラフや、特定の操作キーに対応する機能を示す文字情報等が表示される。その後、受信メールをメイン表示部4に通常表示している間、制御部34は、受信メールをメイン表示部4に通常表示している間、ユーザによる前記老視モード・キー21の押下の有無、及び受信メールの表示終了指示の有無を逐次確認する(ステップSB3,SB10)。なお、受信メールの表示終了指示の具体的内容は第1の実施形態と同様である。
【0059】
そして、本実施形態においては、受信メールをメイン表示部4に通常表示した後、ユーザにより老視モード・キー21が押されたら(ステップSB3でYES)、つまり老視モード・キー21が最初に押されたときには、まず動作モードは通常のモードであって老視モードが設定されていないため(ステップSB4でNO)、ここで動作モードを老視モードに設定した後(ステップSB5)、メイン表示部4に受信メールを表示したまま、サブ表示部104をON状態とする(ステップSB6)。すなわちサブLCD141へ電源を供給しバックライトを点灯させる。
【0060】
しかる後、受信メールを、その時点で設定されている表示文字サイズとは無関係に設定可能な最大の文字サイズで、かつ各々の文字の向き、及び配置を鏡に写った状態に左右方向に反転させた状態でサブ表示部104(サブLCD141)に表示させる(ステップSB7)。つまりサブ表示部104に、受信メールを最大の文字サイズで鏡面反転形態によって表示させる。なお、係る表示に際しての制御部34の具体的な処理内容は第1の実施形態のステップSA8と同様である。9(b)に、このときのサブ表示部104における受信メールの表示例を示す。
【0061】
その後も、制御部34は、受信メールの表示終了指示の有無、及び老視モード・キー21の押下の有無を逐次確認する(ステップSB10,SB3)。そして、その間に老視モード・キー21が再び押されたときには(ステップSB3でYES)、今度は老視モード設定されているため(ステップSB4でYES)、その時点で、動作モードの設定を通常モードに戻すとともに(ステップSB8)、サブ表示部104をOFF状態とする(ステップSB9)。つまりサブLCD141への電源供給を停止してバックライトを点灯し、サブ表示部104における受信メールの表示を終了する。
【0062】
これ以後は、前述した処理を繰り返し行うことによって、ユーザによって老視モード・キー21が押される毎に動作モードを変更することにより、サブ表示部104における前述した鏡面反転形態による一時的な受信メールの表示を開始したり、終了したりする。
【0063】
そして、いずれかの時点で受信メールの表示終了指示があったときには(ステップSB10でYES)、その時点で老視モードが設定されていなければ(ステップSB11でNO)、直ちに受信メールの表示を終了する。また、表示終了指示があった時点で老視モードが設定されていたときには(ステップSB11でYES)、つまりサブ表示部104における受信メールの最大の文字サイズによる鏡面反転形態での表示を実施しているときには、前述したステップSB9と同様にサブ表示部104をOFF状態とした後(ステップSB12)、受信メールの表示を終了する。
【0064】
以上のように本実施形態の携帯電話機101においては、受信メールをメイン表示部4に表示(通常表示)しているとき、老視モード・キー21を押せば、表示中の受信メールをサブ表示部104に最大の文字サイズで、かつ鏡面反転形態で表示させることができる。つまり第1の実施形態の携帯電話機1で老視モードにおいて表示部4に表示されるものと同様の表示形態で受信メールをサブ表示部104に表示させることができる。
【0065】
そのため、例えばユーザが老視であるとともに外出先等において老眼鏡等を使用していないとき、或いは老眼鏡等を所持していない状況下で受信メールを確認する際に受信メールの文字が見にくい場合には、ユーザはサブ表示部104に鏡面反転形態で受信メールを表示させるとともに、図10に示したようにサブ表示部104、つまり蓋部2の背面を任意の鏡Mに向け、その鏡Mに写った受信メールを読むようにすれば、目Eからサブ表示部104(その表示画面)までの光路長(視認距離)をサブ表示部104を直接見る場合よりも長くすることができ、それによって老眼鏡等を使用しなくとも受信メールの文字を楽に読むことができる。したがって、老視のユーザが文字情報を確認する場合の使い勝手を向上させることができる。
【0066】
しかも、老視モードにおいて受信メールをサブ表示部104に表示する際には、第1の実施形態と同様、表示文字サイズを設定可能な最大の文字サイズに自動的に設定して鏡面反転形態での表示を行うようにした。これにより、前述したように受信メールを任意の鏡Mに写して見る場合には、受信メールの文字をより一層楽に読むことができる。なお、受信メールを鏡面反転形態でサブ表示部104に表示する際に設定する表示文字サイズについては、第1の実施形態で言及したように、必ずしも設定可能な最大の文字サイズでなくとも構わない。
【0067】
さらに、第1の実施形態で言及したように、本発明は表示文字サイズが変更できない構成のものにも適用することができ、その場合、動作モードが老視モードに設定されたときには、受信メールをメイン表示部4側と同様の文字サイズでサブ表示部104に鏡面反転表示させるようにすればよく、その場合であっても、鏡面反転表示された受信メールを鏡Mに写して見ることにより、老眼鏡を使用しなくとも受信メールの文字を楽に読むことができる。
【0068】
また、本実施形態においても、動作モードを老視モードに切り替えるための老視モード・キー21が全ての操作キーの中で最大の操作部面積を有する構成であるため、その操作を他の操作キーに比べて容易に行うことができる。これにより、例えばユーザが高齢者であってもキー操作に戸惑うことなく、必要な場合には動作モードを容易に老視モードに切り替えことができる。したがって良好な使い勝手を確保することができる。
【0069】
さらに、前記老視モード・キー21を押すだけで、動作モードを通常モードから老視モードに切り替える操作と、逆に老視モードを通常モードに戻す操作との双方の操作を行うことができ、高齢者であっても動作モードの切り替え操作を迷うようなことがない。これによっても良好な使い勝手を確保することができる。
【0070】
また、本実施形態においても、メール機能以外の他の機能によって表示部4(LCD41)に任意の文字列を表示しているとき、ユーザにより老視モード・キー21が押された時点で動作モードを老視モードに切り替え、上記文字列を鏡面反転形態でサブ表示部104に表示させる構成としてもよい。その場合であっても、前述したように任意の鏡Mを介して鏡面反転表示された文字列を見ることにより、老視のユーザは老眼鏡等を使用しなくとも上記の文字列を楽に読むことができる。
【0071】
ここで、上述した第1及び第2の実施形態においては、本発明を折り畳み型の携帯電話機に適用する場合について説明したが、これに限らず、本体部に対して蓋部がスライドするスライド型の携帯電話機にも適用することもできる。また、本発明は任意の文字列を表示する表示部を備えたものであれば、通信機能の有無に関係なく携帯電話機以外の他の携帯情報機器にも適用することができる。
【0072】
さらに、本発明は使用者によって携帯される表示装置に限らず、例えば任意の場所に設置されている表示装置や、任意の場所に設置されている他の機器(設備)に組み込まれている表示装置にも適用することができる。すなわち係る表示装置に第1及び第2の実施形態と同様に、表示対象の文字列を、使用者の操作に応じて前述した鏡面反転形態で表示部に表示する機能を設けるようにしてもよい。
【0073】
その場合、例えばその表示装置が、表示部を離れた位置から見ることができないような極めて狭い場所に設置されており、かつその設置場所の環境が、老眼鏡等が使用できないような特殊な環境である場合には、表示部に表示される文字列、例えば設備等の点検用に表示される文字情報を確認する作業者が老視であるときには、その文字情報を鏡面反転形態で表示部に表示させれば、作業者は老眼鏡等が使用できなくとも、手鏡等を介して上記文字情報を見ることにより、それを楽に読むことが可能となる。
【符号の説明】
【0074】
1 携帯電話機
2 蓋部
3 本体部
4 表示部(メイン表示部)
11 カーソルキー
12 セットキー
13 アドレス帳キー
14 メールキー
15,16 機能キー
17 オフフックキー
18 クリアキー
19 オンフックキー
20 テンキー
21 老視モード・キー
34 制御部
38 キー入力部
40 ドライバ
41 LCD
42 データメモリ
101 携帯電話機
104 サブ表示部
140 ドライバ
141 サブLCD
M 鏡

【特許請求の範囲】
【請求項1】
文字が表示可能な表示手段と、
この表示手段に表示される文字の視認性補助機能である老視モードの使用を指示する指示手段と、
この指示手段による老視モードの使用指示に応答し、表示対象の文字列を、各々の文字の向き及び配置を鏡に写った状態に反転させた鏡面反転形態で前記表示手段に表示させる表示制御手段と
を備えたことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記表示制御手段は、前記指示手段による老視モードの使用指示に応答し、前記表示対象の文字列を、各々の文字の表示サイズを老視モードが非使用状態のときよりも大きな表示サイズに変更し前記鏡面反転形態で前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記表示制御手段は、前記老視モードが非使用状態のときの前記表示対象の文字列の各々の文字の表示サイズが変更可能な最大の表示サイズであった場合、前記指示手段による老視モードの使用指示に応答し、前記表示対象の文字列を、各々の文字の表示サイズを維持したまま前記鏡面反転形態で前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項2記載の表示装置。
【請求項4】
使用者が装置を操作するための複数の操作手段を備え、この複数の操作手段のうちで操作部面積が最大の特定の操作手段に前記指示手段としての機能が割り当てられたことを特徴とする請求項1又は2,3記載の表示装置。
【請求項5】
前記複数の操作手段は、装置本体に設けられた複数の操作ボタンであることを特徴とする請求項4記載の表示装置。
【請求項6】
前記特定の操作手段には、前記指示手段としての機能に加え、前記老視モードの非使用を指示する機能が割り当てられたことを特徴とする請求項4又は5記載の表示装置。
【請求項7】
前記表示制御手段は、前記老視モードが非使用状態にある間に前記表示対象の文字列を非鏡面反転形態で前記表示手段に表示させるとともに、前記指示手段による老視モードの使用指示に応答し、前記表示手段に表示中の文字列の表示形態を前記鏡面反転形態に切り替えることを特徴とする請求項1乃至6いずれか記載の表示装置。
【請求項8】
前記表示手段とは異なる第2の表示手段を備え、
前記表示制御手段は、前記老視モードが非使用状態にある間に前記表示対象の文字列を非鏡面反転形態で前記第2の表示手段に表示させる
ことを特徴とする請求項1乃至6いずれか記載の表示装置。
【請求項9】
前記表示制御手段は、前記老視モードが非使用状態にある間に前記表示対象の文字列を非鏡面反転形態で前記第2の表示手段に表示させるとともに、前記指示手段による老視モードの使用指示に応答し、前記第2の表示手段における非鏡面反転形態による前記文字列の表示を維持したままで、前記表示対象の文字列を前記鏡面反転形態で前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項8記載の表示装置。
【請求項10】
文字が表示可能な表示手段を備えた携帯電話機において、
前記表示手段に表示される文字の視認性補助機能である老視モードの使用を指示する指示手段と、
この指示手段による老視モードの使用指示に応答し、表示対象の文字列を各々の文字の向き及び配置を鏡に写った状態に反転させた鏡面反転形態で前記表示手段に表示させる表示制御手段と
を備えたことを特徴とする携帯電話機。
【請求項11】
文字が表示可能な表示手段における文字の表示方法であって、
前記表示手段に表示される文字の視認性補助機能である老視モードの使用指示に応答し、表示対象の文字列を、各々の文字の向き及び配置を鏡に写った状態に反転させた鏡面反転形態で前記表示手段に表示させることを特徴とする文字表示方法。
【請求項12】
文字が表示可能な表示手段を備えた表示装置が有するコンピュータに、
前記表示手段に表示される文字の視認性補助機能である老視モードの使用指示に応答し、表示対象の文字列を、各々の文字の向き及び配置を鏡に写った状態に反転させた鏡面反転形態で前記表示手段に表示させる処理を実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−237341(P2010−237341A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−83810(P2009−83810)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】