説明

表示装置の色表示変更方法及び表示装置

【課題】表示部に表示される画像の一部の色を変化させる機能を備えた表示装置(電子カードなど)において、内蔵されるメモリデバイスのメモリ容量を必要最小限に抑えること。
【解決手段】画像を表示する表示部20と、画像のデータが記憶されるメモリデバイス60と、メモリデバイス60に記憶される画像のデータの書き込み及び読み込みを制御すると共に、表示部20への画像の表示を制御し、かつ色変更制御機能を備えたCPUデバイス40と、CPUデバイス40に電源を供給する電源部50とを含み、画像のデータは、色変更される変更対象色データと色変更されない非変更色データとから構成され、かつ非変更色データは変更対象色データと異なる色情報に設定されており、CPUデバイスの色変更制御機能によって変更対象色データが特定の色データに変更されて画像の一部の色が変更される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示装置の色表示変更方法及び表示装置に係り、さらに詳しくは、表示機能付きの入館証(IDカード)などの電子カードに好適に適用できる表示装置の色表示変更方法及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、会社、学校、病院、展示場などでは、来訪者が入館許可者であることを証明するために来訪者に入館証を着用させることによってセキュリティ強化を図っている。近年では、窃盗品や拾得品が悪用されたり、偽造品が使われたりすることを防止するために、来訪者が入館許可者であることを簡単に照合できる顔写真入りの入館証が普及している。
【0003】
これに関連する技術としては、特許文献1には、属性情報の変更に際しても再発行することなく更新可能にするために、ICカードに書き換え可能なリライト表示部を設けることが記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、期限切れのIDカードが悪用されることを防ぐために、光エネルギーによる書き換えが可能で、かつ一定時間内の屋内照明からの受光によって消色状態に変化するフォトクロミック化合物からなるフルカラー画像記録層を設けたIDカードが記載されている。
【0005】
また、特許文献3には、顔写真のすり替えを防止するために、ICカードに顔画像データを表示させる液晶表示装置を設け、そのデータを書き換え可能なEEPROMや書き換え不可能なROMに記憶させることが記載されている。
【特許文献1】特開2001−312710号公報
【特許文献2】特開2005−31208号公報
【特許文献3】特開2005−100380号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、展示場などで使用されるIDカードでは、来訪者が各ブースに入るときなどの各種のアクションに応じて、IDカードの表示部に表示される顔画像の一部(背景部など)の色を特定の色に変えることによって、セキュリティ対策を行いながら来訪者の各種管理を行う方法が検討されている。
【0007】
一般的なIDカードでは、表示部に表示されるカラー顔画像の一部の色を変更する機能をもたせる場合、一部の色が相互に異なる複数の顔画像データを全てIDカード内のメモリデバイスに記憶させておき、CPUがメモリデバイスにその都度アクセスして所要の色表示の顔画像を表示部に表示させる方式が採用される場合が多い。
【0008】
そのような方式では、一部の色が相互に異なる顔画像がn個必要な場合は、n個の顔画像データをIDカードのメモリデバイスに全て記憶させる必要があるので、色違いの顔画像が多数必要な場合はメモリ容量が膨大になってしまう。そのような大容量のメモリデバイスを小型・薄型のIDカードに内蔵させることは困難である。このため、小型・薄型のIDカードに内蔵できる程度のメモリ容量のメモリデバイスを使用して、一部の色が相互に異なる多数の顔画像を表示できるIDカードが要求される。
【0009】
本発明は上記した問題点を鑑みて創作されたものであり、表示部に表示される画像の一部の色を変化させる機能を有する表示装置において、内蔵されるメモリデバイスのメモリ容量を最小限に抑えることができる表示装置及びその色表示変更方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記した課題を解決するため、本発明は表示装置に係り、画像を表示する表示部と、前記画像のデータが記憶されるメモリデバイスと、前記メモリデバイスに記憶される前記画像のデータの書き込み及び読み込みを制御すると共に、前記表示部への前記画像の表示を制御するCPUデバイスとを有する表示装置の色表示変更方法であって、前記画像のデータは、色変更される変更対象色データと色変更されない非変更色データとから構成され、かつ前記非変更色データは前記変更対象色データと異なる色情報に設定されており、前記変更対象色データを予め決めておき、前記変更対象色データを前記CPUデバイスによって特定の色データに変更することにより、前記画像の一部の色を変更することを特徴とする。
【0011】
本発明の表示装置では、静止画像(顔画像など)を表示する表示部を備えており、メモリデバイスにその画像データが記憶される。CPUデバイスがメモリデバイスに記憶された画像データの書き込み及び読み込みを制御すると共に、表示部への画像表示を制御する。画像のデータは、色変更される変更対象色データと色変更されない非変更色データから構成され、非変更色データは変更対象色データと異なる色情報に設定されている。また、CPUデバイスは変更対象色データを指定の色データに変更する色変更制御機能を備えている。
【0012】
そして、変更対象色データを所定の色情報に予め決めておき、変更対象色データをCPUデバイスの色変更制御機能によって特定の色データに変更することにより、画像の一部の色が変更される。
【0013】
このような構成とすることにより、メモリデバイスに一部の色が相互に異なる多数の画像データを全て記憶させておく必要はないので、メモリデバイスのメモリ容量を一つ又は数個の基本画像データを記憶できる必要最小限の容量に抑えることができる。
【0014】
これにより、本発明の表示装置を電子カードに適用する場合は、画像データが記憶されるメモリデバイスの大きさをカード基板に内蔵できる程度に小さくできるので、画像の一部の色を変更できる機能を有する小型・薄型の電子カードを容易に構成できるようになる。
【0015】
本発明の表示装置は、顔画像が表示される入館証(IDカード)に好適に適用することができる。入館証として適用する場合は、まず、電子カードを発行する際に、外部画像処理装置から外部通信手段によって来訪者の顔画像データがメモリデバイスに書き込まれると共に、顔画像のどの色の部分を変更するかの変更対象色データがCPUデバイスに入力されて変更対象色が決められる。
【0016】
次いで、電子カードを着用する来訪者が場内を移動するときに、CPUデバイスに接続された外部信号入力部が場内のゲートなどから発信される外部部信号を受信する。この外部信号に基づいてCPUデバイスのプログラムにより色変更制御機能が実行されて、メモリデバイスの顔画像データのうち変更対象色データが指定された別の色の色データに変更される。これにより、電子カードの表示部から表示される顔画像の一部の色が部分的に変更される。
【0017】
顔画像は人物部と背景部によって構成され、背景部の色を変更する場合は、背景部の色は人物部を構成する各部分の色と異なる無地色になっており、これによって背景部の色を部分的に違う色に変更することができる。
【0018】
このようにして、表示部にカラー表示される顔画像の一部の色を変更することにより、セキュリティ対策を行いながら来訪者の各種の管理を行うことができる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明では、画像の一部の色を変更する機能を有する表示装置において、CPUデバイスに色変更制御機能をもたせることにより、画像データが記憶されるメモリデバイスのメモリ容量を必要最小限に設定できるので、小型・薄型の電子カードを容易に構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照しながら説明する。
【0021】
本実施形態では、表示装置として表示機能付きのIDカード(入館証)を例に挙げて説明する。
【0022】
図1は本発明の実施形態のIDカードの構成を示す概略図、図2は同じくIDカードに内蔵されたCPUデバイスの構成を示す概略図である。
【0023】
図1に示すように、本実施形態のIDカード1では、カード基板10に顔画像表示用の液晶表示部20が設けられている。液晶表示部20の近傍のカード基板10にはそれを駆動するためのドライバIC30が実装されており、ドライバIC30は液晶表示部20の走査線(ゲート線)及び信号線(ソース線)に配線5aを介して接続されている。
【0024】
また、ドライバIC30の近傍のカード基板10にはCPU(中央処理装置)デバイス40が実装されており、CPUデバイス40は配線5bを介してドライバIC30に接続されている。
【0025】
また、CPUデバイス40の近傍のカード基板10には、液晶表示部20などを駆動するための電源部50が設けられており、電源部50からCPUデバイス40に配線5cを介して電源が供給される。電源部50は、充電可能な二次電池又は二重層コンデンサなどからなる。なお、IDカード1の本体外側に電源部50をON、OFFさせる電源スイッチを設けてもよい。
【0026】
また、CPUデバイス40の近傍のカード基板10には、顔画像のデジタルデータが記憶される揮発性メモリデバイス60(DRAMやSRAMなど)が実装されており、揮発性メモリデバイス60は配線5dを介してCPUデバイス40に接続されている。そして、揮発性メモリデバイス60に記憶された顔画像データがCPUデバイス40の作用でドライバIC30に送信され、ドライバIC30から液晶表示部20に表示信号が送信されて静止画の液晶画像が表示される。なお、揮発性メモリデバイス60の代わりに、不揮発性メモリデバイス(EPROMやフラッシュメモリなど)を用いてもよい。
【0027】
液晶表示部20は、太陽光や蛍光灯などの光を反射させて画像を表示する、プラスチックフィルムを素子基板に用いた反射型液晶表示装置から構成され、アクティブマトリクス型であってもよいし、単純マトリクス型であってもよい。
【0028】
また、液晶表示部20の代わりに、自発光型の有機ELディスプレイを使用してもよいし、あるいは、電子泳動方式、エレクトロクロミック方式、トナーディスプレイ方式、又はツイストボール方式などの表示方式を利用した電子ペーパーを使用してもよい。
【0029】
また、CPUデバイス40にはIDカード1の右側端部に延在する外部接続配線6aが接続されており、その先端部に外部接続電極12(外部通信手段)が設けられている。IDカード1を発行する際に、IDカード1が外部画像処理装置(データ処理システム)の入出力部に差し込まれ、外部画像処理装置内のカード着用者の顔画像データが外部接続電極12(外部通信手段)からCPUデバイス40を介して揮発性メモリデバイス60に記憶される。
【0030】
さらに、電源部50にはIDカード1の右側端部に延在する外部接続配線6bが接続されており、その先端部に充電用電極14が設けられている。同様にIDカード1を外部画像処理装置の入出力部に差し込むことにより、充電用電極14を通して電源部50を充電できるようになっている。
【0031】
また、カード基板1の端部には外部信号(光や電波)を受信する外部信号受信部70が設けられている。外部信号受信部70は配線5eを介してCPUデバイス40に接続されている。
【0032】
外部信号受信部70は外部信号発信部から発信される外部信号(赤外線などの光信号)を受光する受光素子から構成され、受光素子は受光した光信号を電気信号に変換し、その電気信号をCPUデバイス40に送信する。あるいは、外部信号受信部70として、リーダ/ライタ(外部通信手段)と非接触通信が可能なRFID(Radio Frequency Identification)機能を搭載してもよい。その場合は、カード基板10の端部にCPUデバイス40に接続されるRFID用IC(不図示)が実装され、カード基板10にRFID用ICに接続されたループ状のアンテナ(不図示)が内蔵される。
【0033】
そのようなアンテナを備えたIDカード1をリーダ/ライタに近づけると、リーダ/ライタからの電波によって起電力が発生し、この電力を使ってRFID用ICが起動し、リーダ/ライタから送られてくるデータを無線で受信したり、自らのメモリデバイスに記憶されたデータを無線でリーダ/ライタに送信したりすることができる。
【0034】
図2には図1のCPUデバイス40の概略構成が示されている。図2に示すように、CPUデバイス40は、CPU部40aと、それに接続された不揮発性メモリ部40b、揮発性メモリ部40c、タイマ機能部40d及び電源スイッチ回路40eとを備えている。不揮発性メモリ部40b(EPROMやフラッシュメモリなど)には各種のプログラムが記憶され、CPU部40aによってそのプログラムが実行される。
【0035】
揮発性メモリ部40cには、IDカードが発行される際に、カラー表示の顔画像のうちどの色を変えるかの変更対象色データや必要に応じて来訪者の個人情報などが記憶される。そして、外部信号に基づいて、揮発性メモリ部40cに記憶された変更対象色データと、不揮発性メモリ40bに記憶されたプログラムと、CPU部40aの機能によって、顔画像の色変更対象となる色の部分が違う色に変更される。
【0036】
タイマ機能部40dは、外部信号に基づくCPU部40aからの指示によってタイマ機能部40dに使用期限が設定される。そして、IDカードが発行された時点からある一定時間が経過すると、タイマ機能部40dから電源スイッチ回路40eにスイッチOFF信号が送信され、電源スイッチ回路40eの作用によって電源部50からの電源が切断される。このように、IDカード1が使用期限に達したときに、電源が自動的に切断されて揮発性メモリデバイス60に記憶された顔画像データ及びCPUデバイス40の揮発性メモリ部40cに記憶された色情報が消去されるようになっている。
【0037】
本実施形態のIDカード1の特徴の一つは、外部信号受信部70が受信する外部信号の情報に基づいて、液晶表示部20に表示される顔画像の一部の色を変えることにあり、CPUデバイス40の不揮発性メモリ部40bに色変更制御プログラムが記憶されている。本実施形態では、CPUデバイス40の色変更制御機能によって、揮発性メモリデバイス60内の画像データの一部が置き換えられて顔画像の一部の色が変更される。
【0038】
従って、顔画像データが記憶される揮発性メモリデバイス60は、所定のカラー表示の一つ又は数個の基本顔画像データのみを記憶できるメモリ容量を備えていればよいことになる。このように、本実施形態では、揮発性メモリデバイス60のメモリ容量を小型・薄型のIDカードに内蔵できる程度の必要最小限の容量に抑えることができる。
【0039】
次に、本実施形態のIDカード1の機能について、IDカード1を展示場の入館証に適用する場合の運用方法を示しながら説明する。図3は本発明の実施形態のIDカードの運用方法を示すフローチャート、図4は本実施形態のIDカードと通信する外部画像処理装置を示す模式図、図5は本実施形態のIDカードを利用して発行された入館証を示す外観平面図、図6はIDカードの液晶表示部に表示された顔画像の一部の色が変更された様子を示す外観平面図である。
【0040】
図3に示すように、まず、ステップS1において、来訪者が展示場の受付に来訪した際に、CCDカメラなどで来訪者の顔を撮影し、顔画像のデジタルデータを図4に示すような外部画像処理装置25(データ処理システム)に取り込む。このとき、顔画像の背景部の色が模様のない無地色で、かつ顔画像の人物部(顔部、頭髪部、服部)の色と異なる色になるように、必要に応じて外部画像処理装置25で顔画像データが修正されて取り込まれる。
【0041】
また、人物部(顔部、頭髪部、服部)の一部の色を変更する場合は、顔部、頭髪部、服部などの各部分は相互に異なる色になるように、必要に応じて外部画像処理装置25で顔画像データが修正されて取り込まれる。本実施形態では、IDカード1が発行される際に顔画像の背景部の色が青色で、後に背景部の色が赤色に変更される形態を例示する。
【0042】
次いで、ステップS2において、前述した本実施形態のIDカード1を用意する。この時点では、このIDカード1は未登録のカードであり、揮発性メモリデバイス60には顔画像データは格納されていない。そのIDカード1を図4の外部画像処理装置25の入出力部26に差し込み、IDカード1の外部接続電極12を入出力部26に接触させる。
【0043】
これにより、外部画像処理装置25から来訪者の顔画像データがCPU部40aを介して揮発性メモリデバイス60に送信されて記憶される。このとき同時に、顔画像のうちどの色の部分の色を変更するかの変更対象色データが外部画像処理装置25からCPUデバイス40の揮発性メモリ部40cに送信されて記憶される。
【0044】
そして、CPU部40aは揮発性メモリデバイス60にアクセスして顔画像データを読み込み、ドライバIC30に顔画像データが送信され、ドライバIC30から表示信号が液晶表示部20に送信されて静止状態の基本顔画像が表示される。
【0045】
本実施形態では、青色の画素(背景部)の色を変更するので、青色データ(階調データ)がCPUデバイス40の揮発性メモリ部40cに入力される。
【0046】
つまり、IDカード1aの揮発性メモリ部60に記憶された画像データは、色変更される変更対象色データ(本実施形態では青色データ)と色変更されない非変更色データから構成され、非変更色データは変更対象色データと異なる色情報(本実施形態では青色以外の色データ)に設定される。このようにして、外部画像処理装置25からCPUデバイス40に変更対象色データが入力されて変更対象の色が予め決められる。
【0047】
なお、RFIDカードとする場合は、非接触通信によって外部画像処理装置25のリーダ/ライタ(不図示)から顔画像データや変更対象色データをIDカード1内に取り込むことも可能である。また、セキュリティを強化する場合は、IDカード1に専用の識別コードをもたせ、IDカード1から送られてきた識別コードが外部画像処理装置25内のコードと合致するかどうか照合して書き込みOKかNOかを判定してもよい。
【0048】
このようにして、図5に示すように、顔画像Pが表示されたIDカード1a(入館証)が来訪者に発行される。
【0049】
本実施形態のIDカード1aでは、液晶表示部20に来訪者の顔画像Pが表示されるので、展示場内の第三者はカード着用者が本人であることを容易に確認することができる。
【0050】
次いで、ステップS3において、来訪者がそのIDカード1aを着用して受付から各ブースに移動する。次いで、ステップ4において、IDカード1aの外部信号受信部70が各ブースに設置されたゲートから発信される外部信号を無線で受信する。
【0051】
この外部信号がCPUデバイス40に送信され、CPUデバイス40は外部信号に対応して変更対象色データを特定の色データに変換する色変更制御プログラムを実行する。つまり、CPUデバイス40は各種の色の色変更制御プログラムをもっており、外部信号の種類によって何色の色変更制御プログラムを実行するかを判断する。本実施形態では、顔画像の青色部を赤色に変更するので、CPUデバイス40は、外部信号に応じて予め決められた変更対象色データ(青色データ)を赤色データに変更する色変更制御プログラムを実行する。
【0052】
まず、CPU部40aが揮発性メモリデバイス60にアクセスして液晶表示部20に表示される顔画像の全て画像データを読み込む。図6に示すように、液晶表示部20の各画素22は、R(赤色)画素部22R、G(緑色)画素部22G、及びB(青色)画素部22Bから構成され、各画素22のカラー表示は、R,G,Bの色ごとに明るさが調節されることで様々な明るさの色が表現される。
【0053】
表現できる色数は、各色(R,G,B)に割り当てられた容量によって異なり、各色(R,G,B)に4ビットがそれぞれ割り当てられて4096色を表現する場合は、青色を発する画素の青色データは(R(0000), G(0000), B(1111))の画像データ(階調データ)として揮発性メモリデバイス60に記憶されている。
【0054】
そして、CPU部40aの色変更制御プログラムが実行されて、揮発性メモリデバイス60内の全画像データのうち、青色データ(R(0000), G(0000), B(1111))が赤色データ((R(1111), G(0000), B(0000))に変更される。基本顔画像の背景部以外の色は青色以外に設定されているので、結果的に背景部の画像データのみが青色データから赤色データに変更され、更新された顔画像データが揮発性メモリデバイス60に記憶される。
【0055】
そして、CPU部40aは、再度、揮発性メモリデバイス60内の更新された顔画像データを読み込み、ドライバIC30に顔画像データを送信し、ドライバIC30から液晶表示部20に表示信号が送信される。
【0056】
これにより、図7に示すように、青色の各画素(背景部)のみが赤色に変更されて、背景部が赤色となった顔画像PXが液晶表示部20に表示される。このようにして、外部信号に基づいて、IDカード1aに表示される顔画像のうちの背景部の色を変更することにより、セキュリティ対策を行いながら入場者の各種の管理を行うことができる。
【0057】
例えば、ブースごとに顔画像の背景部を特定の色に変えて来訪者のジャンル(技術分野など)を見分けたり、RFIDカードを適用することにより各ブースでの入場者数(入退者数)をカウントして入場管理することなども容易になる。
【0058】
また、IDカード1aに顔画像データだけではなく、特定のブースへの入場許可情報(会社名、部署、氏名などを含む)を入力しておくことにより、あるジャンルのブースに入場許可されていない人がそのブースに入場した場合、入場許可された人と違う目立つ色の背景色に変化させてセキュリティ管理することなども可能になる。
【0059】
なお、本実施形態では、顔画像のうち背景部の色を部分的に変更する例を示したが、人物部の頭髪、頬、目などの色を部分的に変更してもよい。
【0060】
また、各ブースに入るときだけではなく、展示場内での各種のイベント(外部信号)に基づいて、CPUデバイス40の色変更制御機能によって基本顔画像の一部の色を変更するようにしてもよい。
【0061】
このように、本実施形態のIDカードでは、CPUデバイス40の色変更制御機能によって基本顔画像の一部の色を変更できるので、揮発性メモリデバイス60に一部の色が相互に異なる多数の顔画像データを全て記憶させておく必要はなく、所定のカラー表示の一つの又は数個の基本顔画像データのみを記憶させておけばよい。
【0062】
1つの基本顔画像データのメモリ容量は、例えば4096色表示で縦100画素×横100画素の場合は15kバイトとなり、この場合、256kビットのワンチップの揮発性メモリデバイス(DRAMやSRAMなど)で十分である。このように、顔画像データが記憶される揮発性メモリデバイスのメモリ容量をカード基板に内蔵できる程度の容量に抑えることができるので、顔画像の一部の色を変更する機能をもつIDカードを容易に構成できるようになる。
【0063】
本実施形態と違って、揮発性メモリデバイス60に、相互に色の異なる顔画像データをn個記憶させる場合は、4096色表示で縦100画素×横100画素の場合は(15k×n)バイトとなり、個数nが膨大になると小型・薄型のカード基板1に内蔵することは困難である。
【0064】
次いで、ステップS5において、来訪者が帰る際にIDカード1aを受付に返却することによってIDカード1aが受付に回収される。本実施形態のIDカード1aでは、CPUデバイス40がタイマ機能部40dを備え、そこに所定の使用期限が入力されているので、所定時間が経過すると電源が自動的に切れるようになっている。
【0065】
これにより、液晶表示部20が非表示になると共に、揮発性メモリデバイス60に記憶された基本顔画像データが自動的に消去される。
【0066】
従って、IDカード1aが不正に外部に持ち出された場合であっても、所定時間が経過すると液晶表示部20が非表示になると共に、基本顔画像データが自動的に消去される。また、IDカード1aに専用の識別コードをもたせることにより、新たにデータを書き込む際には識別コードが必要となるので、専用のデータ処理システム以外では書き込みが困難になる。これにより、IDカード1aが盗難されたり、拾得物となったとしても、第三者に不正使用されて悪用されることが防止される。
【0067】
本実施形態では、表示装置としてIDカード(電子カード)を例に挙げて説明したが、静止画像を表示する各種のカード状の携帯可能端末や大容量のメモリデバイスを実装することが困難な小型・薄型の表示機能付電子機器に適用することができる。また、液晶表示部から顔画像だけではなく、各種画像を表示させ、外部信号によって画像の一部の色を変えることにより、各種の管理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】図1は本発明の実施形態のIDカードの構成を示す概略図である。
【図2】図2は本発明の実施形態のIDカードに設けられたCPUデバイスの構成を示す概略図である。
【図3】図3は本発明の実施形態のIDカード(入館証)の運用方法を示すフローチャートである。
【図4】図4は本発明の実施形態のIDカードにデータを入力するための外部画像処理装置を示す模式図である。
【図5】図5は本発明の実施形態の発行されたIDカード(入館証)の外観の様子を示す平面図である。
【図6】図6は本発明の実施形態のIDカードの液晶表示部の各画素の様子を示す平面図である。
【図7】図7は図5のIDカードに表示された顔画像の背景部の色が変化した様子を示す平面図である。
【符号の説明】
【0069】
1,1a…IDカード(表示装置)、5a〜5e…配線、6a,6b…外部接続配線、10…カード基板、12…外部接続電極(外部通信手段)、14…充電用電極、20…液晶表示部、22…画素、22R…R(赤色)画素部、22G…G(緑色)画素部、22B…B(青色)画素部、25…外部画像処理装置、26…入出力部、30…ドライバIC、40…CPUデバイス、40a…CPU部、40b…不揮発性メモリ部、40c…揮発性メモリ部、40d…タイマ機能部、40e…電源スイッチ回路、50…電源部、60…揮発性メモリデバイス、P,PX…顔画像。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示部と、
前記画像のデータが記憶されるメモリデバイスと、
前記メモリデバイスに記憶される前記画像のデータの書き込み及び読み込みを制御すると共に、前記表示部への前記画像の表示を制御するCPUデバイスとを有する表示装置の色表示変更方法であって、
前記画像のデータは、色変更される変更対象色データと色変更されない非変更色データとから構成され、かつ前記非変更色データは前記変更対象色データと異なる色情報に設定されており、前記変更対象色データを予め決めておき、前記変更対象色データを前記CPUデバイスによって特定の色データに変更することにより、前記画像の一部の色を変更することを特徴とする表示装置の色表示変更方法。
【請求項2】
前記画像のデータは、外部画像処理装置によって作成され、外部通信手段によって該外部画像処理装置から前記メモリデバイスに書き込まれることを特徴とする請求項1に記載の表示装置の色表示変更方法。
【請求項3】
前記CPUデバイスには外部信号が入力される外部信号入力部が設けられており、前記外部信号に基づいて、前記CPUデバイスのプログラムにより色変更制御機能が実行されて前記画像の一部の色が指定の色に変更されることを特徴とする請求項1に記載の表示装置の色表示変更方法。
【請求項4】
画像を表示する表示部と、
前記画像のデータが記憶されるメモリデバイスと、
前記メモリデバイスに記憶される前記画像のデータの書き込み及び読み込みを制御すると共に、前記表示部への前記画像の表示を制御し、かつ色変更制御機能を備えたCPUデバイスと、
前記CPUデバイスに電源を供給する電源部とを有し、
前記画像のデータは、色変更される変更対象色データと色変更されない非変更色データとから構成され、かつ前記非変更色データは前記変更対象色データと異なる色情報に設定されており、前記CPUデバイスの前記色変更制御機能によって前記変更対象色データが特定の色データに変更されて前記画像の一部の色が変更されることを特徴とする表示装置。
【請求項5】
前記画像のデータは、外部画像処理装置によって作成され、外部通信手段によって該外部画像処理装置から前記メモリデバイスに書き込まれることを特徴とする請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記CPUデバイスには外部信号が入力される外部信号入力部が設けられており、前記外部信号に基づいて、前記CPUデバイスのプログラムにより前記色変更制御機能が実行されて前記画像の一部の色が指定の色に変更されることを特徴とする請求項4に記載の表示装置。
【請求項7】
前記メモリデバイスは、揮発性メモリデバイスであることを特徴とする請求項4乃至6のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項8】
メモリデバイスは、前記画像を表示するための基本画像データを記憶できる必要最小限のメモリ容量に設定されていることを特徴とする請求項4乃至6のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記画像のデータは、前記表示部を構成する各画素に表示される色にそれぞれ対応する色データからなり、前記CPUデバイスによって前記色データのうち前記変更対象色データが指定の色に変更されることを特徴とする請求項4乃至6のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項10】
前記変更対象色データが外部通信手段によって外部画像処理装置から前記CPUデバイスに入力されて変更対象色が決められることを特徴とする請求項6に記載の表示装置。
【請求項11】
前記画像は人物部と背景部によって構成される顔画像であり、前記背景部の色は前記人物部を構成する各部分の色と異なる無地色であり、前記背景部の色が変更されることを特徴とする請求項4乃至6のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項12】
前記CPUデバイスは、使用期限が設定されるタイマ機能部と、前記使用期限に達したときに前記電源部からの電源を切断する電源スイッチ回路とを備えており、
前記表示装置が発行された時点から所定時間が経過したときに、前記電源が自動的に切られることを特徴とする請求項4乃至6のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項13】
前記電源部は二次電池からなり、前記表示装置の端部には前記二次電池に電気的に接続されてそれを充電するための充電用電極が設けられていることを特徴とする請求項4乃至6のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項14】
前記表示部は、反射型液晶表示装置、有機ELディスプレイ又は電子ペーパーから構成されることを特徴とする請求項4乃6のいずれか一項に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−200949(P2008−200949A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−38292(P2007−38292)
【出願日】平成19年2月19日(2007.2.19)
【出願人】(000162113)共同印刷株式会社 (488)
【出願人】(899000079)学校法人慶應義塾 (742)
【Fターム(参考)】