説明

表示装置を備える建材

【課題】配線作業を行うことなく配設できるとともに、配設後において表示情報の変更を行うことが可能な表示装置を備える建材を提供すること。
【解決手段】表示装置8は、表示情報を表示する表示画面12aを構成するとともに、表示画面12aに表示する表示情報を電子的に書き換え可能な電子ペーパー12と、電子ペーパー12を各々識別可能な識別情報を記憶する記憶手段15と、記憶手段15に記憶されている識別情報を無線通信により送信可能な送信部13と、表示画面12aに表示する表示情報を特定可能な表示特定情報を無線通信により受信する受信部13と、電子ペーパー12に電力を供給する電力供給手段14と、受信部13にて表示特定情報を受信したことに基づいて、電子ペーパー12の表示画面12aの表示制御を行う表示制御手段16と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の表示情報を表示可能な表示装置を備える建材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、磁性材によって構成された基板上に、正面側に表示画面要素(表示画面)が設けられた単位表示体(表示装置を備える建材)の背面を、永久磁石を介して整列配置することによって大型表示画面を形成可能となっており、単位表示体の取り外しや、位置の微調整を容易に行えるようにしているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2007−248498号公報(第5頁、第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の単位表示体(表示装置を備える建材)にあっては、単位表示体毎に、単位表示体のコネクタに外部電源や、表示画面要素(表示画面)を操作する外部コントローラ等の配線を接続する作業が必要となるため、複数の単体表示体を基板上に配列する際の作業が煩雑になるという問題があった。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、配線作業を行うことなく配設できるとともに、配設後において表示情報の変更を行うことが可能な表示装置を備える建材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の表示装置を備える建材は、
所定の表示情報を表示可能な表示装置を備える建材であって、
前記表示装置は、
前記表示情報を表示する表示画面を構成するとともに、該表示画面に表示する表示情報を電子的に書き換え可能な電子ペーパーと、
前記電子ペーパーを各々識別可能な識別情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶されている識別情報を無線通信により送信可能な送信部と、
前記表示画面に表示する表示情報を特定可能な表示特定情報を無線通信により受信する受信部と、
前記電子ペーパーに電力を供給する電力供給手段と、
前記受信部にて前記表示特定情報を受信したことに基づいて、前記電子ペーパーの表示画面の表示制御を行う表示制御手段と、
を備えることを特徴としている。
この特徴によれば、表示装置の表示画面が、表示情報を保持するための電力を必要としない電子ペーパーから構成されていることで、少ない電力供給で種々の表示情報を表示することができるばかりか、表示画面に表示する表示情報を特定可能な表示特定情報を無線通信により受信することにより表示画面に表示する表示情報を変更できることで、建材の施工時において、表示に必要な電力の供給や表示特定情報及び識別情報の送受信のための外部との配線接続が不要になるとともに、建材を配設した後でも表示情報を容易に変更することができる。また、識別情報が送信可能であることにより、複数の建材が配設される場合において、各電子ペーパーで個別の表示情報を表示することが可能となる。
尚、前記建材とは、天井、壁、床などに使用される内装材に限定されるものではなく、瓦や煉瓦等の外装材も含む。
【0007】
本発明の請求項2に記載の表示装置を備える建材は、請求項1に記載の表示装置を備える建材であって、
前記受信部及び前記送信部は、透光性を有するとともに、前記電子ペーパーの表示画面上に配設されていることを特徴としている。
この特徴によれば、建材の表示画面以外の表面が外部に露呈されない場合でも、表示特定情報及び識別情報を、表示画面の視認性を損ねることなく送受信できるばかりか、表示画面を極力大型化できる。
【0008】
本発明の請求項3に記載の表示装置を備える建材は、請求項1または2に記載の表示装置を備える建材であって、
前記電力供給手段は、光起電力効果によって電力を発生させる発電部を有する太陽電池を含むことを特徴としている。
この特徴によれば、例えば、電球や太陽等の光源からの光によって発電部で発電された電力を電子ペーパーに供給できることで、バッテリ等の交換や外部電源からの充電作業が不要となるため、長期にわたり表示装置を使用できる。
【0009】
本発明の請求項4に記載の表示装置を備える建材は、請求項1ないし3のいずれかに記載の表示装置を備える建材であって、
前記発電部は、前記受信部及び前記送信部の周囲に沿って枠状に配置されていることを特徴としている。
この特徴によれば、表示画面の視認性を損ねることなく、かつ効率よく受光して発電することができる。
【0010】
本発明の請求項5に記載の表示装置を備える建材は、請求項1ないし4のいずれかに記載の表示装置を備える建材であって、
前記建材の本体内部に形成され、前記表示装置を収容するための収容部と、
前記表示画面を透視可能な保護パネルと、
を備え、
前記収容部の開口を前記保護パネルにより閉塞したことを特徴としている。
この特徴によれば、表示装置が収容された収容部が、強度の高い建材の本体と保護パネルとにより覆われるため、装置の破損や、建材を配設するために使用される接着剤やセメント等の補助材料あるいは雨水等の収容部内への進入等を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明に係る表示装置を備える建材を実施するための最良の形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例1】
【0012】
本発明の実施例を図面に基づいて説明すると、先ず図1は、本発明の実施例1における表示パネルが適用された部屋の全体像を示す斜視図であり、図2は、表示パネルの取り付けを示す拡大斜視図であり、図3は、表示パネルを示す分解斜視図であり、図4は、図2における表示パネルを示す一部拡大A−A断面図であり、図5は、表示パネルの構成を示すブロック図である。以下、図3の紙面左側及び図4の紙面上方側を表示パネルの正面側(前方側)として説明する。
【0013】
図1の符号1は、本発明における建材としての表示パネルである。この表示パネル1は、略直方体形状に形成され、例えば、屋内の壁2の内面に上下に複数敷き詰められて使用される。具体的には、図2及び図4に示すように、表示パネル1は、壁2の内壁面を構成する仕上材(化粧パネル)とされ、該仕上材を構造的に支持する合板や石膏板等の基材3の表面に形成された接着剤等からなる接着層4に背面が貼り付けられている。
【0014】
各表示パネル1の正面側は、後述する表示装置8の表示画面12aが視認できるようになっており、この表示画面12aに絵柄、模様、画像、文字等の表示情報を表示することによって、壁紙を表現できるようになっている。また、これら複数の表示パネル1の表示画面12aにより構成される大型の表示画面に表示される表示パターンは、図5に示すコントローラ5によって、予め登録された複数種類の表示パターンのうちから選択することにより変更できるようになっている。
【0015】
図3及び図4に示すように、表示パネル1は、後述する表示装置8を収容する本発明における建材の本体を構成するケース体6を有している。このケース体6は、ABS樹脂等の樹脂材により、正面に開口7aを有する箱体にて所定強度で構成され、内部には表示装置8を収容するための収容部7が凹設されている。
【0016】
収容部7内に表示装置8が収容されたケース体6には、正面側からケース体6の正面視での外形と略同寸の保護パネル9が取り付けられる。この保護パネル9は、無色透明なガラスもしくは樹脂材により構成されている。この保護パネル9がケース体6に正面側から取り付けられることにより、収容部7の開口7aが閉塞され、ケース体6内に収容された表示装置8が保護される。
【0017】
ケース体6と保護パネル9との間には、ゴム材等によって構成された枠状のシール材10が配設されている。このシール材10によりケース体6と保護パネル9との全周が接着されるため、収容部7内は密封状態に維持される。
【0018】
また、保護パネル9により、表示装置8が収容された収容部7の開口7aをシール材10を介して閉塞すると、保護パネル9の背面に表示装置8の正面が隙間なく密接し、該保護パネル9を通して表示装置8の表示画面8aを視認可能となるとともに、表示情報の屈折が防止される。
【0019】
次に、表示装置8の構成を、図5に基づいて説明する。表示装置8は、正面が表示情報を表示する表示画面12aとして構成された電子ペーパーである電子ペーパー12と、表示画面12aに表示する表示情報や各表示パネル1毎の電子ペーパー12を個々に識別可能な識別情報としての固有の表示パネルIDが記憶される記憶部15(記憶手段)及び該記憶部15に記憶されている表示データに基づいて電子ペーパー12の表示画面12aの表示制御を行うCPU(表示制御手段)等を有する表示制御回路16が設けられた制御基板11と、後述するコントローラ5と無線通信によりデータ通信可能な本発明における送信部及び受信部としてのデータ送受信部13と、制御基板11に電力を供給するための太陽電池14と、から構成され、表示制御回路16には、電子ペーパー12、データ送受信部13、太陽電池14、記憶部15が接続されている。
【0020】
本実施例では、図1に示されるように、壁2の壁面に複数の表示パネル1を互いに隣接配置することにより大型の表示画面が構成されており、壁2全体の表示パターンとして複数種類の表示パターンが予め定められているとともに、各表示パネル1には、各表示パターンを構成する表示情報としての表示パターンデータが各々記憶されている。そして、後述するコントローラ5にて、予め登録された複数種類の表示パターンのうちから選択された表示パターンを特定可能な表示特定情報としてのパターンID(例えばAパターン、Bパターン、・・・等)が各表示パネル1に送信されることにより、各表示パネル1の表示画面12aの表示内容が切り換わり、壁2全体の表示パターンが変更されるようになっている。
【0021】
具体的には、各表示パネル1の記憶部15には、各表示パターンに対応する表示パターンデータが予め複数記憶されており、表示制御回路16のCPUは、後述するようにコントローラ5から送信されたパターンIDを受信したときに、該受信したパターンIDに対応する表示パターンデータに基づく画像等を表示画面12aに表示させる制御を行う。
【0022】
図3及び図4に示されるように、制御基板11は、電子ペーパー12の背面に当接するように配置され、データ送受信部13と、太陽電池14は、電子ペーパー12の正面である表示画面12a上(表示領域内)に層状に配置されている。制御基板11及び電子ペーパー12は、収容部7と略同寸の正面視方形状に形成されている。
【0023】
また、特に図示はしないが、制御基板11には、太陽電池14に接続されたバッテリが設けられており、太陽電池14で発電された電力はバッテリに一時的に蓄電することができるようになっている。つまり、この図示しないバッテリと太陽電池14は、本発明における電力供給手段を構成している。
【0024】
電子ペーパー12は、表示画面12aに表示させる表示パターンデータを電子的に書き換え可能な電子機器であり、液晶モニタと異なりバックライト等を用いないため、液晶モニタ等の他の表示画面を有する電子機器と比較して消費電力が少なくて済むようになっている。更に、電子ペーパー12は、表示画面12aの書き換え時のみに電力を使用し、電力が供給されない状態であっても表示画面12aの表示内容を維持できるようになっている。
【0025】
本実施例における電子ペーパー9の表示方式は、マイクロカプセル電気泳動方式を採用している。具体的には、図4に示すように、電子ペーパー12は、カバーフィルム17の正面に形成された磁気泳動記憶層18と、磁気泳動記憶層18を覆う透光性を有する保護層19と、から構成されている。このうち、カバーフィルム17の正面側及び保護層19の背面側には、図示しない透明電極が配置されている。また、磁気泳動記憶層18には、無数の透明なマイクロカプセル20が封じ込められており、このマイクロカプセル20の中には、帯電された白と黒の粒子が内包されている。そして、磁気泳動記憶層18内に透明電極によって所定の電圧をかけることでマイクロカプセル20内の粒子を移動させることで、表示画面12aの書き換えを行うようになっている。
【0026】
図3及び図4に示すように、データ送受信部13は、制御基板11及び電子ペーパー12よりも僅かに縮小された正面視方形状に形成されており、表示画面12aの略中央に配置されている。また、データ送受信部13は、インジウムスズ酸化物等によって生成された透光性を有する透明導電膜アンテナによって構成されており、記憶部15に記憶されている表示パネルIDを無線通信によってコントローラ5(図5参照)に送信可能であるとともに、コントローラ5から無線通信によって送信された表示パネルIDやパターンIDを受信可能となっている。
【0027】
太陽電池14は、正面が光起電力効果により日光や蛍光灯等の光源から発せられる光が照射されると電力を発生する発電部14aに構成されており、発電部14aで発電された電力は、制御基板11に設けられた図示しないバッテリに蓄電される。夜間の消灯時など光が太陽電池14に照射されない場合には、蓄電されたバッテリから制御基板11に電力を供給するようになっている。
【0028】
また、太陽電池14は、表示画面12a上を、データ送受信部13の周囲に沿って枠状に配置されている。このように太陽電池14とデータ送受信部13とは前後に層状に重なり合うように配置される。尚、太陽電池14は、表示画面12aに表示される表示情報を変更するための電力を十分に得られるのであれば、太陽電池14の表示画面12a上に占める面積は小さいほど望ましい。
【0029】
太陽電池14、データ送受信部13及びシール材10は、前後幅(厚み)が略同一に形成されており、表示装置8がケース体6の収容部7に収容された状態において、太陽電池14、データ送受信部13及びシール材10の表面が略面一となる。そのため、保護パネル9が収容部7の開口7aを閉塞する際に、保護パネル9の背面に、表示装置8の正面である太陽電池14とデータ送受信部13との表面が当接するので、表示装置8は収容部7内においてがたつきなく固設される。
【0030】
尚、制御基板11は、太陽電池14とデータ送受信部13と電子ペーパー12とに図示しない透明配線によって接続されている。また、これら表示装置8は、一体的にユニット化された状態で収容部7内に収容される。
【0031】
次に、コントローラ5の構成を、図5に基づいて説明する。コントローラ5は、特に図示はしないが、手中に収まる程度の大きさのリモートコントローラであり、コントローラ5での各種処理を実行する制御回路21を有し、該制御回路21には、後述する初期設定により各表示パネル1から取得した表示パネルIDや、各表示パターンに対応する複数のパターンIDが記憶される記憶部22と、例えばタッチパネルやキーボード等(図示略)により構成され、各種操作を行うための操作部23と、操作部23の操作内容を表示可能な表示器35と、操作部23の操作に基づいて、各表示パネル1に対して種々の情報を送信するデータ送受信部24と、コントローラ5に電力を供給するバッテリ25と、が接続されている。
【0032】
ここで、コントローラ5の操作方法及び制御内容を説明する。本実施例では、まず初期設定として、表示特定情報としてのパターンIDを送信する複数の表示パネル1を特定可能な表示パネルIDを取得する処理を行う。
【0033】
具体的には、操作部23にて予め定められた初期設定操作を行うことにより初期設定処理が実施され、該初期設定処理においては、まず表示パネルIDの取得要求情報がデータ送受信部24を介して送信される。
【0034】
表示パネル1の表示制御回路16は、コントローラ5から送信された取得要求情報を受信したことに基づき、記憶部15に記憶されている表示パネルIDを、データ送受信部13を介して送信する。
【0035】
コントローラ5の制御回路21は、取得要求情報の送信に基づき受信した複数の表示パネルIDを記憶部15に記憶(登録)し、初期設定処理を終了する。
【0036】
次に、壁2全体の表示パターンを変更する場合、使用者は、まずコントローラ5の操作部23にてパターン選択操作を行い、記憶部22に記憶されている複数種類の表示パターンのうちから所望の表示パターンを選択する。尚、選択された表示パターンは表示器35に表示され、使用者が選択内容を目視にて確認できるようになっている。
【0037】
そして、選択した表示パターンでよければ、操作部23により送信操作を行うことで、データ送受信部24を介して、選択された表示パターンに対応するパターンID及び表示パネルIDを含む表示特定情報が送信される。
【0038】
各表示パネル1の表示制御回路16は、データ送受信部13にて受信した表示特定情報に含まれる複数の表示パネルIDのうちいずれかが、記憶部15に記憶されている表示パネルIDと一致するか否かを判定し、一致すると判定した場合、該表示特定情報に含まれるパターンIDに対応して記憶されている表示パターンデータを読み出し、電子ペーパー12に電圧を印加して、読み出した表示パターンデータに基づく画像を表示画面12aに表示させる制御を行う。つまり、表示特定情報としてのパターンIDの受信に基づき、各表示パネル1の表示内容が個々に切り換わり、壁2全体の表示パターンが変更されることになる。
【0039】
また、使用者が新たに表示パターンを変更する場合、上記手順で異なる表示パターンを選択して送信する操作を行うことで、表示パターンを容易に変更することができる。
【0040】
以上、本実施例における表示パネル1にあっては、表示装置8の表示画面12aが、表示情報を維持するための電力を必要としない電子ペーパー12から構成されていることで、少ない電力供給で種々の表示情報を表示することができるばかりか、表示画面12aに表示する表示パターンデータを特定可能な表示特定情報であるパターンIDを外部のコントローラ5から無線通信によって受信することができるため、壁2に表示パネル1を貼り付けた後においても、表示画面12aに表示する表示パターンデータの変更を行うことが可能である。
【0041】
また、各表示パネル1それぞれは、表面に配線接続用のコネクタ等が一切存在しないとともに、表示に必要な電力を供給可能な電源部を有する独立した建材ユニットとして構成されていることで、表示に必要な電力の供給や表示特定情報及び表示パネルIDを送受信するための外部との配線接続作業が不要なため、複数の表示パネル1を基材3に貼り付ける作業が煩雑になることがない。また、表示パネルIDが外部に送信可能であることにより、故障等によりいずれかの表示パネル1を交換した場合でも、表示パネルIDを新たに取得することで、交換された表示パネル1をコントローラ5が特定することができる。
【0042】
本実施例では、壁2の基材3に配設された全ての表示パネル1の表示画面12aを一斉に切り換える表示パターンが記憶されていたが、例えば特定の表示パネル1にのみパターンIDを送信すれば、特定の表示パネル1の電子ペーパー12でのみ個別に表示情報を変更することも可能である。
【0043】
また、データ送受信部13は、透光性を有するとともに、電子ペーパー12の表示画面12a上に配設されているので、表示パネル1の表示画面12a以外の表面が外部に露呈されない場合でも、表示特定情報や表示パネルIDを、表示画面12aの視認性を損ねることなく送受信できるばかりか、表示画面12aを極力大型化できる。
【0044】
また、電力供給手段は、光起電力効果によって電力を発生させる発電部14aを有する太陽電池14を含むので、例えば、電球や太陽等の光源からの光によって発電部14aで発電された電力を電子ペーパー12に供給できることで、バッテリ等の交換や外部電源からの充電作業が不要となるため、長期にわたり表示装置8を使用できる。
【0045】
また、発電部14aは、データ送受信部13の周囲に沿って枠状に配置されているので、表示画面12aの視認性を損ねることなく、かつ効率よく受光して発電することができる。
【0046】
また、収容部7の開口7aを保護パネル9により閉塞したので、表示装置8が収容された収容部7が、強度の高いケース体6と保護パネル9とにより覆われるため、装置の破損や、表示パネル1を配設するために使用される接着剤やセメント等の補助材料あるいは雨水等の収容部7内への進入等を防止できる。
【実施例2】
【0047】
次に、実施例2に係る表示装置を備える建材につき、図6及び図7を参照して説明する。尚、前記実施例と同一構成で重複する構成を省略する。図6は、実施例2における方向指示パネルが敷設された舗装路を示す斜視図であり、図7は、図6における方向指示パネルを示すB−B断面図である。以下、図7の紙面上方を方向指示パネルの上方として説明する。
【0048】
図6に示すように、本発明の実施例2としての表示装置を備えた建材は、イベント会場等の屋外の地面に敷設される建材としての方向指示パネル26である。この方向指示パネル26は、図6に示すように、外装材である石畳27によって舗装された舗装路28において、一部の石畳の代わりに単体で敷設されている。
【0049】
各方向指示パネル26は、表示画面12aに本発明における表示情報としての矢印を表示しており、十字路等の分岐でイベントの順路から外れないように、来場客を誘導するようになっている。
【0050】
図7に示すように、方向指示パネル26は、地面Gに配置される本発明における建材の本体としての支持体29と、表示画面12aに矢印を表示する表示装置8と、表示装置8を上方からの圧力から保護する保護パネル30と、から構成されている。
【0051】
支持体29は、炭素繊維強化プラスチック等の高強度を有する樹脂材によって構成されている。また、支持体29には、上面に開口31aを有する収容部31が凹設されており、この収容部31に表示装置8が収容されている。更に、支持体29の下面には、支持体29を軽量化するための下向き凹状の空隙32が形成されている。尚、支持体29の側面には微小な凸凹が形成されており、セメント34と接合し易くなっている。
【0052】
保護パネル30は、ポリカーボネート等の透光性を有し、且つ高強度を有する樹脂材もしくは強化ガラス等で構成されている。また、上方から荷重が掛かることにより発生する撓みを防止するために、十分な上下長さ(厚み)を有して形成されている。
【0053】
この保護パネル30は、表示装置8が収容された収容部31を閉塞する際、シール材10によって、保護パネル30と表示装置8との間に空気層33が形成される。こうすることで、保護パネル30に上方から荷重が掛かって撓みが発生しても、保護パネル30と表示装置8とが当接していないので、表示装置8が保護パネル30に押圧されて破損してしまうことを防止することができる。
【0054】
そして、方向指示パネル26は、前後及び左右をセメント34によって隣り合う石畳と接着されることによって位置固定される。尚、表示画面12aの表示情報を変更する際には、実施例1と同様に、コントローラ5によって無線通信を行い、表示画面12aを書き換える。
【0055】
尚、表示情報の変更は、例えばイベント会場にて開催されるイベントの変更に伴い展示ブースが変更された場合等において、来場客の誘導順路示す矢印の向き等を変更する場合等において行われる。
【0056】
このように、本実施例2において前記実施例1と相違する点は、建材の本体としての支持体29及び表示する表示データが相違するだけであり、表示装置8の構成は前記実施例1と同一であるため、前記実施例1と同様の作用・効果を奏する。
【0057】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0058】
例えば、前記実施例では、表示パネル1の表示画面12aに表示される表示情報の切り換え、つまり、表示画面12aに表示する表示データを特定可能な表示特定情報(パターンID)を無線通信で送信可能な表示特定情報送信手段の一例として、リモートコントローラ5が適用されていたが、このようなリモートコントローラ等に限定されるものではなく、例えば室内の蛍光灯のスイッチに接続されたパーソナルコンピュータ等としてもよい。この場合、蛍光灯のスイッチの切り換えを行った回数やスイッチを押し続けた時間等に応じて、パーソナルコンピュータから表示特定情報が送信され、各表示パネル1の表示画面12aの表示情報が変更されるようにすればよい。
【0059】
さらに、上記パーソナルコンピュータに音声センサまたは振動センサを接続し、手を叩く音や振動の検知に基づいて表示特定情報を送信可能とすることによって、各表示パネル1の表示画面12aの表示情報が変更されるようにしてもよい。
【0060】
また、前記実施例では、表示画面12aに表示する表示情報(表示データ)を特定可能な表示特定情報として、予め定められた表示パターンを特定可能なパターンIDとしていたが、表示画面12aに表示する表示情報(表示データ)を特定可能な情報であれば、例えば単なる表示変更指令情報であってもよいし、あるいは、表示パネル1の表示画面12aにて表示する表示データそのものであってもよい。
【0061】
また、前記実施例では、表示装置8が収容された収容部7の開口7aを保護パネル9によって閉塞したが、表示パネル1を室内に限定して使用するのであれば保護パネル9は必ずしも必要ではない。
【0062】
また、前記実施例では、表示画面12a上に配置されたデータ送受信部13の周囲に沿って枠状に配置された太陽電池14を配置したが、太陽電池14が透光性を有していれば、太陽電池14と、データ送受信部13と、を積層して表示画面12a上に配置してもよい。
【0063】
また、前記実施例では、建材の一例として、壁2の内装材としての表示パネル1や、地面を構成する外装材としての方向指示パネル26が記載されていたが、天井や床などに使用される内装材や、瓦や煉瓦等の外装材を構成するものであってもよい。
【0064】
また、前記実施例2の方向指示パネル26では、支持体29に凹設された収容部31内に表示装置8を収容し、保護パネル30にて収容部31の開口31aを閉塞しているが、支持体29に収容部31を形成せずに、支持体自体を透光性及び高強度を有する樹脂材によって構成し、該樹脂材に表示装置8を埋設することで、支持体自体が保護パネル30を兼用するようにしてもよい。
【0065】
また、前記実施例では、電子ペーパー12の表示方式を、帯電された白と黒の粒子が内包されているマイクロカプセル14を封入した磁気泳動記憶層18内に透明電極によって所定の電圧をかけることで、マイクロカプセル14内の粒子を移動させ、表示画面12aの書き換えを行うマイクロカプセル電気泳動方式として説明したが、半球ごとに白と黒に塗り分けられた球形微粒子に電圧をかけることで、球形微粒子を回転させて表示画面12aの書き換えを行うツイストボール方式等、表示画面12aの表示情報を電力の消費無しに保持できるものであれば、電子ペーパー12の表示方式は問わない。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の実施例1における表示パネルが適用された部屋の全体像を示す斜視図である。
【図2】表示パネルの取り付けを示す拡大斜視図である。
【図3】表示パネルを示す分解斜視図である。
【図4】図2における表示パネルを示す一部拡大A−A断面図である。
【図5】表示パネルの構成を示すブロック図である。
【図6】実施例2における方向指示パネルが敷設された舗装路を示す斜視図である。
【図7】図6における方向指示パネルを示すB−B断面図である。
【符号の説明】
【0067】
1 表示パネル(建材)
6 ケース体(建材の本体)
7 収容部
7a 開口
8 表示装置
9 保護パネル
10 シール材
12 電子ペーパー
12a 表示画面
13 データ送受信部(送信部,受信部)
14 太陽電池(電力供給手段)
14a 発電部(電力供給手段)
15 記憶部(記憶手段)
16 表示制御回路(表示制御手段)
26 方向指示パネル(建材)
29 支持体(建材の本体)
30 保護パネル
31 収容部
31a 開口
32 空隙
33 空気層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の表示情報を表示可能な表示装置を備える建材であって、
前記表示装置は、
前記表示情報を表示する表示画面を構成するとともに、該表示画面に表示する表示情報を電子的に書き換え可能な電子ペーパーと、
前記電子ペーパーを各々識別可能な識別情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶されている識別情報を無線通信により送信可能な送信部と、
前記表示画面に表示する表示情報を特定可能な表示特定情報を無線通信により受信する受信部と、
前記電子ペーパーに電力を供給する電力供給手段と、
前記受信部にて前記表示特定情報を受信したことに基づいて、前記電子ペーパーの表示画面の表示制御を行う表示制御手段と、
を備えることを特徴とする表示装置を備える建材。
【請求項2】
前記受信部及び前記送信部は、透光性を有するとともに、前記電子ペーパーの表示画面上に配設されていることを特徴とする請求項1に記載の表示装置を備える建材。
【請求項3】
前記電力供給手段は、光起電力効果によって電力を発生させる発電部を有する太陽電池を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置を備える建材。
【請求項4】
前記発電部は、前記受信部及び前記送信部の周囲に沿って枠状に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の表示装置を備える建材。
【請求項5】
前記建材の本体内部に形成され、前記表示装置を収容するための収容部と、
前記表示画面を透視可能な保護パネルと、
を備え、
前記収容部の開口を前記保護パネルにより閉塞したことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の表示装置を備える建材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−26070(P2010−26070A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−184931(P2008−184931)
【出願日】平成20年7月16日(2008.7.16)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】