説明

表示装置及びこれを搭載した画像形成装置

【課題】直近に使用したキーボード部を優先的に表示させることができ、操作性の向上が図られた表示装置を提供する。
【解決手段】表示装置である操作パネル30は、画面上に複数の入力キー51を表示してその操作を受け付ける操作表示部37と、入力可能な文字または記号を複数の入力キー51各々に割り当てて表示させた複数のキーボード部50と、操作表示部37に複数のキーボード部50のいずれか一つを配置した文字入力画面40と、複数のキーボード部50各々に対する使用履歴を記憶する記憶部39と、文字入力画面50が非表示状態である操作表示部37に文字入力画面50を表示させるとき、記憶部39に記憶された使用履歴に基づいて複数のキーボード部50うち直近に使用したキーボード部50を基準キーボード部50zとして文字入力画面40に配置させる操作制御部38と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネル機能を有し、その操作によってキー入力が可能な表示装置に関する。また、この表示装置を搭載した画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置は近年、携帯型情報機器に代表される多くの電化製品に搭載されている。複写機やプリンタ、ファクシミリ、スキャナといった画像形成装置も同様に、その装置正面に表示装置を備えているものがある。このような表示装置は一般的にタッチパネル部が設けられ、液晶などで構成された画面上に様々な情報や入力キーを表示するとともに、その入力キーに手で直接、或いはタッチペンなどの入力補助具で触れることにより、文字入力や命令実行などの操作を受け付ける。
【0003】
特に文字入力を受け付ける表示装置は、入力し得る文字に対応した多くのキーを画面上に表示させる。このため、画像形成装置や携帯型情報機器のように表示装置のタッチパネル部自体が比較的小型である場合、個々の入力キーはより一層小さくなる可能性が高い。このような表示装置はたとえタッチペンなどの入力補助具を使用したとしても、所望の入力キーと隣り合うキーを間違って押してしまう可能性がある。したがって、表示装置としては操作性に配慮した大きさの複数の入力キーを配列して表示したキーボード部を複数用意し、それら画面の表示の切り替えが容易なものが望ましい。特に、例えば直近に使用したキーボード部を優先的に表示させることができ、操作性の向上が図られた表示装置が望ましい。
【0004】
ここで、複数の画像(ウィンドウ)の切り替えを容易に行うことが可能な表示装置の一例を、特許文献1に見ることができる。特許文献1に記載された画像表示装置は前後に配置された複数のウィンドウを画面に表示する際、表示範囲指定手段により表示を開始する前面の位置と表示を終了する背面の位置で示される表示範囲を指定し、画像設定手段により該指定された表示範囲内に配置されている前記ウィンドウを表示対象に設定するので、複数のウィンドウが重なった画面で、後方にある不要なウィンドウを非表示にしたり、前方にある必要なウィンドウの表示、非表示を容易に切り替えたりできるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−132304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された画像表示装置はパーソナルコンピュータのモニタ画面などに複数のウィンドウを表示させる際に必要なウィンドウの切り替えを容易にできるようにしたものであって、画像形成装置や携帯型情報機器が有する比較的小型の表示装置にとって、その技術の適用が困難である。したがって、キー入力を行う際に必要とされるキーボード部を表示させる際、例えば直近に使用したキーボード部を優先的に表示させることができない虞がある。
【0007】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、直近に使用したキーボード部を優先的に表示させることができ、操作性の向上が図られた表示装置を提供することを目的とする。また、このような表示装置を搭載し、良好な使い勝手を備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明は表示装置において、画面上に複数の入力キーを表示するとともに前記入力キーの操作を受け付けるタッチパネル部を有する操作表示部と、入力可能な文字または記号を前記複数の入力キー各々に割り当てて表示させた複数のキーボード部と、前記操作表示部に前記複数のキーボード部のいずれか一つを配置した文字入力画面と、前記複数のキーボード部及び前記複数のキーボード部各々に対する使用履歴を記憶する記憶部と、前記操作表示部に対する前記文字入力画面の表示、非表示を制御するとともに、前記文字入力画面が非表示状態である前記操作表示部に前記文字入力画面を表示させるとき、前記記憶部に記憶された使用履歴に基づいて前記複数のキーボード部のうち直近に使用したキーボード部を基準キーボード部として前記文字入力画面に配置させる制御部と、を備えることとした。
【0009】
この構成によれば、これから改めて操作表示部に文字入力画面を表示させようとするとき、複数のキーボード部のうち使用履歴に基づいて直近に使用したキーボード部が文字入力画面に配置される。したがって、例えば直近に行ったキー入力と同様のキー入力を引き続き直ちに行うことができ、表示装置の操作性が向上する。
【0010】
なお、上記キーボード部は文字入力画面の少なくとも一部を構成する画像である。
【0011】
また、上記構成の表示装置において、前記文字入力画面に配置させる前記キーボード部を切り替えるためのキーであって、前記複数のキーボード部を第1順序及び第2順序で各々切り替える第1キーボード部切り替えキー及び第2キーボード部切り替えキーを備え、前記制御部は、前記基準キーボード部に対して、前記第1キーボード部切り替えキーまたは前記第2キーボード部切り替えキーのいずれか一方が押下される度に奇数回前に使用された前記複数のキーボード部が使用された順番で前記文字入力画面に配置されるように設定し、他方が押下される度に偶数回前に使用された前記複数のキーボード部が使用された順番で前記文字入力画面に配置されるように設定することとした。
【0012】
この構成によれば、直近に使用した基準キーボード部に対して、例えば第1キーボード部切り替えキーを1回押下すると1回前に使用したキーボード部が、第2キーボード部切り替えキーを1回押下すると2回前に使用したキーボード部が文字入力画面に配置されるようになる。したがって、現在より比較的近い期間に使用したキーボード部を迅速に表示装置に表示させることができ、表示装置におけるキー入力の操作性がさらに向上する。
【0013】
また、上記構成の表示装置において、前記文字入力画面に配置させる前記キーボード部を切り替えるためのキーであって、前記複数のキーボード部を第1順序及び第2順序で各々切り替える第1キーボード部切り替えキー及び第2キーボード部切り替えキーを備え、前記記憶部は、前記文字入力画面に対する前記複数のキーボード部各々の配置の切り替えについて予め設定された順番を記憶し、前記制御部は、前記基準キーボード部に対して、前記第1キーボード部切り替えキーまたは前記第2キーボード部切り替えキーのいずれか一方が押下される度に前記基準キーボード部より以前に使用された順番で前記複数のキーボード部が前記文字入力画面に配置されるように設定し、他方が押下される度に前記記憶部に記憶された前記予め設定された順番で前記複数のキーボード部が前記文字入力画面に配置されるように設定することとした。
【0014】
この構成によれば、直近に使用した基準キーボード部に対して、例えば第1キーボード部切り替えキーを押下する度に基準キーボード部より以前に使用された順番でキーボード部が文字入力画面に配置されるようになり、第2キーボード部切り替えキーを押下する度に記憶部に記憶された予め設定された順番でキーボード部が文字入力画面に配置されるようになる。したがって、現在より比較的近い期間に使用したキーボード部を迅速に表示装置に表示させることができるのとともに、予め設定した順番でもキーボード部を表示装置に表示させることができるので、表示装置の操作性がより一層向上する。
【0015】
また、上記構成の表示装置において、前記制御部は、前記基準キーボード部に対して、前記第1キーボード部切り替えキーまたは前記第2キーボード部切り替えキーが押下される度に前記基準キーボード部より以前に使用された順番で前記複数のキーボード部が前記文字入力画面に配置されるように設定するとき、前記複数のキーボード部すべての順番を設定するまでに重複して設定され得る前記キーボード部について最近の順番のみを選択して設定することとした。
【0016】
この構成によれば、文字入力画面への配置に対して複数のキーボード部すべての順番が設定されたとき、重複するキーボード部が存在しないことになる。したがって、すべてのキーボード部を迅速に表示装置に表示させることができ、表示装置におけるキー入力の操作性がさらに向上する。
【0017】
また本発明では、上記構成の表示装置を画像形成装置に搭載することとした。
【0018】
この構成によれば、画像形成装置の表示装置において、例えば直近に行ったキー入力と同様のキー入力を引き続き直ちに行うことができ、表示装置のキー入力の操作性が向上する。
【発明の効果】
【0019】
本発明の構成によれば、直近に使用したキーボード部を優先的に表示させることができ、操作性の向上が図られた表示装置を提供することができる。また、このような表示装置を搭載し、良好な使い勝手を備えた画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る表示装置を搭載した画像形成装置の模型的垂直断面正面図である。
【図2】図1の画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示す画像形成装置の操作パネル(表示装置)の正面図である。
【図4】文字入力画面を表示した図3に示す操作パネルの操作表示部の正面図である。
【図5】図4と同様の操作表示部の正面図にして、図4とは異なるキーボード部を文字入力画面に配置した状態を示すものである。
【図6】図4及び図5と同様の操作表示部の正面図にして、図4及び図5とは異なるキーボード部を文字入力画面に配置した状態を示すものである。
【図7】図4の文字入力画面に複数のキーボード部が配置される順番を示す説明図にして、配置される順番を設定された順番で並べて表示した図である。
【図8】図4と同様の操作表示部の正面図にして、基準キーボード部を文字入力画面に配置した状態を示すものである。
【図9】図4の文字入力画面に複数のキーボード部が配置される順番を示す説明図にして、配置される順番を以前に使用された順番で並べて表示した図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る表示装置(操作パネル)の操作表示部の文字入力画面に複数のキーボード部が配置される順番を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図1〜図10に基づき説明する。
【0022】
最初に、本発明の第1の実施形態に係る表示装置を搭載した画像形成装置について、図1及び図2を用いてその構造の概略を説明しつつ、画像出力動作を説明する。図1は画像形成装置の模型的垂直断面正面図、図2は画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【0023】
画像形成装置1は、図1に示すように本体2の内部下方に給紙カセット3を備えている。給紙カセット3はその内部に印刷前のカットペーパーなどの用紙Pを積載して収容している。そして、この用紙Pは図1において給紙カセット3の左上方に向け、1枚ずつ分離されて送り出される。給紙カセット3は本体2の正面側から水平に引き出すことが可能である。
【0024】
本体2の内部であって給紙カセット3の左方には第1用紙搬送部4が備えられている。第1用紙搬送部4は本体2の左側面に沿って略垂直に形設されている。そして、第1用紙搬送部4は給紙カセット3から送り出された用紙Pを受け取り、本体2の左側面に沿って垂直上方に二次転写部5まで搬送する。
【0025】
給紙カセット3の上方であって第1用紙搬送部4が形設された本体2の左側面とは反対側の側面である右側面の箇所には手差し給紙部6が備えられている。手差し給紙部6には給紙カセット3に入っていないサイズの用紙や、厚紙、OHPシートのように1枚ずつ手で送り込みたいものが載置される。
【0026】
手差し給紙部6の左方には第2用紙搬送部7が備えられている。第2用紙搬送部7は給紙カセット3のすぐ上方にあって、手差し給紙部6から第1用紙搬送部4まで略水平に延びて第1用紙搬送部4に合流している。そして、第2用紙搬送部7は手差し給紙部6から送り出された用紙を受け取り、略水平に第1用紙搬送部4まで搬送する。
【0027】
一方、画像形成装置1の本体2の上面には原稿搬送装置8が、その下方には画像読取部9が備えられている。ユーザが原稿の複写を行う場合には文字や図形、模様などの画像が描かれた原稿を原稿搬送装置8に積載したり、画像読取部9上面の図示しないコンタクトガラス上に載置したりする。
【0028】
一方、画像形成装置1の本体2の上面には原稿搬送装置8が、その下方の本体2内部には画像読取部9が備えられている。ユーザが原稿の複写を行う場合には原稿搬送装置8に文字や図形、模様等の画像が描かれた原稿を積載する。原稿搬送装置8では1枚ずつ分離して原稿が送り出され、画像読取部9によってその画像データが読み取られる。
【0029】
原稿画像の読み取り、すなわち画像形成の開始は本体2の上部であって画像読取部9の正面側に備えられた表示装置である操作パネル30を用いて指示される。操作パネル30はユーザによる印刷に使用する用紙の種類やサイズ、拡大縮小、両面印刷の有無といった印刷条件設定などを受け付ける。なお、操作パネル30の詳細な構成は後述する。
【0030】
原稿の画像データの情報は後述する本体制御部20等を経由して画像処理が施された後、第2用紙搬送部7の上方であって、本体2の中央部に配置された露光部10に送られる。露光部10により、画像データに基づいて制御されたレーザ光Lが画像形成部11に向かって照射される。
【0031】
露光部10の上方には計4台の画像形成部11が、さらにそれら各画像形成部11の上方には中間転写体を無端ベルトの形で用いた中間転写ベルト12が備えられている。中間転写ベルト12は複数のローラに巻き掛けられて支持され、図示しない駆動装置により図1において時計方向に回転する。
【0032】
4台の画像形成部11は、図1に示すように中間転写ベルト12の回転方向に沿って回転方向上流側から下流側に向けて一列にして配置された所謂タンデム方式である。4台の画像形成部11とは、上流側から順にイエロー用の画像形成部11Y、マゼンタ用の画像形成部11M、シアン用の画像形成部11C、及びブラック用の画像形成部11Bである。これらの画像形成部11には、各色に対応する現像剤供給容器及び搬送手段(図示せず)により現像剤(トナー)が補給される。なお、以下の説明において、特に限定する必要がある場合を除き、画像形成部11の「Y」「M」「C」「B」の識別記号は省略するものとする。
【0033】
各画像形成部11では、露光部10によって照射されたレーザ光Lにより原稿画像の静電潜像が形成され、この静電潜像からトナー像が現像される。トナー像は、各画像形成部11の上方に備えられた一次転写部13で、中間転写ベルト12表面に一次転写される。そして、中間転写ベルト12の回転とともに所定のタイミングで各画像形成部11のトナー像が中間転写ベルト12に転写されることにより、中間転写ベルト12表面にはイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナー像が重ね合わされたカラートナー像が形成される。
【0034】
中間転写ベルト12が用紙搬送路に懸かる箇所には二次転写部5が配置されている。中間転写ベルト12表面のカラートナー像は第1用紙搬送部4によって同期をとって送られてきた用紙Pに、二次転写部5に形成される二次転写ニップ部で転写される。
【0035】
二次転写後、中間転写ベルト12表面に残留するトナーなどの付着物は中間転写ベルト12に対してイエロー用の画像形成部11Yの回転方向上流側に設けられた中間転写ベルト12用のクリーニング部14によってクリーニングされ、回収される。
【0036】
二次転写部5の上方には定着部15が備えられている。二次転写部5にて未定着トナー像を担持した用紙Pは定着部15へと送られ、熱ローラと加圧ローラとによりトナー像が加熱、加圧されて定着される。
【0037】
定着部15の上方には用紙案内部16が備えられている。定着部15から排出された用紙Pは両面印刷を行わない場合、用紙案内部16から画像形成装置1の上部に設けられた胴内用紙排出部17に排出される。
【0038】
用紙案内部16から胴内用紙排出部17に向かって用紙Pが排出されるその排出口部分はスイッチバック部18としての機能を果たす。両面印刷を行う場合にはこのスイッチバック部18において定着部15から排出された用紙Pの搬送方向が切り替えられる。そして、用紙Pは用紙案内部16を通過し、定着部15の左方、及び二次転写部5の左方に設けられた両面印刷用用紙搬送路19を通して下方に送られ、再度第1用紙搬送部4を経て二次転写部5へと送られる。
【0039】
また、画像形成装置1は装置全体の動作制御のため、図2に示すようにその本体2内にCPU21やその他の図示しない電子部品で構成された本体制御部20を備えている。本体制御部20はCPU21を中央演算処理装置として使用し、記憶部22などに記憶、入力されたプログラム、データに基づき画像読取部9、画像形成部11、中間転写ベルト12、定着部15などといった構成要素を制御して一連の画像形成動作を実現する。本体制御部20はユーザによる画像形成装置1の動作に係る条件設定を操作パネル30から受け付ける。
【0040】
続いて、表示装置である操作パネル30の詳細な構成について、図2に加えて、図3〜図9を用いて説明する。
【0041】
図3は画像形成装置1の操作パネル30の正面図、図4は文字入力画面を表示した操作パネル30の操作表示部の正面図、図5は図4と同様の操作表示部の正面図にして、図4とは異なるキーボード部を文字入力画面に配置した状態を示すもの、図6は図4及び図5と同様の操作表示部の正面図にして、図4及び図5とは異なるキーボード部を文字入力画面に配置した状態を示すもの、図7は図4の文字入力画面に複数のキーボード部が配置される順番を示す説明図にして、配置される順番を設定された順番で並べて表示した図、図8は操作表示部の正面図にして、基準キーボード部を文字入力画面に配置した状態を示すもの、図9は図4の文字入力画面に複数のキーボード部が配置される順番を示す説明図にして、配置される順番を以前に使用された順番で並べて表示した図である。
【0042】
操作パネル30は、図2及び図3に示すようにテンキー31、スタートキー32、ストップキー33、リセットキー34、エンターキー35、クリアキー36、操作表示部37、操作制御部38、及び記憶部39を備えている。
【0043】
テンキー31、スタートキー32、ストップキー33、リセットキー34、エンターキー35、及びクリアキー36は、図3に示すように操作パネル30の右側の領域に配置されている。テンキー31は数字入力を受け付けるキーであって、0から9までの数字及び「*」「#」が記されている。スタートキー32は各種動作の開始指示を受け付けるキーである。ストップキー33は各種動作の停止指示を受け付けるキーである。リセットキー34は各種設定のリセット指示を受け付けるキーである。エンターキー35は各種設定を許諾する所謂「OK」の指示と同様の働きをするキーである。クリアキー36は入力した数字や文字、記号を消去するキーである。
【0044】
操作表示部37は図3に示すように操作パネル30の中央部に配置されている。そして、操作表示部37は図2に示すように液晶表示部37a及びタッチパネル部37bを備えている。液晶表示部37aは入力、設定、指示などの複数のキーや項目を、液晶を用いて表示している。タッチパネル部37bは液晶表示部37aの上方に重ねて配置され、ユーザが指などで接触することにより液晶表示部37aに表示されたキーの入力や項目の選択を受け付ける。
【0045】
操作制御部38は図示しないICなどの電子部品で構成され、本体制御部20による制御に基づき操作パネル30を制御する制御装置である。操作制御部38は本体制御部20からの制御指令により、記憶部22や記憶部39などに記憶されたプログラム、データに基づいて表示する入力キーや項目の種類、レイアウトを設定することで操作表示部37を表示制御する。また、操作制御部38はテンキー31、スタートキー32などの各キーやタッチパネル部37bからの情報に基づいてユーザが操作した入力キーを特定してユーザの操作指示として受け付け、その指示を必要に応じて本体制御部20に送信する。
【0046】
ここで、操作パネル30は図4に示す文字入力画面40を操作表示部37に表示することができる。文字入力画面40は、例えば画像読取部9を用いて読み取った原稿の画像を画像データとして保存する際、ユーザに文書名の入力を要求するときに表示され(図4参照)、操作制御部38が操作表示部37に対する文字入力画面40の表示、非表示を制御する。
【0047】
文字入力画面40には図4に示すように、入力文字表示部41、キーボード表記変更部42、カーソルキー43、キーボード部50、キャンセルキー44、及びOKキー45が配置されている。
【0048】
入力文字表示部41は文字入力画面40の上部に設けられている。入力文字表示部41は入力した文字の表示領域であり、例えば2行分の文字列が表示されている。
【0049】
キーボード表記変更部42は入力文字表示部41のすぐ下方の箇所に設けられている。キーボード表記変更部42はキーボード部50の各入力キー51の表記を「入力方式」、「入力文字」、「大文字/小文字」で変更するためのものであって、入力方式変更キー42a、入力文字変更キー42b、及び大文字/小文字変更キー42cを備えている。
【0050】
入力方式変更キー42aは文字入力の方式を変更するキーである。文字入力方式としては、例えば日本語、外国語などに変更が可能である。入力文字変更キー42bは入力する文字の種類を変更するキーである。入力する文字の種類としては、例えばアルファベット、記号などに変更が可能である。大文字/小文字変更キー42cは入力する文字を大文字または小文字に変更するキーである。
【0051】
なお、初期状態ではキーボード部50の各入力キー51が、例えば図4に示すように日本語(ひらがな)で表記されている。入力方式変更キー42aや入力文字変更キー42bを使用して、図5に示すようにアルファベット(大文字)を入力キー61各々に割り当てたキーボード部60を表示させることができる。また、大文字/小文字変更キー52cを使用して、図6に示すようにアルファベットの小文字を入力キー71各々に割り当てたキーボード部70を表示させることができる。
【0052】
カーソルキー43は入力文字表示部41の下方の箇所であって、キーボード表記変更部42の右方に設けられている。カーソルキー43は上下左右4方向を向く矢印が表記された4つのキーで構成されている。カーソルキー43は入力文字表示部41のカーソルを各々の方向へ移動させるためのキーである。
【0053】
キーボード部50は文字入力画面40のほぼ中央から下寄りの部分に比較的広い領域で設けられた、文字入力画面40の一部を構成する画像である。キーボード部50には入力可能な文字または記号が割り当てられた複数の入力キー51が並べられ、表示されている。また、キーボード部50は文字または記号が割り当てられた複数の入力キー51のほか、スペース(Space)キー52、エンター(Enter)キー53、第1キーボード部切り替えキーである上方向キーボード部切り替えキー54、及び第2キーボード部切り替えキーである下方向キーボード部切り替えキー55を備えている。
【0054】
スペースキー52はスペースを入力するためのキーである。エンターキー53は入力文字表示部41に入力した文字がすべて確定している場合には改行を入力し、入力文字表示部41に未確定文字がある場合には未確定文字の確定を行うキーである。
【0055】
ここで、操作表示部37の表示領域のサイズと操作性に配慮した入力キー1個あたりのサイズとの関係から、キーボード表記変更部42を用いて変更、設定されるキーボード部50は一つの文字表記(例えば日本語のひらがなやカタカナ)に関して入力可能な文字または記号をすべて入力キー51に割り当てて文字入力画面40に配置することができない。したがって、キーボード部50は一つの文字表記に対して複数のキーボード部50を備えている。
【0056】
例えばキーボード部50の各入力キーの表記を「日本語」に設定した場合、キーボード部50の種類としては図7に示すように6種類が登録され、記憶部39等に記憶されている。「日本語」表記の6種類のキーボード部50としては、例えば全角ひらがな前半及び後半を各々表記したキーボード部50a及び50b、全角カタカナ前半及び後半を各々表記したキーボード部50c及び50d、全角記号2種類を各々表記したキーボード部50e及び50fがある。なお、以下の説明において、特に限定する必要がある場合を除き、キーボード部50の「a」、「b」、「c」、「d」、「e」、「f」の識別記号は省略するものとする。
【0057】
このような複数のキーボード部50に対して、上方向キーボード部切り替えキー54及び下方向キーボード部切り替えキー55は文字入力画面40に配置させるキーボード部50を切り替えるためのキーである。図7に示す複数のキーボード部50は文字入力画面40に対する配置の切り替えについて、例えば図7において上下方向に並べられた順番で予め設定され記憶部39に記憶されている。上方向キーボード部切り替えキー54は第1順序である図7における上方向の順序で複数のキーボード部50を切り替える。下方向キーボード部切り替えキー55は第2順序である図7における下方向の順序で複数のキーボード部50を切り替える。
【0058】
なお、記憶部39は複数のキーボード部50各々自体や、文字入力画面40に対する複数のキーボード部50各々の切り替えについての予め設定された順番のほか、複数のキーボード部50各々に対する使用履歴も記憶している。
【0059】
キャンセルキー44、及びOKキー45はともにキーボード部50の最下部右端に配置されている。キャンセルキー44は選択した入力のキャンセル時に、OKキー45は入力の許諾時に使用される。
【0060】
そして、上記構成の文字入力画面40に関して、操作制御部38は文字入力画面40が非表示状態である操作表示部37に文字入力画面40を表示させるとき、記憶部39に記憶された使用履歴に基づいて複数のキーボード部50のうち直近に使用したキーボード部を基準キーボード部50zとして文字入力画面40に配置させる。すなわち、例えば直近に使用したキーボード部50が図7に示す全角ひらがな後半のキーボード部50bである場合、操作制御部38は文字入力画面40が非表示状態である操作表示部37に文字入力画面40を表示させるとき、図8に示すように全角ひらがな後半のキーボード部50bを基準キーボード部50zとして文字入力画面40に配置させる。
【0061】
これにより、これから改めて操作表示部37に文字入力画面40を表示させようとするとき、複数のキーボード部50a〜50fのうち使用履歴に基づいて直近に使用したキーボード部50bが文字入力画面40に配置される。したがって、例えば直近に行ったキー入力と同様のキー入力を引き続き直ちに行うことができ、操作パネル30の操作性が向上する。
【0062】
そして、操作制御部38は基準キーボード部50zに対して、下方向キーボード部切り替えキー55が押下される度に奇数回前に使用された複数のキーボード部50が使用された順番で文字入力画面40に配置されるように設定し、上方向キーボード部切り替えキー54が押下される度に偶数回前に使用された複数のキーボード部50が使用された順番で文字入力画面40に配置されるように設定する(図9参照)。
【0063】
これにより、図9に示すように、直近に使用した基準キーボード部50zに対して、例えば下方向キーボード部切り替えキー55を1回押下すると1回前に使用したキーボード部50aが、上方向キーボード部切り替えキー54を1回押下すると2回前に使用したキーボード部50dが文字入力画面40に配置されるようになる。したがって、現在より比較的近い期間に使用したキーボード部50を迅速に操作パネル30に表示させることができ、操作パネル30におけるキー入力の操作性がさらに向上する。
【0064】
なおこのとき、操作制御部38は複数のキーボード部50すべての順番を設定するまでに重複して設定され得るキーボード部50について最近の順番のみを選択して設定する。これにより、文字入力画面40への配置に対して複数のキーボード部50すべての順番が設定されたとき、重複するキーボード部50が存在しないことになる。したがって、すべてのキーボード部50についても迅速に表示装置に操作パネル30させることができ、操作パネル30におけるキー入力の操作性が一層向上する。
【0065】
そして、上記実施形態の構成によれば、直近に使用したキーボード部50を優先的に表示させることができ、操作性の向上が図られた表示装置である操作パネル30を提供することができる。また、このような操作パネル30を搭載し、良好な使い勝手を備えた画像形成装置1を提供することができる。
【0066】
次に、本発明の第2の実施形態に係る表示装置である操作パネルについて、図10を用いて説明する。図10は操作パネルの操作表示部の文字入力画面に複数のキーボード部が配置される順番を示す説明図である。なお、この実施形態の基本的な構成は図1〜図9を用いて説明した前記第1の実施形態と同じであるので、第1の実施形態と共通する構成要素には前と同じ符号を付し、図面の記載及びその説明を省略するものとする。
【0067】
第2の実施形態に係る操作パネル30の操作制御部38は、図10に示すように基準キーボード部50zに対して、下方向キーボード部切り替えキー55が押下される度に基準キーボード部50zより以前に使用された順番で複数のキーボード部50が文字入力画面40に配置されるように設定し、上方向キーボード部切り替えキー54が押下される度に記憶部39に記憶された予め設定された順番で複数のキーボード部50が文字入力画面40に配置されるように設定する。
【0068】
なお、図10における基準キーボード部50zに対する上方向または下方向に関して、第1の実施形態同様、操作制御部38は複数のキーボード部50すべての順番を設定するまでに重複して設定され得るキーボード部50について最近の順番のみを選択して設定する。また、下方向キーボード部切り替えキー55を操作して基準キーボード部50zより以前に使用された順番で複数のキーボード部50を文字入力画面40に配置させているとき上方向キーボード部切り替えキー54を操作すると、予め設定された順番の1番目であるキーボード部50aが文字入力画面40に配置される。上方向キーボード部切り替えキー54を操作して予め設定された順番で複数のキーボード部50を文字入力画面40に配置させているとき下方向キーボード部切り替えキー55を操作すると、基準キーボード部50zが文字入力画面40に配置される。
【0069】
これにより、直近に使用した基準キーボード部50zに対して、例えば下方向キーボード部切り替えキー55を押下する度に基準キーボード部50zより以前に使用された順番でキーボード部50が文字入力画面40に配置されるようになり(図10右列)、上方向キーボード部切り替えキー54を押下する度に記憶部39に記憶された予め設定された順番でキーボード部50が文字入力画面40に配置されるようになる(図10左列)。したがって、現在より比較的近い期間に使用したキーボード部50を迅速に操作パネル30に表示させることができるのとともに、予め設定した順番でもキーボード部50を操作パネル30に表示させることができるので、操作パネル30の操作性がより一層向上する。
【0070】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【0071】
例えば、本発明の上記実施形態では画像形成装置1に搭載された操作パネル30(表示装置)を例に掲げて説明したが、発明の適用対象となる機器は画像形成装置に限定されるわけではなく、画像形成装置以外の携帯電話、PDAなどといった他の電子機器に本発明の表示装置を搭載することにしても構わない。
【0072】
また、操作パネル30を搭載した画像形成装置1は中間転写ベルトを用いてトナー像を用紙に転写するカラー印刷用の画像形成装置であるが、発明の適用対象となる画像形成装置がこのような種類に限定されるわけではなく、中間転写ベルトを用いない画像形成装置や白黒印刷用の画像形成装置であっても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、タッチパネル機能を有し、その操作によってキー入力が可能な表示装置において利用可能である。
【符号の説明】
【0074】
1 画像形成装置
30 操作パネル(表示装置)
37 操作表示部
38 操作制御部(制御部)
39 記憶部
40 文字入力画面
50、50a〜50f、60、70 キーボード部
50z 基準キーボード部
54 上方向キーボード部切り替えキー(第1キーボード部切り替えキー)
55 下方向キーボード部切り替えキー(第2キーボード部切り替えキー)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画面上に複数の入力キーを表示するとともに前記入力キーの操作を受け付けるタッチパネル部を有する操作表示部と、
入力可能な文字または記号を前記複数の入力キー各々に割り当てて表示させた複数のキーボード部と、
前記操作表示部に前記複数のキーボード部のいずれか一つを配置した文字入力画面と、
前記複数のキーボード部及び前記複数のキーボード部各々に対する使用履歴を記憶する記憶部と、
前記操作表示部に対する前記文字入力画面の表示、非表示を制御するとともに、前記文字入力画面が非表示状態である前記操作表示部に前記文字入力画面を表示させるとき、前記記憶部に記憶された使用履歴に基づいて前記複数のキーボード部のうち直近に使用したキーボード部を基準キーボード部として前記文字入力画面に配置させる制御部と、
を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記文字入力画面に配置させる前記キーボード部を切り替えるためのキーであって、前記複数のキーボード部を第1順序及び第2順序で各々切り替える第1キーボード部切り替えキー及び第2キーボード部切り替えキーを備え、
前記制御部は、前記基準キーボード部に対して、前記第1キーボード部切り替えキーまたは前記第2キーボード部切り替えキーのいずれか一方が押下される度に奇数回前に使用された前記複数のキーボード部が使用された順番で前記文字入力画面に配置されるように設定し、他方が押下される度に偶数回前に使用された前記複数のキーボード部が使用された順番で前記文字入力画面に配置されるように設定することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記文字入力画面に配置させる前記キーボード部を切り替えるためのキーであって、前記複数のキーボード部を第1順序及び第2順序で各々切り替える第1キーボード部切り替えキー及び第2キーボード部切り替えキーを備え、
前記記憶部は、前記文字入力画面に対する前記複数のキーボード部各々の配置の切り替えについて予め設定された順番を記憶し、
前記制御部は、前記基準キーボード部に対して、前記第1キーボード部切り替えキーまたは前記第2キーボード部切り替えキーのいずれか一方が押下される度に前記基準キーボード部より以前に使用された順番で前記複数のキーボード部が前記文字入力画面に配置されるように設定し、他方が押下される度に前記記憶部に記憶された前記予め設定された順番で前記複数のキーボード部が前記文字入力画面に配置されるように設定することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記基準キーボード部に対して、前記第1キーボード部切り替えキーまたは前記第2キーボード部切り替えキーが押下される度に前記基準キーボード部より以前に使用された順番で前記複数のキーボード部が前記文字入力画面に配置されるように設定するとき、前記複数のキーボード部すべての順番を設定するまでに重複して設定され得る前記キーボード部について最近の順番のみを選択して設定することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の表示装置を搭載したことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−73842(P2012−73842A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−218414(P2010−218414)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】