説明

表示装置及びプログラム

【課題】複数の画像を、透過型のディスプレイと当該ディスプレイと重なる他のディスプレイとに振り分けて表示できるようにする。
【解決手段】表示装置は、第1ディスプレイと、第1ディスプレイに重ねて設けられる透過型の第2ディスプレイとを備える。表示装置は、表示対象の画像を表す描画オブジェクトを取得すると(S1)、画像の属性を特定し(S3)、特定した属性に基づいて前景画像と背景画像とに振り分ける判定を行う(S4)。そして、表示装置は、この判定結果に応じて、背景画像を第1ディスプレイに表示し、前景画像を第2ディスプレイに表示する(S5)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透過型ディスプレイを用いた情報表示に関する。
【背景技術】
【0002】
透過型ディスプレイと呼ばれる、向こう側が透けて見えるディスプレイが知られている。かかるディスプレイは、透過ディスプレイ、透明ディスプレイなどとも呼ばれている。特許文献1には、透過型ディスプレイをフリップ部材に設け、この透過型ディスプレイに表示させる画像をフリップ部材の姿勢に応じて修正することが記載されている。しかし、特許文献1に記載された技術は、複数のディスプレイを組み合わせて用いるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2006−504144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、複数の画像を、透過型のディスプレイと当該ディスプレイと重なる他のディスプレイとに振り分けて表示できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る表示装置は、画像を表示する第1ディスプレイと、前記第1ディスプレイと重なる状態で画像を表示し、当該状態において、前記第1ディスプレイに表示されている画像を透過してユーザに視認させ得る第2ディスプレイと、表示対象となる画像の属性を特定する特定部と、前記特定部により特定された画像の属性に基づいて、当該画像が背景画像と前景画像のいずれに属するかを判定する判定部と、前記判定部により前記背景画像に属すると判定された画像を前記第1ディスプレイに表示させ、前記判定部により前記前景画像に属すると判定された画像を前記第2ディスプレイに表示させる表示制御部とを備える構成を有する。
【0006】
好ましい態様において、前記表示装置は、前記特定部が、画像が静止画又は動画のいずれかに該当するか特定し、前記判定部が、静止画又は動画の一方に該当する画像を前記背景画像に属すると判定し、他方に該当する画像を前記前景画像に属すると判定する。
他の好ましい態様において、前記表示装置は、前記第2ディスプレイに設けられるタッチスクリーンによりユーザの操作を受け付ける操作部を備え、前記特定部が、画像が前記操作を受け付ける操作画像に該当するか特定し、前記判定部が、前記操作画像を前記前景画像であると判定する。
他の好ましい態様において、前記表示装置は、前記第1ディスプレイと前記第2ディスプレイの位置を相対的に移動させる移動機構を備え、前記表示制御部が、前記移動機構による移動に応じて前記第1ディスプレイ又は前記第2ディスプレイの表示態様を変化させる。
他の好ましい態様において、前記表示装置は、前記背景画像と前記前景画像とを合成して合成画像を生成する合成部を備え、前記表示制御部が、前記第1ディスプレイと前記第2ディスプレイとが所定の位置関係になった場合に、前記背景画像及び前記前景画像に代えて前記合成画像を前記第1ディスプレイ又は前記第2ディスプレイに表示させる。
【0007】
本発明の他の態様に係るプログラムは、画像を表示する第1ディスプレイと、前記第1ディスプレイと重なる状態で画像を表示し、当該状態において前記第1ディスプレイに表示されている画像を透過してユーザに視認させ得る第2ディスプレイとを有する表示装置を制御するコンピュータに、表示対象となる画像の属性を特定するステップと、前記特定された画像の属性に基づいて、当該画像が背景画像と前景画像のいずれに属するかを判定するステップと、前記背景画像に属すると判定された画像を前記第1ディスプレイに表示させ、前記前景画像に属すると判定された画像を前記第2ディスプレイに表示させるステップとを実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数の画像を、透過型のディスプレイと当該ディスプレイと重なる他のディスプレイとに振り分けて表示できることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】表示装置の外観を示す三面図(基本形態)
【図2】表示装置の縦スライド形態を示す正面図
【図3】表示装置の横スライド形態を示す正面図
【図4】表示装置移動機構を示す模式図
【図5】表示装置のハードウェア構成を示すブロック図
【図6】制御部の機能的構成を示す機能ブロック図
【図7】表示装置による表示処理を示すフローチャート
【図8】表示装置の第1の表示例を示す図
【図9】第1の表示例における表示の変化を示す図
【図10】表示装置の第2の表示例を示す図
【図11】表示装置の第3の表示例を示す図
【図12】第3の表示例における表示の変化を示す図
【図13】第3の表示例における表示の変化を示す図
【図14】表示装置の外観を示す正面図
【図15】回転によりスライドする移動機構を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施形態]
図1は、本発明の一実施形態である表示装置の外観を示す三面図である。本実施形態の表示装置10は、携帯電話機、スマートフォン等の無線通信端末である。表示装置10は、図1に示すように、第1ユニット110と、第2ユニット120とを備える。第2ユニット120は、第1ユニット110と重なるようになっており、画像を表示する第2ディスプレイ121を有している。第1ユニット110は、後述する第1ディスプレイ111を、この第2ディスプレイ121と重なるように有している。また、第2ユニット120は、画像を表示しない領域を第2ディスプレイ121の周囲に有している。以下においては、ディスプレイの周囲のこのような領域のことを「額縁領域」という。
【0011】
以下においては、説明の便宜上、第2ユニット120の第2ディスプレイ121が設けられている側の面を表示装置10の「正面」といい、後述する第1ユニット110の第1ディスプレイ111が設けられていない側の面を表示装置10の「背面」という。また、以下においては、図1中の矢印a1の方向のことを上とし、矢印a2の方向のことを左とする。さらに、上方向とその反対方向(下方向)とを総称して「縦方向」といい、左方向とその反対方向(右方向)とを総称して「横方向」という。
【0012】
第2ディスプレイ121は、透過型ディスプレイであり、光を背面側から正面側(及び正面側から背面側)に透過する。なお、ここでいう「透過」は、100%ないしそれに近い透過率で光を通過させることであればより望ましいが、ユーザに画像を視認させ得る程度の透過率で光を通過させれば足りるものである。第2ディスプレイ121は、周知の透過型ディスプレイのいずれであってもよいが、例えば、自発光型の有機EL(electroluminescence)素子を用いたディスプレイである。また、第2ディスプレイ121は、表示素子に液晶を用いる場合のように、表示素子自体が発光しない場合にあっては、額縁領域にエッジライト方式のバックライトを有していてもよい。
【0013】
第1ユニット110及び第2ユニット120は、その連結部分が移動機構を構成し、一方を他方に対して相対的に移動させることが可能である。表示装置10は、かかる移動によってその形態を変化させる。第2ユニット120は、第1ユニット110に対して縦方向及び横方向に移動する。以下においては、図1に示す形態、すなわち第1ディスプレイ111と第2ディスプレイ121とが重なっている表示装置10の形態のことを、「基本形態」という。
【0014】
図2は、第2ユニット120を基本形態から上方向にスライドさせた場合の表示装置10の形態を示す正面図である。また、図3は、第2ユニット120を基本形態から左方向にスライドさせた場合の表示装置10の形態を示す正面図である。表示装置10は、第2ユニット120が基本形態から移動した形態になることによって、第1ディスプレイ111が露出した状態(すなわち、第2ユニット120に覆われていない状態)になる。以下においては、図2に示す状態のことを「縦スライド形態」といい、図3に示す状態のことを「横スライド形態」という。ここにおいて、スライドとは、ディスプレイの面に沿って移動することをいうものである。
【0015】
第1ディスプレイ111は、本実施形態においては、第2ディスプレイと同面積の表示領域(画像を表示する領域)を有するものとする。第1ディスプレイ111は、基本形態において正面(ディスプレイの表面に対して垂直な方向)から視認したとき、第2ディスプレイ121とちょうど重なる位置にある。なお、第1ディスプレイ111は、透過型ディスプレイである必要はなく、周知のさまざまなディスプレイを用い得る。
【0016】
基本形態において、第1ディスプレイ111は、これを正面側から観察するユーザにより、第2ディスプレイ121を介して視認される。一方、縦スライド形態及び横スライド形態において、第1ディスプレイ111は、第2ディスプレイ121を介さずにユーザに視認される。よって、表示装置10は、基本形態から縦スライド形態又は横スライド形態に形態を変化させることで、表示領域の面積を2倍に増やすことが可能である。
【0017】
図4は、表示装置10の移動機構を示す模式図である。第2ユニット120は、レール122、123、124及び125を有する。レール122、123、124及び125は、第2ユニット120の移動を案内するための溝である。また、第1ユニット110は、突起部112、113及び114を有する。突起部112、114は、第2ユニット120をレール122、123に沿って横方向にスライドさせる。なお、第2ユニット120が基本形態から左方向にスライドするとき、突起部113は、第1ユニット110の内部に押し込まれ、レール122、125から外れるように構成されている。また、突起部113は、第2ユニット120が横スライド形態から基本形態に戻るときには、突起してレール122、125に再び嵌るように構成されている。
【0018】
また、突起部112、113は、第2ユニット120をレール124、125に沿って縦方向にスライドさせる。なお、第2ユニット120が基本形態から上方向にスライドするとき、突起部114は、第1ユニット110の内部に押し込まれ、レール123、124から外れるように構成されている。また、突起部114は、第2ユニット120が縦スライド形態から基本形態に戻るときには、突起してレール123、124に再び嵌るように構成されている。
【0019】
図5は、表示装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。表示装置10は、図5に示すように、制御部100と、記憶部200と、表示部300と、操作部400と、通信部500と、音声入出力部600と、検知部700と、カメラ部800とを備える。
【0020】
制御部100は、表示装置10の各部の動作を制御する手段である。制御部100は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置や主記憶装置に相当する記憶手段(メインメモリ)を備え、プログラムを実行することによって制御を行う。記憶部200は、制御部100が用いるデータを記憶する手段である。記憶部200は、補助記憶装置に相当する記憶手段(ハードディスク、フラッシュメモリ等)を備えるが、いわゆるメモリカードのような着脱可能な記憶手段(リムーバブルメディア)を含んでもよい。
【0021】
表示部300は、第1ディスプレイ111及び第2ディスプレイ121に画像を表示させる手段である。表示部300は、第1ディスプレイ111及び第2ディスプレイ121と、これらのディスプレイを駆動するための駆動回路などを備える。操作部400は、ユーザの操作を受け付けるための入力手段を備える。操作部400は、入力手段として、第1ディスプレイ111や第2ディスプレイ121の正面側に設けられるタッチスクリーンや、額縁領域や正面以外の面にボタン(電源ボタン等)を有することが可能である。操作部400は、ユーザの操作を表す操作情報を制御部100に供給する。通信部500は、外部装置を無線通信を行うための手段である。ここでいう外部装置は、無線通信ネットワークを構成する基地局であってもよいし、表示装置10と通信する他の無線通信端末であってもよい。つまり、通信部500は、赤外線通信等の近距離無線通信を行うための手段を含み得る。音声入出力部600は、音声の入力及び出力を行うための手段であり、スピーカやマイクロホンを備える。
【0022】
検知部700は、表示装置10の形態、すなわち第1ユニット110と第2ユニット120の相対的な位置関係を検知するための手段である。検知部700は、例えば、突起部113又は114が押し込まれ、又は突起したことを検知するセンサや、突起部のレール内における位置を検知するセンサを含み得る。検知部700は、望ましくは、基本形態、縦スライド形態及び横スライド形態の3形態だけでなく、基本形態から別の形態(あるいはその逆)へと遷移する過渡的な状態をも検知できるように構成される。この場合、検知部700は、第1ディスプレイ111及び第2ディスプレイ121の重なり具合(すなわち、重なり合う面積)を検知することが可能である。検知部700は、これらの検知結果を表す形態情報を制御部100に供給する。
【0023】
カメラ部800は、被写体を撮影する手段である。ここでいう被写体は、ユーザであってもよいし、風景などであってもよい。カメラ部800は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の撮像素子を第1ユニット110又は第2ユニット120に備える。カメラ部800は、撮影した被写体の画像を表す画像データを制御部100に供給する。なお、第1ディスプレイ111又は第2ディスプレイ121は、カメラ部800による撮影に際し、いわゆるファインダとして機能してもよい。
【0024】
図6は、制御部100の機能的構成の一部(特に、画像の表示に関するもの)を示す機能ブロック図である。制御部100は、プログラムを実行することにより、図6に示すモード判定部101、取得部102、特定部103、振分判定部104、表示制御部105及び合成部106に相当する各機能を実現する。
【0025】
モード判定部101は、検知部700による検知結果(すなわち形態情報)を用いて、表示装置10の形態に応じたモードを判定する。ここでいうモードには、基本形態に対応する「基本モード」と、縦スライド形態に対応する「縦モード」と、横スライド形態に対応する「横モード」とが少なくとも含まれる。また、モード判定部101は、基本モードから縦モード又は横モードに遷移する過渡的な状態を別のモード(以下「過渡モード」という。)として判定してもよい。
【0026】
取得部102は、表示対象の画像を表す描画オブジェクトを取得する。ここにおいて、「オブジェクト」とは、表示部300によって表示される画像であって、個々の物体を表すものをいう。描画オブジェクトには、文字、罫線、図形、アイコン、写真などが含まれる。また、描画オブジェクトには、文字に対する装飾(下線等の強調表示)や、図形に対する影なども含まれ得る。なお、描画オブジェクトは、静止画又は動画のいずれであってもよい。取得部102は、記憶部200に記憶されているデータ、通信部500を介して外部装置から受信されたデータ又はカメラ部800から供給された画像データの少なくともいずれかを、描画オブジェクトとして取得することが可能である。
【0027】
特定部103は、取得部102により取得された描画オブジェクトにより表される画像の属性を特定する。ここにおいて、「属性」とは、画像を特徴付ける性質をいう。属性は、それぞれの画像に対してあらかじめ決められていることもあるが、アプリケーションの動作やユーザの操作に応じて決まることもある。よって、属性は、ある画像について不変であるとは限らず、表示の途中で変わる場合もあり得るものである。特定部103は、例えば、画像が所定の機能を有するか否かや、画像のデータ形式によって属性を特定する。
【0028】
振分判定部104は、取得部102により取得された描画オブジェクトにより表される画像について、前景画像と背景画像のいずれであるかを判定する。振分判定部104は、かかる判定を、特定部103により特定された個々の画像の属性に応じて行う。ここにおいて、「前景画像」とは、基本モード、すなわち第1ディスプレイ111と第2ディスプレイ121とが重なる状態において表示される画像のうちの第2ディスプレイ121に表示される画像をいい、「背景画像」とは、かかる状態において表示される画像のうちの第1ディスプレイ111に表示される画像をいう。換言すれば、前景画像は、基本形態においてユーザにより近い側(正面側)にある画像であり、背景画像は、基本形態においてユーザにより遠い側にある画像である。
【0029】
なお、特定部103及び振分判定部104は、基本モード、すなわち第1ディスプレイ111と第2ディスプレイ121とが重なる状態において機能すればよく、それ以外の場合(縦モード又は横モードの場合)には機能しなくてもよい。あるいは、振分判定部104は、基本モードである場合と縦モード又は横モードである場合とで、画像の振り分けの態様を異ならせてもよい。これらの動作を実現するために、特定部103及び振分判定部104は、モード判定部101による判定結果を用いる。
【0030】
表示制御部105は、表示部300による表示を制御する。表示制御部105は、振分判定部104による判定結果に基づいて、表示対象の画像を第1ディスプレイ111と第2ディスプレイ121のいずれに表示させるのかを判断する。表示制御部105は、基本モードにおいては、前景画像を第2ディスプレイ121に表示させ、背景画像を第1ディスプレイ111に表示させるように表示部300を制御する。
【0031】
合成部106は、振分判定部104により前景画像と背景画像とに振り分けられた画像を、必要に応じて合成する。合成部106によって合成され、新たに生成される画像のことを、以下においては「合成画像」という。合成画像は、第1ディスプレイ111又は第2ディスプレイ121において表示されるほか、電子メールに添付される形態などによって外部装置に送信されることもある。
【0032】
表示装置10の構成は、以上のとおりである。表示装置10は、かかる構成のもと、ユーザの操作や自装置のモードに応じた態様で画像を表示する。表示装置10は、例えば、基本モードである場合には、第1ディスプレイ111と第2ディスプレイ121とが重なっていることを利用して、画像の表示に立体感や娯楽性を与えたりする。また、表示装置10は、必要なアプリケーションを備えることにより、電子メールを送受信する機能(いわゆるメーラ)やWebページを閲覧する機能(いわゆるWebブラウザ)を実現することも可能である。以下においては、表示装置10が実行可能なアプリケーションが複数あるものとする。
【0033】
図7は、表示装置10による表示処理を示すフローチャートである。図7に示す表示処理は、所定のイベントの発生を契機に実行されるものである。ここでいう所定のイベントは、典型的には、表示部300による表示の変更を伴うような動作であり、例えば、アプリケーションを起動し、又は終了する操作などである。また、この表示処理は、表示装置10の形態(すなわちモード)が変更されたときにも実行される。
【0034】
かかる表示処理において、表示装置10の制御部100は、まず、表示対象の画像を表す描画オブジェクトを取得する(ステップS1)。次に、制御部100は、形態情報に基づき、表示装置10が基本モードであるか否かを判断する(ステップS2)。ここで、表示装置10が基本モード以外のモードである場合、制御部100は、そのときのモードに応じた態様で画像を表示するように表示部300を制御する(ステップS6)。
【0035】
一方、表示装置10が基本モードで動作している場合、制御部100は、ステップS1において取得された描画オブジェクトにより表される各画像の属性を特定し(ステップS3)、画像を前景画像と背景画像とに振り分ける判定を行う(ステップS4)。その後、制御部100は、前景画像を第2ディスプレイ121に表示し、背景画像を第1ディスプレイ111に表示するように表示部300を制御する(ステップS5)。表示部300は、ステップS5又はS6の制御の内容に応じて、第1ディスプレイ111及び第2ディスプレイ121に画像を表示する。
【0036】
図8は、基本モードにおける第1の表示例を示す図である。図8は、説明の便宜上、第1ユニット110及び第2ユニット120が重なっていない状態での画像と、第1ユニット110及び第2ユニット120が重なっている状態での画像とを併記したものである。この表示例は、アプリケーションを一覧表示するものであり、各アプリケーションはアイコンi11〜i17によって表現されている。この例において、第2ディスプレイ121は、タッチスクリーンによってユーザの操作を受け付けることが可能であるとする。また、この例において、アイコンは、本発明に係る操作画像に相当する。
【0037】
さらに、この例においては、アプリケーションには実行可能なものと実行不可能なものとがあるものとする。実行不可能なアプリケーションとは、例えば、有効期限を超過したアプリケーションや、特定の条件を満たさないと実行できないアプリケーションなどである。なお、基本モードにおいては実行不可能であるが、縦モード又は横モードにおいては実行可能なアプリケーションも、ここでいう「特定の条件を満たさないと実行できないアプリケーション」に該当する。ここで、アイコンi11、i12、i14、i15、i16及びi17は、実行可能なアプリケーションを表す画像であり、アイコンi13及びi14は、実行不可能なアプリケーションを表す画像である。
【0038】
このとき、表示装置10は、第2ディスプレイ121にアイコンi11、i12、i14、i15、i16及びi17を前景画像として表示し、第1ディスプレイ111にアイコンi13及びi14を含む他の画像を背景画像として表示する。ここでいう「他の画像」は、アイコン以外に、操作を受け付けない画像(例えば、電池の残量を表す画像や、電波の受信強度を表す画像など)を含むものである。つまり、この表示例においては、表示装置10は、「画像が操作を受け付ける画像(すなわちアイコン)であるか否か」と「実行可能なアプリケーションのアイコンであるか否か」とを判断基準に用いて画像の属性を特定している。
【0039】
この表示例によれば、実行可能なアプリケーションに対応するアイコンは、他の画像に対して浮き上がっているようにユーザに視認される。これにより、ユーザは、かかるアイコンと他の画像とを視覚的に容易に区別することが可能となるため、誤操作や無駄な操作を抑制することが可能となる。
【0040】
なお、この表示例において、アイコンi11、i12、i14、i15、i16及びi17は、第1ディスプレイ111と第2ディスプレイ121の双方に、互いに重なるようにして表示されてもよい。また、これらのアイコンは、いわゆる「ドラッグ・アンド・ドロップ」の操作が行えるようになっていてもよい。このとき、表示装置10は、ユーザの操作に応じて前景画像と背景画像の表示態様を異ならせてもよい。
【0041】
図9は、第1の表示例において、ユーザがアイコンをドラッグする場合の表示例を示す図であり、図8に示すアイコンi16をドラッグした場合を示すものである。図9において、アイコンi16fは前景画像に相当し、アイコンi16bは背景画像に相当する。つまり、この表示例は、同一の画像が前景画像と背景画像の双方に振り分けられている例である。表示装置10は、アイコンi16fをユーザのドラッグする操作(第2ディスプレイ121を指でなぞる操作)に追従するようにアニメーション表示させる。このとき、アイコンi16bは、元の位置に表示されたままであり、移動しない。その後、ユーザがドロップする操作(指を話す操作)を行うと、表示装置10は、アイコンi16fをその位置から動かないように表示させる。このとき、表示装置10は、アイコンi16bを第1ディスプレイ111から消去するか、あるいはアイコンi16fと重なる位置まで移動させて表示する。
【0042】
このようにすれば、ユーザは、アイコンを移動させる操作の最中に、そのアイコンの元の位置を容易に認識することが可能である。また、表示装置10は、アニメーション表示を第2ディスプレイ121のみで行えばよく、これを第1ディスプレイ111と第2ディスプレイ121の双方で行う必要がないという利点を有する。
【0043】
図10は、基本モードにおける第2の表示例を示す図である。図10に示す表示例は、ある仮想空間にキャラクタ(アバター等)を重ねて表示させるものである。この例において、第1ディスプレイ111は、仮想空間の画像i21を背景画像として表示しており、第2ディスプレイ121は、キャラクタの画像i22を前景画像として表示している。このようにすることで、表示装置10は、立体感(奥行き感)のある画像表示を実現することができる。
【0044】
このとき、表示装置10は、背景画像を静止画とし、前景画像を動画とする、というように、画像が動くか否かによって属性を特定するようにしてもよい。この例によれば、キャラクタの画像i22は、仮想空間の内部を歩いたりするような適当なアニメーション表示が行われる。このようにすれば、第1ディスプレイ111を書き換えることなく、立体感のある動画を表示することが可能となる。なお、表示装置10は、背景画像を動画とし、前景画像を静止画としてもよい。
【0045】
図11は、基本モードにおける第3の表示例を示す図である。図11に示す表示例は、文字列と、当該文字列の一部を強調するための下線とを重ねて表示させるものである。この例において、第1ディスプレイ111は、文字列の画像i31を背景画像として表示しており、第2ディスプレイ121は、下線の画像i32を前景画像として表示している。この例において、表示装置10は、「文字」と、これに付随する「文字装飾」とで属性を区別して特定している。このようにすれば、下線を文字から浮き上がっているように表示させることが可能であり、より効果的な態様で強調表示を行うことが可能となる。なお、表示装置10は、文字を前景画像とし、文字装飾を背景画像としてもよい。
【0046】
また、表示装置10は、基本形態から他の形態に変化するときに、第1ユニット110又は第2ユニット120の移動に応じて、第1ディスプレイ111又は第2ディスプレイ121の表示態様を変化させてもよい。
【0047】
図12は、表示装置10が基本形態から横スライド形態に遷移するときの表示例を示す図である。この例において、表示装置10は、図12(a)に示す基本形態においては、図11と同様の画面を第1ディスプレイ111及び第2ディスプレイ121に表示しているものとする。また、表示装置10は、基本形態から横スライド形態へと変化する過渡的な期間(図11(b)参照)に、その表示態様が第2ユニット120の移動に応じて変化する画像を第1ディスプレイ111及び第2ディスプレイ121に表示する。かかる画像は、第1ディスプレイ111の第2ディスプレイ121と重なっている領域内に表示されるものであり、当該領域が狭くなるに従って押し潰されるようにアニメーション表示される。このとき、表示装置10は、下線が同じ文字を装飾し続けるように、文字列の画像i31aと同じような変形を施した下線の画像i32aを第2ディスプレイ121に表示する。
【0048】
また、表示装置10は、第1ディスプレイ111と第2ディスプレイ121とが所定の位置関係になった場合、換言すれば第1ディスプレイ111と第2ディスプレイ121とが重なる領域の面積が所定の閾値以下になった場合に、背景画像と前景画像を合成し、合成画像を第1ディスプレイ111又は第2ディスプレイ121に表示させる。
【0049】
図13は、第2ディスプレイ121に合成画像i33を表示する表示例を示す図である。このとき、表示装置10は、第1ディスプレイ111に背景画像、前景画像又は合成画像のいずれとも異なる画像を表示してもよいし、何も表示しなくてもよい。また、表示装置10は、合成画像を第2ディスプレイ121ではなく第1ディスプレイ111に表示してもよい。
【0050】
なお、表示装置10は、上述した第3の表示例と同様の要領によって、例えば、カメラ部800により撮影された被写体の画像を背景画像として第1ディスプレイ111に表示するとともに、他の画像を前景画像として第2ディスプレイ121に表示してもよい。ここでいう他の画像は、例えば、ユーザが手書きした文字や絵などである。かかる画像は、タッチスクリーンを介して、ユーザが指やスタイラスによって入力することが可能である。かかる場合において、表示装置10は、被写体の画像と手書きの画像とを合成した合成画像を生成することも可能である。
【0051】
以上のとおり、本実施形態の表示装置10によれば、透過型の第2ディスプレイ121を第1ディスプレイ111に重ねて設け、表示対象の画像を第1ディスプレイ111と第2ディスプレイ121とに振り分けることによって、透過型ディスプレイを単体で用いた場合や、透過型でないディスプレイを組み合わせて用いた場合に比べ、多様な画像表示を実現することが可能となる。
【0052】
[変形例]
上述した実施形態は、本発明の実施の一例にすぎない。本発明は、上述した実施形態に対して以下の変形を適用した態様で実施することも可能である。なお、以下に示す変形例は、必要に応じて、各々を適当に組み合わせて実施されてもよいものである。
【0053】
(変形例1)
本発明に係る表示装置は、ディスプレイを有するユニットを3以上備える構成であってもよいし、ディスプレイを有するユニットとディスプレイを有しないユニットとを備える構成であってもよい。
【0054】
図14は、本例に係る表示装置の外観を示す正面図である。図14に示す表示装置20は、図1に示す第1ユニット110と第2ユニット120とに加え、第3ユニット130を備える。第3ユニット130は、縦方向にスライド可能な移動機構を有するとともに、入力手段としてキーパッド131を有する。キーパッド131は、例えばテンキーであるが、QWERTY配列のキーなどであってもよい。この構成においては、第1ディスプレイ111及び第2ディスプレイ121は、タッチスクリーンによる入力手段を有しなくてもよい。なお、第3ユニット130は、図4と同様の移動機構により、縦方向だけでなく横方向にもスライド可能であってもよい。
【0055】
(変形例2)
本発明に係る移動機構は、回転によりスライドする構成であってもよいし、スライドによる移動以外の移動を含むものであってもよい。また、移動機構は、ユーザが手動で形態を変化させるものであってもよいし、モータ等によって電動で形態を変化させるものであってもよい。
【0056】
図15は、回転によりスライドする移動機構を示す図である。図15に示す表示装置30は、図4に示す移動機構に代えて、軸部115を有する。軸部115は、第2ユニット120の回転軸として機能するものである。第2ユニット120は、第1ユニット110と重なる基本形態の位置から、図中の二点鎖線で示す位置に移動可能である。
【0057】
(変形例3)
図12及び図13で説明した表示例は、横スライド形態においてではなく、縦スライド形態において行われてもよいものである。また、表示装置10は、例えば、横スライド形態と縦スライド形態とで、表示に関して異なる動作を行うようにしてもよい。
【0058】
(変形例4)
本発明に係る表示装置は、前景画像と背景画像とを組にした第1画像データや合成画像を表す第2画像データを外部装置に送信する機能を有していてもよい。この場合において、表示装置は、受信側の表示装置が第1ディスプレイ111及び第2ディスプレイ121に相当する表示部を備えるか否かによって、第1画像データと第2画像データのいずれを送信するかを制御してもよい。このようにすれば、受信側の表示装置が自装置と同様の表示部を有する場合には、前景画像と背景画像とを重ね合わせた立体的な表示を可能にしつつ、受信側の表示装置が係る表示部を有しない場合には、代わりに合成画像を表示させることが可能となる。
【0059】
なお、第1画像データや第2画像データを電子メールの添付ファイルとして送受信する場合、受信側の表示装置が第1ディスプレイ111及び第2ディスプレイ121に相当する表示部を備えるか否かの判断は、送信側の表示装置ではなくメールサーバによって行われてもよい。この場合、送信側の表示装置は、第1画像データと第2画像データの双方をメールサーバに送信すれば十分である。
【0060】
(変形例5)
本発明に係る表示装置は、無線通信端末に限定されない。本発明に係る表示装置は、例えば、無線通信ではなく有線通信を行う情報処理装置であってもよいし、さらには通信手段を有しない情報処理装置であってもよい。本発明は、例えば、パーソナルコンピュータ、ゲーム機、デジタルオーディオプレーヤなど、表示部を有するさまざまな情報処理装置に対して適用可能である。
【0061】
また、本発明は、コンピュータに図6に示した機能(又はその一部)を実現させるためのプログラムとしても把握され得るものである。かかるプログラムは、これを記憶させた光ディスク等の記録媒体の形態で提供されたり、インターネット等のネットワークを介して、コンピュータにダウンロードさせ、これをインストールして利用可能にするなどの形態でも提供されたりすることも可能である。なお、ここでいうコンピュータは、表示装置そのものに備わっている必要はなく、表示装置を制御するための外部装置に備わっているものであってもよい。
【符号の説明】
【0062】
10、20、30…表示装置、110…第1ユニット、111…第1ディスプレイ、120…第2ユニット、121…第2ディスプレイ、100…制御部、101…モード判定部、102…取得部、103…特定部、104…振分判定部、105…表示制御部、106…合成部、200…記憶部、300…表示部、400…操作部、500…通信部、600…音声入出力部、700…検知部、800…カメラ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する第1ディスプレイと、
前記第1ディスプレイと重なる状態で画像を表示し、当該状態において、前記第1ディスプレイに表示されている画像を透過してユーザに視認させ得る第2ディスプレイと、
表示対象となる画像の属性を特定する特定部と、
前記特定部により特定された画像の属性に基づいて、当該画像が背景画像と前景画像のいずれに属するかを判定する判定部と、
前記判定部により前記背景画像に属すると判定された画像を前記第1ディスプレイに表示させ、前記判定部により前記前景画像に属すると判定された画像を前記第2ディスプレイに表示させる表示制御部と
を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記特定部が、画像が静止画又は動画のいずれかに該当するか特定し、
前記判定部が、静止画又は動画の一方に該当する画像を前記背景画像に属すると判定し、他方に該当する画像を前記前景画像に属すると判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第2ディスプレイに設けられるタッチスクリーンによりユーザの操作を受け付ける操作部を備え、
前記特定部が、画像が前記操作を受け付ける操作画像に該当するか特定し、
前記判定部が、前記操作画像を前記前景画像であると判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1ディスプレイと前記第2ディスプレイの位置を相対的に移動させる移動機構を備え、
前記表示制御部が、前記移動機構による移動に応じて前記第1ディスプレイ又は前記第2ディスプレイの表示態様を変化させる
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記背景画像と前記前景画像とを合成して合成画像を生成する合成部を備え、
前記表示制御部が、前記第1ディスプレイと前記第2ディスプレイとが所定の位置関係になった場合に、前記背景画像及び前記前景画像に代えて前記合成画像を前記第1ディスプレイ又は前記第2ディスプレイに表示させる
ことを特徴とする請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
画像を表示する第1ディスプレイと、前記第1ディスプレイと重なる状態で画像を表示し、当該状態において前記第1ディスプレイに表示されている画像を透過してユーザに視認させ得る第2ディスプレイとを有する表示装置を制御するコンピュータに、
表示対象となる画像の属性を特定するステップと、
前記特定された画像の属性に基づいて、当該画像が背景画像と前景画像のいずれに属するかを判定するステップと、
前記背景画像に属すると判定された画像を前記第1ディスプレイに表示させ、前記前景画像に属すると判定された画像を前記第2ディスプレイに表示させるステップと
を実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−248209(P2011−248209A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−122834(P2010−122834)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】