説明

表示装置及び表示方法

【課題】複数の視点画像を表示する表示装置にて観察者が視聴しやすい環境を整える。
【解決手段】複数の視点画像を表示する表示部100と、複数の透過部105aを有し、表示部100からの光を分離させるパララックスバリア105と、視点画像のフレーム間の相関情報に基づき、表示部100上の各視点画像の表示位置又はパララックスバリア105の各透過部105aの透過率の少なくともいずれかを切り替えるタイミングを制御する表示制御部125とを有する表示装置10が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置及び表示方法に関し、特に複数の視点画像を表示する表示装置及び表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、左右の目に互いに異なった視点画像を導光することにより、立体映像の視聴を可能とする裸眼用の立体視表示装置(以下、表示装置と称呼する。)が普及しつつある。表示装置は、パララックスバリアやレンチキュラーレンズを用いて複数の視点画像のうち所定の視点画像を観察者の眼球に導光する。図8に示した表示装置90では、パララックスバリア905の透過部905aを通過する光線のうち、視点5,6の視点画像が観察者の左目、右目にそれぞれ導光されることにより、画像の立体視が可能になる。
【0003】
表示部900の表示画面上の各画素には、各視点画像が周期的に配置されている。このため、各周期の境界部分(例えば、6視点の場合には視点6と視点1)では、右目に入るべき視点映像が左目に導光され、左目に入るべき視点映像が右目に導光される逆視現象が発生する。逆視領域では、観察者は立体画像の手前と奥とが反転した映像を知覚する、あるいは不自然に融合して見えるという違和感のある映像を見ることになる。
【0004】
逆視現象は、裸眼用の表示装置において原理的に生じるものであるため根本的な解決は難しい。そこで、従来から、観察者の顔の位置を検出し、観察者の位置が逆視領域に入らないように制御する技術が提案されている。例えば、特許文献1,2には、観察者が逆視領域にいる又は逆視領域に近づいた場合、観察者の位置が逆視領域でなくなるように、多視点画像の表示位置を連続的に切り替える表示方法が提案されている。たとえば、図8では、上図で視点1〜6の視点画像を表示していたのに対して、下図で視点3〜8の視点画像を表示するように、多視点画像の表示位置を視点1〜6→視点2〜7→視点3〜8と「連続的に」切り替え、これにより、観察者の位置が正視領域になるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−282217号公報
【特許文献2】特開平7−38926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記方法により正視領域を拡大するためには、かなり多くの視点画像を入力または生成しておく必要があり、画像処理の負担が大きかった。
【0007】
表示画面に表示する画像の視点数を多くすることにより正視領域を拡大することも考えられる。しかし、表示画面に表示する視点数が多くなるほど画像の解像度が悪くなる。よって、正視領域を拡大するためにむやみに視点数を増やすと画質が低下してしまう。
【0008】
上記課題に対して、本発明の目的とするところは、複数の視点画像を表示する表示装置にて観察者が視聴しやすい環境を整えることが可能な、新規かつ改良された表示装置及び表示方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、複数の視点画像を表示する表示部と、複数の透過部を有し、前記表示部からの光を分離させる光分離部と、前記視点画像のフレーム間の相関情報に基づき、前記表示部上の各視点画像の表示位置又は前記光分離部の各透過部の透過率の少なくともいずれかを切り替えるタイミングを制御する表示制御部と、を備える表示装置が提供される。
【0010】
前記表示制御部は、前記視点画像のフレーム間の相関情報として検出された視点画像のシーンチェンジに基づき、前記切り替えタイミングを制御してもよい。
【0011】
前記表示制御部は、前記視点画像のフレーム間の相関情報として検出された視点画像の変動度の大きさに基づき、前記切り替えタイミングを制御してもよい。
【0012】
前記表示制御部は、観察者の位置を取得し、前記切り替えタイミングに前記複数の視点画像の中心画像が前記観察者の位置に近づくように前記各視点画像の表示位置又は前記各透過部の透過率の少なくともいずれかを切り替えてもよい。
【0013】
前記表示制御部は、観察者の位置を取得し、前記切り替えタイミングに前記複数の視点画像の中心画像が前記観察者の位置に配置されるように前記各視点画像の表示位置又は前記各透過部の透過率の少なくともいずれかを切り替えてもよい。
【0014】
前記表示制御部は、観察者の位置を取得し、前記切り替えタイミングに前記複数の視点画像の中心画像が前記観察者の位置に配置されていない場合、該視点画像の中心画像が前記観察者の位置に近づくように前記各視点画像の表示位置又は前記各透過部の透過率の少なくともいずれかを切り替えてもよい。
【0015】
前記表示制御部は、観察者の位置を取得し、前記切り替えタイミングに前記観察者が逆視領域にいる場合、前記各視点画像の表示位置又は前記各透過部の透過率の少なくともいずれかを切り替えてもよい。
【0016】
前記表示制御部は、観察者の位置を取得し、前記切り替えタイミングに前記観察者が逆視領域又は該逆視領域に隣接する準正視領域にいる場合、前記各視点画像の表示位置又は前記各透過部の透過率の少なくともいずれかを切り替えてもよい。
【0017】
前記表示制御部は、観察者の位置を取得し、前記切り替えタイミングに前記観察者が正視領域にいる場合、前記各視点画像の表示位置又は前記各透過部の透過率の少なくともいずれかの切り替えを行わなくてもよい。
【0018】
前記表示制御部は、前記観察者の位置の変化が所定の閾値以下の場合、前記各視点画像の表示位置又は前記各透過部の透過率の少なくともいずれかの切り替えを行わなくてもよい。
【0019】
前記表示制御部は、複数の観察者の位置を取得し、前記切り替え後、前記複数の観察者のすべてが正視領域で視聴可能な場合、前記切り替えタイミングに前記各視点画像の表示位置又は前記各透過部の透過率の少なくともいずれかを切り替えてもよい。
【0020】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、表示部に表示された複数の視点画像のフレーム間の相関情報を取得するステップと、前記取得された前記視点画像のフレーム間の相関情報に基づき前記表示部上の各視点画像の表示位置又は前記表示部からの光を分離させる複数の透過部を有する光分離部の各透過部の透過率の少なくともいずれかを切り替えるタイミングを制御するステップと、を含む表示方法が提供される。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明によれば、複数の視点画像を表示する表示装置にて観察者が視聴しやすい環境を整えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係る表示装置の概略構成図である。
【図2】一実施形態に係る立体ディスプレイとパララックスバリアとの概略構成図である。
【図3】一実施形態に係る表示装置の機能構成図である。
【図4】一実施形態に係る多視点画像の位置切替処理フローを示した図である。
【図5】一実施形態の変形例1に係る多視点画像の位置切替処理フローを示した図である。
【図6】変形例1に係る効果を説明するための図である。
【図7】一実施形態の変形例2に係る多視点画像の位置切替処理フローを示した図である。
【図8】多視点画像の位置切替の比較例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の各実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0024】
なお、本発明の実施形態は次の順序で説明される。
<一実施形態>
[表示装置の概略構成]
[表示装置の機能構成]
[表示装置の動作]
<変形例1>
[表示装置の動作]
<変形例2>
[表示装置の動作]
【0025】
<一実施形態>
[表示装置の概略構成]
まず、本発明の一実施形態に係る表示装置の概略構成について説明する。図1及び図2に示すように、本実施形態に係る表示装置10は、表示部100及びパララックスバリア105を有し、立体視画像を表示する。表示部100は、複数の視点画像を表示する。本実施形態では、表示部100には6視点の視点画像が周期的に配置されている。パララックスバリア105は、各視点画像から右目用の画像及び左目用の画像を分離させる。図2に示したように、パララックスバリア105は、複数の透過部105aを有し、各透過部105aの透過率を変えることにより、表示部100からの光を分離させる。
【0026】
表示部100は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)、PDP(Plasma Display Panel)、または有機EL(Electro-Luminescence)パネルなどのディスプレイであってもよい。
【0027】
パララックスバリア105は、表示部100からの光を分離させる光分離部の一例である。光分離部の他の例としては、レンチキュラーレンズ等のパララックス素子が挙げられる。パララックス素子としては、3Dモード固定のパッシブ素子や、2D/3D切り替えが可能なアクティブ素子が考えられるが、本実施形態においては、これらを限定しない。また、本実施形態では、パララックスバリア110は、表示部100の画素面の前方に置かれているが、表示部が非自発光型の場合はこれに限られず、表示部100の後方に置かれてもよい。
【0028】
本実施形態では、図1に示したように、観察者は、パララックスバリア105を通して各視点画像を見るため、正視領域では右目には右目用の画像だけが入り、左目には左目用の画像だけが入る。このようにして右目に見える映像と左目に見える映像とが異なることにより、立体表示部100aに映し出される映像は立体的に見える。
【0029】
視点数が6の場合、6つの視点画像が、表示部100の各画素の位置に周期的に配置される。表示部100の前のパララックスバリア105は、透過部105aにより6視点の視点画像をそれぞれ空間的に分離させる。図1では、観察者は、右目で右目用の視点4の視点画像を観察し、左目で左目用の視点3の視点画像を観察している。ここでは、観察者は、6視点の視点画像のうちの中心画像である、視点3、4の視点画像を観察するため、逆視領域に最も遠い、最もよい位置にいるといえる。このように初期位置では、観察者は中心画像を見る位置にいる。
【0030】
(逆視領域/準正視領域)
前述したように、視点画像が周期的に配置されることにより、各周期の境界部分では右目に入るべき視点映像が左目に導光され、左目に入るべき視点映像が右目に導光される逆視領域が存在する。逆視領域では、観察者に不快な映像を見せることになるため好ましくない。
【0031】
逆視領域での視聴を避けるためには、例えば、図8の上図に示したように、観察者が逆視領域にいるか、逆視領域に近づいた場合、観察者の位置が正視領域になるように、多視点画像の表示位置を「連続的に」切り替えて表示する方法が考えられる。図8では、上図で視点1〜6の視点画像を表示していたのに対して、下図で視点3〜8の視点画像を表示するように、多視点画像の表示位置を視点1〜6→視点2〜7→視点3〜8と「連続的に」切り替えている。
【0032】
このように正視領域をずらすためには、かなり多くの視点画像を入力または生成して用意しておく必要がある。しかし、多くの視点画像を用意する際、画像処理量が多く、処理の負担が大きくなってしまう。よって、以下に説明する本実施形態では、複数の視点画像を表示する表示装置にて観察者が視聴しやすい環境を整える方法を提案する。
【0033】
なお、逆視領域以外は正視領域であるが、本明細書では、逆視領域と正視領域とに跨った領域を準正視領域とも称呼する。例えば、図1では、視点6、1の視点画像を視聴する領域が逆視領域である。これに対して、逆視領域の両側の領域、つまり、視点画像が視点5、視点6となる領域、及び視点画像が視点1、視点2となる領域が準正視領域である。しかしながら、準正視領域は、これに限られず、より多くの領域を準正視領域としてもよいし、準正視領域を設けなくてもよい。
【0034】
[表示装置の機能構成]
本実施形態に係る表示装置10の機能構成について図3を参照しながら説明する。本実施形態に係る表示装置10は、表示部100、パララックスバリア105、視点位置検出部110、多視点画像生成部115、フレーム間相関検出部120、画像制御部125、表示駆動部130及び記憶部135を有する。表示部100及びパララックスバリア105については、上述したため、ここでは説明を省略し、他の機能部についての説明に留める。
【0035】
視点位置検出部110は、図示しないカメラを用いて観察者を撮像し、得られた画像から観察者の顔を認識する。市販のデジタルスチルカメラにおいて、顔を検出してフォーカシングするといった機能を持つものがあるように、顔検出技術として存在する既存技術を用いることができる。また、テンプレートと比較することにより撮像された顔を識別する顔認識の既存技術も用いることができる。本実施形態では、このような公知のあらゆる顔認識技術を使うことができる。なお、カメラの仕様としては、Webカメラのような動画像を撮像できるものを仕様してもよい。また、一般的に距離計測を行うためには2台以上のカメラが必要であるが、1台のカメラでも物体認識技術により距離情報を取得することができる。
【0036】
視点位置検出部110は、このようにして撮影した画像データから顔検出機能により、観察者が存在する方向を検出する。視点位置検出部110は、認識された観察者の顔から観察者の位置と距離を算出する。観察者が複数存在する場合には、視点位置検出部110は、全観察者の位置と距離を算出する。視点位置検出部110により行われる距離の測定方法としては、大きく次の2つが考えられる。
【0037】
距離測定方法の1つとしては、観察者は、ある決められた位置(例えば画面中央より2mの位置)に移動し、その位置においてカメラと用いて顔を撮影する。そのときに撮像される顔画像の大きさを基準とする。基準画像の撮像は、コンテンツ視聴前に初期設定としての処理を行う。より具体的には、視点位置検出部110は、視距離に対する画像上の平均的な顔の大きさを予め調べておき、記憶部135に記録しておく。検出した観察者の顔画像の大きさと記憶部135に記憶されたデータとを比較し、対応する距離データを読み出すことにより、観察者の位置情報及び表示部100から観察者までの距離情報を取得することができる。なお、視点位置検出部110は、観察者の位置を検出するために、顔検出機能を用いたフェイストラッキングを用いてもよいが、これに限られず、例えば、ヘッドトラッキングやアイトラッキングを用いてもよい。
【0038】
距離測定方法の他の1つとしては、上記顔認識機能により観察者の左右の眼の検出が可能である。カメラにより撮像された左右の眼のそれぞれの重心位置の距離を算出する。一般に、裸眼用の立体ディスプレイには、設計視距離がある。また、人間の左右の瞳孔間距離(眼間距離)は平均65mmといわれている。瞳孔間距離65mmの観察者がカメラから「設計視距離」だけ離れたときを基準とし、視点位置検出部110は、上記顔認識動作の際、算出された左右の眼の重心位置の距離から観察者までの距離を算出する。
【0039】
多視点画像生成部115は、複数の視点画像を入力又は生成する。本実施形態では、6視点の視点画像が入力されるか、又は入力画像から6視点の視点画像が生成される。
【0040】
フレーム間相関検出部120は、視点画像のフレーム間の相関情報を検出し、画像制御部125に出力する。視点画像のフレーム間の相関情報の一例としては、視点画像のシーンチェンジが挙げられる。この場合、視点画像のシーンチェンジが検出されたとき、視点画像が切り替えられることになる。
【0041】
シーンとは、例えば、空間的に連続するひとまとまりの画像区間(画像クリップ)を意味し、シーンチェンジとは、例えば、シーンの切り替え点、すなわち、時間的若しくは空間的に不連続な画像クリップ同士が連結された境界である画像の変化点を意味する。なお、シーンチェンジは、カットチェンジ、ショットチェンジ、画像変化点等と称されることもあるが、本明細書ではシーンチェンジと称する。
【0042】
例えば、フレーム間相関検出部120は、フレーム間の画像の輝度が大きく変わった場合をシーンチェンジとして検出してもよい。また、フレーム間相関検出部120は、フレーム間の画像のカラーバランスの変化、フレーム間の画像の色の変化、フレーム間の画像におけるテロップなどの出現等からシーンチェンジを検出してもよい。
【0043】
フレーム間相関検出部120により実行されるシーンチェンジの検出には公知のあらゆる技術を用いることができる。シーンチェンジの検出方法の一例としては、統計量差分法、画像差分法、符号化データ法、エッジ法、ヒストグラム差分法等が挙げられる。
【0044】
例えば、MPRGのDCT(離散コサイン変換)のDC係数の所定フレーム間差分や所定ヒストグラムデータ量の相違、または画像のベースバンド帯域での輝度信号、若しくは色信号の所定ヒストグラムデータ量のフレーム間差分等により所定のシーンチェンジを検出することができる。また、画像のエッジ量が変化する特性を用いて行われる所定の信号処理によりフェードやワイプといったゆっくりとしたシーンチェンジを検出することができる。このように、シーンチェンジの検出には、上記技術を用いて、画像上の場面の切り替えによるカットチェンジ、画像上のディゾルブやフェードやワイプによるシーンチェンジ等を検出することが含まれる。また、取得される画像内に予め埋め込まれたチャプタ点の情報を検出することにより、シーンチェンジを検出してもよい。
【0045】
視点画像のフレーム間の相関情報の他の例としては、視点画像の変動度の大きさが挙げられる。この場合、視点画像の変動度が予め定められた所定の閾値以上の大きさとなったとき、視点画像が切り替えられることになる。例えば、カメラワークのように、シーンが切り替わるのではなく、カメラがある方向に動いているような場合や、ズームインやズームアウト等カメラのカットは変わらないが視点画像全体が変動している場合が検出対象となる。
【0046】
変動度の大きさの検出方法としては、例えば、動きベクトルを用いて視点画像の変動度の大きさを推測することができる。また、画像中の撮影対象の移動や変形、高速に移動する物体の出現や消滅の変化などから視点画像の変動度の大きさを検出してもよい。また、カメラの絞りなどの情報をカメラ側から取得することにより、視点画像の変動度の大きさを検出してもよい。なお、以上に示した視点画像のフレーム間の相関とは、動画像だけが対象ではなく、静止画の画像間の相関も含む。
【0047】
画像制御部125は、多視点画像生成部115により生成された視点画像を図1の初期位置に表示するように制御する。例えば、表示装置10がテレビの場合には、テレビの3Dモードをオンした時、又は、3Dのテレビの電源をオンした時に、視点位置を検出して観察者に多視点画像の中心画像を提示する。
【0048】
画像制御部125は、視点画像のフレーム間の相関情報に基づき、表示部100上の各視点画像の表示位置又はパララックスバリア105の各透過部の透過率の少なくともいずれかを切り替えるタイミングを制御する。画像制御部125は、切り替えのタイミングになったら、観察者の目の位置に中心画像が表示されるように、表示部100の表示位置又はパララックスバリア105の複数の透過部105aの透過率の少なくともいずれかを切り替える。例えば、表示制御部125は、視点画像のフレーム間の相関情報が低い場面で上記切り替えを行うように制御する。視点画像のフレーム間の相関情報が低い場面とは、視点画像のシーンチェンジを検出した場合や、視点画像の変動度が所定以上の大きさになったことを検出した場合である。
【0049】
表示制御部125は、観察者の位置を取得し、前記切り替えタイミングに、生成された視点画像の中心画像が前記観察者の位置に近づくように各視点画像の表示位置又は各透過部の透過率の少なくともいずれかを切り替えてもよい。
【0050】
また、表示制御部125は、観察者の位置を取得し、前記切り替えタイミングに、生成された視点画像の中心画像が前記観察者の位置に配置されるように前記各視点画像の表示位置又は前記各透過部の透過率の少なくともいずれかを切り替えてもよい。
【0051】
また、表示制御部125は、観察者の位置を取得し、前記切り替えタイミングに、生成された視点画像の中心画像が前記観察者の位置に配置されていない場合、該視点画像の中心画像が前記観察者の位置に近づくように各視点画像の表示位置又は各透過部の透過率の少なくともいずれかを切り替えてもよい。
【0052】
また、表示制御部125は、観察者の位置を取得し、前記切り替えタイミングに前記観察者が逆視領域にいる場合、前記各視点画像の表示位置又は前記各透過部の透過率の少なくともいずれかを切り替えてもよい。
【0053】
また、表示制御部125は、観察者の位置を取得し、前記切り替えタイミングに前記観察者が逆視領域又は該逆視領域に隣接する準正視領域にいる場合、前記各視点画像の表示位置又は前記各透過部の透過率の少なくともいずれかを切り替えてもよい。
【0054】
また、表示制御部125は、観察者の位置を取得し、前記切り替えタイミングに前記観察者が正視領域にいる場合、前記各視点画像の表示位置又は前記各透過部の透過率の少なくともいずれかの切り替えを行わないようにしてもよい。
【0055】
また、表示制御部125は、観察者の位置の変化が所定の閾値以下の場合、前記各視点画像の表示位置又は前記各透過部の透過率の少なくともいずれかの切り替えを行わないようにしてもよい。
【0056】
また、表示制御部125は、複数の観察者の位置を取得し、前記切り替え後、前記複数の観察者のすべてが正視領域で視聴可能な場合、前記切り替えタイミングに前記中心画像が各観察者の位置に近づくように前記各視点画像の表示位置又は前記各透過部の透過率の少なくともいずれかを切り替えてもよい。
【0057】
なお、前記各視点画像の表示位置を切り替えるとは、各視点画像を表示する担当画素を切り替えることをいう。また、可変のパララックスバリアの各透過部の透過率を切り替えるとは、バリアに配置された電極にどのような大きさの電圧を印加するかによって各透過部105aの透過率の高低を制御することをいうが、パララックスバリアの物理的な位置を変えてもよい。
【0058】
表示駆動部130は、表示部100とパララックスバリア105のそれぞれを上記の方法で電気的又は物理的に駆動する。
【0059】
記憶部135は、画像制御部125等の各部の機能を実現するためのプログラムや各種データが記憶されている。
【0060】
なお、表示装置10は、例えばテレビやPC、モバイル機器などであり得るが、必ずしも同じ筐体に表示部100を含む必要はない。例えば、表示部100は、表示装置10と一体であってその表面に設けられてもよいし、表示装置10には含まれずに独立して設けられていてもよい。また、表示装置10は、必ずしも同じ筐体に上記各構成要素のすべてを含む必要はない。例えば、記憶部135は表示装置10には含まれずに、例えばネットワーク上のストレージによってその機能が提供されてもよい。
【0061】
表示装置10は、画像を適切な位置に表示するための各種演算を行う演算処理部を有しており、例えばGPU(Graphics Processing Unit)、CPU(Central Processing Unit)、またはDSP(Digital Signal Processor)などによって実現されうる。表示装置10の各部は、記憶部135に格納されたプログラムに従って動作してもよい。
【0062】
[表示装置の動作]
次に、図4のフローチャートを参照しながら、本実施形態に係る表示装置10の動作について説明する。図4で処理が開始されると、ステップS400にて、視点位置検出部110は、カメラに視聴環境を撮像させ、撮像空間内の顔を検出し、観察者空間内の観察者の位置を検出する。次に、ステップS405にて、画像制御部125は、シーンチェンジを検出したかを判定する。シーンチェンジの検出は、前述の通りフレーム間の相関関係を示す情報の一例である。
【0063】
ステップS405にて、シーンチェンジを検出しないと判定された場合、本処理を終了する。一方、ステップS405にて、シーンチェンジを検出したと判定された場合、ステップS410に進んで、表示制御部125は、視点画像の中心画像が観察者の位置に配置されるように各視点画像の表示位置又は各透過部の透過率の少なくともいずれかを切り替える。そして、ステップS415にて、表示制御部125は、視点画像の中心画像が観察者の位置に配置されるように各視点画像を表示させ、本処理を終了する。
【0064】
以上に説明したように、本実施形態に係る表示装置10によれば、表示する画像のシーンが変わるタイミングで、観察者の視聴位置に多視点画像の中心画像(例えば、6視点の場合には視点3,4の画像)が配置されるように、表示する多視点画像を切り替えることができる(図6を参照)。このように、シーンチェンジの検出と切り替えタイミングとを連動させることにより、視聴中の観察者に違和感を与えずに、視点画像の表示位置を切り替えることができる。これにより、観察者は、違和感なく絶えず正視領域で良好な画像を視聴することができる。また、観察者は、必ずしも表示画面の中央で視聴しなくても正視領域での視聴が可能になる。このようにして、観察者に対して快適な立体映像の視聴環境を提供することができる。
【0065】
また、本実施形態では、観察者の視聴位置に多視点画像の中心画像が配置されるように視点画像の切り替えが行われる。これにより、画像処理で生成する又はカメラで撮影する多視点画像をたくさん用意しておく必要がなくなり、処理負担を軽減できる。なお、上記のように観察者の視聴位置に多視点画像の中心画像が配置されるように画像を切り替えることが好ましいが、必ずしもこれに限られず、例えば、視点画像の中心画像が観察者の位置に近づくように各視点画像の配置を切り替えるようにしてもよい。
【0066】
<変形例1>
[表示装置の動作]
次に、変形例1に係る表示装置10の動作について、図5のフローチャートを参照しながら説明する。図5で処理が開始されると、ステップS500にて、視点位置検出部110は、観察者空間内の観察者の位置を検出する。次に、ステップS505にて、画像制御部125は、シーンチェンジを検出したかを判定する。
【0067】
ステップS505にて、シーンチェンジを検出しないと判定された場合、本処理を終了する。一方、ステップS505にて、シーンチェンジを検出したと判定された場合、ステップS510に進んで、表示制御部125は、観察者が逆視領域又は準正視領域にいるかを判定する。図1に示したように、準正視領域は、逆視領域に近接する領域である。ここでは、準正視領域は、視点5,6及び視点1、2の領域であるが、これに限られず、例えば、視点5,6及び視点1、2の領域とともに、視点4,5及び視点2、3を準正視領域に含めてもよい。
【0068】
ステップS510にて、観察者が逆視領域又は準正視領域にいないと判定された場合、本処理を終了する。一方、ステップS510にて、観察者が逆視領域又は準正視領域にいると判定された場合、ステップS515に進んで、表示制御部125は、視点画像の中心画像が観察者の位置に配置されるように各視点画像の表示位置又は各透過部の透過率の少なくともいずれかを切り替える。そして、ステップS520にて、表示制御部125は、視点画像の中心画像が観察者の位置に配置されるように各視点画像を表示させ、本処理を終了する。例えば、図6の上図に示したように観察者が準正視領域にいる場合、画像のシーンが変わるタイミングで、下図に示したように観察者の位置に視点3、4の中心画像が配置される。よって、観察者は、視聴位置を変えることなく逆視領域での視聴を回避することができる。
【0069】
以上に説明したように、本実施形態に係る表示装置10によれば、表示する画像のシーンが変わるタイミングで、観察者の視聴位置に多視点画像の中心画像(例えば、6視点の場合には視点3,4の画像)が配置されるように、表示する多視点画像を切り替える。このように、シーンチェンジの検出と切り替えタイミングとを連動させることにより、視聴中の観察者に違和感を与えずに、視点画像の表示位置を切り替えることができる。特に、本変形例では、観察者が正視領域にいる場合には上記切り替えをしないことにより、画像の切り替えが頻繁に生じることを回避することができる。
【0070】
<変形例2>
[表示装置の動作]
次に、変形例2に係る表示装置10の動作について、図7のフローチャートを参照しながら説明する。変形例2では、複数の観察者が視聴していることを想定する。
【0071】
図7で処理が開始されると、ステップS700にて、視点位置検出部110は、観察者の位置を検出し、ステップS705にて、画像制御部125は、シーンチェンジを検出したかを判定する。
【0072】
ステップS705にて、シーンチェンジを検出しないと判定された場合、本処理を終了する。一方、ステップS705にて、シーンチェンジを検出したと判定された場合、ステップS710に進んで、表示制御部125は、観察者が一人でも逆視領域にいるかを判定する。ここでは逆視領域のみを判定対象としているが、変形例1のように観察者が逆視領域又は準正視領域にいるかを判定してもよい。
【0073】
ステップS710にて、観察者が一人も逆視領域にいないと判定された場合、本処理を終了する。一方、ステップS710にて、観察者が一人でも逆視領域にいると判定された場合、ステップS715に進んで、表示制御部125は、切り替え後、全ての観察者が正視領域にいるかを判定する。切り替え後、観察者が一人でも逆視領域にいることになると判定された場合、本処理を終了する。一方、ステップS715にて、切り替え後、全ての観察者が正視領域にいることになると判定された場合、ステップS720に進んで、表示制御部125は、全ての観察者が正視領域にいるように各視点画像の表示位置又は各透過部の透過率の少なくともいずれかを切り替える。そして、ステップS725にて、表示制御部125は、全ての観察者が正視領域で視聴するように各視点画像を表示させ、本処理を終了する。
【0074】
以上に説明したように、本実施形態に係る表示装置10によれば、表示する画像のシーンが変わるタイミングで、極力、全ての観察者が正視領域で視聴できるように、表示する多視点画像が切り替えられる。このように、シーンチェンジの検出と切り替えタイミングとを連動させることにより、視聴中の全ての観察者に違和感を与えずに、視点画像の表示位置を切り替えることができる。
【0075】
上記実施形態及び変形例において、各部の動作は互いに関連しており、互いの関連を考慮しながら、一連の動作として置き換えることができる。これにより、表示装置の実施形態を、表示方法の実施形態とすることができる。
【0076】
以上に説明した実施形態及び各変形例によれば、複数の視点画像を表示する表示装置にて観察者が視聴しやすい環境を整えることが可能な表示装置10を提供することができる。
【0077】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0078】
例えば、上記実施形態及び各変形例では、眼間2視点の場合について説明したが、これに限られない。本発明では、眼間3視点の場合にも適用可能である。たとえば、眼間3視点の場合にも逆視領域に近接する区域を準正視領域として、観察者が逆視領域又は準正視領域に位置する場合、上記シーンチェンジのタイミングにて観察者の位置に中心画像が配置されるように画像を切り替えてもよい。なお、眼間3視点の場合であって視点数が7視点の場合、中心画像は、視点3,5となる。
【0079】
また、本発明では、準正視領域に観察者が入っても逆視領域でなければ画像の切り替えをしなくてもよい。例えば、逆視領域から±1視点又は±2視点は切り替えないとしてもよい。
【0080】
また、フレーム間の相関が低い状態が検出されても、画像の切り替えを行わない制御条件を設けてもよい。例えば、観察者の視聴位置の変位を検出し、その変位が小さい場合には、フレーム間の相関が低い状態が検出されても画像の切り替えを行わないように制御してもよい。視聴位置の変位が小さい場合とは、例えば、観察者の元の位置から±1視点の範囲の変位であってもよいし、±2視点の範囲の変位であってもよい。また、例えば、視聴位置の変位が小さい場合とは、生成された多視点画像の半分の範囲の変位であってもよい。生成された多視点画像が8視点の場合、±視点2の範囲の変位になる。
【0081】
なお、本発明では、右眼用及び左眼用画像の空間分離をレンチキュラーレンズやパララックスバリアで制御したが、裸眼で立体映像を視聴できれば他のどんな機構を用いてもよい。
【0082】
また、本明細書において、フローチャートに記述されたステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的に又は個別的に実行される処理をも含む。また時系列的に処理されるステップでも、場合によっては適宜順序を変更することが可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0083】
10 表示装置
100 表示部
105 パララックスバリア
105a 透過部
110 視点位置検出部
115 多視点画像生成部
120 フレーム間相関検出部
125 画像制御部
130 表示駆動部
135 記憶部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の視点画像を表示する表示部と、
複数の透過部を有し、前記表示部からの光を分離させる光分離部と、
前記視点画像のフレーム間の相関情報に基づき、前記表示部上の各視点画像の表示位置又は前記光分離部の各透過部の透過率の少なくともいずれかを切り替えるタイミングを制御する表示制御部と、
を備える表示装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記視点画像のフレーム間の相関情報として検出された視点画像のシーンチェンジに基づき、前記切り替えタイミングを制御する請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記視点画像のフレーム間の相関情報として検出された視点画像の変動度の大きさに基づき、前記切り替えタイミングを制御する請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、観察者の位置を取得し、前記切り替えタイミングに前記複数の視点画像の中心画像が前記観察者の位置に近づくように前記各視点画像の表示位置又は前記各透過部の透過率の少なくともいずれかを切り替える請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、観察者の位置を取得し、前記切り替えタイミングに前記複数の視点画像の中心画像が前記観察者の位置に配置されるように前記各視点画像の表示位置又は前記各透過部の透過率の少なくともいずれかを切り替える請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記表示制御部は、観察者の位置を取得し、前記切り替えタイミングに前記複数の視点画像の中心画像が前記観察者の位置に配置されていない場合、該視点画像の中心画像が前記観察者の位置に近づくように前記各視点画像の表示位置又は前記各透過部の透過率の少なくともいずれかを切り替える請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記表示制御部は、観察者の位置を取得し、前記切り替えタイミングに前記観察者が逆視領域にいる場合、前記各視点画像の表示位置又は前記各透過部の透過率の少なくともいずれかを切り替える請求項1に記載の表示装置。
【請求項8】
前記表示制御部は、観察者の位置を取得し、前記切り替えタイミングに前記観察者が逆視領域又は該逆視領域に隣接する準正視領域にいる場合、前記各視点画像の表示位置又は前記各透過部の透過率の少なくともいずれかを切り替える請求項1に記載の表示装置。
【請求項9】
前記表示制御部は、観察者の位置を取得し、前記切り替えタイミングに前記観察者が正視領域にいる場合、前記各視点画像の表示位置又は前記各透過部の透過率の少なくともいずれかの切り替えを行わない請求項1に記載の表示装置。
【請求項10】
前記表示制御部は、前記観察者の位置の変化が所定の閾値以下の場合、前記各視点画像の表示位置又は前記各透過部の透過率の少なくともいずれかの切り替えを行わない請求項1に記載の表示装置。
【請求項11】
前記表示制御部は、複数の観察者の位置を取得し、前記切り替え後、前記複数の観察者のすべてが正視領域で視聴可能な場合、前記切り替えタイミングに前記各視点画像の表示位置又は前記各透過部の透過率の少なくともいずれかを切り替える請求項1に記載の表示装置。
請求項1に記載の表示装置。
【請求項12】
表示部に表示された複数の視点画像のフレーム間の相関情報を取得するステップと、
前記取得された前記視点画像のフレーム間の相関情報に基づき前記表示部上の各視点画像の表示位置又は前記表示部からの光を分離させる複数の透過部を有する光分離部の各透過部の透過率の少なくともいずれかを切り替えるタイミングを制御するステップと、
を含む表示方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−169858(P2012−169858A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−29064(P2011−29064)
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】