説明

表示装置及び電子機器

【課題】タッチセンサの感度の劣化を防止することができるようにする。
【解決手段】タッチセンサ機能を有するタッチセンサ付液晶パネルと、タッチセンサ付液晶パネルの上側面に配置される上偏光板と、タッチセンサ付液晶パネルの下側面に配置される下偏光板とからなる構成において、視野角補償機能を有する位相差板が、タッチセンサ付液晶パネルと下偏光板との間に配置されることで、タッチセンサの感度の劣化が防止される。本技術は、例えば、タッチセンサ付きの表示装置に適用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、表示装置及び電子機器に関し、特に、タッチセンサの感度の劣化を防止することができるようにした表示装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、タッチパネルと称される、接触検出装置(以下、タッチセンサという)を液晶表示装置上に直接装着するとともに、液晶表示装置に各種のボタンのGUI(Graphical User Interface)を表示させることにより、物理的なボタンの代わりとして情報入力を可能にした表示装置が注目されている。本出願人は、モバイル機器用途に適したタッチセンサ付きの表示装置を先に提案している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、特許文献2には、液晶表示装置において、位相差板を設けることで視野角補償効果が得られることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−244958号公報
【特許文献2】特開2007−218940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、タッチセンサ付の液晶パネルにおいて、位相差板等の視野角補償用の光学フィルムを用いる場合、液晶パネルの上下に設けられる偏光板のうちの上偏光板と、液晶パネルとの間に光学フィルムを配置すると、光学フィルムの誘電率の低さから、タッチセンサの感度が低下する可能性がある。
【0006】
そのため、タッチセンサ付の液晶パネルにおいて視野角補償用の光学フィルムを用いる場合に、タッチセンサの感度の劣化を防止できるようにすることが求められていた。
【0007】
本技術はこのような状況に鑑みてなされたものであり、視野角補償用の光学フィルムを有するタッチセンサ付の液晶パネルにおいて、タッチセンサの感度の劣化を防止することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本技術の第1の側面の表示装置は、画像を表示する表示領域を有する表示パネルと、前記表示領域の少なくとも一部と平面的に重なって配置されたタッチセンサと、前記表示パネルの下面側に形成される層が、前記表示パネルの上面側に形成される層よりも厚くなるように配置される、視野角補償機能を有する光学フィルムとを備える。
【0009】
前記表示パネルは、横電界方式により駆動される液晶パネルであって、前記液晶パネルの上面側に配置され、所定の偏光の光のみを透過する上偏光板と、前記液晶パネルの下面側に配置され、所定の偏光の光のみを透過する下偏光板とをさらに備え、前記光学フィルムは、前記液晶パネルと前記下偏光板との間に配置される。
【0010】
前記液晶パネル、前記上偏光板、及び前記下偏光板は、前記下偏光板の透過軸と前記液晶パネルの液晶層の初期配向方向が平行となるように配置されるか、又は前記下偏光板の吸収軸と前記液晶層の初期配向方向が平面視で直交するように配置される。
【0011】
前記液晶パネルは、複数のスリット状開口が形成された電極を有しており、
前記電極は、前記スリット状開口の長手方向が、前記液晶パネルの幅方向と平行となるように配置される。
【0012】
前記光学フィルムは、位相差板である。
【0013】
前記表示パネルは、縦電界方式により駆動される液晶パネルであって、前記液晶パネルの上面側に配置され、所定の偏光の光のみを透過する上偏光板と、前記液晶パネルの下面側に配置され、所定の偏光の光のみを透過する下偏光板とをさらに備え、前記光学フィルムは、前記液晶パネルと前記上偏光板との間に配置される上光学フィルムと、前記液晶パネルと前記下偏光板との間に配置される下光学フィルムからなり、前記下光学フィルムが、前記上光学フィルムよりも厚くなるように形成される。
【0014】
前記上光学フィルムは、円偏光用の1軸Aプレートであり、前記下光学フィルムは、円偏光用の1軸Aプレートと、視野角補償用の1軸Cプレート又はOプレートから構成される。
【0015】
前記タッチセンサと、前記表示パネルとは一体に構成される。
【0016】
本技術の第1の側面の表示装置は、画像を表示する表示領域を有する表示パネルと、表示領域の少なくとも一部と平面的に重なって配置されたタッチセンサと、視野角補償機能を有する光学フィルムと備える。そして、この表示装置においては、光学フィルムが、表示パネルの下面側に形成される層が、表示パネルの上面側に形成される層よりも厚くなるように配置される。
【0017】
本技術の第2の側面の電子機器は、画像を表示する表示領域を有する表示パネルと、前記表示領域の少なくとも一部と平面的に重なって配置されたタッチセンサと、前記表示パネルの下面側に形成される層が、前記表示パネルの上面側に形成される層よりも厚くなるように配置される、視野角補償機能を有する光学フィルムとを有する表示装置を備える。
【0018】
本技術の第2の側面の電子機器は、画像を表示する表示領域を有する表示パネルと、表示領域の少なくとも一部と平面的に重なって配置されたタッチセンサと、視野角補償機能を有する光学フィルムとを有する表示装置を備える。そして、この電子機器においては、光学フィルムが、表示パネルの下面側に形成される層が、表示パネルの上面側に形成される層よりも厚くなるように配置される。
【発明の効果】
【0019】
本技術の第1の側面及び第2の側面によれば、タッチセンサの感度の劣化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本技術の第1の実施の形態の液晶表示部の概略断面構造を示す断面図である。
【図2】Oモード配置の液晶表示部の構成例を示す図である。
【図3】Eモード配置の液晶表示部の構成例を示す図である。
【図4】Eモード配置で横スリットの液晶表示部の構成例を示す図である。
【図5】本技術の第2の実施の形態の液晶表示部の概略断面構造を示す断面図である。
【図6】本技術の一実施の形態に係る表示装置の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら本技術の実施の形態について説明する。
【0022】
なお、液晶表示装置の液晶層に電界を印加する方式としては、横電界方式と縦電界方式が知られている。横電界方式の液晶表示装置は、液晶層を挟んで配置される一対の基板のうちの一方の内面側に一対の電極を互いに絶縁して設け、概ね横方向の電界を液晶分子に対して印加するものである。この横電界方式の液晶表示装置には、一対の電極が平面視で重なるFFS(Fringe Field Switching)モードや、重ならないIPS(In Plane Switching)モードなどがある。一方、縦電界方式の液晶表示装置は、液晶層を挟んで配置される一対の電極により、概ね縦方向の電界を液晶分子に印加するものである。この縦電界方式には、VA(Vertical Alignment)モードやTN(Twisted Nematic)モードなどがある。
【0023】
そこで、以下の説明では、第1の実施の形態として、FFSモード等の横電界方式の液晶パネルを説明し、第2の実施の形態として、VAモード等の縦電界方式の液晶パネルを説明する。
【0024】
<第1の実施の形態>
[横電界方式の液晶表示部の断面図]
図1は、本技術の第1の実施の形態の液晶表示部の概略断面構造を示す断面図である。
【0025】
図1では、本技術の液晶表示部10の構造の説明を分かり易くするため、一般的な液晶表示部1の構造と比較しながら説明する。すなわち、図1Aは一般的な液晶表示部1の構造を示し、図1Bは本技術の液晶表示部10の構造を示している。
【0026】
図1の液晶表示部1,10には、表示パネルとして液晶パネルを用いるとともに、この液晶パネルに元々備えられている電極の一部及び表示用駆動信号を兼用することで、静電容量型タッチセンサとして構成された、インセル型のタッチセンサ付液晶パネル41が設けられる。
【0027】
タッチセンサ付液晶パネル41は、例えば、FFSモード等の横電界方式の液晶からなる。タッチセンサ付液晶パネル41では、対向配置された画素基板31と対向基板32との間に液晶層33が挿設される。液晶層33は、基板面に対して略平行に配向する複数の液晶分子51を有し、電界の状態に応じてそこを通過する光を変調する。
【0028】
画素基板31は、バックライト(後述する図6のバックライト211)から光が入射する側に配置される。画素基板31は、回路基板としての透明基板と、この透明基板上に、マトリックス状に配置された複数の画素電極を有する。
【0029】
対向基板32は、液晶層33で変調された光が出射する側(ユーザ側)に配置される。対向基板32は、透明基板と、この透明基板の一方の面に形成されたカラーフィルタと、このカラーフィルタ上に形成された共通電極を有する。カラーフィルタは、液晶層33を通過してきた光を、例えば、赤(R)、緑(G)、及び青(B)の三原色の光として取り出すために設けられる。
【0030】
共通電極は、タッチ検出動作を行うタッチセンサの一部を構成するセンサ用駆動電極としても兼用される。また、透明基板の他方の面には、センサ用検出電極が形成される。すなわち、タッチセンサ付液晶パネル41では、対向配置される共通電極とセンサ用検出電極からなる一対の電極を用いて容量素子を構成することで、ユーザの指等を検出する。
【0031】
ここで、図1Aに示すように、液晶表示部1において、画素基板31のバックライト側の面には、偏光板34が、接着層35を介して貼り合わされている。また、対向基板32のユーザ側の面には、位相差板37、導電層38、及び偏光板39がその順に積層され、接着層36を介して貼り合わされている。偏光板34と偏光板39は、光学シャッタの一種であり、ある一定の振動方向の光(偏光)のみを通過させるものである。位相差板37は、視野角補償機能を有する光学フィルムである。導電層38は、静電気対策用に配置される。
【0032】
このように、図1Aの液晶表示部1では、タッチセンサ付液晶パネル41の上面側の偏光板39と下面側の偏光板34のうちの、偏光板39とタッチセンサ付液晶パネル41との間に、位相差板37が配置される。例えば、図2に示すように、FFSモードのタッチセンサ付液晶パネル41、偏光板34、及び偏光板39が、液晶分子51の初期配向方向と、偏光板34の吸収軸Aとが互いに平行となるOモード構成により配置された場合、位相差板37は、偏光板39とタッチセンサ付液晶パネル41との間に配置するのが一般的である。
【0033】
ところが、位相差板37が、偏光板39とタッチセンサ付液晶パネル41との間に配置されると、位相差板37の誘電率の低さから、タッチセンサの感度が低下してしまう場合がある。さらに、インセル型のタッチセンサ付液晶パネル41では、偏光板39の構成内に、静電気対策用の導電層38を配置する必要があるが、タッチセンサ付液晶パネル41の上面側に配置された位相差板37と導電層38との組み合わせにより、タッチセンサの感度の感度がさらに低下する可能性がある。
【0034】
そこで、本技術の液晶表示部10では、図1Bに示すように、位相差板37が、タッチセンサ付液晶パネル41と偏光板34との間に配置されるようにする。これにより、偏光板39とタッチセンサ付液晶パネル41との間には、導電層38及び接着層36が形成されるのみとなり、位相差板37がタッチセンサの感度に影響を及ぼすのを回避して、タッチセンサの感度の劣化を防止することができる。
【0035】
また、液晶表示部10の構造であると、位相差板37と導電層38を別々に構成することができるため、それらの組み合わせによるタッチセンサの感度への影響を抑制して、タッチセンサの感度の劣化を防止することができる。
【0036】
ところで、液晶表示部10において、位相差板37を、タッチセンサ付液晶パネル41と偏光板34との間に配置するに際して、Oモード構成による配置を採用すると、視野角特性が損なわれる場合があることが知られている。そこで、液晶表示部10では、図3に示すように、タッチセンサ付液晶パネル41、偏光板34、及び偏光板39が、液晶分子51の初期配向方向と、偏光板34の吸収軸Aとが互いに直交するEモード構成により配置されるようにすることができる。これにより、タッチセンサの感度の劣化を防止するだけでなく、広視野角を実現することができる。なお、Eモード構成による配置とは、タッチセンサ付液晶パネル41、偏光板39、及び偏光板34が、偏光板34の透過軸と液晶層33における液晶分子51の初期配向方向が平行となるように配置されるか、又は偏光板34の吸収軸と液晶分子51の初期配向方向が平面視で直交するように配置されることをいう。
【0037】
また、液晶表示部10が、図3のEモード構成の配置を採用すると、ユーザが偏光サングラス等の偏光めがねを介して、液晶表示部10を見た場合に、液晶表示部10に表示された映像を見ることができないことが知られている。そこで、液晶表示部10では、図4に示すように、例えば、タッチセンサ付液晶パネル41の画素基板31又は対向基板32に設けられた電極が櫛歯状に形成されるようにして、さらに、その櫛歯状の電極が横スリットとなるように配置する。すなわち、タッチセンサ付液晶パネル41は、複数のスリット状開口が形成された電極を有しており、この電極は、スリット状開口の長手方向が、タッチセンサ付液晶パネル41の幅方向と平行になるように配置される。このとき、タッチセンサ付液晶パネル41、偏光板34、及び偏光板39は、図4に示すように、Eモード構成により配置される。これにより、Eモード構成による配置を採用した場合でも、偏光めがねを介して液晶表示部10の映像を見ることが可能となる。
【0038】
なお、液晶表示部10においては、図4のEモード構成の配置を採用した場合、櫛歯状の電極が横スリットに配置されているため、図3のEモード構成の配置を採用した場合と比べて、画素の開口率が低下することになる。そこで、タッチセンサ付液晶パネル41において、いわゆるトリプルゲート構造を採用して画素形状を横長化することで、横スリットの配置を採用した場合でも、開口を損なわず、高感度のタッチセンサと広視野角を実現することができる。
【0039】
以上のように、第1の実施の形態においては、位相差板37等の光学フィルムが、タッチセンサ付液晶パネル41と偏光板34との間に配置されるようにして、タッチセンサ付液晶パネル41の下面側に形成される層が、タッチセンサ付液晶パネル41の上面側に形成される層よりも厚くなるようにする。その結果、タッチセンサの感度の劣化を防止することができる。
【0040】
また、タッチセンサ付液晶パネル41の下面側に位相差板37を配置することで、タッチセンサ付液晶パネル41に対する周辺回路(例えば、後述する図6の周辺回路212)からのノイズを、位相差板37により遮断することが可能となる。その結果、例えば、タッチセンサの感度を向上させることができる。
【0041】
なお、図1Bの液晶表示部10において、偏光板39の上面側に、例えばλ/4板等の位相差板をさらに配置することで、図3のEモード構成の配置を採用した場合であっても、偏光めがねを介して液晶表示部10の映像を見ることが可能となる。また、この場合、タッチセンサ付液晶パネル41の上面側と下面側のそれぞれに、位相差板を配置することになるため、上面側に形成される層と下面側に形成される層の厚さが略同一となり、特に大きな表示領域を有する液晶表示部10にて生じる、熱による反り対策としても有効である。
【0042】
<第2の実施の形態>
[縦電界方式の液晶表示部の断面図]
図5は、本技術の第2の実施の形態に係る液晶表示部の概略断面構造を示す断面図である。なお、図5においても、図1と同様に、図5Aは一般的な液晶表示部101の構造を示し、図5Bは本技術の液晶表示部110の構造を示している。
【0043】
図5の液晶表示部101,110には、表示パネルとして液晶パネルを用いるとともに、静電容量型タッチセンサとしての機能を有するインセル型のタッチセンサ付液晶パネル141が設けられる。
【0044】
タッチセンサ付液晶パネル141は、例えば、VAモード等の縦電界方式の液晶からなる。タッチセンサ付液晶パネル141では、対向配置された画素基板131と対向基板132との間に液晶層133が挿設される。液晶層133は、基板面に対して略垂直に配向する複数の液晶分子151を有し、電界の状態に応じてそこを通過する光を変調する。また、画素基板131と対向基板132は、前述した画素基板31と対向基板32と同様に、静電容量型タッチセンサとして機能することで、ユーザの指等を検出する。
【0045】
ここで、図5Aに示すように、例えば、VAモードのタッチセンサ付液晶パネル141では、黒色を表示する際の視認性をよくするために2枚の円偏光板を上下に配置して、タッチセンサ付液晶パネル141の上面側の層と、下面側の層とを対称に形成するのが一般的である。すなわち、液晶表示部101において、画素基板131のバックライト側の面には、偏光板134及び2軸λ/4板161がその順に積層され、接着層135を介して貼り合わされている。また、対向基板132のユーザ側の面には、2軸λ/4板162及び偏光板139がその順に積層され、接着層136を介して貼り合わされている。ここで、対になって配置される2軸位相差板(2軸λ/4板161、2軸λ/4板162)は、位相差板の一例であって、例えばAプレート及びCプレートが配置されるようにしてもよい。また、偏光板134及び偏光板139は、前述した偏光板34及び偏光板39と同様に、光学シャッタとして構成され、ある一定の振動方向の光(偏光)のみを通過させる。
【0046】
このように、ある程度の厚みを有する2軸λ/4板162が、偏光板139とタッチセンサ付液晶パネル141との間に配置されると、前述した図1Aの液晶表示部1と同様に、タッチセンサの感度が低下してしまう場合がある。また、理想的には、2軸の位相差のうち、Z軸方向の分の位相差は、タッチセンサ付液晶パネル141の上面側と下面側に対称に配置する必要はなく、上面側と下面側のいずれか一方に配置すればよい。そこで、本技術の液晶表示部110では、図5Bに示すように、タッチセンサ付液晶パネル141の上面側のZ軸方向の分の位相差を下面側に移動させることで、上面側の位相差板が薄型化されるようにする。
【0047】
具体的には、タッチセンサ付液晶パネル141の上面側には、接着層136、λ/4板165、及び偏光板139がその順に積層され、下面側には、偏光板134、λ/4板163、ネガティブCプレート164、及び接着層135がその順に積層されるようにする。換言すれば、液晶表示部110では、タッチセンサ付液晶パネル141の上面側と下面側には、円偏光用の1軸Aプレートをそれぞれ配置し、さらに下面側には、視野角補償用の1軸のCプレートを配置する。これにより、タッチセンサ付液晶パネル141の上面側を、1軸Aプレートとすることでその厚みを薄くする一方、下面側のみに、視野角補償用の1軸のCプレートが配置されることなる。その結果、液晶表示部110においては、光学性能を維持しつつ、タッチセンサ付液晶パネル141の上面側に形成される層を薄くすることができる。
【0048】
なお、タッチセンサ付液晶パネル141の下面側には、視野角補償用の1軸Cプレートの代わりに、Oプレートや2軸位相差板を配置してもよい。
【0049】
また、Aプレートとは、nx、ny、及びnzを、それぞれ、遅相軸方向、進相軸方向、及び厚み方向の屈折率としたときに、nx>ny=nzの屈折率分布を示すものである。また、ネガティブCプレートとは、nx=ny>nzの屈折率分布を示すものである。さらに、Oプレートとは、その補償層を形成する材料の進相軸方向又は遅相軸方向に対応し、複屈折を起こさない方向を規定する光学軸が光透過面に対して斜め方向にあるものである。
【0050】
以上のように、第2の実施の形態においては、例えば、タッチセンサ付液晶パネル141の上面側に円偏光用の1軸Aプレート等の光学フィルムが配置される一方、下面側に円偏光用の1軸Aプレート及び視野角補償用の1軸Cプレート等の光学フィルムが配置されるようにして、下面側に形成される層が、上面側に形成される層よりも厚くなるようにする。その結果、タッチセンサの感度の劣化を防止することができる。
【0051】
[表示装置の構成例]
図6は、本技術の一実施の形態に係る表示装置の構成例を示す図である。
【0052】
表示装置201は、タッチセンサ付きの表示装置であって、表示パネルとしての液晶パネルに静電容量型のタッチセンサが内蔵された液晶表示部10(又は液晶表示部110)を有する。ここでは、液晶パネルに元々備えられている電極の一部がタッチセンサ用の駆動電力を兼ねている。この表示装置201は、液晶表示部10(110)のほか、バックライト211及び周辺回路212を備えている。
【0053】
液晶表示部10(110)は、前述したように、液晶分子51(151)の配列を変化させることにより、光源としてのバックライト211からの光を透過、変調させて映像の表示を行う。この液晶表示部10(110)は、マトリックス状に配置された複数の画素を有し、映像信号に応じて、画素ごとの駆動がなされるようになっている。これら複数の画素はそれぞれ、行方向に延在する走査線WSL1及び共通接続線COMに接続されるとともに、列方向に延在する信号線DTLに接続されている。
【0054】
バックライト211は、液晶表示部10(110)を背後から照明するものであり、例えば、LED(Light Emitting Diode)、HCFL(Hot Cathode Fluorescent Lamp:熱陰極管)、CCFL(Cold Cathode Fluorescent Lamp:冷陰極管)などの各種光源を利用した面発光源である。バックライト211は、図示はしないが、前述したような光源を表示画面全域にわたって複数配列された構造であってもよいし、導光板を用いるのと共にその側面に上記光源を配置した構造であってもよい。また、バックライト211の光出射面には、例えば、拡散板、拡散シート、レンズフィルム、偏光分離シート等の各種光学フィルムが積層されていてもよい。
【0055】
周辺回路212は、液晶表示部10(110)の表示駆動及びセンサ駆動を行うとともに、センサ出力を検出する。周辺回路212は、映像信号処理回路221、タイミング生成回路222、信号線駆動回路223、走査線駆動回路224、検出回路225、及び共通線駆動回路226から構成される。
【0056】
映像信号処理回路221は、例えば、外部から入力されたデジタル映像信号を補正するとともに、補正した後の映像信号をアナログに変換して信号線駆動回路223に出力する。タイミング生成回路222は、例えば、信号線駆動回路223と走査線駆動回路224とが連動して動作するように制御し、例えば、外部から入力された同期信号に応じて(同期して)、これらの回路に対して制御信号を出力する。信号線駆動回路223は、映像信号処理回路221から入力されたアナログの映像信号を選択対象の画素に書き込む。走査線駆動回路224は、制御信号の入力に応じて(同期して)、複数の走査線WSL1に選択パルスを順次印加して、複数の画素を走査線WSL1単位で順次選択する。共通線駆動回路226は、制御信号の入力に応じて(同期して)、複数の共通接続線COMに選択パルスを順次印加して、複数の共通電極を共通接続線COM単位で順次駆動する。
【0057】
検出回路225は、複数の検出電極から得られる検出信号に基づいて、ユーザの指などの画像表示面201Aへの物体の接触又は近接の有無を検出する。また、検出回路225は、検出信号に基づき、物体の接触を検出した場合には、共通電極への選択パルスの印加タイミングと、閾値電圧Vth以下の検出信号の検出タイミングとに基づき、画像表示面201Aのうち、物体の接触位置(座標)を算出する。
【0058】
表示装置201は、以上のように構成される。
【0059】
なお、図6の表示装置201は、例えば、デジタルテレビジョン受像機、デジタルカメラ、ノート型パーソナルコンピュータ、タブレット型コンピュータ、携帯電話機やスマートフォンなどの携帯端末装置、あるいはビデオカメラなどのあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。換言すれば、表示装置201は、外部から入力された映像信号又は内部で生成した映像信号を、画像又は映像として表示するあらゆる分野の電子機器に適用することができる。
【0060】
また、前述した説明では、インセル型のタッチセンサ付液晶パネル41について説明したが、例えば、オンセル型又はアウトセル型など、タッチセンサとパネルは一体に構成されるほか、別体として構成されるようにしてもよい。
【0061】
さらに、前述した説明では、表示パネルとして、液晶層を有する液晶パネルを用いた表示装置を一例に説明したが、これに限定されず、他の表示パネルにも適用可能である。また、タッチセンサとして、静電容量型タッチセンサを一例に説明したが、これに限定されず、他のタイプのタッチセンサにも適用可能である。
【0062】
なお、本技術の実施の形態は、前述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0063】
また、本技術は、以下のような構成をとることができる。
【0064】
(1)
画像を表示する表示領域を有する表示パネルと、
前記表示領域の少なくとも一部と平面的に重なって配置されたタッチセンサと、
前記表示パネルの下面側に形成される層が、前記表示パネルの上面側に形成される層よりも厚くなるように配置される、視野角補償機能を有する光学フィルムと
を備える表示装置。
(2)
前記表示パネルは、横電界方式により駆動される液晶パネルであって、
前記液晶パネルの上面側に配置され、所定の偏光の光のみを透過する上偏光板と、
前記液晶パネルの下面側に配置され、所定の偏光の光のみを透過する下偏光板と
をさらに備え、
前記光学フィルムは、前記液晶パネルと前記下偏光板との間に配置される
(1)に記載の表示装置。
(3)
前記液晶パネル、前記上偏光板、及び前記下偏光板は、前記下偏光板の透過軸と前記液晶パネルの液晶層の初期配向方向が平行となるように配置されるか、又は前記下偏光板の吸収軸と前記液晶層の初期配向方向が平面視で直交するように配置される
(2)に記載の表示装置。
(4)
前記液晶パネルは、複数のスリット状開口が形成された電極を有しており、
前記電極は、前記スリット状開口の長手方向が、前記液晶パネルの幅方向と平行となるように配置される
(3)に記載の表示装置。
(5)
前記光学フィルムは、位相差板である
(2)乃至(4)の何れかに記載の表示装置。
(6)
前記表示パネルは、縦電界方式により駆動される液晶パネルであって、
前記液晶パネルの上面側に配置され、所定の偏光の光のみを透過する上偏光板と、
前記液晶パネルの下面側に配置され、所定の偏光の光のみを透過する下偏光板と
をさらに備え、
前記光学フィルムは、前記液晶パネルと前記上偏光板との間に配置される上光学フィルムと、前記液晶パネルと前記下偏光板との間に配置される下光学フィルムからなり、
前記下光学フィルムが、前記上光学フィルムよりも厚くなるように形成される
(1)に記載の表示装置。
(7)
前記上光学フィルムは、円偏光用の1軸Aプレートであり、
前記下光学フィルムは、円偏光用の1軸Aプレートと、視野角補償用の1軸Cプレート又はOプレートから構成される
(6)に記載の表示装置。
(8)
前記タッチセンサと、前記表示パネルとは一体に構成される
(1)乃至(7)の何れかに記載の表示装置。
(9)
画像を表示する表示領域を有する表示パネルと、
前記表示領域の少なくとも一部と平面的に重なって配置されたタッチセンサと、
前記表示パネルの下面側に形成される層が、前記表示パネルの上面側に形成される層よりも厚くなるように配置される、視野角補償機能を有する光学フィルムと
を有する表示装置を備えた電子機器。
【符号の説明】
【0065】
10,110 液晶表示部, 31,131 画素基板, 32,132 対向基板, 33,133 液晶層, 34,39,134,139 偏光板, 37 位相差板, 41,141 タッチセンサ付液晶パネル, 163,165 λ/4板, 164 ネガティブCプレート, 201 表示装置, 211 バックライト, 212 周辺回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示領域を有する表示パネルと、
前記表示領域の少なくとも一部と平面的に重なって配置されたタッチセンサと、
前記表示パネルの下面側に形成される層が、前記表示パネルの上面側に形成される層よりも厚くなるように配置される、視野角補償機能を有する光学フィルムと
を備える表示装置。
【請求項2】
前記表示パネルは、横電界方式により駆動される液晶パネルであって、
前記液晶パネルの上面側に配置され、所定の偏光の光のみを透過する上偏光板と、
前記液晶パネルの下面側に配置され、所定の偏光の光のみを透過する下偏光板と
をさらに備え、
前記光学フィルムは、前記液晶パネルと前記下偏光板との間に配置される
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記液晶パネル、前記上偏光板、及び前記下偏光板は、前記下偏光板の透過軸と前記液晶パネルの液晶層の初期配向方向が平行となるように配置されるか、又は前記下偏光板の吸収軸と前記液晶層の初期配向方向が平面視で直交するように配置される
請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記液晶パネルは、複数のスリット状開口が形成された電極を有しており、
前記電極は、前記スリット状開口の長手方向が、前記液晶パネルの幅方向と平行となるように配置される
請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記光学フィルムは、位相差板である
請求項2に記載の表示装置。
【請求項6】
前記表示パネルは、縦電界方式により駆動される液晶パネルであって、
前記液晶パネルの上面側に配置され、所定の偏光の光のみを透過する上偏光板と、
前記液晶パネルの下面側に配置され、所定の偏光の光のみを透過する下偏光板と
をさらに備え、
前記光学フィルムは、前記液晶パネルと前記上偏光板との間に配置される上光学フィルムと、前記液晶パネルと前記下偏光板との間に配置される下光学フィルムからなり、
前記下光学フィルムが、前記上光学フィルムよりも厚くなるように形成される
請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
前記上光学フィルムは、円偏光用の1軸Aプレートであり、
前記下光学フィルムは、円偏光用の1軸Aプレートと、視野角補償用の1軸Cプレート又はOプレートから構成される
請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記タッチセンサと前記表示パネルとは、一体に構成される
請求項1に記載の表示装置。
【請求項9】
画像を表示する表示領域を有する表示パネルと、
前記表示領域の少なくとも一部と平面的に重なって配置されたタッチセンサと、
前記表示パネルの下面側に形成される層が、前記表示パネルの上面側に形成される層よりも厚くなるように配置される、視野角補償機能を有する光学フィルムと
を有する表示装置を備えた電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−101420(P2013−101420A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243495(P2011−243495)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(598172398)株式会社ジャパンディスプレイウェスト (90)
【Fターム(参考)】