説明

表示装置用基板及びその製造方法並びに表示装置

【課題】 インクジェット法等の塗布法による液状材料を用いた色層の形成に際し、簡易な工程で、液状材料中の成分が充填されない領域の発生を抑制でき、良好な表示品位が実現できる表示装置用基板及びその製造方法並びに表示装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 基板の主面上に、樹脂材料からなるバンクと、上記バンクによって囲まれた複数の絵素領域に配置された色層とを備えた表示装置用基板であって、上記色層は、液状材料から形成され、上記バンクは、上記液状材料中の成分を含有する含浸領域を備える表示装置用基板である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置用基板及びその製造方法並びに表示装置に関する。より詳しくは、カラー液晶表示装置に用いられるカラーフィルタ基板や有機エレクトロルミネセンス表示装置等に用いられる基板として好適な表示装置用基板及びその製造方法並びに表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶TVの市場の拡大に伴い、液晶ディスプレイ、とりわけカラー液晶ディスプレイの需要が増加している。このカラー液晶ディスプレイについて、今後のより一層の普及を図るために、製造コストを低減することが求められており、特に安価なカラーフィルタ基板(CF基板)が求められている。これに対して、CF基板におけるCF(色層)の形成方法として、材料の使用量を低減できることから、インクジェット法の適用が検討されている。
【0003】
インクジェット法によるCF基板の形成方法の一例について、以下に、図6を用いて説明する。図6は、インクジェット印刷装置を用いた基板へのインクの塗布を説明するための断面模式図である。図6において、CFを形成するためのガラス基板50には、その主面上に、バンク51と呼ばれる仕切壁(混色防止壁)が格子状に形成されており、バンク51によって複数の絵素領域が区画される。ここでは、赤色(R)のCFが設けられる絵素領域60a、緑色(G)のCFが設けられる絵素領域60b、及び、青色(B)のCFが設けられる絵素領域60cを例に挙げて説明する。
【0004】
上記のように構成されたガラス基板50には、塗布されるインク材料の塗り分けのために、バンク51は撥水性を有し、絵素領域60a〜60cの開口部分は親水性を有するように、前処理が施される。
【0005】
インクジェット印刷装置40は、赤(R)、緑(G)、青(B)の各色のインクを塗布(吐出)するためのノズル41a〜41cを備え、絵素領域60a〜60cと対向するように配置される。そして、ノズル41a〜41cから赤(R)、緑(G)、青(B)の各色のインクが吐出されると、インクの液滴43a〜43cは、矢印A方向に落下して各絵素領域60a〜60cに広がる。これにより、ガラス基板50にはインク層53a〜53cが形成され、焼成処理によりインク層53a〜53cが硬化してCFとなる。このような方法によるCFの形成は、フォトリソグラフィ技術を用いないことから、コストが低いというメリットがある。
【0006】
しかしながら、上記の方法によって形成されたCFは、その膜厚が均一にならないために、光抜けを生じることがある。特に、長方形の絵素領域では、この傾向が顕著である。この理由について、図7を用いて説明する。図7(a)は、絵素領域60a〜60cの平面模式図であり、図7(b)は、図7(a)におけるA−B線に沿う断面模式図、図7(c)は、図7(a)におけるC−D線に沿う断面模式図である。
【0007】
インク層53a〜53cは、液状材料からなる。そのため、インク自身が有する表面張力による影響と、撥水性を有するバンク51に弾かれる影響とによって、バンク51の付近では膜厚が薄くなり、絵素領域60a〜60cの中心部付近では膜厚が厚くなる。これにより、図7(a)、(b)に示すように、絵素領域60a〜60cの中央部付近では、インク層53a〜53cは、充分な膜厚を確保できておりインクの塗布が良好に行われているが、図7(a)、(c)に示すように、絵素領域60a〜60cの周辺部では充分な膜厚を確保できず、場合によってはインクが塗布されていない領域55が生じることもある。これにより、絵素領域60a〜60c内で色濃度のムラを生じ、表示画像の表示品位が低下することがあった。なお、図7(c)において、白抜きの矢印は、光抜けが起こる様子を示している。
【0008】
このような光抜けを抑制するためには、図8(a)に示すように、インクの液滴量を増やしてバンク51上に乗り上げるようにすることが考えられるが、インクの液滴量を増やすと、図8(b)に示すように、隣接する絵素間でインクの液滴同士が混ざり合う混合領域54が生じて、混色が発生する可能性がある。
【0009】
そこで、矩形の絵素領域内において膜厚が薄くなる領域を塞ぐように、絵素領域内の隅の部分のバンクの形状を面取りすることで、矩形絵素の四隅などからの極端な光抜けを防ぐ方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)しかしながらこの方法では、光抜けを低減することはできるものの、絵素領域が小さくなるため、開口率を向上させるうえで更なる工夫の余地があった。
【0010】
また、有機エレクトロルミネセンス(EL)表示装置において、インクを逃がすための溝や孔をバンクに形成することで、インクの断面形状を平坦化するような力を生じさせる方法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながらこの方法では、溝や孔等を形成するための加工処理が必要となるため、工程が煩雑となる。また、バンクは遮光部としても働くため、溝や孔等を形成することで遮光すべき光が透過することもあり、この方法を液晶表示パネルに適用した場合には、TFT(薄膜トランジスタ)の遮光不良による動作不良、液晶駆動領域外の部分からの光漏れ、TFT基板の金属配線からの外光反射等を生じて、表示品位の低下を招くことになる。
【0011】
また、塗布されたインクの表面に平坦化処理を施して膜厚の均一なCFを得る方法が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。しかしながらこの方法では、加圧ロール等を用いた加圧、ブレード等による表面の掻き取り、カッター等による表面の切り取り等によってCF表面の平坦化処理を行っているため工程が煩雑であり、またCF基板の表面が劣化する恐れもある。
【0012】
更に、バンクとインク材料との接触角を規定することにより、絵素領域に塗布されたインク材料がバンクを乗り越えて混色することを防ぐ方法が提案されている(例えば、特許文献4参照。)。この方法では、プラズマ処理等によりバンクに撥水性及び/又は親水性を付与することによって、バンクとインク材料との接触角を規定することができ、これにより混色を防止できるが、より簡易に混色を防止できるようにする工夫の余地があった。
【特許文献1】特開2006−162881号公報
【特許文献2】特開2007−95614号公報
【特許文献3】特開2002−107528号公報
【特許文献4】特開2006−162882号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、インクジェット法等の塗布法による液状材料を用いた色層の形成に際し、簡易な工程で、液状材料が充填されない領域の発生を抑制でき、良好な表示品位が実現できる表示装置用基板及びその製造方法並びに表示装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、インクジェット法等の塗布法による色膜の形成に際し、液状材料の未充填領域の発生を抑制できる表示装置用基板及びその製造方法について種々検討したところ、樹脂材料からなるバンクの構成にまず着目した。そして、液状材料塗布時のバンクの硬化度を液状材料を含有できる程度の硬化度に制御し、基板上に液状材料を塗布した際に液状材料をバンクに染み込ませれば、絵素領域内に液状材料が納まりやすくなるとともに、液状材料がバンクの表面で弾かれて未充填領域が発生することも解消でき、液状材料を平坦化させることができるので、表示装置に適用した際には、良好な表示品位を実現できることを見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
【0015】
すなわち、本発明は、基板の主面上に、樹脂材料からなるバンクと、上記バンクによって囲まれた複数の絵素領域に配置された色層とを備えた表示装置用基板であって、上記色層は、液状材料から形成され、上記バンクは、上記液状材料中の成分を含有する含浸領域を備える表示装置用基板である。
【0016】
本発明はまた、基板の主面上に、樹脂材料からなるバンクと、上記バンクによって囲まれた複数の絵素領域に配置された液状材料からなる色層とを備えた表示装置用基板の製造方法であって、上記バンクを形成するバンク形成工程と、上記色層を形成する色層形成工程とを有し、上記バンク形成工程は、上記基板の主面上にパターン形成された上記樹脂材料を露光する露光工程を含み、上記露光工程は、上記色層と接する部分の樹脂材料に他の部分の樹脂材料よりも硬化度の低い領域が形成されるように露光処理し、上記色層形成工程は、上記液状材料を塗布し、上記露光工程で形成された硬化度の低い樹脂材料に液状材料を染み込ませる塗布工程と、上記塗布工程後に上記液状材料を焼成して上記色層を形成する焼成工程とを含む表示装置用基板の製造方法でもある。
【0017】
本発明は更に、上記本発明の表示装置用基板、又は、上記本発明の表示装置用基板の製造方法により製造された表示装置用基板を備える表示装置でもある。
【0018】
以下に本発明を詳述する。
本発明において、バンクが形成されるための基板は、特に限定されるものではなく、ガラス基板、樹脂基板等の表示装置用基板として一般的に使用されているものが適用できる。基板の主面上に形成されるバンクは、樹脂材料からなるが、この樹脂材料は特に限定されるものではなく、一般的に使用されているものについて広く適用できる。バンクは、複数の絵素領域を仕切るように基板の主面に形成される。
【0019】
バンクによって囲まれた複数の絵素領域には、液状材料が塗布されて色層が形成される。ここで、本発明に係るバンクは、上記液状材料中の成分を含有する含浸領域を備える必要がある。含浸領域は、液状材料が絵素領域の中央部だけに配置されているのではなく、バンクまで到達し、その成分がバンクに染み込むことで形成される。従来は、液状材料は、撥液性を有するバンクに弾かれるため絵素領域の中央部で盛り上がり、絵素領域の周辺部で膜厚が薄くなって、バンク近傍では液状材料の未充填領域が生じることがあった。
【0020】
これに対し、本発明においては、液状材料がバンクに染み込んで含浸領域が形成されることから、液状材料は絵素領域の中央部からバンクの側へ流動するようになり、これにより、絵素領域において液状材料が塗布されていない領域が生じにくくなって光抜けを改善できる。また、塗布時(塗布直後)の液状材料は、膜厚の薄い部分よりも膜厚の厚い部分の方がバンクへの液状材料の染み込み量が多くなるため、バンクへの液状材料の染み込み量の制御を特に行わなくても、液状材料の膜厚の均一化を図ることができる。更に、液状材料の膜厚の均一化が図れることで、液状材料がバンクを超えて隣の絵素領域へ入りにくくなり、例えば、液状材料がカラーフィルタを形成するためのインク材料であれば、隣接する絵素間でインクの液滴同士が混ざり合う混色の発生を抑制できる。
【0021】
上記バンクの好ましい形態としては、隣接する上記絵素領域間の中央部には、上記含浸領域が形成されていないものが挙げられる。隣接する絵素領域間の中央部とは、両側で絵素領域と接していない部分である。また、幅の狭いバンクと幅の広いバンクが基板上に混在している場合には、幅の狭い方のバンクにおける絵素領域間の中央部に上記含浸領域が形成されていないことが好ましい。また、絵素領域の形状が長方形であれば、長辺側における絵素領域間の中央部に上記含浸領域が形成されていないことが好ましい。この形態によると、バンクに染み込んだ液状材料が隣の絵素領域まで到達することを防止でき、混色の発生を効果的に抑制できる。
【0022】
また、バンクの好ましい他の形態としては、上記絵素領域の隅部と接する領域に上記含浸領域を有するものが挙げられる。絵素領域の隅部に含浸領域が形成されるということは、絵素領域の隅部にまで充分に液状材料が行き渡っているということであり、これにより、光抜けを解消できる。
【0023】
更に、バンクの好ましい他の形態としては、隣接する上記絵素領域間の中央部には、上記含浸領域が形成されておらず、上記絵素領域の隅部と接する領域には上記含浸領域を有するものが挙げられる。この形態によると、混色と光抜けとを抑制できる。
【0024】
上記バンクは、全体が遮光性材料により形成されているものであることが好ましい。これにより、互いに異なる色の絵素を構成する色層同士を隔てる遮光部材(ブラックマトリクス)としてバンクを利用できる。
【0025】
上記色層は、表示装置における色の表示に寄与するものであればよく、着色された層に限定されないが、着色透明樹脂により形成されているものは、例えば、液晶表示装置のCF基板におけるCF層として好適に用いられる。本発明の表示装置用基板の構成を有するCF基板であれば、液状材料が各絵素領域の隅部にまで充分に行き渡ることで、光抜けを防止できる。また、上記色層は、EL層であってもよい。EL層としては、例えば、有機EL表示装置における発光層や正孔輸送層等の有機層が挙げられる。
【0026】
本発明の表示装置用基板の構成としては、上述した特徴を備えるものであればよく、その他の構成において特に限定されるものではない。本発明の表示装置用基板がCF基板であれば、例えば、基板上の絵素毎にそれぞれ赤色、緑色及び青色の3色の色層と、各色層同士を隔てるバンクとが設けられ、その上層に保護膜、対向電極、配向膜等が積層配置された基板構成を有する。
【0027】
また、本発明の表示装置用基板の製造方法は、基板の主面上に、樹脂材料からなるバンクを形成するバンク形成工程と、バンクによって囲まれた複数の絵素領域に液状材料からなる色層を形成する色層形成工程とを有するものである。
【0028】
上記バンク形成工程は、基板の主面上にパターン形成された樹脂材料を露光する露光工程を含む。この露光工程は、上記色層と接する部分の樹脂材料に他の部分の樹脂材料よりも硬化度の低い領域が形成されるように露光処理する。このような露光処理は、例えば、所望の場所に開口部を設けたマスクを使用して露光処理すればよいため、簡易な方法で本発明を実現できる。
【0029】
上記色層形成工程は、上記液状材料を塗布し、上記露光工程で形成された硬化度の低い樹脂材料に液状材料を染み込ませる塗布工程と、上記塗布工程後に上記液状材料を焼成して上記色層を形成する焼成工程とを含む。上記塗布工程としては、インクジェット法等の塗布法により液状材料をバンク内に滴下するものが好ましい。
【0030】
本発明に係る好ましい態様としては、上記焼成工程は、上記液状材料の焼成と共に上記樹脂材料の重合を行うものが挙げられる。この工程によると、樹脂材料の重合と液状材料の焼成とを一度に行えるため、製造工程の簡略化が図れる。
【0031】
また、本発明に係る好ましい態様としては、上記露光工程は、隣接する上記絵素領域間において、上記絵素領域間の中央部の硬化度が周辺部の硬化度よりも高くなるように上記樹脂材料に露光処理を行うものが挙げられる。このような露光処理は、例えば、隣接する絵素領域間において、絵素領域領域間の中央部のみが開口となったマスクを用いることにより、容易に実現できる。
【0032】
また、本発明に係る好ましい態様として、上記露光工程は、上記絵素領域の隅部と接する領域の硬化度が他の領域の硬化度よりも低くなるように露光処理を行うものも挙げられる。このような露光処理は、絵素領域の隅部と接する領域を覆うようなマスクを用いることにより、容易に実現できる。更に、上記のように隣接する上記絵素領域間において、上記絵素領域間の中央部の硬化度が周辺部の硬化度よりも高くなり、かつ、上記絵素領域の隅部と接する領域の硬化度が他の領域の硬化度よりも低くなるように露光処理してもよい。
【0033】
本発明の表示装置用基板の製造方法の態様としては、このような要素を必須とするものである限り、その他の工程の有無により特に限定されるものではない。
【0034】
本発明において表示装置は、上記した本発明の表示装置用基板、又は、上記した製造方法により製造された表示装置用基板を備えるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、液晶表示装置や有機EL表示装置であることが好ましい。表示装置が液晶表示装置であれば、色層の形成にインクジェット法等の塗布法を用いて、絵素の周辺領域での光抜けが防止された高表示品位の液晶表示装置を実現できる。また、表示装置が有機EL表示装置であれば、発光層等の有機層の形成にインクジェット法等の塗布法を用いて、絵素の周辺領域での輝度ムラが防止された高表示品位の有機EL表示装置を実現できる。
【発明の効果】
【0035】
本発明の表示装置用基板及びその製造方法並びに表示装置においては、バンクが、液状材料中の成分を含有する含浸領域を備えることで、インクジェット法等の塗布法による色層の形成に際し、簡易な工程で、混色を防止でき、しかも絵素領域に液状材料が充填されない領域が発生することを抑制して光抜けを防止できるため、良好な表示品位の表示装置を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下に実施形態を掲げ、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態のみに限定されるものではない。
【0037】
実施形態1
本実施形態では、表示装置用基板がCF基板である場合において、バンクを形成するための樹脂材料としてはフィルムタイプの感光性・遮光性樹脂を用い、インクジェット法により、液状材料であるインク材料を用いて色層としてのCFを形成する例を挙げて、図1〜図4を用いて説明する。
【0038】
図1は、本実施形態に係るCF基板の製造工程を示すフローチャート図であり、図2は、本実施形態に係るCF基板の製造工程を示す断面模式図である。図1において、バンクを形成するためのバンク形成工程(ステップS10)は、フィルム貼付け工程(ステップS11)〜樹脂材料焼成工程(ステップS16)からなり、色層を形成するための色層形成工程(ステップS20)は、液状材料塗布工程(ステップS21)〜液状材料焼成工程(ステップS22)からなる。
【0039】
バンク形成工程(S10)では、まず、フィルム貼付け工程(S11)を行う。フィルム貼付け工程(S11)では、ガラス基板の主面上に、バンクの材料となる樹脂フィルムの貼り付けを行う。このフィルムの貼り合わせに先立って、ガラス基板の主面上に、フィルムの密着性を高めるためのシランカップリング剤を塗布して、ベーク処理を行う。ベーク処理は、約140〜160℃の温度で行うことが好ましい。
【0040】
次いで、感光性・遮光性樹脂からなる樹脂フィルムを加熱しながらラミネート処理する。樹脂フィルムとしては、紫外線(UV)硬化性、熱硬化性、及び遮光性を有する樹脂フィルムが好適に使用できる。樹脂フィルムの膜厚は、後述する色層形成工程(S20)において、隣接する絵素との混色が起きない程度の厚みであって、色層の仕上がり膜厚と比べて著しく厚くならない程度の膜厚に設定される。例えば、色層の仕上がり膜厚が約2μmである場合には、樹脂フィルムは、1.5〜2.5μm程度の膜厚とする。また、ラミネート処理は、約80〜160℃で行うことが好ましい。ラミネート処理により、図2(a)に示すように、ガラス基板20の主面上には樹脂層21が形成される。
【0041】
次いで、第1の露光工程(S12)を行う。この工程では、図2(b)に示すように、樹脂層21の上部に、所望のバンクパターンに対応する開口部22aが形成された第1のマスク22を配置し、この第1のマスク22を介してUV光23を照射する。この工程でのUV照射は、樹脂層21が完全には硬化しない程度に行う。これは、後述する色層形成工程(S20)において、所望の領域における樹脂にインク材料を染み込ませて含浸領域を形成するためである。第1の露光工程(S12)における樹脂材料の硬化度は、樹脂材料やインク材料の材質・組み合わせ、絵素領域の形状等によって適宜設定されるものであるが、バンクとしての形状を維持できる程度の硬化度とする。UV照射としては、例えば、波長365nmの光を含むUV光23を、50〜200mJ/cm(検出波長:365nm)の強さで樹脂層21に照射するものが挙げられる。
【0042】
次いで、現像(パターン形成)工程(S13)が行われる。現像処理により、図2(c)に示すように、ガラス基板20の主面上には、所望のパターンを有するバンク13aが形成される。
【0043】
次いで、撥液・親液処理工程(S14)が行われる。この工程では、絵素領域に塗布するインク材料の塗り分けのために、絵素の開口領域、すなわちガラス基板20の主面は親液性となり、バンク13aは撥液性を示すように、前処理を行う。このような前処理としては、例えば、親液性を付与するための酸素プラズマ処理等によるアッシング処理や、撥液性を付与するためのCFプラズマ処理等のフッ素プラズマ処理等が挙げられる。
【0044】
ここで、本発明においては、バンク13aには混色を防止するために撥液性を付与することが好ましい。これは、塗布されたインク材料がバンク13aの上部を乗り越えて隣の絵素領域のインク材料と混ざり合い混色が発生するのを防止するためである。一方で、バンク13aには、インク材料を染み込ませて含浸領域を形成する必要がある。したがって、フッ素プラズマ処理は、バンク13aの上部において特に撥液性を発現し、バンク13aの側面は、含浸領域の形成箇所等に応じて処理すれば良い。なお、フッ素プラズマ処理において、容易にバンクの上部側のみに撥液性を発現させるバンクの構造としては、幅方向の断面形状が逆テーパ形状のテーパ面(側面)を有するものが挙げられる。
【0045】
フッ素プラズマ処理は、真空排気系のドライエッチング装置や大気圧プラズマ装置等を用いて行うことができる。真空排気系のドライエッチング装置を用いたプラズマ処理であれば、CF/O=240〜300sccm/0〜60sccm、20〜100sec、25℃(室温で処理)の処理条件が好適である。大気圧プラズマ装置を用いたプラズマ処理であれば、ダイレクトタイプのプラズマ装置が好ましく、CF/N=15〜20slm/65〜75slm、3.0〜3.6KVA、搬送速度0.5〜3m/min、温度25〜35℃の処理条件が好適である。フッ素プラズマ処理に使用するガスとしては、CF以外にも、SF、CHF、C等のフッ素系ガスを用いてもよく、フッ素系ガスには、Oガス、HeやN等の不活性ガスが混合されていてもよい。
【0046】
次いで、第2の露光工程(S15)が行われる。この工程では、バンク13aにインク材料の含浸領域を形成するために、図2(d)に示すように、バンク13aが形成されたガラス基板20の主面上に、所望のパターン形状に開口部27aが形成された第2のマスク27を配置し、第2のマスク27の上部側及びガラス基板20の裏面側の両側からUV光を照射(ポスト露光)する。これにより、バンク13aは、硬化度の高い領域24aと硬化度の低い領域24bとが形成されたバンク13bとなる。ここで、硬化度の高い領域24aにおける硬化度とは、後述する色層形成工程(S20)において塗布されたインク材料が実質的に染み込まない程度の硬化度をいい、硬化度の低い領域24bにおける硬化度とは、インク材料を含浸できる程度の硬化度をいう。
【0047】
第2のマスク27は、図3(a)に示すように、隣接する絵素領域間において、絵素領域間の中央部に開口部27aが形成されたマスクパターンを有するマスク27を用いる。なお第2の露光工程(S15)では、必要に応じて、ガラス基板20の裏面側にも所望のマスクパターンを有するマスクを配置してもよい。
【0048】
次いで、樹脂材料焼成工程(S16)が行われる。焼成処理では、焼成中に熱収縮によりバンク13bの変形が生じることを考慮して、バンク13bのテーパ角が所望の値となるように温度調整する。なお、上記した樹脂材料の硬化度は、主に第2の露光工程(S15)のUV照射によって定まるが、本工程(S16)の焼成温度によっても決まるものであり、樹脂材料とインク材料とのなじみ等を考慮して、UV照射条件・焼成温度等が定められる。
【0049】
上記のような焼成処理を行うことで、樹脂材料は、パターン形状を安定して維持できるだけでなく、重合が進むことによって、表示パネルの形成後における樹脂材料の溶出を防ぐことができる。また、第2の露光工程(S15)及び樹脂材料焼成工程(S16)において、UV照射・焼成処理を行うことにより、バンク13bがガラス基板20から剥がれにくくなるという効果も得られる。
【0050】
上記のようにバンク形成工程(S10)が行われると、引き続き、色層形成工程(S20)が行われる。色層形成工程(S20)では、まず、インク材料を塗布する塗布工程(S21)が行われる。塗布工程(S21)では、図2(e)に示すように、インクジェット印刷装置28を用いてインク材料を塗布する。インク材料とは、所望の色を発現するための顔料・染料等を溶媒に溶解・分散させた液状材料である。インク材料の組成は特に限定されるものではないが、ここでは、高分子材料を溶媒に溶かしてインク化した赤(R)、緑(G)、青(B)の各色のインクを例に挙げて説明する。インクジェット印刷装置28は、各色のインクを吐出するノズル28a〜28cを備え、ノズル28a〜28cは、所望の絵素領域32a〜32cと対向するように配置される。
【0051】
ノズル28a〜28cから赤(R)、緑(G)、青(B)の各色のインク材料が吐出されると、インク材料の液滴30a〜30cは、矢印A方向に落下する。ガラス基板20には、上記した撥液・親液処理工程(S14)において表面処理が施されているため、インク材料の液滴30a〜30cは、自己パターニング現象により絵素領域32a〜32c内に収納され、インク層31a〜31cとなる。
【0052】
ここで、本実施形態においては、上記第2の露光工程(S15)においてバンク13bには、硬化度の低い領域24bが形成されていることから、絵素領域32a〜32cに広がったインク材料の一部は、硬化度の低い領域24bに染み込む。本実施形態においては、絵素領域32a〜32cを囲むバンク13bの内周面全てが硬化度の低い領域24bとなっていることから、滴下時には、自身が有する表面張力の影響によって絵素領域32a〜32cの中央部で盛り上がった球形のインク材料は、バンク13bと接触した部分からバンク13bに染み込んで、インク材料は中央部からバンク13bの側へ向かって流れるようになる。これにより、インク材料は絵素領域32a〜32c内に均一に広がる。
【0053】
また、バンク13bには、インク材料が含浸されない硬化度の高い領域24aが形成されているため、バンク13bに含浸されたインク材料が、隣のインク材料と混色することを防止できる。更に、撥液・親液処理工程(S14)において、バンク13bの上面には強い撥液性を付与していることから、インク材料がバンク13bを乗り越えて隣のインクと混色することを防止できる。
【0054】
次いで、インク材料を焼成するための液状材料焼成工程(S22)が行われる。液状材料焼成工程(S22)では、焼成処理によって、図2(f)に示すように、インク層31a〜31cが硬化してCF層131a〜131cが形成されるとともに、バンク13bに染み込んだインク材料も硬化する。硬化後のバンク25は、インク材料が染み込んだ含有領域25aとインク材料が染み込んでいない領域25bとを有する。含有領域25aには、インク材料中の高分子材料(顔料)が含まれており、インク材料中の溶媒は、焼成により揮発するため含まれていない。また、各バンク25の含有領域25aには、赤、緑、青のいずれか単色の成分しか含まれていない。このことは、例えば、飛行時間型二次イオン質量分析装置(Time−Of−Flight Secondary Ion Mass Spectrometry、TOF−SIMS)を用いた元素分析等により確認可能である。
【0055】
色層形成工程(S20)の後、共通電極(ITO)等が形成されて、CF基板が完成する。得られたCF基板の構成を図4に示す。図4(a)は、絵素領域32a〜32cの平面模式図であり、図4(b)は、図4(a)におけるA−B線に沿う断面模式図、図4(c)は、図4(a)におけるC−D線に沿う断面模式図である。図4(a)に示すように、各絵素領域32a〜32cには、隅々までインク材料が行き渡り、インク材料の未充填領域が解消されている。これにより、絵素領域32a〜32cの四隅からの光抜けが抑制された高表示品位のCF基板を得ることができる。
【0056】
また、バンク25にインク材料が染み込むことで、含有領域25a近傍のCF層131a〜131cの膜厚が厚くなり全体として形状が平坦化される。また、絵素領域32a〜32c内にインク材料が均一に広がることによっても、CF層131a〜131cの膜厚を均一にでき、図4(b)及び図4(c)に示すように、CF層131a〜131cの断面形状を平坦化できる。更に、バンク25の幅がインク材料の浸透する距離よりも小さい場合には、インク材料が隣の絵素の開口領域に染み出して混色することが懸念されるが、本実施形態においては、図4(b)、図4(c)に示すように、バンク25には、インク材料が染み込んでいない領域25bが形成されていることで、インク材料の染み込みによる隣接絵素間の混色が防止できる。
【0057】
なお、インク材料が染み込んでもバンク25に含まれる遮光材料の量は変わらないので、遮光性は落ちることはない。また、バンク25を形成する樹脂材料が未重合のままでは、パネルを形成した後に樹脂材料が溶出することが懸念されるが、液状材料焼成工程(S22)の工程において樹脂材料も重合できるため、樹脂材料の溶出を防ぐことができる。
【0058】
上記のように、露光条件、焼成条件等を制御しつつ光重合と熱重合とを併用することで、インク材料が染み込んだ含有領域25aとインク材料が染み込んでいない領域25bとを備えたバンク25を形成できる。これにより、絵素領域内にインク材料を均一に塗布でき、光抜けが抑制された高色純度のCF基板を作製できる。
【0059】
なお、上記説明では、バンク25の形成材料として、光及び熱のいずれによっても硬化可能な樹脂材料を用いた例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、UV硬化性及び熱硬化性の両特性を有することが好ましいが、いずれかの特性を有するものであってもよい。また、上記説明では、バンクの材料として樹脂フィルムを用いた例を挙げたが、本発明はこれに限定されるものではなく、液体の樹脂材料についても適用可能である。液体の樹脂材料を用いる場合には、スピンコート、ダイコート又はノズルコート等の手法により、ガラス基板20に塗布する。あるいは、液体の樹脂材料を用いて、インクジェット法等により基板に塗布してパターン形成することも可能である。この場合には、ステップS12、S13の露光・現像工程を省くことができる。
【0060】
また、樹脂材料焼成工程(S16)を行わずに、液状材料焼成工程(S22)にて樹脂材料の焼成を行うことも可能である。これにより、工程の削減が図れる。
【0061】
また、上記説明では、第2の露光工程(S15)において図3(a)に示すマスクパターンを有するマスク27を用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、図3(b)に示すように、絵素領域の隅部と接する領域に含浸領域が形成されるようなマスクパターンを有するマスク127を用いてもよい。これにより、光抜けの生じやすい絵素領域の隅部においても、インク材料を塗布できる。更に、絵素領域間の中央部の硬化度が周辺部の硬化度よりも高くなり、かつ、絵素領域の隅部と接する領域の硬化度が他の領域の硬化度よりも低くなるようマスクパターンを有するマスクを用いて露光処理してもよい。
【0062】
また、上記説明では、色層として液晶表示装置のカラーフィルタ基板におけるCFを例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、有機EL表示装置における発光層や正孔輸送層等の有機層等が挙げられる。また、液状材料としてインク材料を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、乾燥固化させて色層を形成できる液状材料であればよい。
【0063】
更に、上記説明では、インク材料の塗り分けのために、バンク13aに撥液・親液処理工程(S14)を行う例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、撥液・親液処理は、必要に応じて行えばよい。例えば、混色の恐れの無い撥水性を持ったバンクを使用する場合には、上記のようなプラズマ処理等を行わなくてもよい。
【0064】
実施形態2
本実施形態では、表示装置用基板が有機EL基板である場合において、バンクを形成するための樹脂材料としては感光性・遮光性樹脂を用い、インクジェット法により、正孔輸送層を形成する例を挙げて、図5を用いて説明する。ここでの有機EL基板は、トップゲート型のTFTを用いたアクティブマトリクス基板上に有機EL素子を備えた構成を有する。
【0065】
図5は、本実施形態に係る有機EL基板の製造工程を示す断面模式図である。図5(a)は、TFT70、層間絶縁膜61、絵素電極(図示せず)等が形成されたガラス基板60の主面上に、バンクを形成するための樹脂膜62が形成された状態を示す。このような状態の基板を得るためには、まず、ガラス基板60の主面上に、従来公知の手法により、複数のTFT70を形成する。次に、TFT70上に、平坦化層としての機能を有する層間絶縁膜61を形成する。層間絶縁膜61としては、窒化シリコン膜とアクリル系樹脂層との積層で構成したものが挙げられる。
【0066】
層間絶縁膜61を形成した基板上に、ニッケル(Ni)等からなる絵素電極を形成し、この絵素電極を覆うように樹脂膜62を形成する。なお、ここでは図示されていないが、絵素電極は、層間絶縁膜61に設けたコンタクトホールを介してTFT70のドレイン領域と接続するように設けられる。
【0067】
次いで、図5(b)に示すように、上記した実施形態1と同様に第1の露光工程(S12)が行われ、引き続き、上記した実施形態1と同様に現像(パターン形成)工程(S13)が行われる。これにより、図5(c)に示すように、層間絶縁膜61上に所望のパターンを有するバンク63aが形成される。バンク63aは、絵素電極のエッジ部を覆うように、各絵素毎に絵素電極を取り囲む形状となる。
【0068】
次いで、上記した実施形態1と同様に、撥液・親液処理工程(S14)が行われる。フッ素プラズマ処理の条件は、適宜設定すればよいが、例えば、上記実施形態1と同様の処理条件が挙げられる。
【0069】
次いで、上記した実施形態1と同様に、図5(d)に示すように第2の露光工程(S15)が行われ、引き続き樹脂材料焼成工程(S16)が行われる。これにより、硬化度の高い領域64aと硬化度の低い領域64bとを備えたバンク63bが形成される。ただし、第2の露光工程(S15)は、両面露光ではなく、基板上面側からの片面露光である。
【0070】
次いで、図5(e)に示すように、上記した実施形態1と同様にインクジェット印刷装置28を用いて液状材料を塗布する塗布工程(S21)が行われる。この工程では、正孔輸送層の材料としてポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)/ポリスチレンスルフォン酸(PSS)の水分散液をインクジェット印刷装置28を用いて絵素領域に塗布する。これにより液層65が形成される。液層65を形成する液状材料は、バンク63bの硬化度の低い領域64bに染み込んで含浸領域を形成する。また、バンク63bには、液状材料が染み込まない硬化度の高い領域64aが形成されているため、バンク63bに染み込んだ水分散液が、隣の水分散液と混ざり合うことを防止できる。更に、撥液・親液処理工程(S14)において、バンク63bの上面には強い撥液性を付与していることから、水分散液がバンク63bを乗り越えて隣の水分散液と混ざり合うことを防止できる。
【0071】
次いで、上記した第1の実施形態と同様に、液状材料焼成工程(S22)を行う。これにより、分散媒である水が乾燥除去され、図5(f)に示すような正孔輸送層66が形成されるとともに、バンク63bも硬化する。硬化後のバンク80は、正孔輸送溶液の成分を含有する含有領域75aと正孔輸送溶液の成分を含有しない領域75bとを有する。含有領域75aには、正孔輸送溶液中のPEDOT/PSSが含まれており、水は焼成により蒸発するため含まれていない。このことは、例えば飛行時間型二次イオン質量分析装置(Time−Of−Flight Secondary Ion Mass Spectrometry、TOF−SIMS)を用いた元素分析等により確認可能である。
【0072】
発光層についても、正孔輸送層66と同様に、ポリフルオレン誘導体の溶液を用いてインクジェット法で塗布し乾燥することにより形成できる。そして、透光性を有する陰極として、カルシウム(Ca)を含むアルミニウム(Al)を抵抗加熱蒸着し、酸化インジウム亜鉛(IZO)をスパッタ法で形成すること等により、アクティブマトリクス基板上に有機EL素子を備えたトップエミッション型の有機EL基板が完成する。
【0073】
本実施形態においては、隣接する絵素領域において、正孔輸送層同士及び発光層同士が混ざり合うことがなく、かつ、絵素領域の全体に正孔輸送層及び発光層が形成された有機EL基板が得られる。したがって、これを用いた有機EL装置は、絵素領域内の輝度ムラが防止された表示特性の良いものとなる。
【0074】
なお、上記説明では、ガラス基板を用いた例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、トップエミッション型の有機EL素子の構造では、基板と反対側から光が取り出されるため基板には透光性が必要とされないことから、シリコンウェハ等の半導体基板を用いることも可能である。
【0075】
また、上記説明では、アクティブマトリクス基板上の有機EL素子を作製する場合を例に挙げたが、パッシブマトリクス基板上の有機EL素子を作製する場合にも、本発明を同様に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の実施形態1に係るCF基板の製造工程を示すフローチャート図である。
【図2】(a)〜(f)は、本発明の実施形態1に係るCF基板の製造工程を示す断面模式図である。
【図3】(a)は、本発明の実施形態1における第2の露光工程で用いたマスクの構成を示す平面模式図であり、(b)は、マスクの他の例を示す平面模式図である。
【図4】(a)は、実施形態1のCF基板における絵素の構成を示す平面模式図であり、(b)は、(a)に示すCF基板のA−B線に沿う断面模式図であり、(c)は、(a)に示すCF基板のC−D線に沿う断面模式図である。
【図5】(a)〜(f)は、本発明の実施形態2に係る有機EL基板の製造工程を示す断面模式図である。
【図6】インクジェット法による従来のCF基板の製造方法を説明する断面模式図である。
【図7】(a)は、従来のCF基板の絵素の構成の一例を示す平面模式図であり、(b)は、(a)におけるCF基板のA−B線に沿う断面模式図であり、(c)は、(a)におけるCF基板のC−D線に沿う断面模式図である。
【図8】(a)は、CF基板における混色が発生していない絵素を示す断面模式図であり、(b)は、混色が発生した絵素を示す断面模式図である。
【符号の説明】
【0077】
13a、13b、63a、63b、25、51 バンク
20、50、60 ガラス基板
21 樹脂層
22a 開口部
22 第1のマスク
23 UV光
24a、64a 硬化度の高い領域
24b、64b、 硬化度の低い領域
25b インク材料を含浸しない領域
27 第2のマスク
27a 開口部
28、40 インクジェット印刷装置
28a〜28c、41a〜41c ノズル
30a〜30c 液滴
31a〜31c、53a〜53c インク層
32a〜32c、60a〜60c 絵素領域
43a〜43c 液滴
54 混合領域
55 インクが塗布されていない領域
61 層間絶縁膜
62 樹脂膜
65 液層
66 正孔輸送層
70 TFT
75a 含有領域
75b 液状材料を含浸しない領域
127 マスク
131a〜131c CF層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の主面上に、樹脂材料からなるバンクと、該バンクによって囲まれた複数の絵素領域に配置された色層とを備えた表示装置用基板であって、
該色層は、液状材料から形成され、
該バンクは、該液状材料中の成分を含有する含浸領域を備えることを特徴とする表示装置用基板。
【請求項2】
前記バンクは、隣接する前記絵素領域間の中央部には、前記含浸領域が形成されていないことを特徴とする請求項1記載の表示装置用基板。
【請求項3】
前記バンクは、前記絵素領域の隅部と接する領域に前記含浸領域を有することを特徴とする請求項1記載の表示装置用基板。
【請求項4】
前記バンクは、隣接する前記絵素領域間の中央部には、前記含浸領域が形成されておらず、該絵素領域の隅部と接する領域には該含浸領域を有することを特徴とする請求項1記載の表示装置用基板。
【請求項5】
前記バンクは、全体が遮光性材料により形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の表示装置用基板。
【請求項6】
前記色層は、着色透明樹脂により形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の表示装置用基板。
【請求項7】
前記色層は、エレクトロルミネッセンス層であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の表示装置用基板。
【請求項8】
基板の主面上に、樹脂材料からなるバンクと、該バンクによって囲まれた複数の絵素領域に配置された液状材料からなる色層とを備えた表示装置用基板の製造方法であって、
該バンクを形成するバンク形成工程と、
該色層を形成する色層形成工程とを有し、
該バンク形成工程は、
該基板の主面上にパターン形成された該樹脂材料を露光する露光工程を含み、
該露光工程は、該色層と接する部分の樹脂材料に他の部分の樹脂材料よりも硬化度の低い領域が形成されるように露光処理し、
該色層形成工程は、
該液状材料を塗布し、該露光工程で形成された硬化度の低い樹脂材料に液状材料を染み込ませる塗布工程と、
該塗布工程後に該液状材料を焼成して該色層を形成する焼成工程とを含む
ことを特徴とする表示装置用基板の製造方法。
【請求項9】
前記焼成工程は、該液状材料の焼成と共に該樹脂材料の重合を行うことを特徴とする請求項8記載の表示装置用基板の製造方法。
【請求項10】
前記露光工程は、
隣接する前記絵素領域間の中央部の硬化度が周辺部の硬化度よりも高くなるように前記樹脂材料に露光処理を行うことを特徴とする請求項8又は9記載の表示装置用基板の製造方法。
【請求項11】
前記露光工程は、前記絵素領域の隅部と接する領域の硬化度が他の領域の硬化度よりも低くなるように前記樹脂材料に露光処理を行うことを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載の表示装置用基板の製造方法。
【請求項12】
請求項1〜7のいずれかに記載の表示装置用基板、又は、請求項8〜11のいずれかに記載の表示装置用基板の製造方法により製造された表示装置用基板を備えることを特徴とする表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−47764(P2012−47764A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−332777(P2008−332777)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】