説明

表示装置用素子基板及びその製造方法

【課題】 プラスチックフィルムを基板に使用する表示装置用素子基板において、水蒸気の侵入による表示特性の劣化を防止できる表示装置用素子基板を提供する。
【解決手段】 プラスチックフィルム10上に、接着層35を介して、バリア絶縁層38と、表示信号が供給される電極30と、複数の電極30のパターン間上に形成されたバリア絶縁層パターン28とが順に形成されて、二重バリア層構造となっている。この表示装置用素子基板は有機ELディスプレイや液晶表示装置に適用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示装置用素子基板及びその製造方法に係り、更に詳しくは、有機ELディスプレイや液晶表示装置などに使用される表示装置用素子基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL(Electroluminescence)ディスプレイや液晶表示装置などの表示装置は情報機器などへ急速にその用途を拡大している。近年、プラスチックフィルムを基板として使用するフレキシブルディスプレイが注目されている。そのようなフレキシブルディスプレイは、丸めて収納できて持ち運びに便利な超薄型・軽量のモバイル用ばかりではなく、大型ディスプレイ用としても利用できる。
【0003】
しかし、プラスチックフィルムは、剛性が弱く、また熱変形温度が低いため、熱処理を伴う製造工程において反りや膨張収縮のような熱変形が生じ易い。このため、プラスチックフィルム上に直接各種素子を形成する製造方法では、熱処理を伴う製造工程などの条件が制限され、また高精度の位置合わせが困難になるので、所望の特性を有する素子基板を製造できなくなる場合がある。
【0004】
このような問題を回避するために、耐熱性で剛性のガラス基板の上に製造条件が制限されないで透明電極やカラーフィルタ層などを高精度で位置合わせして形成して転写層とした後、この転写層をプラスチックフィルム上に転写・形成することにより、液晶装置用素子基板を製造する方法がある(特許文献1)。
【0005】
また、有機ELディスプレイでは、有機EL素子に水蒸気が侵入するとそれを構成する金属電極が劣化するなどして非発光の表示欠陥が発生しやすい。この対策として、特許文献2及び3には、基板の表面にシリコン窒化層などのバリア層を形成することにより、有機EL素子への水蒸気の侵入をブロックすることが記載されている。
【特許文献1】特開2003−131199号公報
【特許文献2】特開2004−119138号公報
【特許文献3】特開2003−255857号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特に、プラスチックフィルムを基板として使用する有機ELディスプレイでは、外気から侵入する水蒸気ばかりではなく、プラスチックフィルム自身に含まれる水分が有機EL素子に浸入しないようにバリア性を強化する必要がある。
【0007】
また、プラスチックフィルムを基板として使用する液晶表示装置においても、同様に、液晶層に水蒸気やガスが侵入することによって表示特性が劣化するおそれがある。
【0008】
しかしながら、バリア層としてのシリコン窒化層などの無機絶縁層は、ピンホールのような微細欠陥を伴って成膜されることが多く、その欠陥によって十分な水蒸気のブロック性を得られない場合があり、必ずしも表示装置の表示特性の劣化を十分に防止できないといった問題がある。
【0009】
本発明は上記した問題点を鑑みて創作されたものであり、プラスチックフィルムを基板に使用する表示装置用素子基板において、水蒸気などの侵入による表示特性の劣化を防止できる表示装置用素子基板及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記した課題を解決するため、本発明は表示装置用素子基板に係り、プラスチックフィルムと、前記プラスチックフィルムの上に形成された接着層と、前記接着層の上方に形成されたバリア絶縁層と、前記バリア絶縁層の上に形成され、表示信号が供給される電極と、複数の前記電極のパターン間上に形成されたバリア絶縁層パターンとを有することを特徴とする。
【0011】
本発明の表示装置用素子基板は転写技術によって製造されるものであり、まず、耐熱性で剛性の仮基板(ガラス基板など)上に第1バリア絶縁層、電極及び第2バリア絶縁層を含む転写層が仮基板から剥離可能な状態で形成される。次いで、その転写層が上下反転した状態でプラスチックフィルム上に接着層を介して転写・形成される。さらに、最上の第1バリア絶縁層がパターニングされて電極のパターン間上にバリア絶縁層パターンが形成される。
【0012】
本発明の表示装置用素子基板が有機ELディスプレイに適用される場合、電極(陽極)上に有機EL層が形成され、有機EL層に上側電極(陰極)が接続され、さらに上側電極(陰極)上に保護材が形成される。
【0013】
前述したように、有機EL素子は水蒸気の侵入によって表示欠陥が発生しやすい特性を有する。このため、本発明では、有機EL層の下に電極(ITO膜など)が形成され、有機EL層の横方向(電極のパターン間上)にバリア絶縁層パターンが形成されている。このバリア絶縁層パターンは外気(水蒸気)やプラスチックに含有される水分が有機EL層に侵入することをブロックするバリア層として機能する。さらに、有機EL層の下に形成された電極も水蒸気をブロックするバリア層として機能する。
【0014】
しかも、電極及びバリア絶縁層パターンの下にはバリア絶縁層がさらに形成されており、バリア層が多層化されて構成されている。シリコン窒化層などのバリア絶縁層は欠陥をもって成膜されることが多いが、バリア層を二重にして形成するようにしたので、欠陥密度を実質的に低くすることができ、水蒸気のバリア性を十分なものとすることができる。
【0015】
従って、有機EL層の下方(外気やプラスチックフィルム)から侵入する水蒸気は、バリア絶縁層及びその上の電極やバリア絶縁層パターンによって隙間なくブロックされるので、有機EL層の水蒸気による劣化を十分に防止することができる。
【0016】
さらには、バリア絶縁層パターンは、電極の主要部(発光部)上には形成されないので、十分なバリア性をもたせるためにバリア絶縁層パターンの膜厚を厚くして有色になるとしても、発光部では高い透過率が得られ、表示特性に悪影響を及ぼすおそれはない。
【0017】
上記した発明において、バリア絶縁層パターンの上に突起状樹脂層がパターニングされていることが好ましい。この態様の場合、有機EL層の外側周辺部上には突起状樹脂層が立設されているので、有機EL層を外部からの衝撃や汚染から保護することができる。また、バリア絶縁層パターンに傷や応力によるクラックなどの損傷が生じないように保護することができる。
【0018】
本発明の表示装置用素子基板の電極は、単純マトリクス駆動用の画素電極あってもよいし、あるいは、アクティブ・マトリクス駆動用の画素電極であってもよい。
【0019】
さらには、本発明の表示装置用素子基板を液晶表示装置の素子基板として使用してもよい。この態様の場合は、液晶層への水蒸気の侵入をブロックするだけではなく、ガスバリアとしても有効に機能する。
【0020】
また、上記した課題を解決するため、本発明は表示装置用素子基板の製造方法に係り、仮基板の上に剥離層を形成する工程と、前記剥離層の上方に第1バリア絶縁層を形成する工程と、前記第1バリア絶縁層の上に、表示信号が供給される電極を形成する工程と、前記電極を被覆する第2バリア絶縁層を形成する工程と、前記第2バリア絶縁層の上方に、接着層を介して、プラスチックフィルムを接着する工程と、前記仮基板を前記剥離層との界面から剥離することにより、前記プラスチックフィルムの上に、前記接着層を介して、前記第2バリア絶縁層、前記電極、前記第1バリア絶縁層及び前記剥離層を転写・形成する工程と、前記剥離層を除去する工程と、前記第1バリア絶縁層をパターニングすることにより、前記電極のパターン間上にバリア絶縁層パターンを形成する工程とを有することを特徴とする。
【0021】
本発明の製造方法を使用することにより、何ら不具合が発生することなくプラスチックフィルム上に所望特性の電極などを形成できると共に、上記した二重バリア層構造の表示装置用素子基板を容易に製造することができる。
【0022】
また、上記した発明において、プラスチックフィルムと第2バリア絶縁層との間にカラーフィルタ層が形成されるようにしてもよい。
【0023】
なお、特許文献2及び3では、有機ELディスプレイにおいて基板の表面にバリア層を設けることが記載されているものの、転写技術によってプラスチックフィルム上に電極を含む二重のバリア層を形成する技術思想はない。また、特許文献1では、転写技術によって液晶表示装置用の素子基板を製造することが記載されているが、水蒸気の侵入を防止することに関しては何ら考慮されていない。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、本発明では、転写技術によってプラスチックフィルム上に電極を含む二重のバリア層が形成されるので、水蒸気の侵入を十分にブロックすることができ、有機ELディスプレイなどの表示特性の信頼性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照しながら説明する。
【0026】
(第1の実施の形態)
図1〜図4は本発明の第1実施形態の表示装置用素子基板の製造方法を順に示す断面図、図5は図4(c)を含む全体の様子を平面方向からみた平面図、図6は本発明の第1実施形態の表示装置用素子基板を示す断面図、図7は同じく第1実施形態の変形例の表示装置用素子基板を示す断面図である。
【0027】
本実施形態の表示装置用素子基板として、有機ELディスプレイに適用される素子基板を例に挙げて説明する。
【0028】
本発明の第1実施形態の表示装置用素子基板の製造方法は、図1(a)に示すように、まず、仮基板として耐熱性及び剛性を有するガラス基板20を用意し、このガラス基板20上に膜厚が4μm程度のポリイミド樹脂などからなる剥離層22を形成する。
【0029】
続いて、図1(b)に示すように、スパッタ又は蒸着などにより、剥離層22上にアルミニウム(Al)又は銀(Ag)などよりなる金属層24aを形成する。さらに、図1(c)に示すように、金属層24aをフォトリソグラフィ及びエッチングでパターニングすることによりマスク金属層24を形成する。このとき、マスク金属層24は、後に形成される複数の陽極のパターン間に対応する部分にパターニングされる。
【0030】
次いで、図1(d)に示すように、剥離層22及びマスク金属層24上にポリイミド樹脂などからなる膜厚が1〜2μm程度の樹脂層26aを形成する。樹脂層26aは、後にマスク金属層24をマスクにしてパターニングされて突起状樹脂層となり、その膜厚は有機ELディスプレイの特性に合わせて適宜調整される。
【0031】
続いて、図2(a)に示すように、樹脂層26a上に膜厚が例えば30〜500nmの第1バリア絶縁層28aを形成する。第1バリア絶縁層28aとしては、水蒸気の侵入をブロックできるシリコン酸化層(SiOX)、シリコン窒化層(SiNX)又はシリコン酸化窒化層(SiON)などの無機絶縁層が好適に使用され、CVD法やスパッタ法によって形成される。なお、SiOX層、SiNX層及びSiON層から2つ以上選択して積層してもよい。あるいは、後述するカラーフィルタ層の遮光層を兼ねる場合は、水蒸気の侵入をブロックできる黒色の絶縁層を使用してもよい。
【0032】
次いで、図2(b)に示すように、第1バリア絶縁層28a上にTFT素子やMIM素子などのアクティブ素子(不図示)とそれに接続されたITO(Indium Tin Oxide)又はIZO(Indium Zinc Oxide)よりなる陽極30(画素電極)とを形成する。陽極30は、マスク金属層24のパターン間に対応する第1バリア絶縁層28a上に形成される。
【0033】
本実施形態では、表示信号が供給される電極として、アクティブ素子(不図示)に接続された陽極30が例示されている。特に図示しないが、TFT素子を用いる場合は、まず、第1バリア絶縁層28a上に島状にパターニングされたn型の多結晶シリコン層が形成される。その後、多結晶シリコン層上にゲート絶縁層が形成され、続いてゲート絶縁層上にAl層などからなるゲート電極が形成される。次いで、このゲート電極をマスクにしてp型の導電性不純物が導入されることでソース部及びドレイン部が形成されてpチャネルのTFT素子が得られる。そして、上記した陽極30はTFT素子のソース部に電気的に接続される。
【0034】
なお、単純マトリクスタイプの表示装置用素子基板を製造する場合は、陽極30は単純マトリクス駆動用のストライプ状の透明電極(画素電極)となる。
【0035】
陽極30を構成するITO膜は耐熱性のガラス基板20上に形成されることから、成膜温度が200℃程度のスパッタ法などを採用することができる。このため、結晶性でかつ低抵抗(シート抵抗値:10〜15Ω/口(膜厚:130nm)のITO膜が得られる。後述するように、陽極30などは最終的に可撓性のプラスチックフィルム上に転写・形成される。プラスチックフィルム上に形成される各種の膜は傷つきやすいので、結晶性の硬質の陽極30(ITO膜)を使用できることは、陽極30に傷がつきにくくなるという観点からも都合がよい。
【0036】
続いて、図2(c)に示すように、陽極30を被覆する膜厚が例えば30〜500nmの第2バリア絶縁層38を形成する。第2バリア絶縁層38は、第1バリア絶縁層28aと同様に、水蒸気の侵入をブロックできるシリコン酸化層(SiOX)、シリコン窒化層(SiNX)又はシリコン酸化窒化層(SiON)などの無機絶縁層が好適に使用され、CVD法やスパッタ法によって形成される。
【0037】
さらに、図2(d)に示すように、第2バリア絶縁層38上にアクリル樹脂などよりなる膜厚が2〜5μm程度の保護層31を形成する。なお。保護層31は必ずしも設ける必要はない。
【0038】
本実施形態では、有機EL層として白色発光層を使用し、カラーフィルタ層を組み合わせてカラー表示を行うタイプの有機ELディスプレイを例示するので、次の工程でカラーフィルタ層33が形成される。詳しく説明すると、図3(a)に示すように、まず、保護層31上の陽極30のパターン間上に遮光層33dをパターニングする。続いて、赤色画素部を構成する部分に赤色カラーフィルタ層33aをパターニングする。次いで、緑色画素部を構成する部分に緑色カラーフィルタ層33bをパターニングする。その後に、青色画素部を構成する部分に青色カラーフィルタ層33cをパターニングする。
【0039】
このようにして、赤色カラーフィルタ層33a、緑色カラーフィルタ層33b、青色カラーフィルタ層33c及び遮光層33dにより構成されるカラーフィルタ層33が形成される。各色のカラーフィルタ層33a〜33dは、例えば顔料分散タイプの感光性塗布膜がフォトリソグラフィによりパターニングされて形成される。
【0040】
なお、有機EL層として赤色、緑色及び青色の3色の発光層を使用する場合は、カラーフィルタ層33を形成する必要はない。
【0041】
次いで、図3(b)に示すように、図3(a)の構造体の上面に接着層35を介してプラスチックフィルム10を対向させて配置する。プラスチックフィルム10としては、膜厚が100〜200μmのポリエーテルスルホンフィルムやポリカーボネートフィルムなどが好適に使用される。
【0042】
さらに、熱処理することにより接着層35を硬化させて、図3(a)の構造体上にプラスチックフィルム10を接着する。このとき、カラーフィルタ層33の段差は接着層35により埋め込まれて平坦化される。続いて、同じく図3(b)に示すように、プラスチックフィルム10の一端にロール40を固定し、このロール40を回転させながらガラス基板20を剥離する。このとき、ガラス基板20と剥離層22との界面(図3(b)のA部)に沿って剥離され、ガラス基板20が廃棄される。
【0043】
なお、カラーフィルタ層33を省略する場合は、保護層31を省略し、第2バリア絶縁層38上に接着層35が形成されるようにしてもよい。
【0044】
これにより、図3(c)に示すように、プラスチックフィルム10上に、下から順に、接着層35、カラーフィルタ層33、保護層31、第2バリア絶縁層38、アクティブ素子に接続された陽極30(又はストライプ状の透明電極)、第1バリア絶縁層28a、樹脂層26a、マスク金属層24及び剥離層22により構成される転写層Tが転写・形成される。
【0045】
このように、本実施形態では、耐熱性で剛性のガラス基板20上に所望の各種素子を含む転写層Tを精度よく形成した後に、その転写層Tをプラスチックフィルム10上に転写・形成する手法を採用している。このため、プラスチックフィルム10上に所望の各種素子を高い位置合わせ精度で形成することができる。
【0046】
次いで、図4(a)に示すように、プラスチックフィルム10上の剥離層22を酸素プラズマやコリン系などのアルカリ溶液を用いてエッチングすることにより除去する。これにより、プラスチックフィルム10の最上面にマスク金属層24及び樹脂層26aが露出する。
【0047】
次いで、図4(b)に示すように、マスク金属層24をマスクして樹脂層26aを第1バリア絶縁層28aの上面が露出するまでエッチングすることにより突起状樹脂層26を形成する。樹脂層26aとしてポリイミド樹脂を使用する場合は、樹脂層26aは酸素プラズマやコリン系などのアルカリ溶液によってマスク金属層24及び第1バリア絶縁層28aに対して選択的にエッチングされる。
【0048】
続いて、図4(c)に示すように、マスク金属層24及び突起状樹脂層26をマスクにして、第1バリア絶縁層28aを陽極30の上面が露出するまでエッチングすることにより、第1バリア絶縁層パターン28を形成する。第1バリア絶縁層28aとしてSiNX層を使用する場合は、CF4プラズマやバッファードフッ酸により第1バリア絶縁層28aが陽極30に対して選択的にエッチングされる。
【0049】
その後に、マスク金属層24が突起状樹脂層26、第1バリア絶縁層パターン28及び陽極30に対して選択的に除去される。マスク金属層としてAl層を使用する場合は、燐酸を含む溶液を使用するウェットエッチングが採用される。
【0050】
これにより、複数の陽極30のパターン間上に第1バリア絶縁層パターン28及び突起状樹脂層26が形成される。つまり、バリア絶縁層28a及び樹脂層26aは陽極30上に開口部25が設けられるようにパターニングされる。
【0051】
図5には図4(c)を含む全体を平面方向からみた様子が描かれている。図5には、説明を簡易にするために単純マトリクスタイプに対応するストライプ状の陽極30が例示されており、陽極30は一端側の外部接続部30aに繋がっている。ストライプ状の複数の陽極30が配置された領域が表示領域B(鎖線で囲まれた領域)となっている。そして、第1バリア絶縁層パターン28及び突起状樹脂層26は、表示領域Bの各陽極30上に開口部25がそれぞれ設けられた状態で、陽極30のパターン間上に形成されているばかりではなく、外部接続部30aを除く表示装置用素子基板の主要部全体にわたって形成されている。
【0052】
好適には、図5に示すように、第1バリア絶縁層パターン28は、陽極30のパターン間から後に形成される保護フィルム39が配置される領域まで延在して形成される(図5の塗りつぶし部)。また、開口部25はストライプ状の陽極30の幅より小さい幅で形成される。なお、アクティブマトリクスタイプとする場合は、開口部25が陽極30(画素電極)の面積より小さい面積で形成されるようにする。
【0053】
後に説明するように、陽極30のパターン間から外側周辺部まで第1バリア絶縁層パターン28が形成されているので、下方から侵入する水蒸気は陽極30及びバリア絶縁層パターン28によって完全にブロックされる。ITOよりなる陽極30も水蒸気をブロックするバリア層として機能するため、水蒸気が侵入する隙間がなくなるからである。
【0054】
しかも、本実施形態では、第1バリア絶縁層パターン28及び陽極30の下には第2バリア絶縁層38が形成されており、バリア層が多層化されて形成されていることになる。このため、第1バリア絶縁層パターン28及び第2バリア絶縁層38がそれらに欠陥が発生した状態で成膜されるとしても、相互に欠陥を補うことによって欠陥密度を実質的に低く抑えることができ、単層でバリア層を構成する場合よりも水蒸気のバリア性を飛躍的に向上させることができる。
【0055】
さらには、バリア絶縁層パターン28は、陽極30(発光部)上には形成されず陽極30のパターン間上に形成されるので、十分なバリア性をもたせるように膜厚を厚く設定して有色になったとしても表示特性を劣化させることもない。
【0056】
なお、必ずしも突起状樹脂層26を形成する必要はなく、突起状樹脂層26を省略する場合は、マスク金属層24上に第1バリア絶縁層28aを直接形成し、マスク金属層24をマスクにバリア絶縁層28aをパターニングするようにしてもよい。あるいは、マスク金属層24をさらに省略し、剥離層22を形成した直後に第1バリア絶縁層28aを形成し、フォトリソグラフィによりバリア絶縁層28aをパターニングするようにしてもよい。
【0057】
次いで、図4(d)に示すように、開口部25に露出する陽極30上に正孔輸送層、白色発光層及び電子輸送層をインクジェット法や印刷などにより順次形成して有機EL層32を得る。このとき、有機EL層32は開口部25の底部(陽極30上)に自己整合的に形成され、有機EL層32の外側周辺部上に突起状樹脂層26が配置されることになる。
【0058】
次いで、図6に示すように、有機EL層32に接続される陰極34(上側電極)を素子形成部の全面にわたって形成する。なお、単純マトリクスタイプの場合は、ストライプ状の陽極30(透明電極)と直交するストライプ状の陰極(上側電極)が形成される。このようして、有機EL層32が陽極30と陰極34とによって挟まれた構造を有する有機EL素子36が形成される。
【0059】
その後に、同じく図6に示すように、陰極34上に保護フィルム39(保護材)を接着する。この保護フィルム39は外部からの酸化雰囲気や水蒸気による有機EL素子36の劣化を防止するために設けられる。保護フィルム39は前述した図5に示されるように第1バリア絶縁層パターン28が形成された領域を含む領域に形成される。
【0060】
本実施形態では、有機EL層32を取り囲むように突起状樹脂層26が形成されているので、保護フィルム39と有機EL層32とが直接接触しない構成とすることができる。従って、保護フィルム39が外部から衝撃を受ける場合、有機EL層32は突起状樹脂層26で保護されるので、有機EL層32にダメージが入ることが防止される。
【0061】
また、第1バリア絶縁層パターン28上には突起状樹脂層26が形成されているので、第1バリア絶縁層パターン28に傷や応力によるクラックなどの損傷が生じないように保護することができる。なお、突起状樹脂層26間のスペース41は、接着層で充填されるようにしてもよいし、空洞であってもよい。
【0062】
以上により、第1実施形態の表示装置用素子基板1(有機ELディスプレイ)が完成する。
【0063】
本実施形態の表示装置用素子基板1では、有機EL素子36の陽極30に正の電圧、陰極34に負の電圧を印加することにより、陽極30から正孔輸送層を介して注入される正孔と、陰極34から電子輸送層を介して注入される電子とが有機EL層32の内部で再結合することにより白色光が放出される。そして、この白色光がカラーフィルタ層33などを透過して外部に放出されてカラー画像が得られる(図6の矢印の方向)。
【0064】
本実施形態の表示装置用素子基板1では、図6に示すように、プラスチックフィルム10上に接着層35が設けられており、接着層35の中にはカラーフィルタ層33が埋設されている。カラーフィルタ33上には保護層31が形成され、その上に第2バリア絶縁層38が形成されている。第2バリア絶縁層38の上にはITOよりなる陽極30が形成されている。さらに、陽極30のパターン間上に第1バリア絶縁層パターン28と突起状樹脂層26が形成され、陽極30上に開口部25が設けられた構成となっている。
【0065】
また、開口部25内の陽極30上には有機EL層32が形成され、さらに有機EL層32上に陰極34が素子形成部の全体にわたって形成されている。陽極30、有機EL層32及び陰極34により有機EL素子36が構成されている。さらに、有機EL素子36の陰極34の上には保護フィルム39が設けられている。
【0066】
このように、本実施形態の表示装置用素子基板1では、有機EL層32の下にITOよりなる陽極30が形成され、有機EL層32の横方向(陽極30のパターン間上)に第1バリア絶縁層パターン28が形成されている。第1バリア絶縁層パターン28は、外気やプラスチック10からの水蒸気が有機EL層32に侵入することをブロックするバリア層として機能する。また、有機EL層32の下に形成された陽極30(ITO)も水蒸気をブロックするバリア層として機能する。さらに、陽極30及び第1バリア絶縁層パターン28の下にも同様に水蒸気の侵入をブロックする第2バリア絶縁層38が形成されている。
【0067】
以上のように、本実施形態の表示装置用素子基板1では、水蒸気をブロックするバリア層が多層化されて形成されているので、第1バリア絶縁層パターン28及び第2バリア絶縁層38がそれぞれ欠陥をもって成膜されたとしても、相互作用によってバリア層全体の欠陥密度を低く抑えることができる。従って、有機EL層32の下方(外気やプラスチックフィルム)から侵入する水蒸気は、第2バリア絶縁層38と陽極30及び第1バリア絶縁層パターン28とによって完全にブロックされるので、有機EL素子36の水蒸気による劣化を十分に防止することができる。
【0068】
さらには、第1バリア絶縁層パターン28は、陽極30の主要部(発光部)上には形成されないので、十分なバリア性をもたせるために第1バリア絶縁層パターン28の膜厚を厚くして有色になるとしても、発光部では高い透過率が得られ、表示特性に悪影響を及ぼすおそれはない。
【0069】
また、有機EL層32の直下には陽極30と第2バリア絶縁層38が多層化され、有機EL素子32の横方向には第1バリア絶縁層パターン28と第2バリア絶縁層38が多層化されているので、カラーフィルタ層33や保護層31が水分を含有する場合であってもそれらから侵入する水蒸気をもブロックすることができる。
【0070】
本願発明者は、本発明の効果を確認するため、上記した実施形態の二重バリア層構造(図6)のサンプル1と、陽極30の横方向に第1バリア絶縁層パターン28を設けずに陽極30の下に第2バリア絶縁層38のみを設けたサンプル2とを作成し、EL発光面積の経時変化を比較調査した。
【0071】
その結果によれば、陽極30の下に第2バリア絶縁層38のみを設けたサンプル2では、第2バリア絶縁層38の欠陥から水蒸気が侵入することに起因してサンプル作成から4日後にはほとんど発光しなくなった。これに対して、本実施形態の二重バリア層構造のサンプル1では、サンプル作成から45日経っても発光面積の顕著な減少は見られなかった。このように、本実施形態の表示装置用素子基板1では、二重バリア層構造とすることにより欠陥密度を低下させることができ、水蒸気の侵入がブロックされてEL発光の高寿命化を図ることができることが確認された。
【0072】
また、有機EL層32の外側周辺部上には突起状樹脂層26が立設されていることから、保護フィルム39が外部衝撃を受けることがあっても、有機EL層32は突起状樹脂層26によって保護されるので、有機EL層32にダメージが入りにくくなり、有機ELディスプレイの信頼性を向上させることができる。
【0073】
さらに、第1バリア絶縁層パターン28が突起状樹脂層26によって保護されるので、第1バリア絶縁層パターン28に傷や応力によるクラックなどの損傷が生じることが防止される。
【0074】
図7には、本実施形態の変形例の表示装置用素子基板1a(有機ELディスプレイ)が示されている。変形例の表示装置用素子基板1aでは、突起状樹脂層26が省略されており、有機EL素子36の陰極34上に接着層(不図示)を介して保護フィルム39が接着されている。その他の要素は図5と同一であるのでその説明を省略する。
【0075】
変形例の表示装置用素子基板1aにおいても、同様に、2重バリア層構造となっているので、下方から侵入する水蒸気による有機EL素子36の劣化が防止される。
【0076】
(第2の実施の形態)
図8は本発明の第2実施形態の表示装置用素子基板を示す断面図、図9は図8の表示装置用素子基板を使用して構成される液晶表示装置を示す断面図、図10は同じく変形例の液晶表示装置を示す断面図である。
【0077】
第2実施形態は、本発明の表示装置用素子基板を液晶表示装置の素子基板に適用する形態である。第2実施形態では、第1実施形態と同一要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0078】
図8に示される第2実施形態の第1の表示装置用素子基板1bは、第1実施形態で説明した図4(c)の構造体と同様に基本構成されている。すなわち、図8に示すように、プラスチックフィルム10上に接着層35が設けられており、接着層35の中にはカラーフィルタ層33が埋設されている。カラーフィルタ33上には保護層31及び第2バリア絶縁層38が形成され、第2バリア絶縁層38上にITOよりなるストライプ状の透明電極29が形成されている。
【0079】
複数の透明電極29のパターン間上にはバリア絶縁層パターン28及び突起状樹脂層26がパターニングされており、透明電極29上に開口部25が設けられた構成となっている。第2実施形態では、さらに透明電極29及び突起状樹脂層26上には液晶材料を配向させるための配向膜42が形成されている。
【0080】
図8の例では、透明電極29として、単純マトリクスタイプに適用されるストライプ状のものが例示されているが、TFT素子やMIM素子に接続されるアクティブマトリクスタイプに使用されるものを用いてもよい。
【0081】
第2実施形態では、突起状樹脂層26が液晶表示装置の二つの素子基板の間隔を確保するためのスペーサとして機能する。突起状樹脂層26の高さは、液晶表示装置の二つの素子基板の間隔に応じて適宜調整されるが、例えば10〜100μmに設定される。
【0082】
さらに、図9に示すように、第1の表示装置用素子基板1bの対向基板である第2の表示装置用素子基板1cが用意される。第2の表示装置用素子基板1cでは、プラスチックフィルム10x上に、接着層35x、第2バリア絶縁層38x、透明電極29x及び第1バリア絶縁層パターン28xが順に形成されている。第1バリア絶縁層パターン28xは、第1の表示装置用素子基板1bと同様に、複数の透明電極29xのパターン間上などに形成されている。さらに、透明電極29x及び第1バリア絶縁層パターン28x上には液晶材料を配向させるための配向膜42xが形成されている。
【0083】
第1の表示装置用素子基板1bと第2の表示装置用素子基板1cとは、それぞれの各透明電極29,29xが直交するように対向して配置され、周縁部に設けられたシール材44によって接着されている。そして、第1の表示装置用素子基板1bと第2の表示装置用素子基板1cとの間には液晶層46が封入されている。
【0084】
このようにして、液晶表示装置2が構成されており、第1の表示装置用素子基板1bの突起状樹脂層26によって、第1及び第2の表示装置用素子基板1b,1cの間隔が確保されている。
【0085】
本実施形態に係る液晶表示装置2では、突起状樹脂層26によって2つの素子基板1b,1cの間隔が確保されるようにしたので、従来技術のようなスペーサを散布して間隔を確保する方法よりも、外圧に対して強い液晶表示装置とすることができる。
【0086】
また、第1及び第2の表示装置用素子基板1b,1cでは、第1実施形態と同様に、複数の透明電極29のパターン間上に第1バリア絶縁層パターン28が形成され、それらの下に第2バリア絶縁層38が形成されて、2重バリア層構造となっている。これにより、外気やプラスチックフィルム10,10xからの水分やガスは、第2バリア絶縁層38,38x、透明電極29,29x及びバリア絶縁層パターン28,28xによって十分にブロックされるようになる。
【0087】
従って、液晶層46に水分やガスが透過することが防止され、液晶表示装置の表示特性の信頼性を向上させることができる。第1バリア絶縁層パターン28,28x及び第2バリア絶縁層38,38xは、第1実施形態と同様に、表示領域だけでなくその外側周辺部にも形成されるようにしてもよい。
【0088】
なお、第1の表示装置用素子基板1bにカラーフィルタ層33を設ける代わりに、第2の表示装置用素子基板1cの例えば第2バリア絶縁層38xと接着層35xとの間にカラーフィルタ層を設けた形態としてもよい。
【0089】
図10には、第2実施形態の変形例の液晶表示装置2aが示されている。図10に示すように、変形例の液晶表示装置2aは、図9の液晶表示装置2において、突起状樹脂層26が省略された形態であり、第1及び第2の表示装置用素子基板1b,1cはスペーサ(不図示)によってそれらの間隔が確保されている。図10において他の要素は図9と同一であるので、その説明を省略する。
【0090】
変形例の液晶表示装置2aにおいても、同様に、液晶層46に水分やガスが透過することが防止され、表示特性の劣化を防止することができる。
【0091】
以上、第1及び第2実施形態により、表示装置用素子基板を有機ELディスプレイ及び液晶表示装置に適用する形態を例示したが、その他の各種表示装置に適用することができる。また、表示信号が供給される電極としては、単純マトリクスタイプに対応するストライプ状の画素電極、アクティブマトリクスタイプに対応するTFT素子などの各種の3端子型素子やMIM素子などの各種の2端子型素子に関係をもたせた画素電極を使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】図1(a)〜(d)は本発明の第1実施形態の表示装置用素子基板の製造方法を示す断面図(その1)である。
【図2】図2(a)〜(d)は本発明の第1実施形態の表示装置用素子基板の製造方法を示す断面図(その2)である。
【図3】図3(a)〜(c)は本発明の第1実施形態の表示装置用素子基板の製造方法を示す断面図(その3)である。
【図4】図4(a)〜(d)は本発明の第1実施形態の表示装置用素子基板の製造方法を示す断面図(その4)である
【図5】図5は図4(c)を含む全体の様子を平面方向からみた平面図である。
【図6】図6は本発明の第1実施形態の表示装置用素子基板(有機ELディスプレイ)を示す断面図である。
【図7】図7は本発明の第1実施形態の変形例の表示装置用素子基板(有機ELディスプレイ)を示す断面図である。
【図8】図8は本発明の第2実施形態の第1の表示装置用素子基板を示す断面図である。
【図9】図9は図8の表示装置用素子基板を使用して構成される液晶表示装置を示す断面図である。
【図10】図10は本発明の第2実施形態の変形例の液晶表示装置を示す断面図である。
【符号の説明】
【0093】
1,1a…表示装置用素子基板(有機ELディスプレイ)、1b,1c…表示装置用素子基板(液晶表示装置用)、2,2a…液晶表示装置、10…プラスチックフィルム、20…ガラス基板、22…剥離層、24a…金属層、24…マスク金属層、26a…樹脂層、26…突起状樹脂層、28a…第1バリア絶縁層、28,28x…第1バリア絶縁層パターン、29,29x…透明電極、30…陽極、31…保護層、32…有機EL層、33…カラーフィルタ層、33a…赤色カラーフィルタ層、33b…緑色カラーフィルタ層、33c…青色カラーフィルタ層、33d…遮光層、34…陰極、35,35x…接着層、36…有機EL素子、38,38x…第2バリア絶縁層、39…保護フィルム、40…ロール、41…スペース、42,42x……配向膜、44…シール層、46…液晶層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチックフィルムと、
前記プラスチックフィルムの上に形成された接着層と、
前記接着層の上方に形成されたバリア絶縁層と、
前記バリア絶縁層の上に形成され、表示信号が供給される電極と、
複数の前記電極のパターン間上に形成されたバリア絶縁層パターンとを有することを特徴とする表示装置用素子基板。
【請求項2】
前記バリア絶縁層パターンの上に突起状樹脂層がパターニングされて形成されていることを特徴とする請求項1に記載の表示装置用素子基板。
【請求項3】
前記接着層と前記バリア絶縁層との間に形成された保護層をさらに有することを特徴とする請求項1又は2に記載の表示装置用素子基板。
【請求項4】
前記接着層と前記保護層との間に形成されたカラーフィルタ層をさらに有し、
前記カラーフィルタ層は前記接着層に埋設されていることを特徴とする請求項3に記載の表示装置用素子基板。
【請求項5】
前記電極の上に形成された有機EL層と、
前記有機EL層に接続された上側電極とをさらに有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の表示装置用素子基板。
【請求項6】
前記電極の上に形成された有機EL層と、
前記有機EL層に接続された上側電極と、
前記上側電極上に形成された保護材とをさらに有し、
前記有機EL層の上面は、前記突起状樹脂層の上面よりも低く設定されていることを特徴とする請求項2に記載の表示装置用素子基板。
【請求項7】
前記バリア絶縁層パターンは、前記電極のパターン間上の他に、前記複数の電極が配置された表示領域から外側周辺部に形成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の表示装置用素子基板。
【請求項8】
前記表示装置用素子基板は、液晶表示装置の少なくとも一方の素子基板に適用されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の表示装置用素子基板。
【請求項9】
前記表示装置用素子基板は、液晶表示装置の一方の素子基板に適用され、前記突起状樹脂層は液晶表示装置の2つの基板間のスペーサとして機能することを特徴とする請求項2に記載の表示装置用素子基板。
【請求項10】
仮基板の上に剥離層を形成する工程と、
前記剥離層の上方に第1バリア絶縁層を形成する工程と、
前記第1バリア絶縁層の上に、表示信号が供給される電極を形成する工程と、
前記電極を被覆する第2バリア絶縁層を形成する工程と、
前記第2バリア絶縁層の上方に、接着層を介して、プラスチックフィルムを接着する工程と、
前記仮基板を前記剥離層との界面から剥離することにより、前記プラスチックフィルムの上に、前記接着層を介して、前記第2バリア絶縁層、前記電極、前記第1バリア絶縁層及び前記剥離層を転写・形成する工程と、
前記剥離層を除去する工程と、
前記第1バリア絶縁層をパターニングすることにより、前記電極のパターン間上にバリア絶縁層パターンを形成する工程とを有することを特徴とする表示装置用素子基板の製造方法。
【請求項11】
前記剥離層を形成する工程の後に、
前記剥離層上にマスク金属層をパターニングする工程をさらに有し、
前記プラスチックフィルム上に、前記第2バリア絶縁層、前記電極、前記第1バリア絶縁層、前記マスク金属層及び前記剥離層が転写・形成され、
前記第1バリア絶縁層パターンを形成する工程において、前記マスク金属層をマスクにして前記第1バリア絶縁層をパターニングし、
前記バリア絶縁層パターンを形成する工程の後に、前記マスク金属層を除去する工程をさらに有することを特徴とする請求項10に記載の表示装置用素子基板の製造方法。
【請求項12】
前記剥離層を形成する工程の後に、
前記剥離層上にマスク金属層をパターニングする工程と、
前記マスク金属層を被覆する樹脂層を形成する工程とをさらに有し、
前記プラスチックフィルム上に、前記第2バリア絶縁層、前記電極、前記第1バリア絶縁層、前記樹脂層、前記マスク金属層及び前記剥離層が転写・形成され、
前記バリア絶縁層パターンを形成する工程は、
前記マスク金属層をマスクにして、前記樹脂層及び前記第1バリア絶縁層を順次パターニングすることにより、前記バリア絶縁層パターン上に突起状樹脂層を形成することを含み、
前記バリア絶縁層パターンを形成する工程の後に、前記マスク金属層を除去する工程をさらに有することを特徴とする請求項10に記載の表示装置用素子基板の製造方法。
【請求項13】
前記第2バリア絶縁層を形成する工程の後であって、前記プラスチックフィルムを接着する工程の前に、
前記第2バリア絶縁層の上に保護層を形成する工程と、
前記保護層上にカラーフィルタ層を形成する工程とをさらに有することを特徴とする請求項10乃至12のいずれか一項に記載の表示装置用素子基板の製造方法。
【請求項14】
前記第1バリア絶縁層パターンを形成する工程の後に、
前記電極上に有機EL層を形成する工程と、
前記有機EL層に接続される上側電極を形成する工程と、
前記上側電極を被覆する保護材を形成する工程とをさらに有することを特徴とする請求項10乃至13のいずれか一項に記載の表示装置用素子基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−317762(P2006−317762A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−141020(P2005−141020)
【出願日】平成17年5月13日(2005.5.13)
【出願人】(000162113)共同印刷株式会社 (488)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【Fターム(参考)】