説明

表示装置

【課題】簡単な回路構成で、レベル変換機能を持つシフトレジスタ回路を提供する。
【解決手段】シフトレジスタ回路の基本回路が、第1電極に第2の電源電圧が印加される第2導電型の第1のトランジスタと、第1電極が前記第1のトランジスタの第2電極に接続され、第2電極が出力ノードに接続される第2導電型の第2のトランジスタと、第1電極に第1の電源電圧が印加され、第2電極が直接あるいは他のトランジスタを介して出力ノードに接続される第2導電型とは導電型が異なる第1導電型の第3のトランジスタと、第1電極に第1の電源電圧が印加され、第2電極が第3のトランジスタの第2電極に接続される第1導電型の第4のトランジスタとを有し、第1のトランジスタの制御電極にクロック信号が印加され、第2のトランジスタの制御電極にセット信号が印加され、第3のトランジスタの制御電極にクリア信号が印加され、第4のトランジスタの制御電極にリセット信号が印加され、出力ノードの電圧が走査回路出力となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に係り、特に、レベル変換機能を持つシフトレジスタ回路を有する駆動回路を備える表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、薄膜トランジスタ(TFT;Thin Film Transistor;)をアクティブ素子として使用するアクティブマトリクス液晶表示装置では、走査線に選択走査電圧を順次印加するために走査回路が使用される。
従来、このような走査回路に使用されるシフトレジスタ回路として、例えば、下記特許文献1に記載されているように、差動回路方式のレベル変換回路を持つシフトレジスタ回路が知られている。
【0003】
なお、本願発明に関連する先行技術文献としては以下のものがある。
【特許文献1】特開2002−287711号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述の特許文献1に記載されている差動回路方式のレベル変換回路は、トランジスタ素子数が多いため、占有面積が広くなり、狭額縁化や高精細化が必要とされる液晶表示モジュールには適用できないという問題点があった。
本発明は、前記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、簡単な回路構成で、レベル変換機能を持つシフトレジスタ回路を有する駆動回路を備えた表示装置を提供することにある。
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面によって明らかにする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記の通りである。
(1)複数の画素と、前記複数の画素を駆動する駆動回路とを備えた表示装置であって、前記駆動回路は、シフトレジスタ回路を有し、前記シフトレジスタ回路は、多段に縦続接続されるn(n≧2)個の基本回路を有し、前記基本回路は、第1電極に第2の電源電圧が印加される第2導電型の第1のトランジスタと、第1電極が前記第1のトランジスタの第2電極に接続され、第2電極が出力ノードに接続される第2導電型の第2のトランジスタと、第1電極に第1の電源電圧が印加され、第2電極が直接あるいは他のトランジスタを介して前記出力ノードに接続される第2導電型とは導電型が異なる第1導電型の第3のトランジスタと、第1電極に前記第1の電源電圧が印加され、第2電極が前記第3のトランジスタの前記第2電極に接続される第1導電型の第4のトランジスタとを有し、前記第1のトランジスタの制御電極にクロック信号が印加され、前記第2のトランジスタの制御電極にセット信号が印加され、前記第3のトランジスタの制御電極にクリア信号が印加され、前記第4のトランジスタの制御電極にリセット信号が印加され、前記出力ノードの電圧が走査回路出力となることを特徴とする。
【0006】
(1)複数の画素と、前記複数の画素を駆動する駆動回路とを備えた表示装置であって、前記駆動回路は、シフトレジスタ回路を有し、前記シフトレジスタ回路は、多段に縦続接続されるn(n≧2)個の基本回路を有し、前記基本回路は、制御電極に第3の電源電圧が印加される第2導電型の第1のトランジスタと、第1電極が前記第1のトランジスタの第2電極に接続され、第2電極が出力ノードに接続される第2導電型の第2のトランジスタと、第1電極に第1の電源電圧が印加され、第2電極が直接あるいは他のトランジスタを介して前記出力ノードに接続される第2導電型とは導電型が異なる第1導電型の第3のトランジスタと、第1電極に前記第1の電源電圧が印加され、第2電極が前記第3のトランジスタの前記第2電極に接続される第1導電型の第4のトランジスタとを有し、前記第1のトランジスタの第1電極にクロック信号が印加され、前記第2のトランジスタの制御電極にセット信号が印加され、前記第3のトランジスタの制御電極にクリア信号が印加され、前記第4のトランジスタの制御電極にリセット信号が印加され、前記出力ノードの電圧が走査回路出力となることを特徴とする。
【0007】
(3)(1)または(2)において、前記基本回路は、第1電極に第1の電源電圧が印加され、第2電極が前記第3のトランジスタの前記第2電極に接続される第1導電型の第5のトランジスタを有し、前記第5のトランジスタの制御電極には、前記出力ノードの電圧を反転した電圧が印加される。
(4)(1)ないし(3)の何れかにおいて、第1電極が、前記第3のトランジスタの前記第2電極に接続され、第2電極が前記出力ノードに接続される第1導電型の第6のトランジスタを有し、前記第6のトランジスタの制御電極に前記セット信号が印加され、前記第3のトランジスタの前記第2電極は、前記第6のトランジスタを介して前記出力ノードに接続される。
(5)(1)ないし(4)の何れかにおいて、前記基本回路は、前記出力ノードに接続されるバッファ回路を有し、前記バッファ回路の出力が前記走査回路出力となる。
(6)(5)において、前記バッファ回路は、縦続接続されるインバータである。
【0008】
(7)(1)ないし(6)の何れかにおいて、前記クロック信号の振幅をVck、前記出力ノードの電圧の振幅をVhとするとき、Vck<Vhを満足する。
(8)(1)ないし(7)の何れかにおいて、前記クロック信号の振幅をVck、前記第1のトランジスタのしきい値電圧の絶対値を|Vth|とするとき、Vck≧|Vth|を満足する。
(9)(1)ないし(8)の何れかにおいて、前記n個の基本回路のうち奇数段目の基本回路の前記クロック信号は、第1のクロック信号であり、前記n個の基本回路のうち偶数段目の基本回路の前記クロック信号は、第2のクロック信号であり、前記第1のクロック信号と前記第2のクロック信号とは、同一周期で、位相が異なっている。
【0009】
(10)(9)において、前記n個の基本回路のうちm(3≦m≦n−2)段目の基本回路の走査回路出力を、(m−1)段目の基本回路のセット信号として入力する第1スイッチ素子と、前記m段目の基本回路の走査回路出力を、(m+1)段目の基本回路のセット信号として入力する第2スイッチ素子と、前記m段目の基本回路の走査回路出力の反転出力を、(m−2)段目の基本回路のリセット信号として入力する第3スイッチ素子と、前記m段目の基本回路の走査回路出力の反転出力を、(m+2)段目の基本回路のリセット信号として入力する第4スイッチ素子とを有する。
(11)(10)において、前記シフトレジスタ回路の走査方向が第1方向の場合に、前記第1スイッチ素子と前記第3のスイッチ素子がオン、前記第2スイッチ素子と前記第4のスイッチ素子がオフとされ、前記シフトレジスタ回路の走査方向が第2方向の場合に、前記第1スイッチ素子と前記第3のスイッチ素子がオフ、前記第2スイッチ素子と前記第4のスイッチ素子がオンとされる。
【発明の効果】
【0010】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、下記の通りである。
本発明によれば、簡単な回路構成で、レベル変換機能を持つシフトレジスタ回路を有する駆動回路を備えた表示装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。
なお、実施例を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
図1は、本発明の実施例の液晶表示モジュールの概略構成を示すブロック図である。
同図において、10は液晶表示パネル、20は制御回路である。液晶表示パネル10は、表示部100と、ゲート回路200と、ゲート回路200のレベル変換回路210と、ドレイン回路300と、ドレイン回路300のレベル変換回路310とで構成される。
制御回路20は、ゲート回路200のスタート信号(VST)、クロック信号(VCK)、ドレイン回路のスタート信号(HST)、クロック信号(HCK)を出力する。ここで、前述の信号(VST,VCK,HST,HCK)は、低電圧信号であり、例えば、振幅が3Vの信号である。
【0012】
図2は、本発明の実施例のシフトレジスタ回路の基本回路を説明するための回路図であり、図1に示すゲート回路200またはドレイン回路300に適用されるシフトレジスタ回路の基本回路を説明するための回路図である。
図2に示すように、本実施例のシフトレジスタ回路の基本回路は、p型MOSトランジスタ(321,322)と、n型MOSトランジスタ(323,324)、インバータ(341,342)とで構成される。
p型MOSトランジスタ321は、ソースが第1の電源電圧(VDD)に接続され、ドレインがノード(#1;出力ノード)に接続されるとともに、ゲートにはクリア信号(CLB)が印加される。
p型MOSトランジスタ322は、ソースが第1の電源電圧(VDD)に接続され、ドレインがノード(#1)に接続されるとともに、ゲートにはリセット信号(RBn)が印加される。
n型MOSトランジスタ323は、ドレインがノード(#1)に接続されるとともに、ゲートにはセット信号(Sn)が印加される。
n型MOSトランジスタ324は、ドレインがn型MOSトランジスタ323のソースに接続され、ソースが第2の電源電圧(VSS)に接続され、ゲートにはクロック信号(CK)が印加される。
【0013】
ノード(#1)には、縦続接続されたインバータ341とインバータ342とが接続され、インバータ341の出力が出力(Qn)となり、インバータ342の出力が、出力(Qn)の反転出力(QBn)となる。なお、インバータ341とインバータ342とはバッファ回路を構成する。
前述のp型MOSトランジスタ(321,322)と、n型MOSトランジスタ(323,324)、および、インバータ(341,342)を構成するp型MOSトランジスタとn型MOSトランジスタは、半導体層としてポリシリコンを用いた薄膜トランジスタで構成される。
また、図1中のゲート回路200、ドレイン回路300は、液晶表示パネル内の回路であり、これらの回路は、前述のp型MOSトランジスタ(321,322)と、n型MOSトランジスタ(323,324)と同様、半導体層としてポリシリコンを用いた薄膜トランジスタで構成される。なお、これらの薄膜トランジスタは、画素の薄膜トランジスタと同時に形成される。
【0014】
図3は、図2に示す基本回路の動作を説明するためのタイミング図である。
クロック信号(CK)は低電圧信号であり、例えば、振幅が3Vの信号である。クリア信号(CLB)、セット信号(Sn)、リセット信号(RBn)、出力(Qn)、反転出力(QBn)は高電圧信号であり、例えば、振幅が10Vの信号である。
クリア信号(CLB)が、Lowレベル(以下、Lレベルという)になると、p型MOSトランジスタ321がオンし、ノード(#1)の電位がHighレベル(以下、Hレベルという)となり、出力(Qn)がLレベル、反転出力(QBn)がHレベルになる。ここで、クリア信号(CLB)がHレベルになっても、ノード(#1)はHレベルの電位を維持する。
次に、クリア信号(CLB)がHレベル、セット信号(Sn)がHレベルになり、さらに、クロック信号(CK)がHレベルになると、n型MOSトランジスタ(323,324)が共にオンし、ノード(#1)の電位はLレベルになる。この結果、出力(Qn)がHレベル、反転出力QBnがLレベルになる。ここで、クロック信号(CK)がLレベルになっても、ノード(#1)はLレベル電位を維持する。
次に、セット信号(Sn)がLレベル、リセット信号(RBn)がLレベルになると、p型MOSトランジスタ322がオンし、出力(Qn)がLレベル、反転出力(QBn)がHレベルになる。
【0015】
本実施例の基本回路では、n型MOSトランジスタ324はソース接地であるから、n型MOSトランジスタ324は、ゲートに、しきい値電圧(Vth)より高い電圧が印加されるとオンする。
つまり、クロック信号(CK)のHレベルは、n型MOSトランジスタ324をオンすればよく、p型MOSトランジスタには接続されていないため、第1の電源電圧(VDD)とは別のHレベルの電位を設定することが可能である。
例えば、n型MOSトランジスタ324のしきい値電圧は、例えば、0から2Vに設定されるので、クロック信号(CK)の振幅を3Vにすることが可能である。
即ち、クロック信号(CK)の振幅をVck(>0)、第1の電源電圧(VDD)と第2の電源電圧(VSS)との電位差をVh(>0)とすると、Vck≧|Vth|、Vh≧Vckを満たせば、本実施例の基本回路は動作可能である。
これは、低振幅のクロック信号(CK)のHレベル電位を、直接さらに高いVDDの電位に昇圧可能(Vck<Vh)なことを示しており、つまり本実施例の基本回路は、レベルシフト機能を備えていることになる。
【0016】
従来の回路構成では、クロック信号(CK)のHレベルは、第1の電源電圧(VDD)と、クロック信号(CK)のLレベルは、第2の電源電圧(VSS)と、基本的にそれぞれ同電位とする必要がある。そのため、電源電圧を上げるとクロック信号(CK)の振幅も増幅させることになる。
容量の充放電における消費電力は、電圧の二乗に比例するため、クロック信号(CK)の振幅の増幅、即ち、電源電圧の上昇は消費電力の増大につながる。
シフトレジスタ回路において、主に電力を消費するのは、クロックバス容量の充放電であるが、図2に示す本実施例の基本回路では、クロック信号(CK)の振幅を増幅させることなく、シフトレジスタ回路の電源電圧を上げることができるので、消費電力の上昇を抑制することが可能である。
【0017】
図4は、図2の基本回路(S/R)を用いて構成したシフトレジスタ回路の回路構成を示す図である。図4において、基本回路(S/R)は、n〜(n+3)の4段を例に示している。
ここで、奇数番目の基本回路(S/R)のCK端子と、偶数番目の基本回路(S/R)のCK端子に、クロック信号(CK1)とクロック信号(CK2)の、互いに逆相のクロック信号を入力することで、クロック信号を順次転送し、シフトレジスタ回路としての機能を得ることができる。
各基本回路(S/R)のCLB端子には、共通のクリア信号(CLB)を印加し、また、各基本回路(S/R)のS端子には、セット信号として前段の出力(Qn−1)を印加し、さらに、各基本回路(S/R)のRB端子には、リセット信号として次々段の反転出力(QBn+2)を印加する。
【0018】
図5は、図4のシフトレジスタ回路の動作を説明するためのタイミング図である。
n段目の基本回路(S/R)の出力(Qn)は、(n−1)段目の基本回路(S/R)の出力(Qn−1)とクロック信号(CK1)が共にHレベルとなるタイミングでHレベルとなる。
(n+1)段目の基本回路(S/R)の出力(Qn+1)は、n段目の基本回路(S/R)の出力(Qn)とクロック信号(CK2)が共にHレベルとなるタイミングで、また、(n+2)段目の基本回路(S/R)の出力(Qn+2)は、(n+1)段目の基本回路(S/R)の出力(Qn+1)とクロック信号(CK1)が共にHレベルとなるタイミングで、それぞれHレベルとなる。
(n+2)段目の基本回路(S/R)の出力(Qn+2)がHレベルになると、反転出力(QBn+2)がLレベルとなるので、n段目の基本回路(S/R)の出力(Qn)は、このタイミングでLレベルになる。以上の結果、図5に示すように異なる位相の出力を得ることができる。
【0019】
図6は、図2に示す基本回路(S/R)を用いて構成した双方向シフトレジスタ回路の回路構成を示す図である。
図6において、F、Rは走査方向を切り替えるスイッチ素子であり、図6に示す双方向シフトレジスタ回路は、n段目の基本回路(S/R)の端子(Q)が、スイッチ素子(F)を介して、(n+1)段目の基本回路(S/R)の端子(S)に接続されるとともに、スイッチ素子(R)を介して、(n−1)段目の基本回路(S/R)の端子(S)に接続される点、並びに、n段目の基本回路(S/R)の端子(QB)が、スイッチ素子(F)を介して、(n−2)段目の基本回路(S/R)の端子(RB)に接続されるとともに、スイッチ素子(R)を介して、(n+2)段目の基本回路(S/R)の端子(RB)に接続される点で、図4に示すシフトレジスタ回路と異なっている。
図6に示す双方向シフトレジスタ回路において、左から右へ走査する場合は、スイッチ素子(F)をオン、スイッチ素子(R)をオフとし、一方、右から左に走査する場合は、スイッチ素子(R)をオン、スイッチ素子(F)をオフとする。
このスイッチ素子(F,R)で、スイッチ素子(F)がオンのとき、n段目の基本回路(S/R)のセット信号(Sn)として前段の出力(Qn−1)が、また、リセット信号(RBn)として次々段の反転出力(QBn+2)が入力されるように切り替え、スイッチ素子(R)がオンのとき、n段目の基本回路(S/R)のセット信号(Sn)として前段の出力(Qn+1)が、また、リセット信号(RBn)として次々段の反転出力(QBn−2)が入力されるように切り替える。
【0020】
図7は、本発明の実施例のシフトレジスタ回路の基本回路の第1の変形例を説明するための回路図である。
図7に示す基本回路が、図2の基本回路と異なるのは、n型MOSトランジスタ324の接続構成である。
図7に示す基本回路では、n型MOSトランジスタ324のゲートに、第3の電源電圧(VDD2)を印加し、ソースにクロック信号(CK)を印加する。ここで、第3の電源電圧(VDD2)は、例えば、3Vである。
n型MOSトランジスタ324は、クロック信号(CK)がLレベルのときオンし、Hレベルのときオフする。
図8は、図7に示す基本回路の動作を説明するためのタイミング図である。
出力(Qn)は、セット信号(Sn)がHレベルで、クロック信号(CK)がLレベルのときにHレベルに変化する。この点が、図2に示す基本回路と異なっている。
図7に示す基本回路では、クロック信号(CK)を、n型MOSトランジスタ324のソースに印加するため、クロック信号が供給される配線(ライン)の負荷容量を軽減でき、より低消費電力のシフトレジスタ回路を実現できる。
さらに、n型MOSトランジスタ324のしきい値電圧に対応して、第3の電源電圧(VDD2)を選ぶことで、より高速動作可能なシフトレジスタ回路を実現することが可能である。例えば、しきい値電圧が1V、クロック信号の振幅が3Vの場合、第3の電源電圧(VDD2)を4Vに設定する。この設定で、n型MOSトランジスタ324のゲート・ソース間電圧を4Vと高くできるので、高速動作のシフトレジスタ回路を実現できる。
【0021】
図9は、本発明の実施例のシフトレジスタ回路の基本回路の第2の変形例を説明するための回路図である。図9に示す基本回路は、p型MOSトランジスタ326を追加した点で、図2に示す基本回路と異なっている。
図9に示すように、p型MOSトランジスタ326は、ソースが第1の電源電圧(VDD)接続され、ドレインがノード(#1)に接続されるとともに、ゲートには出力(Qn)が印加される。
このp型MOSトランジスタ326は、出力(Qn)がLレベルのときにオンし、p型MOSトランジスタ(321,322、326)、あるいは、n型MOSトランジスタ323の漏れ電流により、ノード(#1)の電位が変動するのを防止する。
【0022】
図10は、本発明の実施例のシフトレジスタ回路の基本回路の第3の変形例を説明するための回路図である。図10に示す基本回路が、図9に示す基本回路と異なるのは、p型MOSトランジスタ327を追加した点である。
図10に示すように、p型MOSトランジスタ327は、ソースがp型MOSトランジスタ(321,322,326)のドレインに接続され、ドレインがノード(#1)に接続されるとともに、ゲートにセット信号(Sn)が印加される。なお、p型MOSトランジスタ326は必須ではない。
p型MOSトランジスタ327は、セット信号(Sn)がHレベルのときにオフするので、ノード(#1)の電位を、より速くLレベルにすることができる。
このため、図10に示す基本回路では、より高い周波数で動作するシフトレジスタを実現できる。
ここで、図7〜図10の変形例は、それぞれ変形部分のみを組み合わせて適用可能であり、例えば、第1の変形例と第3の変形例とを組み合わせても良い。
【0023】
図11は、図1に示すレベル変換回路(210,310)の一例の回路構成を示す回路図である。
図11に示すレベル変換回路は、p型MOSトランジスタ(411〜414)、n型MOSトランジスタ(415,416)とインバータ441で構成される。
回路方式は、いわゆるクロスタイプのレベル変換回路であり、低電圧信号の信号(IN)と、反転信号(INB)を入力し、高電圧信号の信号(OUT)を出力する。これにより、スタート信号(VST,HST)をレベル変換して1段目の基本回路に入力する。
以上、説明したように、本実施例によれば、低電圧のクロック信号(CK)により動作するシフトレジスタ回路を、少ないトランジスタ素子数で実現することができるので、回路占有面積が少なく、狭額縁、高精細の液晶表示パネルを実現することができる。
また、クロック信号の低電圧化に伴い、クロック信号の入力負荷を軽減できるので、消費電力を低減することが可能である。
なお、全てのn型MOSトランジスタを、P型MOSトランジスタに、P型MOSトランジスタをn型MOSトランジスタにし、第1の電源電圧(VDD)と、第2の電源電圧(VSS)を入れ替え、入力信号の論理を入れ替えることで、反転論理で動作するCMOSシフトレジスタ回路となる。
【0024】
なお、前述の説明では、トランジスタとして、MOS(Metal Oxide Semiconductor)型のTFTを使用した場合について説明したが、MIS(Metal Insulator Semiconductor)FET等も使用可能である。
また、前述の説明では、ゲート回路200またはドレイン回路300を、10は液晶表示パネルに内蔵(液晶表示パネルの基板上に一体に形成)した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ゲート回路200またはドレイン回路300自体、あるいは一部の機能を半導体チップを用いて構成しても良い。
さらに、前述の説明では、本発明を液晶表示モジュールに適用した実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、有機EL素子などを使用するEL表示装置にも適用可能であることはいうまでもない。
以上、本発明者によってなされた発明を、前記実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施例の液晶表示モジュールの概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施例のシフトレジスタ回路の基本回路を説明するための回路図である。
【図3】図2に示す基本回路の動作を説明するためのタイミング図である。
【図4】図2の基本回路を用いて構成したシフトレジスタ回路の回路構成を示す図である。
【図5】図4のシフトレジスタ回路の動作を説明するためのタイミング図である。
【図6】図2に示す基本回路を用いて構成した双方向シフトレジスタ回路の回路構成を示す図である。
【図7】本発明の実施例のシフトレジスタ回路の基本回路の第1の変形例を説明するための回路図である。
【図8】図7に示す基本回路の動作を説明するためのタイミング図である。
【図9】本発明の実施例のシフトレジスタ回路の基本回路の第2の変形例を説明するための回路図である。
【図10】本発明の実施例のシフトレジスタ回路の基本回路の第3の変形例を説明するための回路図である。
【図11】図1に示すレベル変換回路の一例の回路構成を示す回路図である。
【符号の説明】
【0026】
10 液晶表示パネル
20 制御回路
100 表示部
200 ゲート回路
210,310 レベル変換回路
300 ドレイン回路
321,322,326,327,411〜414 p型MOSトランジスタ
323,324,415,416 n型MOSトランジスタ
341,342,441 インバータ
S/R 基本回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素と、
前記複数の画素を駆動する駆動回路とを備えた表示装置であって、
前記駆動回路は、シフトレジスタ回路を有し、
前記シフトレジスタ回路は、多段に縦続接続されるn(n≧2)個の基本回路を有し、
前記基本回路は、第1電極に第2の電源電圧が印加される第2導電型の第1のトランジスタと、
第1電極が前記第1のトランジスタの第2電極に接続され、第2電極が出力ノードに接続される第2導電型の第2のトランジスタと、
第1電極に第1の電源電圧が印加され、第2電極が直接あるいは他のトランジスタを介して前記出力ノードに接続される第2導電型とは導電型が異なる第1導電型の第3のトランジスタと、
第1電極に前記第1の電源電圧が印加され、第2電極が前記第3のトランジスタの前記第2電極に接続される第1導電型の第4のトランジスタとを有し、
前記第1のトランジスタの制御電極にクロック信号が印加され、
前記第2のトランジスタの制御電極にセット信号が印加され、
前記第3のトランジスタの制御電極にクリア信号が印加され、
前記第4のトランジスタの制御電極にリセット信号が印加され、
前記出力ノードの電圧が走査回路出力となることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
複数の画素と、
前記複数の画素を駆動する駆動回路とを備えた表示装置であって、
前記駆動回路は、シフトレジスタ回路を有し、
前記シフトレジスタ回路は、多段に縦続接続されるn(n≧2)個の基本回路を有し、
前記基本回路は、制御電極に第3の電源電圧が印加される第2導電型の第1のトランジスタと、
第1電極が前記第1のトランジスタの第2電極に接続され、第2電極が出力ノードに接続される第2導電型の第2のトランジスタと、
第1電極に第1の電源電圧が印加され、第2電極が直接あるいは他のトランジスタを介して前記出力ノードに接続される第2導電型とは導電型が異なる第1導電型の第3のトランジスタと、
第1電極に前記第1の電源電圧が印加され、第2電極が前記第3のトランジスタの前記第2電極に接続される第1導電型の第4のトランジスタとを有し、
前記第1のトランジスタの第1電極にクロック信号が印加され、
前記第2のトランジスタの制御電極にセット信号が印加され、
前記第3のトランジスタの制御電極にクリア信号が印加され、
前記第4のトランジスタの制御電極にリセット信号が印加され、
前記出力ノードの電圧が走査回路出力となることを特徴とする表示装置。
【請求項3】
前記基本回路は、第1電極に第1の電源電圧が印加され、第2電極が前記第3のトランジスタの前記第2電極に接続される第1導電型の第5のトランジスタを有し、
前記第5のトランジスタの制御電極には、前記出力ノードの電圧を反転した電圧が印加されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
第1電極が、前記第3のトランジスタの前記第2電極に接続され、第2電極が前記出力ノードに接続される第1導電型の第6のトランジスタを有し、
前記第6のトランジスタの制御電極に前記セット信号が印加され、
前記第3のトランジスタの前記第2電極は、前記第6のトランジスタを介して前記出力ノードに接続されることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記基本回路は、前記出力ノードに接続されるバッファ回路を有し、
前記バッファ回路の出力が前記走査回路出力となることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記バッファ回路は、縦続接続されるインバータであることを特徴とする請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記クロック信号の振幅をVck、前記出力ノードの電圧の振幅をVhとするとき、Vck<Vhを満足することを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記クロック信号の振幅をVck、前記第1のトランジスタのしきい値電圧の絶対値を|Vth|とするとき、Vck≧|Vth|を満足することを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記n個の基本回路のうち奇数段目の基本回路の前記クロック信号は、第1のクロック信号であり、
前記n個の基本回路のうち偶数段目の基本回路の前記クロック信号は、第2のクロック信号であり、
前記第1のクロック信号と前記第2のクロック信号とは、同一周期で、位相が異なっていることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項10】
前記n個の基本回路のうちm(3≦m≦n−2)段目の基本回路の走査回路出力を、(m−1)段目の基本回路のセット信号として入力する第1スイッチ素子と、
前記m段目の基本回路の走査回路出力を、(m+1)段目の基本回路のセット信号として入力する第2スイッチ素子と、
前記m段目の基本回路の走査回路出力の反転出力を、(m−2)段目の基本回路のリセット信号として入力する第3スイッチ素子と、
前記m段目の基本回路の走査回路出力の反転出力を、(m+2)段目の基本回路のリセット信号として入力する第4スイッチ素子とを有することを特徴とする請求項9に記載の表示装置。
【請求項11】
前記シフトレジスタ回路の走査方向が第1方向の場合に、前記第1スイッチ素子と前記第3のスイッチ素子がオン、前記第2スイッチ素子と前記第4のスイッチ素子がオフとされ、
前記シフトレジスタ回路の走査方向が第2方向の場合に、前記第1スイッチ素子と前記第3のスイッチ素子がオフ、前記第2スイッチ素子と前記第4のスイッチ素子がオンとされることを特徴とする請求項10に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−219052(P2007−219052A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−37604(P2006−37604)
【出願日】平成18年2月15日(2006.2.15)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【Fターム(参考)】