説明

表示装置

【課題】走査出力回路の出力電圧を低下し、大画面高精細な表示パネルを良好に駆動する。
【解決手段】複数の走査電極と複数のデータ電極とが交差する複数の交差部に容量型ディスプレイ素子がマトリックス配置されている。走査出力回路3は複数の走査電極にそれぞれ供給される走査電圧の一部の電圧を発生し、データ出力回路4は複数のデータ電極に表示データ信号に応じたデータ電圧をそれぞれ供給する。1画面を構成するフレーム又はフィールドの各々においてフレーム又はフィールド期間内において走査電極に走査電圧が最初に供給される前であって、このフレーム又はこのフィールドの直前のフレーム又はフィールド期間内において走査電極に走査電圧が最後に供給された後に、充電制御部1は複数の走査電極の全て又は一部に一斉に電圧を供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、無機EL(エレクトロルミネッセンス)素子のような複数の容量型ディスプレイ素子をマトリックス配置した表示パネルを備え、各容量型ディスプレイ素子を選択的に駆動することで画像表示を行う自発光型の表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無機EL素子は、蛍光体層及び誘電体層を含む発光層と、この発光層を挟む一対の電極とを有し、一対の電極間に電圧パルスを供給することにより発光する。無機EL表示装置の表示パネルは、このような無機EL素子がマトリクス状に配列される。すなわち、ガラス等の基板上に、データ電極として互いに平行な複数本のストライプ状電極を例えば縦方向に配置し、データ電極上に発光層を設け、発光層上に走査電極として互いに平行な複数本のストライプ状電極をデータ電極に直交するように横方向に配置する。データ電極と走査電極とが交差する各位置において、発光層がデータ電極と走査電極とで挟まれた無機EL素子が形成される。かくして、格子点状に2次元配置された多数の無機EL素子を表示画素とするパッシブマトリクス型の表示パネルが構成される。
【0003】
ところで、無機EL素子は容量性の素子であるため、発光層に駆動電圧を供給すると、発光に寄与する電流はコンデンサへの充電電流と同様の挙動を示し、充電電流が流れた後に供給される電圧は発光には寄与しない。すなわち、駆動電圧として直流電圧を供給したのでは、連続した発光を得ることができない。
【0004】
従って、無機EL表示装置においては、フィールド毎に発光層に供給する電圧の極性を反転させる、いわゆるフィールド反転駆動が行われる(例えば特許文献1参照)。
【0005】
図14は従来の無機EL表示装置の概略構成を示したブロック図である。これを用いて、一般的な無機EL表示装置の駆動回路のフィールド反転駆動法を説明する。この無機EL表示装置は、表示パネル2と、データ電極にデータ電圧を供給するデータ出力回路4と、走査電極に走査電圧を供給する走査出力回路3と、交番駆動を行うために走査出力回路3の基準電位を切り替えるレベルシフト回路6と、データ出力回路4、走査出力回路3、及びレベルシフト回路6を制御信号に基づいて制御する駆動制御部5とを備えている。レベルシフト回路6が走査出力回路3の基準電位を切り替えることで、走査出力回路3はプラス駆動電圧とマイナス駆動電圧とを走査電極に交互に供給する。走査出力回路3が走査電極に供給する走査電圧の極性を、あるフィールドでは正極性、次のフィールドでは負極性、その次のフィールドでは正極性と、フィールドごとに切り替えることにより、無機EL素子の発光に必要な正負の極性の電圧が走査電極を介して画素に線順次走査で与えられる。
【0006】
図15は従来の無機EL表示装置の動作の一例を説明するための波形図である。説明を簡略化するために、2つの走査電極を有する表示パネルをフィールド反転駆動する場合の2フィールド分の波形を示している。図15(a)は第1走査電極上の画素についての電圧波形図であり、91は走査出力回路が第1走査電極に対して出力する走査電圧波形、92はデータ出力回路がデータ電極に対して出力するデータ電圧波形である。図15(b)は第2走査電極上の画素についての電圧波形図であり、93は走査出力回路が第2走査電極に対して出力する走査電圧波形、94はデータ出力回路がデータ電極に対して出力するデータ電圧波形である。
【0007】
走査電圧波形91,93に示すように、一般的に走査出力回路が出力するプラス駆動電圧は200V程度、マイナス駆動電圧は−150V程度である。一方、一般的なデータ出力回路は片側電源であり、データ電圧波形92,94に示すように、データ出力回路が出力するデータ電圧は表示データ信号に応じて0V〜50Vの間の電圧に設定される。これにより、画素の両端子間の電圧差は、正駆動及び負駆動のいずれの場合も最大で200V、最小で150Vとなる。これに対して、無機EL素子が発光するか否かの閾値電圧は例えば155Vである。従って、走査電圧とデータ電圧との電圧差が150Vであれば発光しないが、この電圧差が155Vを超えて大きくなると表示素子は発光し、電圧差が200Vのときに最大輝度で発光する。
【0008】
正極性の走査電圧が1画面を構成する複数の走査電極に線順次で印加される期間を正フィールドと呼び、負極性の走査電圧が1画面を構成する複数の走査電極に線順次で印加される期間を負フィールドと呼び、正フィールドと負フィールドとを併せてフレームと呼ぶ。
【特許文献1】特開昭63−168998号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述の従来の無機EL表示装置を構成する駆動回路においては、発光層の走査電極に周期的に極性が反転する走査電圧を供給する必要があるので、正極性の電源と負極性の電源とを用いて正極性の駆動電圧波形と負極性の駆動電圧波形とを作成している。しかも、無機EL素子を発光させるためには200V程度の高い走査電圧を走査電極に供給する必要がある。
【0010】
線順次走査駆動では、1つのフィールド内の1つの走査電極の選択期間中に、この走査電極上の画素の充電及び放電を行う必要がある。つまり、ある走査電極の選択期間中に、この走査電極上の画素に電荷を蓄積し、次いで電荷を放電させた後に、次の走査電極が選択され、同様の動作が繰り返される。
【0011】
しかし、無機EL素子は容量性素子であり、またITO(Indium Tin Oxide)からなる電極等が抵抗を有しているので、無機EL素子はこれらによって決定される時定数を有している。大型・高精細ディスプレイのように画素数が多くなり、走査電極数が多くなると、一走査電極の選択期間が短くなるので、選択期間内に画素の充電及び放電を完了させることが困難となる。選択期間が短いために画素に蓄積される電荷が少なくなると、輝度が低下するなど良好な表示を行うことが困難となる。
【0012】
また、一般に大型・高精細ディスプレイにおいて必要な走査電圧が高いと、走査出力回路の駆動ドライバの消費電力が大きくなり、また駆動ドライバの破壊が生じやすい。
【0013】
更に、他方式の表示装置で汎用されている駆動ドライバに比べて耐電圧特性の高い駆動ドライバが必要であり、そのような駆動ドライバは市場規模が小さいので非常に高価である。
【0014】
本発明は、上記の従来の問題を解決し、駆動ドライバの出力電圧を低下させることができ、画素数が多くても良好な表示を行うことができる表示装置を提供することを目的とする。また、本発明は、耐電圧特性の低い駆動ドライバの使用を可能にすることで、駆動ドライバを低コスト化し、また、駆動ドライバの消費電力を低下させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の表示装置は、複数の走査電極、前記複数の走査電極に対して交差する複数のデータ電極、及び、前記複数の走査電極と前記複数のデータ電極との間の発光層を備え、前記走査電極と前記データ電極とこれらの間に挟まれた前記発光層とからなる容量型ディスプレイ素子が、前記複数の走査電極と前記複数のデータ電極とが交差する複数の交差部にマトリックス配置された表示パネルと、前記複数の走査電極にそれぞれ供給される走査電圧の一部の電圧を発生する走査出力回路と、前記複数のデータ電極に表示データ信号に応じたデータ電圧をそれぞれ供給するデータ出力回路と、前記走査出力回路及び前記データ出力回路を制御する駆動制御部と、1画面を構成するフレーム又はフィールドの各々において、前記フレーム又は前記フィールド期間内において前記走査電極に前記走査電圧が最初に供給される前であって、このフレーム又はこのフィールドの直前のフレーム又はフィールド期間内において前記走査電極に前記走査電圧が最後に供給された後に、前記複数の走査電極の全て又は一部に一斉に電圧を供給する充電制御部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、走査電極に走査電圧が供給される前に充電制御部が一斉充電を行うので、走査出力回路が発生する電圧を、必要な走査電圧よりも低下させることができる。従って、大画面化・高精細化により画素数が増えて走査電極の選択期間が短くなっても、良好な表示を行うことができる。また、耐電圧特性の低い走査出力回路を使用することができるので、他方式の表示装置で汎用されている駆動ドライバを走査出力回路に転用することができ、低コスト化が可能になる。更に、走査出力回路の電圧及び電流を低減することができるので、消費電力を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
前記の本発明の表示装置において、前記充電制御部は、前記複数の走査電極の全て又は一部に正極性の電圧を供給するプラス制御部と、前記複数の走査電極の全て又は一部に負極性の電圧を供給するマイナス制御部とを備えることが好ましい。
【0018】
これにより、容量型ディスプレイ素子をプラス電圧及びマイナス電圧のいずれで駆動する場合であっても、ディスプレイ素子に走査電極を介してプラス電圧及びマイナス電圧のいずれをも充電することが出来る。
【0019】
前記の本発明の表示装置が、更に、前記走査出力回路の基準電位を切り替えるレベルシフト回路を備えることが好ましい。この場合、前記走査出力回路が発生する電圧は、前記走査電圧と、前記充電制御部が前記複数の走査電極の全て又は一部に一斉に電圧を供給することにより前記容量型ディスプレイ素子に充電された電圧との差電圧であることが好ましい。
【0020】
これにより、走査出力回路は、容量型ディスプレイ素子の駆動に必要な走査電圧と、容量型ディスプレイ素子に充電された電圧との差電圧に相当する電圧を出力すれば足りるので、耐電圧特性の低い走査出力回路を使用することができ、また、走査出力回路のコストを低下させることができ、更に、他方式の表示装置で汎用されている駆動ドライバを転用することが可能になる。また、走査出力回路の消費電力を低減することができる。
【0021】
前記の本発明の表示装置が、更に、前記充電制御部が前記複数の走査電極の全て又は一部に一斉に電圧を供給する際に前記充電制御部によって充電される充電部を備えることが好ましい。この場合、前記走査出力回路が発生する電圧は、前記走査電圧と、前記充電部に充電された電圧との差電圧であることが好ましい。
【0022】
これにより、表示パネルの容量型ディスプレイ素子の容量が小さく且つ不安定であっても、充電部に充電された電圧が、容量型ディスプレイ素子に充電された電圧が低下するを防止するので、安定した走査が可能になる。また、従来の表示装置で設けられていたレベルシフト回路が不要となる。更に、走査出力回路は、容量型ディスプレイ素子の駆動に必要な走査電圧と、充電部に充電された電圧との差電圧に相当する電圧を出力すれば足りるので、耐電圧特性の低い走査出力回路を使用することができ、また、走査出力回路のコストを低下させることができ、更に、他方式の表示装置で汎用されている駆動ドライバを転用することが可能になる。また、走査出力回路の消費電力を低減することができる。
【0023】
前記の本発明の表示装置が、更に、前記充電部に接続された充電経路制御回路を備えることが好ましい。この場合、前記充電部を充電するための電流の少なくとも一部は、前記走査出力回路を通ることなく、前記充電経路制御回路を通ることが好ましい。
【0024】
これにより、一斉充電時に充電部を充電するための突然電流が走査出力回路に流れることによって走査出力回路が破壊されるのを防止することができる。
【0025】
前記充電制御部は、少なくとも2個のスイッチ素子と、前記複数の走査電極の数の2倍以上の数のダイオードとを備えることが好ましい。
【0026】
これにより、プラス電圧及びマイナス電圧のいずれをも安定して一斉充電することができる。よって、大画面化・高精細化により画素数が多い表示パネルであっても良好な表示が可能になる。
【0027】
前記充電部は前記走査出力回路及び前記複数の走査電極に接続され、前記充電部は前記複数の走査電極の数と同数以上のコンデンサを備えることが好ましい。
【0028】
これにより、充電部を安価なコンデンサで構成することができる。また、容量型ディスプレイ素子の容量が小さく且つ不安定であっても安定した走査が可能になる。
【0029】
前記充電経路制御回路は、前記複数の走査電極の数と同数以上のスイッチ素子を備えることが好ましい。
【0030】
これにより、充電部を充電するための電流が増えてもスイッチ素子を個別に制御することができる。従って、容量型ディスプレイ素子の容量が小さく且つ不安定であっても安定した走査が可能になる。さらに、充電部を充電するための突然電流から走査出力回路を保護することができる。
【0031】
前記充電経路制御回路は、少なくとも2個のスイッチ素子と、前記複数の走査電極の数の2倍以上の数のダイオードとを備えることが好ましい。
【0032】
これにより、容量型ディスプレイ素子の容量が小さく且つ不安定であっても安定した走査が可能になる。
【0033】
前記容量型ディスプレイ素子は蛍光体層及び誘電体層を含む無機EL素子であることが好ましい。
【0034】
これにより、無機EL素子を使用した表示パネルを備えた表示装置において、大画面化・高精細化により画素数が増えても、良好な表示を行うことができる。また、耐電圧特性の低い走査出力回路を使用することができるので、低コスト化が可能になる。更に、消費電力を低減することができる。
【0035】
前記走査電極に正極性の前記走査電圧が供給されている場合における前記正極性の前記走査電圧と前記データ電圧の最大値との差電圧、及び前記走査電極に負極性の前記走査電圧が供給されている場合における前記負極性の前記走査電圧と前記データ電圧の最小値との差電圧は、いずれも前記容量型ディスプレイ素子が発光するか否かの閾値電圧より大きいことが好ましい。
【0036】
これにより、データ電圧を供給するデータ出力回路を、例えば接地された0Vの基準電圧に対して正又は負のいずれか一方の極性の電圧のみを発生する回路(片側電源)で構成することができる。
【0037】
以下、本発明を、容量型ディスプレイ素子を用いた表示パネルを含む表示装置についての具体的な実施の形態を用いて説明する。以下の実施の形態では、容量型ディスプレイ素子が無機EL素子である場合を例として説明するが、他の容量型ディスプレイ素子についても以下の各実施の形態を同様に適用することができる。
【0038】
(実施の形態1)
図1は無機EL素子を用いた本発明の実施の形態1に係る表示装置の概略構成を示すブロック図である。
【0039】
マトリックス型表示装置に使用される無機EL表示パネル2は、図示を省略するが、例えば、絶縁性基板と、絶縁性基板上に形成された、等間隔で互いに平行に配置されたストライプ状の複数の走査電極と、複数の走査電極と交差するように、等間隔で互いに平行に配置されたストライプ状の複数のデータ電極と、複数の走査電極と複数のデータ電極との間に設けられた無機EL発光層とを有する。無機EL発光層は、図示を省略するが周知の構造を有し、例えば、蛍光体層と、その少なくとも一方の面に形成された誘電体層とを有する。複数の走査電極と複数のデータ電極とが交差する複数の交差部のそれぞれにおいて、走査電極とデータ電極とこれらに挟まれた無機EL発光層とがディスプレイ素子を形成する。無機EL表示パネル2は、この複数のディスプレイ素子が画素としてマトリックス状に2次元配置されたパッシブマトリクス型線順次走査の表示パネルである。
【0040】
本実施の形態の無機EL表示装置は、表示パネル2と、表示パネル2に駆動(走査)電圧を供給する走査出力回路3と、表示パネル2にデータ電圧を供給するデータ出力回路4と、走査出力回路3の基準電位を変化させるレベルシフト回路6と、表示パネル2の複数のディスプレイ素子を一斉に充電するための充電制御部1と、走査出力回路3、データ出力回路4、レベルシフト回路6、及び充電制御部1を制御する駆動制御部5とを備える。充電制御部1は、プラス電圧を供給するプラス制御部7とマイナス電圧を供給するマイナス制御部8とを備える。
【0041】
図2は本発明の実施の形態1に係る表示装置の具体的構成の一例を示す回路図である。説明を簡略化するために、表示パネル2が2×2の合計4画素を備える場合を例に説明する。
【0042】
表示パネル2は4つの画素21,22,23,24と、ITOからなる電極及び配線の合成抵抗である抵抗体25,26とを備える。画素21と画素22とは第1走査電極上に配置されており、画素23と画素24とは第2走査電極上に配置されている。さらに、画素21と画素23とは第1データ電極上に配置されており、画素22と画素24とは第2データ電極上に配置されている。走査出力回路3は走査ドライバ30を備え、データ出力回路4はデータドライバ27を備える。駆動制御部5は駆動制御回路28を備える。プラス制御部7は、ダイオード11,12と、スイッチ素子であるトランジスタ18と、パルス電源17と、電源20とを備え、マイナス制御部8は、ダイオード13,14と、スイッチ素子であるトランジスタ16と、パルス電源15と、電源19とを備える。
【0043】
走査ドライバ30の2つの出力端子のうち、一方の出力端子は、画素21,22が設けられた第1走査電極とダイオード11のカソード端子と、ダイオード14のアノード端子とに接続されており、走査ドライバ30の他方の出力端子は、画素23,24が設けられた第2走査電極と、ダイオード12のカソード端子と、ダイオード13のアノード端子とに接続されている。走査ドライバ30の入力端子は駆動制御回路28とレベルシフト回路6とに接続されている。画素21,23が設けられた第1データ電極は抵抗体25の一方の端子に接続されており、画素22,24が設けられた第2データ電極は抵抗体26の一方の端子に接続されており、抵抗体25,26の他方の端子はデータドライバ27の出力端子に接続されている。データドライバ27の入力端子は駆動制御回路28に接続されている。ダイオード11,12のアノード端子はトランジスタ18のコレクタ端子に接続されており、ダイオード13,14のカソード端子はトランジスタ16のコレクタ端子に接続されている。トランジスタ18のエミッタ端子は電源20に接続されており、トランジスタ16のエミッタ端子は電源19に接続されている。トランジスタ16,18のベース端子はそれぞれパルス電源15,17の一方の端子に接続されている。パルス電源15,17の他方の端子はそれぞれ電源19,20に接続されている。
【0044】
次に図2に示した無機EL表示装置の動作について説明する。駆動制御回路28には、外部から垂直同期信号Vs、水平同期信号Hs、データ転送クロック信号CLK、表示信号データD等の制御信号が入力され、それぞれ必要な信号を生成して、走査ドライバ30、データドライバ27、及びレベルシフト回路6に供給する。走査ドライバ30は、駆動制御回路28から供給される制御信号に基づいて表示パネル2の走査電極を線順次走査駆動し、データドライバ27は駆動制御回路28から表示データに合わせたデータ信号が供給され、データ電極にデータ電圧を供給する。データドライバ27は走査ドライバ30の出力に同期して表示データに応じて0V〜+Vdmaxまで変化するデータ電圧Vdを出力するが、ここでは説明を簡単化するためデータ電圧Vdは0Vと+Vdmaxの2値とする。走査ドライバ30の発生電圧はデータドライバ27が出力するデータ電圧Vdの最大値と絶対値が同じである+Vdmax及び−Vdmaxであり、それぞれを正フィールド及び負フィールドにおいて発生する。充電制御部1のプラス制御部7の電源20は+Vthの一定電圧を出力し、マイナス制御部8の電源19は−(Vth−Vdmax)の一定電圧を出力する。充電制御部1のプラス制御部7のパルス電源17は所定のタイミングで−Vbの一定電圧を出力し、マイナス制御部8のパルス電源15は所定のタイミングで+Vbの一定電圧を出力する。充電制御部1の動作については後で詳しく説明する。駆動制御回路28は、周知の回路及び従来の回路と同様に構成することができるので、具体的な説明は省略する。レベルシフト回路6は、パルス電源17,15と同期して、走査ドライバ30の基準電位を電源電圧及びGND端子電圧のいずれか一方にスイッチで切換えるものであり、周知の回路及び従来の技術と同様に構成されるので具体的な説明は省略する。
【0045】
各部の電圧波形を図3に、電流波形を図4にそれぞれ示す。
【0046】
図3(a)において、51は画素21,22が設けられた第1走査電極の電圧波形、52は画素23,24が設けられた第2走査電極の電圧波形、53は走査ドライバ30が第1走査電極の駆動時に発生する電圧の波形である。図3(b)において、55は充電制御部1のプラス制御部7の電源20の電圧波形、56は充電制御部1のマイナス制御部8の電源19の電圧波形、57は充電制御部1のプラス制御部7のトランジスタ18のベース端子の電圧波形、58は充電制御部1のマイナス制御部8のトランジスタ16のベース端子の電圧波形である。
【0047】
図4(a)は表示パネル2の画素21,22が発光している場合の第1走査電極の電流波形、図4(b)は充電制御部1が出力する電流波形、図4(c)は走査ドライバ30から第1走査電極に流れる電流波形である。
【0048】
[正フィールド駆動(プラス電圧駆動)]
正フィールドを走査し表示しようとするときは、1ライン目を走査する前(即ち、この正フィールドの直前の負フィールド期間における最後の走査電圧供給期間後であって、この正フィールドの最初の走査電圧供給期間前)に、充電制御部1のプラス制御部7のパルス電源17が−Vbの電圧を出力する。これにより、図3(b)の電圧波形57に示すようにトランジスタ18のベース端子の電圧が変化し、トランジスタ18のベース電流がONとなり、ダイオード11,12を介して表示パネル2の第1走査電極及び第2走査電極に一斉に充電電流が流れ(図4(b))、第1走査電極上の画素21,22及び第2走査電極上の画素23,24にいずれも、図3(a)の電圧波形51,52に示すように、電圧+Vthが蓄積される(一斉充電)。電圧+Vthは、画素21,22,23,24が発光するための閾値電圧以下であるので、この一斉充電によって画素は発光しない。
【0049】
正フィールド期間の間、走査ドライバ30の基準電位はレベルシフト回路6により+Vthに保持される。
【0050】
次に、パルス電源17の電圧−Vbの出力が終了し、図3(b)の電圧波形57に示すようにトランジスタ18のベース端子の電圧が+Vthに戻り、トランジスタ18がOFFする。これにより、一斉充電が終了する。
【0051】
次に線順次走査が行われる。
【0052】
先ず、図3(a)の電圧波形53に示すように、走査ドライバ30が第1走査電極に電圧Vdmaxを供給する。このとき、上記一斉充電によって第1走査電極上の画素21,22の電位は+Vthであるので、図3(a)の電圧波形51に示すように、第1走査電極の電圧(走査電圧)は+Vth+Vdmaxとなる。走査ドライバ30の電圧Vdmaxの供給と同期して、データドライバ27が第1及び第2データ電極にそれぞれデータ電圧(0V又は+Vdmax)を供給する。画素21(又は22)に供給されるデータ電圧が0Vならば、画素21(又は22)の両端子間電圧差は+Vth+Vdmaxとなり、発光するための閾値電圧を超えるために画素21(又は22)は発光する。しかし、画素21(又は22)に対する供給されるデータ電圧が+Vdmaxならば、画素21(又は22)の両端子間電圧差は+Vthとなり、発光するための閾値電圧以下であるため画素21(又は22)は発光しない。このとき、第2走査電極上の画素23,24には、走査ドライバ30からの電圧供給は無いために、図3(a)の電圧波形52に示すように、画素23,24の両端子間電圧差は+Vthのままであり、画素23,24は発光しない。
【0053】
図3(a)の電圧波形53に示すように第1走査電極上の画素21,22に対する駆動が終了すると、走査ドライバ30の第1走査電極に対する電圧Vdmaxの供給がなくなるので、図3(a)の電圧波形51に示すように、第1走査電極の電圧は走査ドライバ30の基準電位+Vthとなる。
【0054】
次に、走査ドライバ30波第2走査電極に電圧Vdmaxを供給する。このとき、上記一斉充電によって第2走査電極上の画素23,24の電位は+Vthであるので、図3(a)の電圧波形52に示すように、第2走査電極の電圧(走査電圧)は+Vth+Vdmaxとなる。走査ドライバ30の電圧Vdmaxの供給と同期して、データドライバ27が第1及び第2データ電極にそれぞれデータ電圧(0V又は+Vdmax)を供給する。第2走査電極上の画素23,24に対する駆動の動作は、上記第1走査電極上の画素21,22に対する駆動の動作と同じである。このとき、第1走査電極上の画素21,22には、走査ドライバ30からの電圧供給は無いために、図3(a)の電圧波形51に示すように、画素21,22の両端子間電圧差は+Vthのままであり、画素21,22は発光しない。
【0055】
第2走査電極上の画素23,24に対する駆動が終了すると、走査ドライバ30の第2走査電極に対する電圧Vdmaxの供給がなくなるので、図3(a)の電圧波形52に示すように、第2走査電極の電圧は走査ドライバ30の基準電位+Vthとなる。
【0056】
以上で正フィールドの線順次走査が終了し、以下に述べる負フィールドの線順次走査に移行する。
【0057】
[負フィールド駆動(マイナス電圧駆動)]
負フィールドを走査し表示しようとするときは、1ライン目を走査する前(即ち、この負フィールドの直前の正フィールド期間における最後の走査電圧供給期間後であって、この負フィールドの最初の走査電圧供給期間前)に、充電制御部1のマイナス制御部8のパルス電源15が+Vbの電圧を出力する。これと同期して、レベルシフト回路6は走査ドライバ30の基準電位を+Vthから−(Vth−Vdmax)に切り替える。基準電位を−Vthとしないのは、データドライバ27が0〜+Vdmaxのデータ電圧Vdを出力するからである。これにより、図3(b)の電圧波形58に示すようにトランジスタ16のベース端子の電圧が変化し、トランジスタ16のベース電流がONとなり、ダイオード13,14を介して表示パネル2の第1走査電極及び第2走査電極に一斉に充電電流が流れ(図4(b))、第1走査電極上の画素21,22及び第2走査電極上の画素23,24にいずれも、図3(a)の電圧波形51,52に示すように、電圧−(Vth−Vdmax)が蓄積される(一斉充電)。電圧−(Vth−Vdmax)は、画素21,22,23,24が発光するための閾値電圧以下であるので、この一斉充電によって画素は発光しない。
【0058】
負フィールド期間の間、走査ドライバ30の基準電位はレベルシフト回路6により−(Vth−Vdmax)に保持される。
【0059】
次に、パルス電源15の電圧+Vbの出力が終了し、図3(b)の電圧波形58に示すようにトランジスタ16のベース端子の電圧が−(Vth−Vdmax)に戻り、トランジスタ16がOFFする。これにより、一斉充電が終了する。
【0060】
次に線順次走査が行われる。
【0061】
先ず、図3(a)の電圧波形53に示すように、走査ドライバ30が第1走査電極に電圧−Vdmaxを供給する。このとき、上記一斉充電によって第1走査電極上の画素21,22の電位は−(Vth−Vdmax)であるので、図3(a)の電圧波形51に示すように、第1走査電極の電圧(走査電圧)は−Vthとなる。走査ドライバ30の電圧−Vdmaxの供給と同期して、データドライバ27が第1及び第2データ電極にそれぞれデータ電圧(0V又は+Vdmax)を供給する。画素21(又は22)に供給されるデータ電圧が+Vdmaxならば、画素21(又は22)の両端子間電圧差は−(Vth+Vdmax)となり、発光するための閾値電圧を超えるために画素21(又は22)は発光する。しかし、画素21(又は22)に供給されるデータ電圧が0Vならば、画素21(又は22)の両端子間電圧差は−Vthのままであり、発光するための閾値電圧以下であるため画素21(又は22)は発光しない。このとき、第2走査電極上の画素23,24には、走査ドライバ30からの電圧供給は無いために、図3(a)の電圧波形52に示すように、画素23,24の両端子間電圧差は−(Vth−Vdmax)のままであり、画素23,24は発光しない。
【0062】
図3(a)の電圧波形53に示すように第1走査電極上の画素21,22に対する駆動が終了すると、走査ドライバ30の第1走査電極に対する電圧−Vdmaxの供給がなくなるので、図3(a)の電圧波形51に示すように、第1走査電極の電圧は走査ドライバ30の基準電位−(Vth−Vdmax)となる。
【0063】
次に、走査ドライバ30が第2走査電極に電圧−Vdmaxを供給する。このとき、上記一斉充電によって第2走査電極上の画素23,24の電位は−(Vth−Vdmax)であるので、図3(a)の電圧波形52に示すように、第2走査電極の電圧(走査電圧)は−Vthとなる。走査ドライバ30の電圧−Vdmaxの供給と同期して、データドライバ27が第1及び第2データ電極にそれぞれデータ電圧(0V又は+Vdmax)を供給する。第2走査電極上の画素23,24に対する駆動の動作は、上記第1走査電極上の画素21,22に対する駆動の動作と同じである。このとき、第1走査電極上の画素21,22には、走査ドライバ30からの電圧供給は無いために、図3(a)の電圧波形51に示すように、画素21,22の両端子間電圧差は−(Vth−Vdmax)のままであり、画素21,22は発光しない。
【0064】
第2走査電極上の画素23,24に対する駆動が終了すると、走査ドライバ30の第2走査電極に対する電圧−Vdmaxの供給がなくなるので、図3(a)の電圧波形52に示すように、第2走査電極の電圧は走査ドライバ30の基準電位−(Vth−Vdmax)となる。
【0065】
以上で負フィールドの線順次走査が終了し、1フレームの駆動が終了する。
【0066】
その後、上記と同様に正フィールドの線順次走査及び負フィールドの線順次走査の順にフレーム駆動が行われれる。
【0067】
図3及び図4に示した波形図に対応する実施例の具体値を示す。正フィールドでの一斉充電電圧+Vthは150V、データ電圧Vdmaxは50Vあり、パルス電源17,15が出力する電圧−Vb,+Vbはそれぞれ−5V、+5Vとした。また、トランジスタ16は2SC2653(Panasonic製)、トランジスタ18は2SA1961(Panasonic製)であり、ダイオード11,12,13,14はMA188、走査ドライバ30はμPD16302A(NEC製)、データドライバ27はμPD16306B(NEC製)とした。
【0068】
本実施の形態によれば、図3(a)の電圧波形51,52に示されているように表示パネル2の第1及び第2走査電極には+200V〜−150Vの範囲で変化する電圧が供給されているが、電圧波形53に示されているように走査ドライバ30が発生する電圧はデータドライバ27が出力するデータ電圧Vdの最大値+50Vと絶対値が同じである+50V及び−50Vである。このように、走査ドライバ30での発生電圧を小さくすることができるので、他方式の表示装置で汎用されている耐電圧特性が低い駆動ドライバを転用することが可能となり、走査ドライバ30の選択範囲を拡大できる。また、走査ドライバ30での発生電圧が低下することで、走査ドライバ30の消費電力を低下させることができる。更に、走査ドライバ30が走査電極に電圧を供給する前に、全画素に対して一斉充電が行われているので、容量性素子に対して充電及び放電する際の時定数の問題が解消し、大画面・高精細の高画素数のディスプレイでも良好な表示を行うことができる。
【0069】
また、図4(a)〜(c)より明らかなように、走査電極を流れる電流のうちの大半を占める画素を充電するための電流は充電制御部1によって供給されており、走査ドライバ30は画素を発光させるときにのみに僅かに電流を供給している。図14に示した従来の表示装置の走査出力回路は図4(a)に示す走査電極を流れる電流の全てを供給する必要があった。このように、本実施の形態によれば、走査ドライバ30の供給電流を少なくすることで、走査ドライバ30の消費電力を低下させることができる。
【0070】
以上説明したように、従来の表示装置では、容量性素子に対して充放電する際の時定数によって表示パネルを大画面化、高精細化することが困難であるという問題、耐電圧特性が高い走査ドライバが必要であるので汎用されている安価な駆動ドライバを使用することができないという問題を有していた。
【0071】
本実施の形態によれば、走査ドライバ30が走査電極に電圧を供給する前に全画素に対して一斉充電を行うことで、走査ドライバ30での発生電圧を下げるとができるので、上記の従来の問題を解消することができる。即ち、大画面・高精細の表示パネルであっても良好な表示を行うことができる。また、他方式の表示装置で汎用されている駆動ドライバを走査ドライバ30として転用することができ、低コスト化が可能である。更に、走査ドライバ30の電圧及び電流を低減することで、消費電力を低減することができる。
【0072】
以上の説明では、走査ドライバ30が表示パネル2を線順次駆動する場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、面順次駆動及び点順次駆動であってもよい。駆動方式の如何にかかわらず、走査電極に走査電圧が供給されない期間内に上記と同様に全画素に対して一斉充電を行うことで、上記と同様の効果をすることが出来る。
【0073】
(実施の形態2)
図5は無機EL素子を用いた本発明の実施の形態2に係る表示装置の概略構成を示すブロック図である。
【0074】
マトリックス型表示装置に使用される無機EL表示パネル2は、図示を省略するが、実施の形態1で説明したのと同様に、複数のディスプレイ素子が画素としてマトリックス状に2次元配置されたパッシブマトリクス型線順次走査の表示パネルである。
【0075】
本実施の形態の無機EL表示装置は、表示パネル2と、表示パネル2に駆動(走査)電圧を供給する走査出力回路3と、表示パネル2にデータ電圧を供給するデータ出力回路4と、表示パネル2の複数のディスプレイ素子を一斉に充電するための充電制御部1と、表示パネル2の複数のディスプレイ素子を一斉に充電するのと同時に充電制御部1によって複数のディスプレイ素子と同電圧に充電される充電部9と、走査出力回路3、データ出力回路4、及び充電制御部1を制御する駆動制御部5とを備える。充電制御部1は、プラス電圧を供給するプラス制御部7とマイナス電圧を供給するマイナス制御部8とを備える。
【0076】
図6は本発明の実施の形態2に係る表示装置の具体的構成の一例を示す回路図である。説明を簡略化するために、表示パネル2が2×2の合計4画素を備える場合を例に説明する。
【0077】
表示パネル2は4つの画素21,22,23,24と、ITOからなる電極及び配線の合成抵抗である抵抗体25,26とを備える。画素21と画素22とは第1走査電極上に配置されており、画素23と画素24とは第2走査電極上に配置されている。さらに、画素21と画素23とは第1データ電極上に配置されており、画素22と画素24とは第2データ電極上に配置されている。走査出力回路3は走査ドライバ30を備え、データ出力回路4はデータドライバ27を備える。駆動制御部5は駆動制御回路28を備える。プラス制御部7は、ダイオード11,12と、スイッチ素子であるトランジスタ18と、パルス電源17と、電源20とを備え、マイナス制御部8は、ダイオード13,14と、スイッチ素子であるトランジスタ16と、パルス電源15と、電源19とを備える。充電部9はコンデンサ31,32を備える。
【0078】
走査ドライバ30の2つの出力端子のうち、一方の出力端子はコンデンサ31の一方の端子に接続されており、走査ドライバ30の他方の出力端子は、コンデンサ32の一方の端子に接続されている。コンデンサ31の他方の端子は、画素21,22が設けられた第1走査電極とダイオード11のカソード端子と、ダイオード14のアノード端子とに接続されており、コンデンサ32の他方の端子は、画素23,24が設けられた第2走査電極と、ダイオード12のカソード端子と、ダイオード13のアノード端子とに接続されている。走査ドライバ30の入力端子は駆動制御回路28に接続されている。画素21,23が設けられた第1データ電極は抵抗体25の一方の端子に接続されており、画素22,24が設けられた第2データ電極は抵抗体26の一方の端子に接続されており、抵抗体25,26の他方の端子はデータドライバ27の出力端子に接続されている。データドライバ27の入力端子は駆動制御回路28に接続されている。ダイオード11,12のアノード端子はトランジスタ18のコレクタ端子に接続されており、ダイオード13,14のカソード端子はトランジスタ16のコレクタ端子に接続されている。トランジスタ18のエミッタ端子は電源20に接続されており、トランジスタ16のエミッタ端子は電源19に接続されている。トランジスタ16,18のベース端子はそれぞれパルス電源15,17の一方の端子に接続されている。パルス電源15,17の他方の端子はそれぞれ電源19,20に接続されている。
【0079】
次に図6に示した無機EL表示装置の動作について説明する。駆動制御回路28には、外部から垂直同期信号Vs、水平同期信号Hs、データ転送クロック信号CLK、表示信号データD等の制御信号が入力され、それぞれ必要な信号を生成して、走査ドライバ30及びデータドライバ27に供給する。走査ドライバ30は、駆動制御回路28から供給される制御信号に基づいて表示パネル2の走査電極を線順次走査駆動し、データドライバ27は駆動制御回路28から表示データに合わせたデータ信号が供給され、データ電極にデータ電圧を供給する。データドライバ27は走査ドライバの出力に同期して表示データに応じて0V〜+Vdmaxまで変化するデータ電圧Vdを出力するが、ここでは説明を簡単化するためデータ電圧Vdは0Vと+Vdmaxの2値とする。走査ドライバ30の発生電圧はデータドライバ27が出力するデータ電圧Vdの最大値と絶対値が同じである+Vdmax及び−Vdmaxであり、それぞれを正フィールド及び負フィールドにおいて発生する。充電制御部1のプラス制御部7の電源20は+Vthの一定電圧を出力し、マイナス制御部8の電源19は−(Vth−Vdmax)の一定電圧を出力する。充電制御部1のプラス制御部7のパルス電源17は所定のタイミングで−Vbの一定電圧を出力し、マイナス制御部8のパルス電源15は所定のタイミングで+Vbの一定電圧を出力する。充電制御部1及び充電部9の動作については後で詳しく説明する。駆動制御回路28は、周知の回路及び従来の回路と同様に構成することができるので、具体的な説明は省略する。
【0080】
各部の電圧波形を図7及び図8に、電流波形を図9にそれぞれ示す。
【0081】
図7(a)において、61は画素21,22が設けられた第1走査電極の電圧波形である。図7(b)において、65は充電制御部1のプラス制御部7の電源20の電圧波形、66は充電制御部1のマイナス制御部8の電源19の電圧波形、67は充電制御部1のプラス制御部7のトランジスタ18のベース端子の電圧波形、68は充電制御部1のマイナス制御部8のトランジスタ16のベース端子の電圧波形である。
【0082】
図8(a)において、61は画素21,22が設けられた第1走査電極の電圧波形、62は画素23,24が設けられた第2走査電極の電圧波形である。図8(b)において、63は走査ドライバ30が第1走査電極の駆動時に発生する電圧の波形、64は走査ドライバ30が第2走査電極の駆動時に発生する電圧の波形、69はコンデンサ31の電圧の波形である。
【0083】
図9(a)は、画素21,22が設けられた第1走査電極の電圧波形61であり、図9(b)は充電制御部1から第1走査電極に流れる電流波形、図9(c)はコンデンサ31から第1走査電極に流れる電流波形、図9(d)は表示パネル2の画素21,22が発光している場合の第1走査電極の電流波形である。
【0084】
[正フィールド駆動(プラス電圧駆動)]
正フィールドを走査し表示しようとするときは、1ライン目を走査する前(即ち、この正フィールドの直前の負フィールド期間における最後の走査電圧供給期間後であって、この正フィールドの最初の走査電圧供給期間前)に、充電制御部1のプラス制御部7のパルス電源17が−Vbの電圧を出力する。これにより、図7(b)の電圧波形67に示すようにトランジスタ18のベース端子の電圧が変化し、トランジスタ18のベース電流がONとなる。このときコンデンサ31,32の一方の端子は走査ドライバ30を介して接地されている。このため、ダイオード11,12を介して表示パネル2の第1走査電極及び第2走査電極と充電部9のコンデンサ31,32とに一斉に充電電流が流れ(図9(b))、第1走査電極上の画素21,22、第2走査電極上の画素23,24、及びコンデンサ31,32にいずれも、図8(a)の電圧波形61,62に示すように、電圧+Vthが蓄積される(一斉充電)。電圧+Vthは、画素21,22,23,24が発光するための閾値電圧以下であるので、この一斉充電によって画素は発光しない。
【0085】
正フィールド期間の間、走査ドライバ30の基準電位は0V(接地)に保持される。
【0086】
次に、パルス電源17の電圧−Vbの出力が終了し、図7(b)の電圧波形67に示すようにトランジスタ18のベース端子の電圧が+Vthに戻り、トランジスタ18がOFFする。これにより、一斉充電が終了する。
【0087】
次に線順次走査が行われる。
【0088】
先ず、図8(b)の電圧波形63に示すように、走査ドライバ30が第1走査電極に接続されたコンデンサ31に電圧Vdmaxを供給する。このとき、上記一斉充電によって図8(b)の電圧波形69に示すようにコンデンサ31には電圧+Vthが既に充電されているので、図8(a)の電圧波形61に示すように、画素21,22が設けられた第1走査電極の電圧(走査電圧)は+Vth+Vdmaxとなる。走査ドライバ30の電圧Vdmaxの供給と同期して、データドライバ27が第1及び第2データ電極にそれぞれデータ電圧(0V又は+Vdmax)を供給する。画素21(又は22)に供給されるデータ電圧が0Vならば、画素21(又は22)の両端子間電圧差は+Vth+Vdmaxとなり、発光するための閾値電圧を超えるために画素21(又は22)は発光する。しかし、画素21(又は22)に供給されるデータ電圧が+Vdmaxならば、画素21(又は22)の両端子間電圧差は+Vthとなり、発光するための閾値電圧以下であるため画素21(又は22)は発光しない。このとき、画素23,24が設けられた第2走査電極に接続されたコンデンサ32には、走査ドライバ30からの電圧供給は無いために、図8(a)の電圧波形62に示すように、画素23,24の両端子間電圧差は+Vthのままであり、画素23,24は発光しない。
【0089】
図8(a)の電圧波形63に示すように第1走査電極上の画素21,22に対する駆動が終了すると、走査ドライバ30のコンデンサ31に対する電圧Vdmaxの供給がなくなるので、図8(a)の電圧波形61に示すように、第1走査電極の電圧は第1走査電極に接続されたコンデンサ31の充電電位+Vthとなる。
【0090】
次に、走査ドライバ30は第2走査電極に接続されたコンデンサ32に電圧Vdmaxを供給する。このとき、上記一斉充電によってコンデンサ32には電圧+Vthが既に充電されているので、図8(a)の電圧波形62に示すように、画素23,24が設けられた第2走査電極の電圧(走査電圧)は+Vth+Vdmaxとなる。走査ドライバ30の電圧Vdmaxの供給と同期して、データドライバ27が第1及び第2データ電極にそれぞれデータ電圧(0V又は+Vdmax)を供給する。第2走査電極上の画素23,24に対する駆動の動作は、上記第1走査電極上の画素21,22に対する駆動の動作と同じである。このとき、画素21,22が設けられた第1走査電極に接続されたコンデンサ31には、走査ドライバ30からの電圧供給は無いために、図8(a)の電圧波形61に示すように、画素21,22の両端子間電圧差は+Vthのままであり、画素21,22は発光しない。
【0091】
第2走査電極上の画素23,24に対する駆動が終了すると、走査ドライバ30のコンデンサ32に対する電圧Vdmaxの供給がなくなるので、図8(a)の電圧波形62に示すように、第2走査電極の電圧は第2走査電極に接続されたコンデンサ32の充電電位+Vthとなる。
【0092】
以上で正フィールドの線順次走査が終了し、以下に述べる負フィールドの線順次走査に移行する。
【0093】
[負フィールド駆動(マイナス電圧駆動)]
負フィールドを走査し表示しようとするときは、1ライン目を走査する前(即ち、この負フィールドの直前の正フィールド期間における最後の走査電圧供給期間後であって、この負フィールドの最初の走査電圧供給期間前)に、充電制御部1のマイナス制御部8のパルス電源15が+Vbの電圧を出力する。これにより、図7(b)の電圧波形68に示すようにトランジスタ16のベース端子の電圧が変化し、トランジスタ16のベース電流がONとなる。このときコンデンサ31,32の一方の端子は走査ドライバ30を介して接地されている。このため、ダイオード13,14を介して表示パネル2の第1走査電極及び第2走査電極と充電部9のコンデンサ31,32とに一斉に充電電流が流れ(図9(b))、第1走査電極上の画素21,22、第2走査電極上の画素23,24、及びコンデンサ31,32にいずれも、図8(a)の電圧波形61,62に示すように、電圧−(Vth−Vdmax)が蓄積される(一斉充電)。電圧−(Vth−Vdmax)は、画素21,22,23,24が発光するための閾値電圧以下であるので、この一斉充電によって画素は発光しない。
【0094】
負フィールド期間の間、走査ドライバ30の基準電位は0V(接地)に保持される。
【0095】
次に、パルス電源15の電圧+Vbの出力が終了し、図7(b)の電圧波形68に示すようにトランジスタ16のベース端子の電圧が−(Vth−Vdmax)に戻り、トランジスタ16がOFFする。これにより、一斉充電が終了する。
【0096】
次に線順次走査が行われる。
【0097】
先ず、図8(b)の電圧波形63に示すように、走査ドライバ30が第1走査電極に接続されたコンデンサ31に電圧−Vdmaxを供給する。このとき、上記一斉充電によって図8(b)の電圧波形69に示すようにコンデンサ31には電圧−(Vth−Vdmax)が既に充電されているので、図8(a)の電圧波形61に示すように、画素21,22が設けられた第1走査電極の電圧(走査電圧)は−Vthとなる。走査ドライバ30の電圧−Vdmaxの供給と同期して、データドライバ27が第1及び第2データ電極にそれぞれデータ電圧(0V又は+Vdmax)を供給する。画素21(又は22)に供給されるデータ電圧が+Vdmaxならば、画素21(又は22)の両端子間電圧差は−(Vth+Vdmax)となり、発光するための閾値電圧を超えるため画素21(又は22)は発光する。しかし、画素21(又は22)に供給されるデータ電圧が0Vならば、画素21(又は22)の両端子間電圧差は−Vthのままであり、発光するための閾値電圧以下であるために画素21(又は22)は発光しない。このとき、画素23,24が設けられた第2走査電極に接続されたコンデンサ32には、走査ドライバ30からの電圧供給は無いために、図8(a)の電圧波形62に示すように、画素23,24の両端子間電圧差は−(Vth−Vdmax)のままであり、画素23,24は発光しない。
【0098】
図8(a)の電圧波形63に示すように第1走査電極上の画素21,22に対する駆動が終了すると、走査ドライバ30のコンデンサ31に対する電圧−Vdmaxの供給がなくなるので、図8(a)の電圧波形61に示すように、第1走査電極の電圧は第1走査電極に接続されたコンデンサ31の充電電位−(Vth−Vdmax)となる。
【0099】
次に、走査ドライバ30は第2走査電極に接続されたコンデンサ32に電圧−Vdmaxを供給する。このとき、上記一斉充電によってコンデンサ32には電圧−(Vth−Vdmax)が既に充電されているので、図8(a)の電圧波形62に示すように、画素23,24が設けられた第2走査電極の電圧(走査電圧)は−Vthとなる。走査ドライバ30の電圧−Vdmaxの供給と同期して、データドライバ27が第1及び第2データ電極にそれぞれデータ電圧(0V又は+Vdmax)を供給する。第2走査電極上の画素23,24に対する駆動の動作は、上記第1走査電極上の画素21,22に対する駆動の動作と同じである。このとき、画素21,22が設けられた第1走査電極に接続されたコンデンサ31には、走査ドライバ30からの電圧供給は無いために、図8(a)の電圧波形61に示すように、画素21,22の両端子間電圧差は−(Vth−Vdmax)のままであり、画素21,22は発光しない。
【0100】
第2走査電極上の画素23,24に対する駆動が終了すると、走査ドライバ30のコンデンサ32に対する電圧−Vdmaxの供給がなくなるので、図8(a)の電圧波形62に示すように、第2走査電極の電圧は第2走査電極に接続されたコンデンサ32の充電電位−(Vth−Vdmax)となる。
【0101】
以上で負フィールドの線順次走査が終了し、1フレームの駆動が終了する。
【0102】
その後、上記と同様に正フィールドの線順次走査及び負フィールドの線順次走査の順にフレーム駆動が行われれる。
【0103】
図7、図8、及び図9に示した波形図に対応する実施例の具体値を示す。正フィールドでの一斉充電電圧+Vthは150V、データ電圧Vdmaxは50Vあり、パルス電源17,15が出力する電圧−Vb,+Vbはそれぞれ−5V、+5Vとした。また、トランジスタ16は2SC2653(Panasonic製)、トランジスタ18は2SA1961(Panasonic製)であり、ダイオード11,12,13,14はMA188、走査ドライバ30はμPD16302A(NEC製)、データドライバ27はμPD16306B(NEC製)とした。コンデンサ31,32の静電容量は1nFとした。
【0104】
本実施の形態によれば、図8(a)の電圧波形61,62に示されているように表示パネル2の第1及び第2走査電極には+200V〜−150Vの範囲で変化する電圧が供給されているが、図8(b)の電圧波形63に示されているように走査ドライバ30が発生する電圧はデータドライバ27が出力するデータ電圧Vdの最大値+50Vと絶対値が同じである+50V及び−50Vである。両者の差電圧はコンデンサ31,32の充電電圧により得られる。このように、走査ドライバ30での発生電圧を小さくすることができるので、他方式の表示装置で汎用されている耐電圧特性が低い駆動ドライバを転用することが可能となり、走査ドライバ30の選択範囲を拡大できる。また、走査ドライバ30での発生電圧が低下することで、走査ドライバ30の消費電力を低下させることができる。更に、走査ドライバ30がコンデンサ31,32を介して走査電極に電圧を供給する前に、全画素に対して一斉充電が行われているので、容量性素子に対して充電及び放電する際の時定数の問題が解消し、大画面・高精細の高画素数のディスプレイでも良好な表示を行うことができる。
【0105】
また、図9(b)〜(d)より明らかなように、一斉充電時に充電制御部1からの電流は、画素及びコンデンサ31,32に流れている。実施の形態1と同様に、走査電極を流れる電流のうちの大半を占める画素を充電するための電流は充電制御部1によって供給されており、走査ドライバ30は画素を発光させるときにのみに僅かに電流を供給するだけである。図14に示した従来の表示装置の走査出力回路は図4(a)に示す走査電極を流れる電流の全てを供給する必要があった。このように、本実施の形態によれば、走査ドライバ30の供給電流を少なくすることで、走査ドライバ30の消費電力を低下させることができる。
【0106】
本実施の形態2によれば,実施の形態1の効果に加えて、以下の効果が得られる。即ち、本実施の形態2では、実施の形態1では必要なレベルシフト回路6が不要である。そして、走査出力回路3の基準電位を0V(接地)とすることができるので、ノイズの少ない安定した走査電極駆動ができる。
【0107】
以上の説明では、走査ドライバ30が表示パネル2を線順次駆動する場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、面順次駆動及び点順次駆動であってもよい。駆動方式の如何にかかわらず、走査電極に走査電圧が供給されない期間内に上記と同様に全画素に対して一斉充電を行うことで、上記と同様の効果をすることが出来る。
【0108】
(実施の形態3)
図10は無機EL素子を用いた本発明の実施の形態3に係る表示装置の概略構成を示すブロック図である。本実施の形態3は、充電部9に充電経路制御回路10が接続されている点で図5に示した実施の形態2の表示装置と異なる。図11は本実施の形態3に係る表示装置の具体的構成の一例を示す回路図である。実施の形態2を示した図5及び図6と同じ要素には同一の符号を付してこれらについての説明を省略する。
【0109】
充電経路制御回路10は、トランジスタ34,35とパルス電源33とを備え、図11に示すように接続されている。トランジスタ35は表示パネル2の第1走査電極に対応し、トランジスタ34は表示パネル2の第2走査電極に対応する。パルス電源33による一定電圧の出力タイミングを充電制御部1のパルス電源15,17の一定電圧の出力タイミングに同期させることにより、充電制御部1が表示パネル2の画素及びコンデンサ31,32を一斉充電する際に発生するコンデンサ31,32を流れる充電電流を走査ドライバ30だけでなく、トランジスタ34,35にも分流することができる。これにより、一斉充電時に図9(c)に示した突然電流が走査ドライバ30に流れることによって走査ドライバ30が破壊されるのを防止できる。
【0110】
図12は、充電経路制御回路10の別の例を示した回路図である。図12の充電経路制御回路10は、ダイオード40,41,42,43と、トランジスタ38,39と、パルス電源36,37とを備え、図12に示すように接続されている。ダイオード40,42は第1走査電極に対応して設けられており、ダイオード41,43は第2走査電極に対応して設けられている。図13は図12の充電経路制御回路10の動作を説明するための波形図である。図13(a)は画素21,22が設けられた第1走査電極の電圧波形61であり、図13(b)はトランジスタ38,39を制御するためのタイミング信号波形である。より詳細には、充電制御部1のプラス制御部7のパルス電源17がトランジスタ18をONするタイミングと同期してパルス電源37はトランジスタ39をONし、充電制御部1のマイナス制御部8のパルス電源15がトランジスタ16をONするタイミングと同期してパルス電源36はトランジスタ38をONする。図12の充電経路制御回路10は、図11の充電経路制御回路10と同様に、一斉充電時に図9(c)に示した突然電流が走査ドライバ30に流れることによって走査ドライバ30が破壊されるのを防止できる。
【0111】
上記の実施の形態1〜3では表示パネル2に設けられた複数の走査電極の全てに対して一斉に充電電圧を供給したが、本発明はこれに限定されず、複数の走査電極のうちの一部の走査電極のみに対して一斉に充電電圧を供給しても良い。例えば、表示パネル2を上下の2領域に分割して各領域を個別に駆動する場合には、同一領域内に属する複数の走査電極の全てに対して一斉に充電電圧を供給することができる。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明の利用分野は特に制限はないが、無機EL素子等の容量型ディスプレイ素子を用いた表示装置、特に大画面化及び/又は高精細化された表示装置に好ましく利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】図1は本発明の実施の形態1に係る表示装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図2は本発明の実施の形態1に係る表示装置の具体的構成の一例を示す回路図である。
【図3】図3は本発明の実施の形態1に係る表示装置の動作を説明するための電圧波形図である。
【図4】図4は本発明の実施の形態1に係る表示装置の動作を説明するための電流波形図である。
【図5】図5は本発明の実施の形態2に係る表示装置の概略構成を示すブロック図である。
【図6】図6は本発明の実施の形態2に係る表示装置の具体的構成の一例を示す回路図である。
【図7】図7は本発明の実施の形態2に係る表示装置の動作を説明するための電圧波形図である。
【図8】図8は本発明の実施の形態2に係る表示装置の動作を説明するための電圧波形図である。
【図9】図9は本発明の実施の形態2に係る表示装置の動作を説明するための波形図である。
【図10】図10は本発明の実施の形態3に係る表示装置の概略構成を示すブロック図である。
【図11】図11は本発明の実施の形態3に係る表示装置の具体的構成の一例を示す回路図である。
【図12】図12は本発明の実施の形態3に係る表示装置の充電経路制御回路の別の例を示す回路図である。
【図13】図13は本発明の実施の形態3に係る表示装置の充電経路制御回路の動作を説明するための波形図である。
【図14】図14は従来の無機EL表示装置の概略構成を示すブロック図である。
【図15】図15は従来の無機EL表示装置の動作を説明するための波形図である。
【符号の説明】
【0114】
1 充電制御部
2 表示パネル
3 走査出力回路
4 データ出力回路
5 駆動制御部
6 レベルシフト回路
7 プラス制御部
8 マイナス制御部
9 充電部
10 充電経路制御回路
11 ダイオード
12 ダイオード
13 ダイオード
14 ダイオード
15 パルス電源
16 トランジスタ
17 パルス電源
18 トランジスタ
19 電源
20 電源
21 容量型ディスプレイ素子(画素)
22 容量型ディスプレイ素子(画素)
23 容量型ディスプレイ素子(画素)
24 容量型ディスプレイ素子(画素)
25 抵抗体
26 抵抗体
27 データドライバ
28 駆動制御回路
30 走査ドライバ
31 コンデンサ
32 コンデンサ
33 パルス電源
34 トランジスタ
35 トランジスタ
36 パルス電源
37 パルス電源
38 トランジスタ
39 トランジスタ
40 ダイオード
41 ダイオード
42 ダイオード
43 ダイオード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の走査電極、前記複数の走査電極に対して交差する複数のデータ電極、及び、前記複数の走査電極と前記複数のデータ電極との間の発光層を備え、前記走査電極と前記データ電極とこれらの間に挟まれた前記発光層とからなる容量型ディスプレイ素子が、前記複数の走査電極と前記複数のデータ電極とが交差する複数の交差部にマトリックス配置された表示パネルと、
前記複数の走査電極にそれぞれ供給される走査電圧の一部の電圧を発生する走査出力回路と、
前記複数のデータ電極に表示データ信号に応じたデータ電圧をそれぞれ供給するデータ出力回路と、
前記走査出力回路及び前記データ出力回路を制御する駆動制御部と、
1画面を構成するフレーム又はフィールドの各々において、前記フレーム又は前記フィールド期間内において前記走査電極に前記走査電圧が最初に供給される前であって、このフレーム又はこのフィールドの直前のフレーム又はフィールド期間内において前記走査電極に前記走査電圧が最後に供給された後に、前記複数の走査電極の全て又は一部に一斉に電圧を供給する充電制御部と
を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記充電制御部は、前記複数の走査電極の全て又は一部に正極性の電圧を供給するプラス制御部と、前記複数の走査電極の全て又は一部に負極性の電圧を供給するマイナス制御部とを備える請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
更に、前記走査出力回路の基準電位を切り替えるレベルシフト回路を備え、
前記走査出力回路が発生する電圧は、前記走査電圧と、前記充電制御部が前記複数の走査電極の全て又は一部に一斉に電圧を供給することにより前記容量型ディスプレイ素子に充電された電圧との差電圧である請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
更に、前記充電制御部が前記複数の走査電極の全て又は一部に一斉に電圧を供給する際に前記充電制御部によって充電される充電部を備え、
前記走査出力回路が発生する電圧は、前記走査電圧と、前記充電部に充電された電圧との差電圧である請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
更に、前記充電部に接続された充電経路制御回路を備え、
前記充電部を充電するための電流の少なくとも一部は、前記走査出力回路を通ることなく、前記充電経路制御回路を通る請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記充電制御部は、少なくとも2個のスイッチ素子と、前記複数の走査電極の数の2倍以上の数のダイオードとを備える請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
前記充電部は前記走査出力回路及び前記複数の走査電極に接続され、前記充電部は前記複数の走査電極の数と同数以上のコンデンサを備える請求項4に記載の表示装置。
【請求項8】
前記充電経路制御回路は、前記複数の走査電極の数と同数以上のスイッチ素子を備える請求項5に記載の表示装置。
【請求項9】
前記充電経路制御回路は、少なくとも2個のスイッチ素子と、前記複数の走査電極の数の2倍以上の数のダイオードとを備える請求項5に記載の表示装置。
【請求項10】
前記容量型ディスプレイ素子は蛍光体層及び誘電体層を含む無機EL素子である請求項1に記載の表示装置。
【請求項11】
前記走査電極に正極性の前記走査電圧が供給されている場合における前記正極性の前記走査電圧と前記データ電圧の最大値との差電圧、及び前記走査電極に負極性の前記走査電圧が供給されている場合における前記負極性の前記走査電圧と前記データ電圧の最小値との差電圧は、いずれも前記容量型ディスプレイ素子が発光するか否かの閾値電圧より大きい請求項1に記載の表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2007−279143(P2007−279143A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−102122(P2006−102122)
【出願日】平成18年4月3日(2006.4.3)
【出願人】(503217783)MT映像ディスプレイ株式会社 (176)
【Fターム(参考)】